JP4267438B2 - 誘電体磁器組成物、電子部品及びこれらの製造方法 - Google Patents

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本発明は、例えば積層セラミックコンデンサの誘電体層などとして用いられる誘電体磁器組成物及びその製造方法と、その誘電体磁器組成物を誘電体層として用いる電子部品及びその製造方法とに関する。
電子部品の一例である積層セラミックコンデンサの誘電体層を構成する誘電体磁器組成物は、強誘電体であるBaTiOや、常誘電体であるSrTiO、CaTiO、CaSrZrO、CaZrO、SrZrO、TiO、NdTiOなどの各種誘電体酸化物を含んで構成される。
近年、耐還元性の誘電体磁器組成物が開発された。この耐還元性の誘電体磁器組成物によれば、低酸素分圧である中性〜還元性雰囲気下で焼成しても半導体化せず、内部電極の材料としてNiやCuなどの卑金属を用いることができる。
この種の誘電体磁器組成物としては、CaSr−ZrTi−Mn系材料が知られており(特許文献1参照)、通常は、主成分としての誘電体酸化物の他に、焼結性を促進するための焼結助剤を加えた上で、例えば1300℃以上の高温で焼成されていた。
しかしながら、焼成温度が高いと、以下の不都合を生じる。
第1に、内部電極の材料であるNiなどの卑金属の融点以上、あるいはそれに近い温度域となり、その結果、誘電体磁器組成物とともに同時焼成される卑金属粒子の溶融、球状化が進み、内部電極層のライン性が劣化する、すなわち内部電極層に途切れを発生するといった不都合を生じる要因ともなる。内部電極層のライン性が悪化すると、得られるコンデンサの比誘電率が低下し、結果的に静電容量の低下を招き、最終的には高容量化・薄層化に対応できない。
第2に、焼成炉そのものの価格も高価な上に、用いる焼成炉の損傷も激しくなり、焼成炉の保守や管理コストなどが使用時間の経過につれて増加するとともに、磁器化に要するエネルギーコストも膨大になってしまう。
このような理由から、焼成温度をできる限り低くすることが望ましい。
その一方で、焼成温度をあまりに低くしすぎると、磁器化を行うにあたり緻密化できず、十分な特性を持つ誘電体磁器組成物が得られない。
したがって、誘電体磁器組成物の緻密化を損なうことなく、より一層低温で焼成することが求められる。
特開昭60−131708号公報
本発明の目的は、低温(例えば1250℃以下)で焼成しても各種電気特性を損なうことなく緻密化した誘電体磁器組成物を得ることができる誘電体磁器組成物の製造方法と、該方法により得られる誘電体磁器組成物と、該誘電体磁器組成物を誘電体層として用いるチップコンデンサなどの電子部品の製造方法と、該方法により得られる電子部品とを、提供することである。
上記目的を達成するために、本発明によれば、
組成式〔(CaSr1−x )O〕m 〔(TiZr1−y−z Hf)O〕で示され、該式中の組成モル比を表す記号x、y、z、mが、0.5≦x≦1.0、0.01≦y≦0.10、0<z≦0.20、0.90≦m≦1.04である誘電体酸化物と、酸化マンガンと、酸化アルミニウムと、焼結助剤と、を有する誘電体磁器組成物を製造する方法であって、
SiOを主成分とし、さらにMO(ただし、Mは、Ba、Ca、Sr及びMgの少なくとも1種)を含む第1ガラス組成物と、
、Al、ZnO及びSiOを含んで構成され、1.5μm以下の平均粒径を持つ第2ガラス組成物と、
を有する焼結助剤を用いて、誘電体磁器組成物を製造することを特徴とする誘電体磁器組成物の製造方法が提供される。
本発明によれば、
組成式〔(CaSr1−x )O〕m 〔(TiZr1−y−z Hf)O〕で示され、該式中の組成モル比を表す記号x、y、z、mが、0.5≦x≦1.0、0.01≦y≦0.10、0<z≦0.20、0.90≦m≦1.04である誘電体酸化物と、酸化マンガンと、酸化アルミニウムと、焼結助剤と、を有する誘電体磁器組成物を製造する方法であって、
SiOを主成分とし、さらにMO(ただし、Mは、Ba、Ca、Sr及びMgの少なくとも1種)を含む第1ガラス組成物と、
、Al、ZnO及びSiOを含んで構成され、1.5μm以下の平均粒径を持つ第2ガラス組成物と、
を有する焼結助剤を用い、
少なくとも第2ガラス組成物を、誘電体酸化物を得るために準備された出発原料と混合し、反応前原料を準備する工程と、
準備された反応前原料を反応させ、反応済み原料を含む誘電体磁器組成物原料を得る工程と、
を有する誘電体磁器組成物の製造方法が提供される。
反応前原料を準備する際に混合される原料は、焼結助剤中の少なくとも第2ガラス組成物であればよい。好ましくは焼結助剤中の第1〜2ガラス組成物であり、より好ましくは少なくとも焼結助剤であり、最も好ましくは上記特定組成の誘電体酸化物を除くすべての原料である。
反応前原料に混合される少なくとも第2ガラス組成物は、最終組成に対する全量が好ましいが、その一部であってもよい。
本発明において、「反応前原料を反応させる方法」としては、固相法(例えば仮焼き法)や液相法が挙げられる。固相法とは、主成分原料を得るために準備された、例えばBaCO、TiOなどの出発原料を、必要に応じて副成分の原料とともに所定量秤量して混合、仮焼き、粉砕して、仮焼き済み原料を得る方法である。液相法としては、しゅう酸塩法、水熱合成法、ゾルゲル法などが挙げられる。中でも固相法により得られる反応済み原料を用いることが好ましい。
好ましくは、前記第2ガラス組成物がNaOをさらに含む。
