JP3237317B2 - ホログラム干渉計装置 - Google Patents

ホログラム干渉計装置

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JP3237317B2
JP3237317B2 JP16334893A JP16334893A JP3237317B2 JP 3237317 B2 JP3237317 B2 JP 3237317B2 JP 16334893 A JP16334893 A JP 16334893A JP 16334893 A JP16334893 A JP 16334893A JP 3237317 B2 JP3237317 B2 JP 3237317B2
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重徳 大井
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、レンズ,平行平面板そ
の他の精密光学部品等の被測定物体の表面状態を測定す
るためのホログラム干渉計装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】レンズその他の被検物の表面形状を非接
触で精密に測定するために干渉計が用いられる。この干
渉計の代表的なものとしては、図9に示したようなフィ
ゾー型の干渉計がある。
【0003】図中において、1は装置本体を示し、この
装置本体1は、本体ケーシング1aと、この本体ケーシ
ング1aの下面に垂設した筒体部1bとを有する。本体
ケーシング1aには、筒体部1bと平行にHe−Neレ
ーザ等からなるレーザ光源2が取り付けられる構成とな
っている。本体ハウジング1a内には、反射ミラー3,
発散レンズ4及びピンホール5を備え、レーザ光源2か
らのレーザビームは、反射ミラー3によって90°曲折
せしめられて、発散レンズ4を通り、この発散レンズ4
の集光位置に配置したピンホール5を通過後に発散して
そのスポット径を広げながら、ビームスプリッタ6に反
射して再び90°方向を転換して、筒体部1bの軸線方
向に沿ってレーザ光源2から出射方向とは反対方向に向
けて進行し、コリメータレンズ7により平行光束化され
て、その前方に設けた基準レンズ8に入射される。
【0004】基準レンズ8は、その入射面8aとは反対
面が例えば球面形状の基準面8bとなっており、入射面
8aは反射防止コーティングが施されている。基準レン
ズ8に入射されたレーザビームはその基準面8bで一部
が反射し、大部分はこの基準レンズ8を透過してその前
方位置にセットされている被検レンズ9の被検面9aに
入射され、その一部がこの被検面9aで反射する。そし
て、この被検面9aからの反射光と基準レンズ8の基準
面8bからの反射光とが干渉し合って干渉縞が生じる。
このように干渉縞を有する反射光はコリメータレンズ7
及びビームスプリッタ6を透過して、スクリーン10及
び干渉縞結像用レンズ11を介して撮像手段12に入射
され、この撮像手段12により干渉縞の撮影が行われ、
その映像がモニタ装置に表示できるようになっている。
【0005】また、近年においては、コンピュータ合成
ホログラムを用いることによって、測定対象となる被検
物の表面状態の測定を行うホログラム干渉計が実用化さ
れている。コンピュータ合成ホログラムは、ガラス基板
上にフォトレジスト膜を塗布し、このフォトレジスト膜
を電子ビームで走査させることによって、物体波と参照
波との干渉縞と同等の格子模様のホログラムパターンを
露光した後、それを現像することにより干渉縞を顕在化
させた光学素子である。このホログラム光学素子におけ
る干渉縞に参照波と同じ再生波を入射すると、物体波が
再生できる。このホログラムを用いた干渉法によれば、
特殊な形状の検査・測定が可能なこと等から、今後広い
用途が考えられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前述した図
9の干渉計装置を用いたホログラム干渉計装置として、
本出願人は図10に示した構成のものを開発した。
【0007】このホログラム干渉計装置においても、前
述した干渉計装置の装置本体1と同様の構成のものが用
いられる。ただし、被検レンズ9に応じた基準レンズ8
