JP6248327B2 - 道路補強埋設用メッシュシート - Google Patents

道路補強埋設用メッシュシート Download PDF

Info

Publication number
JP6248327B2
JP6248327B2 JP2014000019A JP2014000019A JP6248327B2 JP 6248327 B2 JP6248327 B2 JP 6248327B2 JP 2014000019 A JP2014000019 A JP 2014000019A JP 2014000019 A JP2014000019 A JP 2014000019A JP 6248327 B2 JP6248327 B2 JP 6248327B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
asphalt
mesh sheet
reactive
mass
layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014000019A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015129368A (ja
Inventor
狩野 俊也
俊也 狩野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hiraoka and Co Ltd
Original Assignee
Hiraoka and Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hiraoka and Co Ltd filed Critical Hiraoka and Co Ltd
Priority to JP2014000019A priority Critical patent/JP6248327B2/ja
Publication of JP2015129368A publication Critical patent/JP2015129368A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6248327B2 publication Critical patent/JP6248327B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明はアスファルト道路の補強埋設に用いるメッシュシートに関する。より詳しくは、新設道路のアスファルト舗装工程に用い、アスファルト舗装層中に埋設させてアスファルトと一体化させる、アスファルト舗装層の補強目的のメッシュシートであって、敷設時にアスファルトとの接着性に優れ、アスファルト舗装層に作用する曲げ応力や引張応力、剪断応力に抵抗し、その変形を強固に拘束する役割を果たすもので、老朽アスファルト舗装層補修時には、アスファルト掘削で露出したメッシュシートの引き剥がしが容易なものに関する。また亀裂の入ったアスファルト舗装道路の部分補修に新規に敷設、あるいは追加敷設して再度アスファルト舗装層中に埋設させて使用する補修補強目的のメッシュシートに関する。
アスファルト舗装道路は、路床、路盤の上にアスファルト混合物層を厚盛ローラープレスすることによって基層及び表層が舗装される。特にアスファルト舗装道路においては、車両の通行による重量負荷及び摩耗負荷、猛暑日による路面陥没などの塑性負荷、地震横揺れによる高エネルギー歪負荷などの複合ストレスを日常的に受けるため定期的な点検管理が必要である。近年はアスファルト舗装道路の老朽化に伴い、劣化アスファルト路面に対するオーバーレイなどの全面修復工事の需要が全国的に増えているが、最近では老朽化した高速道路や幹線道路自体の全体的再構築が構想され、今後膨大な道路建設の需要が長期的に見込まれている。
アスファルト舗装道路では上記した複合ストレスの影響により、路面に亀裂やひび割れを発生することが多々あるが、このような亀裂発生を抑止するためにはアスファルト混合物層の基層と表層との中間、または路盤とアスファルト基層との中間に補強支持体として、ポリエチレン二軸延伸穴開きシートやポリプロピレン二軸延伸穴開きシート、合成繊維織布、金属メッシュなどを埋設することが有効である。しかし、ポリエチレンやポリプロピレンなどによる二軸延伸穴開きシートではアスファルトとの密着性に劣り、しかも曲げ応力や引張応力によって更に伸びを生じることで、アスファルトの変位歪を十分に拘束するには不適切であった。また合成繊維織布では、織布に予め合成樹脂を含浸させてアスファルトとの密着性を改善する必要があるが、このような樹脂含浸織布では、合成繊維織布の変形自由度が失われることでアスファルトの変位歪に追従して引裂け易くなり、またアスファルトとの界面剥離を生じる問題があった。また、金属メッシュでは、ロール状に巻いた金属メッシュを延敷したときに、巻きぐせで反り返るなど、反発性で敷設作業効率を悪くするのみならず、長期的な腐食で強度低下する懸念があった。
アスファルト舗装の亀裂および流動化・轍掘れに対する優れた抑制効果を有し、しかも界面剥離の起こらない複合成形体として、アスファルトに密着する材料で被覆された高弾性率繊維を含む繊維束から成る複合成形体で、特定の開口部を有するアスファルト舗装補強用高弾性率複合成形体が開示されている(特許文献1)。また、アスファルトコンクリート舗装に発生したクラック、破損等の損傷を補修する際に用いる舗装補強兼防水シートとして、ガラス繊維、カーボン繊維、合成樹脂繊維(特にポリエステル繊維)からなる群の中から選ばれたメッシュ状の芯材が埋設されたアスファルト系材料からなる不透水層を具備してなる舗装補強兼防水シートが開示されている(特許文献2)。また、透水を効果的に遮断できると共に、舗装面の損傷を効果的に抑止できる耐久性に優れた埋設用シートとして、ポリエステル不織布を芯材として、その上下にアスファルト層を設け、このアスファルト層にステンレスファイバーメッシュからなる補強材を埋め込んでなる埋設用シートが開示されている(特許文献3)。
特許文献1の複合成形体は、繊維束がアスファルトに密着する材料で被覆されていることで確かにアスファルトとの密着性に見掛け上は優れるものとなるが、請求項2に記載されたポリアセタール繊維、芳香族ポリアミド繊維、ポリビニルアルコール繊維、ガラス繊維、カーボン繊維などの繊維束に対して、請求項3に記載された樹脂群との密着性にそもそも劣る。従って炎天下の蓄熱状態で、アスファルト舗装層に荷重や揺れ歪みなどの大きな応力が作用した時に、被覆樹脂をアスファルト界面に残したまま繊維束のみが変位する糸抜け現象を引き起し易くなり、結果的にアスファルト舗装層の変形を拘束する役割を果たすことができなくなることがあった。特許文献2の舗装補強兼防水シートも特許文献1の複合成形体と同様の糸抜け現象の欠点を孕むものである。特許文献3の埋設用シートはアスファルト層にステンレスファイバーメッシュを含むことで、さらにアスファルト舗装層との界面密着性に劣り、その結果、特許文献1の複合成形体と同様の糸抜け現象の欠点を生じ易く、またロール状に巻いたステンレスファイバーメッシュを長尺延敷したときに、巻きぐせで反り返り、その反発性でアスファルト充填埋盛作業の効率を悪化させている。
従って新設道路のアスファルト舗装工程に用い、アスファルト舗装層内(基層と表層の中間、または路盤とアスファルト基層との中間)に埋設させてアスファルトと一体化させる、アスファルト舗装層の補強目的のメッシュシートであって、敷設時にアスファルトとの接着性に優れ、アスファルト舗装層に作用する曲げ応力や引張応力、剪断応力に抵抗し、その変形を強固に拘束する役割を果たすもので、老朽アスファルト舗装層補修時には、アスファルト掘削で露出したメッシュシートの引き剥がしが容易であるもので、亀裂の入ったアスファルト舗装道路の部分補修に新規に敷設、あるいは追加敷設して再度アスファルト舗装層中に埋設させて使用することも可能なアスファルト道路補強埋設用メッシュシートが望まれていた。
特開平6−158607号公報 特開平11−323812号公報 特開平8−193303号公報
本発明は、新設道路のアスファルト舗装工程に用い、アスファルト舗装層中に埋設させてアスファルトと一体化させる、アスファルト舗装層の補強目的のメッシュシートであって、敷設時にアスファルトとの接着性に優れ、アスファルト舗装層に作用する曲げ応力や引張応力、剪断応力に抵抗し、その変形を強固に拘束する役割を果たすもので、老朽アスファルト舗装層補修時には、アスファルト掘削で露出したメッシュシートの引き剥がしが容易であるもので、亀裂の入ったアスファルト舗装道路の部分補修に新規に敷設、あるいは追加敷設して再度アスファルト舗装層中に埋設させて使用することも可能なアスファルト道路補強埋設用メッシュシートを提供しようとするものである。
上記課題を解決するために、粗目織物を基布として、その全面を被覆する反応性接着樹脂層とで構成された、略四角形または略三角形の空隙を多数有する空隙率50〜95%のネット状の可撓性複合体において、反応性接着樹脂層を架橋アクリル樹脂を主体に構成し、この架橋アクリル樹脂量に対し、熱反応性ウレタンプレポリマーを含み、この熱反応性ウレタンプレポリマーが常温で非反応性のイソシアネート基を分子構造中に含み、かつ常温非反応性イソシアネート基がイソシアネート基に特定の熱解離性有機化合物が付加したものとすることで、アスファルトとの接着性に優れ、アスファルト舗装層に作用する曲げ応力や引張応力、剪断応力に抵抗し、その変形を強固に拘束する役割を果たし、しかもアスファルト舗装層補修時には、メッシュシートの引き剥がし作業が容易であることを見出して本発明を完成するに至った。
すなわち本発明のアスファルト道路補強埋設用メッシュシートは、粗目織物を基布として、その全面を被覆する反応性接着樹脂層とで構成された、略四角形または略三角形の空隙を多数有する空隙率50〜95%のネット状の可撓性複合体であって、前記反応性接着樹脂層が架橋アクリル樹脂を主体に構成され、この架橋アクリル樹脂量に対し、熱反応性ウレタンプレポリマーを3〜15質量%含み、前記熱反応性ウレタンプレポリマーが常温で非反応性のイソシアネート基を分子構造中に含み、かつ前記常温非反応性イソシアネート基がイソシアネート基に熱解離性有機化合物が付加したものであることが好ましい。これによって路床または路盤の上に本発明のアスファルト道路補強埋設用メッシュシートを敷設し、この上に加温軟化アスファルト組成物を敷盛する作業工程において、加温アスファルトの蓄熱により、常温非反応性イソシアネート基に付加した熱解離性有機化合物が解離してイソシアネート基を再生し、このイソシアネート基が加温軟化アスファルト組成物と反応することで反応性接着樹脂層が加温軟化アスファルト組成物と密着して、その結果、アスファルトとの接着性に優れ、アスファルト舗装層に作用する曲げ応力や引張応力、剪断応力に抵抗し、その変形を強固に拘束する役割を果たすことを可能とする。特に本発明によるメッシュシートの反応性接着樹脂層が架橋アクリル樹脂を主体に構成されることで耐熱性に富み、150℃〜230℃の加温アスファルト組成物に触れたときに架橋アクリル樹脂自体が溶融してアスファルト組成物と溶融一体化するような界面を形成しないことでアスファルト層からの引き剥がし除去性を確保し、アスファルト層との密着性は熱反応性ウレタンプレポリマー成分が界面接着の役割機能を発揮するので架橋アクリル樹脂自体に強固な接着機能を有する必要がないことが本発明の大きな特徴である。
