JP4270034B2 - SiC単結晶の製造方法 - Google Patents

SiC単結晶の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4270034B2
JP4270034B2 JP2004175332A JP2004175332A JP4270034B2 JP 4270034 B2 JP4270034 B2 JP 4270034B2 JP 2004175332 A JP2004175332 A JP 2004175332A JP 2004175332 A JP2004175332 A JP 2004175332A JP 4270034 B2 JP4270034 B2 JP 4270034B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
columnar workpiece
temperature gradient
solvent
crystal
raw material
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004175332A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005350324A (ja
Inventor
昌照 中村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2004175332A priority Critical patent/JP4270034B2/ja
Publication of JP2005350324A publication Critical patent/JP2005350324A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4270034B2 publication Critical patent/JP4270034B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)

Description

本発明は、SiC単結晶の製造方法に関し、特に溶液法によるSiC単結晶の製造方法に関する。
SiC(炭化珪素)はSiを超える有利な半導体材料として期待されている。すなわち、SiCを半導体材料に適用すると、Siに比べて耐圧が高く耐熱性も優れているため、使用電圧の増大、損失の低減、半導体チップの小型化等が可能になるという利点がある。
ただし、半導体素子に適用するには、モザイシティーや転位などの欠陥を極力低減した高品質のSiC単結晶が必要である。また、材料歩留りと生産効率の観点から、大型の単結晶を短時間で製造できることが重要である。
SiCのように調和融解しない(液相の状態のない)化合物単結晶を得るには、昇華法や溶液法が用いられる。
昇華法は、高温部で昇華させた析出物質を低温部に配した種結晶上に気相から析出させる方法であり、アチソン法、レリー法、改良レリー法が代表的である。しかし、希薄相からの析出であるため、析出速度が小さい点で不利な上、成長機構が螺旋転位周辺部のステップから渦巻き状に成長するフランク機構となるため不可避的にマイクロパイプが生じ易いという問題がある。
一方、溶液法は、高温部で析出物質を溶媒に十分溶解させ、低温部に配した種結晶上で過飽和状態を現出して析出させる方法であり、TSSG(top-seeded solution growth)法が代表的である。溶液法の一例として、特許文献1(特開2000−264790号公報)には、少なくとも1種の遷移金属元素とSiとCとを含む原料を加熱により溶融して融液とし、融液を冷却することによりSiC単結晶を析出成長させる方法が開示されている。溶液法によれば溶媒の溶質濃度を調整できるため、気相法の上記問題点を解消できるが、下記の理由で析出部位により温度勾配が変動するため均一な成長状態を得ることが極めて困難である。
(1)まだ成長速度が小さい(0.1mm/h程度)。析出部近傍の温度勾配を急峻にするなどの対策により成長速度を大きくできるが、析出状態が不安定になり、高品質の単結晶を成長させることができない。
(2)ワーク(原料(あるいは坩堝)、溶媒、種結晶、支持棒等を含めた被加熱物)の形状の変更や原料の仕込み量によって温度勾配が変わる。すなわち、温度勾配は装置側での制御というよりも、むしろワークや熱源の位置・形状が大きな制御要因となるため、所望の温度勾配を得るには設計段階での計算と、実物の測温とを繰り返す必要がある。当然、加熱物の形状が変更されればそれに応じて温度勾配も変化し、加熱源との相対的な位置調整を試行錯誤する必要がある。
(3)結晶成長軸に垂直な面内の温度分布の均一化が困難である。原因は、加熱がいずれもワーク外面からの入熱によること、熱を媒介する物質が気相もしくは液相という流体であり対流により温度分布が影響されることである。
その結果、従来の溶液法によるSiC単結晶の製造方法では、バルク単結晶の大径化による歩留り向上に限界があった。
一方、SiC単結晶はバルク状態で利用するだけではなく、種結晶の表面に形成した薄膜(いわゆるエピタキシャル膜)としても半導体デバイスへの利用価値が高い。
従来一般に、このようなSiC薄膜の形成は、Si源およびC源としてそれぞれシランおよびプロパンを用いたCVD法により気相成長させていた。しかし、気相からのエピタキシャル成長では基板として用いた種結晶に存在する欠陥、特にSiCの場合にはバーガースベクトルの大きい中空の螺旋転位を実体とするマイクロパイプがエピタキシャル成長膜にまで引き継がれるという欠点があった。
そのため、従来の気相成長によるSiC単結晶薄膜では、欠陥低減による高品質化に限界があった。
上記の諸問題を解決するために、本出願人は、特願2003−394083号において、改良された溶液法によるSiC単結晶の製造方法を提案した。この方法は、柱状ワークにその長手方向の温度勾配を付与する温度勾配炉を用いて溶液からの析出によりSiC単結晶を製造する方法であって、
上記温度勾配炉として、上記柱状ワークの外周を取り囲む断熱壁と、加熱用サセプタを介して該柱状ワークの下端を加熱する加熱部と、冷却用サセプタを介して該柱状ワークの上端を冷却する冷却部とを備えた温度勾配炉を用い、
