JP4270319B2 - 動力伝達機構 - Google Patents

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Description

本願は、平成9年特許願第249638号(これを「原出願」という)の分割出願である。本願においては、原出願の記載が引用ないし繰り込み記載されているものとする。
本発明は動力伝達機構に関し、特にエンジン機構側から変速機構側に動力を断接可能且つトルク変動吸収可能に伝達する動力伝達機構に関する。
従来の動力伝達機構の例として、図4及び図5に、英国特許GB2269440号に開示されたトルク変動吸収装置を示す。図4及び図5を参照して、このエンジンとトランスミッションとの間にトルク変動を吸収するために設けられたトルク変動吸収装置は、駆動側部材53、54、60と、被動側部材55、56、59、トーション機構としてコイルスプリング50、及び駆動側部材(ドライブプレート)53と被動側部材(ドリブンプレート)56との側面間に配され、摩擦摺動によるヒステリシスを発揮するヒステリシス機構62を備え、エンジンからの駆動力は、駆動軸に固定された駆動側部材60から53及び54、コイルスプリング50を介して、被動側部材55から56、59へと伝達される。被動側部材(フライホイール)59を駆動側部材(内ハブ)60に対して同心且つ相対回転可能に保持するために、駆動側部材60外周面と被動側部材59内周面との間に、転がり軸受61が配置されている。
また、駆動側部材外周面と被動側部材内周面の間に設けられ、被動側部材を駆動側部材に対して同心かつ相対回転に保持するための軸受として、特公昭56-43176号には、駆動側部材と被動側部材との半径方向間にフランジ状の滑り軸受を挿入したトルク変動吸収装置が提案されている。この滑り軸受は、駆動側部材の外周面と被動側部材の内周面との両周面を滑り面としている。
また、上記英国特許GB2269440号のトルク変動装置によれば、トーション部材として装置外周部に配設されたトーションスプリング50を収容する空間にはグリスが封入され、この空間の装置内周側のシールとして、被動側プレート56内周部と駆動側プレート54内周部の軸方向間にシール58及び圧縮状態で薄板ばね57を配して、これによって駆動側プレート54と被動側プレート56との相対回動を許容すると共にシール機能を発揮させている。
また、上記英国特許GB2269440号の装置においては、低コスト化のため、駆動側部材(ドライブプレート)53を鉄板化している。
また、図4を参照して上記英国特許GB2269440号の装置において、トーションスプリング50外周側と駆動側プレート53、54内周側には、遠心力によってトーションスプリング50が外周側に移動して駆動側プレート53、54と摺動するのを防止するために、スプリングシート51、52の外周側をトーションスプリング50外周側と駆動側プレート53、54内周側との間に延伸している。
英国特許GB2269440号 特公昭56-43176号
しかしながら、第1に、上記英国特許GB2269440号のトルク変動吸収装置のように、転がり軸受を採用することによってコストが上昇する。また、上記特公昭56-43176号に開示された滑り軸受は、駆動側部材の外周面と被動側部材の内周面とをいずれも滑り面とするため、装置半径方向にガタが生じ易く、駆動側部材に対する被動側部材の同心度が維持できず、この同心度のアンバランスに起因する振動が発生するという問題点がある。
第2に、図4及び図5を参照して、上記英国特許GB2269440号において、トルク変動装置の外周部に配設されたトーションスプリング50を収容する空間を密閉する機構によれば、シール58は装置の回転による強い圧力が印加されないように装置内周側に配置されており、装置の回転時には遠心力によってグリスは装置外周側へ移動するため、シール58の被動側プレート56に対する摺動面がドライ状態となって、磨耗が進行しシール機能が消失して、シール58部分からグリス漏れが発生するという問題点がある。
加えて、上記シールされた空間の最も内周側に、ヒステリシス機構が配置されており、装置の回転数に応じて、このヒステリシス機構のスラストプレートにグリスが付着したり又は摩擦部材がドライ状態になったりするため、ヒステリシスが不安定となる。さらに、上記空間は密閉されているため放熱性が悪く、ドライ状態において熱容量の小さいスラストプレートは高温となり、ライニング磨耗が促進され、ヒステリシス機能が次第に失われるという問題点がある。
第3に、図4及び図5を参照して、上記英国特許GB2269440号の装置においては、低コスト化のため、駆動側プレート53を鉄板化しているが、装置が軸方向の振動を受けた際に、この駆動側プレート53が駆動軸に固定されている部分近傍に発生する集中応力によって、駆動側プレート53に亀裂、破損などが生じるおそれがある。
第4に、図4及び図5を参照して、上記英国特許GB2269440号の装置において、スプリングシート51、52の外周側をトーションスプリング50外周側と駆動側プレート53、54内周側に延伸することによって、このスペースが消費されるため、トーションスプリング50の収容位置は、その外周側にスプリングシート51、52がある分内周側になる。このため、より高剛性かつ大きなトーションスプリング50を使用しなければ、十分なトルク変動吸収特性が得られないという問題点がある。
