JP4262905B2 - 画像形成材料用支持体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、写真、感熱記録紙、熱転写記録紙などの画像形成材料用支持体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、インクジェット用記録材料、昇華型熱転写記録材料、感熱記録材料に用いられる支持体に耐水性が求められ、特に、ハロゲン化銀写真感光材料においては、現像、定着、水洗工程を経るため、耐水性、耐溶剤性、ならびに耐酸性、及び耐アルカリ性が求められ、その支持体としては基体の両面をポリオレフィン樹脂で被覆した支持体が用いられている。
【0003】
しかしながら、基体をポリオレフィン樹脂で被覆した場合、製造工程においてシートの巻き取り時に静電気による人体への衝撃やほこりの付着などの問題が生じたり、製品として取り扱う場合のシートの重なり等の問題が生じたりするため、一般的には帯電防止剤が塗布される。帯電防止剤としては、例えば、イオン性帯電防止剤が一般的に用いられるが、水などとの接触により、その効果が消滅してしまい帯電防止性の効果が得られない問題が発生する。
【0004】
また、記録用材料の記録面とは反対側の裏面に、印刷適性を付与することが求められるが、ポリオレフィン樹脂で被覆した表面では、インク吸収性がないため、その表面にインクが付与された場合にはインクの乾燥が遅い上、乾燥後は手の摩擦などにより消えやすい。そこで、従来から、ポリオレフィン樹脂層表面に、疎水性/親水性のポリマー層を設けたり、シリカゾル、炭酸カルシウム、クレイ等の吸油性を備える層を設けたりする等の提案がされているが、水、酸性又はアルカリ性の液などに接触することにより、これらの塗布層が離脱又は溶出したり、あるいはわずかな摩擦により顔料が脱離したりして、印刷されたインクが消失する欠点を有していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来の諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、
本発明は、耐水性及び帯電防止性に優れた画像形成材料用支持体を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
<1> 基体の一方の面に組成物塗布層を有する画像形成材料用支持体であって、前記組成物塗布層が、水性溶媒中、反応性乳化剤の存在下で2以上の単量体を乳化重合した水系分散体;及び親水性ブロック及び疎水性ブロックを含むブロック共重合体からなり、カルボキシル基、スルホン基、リン酸基、アミン基、アミド基又は水酸基を有する親水性有機高分子化合物の乳化物;を含有することを特徴とする画像形成材料用支持体である。
【0007】
<2> 前記組成物塗布層が、さらに、コロイド状シリカを含有することを特徴とする前記<1>に記載の画像形成材料用支持体である。
<3> 前記2以上の単量体が、芳香族系エチレン性不飽和単量体、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体、エチレン性不飽和カルボン酸単量体、及びこれら3つの単量体と共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体であることを特徴とする前記<1>または<2>に記載の画像形成材料用支持体である
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の画像形成材料用支持体は、基体の一方の面に組成物塗布層を設けたものであり、該組成物塗布層が、少なくとも水性溶媒中、反応性乳化剤の存在下で2以上の単量体を乳化重合した水系分散体(以下、「成分(A)」と呼ぶことがある。)と、親水性有機高分子水分散物の少なくとも一種(以下、「成分(B)」と呼ぶことがある。)とを含有する。そして、本発明の画像形成材料用支持体は、前記成分(A)により耐水性に優れ、成分(B)により帯電防止性に優れている。
【0009】
本発明の画像形成材料用支持体の基体としては、紙、合成紙やポリエチレンテレフタレート等のポリエステルやポリカーボネート等の樹脂ベースを用いることができる。これら紙、樹脂ベースは特に限定されることはないが、一般的に厚みは50〜400μm、坪量は40〜400g/m2のものが用いられる。また、その基体の表面粗さ、表面形状も限定されるものではない。また、通常、これらの基体の両面にポリオレフィン樹脂を被覆しポリオレフィン樹脂層を設けるが、いずれか一方の面に、ポリオレフィン樹脂層を設ける代わりに、組成物塗布層を設けてもよい。
【0010】
前記ポリオレフィン樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのα−オレフィンの単独重合体又は共重合体、及びこれら各種の混合物を挙げることができる。その重量平均分子量は特に制限はないが、20000〜200000のポリオレフィンを用いることができる。ポリオレフィン樹脂層の厚さについては特に制限はなく、その厚みは5〜60μmとすることができる。
【0011】
ポリオレフィン樹脂中には白色顔料、着色顔料あるいは蛍光像白剤、酸化防止剤、滑り剤などの公知の添加剤を添加することができる。特に、画像形成層が設けられる側のポリオレフィン樹脂中には、白色顔料、着色顔料あるいは蛍光像白剤を添加することが好ましい。ポリオレフィン樹脂層を設ける方法としては、特に制限はなく、溶融押出機を用いてラミネートする方法や予め作成されたポリオレフィンシートを貼り合わせる方法が挙げられる。
この基体にポリオレフィン樹脂層を設ける場合、密着性付与、向上させるために基体の表面に火炎、コロナ、グロー処理等の表面処理や接着剤の塗布層を設ける。
【0012】
本発明の画像形成材料用支持体は、以上の基体の一方の面に、前記組成物塗布層が設けられる。以下、該組成物塗布層の各成分について詳細に説明する。
【0013】
<水系分散体(成分(A))>
水系分散体は、水性溶媒中、反応性乳化剤の存在下で2以上の単量体を乳化重合して得られる。
前記2以上の単量体としては、芳香族系エチレン性不飽和単量体と、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体と、エチレン性不飽和カルボン酸単量体と、これら3つの単量体と共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体とすることが好ましい。
以下、上記各単量体について説明する。
【0014】
(芳香族系エチレン性不飽和単量体)
芳香族系エチレン性不飽和単量体(以下、「単量体A」呼ぶ場合がある)は、1分子中に芳香族環とラジカル重合可能なビニル基とを有する単量体であり、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼンなどの芳香族ビニル化合物や、ベンジル(メタ)アクリレート、ベンゾイル(メタ)アクリレートなどの芳香族環を有する(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、あるいは2種以上組合せて用いてもよい。
水系分散体における単量体Aの使用量は、使用する全単量体中、40〜99質量部であることが好ましく、より好ましくは45〜80質量部であり、さらに好ましくは50〜70質量部である。
単量体Aの使用量を40〜99質量部とすることにより、印刷適性、耐溶剤性がともに良好となる。
【0015】
(エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体)
エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体(以下、「単量体B」と呼ぶ場合がある)は、1分子中にエポキシ基とラジカル重合可能なビニル基とを有する単量体であり、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メタグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、エポキジシクロヘキシル(メタ)アクリレート、エポキシ化ブタジエンなどのエポキシ誘導体が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、あるいは2種以上組合せて用いてもよい。
水系分散体における単量体Bの使用量は、使用する全単量体中、0.5〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは1〜8質量部であり、さらに好ましくは2〜7質量部である。単量体Bの使用量を0.5〜10質量部とすることにより、耐溶剤性、印刷適性がともに良好となる。
【0016】
(エチレン性不飽和カルボン酸単量体)
エチレン性不飽和カルボン酸単量体(以下、「単量体C」と呼ぶ場合がある)は、1分子中にカルボキシル基とラジカル重合可能なビニル基を有する単量体である。
単量体C、あるいは水性溶媒を用いて乳化重合する際に単量体Cに変化するものの具体例としてたとえば、以下に示す(a)〜(e)が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、あるいは2種以上組合せて用いてもよい。
(a)アクリル酸、(メタ)アクリル酸、クロトン酸などのモノカルボン酸類
(b)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などのジカルボン酸類
(c)マレイン酸メチル、イタコン酸メチル、β一メタアクリルオキシエチルアシットヘキサハイドロフタレートなどのハーフエステル類
(d)上記(a)、(b)の不飽和カルボン酸類の無水物。例えば、アクリル酸無水物、マレイン酸無水物などは、水性溶媒中で乳化重合する際にカルボン酸に変化するので、乳化重合の際の単量体として用いることができる。