本発明のアスファルト道路補強埋設用メッシュシートは、前記熱解離性有機化合物が、フェノール系化合物、ラクタム系化合物、オキシム系化合物、活性メチレン化合物、酸アミド系化合物、酸イミド系化合物、イミダゾール系化合物、及びアルコール系化合物から選ばれた1種以上の化合物であることが好ましい。これによって路床または路盤の上に本発明のアスファルト道路補強埋設用メッシュシートを敷設し、この上に加温軟化アスファルト組成物を敷盛する作業工程において、加温アスファルトの蓄熱により、常温非反応性イソシアネート基に付加したこれらの熱解離性有機化合物が解離することでイソシアネート基を再生し、このイソシアネート基が加温軟化アスファルト組成物と反応することで反応性接着樹脂層が加温軟化アスファルト組成物と強固に密着することを可能とする。
本発明のアスファルト道路補強埋設用メッシュシートは、前記反応性接着樹脂層に、ビニルモノマーとα,β−不飽和カルボン酸との共重合体で、このα,β−不飽和カルボン酸に金属イオンを配位してなるアイオノマー樹脂を3〜15質量%含有することが好ましい。これによって特にヘテロ環ポリマー繊維糸条を含んで構成される粗目織物と反応性接着樹脂層との間の密着性を高くすると同時に、アスファルト組成物中に含む砂利や珪砂などとの充填物と反応性接着樹脂層との間の密着性を高くする。これによって粗目織物/反応性接着樹脂層/アスファルト組成物(充填物)全体の密着性が高くなり、特に炎天下の蓄熱状態で、アスファルト舗装層に荷重や揺れ歪みなどの大きな応力が作用した時に、被覆樹脂をアスファルト界面に残したまま繊維束のみが変位するような糸抜け現象を抑止することを可能とする。特に全芳香族ポリアミド繊維織物やヘテロ環ポリマー繊維糸条表面、及び砂利や珪砂などの充填物の表面にアイオノマー樹脂(金属イオンが配位したα,β−不飽和カルボン酸)が強固に密着して効果を発揮する。
本発明のアスファルト道路補強埋設用メッシュシートは、前記粗目織物が、3〜20本のマルチフィラメント糸条を並べて絡み糸で束ねた絡織体を軸糸とする三軸織物、または四軸織物であることが好ましい。これによってアスファルト舗装層に作用する曲げ応力や引張応力、剪断応力を多軸方向に均等に多分散し、その応力に抵抗し、アスファルト舗装層の変形を効果的に拘束し、安定化することを可能とする。
本発明のアスファルト道路補強埋設用メッシュシートは、前記粗目織物が全芳香族ポリアミド繊維糸条、及び/または、ヘテロ環ポリマー繊維糸条を含み、糸条としての含有率が50〜100質量%であることが好ましい。これによってアスファルト舗装層に作用する曲げ応力や引張応力、剪断応力に抵抗し、アスファルト舗装層の変形を拘束安定化することをより可能とする。
本発明のアスファルト道路補強埋設用メッシュシートは、加温したアスファルトの蓄熱により、前記常温非反応性イソシアネート基に付加する前記熱解離性有機化合物が解離してイソシアネート基を再生し、このイソシアネート基が前記アスファルトと反応することで前記反応性接着樹脂層が前記アスファルトと密着していることが好ましい。これによってアスファルトとの接着性を強固なものとし、アスファルト舗装層に作用する曲げ応力や引張応力、剪断応力に抵抗し、その変形を強固に拘束する役割を果たすことを可能とする。
本発明によると、敷設時にアスファルトとの接着性に優れ、アスファルト舗装層に作用する曲げ応力や引張応力、剪断応力に抵抗し、その変形を強固に拘束する役割を果たすもので、老朽アスファルト舗装層補修時には、アスファルト掘削で露出したメッシュシートの引き剥がしが容易なので、新設道路のアスファルト舗装工程に用い、アスファルト舗装層中に埋設させてアスファルトと一体化させる、アスファルト舗装層の補強目的のメッシュシートに極めて有用であり、さらに亀裂の入ったアスファルト舗装道路の部分補修に新規に敷設、あるいは追加敷設して再度アスファルト舗装層中に埋設させて使用する用途にも最適である。特に本発明によるメッシュシートの反応性接着樹脂層が架橋アクリル樹脂を主体に構成されることで耐熱性に富み、150℃〜230℃の加温アスファルト組成物に触れたときに架橋アクリル樹脂自体が溶融してアスファルト組成物と溶融一体化するような界面を形成しないことでアスファルト層からの引き剥がし除去性を確保し、アスファルト層との密着性は熱反応性ウレタンプレポリマー成分が界面接着の役割機能を発揮するので架橋アクリル樹脂自体に強固な接着機能を有する必要はないことが本発明の大きな特徴である。
本発明のアスファルト道路補強埋設用メッシュシートの正面と断面の一部を 示す図 本発明のアスファルト道路補強埋設用メッシュシートの使用例を示す図
本発明のアスファルト道路補強埋設用メッシュシートは、粗目織物を基布として、その全面を被覆する反応性接着樹脂層とで構成された、略四角形または略三角形の空隙を多数有する空隙率50〜95%のネット状の可撓性複合体であって、反応性接着樹脂層が架橋アクリル樹脂を主体に構成され、この架橋アクリル樹脂量に対し、熱反応性ウレタンプレポリマーを含み、この熱反応性ウレタンプレポリマーが常温で非反応性のイソシアネート基を分子構造中に含み、かつ常温非反応性イソシアネート基とはイソシアネート基に特定の熱解離性有機化合物が付加したものである。
本発明のアスファルト道路補強埋設用メッシュシートにおいて、反応性接着樹脂層を構成する架橋アクリル樹脂としては、(メタ)アクリロイル基(以下、アクリロイル基及び/またはメタアクリロイル基を表す記載とする。)を有するエチレン性不飽和単量体から成る熱硬化した樹脂組成物または、(メタ)アクリロイル基を1個有するアクリル酸エステル単量体(メタアクリル酸エステル単量体を含む)と、(メタ)アクリロイル基を少なくとも2個有する架橋性の(メタ)アクリル酸エステル単量体とが共重合した熱硬化した共重合体樹脂組成物であり、(メタ)アクリロイル基による架橋以外に、水酸基、カルボキシル基を架橋点として、メラミン架橋、エポキシ架橋されたものであってもよい。以下の具体的記載において、(メタ)アクリレートの記載はアクリレート及び/またはメタアクリレートを表す記載とする。これらアクリル系共重合体樹脂としては例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、メタアクリル酸アルキルエステル・アクリル酸アルキルエステル共重合体、アクリル酸・メタアクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体が挙げられ、特に(メタ)アクリロイル基を1個有するアクリレートとしては、フェノールエチレンオキサイド変性(n=2または4)(メタ)アクリレート、ノニルフェノールエチレンオキサイド変性(n=1または4)(メタ)アクリレート、ノニルフェノールプロピレンオキサイド変性(n=2.5)(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート、N−ビニル−2−ピロリドンが挙げられ、(メタ)アクリロイル基を2個有するアクリレートとしては、ビスフェノールAエチレンオキサイド変性(n=2)ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性(n=13)ジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートモノステアレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(n=9または14)、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(n=12)、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられ、(メタ)アクリロイル基を3個有するアクリレートとしては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性(n=1または2)トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性(n=1)トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性(n=1または2)トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリス(エチルオキシ(メタ)アクリレート)などが挙げられ、(メタ)アクリロイル基を4個以上有するアクリレートとしては、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
本発明に用いる架橋アクリル樹脂はアクリル系共重合において、スチレン系単量体、アクリロニトリル系単量体、(メタ)アクリルアミド系単量体、塩化ビニリデン単量体などのモノマー単位を副成分に含む多元共重合体も使用でき、これら多元共重合体は具体的に、アクリロニトリル・(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン・(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン・メタアクリル酸アルキルエステル・アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン・アクリロニトリル・(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン・アクリロニトリル・メタアクリル酸アルキルエステル・アクリル酸アルキルエステル共重合体、塩化ビニリデン・(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体などが挙げられ、(メタ)アクリロイル基による架橋以外に、水酸基、カルボキシル基を架橋点として、メラミン架橋、エポキシ架橋されたものであってもよい。
