JP2004191678A - 電子写真用受像シート及び画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】良好な光沢性を有し、写真感覚に富む、良好な画像が得られると共に、帯電防止が図れ、走行性及び耐ブロッキング性が向上した電子写真用受像シート及び該電子写真用受像シートを用いた画像形成方法の提供。
【解決手段】支持体と、該支持体の一方の面に少なくとも一層のトナー受像層を設け、かつ該支持体の他方の面に少なくとも一層のバック層を設けてなり、前記支持体が、基体の片面又は両面に熱可塑性樹脂層を設けた支持体であると共に、前記トナー受像層側の最表面層及びバック層側の最表面層におけるバインダーが、ガラス転移温度(Tg)が20〜80℃であるソープフリー型水分散性ポリマーであり、かつ前記トナー受像層及びバック層の少なくともいずれかが高分子系帯電防止剤を含有する電子写真用受像シートである。該電子写真用受像シートを用いた画像形成方法である。
【選択図】 なし
【解決手段】支持体と、該支持体の一方の面に少なくとも一層のトナー受像層を設け、かつ該支持体の他方の面に少なくとも一層のバック層を設けてなり、前記支持体が、基体の片面又は両面に熱可塑性樹脂層を設けた支持体であると共に、前記トナー受像層側の最表面層及びバック層側の最表面層におけるバインダーが、ガラス転移温度(Tg)が20〜80℃であるソープフリー型水分散性ポリマーであり、かつ前記トナー受像層及びバック層の少なくともいずれかが高分子系帯電防止剤を含有する電子写真用受像シートである。該電子写真用受像シートを用いた画像形成方法である。
【選択図】 なし
Description
【0001】
本発明は、電子写真用受像シート及び画像形成方法に関し、特に、良好な光沢性を有し、写真感覚に富む、良好な画像が得られると共に、帯電防止が図れ、走行性及び耐ブロッキング性が向上した電子写真用受像シート及び該電子写真用受像シートを用いた画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、銀塩写真ライクの高画質を電子写真で実現するため、電子写真用受像シートの支持体として銀塩写真プリントに用いられているレジンコート型支持体が用いられ、その結果、高い平滑性、光沢性、平坦性を有し、画質面及び取り扱い面で優れた電子写真用受像シートが得られている。しかし、前記レジンコート型支持体は、原紙の両面にポリオレフィン樹脂層が形成されているため、電気抵抗が高く、帯電によるシート間接着が生じ、走行不良が発生しやすいという問題がある。
【0003】
かかる課題を解決するため、数多くの提案がなされている(例えば、特許文献1〜4等参照)。前記特許文献1には、透明支持体の片面に少なくとも樹脂とマット化剤からなる0.1〜10μmのトナー受理層を設け、かつ支持体反対面には塗布厚5μm以下のシロキサン系ポリマーを含有する帯電防止剤層を設け、トナー受理層中の樹脂の主成分が分子量1000〜20000及びガラス転移温度が40〜75℃のポリエステル樹脂からなり、かつマット化剤の粒子径がトナー受理層の塗布厚の1.0倍以上である電子写真用透明OHPフィルムが提案されている。
前記特許文献2には、基材シートの一方の面にエチレン・酢酸ビニル共重合体の微粒子を含む受像層と、他方の面に帯電防止剤含む裏面層よりなる電子写真用受像シートが提案されている。
前記特許文献3には、少なくとも、トナー画像の受容層、熱可塑性材料のプラスチック層、コア材料としての原紙、熱可塑性材料のプラスチック層、及び帯電防止層からなる電子写真方法用の画像担持材料が提案されている。
前記特許文献4には、透明支持体の一方の表面に、受像層を備え、該透明支持体の他方の表面に、導電性下塗層及び摩擦係数低減層からなるバック層が設けられている電子写真用被転写フィルムが提案されている。
【0004】
しかしながら、前記特許文献1,2,4は、OHP投影画像用として透明支持体を使用しており、層構成、物理特性(例えば、透明性、電気特性など)、及び機能が電子写真用受像シートと異なり、画質、取り扱い性が劣るものである。
また、特許文献3は、帯電防止層が支持体のバック面のみであり、帯電特性が不完全であり、低湿度の環境下ではトナー転写性、走行性に問題がある。この特許文献3では、帯電防止剤として無機塩又は金属酸化物を用いており、前記無機塩の場合には高湿度環境下での吸湿による耐ブロッキング性の問題が生じる。一方、前記金属酸化物の場合には着色の問題が生じる。
【0005】
