JP5143948B1 - 熱間加工用無鉛黄銅合金 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐脱亜鉛性及び耐エロージョン・コロージョン性に優れ、良好な熱間加工性と機械的性質を持つ熱間加工用無鉛黄銅合金を提供する。
【解決手段】亜鉛:28.0〜35.0wt%、珪素:0.5〜2.0wt%、錫:0.5〜1.5wt%、ビスマス:0.5〜1.5wt%、鉛:0.10wt%以下を含有し、残部が銅及び不可避不純物から成り、亜鉛当量が40.0〜43.0の範囲内にあり、熱間加工後のκ相の面積率が20%以下である。さらに、伸びが10%以上である。
【選択図】図6

Description

本発明は、耐脱亜鉛性及び耐エロージョン・コロージョン性に優れ、良好な熱間加工性と機械的性質を持つ熱間加工用無鉛黄銅合金に関するものである。
水道用水栓金具や一般配管用接水器具、あるいは各種バルブには、従来からその優れた材料特性を活かして、青銅や黄銅などの銅合金が使用されている。それらの銅合金は、製品加工のための良好な被削性が要求される為、一般的には鉛を含有させることにより必要な被削性が付与されてきた。例えば、被削性に優れるJIS H5120 CAC406やCAC407等の青銅合金、あるいはJIS H3250 C3604やC3771等の黄銅合金は、1〜6wt%の鉛を含有している。
しかしながら、鉛は、合金の溶解・鋳造過程における蒸発、あるいは接水部品として使用した際の飲料水への溶出などにより、人体や環境衛生へ悪影響を及ぼす有害元素との認識が深まり、近年その含有は厳しく制限される傾向にある。そのため、鉛を含有しない快削性銅合金の開発が求められてきた。
上述したような背景から、シルジン青銅系合金では、鉛を含有せずに珪素を添加することで快削性を得るCu−Zn−Si系の合金が提案され、使用されている(特許文献1、2参照)。他にも、Cu−Zn−Si系合金の耐蝕性を高める為に錫を添加したCu−Zn−Si−Sn系合金が提案されている(特許文献3参照)。また、Cu−Zn−Si系合金の被削性をさらに改良する為にビスマスを添加したCu−Zn−Si−Bi系合金(特許文献4参照)やこれに耐蝕性改善のために錫を添加したCu−Zn−Si−Sn−Bi系合金(特許文献5参照)も提案されている。これらの合金は、機械的性質や耐脱亜鉛性に優れ、ビスマスを添加した場合は優れた被削性を持ち、ビスマスを添加しない合金では、優れた熱間加工性を備えている。また、Cu−Zn−Si系合金にビスマスを添加する場合、溶解原料のスクラップ利用における幅が広がるメリットもある。
特許第3917304号公報 特開2001−64742号公報 特開2002−12927号公報 特開2009−7657号公報 特願2010−84231号明細書
前記各文献に開示される合金は、鉛の有害性を除去することが主たる目的であったと言える。従って、鉛を含有せずに快削性を維持することが性能上、最も重要な課題であり、ある程度の被削性は確保されている。
ところが、前記合金において、ビスマスを含有しない場合、珪素系の化合物による被削性改善効果があるものの、十分とは言えない場合もあり、被削性改善の為には、ビスマスをある程度添加せざるを得ないのが実情である。また、スクラップ利用の観点からもビスマスの含有が望ましい。
一方、ビスマスを含有した鉛レス黄銅合金は、変形量の少ない成形加工においては、熱間加工が可能であるが、変形量の多い成形加工を施す場合、ビスマス添加量及び鍛造条件を厳しく管理しないと鍛造割れ等の不具合が発生しやすい。黄銅合金の熱間鍛造は、加工温度によって製品の割れ発生状況が異なることが知られている。割れが発生せずに加工出来る加工温度には上限と下限があり、この温度域(以降、加工温度幅と呼ぶ)で加熱し、鍛造を行う必要がある。例えば、ビスマスを0.7wt%程度含有した特許文献5の合金は加工温度を高くする必要があり、さらに加工温度幅が非常に狭い為、温度管理が難しく、エネルギー使用量の点でも問題がある。また特許文献3の合金では、熱間鍛造性を良好にする元素として珪素の添加が有効であることが記述されているが、実施例において、ビスマスを含有した場合の熱間加工性についてのデータが紹介されておらず、加工温度も750℃1水準のみの評価となっており、加工温度幅については不明である。