これら架橋アクリル樹脂を構成する(メタ)アクリロイル基を有するエチレン性不飽和単量体は液状であることが好ましく、また(メタ)アクリロイル基を1個有するアクリル酸エステル単量体と、(メタ)アクリロイル基を少なくとも2個有する架橋性の(メタ)アクリル酸エステル単量体との共重合体はポリマーエマルジョン(水を溶媒とするポリマーの乳化分散体)もしくはポリマーディスパージョン(水を溶媒とするポリマーの懸濁分散体)であることが、粗目織物を基布とするメッシュシートの製造に好ましく使用できる。これらアクリル樹脂の架橋硬化にはラジカル重合開始剤としてベンゾイルパーオキシド、ジクミルパーオキサイドなどの過酸化物を用いた加熱硬化法(但しイソシアネート基から熱解離性有機化合物が外れる温度以下とする。)、硬化促進剤としてベンゾイルパーオキサイド/ジメチルアニリンを用いたレドックス系常温硬化法、光重合開始剤としてベンゾフェノン、アセトフェノンなどを用いた紫外線硬化法、電子線硬化法などが可能である。必要に応じてパラトルエンスルホン酸ベンゼンスルホン酸、プロピオン酸、硫酸、塩酸などの酸触媒を重合開始助剤として併用してもよい。このようにして、ポリマーエマルジョン組成物またはポリマーディスパージョン組成物の液浴中に粗目織物を浸漬し、粗目織物全体にポリマー組成物成分を含浸させた後、熱風乾燥などにより水分を除去する工程を1〜3回程度行うことで架橋アクリル樹脂成分を主体とする反応性接着樹脂層を形成することができる。また粗目織物に対してポリマーエマルジョン組成物またはポリマーディスパージョン組成物をスプレー法などによる直接塗工、またはグラビアロールなどによる転写塗工を行った後、熱風乾燥などにより水分を除去する工程を1〜3回程度行うことで架橋アクリル樹脂成分を主体とする反応性接着樹脂層を形成することができる。またこれらの浸漬工程、直接塗工、転写塗工などは適宜組み合わせることができる。また上記ポリマーエマルジョン組成物またはポリマーディスパージョン組成物には、前述した(メタ)アクリロイル基を有する液状のエチレン性不飽和単量体を、ポリマーエマルジョン組成物の固形分、またはポリマーディスパージョン組成物の固形分に対し3〜25質量%の含有率で含むことができる。これによってより架橋アクリル樹脂の架橋密度が増大してメッシュシートの剛性が増し、アスファルト層内に補強埋設されたメッシュシートの熱収縮や位置ずれを抑止することを可能とすると同時に、再工事の際の引き剥がし性を確保することを可能とする。
上記反応性接着樹脂層には、架橋アクリル樹脂成分の含有量を60質量%以上としていれば、共存成分として、レゾルシン−ホルムアルデヒド縮合物、レゾルシン−ホルムアルデヒドラテックス、アスファルト、石油樹脂、非晶質ポリオレフィン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、水素添加スチレン−ブタジエン共重合体、アイオノマー樹脂などを含むことができる。これら共存樹脂は架橋前のアクリル樹脂成分と均一に混合された後、架橋反応が完結されることで、3次元ネットワーク化された架橋アクリル樹脂中に共存樹脂の高分子鎖が雁字搦めされた特殊なハイブリッドポリマーアロイ構造体となる。このハイブリッドポリマーアロイ構造体は第2種有機溶剤、第3種有機溶剤などの有機溶剤に対する耐性を有する。特に上記共存樹脂単体で、特定の有機溶剤に溶解するものであっても、3次元ネットワーク化された架橋アクリル樹脂中に上記共存樹脂の高分子鎖が雁字搦めされた特殊なハイブリッドポリマーアロイを形成することで上記共存樹脂単体自体の溶解、溶出が抑止される。従って、このようなハイブリッドポリマーアロイ形成の簡便的な判断には、何種類かの有機溶剤に浸漬して、その外観変化、質量変化、IRスペクトルピーク強度変化などの浸漬前後値の差を比較し、その結果を利用することができる。特にレゾルシン−ホルムアルデヒド縮合物、レゾルシン−ホルムアルデヒドラテックス、アスファルト、石油樹脂、非晶質ポリオレフィン樹脂などを反応性接着樹脂層内に共存させることによって道路アスファルト層と道路補強埋設用メッシュシートとの密着性を向上させることができる。
また、上記反応性接着樹脂層には、ビニルモノマーとα,β−不飽和カルボン酸との共重合体で、このα,β−不飽和カルボン酸に金属イオンを配位してなるアイオノマー樹脂を3〜15質量%含有することが好ましい。これによって特にヘテロ環ポリマー繊維糸条を含んで構成される粗目織物と反応性接着樹脂層との間の密着性を高くすると同時に、アスファルト組成物中に含む砂利や珪砂などとの充填物と反応性接着樹脂層との間の密着性を高くする。これによって粗目織物/反応性接着樹脂層/アスファルト組成物(充填物)全体の密着性が高くなり、特に炎天下の蓄熱状態で、アスファルト舗装層に荷重や揺れ歪みなどの大きな応力が作用した時に、被覆樹脂をアスファルト界面に残したまま繊維束のみが変位するような糸抜け現象を抑止することを可能とする。特に全芳香族ポリアミド繊維糸条表面、ヘテロ環ポリマー繊維糸条表面、及び砂利や珪砂などの充填物の表面にアイオノマー樹脂(金属イオンが配位したα,β−不飽和カルボン酸)が強固に密着して粗目織物と反応性接着樹脂層との間の接着効果を発揮する。ビニルモノマーとα,β−不飽和カルボン酸との共重合体で、α,β−不飽和カルボン酸に金属イオンを配位してなるアイオノマー樹脂とは、α,β−不飽和カルボン酸の一部若しくは全部を亜鉛、マグネシウム、カルシウム等の2価金属イオン金属陽イオンで中和したアイオノマー樹脂で、具体的に、エチレン・メタクリル酸共重合体(金属イオン源:亜鉛)、エチレン・(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体樹脂(金属イオン源:亜鉛)、などである。
反応性接着樹脂層には、熱反応性ウレタンプレポリマーを3〜15質量%含み、この熱反応性ウレタンプレポリマーが常温で非反応性のイソシアネート基を分子構造中に含み、しかも常温非反応性イソシアネート基がイソシアネート基に熱解離性有機化合物が付加したものであることが好ましい。特に熱解離性有機化合物としては、フェノール系化合物、ラクタム系化合物、オキシム系化合物、活性メチレン化合物、酸アミド系化合物、酸イミド系化合物、イミダゾール系化合物、及びアルコール系化合物から選ばれた1種以上の化合物であることが好ましい。これによって路床または路盤の上に本発明のアスファルト道路補強埋設用メッシュシートを敷設し、この上に加温軟化アスファルト組成物を敷盛する作業工程において、メッシュシートに接触する加温アスファルトの蓄熱加温により、常温非反応性イソシアネート基が活性イソシアネートに変化すること、すなわち熱解離性有機化合物が解離することでイソシアネート基を再生し、このイソシアネート基が加温軟化アスファルト組成物と反応することで反応性接着樹脂層が加温アスファルト組成物と強固に密着することを可能とする。
熱反応性ウレタンプレポリマーは、分子構造の両末端にイソシアネート基を有し(さらに分岐鎖にイソシアネート基を有するものであってもよい)、これら複数のイソシアネート基に熱解離性有機化合物が付加し、常温で非反応性・不活性であることが好ましい。両末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーはポリイソシアネート化合物とポリオールとの重合で得られ、その反応比が官能基数で、僅かにポリイソシアネート化合物量を過剰とすることで合成される。ポリイソシアネート化合物とは、ジイソシアネート化合物、及びトリイソシアネート化合物である。ジイソシアネート化合物としては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネートが挙げられる。トリイソシアネート化合物は、イソシアヌレート変性トリイソシアネート、ビュレット変性トリイソシアネート、トリメチロールアルキル(トリメチロールメタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタンなど)変性トリイソシアネートなどで、芳香族系イソシアネート化合物を原料とするもの、脂肪族イソシアネート化合物を原料とするもの、脂環族イソシアネート化合物を原料とするものなどが挙げられる。またポリオールとしては、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリラクトン系ジオール、ポリカーボネート系ジオールなどの水酸基価40〜400の高分子量ジオールが挙げられる。特にポリエステルジオールは、ジカルボン酸と低分子量ジオールを反応させて得られるものが好ましく、ジカルボン酸には、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸などが使用できる。低分子量ジオールにはエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどが使用できる。特にポリエーテルポリオールは、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコールなどが使用できる。ポリラクトン系ジオールには、各種ラクトンを開環重合して得られるポリカプロラクトングリコール、ポリバレロラクトングリコール、ポリプロピオラクトングリコールなどが使用できる。ポリカーボネート系ジオールには、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどの低分子グリコール類とエチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネートなどとを縮合反応することにより得られるものが使用できる。これら低分子量ジオールの水酸基価は40〜400が好ましい。
上記ウレタンプレポリマーの両末端のイソシアネート基に付加する熱解離性有機化合物を以下に説明する。フェノール系化合物としては具体的に、フェノール、クレゾール、ニトロフェノール、クロロフェノール、エチルフェノール、フェニルフェノールなどから選ばれた1種以上、ラクタム系化合物としては具体的に、2−ピロリドン、ε−カプロラクタムなどから選ばれた1種以上、オキシム系化合物としては具体的に、アセトアルデヒドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトンオキシム、ジアセチルモノオキシム、シクロヘキサノンオキシムなどから選ばれた1種以上、活性メチレン化合物としては具体的に、マロン酸エチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトンなどから選ばれた1種以上、酸アミド系・酸イミド系化合物としては具体的に、アセトアミド、アクリルアミド、アセトアニリド、コハク酸イミド、マレイン酸イミドなどから選ばれた1種以上、イミダゾール系化合物としては具体的に、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾールなどから選ばれた1種以上、アルコール系化合物としては具体的に、メタノール、エタノール、1−ブタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ペンタノール、ベンジルアルコール、メトキシメタノール、2−クロロエタノール、1−クロロ−2−プロパノール、1,3−ジクロロ−2−プロパノールなどから選ばれた1種以上である。これら上記熱解離性有機化合物はイソシアネート基1モル当たり0.8〜2当量で反応配位したものが好ましく、アスファルト盛延時の蓄熱温度で長時間加熱することにより熱解離性有機化合物が外れて活性イソシアネート基が再生し、アスファルトとの接着性を発揮する。使用するアスファルト組成物の加熱温度(例えば150〜230℃)以下で熱解離性有機化合物が外れる条件に適した熱解離性有機化合物を使用する必要、またはアスファルト組成物の加熱温度を熱解離性有機化合物の解離温度以上に設定する必要がある。