一方、地球環境への適合性に優れ、かつ安価な水系ポリマーを用いて、フルカラー高画質タイプの特にオイルレス定着に適した電子写真用トナー受像層を得ることが望まれているが、前記水系ポリマーは、高湿環境では水分を吸収しやすく、このため、塗布膜のガラス転移温度(Tg)が低下し、耐ブロッキング性が悪化しやすいという問題がある。また、帯電防止剤を使用する場合には、電気抵抗の湿度依存性が大きくなり、高湿環境下で電気抵抗が低下し、トナー転写性に問題が生じる。更に、前記バック層には、様々な画像、文字情報などを筆記、印刷、プリントすることが望まれており、特に、インク(油性、水性)受容性が必要となっている。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−289390号公報
【特許文献2】
特開平6−332221号公報
【特許文献3】
特開平8−211645号公報
【特許文献4】
特開平9−43890号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、良好な光沢性を有し、写真感覚に富む、良好な画像が得られると共に、帯電防止が図れ、走行性及び耐ブロッキング性が向上した電子写真用受像シート及び該電子写真用受像シートを用いた画像形成方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明者らが、鋭意検討を重ねた結果、以下の知見を得た。
電子写真用受像シートにおけるトナー受像層側の最表面層及びバック層側の最表面層におけるバインダーとしてガラス転移温度(Tg)が20〜80℃であるソープフリー型水分散性ポリマーを用いることにより、特に、高湿度下での耐ブロッキング性が向上し、また、高湿度下での表面電気抵抗(SR)の低下が少ないため、トナー転写性が安定化することを知見した。
電子写真用受像シートにおけるトナー受像層及びバック層に高分子系帯電防止剤を配合することにより、吸湿性を抑制でき、耐ブロッキング性が向上し、トナー受像層及びバック層における表面電気抵抗(SR)が、10℃で15%RHの条件及び28℃で85%RHの条件のいずれにおいても1.0×109Ω/cm2〜5.0×1013Ω/cm2となることを知見した。
前記バック層のバインダーとして、ソープフリー型水分散性ポリマーを用い、コロイド状シリカを配合することで、バック面のインク受容性が向上することを知見した。
従って、上記知見に基づき、本発明者らが更に鋭意検討を重ねた結果、前記支持体として、基体の片面又は両面に熱可塑性樹脂層を設けた支持体を用いると共に、前記トナー受像層側の最表面層及びバック層側の最表面層におけるバインダーが、ガラス転移温度(Tg)が20〜80℃であるソープフリー型水分散性ポリマーであり、かつ前記トナー受像層及びバック層の少なくともいずれかが高分子系帯電防止剤を含有することにより、これまでにない良好な光沢性を有し、写真感覚に富む、良好な画像を得ることができると共に、帯電防止が図れ、走行性及び耐ブロッキング性が向上した高品質な電子写真用受像シートが得られることを見出した。
【0009】
即ち、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。
<1> 支持体と、該支持体の一方の面に少なくとも一層のトナー受像層を設け、かつ該支持体の他方の面に少なくとも一層のバック層を設けてなる電子写真用受像シートにおいて、
前記支持体が、基体の片面又は両面に熱可塑性樹脂層を設けた支持体であると共に、前記トナー受像層側の最表面層及びバック層側の最表面層におけるバインダーが、ガラス転移温度(Tg)が20〜80℃であるソープフリー型水分散性ポリマーであり、かつ前記トナー受像層及びバック層の少なくともいずれかが高分子系帯電防止剤を含有することを特徴とする電子写真用受像シートである。
<2> 支持体が、原紙の両面にポリオレフィン樹脂層を設けた支持体である前記<1>に記載の電子写真用受像シートである。
<3> ソープフリー型水分散性ポリマーが、芳香族系ポリエステル樹脂及びアクリル共重合樹脂のいずれかである前記<1>又は<2>に記載の電子写真用受像シートである。
<4> 芳香族系ポリエステル樹脂が、下記(1)〜(4)の特性を満たす自己分散型水系ポリエステル樹脂エマルジョンである前記<1>から<3>のいずれかに記載の電子写真用受像シートである。
(1)ガラス転移温度(Tg)=20〜80℃
(2)数平均分子量(Mn)=5000〜10000
(3)分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)≦4
(4)体積平均粒子径=20〜200nmφ
<5> アクリル共重合樹脂が、下記(1)から(4)から選ばれる2種以上の単量体を水性溶媒中、反応性乳化剤の存在下で乳化重合してなり、かつ下記(5)及び(6)の特性を有する前記<1>から<3>のいずれかに記載の電子写真用受像シートである。
