JP4267359B2 - レジスト用剥離剤組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レジスト用剥離剤組成物及び該剥離剤組成物を用いた半導体基板の製造方法に関する。さらに詳しくは、シリコンウェハ等の半導体基板上に半導体素子を形成する工程、中でも銅もしくは銅合金を有する配線を使用し、ドライエッチングを行った後、アッシングをせずに(又はアッシングを低減しても)、残存する変質レジスト及びエッチング残渣等の、いわゆるポリマーを25℃という低温で除去する工程に用いるレジスト用剥離剤組成物に関する。更に、該レジスト用剥離剤組成物を用いる半導体基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器の小型化に伴い、半導体素子の高速化及び高集積化が進んでおり、高集積化では配線の微細化が要求されている。その結果、配線はアルミニウムから銅へ、また絶縁膜はプラズマTEOS酸化膜から低誘電率膜、いわゆるLow−k膜へ移行しつつある。
【0003】
Low−k膜としては、HSQ、MSQ、SiOF等のフッ素系樹脂、SiOC系のBlack Diamond 、Aurora、Coral 、Flowfill及びOrion 等の無機系Low−k膜、芳香族ポリアリールエーテル系のSilKや有機SOG等の有機系Low−k膜等がよく知られているが、まだ半導体基板としての実用化には至っていない。その理由としては、Low−k膜自身が化学的に物理的にも安定でなく、例えば、従来から行われているレジストのアッシング工程がLow−k膜にダメージを与えるからである。
【0004】
そこで、レジスト層をアッシングせずに又は軽くアッシングするだけで剥離することができる剥離剤が考えられているが、銅等の配線やLow−k膜等の絶縁膜にダメージを与えず、残存する変質レジスト及びエッチング残渣等の、いわゆるポリマーを25℃という低温でかつ一液で除去できるレジスト用剥離剤はいまだに得られていない。
【0005】
例えば、アンモニア/過酸化水素を含有するレジスト用剥離剤が特許文献1に開示されているが、銅配線への腐食が大きく、実用的でない。また、従来から、銅及びアルミニウム等の金属の腐食を防止する方法として、(1)非水系にする方法、(2)低温環境にする方法、(3)腐食防止剤を添加する方法等が知られているが、これらの従来の方法ではエッチングによって変質した硬化レジスト、いわゆる変質レジストの剥離性と銅の防食性を両立することが不十分である。更に、特許文献2にはフッ化アンモニウムと酸化剤とキレート剤を含有する剥離剤組成物が記載されているが、フッ化アンモニウムは変質レジストの剥離性が劣り、またLow−k膜にダメージを与える。さらにフッ素を含有する廃水の環境への負荷の問題から、フッ素含有化合物の使用は望ましくない。一方で、特許文献3に、第四級アンモニウム塩と過酸化物からなるレジスト用剥離剤組成物が記載されているが、レジスト剥離性と銅配線の防食性の両立性は不充分である。
【0006】
【特許文献1】
特開平2−246332号公報
【特許文献2】
特開2000―258924号公報
【特許文献3】
特開2003−5383号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、アッシングをせずに又は軽くアッシングするだけで、銅等の配線やLow−k膜等の絶縁膜にダメージを与えず、残存する変質レジスト及びエッチング残渣等の、いわゆるポリマーを25℃という低温でかつ一液で除去できる非フッ化系のレジスト用剥離剤組成物、該剥離剤組成物を用いる半導体基板の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明の要旨は、
〔1〕水溶性アミン及び/又はアンモニウム化合物と酸化剤と水を含有してなる非フッ化系のレジスト用剥離剤組成物、
〔2〕該非フッ化系のレジスト用剥離剤組成物を用いて、レジストを剥離する工程を含む半導体基板の製造方法、並びに
〔3〕テトラメチルアンモニウムヒドロキシドと酸化剤と水とを含有してなり、重量比でテトラメチルアンモニウムヒドロキシド/酸化剤が3〜20である非フッ化系のレジスト用剥離剤組成物
に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の非フッ化系のレジスト用剥離剤組成物(以下、単に剥離剤組成物ともいう)においては、フッ化アンモニウム、フッ化テトラメチルアンモニウム等のフッ素含有化合物を含まず、水溶性アミン及び/又はアンモニウム化合物に酸化剤を含有させることで、アッシングをせずに又は軽くアッシングするだけで剥離でき、銅等の配線やLow−k膜等の絶縁膜にダメージを与えず、且つ残存する変質レジスト及びエッチング残渣等の、いわゆるポリマーを25℃という低温でかつ一液で除去できるという優れた効果が発現される。剥離温度は、好ましくは15〜35℃であり、より好ましくは20〜30℃である。中でも、剥離剤組成物全量中の水溶性アミン及び/又はアンモニウム化合物の総含有量に対する酸化剤の含有量を変動させることで、銅表面上に半導体の電気特性上問題のない酸化被膜を形成させ、銅等の配線の腐食防止能が調節できることを見出し、変質レジストの剥離性と銅等の配線の腐食防止性とに優れた剥離剤組成物を完成させるに至った。
【0010】
本発明で用いられる水溶性アミンは、アンモニアを除く、25℃におけるイオン交換水100gに対する溶解度が1g以上のアミン化合物である。該水溶性アミンは、変質レジストの剥離性を向上する作用を有する。
【0011】