本発明において基布としての粗目織物を構成する繊維は、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維、全芳香族ポリアミド繊維、芳香族ヘテロ環ポリマー繊維などの合成繊維、ガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、炭素繊維などの無機繊維など、何れの種類でも使用でき、これらは単独で、或いは2種以上の混用で用いることができる。特に全芳香族ポリアミド繊維糸条、及び/または、芳香族ヘテロ環ポリマー繊維糸条から製織された粗目織物が好ましく、これら全芳香族ポリアミド繊維糸条、及び/または、芳香族ヘテロ環ポリマー繊維糸条の含有率は50〜100質量%であることが好ましい。全芳香族ポリアミド繊維糸条、及び/または、芳香族ヘテロ環ポリマー繊維糸条の含有率が50質量%未満だと得られるメッシュシートの破壊強度が弱くなり、交通渋滞などによりアスファルト道路に掛かる荷重、地震揺れ変形などの外部ストレスを緊張緩和すること、及びアスファルト層の寸法安定化を維持することが困難となることがある。全芳香族ポリアミド繊維糸条は具体的に、ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド(PPTA)繊維、ポリ−p−ベンズアミド(PBA)繊維、p−フェニレン−3,4オキシジフェニレンテレフタルアミド共重合繊維などである。また芳香族ヘテロ環ポリマー繊維糸条は具体的に、ポリ−p−フェニレンベンズビスチアゾール(PBT)繊維、ポリ−p−フェニレンベンズビスオキサゾール(PBO)繊維などである。全芳香族ポリアミド繊維糸条、及び/または、芳香族ヘテロ環ポリマー繊維糸条を粗目織物の構成成分とするときには、特に反応性接着樹脂層に前述のアイオノマー樹脂(ビニルモノマーとα,β−不飽和カルボン酸との共重合体で、このα,β−不飽和カルボン酸に金属イオンを配位してなるもの)を3〜15質量%含有することが粗目織物と反応性接着樹脂層との密着性を向上させる観点において好ましい。
粗目織物は経糸及び緯糸とで製織され、略四角形の形状を有する空孔サイズが1個当たり4〜100cm面積の二軸織編物、経糸及び右バイアス糸及び左バイアス糸とで製織され、略三角形の形状を有する空孔サイズが1個当たり4〜100cm面積の三軸織編物、経糸及び緯糸と右バイアス糸及び左バイアス糸とで製織され、略三角形の形状を有する空孔サイズが1個当たり4〜100cm面積の四軸織編物が使用でき、特に交通渋滞などによりアスファルト道路に掛かる荷重、地震揺れ変形などの外部ストレスを路面全体に均一分散させるためには三軸織編物が二軸織編物よりも好ましく、四軸織編物が三軸織編物よりもより好ましい。これらの粗目織物を構成する繊維糸条の形態はマルチフィラメント糸条で、上記二軸織編物、三軸織編物、四軸織編物において経糸及び緯糸、右バイアス糸及び左バイアス糸の軸糸は1本当たり、各々3本のマルチフィラメント糸条及び/またはモノフィラメント糸条を構成成分とする模紗織、あるいは各々3〜20本のマルチフィラメント糸条及び/またはモノフィラメント糸条を並べて絡み糸で束ねた絡織体である。これらの模紗織及び絡織体を構成するマルチフィラメント糸条の総繊度は、250(278dtex)〜2000(2222dtex)デニールの範囲が好ましく、マルチフィラメント糸条は0〜300回/mの範囲で任意の撚りが掛けられたもの、または無撚りであってもよい。
上記絡織体を軸糸に用いて空隙サイズが4〜100cm面積の二軸織編物を得るには、経糸及び緯糸の打ち込み密度は各々2.5〜13本/10インチ間隔として二軸織編物の空隙率50〜95%とすることが好ましく、同様に上記絡織体を軸糸に用いて空隙サイズが4〜100cm面積の三軸織編物を得るには、経糸及び右バイアス糸及び左バイアス糸の打ち込み密度は各々1.8〜9本/10インチ間隔として三軸織編物の空隙率50〜95%とすることが好ましく、同様に上記絡織体を軸糸に用いて空隙サイズが4〜100cm面積の四軸織編物を得るには、経糸及び緯糸と右バイアス糸及び左バイアス糸の打ち込み密度は各々1.8〜9本/10インチ間隔として四軸織編物の空隙率50〜95%とすることが好ましい。これら粗目織物の空隙率が50%未満だとアスファルト道路補強効果及び寸法安定性に優れる反面、砂利を含むアスファルト組成物をメッシュシート上に盛延する際にメッシュ空隙サイズが小さ過ぎることでアスファルトの充填性、すなわち施工作業性を極端に悪くすることがある。そのためメッシュシートを介在してアスファルト下層とアスファルト上層との密着性を悪くして、歪みや応力が掛かることでメッシュシート界面での剥離事故を生じることがある。また粗目織物の空隙率が95%を越えると空隙サイズが大きくなることで砂利を含むアスファルトの充填性は良好となるが、道路補強効果と寸法安定性は乏しいものとなる。これら粗目織物としての二軸織編物、三軸織編物、四軸織編物において、厚さや質量に特に限定はない。またこれらの粗目織物に含浸かつ被覆形成される反応性接着樹脂層の付着質量は粗目織物の質量を1としたときに、その0.75〜3倍量、特に1〜2倍量が好ましい。反応性接着樹脂層には樹脂成分以外の成分として、無機物粒子(砂、ケイ砂、ガラス粉、シラスバルーンなど)を任意量含むことができ、このような場合には反応性接着樹脂層の付着質量は粗目織物の質量の3倍量程度となってもよい。
本発明によるアスファルト道路補強埋設用メッシュシートを路床または路盤の上に敷設し、この上に加温軟化アスファルト組成物を従来の方法で敷盛する作業工程において、メッシュシートに接触する加温アスファルトの蓄熱加温により、常温非反応性イソシアネート基が活性イソシアネート基に変化すること、すなわち熱解離性有機化合物が解離することでイソシアネート基を再生し、このイソシアネート基が加温軟化アスファルト組成物と反応することで反応性接着樹脂層が加温アスファルト組成物と強固に密着し、その結果、アスファルトとの接着性に優れ、アスファルト舗装層に作用する曲げ応力や引張応力、剪断応力に抵抗し、その変形を強固に拘束する役割を果たすことを可能とする。使用するアスファルト組成物の加熱温度(例えば150〜230℃)以下で熱解離性有機化合物が外れる条件に適した熱解離性有機化合物を使用するか、またはアスファルト組成物の加熱温度を熱解離性有機化合物の解離温度以上に設定することが必要である。
本発明のアスファルト道路補強埋設用メッシュシート(1)について図1と2により説明する。図1は粗目織物(2)を基布として、粗目織物(2)の表裏全面を被覆する反応性接着樹脂層(3)で構成され、反応性接着樹脂層(3)は架橋アクリル樹脂(3−1)を主体に構成され、熱反応性ウレタンプレポリマー(3−2)を含むアスファルト道路補強埋設用メッシュシート(1)の正面と断面の一部を示す図である。図2は本発明のアスファルト道路補強埋設用メッシュシートの道路への施工例を示す図である。
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。下記実施例及び比較例において、試験メッシュシートの加温アスファルトとの密着効果、試験メッシュシートの剥ぎ取り除去性は下記の試験方法により評価した。
試験1)アスファルトとの密着効果(軸糸の耐引き抜き試験)
150〜160℃に加温したストレートアスファルト組成物を試験メッシュシート(タテ25cm×ヨコ25cmサイズ)両面にタテ20cm×ヨコ20cm面積、厚さ約15mmに盛延し(*空隙部へのアスファルト充填性を「良好」「不良」で評価)、これをタテ20cm×ヨコ20cm面積の金属板で挟み100kg/cm)荷重で1時間プレスした後プレス機から開放し、これを常温で24時間放置した。試験メッシュシートの一部が上方に約5cmはみ出した状態のメッシュシート内包アスファルトから経糸軸糸1本(5cmのはみだし部を含む)を中央に含む3cm幅の短冊(3cm幅×25cm)を電気ノコギリで切り出し、これを引張試験片とした。この引張試験片は東洋精機製作所株式会社の万能引張試験機(機種:ストログラフVG)の上部ロードセルに、軸糸はみ出し5cmを固定し、下部ロードセルに試験片本体を標準間隔10cmに固定し、25℃、及び50℃の雰囲気条件下において50mm/minの引張速度で軸糸1本を引き抜いたときの剪断応力を求めた。また軸糸の引き抜き後のアスファルト部の変形状態を観察し、その変形が大きいものほどメッシュの補強効果が大きいもの「良好」、変形が少ないものを「不良」と判定した。
1:30kfg以上
2:25kfg〜30kfg未満
3:15kfg〜25kfg未満
4:15kfg未満
〈アスファルト〉
ストレートアスファルト60〜80質量%:骨材20〜40質量%
※骨材組成
6号砕石 39質量%、7号砕石 18質量%、スクリニングス 17質量%、粗砂 13質量%、細砂 9質量%、石粉 4質量%
試験2)アスファルトからメッシュシートの剥離除去性(補修再工事を想定)
150〜160℃に加温したストレートアスファルト組成物を試験メッシュシート(タテ25cm×ヨコ25cmサイズ)片面にタテ20cm×ヨコ20cm面積、厚さ約15mmに盛延し、これをタテ20cm×ヨコ20cm面積の金属板で挟み100kg/cm)荷重で1時間プレスした後プレス機から開放し、これを常温で24時間放置した。試験メッシュシートの一部が上方に約5cmはみ出し、かつメッシュシートの片面にアスファルトが積層した複合体を試験片とした。この試験片は東洋精機製作所株式会社の万能引張試験機(機種:ストログラフVG)の上部ロードセルにメッシュシート中央5cmに存在する1〜5本の軸糸を固定し、下部ロードセルにアスファルト層を固定し、標準間隔10cmの状態で、25℃の雰囲気条件下において50mm/minの引張速度でメッシュシートを引き剥がしたときの剥離強力(kgf/20cm)を求め下記評価判定した。
1:15kfg未満
2:15kfg〜25kfg未満
3:25kfg〜30kfg未満
4:30kfg以上
〈アスファルト〉
ストレートアスファルト60〜80質量%:骨材20〜40質量%
※骨材組成