上記炉内に下から順に、SiCから成る原料棒と、溶媒と、種結晶と、該種結晶を下端に支持した支持棒とを積層して上記柱状ワークを構成して、該原料棒の下端を該柱状ワークの下端として上記加熱部により加熱させると共に該支持棒の上端を該柱状ワークの上端として上記冷却部により冷却させることにより、上記溶媒の下端面に対して上端面が低温になるように上記柱状ワーク内に温度勾配を形成し、
上記種結晶を起点として下方へ連続的にSiC単結晶を成長させる方法である。
その際、原料棒としてはSiC多結晶を用いており、これは実際にはCVD膜または焼結体である。多結晶の微構造によっては、粒界部からの選択的な侵食(溶解)が著しくなり、原料棒の溶解面が平坦に(析出面に平行に)維持されず、下記の現象が起きる。
i)原料棒に溶媒が侵入して、析出面より手前で析出が起きて、溶質濃度が低下する。
ii)粒界部の選択侵食が原料棒の下部にまで及んで、溶媒が流出する。
これらの現象が起きると結晶成長速度が低下し、極端な場合には成長が維持できない。
また、原料棒の溶解速度Vdは、主として温度と溶液の過飽和度で決まるのに対して、析出速度Vpは種結晶の析出面の影響も受ける。析出面として用いるSiC{0001}面は他の面に比べて析出速度が遅いことに加え、粒界部の選択侵食が生じていると、Vd>Vpとなる。その結果、原料棒の溶解部では溶質(Si、C)の溶解量増大に伴って液相線温度が上昇し、これが析出温度を上回れば固相が析出し、溶質の移動速度が低下するため、やはり成長速度が低下する。
その対策としては、下記の手段が考えられる。
[1] 温度勾配(TG)の抑制
これにはVd、VpのTG依存性の大小関係が重要であり、〔VdのTG依存性〕>〔VpのTG依存性〕であれば、TGの抑制すなわちTG低下によるVdの低下がVpの低下を上回るので、上述のVd>Vpという状況を解消できる。ただし、成長速度が低下するという欠点がある。
[2] 溶媒量の増加
液相線温度が析出温度を超えるまでの溶質量は、溶媒量に比例するため、溶媒量を増加させることによって成長停止までの時間を稼げる。ただし、融帯を安定維持する観点から、溶媒の増加量には上限がある。
[3] 結晶成長中の溶媒補給
もっとも現実的な手段であるが、補給方法に工夫を要する。装置側の仕掛けとして補給する方法は、装置の大幅改造を要するばかりでなく、析出部周辺の温度を乱すため、却って析出を不安定化する要因ともなりかねない。
[4] 析出温度の上昇
析出の進行に伴って析出温度を漸次上昇させることで、上昇する液相線温度よりも析出温度を常に高く保ち、成長を維持することができる。これは炉の運転プログラムの変更のみで実現できるが、装置の性能や坩堝の耐熱性等に応じた操業温度の上限により制限される。
このように、いずれの手段も上述の問題の根本的な解決にはならない。
更に、SiCの結晶多形に起因する下記の問題もある。
SiCには既知のものだけでも500種類以上もの多数の結晶多形が存在しており、多形はSiC四面体の積層形態によって決まる。代表的な多形として2H、3C、4H、6H、15Rが挙げられる。
通常、結晶多形の制御方法としては、成長させる単結晶の所望多形と同じ多形の単結晶を種結晶として用い、更には積層形態を成長層へ反映させるべく、{0001}面(これは六方晶系の場合。立方晶系では{111}面)から僅かに傾いた面、いわゆるオフ面を成長面に用いる方法が従来提唱されている。この方法では、所望のオフ面を持つ単結晶が種結晶として必要になる上、電子デバイス作製には電気特性上{0001}面を用いる必要があるため、オフ面成長で得られた結晶から{0001}面を出すために不要な部分を除去しなければならず歩留りが悪い、という問題がある。
また、電子デバイスの特性上最も優れている多形は4Hであるが、種結晶として用いるレリー結晶は通常6H、15R、21Rなどの多形しか得られない。したがってこの場合、種結晶と異なる多形の結晶を成長させる技術が必要になる。昇華法においては、雰囲気圧力の制御、昇降温度速度の制御、成長温度の最適化などにより、この要請を満たしていた。しかし、溶液法においては、成長層を種結晶と異なる多形とする方法はこれまでに見つかっておらず、溶液法の課題の一つとなっていた。
特開2000−264790号公報(特許請求の範囲)
本発明は、高品質なSiC単結晶を高速かつ安定して連続的に成長させることができ、バルク単結晶の大径化にも薄膜単結晶の高品質化にも対応できる、SiC単結晶の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は更に、望みの結晶多形を有する高品質なSiC単結晶を高速かつ安定して連続的に成長させることができ、バルク単結晶の大径化にも薄膜単結晶の高品質化にも対応できる、SiC単結晶の製造方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、第1発明によれば、柱状ワークにその長手方向の温度勾配を付与する温度勾配炉を用いて溶液からの析出によりSiC単結晶を製造する方法であって、
上記温度勾配炉として、上記柱状ワークの外周を取り囲む断熱壁と、加熱用サセプタを介して該柱状ワークの下端を加熱する加熱部と、冷却用サセプタを介して該柱状ワークの上端を冷却する冷却部とを備えた温度勾配炉を用い、
上記炉内に下から順に、SiCから成る原料棒と、溶媒と、種結晶と、該種結晶を下端に支持した支持棒とを積層して上記柱状ワークを構成して、該原料棒の下端を該柱状ワークの下端として上記加熱部により加熱させると共に該支持棒の上端を該柱状ワークの上端として上記冷却部により冷却させることにより、上記溶媒の下端面に対して上端面が低温になるように上記柱状ワーク内に温度勾配を形成し、
上記種結晶を起点として下方へ連続的にSiC単結晶を成長させる方法において、
上記溶媒が、下記の成分:
Siと、
Yと、
周期律表のIII B族から選択した少なくとも1種の元素と、
から成ることを特徴とするSiC単結晶の製造方法が提供される。
更に、第2発明によれば、柱状ワークにその長手方向の温度勾配を付与する温度勾配炉を用いて溶液からの析出によりSiC単結晶を製造する方法であって、