発明者等が調査したところ、Cu−Zn−Si−Sn系合金にビスマスが含有した場合、加工温度幅が極めて狭くなることが分かった。従って、変形量の多い成形加工を本合金系に施すには、鍛造条件の厳密なコントロールが必要となる為、操業上のトラブル発生につながりやすくなる。つまり、本合金系の優れた耐蝕性や被削性を多くの部品に適用する為には、加工温度幅を広げることが重要であり、第一の課題となる。
また、Cu−Zn−Si−Sn−Bi系合金は、耐脱亜鉛性、耐エロージョン・コロージョン性を高める為に、錫が添加されており、伸びが低下しやすくなる。本合金系は、κ相やγ相が析出し、その析出状況によって機械的性質が劣化しやすい。さらにこれらの析出状況は製造時の熱履歴等によって影響を受け易い為、組織の形態と機械的性質の関係を正確に把握し、適切なコントロールを行うことが重要となる。つまり、Cu−Zn−Si−Sn−Bi系合金の機械的性質、特に伸びのコントロールが第二の課題となる。
本発明は、上記の問題点を解決すべくなされたものであり、良好な熱間加工性及び機械的性質を備えた熱間加工用無鉛黄銅合金を提供することを目的としている。
本発明の要旨を説明する。
亜鉛:28.0〜35.0wt%、珪素:0.5〜2.0wt%、錫:0.5〜1.5wt%、ビスマス:0.5〜1.5wt%、鉛:0.10wt%以下を含有し、残部が銅及び不可避不純物から成り、亜鉛当量が40.0〜43.0の範囲内にあり、熱間加工後のκ相の面積率が20%以下であることを特徴とする熱間加工用無鉛黄銅合金に係るものである。
また、伸びが10%以上であることを特徴とする請求項1記載の熱間加工用無鉛黄銅合金に係るものである。
本発明は上述のように構成したから、良好な熱間加工性及び機械的性質を備えた熱間加工用無鉛黄銅合金となる。即ち、亜鉛を28.0〜35.0wt%含有することで、良好な熱間加工性を得ることができる。珪素は亜鉛と同様に、良好な熱間加工性を得る為の必須元素であり、0.5〜2.0wt%の添加が有効となる。錫は、耐脱亜鉛腐食性及び耐エロージョン・コロージョン腐食性の向上に寄与する。ビスマスは被削性改善の為に添加される。亜鉛当量は、亜鉛、珪素、その他の元素のバランスによって決定され、特に熱間加工性と機械的性質のバランスを維持するためのパラメータとなり、40.0〜43.0の範囲内において両者の性質を同時に満足するようになる。また、κ相の面積率が20%以下となることで、良好な機械的性質が得られる。
亜鉛当量の説明図である。 熱間加工試験に供した試料の化学成分を示す表である。 熱間加工試験の試験片形状を示す説明図である。 鍛造試験結果を示す表である。 Si添加量と加工温度幅との関係を示すグラフである。 Zn当量と加工温度幅との関係を示すグラフである。 引張試験に供した試料の化学成分を示す表である。 引張試験の試験結果を示す表である。 低Zn当量におけるSi添加量と機械的性質との関係を示すグラフである。 高Zn当量におけるSi添加量と機械的性質との関係を示すグラフである。 Si添加量とκ相の面積率と伸びとの関係を調べた試料の化学成分を示す表である。 Si添加量とκ相の面積率と伸びとの関係を示す表である。 Si添加量とκ相の面積率との関係を示すグラフである。 κ相の面積率と伸びとの関係を示すグラフである。 エロージョン・コロージョン試験と脱亜鉛腐食試験に供した試料の化学成分を示す表である。 エロージョン・コロージョン試験の試験片形状を示す説明図である。 試験条件を示す表である。 試験結果を示す表である。 脱亜鉛腐食試験の試験結果を示す表である。 被削性試験に供した試料の化学成分を示す表である。 試験条件を示す表である。 試験結果を示す表である。 撮影したミクロ組織の一例を示す写真である。