上記問題点に鑑み、本発明は動力伝達機構、特に駆動側部材の耐久性の向上を図ることを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の第1の視点における手段は、回転し動力を伝達する駆動側部材と、該動力が前記駆動側部材により伝達されて回転される被動側部材とが、互いに略同心かつ相対回転可能に配される動力伝達機構であって、前記駆動側部材は、エンジンのクランク軸にその内周部が固定された第1ドライブプレートと、前記第1ドライブプレートの外周部に固定された第2ドライブプレートと、を有し、前記第1ドライブプレートの半径方向中間部に周方向に沿って複数の台形状の穴が開けられて、該穴と該穴の間のアーム部によって、該第1ドライブプレートの外周部と内周部が接続されていることを特徴としている。
なお、各請求項中の構成要素に付与した図面参照符号は、専ら発明の理解を容易にするためのものであって、各請求項に係る発明を実施例又は図面の内容に限定することを意図するものではない。
上記手段は、一般的に、回転し動力を伝達する駆動側部材と、該動力が伝達されて回転される被動側部材とが、互いに略同心かつ相対回転可能に配されて構成される動力伝達機構に適用され、詳細にはトルク変動吸収装置、クラッチ装置などに好適に適用される。また、上記視点における好ましい手段は、他の視点にも適用可能である。
なお、明細書及び図面に開示された本発明の原理の範囲内において、前記特徴を有する手段らは、トーション機構及び/又はヒステリシス機構を備えた一般的構成のトルク変動吸収装置以外にも適用可能である。
以上説明したように、本発明の動力伝達機構によれば、駆動側部材の耐久性が、コスト上昇を伴うことなく向上される。これら耐久性が向上された機構からトルク変動吸収装置のような動力伝達機構を構成することによって、その長寿命化が達成可能である。
特に、本発明の動力伝達機構によれば、駆動側部材の所定位置に穴を開けることによって、駆動側部材の軸方向の剛性が低下されて(略バネ性となり)、特に装置軸方向の振動が吸収され、駆動側部材の破損が防止される。
発明の実施の形態
以下図面を参照して本発明の一実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る動力伝達機構の側断面図であり、図2は図1のII−II線に沿って切断した一部破断断面図である。図3は図1に示す滑り軸受周辺の拡大図である。
図1〜図3を参照して、エンジンのクランク軸1にボルト締めされた第1ドライブプレート2、第1ドライブプレート2の外周部に全周溶接固定された第2ドライブプレート3、リングギヤ4、イナーシャリング5、及びインナリング6は、エンジン側慣性体(駆動側部材)J1を構成し、エンジンの出力を断接する摩擦クラッチディスクアセンブリ26と摺動可能なフライホイール7及びドリブンプレート8はトランスミッション側慣性体(被動側部材)J2を構成する。エンジンのトルクは両慣性体J1、J2を介し、さらにクラッチ機構を介して断接可能に変速機構入力軸23に入力される。両慣性体J1、J2の半径方向間にはトランスミッション側慣性体J2をエンジン側慣性体J1に対して略同心且つ相対回転可能に保持するための滑り軸受機構が配置される。また、両慣性体J1,J2の回転方向間に、エンジンの回転トルク変動を吸収するためのトーション機構と第1、第2のヒステリシス機構が配設され、第1のヒステリシス機構はトーション機構の内周側シールを兼ねている。詳細には、トーション機構は軸方向及び半径方向外方から軸方向に互いに対向する第1、第2のドライブプレートに囲まれると共に、半径方向内方からドリブンプレート8及び第1のヒステリシス機構によって囲まれた空間に配置されている。インナリング6及び第1ドライブプレート2の内周部は外周部が多角形とされたスペーサ20により軸方向に位置決めされて、インナリング6はリベット21により第1ドライブプレート2の内周部に係合されている。このスペーサ20の板厚を変更することにより、各部材の軸方向高さを調節することができるため、スペーサを変更するだけで各車種に応じた動力伝達機構が設計することができ、異なる車種間においても動力伝達機構本体を共通して使用することが可能である。フライホイール7のトランスミッション側には、クラッチディスクアセンブリ26、ダイヤフラムスプリング25、レリーズベアリング機構24が配置される。レリーズフォークによってレリーズベアリング機構24がエンジン側に付勢されることにより、ダイヤフラムスプリング25の内周部がエンジン側に付勢された際には、ダイヤフラムスプリング25がプレッシャープレート27を介してクラッチディスクアセンブリ26をフライホイール7側に付勢する力が弱まり、クラッチディスクアセンブリ26はフライホイール7と離間状態になり、エンジン動力の伝達が一時遮断される。次に各機構の構成を詳細に説明する。
