JP4266039B2 - 無鉛快削性黄銅合金の製造方法 - Google Patents

無鉛快削性黄銅合金の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、耐脱亜鉛腐食性及び熱間鍛造性等に優れた無鉛快削性黄銅合金の製造方法に関する。
水と接触し得る水道金具その他の接水器具には、従来、「JIS H 3250」の規格に基づく切削性に優れた快削黄銅C3604や切削性及び熱間鍛造性に優れた鍛造用黄銅C3771等の快削性黄銅合金が広く使用されている。
前記快削性黄銅合金には、容易に切削加工し得るように、鉛(Pb)が多量に添加され、このように添加された鉛は、合金のマトリックスに固溶せずに結晶粒の内外に微粒状に分散し、それによって該材料の良好な切削性が確保されている。
しかしながら、前記のように鉛が添加された有鉛快削性黄銅合金は、優れた切削性を呈する反面、水との接触により脱亜鉛腐食を生じ易い上に鉛を水中に浸出させる傾向があり、鉛害による環境汚染や健康被害を招くことが懸念されていた。この点に関して、平成15年4月1日施行の「給水装置の構造及び材質の基準に関する省令の一部を改正する省令」(平成14年厚生労働省令第138号)により鉛の水道水質基準が改正され、この改正を受けて給水装置に係る鉛の浸出性能基準についても厳しい基準値に改正されている。
このことから、従来の前記有鉛黄銅合金は、飲用に供する給水装置には事実上使用することができず、鉛の浸出に係る前記改正基準を満たす無鉛快削性黄銅合金の開発が待望されていた。
前記問題に対して、例えば特開平5‐255778号公報、特公平5−63536号公報、特許第3335002号公報には、鉛(Pb)の代わりに非毒性とされるビスマス(Bi)を銅合金中に添加することにより切削性を確保しつつ水中への鉛の浸出を防止し得るようにした無鉛快削性黄銅合金が提案されている。
しかしながら、特開平5‐255778号に係る黄銅合金は耐脱亜鉛腐食性に劣り、また特公平5−63536号に係る黄銅合金は熱間加工性に難点があり、また特許第3335002号に係る黄銅合金は前記黄銅合金の問題点を改良したとされるものの、なお耐脱亜鉛腐食性や耐磨耗性等に問題を残すものであった。
特開平5‐255778号公報 特公平5−63536号公報 特許第3335002号公報
本発明の課題は、従来の有鉛快削性黄銅合金に匹敵する切削性を有し、しかも接水に際して鉛の浸出がないことから安全で鉛害の恐れがなく、さらに耐脱亜鉛腐食性、熱間鍛造性その他の物性に優れた無鉛快削性黄銅合金の製造方法を提供することにある。
請求項1に記載の発明は、60.0〜62.5質量%の銅(Cu)、0.4〜2.0質量%のビスマス(Bi)、0.10質量%以下(0%を含む、以下同じ)の鉛(Pb)、0.55〜1.0質量%の錫(Sn)、0.01〜0.05質量%のリン(P)、0.02〜0.10質量%の鉄(Fe)と残部の亜鉛(Zn)及び不可避不純物の金属組成を有し、熱間押出した後の押出素材の表面温度が180℃以下になるまで空冷する工程と、その後にこれを350〜550℃の温度で1〜8時間の焼鈍する工程と、その後徐冷が施され、前記焼鈍する工程とその後の徐冷の熱処理工程によりβ相の一部がα相に変態して該α相の存在比率が増加すると共にβ相がその周囲をα相で囲まれて孤立した状態にある金属組織を有するようにした耐脱亜鉛腐食性及び熱間鍛造性に優れた無鉛快削性黄銅合金の製造方法である。
請求項2に記載の発明に係る無鉛快削性黄銅合金は、0.02〜0.25質量%のアンチモン(Sb)を含有する耐脱亜鉛腐食性及び熱間鍛造性に優れた無鉛快削性黄銅合金の製造方法である。
前記金属組成において、銅(Cu)は、黄銅合金の金属組織が何れの温度範囲においてもα相とβ相の2相を有し、熱間加工の温度範囲では必ずβ相を含み、また常温においてはα相を主として含むようにし、しかも熱処理によりβ相がその周囲をα相で囲まれて孤立した状態にあるようにするために、請求項1に係る黄銅合金では60.0〜62.5質量%、好ましくは、61.0〜62.5質量%の範囲に管理される。