好適と考える本発明の実施形態を本発明の作用を示して簡単に説明する。
本発明は、良好な耐脱亜鉛性、耐エロージョン・コロージョン性を持ち、さらに優れた熱間加工性と良好な機械的性質を確保する為、亜鉛:28.0〜35.0wt%、珪素:0.5〜2.0wt%、錫:0.5〜1.5wt%、ビスマス:0.5〜1.5wt%、鉛:0.10wt%以下を含有し、残部が銅及び不可避不純物から成り、亜鉛当量が40.0〜43.0の範囲内にある熱間加工用無鉛黄銅合金を提供するものである。
本発明において上記のように成分組成、機械的特徴を特定した理由と、本発明の作用効果について以下に簡単に説明する。
亜鉛(Zn)
亜鉛は、Cu−Zn−Si系銅合金のマトリックスに固溶し、機械的強度を高める作用がある。また、合金の融点を下げて溶湯の流動性を高め、鋳造性を高める。また熱間加工を良好にする作用があり、これらの効果を得るには、後述する珪素添加量及び亜鉛当量との関係により、28.0wt%以上の亜鉛を含有させる必要がある。
一方、亜鉛が35.0wt%を超えると、後述する珪素添加量及び亜鉛当量との関係により、却って熱間加工性が劣化してしまい、また必要以上の硬質相の析出により、機械的性質が劣化してしまう恐れがある。このような理由から、亜鉛の含有量を28.0〜35.0wt%とした。
珪素(Si)
珪素は、溶解時に脱酸材として作用し、溶湯の流動性を高めて鋳造性を良化させる。また、一部はマトリックスに固溶し機械的強度を高めると共に、一部は亜鉛と作用して切削加工時のチップブレーカとして機能する硬質相を出現させ、被削性を改善する。
さらに発明者等が調査を重ねた結果、ビスマスを含有した場合のCu−Zn−Sn−Si系合金の加工温度幅(割れを発生することなく熱間鍛造出来る加工温度の上限から下限を引いた値)を飛躍的に向上させる次の事実を発見した。
熱間加工時の加熱段階において、ビスマスは結晶粒界に凝集し易い性質を持っており、これが熱間加工性を阻害する要因として考えられる。ところが、適量の珪素を添加することでビスマスの凝集を防ぎ、鍛造割れ防止に対して有効となる。これらの効果を得るためには0.5wt%以上の珪素を含有させる必要がある。一方、2.0wt%を超えて含有すると、亜鉛当量を最適に保った場合でも、熱間加工性が劣化してしまい、さらに必要量以上の硬質相の出現により、機械的性質が劣化してしまう恐れがある。このような理由から、珪素の含有量を0.5〜2.0wt%とした。
錫(Sn)
錫は耐脱亜鉛性と耐エロージョン・コロージョン性の向上に有効である。特に耐エロージョン・コロージョン性の改善に有効であり、これらの効果を得るためには、0.5wt%以上の添加が必要となる。一方、1.5wt%を越えて含有すると、機械的性質が劣化してしまう恐れがある。このような理由から、錫の含有量を0.5〜1.5wt%とした。
ビスマス(Bi)
ビスマスは0.5wt%未満では、被削性の改善効果は殆ど認められないが、0.5wt%以上の添加によって、被削性が添加量に応じて改善される。但し、熱間加工性を劣化させる原因になり、多量の添加は好ましくない。また熱間加工性のみならず、機械的性質劣化の原因ともなる為、1.5wt%までの添加とした。
鉛(Pb)
鉛は、その含有量を0.10wt%以下とすることにより、合金の溶解・鋳造過程における蒸発、あるいは接水部品として使用した際の飲料水への溶出などによる人体や環境衛生への鉛害を、実質的に回避することが可能となる。このような理由から、鉛の含有量を0.10wt%以下に規制した。