滑り軸受機構は、リベット21により第1ドライブプレート2に固定され、装置半径方向から軸方向に沿って曲げられて先端が軸方向に沿って延在するインナリング6と、ドリブンプレート8側面とフライホイール7の装置軸方向凹部(フランジ部)とが囲む空間に配置され、インナリング6外周部にスプライン嵌合する滑り軸受18と、滑り軸受18のエンジン側側面に配された皿ばね19、皿ばね19外周に配されたシール材22から構成される。皿ばね19は滑り軸受18の側面及び内周側、シール材22は滑り軸受18の外周側のシール機能を果たす。滑り軸受18の両側面には潤滑剤溜まり(溝)18aが形成される。この潤滑剤溜まり18aの外周部において、フライホイール7とドリブンプレート8との間に軸方向隙間を設けてあり、潤滑剤は遠心力によって滑り面へ供給される。尚、この軸方向隙間の代わりに半径方向に延在する溝を設けて潤滑剤通路を確保してもよい。更に、滑り軸受18の滑り面(外周面)には軸方向に沿って溝18bが設けられており、溝18b同士の円周方向の間隙は、エンジン側慣性体J1とトランスミッション側慣性体J2の許容相対回転角度よりも小さい角度で配置されており、潤滑剤溜まり18aから供給された潤滑剤は滑り面全体に確実に供給される。なお、滑り軸受の側面と駆動側部材又は被動側部材の側面間にクリアランスを設ける代わりに潤滑油通路として溝を設け、前記軸方向の溝18bと連通させてもよい。また、インナリング6は鉄板を加工成形することにより低コストで制作できる。
トーション機構は、装置外周部において第1、第2ドライブプレート2、3によって囲まれる空間且つ第1、第2ドライブプレート2、3とドリブンプレート8の回転方向間に、トーションスプリング9を4本直列に配置し、ドリブンプレート8はスプリングシート10を介してトーションスプリング9の一端を保持し、トーションスプリング9の他端は、第1、第2ドライブプレート2,3の絞り成形部又は図6に示すブロックで保持され、トーションスプリング9を介してトルクが伝達される。従って、内燃機関特有の周期的トルク変動はトーションスプリングの撓みによって吸収されるため、出力軸23は円滑な回転運動力が伝達される。さらに、トーションスプリング9内にはストッパ10bが配置され、トーションスプリングの撓みが限界に近くなると、ストッパ10bとスプリングシート10のボス部10aが当接することにより、トーションスプリング9の過圧縮が防止される。また、ボス部10aを短くでき、ボス部10aに加わるモーメントが小さくなり折れにくくなる。また、図7に示した円周方向両端側のトーションスプリング9bらのように、スプリング長さを短く設定した場合は、ボス部10a同士が直接当接して前記過圧縮を防止する。上記空間には潤滑剤(例えばグリス)が封入される。また、第1ドライブプレート2の絞り形状部の受け面に、旋削により形成された段差とスプリングシート10の干渉を防止するための逃がし(クリアランス)49がスプリングシート10に対して設けられている。
第1のヒステリシス機構且つ前記トーション機構の内周側シール機構は、第1、第2ドライブプレート2、3の内周側(トーション機構の内周側近傍であって、装置の比較的外周側)に配されており、第1ドライブプレート2から第2ドライブプレート3へ装置軸方向に沿って順に、環状の摩擦部材(スラストライニング)13、ドリブンプレート8、皿ばね14、環状の摩擦部材(スラストライニング)12から構成されている。摩擦部材13の位置決めはプレス加工された第1ドライブプレート2の段付き部で行う。摩擦部材12は装置半径方向外方から軸方向エンジン側に曲げられ延伸する突起部がドリブンプレート8の切欠部に装置回転方向に関して係合してドリブンプレート8と共に回転する。皿ばね14は、摩擦部材13を第1ドライブプレート2側に付勢して第1ドライブプレート2側面に当接させ、摩擦部材12を第2ドライブプレート3側に付勢してフライホイール7側面に当接させる。摩擦部材13、12及び皿ばね14は、第1、第2ドライブプレート2、3とドリブンプレート8の内周側の隙間を埋めて、潤滑剤漏れを防止すると共に、第1、第2ドライブプレート2、3に対してそれぞれ摺動して比較的小さなヒステリシス機能を発揮する。
比較的大きなヒステリシス機能を発揮する第2のヒステリシス機構は、フライホイール7のトランスミッション側(出力側)であって、前記トーション機構が収容され潤滑剤が封入された空間外に配置される。第2のヒステリシス機構はフライホイール7のトランスミッション側且つ内周側において、装置軸方向に沿いトランスミッション側へ向かって順に、フライホイール7側面に当接し摩擦摺動する環状の摩擦部材(スラストライニング)15と、環状のスラストプレート16と、皿ばね17から構成されている。摩擦部材15内周には凸部がスプライン状に設けられ、これらの凸部に対応してインナリング6延長部外周にはスプライン状に凹部が設けられ、これらの凸部と凹部とは装置回転方向に沿って所定角度クリアランスW(図2参照)を有し、エンジン側慣性体J1とトランスミッション側慣性体J2との相対回転が所定角度W以上(例えば共振作用時等)になると、両者は回転方向(周方向)に係合し大きなヒステリシスを発生してJ1、J2間の制振能力を増大する。スラストプレート16外周はドリブンプレート8をフライホイール7に固定するピン11に装置回転方向に関し係合される。皿ばね17はピン11頭部に係止されて、スラストプレート16を介し摩擦部材15をフライホイール7側面に向かって付勢し当接させる。なお、摩擦部材15はフライホイール7とスラストプレート16間において、皿ばね17に付勢されつつ摩擦係止(挟着保持)されている。
また、第1ドライブプレート2の半径方向中間部に周方向に沿って複数の略台形状(半径方向外方側が長辺、内方側が短辺、換言すれば“外開きのおむすび状”)の穴29が設けられて、第1ドライブプレート2の外周部と、クランク軸1にボルト固定された内周部とはいわゆる“アーム状接続”(ばね状接続)している。半径方向に略台形状の穴29の中心と多角形のスペーサ20(軸方向の位置決め部材)の頂点は対向し、スペーサ20の辺は穴20の間のアーム部に対向する。そして、第1ドライブプレート2がクランク軸1に固定されるボルト穴と穴29とは、円周方向に略同じ位置にある(略同角度にある。半径方向に略一直線上にある)。これによって、多角形のスペーサ20と第1ドライブプレート2との当接長さ及び当接面積が拡大され、軸方向の曲げ応力による集中応力が分散され、第1ドライブプレート2の破壊が防止され、耐久性が向上される。