ビスマス(Bi)は、主として切削性を向上させるために、0.4〜2.0質量%の範囲で添加される。この成分は、鉛(Pb)と同様に合金のマトリックスに固溶せずに微細な粒子状として分散し、それによって該材料の切削性を向上させる。なお、この添加量が0.4質量%に満たない場合は所要の効果が得られず、またそれが2.0質量%を超える場合は熱間鍛造性の低下を招くことになる。
鉛(Pb)については、不純物として0.10質量%以下の存在が許容される。地金として一部にスクラップを使用することは、製品の価格を低下させるために有利であり、本発明では、鉛含有量が前記許容範囲にある限り、スクラップが使用された前記地金を好適に使用することができる。黄銅合金に0.10質量%以下の鉛が含有されていても、該黄銅合金は鉛の浸出に係る前記改正基準を十分満たすことができるので、これを実質的に無鉛とみなして差し支えない。なお、前記のような不純物としての鉛も、前記ビスマス(Bi)と相俟って切削性の向上に役立つものである。
アンチモン(Sb)は、ビスマス(Bi)と同様に切削性の向上と脱亜鉛腐食性の抑制に寄与するものであり、請求項に係る黄銅合金では0.02〜0.25質量%の範囲で添加される。なお、この添加量が0.02質量%に満たない場合は所要の効果が得られず、またそれが0.25質量%を超える場合は粒界への偏析が著しくなり、特に熱間加工性については、β相が多い場合は熱間加工性への悪影響は少ないものの、α相の量が増えてくると熱間加工性を阻害し易くなる。
錫(Sn)は、α相及びβ相の耐脱亜鉛腐食性を向上させ、特にα相より脱亜鉛腐食を生じ易いβ相に対してより大きな耐脱亜鉛腐食性を与えるものであり、請求項1に係る黄銅合金では0.55〜1.0質量%の範囲で添加される。錫の添加量が0.2〜0.5質量%の範囲にある場合は錫が合金のマトリックスに固溶し、またその添加量が0.5質量%を超える場合は硬質のγ相が析出して切削性を向上させるが、その添加量が1.0質量%を超える場合は冷間加工性に悪影響を生じることになる。
リン(P)は、金属組織の結晶粒微細化を促進すると共に脱亜鉛腐食を抑制するものであり、0.01〜0.05質量%の範囲で添加される。この添加量が0.01質量%に満たない場合は所要の効果が得られず、またそれが0.05質量%を超える場合は生成したCu3Pの微粒子が合金のマトリックスに分散して冷間加工性を阻害することになる。また、黄銅合金中でリンが前記アンチモンと共存することにより、結晶粒微細化及び耐脱亜鉛腐食性が相乗的に向上するものである。
鉄(Fe)は、鋳塊における結晶粒微細化に有効であり、0.1質量%以下の範囲で添加される。より健全な鋳塊を得るためには鉄をある程度添加することが好ましいが、添加量が過ぎる場合は硬くて脆いFe3PやFe3Sn等が生成して冷間加工性を阻害することになるので、健全な鋳塊の確保と冷間加工性の維持の点からは、鉄が0.02〜0.04質量%の範囲で添加されることが好ましい。
残部の亜鉛(Zn)は、合金のマトリックスに固溶して鋳造性や溶解性を向上させると共に強化するものである。
本発明に係るようなCu−Zn−Bi系合金材は、鋳造時にBiの偏析による鋳塊割れを生じ易い。本発明に係る無鉛快削性黄銅合金の製造方法では、前記鋳塊割れがなく良質で健全な鋳塊を得るために、低周波溝型溶解炉等により溶製され、保持器により保持された請求項1又は2に記載の金属組成を有する銅基合金の溶湯から横型連続鋳造により鋳塊を鋳造し、引出しする方法が採られる。前記鋳造後の引出しは、鋳塊割れがなく、より良質で健全な鋳塊を得るために、好ましくは50mm/分以下の速度で行われる。また、引出し後の冷却には、例えば、水冷による一次冷却と空冷又は軽度の水冷による二次冷却が採用される。
前記のようにして得られた鋳塊は、微細柱状晶組織におけるビスマス等の均一化の状態並びに鋳塊表面割れ(2mm以下)、水素(H2)ガス及び内部欠陥等の有無の検査が行われる。
