JP2005248303A - 無鉛快削青銅鋳物及び無鉛快削青銅物品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 有鉛青銅鋳物系材料に近い切削性とそれに匹敵し或いはそれより優れた耐蝕性及び機械的性質を備えると共に複雑な形状、構造の加工にも対応することができ、しかも安全で鉛害の恐れがなく、加熱時にも脆化を生じない無鉛快削青銅鋳物及び無鉛快削青銅物品の製造方法を提供する。
【解決手段】 85.0〜89.0重量%の銅(Cu)と、4.0〜6.0重量%の錫(Sn)と、5.0〜10.0重量%の亜鉛(Zn)と、残余の不純物とからなる銅基合金から連続鋳造された無鉛青銅鋳物素材に5〜30%の加工率でロータリ・スエージングによる冷間鍛造を施し、さらに450〜700℃、0.5〜2.5時間の焼鈍を施して、切削性に優れた無鉛快削青銅鋳物を製造する。
【選択図】 なし
【解決手段】 85.0〜89.0重量%の銅(Cu)と、4.0〜6.0重量%の錫(Sn)と、5.0〜10.0重量%の亜鉛(Zn)と、残余の不純物とからなる銅基合金から連続鋳造された無鉛青銅鋳物素材に5〜30%の加工率でロータリ・スエージングによる冷間鍛造を施し、さらに450〜700℃、0.5〜2.5時間の焼鈍を施して、切削性に優れた無鉛快削青銅鋳物を製造する。
【選択図】 なし
Description
本発明は、切削性に優れた無鉛快削青銅鋳物及び無鉛快削青銅物品の製造方法に関する。
バルブ、コック、管継手、管、タンク、給水メータ等、水や水分と接触し得る部材(以下、接水器具と総称する。)には、従来、「JISH3250 C3604」等の規格による快削黄銅と称される黄銅伸銅系材料や「JISH5120 CAC406(旧BC6)」、「JISH5121 CAC406C(旧BC6C)」等の規格による青銅鋳物系材料が広く使用され、特に水道器具には耐蝕性に優れた後者の青銅鋳物系材料が広く採用されている。
前記青銅鋳物系材料には、容易に切削加工し得るように、通常、鉛(Pb)が約4〜6%添加され、このように添加された鉛は、銅合金のマトリックスに固溶せずに結晶粒の内外に微粒状に分散し、これによって該材料の切削性が確保されている。
前記のように鉛が添加された有鉛青銅鋳物系材料は、優れた切削性を呈する反面、水との接触により鉛を水中に浸出させる傾向があり、鉛害による環境汚染や健康被害を招く可能性があった。この点に関して、平成15年4月1日施行の「給水装置の構造及び材質の基準に関する省令の一部を改正する省令」(厚生労働省令第138号)により鉛の浸出基準が改正され、飲用に供する給水・給湯設備には、鉛を前記のように約4〜6%と多量に含む従来の有鉛青銅鋳物系材料は事実上使用することができず、鉛の含有率が0.25%以下のいわゆる無鉛銅合金材料が要求されるに至っている。
前記問題に対して、例えば特公平05−63536号、特開平08−120369号、特開2000−336442号等に係る発明では、鉛に代えて非毒性とされるビスマス(Bi)を銅合金中に添加することにより鉛の浸出を防止しつつ切削性を確保し得るようにした無鉛青銅鋳物系材料が提案されている。しかしながら、前記従来技術に係るビスマス含有の無鉛青銅鋳物系材料は、その良好な切削性にもかかわらず、加熱時に脆くなって割れを生じ易く、そのため切削加工時の発熱を極力防止する必要があり、またロー付け等に際して加熱することができず、しかもリサイクル材料中に前記問題のビスマスが混入する等の多くの問題を有している。
特公平05−63536号公報
特開平08−120369号公報
特開2000−336442号公報
本発明の課題は、有鉛青銅鋳物系材料に近い切削性とそれに匹敵し或いはそれより優れた耐蝕性及び機械的性質を備えると共に複雑な形状、構造の加工にも対応することができ、しかも安全で鉛害の恐れがなく、加熱時にも脆化を生じない無鉛快削青銅鋳物及び無鉛快削青銅物品の製造方法を提供することにある。