は用いない。即ち、このホログラム干渉計装置では、基
準レンズ8を取り外した装置本体1を、レーザ光源2
と、このレーザ光源2からのレーザ光を平行光束化して
出射し、また入射光を干渉縞の観察機構に導く光路を備
えた光源部と、撮像手段12等の観察部とを内蔵した光
源・観察部ユニットとしての機能を発揮する機構として
用いるので、以下においては、この光源・観察部ユニッ
トを1Lの符号を用いる。
【0008】而して、この光源・観察部ユニット1Lに
よって、レーザ光源2からのレーザ光はコリメータレン
ズ7により平行光束化された状態で出射される。この平
行光は、まず第1の反射ミラー20に反射し、次いで第
2の反射ミラー21に反射させることによって、レーザ
光の光路を上方に向ける。そして、第2の反射ミラー2
1からのレーザ光を第3の反射ミラー22により一旦折
り返した上で、さらにこの第3の反射ミラー22で折り
返されたレーザ光を第4の反射ミラー23に反射させる
ようにしている。第4の反射ミラー23には、ホログラ
ム光学素子24が対向配設されている。このホログラム
光学素子24にレーザ光が入射されると、正反射光と回
折光とに分けられる。正反射光の光路には、この正反射
光に対して垂直となる基準反射面25aを有する基準反
射板25が配設される。
【0009】一方、回折光の光路には被検物26が配置
される。ここで、被検物26がシリンドリカルレンズや
シリンドリカルミラー等のシリンドリカル光学素子であ
るとすると、ホログラム光学素子24のホログラムパタ
ーンは、平行な直線状に配列した格子模様とする。そし
て、このホログラム光学素子24の格子方向を被検物2
6におけるシリンドリカル面26aの母線方向に向け、
かつ回折光が中心軸線で集光される位置に配置する。
【0010】以上のように構成することによって、光源
・観察部ユニット1Lにおけるレーザ光源2からのレー
ザ光束は、送光用光学系を構成する発散レンズ4,ピン
ホール5を通過した後に、ビームスプリッタ6に反射し
て、コリメータレンズ7により平行光束化させた後に、
第1〜第4の反射ミラー20〜23を経てホログラム光
学素子24に入射される。そして、ホログラム光学素子
24から出る回折光は被検物26のシリンドリカル面か
らなる被検面26aの中心軸線上の位置で一旦集光され
た後に発散して、この被検面26aに照射されて、被検
面26aで反射して、ホログラム光学素子24に戻る。
この被検物26からの戻り光はホログラム光学素子24
で反射して、元の平行光となってコリメータレンズ7に
向かう。一方、ホログラム光学素子24からの正反射光
は基準反射板25の基準反射面25aで反射して、戻り
光はホログラム光学素子24において再び反射してコリ
メータレンズ7に向かう。
【0011】従って、ホログラム光学素子24のパター
ンによる物体波光が基準反射板25からの参照波光と重
なり合って相互に干渉作用を及ぼして、干渉縞が形成さ
れることになる。この光はビームスプリッタ6を透過し
て、コリメータレンズ7の後側焦点位置に設けた干渉縞
結像用結像レンズ11を介して撮像手段12の結像面に
干渉縞が結像する。
【0012】而して、ホログラム光学素子24の作用に
よって平面波と被検物26における被検面26aに対応
する非球面波との変換が行われ、干渉縞は平行光同士の
干渉の結果生成されたものであるから、極めて明瞭な干
渉縞模様が撮像手段12により撮像される。従って、こ
の被検面26aの形状を極めて高い精度で測定すること
ができる。
【0013】前述した図10の光学装置において、レー
ザ光源2からコリメータレンズ7までの光路及びコリメ
ータレンズ7から撮像手段12までの光路は、光源・観
察部ユニット1Lにおける本体ケーシング1aと筒体部
1bとからなるハウジングの内部に設けられているが、
第1〜第4の反射ミラー20〜23及びホログラム光学
素子24、さらには基準反射板25は外部に露出した状
態に設けられている。従って、有害光が光路に入り込む
おそれがあるだけでなく、本体ケーシング1aから出た
光が外乱要因等によってゆらぎが発生して、正確な測定
ができなくなるという問題点がある。特に、ホログラム
光学素子24と基準反射板25及び被検物26との間の
光路が光源・観察部ユニット1Lによりけられるのを防