検査後の良質で健全な鋳塊は、油圧単動式直接押出機等により600〜730℃の温度、好ましくはβ相量の抑制のために600〜650℃の温度での熱間押出し又は該温度での熱間押出しとその後の冷間引抜きに供される。前記鋳塊は、好ましくは冷間加工度3〜10%の範囲で押出しされ、また押出し後の押出素材は好ましくは空冷され、それにより冷間加工割れの防止が図られる。これは、押出素材中のビスマスが271℃以上で溶融しており、またβ相に濡れ易く、これがクラックの原因となるのを避けるためである。押出し後の冷却については、押出素材をその表面温度が180℃以下になるまでは空冷し、水冷による急冷を避けることが好ましい。
前記のようにして得られた押出素材では、金属組織がα相とβ相からなると共に、前記β相の大部分が熱間押出し、さらには冷間引抜きの加工により引き延ばされて連続した状態で存在している。そのような状態の前記押出又は引抜素材には、350〜550℃の温度での1〜8時間の焼鈍とその後の徐冷が施され、それらによって、β相の一部がα相に変態して該α相の存在比率が増加すると共に残留したβ相がα相に包み込まれるような金属組織が形成され、耐脱亜鉛腐食性が向上する。前記焼鈍条件については、α単相組織を改善してより優れた耐脱亜鉛腐食性を得るために、請求項1に係る黄銅合金では350〜550℃の温度での1〜5時間の焼鈍が好ましく、また請求項2に係る黄銅合金では450〜550℃の温度での2〜5時間の焼鈍が好ましい。本発明に係る黄銅合金では、銅の含有量が60.0〜62.5質量%と多いことから、β相の存在比率が比較的小さく、これは高い耐脱亜鉛腐食性の確保に極めて有利な条件となっている。
以上のように、請求項1に係る発明によれば、従来の有鉛快削性黄銅合金に匹敵する切削性を有し、しかも接水に際して鉛の浸出がないことから安全で鉛害の恐れがなく、さらに耐脱亜鉛腐食性、熱間鍛造性その他の物性に優れた無鉛快削性黄銅合金を提供することができる。また、押出素材の表面温度が180°以下になるまで、空冷しているので、ビスマスの融点(271℃)以下になるまで空冷することによって、冷間加工割れの防止が図られ、クラックの原因を避けることができると共に、黄銅合金の脆性破壊を未然に防止することができる。
請求項2に係る発明によれば、黄銅合金中でリンとアンチモンとが共存することにより、金属組織の結晶粒微細化及び耐脱亜鉛腐食性が相乗的に向上した無鉛快削性黄銅合金が得られる。
以下に、本発明を実施例及び比較例に基づいて具体的に説明する。
〔黄銅合金供試体の準備〕
以下の表1に示す金属組成に基づき、本発明の実施例に係る無鉛快削性黄銅合金として本発明供試体1及び2を調製すると共に、比較例に係る従来の有鉛快削性黄銅合金として比較供試体1及び2を調製した。
本発明供試体1としては、低周波溝型溶解炉、保持器及び横型連続鋳造装置により溶製、鋳造され、引出しされて得られた表1の本発明供試体1欄に記載の金属組成を有する銅基合金の鋳塊を、油圧単動式直接押出機により600〜670℃の温度で熱間押出しに供し、徐冷後、抽伸率0.5〜0.8mmの冷間引抜きに供し、得られた引抜素材を500〜550℃の温度で90〜120分焼鈍し、徐冷する工程により製造した。また、本発明供試体2として、前記と同様に溶製、鋳造され、引出しされて得られた表1の本発明供試体2欄に記載の金属組成を有する銅基合金の鋳塊を、前記と同様にして680〜720℃の温度で熱間押出しに供し、徐冷後、抽伸率0.3〜0.6mmの冷間引抜きに供し、得られた引抜素材を500〜550℃の温度で90〜150分焼鈍し、徐冷する工程により製造した。
また、比較供試体1として、前記と同様に溶製、鋳造され、引出しされて得られた表1の比較供試体1欄に記載の金属組成を有する銅基合金の鋳塊を、前記と同様にして690〜750℃の温度で熱間押出しに供し、徐冷後、抽伸率1mmの冷間引抜きに供し、得られた引抜素材を520℃の温度で100分焼鈍し、徐冷する工程により、「JIS H 3250」の規格に基づく快削黄銅C3604BD−Fからなる引抜素材を製造した。また、比較供試体2として、前記と同様に溶製、鋳造され、引出しされて得られた表1の比較供試体2欄に記載の金属組成を有する銅基合金の鋳塊を、前記と同様にして600〜670℃の温度で熱間押出しに供し、「JIS H 3250」の規格に基づく鍛造用黄銅C3771BD−Fからなる押出素材を製造した。
Figure 0004266039
〔機械的性質に関する試験〕