上記温度勾配炉として、上記柱状ワークの外周を取り囲む断熱壁と、加熱用サセプタを介して該柱状ワークの下端を加熱する加熱部と、冷却用サセプタを介して該柱状ワークの上端を冷却する冷却部とを備えた温度勾配炉を用い、
上記炉内に下から順に、SiCから成る原料棒と、溶媒と、種結晶と、該種結晶を下端に支持した支持棒とを積層して上記柱状ワークを構成して、該原料棒の下端を該柱状ワークの下端として上記加熱部により加熱させると共に該支持棒の上端を該柱状ワークの上端として上記冷却部により冷却させることにより、上記溶媒の下端面に対して上端面が低温になるように上記柱状ワーク内に温度勾配を形成し、
上記種結晶を起点として下方へ連続的にSiC単結晶を成長させる方法において、
上記原料棒として、平均結晶粒径が5〜20μmであるSiC焼結体を用いることを特徴とするSiC単結晶の製造方法。
第3発明によれば、柱状ワークにその長手方向の温度勾配を付与する温度勾配炉を用いて溶液からの析出によりSiC単結晶を製造する方法であって、
上記温度勾配炉として、上記柱状ワークの外周を取り囲む断熱壁と、加熱用サセプタを介して該柱状ワークの下端を加熱する加熱部と、冷却用サセプタを介して該柱状ワークの上端を冷却する冷却部とを備えた温度勾配炉を用い、
上記炉内に下から順に、SiCから成る原料棒と、溶媒と、種結晶と、該種結晶を下端に支持した支持棒とを積層して上記柱状ワークを構成して、該原料棒の下端を該柱状ワークの下端として上記加熱部により加熱させると共に該支持棒の上端を該柱状ワークの上端として上記冷却部により冷却させることにより、上記溶媒の下端面に対して上端面が低温になるように上記柱状ワーク内に温度勾配を形成し、
上記種結晶を起点として下方へ連続的にSiC単結晶を成長させる方法において、
上記原料棒としてのSiC焼結体を焼結する際にAlおよびBの少なくとも1種を含有する焼結助剤を用いることを特徴とするSiC単結晶の製造方法が提供される。
第4発明によれば、柱状ワークにその長手方向の温度勾配を付与する温度勾配炉を用いて溶液からの析出によりSiC単結晶を製造する方法であって、
上記温度勾配炉として、上記柱状ワークの外周を取り囲む断熱壁と、加熱用サセプタを介して該柱状ワークの下端を加熱する加熱部と、冷却用サセプタを介して該柱状ワークの上端を冷却する冷却部とを備えた温度勾配炉を用い、
上記炉内に下から順に、SiCから成る原料棒と、溶媒と、種結晶と、該種結晶を下端に支持した支持棒とを積層して上記柱状ワークを構成して、該原料棒の下端を該柱状ワークの下端として上記加熱部により加熱させると共に該支持棒の上端を該柱状ワークの上端として上記冷却部により冷却させることにより、上記溶媒の下端面に対して上端面が低温になるように上記柱状ワーク内に温度勾配を形成し、
上記種結晶を起点として下方へ連続的にSiC単結晶を成長させる方法において、
上記原料棒としてのSiC焼結体の空隙部が、上記溶媒と同じ組成の物質またはSiで満たされていることを特徴とするSiC単結晶の製造方法が提供される。
更に、第5発明によれば、柱状ワークにその長手方向の温度勾配を付与する温度勾配炉を用いて溶液からの析出によりSiC単結晶を製造する方法であって、
上記温度勾配炉として、上記柱状ワークの外周を取り囲む断熱壁と、加熱用サセプタを介して該柱状ワークの下端を加熱する加熱部と、冷却用サセプタを介して該柱状ワークの上端を冷却する冷却部とを備えた温度勾配炉を用い、
上記炉内に下から順に、SiCから成る原料棒と、溶媒と、種結晶と、該種結晶を下端に支持した支持棒とを積層して上記柱状ワークを構成して、該原料棒の下端を該柱状ワークの下端として上記加熱部により加熱させると共に該支持棒の上端を該柱状ワークの上端として上記冷却部により冷却させることにより、上記溶媒の下端面に対して上端面が低温になるように上記柱状ワーク内に温度勾配を形成し、
上記種結晶を起点として下方へ連続的にSiC単結晶を成長させる方法において、
上記温度勾配の制御により、結晶多形を下記:
温度勾配≦6.5K/mmでは結晶多形4H、
6.5K/mm<温度勾配<9.5K/mmでは結晶多形15R、
9.5K/mm≦温度勾配では結晶多形6H、
とすることを特徴とするSiC単結晶の製造方法が提供される。
第1発明では溶媒としてSi−Y−III B族元素の3元系合金を溶媒として用いることにより、第2発明では原料棒の結晶粒径の適正化により、第3発明では原料棒の焼結助剤の選択により、第4発明では原料棒内に溶媒組成の物質もしくはSiを混在させることにより、いずれも高速安定成長を実現する。
第5発明では、温度勾配の制御により特定の結晶多形を選択的に成長させることが可能になる。
第1発明は、溶媒組成の改良によりSiC単結晶の高速安定成長を実現する。すなわち、溶媒としてSi−Y−III B族元素の3元系合金を用いる。Cを溶解する溶媒としての基本成分Siに対してYを添加したことにより、Cの溶解度が増大し且つ過飽和度が大きくなって析出速度(成長速度)が向上する。また、III B族元素はSi、Cに対して溶解度が小さいため、これを添加したことにより、溶解した溶質が速やかに析出し、析出速度そのものが高まる。これにより、安定成長に必要な条件であるVd(溶解速度)=Vp(析出速度)の関係が維持できる。このように、SiへのYとIII B族元素との添加により高速安定成長が実現できる。
第2発明は、原料棒組織の改良によりSiC単結晶の高速安定成長を実現する。すなわち、原料棒として、平均結晶粒径が5〜20μmのSiC焼結体を用いる。平均結晶粒径を5μm以上と大きくすることにより、粒界部の面積を低減し、粒界部からの選択的な溶解(不均一溶解)を抑制することにより成長速度を高いレベルに維持できる。しかし、平均結晶粒径が20μmを超えると初期成長速度が顕著に低下するという新規な事実が見出されたので、20μm以下とする。
第3発明は、原料棒としてのSiC焼結体の焼結時にAl、Bの少なくとも一方を含む焼結助剤を用いることにより高速安定成長を実現する。これは、III B族元素であるAl、Bを焼結助剤としたことにより、これら元素がSiC焼結体から成る原料棒中に残留するため、単結晶成長過程で原料棒が溶解することで溶媒へのIII B族元素の添加と同様な作用が得られるためであると考えられる。