該水溶性アミンとしては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン等のアルキルアミン、エチレンジアミン、1、2―ジアミノプロパン、1、3−プロパンジアミン、1、4―ブタンジアミン等のアルキレンジアミン、モノエタノールアミン、2−(メチルアミノ)エタノール、ジエタノールアミン、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、N―エチルジエタノ−ルアミン、3−(メチルアミノ)プロパノール、N−メチルジプロパノール、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、ヒドロキシルアミンが挙げられる。これらの中でも、レジスト剥離性の観点から、好ましくはアルカノールアミンであり、より好ましくはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンである。また、これらの水溶性アミンは、単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。
【0012】
また、本発明で用いられるアンモニウム化合物は、変質レジストの剥離性を向上する作用を有し、有機アンモニウム化合物と無機アンモニウム化合物からなる。有機アンモニウム化合物としては、例えばメチルアンモニウムヒドロキシド、ジメチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、エチルアンモニウムヒドロキシド、ジエチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、プロピルアンモニウムヒドロキシド、ジプロピルアンモニウムヒドロキシド、トリプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド、ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(コリン)、アセチルコリン、メチルトリヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド等のアンモニウムヒドロキシド、メタンスルホン酸アンモニウム、エタンスルホン酸アンモニウム、ベンゼンスルホン酸アンモニウム、スルホコハク酸アンモニウム等のスルホン酸アンモニウム、蓚酸アンモニウム、クエン酸アンモニウム等のカルボン酸アンモニウム、1−ヒドロキシエチリデン−1、1−ジホスホン酸アンモニウム、アミノトリ(メチレンホスホン酸)アンモニウム等の有機リン酸アンモニウム等が挙げられる。
【0013】
また、無機アンモニウム化合物の具体例としては、例えば塩化アンモニウム、臭化アンモニウム、ヨウ化アンモニウム、リン酸アンモニウム、硫酸アンモニウム等が挙げられる。
【0014】
これら水溶性アミン及びアンモニウム化合物の中でも、変質レジストの剥離性の観点から、有機アンモニウム化合物が好ましく、その中でもアンモニウムヒドロキシド、スルホン酸アンモニウム、カルボン酸アンモニウムがより好ましく、変質レジストの剥離性及び銅等の配線の腐食防止の観点から、更に好ましくはアンモニウムヒドロキシド、スルホン酸アンモニウムであり、特に好ましくはアンモニウムヒドロキシドである。
【0015】
また、これらのアンモニウム化合物は、単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。更に、上記水溶性アミンとアンモニウム化合物を併用することもでき、この場合、変質レジスト、ポリマーの剥離性及び銅等の配線の腐食防止性の観点から、アンモニウム化合物としては、有機アンモニウム化合物が好ましい。
【0016】
前記水溶性アミン及び/又はアンモニウム化合物の作用機作は明確ではないが、レジストとの酸塩基反応によってレジストを溶解ないしは分解させ、さらに酸化剤との相互作用によりレジストの剥離性を向上させるものと推察される。
【0017】
前記水溶性アミン及び/又はアンモニウム化合物の総含有量は、変質レジスト剥離性及びポリマー剥離性の観点から、剥離剤組成物全量中好ましくは0.1〜80重量%、より好ましくは0.1〜50重量%、更に好ましくは0.1〜30重量%、特に好ましくは1〜30重量%である。
【0018】
次に、本発明で用いられる酸化剤としては、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;アセチルパーオキサイド、ter−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネイト、クミルパーオキシネオデカノエイト等のアシルパーオキサイド;ter−ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等のヒドロパーオキサイド;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;テトラメチルチウラムジスルフィド等のアルキルチウラムジスルフィド;過酢酸、過安息香酸、m−クロロ過安息香酸等のペルオキソ酸及びその塩;過塩素酸、次亜塩素酸、過沃素酸、過マンガン酸、クロム酸及びその塩等が挙げられ、また過酸化水素又はクメンヒドロパーオキシド/2価の鉄塩の併用、過酸化ベンゾイル/ジメチルアニリンの併用、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩/亜硫酸水素ナトリウムの併用、ter−ブチルヒドロパ−オキサイド/アスコルビン酸の併用等のレドックス系酸化剤;オゾン(水)が挙げられる。これらの内で、変質レジストの剥離性と銅等の配線の腐食防止の観点から、好ましくは過酸化水素、過硫酸アンモニウム、アシルパーオキサイド、ヒドロパーオキサイド等の過酸化物、過塩素酸、レドックス系酸化剤、オゾン(水)であり、より好ましくは過酸化物、過硫酸アンモニウム、レドックス系酸化剤、オゾン(水)、更に好ましくは過酸化水素、過硫酸アンモニウム、ter−ブチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ter−ブチルヒドロパ−オキサイド、ter−ブチルヒドロパ−オキサイド/アスコルビン酸の併用、過硫酸アンモニウム/アスコルビン酸の併用、オゾン(水)、特に好ましくは過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸アンモニウム/アスコルビン酸の併用である。