銅(Cu)
銅は、脱亜鉛腐食感受性を弱め、耐蝕性や機械的性質を改善する元素であるが、本発明合金においては、その含有量は亜鉛及び珪素含有量とのバランスにより残余として決定されるものであり、実質的な含有量は59.0〜71.0wt%である。
亜鉛当量
亜鉛当量は、本発明合金における加工温度幅を幅広く保つ為に重要なパラメータとなる。上述したように、珪素の適切な添加により、加工温度幅を幅広く保てるようになるが、珪素のみの管理では不十分であり、珪素や亜鉛等のバランスで計算される亜鉛当量も限定的な管理を行うことで、より確実に加工温度幅を広く保てるようになる。発明者等が調査したところ、本発明合金における亜鉛当量は、40.0以上で、加工温度幅が工業的に満足しうる幅を持つ様になる。一方で、亜鉛当量が43.0を超えると機械的性質の劣化を招く恐れがある。このような背景から、亜鉛当量は40.0〜43.0とした。
尚、亜鉛当量は、guilettの式(亜鉛当量=100×(B+Σtq)/(A+B+Σtq))により求め、Biの亜鉛当量は係数を1として計算した(図1参照)。
κ相の量的割合または熱処理
上述した各元素の添加や熱間加工の付与により、本発明合金の優れた性能が発揮される様になるが、熱間加工時の冷却速度や加工率によっては、延性においてやや不十分なことがある。本発明合金の延性を良好にする為には、金属組織のコントロールが必要であり、本発明合金中のκ相の面積率が20%以下となることで延性を確保出来る。よってκ相の面積率を20%以下とした。なお、組織のコントロール方法については、熱間加工の工法による制御や熱処理等、特に方法を限定しない。
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
本発明に属する合金(本発明合金)及び比較合金を試料として下記に示す試験を行った。
1)熱間加工試験
図2に熱間加工試験に供した試料の化学成分を示す。試験溶解用のシリコニット炉で溶解し、図2のような化学成分に調整された溶湯を外径88mm、長さ120mmの金型に鋳造し、外径78mm、長さ90mmに機械加工した。機械加工したビレットを直径22mmに押出加工し、得られた押出棒から、図3に示すような試験片形状に加工した。これらの試験片を加工率80%で加工温度を変化させて鍛造した。ここで加工率とは以下の式により算出した。
加工率=100×(鍛造前の試料高さ−鍛造後の試料高さ)/鍛造前の試料高さ
鍛造後の試験片(試料)を目視にて観察し、割れを発生せずに鍛造出来る加工温度の上限から下限を求めて、加工温度幅として定義し、評価した。尚、加熱時間は全ての試験において20分とした。各試料の加工温度幅を図4〜6に示す。
(a) 珪素添加の有効性について
本発明合金に対する珪素添加の有効性を示したものが図5である。珪素無添加の場合、加工温度幅は狭いが、珪素添加に伴い、加工温度幅が拡大していくことが分かる。これらの効果は0.5wt%以上添加して満足できる加工温度幅になる。一方で添加量が2.0wt%を超えると、却って加工温度幅が低減していく傾向になり、珪素は0.5〜2.0wt%が有効であることが判明した。
(b) 亜鉛当量の有効性について
次に亜鉛当量の有効性を示したものが図6である。本発明合金において加工温度幅を良好に保つ為には、亜鉛当量が40.0〜43.0の範囲内でなければならないことが判明し、前述した珪素添加による加工温度範囲の拡大効果と合せて亜鉛当量を適切にコントロールする必要性が確認された。
2) 熱間加工材の引張試験
図7に引張試験に供した試験材の化学成分を示す。直径45mm、長さ100mmの金型に鋳造し、直径40mm、長さ75mmのビレットに機械加工した。続いて、ビレットを650〜750℃で加熱し、直径10mmに押出加工を施した後、JIS Z2201 14A号試験片に機械加工し、万能試験機にて引張試験を実施した。結果を図8〜10に示す。