好ましくは、前記第2ガラス組成物が、10〜35重量%のBと、5〜25重量%のAlと、10〜60重量%のZnOと、0〜15重量%のNaOと、5〜35重量%のSiOとを、含む。
好ましくは、誘電体酸化物100モルに対して、0.5〜15モルの第1ガラス組成物と、誘電体酸化物100重量%に対して、0.1〜10重量%の第2ガラス組成物と、を有する焼結助剤を用いる。
好ましくは、組成式〔(CaSr1−x )O〕m 〔(TiZr1−y−z Hf)O〕で示され、該式中の組成モル比を表す記号x、y、z、mが、0.5≦x≦1.0、0.01≦y≦0.10、0<z≦0.20、0.90≦m≦1.04である誘電体酸化物と、酸化マンガンと、酸化アルミニウムと、第1ガラス組成物及び第2ガラス組成物を含む焼結助剤と、を有し、
誘電体酸化物100モルに対して、酸化マンガンをMnOに換算して0.2〜5モル、酸化アルミニウムをAlに換算して0.1〜10モル、第1ガラス組成物を0.5〜15モル、含有し、
誘電体酸化物100重量%に対して、第2ガラス組成物を0.1〜10重量%、含有する誘電体磁器組成物を製造する。
好ましくは、誘電体磁器組成物が、さらに酸化バナジウムを、誘電体酸化物100モルに対して、Vに換算して0〜2.5モル(ただし0モルを除く)含有する。
好ましくは、誘電体磁器組成物が、さらに希土類元素の酸化物を、誘電体酸化物100モルに対して、希土類元素換算で0.02〜1.5モル含有する。
好ましくは、誘電体磁器組成物が、さらにNb、Mo、Ta、WおよびMgの内の少なくとも1つの酸化物を、誘電体酸化物100モルに対して、該Nb、Mo、Ta、WおよびMg換算で0.02〜1.5モル含有する。
好ましくは、1250℃以下の焼成温度で誘電体磁器組成物を製造する。
本発明で特に好ましい態様によれば、
組成式〔(CaSr1−x )O〕m 〔(TiZr1−y−z Hf)O〕で示され、該式中の組成モル比を表す記号x、y、z、mが、0.5≦x≦1.0、0.01≦y≦0.10、0<z≦0.20、0.90≦m≦1.04である誘電体酸化物と、酸化マンガンと、酸化アルミニウムと、酸化バナジウムと、希土類元素の酸化物と、Nb、Mo、Ta、WおよびMgの内の少なくとも1つの酸化物と、焼結助剤と、を有し、
誘電体酸化物100モルに対して、酸化マンガンをMnOに換算して0.2〜5モル、酸化アルミニウムをAlに換算して0.1〜10モル、酸化バナジウムをVに換算して0〜2.5モル(ただし0モルを除く)、希土類元素の酸化物を希土類元素に換算して0.02〜1.5モル、Nb、Mo、Ta、WおよびMgの内の少なくとも1つの酸化物を該Nb、Mo、Ta、WおよびMgに換算して0.02〜1.5モル、含有する誘電体磁器組成物を製造する方法であって、
SiOを主成分とし、さらにMO(ただし、Mは、Ba、Ca、Sr及びMgの少なくとも1種)を含み、誘電体酸化物100モルに対して0.5〜15モルの第1ガラス組成物と、
10〜35重量%のB、5〜25重量%のAl、10〜60重量%のZnO、0〜15重量%のNaO及び5〜35重量%のSiOを含んで構成され、1.5μm以下の平均粒径を持ち、誘電体酸化物100重量%に対して0.1〜10重量%の第2ガラス組成物と、
を有する焼結助剤を用い、
少なくとも第2ガラス組成物を、誘電体酸化物を得るために準備された出発原料と混合し、反応前原料を準備する工程と、
準備された反応前原料を反応させ、反応済み原料を含む誘電体磁器組成物原料を得る工程と、
得られた誘電体磁器組成物原料を焼成温度1250℃以下の温度で焼成し、誘電体磁器組成物を製造する工程と、
を有する誘電体磁器組成物の製造方法が提供される。
上記いずれかの方法により得られる誘電体磁器組成物を構成する誘電体粒子は、0.8μm以下の平均結晶粒径を持つ。この平均結晶粒径は、例えばコード法などにより算出される。
本発明者らは、第2ガラス組成物を含む焼結助剤を用いることで、得られる誘電体磁器組成物を構成する誘電体粒子の平均結晶粒径が制御され、その結果、この誘電体磁器組成物を用いて製造された積層セラミックコンデンサなどの電子部品の静電容量を向上させることができることを見出した。
すなわち、本発明によれば、上記いずれかの方法により得られる0.8μm以下の平均結晶粒径を持つ誘電体粒子を有する誘電体磁器組成物が提供される。
本発明によれば、誘電体磁器組成物で構成してある誘電体層と、卑金属を主成分とする内部電極層とを有する電子部品を製造する方法であって、誘電体磁器組成物が、上記いずれかの方法により製造されることを特徴とする電子部品の製造方法が提供される。
本発明によれば、誘電体磁器組成物で構成してある誘電体層と、卑金属を含む内部電極層とを有する電子部品であって、誘電体磁器組成物が、上記いずれかに記載の誘電体磁器組成物である、電子部品が提供される。
電子部品としては、特に限定されないが、積層セラミックコンデンサ、積層圧電素子、その他の表面実装(SMD)チップ型電子部品が例示される。
本発明者らは、従来から使用されている焼結助剤に加えて、特定のガラス組成物を焼結助剤として用いることにより、例えば1250℃以下の低温で焼成しても、内部電極のライン性を悪化させず、各種電気特性を損なうことなく緻密化した誘電体磁器組成物及び電子部品を得ることができることを見出した。その結果、誘電体層の薄層化・電子部品の高容量化が図れる。
この方法により得られる誘電体磁器組成物を構成する誘電体粒子は、平均結晶粒径が0.8μm以下と微細に制御される。本発明者らは、このような誘電体粒子の平均結晶粒径の微細化が高容量化に寄与していると考えたものである。