(1)芳香族エチレン性不飽和単量体
(2)エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体
(3)エチレン性不飽和カルボン酸単量体
(4)前記(1)から(3)のいずれかの単量体と共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体
(5)ガラス転移温度(Tg)=20〜80℃
(6)体積平均粒子径=20〜200nmφ
<6> 高分子系帯電防止剤が、カルボキシル基又はスルホン基を有する水溶性高分子化合物、及びその金属塩、並びに、カルボキシル基、スルホン基、リン酸基、アミン基、アミド基及び水酸基の少なくともいずれかを有する親水性有機高分子水分散物から選ばれる前記<1>から<5>のいずれかに記載の電子写真用受像シートである。
<7> 親水性有機高分子水分散物が、親水性ブロック及び疎水性ブロックを有するブロック共重合体の乳化物である前記<6>に記載の電子写真用受像シートである。
<8> バック層が、更にコロイド状シリカを含有する前記<1>から<7>のいずれかに記載の電子写真用受像シートである。
<9> トナー受像層及びバック層における表面電気抵抗(SR)が、10℃で15%RHの条件及び28℃で85%RHの条件のいずれにおいても1.0×109Ω/cm2〜5.0×1013Ω/cm2である前記<1>から<8>のいずれかに記載の電子写真用受像シートである。
<10> 前記<1>から<9>のいずれかに記載の電子写真用受像シートを、冷却装置と、冷却剥離部とを有する冷却剥離式のベルト定着型平滑化処理機を有する画像形成装置を用いて画像形成することを特徴とする画像形成方法である。
<11> 前記定着ベルトの表面に均一な厚さのフルオロカーボンシロキサンゴム製の層を設けてなる前記<10>に記載の画像形成方法である。
<12> 前記定着ベルトの表面に均一な厚さのシリコーンゴム製の層を有し、かつ該シリコーンゴム層の表面にフルオロカーボンシロキサンゴム製の層を設けてなる前記<10>に記載の画像形成方法である。
<13> 前記フルオロカーボンシロキサンゴムが、主鎖にパーフルオロアルキルエーテル基及び/又はパーフルオロアルキル基を有する前記<11>又は<12>に記載の画像形成方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
<電子写真用受像シート>
本発明の電子写真用受像シートは、支持体と、該支持体の一方の面に少なくとも一層のトナー受像層を設け、かつ該支持体の他方の面に少なくとも一層のバック層を設けてなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の層、例えば、表面保護層、中間層、下塗り層、クッション層、反射層、色味調製層、保存性改良層、接着防止層、アンチカール層、平滑化層などを有してなる。これらの各層は単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。
【0011】
前記本発明の電子写真用受像シートは、支持体と、該支持体の一方の面に少なくとも一層のトナー受像層を設け、かつ該支持体の他方の面に少なくとも一層のバック層を設けてなる。
前記トナー受像層及びバック層(特に、トナー受像層及びバック層が複数層構造の場合には、その最表面層)は、バインダーとしてガラス転移温度(Tg)が20〜80℃、特に40〜70℃であるソープフリー型水分散性ポリマーを用い、かつ前記トナー受像層及びバック層の少なくともいずれかが高分子系帯電防止剤を含有する。これにより、特に、高湿度下での耐ブロッキング性が向上し、また、高湿度下での表面電気抵抗(SR)の低下が少ないため、トナー転写性が安定化する。
前記ソープフリー型水分散性ポリマーとしては、芳香族系ポリエステル樹脂又はアクリル共重合樹脂が好ましい。なお、前記芳香族系ポリエステル樹脂、アクリル共重合樹脂、高分子系帯電防止剤の詳細については、後述する。
前記バック層は、更にコロイド状シリカを含有することがインク受容性を向上させる点から好ましい。
前記トナー受像層及びバック層における表面電気抵抗(SR)が、10℃、15%RHの条件及び28℃、85%RHの条件のいずれにおいても1.0×109〜5.0×1013Ω/cm2が好ましく、1.0×1010〜1.0×1013Ω/cm2がより好ましい。
前記表面電気抵抗(SR)が1.0×109未満であると、トナー転写性が低下する場合がある。一方、5.0×1013Ω/cm2を超えると帯電によるシート間接着が生じて走行性が低下する場合がある。