6号砕石 39質量%、7号砕石 18質量%、スクリニングス 17質量%、粗砂 13質量%、細砂 9質量%、石粉 4質量%
[実施例1]
1)粗目織物(基布)
引張強度7cN/dtex、破断伸度12%のポリエステル繊維を用いて、経糸は総繊度2000デニール(2222dtex)の合撚糸を3本引揃えた総繊度6000デニール(6666dtex)の糸条、緯糸も総繊度2000デニール(2222dtex)の合撚糸を3本引揃えた総繊度6000デニール(6666dtex)の糸条として、これら糸条を模紗織した経緯2軸織物で、経糸条及び緯糸条の打込密度が5本/10インチ間隔の粗目模紗織物(質量65g/m:空隙率90%:略四角形の空隙部1個当たりの面積が約22cm)を基布に用いた。〈基布1〉
2)次に基布1を被覆する反応性接着樹脂層形成用に下記配合1のアクリル樹脂溶液組成物を配合調整した。
<配合1;反応性接着樹脂層形成用アクリル樹脂溶液組成>
架橋性アクリル樹脂エマルジョン(1)(固形分50質量%) 100質量部
※スチレン・アクリル酸アルキルエステル共重合体(既存化学物質No6-139)
ポリエチレングリコールジアクリレート(n=11:有効成分100質量%)(既存化学物質No7-152)
20質量部
α,β−不飽和カルボン酸共重合体樹脂(Naイオン配位)ディスパージョン
(固形分25質量%) 7質量部
熱反応性ウレタンプレポリマー(1) 7質量部
※ヘキサメチレンジイソシアネートとポリオキシテトラメチレングリコールと
の共重合体で、末端イソシアネート基にメチルエチルケトンオキシム(熱解離
性有機化合物)が付加したもの
カーボンブラック(黒着色剤) 0.5質量部
3)基布1(二軸粗目模紗織物)を配合1の反応性接着樹脂層形成用アクリル樹脂溶液組成物を充填した液浴中に浸漬した後、基布1を液浴外に引き上げると同時にゴム製マングルロールで圧搾し、基布1内部に配合1溶液組成物を強制含浸させ、これを120℃の熱風電気炉内で3分間強制乾燥及びアクリル樹脂成分を架橋させたものを再度配合1の浴中に浸漬し、マングルロールで圧搾及び熱風電気炉内乾燥させて質量49g/mの反応性接着樹脂層を形成し、質量114g/m:空隙率89%:略四角形の空隙部1個当たりの面積が約21cmの二軸メッシュシートを得た。この反応性接着樹脂層内には熱反応性ウレタンプレポリマー(1)が存在し、150℃以上の加熱により活性イソシアネート基を生成可能な状態である。
[実施例2]
実施例1の配合1に用いた架橋性アクリル樹脂エマルジョン(1)100質量部を下記架橋性アクリル樹脂エマルジョン(2)100質量部に変更し、これによる反応性接着樹脂層形成用アクリル樹脂溶液組成を配合2とした以外は、実施例1と同様とし、質量114g/m:空隙率89%:略四角形の空隙部1個当たりの面積が約21cmの二軸メッシュシートを得た。
〈架橋性アクリル樹脂エマルジョン(2)〉
※スチレン・メタクリル酸アルキルエステル・アクリル酸アルキルエステル共重合体(既存化学物質No6-186)
[実施例3]
実施例1の配合1に用いた架橋性アクリル樹脂エマルジョン(1)100質量部を下記架橋性アクリル樹脂エマルジョン(3)100質量部に変更し、これによる反応性接着樹脂層形成用アクリル樹脂溶液組成を配合3とした以外は、実施例1と同様とし、質量114g/m:空隙率89%:略四角形の空隙部1個当たりの面積が約21cmの二軸メッシュシートを得た。
〈架橋性アクリル樹脂エマルジョン(3)〉
※メタクリル酸アルキルエステル・アクリル酸アルキルエステル共重合体(既存化学物質No6-553)
[実施例4]
実施例1の配合1に用いた熱反応性ウレタンプレポリマー(1)7質量部を下記熱反応性ウレタンプレポリマー(2)7質量部に変更し、これによる反応性接着樹脂層形成用アクリル樹脂溶液組成を配合4とした以外は、実施例1と同様とし、質量114g/m:空隙率89%:略四角形の空隙部1個当たりの面積が約21cmの二軸メッシュシートを得た。
〈熱反応性ウレタンプレポリマー(2)〉
※ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体であるイソシアヌレート変性トリ
イソシアネートとポリオキシテトラメチレングリコールとの共重合体で、末端
イソシアネート基にアセト酢酸エチル(熱解離性有機化合物)が付加したもの
[実施例5]
実施例1の配合1に用いた熱反応性ウレタンプレポリマー(1)7質量部を下記熱反応性ウレタンプレポリマー(3)7質量部に変更し、これによる反応性接着樹脂層形成用アクリル樹脂溶液組成を配合5とした以外は、実施例1と同様とし、質量114g/m:空隙率89%:略四角形の空隙部1個当たりの面積が約21cmの二軸メッシュシートを得た。
〈熱反応性ウレタンプレポリマー(3)〉
※ヘキサメチレンジイソシアネートをトリメチロールプロパンに3分子付加し
たトリメチロールプロパン変性トリイソシアネートとポリオキシテトラメチレ
ングリコールとの共重合体で、末端イソシアネート基に2−ピロリドン(熱解
離性有機化合物)が付加したもの
[実施例6〜10]
実施例1〜5において使用した基布1を下記基布2に変更した以外は、各々実施例1〜5と同様にして質量132g/m:空隙率89%:略四角形の空隙部1個当たりの面積が約21cmの二軸メッシュシート(実施例6〜10)を得た。※実施例1→実施例6、実施例2→実施例7、実施例3→実施例8、実施例4→実施例9、実施例5→実施例10
〈粗目織物(基布2)〉
経糸は総繊度2000デニール(2222dtex)の合撚糸を3本引揃えた総繊度6000デニール(6666dtex)の全芳香族ポリアミド繊維(ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド)糸条、緯糸も総繊度2000デニール(2222dtex)の合撚糸を3本引揃えた総繊度6000デニール(6666dtex)の全芳香族ポリアミド繊維(ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド)糸条として、これら糸条を模紗織した経緯2軸織物で、経糸条及び緯糸条の打込密度が5本/10インチ間隔の粗目模紗織物(質量83g/m:空隙率90%:略四角形の空隙部1個当たりの面積が約22cm)を基布に用いた。
[実施例11〜15]
実施例1〜5において使用した基布1を下記基布3に変更した以外は、各々実施例1〜5と同様にして質量136g/m:空隙率87%:略三角形の空隙部1個当たりの面積が約19cmの三軸メッシュシート(実施例11〜15)を得た。※実施例1→実施例11、実施例2→実施例12、実施例3→実施例13、実施例4→実施例14、実施例5→実施例15
〈粗目織物(基布3)〉
引張強度7cN/dtex、破断伸度12%のポリエステル繊維を用いて、経糸は総繊度2000デニール(2222dtex)の合撚糸を3本引揃えた総繊度6000デニール(6666dtex)の糸条、バイアス糸も総繊度2000デニール(2222dtex)の合撚糸を3本引揃えた総繊度6000デニール(6666dtex)の糸条として、これら糸条を模紗織した三軸織物で、経糸条及び左上・右上バイアス糸条の打込密度が4本/10インチ間隔の粗目模紗織物(質量78g/m:空隙率88%:略三角形の空隙部1個当たりの面積が約20cm)を基布に用いた。
[実施例16〜20]
実施例1〜5において使用した基布1を下記基布4に変更した以外は、各々実施例1〜5と同様にして質量177g/m:空隙率87%:略三角形の空隙部1個当たりの面積が約19cmの三軸メッシュシート(実施例16〜20)を得た。※実施例1→実施例16、実施例2→実施例17、実施例3→実施例18、実施例4→実施例19、実施例5→実施例20
〈粗目織物(基布4)〉
経糸は総繊度2000デニール(2222dtex)の合撚糸を3本引揃えた総繊度6000デニール(6666dtex)の全芳香族ポリアミド繊維(ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド)糸条、バイアス糸も総繊度2000デニール(2222dtex)の合撚糸を3本引揃えた総繊度6000デニール(6666dtex)の全芳香族ポリアミド繊維(ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド)糸条として、これら糸条を模紗織した三軸織物で、経糸条及び左上・右上バイアス糸条の打込密度が4本/10インチ間隔の粗目模紗織物(質量101g/m:空隙率88%:略三角形の空隙部1個当たりの面積が約20cm)を基布に用いた。
[実施例21〜25]
実施例1〜5において使用した基布1を下記基布5に変更した以外は、各々実施例1〜5と同様にして質量144g/m:空隙率86%:略三角形の空隙部1個当たりの面積が約15cmの四軸メッシュシート(実施例21〜25)を得た。※実施例1→実施例21、実施例2→実施例22、実施例3→実施例23、実施例4→実施例24、実施例5→実施例25
〈粗目織物(基布5)〉
引張強度7cN/dtex、破断伸度12%のポリエステル繊維を用いて、経糸及び緯糸は総繊度2000デニール(2222dtex)の合撚糸を3本引揃えた総繊度6000デニール(6666dtex)の糸条、左上・右上バイアス糸も総繊度2000デニール(2222dtex)の合撚糸を3本引揃えた総繊度6000デニール(6666dtex)の糸条として、これら糸条を模紗織した四軸織物で、経糸条及び緯糸、及びバイアス糸条の打込密度が3本/10インチ間隔の粗目模紗織物(質量82g/m:空隙率87%:略三角形の空隙部1個当たりの面積が約16cm)を基布に用いた。
[実施例26〜30]
実施例1〜5において使用した基布1を下記基布6に変更した以外は、各々実施例1〜5と同様にして質量187g/m:空隙率86%:略三角形の空隙部1個当たりの面積が約15cmの四軸メッシュシート(実施例26〜30)を得た。※実施例1→実施例26、実施例2→実施例27、実施例3→実施例28、実施例4→実施例29、実施例5→実施例30
〈粗目織物(基布6)〉
経糸及び緯糸は総繊度2000デニール(2222dtex)の合撚糸を3本引揃えた総繊度6000デニール(6666dtex)の全芳香族ポリアミド繊維(ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド)糸条、左上・右上バイアス糸も総繊度2000デニール(2222dtex)の合撚糸を3本引揃えた総繊度6000デニール(6666dtex)の全芳香族ポリアミド繊維(ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド)糸条として、これら糸条を模紗織した四軸織物で、経糸条及び緯糸状、及びバイアス糸条の打込密度が3本/10インチ間隔の粗目模紗織物(質量107g/m:空隙率87%:略三角形の空隙部1個当たりの面積が約16cm)を基布に用いた。