次に、このトルク変動吸収機能を備えた動力伝達機構の機能について説明する。まず滑り軸受機構の機能について説明する。エンジンのトルクは第1、第2ドライブプレート2,3からスプリングシート10、トーションスプリング9、ドリブンプレート8、及びピン11を介して、フライホイール7へ伝達される。滑り軸受18の内周側はエンジン側慣性体J1であるインナリング6に装置回転方向に関して係合されており、滑り軸受18の滑り面はその外周面18aに限定され、トランスミッション側慣性体J2であるフライホイール7内周面に対してのみ滑る。このように滑り面が一面側(特に外周面側)に限定されていることにより、滑り面には遠心力で潤滑油が強制的に供給され、油膜が形成されて、滑り面の磨耗を防止するので耐久性が向上し、トランスミッション側慣性体J2のエンジン側慣性体J1に対する同心ずれ増加は防止され、同心ずれに起因する振動の増加も防止する。なお、滑り軸受を被動側部材に回転方向に関して係合し、駆動側部材に対する周面を滑り面となるよう構成することも可能である。このとき、駆動側部材が外周側、被動側部材が内周側に設けられる。例えば、滑り軸受外周面に沿ってインナリングの軸方向延長部を配して、この延長部内周面を滑り面となし、滑り軸受の内周面側においてフライホイールをエンジン側軸方向に延長させ、滑り軸受とフライホイールの前記延長部を回転方向に関して係合する。なお、係合面と滑り面とを反対にしてもよい。
さらに、潤滑剤溜まり18aに溜められた潤滑剤は、装置の回転に伴う遠心力によって、潤滑材が滑り面とされた滑り軸受18外周面に供給され、油膜を形成する。なお、シール材22によって、遠心力によるドリブンプレート8とフライホイール7側面間から半径方向外方への潤滑剤の漏れが防止されている。さらにエンジン停止時(遠心力ゼロ時)においても皿ばね19により滑り軸受18の内径側側面は、一方はフライホイール7の内径側側面に当接し、他方は皿ばね内径部が当接することにより内周側からの潤滑剤の漏れを防止している。なお、例えば滑り軸受の内周面が滑り軸受内周側に配された被動側部材に対し滑る場合は、潤滑剤が滑り面に供給されるよう滑り内径側にクリアランスを設けて潤滑剤溜まりとし、滑り面に潤滑剤を供給できるように構成する。
次に、トーション機構の機能について説明する。装置が回転する際、トーションスプリング9は遠心力により半径方向外方(第1、第2ドライブプレート外周側)に付勢される。しかし、トーションスプリング9の内周にはスプリングシート10の突起部10aが挿入され、略半径方向内方及び外方に関してトーションスプリング9を係止している(半径方向の移動を阻止している)。このように、スプリングシート10はトーションスプリング9の内周側においてトーションスプリングの半径方向外方への移動を阻止でき、トーションスプリング9外周側に前記移動を阻止するための保持部材を配置する必要がなくされるため、トーションスプリング9を、この保持部材が占めていた分半径方向外方側に配置することができる。このため、トーションスプリング9のバネ力は半径方向外側に配置された分に応じて、低剛性又は小さなトーションスプリングを使用できる。また、低剛性のトーションスプリングを使用できることによって、トーションスプリング9及びその周辺の耐久性も向上し、コストダウンも実現される。なお、ストッパ10bをトーションスプリング9の内周中間部に配置することにより、トーションスプリングはたわみを制限されて、過剰負荷を防止していると共に遠心力による湾曲化も防止している。
次に、トーション機構の内周側シール機構兼小ヒステリシス機構(第1のヒステリシス機構)の機能について説明する。トーションスプリング9を収容する密閉された空間には、スプリングシート10の潤滑のために潤滑剤(グリス)が封入される。この空間の外周側は第1、第2のドライブプレート2、3の全周溶接部によってシールされ、内周側は第1、第2のドライブプレート2、3の軸方向間に配された摩擦部材13、ドリブンプレート8、皿ばね14、及び摩擦部材12によってシールされる。加えて、第1、第2ドライブプレート2、3とドリブンプレート8とが相対回転した場合、摩擦部材13、12は第1、第2ドライブプレート2、3に対して摺動してヒステリシスを発生する。このように、トーションスプリング9を収容する空間の内周側シールが、摩擦部材13、12と第1、第2ドライブプレート2、3との面接触によるため、潤滑剤が漏れにくくされトーション機構の耐久性が向上される。さらに、摩擦部材13、12が磨耗した場合であっても、皿ばね14により摩擦部材13、12は第1、第2ドライブプレート2、3側にそれぞれ付勢されているため、前記面接触状態が維持される。このように、シール機構とヒステリシス機構とを兼用した機構を設けることにより、装置のコンパクト化が達成される。
さらに、摩擦部材12の磨耗によりフライホイール7、クラッチディスクアセンブリ26などが全体として、図1中左方向に移動すること、及び皿ばね14がドリブンプレート8を介して摩擦部材13を第1ドライブプレート2側に付勢していることによって、長期間使用によるダイヤフラムスプリング25を付勢するレバー部24の浮き上がり量が補正され、クラッチ操作に余分な遊びが生じなくされる。