ここで、前記表面電気抵抗(SR)の測定は、JIS K 6911に準拠し、サンプルを10℃、15%RHの条件及び28℃、85%RHの条件に8時間以上調湿し、同じ環境下で、アドバンテスト(株)製R8340を使用し、印加電圧100Vの条件で、通電して1分間経過した後に測定する。
【0012】
従って、本発明の電子写真用受像シートは、上記構成を備えることにより、これらが相まって、良好な光沢性を有し、写真感覚に富む、高画質画像が得られると共に、帯電防止が図れ、走行性、耐ブロッキング性にも優れたものである。以下、電子写真用受像シートの各構成要素について詳細に説明する。
【0013】
〔支持体〕
前記支持体としては、基体の片面又は両面に熱可塑性樹脂層を設けた支持体が用いられ、特に、原紙の両面にポリオレフィン樹脂層を設けた支持体が、高い平滑性、光沢性、及び平坦性を有する点で好適である。
【0014】
−基体−
前記基体としては、定着温度に耐えることができ、平滑性、白色度、滑り性、摩擦性、帯電防止性、定着後のへこみ等の点で要求を満足できるものである限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。一般的には、日本写真学会編「写真工学の基礎−銀塩写真編−」、株式会社コロナ社刊(昭和54年)(223)〜(240)頁に記載の紙、合成高分子(フィルム)等の写真用支持体、などが挙げられる。
【0015】
前記基体の具体例としては、合成紙(ポリオレフィン系、ポリスチレン系等の合成紙)、上質紙、アート紙、(両面)コート紙、(両面)キャストコート紙、ポリエチレン等の合成樹脂パルプと天然パルプとから作られる混抄紙、ヤンキー紙、バライタ紙、壁紙、裏打用紙、合成樹脂又はエマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、板紙、セルロース繊維紙、等の紙支持体、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレンメタクリレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネイトポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、セルロース類(例えば、トリアセチルセルロース)、等の各種プラスチックフィルム又はシート、該プラスチックフィルム又はシートに白色反射性を与える処理(例えば、フィルム中へ酸化チタンなどの顔料を含有させるなどの処理)を施したフィルム又はシート、布類、金属、ガラス類、などが挙げられる。
これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を積層体として併用してもよい。
【0016】
前記基体としては、更に、特開昭62−253159号公報(29)〜(31)頁、特開平1−61236号公報(14)〜(17)頁、特開昭63−316848号公報、特開平2−22651号公報、同3−56955号公報、米国特許第5,001,033号等に記載の基体も挙げられる。
【0017】
前記基体としては、表面平滑性が高いのが好ましく、具体的に、表面粗さ(王研式平滑度)が、210秒以上であるのが好ましく、250秒以上であるのがより好ましい。
前記表面粗さ(王研平滑度)が210秒に満たないと、画像を形成した際、画像における画質が不良となることがある。
尚、本発明において、前記王研平滑度は、JAPAN TAPPI No.5B法で規定される平滑度であり、実質上600程度が好ましく、500秒程度がより好ましい。
【0018】
前記基体の厚みとしては、通常25〜300μmであり、50〜260μmが好ましく、75〜220μmがより好ましい。
前記基体の剛度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、写真画質の受像紙用としてはカラー銀塩写真用の基体に近いものが好ましい。
前記基体の密度としては、定着性能の観点からは、0.7g/cm3以上であることが好ましい。
【0019】
前記基体の熱伝導率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、特に本発明の画像形成又は画像定着材料を、電子写真用材料における支持体として用いた場合、定着性能の観点から、20℃で相対湿度が65%の条件下において、0.50kcal/m・h・℃以上であることが好ましい。
尚、本発明において、熱伝導率は、JIS P 8111に準拠して調湿した転写紙を、特開昭53−66279号公報に記載された方法によって測定することができる。
【0020】
前記基体には、本発明の効果を害しない範囲内において、目的に応じて適宜選択した各種の添加剤を添加させることができる。