すなわち、本発明によれば、低温で焼成しても各種電気特性を損なうことなく緻密化した誘電体磁器組成物を得ることができる誘電体磁器組成物の製造方法と、該方法により得られる誘電体磁器組成物と、該誘電体磁器組成物を誘電体層として用いるチップコンデンサなどの電子部品の製造方法と、該方法により得られる電子部品とを、提供することができる。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。ここにおいて、図1は本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの断面図である。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサ1は、誘電体層2と内部電極層3とが交互に複数積層された構成のコンデンサ素子本体10を有する。コンデンサ素子本体10の両端部には、素子本体10の内部で交互に配置された内部電極層3と各々導通する一対の外部電極4が形成してある。コンデンサ素子本体10の形状に特に制限はないが、通常、直方体状とされる。また、その寸法にも特に制限はなく、通常、(0.4〜5.6mm)×(0.2〜5.0mm)×(0.2〜1.9mm)程度である。
内部電極層3は、各端面がコンデンサ素子本体10の対向する2端部の表面に交互に露出するように積層してある。一対の外部電極4は、コンデンサ素子本体10の両端部に形成され、交互に配置された内部電極層3の露出端面に接続されて、コンデンサ回路を構成する。
誘電体層2は、本発明の方法により製造される誘電体磁器組成物を含有する。本発明の一実施形態に係る方法により得られる誘電体磁器組成物は、誘電体酸化物と、酸化マンガンと、酸化アルミニウムと、酸化バナジウムと、希土類元素の酸化物と、Nb、Mo、Ta、WおよびMgの内の少なくとも1つの酸化物とを有する。なお、希土類元素には、Sc、Y及びランタノイド元素で構成される17元素が含まれる。
誘電体酸化物は、組成式〔(CaSr1−x )O〕m 〔(TiZr1−y−z Hf)O〕で示される。該式中の組成モル比を表す記号x、y、z、mは、0.5≦x≦1.0(好ましくは0.6≦x≦0.9)、0.01≦y≦0.10(好ましくは0.02≦y≦0.07)、0<z≦0.20(好ましくは0<z≦0.10)、0.90≦m≦1.04(好ましくは1.005≦m≦1.025)、である。
酸化マンガンと、酸化アルミニウムと、酸化バナジウムと、希土類元素の酸化物と、Nb、Mo、Ta、WおよびMgの内の少なくとも1つの酸化物との、含有量は次の通りである。
誘電体酸化物100モルに対して、
酸化マンガンをMnOに換算して0.2〜5モル、好ましくは0.2〜3モル、
酸化アルミニウムをAlに換算して0.1〜10モル、好ましくは0.1〜5モル、
酸化バナジウムをVに換算して0〜2.5モル(ただし0モルを除く)、好ましくは0.5〜2.5モル、
希土類元素の酸化物を希土類元素に換算して0.02〜1.5モル、好ましくは0.10〜1.0モル、
Nb、Mo、Ta、WおよびMgの内の少なくとも1つの酸化物を該Nb、Mo、Ta、WおよびMgに換算して0.02〜1.5モル、好ましくは0.10〜1.0モル、である。
本発明の一実施形態に係る方法により得られる誘電体磁器組成物は、焼結助剤を含有する。その詳細は後述する。
誘電体層2の積層数や厚み等の諸条件は、目的や用途に応じ適宜決定すればよいが、本実施形態では、誘電体層2の厚みは、5μm以下、好ましくは3μm以下、さらに好ましくは1μm以下と薄層化されている。また、誘電体層2は、グレインと粒界相とで構成される。本実施形態では、誘電体層2のグレイン(誘電体粒子)の平均結晶粒径は、好ましくは0.8μm以下、より好ましくは0.5μm以下と微細化されている。平均結晶粒径が微細化されているので、製品の薄層化に対応することが容易であり、その結果、高容量化を実現することができる。粒界相は、通常、誘電体材料あるいは内部電極材料を構成する材質の酸化物や、別途添加された材質の酸化物、さらには工程中に不純物として混入する材質の酸化物を成分とし、通常ガラスないしガラス質で構成されている。
内部電極層3に含有される導電材は、特に限定されないが、誘電体層2の構成材料が耐還元性を有するため、卑金属を用いることができる。導電材として用いる卑金属としては、NiまたはNi合金が好ましい。Ni合金としては、Mn,Cr,CoおよびAlから選択される1種以上の元素とNiとの合金が好ましく、合金中のNi含有量は95重量%以上であることが好ましい。なお、NiまたはNi合金中には、P,Fe,Mg等の各種微量成分が0.1重量%程度以下含まれていてもよい。内部電極層の厚さは用途等に応じて適宜決定すればよいが、通常、0.5〜5μm、特に1〜2.5μm程度であることが好ましい。
外部電極4に含有される導電材は、特に限定されないが、通常、CuやCu合金あるいはNiやNi合金等を用いる。なお、AgやAg−Pd合金等も、もちろん使用可能である。なお、本実施形態では、安価なNi,Cuや、これらの合金を用いる。外部電極の厚さは用途等に応じて適宜決定されればよいが、通常、10〜50μm程度であることが好ましい。
本発明に係る誘電体磁器組成物の製造方法を用いて製造される積層セラミックコンデンサ1は、従来の積層セラミックコンデンサと同様に、ペーストを用いた通常の印刷法やシート法によりグリーンチップを作製し、これを焼成した後、外部電極を印刷または転写して焼成することにより製造される。以下、製造方法について具体的に説明する。
