JP4264230B2 - 熱加工性テトラフルオロエチレン共重合体の精製方法 - Google Patents

熱加工性テトラフルオロエチレン共重合体の精製方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた光学的性質を有し、抽出され得るカチオンが極めて低い水準にあるため半導体への応用に適したポリマーを得るための、熱加工性テトラフルオロエチレン(TFE)共重合体の精製方法に関するものである。
特に、本発明は、高い純度、少ない量の抽出性物質(以下に定義)および優れた光学的性質を有する最終コポリマーを得るための、実質的に無機の塩類を含まない熱加工性テトラフルオロエチレン(TFE)共重合体を、ゲルの形態でラテックス洗浄することによって得る方法に関するものである。
【0002】
さらに、本発明の方法によれば、熱処理によって残留する界面活性剤が実質的に低減される。
このようにして得られる熱加工性共重合体の粉体は、低い黄色指数値と高い白色度値を有していて最終製品に着色問題がないから、優れた光学的性質が要求される最終製品に適用することができる。その上、本発明の粉体は、抽出され得る物質の低い放出性を有するポリマーが要求される半導体分野でも使用することができる。
【0003】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
エマルジョン/水性分散液中でのフッ素化モノマーの重合工程では、界面活性剤、重合開始剤およびその他の添加剤が加えられることが知られている。したがって、重合工程から得られるラテックスは凝固する。その凝固過程は次の段階からなっている:
−ラテックスを水で希釈し、不安定化電解質を任意に添加してラテックスを凝固させる;
−粒子が粒状化して浮遊するまでラテックスを機械的に攪拌してコロイド状の粒子を凝集させる;
−浮遊した粉体を母液から分離する;
−粉体を任意に水で洗浄する。
【0004】
上記の通常の方法によって得られる粉体は、抽出性物質の放出度が大きいため、半導体の分野には不適という欠点がある。その上、それらは高い黄色指数値と低い白色度指数を示すので、光学的な用途に使用することもできない。
抽出性物質の含量を減らし、改善された光学的性質を得るには、得られたポリマーを高温での熱処理に付すべきである。このことはポリマーの部分的な分解に繋がるという欠点がある。
したがって、優れた光学的性質を有する製品が求められる利用分野、あるいはポリマーに抽出性物質の低放出性が求められる利用分野、例えば前記の半導体産業に適した共重合体が得られるような、熱加工性のテトラフルオロエチレン(TFE)共重合体の精製方法の開発が望まれていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
したがって、本発明の目的は、下記の工程からなる熱加工性テトラフルオロエチレン(TFE)共重合体の精製方法である。
A)分散液または水性エマルジョン中での重合により得られる熱加工性テトラフルオロエチレン(TFE)共重合体のポリマーラテックスを、機械的攪拌下に、2以下、好ましくは0.4〜1.6の範囲のpH値を有する酸性電解質を添加することによってゲル化状態に変え、
B)pH1〜7を有する酸性水溶液または中性水溶液でポリマーゲルを洗浄する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の精製法によって、洗浄工程B)後のH+以外の抽出され得るカチオンを1ppm未満の量で含む熱加工性TFE共重合体を得ることができる。
本発明の方法は、バッチ式または連続式で実施できる。
本発明の方法をバッチ式で行なう場合、ゲル形態のポリマーラテックスを得るための工程A)は、じゃま板および攪拌装置を備えた槽の中で行うのが好ましい。攪拌装置は、好ましくは傾斜翼装置である。
ゲル形成の工程A)は次の工程からなる:
−約30〜40重量%の濃度を有する重合ラテックスを、5〜25重量%の濃度に、任意に水で希釈する;