【0019】
また、これらの内の塩を形成している酸化剤としては、アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、トリエタノールアミン塩が好ましく、より好ましくはアンモニウム塩、トリエタノールアミン塩であり、更に好ましくはアンモニウム塩である。
【0020】
上記酸化剤の総含有量は、変質レジストの剥離性及び銅等の配線の腐食防止性の観点から、剥離剤組成物全量中好ましくは0.01〜10重量%、より好ましくは0.05〜10重量%、更に好ましくは0.1〜10重量%、特に好ましくは0.1〜9重量%である。
【0021】
本発明の剥離剤組成物において、変質レジスト及びポリマーの剥離性の観点、並びに銅の腐食を防止する観点から、水溶性アミン及び/又はアンモニウム化合物と酸化剤の含有量比〔(水溶性アミン及び/又はアンモニウム化合物の総含有量)/酸化剤の総含有量〕は、重量比で0.1〜500が好ましく、より好ましくは0.3〜60、更に好ましくは0.5〜30、特に好ましくは0.5〜20、最も好ましくは3〜20である。なお、この重量比にすることで、銅表面上に半導体の電気特性上問題のない薄い酸化被膜を形成し易くなり、変質レジスト及びポリマーの剥離性を維持しつつ、銅の腐食を防止することができるものと推定される。更に、Low−k膜の腐食を防止できるが、この作用機作は明確でない。しかし、Low−k膜表面上に半導体の電気特性上問題のない薄い酸化被膜を形成し易くなり、腐食を防止しているものと推定される。
【0022】
本発明の剥離剤組成物中の水は、媒体として用いられるものであり、イオン交換水、蒸留水、超純水等が用いられる。その含有量は、変質レジストの剥離性の観点から、剥離剤組成物全量中好ましくは10〜99.8重量%、より好ましくは40〜99.8重量%、更に好ましくは60〜99.8重量%、特に好ましくは60〜98.7重量%である。
【0023】
中でも、銅等の配線やLow−k膜等の絶縁膜にダメージを与えず、変質レジスト及びエッチング残渣等の除去性に優れる観点から、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)と、酸化剤と、水とを含有してなり、重量比でTMAH/酸化剤が3〜20である剥離剤組成物が好ましい。
【0024】
本発明の剥離剤組成物は、従来のフッ化アンモニウムに代表されるフッ素系化合物を含有する剥離剤と比べ、Low−k膜にダメージを与えず、また、廃水の環境への負荷の問題がなく、またアッシングを軽減でき、剥離性能等にも優れる利点を有する。
【0025】
また、本発明の剥離剤組成物には、必要に応じて他の成分を配合することができる。例えば、化合物群(a):有機溶剤、可塑剤、化合物群(b):界面活性剤、高分子型活性剤、化合物群(c):腐食防止剤が挙げられる。また、各化合物群からは、それぞれ1種以上選ばれる化合物を配合できるし、(a)〜(c)のいずれか1種でもよい。更に、化合物群(a)〜(c)の内でも塩としては、アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、トリエタノールアミン塩が好ましく、より好ましくはアンモニウム塩、トリエタノールアミン塩であり、更に好ましくはアンモニウム塩である。
【0026】
化合物群(a)は、変質レジストに対する剥離剤の浸透性を高め、変質レジストの剥離性を向上し、かつ銅等の配線の腐食を防止する作用を有する。
【0027】
化合物群(a)の有機溶剤としては、メタノール、エタノール、フェノール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、3−メトキシ−1−ブタノール、4−メトキシ−1−ブタノール、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル等のアルコール類、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド等のスルホキシド類、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン等のスルホン類、N―メチルホルムアミド、N、N―ジメチルホルムアミド、N―メチルアセトアミド、N、N―ジメチルアセトアミド、N、N―ジエチルアセトアミド等のアミド類、N―メチル−2−ピロリドン、N―エチル−2−ピロリドン、N―ヒドロキシメチル−2−ピロリドン等のラクタム類、1、3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1、3−ジエチル−2−イミダゾリジノン等のイミダゾリジノン類、γ−ブチロラクトン、δ―バレロラクトン等のラクトン類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ブチルジグリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコール及びその誘導体、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、メチルグリセリルエーテル、ジメチルグリセリルエーテル、トリメチルグリセリルエーテル、エチルグリセリルエーテル等のエーテル類及びその誘導体、プロピオン酸メチル、蓚酸メチル、乳酸メチル、蓚酸エチル、乳酸エチル等のエステル、メチルイソブチルケトン等のケトン類、アセトニトリル等のニトリル類、炭酸エチレン、炭酸プロピレン等の炭酸アルキレン等が挙げられる。