第4発明は、原料棒組成の改良により高速安定成長を実現する。すなわち、原料棒としてのSiC焼結体の空隙部に、溶媒と同じ組成の物質またはSiを満たすことにより、溶解の進行に伴ってこの溶媒組成成分またはSiが溶媒内に溶け出し、液相線温度を下げることで成長速度の低下を防止する。
第5発明は、温度勾配の制御により所望の多形の結晶を成長させる。すなわち、温度勾配≦6.5K/mmとすることにより結晶多形4HのSiC単結晶を成長させ、6.5K/mm<温度勾配<9.5K/mmとすることにより結晶多形15RのSiC単結晶を成長させ、9.5K/mm≦温度勾配とすることにより結晶多形6HのSiC単結晶を成長させることができる。
〔実施例1〕
第1発明により、Si−Y−III B族元素3元系溶媒を用いてSiC単結晶を製造した。用いた温度勾配炉を図1に示す。
図示した温度勾配炉100は、図の上下方向に中心軸を持つほぼ円筒形の胴体を備えている。図1は円筒形胴体の中心軸を含む平面における縦断面図である。円筒形胴体102は断熱材料で作られており、その内部に上部伝熱蓋19と断熱円筒21と下部伝熱蓋23とから成るケースCが配置されている。そしてケースCの内部に、原料棒10、溶媒12、種結晶14、支持棒16から成る円柱形ワークWが下端をケースCの底面にはめ込み固定された状態で収容される。これによりワークWの外周を介した熱流は実質的に遮断され、上端および下端を介してのみ熱流が流れ得る。
これにより、柱状ワークWを収容したケースCの下端(加熱端)を最高温度Tbとし、ケースCの上端(冷却端)を最低温度Ttとする温度勾配すなわちケースCの下方から上方へ向けて単調に温度低下する温度勾配が、ケースCの長手方向に沿って形成される。ケースC内に収容されている柱状ワークW内にもこの温度勾配が形成される。
ケースCの下端面は円形平面であり、下方にある誘導加熱コイル108によって加熱される。誘導加熱コイル108とケースCの下端面との間に介在する加熱用サセプタ110は、柱状ワークWの下端面に密着する円板状フランジ部110Aと、誘導加熱により加熱される円柱部110Bとから成る。誘導加熱コイル108は、サセプタ110の円柱部110Bを取り巻いて配置される。このような構造とすることにより、サセプタ110を単純な円板状とした構造に比べて、到達温度が高まり、かつ、面内温度分布の均一性も更に向上する。
このように誘導加熱コイル108とケースC下端面との間には、介在する加熱用サセプタ110によって、抵抗加熱コイル108からワーク下端面WBへの熱流が均等化され、ワーク下端面WB全体が均等に加熱される。加熱用サセプタ110は、高い加熱効率を確保するために銅等の良伝熱性金属の円板で作製する。
円柱状ワークWの上端面も円形平面であり、これと対向配置した円形冷却平面を持つ水冷式冷却器112によって冷却される。冷却器112は銅等の良熱伝導性金属で作製された冷却ジャケットの形態であり、図示の例では上端に冷却水の流入口CLIと流出口CLOが開口しており、他の部位は水密構造である。冷却器112とケースC上端面との間に介在する冷却用サセプタ114によって、ケースC上端面から冷却器112への熱流が均等化され、ケースC上端面全体が均等に冷却される。冷却用サセプタ114は、過度の急冷を防止し必要な緩冷却が可能となるように、適度な抜熱作用を確保する必要があるため、耐熱性と適度な断熱性を持つ黒鉛等で作製する。
冷却器112は、図中の両頭矢印Xで示したように上下に移動可能であり、これによりサセプタ114との間隔Δtを必要に応じて適宜調節して、必要な抜熱量に設定できるようになっている(図示の例ではΔt=0で、両者密着状態)。
加熱されるケースC下端面の温度Tbは、加熱コイル108および加熱用サセプタ110の中心を貫通するパイプT1を通して、外部からパイロメータにより観測する(観測光路:矢印PB)。この観測温度値に基づいて、誘導加熱コイル108の出力を調整することにより、加熱温度を制御する。
冷却されるケースC上端面の温度Ttは、冷却器112および冷却用サセプタ114の中心を貫通するパイプT2を通して、外部からパイロメータにより観測する(観測光路:矢印PT)。この観測値に基づいて、水冷式冷却器112へ供給する冷却水の温度および流量を調整することにより、抜熱量(冷却強度)を調整することができる。
以上のようにケースC下端での加熱と上端での冷却をそれぞれ加熱用サセプタ110と冷却用サセプタ114を用いて行なうことにより、柱状ワークWの全長について、横断面(長手方向に対して垂直な面)を通過する熱流を一定にできると同時に横断面内の熱流分布を均一にできるので、柱状ワークWの下方から上方へ単調に温度低下する温度勾配に極めて高い直線性を付与することができると同時に横断面内の温度分布を均一にできる。これにより、温度勾配炉100内には図1の左半分に示したように高さZ方向に直線状の温度勾配が形成される(座標系:温度T(横軸)−高さZ(縦軸))。
図2に、成長途中の原料棒10/溶媒12/種結晶14の接続部分を拡大して示す。成長開始時の初期位置を破線で示す。図2の左に示したように、成長の全過程を通して図1に示したのと同じ温度勾配が維持されている。
先ず、成長開始時点においては、図示した温度勾配に沿って、溶媒12は下端面(=原料棒10の上端面との接触面)が高温T1に、上端面(=種結晶14の下端面(または成長中の結晶表面)との接触面)が低温T2に、それぞれ維持されている。溶媒12の下端面(原料棒10との接触面)の近傍では高温T1における溶媒12へのSi、Cの溶解度に応じて原料棒10からSi、Cが溶媒12中に溶け込み、溶媒12の上端面(種結晶14(または結晶成長前端)との接触面)の近傍では低温T2における溶媒12中のSi、Cの過飽和度に応じて溶媒12中のSi、CがSiCとして種結晶14(または成長中の結晶表面)上に析出して炭化珪素単結晶の成長が進行する。
結晶成長の進行に伴い、原料棒10は原料物質の溶出分11だけ上面が下降し(矢印d)、図示した成長途中では10’の位置になり、同時に、結晶成長面(結晶下面)も成長層15の分だけ下降するので(矢印p)、これら両者に挟まれた溶媒12は自動的に12’の位置まで下降する。その際、溶媒中の温度勾配は常に図中のグラフに沿って一定に維持される。すなわち、成長開始時点での溶媒下端の高温T1と上端の低温T2も、成長途中の溶媒下端の高温T1’と上端の低温T2’も、図2の左に示したように同一の温度勾配直線上に維持されている。