実施例1〜30のメッシュシートをアスファルト組成物に密着させ、軸糸の耐引き抜き試験によりメッシュシートの位置固定性(グリップ性)を評価した結果、実施例1〜30のメッシュシート個々の反応性接着樹脂層に含む熱反応性ウレタンプレポリマーが熱で作用し、この熱反応性ウレタンプレポリマーが再生する活性イソシアネート基がアスファルト組成物と反応することで反応性接着樹脂層がアスファルト組成物と強く密着し、その結果、アスファルト組成物に個々のメッシュシートが強くグリップして位置固定されることで、アスファルト舗装層に用いたときに直接荷重作用する車体重量による撓みや地震による揺れモーメント変化、曲げ応力や引張応力、剪断応力などに抵抗し、位置変位や変形を強固に拘束する役割を果たすであろう良好な抵抗数値を試験1で得ることができた。また補修再工事を想定した、アスファルトからメッシュシートを剥離除去する際の容易性を評価した試験2では、実施例1〜30のメッシュシート個々の反応性接着樹脂層が架橋アクリル樹脂を主体に構成されることで耐熱性に富み、150℃〜230℃の加温アスファルト組成物に触れたときに架橋アクリル樹脂自体が溶融してアスファルト組成物と溶融一体化するような界面を形成しないことでアスファルト層からの引き剥がし除去性を確保し、アスファルト層との密着性は熱反応性ウレタンプレポリマー成分が界面接着の役割機能を発揮するので架橋アクリル樹脂自体に強固な接着機能を必要としないことが本発明の大きな特徴である。また、実施例1の配合1に使用し、配合1のバリエーションとして実施例2〜30にも使用した「α,β−不飽和カルボン酸共重合体樹脂(Naイオン配位)ディスパージョン」7質量部を省略したものを各々実施例31〜60とした。
実施例31〜60のメッシュシートはアスファルト組成物に対して個々のメッシュシートが強くグリップして位置固定され、かつ、アスファルト層からの引き剥がし除去性も確保するもので実用に支障の無い優れたものであった。しかし全般的に実施例1〜30のメッシュシートよりもアスファルト組成物との密着性が実施例1〜30のメッシュシートの数値よりも5〜15%程度低目であったが、特にアスファルト層からの引き剥がし除去性は実施例1〜30のメッシュシートの数値よりも5〜15%程度軽減され向上していた。また特に実施例6〜10で使用した全芳香族ポリアミド繊維織物(基布2:二軸織物)、実施例16〜20で使用した全芳香族ポリアミド繊維織物(基布4:三軸織物)、実施例26〜30で使用した全芳香族ポリアミド繊維織物(基布6:四軸織物)に対する反応性接着樹脂層の含浸被覆の接着効果が、基布2を使用した実施例36〜40、基布4を使用した実施例46〜50、基布6を使用した実施例56〜60では「α,β−不飽和カルボン酸共重合体樹脂(Naイオン配位)」を省略したことで5〜15%程度低目の値となっていたが実用性も問題は無く、またアスファルト層からの引き剥がし除去性も容易であった。以上より全芳香族ポリアミド繊維織物やヘテロ環ポリマー繊維糸条表面、及び砂利や珪砂などの充填物の表面にアイオノマー樹脂(金属イオンが配位したα,β−不飽和カルボン酸)が強固に密着して効果を発揮する効果が実施例1〜30及び実施例31〜60との対比により確認された。
[比較例1]
実施例1の配合1から熱反応性ウレタンプレポリマー(1)成分7質量部:ヘキサメチレンジイソシアネートとポリオキシテトラメチレングリコールとの共重合体で、末端イソシアネート基にメチルエチルケトンオキシム(熱解離性有機化合物)が付加したもの:を省略した以外は実施例1と同様として、質量114g/m:空隙率89%:空隙部面積21cmの二軸メッシュシートを得た。このメッシュシートはアスファルト組成物との接着性に乏しく、補修時を想定したアスファルトからの引き剥がし除去性に優れていたが、本質的にアスファルト層内での接着性と固定安定性が不足しているため、車両荷重や地震揺れモーメントによる応力による位置ズレを起し易く、道路補強埋設用には不適切なものであった。従って比較例1のメッシュシートではアスファルト層との接着性を維持し、かつアスファルト層からの引き剥がし除去性とを両立するものではない。
[比較例2]
実施例1の配合1から熱反応性ウレタンプレポリマー(1)成分7質量部を省略し、替わりにヘキサメチレンジイソシアネートとポリオキシテトラメチレングリコールとの共重合体(※末端イソシアネート基に熱解離性有機化合物を付加していない)ものを7質量部配合した以外は実施例1と同様として、質量114g/m:空隙率89%:空隙部面積21cmの二軸メッシュシートを得た。このメッシュシートでは末端イソシアネート基に熱解離性有機化合物を付加していないため、イソシアネート基が製造時の加熱、および製造後の湿度(水分)によりイソシアネート基が反応して、試験時には不活性化したものとなったため、アスファルト層内での接着性と固定安定性が根本的に不足し、車両荷重や地震揺れモーメントによる応力による位置ズレを起し易く、道路補強埋設用には不適切なものとなり、ヘキサメチレンジイソシアネートとポリオキシテトラメチレングリコールとの共重合体を配合したこと自体が無意味であった。但し補修時を想定したアスファルトからの引き剥がし除去性にだけは優れていた。従って比較例2のメッシュシートではアスファルト層との接着性を維持し、かつアスファルト層からの引き剥がし除去性とを両立するものではない。
[比較例3]
実施例1の配合1から架橋アクリル成分:架橋性アクリル樹脂エマルジョン(1)100質量部※スチレン・アクリル酸アルキルエステル共重合体(既存化学物質No6-139)及びポリエチレングリコールジアクリレート(n=11)(既存化学物質No7-152)20質量部を省略し、替わりに非架橋性アクリル樹脂エマルジョン100質量部※アクリル酸アルキルエステル共重合体(固形分50質量%)150質量部に置き換えた以外は実施例1と同様として、質量114g/m:空隙率89%:空隙部面積21cmの二軸メッシュシートを得た。このメッシュシートでは非架橋性アクリル樹脂を用いたことで、加温アスファルト組成物に接触した際に、メッシュシートの反応性接着樹脂層が溶融し、アスファルト組成物界面で溶融一体化することで、アスファルト組成物との接着性が熱反応性ウレタンプレポリマーの役割作用に加えてより向上したものとなったが、過剰な接着効果は補修時を想定したアスファルトからの引き剥がし除去性を予想以上に悪化させるものであった。
従って比較例3のメッシュシートではアスファルト層との接着性を維持し、かつアスファルト層からの引き剥がし除去性とを両立するものではない。
[比較例4〜8]
実施例11〜15の三軸メッシュシートにおいて、空隙率88%:空隙部面積20cmの三軸粗目織物(基布3)を、空隙率38%:空隙部面積5cm三軸粗目織物(基布7)に変更した以外は実施例11〜15と同様とした。比較例4〜8のメッシュシート個々はアスファルト層との接着性を維持し、かつアスファルト層からの引き剥がし除去性とを両立するものであったが、空隙率及び空隙部面積が小さく、このため道路舗装工事現場でのアスファルト盛延作業時にメッシュシート空隙部に砂利や砕石などの骨材を含むアスファルト組成物を均一に充填する作業が困難となり、その結果空隙部を介在するアスファルト組成物に隙間を多発することでアスファルト層内でのメッシュシートの固定性及び位置安定性を悪くするものであった。
〈粗目織物(基布7)〉
引張強度7cN/dtex、破断伸度12%のポリエステル繊維を用いて、経糸は総繊度2000デニール(2222dtex)の合撚糸を3本引揃えた総繊度6000デニール(6666dtex)の糸条、バイアス糸も総繊度2000デニール(2222dtex)の合撚糸を3本引揃えた総繊度6000デニール(6666dtex)の糸条として、これら糸条を模紗織した三軸織物で、経糸条及びバイアス糸条の打込密度が8本/10インチ間隔の粗目模紗織物(質量195g/m:空隙率38%:空隙部面積5cm)を基布に用いた。
[比較例9〜13]
実施例11〜15の三軸メッシュシートにおいて、空隙率88%:空隙部面積20cmの三軸粗目織物(基布3)を、空隙率99%:空隙部面積312cm三軸粗目織物(基布8)に変更した以外は実施例11〜15と同様とした。比較例9〜13のメッシュシート個々はアスファルト層との接着性を維持し、かつアスファルト層からの引き剥がし除去性とを両立するものであったが、空隙率及び空隙部面積が大き過ぎ、このため道路舗装工事現場でのアスファルト盛延作業時にメッシュシート空隙部に砂利や砕石などの骨材を含むアスファルト組成物を均一に充填する作業は容易であったが、メッシュシートの実体部が少な過ぎてアスファルト層内でのメッシュシートの補強効果が不十分なものであった。
〈粗目織物(基布8)〉
引張強度7cN/dtex、破断伸度12%のポリエステル繊維を用いて、経糸は総繊度2000デニール(2222dtex)の合撚糸を3本引揃えた総繊度6000デニール(6666dtex)の糸条、バイアス糸も総繊度2000デニール(2222dtex)の合撚糸を3本引揃えた総繊度6000デニール(6666dtex)の糸条として、これら糸条を模紗織した三軸織物で、経糸条及びバイアス糸条の打込密度が1本/10インチ間隔の粗目模紗織物(質量20g/m:空隙率99%:空隙部面積312cm)を基布に用いた。
本発明により得られるアスファルト道路補強埋設用メッシュシートは、敷設時にアスファルトとの接着性に優れ、アスファルト舗装層に作用する曲げ応力や引張応力、剪断応力に抵抗し、その変形を強固に拘束する役割を果たすもので、老朽アスファルト舗装層補修時には、アスファルト掘削で露出したメッシュシートの引き剥がしが容易なので、新設道路のアスファルト舗装工程に用い、アスファルト舗装層中に埋設させてアスファルトと一体化させる、アスファルト舗装層の補強目的のメッシュシートに極めて有用であり、さらに亀裂の入ったアスファルト舗装道路の部分補修に新規に敷設、あるいは追加敷設して再度アスファルト舗装層中に埋設させて使用する用途にも最適である。特に本発明によるメッシュシートの反応性接着樹脂層が架橋アクリル樹脂を主体に構成されることで耐熱性に富み、150℃〜230℃の加温アスファルト組成物に触れたときに架橋アクリル樹脂自体が溶融してアスファルト組成物と溶融一体化するような界面を形成しないことでアスファルト層からの引き剥がし除去性を確保し、アスファルト層との密着性は熱反応性ウレタンプレポリマー成分が界面接着の役割機能を発揮するので架橋アクリル樹脂自体に強固な接着機能を有する必要はないことが本発明の大きな特徴である。
1:アスファルト道路補強埋設用メッシュシート
1−1:実体部
1−2:空隙部
2:粗目織物(基布)
3:反応性接着樹脂層
3−1:架橋アクリル樹脂
3−2:熱反応性ウレタンプレポリマー
4:アスファルト
4−1:アスファルト表層
4−2:アスファルト基層
5:路床
6:路盤