これらの内で、変質レジストの剥離性、ポリマーの剥離性及び銅等の配線の腐食防止の観点から、好ましくはアルコール類、スルホキシド類、アミド類、ラクタム類、ニトリル類、炭酸アルキレン等であり、より好ましくはブチルジグリコール、フェノール、ジメチルスルホキシド、N、N―ジメチルホルムアミド、N―メチル−2−ピロリドン、アセトニトリル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン等である。
【0028】
化合物群(a)の可塑剤としては、化学工業日報社刊「13700の化学商品」(2000年)のP. 1033〜1049に記載されている可塑剤を使用できる。これらの内で、変質レジストの剥離性の観点から、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル等のフタル酸エステルが好ましい。
【0029】
上記化合物群(a)の総含有量は、変質レジスト及びポリマーの剥離性の観点から、剥離剤組成物全量中好ましくは0.1〜89.89重量%、より好ましくは0.1〜50重量%、更に好ましくは0.1〜30重量%、特に好ましくは0.1〜10重量%、最も好ましくは0.1〜5重量%である。
【0030】
本発明に用いられる化合物群(b)は、100nm程度の微小配線を有する基板のコンタクトホール内部に付着したポリマーの剥離性を向上する作用を有する。化合物群(b)としては、界面活性剤及び高分子型活性剤が挙げられる。
【0031】
化合物群(b)の界面活性剤及び高分子型活性剤としては、分子中に同種、異種を問わず、1個以上の親水基を持つ界面活性剤又は分散剤であり、分散質の界面に作用し、分散質の分散媒への分散性を向上させる化合物である。また、親水基の種類としては、エーテル基(オキシエチレン基等)や水酸基に代表される非イオン性基、カルボン酸基、スルフォン酸基、硫酸エステル基、燐酸エステル基に代表されるアニオン性基、4級アンモニウム塩に代表されるカチオン性基が挙げられる。これらの内、ポリマーの剥離性の観点から、非イオン性基よりアニオン性基やカチオン性基のようなイオン性親水基の方が好ましい。
【0032】
界面活性剤の親水基の数は、ポリマー剥離性の観点から、1〜15個が好ましく、より好ましくは1〜10個、更に好ましくは1〜8個、特に好ましくは1〜5個である。また、分子量は100〜1000が好ましく、より好ましくは100〜800、更に好ましくは100〜500である。
【0033】
具体的に、親水基が非イオン性基である界面活性剤の例としては、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレート等のソルビタン脂肪酸エステル、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレエート等のグリセリン脂肪酸エステル、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸のメチルメタノールアミド、メチルエタノールアミド、ジメチルエタノールアミド等の脂肪酸アルカノールアミド等が挙げられる。
【0034】
また、親水基がアニオン性基である界面活性剤の例としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルフォン酸、アルキルナフタレンスルフォン酸アンモニウム等のアルキルベンゼンスルフォン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸アンモニウム、アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸アンモニウム、ラウリルスルフォン酸アンモニウム等のスルフォン酸塩、オクタン酸アンモニウム、ノナン酸アンモニウム、デカン酸アンモニウム、ステアリン酸アンモニウム、オレイン酸アンモニウム等の脂肪酸塩等が挙げられる。
【0035】
次に、親水基がカチオン性基である界面活性剤の例としては、ステアリルアミンアセテートに代表されるアルキルアミン塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライドに代表される第4級アンモニウム塩等がある。
【0036】
更に、両性界面活性剤の例としては、ラウリルベタイン、ステアリルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド等のアルキルベタイン、アルキルアミンオキサイド等がある。これらの内、ポリマーの剥離性の観点から、親水基としてイオン性基を持つものが好ましく、アニオン性基を持つものがより好ましい。
【0037】
