JP4268573B2 - アスファルトルーフィング用不織布補強剤及びアスファルトルーフィング用不織布成型物 - Google Patents
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Description
ところで、アスファルトルーフィングに用いられる不織布には、強度特性の要求のみならず、200℃以上の高温アスファルトが含浸加工されるため、形態変形を起こさないような高度の耐熱性も要求されている。
また、ポリビニルアルコール系繊維は、親水性樹脂であるため、耐水性が悪く、アスファルトルーフィングに用いた際に、寸法安定性が悪くなるという問題も有している。
そのため、不織布の基布に価格面、性能面等からポリエステル系繊維の使用が要望されている。
しかし、該ポリエステル系繊維の不織布のみを用いると強度特性の低下や高温のアスファルトに対する耐熱性が著しく低いため、該不織布の形態変形が起こるという問題を有している。
そのため、未だポリエステル系繊維の不織布に用いる補強剤として満足できる性能を有するものが得られていないのが現状である。
また、本発明に係るアスファルトルーフィング用不織布補強剤を含浸させた不織布は、高温のアスファルトを含浸させても耐熱性に優れるため形態変形をほとんどおこさない。
更に、本発明に係るアスファルトルーフィング用不織布補強剤は、水性であるため安全性に優れている。
本実施形態のアスファルトルーフィング用不織布補強剤は、水分散体(A)とポリマーエマルジョン(B)とポリビニルアルコール樹脂(C)とからなるものである。
本実施形態で用いられる水分散体(A)は、分子内に2個以上の活性水素原子を有する化合物(D)と分子内に少なくとも1個以上の活性水素原子と親水基とを有する化合物(E)と有機ポリイソシアネート(F)とブロック剤(G)とを反応させて得られた、数平均分子量が1,500〜50,000の熱反応性ポリウレタン樹脂を水に分散させたものであり、前記熱反応性ポリウレタン樹脂は、ブロック化イソシアネート基を再生イソシアネート基換算で2〜18重量%含有するものである。
好ましくは、分子末端に2個以上のヒドロキシル基を有する化合物である。また、前記化合物(D)の分子量は、50〜5,000の範囲であることが好ましい。
これらの化合物(D)は、単独で又は2種以上を併用して用いることもできる。
また、アミノエタンスルホン酸、N−メチル−アミノエタンスルホン酸、N−(2−アミノエチル)−2−アミノエタンスルホン酸、芳香族スルホン酸基を含有するジカルボン酸とグリコール等によるエステルポリオール等のアミノ基含有やヒドロキシル基含有のスルホン酸化合物を挙げることができる。
これらの化合物(E)は、単独で又は2種以上を併用して用いることもできる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、テトラメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、1,4−ブタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート等を挙げることができる。更に、これらの2量体、3量体等を挙げることができる。
脂環族ポリイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等を挙げることができる。更に、これらの2量体、3量体等を挙げることができる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート等を挙げることができる。更に、これらの2量体、3量体等及びメチレン架橋構造を有するポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート等の多核体を挙げることができる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、α,α,α,α−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等を挙げることができる。更に、これらの2量体、3量体等を挙げることができる。
これらの有機ポリイソシアネート(F)の中では、芳香族ポリイソシアネートが好ましく、具体的には、ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート等のポリメリックMDI等が好ましい。
芳香族ポリイソシアネートを使用することで、芳香族環のもつ高凝集力が、耐熱性は勿論、耐溶剤性、耐水性、耐湿性の向上に役立つ。
尚、これらの有機ポリイソシアネート(F)は、単独で又は2種以上を併用して用いることもできる。