成長させる単結晶の高さが小さい場合には(例えば10mm〜20mm程度:原料棒10の高さ以内)、ケースCの下端の高温Tbおよび上端の低温Ttを初期設定値に維持したままでも、溶媒の原料溶出域での溶解度と結晶析出域での過飽和度とを結晶成長に適した範囲内に確保できる。成長させる結晶の高さが大きい場合には、結晶成長の進行と同期させてTb、Ttを同時に降下させることにより、必要な温度勾配と原料溶出域および結晶析出域の各温度とを結晶成長に適した範囲内に維持することができる。
従来の結晶成長法では、特に、長尺の単結晶を成長させるには溶媒近傍を周囲から加熱する環状の加熱源を移動させて溶媒位置を移動させていた。しかし、これは機械的な移動を要するため、不可避的に付随する微小な機械振動によって結晶核の多発が誘起され多結晶化が発生し易いという問題があった。
本発明によれば、単に高温Tbと低温Ttとを同期変化させるだけで長尺の結晶成長を実現でき、機械的な移動を必要としないので、従来のような問題は原理的に発生することがない。これにより、簡潔な装置構成と操作方法により高品質で長尺の単結晶を得ることができる。
更に、柱状ワークWの外周を内筒サセプタ17が密着して取り巻いている構成を採用した。これにより、柱状ワークW、特に原料棒10/溶媒12/析出結晶(図示せず)/種結晶14で構成される積層構造(結晶アセンブリ)における積層軸(結晶成長軸)に垂直な面内の温度分布(面内温度分布)が高度に均一化されるので、高速で安定して炭化珪素単結晶の成長が可能になる。
図1に示した温度勾配炉100を用いて、下記条件にてSiC単結晶を成長させた。
<製造条件>
種結晶:レリー結晶、 多形15R
溶媒 :(a)YSi――――――――――――(比較例)
(b)Si−10at%Y−10at%Al―(発明例)
(c)Si−20at%Y−5at%Al――(発明例)
(形状:φ13mm×t1.5mm)
原料棒:SiC焼結体(B、C助剤。平均粒径3.2μm)
(形状:φ20mm×t10.5mm。溶媒設置面にφ15×t0.54の円筒座繰り加工)
温度 :1850℃(試料ケース下端設定温度(Tb))
雰囲気:Ar気流中
成長時間を0.5〜30時間まで種々に変えて成長を行なった後、試料を中心軸を含む切断面で研磨し、顕微鏡観察により成長厚さを測定した。成長時間に対する成長速度の推移を図3に示す。
比較例(a)の溶媒組成YSiは、本出願人が特願2003−394083号において提案したものであり、単純なSi溶媒に比べて著しく大きな成長速度を可能とする。しかしながら、原料棒として微細な粒子径(5μm未満)を有するSiC焼結体を用いた場合、原料棒が平坦に(析出すべき面に平行に)溶解せず、原料棒への溶媒侵入により析出部より手前で析出が起きて溶質濃度が低下したり、更には原料棒の局部的な溶解が原料棒の下部にまで及んで溶媒が流出したりして、成長速度が低下し、極端な場合には成長を維持できなくなる。
そのため、比較例(a)のYSi組成の溶媒では、図3のグラフ中に曲線で表したように、成長時間の経過に伴い成長速度が大きく低下している。
これに対して、第1発明によりSi−Y2元合金に更にIII B族元素としてAlを添加したSi−Y−Al3元合金を用いた発明例(b)(c)では、成長速度の低下が大幅に抑制でき、長時間に亘って安定して高速でSiC単結晶の成長が維持できる。
これは、Yの添加によってC溶解度が増大してSiCの溶解をSi単独の溶媒に比べて大幅に促進でき、且つ溶質析出の駆動力となる過飽和度が大きくなるため析出速度(成長速度)が向上する効果に加えて、III B族元素はSi、Cに対して溶解度が小さいため、その添加により、溶解した溶質が速やかに析出し、析出速度そのものが高まる効果が重畳されるからである。
〔実施例2〕
第2発明により、特定範囲の結晶粒径を持つ原料棒を用いてSiC単結晶を製造した。図1の温度勾配炉100を用いた。製造条件は下記のとおりであった。
<製造条件>
種結晶:レリー結晶、多形15R
溶媒 :YSi(形状:φ13mm×t1.5mm)
原料棒:SiC焼結体(B、C助剤)
平均粒径(a)3.2μm―(0.5h)(比較例)
(b)5.1μm―(2h)――(発明例)
(c)10.7μm(10h)―(発明例)
(d)19.3μm(30h)―(発明例)
(e)28.4μm(72h)―(比較例)
(平均粒径は焼結温度2150℃での保持時間(上記カッコ内)により制御)
(焼結雰囲気:Ar 1気圧)
(形状:φ20mm×t10.5mm。溶媒設置面にφ15×t0.54の円筒座繰り加工)
温度 :1850℃(試料ケース下端設定温度(Tb))
雰囲気:Ar気流中
成長時間を0.5〜30時間まで種々に変えて成長を行なった後、試料を中心軸を含む切断面で研磨し、顕微鏡観察により成長厚さを測定した。成長時間に対する成長速度の推移を図4に示す。比較例(a)は実施例1の比較例(a)と同じデータである。
原料棒の平均結晶粒径dが3.2μmと微細(5μm未満)であった比較例(a)は、成長時間の経過に伴って成長速度が著しく低下している。
これに対して本発明例は、(b)d=5.1μm、(c)d=10.7μm、(d)d=19.3μmと、平均結晶粒径dを本発明の下限値5μm以上としたことにより、成長速度の低下が効果的に抑制されている。これは、平均結晶粒径の増大により、原料棒の体積に対する結晶粒界の総面積が低減し、結晶粒界部からの選択的な溶解(不均一溶解)が抑制されたためである。ただし、平均結晶粒径が本発明の上限値20μmを超える比較例(e)は、初期成長速度の低下が著しい。このように、原料棒の平均結晶粒径を本発明の範囲である5〜20μmとすることにより、初期成長速度を高く確保しつつ、長時間に亘って安定して高速成長を維持できる。
〔実施例3〕
第3発明により、特定成分を含有する焼結助剤を用いて作製したSiC焼結体原料棒を用いてSiC単結晶を製造した。図1の温度勾配炉100を用いた。製造条件は下記のとおりであった。
<製造条件>
種結晶:レリー結晶、多形15R
溶媒 :YSi(形状:φ13mm×t1.5mm)
原料棒:SiC焼結体
焼結助剤(a)C超微粒子―――――――――(d=2.6μm)(比較例)