本発明供試体1及び2並びに比較供試体1及び2について、引張強さ(N/mm2)、伸び(%)、耐力(N/mm2)及び硬度(Hv)の各機械的性質を測定した。前記引張強さ(N/mm2)、伸び(%)については、「JIS Z 2201」の規格に基づく4号試験片を作成して測定し、また硬度(Hv)については、「JIS Z 2244」の規格に基づくビッカース硬さ試験方法により測定した。
各供試体についての機械的性質に関する試験結果を以下の表2に示す。なお、参考として、本発明供試体1に係る黄銅合金の金属組織を示す顕微鏡写真(×500)と前記金属組織におけるビスマスの分散状態を示す顕微鏡写真(×500)を各々図1(A)及び(B)に示す。
Figure 0004266039
前記の機械的性質に関する試験結果によれば、本発明供試体1及び2は、比較供試体1及び2と略同等又はそれ以上の機械的性質を示した。
〔切削性試験〕
下記の表3に記載の試験条件の下に、本発明供試体1及び2並びに評価基準材料としての比較供試体1について、旋盤による切削試験及びボール盤による穿孔試験を実施した。各供試体についての切削試験結果を以下の表4に示す。
なお、表4中、切削性1は旋盤による切削時の切削性を示し、また切削性2は旋盤による切削時及びボール盤による穿孔時の各切削性を総合した切削性を示している。切削性については、切削性指数(%)=(評価基準材料である比較供試体1の切削抵抗値/各材料の切削抵抗値)×100の計算式で算出した。
Figure 0004266039

Figure 0004266039
前記の切削性試験結果によれば、本発明供試体1及び2は、旋盤による切削時及びボール盤による穿孔に際して、比較供試体1の80%以上という優れた切削性を奏した。
〔切粉状態に関する試験〕
本発明供試体1及び2並びに比較供試体1を前記のように前記切削試験における旋盤による切削試験に供したときに生じた切粉の状態を切込み量0.2mm、0.4mm及び1.0mmの場合について比較観察した。
本発明供試体1における切込み量0.2mm、0.4mm及び1.0mmの各場合に生じた切粉の写真を各々図2(A)、(B)及び(C)に示し、本発明供試体2における切込み量0.2mm、0.4mm及び1.0mmの各場合に生じた切粉の写真を各々図3(A)、(B)及び(C)に示し、比較供試体1における切込み量0.2mm、0.4mm及び1.0mmの各場合に生じた切粉の写真を各々図4(A)、(B)及び(C)に示す。
前記の切粉状態に関する試験結果によれば、切込み量0.2mm及び0.4mmの場合において、本発明供試体1及び2は、比較供試体1と比較して若干大きくなるものの、ほぼ同様の細かい針状チップ形状の良好な切粉を生じた。また、切込み量1.0mmの場合においては、本発明供試体1は、比較供試体1と比較して若干大きくなるものの、ほぼ同様の細かい針状チップ形状の良好な切粉を生じたが、本発明供試体2では、カール状、渦巻き状の切粉の発生が観察された。
〔鍛造性試験〕
本発明供試体1及び評価基準材料としての比較供試体2について、評価試験法として最も過酷な平打ち鍛造に供し、元のサイズから割れなし広がりまでの径を測定し、600℃〜800度の各加熱温度における鍛造率(=割れなし広がり径/元の径)を算出した。熱間鍛造性の評価は、鍛造率1.5以下の場合を不良(×)、1.5〜2.5の場合を条件付き半不良(△)、2.5以上の場合を良好(〇)とした。
各供試体についての鍛造性試験結果と熱間鍛造性の評価を以下の表5に示す。なお、参考として、600℃〜800度の各加熱温度において実施された前記鍛造試験に供された本発明供試体1及び比較供試体2における割れなし広がり状態に平打ちされた状態を示す断面写真を各々図5(A)及び(B)に示す。
Figure 0004266039
前記の鍛造性試験結果によれば、本発明供試体1は700℃以上の温度では比較供試体2と略同等の良好な熱間鍛造性を示した。
〔耐脱亜鉛腐食性試験〕