前記ブロック剤(G)としては、例えば、アセトンオキシム、メチルエチルケトオキシム、ブタノンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、シクロペンタノンオキシム、アセトフェノンオキシム、ベンゾフェノンオキシム等のオキシム系、フェノール、メチルフェノール、ブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール等のアルキルフェノール系、ε−カプロラクタム等のラクタム系、イミダゾール、メチルイミダゾール、エチルイミダゾール、ピラゾール等のイミダゾール系、複素環化合物系、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、エチルセロソルブ等のアルコール系、アセト酸酸エチル、マロン酸ジエチル、アセト酸酸エチル等の活性メチレン基含有化合物系、重亜硫酸ソーダー、重亜硫酸カリウム、重亜硫酸アンモニウム等の重亜硫酸塩系等のブロック剤を挙げることができる。
これらブロック剤の中でもオキシム系ブロック剤が好ましい。
これらのブロック剤は、単独で又は2種以上を併用して用いることもできる。
前記オキシム系ブロック剤と前記芳香族ポリイソシアネートとを組み合わせることにより得られる不織布補強剤は、120℃以上の比較的低い温度条件下でも不織布との良好な架橋物性が得られると言う効果を奏する。また、前記オキシム系ブロック剤と前記芳香族ポリイソシアネートとを組み合わせることにより得られる熱反応性水系ポリウレタン樹脂とポリマーエマルジョン、或いはポリビニルアルコールとを混合し、一液型の不織布補強剤とした場合であっても、室温における保存安定性が良好である。
数平均分子量が、1,500未満の場合は、架橋部位が硬くなりすぎて不織布との接着が低下する等の傾向があるためである。
また、数平均分子量が、50,000を超える場合は、合成することが困難になり、また、熱反応性基であるブロック化イソシアネート基含有量も少なくなるため架橋性が弱くなるという問題がある。
尚、数平均分子量の測定は、実施例記載の方法で測定される。
ブロック化イソシアネート基を該ポリマーの側鎖及び/又は分子末端に有する熱反応性ポリウレタン樹脂を合成する方法としては、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを調整した後、前記ブロック剤(G)を反応させる方法、又は、前記有機ポリイソシアネート(F)の一部のイソシアネ−ト基を前記ブロック剤(G)で反応させた後、残りの前記有機ポリイソシアネート(F)を反応させる方法がある。
ブロック化イソシアネート基が再生イソシアネート基換算で2重量%未満の場合、架橋効果が弱くなり、所望の強度特性や耐熱性の性能を発現しなくなる。
また、ブロック化イソシアネート基が再生イソシアネート基換算で18重量%を超える場合、アスファルトルーフィング成型物が硬くなりすぎて取り扱いが困難になる。
尚、ブロック化イソシアネート基とは、熱処理によりブロック化剤が解離しイソシアネート基を再生し架橋するもの、または、熱処理によりヒドロキシル基等と架橋反応するものをいう。
前記水分散体(A)の製造方法としては、種々あるが、本実施形態では、前記熱反応性ポリウレタン樹脂をメチルエチルケトンやイソプロピルアルコール等の親水性のある低沸点溶剤中で合成する。次いで該熱反応性ポリウレタン樹脂に塩形成剤を作用させて水中で乳化し、溶剤を減圧下除去する方法を用いることができる。
この方法は、前記熱反応性ポリウレタン樹脂の製造に用いた化合物(E)に対した塩を形成する塩形成剤を用いるものである。
前記塩形成剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等の金属水酸化物やアンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルアミノエタノール等の3級アミン化合物等を挙げることができる。
1分子ポリマー中にブロック化イソシアネート基を平均2.1個以上有する場合、架橋を有効に達成し、耐熱性、接着性等の効果を発現する。
尚、1分子ポリマー中のブロック化イソシアネート基の個数は、仕込み成分比と末端または側鎖の遊離イソシアネート基(ブロック化剤のよりブロックする前のウレタンポリマー)より算出される。
配合量は、ポリマーエマルジョン(B)の固形分100重量部に対して前記水分散体(A)の固形分が5〜100重量部となる量であり、好ましくは、ポリマーエマルジョン(B)の固形分100重量部に対して前記水分散体(A)の固形分が10〜100重量部となるように配合されている。
前記配合量の範囲内であれば、不織布に対して耐熱性、耐溶剤性、耐水性等の諸性能を向上させることができる。
ポリマーエマルジョン(B)の固形分100重量部に対して前記水分散体(A)の固形分が5重量部未満の場合には、架橋効果が弱く、耐熱性が不足するという問題を有する。
また、ポリマーエマルジョン(B)の固形分100重量部に対して前記水分散体(A)の固形分が100重量部を超える場合には、硬くなりすぎて、加工不織布の取り扱い等が困難になるという問題を有する。