次に、第2のヒステリシス機構の機能について説明する。エンジン側慣性体J1とトランスミッション側慣性体J2の相対回転により、第2のヒステリシス機構における摩擦部材15はフライホイール7側面及びスラストプレート16に対して摺動してヒステリシス及び摩擦熱を発生するが(特に熱容量の小さいスラストプレート16は昇温しやすい)、スラストプレート16は開放された空間に配置されているため、この摩擦熱は速やかに外部空間に放熱され摩擦部材15は過熱による磨耗が進行し難く、耐久性が向上されている。また、摩擦部材15とインナリング6には円周方向にWのクリアランスがあるため、J1とJ2の相対捩れ角がW以上の場合にのみ摩擦が発生する。すなわち摩擦熱は断続的に発生するので、放熱効果が高められる。このように、摩擦部材15の冷却性が改善されるため、摩擦部材15のグレードを落とすことが可能とされ、コストダウンが図れる。なお、このような摩擦部材を駆動側部材の軸方向間に配し、被動側部材に所定角度のクリアランスを有し回転方向(周方向)に対向させ、所定角度以上のJ1、J2の相対回転が生じた際に、摩擦部材と被動側部材を係合させ、摩擦部材を挟着保持していた駆動側部材に対して摩擦部材が摩擦摺動するように構成することも可能とされる。
このように、動力伝達機構を構成する各機構の耐久性が向上されることによって、動力伝達機構の耐久性は当然向上される。さらに、滑り軸受を使用することなどによって装置のコストが低下され、ヒステリシス機構とトーション部のシール機構を兼用とすることによって装置のコンパクト化も達成されている。さらに、トーション機構のシール機構兼用の第1のヒステリシス機構と、第2のヒステリシス機構とにより、ヒステリシスの多段化がコンパクトな構成で実現される。なお、本実施形態においては本発明の動力伝達機構をトルク変動吸収機構に適用した例について説明したが、本発明はこのトルク変動吸収機構に限定されるものではなく、これをクラッチ機構などの他の動力伝達機構に適用することも可能である。また、滑り軸受の滑り面を外周側から内周側に代えること、また滑り軸受の回転方向の係合を駆動側部材から被動側部材に代えることもできる。また、摩擦部材の摺動面を駆動側部材から被動側部材に変更することも可能である(摩擦部材が回転方向に係合する部材についても同様)。
図6〜図10を参照して、本発明の他の実施形態に係る動力伝達機構を説明する。なお、この動力伝達機構に関しては、前記説明した本発明の実施形態に係る動力伝達機構と構成及び機能が異なる点について説明する。
本発明の他の実施形態において、第1のヒステリシス機構はドライ状態で使用されるトーション機構の内周側かつ軸受の外周側に配置されている(図7参照)。この第1のヒステリシス機構は、円周方向に互いに所定間隔をおいて配置され、第1のドライブプレート2にそれぞれ摺接する複数の摩擦部材13、摩擦部材13のドライブプレート3側の面に当接するスラストプレート12、スラストプレート12とドライブプレート3の間に圧縮介装された皿ばね14から構成される。全体としてリング状に配置された摩擦部材13は、リング状のスラストプレート12を介して皿ばね14の付勢力を受けることにより、第1、第2のドライブプレート2,3間に挟着されている。また、摩擦部材13らは、ドリブンプレート8の円周方向に沿って所定間隔で複数開けられた孔(窓、なお、切欠きでもよい)をそれぞれ貫通し、摩擦部材13とドリブンプレート8の孔の内壁の間には、円周方向に所定のクリアランスW1がそれぞれ設けられている。スラストプレート12の外周側端部は屈曲して軸方向に沿って第2のドライブプレート3側に延在する。第2のドライブプレート3の内周部には孔が開けられており、この孔をスラストプレート12の前記延在部が貫通する。この延在部及び孔によって、スラストプレート12は第2のドライブプレート3に保持され、円周方向に関して位置決めないし回り止めがなされる。
この第1のヒステリシス機構の機能を説明する(特に、図7及び図8参照)。この第1のヒステリシス機構において、摩擦部材13とドリブンプレート8との円周方向間にクリアランスW1がそれぞれ設けられているため(図7参照)、J1(駆動側部材、第1、第2ドライブプレートなど)とJ2(被動側部材、ドリブンプレートなど)の相対捩れ角(振幅)がW1以上となった場合に、ドリブンプレート8が摩擦部材13に当接して付勢することにより、摩擦部材13が第1のドライブプレート2に対して摺動し摩擦力が発生する。すなわち、振幅の大きさによって、ヒステリシスを変化させることができる。さらに、このように摩擦部材を分割配置することができるため、生産性が高く低コストの摩擦材を用いることができる。さらに、本実施形態の第1のヒステリシス機構は、前記実施形態のそれに比べて部材数が削減されている。なお、摩擦部材を単体とするよりも、摩擦部材を分割することにより摩擦部材が小型化され、摩擦部材の歩留まりが向上する(摩擦部材がシートタイプの場合)。また、1ショット当たりの生産量が増加する(摩擦部材が樹脂タイプの場合)。
以下、前記第1のヒステリシス機構の好ましい変形例を説明する。クリアランスW1をそれぞれ異なる大きさに設定することができる。例えば、段階的にクリアランスW1の大きさを変化させる。これによって、相対捩れ角(振幅)に応じて多段階に変化するヒステリシスを設定できる。また、クリアランスW1のうち、一部のクリアランスをゼロとする(摩擦部材とドリブンプレートの間に実質的に隙間がない状態とする)。これによって、小捩れ角、広捩れ角それぞれに対して、異なるヒステリシスが設定され、第1のヒステリシス機構と第2のヒステリシス機構(小ヒステリシス機構と大ヒステリシス機構、相対捩り角の大きさに応じて作動・非作動する機構と相対捩りが生じたときに常に作動するヒステリシス機構)の共通化を図ることができる。