(e)(a)〜(d)のカリウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩
本発明のコーティング用水系分散体における単量体Cの使用量は、使用する全単量体中、0.5〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.7〜7質量部であり、さらに好ましくは1〜5重量部である。単量体Cの使用量を0.5〜10質量部とすることにより、耐溶剤性、耐水性、印刷適性がともに良好となる。
【0017】
(他のエチレン性不飽和単量体)
他のエチレン性不飽和単量体(以下、「単量体D」と呼ぶ場合がある)は、前記単量体A〜単量体Cと共重合可能な単量体であればよく、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸n−アミル、(メタ)アクリル酸i−アミル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ〉アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸i−ノニル、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル;アミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート・ブチルアミノエチルアクリレートなどのエチレン性不飽和カルボン酸のアミノアルキルエステル;ダイアセトン(メタ)アクリルアミドなどのカルボニル基を分子中に有する化合物;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、γ−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシランなどの各種官能基を有する(メタ)アクリレート;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)つアクリレートなどの多官能(メタ)アクリレート;1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリシルメタクリレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリシルメタクリレートなどの光安定化の機能を有する(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシ−4−メタクリルオキシベンゾフェノン、2−[2’−ヒドロキシ−5メタクリロルオキシエチル)フェニル]ベンゾトリアゾールなどの紫外線吸収性の機能を有する(メタ)アクリレート化合物;1,3−ブタジエン、イソプレン、2−クロル−1,3−ブタジエンなどの脂肪族共役ジエン;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル;エチレン性不飽和ジカルボン酸の酸無水物、モノアルキルエステル、モノアミド類;(メタ)アクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物、アクロレイン、ホルミルスチロール、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトンなどを挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、あるいは2種以上組合せて用いてもよい。
単量体Dの使用量は、使用する全単量体のうち、前記単量体A〜単量体Cを除く残りの部分を占める。
【0018】
(平均粒子径)
本発明において、乳化重合により得られるポリマー粒子の平均粒子径は、200nm以下であることが好ましく、より好ましくは30〜150nmであり、さらに好ましくは50〜100nmである。前記ポリマー粒子の平均粒子径が200nm以下とすることにより、高い耐水性を得ることができる。
平均粒子径の測定は、以下の方法によって行われる。粒子の水性分散体を蒸留水で適宜希釈し、動的光散乱法粒子径測定器を用いて平均粒子径を測定する。ポリマー粒子の平均粒子径は、ラジカル重合開始剤および乳化剤の種類および量を調整することにより制御することができる。
【0019】
(ゲル分率)
水系分散体に含まれるポリマー粒子のゲル分率は、70%以上であることが好ましく、より好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは85%以上である。ゲル分率が70%以上とすることにより、耐溶剤性が良好となる。
ゲル分率とは、前述したように、ポリマー粒子中において高分子量の3次元網目構造を形成する部分の占める割合をいい、通常、前記ポリマー粒子中におけるトルエン等の有機溶媒への不溶分として測定される。
ゲル分率は、単量体A〜単量体Dを本発明の範囲内で使用したうえで、ラジカル重合開始剤の種類および量、重合温度、必要により使用される連鎖移動剤の種類および量によって調節することができる。
【0020】
(ガラス転移温度)
本発明における水系分散体に含まれる前記ポリマー粒子のガラス転移温度は、0〜80℃であることが好ましく、5〜60℃であることがより好ましく、10〜40℃であることがさらに好ましい。前記ガラス転移温度が0℃未満であると、耐溶剤性に劣る場合がある。一方、前記ガラス転移温度が80℃を超えると、クラックなど欠損の多い塗膜となる場合がある。
【0021】
(水系分散体の製造方法)
水系分散体は、2以上の単量体からなる混合物を、水性溶媒中、後述する反応性乳化剤の存在下で、重合開始剤を添加し、共重合させることにより得られる。かかる乳化重合においては、まず、重合開始剤を熱または還元性物質の存在下でラジカル分解して重合開始反応を起こさせることにより単量体の付加重合を行わせる。
【0022】
(重合開始剤)
水系分散体の製造に用いる重合開始剤としては、例えばクメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンセンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイドなどの有機ハイドロパーオキサイド類からなる酸化剤と含糖ピロリン酸鉄処方、スルホキシレート処方、含糖ピロリン酸鉄処方/メルボキシレート処方の混合処方などの還元剤との組合せによるレドックス系の開始剤;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩;アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、2−カルバモイルアザイソブチロニトリルなどのアゾ化合物;ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートなどの有機過酸化物などを挙げることができ、好ましくは前記過硫酸塩および前記レドックス系の開始剤である。
重合開始剤の使用量は、全単量体100質量部あたり、0.05〜5質量部が好ましく、0.1〜2質量部であるのがより好ましい。これらの重合開始剤を用いて乳化重合する際には、反応系中に重合開始剤を一括添加するか、あるいは重合開始剤の一部を回分的添加、連続的添加、あるいはこの両者を組み合わせて添加する方法を用いることができる。
【0023】
(反応性乳化剤)
前述の通り、本発明における水系分散体は、2以上の単量体を反応性乳化剤の存在下にラジカル重合して得られる。
ここで、反応性乳化剤とは、乳化重合可能な程度の乳化能を有し、かつ、ラジカル重合可能である乳化剤をいう。
本発明においては、反応性乳化剤を用いて乳化重合を行なうことにより、乳化剤の使用量を低減することができ、特に水系媒体中における遊離の乳化剤の量を低減することができるため、耐水性に優れた共重合体エマルジョンが得られる。前記反応性乳化剤としては、たとえば、ラジカル反応性基としてエチレン性不飽和基、親水基としてポリオキシエチレン基,スルホン基,硫酸基、疎水基としてアルキル基を1分子中に有する乳化剤が挙げられる。
このような反応性乳化剤としては、たとえば、「ラテムルS−180A」[花王(株)製]、「エレミノールJS−2」[三洋化成(株)製]、「アクアロンHS−10」「アクアロンBC−10」[第一工業製薬(株)製]、「アデカリアソープSE−10N」[旭電化工業(株)製]などのアニオン性反応性乳化剤;「アクアロンRS−20」[第一工業製薬(株)製]、「アデカリナソープNE−20」[旭電化工業(株)製]などの非イオン性反応性乳化剤を挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、あるいは2種以上組合せて用いてもよい。
【0024】
本発明における反応性乳化剤の使用量は、後述する粒子径によるが、全単量体100質量部に対し、0.5〜5質量部であるのが好ましく、0.5〜3質量部であるのがより好ましい。0.5〜5質量部とすることにより、重合反応時の安定性を保持することができ、乳化が十分で、泡立ちも適当である。
また、乳化剤として、上記反応性乳化剤の他に、陰イオン性乳化剤、非イオン性乳化剤、陽イオン性乳化剤、両性イオン乳化剤、水溶性ポリマーなどの非反応性乳化剤を併用してもよい。
【0025】
陰イオン性乳化剤としては、例えば高級アルコール硫酸エステルのアルカリ金属塩、アルキルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属塩、コハク酸ジアルキルエステルスルホン酸のアルカリ金属塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸のアルカリ金属塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルの硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルのリン酸エステル塩などが挙げられる。