また、アニオン性基を持つものの中でも、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルフォン酸、アルキルナフタレンスルフォン酸アンモニウム等のアルキルベンゼンスルフォン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸アンモニウム、アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸アンモニウム等のスルフォン酸塩が特に好ましい。
【0038】
高分子型界面活性剤の親水基の数は、ポリマー剥離性の観点から2個以上であるが、好ましくは5個以上、より好ましくは10個以上である。更に、工業的入手性を加味すると、親水基の数は10〜2000個がより好ましい。また、重量平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィーでのポリスチレンスルフォン酸ナトリウム換算で500〜100万が好ましく、より好ましくは500〜50万、更に好ましくは1000〜10万である。
【0039】
具体的に、親水基が非イオン性基である高分子型界面活性剤、分散剤の例としては、プロピレングリコールの両末端ポリエチレンオキサイド付加物、ポリビニルアルコール及びその誘導体、ポリエチレングリコール(メタ)アクリル酸エステル重合体及びその重合体等が挙げられる。
【0040】
また、親水基がアニオン性基である高分子型界面活性剤、分散剤の例としてはポリアクリル酸に代表される(メタ)アクリル酸(塩)重合体及びその共重合体、スチレンとマレイン酸共重合体のナトリウム塩、ジイソブチレンとマレイン酸共重合体のナトリウム塩に代表されるマレイン酸(塩)重合体及びその共重合体、β―ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩に代表されるポリナフタレンスルフォン酸(塩)、ポリメラミンスルフォン酸(塩)、スルフォン化スチレン(塩)重合体及びその共重合体、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリロイルオキシエチル燐酸の共重合体に代表される(メタ)アクリロイルオキシエチル燐酸の重合体、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースに代表されるアニオン性基を有する多糖類及びその誘導体等が挙げられる。
【0041】
次に、親水基がカチオン性基である高分子型界面活性剤、分散剤の例として、4級アンモニウム単量体の重合体及びその共重合体、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド類の重合体及びその共重合体等が挙げられる。
【0042】
更に、親水基が混在した高分子型界面活性剤、分散剤の例としては、カチオン変性や、カルボキシル変性したポリビニルアルコールに代表される親水基変性ポリビニルアルコール、アクリルアミド/アクリル酸共重合体に代表される親水基単量体と(メタ)アクリル酸(塩)の共重合体、アクリル酸/塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体等に代表される親水基単量体と4級アンモニウム単量体の共重合体等が挙げられる。これらの内、ポリマーの剥離性の観点から、親水基としてイオン性基を持つものが好ましく、アニオン性基を持つものがより好ましい。
【0043】
また、アニオン性基を持つものの中でも、スチレンとマレイン酸共重合体のナトリウム塩、ジイソブチレンとマレイン酸共重合体のナトリウム塩に代表されるマレイン酸(塩)共重合体、β―ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩に代表されるポリナフタレンスルフォン酸(塩)、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースに代表されるアニオン性基を有する多糖類及びその誘導体等が特に好ましい。
【0044】
上記化合物群(b)は、変質レジスト及びポリマーの剥離性の観点から、界面活性剤が好ましく、より好ましくはアニオン性基をもつものであり、具体的には、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルフォン酸、アルキルナフタレンスルフォン酸アンモニウム等のアルキルベンゼンスルフォン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸アンモニウム、アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸アンモニウム等のスルフォン酸塩が特に好ましい。
【0045】
また、化合物群(b)の総含有量は、ポリマーの剥離性の観点から、剥離剤組成物全量中好ましくは0.001重量%以上、また起泡性の観点から、5重量%以下が好ましい。より好ましくは0.001〜3重量%、更に好ましくは0.001〜1.5重量%、特に好ましくはポリマーの剥離性の観点から0.001〜1重量%である。
【0046】
本発明に用いられる化合物群(c)は、銅等の配線の腐食防止作用を有する。化合物群(c)としては、工業的に入手可能な銅等の配線の腐食防止剤が使用でき、剥離剤中への溶解を向上させるために必要に応じて、化合物群(a)の有機溶剤及び/又は化合物群(b)の中から1種以上を配合することができる。
【0047】