本発明に係る無鉛快削青銅鋳物の製造方法は、85.0〜89.0重量%の銅(Cu)と、4.0〜6.0重量%の錫(Sn)と、5.0〜10.0重量%の亜鉛(Zn)と、0.25重量%以下の鉛(Pb)と、0.2重量%以下のアンチモン(Sb)と、0.3重量%以下の鉄(Fe)と、1.0重量%以下のニッケル(Ni)と、0.05重量%以下のリン(P)と、0.01重量%以下のアルミニウム(Al)と、0.01重量%以下のケイ素(Si)とからなる銅基合金から連続鋳造された無鉛青銅鋳物素材に5〜30%の加工率でロータリ・スエージングによる冷間鍛造を施し、さらに450〜700℃、0.5〜2.5時間の焼鈍を施したことを特徴としている。
前記銅基合金からの連続鋳造は、砂型鋳造に比して、内部欠陥の発生が抑制されると共に表面品質が向上した所要の品質、形状の鋳塊を効率的に製造することを可能にし、延いては、焼鈍処理後に得られる青銅鋳物の切削性や機械的性質の向上に寄与する。前記連続鋳造法としては、鋳型から水平方向に鋳塊を引き抜くようにした横型連続鋳造法が好適に採用される。
前記銅基合金組成における錫(Sn)は該合金の脱亜鉛腐食を抑制し、焼鈍処理後に得られる青銅鋳物の耐蝕性を向上させると共に機械的強度を向上させるものであり、4.0〜6.0重量%の含有量の範囲で最良の効果が得られる。また、亜鉛(Zn)は前記合金の連続鋳造に際して脱酸剤として作用すると共に該合金のマトリックスに固溶して鋳造性や溶解性を向上させ、焼鈍処理後に得られる青銅鋳物の機械的強度を向上させるものであり、5.0〜10.0重量%の含有量の範囲で最良の効果が得られる。また、0.25重量%以下の鉛(Pb)、0.2重量%以下のアンチモン(Sb)、0.3重量%以下の鉄(Fe)、1.0重量%以下のニッケル(Ni)、0.05重量%以下のリン(P)、0.01重量%以下のアルミニウム(Al)及び0.01重量%以下のケイ素(Si)は、何れも不純物として許容され得る成分である。なお、その他の成分として、ビスマス(Bi)等が不純物として含まれることもある。
前記銅基合金の連続鋳造により得られる無鉛青銅鋳物素材は、切削性を向上させる鉛(Pb)及びビスマス(Bi)等を添加成分として含まないので、この鋳造組織のままでは切削性は極めて低い。前記無鉛青銅鋳物素材は、5〜30%の加工率(加工前の断面積に対する加工前後の断面積の差の比率を百分率で示したもの)でロータリ・スエージングによる冷間鍛造が施され、それによって転位密度が増加すると共に鋳造組織が変化し、加工硬化させられる。前記冷間鍛造が施された青銅鋳物素材は、さらに450〜700℃、0.5〜2.5時間の焼鈍に供され、それによって転位密度が低下しつつ安定方向への転位の再配列が生じると共に適度の結晶粒の大きさでの再結晶組織が得られ、それに伴って残留応力の除去及び材料の軟化等が生じると共に、鉛が添加された従来の有鉛青銅鋳物系材料に近い切削性とそれに匹敵し或いはそれより優れた耐蝕性及び機械的性質を有する無鉛快削青銅鋳物が得られる。
前記冷間鍛造における加工率が5%に満たない場合は、鋳造組織からの組織の変化が小さ過ぎるため、焼鈍処理後に得られる青銅鋳物には十分な切削性及び機械的性質が得られない。また、前記加工率が30%を越える場合は、鋳造組織からの組織の変化が大き過ぎるため、この場合も焼鈍処理後に得られる青銅鋳物には十分な切削性及び機械的性質が得られないことになる。前記再結晶組織が十分且つ確実に生じ得るように、特に10〜25%の加工率を選択することが好ましい。
前記冷間鍛造には、被加工素材を相対的に回転させつつ該素材にその周囲から半径方向に打撃を加えて該素材を半径方向に縮小させる公知のロータリ・スエージングが採用され、この回転鍛造法が、他の鍛造法に比して、焼鈍処理後に得られる青銅鋳物の切削性や機械的性質の向上に有用となる。
また、前記450〜700℃、0.5〜2.5時間の焼鈍条件において、加熱温度が450℃に満たない場合や加熱時間が0.5時間に満たない場合は、前記冷間鍛造組織から再結晶組織への変化が十分に生起しないため、焼鈍処理後に得られる青銅鋳物に所要の十分な切削性及び機械的性質が得られない。また、加熱温度が700℃を越える場合や加熱時間が2.5時間を越える場合は、過焼鈍となり結晶粒が大きくなり過ぎるため、脆くなり、焼鈍処理後に得られる青銅鋳物に十分な引張強さや伸び等の機械的性質が得られない。
前記製造方法で得られた無鉛快削青銅鋳物は、例えば冷間引抜加工や冷間鍛造等の冷間塑性加工を施すことにより所要の無鉛快削青銅物品が得られる。
本発明に係る無鉛快削青銅鋳物の製造方法によれば、有鉛青銅鋳物系材料に近い切削性とそれに匹敵し或いはそれより優れた耐蝕性及び機械的性質を備えると共に複雑な形状、構造の加工にも対応することができ、しかも安全で鉛害の恐れがなく、加熱時にも脆化を生じない無鉛快削青銅鋳物及び無鉛快削青銅物品を得ることができる。
以下に、本発明を実施例及び比較例に基づいて具体的に説明する。
〔連続鋳造に係る青銅鋳物素材の準備〕
以下の表1に示す合金組成を有する各銅基合金から横型連続鋳造装置により直径33mmの無鉛青銅鋳物素材M1及び公知の有鉛青銅鋳物素材CAC406Cを連続鋳造した。
〔連続鋳造に係る青銅鋳物素材の準備〕
以下の表1に示す合金組成を有する各銅基合金から横型連続鋳造装置により直径33mmの無鉛青銅鋳物素材M1及び公知の有鉛青銅鋳物素材CAC406Cを連続鋳造した。
〔実施例1〕
前記連続鋳造に係る無鉛青銅鋳物素材M1に、15%の加工率でロータリ・スエージング・マシーン(互栄機械社製)による冷間鍛造を施し、続いて焼鈍装置(光洋リンドバーグ社製)による650℃で2時間の焼鈍を施し、本発明に係る青銅鋳物A1を製造した。前記青銅鋳物A1の顕微鏡写真(×500)を図1に示す。
前記連続鋳造に係る無鉛青銅鋳物素材M1に、15%の加工率でロータリ・スエージング・マシーン(互栄機械社製)による冷間鍛造を施し、続いて焼鈍装置(光洋リンドバーグ社製)による650℃で2時間の焼鈍を施し、本発明に係る青銅鋳物A1を製造した。前記青銅鋳物A1の顕微鏡写真(×500)を図1に示す。
〔実施例2〕
前記連続鋳造に係る無鉛青銅鋳物素材M1に、実施例1と同様の方法により7%の加工率の冷間鍛造を施し、続いて実施例1と同様の方法により650℃で2時間の焼鈍を施し、本発明に係る青銅鋳物A2を製造した。
前記連続鋳造に係る無鉛青銅鋳物素材M1に、実施例1と同様の方法により7%の加工率の冷間鍛造を施し、続いて実施例1と同様の方法により650℃で2時間の焼鈍を施し、本発明に係る青銅鋳物A2を製造した。
〔実施例3〕
前記連続鋳造に係る無鉛青銅鋳物素材M1に、実施例1と同様の方法により27%の加工率の冷間鍛造を施し、続いて実施例1と同様の方法により650℃で2時間の焼鈍を施し、本発明に係る青銅鋳物A3を製造した。
前記連続鋳造に係る無鉛青銅鋳物素材M1に、実施例1と同様の方法により27%の加工率の冷間鍛造を施し、続いて実施例1と同様の方法により650℃で2時間の焼鈍を施し、本発明に係る青銅鋳物A3を製造した。
〔実施例4〕
前記連続鋳造に係る無鉛青銅鋳物素材M1に、実施例1と同様の方法により15%の加工率の冷間鍛造を施し、続いて実施例1と同様の方法により500℃で2時間の焼鈍を施し、本発明に係る青銅鋳物A4を製造した。
前記連続鋳造に係る無鉛青銅鋳物素材M1に、実施例1と同様の方法により15%の加工率の冷間鍛造を施し、続いて実施例1と同様の方法により500℃で2時間の焼鈍を施し、本発明に係る青銅鋳物A4を製造した。
〔比較例1〕
前記連続鋳造に係る無鉛青銅鋳物素材M1に、実施例1と同様の方法により3%の加工率の冷間鍛造を施し、続いて実施例1と同様の方法により650℃で2時間の焼鈍を施し、比較用の青銅鋳物B1を製造した。前記青銅鋳物B1の顕微鏡写真(×500)を図2に示す。
前記連続鋳造に係る無鉛青銅鋳物素材M1に、実施例1と同様の方法により3%の加工率の冷間鍛造を施し、続いて実施例1と同様の方法により650℃で2時間の焼鈍を施し、比較用の青銅鋳物B1を製造した。前記青銅鋳物B1の顕微鏡写真(×500)を図2に示す。
〔比較例2〕
前記連続鋳造に係る無鉛青銅鋳物素材M1に、実施例1と同様の方法により35%の加工率の冷間鍛造を施し、続いて実施例1と同様の方法により650℃で2時間の焼鈍を施し、比較用の青銅鋳物B2を製造した。前記青銅鋳物B2の顕微鏡写真(×50)を図3に示す。
前記連続鋳造に係る無鉛青銅鋳物素材M1に、実施例1と同様の方法により35%の加工率の冷間鍛造を施し、続いて実施例1と同様の方法により650℃で2時間の焼鈍を施し、比較用の青銅鋳物B2を製造した。前記青銅鋳物B2の顕微鏡写真(×50)を図3に示す。
〔比較例3〕
前記連続鋳造に係る無鉛青銅鋳物素材M1に、実施例1と同様の方法により15%の加工率の冷間鍛造を施し、続いて実施例1と同様の方法により350℃で2時間の焼鈍を施し、比較用の青銅鋳物B3を製造した。
前記連続鋳造に係る無鉛青銅鋳物素材M1に、実施例1と同様の方法により15%の加工率の冷間鍛造を施し、続いて実施例1と同様の方法により350℃で2時間の焼鈍を施し、比較用の青銅鋳物B3を製造した。
〔比較例4〕
前記連続鋳造に係る無鉛青銅鋳物素材M1に、実施例1と同様の方法により15%の加工率の冷間鍛造を施し、続いて実施例1と同様の方法により750℃で2時間の焼鈍を施し、比較用の青銅鋳物B4を製造した。
前記連続鋳造に係る無鉛青銅鋳物素材M1に、実施例1と同様の方法により15%の加工率の冷間鍛造を施し、続いて実施例1と同様の方法により750℃で2時間の焼鈍を施し、比較用の青銅鋳物B4を製造した。
〔基準例1〕
前記連続鋳造に係る有鉛青銅鋳物素材CAC406Cに3%の加工率の冷間引抜加工を施し、基準用の青銅鋳物Cとした。
前記連続鋳造に係る有鉛青銅鋳物素材CAC406Cに3%の加工率の冷間引抜加工を施し、基準用の青銅鋳物Cとした。
〔性能試験〕
前記実施例1〜4に係る各青銅鋳物A1〜A4及び比較例1〜4に係る各青銅鋳物B1〜B4について、基準例1に係る青銅鋳物Cと共に、引張強さ(N/mm2)、伸び(%)、硬度(HRB)及び切削性の各試験を行った。それらの結果を以下の表2に示す。
前記実施例1〜4に係る各青銅鋳物A1〜A4及び比較例1〜4に係る各青銅鋳物B1〜B4について、基準例1に係る青銅鋳物Cと共に、引張強さ(N/mm2)、伸び(%)、硬度(HRB)及び切削性の各試験を行った。それらの結果を以下の表2に示す。
なお、前記引張強さ(N/mm2)、伸び(%)については、「JISZ2201」の規格による4号試験片を作成して測定した。
硬度(HRB)については、「JISZ2245」の規格に基づくロックウエル硬さ試験方法により測定した。
また、切削性については、切削バイト(東芝タンガロイ製の外径、端面切削用バイト、チップ材質:超硬TH10、チップ形状:ひし形80度、CNMA120404)を用いて、切削速度200m/分、送り速度0.15mm/回転、切り込み深さ0.5mmの切削条件下に外径旋削を行ない、生じた切粉の状態を観察すると共にこれらを図4に示す基準の切粉状態の写真(A)、(B)、(C)と対比して下記のように切削性の良否を判定した。
〇:多数の曲がった短い切粉を示す写真(A)に該当し、切削性は良好である。
△:多数の渦巻状切粉を示す写真(B)に該当し、切削性はやや良好である。
×:螺旋状切粉を示す写真(C)に該当し、切削性は不良である。