【0026】
非イオン性乳化剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、糖鎖を親水基とするアルキルエーテルなどを挙げることができる。
【0027】
陽イオン性乳化剤としては、アルキルピリジニルクロライド、アルキルアンモニウムクロライドなどを挙げることができる。
【0028】
両性イオン乳化剤としては、ラウリルベタインなど.を挙げることができる。水溶性ポリマーとしては、芳香族系単量体とカルボキシル基を含む単量体とを共重合させて得られるポリカルボン酸系重合体のアルカリ中和物や、ポリビニルアルコール、酵素分解澱粉などを挙げることができる。
【0029】
これらの非反応性乳化剤の使用量は、全単量体100質量部あたり、通常5質量部以下であることが好ましく、水溶性ポリマーを使用する場合には50質量部以下であることが好ましい。
また、これらの乳化剤は、重合系にそれぞれ一括添加、回分的添加、連続的添加あるいはこの両者を組み合わせて添加されるのが好ましい。
【0030】
水系分散体の重合においては、上記の乳化剤および重合開始剤と共に、必要に応じて、連鎖移動剤、電解質、キレート剤、pH調整剤などを併用してもよい。
連鎖移動剤としては、ハロゲン化炭化水素(例えば、四塩化炭素、クロロホルム、ブロモホルム)、メルカプタン類(例えば、n一ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン)、キサントゲン類(例えば、ジメチルキサントゲンジサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンジサルファイド)、テルペン類(例えば、ジペンテン、ターピノレン)、1,1−ジフェニルエチレン、α−メチルスチレンダイマー[2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン(I)、2,4−ジフェニル−4−メチル−ペンテン(II)、および1,1,3−トリメチル−3−フェニルインダン(III)の少なくとも1種からなり、好ましくは(I)/((II)+(III))(質量比)=40〜100/0〜60であるもの]、不飽和環状炭化水素化合物(例えば、9,10−ジヒドロアントラセン、1,4−ジヒドロナフタレン、インデン、1,4−シクロヘキサジエン)、不飽和ヘテロ環状化合物(例えば、キサンテン、2,5−ジヒドロフラン)等を挙げることができる。連鎖移動剤の使用量は、全単量体100質量部あたり、0〜5質量部程度であることが好ましい。
【0031】
pH調整剤としては、アンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸水素二ナトリウムなどが挙げられる。pH調整剤の使用量はそれぞれ、全単量体100質量部あたり0〜2質量部であるのが好ましい。
【0032】
重合法の一例としては、単量体混合物100質量部と、水100〜500質量部と、重合開始剤0.05〜5質量部と、乳化剤0.01〜5質量部と、連鎖移動剤、電解質およびpH調整剤の所定量とよりなる水性の反応系を、5〜100℃、好ましくは50〜90℃の温度条件下、0.1〜10時間にわたり反応させる。
その際の重合方法としては、全単量体を一括添加する方法、少なくとも一部の単量体を分割または連続して添加する方法、少なくとも一部の単量体のプレエマルジョンを分割または連続して添加する方法、またはこれらの方式を段階的に組み合わせた方法等を採用することができるが、特に、水溶性の低い単量体を使用する場合は・高圧ホモジナイサーや超音波分散機を用いて、予め単量体混合物の少なくとも一部、水、乳化剤等を強制乳化させてプレエマルジョンを調製してから、残りの単量体を一括添加、あるいは分割または連続して添加する方法等により重合することもできる。
【0033】
なお、本発明において、水系分散体の製造に用いられる水の使用量は、使用する全単量体の合計量100質量部に対し、通常、50〜1000質量部、好ましくは100〜500質量部である。50〜100質量部とすることにより、容易に乳化し、乳化後のエマルジョンの安定性を保持することができるとともに、生産性が向上する。
また、重合転化率は99質量%以上であることが好ましい。
【0034】
以上のようにして水系分散体が合成される。なお、水系分散体が酸性である場合には、アルカリ性化合物で中和することにより生成物を安定化させることが好ましい。かかるアルカリ性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物;アンモニア、ジメチルアミノエタノール、モルホリンなどのアミン類などを挙げることができる。
【0035】
(その他の添加剤)
以上の水系分散体には、目的に応じて、光安定化剤、紫外線吸収剤、有機溶剤、架橋剤、水溶性高分子(例えば水溶性ポリエステル樹脂、水溶性エポキシ樹脂、水溶性アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、澱粉)、消泡剤、増粘剤、熱安定剤、レベリング剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤、艶消し剤、顔料、防カビ剤などの添加剤が含有されていてもよい。
【0036】
水系分散体に添加含有される光安定化剤・紫外線吸収剤としては特に限定されるものではなく、塗料、合成ゴム、合成樹脂、合成繊維用の光安定化剤・紫外線吸収剤として公知のものを使用することができる。具体的には、有機ニッケル、ヒンダートアミン系などの光安定化剤;酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウムなどの無機系紫外線吸収剤;ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾールなどの有機系紫外線吸収剤などを挙げることができる。これらのうち、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ビペリジル)セバケートなどのヒンダードアミン系の光安定化剤;酸化セリウム、ヒンダードアミン系紫外線吸収剤が好ましい。光安定化剤・紫外線吸収剤の添加量としては、特定の重合体(固形分)100質量部に対して、通常0.01〜10質量部とされ、好ましくは0.05〜5質量部とされる。光安定化剤・紫外線吸収剤を含有させることにより、本発明の水系分散体により形成される塗膜に良好な耐侯性を発現させることができる。
【0037】
水系分散体に添加含有される有機溶剤としては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、アミルアルコール、ヘキシルアルコールなどのアルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ・ブチルセロソルブ・ヘキシルセロソルブ・メチルカルビトール、エチルカルビトール、メチルセロゾルブアセテート、エチルセロゾルブアセテート、トリブトキシメチルフォスフェートなどを挙げることができる。有機溶剤の添加量としては・水系分散体固形分100質量部に対して、通常0.1〜100質量部とされる。有機溶剤を含有させることにより、得られる水系分散体の濡れ性および造膜性を向上させることができる。
【0038】
水系分散体に添加含有される架橋剤としては特に制限されるものではなく、アミノ樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂よりなる架橋剤、ヒドラジド化合物、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、アジリジン化合物などの有機系架橋剤、金属化合物などの無機系架橋剤など、公知の架橋剤を使用することができる。
架橋剤として用いられるアミノ樹脂の具体例としては、ヘキサメトキジメチル化メラミン樹脂などの完全アルキル型メチル化メラミン樹脂、部分アルキル化メチル化メラミン樹脂、ベンゾグアテミン樹脂、アルキルエーテル化尿素樹脂などを挙げることができる。
架橋剤として用いられるフェノール樹脂の具体例としては、ジメチロール樹脂、ポリメチロールフェノール樹脂、フェノールホルムアミド樹脂、メチロールフェノールホルムアミド樹脂、ジメチロールフェノールホルムアミド樹脂などを挙げることができる。
【0039】
架橋剤として用いられるエポキシ樹脂の具体例としては、エチレングリコール・ジグリシジルエーテル、ヘキサンジオール・ジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコール・ジグリシジルエーテル、グリセリン・ジグリシジルエーテル、グリセリン・ポリグリシジルエーテル、ジグリセリン・ポリグリシジルエーテル、ソルビトール・ポリグリシジルエーテル、水添ピスフェノールA・ジグリシジルエーテル、ビスフェノールA・ジグリシジルエーテルなどの多価アルコールのポリグリシジルエーテル、P−オキシ安息香酸のグリシジルエーテル、フタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸・ジグリシジルエーテル、ヒダントイン環含有エポキシ樹脂、エポキシ基を側鎖に有するビニル系重合体などを挙げることができる。
【0040】
架橋剤として用いられるヒドラジド化合物は、1分子中に2個以上のヒドラジノ基を有する化合物であり、重合体中にカルボニル基が導入されている場合に架橋効果を示す化合物である。かかるヒドラジド化合物の具体例としては、シュウ酸ジヒドラジド・マロン酸ジヒドラジド、こはく酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド・イソフタル酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジドなどを挙げることができる。
【0041】