本発明供試体2及び評価基準材料としての比較供試体1について、「ISO 6509」の規格に準拠して、各々3試験片(No.1〜3)を75±3℃のCuCl2溶液(CuCl2−2H2O 12.7g/L)に24時間浸漬し、露出面の脱亜鉛腐食の最大深さ(μm)を測定した。耐脱亜鉛腐食性の評価は、脱亜鉛腐食深さ100μm以下の場合を実用上問題なしとして合格とし、100μmを超える場合を不合格とした。また、前記脱亜鉛腐食深さの測定に加えて、24時間浸漬後における露出面積100mm2当りの溶出亜鉛量(mg/L/100mm2)を測定した。
各供試体についての脱亜鉛腐食深さ及び溶出亜鉛量の各測定結果を各々表6及び表7に示す。なお、参考として、前記耐脱亜鉛腐食性試験に供された本発明供試体2の脱亜鉛腐食状態を示す顕微鏡写真(×100)を図6に示す。
Figure 0004266039

Figure 0004266039
前記の耐脱亜鉛腐食性試験結果によれば、本発明供試体2は、比較供試体1よりも格段に優れた耐脱亜鉛腐食性を奏した。
〔耐磨耗性試験〕
本発明供試体1並びに評価基準材料としての比較供試体1−1及び1−2について、下記の試験条件の下に耐磨耗性試験を実施し、各摩耗速度における磨耗痕の幅(mm)を測定した。なお、比較供試体1−1は、比較供試体1をその素材長手方向に対して直角に加工する試料とし、また比較供試体1−2は、比較供試体1をその素材長手方向に対して平行に加工する試料とした。各供試体についての各摩耗速度における磨耗痕の幅の各測定結果を表8に示す。
試験条件
試験機名:大越式迅速摩耗試験機
摩耗距離:100000mm(100m)
最終荷重:2.1kgf
摩耗速度:0.17、0.61、1.14、1.64、2.37、4.36m/sec
相手材:SUS304(リング)
Figure 0004266039
前記の耐磨耗性試験結果によれば、本発明供試体1は、比較供試体1−1及び1−2と略同等又はそれ以上の優れた耐磨耗性を奏した。
〔その他の物性対比試験〕
本発明供試体1及び2並びに比較供試体1及び2についてヤング率その他の物性を測定し、その測定結果を以下の表9に示す。
Figure 0004266039
前記の物性対比試験結果によれば、本発明供試体1及び2は、比較供試体1及び2と略同等の物性を奏した。
図1(A)は、本発明供試体1に係る黄銅合金の金属組織を示す顕微鏡写真(×500)、同図(B)は前記金属組織におけるビスマスの分散状態を示す顕微鏡写真(×500)である。 図2(A)、(B)及び(C)は、本発明供試体1における切込み量0.2mm、0.4mm及び1.0mmの各場合に生じた切粉の写真である。 図3(A)、(B)及び(C)は、本発明供試体2における切込み量0.2mm、0.4mm及び1.0mmの各場合に生じた切粉の写真である。 図4(A)、(B)及び(C)は、比較供試体1における切込み量0.2mm、0.4mm及び1.0mmの各場合に生じた切粉の写真である。 図5(A)及び(B)は、600℃〜800度の各加熱温度において実施された鍛造試験に供された本発明供試体1及び比較供試体2における割れなし広がり状態に平打ちされた状態を示す断面写真である。 図6は、耐脱亜鉛腐食性試験に供された本発明供試体2の脱亜鉛腐食状態を示す顕微鏡写真(×100)である。

Claims (2)

  1. 60.0〜62.5質量%の銅(Cu)、0.4〜2.0質量%のビスマス(Bi)、0.10質量%以下(0%を含む、以下同じ)の鉛(Pb)、0.55〜1.0質量%の錫(Sn)、0.01〜0.05質量%のリン(P)、0.02〜0.10質量%の鉄(Fe)と残部の亜鉛(Zn)及び不可避不純物の金属組成を有し、熱間押出した後の押出素材の表面温度が180℃以下になるまで空冷する工程と、その後にこれを350〜550℃の温度で1〜8時間の焼鈍する工程と、その後徐冷が施され、前記焼鈍する工程とその後の徐冷の熱処理工程によりβ相の一部がα相に変態して該α相の存在比率が増加すると共にβ相がその周囲をα相で囲まれて孤立した状態にある金属組織を有するようにしたことを特徴とする耐脱亜鉛腐食性及び熱間鍛造性に優れた無鉛快削性黄銅合金の製造方法
  2. 0.02〜0.25質量%のアンチモン(Sb)を含有する請求項1に記載の耐脱亜鉛腐食性及び熱間鍛造性に優れた無鉛快削性黄銅合金の製造方法
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