−1.5〜5KW/m3 の特定の動力での機械的攪拌下にラテックスを維持し、酸性電解質、好ましくは硝酸を、水性分散液のpH値が2以下、好ましくは0.4〜1.6のpH値になるような量で加える。
【0007】
ポリマーがゲル状態にあるということは、ポリマー粒子が液相に浸され、交差結合によって互いに結合して厚い網状組織を形成することを意味する。ゲルの性質は、ポリマー粒子と液相との相互作用に大きく依存する。実際に、保持される液体はポリマーの網状組織が密な塊になるのを防いでいるし、ポリマーの網状組織は液体がゲルから出るのを防いでいる。化学組成や他の工程パラメーター、例えば固体および電解質濃度に依存して、ゲルの稠度は粘着な流動体から相当に固い固体までの範囲にある。
【0008】
バッチ式にてポリマーをゲルの形態で得るとき、次の工程からなる洗浄工程B)が引き続いて行なわれる:
1)機械的攪拌の停止、およびB)に示した水溶液の添加;加えられる水の量は通常ポリマーゲル100部に対して100〜200部である;
2)その後、ゲルを通常0.2〜2 KW/m3 の特定の動力で周速度0.1〜0.6 m/s未満で、通常1〜10分間、穏かに攪拌する;この条件下では、ゲルは破壊して小塊となるが、同時にゲルと空気の接触が最小となり、浮遊することなしに水との水力学的接触を維持するフロックを得る;
3)攪拌を停止し、ゲルフロックをデカンテーションして上澄の水を除去する。
【0009】
上記1)〜3)の工程を、抽出され得るカチオン(H+を除く)の量が1ppm未満になるまで繰り返す。洗浄工程B)は、通常3〜10回、好ましくは4〜8回繰り返される。
本発明の方法を連続式で行う場合は、ゲル形態のポリマーラテックス(工程A)は、好ましくは、次のようにして得られる。
分散液(乳濁液)中での重合によって得られるポリマーラテックスを、向流方式で連続流式洗浄カラムに供給する。
【0010】
このカラムは次のような特徴を有する。
−各段にじゃま板および1以上の機械的攪拌装置、例えば円錐状の円盤、円盤状タービン、傾斜翼、好ましくは円盤状タービンを備えた多段式カラムであり;
−カラムの高さ/直径の比は、5より大きく、好ましくは8〜20の間であり;
−段数は5〜20の間であり;
−ポリマーゲルの偏析および水からの分離のために、静止域が攪拌装置のないカラム頂部における第一段およびカラム底部における最終段に設けられており;
−酸性の電解質がカラムに沿って供給される。
【0011】
ポリマーゲルの形成は、洗浄カラムの上部で起こる。
ポリマーラテックスは、カラム上部の第一段に直接供給される。ここでポリマーゲルのフロックがほとんど瞬時に形成される。ゲルフロックの洗浄は、カラムに沿って重力を利用して偏析が行われている間に起こり、ゲルフロックは洗浄カラムの底部から流出してくる。洗浄水はカラム底部から流入し、上部、すなわち通常カラムの第一段から流出する。
工程A)における望ましいpH値を得るために、用いられる酸性電解質は多段カラムに供給される。酸性電解質の供給箇所は、カラム出口のゲルのpH値を制御するように、カラムに添って変わり得る。酸性電解質の供給量は、ポリマーゲルの形成を都合良く行なうために、カラムの第一段におけるpH条件が2以下、好ましくは0.4〜1.6の間になるように決定される。
【0012】
また、第一段においてゲル形成を得るには、攪拌機の周速度が0.6m/s 未満、好ましくは0.1〜0.5 m/s であることが必要である。洗浄カラム内の温度は、通常10℃〜40℃の範囲である。
一般的に、ポリマーゲルのフロックが水によって引き摺られるのを避けるために、カラム内の洗浄水の線速度は、1 cm/sec 未満でなければならない。上記のように操作することによって、ポリマー損失は、0.1重量%未満であって無視できるほどである。
本発明の洗浄カラムにおけるゲル洗浄効果は、ゲルフロックのカラム内滞留時間に依存する。滞留時間は、カラムが長くなるほど長くなる。したがって、段数が多いほど、洗浄効果が高くなる。
【0013】
さらに、本発明者は、攪拌速度が増すにつれてゲル洗浄効果が向上することを見出した。事実、攪拌速度の増大は、ゲルフロックの大きさを減じ、したがって洗浄効果を促進する。