架橋剤として用いられるイソシアネート化合物およびブロックイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートの水素添加物、トリレンジイソシアネートのアダクト、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートの水素添加物、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネートの水素添加物、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートの水素添加物、イソホロンジイソシアネート・ジアニシジンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、イソシアネート基をブロック化したブロック化ポリイソシアネート、並びにこれらの任意の混合物などを挙げることができる。
【0042】
架橋剤として用いられるアジリジン化合物としては、トリス−2,4,6−(1−アジリジニル)−1,3,5−トリアジン、トリス〔1−(2−メチル)アジリジニル〕ホスフィンオキシド、ヘキサ〔1−(2−メチル)−アジリジニル〕トリホスファトリアジンなどを挙げることができる。
【0043】
架橋剤として用いられる金属化合物としては、亜鉛、ジルコニウム、マグネシウム、銅、鉄、コバルト、ニッケル、アルミニウム、カドミウム、チタニウムなどの金属の酸化物または塩類を、炭酸、酢酸、ギ酸、グルタル酸、安息香酸、シュウ酸などの酸に溶解させるか、あるいはこれらの酸と多価金属化合物の水溶液を、アンモニア、アミンなどにより、pH7〜11に調整することによって得られるものであり、更に金属イオンの形になったものを含めることができる。この多価金属化合物は・炭酸亜鉛アンモニウム・炭酸アンモニウムジルコネート、亜鉛、ジルコニウムの酸化物または塩である。上記アミンで錯体形成可能なものは、モルホリン、モノエタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチルアミノエタノールなどである。そのほか、一般的な酢化剤、例えばエチレンジアミン四酢酸などのコンプレクサン、グリシン、アラニンなども使用できる。
【0044】
上記の架橋剤によれば、0〜280℃の温度条件下に架橋(硬化)反応を進行させることができる。そして、上記架橋剤のうち、アミノ樹脂、フェノール樹脂、ブロックイソシアネート化合物よりなるものは、100℃以下の温度条件下に架橋反応を進行させることができるので好ましい。架橋剤を含有させることにより、水系分散体により形成される塗膜に更に優れた耐溶剤性および耐水性を付与することができる。
【0045】
全単量体中、単量体Aを用いることで、印刷適性を高めるとともに、ガラス転移温度(Tg)を高めることができ、さらに単量体Bで架橋することにより、耐溶剤性、耐水性、耐アルカリ性、耐酸性を向上させることができる。したがって、本発明の水系分散体によれば、耐溶剤性、耐水性、印刷適性、耐酸性・耐アルカリ性に優れた塗膜を形成することができる。
【0046】
一方、本発明における組成物塗布層には、以上の成分(A)の他、成分(B)(カルボキシル基又はスルホン基を有する水溶性高分子化合物、その金属塩、及び親水性有機高分子水分散物からなる群より選択される少なくとも一種)を含有する。以下、該成分(B)について説明する。
【0047】
<水溶性高分子化合物>
カルボキシル基を有する水溶性高分子化合物としては、炭素数4以上のエチレン系不飽和モノマー、例えば、炭素数4以上のα−オレフィン、アルキルビニルエーテル、又はスチレン等の不飽和共重合性単量体と無水マレイン酸との共重合体が好ましく、その塩は、それらを水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリとともに加水分解して得られる。
【0048】
炭素数4以上の不飽和共重合性単量体と無水マレイン酸との共重合体の分子量は2000〜150000のものが好ましく、これらの具体例としては、イソブチレン、1−ペンテン、ブチルビニルエーテル、又はスチレンと、無水マレイン酸との共重合体を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリとともに加水分解して得られる溶液のpHが5.0〜9.0である反応生成物などが挙げられる。これらの他に、スチレンとイタコン酸又はクロトン酸との共重合体、メチルアクリレートとシトラコン酸との共重合体など、あるいはそれらの金属塩を挙げることができる。
【0049】
スルホン基を有する水溶性高分子化合物としては、分子量が5000〜1000000のものが好ましく、例えば、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルベンジルスルホン酸など、あるいは、それらのナトリウムやカリウムなどの塩などを挙げることができる。その金属塩としては、ポリアクリル酸ソーダ、ポリスチレンスルホン酸ソーダ等が挙げられ、親水性有機高分子水分散物としては、カルボキシル変性ポリエチレン又はその塩等が挙げられる。
【0050】
<親水性有機高分子水分散物>
一方、カルボキシル基、スルホン基、リン酸基、アミン基、アミド基、水酸基を有する親水性有機高分子水分散物は、親水性ブロック及び疎水性ブロックとを有するブロック共重合体の乳化物とすることが好ましい。
親水性ブロックおよび疎水性ブロックとを有するブロック共重合体において、疎水性ブロックとしては、炭化水素系の単量体を主成分とする重合体もしくは共重合体のユニットが挙げられる。その炭化水素系の単量体を主成分とする重合体もしくは共重合体のユニットとしては、ジエン系単量体を主体とする(共)重合体、芳香族ビニル化合物やオレフィンなどのオレフィン系単量体を主体とする(共)重合体あるいはこれらを水素添加した(共)重合体のユニットが好ましいものとして挙げられる。
【0051】
また、前記ブロック共重合体において、親水性ブロックとしては、前記の疎水性ポリマーユニットに親水基を含有させたものが挙げられる。かかる親水基としては、スルホン基、カルボン酸基(カルボキシル基)、リン酸基、アミン基、アミド基、水酸基、アルキルエステル基、酸無水物基等が挙げられる。これらの中ではスルホン基、カルボン酸基(カルボキシル基)、リン酸基、アミン基、アミド基、水酸基が好ましく、さらに好ましいのはスルホン基およびカルボン酸基(カルボキシル基)、特に好ましいのはスルホン基である。例えば、ジエン系単量体を主体とする(共)重合体、芳香族ビニル化合物やオレフィンなどのオレフィン系単量体を主体とする(共)重合体あるいはこれらを水素添加した(共)重合体のユニットなどの炭化水素系単量体を主成分とする(共)重合体のユニットに、スルホン基などの親水基を含有させたものが挙げられる。例えば、炭化水素系単量体を主成分とする(共)重合体のユニットにスルホン基などの親水基を含有させる方法としては、これら(共)重合体のユニットをスルホン化するなどの方法で親水基を導入する方法、スルホン基などの親水基を含有する単量体を共重合する方法などが挙げられる。好ましいのはジエン系単量体を主体とする(共)重合体ユニットと、芳香族ビニル化合物やオレフィンなどのオレフィン系単量体を主体とする(共)重合体ユニットを含有するブロック共重合体(以下ベースポリマーという)あるいはこれらを水素添加したブロック共重合体に親水基を導入する方法である。
【0052】
前記ジエン系単量体を主体とする(共)重合体のユニットに使用されるジエン系単量体としては、炭素数4〜12のジエン系化合物が好ましく、さらに好ましくは炭素数4〜8、特に好ましくは炭素数4〜6のジエン系化合物である。これらジエン系化合物の具体例としては、例えば、1,3−ブタジエン、1,2−ブタジエン、1,2−ペンタジエン、1,3−ペンタジエン、2,3−ペンタジエン、イソプレン、1,2−ヘキサジエン、1,3−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、2,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、1,2−ヘプタジエン、1,3−ヘプタジエン、1,4−ヘプタジエン、1,5−ヘプタジエン、1,6−ヘプタジエン、2,3−ヘプタジエン、2,5−ヘプタジエン、3,4−ヘプタジエン、3,5−ヘプタジエン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネンなどのほか、分岐した炭素数4〜7の各種脂肪族あるいは脂環族ジエン類が挙げられる。これらは1種単独でまたは2種以上を併用して用いることができる。これらのうち特に好ましいのは、1,3−ブタジエン、イソプレンである。
【0053】
また、オレフィン系単量体を主体とする(共)重合体ユニットは、芳香族ビニル化合物やオレフィンなどのオレフィン系単量体を主体とする(共)重合体ユニットである。芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α―メチルスチレン、o−メチルスチレン、p―メチルスチレン、m―メチルスチレン、ビニルナフタレンなどが挙げられる。また、オレフィンとしては、エチレン、プロピレンなどが挙げられる。これらモノマーは1種単独で用いても、2種以上併用して用いてもよい。これらのうちで好ましいのは、芳香族ビニル化合物であり、特に好ましくはスチレンである。
【0054】
また、前記ジエン系単量体を主体とする(共)重合体、芳香族ビニル化合物やオレフィンなどのオレフィン系単量体を主体とする(共)重合体あるいはこれらを水素添加した(共)重合体のユニットには、前記単量体以外に、他の単量体を併用することもできる。他の単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などのモノあるいはジカルボン酸またはジカルボン酸の無水物、(メタ)アクリロニトリルなどのビニルシアン化合物、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルメチルエチルケトン、酢酸ビニル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸グリシジルなどの不飽和化合物が挙げられる。これら他の単量体は、1種単独でまたは2種以上併用して用いることができる。