図6及び図9を参照して、第2のヒステリシス機構は、クラッチ機構(クラッチディスクアセンブリ)の内側であって、クラッチ機構とフライホイール7の軸方向間においてクラッチディスク摺動面より内周側に配置されている。この第2のヒステリシス機構は、フライホイール7と鉄板成形されたインナリング(ベアリングのインナレースを受容)6のフランジ部6a(半径方向外方に突出する先端部であって、軸受18の抜け止め及びヒステリシス機構の軸方向荷重保持機能を発揮する)との軸方向間に順に配設された、複数に分割され中心間隔120゜配置された摩擦部材15と、摩擦部材15に当接するリング状のスラストプレート16と、スラストプレート16を介して摩擦部材15(及びボールベアリング18)を矢印方向(図6参照)に付勢する皿ばね17から構成される。摩擦部材15のエンジン側の面はフライホイール7のトランスミッション側の面に当接している。摩擦部材15の他側には、摩擦部材15の径方向中心部から軸方向に沿って突出する複数の突起部が形成されている。スラストプレート16が摩擦部材15と当接する面には複数孔が開けられており、これらの孔に摩擦部材15の突起部らがそれぞれ貫通して係合する。これによって、摩擦部材15の位置決めがなされる。図8に示すスラストプレート12の如くスラストプレート16の内周側端部は屈曲して軸方向トランスミッション側に延在する(図9に図示省く)。このスラストプレート16の延在部は、インナリング16のフランジ面に設けられた孔又は切欠きを貫通して該孔又は切欠きと係合する。これによって、スラストプレート16の位置決めがなされる。なおボールベアリング18のアウタレースはフライホイール7のベアリング受けフランジに受承されている。
さらに、互いに隣接する摩擦部材15らの間の隙間に対応して(円周方向に同一の角度で)、前記隙間の半径方向内側のインナリング6の円筒面には半径方向に連通する孔6bが開けられている。孔6bは、摩擦部材15、スラストプレート16などの冷却性を向上する共に、この孔6bを通じて脱落した摩擦材粉末の排出がなされるため、摩擦部材15などの摩滅を低減する。これによって、摩擦トルクが経時的にも安定する。なお、耐摩耗性を向上し摩擦トルクを安定させるために、摩擦部材15はポリイミド製とすることが好ましい。
この第2のヒステリシス機構の機能を説明する。エンジン側慣性体J1とトランスミッション側慣性体J2の相対回転により、第2のヒステリシス機構における摩擦部材15はフライホイール7側面及びスラストプレート16に対して摺動してヒステリシスを発生する。その際に摩擦熱を発生するが(特に熱容量の小さいスラストプレート16は昇温しやすい)、スラストプレート16は開放された空間に配置され且つインナリング6の前記所定位置には孔6bが設けられているため、この摩擦熱は速やかに外部空間に放熱され摩擦部材15近傍の部材は過熱による磨耗が進行し難く、耐久性が向上されている。
なお、摩擦部材15とインナリング6との円周方向間にはクリアランスを設けてもよい。第1のドライブプレート2の摩擦部材13が摺接する部分に、円周方向に沿ったガイド用溝をプレスにより形成してもよい。摩擦部材13が摺動する際のガタツキが減少し常に安定した摩擦力が生じる。
次に、エンジン側慣性体J1とトランスミッション側慣性体J2間の軸受機構について説明する。J1とJ2間の軸受として、動力伝達機構内周側において第1のドライブプレート2、フライホイール7及びインナリング6に囲まれた空間に、ボールベアリング18が配設されている。ボールベアリング18の内周側はクランク軸1に固定されたインナリング6(インナレースを介して)に回転方向に関して係合されている。ボールベアリング18のインナレース及びアウタレースによりボールの転がり面が形成されている。ボールベアリング18に加わる軸方向荷重は、インナリング6の前記フランジ部6aでもって受け止められ、皿ばね17が、ボールベアリングのトランスミッション側端面外周部に当接するフライホイール7を介してボールベアリング18を第1のドライブプレート2側に付勢する。一方、ボールベアリング18に対向する第1のドライブプレート2の内周部は絞り加工されて凹部を成しており、ボールベアリング18のエンジン側端面は、その内周部(インナレース)が第1のドライブプレート2と当接し、その外周部(アウタレース)は第1のドライブプレート2に当接していない。
なお、ドリブンプレート8とフライホイール7をボルト11を用いたねじ止めによって互いに固定することにより、このボルト締めの際にはリベットを用いて固定する際に加わるような半径方向の大きな荷重が加わらないため、ボールベアリング18に局部的に過大な圧力が加わることが防止され、ベアリング寿命も伸びる。すなわち、ドリブンプレートとフライホイールをリベッチング(リベット固定)する際に発生するような変形が起こらない。加えて、ボールベアリング18へ局部的に過大な荷重が加わることが防止され、軸受寿命が延びる。