前記添加剤としては、例えば、増白剤、導電剤、填料、酸化チタン、群青、カーボンブラック等の顔料、染料などが挙げられる。
【0021】
また、前記基体の片面又は両面には、その上に設けられる層等との密着性を改良する目的で、種々の表面処理や下塗り処理を施してもよい。
前記表面処理としては、例えば、光沢面、又は特開昭55−26507号公報記載の微細面、マット面、又は絹目面の型付け処理、コロナ放電処理、火炎処理、グロー放電処理、プラズマ処理等の活性化処理、などが挙げられる。
前記下塗り処理としては、例えば、特開昭61−846443号公報に記載の方法が挙げられる。
これらの処理は、単独で施してもよいし、また、前記型付け処理等を行った後に前記活性化処理を施してもよいし、更に前記活性化処理等の表面処理後に前記下塗り処理を施してもよく、任意に組合せることができる。
【0022】
前記基体中、前記基体の表面若しくは裏面、又はこれらの組合せにおいて、親水性バインダーと、アルミナゾルや酸化スズ等の半導性金属酸化物と、カーボンブラック、その他の帯電防止剤とを塗布してもよい。このような基体としては、具体的には、特開昭63−220246号公報などに記載の支持体が挙げられる。
【0023】
−熱可塑性樹脂層−
前記熱可塑性樹脂層を構成する熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができ、例えば、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリイミド、トリアセチルセルロース等が挙げられ、これらの中でも、ポリオレフィンが好ましい。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0024】
前記ポリオレフィンは、一般に低密度ポリエチレンを用いて形成することが多いが、支持体の耐熱性を向上させるために、ポリプロピレン、ポリプロピレンとポリエチレンとのブレンド、高密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとのブレンド等を用いるのが好ましい。特に、コストや、ラミネート適性等の点から、高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとのブレンドを用いるのが最も好ましい。
【0025】
前記高密度ポリエチレンと、前記低密度ポリエチレンとのブレンドは、例えば、ブレンド比率(質量比)1/9〜9/1で用いられる。該ブレンド比率としては、2/8〜8/2が好ましく、3/7〜7/3がより好ましい。該支持体の両面に熱可塑性樹脂層を形成する場合、支持体の裏面は、例えば、高密度ポリエチレン、或いは高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとのブレンドを用いて形成されるのが好ましい。ポリエチレンの分子量としては、特に制限はないが、メルトインデックスが、高密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレンのいずれについても、1.0〜40g/10分のものであって、押出し適性を有するものが好ましい。
尚、これらのシート又はフィルムには、白色反射性を与える処理を行ってもよい。このような処理方法としては、例えば、これらのシート又はフィルム中に酸化チタンなどの顔料を配合する方法が挙げられる。
【0026】
本発明においては、両面ラミネート紙を支持体とし、該支持体の厚みとしては、25μm〜300μmが好ましく、50μm〜260μmがより好ましく、75μm〜220μmが更に好ましい。該支持体の剛度としては、種々のものがその目的に応じて使用することが可能であり、写真画質の電子写真用受像シート用の支持体としては、カラー銀塩写真用の支持体に近いものが好ましい。
【0027】
〔トナー受像層〕
前記トナー受像層は、少なくとも一層に形成され、その最表面層が、ソープフリー型水分散性ポリマーと、帯電防止剤を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
【0028】
前記ソープフリー型水分散性ポリマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば、芳香族系ポリエステル樹脂又はアクリル共重合樹脂が好適である。
【0029】
−芳香族系ポリエステル樹脂−