尚、水分散体(A)の固形分とは、該水分散体(A)から水分を除いた残部のことを言う。
また、ポリマーエマルジョン(B)の固形分とは、該ポリマーエマルジョン(B)から水分を除いた残部のことを言う。
前記ポリマーエマルジョン(B)は、公知の方法を用いて製造できる。
前記ポリマーエマルジョン(B)としては、各種アクリル酸モノマーの共重合物であるアクリルエマルジョン、スチレンとブタジエン等の共重合物であるスチレン系エマルジョン、アニオン系や非イオン系等のポリウレタンエマルジョン等を挙げることができる。
前記ポリマーエマルジョン(B)は、不織布へのバインダー性を向上させたり、該不織布の耐熱性を向上させる等の利点を有する。
ガラス転移温度が30℃未満の場合には、最終的に得られる補強剤の耐熱性が不足してアスファルトルーフィング作成時に収縮等の問題を有する。
ガラス転移温度は、実施例記載の方法を用いて測定される。
尚、これらのポリマーエマルジョン(B)は、単独で又は2種以上を併用して用いることもできる。
配合量としては、前記ポリマーエマルジョン(B)の固形分100重量部に対して前記水分散(A)の固形分が5〜100重量部及びポリビニルアルコール樹脂(C)が3〜100重量部となるように配合されている。
ポリビニルアルコール樹脂(C)が3重量部未満の場合には、加工不織布の強度不足、耐熱性不足という問題がある。
また、ポリビニルアルコール樹脂(C)が100重量部を超えると場合には、耐水性等が低下し、加工不織布の吸湿性等に影響を及ぼすという問題がある。
前記配合量の範囲内であれば、不織布に対して耐熱性、耐溶剤性、耐水性等の諸性能を向上させることができる。
前記ポリビニルアルコール樹脂(C)を加えることで、熱反応性水系ポリウレタン樹脂(A)との架橋効果により該補強剤を含浸させた不織布の耐熱物性を向上させる。
尚、完全ケン化とは、ケン化度95.5〜99.5%のことである。また、部分ケン化とは、ケン化度70〜89.5%のことである。
熱成型フィルムの粘弾性率が、1.00×107N/m2以上(測定温度:150℃)の場合には、アスファルトルーフィング作成時に成型物の収縮も少なく、良好なルーフィングの作成ができるという利点を有する。
また、熱成型フィルムの粘弾性率が、1.00×107N/m2未満(測定温度:150℃)の場合には、アスファルトルーフィング作成時に成型物の収縮等による変形を伴い良好なルーフィングの作成、良好な作業ができないという問題がある。
尚、粘弾性率は、実施例記載の方法を用いて測定される。
熱成型フィルムの重量増加率が10%を超える場合には、その補強剤で加工した不織布は、日が経つにつれて吸湿し、変形する等の問題がある。
不織布としては、長繊維或いは短繊維のポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系不織布、ポリビニルアルコール(ビニロン)系不織布、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系不織布、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系不織布、ガラス繊維等が挙げられ単独又は併用して使用できるが、本発明は不織布の種類を限定するものではない。
このうちコスト面等からポリエステル系不織布が好ましい。
ポリエステル系不織布は、従来の補強剤であるアクリル樹脂、デンプン等では耐熱形態性、強度等が不足して実用化されていないが、本発明のアスファルトルーフィング用不織布補強剤を使用することで、低コストで優れた物性を得ることができる。
付着量が、10重量%未満の場合には、耐熱性、強度特性が低下するという問題を有する。
また、50重量%を超える場合には、加工した不織布が硬くなり取り扱いが困難になるという問題を有する。
ここで、アスファルトルーフィング用不織布補強剤(固形分)とは、該アスファルトルーフィング用不織布補強剤から水分を除いた残部を言う。
前記アスファルトルーフィング用不織布成型物を、溶融したアスファルトに浸漬させることでアスファルトルーフィングが得られる。
本実施形態のアスファルトルーフィング用不織布補強剤を用いたアスファルトルーフィング用不織布成型物は、耐熱形態性、強度特性等に優れているため、溶融したアスファルトに浸漬しても歪みが残存することがほとんどない。
そのため、本実施形態のアスファルトルーフィング用不織布成型物を用いたアスファルトルーフィングは、防水シート等として施工された場合に、必要とされる機能を十分に発揮することができる。
動的粘弾性測定装置(東洋精機(株)製:RHEOLOGRAPH SOLID)を用いて、昇温速度4℃/min、周波数5Hzの条件下で、損失弾性率が頂点に達した温度を測定した。
数平均分子量は、ゲル濾過クロマトグラフィ(GPC法)により標準ポリスチレンの相対分子量から測定した。尚、合成例4と合成例5とは、ジエチルアミンによりイソシアネート基を全て封鎖してから測定を行った。
