JP3765333B2 - 合成皮革または人工皮革用架橋性ポリウレタン樹脂組成物 - Google Patents
合成皮革または人工皮革用架橋性ポリウレタン樹脂組成物 Download PDFInfo
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Description
本発明は、新規にして有用なる人工皮革または合成皮革用架橋性ポリウレタン樹脂組成物に関する。さらに詳細には、本発明は、分子中に、加水分解性シリル基を有するという特定のポリウレタン樹脂と、この加水分解性シリル基の加水分解ないしは縮合用の潜在性触媒とから成る、保存安定性の優れた架橋性ポリウレタン樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
これまでにも、ポリウレタン樹脂溶液は、広く、人工皮革、合成皮革、塗料、コーティング剤、接着剤、シーリング剤、粘着剤あるいはフィルムないしはシート用などの用途に用いられているものであるが、これらの用途においては、使用時において、架橋反応させることによって、当該ポリウレタン樹脂の強度、接着力、耐熱性ならびに耐溶剤性などを改良せんとする試みが為されており、種々の架橋方法が提案されている。
【0003】
その一つとして、分子側鎖および/または分子末端に加水分解性シリル基を導入した形のポリウレタン樹脂が提案されている。こうした形のポリウレタン樹脂は、加水分解性シリル基の加水分解反応と、それに続く縮合反応による架橋によって強固なる網目構造を形成し、ウレタン樹脂の強度、接着力、耐熱性ならびに耐溶剤性などが著しく改良された架橋物(硬化物)を与えるというものである。
【0004】
このようなポリウレタン樹脂の架橋を、短時間に、効率よく進行せしめるという目的で以て用いる、加水分解性シリル基の加水分解ないしは縮合用の触媒(以下、硬化触媒ともいう。)としては、
【0005】
たとえば、リンゴ酸、クエン酸、コハク酸、マレイン酸、フタル酸、p−トルエンスルホン酸またはジアルキル燐酸の如き、各種の酸性化合物;水酸化ナトリウム、ナトリウムメチラートまたはトリエチルアミンの如き、各種の塩基性化合物類;テトライソプロピルチタネート、オクチル酸錫、ジ−n−ブチル錫ジラウレートまたはジ−n−ブチル錫オキサイドの如き、各種の含金属化合物類などが使用されている。
【0006】
しかしながら、このような硬化触媒類を添加した場合には、かかる硬化触媒を含有する組成物の安定性が悪く、短時間のうちに、粘度が高くなり過ぎて、流動性が低下したり、ゲル化したりするという問題、つまり、ポットライフが短いという問題があり、そのために、塗工、含浸あるいは流延などといった各種の加工工程での作業性を低下させてしまうという欠点があった。
【0007】
そのために、前掲したような硬化触媒類を添加するという場合には、この硬化触媒類を、唯々、加工の直前に配合せしめるという、極めて限られた使い方しかなく、しかも、その配合液は使い切ってしまうようにするか、もしも、その配合液が残るようであれば、廃棄しなくてはならなかった。
【0008】
したがって、従来型の硬化触媒を配合するような場合は、一般に、硬化触媒を使用(加工)直前に、所定の量だけを配合し、一定の可使時間(ポットライフ)内に使い切るという、いわゆる、二液型で使用しなければならない。
【0009】
このような二液型では、使用する度毎に、計量と、混合との作業を繰り返して行なうという必要があって、こうした作業工程の煩雑さを解消するためにも、予め、硬化触媒を配合した形で、安定なる一液型の組成物の登場が、切に、望まれてはいるが、こうした要求を満足するほどに充分なるものは得られてはいない、というのが現状である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明者らは、こうした従来型技術における種々の欠点ないしは欠陥の存在に鑑み、併せて、業界の要求にも添うべく、鋭意、研究を開始した。
【0012】
したがって、本発明の目的とする処は、主として、側鎖および/または末端に加水分解性シリル基を有するポリウレタン樹脂に、加水分解性シリル基の加水分解ないしは縮合用の潜在性触媒を配合せしめることから成る、安定性に優れるということは勿論、作業性にも優れるし、加えて、とりわけ、耐薬品性ならびに耐溶剤性などにも優れた硬化物を形成し、
【0013】
主として、人工皮革、合成皮革、塗料、コーティング剤、接着剤、粘着剤、シーリング剤あるいはフィルムもしくはシート用などの、各種の用途に適した、溶液型ないしは無溶剤型の架橋性ポリウレタン樹脂組成物を提供することにある。
【0014】
【課題を解決する為の手段】
【0015】
そこで、本発明者らは、上述したような発明が解決しようとする課題に照準を合わせて、鋭意、検討を重ねた結果、そのままの形では、触媒効果の無い化合物であって、加熱されたり、水や湿気などと接触したりすることなどによって、熱分解反応とか、加水分解反応などを起こして、触媒効果の有る化合物に変化し、触媒作用を発現するという、いわゆる潜在性触媒として機能する化合物を、
【0016】
側鎖および/または末端に加水分解性シリル基を有するポリウレタン樹脂に、硬化触媒として、配合せしめるということにより、保存安定性に優れ、作業性の良好なる溶液型ないしは無溶剤型の架橋性ポリウレタン樹脂組成物が得られることを見出すに及んで、ここに、本発明を完成させるに到った。
【0017】
即ち、本発明は、側鎖および/または末端に加水分解性シリル基を有するポリウレタン樹脂(A)と、加水分解性シリル基の加水分解ないしは縮合用の酸無水基を有する化合物又は、酸類とアミン類またはアンモニアとの塩類から選ばれる潜在性触媒(B)とを含有することを特徴とする合成皮革または人工皮革用架橋性ポリウレタン樹脂組成物を提供しようとするものである。
【0018】
具体的には、ポリウレタン樹脂(A)の原料中、イソシアネート基と反応し得る官能基と加水分解性シリル基とを併有する化合物(a−1)が、原料成分の合計重量に対して0.5〜10重量%となる割合で用いる前記樹脂組成物、前記の合成皮革または人工皮革用架橋性ウレタン樹脂組成物を用いて得られる皮革を提供するものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
【0022】
以下に、本発明を、より詳細に説明することとする。
【0023】
ここにおいて、本発明に係るポリウレタン樹脂組成物のベース樹脂であって、分子の側鎖および/または末端に加水分解性シリル基を有するポリウレタン樹脂(A)〔以下、これを加水分解性シリル基含有ポリウレタン樹脂(A)ともいう。〕としては、単に、ウレタン結合を有するという形のポリウレタン樹脂であってもよいし、さらには、ウレタン結合と尿素結合とを併有するという形の、いわゆる、ポリウレタンポリ尿素樹脂であってもよい。
【0024】
そして、当該ポリウレタン樹脂(A)中に含まれる加水分解性シリル基とは、たとえば、次の一般式[I]
【0025】
【化1】
【0026】
(ただし、式中のR1 は、アルキル基、アリール基またはアラルキル基なる一価の有機基を表わすものとし、また、R2 は、水素原子もしくはハロゲン原子またはアルコキシル基、置換アルコキシ基、アシロキシ基、置換アシロキシ基、フェノキシ基、イミノオキシ基もしくはアルケニルオキシ基を表わすものとし、さらに、aは0あるいは1または2なる整数であるものとする。)
【0027】
で示されるような、それぞれ、ヒドロシリル基、ハロシリル基、アルコキシシリル基、アシロキシシリル基、フェノキシシリル基、イミノオキシシリル基またはアルケニルオキシシリル基などのような、加水分解され易い基が結合した珪素原子を有する、各種の反応性基を指称するものである。
【0028】
当該ポリウレタン樹脂(A)の調製に際しては、それぞれ、(i) アミノ基や水酸基などのような、種々のイソシアネート基と反応し得る官能基と、加水分解性シリル基とを併有する部類の化合物を必須の原料成分として使用して、ポリウレタン樹脂を調製するという方法であるとか、
【0029】
(ii) 予め調製した、分子の側鎖および/または末端に水酸基の如き、各種の活性水素を有する基(活性水素含有基)を有するポリウレタン樹脂と、イソシアネート基の如き、この活性水素含有基と反応し得る官能基と、加水分解性シリル基とを併有する化合物とを反応せしめるという方法であるとか、
【0030】