珪素添加量の影響に注目した場合、珪素添加量に応じて伸びが低下する傾向が認められ、特に亜鉛当量が高い場合において顕著である。引張強さは、亜鉛当量が40.6付近の場合、珪素が1.0wt%付近、42.5付近の場合2.0wt%付近で一旦低下するがその後増加していく傾向にあることがわかる。
3) 金属組織と機械的性質
本発明合金は、上述したように優れた熱間加工性を有しており、Si添加量と亜鉛当量を適切にコントロールすることが重要となる。ところが、亜鉛当量が高い場合、伸びが低下しやすくなる傾向があり、組織のコントロールも課題となってくる。
本発明合金はκ相とα相が主な構成組織であり、中でもκ相の量的割合が機械的性質に与える影響に注目し、組織観察を行った。前記の引張試験に供した試料を用いて、光学顕微鏡で500倍の像をそれぞれ5か所撮影し、画像処理ソフトにより、κ相の量的割合を測定した(図23に撮影した写真の一例を示す。)。これらの結果を図11〜14に示す。これらの組織観察により、発明者等は次のような事実を発見した。本発明合金系の伸びはκ相の面積率と非常に強い相関があることが発見され、伸びを高める場合、κ相の面積比を低く抑える必要がある。
κ相の面積比と珪素添加量の関係について整理すると、珪素添加量に応じて増加する(図13参照)。またκ相の面積率と伸びの関係では、20%以下で伸びが10%以上となる(図14参照)。従って、本発明合金におけるκ相の面積比は20%以下であることが必要となる。
4) 腐食試験
(a) エロージョン・コロージョン試験
図15にエロージョン・コロージョン試験に供した試験材の化学成分を示す。試験溶解用のシリコニット炉で溶解し、図15のような化学成分に調整された溶湯を直径40mm、長さ100mmの金型に鋳造し、図16に示すような試験片形状に加工した。これらの試験片を用いて、図17の試験条件で試験を実施した。試験結果を図18に示す。これらの結果より、本発明合金はCAC406に比較するとやや劣るものの、快削黄銅に比べると大きく改善されていることが判明した。
(b) 脱亜鉛腐食試験
試料は前記エロージョン・コロージョン試験と同一のものを用いた。試験はISO6509法に準拠した方法にて行った。試験結果を図19に示す。本発明合金は最大腐食深さがいずれも100μm以下と良好な結果が得られた。
5) 被削性試験
図20に被削性試験に供した試験材の化学成分を示す。試験溶解用のシリコニット炉で溶解し、図20のような化学成分に調整された溶湯をJIS H5120 E号金型に鋳造し、図21に示す切削条件で試験片の外径加工を行い、その切削抵抗を測定した。試験結果を図22に示す。本発明合金は鉛入り青銅や鉛入り黄銅に比較すると、抵抗が高めであるが、鉛レス青銅と同等レベルであることが確認された。
以上から、亜鉛:28.0〜35.0wt%、珪素:0.5〜2.0wt%、錫:0.5〜1.5wt%、ビスマス:0.5〜1.5wt%、鉛:0.10wt%以下を含有し、残部が銅及び不可避不純物から成り、亜鉛当量が40.0〜43.0の範囲内にある熱間加工用無鉛黄銅合金は、良好な熱間加工性及び機械的性質を備えたものとなることが確認できた。

Claims (2)

  1. 亜鉛:28.0〜35.0wt%、珪素:0.5〜2.0wt%、錫:0.5〜1.5wt%、ビスマス:0.5〜1.5wt%、鉛:0.10wt%以下を含有し、残部が銅及び不可避不純物から成り、亜鉛当量が40.0〜43.0の範囲内にあり、熱間加工後のκ相の面積率が20%以下であることを特徴とする熱間加工用無鉛黄銅合金。
  2. 伸びが10%以上であることを特徴とする請求項1記載の熱間加工用無鉛黄銅合金。
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