次に、回転変動を小さくするために動力伝達機構の外周部に設けられる慣性体について説明する。図6を参照して、第2のドライブプレート3の外周部には、慣性体5が溶接によって動力伝達機構全体の組立前に予め取り付けられている。これによって、エンジン側慣性体J1のイナーシャが大きくなるため、入力振動の振幅が小さくされる。慣性体5としては、帯鋼又は引き抜き材をロール成形したものを用いることで材料歩留まりが良くなるので、コスト面で好ましい。また、フライホイール7の外周側に慣性体を取り付けることで慣性効果が向上するので好ましい。またフライホイール7はポットタイプ(摩擦面よりクラッチカバー取付面がトランスミッション側にあるタイプ)とすことにより、フライホイール7は外周側の重量が増加して、トランスミッション側慣性体J2のイナーシャが拡大し、トーションスプリング(後述する)を介して伝達されるトルク変動に対する回転変動が小さくなる。
再度図6を参照して、第1のドライブプレート2の外周部に形成されたフランジ面には、リングギヤ4が配置されている。リングギヤ4の取付位置は、ドライブプレート3に溶接された慣性体5のエンジン側である。リングギヤ4の歯面は、その歯丈分面取り加工されている。このように、ホブ加工の際に切削出口側となる部分を面取りしてあることにより、バリが出にくくなりバリ取り工程を省略することが可能となる。また、特にトーション機構に樹脂シートが使用されている場合、この樹脂シートから可及的に離れた位置において、第1のドライブプレート2と第2のドライブプレート3を溶接することが好ましい。図10に示す動力伝達機構においては、第1のドライブプレート2と第2のドライブプレート3は、それらの外周部において溶接(隅肉溶接、全周溶接、スポット溶接)されている。図10を参照して、さらに、好ましくは、第1のドライブプレート2と第2のドライブプレート3の外周部当接面に、該当接面の内周側の空間(該空間にトーション機構が配置される)と外部を連通する部分的隙間3aを設ける。この部分的隙間を通じて、トーション機構が配置される空間に入り込んだ泥土が排除されると共に、遠心力により内部から外部へ空気が内から外へ流通するため冷却効果が高まる。図10の図示においては、第2のドライブプレート3側に凹部が設けられているが、このような凹部を第1のドライブプレート2側あるいは両方のドライブプレート2,3に形成してもよい。
特に、図7を参照して、本実施形態のトーション機構は、装置外周部において第1、第2ドライブプレート2、3によって囲まれる空間且つ第1、第2ドライブプレート2、3とドリブンプレート8の回転方向間に、複数のトーションスプリング9が直列に配置されている。複数のトーションスプリング9の内、両端(第1、第2ドライブプレート2,3がトーションスプリング9bを円周方向に狭持する位置とドリブンプレート8に近接する位置)のトーションスプリング9bらのスプリング線径は、内側のトーションスプリング9aらに比べて相対的に細くされ、該両端のトーションスプリング9bらのバネ定数は、該内側のトーションスプリング9aらのバネ定数に比べて相対的に小さくなっている(いわば両端のトーションスプリング9aが小型化されている)。第1ないし第2のドライブプレート2,3には、トーションスプリング9bの一方にスプリングシート10を介して当接し、押圧するためのブロック部材が取り付けられる。このブロック部材は駆動側(エンジン側)慣性体のイナーシャを大きくする。他方のトーションスプリングの一端に嵌合するスプリングシート10には凹部が設けられており、この凹部に対向するドリブンプレート8の外周部には凸部が設けられ、この凸部は前記凹部と嵌合可能である。さらに、トーションスプリング9a,9bの両端には、いずれもスプリングシート10が嵌合している。スプリングシート10らは、半径方向内方に向かって突出する略三角形状の基部と、この基部両側面から突出するボス部10aをそれぞれ有し、ボス部10aはトーションスプリング9a,9bの内周部(内腔)に嵌合し、トーションスプリング9a,9bを動力伝達機構の半径方向に関して支持する。但し、回転方向に両端のトーションスプリング9bの内腔(トーションスプリング9a側)に嵌合するボス部10aは、内側のトーションスプリング9aに嵌合するボス部に比べて径大(太く)とされている。その両端にボス部を有し、内側のトーションスプリング9aに嵌合するスプリングシート10は略面対称の形状を有している。スプリングシート10の外周面には、スプリングシート10と一体成形された低摩擦係数のスライダ10cが配設されている。このようなスライダをスプリングシートにはめ込み、抜け防止用の返しを設けてもよい。スライダ10cは第1のドライブプレート2の内周面に取付けられた圧延鋼鈑30と摺接する。また、図示するように、スプリングシートの半径方向寸法(幅)は、トーションスプリング9a,9bの半径方向寸法よりも大きくされているため、トーションスプリング9a,9bが第1のドライブプレート2の内周面と摺動することが防止されている。なお、絞り成形される第1のドライブプレート2の内壁面にはスプリングシート10摺動方向に直交する方向にプレス傷が発生しやすく、このプレス傷によってスプリングシート摩耗促進のおそれがある。そこで、圧延鋼板30をスプリングシート摺動面に適用することにより、該摺動面が鏡面化され、スプリングシート摩耗が低減される。