【0055】
ジエン系単量体を主体とする(共)重合体ユニットには、他の単量体として前記芳香族ビニル化合物やオレフィンを劣位量共重合してもよい。また、芳香族ビニル化合物を主体とする(共)重合体ユニットには、前記ジエン系単量体やオレフィンを劣位量共重合してもよい。また、オレフィンを主体とする(共)重合体ユニットには、他の単量体として前記ジエン系単量体や芳香族ビニル化合物を劣位量共重合してもよい。これら他の単量体を併用する場合には、その単量体の使用量は、各(共)重合体ユニット中、通常60%以下であり、好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下、特に好ましくは20質量%以下である。
【0056】
ブロック共重合体(ベースポリマー)の製造、すなわちジエン系単量体を主体とする(共)重合体ユニットと、芳香族ビニル化合物やオレフィンなどのオレフィン系単量体を主体とする(共)重合体ユニットを含有するブロック共重合体は、それぞれの単量体を開始剤を用い、必要に応じて溶剤を用いて共重合することにより製造することができる。かかる開始剤としては、過酸化水素、ベンゾイルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリルなどのラジカル重合開始剤、あるいはn−ブチルリチウム、ナトリウムナフタレン、金属ナトリウムなどのアニオン重合開始剤が挙げられる。また、重合温度は、通常、−100〜150℃、好ましくは0〜130℃である。重合方式としては、ブロック共重合体を得るという意味から、特に、アニオン重合が好ましく用いられる。
【0057】
また、前記ブロック共重合体について、ジエン系単量体に基づく残存二重結合の一部あるいは全部を水素添加(水添)して使用することもできる。この場合、公知の水添触媒が使用可能で、例えば、特開平5―222115号公報に記載されているような触媒、方法が挙げられる。ベースポリマーである前記ブロック共重合体を水添後、後述する方法で親水基を導入することもできるが、該共重合体に親水基導入したのち、水添してもよい。
【0058】
本発明に使用されるベースポリマーは、好ましくはジエン系単量体を含有するポリマーユニットAとオレフィン系単量体を含有するポリマーユニットBを含有するブロック共重合体である。そのブロック共重合体の好ましい構造としては、AB型あるいはA(BA)n型あるいはB(AB)n型あるいは(AB)n型(ただし、nは好ましくは1〜5、より好ましくは1〜3さらに好ましくは1〜2、特に好ましくは1)である。
【0059】
これらのうちで好ましいのは、AB型、ABA型、およびBAB型のブロック共重合体である。具体的に好ましいベースポリマーとしては、例えば、イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン三元ブロック共重合体、イソプレンースチレンーイソプレン三元ブロック共重合体、ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレン三元ブロック共重合体、ブタジエンースチレンーブタジエン三元ブロック共重合体およびこれらブロック共重合体の水素添加物が挙げられる。また、ジエンモノマ−ユニットのブロック鎖中に、前記芳香族モノマーあるいは他のモノマーが一部共重合されていても良く、また、芳香族モノマーユニットのブロック鎖中に前記ジエンモノマーあるいは他のモノマーが一部共重合されていてもよい。
【0060】
これらベースポリマーあるいはその水添物のポリスチレン換算の質量平均分子量(以下「Mw」という)は、好ましくは1,000〜1,000,000、さらに好ましくは2,000〜500,000、特に好ましくは5,000〜200,000である。Mwが1,000未満であると、帯電防止性を有するポリマー乳化物の帯電防止性が経時的に低下する場合があり、一方、1,000,000を超えると、極性基を導入する際にゲル化する等の問題が生じる場合がある。
【0061】
ブロック共重合体において、ジエン系単量体を含有するポリマーユニットAとオレフィン系単量体を含有するポリマーユニットBの割合A/Bは、水素添加してないブロック共重合体の場合は、好ましくは1〜80/99〜20であり、さらに好ましくは2〜70/98〜30、特に好ましくは5〜50/95〜50である。また、水素添加したブロック共重合体の場合は、好ましくは20〜99/80〜1であり、さらに好ましくは30〜98/70〜2、特に好ましくは50〜95/50〜5である。
【0062】
各ポリマーユニットAおよびBの重合度は、水素添加してないブロック共重合体の場合は、好ましくはAが10以上、Bが20以上であり、さらに好ましくはAが50以上、Bが100以上であり、特に好ましくはAが100以上、Bが200以上である。また、水素添加したブロック共重合体の場合は、好ましくはAが20以上、Bが10以上であり、さらに好ましくはAが100以上、Bが50以上であり、特に好ましくはAが200以上、Bが100以上である。
【0063】
親水基を有するブロック共重合体は、前記ブロック共重合体からなるベースポリマーに親水基を含有する単量体(モノマー)を共重合する方法や、親水基を付加などの方法により含有させることにより製造することができる。親水基を付加などの方法により含有させる方法としては、公知の方法が使用できる。例えばスルホン基を導入する場合、例えば日本科学会編集、新実験講座(14巻 III、1773頁)あるいは、特開平2−227403号公報などに記載された方法でスルホン化することにより製造することができる。
【0064】
すなわち、ブロック共重合体をスルホン化することにより親水基含有ブロック共重合体を製造する場合、前記ベースポリマーを、該ポリマー中のジエン系単量体に基づく二重結合部分あるいは芳香族部分のどちらか一方を、スルホン化剤を用いて、優先的にスルホン化することより製造することができる。なお、スルホン化する場合は次の方法が好ましい。
(1)水素添加していないベースポリマーあるいはジエンユニットが部分的に水素添加されたベースポリマーを使用する場合には、ジエンユニットを優先的にスルホン化することが好ましく、一方、(2)ジエンユニットが水素添加されたベースポリマーでは、芳香族ユニットを優先的にスルホン化することが好ましい。前記(1)のように、ジエンユニットを優先的にスルホン化する場合には、スルホン化剤としては、無水硫酸と電子供与性化合物との錯体あるいは亜硫酸水素塩(Na塩、K塩、Li塩など)などを使用することが好ましい。また、(2)のように、芳香族ユニットを優先的にスルホン化するためには、スルホン化剤として、前記錯体の他、無水硫酸、クロルスルホン酸、発煙硫酸、濃硫酸、アセチル硫酸などを使用することが好ましい。
【0065】
ここで、電子供与性化合物としては、N,N−ジメチルホルムアミド、ジオキサン、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどのエーテル類;ピリジン、ピペラジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどのアミン類;ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィドなどのスルフィド類;アセトニトリル、エチルニトリル、プロピルニトリルなどのニトリル化合物などが挙げられ、このうちでもN,N−ジメチルホルムアミド、ジオキサンが好ましい。
【0066】
水素添加していないベースポリマーあるいは部分的に水素添加されたベースポリマーを使用する場合には、スルホン化剤の量は、ベースポリマー中のジエンユニット1モルに対して、0.5モル以上1.2モル以下、好ましくは、0.8モル以上1.1モル以下であり、0.5モル未満では十分な親水性が得られない場合があり、また1.2を超えると、未反応スルホン化剤が不純物として残るので好ましくない。また、水素添加したベースポリマーを使用する場合には、通常、スルホン化剤の量は、ベースポリマー中の芳香族ユニット1モルに対して、0.5モル以上1.2モル以下、好ましくは、0.8モル以上1.1モル以下であり、0.5モル未満では十分な親水性が得られない場合があり、また1.2を超えると、未反応スルホン化剤が不純物として残る。
【0067】
このスルホン化の際には、無水硫酸、硫酸などのスルホン化剤に不活性な溶媒を使用することもでき、この溶媒としては例えばクロロホルム、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、テトラクロロエチレン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼンなどのニトロ化合物;液体二酸化イオウ、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤、水などが挙げられる。これらの溶媒は、適宜、2種以上混合して使用することができる。このスルホン化の反応温度は、通常、−70〜200℃、好ましくは−30〜50℃であり、−70℃未満ではスルホン化反応が遅くなり経済的でなく、一方200℃を超えると副反応を起こし、生成物が黒色化あるいは不溶化する場合がある。
【0068】
本発明に使用されるジエン系ブロック共重合体のスルホン化物は、このスルホン化生成物に水または塩基性化合物を作用させたものが好ましい。この塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウム−t−ブトキシド、カリウム−t−ブトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウムなどの炭酸塩;メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、アミルリチウム、プロピルナトリウム、メチルマグネシウムクロライド、エチルマグネシウムブロマイド、プロピルマグネシウムアイオダイド、ジエチルマグネシウム、ジエチル亜鉛、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどの有機金属化合物;アンモニア水、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、アニリン、ピペラジンなどのアミン類;ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、亜鉛などの金属化合物を挙げることができる。これらの塩基性化合物は、1種単独で使用することも、また2種以上を併用することもできる。これらの塩基性化合物の中では、アルカリ金属水酸化物、アンモニア水が好ましく、特に水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウムが好ましい。
【0069】
塩基性化合物の使用量は、使用したスルホン化剤1モルに対して、好ましくは1.5モル以下、さらに好ましくは1.2モル以下であり、2モルを超えると、未反応アルカリが多く、製品の純度が低下する。この反応の際には、前記塩基性化合物を水溶液の形で使用することもでき、あるいは塩基性化合物に不活性な有機溶媒に溶解して使用することもできる。この有機溶媒としては、前記各種の有機溶媒のほか、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素化合物;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコールなどのアルコール類などが挙げられる。これらの溶媒は、適宜、2種以上混合して使用することができる。
【0070】
塩基性化合物を水溶液または有機溶媒溶液として使用する場合には、塩基性化合物濃度は、通常、1〜70質量%、好ましくは10〜50質量%程度である。また、この反応温度は、通常、−30〜150℃、好ましくは0〜120℃、さらに好ましくは+50〜100℃で行われ、また常圧、減圧あるいは加圧下のいずれでも実施することができる。さらに、反応時間は、通常、0.1〜24時間、好ましくは0.5〜5時間である。また、スルホン基以外の親水基を導入する場合は、例えばカルボキシル化、リン酸エステル化、アミン化、アミド化、ヒドロキシル化等の方法を適宜行うことにより製造することができる。
【0071】
また、親水基を含有する単量体を共重合する場合は、例えばスルホン基を含有する単量体や、カルボン酸基(カルボキシル基)、アミノ基、アミド基、リン酸基や水酸基などを含有する単量体を適宜共重合することにより製造することができる。スルホン基を有する単量体としては、前記ジエン系単量体またはオレフィン系単量体にスルホン酸(塩)基が付加したものが好ましい例として挙げられる。これらの具体例としては、スルホン酸(塩)基含有ブタジエン、スルホン酸(塩)基含有イソプレン、スルホン酸(塩)基含有スチレン、スルホン酸(塩)基含有エチレン、スルホン酸(塩)基含有プロピレンなどが挙げられる。これらのうち好ましいのは、スルホン酸(塩)基含有イソプレン、スルホン酸(塩)基含有スチレンである。また、スルホン基以外の親水基を有する単量体としては(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などのモノあるいはジカルボン酸またはジカルボン酸の無水物、(メタ)アクリルホフェート、アミノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなどを共重合することによって製造することができる。
【0072】
以上のような親水基を導入したブロック共重合体の親水基の含有量は、通常、親水基を含有したモノマー単位の数がブロック中の構成モノマー単位の50(モル)%以上が好ましく、さらに好ましくは70%以上である。50%以上にすることにより、十分な帯電防止性が得られる。なお、疎水性ブロック中に親水基を含有していてもよいが、親水基を含有したモノマー単位の数が疎水性ブロック中の構成モノマー単位の10(モル)%以下が好ましく、さらに好ましくは5%以下である。また、親水基を導入したブロック共重合体中の極性基含量は、好ましくは0.1〜5mmol/g、さらに好ましくは0.2〜3mmol/g、特に好ましくは0.3〜2.5mmol/g、就中0.5〜2mmol/gである。0.1mmol/g未満では、帯電防止性が発現しにくく、また多すぎると耐水性が問題になる場合がある。
【0073】
本発明においては、通常、前記親水基含有ブロック共重合体を水などの媒体中に乳化分散した状態で使用する。乳化分散する方法に特に制限はないが、好ましくは、親水基含有ブロック共重合体の有機溶剤溶液を、水と混合し、乳化させたのち、水を残したまま有機溶剤を除去することにより行うことができる。前記乳化工程の際に、予め親水基含有ブロック共重合体を有機溶剤溶液とするために使用される有機溶剤としては、例えばトルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族系溶剤、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサンなのエーテル系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶剤、ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶剤などが使用される。これら溶剤は、単独で使用しても、2種以上併用して使用してもよい。この乳化工程は、一般的な方法が採用でき、親水基含有ブロック共重合体の有機溶剤溶液中に攪拌しながら水を添加する方法、攪拌しながら親水基含有ブロック共重合体の有機溶剤溶液を水中に添加する方法、水と親水基含有ブロック共重合体の有機溶剤溶液を同時に添加して攪拌する方法などが可能である。
【0074】
前記乳化工程の際に用いられる前記有機溶剤の使用量は、親水基含有ブロック共重合体100質量部に対し、好ましくは10〜5,000質量部、さらに好ましくは20〜2,000質量部である。10質量部未満では、安定な乳化物が得られ難く、一方、5,000質量部を超えると、経済性が低下する。また、乳化工程の際に用いられる水の使用量は、親水基含有ブロック共重合体100質量部に対し、好ましくは30〜10,000質量部、さらに好ましくは100〜5,000質量部である。
【0075】
なお、乳化工程に際しては、界面活性剤を併用することもできる。この界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシソルビタンエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミンエーテルなどの非イオン系界面活性剤、オレイン酸塩、ラウリン酸塩、ロジン酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩などのアニオン系界面活性剤、オクチルトリメチルアンモニウムブロマイド、ジオクチルジメチルアンモニウムクロライド、ドデシルピリジジニウムクロライドなどのカチオン系界面活性剤などが挙げられる。これらの界面活性剤は、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を混合して用いることもできる。前記界面活性剤は、各種ポリマーあるいは親水基含有ブロック共重合体の有機溶剤溶液中に溶解あるいは分散させて使用しても、水中に溶解あるいは分散させて使用してもかまわない。前記界面活性剤の使用量は、各種ポリマーおよび親水基含有ブロック共重合体のトータル量100質量部に対し、通常、10質量部以下、好ましくは6質量部以下、さらに好ましくは3質量部以下である。
【0076】
また、系内のpHを調整するために、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ化合物、塩酸、硫酸などの無機酸を添加することもできる。また、少量であれば、水以外の有機溶剤などを併用することもできる。さらに、消泡剤なども添加することができる。
【0077】
このようにして得られる親水基含有ブロック共重合体乳化物の粒径は、通常、1〜500nm、好ましくは1〜300nm 、さらに好ましくは1〜150nmである。また、得られるポリマー乳化物の固形分濃度は、通常、5〜50質量%、好ましくは10〜40質量%であり、これは、使用条件、保存条件などにより、適宜選択することができる。
【0078】
また、親水基含有ブロック共重合体乳化物は、単独で用いてもよいが、他のポリマーと併用することも可能である。すなわち、親水基含有ブロック共重合体を他のポリマーと併用して、帯電防止性ポリマーとしたものを、繊維状物質や通常の重合体等の基材の帯電防止剤として使用することができる。親水基含有ブロック共重合体を他のポリマーと併用して、帯電防止性ポリマーを製造する方法としては、(a)親水基含有ブロック共重合体と他のポリマーの乳化物をブレンドする方法、(b)親水基含有ブロック共重合体乳化物を乳化剤として使用して、公知の各種ポリマーを乳化させることにより帯電防止性ポリマーを得ることができる。
【0079】
前記(a)の他のポリマーの乳化物としては特に制限はなく、公知のポリマーの乳化物が使用される。好ましい乳化物としては、ウレタンエマルジョン、アクリルエマルジョン、エポキシエマルジョン、ポリエステルエマルジョン、ポリスチレンエマルジョンなどが挙げられ、これらは、単独で使用しても、2種以上併用して使用してもかまわない。(b)親水基含有ブロック共重合体乳化物を乳化剤として使用して、公知の各種ポリマーを乳化させることにより帯電防止性ポリマーを得る方法としては、特に制限はないが、以下の2方法が好ましい。