(b)2mass%B+2mass%C―――(d=3.2μm)(発明例)
(c)2mass%Al+2mass%C(d=3.4μm)(発明例)
(d:焼結体の平均結晶粒径)
(形状:φ20mm×t10.5mm。溶媒設置面にφ15×t0.54の円筒座繰り加工)
温度 :1850℃(試料ケース下端設定温度(Tb))
雰囲気:Ar気流中
成長時間を0.5〜30時間まで種々に変えて成長を行なった後、試料を中心軸を含む切断面で研磨し、顕微鏡観察により成長厚さを測定した。成長時間に対する成長速度の推移を図5に示す。
本発明による焼結助剤を用いずに焼結したSiC焼結体から成る原料棒を用いた比較例(a)は、成長開始後急速に成長速度が低下し、5〜10時間の成長後にはほとんど成長が停止した状態であった。
これに対して、発明例(b)(c)では、本発明による焼結助剤〔(b)B含有、(c)Al含有〕を用いて焼結したSiC焼結体から成る原料棒を用いたことにより、成長速度の低下が効果的に抑制されている。
〔実施例4〕
第4発明により、溶媒組成と同組成またはSiを含有させた原料棒を用いてSiC単結晶を製造した。図1の温度勾配炉100を用いた。製造条件は下記のとおりであった。
<製造条件>
種結晶:レリー結晶、多形15R
溶媒 :YSi(形状:φ13mm×t1.5mm)
原料棒:(a)SiC焼結体(B、C助剤)(d=3.2μm)(比較例)
(b)SiC−YSi複合材 (d=3.8μm)(発明例)*
(c)SiC−Si複合材 (d=3.6μm)(発明例)*
(*製造法:β−SiC微粉末と、(b)はYSiを(c)はSiをグローブボックス内でV型混合機にて5時間混合した混合粉末を、金型成形した後、CIPにて3000kgf/cmで成形し、1750℃×1hの焼成にて作製)
(形状:φ20mm×t10.5mm。溶媒設置面にφ15×t0.54の円筒座繰り加工)
温度 :1850℃(試料ケース下端設定温度(Tb))
雰囲気:Ar気流中
成長時間を0.5〜30時間まで種々に変えて成長を行なった後、試料を中心軸を含む切断面で研磨し、顕微鏡観察により成長厚さを測定した。成長時間に対する成長速度の推移を図6に示す。比較例(a)は実施例1の比較例(a)と同じデータである。
本発明による充填物質を用いていない比較例(a)は、成長時間の経過に伴い成長速度が成長速度が著しく低下している。
これに対して、発明例(b)(c)は、本発明により(b)溶媒組成物質(YSi)または(c)Siを複合したことにより、成長速度の低下が効果的に抑制されている。これは、原料棒としてのSiC焼結体の空隙部に、溶媒と同じ組成の物質またはSiを満たすことにより、溶解の進行に伴ってこの溶媒組成成分またはSiが溶媒内に溶け出し、液相線温度を下げることで成長速度の低下を防止するためである。
〔実施例5〕
第5発明により、温度勾配の制御により種々の結晶多形のSiC単結晶を製造した。図1の温度勾配炉100を用いた。製造条件は下記のとおりであった。
<製造条件>
種結晶:レリー結晶、15R
溶媒 :YSi(形状:φ13mm×t1.5mm)
原料棒:SiC焼結体(B、C助剤。平均粒径3.2μm)
(形状:φ20mm×t10.5mm。溶媒設置面にφ15×t0.54の円筒座繰り加工)
温度 :1850℃(試料ケース下端設定温度(Tb))
雰囲気:Ar気流中
温度勾配を(1)13〜14K/mm、(2)7〜8K/mm、(3)5〜6K/mmの3水準に変えて、各繰返し試行数N=2にて成長を行なった後、X線回折により成長層の多形調べた。結果をまとめて表1に示す。表中、N1、N2は繰返し試行の1回目、2回目を表している。
Figure 0004270034
表に示したように3水準の温度勾配によりそれぞれ(1)6H、(2)15R、(3)4Hの多形を持つSiC単結晶が得られた。このように、用いた種結晶の多形15Rに制限されること無く、温度勾配の制御により種々の多形のSiC単結晶を成長させることができる。
なお、本実施例の方法は、同じ溶液法の一つであるトップシード法には適用が困難である。その理由は、トップシード法のように坩堝を用い且つ溶媒が多量に存在する析出方法では、自発核生成し得る部位が本発明の方式に比べて圧倒的に多く、温度勾配が3〜4K/mmを超えると多核生成が起きて、大型の単結晶を得ることが困難になるためである。
本発明によれば、高品質なSiC単結晶を高速かつ安定して連続的に成長させることができ、バルク単結晶の大径化にも薄膜単結晶の高品質化にも対応できる、SiC単結晶の製造方法が提供される。
更に、望みの結晶多形を有する高品質なSiC単結晶を高速かつ安定して連続的に成長させることができ、バルク単結晶の大径化にも薄膜単結晶の高品質化にも対応できる、SiC単結晶の製造方法が提供される。
図1は、本発明のSiC単結晶の製造方法に用いる温度勾配炉の構造例を示す断面図である。 図2は、本発明の方法によりSiC単結晶を成長させている途中の状態を示す断面図である。 図3は、本発明の溶媒または従来の溶媒を用いてSiC単結晶を成長させた際の成長時間に対する成長速度の推移を示すグラフである。 図4は、原料棒としてのSiC焼結体の結晶粒径を種々に変えてSiC単結晶を成長させた際の成長時間に対する成長速度の推移を示すグラフである。 図5は、本発明および従来の焼結助剤を用いて焼結したSiC焼結体を原料棒として用いてSiC単結晶を成長させた際の成長時間に対する成長速度の推移を示すグラフである。 図6は、溶媒組成物質またはSiを含有させたSiC焼結体を原料棒として用いてSiC単結晶を成長させた際の成長時間に対する成長速度の推移を示すグラフである。
符号の説明
100…温度勾配炉
102…円筒形胴体
108…誘導加熱コイル
110…加熱用サセプタ
112…水冷式冷却器
114…冷却用サセプタ
10…原料棒(成長開始時の状態)
10’…原料棒(成長途中の状態)
11…原料溶解分
12…溶媒(成長開始時の位置)
12’…溶媒(成長途中の位置)
14…種結晶
15…成長層
16…支持棒
17…内筒サセプタ
19…上部伝熱蓋
21…断熱円筒
23…下部伝熱蓋
C…ケース
W…柱状ワーク
T1…溶媒下端温度(成長開始時)
T2…溶媒上端温度(成長開始時)
T1’…溶媒下端温度(成長途中)
T2’…溶媒上端温度(成長途中)