まず、誘電体層用ペースト、内部電極用ペースト、外部電極用ペーストをそれぞれ製造する。
誘電体層用ペーストを製造するに際しては、まず、これに含まれる誘電体磁器組成物原料を準備する。誘電体磁器組成物原料には、主成分原料と、副成分原料が含まれる。
主成分原料としては、上述した組成の誘電体酸化物が用いられる。
副成分原料としては、酸化マンガン及び/又は焼成後に酸化マンガンになる化合物、酸化アルミニウム及び/又は焼成後に酸化アルミニウムになる化合物、酸化バナジウム及び/又は焼成後に酸化バナジウムになる化合物、希土類元素の酸化物及び/又は焼成後に希土類元素の酸化物になる化合物、Nb、Mo、Ta、WおよびMgの内の少なくとも1つの酸化物及び/又は焼成後にNb、Mo、Ta、WおよびMgの内の少なくとも1つの酸化物になる化合物、並びに焼結助剤が用いられる。
本発明では、特定の焼結助剤を用いる。この焼結助剤は、第1ガラス組成物と、第2ガラス組成物とを含有する。
第1ガラス組成物は、焼成時の焼結性を促進させるための成分である。
第1ガラス組成物は、SiOを主成分とし、さらにMO(ただし、Mは、Ba、Ca、Sr及びMgの少なくとも1種)を含む。好ましくは、SiOを主成分とし、さらにBaO及びCaOの一方又は双方を含む。
この第1ガラス組成物は、主として焼結助剤として作用するが、誘電体層2を薄層化した際の初期絶縁抵抗(IR)の不良率を改善する効果をも有する。
より好ましくは、この第1ガラス組成物が、組成式{(Ba,Ca1−w )O}SiOで示される複合酸化物(以下、BCGとも言う)を含む。複合酸化物である{(Ba,Ca1−w )O}SiOは、融点が低いため、主成分原料に対する反応性が良好である。より好ましい態様としての組成式{(Ba,Ca1−w )O}SiOにおいて、該組成式中の組成モル比を示す記号vは、好ましくは0.5≦v≦4.0であり、より好ましくは0.55≦v≦3.0である。vが小さすぎると、すなわちSiOが多すぎると、主成分と反応して誘電体特性を悪化させてしまう。一方、vが大きすぎると、融点が高くなって焼結性を悪化させるため、好ましくない。なお、BaとCaとの組成モル比を示す記号wは任意であり(0≦w≦1)、一方だけを含有するものであってもよいが、好ましくは0.5≦w≦1である。
第1ガラス組成物の融点は、好ましくは1150℃以下、より好ましくは900〜1100℃である。融点が低いことで低温での焼成が容易になる。
第1ガラス組成物の含有量は、誘電体酸化物100モルに対して、0.5〜15モル、好ましくは0.5〜10モル、より好ましくは0.5〜5モル、である。第1ガラス組成物を少量でも添加することで、初期IR不良率の発生を低下させるのに効果的であるが、逆に多すぎると、比誘電率が低下し、十分な容量を確保できなくなるおそれがある。
第2ガラス組成物は、焼成前の例えば仮焼き時に、各原料間の反応性(例えば仮焼き反応性)を向上させるための成分である。その結果、その後の焼成を比較的低温で行うことができるメリットがある。
第2ガラス組成物は、少なくともB、Al、ZnO及びSiOを含み、さらにNaOをさらに含むことが好ましい。
これら各酸化物の第2ガラス組成物中の比率は、
が10〜35重量%、好ましくは15〜30重量%、
Alが5〜25重量%、好ましくは10〜20重量%、
ZnOが10〜60重量%、好ましくは20〜45重量%、
SiOが5〜35重量%、好ましくは10〜20重量%である。
NaOを含む場合の該NaOの比率は、0〜15重量%(0重量%を含まない)、好ましくは0.001〜2重量%である。
第2ガラス組成物は、平均粒径が1.5μm以下、好ましくは1μm以下である。平均粒径が大きすぎると、第2ガラス組成物の分散性が低下し、均一な焼結を阻害する。
第2ガラス組成物には、本発明の目的に反しない範囲で、上記酸化物以外の酸化物を含有するものであってもよい。
第2ガラス組成物の融点は、好ましくは650℃以下、より好ましくは580〜650℃である。融点が低いことで低温での焼成が容易になる。
第2ガラス組成物の含有量は、誘電体酸化物100重量%に対して、0.1〜10重量%、好ましくは0.1〜3重量%である。第2ガラス組成物の添加量が少なすぎると、低温での焼成不足となる傾向があり、多すぎると第2ガラス組成物の偏析による誘電体粒子の平均結晶粒径が均一とならず、温度特性が劣化する傾向にある。
本実施形態では、主成分原料を固相法や液相法などにより製造する際に、少なくとも第2ガラス組成物(好ましくは焼結助剤中の第1〜2ガラス組成物、より好ましくは少なくとも焼結助剤(第1ガラス組成物と第2ガラス組成物を含む)、最も好ましくは焼結助剤を含むすべての副成分原料)を混合して得られる混合物を所定条件で反応させ、誘電体磁器組成物原料を得る(前添加)。
以下、固相法(例えば仮焼き法)により主成分原料を製造する際に、副成分原料のすべてを混合させて誘電体磁器組成物原料を得る場合を例に採り説明する。
まず、主成分原料としての誘電体酸化物の出発原料(例えばSrCO、CaCO、TiO、ZrO、HfO等)とともに、副成分原料として、例えばMnCO、Al、V、Yなど、第1ガラス組成物、第2ガラス組成物を所定量秤量し、さらに必要であればその他の副成分原料をも秤量して、これらを混合、乾燥することにより、最終組成の仮焼き前原料を準備する。