(1)親水基含有ブロック共重合体乳化物を乳化剤として使用し、各種ポリマーを乳化することにより、該ポリマーの乳化物を得る方法(ポリマーの再乳化方法と称する)。親水基含有ブロック共重合体乳化物、水および場合によっては溶剤の存在下に、公知のモノマーを乳化させた後、ラジカル開始剤等により該モノマーを重合するなど、公知の乳化重合などによりポリマーの乳化物を得る方法(乳化重合方法と称する)
【0080】
(1)の再乳化方法について説明する。前記親水基含有ブロック共重合体乳化物および後述する他の少なくとも1種の各種ポリマーの有機溶剤溶液を、水と混合し、乳化させたのち、水を残したまま有機溶剤を除去することにより行うことができる。有機溶剤および、乳化方法等は、前記親水基含有ブロック共重合体の乳化のところで述べたものが同様に使用できる。また、親水基含有ブロック共重合体乳化物と併用して帯電防止性ポリマー乳化物を得るのに使用される各種ポリマーとしては特に制限はなく、公知のポリマーが使用される。好ましいポリマーとしては、ウレタンポリマー、アクリルポリマー、エポキシポリマー、ポリエステル、ジエン系ポリマーあるいはその水添物、エチレンープロピレン系ポリマー、ポリスチレン、ポリオレフィンなどが挙げられ、これらは、単独で使用しても、2種以上併用して使用してもかまわない。
【0081】
次に、(2)の乳化重合方法について述べる。前記親水基含有ブロック共重合体乳化物の存在下に、水、開始剤およびモノマー、場合によってはさらに他の乳化剤、有機溶剤等を混合し、該モノマーの乳化重合をおこない、帯電防止性ポリマーの乳化物を得ることができる。使用できるモノマーとしては特に制限はなく、前記したジエン系モノマー、芳香族モノマー、アクリルモノマー、他の単量体などが挙げられ、それぞれ単独で使用しても、2種以上併用して使用してもよい。また開始剤としては、公知の開始剤が使用でき、好ましくはラジカル開始剤である。また、乳化剤としては、前記に挙げた界面活性剤の他、公知の乳化剤が使用できる。
【0082】
前記帯電防止性のブロック共重合体中、親水性ブロックの含有割合は、固形分換算で、通常50質量%以下、好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。50質量%を超えると帯電防止性ポリマーの乳化物の静置安定性が悪化する場合がある。
【0083】
以上の成分(B)は、帯電防止剤としての機能を有するが、他の帯電防止剤と併用して用いてもよい。かかる他の帯電防止剤としては特に制限はないが、好ましいものとしては、ポリオキシエチレンもしくはポリオキシプロピレン骨格を有するノニオン系化合物、4級窒素構造を有するカチオン系化合物、その他、スルホン基、カルボン酸基やリン酸基などのアニオン系官能基を有するアニオン系化合物などが挙げられる。また、親水基含有ブロック共重合体乳化物等には、必要に応じて潤滑剤、塗布性改良剤、増粘剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を混ぜて使用することができる。
【0084】
また、本発明における組成物塗布層には、コロイド状シリカを含有させることが好ましい。該コロイド状シリカとしては、一般に市販されているシリカゾル懸濁液、例えば、ルドックスHS、ルドックスAS等(デュポン社)、及びスノーテックスO、スノーテックスC、スノーテックス20等(日産化学工業社)を挙げることができる。
【0085】
本発明の画像形成材料用支持体は、マット化剤として、コロイド状シリカ、無機及び有機の粉体又は水分散体を用いることができる。該コロイド状シリカは平均粒径5nm〜100nmが好ましく、そのシリカ表面にはアルミナ等のコーティングが施されてもよい。また、コロイド状シリカのpHは2.5〜12のものが用いられる。また、無機及び有機粉体は平均粒径0.2μm〜12μmのものが用いることができ、無機粉体の具体例としては、二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム等が挙げられる。有機粉体の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリスチレン、ポリメタクリル酸等を挙げることができ、それらに耐薬品性を付与したり、硬度を上げるために架橋基が導入されてもよく、粒子内に空隙を持つものを用いてもよい。
【0086】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下に示す実施例1〜8、及び比較例1〜6の組成物塗布液の成分(A)、成分(B)の詳細、及びコロイド状シリカの含有の有無などを表1に示す。
【0087】
【表1】
Figure 0004262905
【0088】
[実施例1]
(1)基体の作製
LBKP(広葉樹の漂白パルプ)からなる木材パルプをダブルディスクリファイナーによりカナディアンフリーネス300ccまで叩解した。このパルプ材料100質量部に対して、カチオン性澱粉を1.0質量部、アルキルケテンダイマー0.5質量部、エポキシ化脂肪酸アミド0.5質量部、ポリアミンポリアミドエピクロロヒドリン0.3質量部、高級脂肪酸エステル0.03質量部、及びコロイドダルシリカ0.02質量部を添加し、長網抄紙機により坪量165/m2の原紙をカレンダーを用いて厚みを155〜175μm(密度1.06〜0.94g/cm3)に調整した原紙を得た。
【0089】
この原紙を毎分150m/分で走行させ、裏面にコロナ放電処理後、低密度ポリエチレン(密度0.924g/cm3 MI 3g/10min)10部、及び高密度ポリエチレン(密度0.966g/cm3 MI 11g/10min)90部からなる10μmの層と、低密度ポリエチレン(密度0.922g/cm3 MI5g/10min)50部、及び高密度ポリエチレン(密度0.970g/10min MI 20g/10分)50部からなる15μmの最外層をコートハンガータイプの二層同時共押出用ダイを使用して溶融押出し、無光沢樹脂層を設けた。
【0090】
さらに、前記厚紙の表面にコロナ放電処理後、低密度ポリエチレン(密度0.920g/cm3 MI 5g/10min)37.6部にTiO260部及びステアリン酸亜鉛2.4部を練りこんだマスターバッチ10部と、青み顔料を練りこんだマスターバッチ4部と、低密度ポリエチレン(密度0.918g/cm3MI 8g/10min)86部とからなる14μmの層と、低密度ポリエチレン(密度0.920g/cm3 MI 5g/10min)37.6部にTiO260部及びステアリン酸亜鉛2.4部を練りこんだマスターバッチ33部と、蛍光増白剤を練りこんだマスターバッチ5部と、青み顔料を練りこんだマスターバッチ4部とからなる16μmの最外層をコートハンガータイプの二層同時共押出用ダイを使用して溶融押出し、光沢樹脂層を設けた。
以上のようにして、表面及び裏面に、それぞれ光沢樹脂層、無光沢樹脂層を有する基体を得た。
【0091】
(2)組成物塗布液の調製
成分(A)として、反応性乳化剤(アデカリアソープSE−10N、旭電化工業(株)製)の存在下で、芳香族系エチレン性不飽和単量体としてスチレン62部、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体としてグリシジルメタクリレート5部、エチレン性不飽和カルボン酸単量体としてアクリル酸3部、他のエチレン性不飽和単量体としてアクリル酸2−エチルヘキシル30部を乳化重合し、スチレン/アクリル酸エステルの水系分散体を得た。得られた水分散体14部、成分(B)として、スチレン−イソプレンAB型ブロック共重合体(スチレン/イソプレン=80/20、重量平均分子量:7500)をスルホン化(スルホン酸含量2mmol/g)し、水酸化ナトリウムで中和したナトリウム塩からなる親水性有機高分子化合物を8部、コロイド状シリカを6部、及びメタノール20部とを混合し、水を加えて全量を100部とし、水性の組成物塗布液を得た。
【0092】
(3)カラー写真印画紙の作製
得られた基体の無光沢樹脂層をコロナ放電処理した後、前記組成物塗布液を、バーコーターを用いて塗布・乾燥して、厚さ0.25μmの組成物塗布層を設け、支持体(画像形成材料用支持体)を得た。
【0093】
次いで得られた支持体の光沢樹脂層をコロナ放電処理した後、該層上に250メッシュグラビアコーターを用いてゼラチンを主成分とする組成物を塗布・乾燥して厚さ0.06μmの下塗り層を設けた。
このようにして支持体表面に設けた表面ゼラチン塗布面に、カラー写真乳剤層をスライドビード塗布法により塗布・乾燥し、カラー写真印画紙1を作製した。
【0094】
[実施例2]
実施例1の組成物塗布液において、成分(A)として、実施例1と同様にして得られた反応性乳化剤の存在下で乳化重合したスチレン/アクリル酸エステル共重合体の水系分散体を14部、成分(B)として、ポリスチレンスルホン酸のナトリウム塩(ケミスタットSA9、三洋化成株式会社製)からなる水溶性高分子化合物を4部、コロイド状シリカを6部、及びメタノール20部とを混合し、水を加えて全量を100部とし、水性の組成物塗布液を得たこと以外は実施例1と同様にしてカラー写真印画紙2を作製した。
【0095】
[実施例3]
実施例1の組成物塗布液において、成分(A)として、実施例1と同様にして得られた反応性乳化剤の存在下で乳化重合したスチレン/アクリル酸エステル共重合体の水系分散体を14部、成分(B)として、イソプレン/スチレンブロック共重合体のスルホン化物のナトリウム塩からなる親水性有機高分子化合物を8部、コロイド状シリカを6部、及びメタノール20部とを混合し、水を加えて全量を100部とし、水性の組成物塗布液を得たこと以外は実施例1と同様にしてカラー写真印画紙3を作製した。
【0096】
[実施例4]