Claims (5)

  1. 柱状ワークにその長手方向の温度勾配を付与する温度勾配炉を用いて溶液からの析出によりSiC単結晶を製造する方法であって、
    上記温度勾配炉として、上記柱状ワークの外周を取り囲む断熱壁と、加熱用サセプタを介して該柱状ワークの下端を加熱する加熱部と、冷却用サセプタを介して該柱状ワークの上端を冷却する冷却部とを備えた温度勾配炉を用い、
    上記炉内に下から順に、SiCから成る原料棒と、溶媒と、種結晶と、該種結晶を下端に支持した支持棒とを積層して上記柱状ワークを構成して、該原料棒の下端を該柱状ワークの下端として上記加熱部により加熱させると共に該支持棒の上端を該柱状ワークの上端として上記冷却部により冷却させることにより、上記溶媒の下端面に対して上端面が低温になるように上記柱状ワーク内に温度勾配を形成し、
    上記種結晶を起点として下方へ連続的にSiC単結晶を成長させる方法において、
    上記溶媒が、下記の成分:
    Siと、
    Yと、
    周期律表のIII B族から選択した少なくとも1種の元素と、
    から成ることを特徴とするSiC単結晶の製造方法。
  2. 柱状ワークにその長手方向の温度勾配を付与する温度勾配炉を用いて溶液からの析出によりSiC単結晶を製造する方法であって、
    上記温度勾配炉として、上記柱状ワークの外周を取り囲む断熱壁と、加熱用サセプタを介して該柱状ワークの下端を加熱する加熱部と、冷却用サセプタを介して該柱状ワークの上端を冷却する冷却部とを備えた温度勾配炉を用い、
    上記炉内に下から順に、SiCから成る原料棒と、溶媒と、種結晶と、該種結晶を下端に支持した支持棒とを積層して上記柱状ワークを構成して、該原料棒の下端を該柱状ワークの下端として上記加熱部により加熱させると共に該支持棒の上端を該柱状ワークの上端として上記冷却部により冷却させることにより、上記溶媒の下端面に対して上端面が低温になるように上記柱状ワーク内に温度勾配を形成し、
    上記種結晶を起点として下方へ連続的にSiC単結晶を成長させる方法において、
    上記原料棒として、平均結晶粒径が5〜20μmであるSiC焼結体を用いることを特徴とするSiC単結晶の製造方法。
  3. 柱状ワークにその長手方向の温度勾配を付与する温度勾配炉を用いて溶液からの析出によりSiC単結晶を製造する方法であって、
    上記温度勾配炉として、上記柱状ワークの外周を取り囲む断熱壁と、加熱用サセプタを介して該柱状ワークの下端を加熱する加熱部と、冷却用サセプタを介して該柱状ワークの上端を冷却する冷却部とを備えた温度勾配炉を用い、
    上記炉内に下から順に、SiCから成る原料棒と、溶媒と、種結晶と、該種結晶を下端に支持した支持棒とを積層して上記柱状ワークを構成して、該原料棒の下端を該柱状ワークの下端として上記加熱部により加熱させると共に該支持棒の上端を該柱状ワークの上端として上記冷却部により冷却させることにより、上記溶媒の下端面に対して上端面が低温になるように上記柱状ワーク内に温度勾配を形成し、
    上記種結晶を起点として下方へ連続的にSiC単結晶を成長させる方法において、
    上記原料棒としてのSiC焼結体を焼結する際にAlおよびBの少なくとも1種を含有する焼結助剤を用いることを特徴とするSiC単結晶の製造方法。
  4. 柱状ワークにその長手方向の温度勾配を付与する温度勾配炉を用いて溶液からの析出によりSiC単結晶を製造する方法であって、
    上記温度勾配炉として、上記柱状ワークの外周を取り囲む断熱壁と、加熱用サセプタを介して該柱状ワークの下端を加熱する加熱部と、冷却用サセプタを介して該柱状ワークの上端を冷却する冷却部とを備えた温度勾配炉を用い、
    上記炉内に下から順に、SiCから成る原料棒と、溶媒と、種結晶と、該種結晶を下端に支持した支持棒とを積層して上記柱状ワークを構成して、該原料棒の下端を該柱状ワークの下端として上記加熱部により加熱させると共に該支持棒の上端を該柱状ワークの上端として上記冷却部により冷却させることにより、上記溶媒の下端面に対して上端面が低温になるように上記柱状ワーク内に温度勾配を形成し、
    上記種結晶を起点として下方へ連続的にSiC単結晶を成長させる方法において、
    上記原料棒としてのSiC焼結体の空隙部が、上記溶媒と同じ組成の物質またはSiで満たされていることを特徴とするSiC単結晶の製造方法。
  5. 柱状ワークにその長手方向の温度勾配を付与する温度勾配炉を用いて溶液からの析出によりSiC単結晶を製造する方法であって、
    上記温度勾配炉として、上記柱状ワークの外周を取り囲む断熱壁と、加熱用サセプタを介して該柱状ワークの下端を加熱する加熱部と、冷却用サセプタを介して該柱状ワークの上端を冷却する冷却部とを備えた温度勾配炉を用い、
    上記炉内に下から順に、SiCから成る原料棒と、溶媒と、種結晶と、該種結晶を下端に支持した支持棒とを積層して上記柱状ワークを構成して、該原料棒の下端を該柱状ワークの下端として上記加熱部により加熱させると共に該支持棒の上端を該柱状ワークの上端として上記冷却部により冷却させることにより、上記溶媒の下端面に対して上端面が低温になるように上記柱状ワーク内に温度勾配を形成し、
    上記種結晶を起点として下方へ連続的にSiC単結晶を成長させる方法において、
    上記温度勾配の制御により、結晶多形を下記:
    温度勾配≦6.5K/mmでは結晶多形4H、
    6.5K/mm<温度勾配<9.5K/mmでは結晶多形15R、
    9.5K/mm≦温度勾配では結晶多形6H、
    とすることを特徴とするSiC単結晶の製造方法。
JP2004175332A 2004-06-14 2004-06-14 SiC単結晶の製造方法 Expired - Fee Related JP4270034B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004175332A JP4270034B2 (ja) 2004-06-14 2004-06-14 SiC単結晶の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004175332A JP4270034B2 (ja) 2004-06-14 2004-06-14 SiC単結晶の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005350324A JP2005350324A (ja) 2005-12-22
JP4270034B2 true JP4270034B2 (ja) 2009-05-27