(iii) 予め調製した、分子の側鎖および/または末端に二重結合を有するポリウレタン樹脂と、トリメトキシシラン、トリエトキシシランまたはトリクロロシランの如き、各種のヒドロシラン化合物とを、ヒドロシリル化反応によって付加反応せしめるというような方法などの、公知慣用の種々の方法を適用することが出来るが、これらのうちでも、上記(i)の方法によるのが、最も簡便である。
【0031】
また、前記した(i)の方法により、加水分解性シリル基含有ポリウレタン樹脂(A)を調製する際の方法としても、それぞれ、(iv) 末端にイソシアネート基を有するポリウレタン樹脂に、イソシアネート基と反応し得る官能基の1個と、加水分解性シリル基とを併有する化合物を反応せしめることによって、分子末端に加水分解性シリル基を導入せしめるという方法であるとか、
【0032】
(v) イソシアネート基と反応し得る官能基の2個と、加水分解性シリル基とを併有する化合物を使用することによって、ポリウレタン分子の主鎖の内部に、つまり、好ましくは、分子の側鎖の部分に、加水分解性シリル基を導入せしめるという方法であるとか、
【0033】
(vi) 予め調製した、分子末端にイソシアネート基を有し、しかも、分子の側鎖部分に加水分解性シリル基を有するポリウレタン樹脂に、イソシアネート基と反応性を有する官能基の1個と、加水分解性シリル基とを併有する化合物を反応せしめることによって、分子の側鎖部分と分子末端との両方に、加水分解性シリル基を導入せしめるというような方法などの、種々の方法を採用し適用することが出来る。
【0034】
これらの諸方法により、当該ポリウレタン樹脂(A)を調製する際に使用される、イソシアネート基と反応し得る官能基と、加水分解性シリル基とを併有する化合物〔以下、これを(a−1)ともいう。〕において、此のイソシアネート基と反応し得る官能基として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、アミノ基または水酸基などであり、こうした両基が好適である。
【0035】
そして、斯かるイソシアネート基と反応し得る官能基と加水分解性シリル基併有化合物(a−1)のうちでも、イソシアネート基と反応し得る官能基の2個と、加水分解性シリル基とを併有する化合物として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、
【0036】
γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−ヒドロキシルエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−ヒドロキシルエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(2−ヒドロキシルエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−ヒドロキシルエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシランまたはγ−(N,N−ジ−2−ヒドロキシルエチル)アミノプロピルトリエトキシシランなどである。
【0037】
また、こうした化合物(a−1)のうち、イソシアネート基と反応し得る官能基の1個と、加水分解性シリル基とを併有する化合物として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシランまたはγ−(N−フェニル)アミノプロピルトリメトキシシランなどである。
【0038】
前掲したような各種の化合物(a−1)を使用して、前掲したような種々の方法により、当該ポリウレタン樹脂(A)を調製することが出来るが、それらの調製方法のうちでも特に代表的なる処方のみを例示するにとどめれば、上記化合物(a−1)と、長鎖のジオール化合物〔以下、これを(a−2)ともいう。〕と、ジイソシアネート化合物〔以下、これを(a−3)ともいう。〕とを必須の原料成分として用いて反応せしめる方法であるとか、
【0039】
あるいは此等の、それぞれ、化合物(a−1)と、長鎖のジオール化合物(a−2)と、ジイソシアネート化合物(a−3)と、さらに必要に応じて、いわゆる鎖伸長剤〔以下、これを(a−4)ともいう。〕とを反応せしめる方法などである。
【0040】
ここにおいて、当該樹脂(A)を調製するに際して使用される長鎖のジオール化合物(a−2)としては、特に限定されるものではないが、それらのうちでも特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、ポリエステル系ジオール、ポリカーボネート系ジオールまたはポリエーテル系ジオールなどであるし、さらには、此等の混合物あるいは共重合物などである。
【0041】
これらの長鎖ジオール化合物(a−2)のうちの、まず、ポリエステル系ジオール類は、公知慣用の種々のジオール化合物と、公知慣用の種々のジカルボン酸類と、あるいは其れらの諸反応性誘導体とを、公知慣用の種々の方法で以て反応せしめることによって調製される。
【0042】
ここにおいて、此のジオール化合物として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、エチレングリコール、1,3−ないしは1,2−プロピレングリコール、1,4−ないしは1,3−ないしは2,3−ブチレングリコール、1,6−ヘキサングリコール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ビス−(ヒドロキシメチル)−シクロヘキサン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ジブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリテトラメチレングリコールなどである。
【0043】
一方のジカルボン酸類としては脂肪族−、脂環族−、芳香族−ないしは複素環式のいずれをも使用することが出来るが、それらのうちでも特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、コハク酸、無水コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメチン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、ダイマー脂肪酸またはジメチルテレフタレートなどである。
【0044】
また、ポリエステル系ジオール化合物の調製に際し、4−(2−ヒドロキシ)エトキシ安息香酸、4−(2−ヒドロキシ)エトキシ安息香酸メチル、ε−ヒドロキシカプロン酸もしくはε−カプロラクトンの如き、ヒドロキシカルボン酸あるいは其の反応性誘導体を原料成分として使用することが出来る。
【0045】
そして、ポリエステル系ジオールとしては、ε−カプロラクトンなどの開環重合物やε−ヒドロキシカプロン酸のポリ縮合物などを使用することも出来る。
【0046】
また、ポリカーボネート系ジオールとして特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリテトラメチレングリコールなどのようなジオール類と、ジメチルカーボネートなどによって代表されるようなジアルキルカーボネートあるいはエチレンカーボネートなどによって代表されるような環式カーボネートとの反応生成物などである。
【0047】
さらには、ポリエーテル系ジオールとして特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、活性水素原子(反応性水素原子)を有する化合物の存在下に、エチレンオキサイド、プロピレオキサイドン、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、テトラヒドロフランまたはエピクロルヒドリンなどのような、種々の三員環もしくは四員環のエーテル化合物の単独あるいは2種以上の混合物を開環重合せしめて得られる重合体である。
【0048】
ポリエーテル系ジオールを調製する際に使用される、反応性水素原子を有する化合物としては、水、ビスフェノールAならびにポリエステル系ジオールを調製する際に使用されるものとして、上掲したような、各種のジオール化合物などが挙げられる。
【0049】
そして、ポリエーテル系ジオールの具体的なもののみを例示するにとどめるならば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリテトラメチレングリコールなどがある。
【0050】
ポリウレタン樹脂(A)を調製する際に使用されるジイソシアネート化合物(a−3)とは、次の一般式
【0051】
【化2】
R(NCO)2
【0052】
(ただし、式中のRは、任意の二価の有機基を表わすものとする。)
【0053】
で示されるような化合物を指称するものであり、斯かるジイソシアネート化合物としては、特に限定されるものではないが、それらのうちでも特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、
【0054】
1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,12−ドデカメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−ないしは1,4−ジイソシアネート、1−イソシアナト−3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン(別名を、イソホロンジイソシアネートともいう。)、ビス−(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン(別名を、水添MDIともいう。)、
【0055】
2−ないしは4−イソシアナトシクロヘキシル−2’−イソシアナトシクロヘキシルメタン、1,3−ないしは1,4−ビス−(イソシアナトメチル)−シクロヘキサン、ビス−(4−イソシアナト−3−メチルシクロヘキシル)メタン、1,3−ないしは1,4−α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,4−ないしは2,6−ジイソシアナトトルエン、2,2’−、2,4’−ないしは4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン(つまり、MDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート、p−ないしはm−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートまたはジフェニル−4,4’−ジイソシアネートなどである。
【0056】
これらのうちでも、とりわけ、機械的強度などの面からは、芳香族ジイソシアネート化合物の使用が望ましく、また、とりわけ、耐久性ならびに耐光性などの面からは、脂肪族−ないしは脂環式ジイソシアネート化合物の使用が望ましい。
【0057】
また、鎖伸長剤(a−4)として特に代表的なるもののみを例示するにとどめれば、短鎖のジオール化合物などであるし、さらには、ジアミン化合物などである。
【0058】
これらのうち、短鎖のジオール化合物としては、前述したポリエステル系ジオ−ルを調製する際に用いられるものとして、既に例示しているような各種のジオール化合物のうちの、比較的低分子量のジオール類などが挙げられる。
【0059】
斯かる鎖伸長剤(a−4)のうちの、まず、ジアミン化合物として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、1,2−ジアミノエタン、1,2−ないしは1,3−ジアミノプロパン、1,2−ないしは1,3−ないしは1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、ピペラジン、N,N’−ビス−(2−アミノエチル)ピペラジン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチル−シクロヘキサン(=イソホロンジアミン)、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス−(4−アミノ−3−ブチルシクロヘキシル)メタン、1,2−、1,3−ないしは1,4−ジアミノシクロヘキサンまたは1,3−ジアミノプロパンなどであり、さらには、ヒドラジンまたはアジピン酸ジヒドラジドなどをも使用することが出来る。
【0060】
上掲し、上述したような、それぞれ、(a−1)、(a−2)および(a−3)なる各原料成分と、さらに必要に応じて、上掲し、上述したような(a−4)成分とから、当該ポリウレタン樹脂(A)を調製するには、公知慣用の種々の方法で以て反応せしめるようにすればよい。
【0061】
すなわち、たとえば、無溶剤で以て、あるいは有機溶剤中で以て、0〜約250℃なる範囲内、好ましくは、20〜100℃なる範囲内で反応せしめるのが適切である。
【0062】
有機溶剤中で反応させる場合には、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、メチルエチルケトン、トルエン、テトラヒドロフラン、イソプロパノール、シクロヘキサノン、ジメチルフォルムアミド(DMF)、エチレングリコールモノエチルエーテルまたはエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのような、公知慣用の種々の有機溶剤を、反応の開始時、反応の途中あるいは反応終了時などの反応の任意の段階で加えることが出来る。
【0063】
上掲したような各種の原料成分を反応せしめる際の、それぞれの原料成分の使用割合は、特に限定されるものではないが、当該ポリウレタン樹脂(A)を調製するする際に使用される、まず、化合物(a−1)、すなわち、イソシアネート基と反応し得る官能基と、加水分解性シリル基とを併有する化合物を、諸原料成分の合計重量に対して、約0.1〜約30重量%の範囲内、好ましくは、0.5〜10重量%の範囲内、さらに好ましくは、1〜5重量%の範囲内となるような割合で以て用いるのが適切である。
【0064】
化合物(a−1)の使用量が約0.1重量%未満の場合には、どうしても、架橋性に劣るという処から、本発明の組成物から得られる硬化物の、とりわけ、耐溶剤性や耐薬品性などが不十分となり易くなるし、一方、約30%を超えて余りにも多くなるような場合には、どうしても、硬化物の架橋密度が高すぎるようにもなり易く、したがって、とりわけ、柔軟性に劣る硬化物となり易いということにもなるので、いずれの場合も好ましくない。
【0065】
また、当該ポリウレタン樹脂(A)を調製する際の、ジイソシアネート化合物(a−3)の使用量としては、通常、これらの(a−1)、(a−2)および(a−4)なる各原料成分中に含まれる活性水素の合計量を1当量とした場合に、イソシアネート基が約0.9〜約1.1当量の割合となるように設定するというようにすればよい。
【0066】
本発明において使用される当該ポリウレタン樹脂(A)を調製するに際して、必要ならば、モノアルコール、3官能以上のアルコール、有機モノアミン、3官能以上のアミン、有機モノイソシアネートおよび/または3官能以上のポリイソシアネートを使用してもよい。
【0067】
また、当該ポリウレタン樹脂(A)を調製するに際して、必要ならば、ウレタン化触媒あるいは安定剤などを使用することも出来る。これらの触媒や安定剤などは、斯かる反応の任意の段階で以て、加えることが出来る。
【0068】
上記ウレタン化触媒として特に代表的なるもののみを例示するにとどめれば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミンまたはN−メチルモルホリンなどによって代表されるような種々の含窒素化合物;酢酸カリウム、ステアリン酸亜鉛またはオクチル酸錫などによって代表されるような種々の金属塩;あるいはジブチル錫ジラウレートなどによって代表されるような種々の有機金属化合物などである。
【0069】
一方、上記安定剤としてとして特に代表的なるもののみを例示するにとどめれば、置換ベンゾトリアゾール類などのような、紫外線に対する安定剤などであるし、さらには、フェノール誘導体などのような、熱酸化に対する安定剤などであり、これらの各安定剤は、目的に応じて、適宜、選択して加えることが出来る。
【0070】
このようにして調製される当該ポリウレタン樹脂(A)の数平均分子量としては、流動性や加工性などの面からは、約500〜約500,000の範囲内が、好ましくは、1,000〜100,000の範囲内が適切である。
【0071】
本発明に係る架橋性ポリウレタン樹脂組成物は、必ずしも、有機溶剤を必要とするものではないが、有機溶剤を使用する場合は、当該有機溶剤としては、上述したようなポリウレタン樹脂(A)を溶解し得るような化合物であれば、いずれのものも使用することが出来る。
【0072】
こうした有機溶剤としては、ポリウレタン樹脂(A)を調製する際に使用されるものとして、既に掲げているたような種々の化合物を使用することが出来る。
【0073】
そして、ポリウレタン樹脂(A)を調製する際に、有機溶剤中で反応を行なった場合には、格別に、当該有機溶剤を添加せずとも、反応に使用した有機溶剤を、そのまま、当該成分とみなすことが出来ることは、言うまでもない。
【0074】
有機溶剤を含有した形の架橋性ポリウレタン樹脂組成物とする場合の、当該有機溶剤の使用量としては、(A)成分の固形分の100重量部に対して、約40〜約5,000部の範囲内が、好ましくは、100〜2,000部の範囲内が、特に好ましくは、100〜900部の範囲内が適切である。
【0075】
本発明において使用される、加水分解性シリル基の加水分解ないしは縮合用の潜在性触媒(B)として特に代表的なるもののみを例示するにとどめれば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、テトラクロロ無水フタル酸またはアルケニル無水コハク酸の如き、各種の、環状のカルボン酸無水基を有する化合物;無水マレイン酸とスチレンとの共重合体あるいは無水マレイン酸とα−オレフィン類との共重合体の如き、上掲したような各種のカルボン酸無水基含有ビニル系単量体と、該単量体と共重合性のある単量体との共重合体;あるいは無水安息香酸、無水メタクリル酸または安息香酸と、酢酸との混合酸無水物の如き、種々の線状のカルボン酸無水基を有する化合物;
【0076】
無水ベンゼンスルホン酸、無水p−トルエンスルホン酸、無水ドデシルベンゼンスルホン酸またはベンゼンスルホン酸と、メタンスルホン酸との混合酸無水物の如き、各種のスルホン酸無水物;
【0077】
酢酸または安息香酸と、ベンゼンスルホン酸との混合酸無水物あるいは安息香酸とメタンスルホン酸との混合酸無水物の如き、各種のカルボン酸とスルホン酸の混合酸無水物などであるし、さらには亦、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミンまたは2−ジメチルアミノエタノールの如き、各種のアミン類またはアンモニアと、上掲したような各種の酸類との塩類;
【0078】
特開平2−232253号公報あるいは特開平4−23807号公報に記載されているような、それぞれ、4−メチルベンジル−4−シアノピリジニウム−ヘキサフルオロアンチモネート、4−クロロベンジル−2−メチルピリジニウム−ヘキサフルオロアンチモネート、4−メトキシベンジル−3−クロロピリジニウム−テトラフルオロボレートまたはN−(α−メチルベンジル)−N,N−ジメチル−N−フェニルアンモニウムヘキサフルオロアンチモネートの如き、各種の、加熱により酸を発生するピリジニウム塩ないしは4級アンモニウム塩類;
【0079】
特開昭58−198532号公報あるいは特開平4−11626号公報に記載されているような、それぞれ、プレニル−テトラメチレンスルホニウム−ヘキサフルオロアンチモネート、クロチル−テトラメチレンスルホニウム−ヘキサフルオロアルセネートまたはベンジル−4−ヒドロキシフェニル−メチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネートの如き、各種の、加熱により酸を発生するスルホニウム塩類;
【0080】
各種の有機スルホン酸の2−ヒドロキシアルキルエステル類や、特開平4−108861号公報に記載されているような各種の有機スルホン酸と、2級アルコールとのエステル類などであって、加熱によりスルホン酸を遊離する化合物類;さらには、特開平4−80242号公報に記載されているような、プロトン酸基を有する各種の化合物と、ビニルエーテル類を付加反応せしめて得られる、ケタールエステル基やアセタールエステル基などを有する化合物であって、加熱により遊離の酸基を有する化合物を生成するものなどである。
【0081】
これらの潜在性触媒類のうち、カルボン酸無水基、スルホン酸無水基あるいはカルボン酸−スルホン酸混合酸無水基などの、いわゆる酸無水基含有化合物を、当該潜在性触媒(B)として使用した場合には、組成物それ自体としては、良好なる安定性を示すものではあるけれども、硬化物を形成せしめる過程で、人工皮革を製造する際に適用されるような、水を使用する湿式成膜法においては、凝固浴や洗浄浴などの水によって、
【0082】
他方、人工皮革や合成皮革などの製造において適用される乾式成膜法、あるいは塗料、コーティング剤、接着剤、粘着剤あるいはフィルム、シートないしはシーリング材などにおける、水を使用しない成膜方法ないしは硬化方法においては、常温硬化または加熱硬化せしめる際に、空気中の水分によって、こうした化合物が加水分解し、カルボン酸またはスルホン酸などの、いわゆる遊離酸を発生することによって、触媒効果発現するということになる。
【0083】
上掲した潜在性触媒類のうち、アミン類またはアンモニアと酸類との塩類を、斯かる触媒として使用したような場合にも、斯かる触媒を含有することから成る、本発明の組成物それ自体は、良好なる安定性を示し、しかも、湿式成膜における其の湿式成膜後の乾燥工程での熱により、あるいは乾式成膜などの水を使用しない成膜方法ないしは硬化方法における加熱成膜時の熱により、脱アンモニア反応または脱アミン反応を起こして、カルボン酸、燐酸またはスルホン酸などのような、いわゆる遊離酸を生成して、触媒効果を発現するということになる。
【0084】
また、酸無水基を有する化合物;あるいはアミン類またはアンモニアと酸類との塩類以外の上述した潜在性触媒類である、ピリジニウム塩類、4級アンモニウム塩類、スルホニウム塩類、有機スルホン酸の2−ヒドロキシアルキルエステル類、有機スルホン酸と2級アルコールとのエステル類、さらには、ケタールエステル基ないしはアセタールエステル基を有する化合物などを、潜在性触媒(B)として使用した場合にも、斯かる触媒を含有することから成る、本発明の組成物それ自体は、良好なる安定性を示し、しかも、湿式成膜における其の湿式成膜後の乾燥工程での熱により、あるいは乾式成膜などの水を使用しない成膜方法ないしは硬化方法における加熱成膜時の熱により、これらの化合物が熱分解を起こして、各種の有機酸を発生することによって、触媒効果発現するということになる。
【0085】
つまり、これらの諸触媒を使用すると、湿式成膜加工するまでは、あるいは乾式成膜などの、水を使用しない成膜加工ないしは硬化処理を行なうまでは、いわゆる触媒効果を発現せずに、配合液の安定性を保持するということが出来る処となる。
【0086】
したがって、このような酸無水基含有化合物;あるいはアミン類またはアンモニアと酸類との塩類;あるいは亦、これら以外の、上述したような各種の化合物は、いわゆる、潜在性触媒として機能するというものである。
【0087】
そして、本発明に係る架橋性ポリウレタン樹脂組成物を調製するに当たって使用される当該潜在性触媒(B)の種類は、かかるポリウレタン樹脂組成物の用途や、加工方法あるいは硬化条件などに応じて、適宜、選択するというようにすればよい。
【0088】
中でも、水を使用する湿式成膜法が適応される人工皮革として、特に、後述するような極細繊維人工皮革用として、本発明の組成物を使用するというような場合には、アルケニル無水コハク酸が、そのアルケニル基の接着阻害効果により、繊維とポリウレタン樹脂とが非接合の状態で以て湿式凝固し、繊維とポリウレタン樹脂との間に空間が出来、より一層、人工皮革が柔らかで、しなやかさを有したものとなるために、特に好適なる潜在性触媒として使用できるものである。
【0089】
上掲した潜在性触媒(B)の添加量としては、それぞれの触媒の効果としての、たとえば、熱分解または加水分解などの反応によって生成した酸性物質の酸性度や、塩基性物質の塩基性度などであるとか、あるいは有効成分の含有量などによっても異なるが、概ね、ポリウレタン樹脂(A)の固形分の100重量部に対して、約0.05〜約10重量部なる範囲内が、好ましくは、0.2〜7.0部なる範囲内が、最も好ましくは、0.5〜5.0部なる範囲内が適切である。
【0090】
このようにして、(A)成分と(B)成分とから成る形か、あるいは(A)成分および(B)成分と、有機溶剤とから成る形の、本発明に係る架橋性ポリウレタン樹脂組成物が得られるが、こうした諸々の組成物には、さらに必要に応じて、成膜助剤、界面活性剤あるいは加水分解性シリル基含有化合物などのような、公知慣用の種々の添加剤類や顔料などであるとか、さらには、充填剤類などを配合せしめるということも出来る。
【0091】
こうした諸々の添加剤類のうちの、上記した加水分解性シリル基含有化合物として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、テトラエチルシリケートまたは其の部分加水分解縮合物;テトラメチルシリケートの部分加水分解縮合物;あるいはテトライソプロピルシリケートまたは其の部分加水分解縮合物のような、各種のアルキルシリケートまたは其の部分加水分解縮合物などであるし、さらには、一般的に、シランカップリングと称される部類の、次に例示をするような種々の化合物や、ポリウレタン樹脂(A)を調製する際に使用されるものとして、既に例示をしているような種々の化合物(a−1)などである。
【0092】
すなわち、シランカップリングとして特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシランまたはγ−クロロプロピルトリメトキシシランなどである。
【0093】
本発明に係る架橋性のウレタン樹脂組成物は、主として、人工皮革、合成皮革、接着剤、シーリング剤、粘着剤、塗料、コーティング剤あるいはフィルムないしはシートなどのような種々の用途に利用し適用し得る。
【0094】
ここにおいて、上記した人工皮革とは、ポリウレタン樹脂組成物と、不織布とを指称し、一方、合成皮革とは、ポリウレタン樹脂組成物と、織布または編布などとを組み合わせた形の、いわゆる皮革様シート状物を指称するが、本発明の組成物は、人工皮革、特に、その中でも、極細繊維不織布人工皮革と称される部類の人工皮革の用途に適している。
【0095】
すなわち、上記した極細繊維不織布人工皮革とは、鹿皮調の、非常に、しなやかなる手触りの人工皮革で、基布である不織布の繊維を極細化せしめるという方法、すなわち、海島繊維からなる不織布に、ポリウレタン樹脂を含浸またはコーティングせしめ、湿式凝固を行なったのちに、トルエンなどの溶剤で以て、海島繊維の海成分、あるいは島成分を溶解溶出せしめるという方法によって製造されている。
【0096】
こうした極細繊維不織布人工皮革を製造する際に使用される不織布繊維において、通常、海成分には、溶剤などで溶出され易い材料としての、たとえば、ポリスチレンまたはポリエチレンなどを使用し、島成分には、溶剤などで溶出されにくい材料として、たとえば、ポリエステルまたはナイロンなどを使用するということにより、加熱したトルエンなどの溶剤で以て海成分を溶出せしめて、島成分を残すというようにするのが、一般的である。
【0097】
したがって、こうした方法で製造される極細繊維不織布人工皮革に使用されるポリウレタン樹脂に対しては、加熱トルエンなどの溶剤類によって溶出されず、しかも、膨潤しないというような、高度の耐溶剤性が要求されているが、本発明に係る架橋性ポリウレタン樹脂組成物から得られる硬化物は、高度の耐溶剤性を備えており、このような要求を満たすというものである。
【0098】
また、合成皮革は、主として、自動車用シートや、たとえば、ソファーのような各種の家具用などとして使用されていて、とりわけ、汗、皮脂、整髪料またはトイレタリー製品などに対する耐久性が、大幅に、向上したような、実用性の高い合成皮革の製造が、本発明に係る架橋性ポリウレタン樹脂組成物を使用するということによって、はじめて、可能となる。
【0099】
さらに、ポリウレタン樹脂系の塗料やコーティング剤などにおいても、耐溶剤性や耐熱変形性などの向上が求められており、本発明の組成物は、こうした諸要求を満たすものとして、これらの分野にも、有効に、利用し適用することが出来るというものである。
【0100】
接着剤、シーリング剤あるいは粘着剤などの用途においては、架橋させるということによって、強度、接着力、粘着力、耐久性ならびに耐溶剤性などを改良することが定法となっており、イソシアネート基を利用した形の架橋方法が、一般的である。
【0101】
たとえば、常法によって得られる、加水分解性シリル基を有しない、通常のポリウレタン樹脂に、架橋剤として、ポリイソシアネート化合物を併用するということによって架橋反応を生じさせて硬化物を得るという二液タイプ、ならびにイソシアネート基を末端に有するウレタン・プレポリマーを、空気中の水分で以て湿気硬化させるという一液湿気硬化タイプが、幅広く、使用されている。
【0102】
こうした従来型のポリウレタン樹脂を使用した系においては、初期の架橋速度が遅いという処から、初期の接着性と粘着性とを速く発現させることが出来ない欠点があり、これがために、それに替わるべき、初期硬化性にも優れるし、初期の接着性と粘着性との発現が速いというようなシステムが求められていたが、本発明組成物は、こうした諸要求に、頗る、マッチしたものとして使用することが出来るというものである。
【0103】
また、フィルムやシートの用途としては、たとえば、貼る塗料と言われているマーキング・フィルムや、各種の保護フィルムあるいは保護シートなどの用途に適しているが、これらは、自動車用に使用されるというような場合には、とりわけ、耐ガソリン性、耐熱性ならびに耐候性などが必要とされており、本発明の組成物を使用するということによって、これらの諸要求性能を満足せしめ得た形のフィルムやシートなどの製造が、はじめて、可能となる。
【0104】
本発明に係る架橋性ポリウレタン樹脂組成物を使用して、主として、人工皮革、合成皮革、接着剤、シーリング剤、粘着剤、塗料、コーティング剤あるいはフィルムないしはシートなどのような種々の用途の架橋物(硬化物)を得るには、たとえば、湿式成膜法を使用する人工皮革または合成皮革にあっては、不織布、織布または編布などのような、いわゆる基布に、本発明に係る架橋性ポリウレタン樹脂組成物を用いて、含浸したり、あるいはコーティング加工などを行ない、次いで、5〜50℃程度の水中に、あるいは5〜50%程度のDMFを含有するDMF−水混合物中に、3〜30分間程度のあいだ浸漬せしめ、さらに、20〜95℃程度の水中で、あるいは温水または熱水中で洗浄するという、いわゆる洗浄工程を経たのちに、60〜130℃程度の温度で乾燥するということによって、斯かる架橋(硬化)が完了する。
【0105】
また、乾式成膜法に従う、それぞれ、合成皮革、塗料、コーティング剤あるいはフィルムないしはシートなどの場合は、本発明に係る架橋性ポリウレタン樹脂組成物を、離型紙、基布、プラスチックあるいは金属板上などに塗布せしめ、50〜250℃程度の温度で、数秒〜数時間のあいだ加熱せしめるということによって、目的とする、架橋(硬化)したポリウレタン樹脂から成る、それぞれ、合成皮革、塗料、コーティング剤あるいはフィルムないしはシートなどが得られる処となる。
【0106】
他方、接着剤、シーリング剤あるいは粘着剤などについては、接着させたい基材に対して、本発明に係る架橋性ポリウレタン樹脂組成物を、塗布し、圧着せしめ、然るべき熱処理を行なうか、あるいは熱処理を行なわずに、適当なる時間のあいだ養生せしめるということにより、架橋(硬化)を行なうなどの方法が採られるというものである。
【0107】
【実施例】
次に、本発明を、実施例および比較例により、一層、具体的に説明することにするが、本発明は、決して、これらの例示例のみに限定されるものではない。なお、以下において、部および%は、特に断りの無い限り、すべて、重量基準であるものとする。
【0108】
実施例1
数平均分子量が1,400なるポリテトラメチレングリコールの100部と、1,4−ブタンジオールの10部と、ジメチルフォルムアミド(DMF)の383部と、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシランの4部とを、1リットル4つ口フラスコ中に入れて、均一に溶解した。
【0109】
次いで、この溶液を激しく撹拌しながら、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の50部を投入し、70℃で、10時間のあいだ反応を行なうことによって、不揮発分が30.0%で、しかも、25℃におけるブルック・フィールド粘度が1,100ポイズ(ps)なる、分子の側鎖に加水分解性シリル基を有するポリウレタン樹脂の溶液を得た。以下、このポリウレタン樹脂の溶液を、(A−1)と略記する。
【0110】
引き続いて、この(A−1)の100部と、加水分解性シリル基の加水分解・縮合用触媒としてのクエン酸3アンモニウム(CAA)の0.3部とを混合せしめることによって、目的とする、架橋性ポリウレタン樹脂組成物を調製した。
【0111】
次いで、かくして得られた組成物を、離型紙上に、溶剤が揮発したのちの厚みが30マイクロ・メートル(μm)となるように流延せしめ、140℃で、3分間のあいだ加熱せしめることによって、フィルムを作製した。
【0112】
引き続いて、このフィルムを、室温下に、3日間のあいだ放置せしめたのち、このフィルムを剥離して、それぞれ、汗の成分であるオレイン酸中と、整髪料の成分であるイソプロパノール中と、トイレタリー用品の代用品としての、トルエン、酢酸エチルならびにメタノール中に、室温で、1時間のあいだ浸漬した処、このフィルムの外観は、全く変化が認められなかったし、しかも、溶剤類への溶解も亦、全く、認められなかった。
【0113】
次いで、このフィルムを、織布上に、ラミネートせしめることによって作製した合成皮革は、とりわけ、耐汗性ならびに耐整髪料性などに優れるというものであった。
【0114】
また、ここで使用した、上記の架橋性ポリウレタン樹脂組成物は、室温下に、1ヵ月間の保存後においても、粘度上昇は認められなく、したがって、安定性に優れるというものであることが確認された。
【0115】
比較例1
CAAの0.3部に替えて、0.3部のクエン酸を、(A−1)に混合せしめるというように変更した以外は、実施例1と同様にして、対照用の架橋性ポリウレタン樹脂組成物を調製した。
【0116】
以後も、実施例1と同様にして、離型紙上に、フィルムを作製し、かくして得られたフィルムについて、耐溶剤性、耐汗性ならびに耐整髪料性を評価判定した処、実施例1の場合と同様、優れるものであった。
【0117】
しかしながら、ここで使用した、上記の架橋性ポリウレタン樹脂組成物は、室温下に、1ヵ月間の保存後には、粘度が上昇して、殆ど流動性の無い半ゲル状態のものとなり、保存安定性に劣るというものであることが確認された。
【0118】
比較例2
4部のγ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシランに替えて、2部の1,4−ブタンジオールを使用するように変更した以外は、実施例1と同様にして、合成反応を行なうということによって、不揮発分が30.0%で、かつ、25℃におけるブルック・フィールド粘度が980psなる、全く、加水分解性シリル基を有しない、対照用のポリウレタン樹脂の溶液を得た。以下、このポリウレタン樹脂の溶液を、(P−1)と略記する。
【0119】
次いで、この(P−1)を使用するように変更した以外は、実施例1と同様にして、離型紙上に、フィルムを作製した。
【0120】
引き続いて、このフィルムを、室温下に、3日間のあいだ放置せしめたのち、フィルムを剥離し、それぞれ、汗の成分であるオレイン酸中と、整髪料の成分であるイソプロパノール中と、トイレタリー用品の代用品としての、トルエン、酢酸エチルならびにメタノール中とに、室温で、1時間のあいだ浸漬せしめた。その結果、フィルムは完全に溶解するか、あるいは形が崩れて仕舞って、このフィルムは、とりわけ、耐薬品性や耐溶剤性などに劣るというものであった。
【0121】
実施例2
数平均分子量が2,000なる1,6−ヘキサンジオール系のポリカーボネートジオール(PC−2000)の100部と、DMFの66部とを、1リットル4つ口フラスコに入れて、攪拌下に溶解せしめた。
【0122】
次いで、この混合物に、NCO/OH当量比が1.7/1.0となるように、水添MDIの22部と、ウレタン化触媒としてのジブチル錫ジラウレート(DBTDL)の0.005部とを投入し、85℃で、3時間のあいだ反応を行ない、NCO当量を測定した処、該NCO当量が理論値に達していることを確認した。
【0123】
引き続いて、DMFの300部を投入せしめることによって、不揮発分を25%に調整してから、35℃に保持して、攪拌しながら、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランの4部と、イソフォロンジアミン(IPDA)の2部とを、順次、投入せしめた。
【0124】
15分間のあいだ攪拌したのちに、DMFの151部と、メタノールの10部とを投入せしめ、さらに、1時間のあいだ攪拌して溶解せしめることによって、不揮発分が20%で、しかも、25℃におけるブルック・フィールド粘度が70psなる、分子の側鎖に加水分解性シリル基を有するポリウレタン樹脂の溶液を得た。以下、このポリウレタン樹脂の溶液を、(A−2)と略記する。
【0125】
次いで、この(A−2)の100部に、DMFを加えることによって、不揮発分を15%と為し、さらに、加水分解性シリル基の加水分解・縮合用の触媒としての、アルケニル基の炭素数が16〜18なるアルケニル無水コハク酸の0.3部を添加し、混合せしめるということによって、目的とする、架橋性ポリウレタン樹脂組成物を調製した。
【0126】
引き続いて、この組成物を、室温下に、1ヵ月間のあいだ保存した処、僅かの粘度上昇が認められたのみで、頗る、保存安定性に優れるというものであることが確認された。
【0127】
しかるのち、この組成物を、海成分がポリスチレンで、かつ、島成分がポリエステルであるという、海島繊維からなる不織布に含浸せしめた。
【0128】
次いで、かくして含浸された不織布を、25℃の、DMF濃度が10%なるDMF水溶液中に、20分間のあいだ浸漬して、ポリウレタン樹脂を凝固させた。
【0129】
しかるのち、40℃の温水中で、充分に洗浄してから、100℃熱風乾燥機中で、30分間のあいだ乾燥して、90℃に加熱したトルエン中に、1時間のあいだ浸漬せしめることによって、海島繊維のポリスチレン部分を溶出せしめた。
【0130】
引き続いて、90℃の熱水で、1時間のあいだ洗浄し、80℃で、30分間のあいだ乾燥せしめるということによって、極細繊維不織布人工皮革を得た。
【0131】
かくして得られた人工皮革は、トルエン処理後の厚み保持率が90%というように、頗る、耐溶剤性などが良好なるものであった。また、顕微鏡によって、この人工皮革の断面部分を観察した処、海島繊維を形成していたポリスチレンは溶出しており、その反面で、ポリウレタン樹脂は、ほぼ完全に残っているということが認められた。
【0132】
また、ポリウレタン樹脂と繊維との間に空間が出来ており、ここに得られた人工皮革は、非常に柔らかく、しなやかで、目的とする、鹿皮調の風合いを有するというものであった。
【0133】
比較例3
アルケニル基の炭素数が16〜18なるアルケニル無水コハク酸の0.3部に替えて、0.3部のアルケニル基の炭素数が16〜18なるアルケニルコハク酸を、(A−2)に混合せしめるように変更した以外は、実施例2と同様にして、対照用の架橋性ポリウレタン樹脂組成物を調製した。
【0134】
次いで、この架橋性ポリウレタン樹脂組成物を用いるように変更した以外は、実施例2と同様にして、海島繊維不織布に含浸せしめてから、実施例2と同様にして、処理を行なうということによって、人工皮革を調製した。
【0135】
引き続いて、かくして得られた人工皮革は、トルエン処理後の厚み保持率が90%というように、頗る、耐溶剤性が良好なるものであった。また、顕微鏡により、この人工皮革の断面部分を観察した処、海島繊維を形成していたポリスチレンは溶出しており、その反面で、ポリウレタン樹脂は、ほぼ完全に残っているということが認められた。
【0136】
このようにして得られた人工皮革は、非常に柔らかく、目的とする、鹿皮調の風合いを有するというものであった。
【0137】
しかしながら、ここで使用した、上記の架橋性ポリウレタン樹脂組成物は、室温下に、1ヵ月間の保存後には、粘度が上昇して、殆ど流動性の無い半ゲル状態のものとなり、保存安定性に劣るというものであることが確認された。
【0138】
比較例4
4部のγ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランに替えるに、3部のIPDAを使用するというように変更した以外は、実施例2と同様にして合成反応を行なうということによって、不揮発分が20.0%で、しかも、25℃におけるブルック・フィールド粘度が68psなる、全く、加水分解性シリル基を有しない、対照用のポリウレタンの溶液を得た。以下、このポリウレタン樹脂の溶液を、(P−2)と略記する。
【0139】
次いで、この(P−2)を用いるように変更した以外は、実施例2と同様にして、極細繊維不織布人工皮革を調製した。
【0140】
このようにして得られた、対照用の人工皮革は、トルエン処理後の厚み保持率が45%と低く、耐溶剤性に劣るというものであった。また、顕微鏡により、この対照用の人工皮革の断面部分を観察した処、海島繊維を構成していたポリスチレンが溶出すると共に、ポリウレタン樹脂も亦、殆ど溶出しており、僅かしか残ってはいないということが確認された。
【0141】
また、風合いは非常に硬くなっており、到底、実用に供し得るというようなものではなかった。
【0142】
実施例3
PC−2000の75部と、1,4−ブタンジオールの10部と、トルエンの78部とを、1リットルの4つ口フラスコに入れて、攪拌下に溶解せしめた。
【0143】
次いで、この混合物に、NCO/OH当量比が2.0/1.0となるように、水添MDIの51部と、イソフォロンジイソシアネート(IPDI)の22部とを投入し、ウレタン化触媒としてのDBTLの0.006部をも投入してから、85℃に昇温し、同温度で、5時間のあいだ反応を続行せしめ、NCO当量を測定して、理論値に達していることを確認した。
【0144】
しかるのち、DMFの327部と、トルエンの140部とを投入して、不揮発分を25%に調整した。さらに、このウレタンプレポリマ溶液を、35℃に保持して、攪拌しながら、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランの5.4部と、IPDAの19部とを、順次、投入した。
【0145】
15分間のあいだ攪拌を行なったのちに、DMFの140部と、メタノールの10部とを投入して、1時間のあいだ攪拌し、溶解せしめるということによって、不揮発分が20%で、25℃におけるブルック・フィールド粘度が80psなる、分子の側鎖に加水分解性シリル基を有するポリウレタン樹脂の溶液を得た。以下、このポリウレタン樹脂の溶液を、(A−3)と略記する。
【0146】
次いで、かくして得られた(A−3)の100部に、加水分解性シリル基の加水分解・縮合用の触媒としてのフタル酸アンモニウムの0.2部を添加混合せしめることによって、目的とする、架橋性ポリウレタン樹脂組成物を調製した。
【0147】
引き続いて、この組成物を使用するように変更した以外は、実施例1と同様にして、離型紙上に、フィルムを作製せしめた。
【0148】
しかるのち、このフィルムを、室温下に、3日間のあいだ放置せしめてから、このフィルムを剥離して、それぞれ、ガソリン、イソプロパノール、トルエン、酢酸エチルならびにメタノール中に、室温で、1時間のあいだ浸漬した処、このフィルムの外観は、全く変化が認められなかったし、しかも、溶剤類への溶解も亦、全く、認められなかった。
【0149】
また、本実施例において使用した架橋性ポリウレタン樹脂組成物は、室温下において、1ヵ月間のあいだ保存した際においても、粘度上昇は殆ど認められなく、したがって、頗る、保存安定性に優れているものであることが確認された。
【0150】
比較例5
フタル酸アンモニウムの0.2部に替えるに、0.2部のフタル酸を、(A−3)に混合せしめるというように変更した以外は、実施例3と同様にして、対照用の架橋性ポリウレタン樹脂組成物を調製した。次いで、実施例1と同様にして、離型紙上に、フィルムを作製した。
【0151】
引き続き、このフィルムを、室温下に、3日間のあいだ放置せしめたのちに、このフィルムを剥離して、それぞれ、ガソリン、イソプロパノール、トルエン、酢酸エチルならびにメタノール中に、室温で、1時間のあいだ浸漬した処、このフィルムの外観は、全く変化が認められなかったし、しかも、溶剤類への溶解も亦、全く、認められなかった。
【0152】
しかしながら、ここで使用した、上記の架橋性ポリウレタン樹脂組成物は、室温下における、1ヵ月間の保存後には、粘度が上昇して、殆ど流動性の無い半ゲル状態のものとなり、保存安定性に劣るというものであることが確認された。
【0153】
比較例6
6.5部のγ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランに替えるに、5部のIPDAを使用するように変更した以外は、実施例3と同様にして、合成反応を行なうということによって、不揮発分が20.0%で、しかも、25℃におけるブルック・フィールド粘度が85psなる、全く、加水分解性シリル基を有しない、対照用のポリウレタン樹脂の溶液を得た。以下、このポリウレタン樹脂の溶液を、(P−3)と略記する。
【0154】
次いで、この(P−3)を使用するように変更した以外は、実施例3と同様にしてフィルムを作製し、実施例3と同様にして耐溶剤性を評価判定した処、フィルムは完全に溶解するか、あるいは形が崩れてしまい、耐溶剤性に劣るというものであった。
【0155】
実施例4
PC−2000の250部と、1,4−ブタンジオールの12部およびトルエンの162部とを、1リットルの4つ口フラスコに入れて、攪拌下に溶解せしめた。
【0156】
次いで、この混合物に、NCO/OH当量比が2.0/1.0となるように、IPDIの116部と、ウレタン化触媒としてのDBTDLの0.015部とを投入し、95℃で、8時間のあいだ反応を行ない、NCO当量を測定した処、該NCO当量が理論値に達していることを確認した。
【0157】
引き続いて、酢酸n−ブチルの127部およびイソプロパノール(IPA)の124部を投入し、35℃に保持して、攪拌しながら、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランの13部と、IPDAの21部とを、順次、投入せしめた。
【0158】
15分間のあいだ攪拌してから、酢酸n−ブチルの60部と、IPAの50部とを投入せしめ、さらに、1時間のあいだ攪拌して溶解せしめることによって、不揮発分が45%で、25℃におけるブルック・フィールド粘度が62psなる、分子の側鎖に加水分解性シリル基を有するポリウレタン樹脂の溶液を得た。以下、このポリウレタン樹脂の溶液を、(A−4)と略記する。
【0159】
引き続いて、この(A−4)の100部と、加水分解性シリル基の加水分解・縮合用触媒としてのリンゴ酸アンモニウムの0.3部とを混合せしめるということによって、目的とする、架橋性ポリウレタン樹脂組成物を調製した。
【0160】
この組成物を、乾燥膜厚が約40μmとなるように、クロメート処理アルミニウム板上に、バーコーターを使用して塗布せしめたのち、140℃で、30分間の焼き付けを行なって、目的とする硬化塗膜を得た。この塗膜を、室温に、3日間のあいだ放置したのちに、諸性能の評価判定を行なうということによって、下記のように優れた機械的強度ならびに耐溶剤性などを有しているということを確認した。
【0161】
エリクセン値 7mm以上
耐衝撃性 50cm以上(1/2インチ・500g)
キシレンラビング 30回で異常なし(荷重:1.1kg)
【0162】
また、ここで使用した、上記の架橋性ポリウレタン樹脂組成物は、室温下に、2ヵ月間の保存後においても、粘度上昇は認められなく、したがって、安定性に優れるものであることが確認された。
【0163】
比較例7
リンゴ酸アンモニウムの0.3部のに替えて、同量のリンゴ酸を、(A−4)に混合せしめるように変更した以外は、実施例4と同様にして、対照用の架橋性ポリウレタン樹脂組成物を調製した。
【0164】
以後も、実施例4と同様にして、硬化塗膜を作製して、評価判定した処、実施例4の場合において得られた硬化塗膜と同様に、機械的強度と耐溶剤性とに優れるというものであった。
【0165】
しかしながら、ここで使用した、上記の架橋性ポリウレタン樹脂組成物は、室温下に、2ヵ月間の保存後には、粘度が上昇して、殆ど流動性の無い半ゲル状態のものとなり、保存安定性に劣るというものであることが確認された。
【0166】
実施例5
数平均分子量が2,000なるセバチン酸/イソフタル酸/エチレングリコール/ネオペンチルグリコール系ポリエステルジオールの100部と、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランの3部と、MDIの49部と、オクチル酸第一錫の0.05部と、トルエンの110部とを混合して、70℃において、2時間のあいだ反応せしめた。
【0167】
引き続いて、メチルエチルケトンの263部およびエチレングリコールの8部を加えて、70℃において、12時間のあいだ反応を続行せしめ、さらに、メタノール3部を加えて、60℃において、1時間のあいだ反応を行なうということによって、不揮発分が30%で、かつ、25℃におけるブルック・フィールド粘度が70psなる、分子の側鎖に加水分解性シリル基を有するポリウレタン樹脂の溶液を得た。以下、このポリウレタン樹脂の溶液を、(A−5)と略記する。
【0168】
次いで、かくして得られた(A−5)の100部に、加水分解性シリル基の加水分解・縮合用の触媒としての無水マレイン酸の0.2部を添加し混合せしめるということによって、目的とする、架橋性ポリウレタン樹脂組成物を調製した。
【0169】
アセトンで脱脂した鋼板上に、このポリウレタン樹脂組成物を、バーコーターで、塗布量が6g/m2 となるように塗布した。195℃の乾燥機で、1分間のあいだ加熱し、しかるのち、直ちに、120℃の熱ロールに通して、ポリ塩化ビニル(PVC)シートをラミネートせしめた。
【0170】
室温に、24時間のあいだ放置したのち、PVCシートの剥離強度を調べた。その結果、剥離強度は7.5Kg/インチ(inch)と高く、非常に鋼板接着性に優れているということが判明した。
【0171】
また、本実施例において使用した、上記の架橋性ポリウレタン樹脂組成物は、室温下に、1ヵ月間のあいだ保存した際においても、粘度上昇は殆ど認められなく、したがって、頗る、保存安定性に優れているものであるとが確認された。
【0172】
比較例8
無水マレイン酸の0.2部に替えて、0.2部のマレイン酸を、(A−5)に混合せしめるというように変更した以外は、実施例5と同様にして、対照用の架橋性ポリウレタン樹脂組成物を調製した。
【0173】
次いで、実施例5と同様にして、鋼板接着性を調べた。その結果、剥離強度は7.3Kg/インチと大きく、非常に鋼板接着性に優れていることが判明した。
【0174】
しかしながら、ここで使用した、上記の架橋性ポリウレタン樹脂組成物は、室温下に、1ヵ月間の保存後には、粘度が上昇して、殆ど流動性の無い半ゲル状態のものとなり、保存安定性に劣るものであることが確認された。
【0175】
実施例6
2リットルの4ツ口フラスコに、数平均分子量が3,000なるポリプロピレンジオールの397部と、数平均分子量が2,000なるポリエステルジオール(1,6−ヘキサンジオール・ネオペンチルグリコール・アジピン酸系)の147部とを仕込み、ジメチロールヘプタンの147部および酢酸エチルの269部を加えて、均一に溶解させた。
【0176】
次いで、オクチル酸第一錫を、濃度が50ppmとなるように添加したのち、40℃において、トリレンジイソシアネート(TDI)の216部を分割添加して、イソシアネート基の濃度が一定になるまで、75℃で反応を行なった。しかるのち、酢酸エチルの438部およびトルエンの53部を添加することにより、不揮発分が54.4%なる、末端にイソシアネート基を有する樹脂1を得た。
【0177】
2リットルの4ツ口フラスコに、数平均分子量が3,000なるポリプロピレンジオールの431部と、数平均分子量が2,000なるポリエステルジオール(1,6−ヘキサンジオ−ル・ネオペンチルグリコール・アジピン酸系)の154部とを仕込み、ジメチロールヘプタンの154部と、トルエンの246部とを加えて、均一に溶解させた。
【0178】
次いで、DBTDLを、濃度が50ppmとなるように添加せしめたのちに、40℃において、TDIの299部を分割添加して、イソシアネート基の濃度が一定になるまで、75℃で反応を行なった。しかるのち、トルエンの198部を添加せしめるということによって、不揮発分が70.0%なる、末端にイソシアネート基を有する樹脂2を得た。
【0179】
しかるのち、樹脂1の132部と、樹脂2の44部とを混合し、さらに、30〜40℃で、激しく攪拌しながら、γ−アミノプロピルトリメトキシシランの24部を、徐々に投入して、その投入後も、30分間のあいだ攪拌した。不揮発分が63%で、かつ、25℃におけるブルック・フィールド粘度が25psなる、分子の末端に加水分解性シリル基を有するポリウレタン樹脂の溶液を得た。このポリウレタン樹脂の溶液を(A−6)と略記する。
【0180】
引き続いて、この(A−6)の100部に、加水分解性シリル基の加水分解・縮合用の触媒としてのスチレン・無水マレイン酸共重合体(スチレン/無水マレイン酸=1/1なる重量部比のもの)の1.2部と、無機フィラーとしての、それぞれ、粒子径が15μm以下のものを、約96%の割合で含有する粘土鉱物の62部と、粒子径が15μm以下のものを、約65%の割合で含有する粘土鉱物の62部と、アセトンの12部とを添加混合せしめるということによって、不揮発分が73%で、かつ、25℃におけるブルック・フィールド粘度が140psなる、分子の末端に加水分解性シリル基を有するポリウレタン樹脂の組成物を得た。
【0181】
次いで、このポリウレタン樹脂の組成物を、スレ−ト板上に、櫛目ゴテを用いて塗布し、温度が23℃で、かつ、相対湿度が65%なる条件下で、20分間のあいだ放置したのち、PVCシ−トを、ハンドロ−ルを用いて圧締せしめた。
【0182】
かくして得られた加工品は、次のような要領により、評価判定試験を行ない、種々の接着力の測定した。
【0183】
<試験法ならびに評価基準>
【0184】
剥離強度………圧締後、温度が23℃で、かつ、相対湿度が65%なる条件下において、所定時間のあいだ養生せしめたのち、PVCシ−トを、1インチ(幅)×10cm(長さ)のサイズに切断せしめるということによって、試験片と為した。
【0185】
ただし、当該剥離試験は、テンシロンを用いて、温度が23℃で、かつ、相対湿度が65%なる雰囲気下において、角度180度にて測定した。
【0186】
初期接着力 :養生時間20分後に測定を行なった。
常態時接着力:養生時間72時間後に測定を行なった。
【0187】
評価判定の結果は、初期接着力が1.0Kg/inchであり、かつ、常態時接着力が2.4Kg/inchであって、極めて優れた初期ならびに常態接着性を有するという加工品であることが判明した。
【0188】
また、本実施例において使用した、上記の架橋性ポリウレタン樹脂組成物は、室温下に、1ヵ月間のあいだ保存した際においても、粘度上昇は殆ど認められなく、したがって、頗る、保存安定性に優れているものであるとが確認された。
【0189】
比較例9
スチレン・無水マレイン酸共重合体(スチレン/無水マレイン酸=1/1なる重量部比のもの)の1.2部に替えて、スチレン・マレイン酸共重合体(スチレン/マレイン酸=1/1なる重量部比のもの)の1.2部を、(A−6)に混合せしめるというように変更した以外は、実施例6と同様にして、対照用の架橋性ポリウレタン樹脂組成物を調製した。次いで、実施例6と同様にして、初期ならびに常態接着性を調べた。
【0190】
その結果、初期接着力が0.9Kg/inchであり、常態時接着力が2.3Kg/inchであって、極めて優れた初期ならびに常態接着性を有するという加工品であることが判明した。
【0191】
しかしながら、ここで使用した、上記の架橋性ポリウレタン樹脂組成物は、室温下に、1ヵ月間の保存後には、粘度が上昇して、殆ど流動性の無い半ゲル状態のものとなり、保存安定性に劣るというものであることが確認された。
【0192】
【発明の効果】
本発明に係る架橋性ポリウレタン樹脂組成物は、水分あるいは湿気によって、容易に、架橋反応が進行し、強固なる架橋硬化物を形成するというものである。
【0193】
また、組成物の保存安定性にも優れるというものであって、従来においては、配合してから使用するまでの間に、著しく増粘したり、あるいはゲル化してしまって、斯かる安定性に劣るという問題があったが、本発明は、こうした問題をも、見事に、解決することが出来るというものである。
【0194】
さらに、本発明の組成物は、架橋硬化性が極めて良好であり、加えて、硬化物の、とりわけ、強度、接着力、耐久性、耐溶剤性ならびに耐薬品性に優れるというものであるという処から、主として、人工皮革、合成皮革、接着剤、粘着剤、シーリング剤、塗料、コーティング剤あるいはフィルムないしはシートなどの用途において、極めて実用性の高いものである。
Claims (2)
- 側鎖および/または末端に加水分解性シリル基を有するポリウレタン樹脂(A)と、加水分解性シリル基の加水分解ないしは縮合用の酸無水基を有する化合物又は、酸類とアミン類またはアンモニアとの塩類から選ばれる潜在性触媒(B)とを含有することを特徴とする合成皮革または人工皮革用架橋性ポリウレタン樹脂組成物。
- ポリウレタン樹脂(A)の原料中、イソシアネート基と反応し得る官能基と加水分解性シリル基とを併有する化合物(a−1)が、原料成分の合計重量に対して0.5〜10重量%となる割合で用いる請求項1記載の合成皮革または人工皮革用架橋性ウレタン樹脂組成物。
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