本発明の連続式精製工程において、洗浄水の流速(l/h)とラテックスの流速(l/h)の比は、カラムの段数に依存し、通常1:1〜10:1、好ましくは1.5:1〜5:1である。
酸性電解質としては、無機酸、好ましくは硝酸および塩酸が挙げられるが、硝酸が特に好ましい。
【0014】
熱加工性TFE共重合体とは、TEFと、少なくとも1つのエチレン型不飽和を有する1以上のモノマーとを重合して得られるポリマーを意味する。
TFEコモノマーとしては、次のようなフッ素化されたものが具体的に挙げられる:
−ヘキサフロオロプロペン(HFP)のようなC3−C8パーフルオロオレフィン;
−ビニルフルオライド(VF)、ビニリデンフルオライド(VDF)、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロイソブテン、パーフルオロアルキルエチレン CH2=CH−Rf(ここで、RfはC1−C6パーフルオロアルキルである)のようなC2−C8水素含有フルオロオレフィン;
【0015】
−クロロトリフルオロエチレン(CTFE)のようなC2−C8 クロロ−および/またはブロモ−および/またはヨウド−フルオロオレフィン;
−(パー)フルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)CF2=CFORf(ここで、Rfは、C1−C6(パー)フルオロアルキル、例えば、CF3、C25、C37である);
−(パー)フルオロ−オキシアルキルビニルエーテル CF2=CFOX(ここで、Xは1以上のエーテル基を有する1−C12アルキル、C1−C12オキシアルキルもしくはC 1−C12(パー)フルオロオキシアルキル、例えばパーフルオロ−2−プロポキシ−プロピルである);
【0016】
−フルオロジオキソール、好ましくはパーフルオロジオキソール;
−次のタイプの非共役ジエン:
CF2=CFOCF2CF2CF=CF2
CFX1=CX2OCX34OCX2=CX1
(ここで、X1およびX2は、互いに同一または異なって、F、ClまたはHであり;X3およびX4は、互いに同一または異なって、FまたはCF3であり、これらは重合中に環化重合する);
【0017】
−一般式 CFXAI=CXAIOCF2ORAI(A−I)で表されるフルオロビニルエーテル(MOVE)(ここで、RAIは、C2〜C6の直鎖状もしくは分枝鎖状またはC5−C6環状の(パー)フルオロアルキル基、あるいは1〜3の酸素原子を含むC2−C6の直鎖状もしくは分枝鎖状の(パー)フルオロオキシアルキル基であり;RAIが前記のようにフルオロアルキル基またはフルオロオキシアルキル基であるとき、それはH、Cl、Br、Iから選ばれる1〜2の同一または異なった原子を含むことができる);一般式 CFXAI=CXAIOCF2OCF2CF2AIの化合物(A−II)(ここで、YAI=F、OCF3;XAIは上記に定義したものが好ましい);特に、(MOVEI)CF2=CFOCF2OCF2CF3(A−III)および(MOVEII) CF2=CFOCF2OCF2CF2OCF3(A−IV)が好ましい。
【0018】
また、上記のコモノマーに加えて、非フッ素含有オレフィンも好ましいものとして挙げられる。非フッ素含有オレフィンの例は、エチレン、プロピレン、ブテンおよびイソブテンである。
通常、共重合体中のコモノマーの量は、共重合体が熱加工性であるような量である。通常、それは1〜18重量%、好ましくは2〜10重量%であり、コモノマーのタイプに依存する。
本発明のポリマーは、熱加工性であり、103〜108 Pa.s.の範囲の溶融粘度を有する。実際に、ラテックスを得るための重合工程では、所定の粘度を与える分子量を得るために、連鎖移動剤が使用される。当業者は、先行技術の公知の熱加工性ポリマーを得るのにどうすればよいかを知っている。
【0019】
前記のようにゲルが得られるポリマーラテックスは、上記のようなコモノマーの存在下に、分散液(乳濁液)中でTFEを重合させることによって得られる。ラテックスポリマーの一次粒子は、0.1〜0.4ミクロンの粒子径を有する。ラテックスを得る工程は、マイクロエマルジョン中でも行なわれる。例えば、米国特許第4,864,006号、米国特許第4,990,283号および欧州特許第969,027号を参照されたい。このケースでは、ラテックスの一次粒子の直径は、0.01〜0.1ミクロンの範囲である。
本発明の方法によって、母液からポリマー粉体を分離後は、抽出され得るカチオン(H+を除く)を実質的に含まない熱加工性TFE共重合体を得ることができる。
【0020】
本発明のさらなる目的は、抽出され得るカチオンを1ppm未満の量で含む熱加工性TFE共重合体である。
本発明の方法で得られる熱加工性ポリマー粉体は、任意に、工程の最終段階で乾燥工程に付すことができる。乾燥温度は通常230℃〜280℃の範囲である。
乾燥工程後、H+以外の抽出され得るカチオンの量は1ppm未満であることが見出された。この処理後、界面活性剤の量は、分析検出限界未満であり、実際のところポリマー粉体から実質的に除去されている。
【0021】
本発明のさらなる目的は、抽出され得るカチオンの量が1ppm未満であり、残存する界面活性剤が実質的にない、つまり検出限界(10ppm)未満、すなわち10ppm未満である熱加工性TFE共重合体である。
本発明に従って行なわれる精製工程における共重合体の損失は、0.1重量%のオーダーであって無視できる。
前記のとおり、本発明の熱加工性ポリマーの粉体は、抽出され得る物質を放出しないので、半導体産業で用いられる製品、例えばタンクや配管系(パイプと付属品)を製造するのに特に好適である。その他の用途としては、改善された特性を有する光学分野での適用である。
本発明は、以下の具体的実施例でもってより詳しく説明されるが、これらの実施例は単に示されているだけであって、本発明自体の範囲を限定するものではない。
【0022】
【実施例】
特徴づけの方法
− カチオンの定量(H+を除く)
カチオンは、母液または洗浄水をカラムに注入し、イオンクロマトグラフィにより測定される。
カリウム・カチオンは比較的多く存在するものであり、この理由により、このイオンのみが表中で報告されている。種々のカチオンを測定するのに用いられる方法がカリウムイオンのためにここで例示されており、同じ方法が他のカチオンにも繰り返される。
カリウム・カチオンは、ゲルとのバランスにおいて、母液および洗浄水について測定され、測定量は粉体の全量に対し関連づけられた。
【0023】
ピーク領域は、検量線によって、検体水中に存在するK+の量と関連づけられる(操作条件:電気伝導度測定セルを備えた Dionex 4500i クロマトグラフ‐前カラムおよび分離カラム CG12 ‐ CS12‐ 溶出液:20mNメタンスルホン酸−溶出速度:1ml/分−自動再生機CSRS:100μl ループ)。
洗浄によって除去されたK+の量は、各洗浄後に排出される水の重量から計算される。重合に加えられたカリウム塩の量に対する差により、粉体に残存するK+の量が計算される。
この方法の検出限界は0.15ppmである。
【0024】
− 白色度および黄色指数の測定
これらの測定は、それぞれASTM E313およびASTM D1925の方法に従って行われる。
− 界面活性剤量の測定
乾燥粉体および湿潤粉体中の界面活性剤の量は、次の手順に従って、対応するメチルエステルをガスクロマトグラフィで分析することにより測定された:
粉体0.5gをエタノールで湿潤にし、水酸化アンモニウム溶液でpHを塩基性にする。この粉体を窒素気流中で乾燥する。乾燥粉体に2mlの酸性メタノールを加える。密閉された試験管中、70℃で16時間エステル化を行う。この時点で、0.5mlのDelifrene(登録商標)A113および4mlの水を混合物に加える。
【0025】
混合物を攪拌し、静置する。二相を分離し、界面活性剤エステルを含む低級フッ素化相1μlをとる。この溶液をキャピラリーカラムでガスクロマトグラフに注入する(イントロダクション・スプリット/スプリットレス・セット200°に設定を備えたキャピラリー・ガスクロマトグラフィー・システム−キャピラリーカラムタイプCP−SIL8CB 25cm × 0.32 mm × 1.3 μm−、担体ヘリウム=50KPa 分流速度 26 ml/分−仕上げ担体:窒素40KPa、−導入容量 1μl‐温度プロフィール 40℃× 4'、 40℃/ '〜60°、8°/ ' 〜84°、40°/ ' 〜220°× 10 '、−検出器FID 250℃に設定(空気/水素の比=100/90 KPa)‐電位計:レンジ 0、AT 0)。
検量線を用いて、ピーク領域を存在する界面活性剤の量に換算する。
実施例のラテックスを得るために用いられた界面活性剤は、アンモニウムパーフルオロオクタノエート(PFOA)である。
この測定法の検出限界は10ppmである。
【0026】
実施例1
pH値1の洗浄溶液を用いるゲル形態のポリマーのバッチ式洗浄
過硫酸カリウムの存在下で重合して得られるターポリマー TFE/PMVE/PPVE、ハイフロン(Hyflon) MFA640(登録商標) 18重量%のラテックス16リットルを、50リットルの反応器に導入する。この混合物を機械的攪拌下(傾斜翼攪拌機、特定攪拌動力 3 KW/m3)に置き、攪拌しながら、ラテックスのpHが1になるように20%のHNO3を加える。ゲルが得られるまでラテックスを攪拌する。
ゲルが形成された後、水相のpHが1になるように、20%のHNO3を加えた20リットルの水を加える。1回の洗浄におけるpHを表2に示す。
水/ゲルの混合物を、ゲルが破壊されてフロックになり、浮遊することなしに水と密に接触するに十分な特定の動力0.5KW/m3 にて、5分間攪拌する。
【0027】
攪拌を停止し、ポリマー(ゲル)をデカントするとき、20リットルの水が上澄み層から除去される。
洗浄操作をさらに5回繰り返す。
続いて、5KW/m3 という特定の動力を攪拌機に適用して、粉体が浮遊するまで混合物を攪拌する。攪拌を停止し、湿った微粉末から含まれている水が分離される。
凝固が起こる条件を表1に要約する。
【0028】
水を前記の分析方法(カチオン測定)により分析する。
洗浄水のpHデータ、および水の分析により計算され、各洗浄後の粉体中に存在する量に換算されたカリウム・カチオンの量を表2に示す。カリウムの量が1ppm未満のとき、存在する全てのカチオンの量も測定される。存在するカチオンの合計量は1ppm未満であった。
270℃で6時間乾燥した後の粉体を押し出す。押出しから導かれる細粒の成形後に得られる見本は、表3に示す黄色指数および白色度値を有する。
得られた光学的性質は、低い黄色指数および高い白色度値を有し、きわめて優れている。
【0029】
実施例2
pH7を有する洗浄溶液を用いたゲル形態にあるポリマーのバッチ式洗浄
過硫酸カリウム存在下の重合で得られた、ターポリマー TFE/PMVE/PPVE ハイフロン MFA640(登録商標)18重量%のラテックス16リットルを、50リットルの反応器に導入する。混合物を機械的攪拌下(固定翼攪拌機、特定攪拌動力 3 KW/m3)に置き、攪拌しながら、ラテックスのpH値が1になるように、20%のHNO3を加える。ゲルが得られるまでラテックスを攪拌する。
ゲルが形成された後、pH7の水20リットルを加える。水/ゲルの混合物を、ゲルが破壊されてフロックになり、浮遊することなしに水と密に接触するに十分な特定の動力0.5KW/m3 にて、5分間攪拌する。1回洗浄のpHを表2に示す。
【0030】
攪拌を停止し、ポリマー(ゲル)をデカントするとき、20リットルの水が上澄み層から除去される。
洗浄操作をさらに5回繰り返す。
続いて、5KW/m3 という特定の動力を攪拌機に適用して、粉体が浮遊するまで混合物を攪拌する。攪拌を停止し、湿った微粉末から含まれている水が分離される。凝固が起こる条件を表1に要約する。
洗浄液のpHデータ、および水の分析により計算され、各洗浄後の粉体中に存在する量に換算されたカリウムカチオンの量を表2に示す。カリウムの量が1ppm未満のときは、存在するその他すべてのカチオンの量も測定された。存在するカチオンの合計量は1ppm未満であった。
260℃で6時間乾燥した後の粉体を押し出す。押出しから導かれる細粒の成形後に得られる見本は、表3に示す黄色指数および白色度値を有する。
この実施例でも、優れた光学的性質が得られた。
【0031】
実施例3(比較)
pH7の水性洗浄溶液を用いた浮遊後(凝固相のpH=1)のポリマー洗浄
過硫酸カリウム存在下の重合で得られた、ターポリマー TFE/ PMVE/ PPVE ハイフロンMFA640(登録商標 )18重量%のラテックス16リットルを、50リットルの反応器に導入する。混合物を機械的攪拌下(固定翼攪拌機−特定攪拌動力3 KW/m3)に置き、攪拌しながら、ラテックスのpHが1になるように20%のNHO3を加える。
5KW/m3 という特定の動力を攪拌機に適用して、粉体が浮遊するまでラテックスを攪拌する。攪拌を停止し、湿潤微粉末に含まれる全ての水(12リットル)を除去する。
【0032】
特定の動力3KW/m3を適用した攪拌機で攪拌しながら、20リットルの水(pH7)を用いて、湿潤粉体を5分間洗浄する。1回の洗浄におけるpHを表2に示す。攪拌を停止し、20リットルの洗浄水を除去する。
この洗浄操作をさらに5回繰り返す。
凝固が起こる条件を表1に要約する。
洗浄液のpHデータ、および水の分析により計算され、各洗浄後の粉体中に存在する量に換算されたカリウムカチオンの量を表2に示す。表から分かるように、カリウムの量は、5回洗浄した後でも、1ppmより多く、その後の洗浄によっても減少しなかった。この例では、存在するその他すべてのカチオンの量を測定するのは余計である。
270℃で5時間乾燥した後の粉体を押し出す。特徴づけの実施例で示した方法でもって、押出しから導かれる細粒を成形した後に得られる見本は、表3に示す黄色指数および白色度値を有する。光学的性質は劣っている。
【0033】
実施例4
11段カラム、水の流速/ラテックスの流速の比が2、ラテックス供給流速が16リットル/hにおける,本発明方法による連続工程
ターポリマー TFE/PMVE/PPVE ハイフロンMFA640(登録商標)のラテックスを、向流方式で、連続流式洗浄カラムに供給する。カラムは多段カラムであり、各段にはじゃま板および機械的攪拌用の4枚翼の円盤状タービンが設けられている。
【0034】
カラムの直径は0.11mで、高さは1.5mである。段数は11であり、各段の高さは0.11mである。高さ0.03mの円錐状の円盤が、各段を仕切っている。静止域が、カラムの上部と底部に、それぞれ設計されている。
攪拌機の周速度は0.4 m/s であり、洗浄カラム内の温度は30℃である。
18重量%に等しいポリマー濃度を有するラテックスを、16リットル/h に等しい流速で、カラムの第一段に直接供給する。
洗浄水はカラムの底部から入り、カラムの上部から流出する。水の流速とラテックスの流速の比は2に等しい。
20重量%のHNO3溶液を、6段目に想到する多段カラムに供給する。
HNO3溶液の流速は、カラム6段目を始点にカラム頂部までを測定して、0.688リットル/h に等しく、pH値=1.3である。このような条件では、ラテックスは瞬時にゲル化する。
【0035】
洗浄効率
洗浄後のポリマーゲル中の抽出され得るカチオンの濃度(H+を除く)は、0.6mg/l である。
洗浄後のポリマーは、白色度値78、および1.55に等しい黄色指数値を有する。
細粒化、浮遊化および270℃、6時間の乾燥を経たポリマー細粒中のカリウム濃度(前記のように測定)は、0.15ppmであった。存在するその他すべてのカチオンの量を測定した。H+も含めて、存在する全てのカチオンの量は1ppm未満であった。細粒中の界面活性剤の量は、分析検出限界よりも少なかった。
【0036】
実施例5
11段カラム、水の流速/ラテックスの流速の比1.5、ラテックス供給流速16リットル/hにおける,本発明方法による連続工程
ターポリマー TFE/PMVE/PPVE ハイフロンMFA640(登録商標)18重量%濃度のラテックスを、流速16リットル/h にて、実施例4の洗浄カラムの第1段に供給する。
水の流速とラテックスの流速toの比は1.5に等しい。
20重量%のHNO3溶液を、6段目に想到する多段カラムに供給する。HNO3溶液の流速は、カラム第6段目を始点としてカラムの頂上までを測定して、0.573 リットル/hであり、pH値=1.0である。この条件でラテックスは瞬時にゲル化する。
【0037】
洗浄効果
洗浄後、ポリマーゲル中の抽出され得るカチオンの濃度(H+を除く)は、0.73 mg/lである。
洗浄後のポリマーは、白色度値76,および黄色指数値1.7を有する。
細粒化、浮遊化および270℃で6時間乾燥後のポリマー細粒中のカリウムカチオン濃度は、0.18ppmであった。存在するその他すべてのカチオンの量をが測定した。H+も含めて、存在する全てのカチオンの量は1ppm未満であった。細粒中の界面活性剤の量は、分析検出限界よりも少なかった。
【0038】
実施例6
11段カラム、水の流速/ラテックスの流速の比5.5、ラテックス供給流速10リットル/hでの本発明方法による連続工程
ターポリマー TFE/PMVE/PPVE ハイフロンMFA640(登録商標)18重量%濃度のラテックスを、流速10リットル/h にて、実施例4の洗浄カラムの第一段に供給する。
水の流速とラテックスの流速の比は5.5に等しい。
20重量%のHNO3溶液を、最終段に想到する多段カラムの底部に供給する。HNO3溶液の流速は、カラム全体を測定して1.49リットル/hであり、pH値=1である。この条件では、ラテックスは瞬時にゲル化する。
【0039】
洗浄効果
洗浄後、ポリマーゲル中の抽出され得るカチオンの濃度(H+を除く)は、0.6 mg/lである。
洗浄後のポリマーは、白色度値79,および黄色指数値1.5を有する。
細粒化、浮遊化および275℃で4時間乾燥後のポリマー細粒中のカリウムカチオン濃度は0.15ppmであった。存在するその他すべてのカチオンの量を測定した。H+も含めて、存在する全てのカチオンの量は1ppm未満であった。細粒中の界面活性剤の量は、分析検出限界よりも少なかった。
【0040】
【表1】
Figure 0004264230
【0041】
【表2】
Figure 0004264230
【0042】
【表3】
Figure 0004264230
【0043】
【発明の効果】
この発明により、優れた光学的性質を有し、抽出され得るカチオンが極めて低い水準にあるため半導体への応用に適したポリマーを得ることができる。

Claims (14)

  1. 次の工程:
    A)分散液または水性エマルジョン中での重合により得られる熱加工性テトラフルオエチレン(TFE)共重合体のポリマーラテックスを、機械的攪拌下に、2以下のpH値を有する酸性電解質を添加することによってゲルの形態に変え、
    B)pH1〜7を有する酸性水溶液もしくは中性水溶液でポリマーゲルを洗浄すること
    からなり、
    前記洗浄工程B)が次の工程:
    1)機械的攪拌の停止、および工程B)で示した水溶液の添加;添加される水の量がポリマーゲル100部に対して100〜200部である;
    2)続いて、0.2〜2 KW m 3 の特定の動力で、0.1 m s 〜0.6 m s 未満の周速度で、1〜10分間、ゲルを機械的に攪拌する;
    3)攪拌を停止し、ゲルのフロックをデカンテーションして、上澄液を除去することからなり、
    洗浄工程B)が3〜10回繰り返される、熱加工性テトラフルオロエチレン(TFE)共重合体の精製方法。
  2. バッチ式または連続式で行われる請求項1に記載の精製方法。
  3. ゲルの形態のポリマーラテックスを得るための工程A)が、じゃま板および攪拌装置を備えた槽の中で、バッチ式で行われる請求項1または2に記載の精製方法。
  4. 工程A)が次の工程:
    0〜40重量%の濃度を有する重合ラテックスを、5〜25重量%の濃度に、任意に水で希釈する;
    −1.5〜5 KW/m3 の特定の動力での機械的攪拌下にラテックスを維持し、酸性電解質を加えて、pH値を2以下にすること
    からなる、請求項1〜3のいずれか1つに記載の精製方法。
  5. 次の特徴:
    −各段にじゃま板および1以上の機械的攪拌装置を備えた多段カラム;
    −カラムの高さ/直径の比が8と20の間である;
    −段数は5と20の間である;
    −カラム頂部の第一段およびカラム底部の最終段には攪拌装置がない;
    −酸性電解質がカラムに沿って供給される
    を有する連続フロー洗浄カラムにポリマーラテックスを向流方式で供給する方法において、ポリマーラテックスをカラムの第一段に直接供給し、洗浄水をカラムの底部から流入させ、カラムの上部から流出させることにより、ゲルの形態にあるポリマーラテックス(工程A)を連続式で得る、請求項1または2に記載の方法。
  6. 供給される酸性電解質の量が、カラムの第一段におけるpHの条件が2以下になるように決定される、請求項に記載の方法。
  7. 攪拌機の周速度が0.6 m/s 未満であり、洗浄カラム内の温度が10℃〜40℃の範囲である、請求項またはに記載の方法。
  8. カラムにおける洗浄水の直線方向の速度が1cm/s 未満である請求項のいずれか1つに記載の方法。
  9. 洗浄水の流速とラテックスの流速の比が、1:1〜10:1の範囲にある、請求項のいずれか1つに記載の方法。
  10. 酸性電解質が無機酸である、請求項1〜のいずれか1つに記載の方法。
  11. 熱加工性TFE共重合体が、TFEと、少なくとも1つのエチレン型不飽和を含み、次のもの:
    −C3−C8パーフルオロオレフィン、
    −ビニルフルオライド(VF)、ビニリデンフルオライド(VDF)、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロイソブテンおよびパーフルオロアルキルエチレン CH2=CH−Rf(ここで、RfはC1−C6パーフルオロアルキルである)から選択されるC2−C8水素含有フルオロオレフィン;
    −C2−C8 クロロ−および/またはブロモ−および/またはヨウド−フルオロオレフィン;
    −(パー)フルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)CF2=CFORf(ここで、RfはC1−C6(パー)フルオロアルキルである);
    −(パー)フルオロ−オキシアルキルビニルエーテル CF2=CFOX(ここで、Xは1以上のエーテル基を有する1−C12アルキル、C1−C12オキシアルキルまたはC1−C12(パー)フルオロオキシアルキルである);
    −フルオロジオキソール;
    −次のタイプの非共役ジエン:
    CF2=CFOCF2CF2CF=CF2
    CFX1=CX2OCX34OCX2=CX1
    (ここで、X1およびX2は互いに同一または異なって、F、ClまたはHであり、X3およびX4は互いに同一または異なって、FまたはCF3であり、これらは重合の間に環状に重合する);
    −次の一般式のフルオロビニルエーテル(MOVE):
    CFXAI=CXAIOCF2ORAI (A−I)(ここで、RAIは、C2−C6の直鎖状、分枝鎖状もしくはC5−C6環状の(パー)フルオロアルキル基、または1〜3の酸素原子を含むC2−C6の直鎖状、分鎖状のパーフルオロオキシアルキル基であり、RAIが上記のフルオロアルキルもしくはフルオロオキシアルキルであるとき、それはH、Cl、BrおよびIから選ばれる同一または異なる1または2個の原子を含むことができ;XAI=FまたはH)
    ら選択される1以上のモノマーとの重合によって得られる、請求項1〜10のいずれか1つに記載の方法。
  12. フッ素化されたコモノマーに加えて、非フッ素含有オレフィンが用いられる、請求項11に記載の方法。
  13. 共重合体中のコモノマーの量が1〜18重量%である、請求項11または12に記載の方法。
  14. さらに、熱加工性重合体の粉体の乾燥が230℃〜280℃の温度で行われる、請求項1〜13のいずれか1つに記載の方法。
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