GPC本体として島津製作所社製の機器を使用し、カラム温度40℃、ポンプ流量 1ml/min、検出器としてRI(SHIMADZU SPD-6A,RID-6A)を用いた。データ装置は、予め分子量が既知の標準ポリスチレンの検量線(分子量500以上での検量)を用いて、標準ポリスチレン換算分子量より分子量を得た。
使用カラム:東ソー製 TSK-GEL G-1000HXL×2本、TSK-GEL G-2000HXL×1本、TSK-GEL G-3000HXL×1本、TSK-GEL G-4000HXL×1本
尚、使用カラムは、(TSK-GEL G-4000HXL×1本)+(TSK-GEL G-3000HXL×1本)+(TSK-GEL G-2000HXL×1本)+(TSK-GEL G-1000HXL×2本)この順に直列につないで使用した。
移動相:テトラヒドロフラン
注入量:10μl
サンプル濃度:2%(w/v)
各配合割合のアスファルトルーフィング用不織布補強剤を室温で一夜風乾した後、60℃で3時間乾燥し、更に120℃で30分間熱処理して熱成型フィルムを作製した。
尚、各種試験に用いた熱成型フィルムは、20℃、湿度60%で24時間保管した状態のものを用いて測定を行った。
動的粘弾性測定装置(東洋精機(株)製:RHEOLOGRAPH SOLID)を用い、昇温速度4℃/min、周波数5Hzの条件下、150℃での粘弾性率N/m2を測定した。
前記熱成型フィルムを温度70℃、湿度90%の雰囲気下で24時間放置し、吸湿した後の熱成型フィルムの重量増加率を測定し吸湿性(%)として評価した。
メチルエチルケトン溶媒中で、ビスフェノールAアルキレン誘導体(ビスフェノールAのエチレンオキサイド4モル付加物、数平均分子量400) 100重量部に、ポリメリックMDI(数平均分子量360、官能基数2.7) 270重量部、ジメチロールプロピオン酸 33.5重量部を添加し、系内温度75℃下で反応を行いイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを得た。次に系内温度55℃にてメチルエチルケトオキシム 88重量部を添加し、ブロック化反応を行い再生イソシアネート基換算で 10.5重量%のブロック化イソシアネート基を含有する熱反応性ポリウレタン樹脂(数平均分子量2,000)を得た。その熱反応性ポリウレタン樹脂を苛性ソーダ水溶液で乳化した後、減圧下で溶媒を留去して、水分散体1を得た。
メチルエチルケトン溶媒中で、ポリエステルポリオール(1,6−ヘキサンジオールとアジピン酸、イソフタル酸から成るポリエステルポリオール、数平均分子量1,700) 100重量部に、ポリメリックMDI(数平均分子量360、官能基数2.7) 63.5重量部、ジメチロールプロピオン酸 7.9重量部を添加し、系内温度75℃下で反応を実施し、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを得た。次に系内温度55℃にてメチルエチルケトオキシム 20.5重量部を添加し、ブロック化反応を実施し再生イソシアネート基換算で5.8重量%のブロック化イソシアネート基を含有する熱反応性ポリウレタン樹脂(数平均分子量3,440)を得た。その熱反応性ポリウレタン樹脂を苛性ソーダ水溶液で乳化した後、減圧下で溶媒を留去して、水分散体2を得た。
メチルエチルケトン溶媒中で、ポリプロピレングリコール(数平均分子量1,100) 100重量部に、ポリメリックMDI(数平均分子量360、官能基数2.7) 98重量部、ジメチロールプロピオン酸 12.2重量部を添加し、系内温度75℃下で反応を実施し、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを得た。次に系内温度55℃にてメチルエチルケトオキシム 32重量部を添加し、ブロック化反応を実施し再生イソシアネート基換算で7.3重量%のブロック化イソシアネート基を含有する熱反応性ポリウレタン樹脂(数平均分子量2,760)を得た。その熱反応性ポリウレタン樹脂を苛性ソーダ水溶液で乳化した後、減圧下で溶媒を留去して、水分散体3を得た。
メチルエチルケトン溶媒中で、ポリエステルポリオール(1,6−ヘキサンジオールとアジピン酸、イソフタル酸とから成るポリエステルポリオール、数平均分子量1,700) 100重量部、1,4−ブタンジオール 16重量部、トリメチロールプロパン 1.5重量部に、トリレンジイソシアネート 69重量部を添加して、系内温度75℃下で反応を実施した後、ジメチロールプロピオン酸 11重量部、ポリエチレングリコール(数平均分子量600) 15重量部にアミン触媒を添加し、系内温度75℃下で反応を実施し、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを得た。次に系内温度55℃にてメチルエチルケトオキシム 1.8重量部を添加し、ブロック化反応を実施し再生イソシアネート基換算で0.4重量%のブロック化イソシアネート基を含有する熱反応性ポリウレタン樹脂(数平均分子量8,140)を得た。その熱反応性ポリウレタン樹脂にトリエチルアミン 8.3重量部を混合し、水中で乳化した後、減圧下で溶媒を留去して、水分散体4を得た。