硬度(HRB)については、「JISZ2245」の規格に基づくロックウエル硬さ試験方法により測定した。
また、切削性については、切削バイト(東芝タンガロイ製の外径、端面切削用バイト、チップ材質:超硬TH10、チップ形状:ひし形80度、CNMA120404)を用いて、切削速度200m/分、送り速度0.15mm/回転、切り込み深さ0.5mmの切削条件下に外径旋削を行ない、生じた切粉の状態を観察すると共にこれらを図4に示す基準の切粉状態の写真(A)、(B)、(C)と対比して下記のように切削性の良否を判定した。
〇:多数の曲がった短い切粉を示す写真(A)に該当し、切削性は良好である。
△:多数の渦巻状切粉を示す写真(B)に該当し、切削性はやや良好である。
×:螺旋状切粉を示す写真(C)に該当し、切削性は不良である。
前記表2に示す試験結果によれば、本発明において限定された加工率及び焼鈍条件(温度及び時間)等を全て満足する実施例1〜4に係る無鉛青銅鋳物A1〜A4は、切削性において基準例1に係る従来の有鉛青銅鋳物CAC406Cに近い性能を示し、また引張強さ、伸び、硬度等の機械的性質において前記有鉛青銅鋳物CAC406Cに匹敵し或いはそれより優れた性能を示している。例えば、実施例1に係る無鉛青銅鋳物A1には、図1に示すように適度に成長した再結晶組織が認められる。
他方、本発明において限定された加工率及び焼鈍条件(温度及び時間)の何れかを欠く比較例1〜4に係る無鉛青銅鋳物B1〜B4では、切削性の改善が認められず、また機械的性質においても前記有鉛青銅鋳物CAC406Cより概して劣った性能を示している。例えば、加工率が5%に達しない比較例1の無鉛青銅鋳物B1では、図2に示すように鋳造組織に近い組織のままであり、図1に示すような再結晶組織が認められず、また加工率が30%を越える比較例2の無鉛青銅鋳物B2では、強加工のために図3に示すように組織が破壊され、良好な再結晶組織が生じていない。さらに、焼鈍温度が450℃に達しない比較例3の無鉛青銅鋳物B3では、冷間鍛造後の組織がそのまま維持されているため、伸びが小さく、また焼鈍温度が700℃を越える比較例4の無鉛青銅鋳物B4では、過焼鈍のために結晶粒が大きくなり過ぎ、脆くなって引張強さ、伸び共に小さくなっている。
Claims (2)
- 85.0〜89.0重量%の銅(Cu)と、4.0〜6.0重量%の錫(Sn)と、5.0〜10.0重量%の亜鉛(Zn)と、0.25重量%以下の鉛(Pb)と、0.2重量%以下のアンチモン(Sb)と、0.3重量%以下の鉄(Fe)と、1.0重量%以下のニッケル(Ni)と、0.05重量%以下のリン(P)と、0.01重量%以下のアルミニウム(Al)と、0.01重量%以下のケイ素(Si)とからなる銅基合金から連続鋳造された無鉛青銅鋳物素材に5〜30%の加工率でロータリ・スエージングによる冷間鍛造を施し、さらに450〜700℃、0.5〜2.5時間の焼鈍を施したことを特徴とする無鉛快削青銅鋳物の製造方法。
- 85.0〜89.0重量%の銅(Cu)と、4.0〜6.0重量%の錫(Sn)と、5.0〜10.0重量%の亜鉛(Zn)と、0.25重量%以下の鉛(Pb)と、0.2重量%以下のアンチモン(Sb)と、0.3重量%以下の鉄(Fe)と、1.0重量%以下のニッケル(Ni)と、0.05重量%以下のリン(P)と、0.01重量%以下のアルミニウム(Al)と、0.01重量%以下のケイ素(Si)とからなる銅基合金から連続鋳造された無鉛青銅鋳物素材に5〜30%の加工率でロータリ・スエージングによる冷間鍛造を施し、450〜700℃、0.5〜2.5時間の焼鈍を施し、さらに冷間塑性加工を施したことを特徴とする無鉛快削青銅物品の製造方法。
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