次に、準備された仮焼前粉体を仮焼きする。仮焼き条件は、特に限定されないが、次に示す条件で行うことができる。特に、本実施形態では、仮焼き前原料に第2ガラス組成物が含まれているので、仮焼きを、例えば1100℃以下、好ましくは900〜1100℃の低温で行っても、十分に仮焼き反応性が促進される。その他の仮焼き条件としての、昇温速度は、好ましくは50〜400℃/時間、より好ましくは100〜300℃/時間である。仮焼き温度の保持時間は、好ましくは0.5〜6時間、より好ましくは1〜3時間である。処理雰囲気は、空気中、窒素中および還元雰囲気中の何れでも構わない。なお、仮焼きは、複数回行ってもよい。
次に、仮焼きされた仮焼済粉末を、アルミナロールなどにより粗粉砕した後、乾燥することで、誘電体磁器組成物原料(粉末)を得る。
次に、この誘電体磁器組成物原料を塗料化して、誘電体層用ペーストを調整する。誘電体層用ペーストは、誘電体磁器組成物原料と有機ビヒクルとを混練した有機系の塗料であってもよく、水系の塗料であってもよい。
誘電体磁器組成物原料としては、上記した酸化物やその混合物、複合酸化物を用いることができるが、その他、焼成により上記した酸化物や複合酸化物となる各種化合物、例えば、炭酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物等から適宜選択し、混合して用いることもできる。誘電体磁器組成物原料中の各化合物の含有量は、焼成後に上記した誘電体磁器組成物の組成となるように決定すればよい。
塗料化する前の状態で、誘電体磁器組成物粉末の粒径は、通常、平均粒径0.1〜3μm程度である。
有機ビヒクルとは、バインダを有機溶剤中に溶解したものである。有機ビヒクルに用いるバインダは特に限定されず、エチルセルロース、ポリビニルブチラール等の通常の各種バインダから適宜選択すればよい。また、用いる有機溶剤も特に限定されず、印刷法やシート法など、利用する方法に応じて、テルピネオール、ブチルカルビトール、アセトン、トルエン等の各種有機溶剤から適宜選択すればよい。
誘電体層用ペーストを水系の塗料とする場合には、水溶性のバインダや分散剤などを水に溶解させた水系ビヒクルと、誘電体原料とを混練すればよい。水系ビヒクルに用いる水溶性バインダは特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース、水溶性アクリル樹脂などを用いればよい。
内部電極用ペーストは、各種導電性金属や合金からなる導電材料あるいは焼成後に上述した導電材料となる各種酸化物、有機金属化合物、レジネート等と、上述した有機ビヒクルとを混練して調製される。
外部電極用ペーストも、この内部電極用ペーストと同様にして調製される。
印刷法を用いる場合は、誘電体層用ペーストおよび内部電極層用ペーストをポリエチレンテレフタレート等の基板上に積層印刷し、所定形状に切断したのち基板から剥離することでグリーンチップとする。これに対して、シート法を用いる場合は、誘電体層用ペーストを用いてグリーンシートを形成し、この上に内部電極層用ペーストを印刷したのちこれらを積層してグリーンチップとする。
次に、焼成前に、グリーンチップに脱バインダ処理を施す。脱バインダ処理は、通常の条件で行えばよいが、内部電極層の導電材にNiやNi合金等の卑金属を用いる場合、昇温速度:5〜300℃/時間、特に10〜100℃/時間、保持温度:180〜400℃、特に200〜300℃、温度保持時間:0.5〜24時間、特に5〜20時間、雰囲気:空気中、の条件で行うことが好ましい。
グリーンチップ焼成時の雰囲気は、内部電極層用ペースト中の導電材の種類に応じて適宜決定されればよいが、導電材としてNiやNi合金等の卑金属を用いる場合、焼成雰囲気中の酸素分圧は、10−7〜10−3 Paとすることが好ましい。酸素分圧が前記範囲未満であると、内部電極層の導電材が異常焼結を起こし、途切れてしまうことがある。また、酸素分圧が前記範囲を超えると、内部電極層が酸化する傾向にある。
焼成時の保持温度は、グリーンチップの緻密化を十分に行え、しかも内部電極層の異常焼結による電極の途切れ、内部電極層構成材料の拡散による容量温度特性の悪化、あるいは誘電体磁器組成物の還元が生じない範囲で適宜決定される。なぜなら、焼成温度があまりに低いとグリーンチップが緻密せず、焼成温度があまりに高いと内部電極が途切れたり(ライン性の悪化)、導電材の拡散により容量温度特性が悪化したり、誘電体の還元が生じてしまうからである。
従来、CaSr−ZrTi−Mn系材料を含むグリーンチップを十分に緻密化させるためには1300℃以上で焼成する必要があったが、本実施形態では、上述した低温焼結可能な焼結助剤を含有していることから、CaSr−ZrTi−Mn系材料を含むグリーンチップであっても、好ましくは1250℃以下、より好ましくは1230℃以下の低温で焼成することができる。これにより、焼成炉の損傷を防止でき、保守や管理コスト、ひいてはエネルギーコストをも効果的に抑制でき、しかもクラックの発生や比誘電率の低下などの不都合も防止しうる。なお、焼成温度の下限は、好ましくは950℃程度、より好ましくは1000℃程度である。
これ以外の焼成条件としては、昇温速度を好ましくは50〜500℃/時間、より好ましくは200〜300℃/時間、温度保持時間を好ましくは0.5〜8時間、より好ましくは1〜3時間、冷却速度を好ましくは50〜500℃/時間、より好ましくは200〜300℃/時間とする。また、焼成雰囲気は還元性雰囲気とすることが好ましく、雰囲気ガスとしては例えば、NとHとの混合ガスを加湿して用いることが好ましい。