化合物群(c)の腐食防止剤の具体例としては、ピロカテコール、ソルビトール、ピロガロール、キシリトール、ピロール、ピラゾール、チアゾール、2−アミノチアゾール、イミダゾール、2−アミノイミダゾール、1、2、3−トリアゾール、1、2、3―ベンゾトリアゾール、メチルベンゾトリアゾール、テトラヒドロトリルトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、アミノメチルトリルトリアゾール、3−アミノ−1、2、4―トリアゾール、トリルトリアゾール、5、5−ジメチルヒダントイン、ジチオグリセロール、3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸塩、1−チオグリセロール、オクタン酸塩、ノナン酸塩等の脂肪酸塩、エチルアシッドホスフェートに代表される燐酸エステル、1−ヒドロキシエチリデン−1、1―ジホスホン酸塩、アミノトリ(メチレンホスホン酸)塩に代表される燐酸塩等がある。
【0048】
銅等の配線の腐食を防止する観点から、好ましくは2種以上の上記腐食防止剤を併用することであり、より好ましくはトリルトリアゾールとメチルベンゾトリアゾールの併用、トリルトリアゾールと1、2、3―ベンゾトリアゾールの併用、テトラヒドロトリルトリアゾールと1、2、3―ベンゾトリアゾールの併用、テトラヒドロトリルトリアゾールとトリルトリアゾールの併用、テトラヒドロトリルトリアゾールとトリルトリアゾール1、2、3―ベンゾトリアゾールの併用である。更に好ましくはテトラヒドロトリルトリアゾールと1、2、3―ベンゾトリアゾールの併用、テトラヒドロトリルトリアゾールとトリルトリアゾールの併用、テトラヒドロトリルトリアゾールとトリルトリアゾール1、2、3―ベンゾトリアゾールの併用である。
【0049】
化合物群(c)の総含有量は、銅等の配線の腐食を防止する観点から、剥離剤組成物全量中好ましくは0.001〜10重量%、より好ましくは0.001〜8重量%、更に好ましくは0.001〜5重量%である。
【0050】
また、化合物群(a)〜(c)以外の成分として、必要に応じて、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、ベンザルコニウムクロライド、ベンゼトニウムクロライド等の殺菌剤、抗菌剤等を配合することができる。これらの殺菌剤、抗菌剤等の含有量は、それぞれの機能を発現させる観点、変質レジストの剥離性及びポリマーの剥離性に影響を与えない観点から、剥離剤組成物全量中好ましくは0.001〜0.1重量%、より好ましくは0.001〜0.05重量%、更に好ましくは0.001〜0.02重量%である。
【0051】
更に、必要に応じて、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール系消泡剤、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール誘導体、ソルビタンラウリン酸モノエステル、ソルビタンオレイン酸トリエステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、プルロニック型非イオン界面活性剤等の有機極性化合物系消泡剤、シリコーン樹脂、シリコーン樹脂の界面活性剤配合品、シリコーン樹脂の無機粉末配合品等のシリコーン樹脂系消泡剤等を配合することができる。これらの消泡剤の含有量は、消泡機能を発現させる観点、変質レジストの剥離性の観点から、剥離剤組成物全量中好ましくは0.001〜0.1重量%、より好ましくは0.001〜0.05重量%、更に好ましくは0.001〜0.02重量%である。
【0052】
本発明の剥離剤組成物のpHは、変質レジストの剥離性の観点から、好ましくは6〜14、より好ましくは8〜14、更に好ましくは10〜14、特に好ましくは12〜14である。
【0053】
また、本発明の剥離剤組成物の粘度は、変質レジストの剥離性及びポリマーの剥離性の観点から、好ましくはウベローデ型粘度計を用いて25℃下で0.1〜2mPa・s、より好ましくは0.1〜1.5mPa・s、更に好ましくは0.1〜1mPa・sである。
【0054】
更に、本発明で用いる酸化剤は予め分解を防止するために、無機酸や有機酸によって、酸性水溶液にしたもの、例えば、旭電化工業(株)の「アデカスーパーEL」等を使用できるし、その他の分解防止剤や有機溶剤を含むものでもよく、特に限定はない。
【0055】
以上のような構成を有する本発明の剥離剤組成物は、前記水溶性アミン及び/又はアンモニウム化合物、酸化剤、水、必要であれば(a)〜(c)成分、その他の成分を適宜添加、混合して製造し、使用することができる。
【0056】
本発明で剥離の対象とする電子基板の製造に係わるレジストとしては、ポジ型、ネガ型及びポジ−ネガ兼用型のフォトレジストが挙げられる。また、反射防止膜としての機能を有するレジストも含む。ポジ型レジストの具体例は、ケイ皮酸ビニール系、環化ポリイソブチレン系、アゾ−ノボラック樹脂系、ジアゾケトン−ノボラック樹脂系、ポリメチルメタクリレート系、ポリメチルイソプロペニルケトン系、ポリスチレンスルホン系、イソプロペニルケトン系、また露光により酸を発生する化合物、酸により分解する基を有する樹脂であるポリビニルフェノール系、ポリヒドロキシスチレン系、ポリビニル安息香酸エステル系、ポリフタルアルデヒド系、ポリ(ノルボルネン−5−メチレンヘキサフルオロイソプロピルアルコール−無水マレイン酸)、ポリ(ノルボルネン−5−メチレンヘキサフルオロプロピルアルコール−tert−ブチル−ノルボルネン−5−カルボキシレート)、ポリ(テトラフルオロチレン−ノルボルネン誘導体)等のフッ素樹脂等の化学増幅型レジスト等が挙げられる。また、ネガ型レジストの具体例は、アジド−環化ポリイソプレン系、アジド−フェノール樹脂系、クロロメチルポリスチレン系等が挙げられる。さらに、ポジ−ネガ兼用型レジストの具体例は、ポリ(p−ブトキシカルボニルオキシスチレン)系等が挙げられるが、フォトレジストは上記に限定されるものではない。