前記芳香族系ポリエステル樹脂としては、下記(1)〜(4)の特性を満たす自己分散型水系ポリエステル樹脂エマルジョンを用いることが好ましい。これは、界面活性剤を使用しない自己分散型なので、高湿雰囲気でも吸湿性が低く、水分による軟化点低下が少なく、定着時のオフセット発生、保存時のシート間接着故障の発生を抑制できる。また、水系であるため環境性、作業性に優れている。更に、凝集エネルギーが高い分子構造をとりやすいポリエステル樹脂を用いているので、保存環境では十分な硬度を有しながら、電子写真の定着工程では低弾性(低粘性)の溶融状態となり、トナーが受像層に埋め込まれて十分な高画質が達成可能となる。
(1)ガラス転移温度(Tg)は20〜80℃が好ましく、40〜70℃がより好ましい。
(2)数平均分子量(Mn)は5000〜10000が好ましく、5000〜7000がより好ましい。
(3)分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)は≦4が好ましく、Mw/Mn≦3がより好ましい。
(4)体積平均粒子径は20〜200nmφが好ましく、40〜150mmφがより好ましい。
【0030】
前記自己分散型水系ポリエステル樹脂エマルジョンの製造方法は、特開2002−173582号公報などに記載されているように、ガラス転移温度(Tg)が20〜80℃である芳香族系ポリエステル樹脂、親水性有機溶剤、ポリエステル樹脂のカルボキシル基をイオン化するための中和剤(すでにイオン化されている場合は不要)、水、これらすべての原料が含まれた状態で、40℃〜100℃で数分〜数時間、加熱攪拌するという方法を挙げることができる。この際、加熱温度が40℃未満では、自己分散型水系ポリエステル樹脂エマルジョンの粘度上昇が大きくなり、作業上好ましくない。
【0031】
−アクリル共重合樹脂−
前記アクリル共重合樹脂は、下記(1)から(4)から選ばれる2種以上の単量体を水性溶媒中、反応性乳化剤の存在下で乳化重合してなり、かつ下記(5)及び(6)の特性を有するものが好ましい。
(1)芳香族エチレン性不飽和単量体
(2)エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体
(3)エチレン性不飽和カルボン酸単量体
(4)前記(1)から(3)のいずれかの単量体と共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体
(5)ガラス転移温度(Tg)は20〜80℃が好ましく、40〜70℃がより好ましい。
(6)体積平均粒子径は20〜200nmφが好ましく、40〜150mmφがより好ましい。
【0032】
前記芳香族系エチレン性不飽和単量体(以下、「単量体A」と呼ぶ場合がある)は、1分子中に芳香族環とラジカル重合可能なビニル基とを有する単量体であり、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼンなどの芳香族ビニル化合物や、ベンジル(メタ)アクリレート、ベンゾイル(メタ)アクリレートなどの芳香族環を有する(メタ)アクリレート、などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、又は2種以上組合せて用いてもよい。
前記アクリル共重合樹脂における単量体Aの使用量は、使用する全単量体中、40〜99質量部が好ましく、45〜80質量部がより好ましく、50〜70質量部が更に好ましい。
前記単量体Aの使用量を40〜99質量部とすることにより、印刷適性、耐溶剤性がともに良好となる。
【0033】
前記エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体(以下、「単量体B」と呼ぶ場合がある)は、1分子中にエポキシ基とラジカル重合可能なビニル基とを有する単量体であり、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メタグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、エポキジシクロヘキシル(メタ)アクリレート、エポキシ化ブタジエンなどのエポキシ誘導体が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、又は2種以上組合せて用いてもよい。
前記アクリル共重合樹脂における単量体Bの使用量は、使用する全単量体中、0.5〜10質量部が好ましく、1〜8質量部がより好ましく、2〜7質量部が更に好ましい。
前記単量体Bの使用量を0.5〜10質量部とすることにより、耐溶剤性、印刷適性がともに良好となる。
【0034】
前記エチレン性不飽和カルボン酸単量体(以下、「単量体C」と呼ぶ場合がある)は、1分子中にカルボキシル基とラジカル重合可能なビニル基を有する単量体である。