Family

ID=35585104

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004175332A Expired - Fee Related JP4270034B2 (ja) 2004-06-14 2004-06-14 SiC単結晶の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4270034B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4888432B2 (ja) * 2008-04-01 2012-02-29 トヨタ自動車株式会社 4H−SiC単結晶の製造方法
US10167573B2 (en) * 2010-11-26 2019-01-01 Shin-Etsu Chemical Co., Ltd. Method of producing SiC single crystal
KR101622858B1 (ko) * 2011-10-31 2016-05-19 도요타지도샤가부시키가이샤 SiC 단결정의 제조 방법
JP6172169B2 (ja) 2015-01-16 2017-08-02 トヨタ自動車株式会社 SiC単結晶の製造方法
KR102302753B1 (ko) * 2018-05-25 2021-09-14 주식회사 엘지화학 실리콘계 용융 조성물 및 이를 이용하는 실리콘카바이드 단결정의 제조 방법

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005350324A (ja) 2005-12-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4419937B2 (ja) 炭化珪素単結晶の製造方法
EP2881499B1 (en) Method for growing silicon carbide crystal
JP4453348B2 (ja) 炭化珪素単結晶の製造方法
JP6558394B2 (ja) SiC単結晶の製造方法及び製造装置
KR101085690B1 (ko) 탄화규소 단결정의 성장법
KR100783463B1 (ko) 결정 성장용 도가니
JP5434801B2 (ja) SiC単結晶の製造方法
JP2004002173A (ja) 炭化珪素単結晶とその製造方法
JP4736401B2 (ja) 炭化珪素単結晶の製造方法
US10443149B2 (en) Method of producing crystal
JP4475091B2 (ja) 炭化珪素単結晶の製造方法
KR101152857B1 (ko) 탄화규소 단결정의 성장방법
JP4645499B2 (ja) 炭化珪素単結晶の製造方法
JP6216060B2 (ja) 結晶の製造方法
JP2006143555A (ja) 炭化珪素単結晶の製造方法
JP4270034B2 (ja) SiC単結晶の製造方法
JP6354615B2 (ja) SiC単結晶の製造方法
JP6190070B2 (ja) 結晶の製造方法
JP5051179B2 (ja) 温度勾配炉を用いた単結晶の製造方法
CN110382751A (zh) 硅基熔融组合物和使用其的碳化硅单晶的制造方法
JP4579122B2 (ja) 酸化物単結晶の製造方法およびその製造装置
JP2018150193A (ja) SiC単結晶の製造方法
WO2017086449A1 (ja) SiC単結晶の製造方法及びSiC単結晶インゴット
KR20210014504A (ko) 실리콘카바이드 단결정의 제조 방법
JP2006143489A (ja) 結晶成長装置およびその方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060727

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090129

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090203

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090216

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120306

Year of fee payment: 3

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4270034

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120306

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120306

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130306

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130306

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140306

Year of fee payment: 5

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees