JP4269398B2 - 車両用ラジエーターの配設構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、横置きエンジンの前側に吸気マニホールドが配設された車両の車両用ラジエーターの配設構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種の車両用ラジエーターの取付構造として、エンジンの前側に吸気マニホールドを配設したものであって、この吸気マニホールドを含む吸気系部材を車両用ラジエーターの上方に配設した構造が知られている(例えば、実登2518567号公報参照)。このものでは、ラジエーターをその上端が後方に傾くように配設し、横置きに配設されたエンジンの吸気マニホールドがこのエンジンの前側に取り付けられて、上記ラジエーターの上方を通るように上記マニホールドを含む吸気系を配設するようにしている。このように、上記吸気マニホールドをエンジンの前側に配設することによって、排気系がエンジンの後側に配設されることとなり、これにより、エンジンルームの外側に配設される触媒コンバータとの距離を短くすることができるようになる。その結果、排気ガスがあまり冷却されずに上記触媒コンバータに到達し、浄化作用が向上するという利点があるため、上記吸気マニホールドをエンジンの前側に配設するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、車両をショートノーズ、すなわち、車両前部を前後方向に短くしたいという要求があり、この場合にはクラッシュスペースを確保することが困難になってしまうという不都合がある。
【0004】
従来の車両用ラジエーターの配設構造においては、このラジエーターを傾けて配設することにより、正面正突(正突)時にはこのラジエーターをエンジンの上方に逃がすようにして、クラッシュスペースを確保している。このため、クラッシュスペースの拡大は図られるがラジエーターを後傾させる分、前後方向のスペースが必要となってしまい、車両をショートノーズとすることは困難になってしまうという不都合がある。また、吸気系をラジエーターの上方に配設させるのでは、上下方向に大きくなってしまうという不都合もある。
【0005】
一方、ラジエーターを鉛直に配設し、かつ、上記吸気マニホールドをエンジンの前面に沿うように配設することも考えられるが、このようにすれば、クラッシュスペースを確保するためには、上記吸気マニホールドとラジエーターとの前後方向の間隔を大きくしなければならない。このため、車両をショートノーズにしたいという要求は満たされなくなってしまう。
【0006】
このように、車両のショートノーズ化かつ上下方向のコンパクト化と、クラッシュスペースの確保とを両立させることは極めて困難なものとなってしまう。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、上下方向のコンパクト化を図りつつ、十分なクラッシュスペースの確保可能なショートノーズの車両を実現することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明者は、エンジンの吸気マニホールドと干渉するのは、ラジエーターから後方に突出する冷却ファンであり、この冷却ファンとマニホールドとの干渉を避ければクラッシュスペースの確保と車両のショートノーズ化との両立が実現し得る点に着目して本発明を完成するに至ったものである。
【0009】
本発明は、冷却ファンを2つ有するラジエーターの場合に好適なものであり、具体的には、エンジンの前側に取り付けられて前方に突出する吸気マニホールドと、上記エンジンよりも前方に配設され、後方に突出する第1冷却ファン及びこの第1冷却ファンよりも大に形成され、上記第1冷却ファンに対して車幅方向に並んで配設された第2冷却ファンを有するラジエーターとを備えたものとする。そして、上記ラジエーターを、上記第1冷却ファンが上記吸気マニホールドに対し上下方向の下側にオフセットした位置であって、かつ、上記第1冷却ファンの後端が上記吸気マニホールドに対して平面視でオーバーラップした位置となる一方、上記第2冷却ファンが上記吸気マニホールドに対して車幅方向にオフセットした位置となるように配設することを特定事項とする構造である。この場合、第1冷却ファンが吸気マニホールドに対して側面視で下側にオフセットした位置に配設されることによって、上記第1冷却ファンと吸気マニホールドとの干渉が避けられる。そして、上記第1冷却ファンの後端が吸気マニホールドに対して平面視でオーバーラップする位置となるようにすることで、クラッシュスペースを確保した状態で上記ラジエーターと吸気マニホールドとの間隔を狭くすることが可能になる。一方、第2冷却ファンは、吸気マニホールドに対し車幅方向にオフセットした位置に配設されるため、上記吸気マニホールドとの干渉を避けて配設することが可能になる。このように、上記ラジエーターと吸気マニホールドとの間隔を狭くすることにより前後方向の省スペース化が図られると共に、第1及び第2冷却ファンと吸気マニホールドとの干渉が避けられてクラッシュスペースが確保される。その結果、十分なクラッシュスペースが確保されたショートノーズの車両が実現される。
【0010】
また、上記第2冷却ファンは、吸気マニホールドに対しオフセットした比較的大なるスペースに配設されることによって、大きく形成することが可能になる。これにより、ラジエーターの性能の向上が図られる。
【0011】
そして、上記の発明において、吸気マニホールドとしては、エンジン上部から前方に突出し、その前端から下方の後方に傾斜するように屈曲して形成してもよい。この場合、吸気マニホールドがラジエーターの上方を通らないため、上下方向のコンパクト化が図られる。また、吸気マニホールドを後方に傾斜させることによって、冷却ファンと吸気マニホールドとの間隔が比較的広くなり、クラッシュスペースの拡大が図られる。また、正突時にはラジエーターが上記吸気マニホールドの傾斜に沿って下方に移動するようになる。このため、上記ラジエーターが吸気マニホールド、及びエンジンを後方に押して移動させることが回避され、クラッシュスペースの拡大が図られる。
【0012】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明における車両用ラジエーターの配設構造によれば、必要なクラッシュスペースを確保した状態であっても、前後方向に省スペース化を図ることができ、車両をショートノーズにすることができる。また、上下方向にもコンパクト化を図ることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基いて説明する。
【0014】
図1または図2は、本発明の実施形態に係る車両の前部構造を示し、1はエンジンルームE内に横置きに配設されたエンジン、11はこのエンジン1の前側に取り付けられた吸気マニホールド、2は上記エンジン1の前方に配設されたラジエーター、21,22はこのラジエーター2の後方に突出する第1及び第2冷却ファンである。
【0015】
上記エンジン1は、車幅方向の両側で前後方向に延びるフロントサイドフレーム4,4の間であって、左右のサスペンションタワー6,6を結ぶ線よりも前側に横置きに配設されている。そして、その車幅方向の左側部にはトランスミッションユニット3が配設されるようになっている。また、上記エンジン1の吸気マニホールド11はこのエンジン1の前側に取り付けられている一方、排気マニホールド12は後側に取り付けられている。この排気マニホールド12には、後方に延びる排気系が連通されるようになっている(図示省略)。
【0016】
上記吸気マニホールド11は、図3または図4に示すように、エンジン1の上部から前方に突出し、その前端から下方の後方に傾斜するように屈曲されて形成されている。この吸気マニホールド11には、図示省略の吸気系が連通されるようになっている。
【0017】
上記ラジエーター2は、図1または図2に示すように、エンジンルームEの前端位置であって、左右のヘッドランプ5,5を結ぶ線上に配設されている。そして、このラジエーター2は車幅方向に延びるように形成されており、その上面は、図1に示すように、エンジンルームEの前端位置で車幅方向に延びるラジエーターサポート41に対してマウント42,42を介して固定されるている。一方、上記ラジエーター2の下面は、図2に示すように、両フロントサイドフレーム4,4を連結するように配設されたフロントクロスメンバ43に対して、マウント44,44を介して固定されるようになっており、これにより、上記ラジエーター2が車体に対し固定されるようになっている。
【0018】
上記第1及び第2冷却ファン21,22は、それぞれ図示省略の羽根車とこの羽根車を回転させるモータとによって構成されている。そして、上記第1冷却ファン21と上記第2冷却ファン22とは車幅方向に並んで配設されており、上記第1冷却ファン21はエンジン1の配設側に、第2冷却ファン22はトランスミッションユニット3の配設側にそれぞれ位置するようになっている(図1または図2参照)。また、上記第2冷却ファン22は第1冷却ファン21に比べてその大きさが大となるように形成されており、その結果、上記第2冷却ファン22の方が第1冷却ファン21よりも後方に突出するようになっている(図1または図3参照)。
【0019】
そして、上記第1冷却ファン21は、図1に示すように、その後端が上記吸気マニホールド11に対し平面視でオーバーラップするような位置に配設されている(図1または図4のL1参照)。また、上記第1冷却ファン21は、図3または図4に示すように、上記吸気マニホールド11に対し側面視で上下にオフセットした位置に配設されている(図4のL2参照)。
【0020】
一方、上記第2冷却ファン22は、図1または図2に示すように、上記吸気マニホールド11に対して車幅方向にオフセットした位置に配設されている(図1のL3参照)。
【0021】
つぎに、上記実施形態の作用・効果を説明する。
【0022】
第1冷却ファン21が吸気マニホールド11に対して側面視で下側にオフセットした位置に配設されることによって、上記第1冷却ファン21と吸気マニホールド11との干渉を避けることができる。そして、上記第1冷却ファン21の後端が吸気マニホールド11に対して平面視でオーバーラップする位置となるようにすることで、クラッシュスペースを確保した状態で上記ラジエーターと吸気マニホールドとの間隔を狭くすることができるようになる。一方、上記第2冷却ファン22は、吸気マニホールド11に対し車幅方向にオフセットした位置で、トランスミッションユニット3の前側である比較的大なるスペースに配設されている。このため、上記吸気マニホールド11との干渉を避けて配設することができるようになる。これにより、前後方向に省スペース化を図ることができ、車両をショートノーズにすることができるようになる。その結果、十分なクラッシュスペースが確保されたショートノーズの車両を実現することができる。
【0023】
また、上記第2冷却ファン22は、比較的大なるスペースに配設されるため、第1冷却ファン21に比べて大に形成することができる。これにより、熱交換器の性能を向上させることができるようになる。
【0024】
さらに、吸気マニホールド11がラジエーター2の上方を通らないため、上下方向のコンパクト化を図ることができる。
【0025】
また、上記吸気マニホールド11が、後方に傾斜するように屈曲して形成されているため、第1冷却ファン21と吸気マニホールド11との間隔がより広くなり、クラッシュスペースの拡大を図ることができるようになる。また、正突時には、上記ラジエーター2が上記吸気マニホールド11の傾斜に沿って下方に移動するようになるため、上記ラジエーター2が吸気マニホールド11、及びエンジン1を後方に押して移動させることを回避することができ、クラッシュスペースの拡大を図ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 車両の前部構造を示す平面説明図である。
【図2】 車両の前部構造を示す正面説明図である。
【図3】 図1のA−A端面を示す端面説明図である。
【図4】 図1のB−B端面を示す端面説明図である。
【符号の説明】
1 エンジン
2 ラジエーター
11 吸気マニホールド
21 第1冷却ファン
22 第2冷却ファン
Claims (2)
- エンジンの前側に取り付けられて前方に突出する吸気マニホールドと、上記エンジンよりも前方に配設され、後方に突出する第1冷却ファン及びこの第1冷却ファンよりも大に形成され、上記第1冷却ファンに対して車幅方向に並んで配設された第2冷却ファンを有するラジエーターとを備え、
上記ラジエーターは、
上記第1冷却ファンが上記吸気マニホールドに対し上下方向の下側にオフセットした位置であって、かつ、上記第1冷却ファンの後端が上記吸気マニホールドに対して平面視でオーバーラップした位置となる一方、
上記第2冷却ファンが上記吸気マニホールドに対して車幅方向にオフセットした位置となるように配設されている
ことを特徴とする車両用ラジエーターの配設構造。 - 請求項1において、
吸気マニホールドはエンジン上部から前方に突出し、その前端から下方の後方に傾斜するように屈曲して形成されている
ことを特徴とする車両用ラジエーターの配設構造。
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