Claims (6)

  1. 粗目織物を基布として、その全面を被覆する反応性接着樹脂層とで構成された、略四角形または略三角形の空隙を多数有する空隙率50〜95%のネット状の可撓性複合体であって、前記反応性接着樹脂層が架橋アクリル樹脂を主体に構成され、この架橋アクリル樹脂量に対し、熱反応性ウレタンプレポリマーを3〜15質量%含み、前記熱反応性ウレタンプレポリマーが常温で非反応性のイソシアネート基を分子構造中に含み、かつ前記常温非反応性イソシアネート基がイソシアネート基に熱解離性有機化合物が付加したものであることを特徴とするアスファルト道路補強埋設用メッシュシート。
  2. 前記熱解離性有機化合物が、フェノール系化合物、ラクタム系化合物、オキシム系化合物、活性メチレン化合物、酸アミド系化合物、酸イミド系化合物、イミダゾール系化合物、及びアルコール系化合物から選ばれた1種以上の化合物である請求項1に記載のアスファルト道路補強埋設用メッシュシート。
  3. 前記反応性接着樹脂層に、ビニルモノマーとα,β−不飽和カルボン酸との共重合体で、このα,β−不飽和カルボン酸に金属イオンを配位してなるアイオノマー樹脂を3〜15質量%含有する請求項1または2に記載のアスファルト道路補強埋設用メッシュシート。
  4. 前記粗目織物が、3〜20本のマルチフィラメント糸条を並べて絡み糸で束ねた絡織体を軸糸とする三軸織物、または四軸織物である請求項1〜3のいずれか1項に記載のアスファルト道路補強埋設用メッシュシート。
  5. 前記粗目織物が全芳香族ポリアミド繊維糸条、及び/または、ヘテロ環ポリマー繊維糸条を含み、糸条としての含有率が50〜100質量%である請求項4に記載のアスファルト道路補強埋設用メッシュシート。
  6. 加温したアスファルトの蓄熱により、前記常温非反応性イソシアネート基に付加する前記熱解離性有機化合物が解離してイソシアネート基を再生し、このイソシアネート基が前記アスファルトと反応することで前記反応性接着樹脂層が前記アスファルトと密着している、請求項1〜5の何れか1項に記載のアスファルト道路補強埋設用メッシュシート。
JP2014000019A 2014-01-06 2014-01-06 道路補強埋設用メッシュシート Active JP6248327B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014000019A JP6248327B2 (ja) 2014-01-06 2014-01-06 道路補強埋設用メッシュシート