止するために、この光源・観察部ユニット1Lをホログ
ラム光学素子24等から十分に離す必要があり、このた
めに第1〜第4の反射ミラー20〜23を用いて光路を
引き回すようにしている。従って、外部に露出する部位
で光路の引き回しを行うと、光路長がかなり長くなるこ
とから、外乱要因による光路のゆらぎの可能性はさらに
高くなる。
【0014】本発明は、以上のような従来技術の欠点を
解消するためになされたものであって、その目的とする
ところは、装置全体をコンパクトに形成でき、しかも有
害光を除去し、光路にゆらぎ等が生じないようにするこ
とにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、ハウジング内に、レーザ光源及びこのレーザ光源か
らのレーザ光を平行光束化して出射する光源部と、干渉
縞の観察手段とを内蔵した光源・観察部ユニットと、光
源部からのレーザ光を正反射光と回折光とに分けるホロ
グラム光学素子及びこのホログラム光学素子からの正反
射光を反射させる基準反射板とを備えた干渉計ユニット
と、前記ホログラム光学素子の回折光の受光位置に配置
され、被検物が設置される被検物装着機構ユニットとを
備え、前記干渉計ユニットはハウジングを有し、このハ
ウジングには、その内部に、ホログラム光学素子及び基
準反射部材と共にレーザ光を引き回す光学部材を配設
し、またハウジングの所定の位置に前記光源・観察部ユ
ニットからのレーザ光を導くための透孔と、ホログラム
光学素子による回折光を前記被検物に向けて出射させる
ための透孔とを形成する構成としたことをその特徴とす
るものである。
【0016】
【作用】被検物は、被検物装着機構ユニットに載置され
て、順次被検物の表面形状の測定が行われる。このため
に、被検物が装着される試料台は外部に開放した状態に
保持しなければならない。しかしながら、反射ミラー等
の光路を引き回すための光学部材や、ホログラム光学素
子及び基準反射板はハウジング内に収容可能である。た
だし、これらの部材をレーザ光源等を内蔵した光源・観
察部ユニットのハウジング内に設けるようにすると、装
置の全体構成が大型化すると共に、光源・観察部ユニッ
トの汎用化を図れず、またメンテナンス上でも好ましく
はない。
【0017】以上のことから、本発明においては、光源
・観察部ユニットと干渉計ユニットとの2つのユニット
に分けて、それぞれ別個のハウジングを設けて、干渉計
ユニットを構成する各部材を一つのハウジング内に設
け、このハウジングにレーザ光を導くための透孔及びホ
ログラム光学素子から被検物に回折光を導くための透孔
を形成し、ハウジングにおけるこれら以外を壁で覆うよ
うにする。これにより、って、光源・観察部ユニットと
干渉計ユニットとの移行部における僅かな部分の光路
と、干渉計ユニットと被検物との間における必要不可欠
な部位だけしか外部に露出することがなく、従って光路
に有害光が入り込むのを防止できるだけでなく、光路の
ゆらぎは最小限に抑制される。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細
に説明する。まず、図1において、30は定盤を示し、
この定盤30上には、ホログラム干渉計を構成する光源
・観察部ユニット31、干渉計ユニット32及び被検物
装着機構ユニット33が固定的に取り付けられている。
被検物装着機構ユニット33には、被検物34が装着さ
れて、この被検物34の表面形状の測定が行われるよう
になっている。これら各ユニット31〜33はそれぞれ
独立した構成されて、各別に定盤30上に設置されてい
る。
【0019】光源・観察部ユニット31は、本体ケーシ
ング31aと筒体部31bとから構成されており、その
構成は、図9における基準レンズを取り除いた装置本
体、即ち光源・観察部ユニット1Lと全く同じ構成であ
る。従って、以下の説明においては、レーザ光源2,撮
像手段12を含めた各構成部材については、図9及び図
10に示したものと同じ符号を用い、その図示及び詳細
な説明は省略する。なお、基準レンズは装着されない
が、基準レンズを用いた干渉計装置として構成すること
も可能にするために、筒体部31bの下端部には基準レ
ンズ装着部31cが連設されており、この基準レンズ装
着部31cに基準レンズを装着すれば、被検レンズの測
定を行うことができるようにもなっている。
【0020】以上の構成を有する光源・観察部ユニット
31は、その筒体部31bに連結部31dが連設されて
おり、この連結部31dは、定盤30に立設した支持ポ
スト35に昇降可能に連結されている。支持ポスト35
はねじ軸となっており、連結部31dはこの支持ポスト
35に沿って上下動させて、所要の高さ位置に調節した
状態で、ロックレバー36で固定できるようになってい
る。
【0021】次に、干渉計ユニット33は、図2及び図
3からも明らかなように、ハウジング40を有し、この
ハウジング40は、一対の側壁40a,40aと、両側
壁40a,40a間を所定の間隔に保つように囲繞する
周壁40bとから構成される。そして、このハウジング
40は、その側面形状において、光源・観察部ユニット
31側に向けて突出する下部張り出し部40Lと被検物
装着機構ユニット33方向に突出する上部張り出し部4
0Sとを有し、下部張り出し部40Lが定盤30に固定
されるようになっている。また、上部張り出し部40S
の底部は被検物装着機構ユニット33の上部位置に延在
されている。ハウジング40をこのように構成すること
によって、その内部容積をコンパクト化でき、しかも被
検物34が着脱される被検物装着機構ユニット33の手
前側及び左右の両側が開放されて、その着脱操作を容易
に行うことができるようになっている。
【0022】ハウジング40の下部張り出し部40Lの
上部における光源・観察部ユニット31の筒体部31b
と対面する位置には、レーザ光を導くための透孔41が
形成されている。従って、光源・観察部ユニット31に
おいて、コリメータレンズ7で平行光束化されたレーザ
光は、この透孔41を介してハウジング40内に導かれ
る。ハウジング40内には、内部に導かれたレーザ光の
光路を引き回すために、まず下部側の下部張り出し部4
0Lには第1,第2の反射ミラー42,43が固定的に
装着されている。この第1,第2の反射ミラー42,4
3によって、光源・観察部ユニット31から下方に向け
て出射されたレーザ光が上方に向くように方向転換され
て、下部側の下部張り出し部40Lから上部側の上部張
り出し部40Sに導かれるようになる。上部側の上部張
り出し部40Sには、第3の反射ミラー44及び第4の
反射ミラー45が設けられている。そして、この第4の
反射ミラー45に対面するようにホログラム光学素子4
6が配置され、このホログラム光学素子46にレーザ光
が照射されると、正反射光と回折光とに分けられるが、
正反射光の光路に対面するように、基準反射板47が設
けられ、また回折光は上部張り出し部40Sの下部に形
成した透孔48から被検物装着機構ユニット33上に設
置した被検物34に向けて出射されるようになってい
る。
【0023】ここで、第1乃至第4の反射ミラー42〜
45は、ミラーホルダ42a〜45aに装着されてお
り、このミラーホルダ42a〜45aはハウジング40
の側壁40aにビス等を用いて固定されている。ただ
し、この4個の反射ミラー42〜45のうち、第3の反
射ミラー44は後述するように角度調整機能を備えてい
る。また、ホログラム光学素子46及び基準反射板47
も、同様、ホログラムホルダ46a及び基準反射板ホル
ダ47aに装着されて、側壁40aに固定されている。
そして、ホログラム光学素子46は、ホログラムホルダ
46aに着脱可能に装着する構成とすることによって、
異なる種類の被検物の表面状態の測定を行うことができ
るようになされている。
【0024】次に、被検物装着機構ユニット33は、昇
降手段49に多軸調整ステージ50を昇降可能に装着
し、この多軸調整ステージ50上に被検物34を装着す
る試料台51が設けられている。昇降手段49は、垂直
方向に設けたスライドガイド52が設けられ、このスラ
イドガイド52に沿って昇降する昇降基台53とを有
し、多軸調整ステージ50は昇降基台53に装着されて
いる。昇降基台53にはロックねじ54が設けられてお
り、多軸調整ステージ50をスライドガイド52に沿っ
て移動させて、適宜の高さ位置になった時に、このロッ
クねじ54によって固定できるようになっている。そし
て、このロックねじ54で昇降基台53を固定した状態
でも、ねじ軸55を回動操作すれば、昇降基台53は一
定の範囲内で上下方向の位置を微調整できるようになっ
ている。
【0025】被検物34の表面形状を正確に測定するに
は、試料台51上に被検物34を設置した時に、この被
検物34をホログラム光学素子46に対して厳格な位置
決めをしなければならない。このために、試料台51は
多軸調整ステージ50上に設けられており、この多軸調
整ステージ50によって、被検物34の位置を調整する
ことができるようになっている。ここで、被検物34が
レンズ等の精密光学製品である場合には、平行平面板,
球面レンズ,シリンドリカルレンズ等の光学素子があ
る。
【0026】平行平面板の表面状態を測定する場合に
は、ホログラム光学素子46からの回折光が正確に垂直
方向に照射させる必要があることから、傾き方向(以
下、チルト方向という)の調整を行わなければならな
い。また、球面レンズの場合には、回折光の光軸が球面
の中心を通らなければならないから、水平方向(以下、
XY方向という)の位置を調整しなければならない。さ
らにシリンドリカルレンズは、母線方向には均一な表面
形状となっているが、母線と直交する方向は円弧状とな
っているので、少なくとも母線方向と直交する方向、即
ち直交チルト方向の調整と、XY方向の調整とが必要で
あり、しかも母線とホログラム光学素子46のホログラ
ムパターンにおける格子方向とが平行に配置しなければ
ならないから、回転方向(以下、θ方向という)の位置
も調整しなければならない。また、球面レンズ及びシリ
ンドリカルレンズは、その球面及び円弧の中心位置とホ
ログラム光学素子46の集光位置から曲率半径分離れた
位置(凸状の場合には、曲率半径だけホログラム光学素
子46に近接する位置)となるように、上下方向(以
下、Z方向という)にも位置調整する必要がある。ただ
し、Z方向の位置調整は前述した昇降手段49により行
うようになっている。
【0027】多軸調整ステージ50は、試料台51をX
Y方向,θ方向及びチルト方向に位置調整可能とするた
めのものである。このために、昇降基台53上にはガイ
ドレール56に沿ってX方向にスライド可能なX軸テー
ブル57が設けられ、このX軸テーブル57はねじ軸5
8を螺回することにより移動させるようになっている。
また、X軸テーブル57上には、ガイドレール59に沿
ってY方向にスライド可能なY軸テーブル60が設けら
れており、同様にねじ軸61によってY軸方向に移動さ
せることができるようになっている。Y軸テーブル60
上には、θステージ62が設けられている。このθステ
ージ62は、Y軸テーブル60に立設した固定リング6
3に水平方向に回転可能に連結されており、このθステ
ージ62を回転させるために、ねじ軸64が設けられて
いる。さらに、被検物34が設置される試料台51は、
このθステージ62に任意の方向に傾動可能に装着した
チルト台66上に設けられている。
【0028】ここで、チルト台66は、図4及び図5に
示したように、略正方形のものであって、その中央部分
には、球面継手67が垂設されており、θステージ62
には、この球面継手67の球面部を受承する受け部68
が設けられている。また、θステージ62には、その下
方から一対の調整ねじ69,70が螺挿されており、こ
れら各調整ねじ69,70は、チルト台66の相隣接す
る2辺の中間部に設けた受け部71,72(受け部72
は図面上には表れない)に衝当している。そして、チル
ト台66の他の2辺の中間部には、それとθステージ6
2との間に圧縮ばね73,74が弾装されている。これ
によって、チルト台66は、調整ねじ69を螺回する
と、チルト軸T1 を中心として傾動し、また調整ねじ7
0を螺回すると、チルト軸T1 と直交する直交チルト軸
2 を中心として傾動することになる。
【0029】被検物34の表面状態を測定するに当って
は、試料台51を測定位置となるように調整する。この
試料台51の位置決めは、昇降手段49により昇降台5
3を所定の高さ位置に配置し、多軸調整ステージ50を
操作して、XY方向,θ方向及びチルト方向の調整を行
うことにより達成される。ここで、被検物34が球面レ
ンズまたはシリンドリカル光学素子である場合には、ま
ず昇降基台53を図10の仮想線で示したキャッツアイ
ポイントの位置に配置し、この位置を原点として実線で
示した測定位置まで移動させれば、被検物34の曲率半
径をも測定できる。而して、測定位置は最も干渉縞が少
ない位置であることから、試料台51に被検物34の理
想形状を持ったサンプルを設置して、撮像手段12で撮
像した画像を目視しながら、昇降手段49を測定位置の
近傍でねじ軸55を操作することによって、微小昇降さ
せ、また多軸調整ステージ50を操作することによっ
て、この画像で干渉縞の本数が最も少なくなる位置を検
出すれば良い。
【0030】光源・観察部ユニット31において、レー
ザ光源2から出射されたレーザ光束は上方に向けて進行
して、反射ミラー3により水平方向に光路が変えられ、
さらにビームスプリッタ6に反射することによって、光
路が下方に向くようになる。コリメータレンズ7によっ
て平行光束化されたレーザ光束は、干渉計ユニット32
における透孔41を介してハウジング40内に導かれ
る。
【0031】而して、試料台51は、その上に被検物3
4を載置するようになっていることから、その被検面3
4aが上方に向いた状態となる。従って、ホログラム光
学素子46はこの被検物34と対面する位置関係とする
ために下方に向けられ、かつこのホログラム光学素子4
6からの回折光は垂直方向に向けるようにする。従っ
て、ホログラム光学素子46への入射光は斜め下方から
入射させなければならない。そして、光源・観察部ユニ
ット31からの光路のけられ等が生じないようにする必
要がある。
【0032】以上のことから、干渉計ユニット32内に
導かれ、下方に向けたレーザ光束は、ハウジング40内
に導かれて、まず第1,第2の反射ミラー42,43に
反射させることにより上方に向くように方向転換させ
る。そして、第3の反射ミラー44に反射させ、さらに
もう一度第4の反射ミラー45に反射させる。ここで、
ホログラム光学素子46からの回折光のキャッツアイポ
イントの近傍位置に、この第4の反射ミラー45の配設
位置より僅かに下方に位置させるように配置することに
よって、光路のけられが生じることなく、干渉計ユニッ
ト32のハウジング40をコンパクトに形成できる。
【0033】そして、ホログラム光学素子46からの回
折光は、透孔48を介して厳格に位置調整された試料台
51上に設置した被検物34に照射され、この被検物3
4に反射して、ホログラム光学素子46に戻ることにな
る。また、ホログラム光学素子46の正反射光は基準反
射板47に反射し、同様、ホログラム光学素子46側に
戻される。この結果、ホログラム光学素子46のホログ
ラムパターンを作用させた被検物34の物体波光が基準
反射板47からの参照波光と重なり合って相互に干渉し
て干渉縞が形成される。この干渉縞を撮像手段12によ
り撮像することによって、被検物34の表面状態の測定
を行うことができる。
【0034】而して、レーザ光源2からホログラム光学
素子31を経て、基準反射板47及び被検物34に至る
全体の光路のうち、光源・観察部ユニット31と干渉計
ユニット32のハウジング40との間の接続部分と、こ
のハウジング40から被検物34に至るまで間というよ
うに、極めて僅かで、しかも必要最小限の光路部分のみ
が外部に出ているだけで、大部分の光路は閉鎖された空
間内に配置されているから、有害光が入り込むのを防止
できると共に、光路のゆらぎ等の問題がなく、極めて安
定した状態で被検物34の表面状態の測定を行うことが
できる。
【0035】ところで、光源・観察部ユニット31と干
渉計ユニット32とはそれぞれ別個に昇降基台53に取
り付けて固定される関係から、光源・観察部ユニット3
1側の光軸と干渉計ユニット32側の光軸とを正確に一
致させた状態に組み付けるのは極めて困難である。この
ために、第3の反射ミラー44には角度微調整機構が設
けられている。この第3の反射ミラー44の角度微調整
機構は、図6乃至図8に示した構造となっている。即
ち、第3の反射ミラー44が装着されているミラーホル
ダ44aは略正方形の形状を有するものであって、この
ミラーホルダ44aには、ハウジング40の側壁40a
に固定して設けた支持板75に対面させて設けられてい
る。そして、この支持板75における4つの角隅部のう
ち、対角にある2箇所の角隅部には、球面継手76と引
っ張りばね77とが装着されており、球面継手76の球
面部76aはミラーホルダ44aに設けた球面軸受78
に嵌合しており、また引っ張りばね77の他側はこのミ
ラーホルダ44aに連結されている。これによって、ミ
ラーホルダ44aは支持板75に任意の方向に傾動可能
に支持されてる。また、支持板75の残りの2箇所の角
隅部には、それぞれ調整ねじ79,80が螺挿されてお
り、この調整ねじ79,80の先端は、それぞれミラー
ホルダ44aに設けた受け部81,82に衝当してい
る。従って、これら調整ねじ79,80を適宜螺回する
ことによって、ミラーホルダ44aと共に第3の反射ミ
ラー44が任意の方向に傾動駆動できるようになってい
る。
【0036】ここで、第3の反射ミラー44の反射面は
略下方を向いていることから、調整ねじ79,80のね
じ頭79a,80aは上方に位置しており、このハウジ
ング40における上部張り出し部40Sの周壁40bに
おける上面部には、外部からドライバ等の治具を挿入す
るための治具挿入孔83,84が穿設されており、この
治具挿入孔83,84は常時には栓部材で閉鎖するよう
にしている。従って、この栓部材を取り外して、両調整
ねじ79,80を適宜螺回させると、第3の反射ミラー
44の角度調整を行うことができ、この結果光源・観察
部ユニット31側の光軸と干渉計ユニット32側の光軸
とを一致させるように調整できる。なお、この光軸合わ
せはこれ以外にも、第1,第2の反射ミラー42,43
のどちらかを前述と同様の角度調整可能な構成とするこ
とによっても達成できる。
【0037】而して、試料台51及びこの試料台51が
装着されて、その位置や方向等を調整する被検物装着機
構ユニット33は、その奥側及び上部側に干渉計ユニッ
ト32のハウジング40が位置するが手前側及び左右の
両側には、何等の障害物がない状態となっているので、
試料台51への被検物34の着脱操作及びその位置調整
操作を極めて容易に行うことができる。特に、被検物3
4として長尺のものを用いる場合や、この被検物34の
着脱操作を自動化するには、試料台51の左右両側が開
放されていることが重要となる。
【0038】また、光源・観察部ユニット31と干渉計
ユニット32とをそれぞれ独立の機構として構成するこ
とによって、この装置を構成する一部分の修理,点検及
び部品の交換等のメンテナンスを行う場合には、光源・
観察部ユニット31側と干渉計ユニット32側とを切り
離して独立して行うことができ、例えば光源・観察部ユ
ニット31側のメンテナンスを行った後の各部材間の調
整は、この光源・観察部ユニット31側のみを行い、第
3の反射ミラー44の調整は必要であるが、干渉計ユニ
ット32の他の構成部材の位置調整は必要としない。ま
た干渉計ユニット32側のメンテナンスを行う場合に
は、光源・観察部ユニット31側は一切手を加える必要
がない。従って、メンテナンス性が著しく向上する。
【0039】ところで、被検物34の形状等に応じてホ
ログラム光学素子46のホログラムパターンが変わって
くるから、異なる種類の被検物を測定する場合には、ホ
ログラム光学素子46はこの被検物に応じたホログラム
パターンを持ったものを使用しなければならない。この
ような要請に応じるためには、ホログラム光学素子46
を交換可能な構成とする。そこで、ホログラム光学素子
46をホログラムホルダ46aに着脱可能に固定し、ハ
ウジング40の上部張り出し部40Sには、このホログ
ラム光学素子46を挿脱するための開口85を形成し、
常時にはこの開口85に蓋体86を装着しておき、ホロ
グラム光学素子46を交換する際には、蓋体86を取り
外せるようにする。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、ホログ
ラム干渉計装置を構成する各部を光源・観察部ユニット
と、干渉計ユニットと、被検物装着機構ユニットとの3
つの部位に分割して、それぞれ定盤等に設置するように
なし、光源・観察部ユニットを構成する各種の部材をハ
ウジング内に収容すると共に、干渉計ユニットを構成す
るホログラム光学素子及び基準反射部材と共にレーザ光
を引き回す光学部材を配設し、またハウジングの所定の
位置に前記光源・観察部ユニットからのレーザ光を導く
ための透孔と、ホログラム光学素子による回折光を前記
被検物に向けて出射させるための透孔とを形成する構成
としたので、このホログラム干渉計装置を構成する各種
の部材のうち、光源・観察部ユニットを他の装置と共用
することができ、汎用性を持たせることができるように
なり、また修理,点検,部品の交換等のメンテナンスも
容易になり、かつこの装置内の光路はほぼその全体がハ
ウジング内に配置されており、やむを得ない必要最小限
の光路だけが外部に露出した状態になるから、光路の安
定化を図る上で極めて有利であり、外部からの有害光が
入り込むのを防止でき、また外乱要因等で光路のゆらぎ
の発生を確実に防止できる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すホログラム干渉計装置
の左側面図であって、そのハウジングを断面にして示し
た図である。
【図2】一部を断面にして示した図1の正面図である。
【図3】図1の平面図である。
【図4】調整テーブルの構成説明図である。
【図5】図4のX−X断面図である。
【図6】第3の反射ミラーの支持機構の構成を示す平面
図である。
【図7】図6のY−Y断面図である。
【図8】図6のZ−Z断面図である。
【図9】フィゾー型干渉計の原理説明図である。
【図10】ホログラム干渉計の原理説明図である。
【符号の説明】
2 レーザ光源 7 ビームスプリッタ 30 定盤 31 光源・観察部ユニット 32 干渉計ユニット 33 被検物装着ユニット 34 被検物 40 ハウジング 40a 側壁 40b 周壁 40L 下部張り出し部 40S 上部張り出し部 41,48 透孔 43〜45 反射ミラー 46 ホログラム光学素子 47 基準反射板 75 支持板 79,80 調整ねじ 83,84 治具挿入孔

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハウジング内に、レーザ光源及びこのレ
    ーザ光源からのレーザ光を平行光束化して出射する光源
    部と、干渉縞の観察手段とを内蔵した光源・観察部ユニ
    ットと、光源部からのレーザ光を正反射光と回折光とに
    分けるホログラム光学素子及びこのホログラム光学素子
    からの正反射光を反射させる基準反射板とを備えた干渉
    計ユニットと、前記ホログラム光学素子の回折光の受光
    位置に配置され、被検物が設置される被検物装着機構ユ
    ニットとを備え、前記干渉計ユニットはハウジングを有
    し、このハウジングには、その内部に、ホログラム光学
    素子及び基準反射部材と共にレーザ光を引き回す光学部
    材を配設し、またハウジングの所定の位置に前記光源・
    観察部ユニットからのレーザ光を導くための透孔と、ホ
    ログラム光学素子による回折光を前記被検物に向けて出
    射させるための透孔とを形成する構成としたことを特徴
    とするホログラム干渉計装置。
  2. 【請求項2】 前記ハウジングは、左右の側壁と、この
    左右の側壁間に設けた周壁とから構成し、このハウジン
    グを被検物装着機構ユニットの上部に張り出す上部張り
    出し部を形成して、この上部張り出し部の下面に前記ホ
    ログラム光学素子による回折光を出射する透孔を形成す
    る構成としたことを特徴とする請求項1記載のホログラ
    ム干渉計装置。
  3. 【請求項3】 前記ハウジング内に光路を引き回すため
    に、複数の反射ミラーを設け、これら各反射ミラーのう
    ち、少なくとも一つの反射ミラーを、レーザ光源装置側
    からホログラム光学素子への光路を補正するための光路
    補正用の反射ミラーとなし、この反射ミラーに傾き調整
    部材を設け、前記ハウジングには、この傾き調整部材を
    外部から操作できるようにする治具挿入孔を設け、この
    治具挿入孔に栓部材を着脱可能に装着する構成としたこ
    とを特徴とする請求項1または請求項2記載のホログラ
    ム干渉計装置。
  4. 【請求項4】 前記ホログラム光学素子を着脱可能とな
    し、前記ハウジングには、このホログラム光学素子の着
    脱用の開口を形成して、この開口を蓋体により閉鎖可能
    な構成としたことを特徴とする請求項1または請求項2
    記載のホログラム干渉計装置。
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