本発明が対象とするレジストは、好ましくは変質レジストの剥離性の観点から、ポジ型レジストであり、より好ましくは金属含有のトリフェニルホスホニウム塩等のオニウム塩、N−イミノスルホン酸エステル等のスルホン酸エステル類、トリクロロアセトフェノン等のハロゲン系化合類、ジスルホン化合物等のスルホン類等の露光により酸を発生する化合物、例えば、tert−ブトキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、テトラヒドロピラニル基、トリメチルシリル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基等の酸により分解する基を有する樹脂であるポリビニルフェノール、ポリヒドロキシスチレン、ポリビニル安息香酸エステル、ポリフタルアルデヒド等の芳香族樹脂及びメタクリル樹脂の側鎖にアダマンチル基、イソボルニル基、トリシクロデカニル基を有する脂環樹脂系、ポリ(ノルボルネン−5−メチレンヘキサフルオロイソプロピルアルコール−無水マレイン酸)、ポリ(ノルボルネン−5−メチレンヘキサフルオロプロピルアルコール−tert−ブチル−ノルボルネン−5−カルボキシレート)、ポリ(テトラフルオロチレン−ノルボルネン誘導体)等のフッ素樹脂等の樹脂に、金属含有のトリフェニルホスホニウム塩等のオニウム塩、N−イミノスルホン酸エステル等のスルホン酸エステル類、トリクロロアセトフェノン等のハロゲン系化合物類、ジスルホン化合物等のスルホン類等の露光により酸を発生する化合物が含まれる等の化学増幅型レジストである。
【0057】
また、レジストの変質はLow−k膜等の絶縁膜のエッチングに使用するドライガス及び窒化珪素膜、窒化タンタル膜等のバリア膜のエッチングに使用するドライガスの種類、並びにエッチング条件によって影響を受ける。本明細書でいう変質レジストは、前記のような影響を受け、レジストの表面層が硬化したもの、またレジストの内部まで架橋等が進行し、高分子量化、硬化したもの、更に灰化等したもの等を示す。更に、本発明の剥離剤組成物は、特にレジストの変質が促進されるフッ素系のエッチングガスを使用した場合の変質レジストの剥離、また硼素、リン及び砒素等のイオンがドープされたレジストをエッチングした後の変質レジストの剥離に用いることができる。なお、前記剥離剤組成物は上記変質レジストの剥離に限定されるものではない。
【0058】
本発明において半導体基板に係わる金属配線は、銅及びアルミニウム配線等があるが、配線の腐食を防止する観点から銅配線が好ましい。なお、用いられる金属配線は異種の金属を含む合金であっても、また純金属でもよく、これらに限定されるものではない。
【0059】
次に、本発明において絶縁膜としては、比誘電率が5.0以下の絶縁膜であり、例えば、プラズマTEOS酸化膜及び比誘電率3.0以下のLow−k膜、比誘電率が2.0以下のポーラスLow−k膜(ウルトラLow−k膜)等の低誘電率膜(以下、Low−k膜)が挙げられる。Low−k膜の具体例としては、ヒドロゲンシルセスキオキサン系のHSQ、メチルシルセスキオキサン系のMSQやLKD(商品名、JSR社製)、SiOF等のフッ素系樹脂(例えば、FSG等)、SiOC系のBlack Diamond (商品名、Applied Materials 社製) 、Aurora2.7 やAurora2.4(商品名、ASM International 社製) 、Coral(商品名、Novellus Systems社製) 、Flowfill及びOrion2.8〜2.2 (商品名、Trikon Technologies 社製) 等の無機系Low−k膜、更に有機SOG、芳香族ポリアリールエーテル系のSiLK(商品名、ダウ ケミカル社製)等の有機系Low−k膜挙げられ、ポーラスLow−k膜の具体例としては前記記載のLow−k膜の誘電率をより低誘電率化したもの、具体的には2.0以下にしたものが挙げられる。中でも、好ましくは絶縁膜の腐食性防止の観点から、プラズマTEOS酸化膜及びLow−k膜である。
【0060】
本発明の剥離剤組成物は、銅配線を有する半導体基板のレジストをアッシングした後でも、ライトアッシングした後でも又はアッシングしなかった場合のいずれの場合においても、該レジストの剥離に好適に使用することができるが、Low−k膜の腐食を防止する観点から、好ましくはライトアッシングした場合であり、より好ましくはアッシングをしなかった場合である。また、アルミニウム配線を有する半導体基板のレジストの剥離にも好適に使用することができる。
【0061】
また、本発明の剥離剤組成物は、変質レジストを剥離した後のリンス洗浄液にイソプロピルアルコール等の溶剤を必要とせず、また、水(例えば、25℃以下の低温水)でも十分な洗浄が数分という短時間でできるという特徴を有するものであり、かつ剥離後の変質レジストによる半導体基板への再汚染を抑制することができるものである。
【0062】
更に、本発明の剥離剤組成物は、バッチ式、シャワー式、枚葉式等の剥離装置に用いることができ、このうちバッチ式及び枚葉式の剥離装置に好ましく用いられる。
【0063】
本発明の半導体基板の製造方法は、半導体基板に本発明のレジスト用剥離剤組成物を用いて、レジストを剥離する工程を含むものである。レジストを剥離する工程に用いられる手段及びその条件は、公知の方法及び公知の条件であれば、特に限定はない。
【0064】
また、本発明の半導体基板の製造方法において、前記レジストを剥離する工程以外の工程にも特に限定はない。
【0065】