還元性雰囲気中で焼成した場合、焼成後の焼結体(コンデンサ素子本体)にはアニールを施すことが好ましい。アニールは、誘電体層を再酸化するための処理であり、これによりIR寿命を著しく長くすることができるので、信頼性が向上する。
アニール雰囲気中の酸素分圧は、1×10−4Pa以上、特に1×10−4〜10Paとすることが好ましい。酸素分圧が前記範囲未満であると誘電体層の再酸化が困難であり、前記範囲を超えると内部電極層が酸化する傾向にある。
アニールの際の保持温度は、1200℃以下、特に500〜1200℃とすることが好ましい。保持温度が前記範囲未満であると誘電体層の酸化が不十分となるので、IRが低く、また、IR寿命が短くなりやすい。一方、保持温度が前記範囲を超えると、内部電極層が酸化して容量が低下するだけでなく、内部電極層が誘電体素地と反応してしまい、容量温度特性の悪化、IRの低下、IR寿命の低下が生じやすくなる。なお、アニールは昇温過程および降温過程だけから構成してもよい。すなわち、温度保持時間を零としてもよい。この場合、保持温度は最高温度と同義である。
これ以外のアニール条件としては、温度保持時間を好ましくは0〜20時間、より好ましくは2〜10時間、冷却速度を好ましくは50〜500℃/時間、より好ましくは100〜300℃/時間とする。また、アニールの雰囲気ガスとしては、例えば、加湿したNガス等を用いることが好ましい。
上記した脱バインダ処理、焼成およびアニールにおいて、Nガスや混合ガス等を加湿するには、例えばウェッター等を使用すればよい。この場合、水温は5〜75℃程度が好ましい。
脱バインダ処理、焼成およびアニールは、連続して行なっても、独立に行なってもよい。これらを連続して行なう場合、脱バインダ処理後、冷却せずに雰囲気を変更し、続いて焼成の際の保持温度まで昇温して焼成を行ない、次いで冷却し、アニールの保持温度に達したときに雰囲気を変更してアニールを行なうことが好ましい。一方、これらを独立して行なう場合、焼成に際しては、脱バインダ処理時の保持温度までNガスあるいは加湿したNガス雰囲気下で昇温した後、雰囲気を変更してさらに昇温を続けることが好ましく、アニール時の保持温度まで冷却した後は、再びNガスあるいは加湿したNガス雰囲気に変更して冷却を続けることが好ましい。また、アニールに際しては、Nガス雰囲気下で保持温度まで昇温した後、雰囲気を変更してもよく、アニールの全過程を加湿したNガス雰囲気としてもよい。
以上のようにして得られたコンデンサ焼成体に、例えば、バレル研磨やサンドブラストにより端面研磨を施し、外部電極用ペーストを印刷または転写して焼成し、外部電極4を形成する。外部電極用ペーストの焼成条件は、例えば、加湿した窒素ガスと水素ガスとの混合ガス中で600〜800℃にて10分〜1時間程度とすることが好ましい。そして、必要に応じて外部電極4の表面にメッキ等により被覆層(パッド層)を形成する。
このようにして製造された本実施形態のセラミックコンデンサ1は、はんだ付け等によってプリント基板上に実装され、各種電子機器に用いられる。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
例えば、本発明に係る方法により得られる誘電体磁器組成物は、積層セラミックコンデンサのみに使用されるものではなく、誘電体層が形成されるその他の電子部品に使用されても良い。
次に、本発明の実施形態をより具体化した実施例を挙げ、本発明をさらに詳細に説明する。但し、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
誘電体原料の調製
まず、主成分原料を製造するための出発原料として、平均粒径0.4μmの、SrCO、CaCO、TiO、ZrO及びHfOを準備した。
次に、準備された各出発原料を、最終組成が、〔(Ca0.7 Sr0.3 )O〕〔((Ti0.05Zr0.9 Hf0.05)O〕となる原子比で秤量した。
次に、秤量された各出発原料の合計100モルに対して、MnCOを1モル、Alを0.5モル、第1ガラス組成物としての(Ba0.6 Ca0.4 )SiO(BCG)を3モル、添加した。さらに、秤量された各出発原料の合計100重量%に対して、第2ガラス組成物としてのB−Al−Zn−Si系ガラスフリットを特定重量%、添加して仮焼前粉体を得た。
次に、得られた仮焼前粉体を仮焼した。仮焼き条件は、以下の通りであった。昇温速度:200℃/時間、保持温度:1100℃、温度保持時間:2時間、雰囲気:空気中。
次に、仮焼によって得られた材料をアルミナロールで粉砕して仮焼き済粉体とし、この仮焼き済粉体からなる誘電体原料(誘電体磁器組成物原料(粉体))を得た。
本実施例では、表1に示すように、各試料ごとに、B−Al−Zn−Si系ガラスフリットの平均粒径と添加量を変化させた。また、B−Al−Zn−Si系ガラスフリットとして、25重量%のBと、25重量%のZnOと、25重量%のSiOと、15重量%のAlと、10重量%のNaOとで構成されており、600℃の軟化点を持つものを用いた。
なお、(Ba0.6 Ca0.4 )SiOは、BaCO,CaCOおよびSiOをボールミルにより16時間湿式混合し、乾燥後、1000〜1300℃で空気中で焼成し、さらに、ボールミルにより100時間湿式粉砕することにより製造した。
次に、得られた誘電体原料を用いて、各試料ごとに、下記に示す円盤状サンプルと、コンデンササンプルを作製した。
円盤状サンプルの作製