実施例1の組成物塗布液において、成分(A)として、実施例1と同様にして得られた反応性乳化剤の存在下で乳化重合したスチレン/アクリル酸エステル共重合体の水系分散体を14部、成分(B)として、ポリスチレンスルホン酸のナトリウム塩(ケミスタットSA9、三洋化成株式会社製)からなる水溶性高分子化合物を4部、コロイド状シリカを6部、及びメタノール20部とを混合し、水を加えて全量を100部とし、水性の組成物塗布液を得たこと以外は実施例1と同様にしてカラー写真印画紙4を作製した。
【0097】
[実施例5]
実施例1の組成物塗布液において、成分(A)として、実施例1と同様にして得られた反応性乳化剤の存在下で乳化重合したスチレン/アクリル酸エステル共重合体の水系分散体を14部、成分(B)として、ポリスチレンスルホン酸のナトリウム塩(ケミスタットSA9、三洋化成株式会社製)からなる水溶性高分子化合物を4部、コロイド状シリカを6部、及びメタノール20部とを混合し、水を加えて全量を100部とし、水性の組成物塗布液を得たこと以外は実施例1と同様にしてカラー写真印画紙5を作製した。
【0098】
[実施例6]
実施例1の組成物塗布液において、成分(A)として、実施例1と同様にして得られた反応性乳化剤の存在下で乳化重合したスチレン/アクリル酸エステル共重合体の水系分散体を14部、成分(B)として、イソプレン/スチレンブロック共重合体のスルホン化物のナトリウム塩からなる親水性有機高分子化合物を8部、コロイド状シリカを6部、及びメタノール20部とを混合し、水を加えて全量を100部とし、水性の組成物塗布液を得たこと以外は実施例1と同様にしてカラー写真印画紙6を作製した。
【0099】
[実施例7]
実施例1の組成物塗布液において、成分(A)として、実施例1と同様にして得られた反応性乳化剤の存在下で乳化重合したスチレン/アクリル酸エステル共重合体の水系分散体を14部、成分(B)として、イソプレン/スチレン共重合体のスルホン化物のナトリウム塩からなる親水性有機高分子化合物を8部、コロイド状シリカを6部、及びメタノール20部とを混合し、水を加えて全量を100部とし、水性の組成物塗布液を得たこと以外は実施例1と同様にしてカラー写真印画紙7を作製した。
【0100】
[実施例8]
実施例1の組成物塗布液において、成分(A)として、実施例1と同様にして得られた反応性乳化剤の存在下で乳化重合したスチレン/アクリル酸エステル共重合体の水系分散体を14部、成分(B)として、イソプレン/スチレン共重合体のスルホン化物のナトリウム塩からなる親水性有機高分子化合物を8部、コロイド状シリカを6部、及びメタノール20部とを混合し、水を加えて全量を100部とし、水性の組成物塗布液を得たこと以外は実施例1と同様にしてカラー写真印画紙8を作製した。
【0101】
[比較例1]
実施例1の組成物塗布液において、成分(A)として、非反応性乳化剤の存在下で乳化重合したスチレン/アクリル酸エステル共重合体(JSR AE620、JSR株式会社製)の水系分散体を12部、成分(B)として、ポリスチレンスルホン酸のナトリウム塩(ケミスタットSA9、三洋化成株式会社製)からなる水溶性高分子化合物を4部、コロイド状シリカを6部、及びメタノール20部とを混合し、水を加えて全量を100部とし、水性の組成物塗布液を得たこと以外は実施例1と同様にしてカラー写真印画紙9を作製した。
【0102】
[比較例2]
比較例1の組成物塗布液において、成分(A)として、非反応性乳化剤の存在下で乳化重合したスチレン/アクリル酸エステル共重合体の水系分散体を12部、成分(B)として、ポリスチレンスルホン酸のナトリウム塩(ケミスタットSA9、三洋化成株式会社製)からなる水溶性高分子化合物を4部、コロイド状シリカを6部、及びメタノール20部とを混合し、水を加えて全量を100部とし、水性の組成物塗布液を得たこと以外は比較例1と同様にしてカラー写真印画紙10を作製した。
【0103】
[比較例3]
比較例1の組成物塗布液において、成分(B)を添加せず、成分(A)として、非反応性乳化剤の存在下で乳化重合したスチレン/アクリル酸エステル共重合体の水系分散体12部、コロイド状シリカ6部、及びメタノール20部とを混合し、水を加えて全量を100部とし、水性の組成物塗布液を得たこと以外は比較例1と同様にしてカラー写真印画紙11を作製した。
【0104】
[比較例4]
比較例1の組成物塗布液において、成分(A)として、非反応性乳化剤の存在下で乳化重合したスチレン/アクリル酸エステル共重合体の水系分散体を12部、成分(B)として、ポリスチレンスルホン酸のナトリウム塩(ケミスタットSA9、三洋化成株式会社製)からなる水溶性高分子化合物を4部、及びメタノール20部とを混合し、水を加えて全量を100部とし、水性の組成物塗布液を得たこと、及びコロイド状シリカを添加しなかったこと以外は比較例1と同様にしてカラー写真印画紙12を作製した。
【0105】
[比較例5]
比較例1の組成物塗布液において、成分(A)として、非反応性乳化剤の存在下で乳化重合したスチレン/アクリル酸エステル共重合体の水系分散体を12部、成分(B)として、イソプレン/スチレンブロック共重合体のスルホン化物のナトリウム塩からなる親水性有機高分子化合物を8部、コロイド状シリカを6部、及びメタノール20部とを混合し、水を加えて全量を100部とし、水性の組成物塗布液を得たこと以外は比較例1と同様にしてカラー写真印画紙13を作製した。
【0106】
[比較例6]
比較例1の組成物塗布液において、成分(B)を添加せず、成分(A)として、反応性乳化剤の存在下で乳化重合したスチレン/アクリル酸エステル共重合体の水系分散体を12部、及びメタノール20部とを混合し、水を加えて全量を100部とし、水性の組成物塗布液を得たこと以外は比較例1と同様にしてカラー写真印画紙14を作製した。
【0107】
以上のようにして得られた実施例1〜8のカラー写真印画紙1〜8、及び比較例1〜6のカラー写真印画紙9〜14に対する、インク着肉性、耐水性、帯電防止性、及び汚れの付着を以下に示す評価方法によって評価した。
<評価方法>
(1)インク着肉性
自動プリンター内に装備されたインパクトプリンターを用いて、前記カラー写真印画紙のバックコート層に印字し、これに5回の現像処理工程を施し、その後、漂白、水洗、乾燥工程を経て得られたタイプ印字の消失状態を観察し、判定した。処理後の印字濃度が処理前とほとんど変わらないものをO、かなり薄くなるものを×として評価した。
(2)耐水性
前記カラー写真印画紙のバックコート層表面にマジックでφ50mmの円を描き、シート自現機(ヨコヤマシート自現機 PRO−201MII[ヨコヤマ精工製]により現像、定着、水洗工程を行い、該カラー写真印画紙を取り出し、濡れた状態のまま、φ50mmの円内を写真用スポンジ(PHOTO GRAPH1C SPONGE S[浅沼製])で10回摺擦した。
これを蛍光X線分析装置(XRF−1700[島津製作所製])を用いシリカを定量し、(処理後のシリカ強度/処理前のシリカ強度)×100にて算出したバックコート層の残存率が90%以上を○、75%以下を×として評価した。
(3)帯電防止性
現像処理前および処理後のカラー写真印画紙を20℃/10%RHに調湿し、処理前/処理後それぞれのバックコート層とカラー写真乳剤層を5回接触した際のバックコ一卜層の帯電量をエレクトロメーターで測定し、この値が−1000PC/cm2以下を○、−1500PC/cm2以上を×として評価した。
(4)汚れの付着
経時的に、発色現像液に生成した黒褐色の汚れが付着したロール搬送機のプロセッサーにより、現像、漂白、水洗、乾燥工程を経てカラー写真印画紙を現像処理する際、カラー写真印画紙表面が現像液中のロールによって圧着される際に、ロールに付着していた黒褐色の汚れがカラー写真印画紙のバックコート層に転写することによる汚れを、目視により観察し、ほとんど汚れの付着が認められないものを○、汚れの付着が多いものを×として判定した。
【0108】
以上の(1)〜(4)に示した評価方法による、各実施例及び比較例の評価結果を表2に示す。なお、いずれの評価においても、特に良好な結果が得られたものについては◎で示した。
【0109】
【表2】
Figure 0004262905
【0110】
表2より、実施例1〜8では全ての評価において良好な結果が得られたのに対して、比較例1〜6は、少なくともいずれか1つの評価において好結果が得られなかった。
【0111】
【発明の効果】
本発明によれば、耐水性及び帯電防止性に優れた画像形成材料用支持体を提供することができる。このような本発明による画像形成材料用支持体は、水などが接触しても、帯電防止性が保持されるとともに、印刷部のインクの消失がない。

Claims (3)

  1. 基体の一方の面に組成物塗布層を有する画像形成材料用支持体であって、前記組成物塗布層が、
    水性溶媒中、反応性乳化剤の存在下で2以上の単量体を乳化重合した水系分散体;及び
    親水性ブロック及び疎水性ブロックを含むブロック共重合体からなり、カルボキシル基
    、スルホン基、リン酸基、アミン基、アミド基又は水酸基を有する親水性有機高分子化合物の乳化物
    を含有することを特徴とする画像形成材料用支持体。
  2. 前記組成物塗布層が、さらに、コロイド状シリカを含有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成材料用支持体。
  3. 前記2以上の単量体が、芳香族系エチレン性不飽和単量体、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体、エチレン性不飽和カルボン酸単量体、及びこれら3つの単量体と共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体であることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成材料用支持体。
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