本発明に係わる半導体基板は、レジストの剥離を行う工程を経て製造される半導体基板であり、特に銅等の配線上に窒化珪素や窒化タンタル等のバリア膜を蒸着させ、その上に絶縁膜であるLow−k膜等を堆積し、変質レジストが最上層にある半導体基板である。なお、該半導体基板は上記に限定されるものではない。中でも、本発明のレジスト剥離剤組成物は、レジスト剥離性及び銅等の配線の腐食防止性の観点から、絶縁膜として低誘電率膜を含んでなる半導体基板に適し、低誘電率膜が比誘電率3.0以下である半導体基板に特に適する。
【0066】
【実施例】
実施例1〜16及び比較例1〜5(但し、実施例7,12,13,14,16は参考例である)
シリコンウェハ上に銅、窒化珪素膜、表1、2に示す絶縁膜を順次成膜し、その絶縁膜上にポリビニルフェノール系のポジ型レジスト組成物を塗布、乾燥してレジスト膜を形成した後、パターンを転写し、これをマスクとして絶縁膜、窒化珪素膜をフッ素系のエッチングガスでドライエッチングして除去した。次に、液温を25℃に保持した表1、2に示す組成を有する剥離剤組成物中に、上記ウェハを10分間浸漬した後、超純水で3分間洗浄し、スピン乾燥を行った。
【0067】
処理後のウェハのSEM(走査型電子顕微鏡)観察により、残存する変質レジスト膜及びコンタクトホール内部のポリマーの有無を確認し、更に銅配線の腐食性を確認した。これらの判定基準は以下の通りである。その結果を表1、2に示した。
【0068】
(1)変質レジストの剥離性
○:10分以内で完全に剥離する。
△:10分以内で一部剥離する。
×:10分以内で剥離できない。
【0069】
(2)ポリマーの剥離性
○:10分以内で銅配線上のホール内部のポリマーが完全に剥離する。
△:10分以内で銅配線上のホール内部のポリマーが若干剥離する。
×:10分以内で剥離できない。
【0070】
(3)銅腐食性
○:全く腐食が認められない。
△:一部腐食が認められる。
×:腐食が認められる。
【0071】
(4)絶縁膜のエッチング速度
シリコンウェハ上に表1、2に示した7種類の絶縁膜をそれぞれ各種成膜した基板を調製し、それぞれ表1、2に示す組成を有する剥離剤組成物中に25℃、10分間浸漬した後、超純水で3分間洗浄し、スピン乾燥を行なった。次いで、膜厚計(大日本スクリーン製造(株)製、光干渉式膜厚測定装置ラムダエースVM−1000)を用いて膜厚を測定し、剥離液組成物浸漬前後の絶縁膜の厚さの変化から厚さの減少速度を求め、エッチング速度(Å/min)とした。
なお、ウェハ裏面の荒れについても目視評価を行ったが実施例1〜16の全てにおいて荒れは観察されなかった。
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】
また、表中の各用語は以下のとおりである。
TMAH: テトラメチルアンモニウムヒドロキシド
MEA:モノエタノールアミン
DEA:ジエタノールアミン
TBAH: テトラブチルアンモニウムヒドロキシド
TEA:トリエタノールアミン
コリン: ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド
NH3:アンモニア
NH4F: フッ化アンモニウム
H2O2: 過酸化水素(旭電化工業社製、商品名アデガスーパーEL)
tBuOOH:ter- ブチルヒドロパーオキサイド
アスコルビン酸:(L)−アスコルビン酸
APS:過硫酸アンモニウム
DMSO: ジメチルスルホキシド
BDG:ブチルジグリコール
TEOS: プラズマTEOS酸化膜
SiOC: Aurora2.7 (ASM International社製)
SiOF: FSG (Fluorinated Silica Glass)
ポーラスSiOC: ポーラスBlack Diamond II (Applied Materials 社製)
ポーラスSiLK: ポーラスSiLK II ( ダウ ケミカル社製)
【0075】
表1、2に示した結果から、実施例1〜16で得られた剥離剤組成物は、比較例1〜5で得られた剥離剤組成物に比べ、変質レジストの剥離性が優れ、かつ種々の絶縁膜のエッチングも非常に小さく、絶縁膜にダメージを与えない非常に優れたものであることがわかる。
【0076】
【発明の効果】
本発明の非フッ化系のレジスト用剥離剤組成物を用いることで、銅等の配線やLow−k膜等の絶縁膜を腐食せず、残存する変質レジスト及びエッチング残渣等の、いわゆるポリマーを25℃という低温で除去することができる。更に、従来のアッシング工程を削減又は低減でき、また変質レジスト及びポリマーの剥離を一液で行うことができるため生産性の向上が可能である。
Claims (6)
- 金属配線上に、窒化珪素膜又は窒化タンタル膜からなるバリア膜を蒸着させ、その上に比誘電率が5.0以下のプラズマTEOS酸化膜又はLow−k膜からなる絶縁膜を設けてなる半導体基板のレジストを剥離するに際して、(A)水溶性アミン及び/又はアンモニウムヒドロキシドと、(B)酸化剤と、水とを含有し、重量比で(A)/(B)が3〜20である、非フッ化系のレジスト用剥離剤組成物を用いて、15〜35℃の剥離温度で処理する半導体基板の製造方法。
- アンモニウムヒドロキシドがテトラメチルアンモニウムヒドロキシドである請求項1記載の製造方法。
- 酸化剤が過酸化物又はオゾンである請求項1又は2記載の製造方法。
- 過酸化物が過酸化水素である請求項3記載の製造方法。
- 金属配線が銅配線を含む請求項1〜4いずれか記載の製造方法。
- 15〜25℃のレジスト用剥離剤組成物に半導体基板を浸漬した後、水での洗浄を行う、請求項1〜5いずれか記載の製造方法。
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