メチルエチルケトン溶媒中で、ポリエステルポリオール(1,6−ヘキサンジオールとアジピン酸、イソフタル酸とから成るポリエステルポリオール、数平均分子量1,700) 100重量部に、トルエンジイソシアネート(数平均分子量174、官能基数2.0) 18.4重量部、ジメチロールプロピオン酸 7.9重量部を添加し、系内温度75℃下で反応を実施し、ヒドロキシル基含有ウレタンプレポリマーを得た(数平均分子量1,0900)。そのウレタンプレポリマーを苛性ソーダを溶かした水で乳化し、同時にその乳化の水により鎖伸長を行った後、減圧下で溶媒を留去して、水分散体5(再生イソシアネート基 0重量%)を得た。
合成例1で得られた熱反応性水系ポリウレタン樹脂1の固形分30重量部とガラス転移温度35℃のアクリル系エマルジョン(大日本インキ化学工業製、商品名:ボンコートAN-180H)の固形分100重量部とを配合したアスファルトルーフィング用不織布補強剤を、繊維のカット長さ120mmポリエステル100%ウェブ(ウェブ重量120g/m2)に、前記不織布補強剤(固形分)の付着量が30重量%となるように含浸させた後、120℃の雰囲気下で5分間強制乾燥を行い、ポリエステル不織布成型物を得た。該ポリエステル不織布成型物を20cm×5cmに切断し、挟み間隔10cm、引張り速度100mm/minの測定条件下、強伸度測定を行った。
また、前記ポリエステル不織布成型物を5cm×15cmに切断し、200℃のシリコンオイルに5秒間浸漬し寸法変化(長手方向、幅方向)を測定することにより耐熱性評価を行った。
更に、前記アスファルトルーフィング用不織布補強剤を室温で一夜風乾した後、60℃で3時間乾燥し、更に120℃で30分間熱処理して熱成型フィルムを得た。
該熱成型フィルムの粘弾性率、吸湿性評価を行った。
その結果を表1に示した。
前記参考例1と同様の方法により得られたポリエステル不織布成型物及び熱成型フィルムを用いて各種測定を行い、その結果を表1に示した。
また、各例で用いた各試薬の使用量についても表1に記載した。
Claims (8)
- 数平均分子量が1,500〜50,000の熱反応性ポリウレタン樹脂からなる水分散体(A)とガラス転移点温度が30℃以上のポリマーからなるポリマーエマルジョン(B)とポリビニルアルコール樹脂(C)とが、前記ポリマーエマルジョン(B)の固形分100重量部に対して前記水分散体(A)の固形分が5〜100重量部及び前記ポリビニルアルコール樹脂(C)が3〜100重量部となるように配合されており、
前記水分散体(A)は、分子内に2個以上の活性水素原子を有する化合物(D)と分子内に少なくとも1個以上の活性水素原子と親水基とを有する化合物(E)と有機ポリイソシアネート(F)とブロック剤(G)とを反応させて得られた前記熱反応性ポリウレタン樹脂を水に分散させたものであり、
前記熱反応性ポリウレタン樹脂は、ブロック化イソシアネート基を再生イソシアネート基換算で2〜18重量%含有することを特徴とするアスファルトルーフィング用不織布補強剤。 - 前記ポリビニルアルコール樹脂(C)が、完全ケン化及び/又は部分ケン化ポリビニルアルコールである請求項1に記載のアスファルトルーフィング用不織布補強剤。
- 前記水分散体(A)の固形分中の1分子ポリマー中にブロック化イソシアネート基を平均2.1個以上含有する請求項1又は2に記載のアスファルトルーフィング用不織布補強剤。
- 前記有機ポリイソシアネート(F)が芳香族ポリイソシアネートであり、且つ前記ブロック剤(G)がオキシム系ブロック剤である請求項1〜3の何れかに記載のアスファルトルーフィング用不織布補強剤。
- 前記ポリマーエマルジョン(B)が、アクリル系エマルジョン、スチレン系エマルジョン及びウレタン系エマルジョンのうちの少なくとも何れかである請求項1〜4の何れかに記載のアスファルトルーフィング用不織布補強剤。
- フィルム状に成型して熱成型フィルムとした際の弾性率が、1.00×107N/m2以上(測定温度:150℃)である請求項1〜5の何れかに記載のアスファルトルーフィング用不織布補強剤。
- フィルム状に成型して熱成型フィルムとした際の吸湿性が、温度70℃、湿度90%の条件下24時間放置後の該熱成型フィルムの重量増加率で10%以下である請求項1〜5の何れかに記載のアスファルトルーフィング用不織布補強剤。
- 請求項1〜7の何れかに記載のアスファルトルーフィング用不織布補強剤を不織布に含浸させた後、乾燥、加熱することにより作製されたアスファルトルーフィング不織布成型物。
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