内側のトーションスプリング9aの内周部には、トーションスプリング9aが圧縮されたときにスプリングシート10に当接するストッパ10bが配設されている。両端のトーションスプリング9bにはストッパは配設されておらず、トーションスプリング9bの圧縮時、スプリングシート10のボス部10a端面同士が直接当接する。また、図11を参照して、トーションスプリング9a,9bは初期位置において外開きに配置され(スプリングの外周側が内周側より長い、スプリング座面(端面)同士の間隔は外周側が広く、内周側が狭い。最大圧縮時、スプリング座面同士の成す角度が平行となるように、初期位置において該座面が閉口動力伝達機構の中心を通る半径方向の線に対して所定角度をなしている)、最大圧縮時にスプリング端面が互いに平行となる。なお、コイルスプリングは中心部撓み量と荷重が比例し、許容応力(弾性力)は最大撓み部撓み量に比例する。従って、最大撓み部が中心部であるときに許容荷重が最大となる。
次に、トーション機構の機能について説明する。装置が回転する際、トーションスプリング9a,9bは遠心力により半径方向外方に付勢される。しかし、トーションスプリング9a,9bの内周にはスプリングシート10のボス部10aが挿入され、略半径方向内方及び外方に関してトーションスプリング9a,9bを係止している。加えて、スプリングシート10の半径方向寸法はトーションスプリング9a,9bの直径寸法よりも大きく、さらにスライダ10cがスプリングシートの最外周部に設けられているため、トルク変動の際にトーションスプリング9a,9bが第1のドライブプレート2の内周面に接触し、摺動することが高度に防止されている。
第1、第2のドライブプレート2,3とドリブンプレート8間の捩れ角が大きくなるに連れて、トーションスプリング9a,9bの圧縮量は大きくなるが、スプリングシート10のボス部10aのボス部10a同士、及びストッパ10bを介してボス部10a同士が当接することにより、トーションスプリング9a,9bの圧縮量は制限されている。
次に、図12及び図13を参照して、本発明のさらに他の実施形態に係る動力伝達機構を説明する。この動力伝達機構においては、第1のドライブプレート2の外周端部が舌状部2aとされ(絞り成形による)、舌状部2aと第2のドライブプレート3の間に慣性体5がカシメられている。そして、トーションスプリング9は中空円筒状の高弾性ゴム部材である。この実施形態によれば、許容撓みが大きく広捩れ角化できる(トルク変動を吸収できる捩れ角幅が大きい)。また、トーション部材の軽量化ができるため、スプリングシートに加わる遠心力が低減し、スプリングシートの摩耗が削減できる。
本発明の一実施形態に係る動力伝達機構の側断面図である。 図1中のII−II線に沿って切断した一部破断断面図である。 図1に示す滑り軸受周辺の拡大図である。 従来例に係る、トルク変動吸収装置の一部破断正面図である。 図4に示すトルク変動吸収装置の側断面図である。 本発明の他の実施形態に係る動力伝達機構の側断面図である。 図6中のVII−VII線に沿って切断した一部破断断面図である。 図6に示した第2の(外径側に位置する)ヒステリシス機構の部分拡大図である。 図6に示した第1の(内径側に位置する)ヒステリシス機構の部分拡大図である。 図6に示した第1と第2のドライブプレートの当接部の部分拡大図である。 好ましいトーションスプリングの形態を説明するための図である。 本発明のさらに他の実施形態に係る動力伝達機構の側断面図である。 図12中のXIII−XIII線に沿って切断した一部破断断面図である。
符号の説明
1 クランク軸
2 第1ドライブプレート
3 第2ドライブプレート
4 リングギヤ
5 イナーシャリング
6 インナリング
6a フランジ部
6b 孔
7 フライホイール
8 ドリブンプレート
9 トーションスプリング
9a バネ定数の大きいトーションスプリング
9b バネ定数の小さいトーションスプリング
10 スプリングシート
10a 突起部(ボス部)
10b ストッパ
10c スライダ
11 ピン
12 摩擦部材
13 摩擦部材
14 皿ばね
15 摩擦部材
16 スラストプレート
17 皿ばね(スラストスプリング)
18 滑り軸受、ボールベアリング
18a 潤滑剤溜まり
18b 溝(軸方向に延在する溝)
19 皿ばね
20 スペーサ
21 リベット
22 シール部材
23 変速機構入力軸
24 レリーズベアリング機構
25 ダイヤフラムスプリング
26 クラッチディスクアセンブリ
W クリアランス
W1 クリアランス
30 圧延鋼鈑
31 ボルト
49 逃がし(クリアランス)

Claims (3)

  1. 回転し動力を伝達する駆動側部材(J1)と、該動力が前記駆動側部材により伝達されて回転される被動側部材(J2)とが、互いに略同心かつ相対回転可能に配される動力伝達機構であって、
    前記駆動側部材(J1)は、エンジンのクランク軸(1)にその内周部が固定された第1ドライブプレート(2)と、前記第1ドライブプレートの外周部に固定された第2ドライブプレート(3)と、を有し、
    前記第1ドライブプレートの半径方向中間部に周方向に沿って複数の台形状の穴(29)が開けられて、該穴と該穴の間のアーム部によって、該第1ドライブプレートの外周部と内周部が接続されていることを特徴とする動力伝達機構。
  2. 前記(29)は、前記クランク軸(1)に固定される前記第1ドライブプレートのボルト穴と円周方向に対して同じ位置に配置されることを特徴とする請求項1記載の動力伝達機構。
  3. 前記第1ドライブプレート(2)を軸方向に関して位置決めし、前記クランク軸(1)に固定され、外周が多角形とされた略環状のスペーサ(20)を備え、前記スペーサ外周の多角形辺部は、前記第1ドライブプレートのアームと、装置半径方向に対向してなることを特徴とする請求項1に記載の動力伝達機構。
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