まず、得られた誘電体原料に対して、バインダとしてのポリビニルアルコールを0.6重量%となるように添加して、顆粒状になるようにバインダと誘電体原料とを混合した。そして、この顆粒状の誘電体原料を約0.3g秤量して、1.3トン/cmの圧力で加圧して、直径12mm、厚さ0.7mmの円盤状成形体を得た。
次に、得られた円盤状成形体に、脱バインダ処理、焼成およびアニールを施して、直径約10mm、厚さ約0.5mmの円盤状焼成体を得た。脱バインダ処理は、昇温時間200℃/時間、保持温度400℃、保持時間2時間、空気雰囲気の条件で行った。また、焼成は、昇温速度200℃/時間、保持温度:表1参照、保持時間2時間、冷却速度200℃/時間、加湿したN+H混合ガス雰囲気(酸素分圧は10−12 Pa)の条件で行った。アニールは、保持温度1100℃、温度保持時間2時間、冷却速度200℃/時間、加湿したNガス雰囲気(酸素分圧は10−2Pa)の条件で行った。なお、焼成およびアニールの際の雰囲気ガスの加湿には、ウェッターを用いた。
次に、得られた円盤状焼成体の両面に、In−Ga合金を塗布することで、φ6mmの電極を形成し、円盤状サンプルを作製した。
コンデンササンプルの作製
得られた誘電体原料100重量部と、アクリル樹脂4.8重量部と、塩化メチレン40重量部と、酢酸エチル20重量部と、ミネラルスピリット6重量部と、アセトン4重量部とをボールミルで混合し、ペースト化し、誘電体層用ペーストを得た。
平均粒径0.1〜0.8μmのNi粒子100重量部と、有機ビヒクル(エチルセルロース8重量部をブチルカルビトール92重量部に溶解したもの)40重量部と、ブチルカルビトール10重量部とを3本ロールにより混練し、ペースト化し、内部電極層用ペーストを得た。
平均粒径0.5μmのCu粒子100重量部と、有機ビヒクル(エチルセルロース樹脂8重量部をブチルカルビトール92重量部に溶解したもの)35重量部およびブチルカルビトール7重量部とを混練し、ペースト化し、外部電極用ペーストを得た。
次に、上記誘電体層用ペーストを用いてPETフィルム上に、厚さ7μmのグリーンシートを形成し、この上に内部電極層用ペーストを印刷したのち、PETフィルムからグリーンシートを剥離した。
次に、これらのグリーンシートと保護用グリーンシート(内部電極層用ペーストを印刷しないもの)とを積層、圧着してグリーンチップを得た。内部電極を有するシートの積層数は5層とした。
次に、グリーンチップを所定サイズに切断し、脱バインダ処理、焼成およびアニール(いずれも、上記円盤状サンプルを作製する際の条件と同じ条件)を行って、積層セラミック焼成体を得た。
次に、積層セラミック焼成体の端面をサンドブラストにて研磨したのち、外部電極用ペーストを端面に転写し、加湿したN+H雰囲気中において、800℃にて10分間焼成して外部電極を形成し、図1に示す構成の積層セラミックコンデンサのサンプルを得た。このようにして得られた各サンプルのサイズは、3.2mm×1.6mm×0.6mmであり、内部電極層に挟まれた誘電体層の数は4、その厚さは4.9μmであり、内部電極層の厚さは0.2μmであった。
円盤状サンプルとコンデンササンプルの評価
得られた円盤状サンプルとコンデンササンプルを用いて、磁器特性(焼結密度)、電気特性(絶縁抵抗IR)の特性評価を行った。また、誘電体粒子の平均結晶粒径を測定した。結果を表1に示す。
磁器特性(焼結密度)は、次のようにして評価した。円盤状サンプルの寸法と質量とから算出した。焼結密度は、好ましくは4.5g/cm以上を良好とした。なお、焼結密度の値は、円盤状サンプル数n=10個を用いて測定した値の平均値から求めた。
電気特性(絶縁抵抗IR)は、次のようにして評価した。コンデンササンプルに対し、絶縁抵抗計(アドバンテスト社製R8340A)を用いて、25℃においてDC50Vをコンデンササンプルに60秒間印加した後の絶縁抵抗IR(単位はΩ)を測定した。絶縁抵抗IRは、好ましくは1×1011Ω以上を良好とした。なお、絶縁抵抗IRの値は、コンデンササンプル数n=10個を用いて測定した値の平均値から求めた。結果を表1に示す。
誘電体層を構成する誘電体粒子(グレイン)の平均結晶粒径は、コンデンサのサンプルのSEM写真を用いるコード法により算出した。本実施例では、誘電体粒子の形状を便宜的に球と仮定して粒径を算出する。具体的には、まず、誘電体層の微細構造を示すSEM写真を用い、このSEM写真上に任意の直線を引き、この線が隣接する誘電体粒子同士の間に存在する粒界と交錯する点(交点)の数を求める。次に、求められた交点数から単位長さ当たりの粒界との交点の数PLを計算する。次に、得られたPLの値を用いて、コード長さL3を算出する。コード長さL3は1/PLで求められる。次に、得られたL3の値に1.5を乗じたL3×1.5により、誘電体粒子の平均結晶粒径を算出した。なお、用いたSEM写真の視野は23μm×30μmとし、1サンプルにつき5〜6枚の写真を用いて、それぞれの粒径を算出し、これらの平均値を平均結晶粒径とした。結果を表1に示す。
なお、表1中、絶縁抵抗IRの数値において、「m*10」は「m×10」を意味するものとする。
Figure 0004267438
表1から以下のことが理解できる。試料1のように、焼結助剤として第2ガラス組成物を含まないと、1250℃以下の低温で焼成した場合には十分な焼結密度が得られず、絶縁抵抗が低下する。試料1の結晶粒径欄の「−」は、焼結密度が低すぎて緻密化できず、結晶粒径を測定できなかったことを示す。