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014000019A JP6248327B2 (ja) 2014-01-06 2014-01-06 道路補強埋設用メッシュシート

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015129368A JP2015129368A (ja) 2015-07-16
JP6248327B2 true JP6248327B2 (ja) 2017-12-20

Family

ID=53760280

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014000019A Active JP6248327B2 (ja) 2014-01-06 2014-01-06 道路補強埋設用メッシュシート

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6248327B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101864635B1 (ko) * 2016-08-30 2018-06-07 주식회사 유시티 방수고화매트 조성물 및 그 조성물이 적용된 방수고화매트의 제조방법
KR101883691B1 (ko) * 2017-08-24 2018-07-31 (주)에프투비 핫멜트 접착시트를 이용한 아스팔트 보강재 제조장치
JP7224200B2 (ja) * 2019-02-12 2023-02-17 前田工繊株式会社 アスファルト舗装の構造
JP7436029B2 (ja) 2020-11-12 2024-02-21 平岡織染株式会社 高強度ターポリンの基布の回収方法
KR102600851B1 (ko) * 2023-04-12 2023-11-10 (주)리빌텍이엔씨 분리형격자구조를 가지는 보호층을 구비하는 시공성 및 경제성이 개선된 교면방수공법

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05125733A (ja) * 1990-12-26 1993-05-21 Asahi Chem Ind Co Ltd 土木工事用の網状成形体
JP2935650B2 (ja) * 1995-07-14 1999-08-16 平岡織染株式会社 繊維構造物
DE19812475A1 (de) * 1998-03-23 1999-10-07 Lueckenhaus Tech Textilien Gmb Gittergewebe
JP3411265B2 (ja) * 2000-09-20 2003-05-26 綾羽株式会社 アスファルト舗装道路における補強シートの敷設固定方法
JP4268573B2 (ja) * 2004-07-07 2009-05-27 田島ルーフィング株式会社 アスファルトルーフィング用不織布補強剤及びアスファルトルーフィング用不織布成型物

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015129368A (ja) 2015-07-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6248327B2 (ja) 道路補強埋設用メッシュシート
AU2008236152B2 (en) Polypropylene fiber, method of producing the same and utilization of the same
JPH05332032A (ja) コンクリート製電柱の補修方法
EP0803531B1 (en) Waterproof material and method for applying it
WO2015151919A1 (ja) 繊維強化複合材料
KR100618719B1 (ko) 포장도로의 보강, 보수용 지오그리드 및 그 제조방법
JP4929385B2 (ja) 床版防水工法の施工法
US20120149264A1 (en) Composite Reinforcement for Roofing Membranes
JP4347757B2 (ja) コンクリート剥落防止用メッシュ状布帛とこれを用いたコンクリート剥落防止工法
JPH1071661A (ja) 防水材および防水層の施工方法
JP3630380B2 (ja) 既存構造物の補修補強方法
JP3732590B2 (ja) 既存構造物の補修補強方法及びそれに用いる補修補強材
JP2011179197A (ja) コンクリート剥落防止用ネットの固定具
JP2011073932A (ja) コンクリートの劣化防止表面被覆工法
JP3322371B2 (ja) 熱硬化性樹脂製複合被覆構造体及びその施工方法
JP2019024348A (ja) 防草シート
JPH04327272A (ja) 格子状シート
JP2002088342A (ja) 光硬化性床版防水材料、床版防水舗装構造体及び施工方法
JPH06193281A (ja) 一方向配列強化繊維シートによるコンクリート補修方法
JPH09250086A (ja) 防炎性樹脂加工布
JP2671943B2 (ja) 既設経年劣化防水シートの延命修復施工法及び延命修復用塗布材料
JP2001323646A (ja) 長尺床材
JPH08295856A (ja) 粘着テープもしくはシート
KR102277696B1 (ko) 콘크리트 구조물 보강용 난연성 접착제 조성물 및 이를 이용한 콘크리트 구조물의 보강방법
JP3779764B2 (ja) 構造物の補修補強方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20161214

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20171013

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20171030

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20171031

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6248327

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250