試料2〜3のように、第2ガラス組成物を含まない状態で十分な焼結密度を得るために焼成温度を1250℃超に上げた場合には絶縁抵抗は取れるが、内部電極のライン性が悪化し、かつ誘電体粒子の平均結晶粒径が大きくなりすぎるため、薄層化ができず、その結果、高容量化できない。
試料8のように、第2ガラス組成物の添加量が多すぎると、低温で焼成した場合、十分な焼結密度が得られ、絶縁抵抗もとれるが、誘電体粒子の平均結晶粒径が大きくなりすぎるため、薄層化ができず、その結果、高容量化できない。
試料10のように、用いる第2ガラス組成物の平均粒径が大きすぎると、低温で焼成した場合に十分な焼結密度が得られない。試料10の結晶粒径の欄の「−」は、試料1の場合と同様である。
これに対し、試料4〜7,9,12にように、適正な平均粒径を持つ第2ガラス組成物を適正量、添加することで、低温で焼成した場合でも、十分な焼結密度が得られ、誘電体粒子の平均結晶粒径も微細化され、かつ十分な絶縁抵抗が得られる。
実施例2
B−Al−Zn−Si系ガラスフリットとして、NaOを含まず、25重量%のBと、25重量%のZnOと、25重量%のSiOと、25重量%のAlとで構成されており、650℃の軟化点を持つものを用いた以外は、実施例1の試料6と同様に、円盤状サンプルとコンデンササンプルを作製し、同様に評価した(試料13)。結果を表2に示す。
Figure 0004267438
表2に示すように、第2ガラス組成物として、NaOを含まないB−Al−Zn−Si系ガラスフリットを用いても、試料6の場合と同様に、低温で焼成しても、焼結密度が大幅には低下せず、誘電体粒子の平均結晶粒径も適正化され、良好な絶縁抵抗が得られることが確認できた。
参考例1
B−Al−Zn−Si系ガラスフリットとして、10重量%のBと、70重量%のZnOと、2重量%のSiOと、5重量%のAlと、13重量%のNaOとで構成されており、630℃の軟化点を持つものを用いた以外は、実施例1の試料6と同様に、円盤状サンプルとコンデンササンプルを作製し、同様に評価した。その結果、焼結性が悪化する傾向にあることが確認できた。なお、本実施例は、ガラスフリットの組成が、本発明の好ましい範囲を外れる場合の一例である。
図1は本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの断面図である。
符号の説明
1… 積層セラミックコンデンサ
10… コンデンサ素子本体
2… 誘電体層
3… 内部電極層
4… 外部電極

Claims (8)

  1. 組成式〔(CaSr1−x )O〕m 〔(TiZr1−y−z Hf)O〕で示され、該式中の組成モル比を表す記号x、y、z、mが、0.5≦x≦1.0、0.01≦y≦0.10、0<z≦0.20、0.90≦m≦1.04である誘電体酸化物と、酸化マンガンと、酸化アルミニウムと、第1ガラス組成物及び第2ガラス組成物を含む焼結助剤と、を有する誘電体磁器組成物を製造する方法であって、
    前記第1ガラス組成物は、SiOを主成分とし、さらにMO(ただし、Mは、実質的にBa、Ca、Sr及びMgのみから選ばれる少なくとも1種)から成り
    前記第2ガラス組成物は、実質的に、Al、ZnO及びSiO のみから構成され、
    が10〜35重量%、
    Al が5〜25重量%、
    ZnOが20〜45重量%、
    SiO が5〜35重量%であり、
    前記第2ガラス組成物は、1.5μm以下の平均粒径を持ち、
    前記第2ガラス組成物は、軟化点が600〜650℃である、
    誘電体磁器組成物を製造することを特徴とする誘電体磁器組成物の製造方法。
  2. 請求項1記載の誘電体磁器組成物の製造方法において、前記第2ガラス組成物NaOをさらに含むものに代えたことを特徴とする誘電体磁器組成物の製造方法。
  3. 前記第2ガラス組成物が、0〜15重量%のNaOを含むことを特徴とする請求項2に記載の誘電体磁器組成物の製造方法。
  4. 誘電体酸化物100モルに対して、0.5〜15モルの第1ガラス組成物と、
    誘電体酸化物100重量%に対して、0.1〜10重量%の第2ガラス組成物と、
    を有する焼結助剤を用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の誘電体磁器組成物の製造方法。
  5. 少なくとも第2ガラス組成物を、誘電体酸化物を得るために準備された出発原料と混合し、反応前原料を準備する工程と、
    準備された反応前原料を反応させ、反応済み原料を含む誘電体磁器組成物原料を得る工程と、
    を有する請求項1に記載の誘電体磁器組成物の製造方法。
  6. 誘電体酸化物100モルに対して、酸化マンガンをMnOに換算して0.2〜5モル、酸化アルミニウムをAlに換算して0.1〜10モル、第1ガラス組成物を0.5〜15モル、含有し、
    誘電体酸化物100重量%に対して、第2ガラス組成物を0.1〜10重量%、含有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の誘電体磁器組成物の製造方法。
  7. 1250℃以下の焼成温度で誘電体磁器組成物を製造する請求項1〜のいずれかに記載の誘電体磁器組成物の製造方法。
  8. 誘電体磁器組成物で構成してある誘電体層と、卑金属を主成分とする内部電極層とを有する電子部品を製造する方法であって、
    誘電体磁器組成物が、請求項1〜のいずれかの方法により製造されることを特徴とする電子部品の製造方法。
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