前記単量体C、又は水性溶媒を用いて乳化重合する際に単量体Cに変化するものの具体例として、例えば、以下に示す(a)〜(e)が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、又は2種以上組合せて用いてもよい。
(a)アクリル酸、(メタ)アクリル酸、クロトン酸などのモノカルボン酸類
(b)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などのジカルボン酸類
(c)マレイン酸メチル、イタコン酸メチル、β−メタアクリルオキシエチルアシットヘキサハイドロフタレートなどのハーフエステル類
(d)上記(a)、(b)の不飽和カルボン酸類の無水物。例えば、アクリル酸無水物、マレイン酸無水物などは、水性溶媒中で乳化重合する際にカルボン酸に変化するので、乳化重合の際の単量体として用いることができる。
(e)(a)〜(d)のカリウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩
前記アクリル共重合樹脂における単量体Cの使用量は、使用する全単量体中、0.5〜10質量部が好ましく、0.7〜7質量部がより好ましく、1〜5質量部が更に好ましい。
前記単量体Cの使用量を0.5〜10質量部とすることにより、耐溶剤性、耐水性、印刷適性がともに良好となる。
【0035】
前記他のエチレン性不飽和単量体(以下、「単量体D」と呼ぶ場合がある)は、前記単量体A〜単量体Cと共重合可能な単量体であればよく、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸n−アミル、(メタ)アクリル酸i−アミル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸i−ノニル、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル;アミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ブチルアミノエチルアクリレートなどのエチレン性不飽和カルボン酸のアミノアルキルエステル;ダイアセトン(メタ)アクリルアミドなどのカルボニル基を分子中に有する化合物;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、γ−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシランなどの各種官能基を有する(メタ)アクリレート;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)つアクリレートなどの多官能(メタ)アクリレート;1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリシルメタクリレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリシルメタクリレートなどの光安定化の機能を有する(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシ−4−メタクリルオキシベンゾフェノン、2−[2’−ヒドロキシ−5メタクリロルオキシエチル]フェニル]ベンゾトリアゾールなどの紫外線吸収性の機能を有する(メタ)アクリレート化合物;1,3−ブタジエン、イソプレン、2−クロル−1,3−ブタジエンなどの脂肪族共役ジエン;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル;エチレン性不飽和ジカルボン酸の酸無水物、モノアルキルエステル、モノアミド類;(メタ)アクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物、アクロレイン、ホルミルスチロール、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトンなどを挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、又は2種以上組合せて用いてもよい。
前記単量体Dの使用量は、使用する全単量体のうち、前記単量体A〜単量体Cを除く残りの部分を占める。
【0036】
前記アクリル共重合樹脂に含まれるポリマー粒子のゲル分率は、70%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、85%以上が更に好ましい。ゲル分率を70%以上とすることにより、耐溶剤性が良好となる。
前記ゲル分率とは、前述したように、ポリマー粒子中において高分子量の3次元網目構造を形成する部分の占める割合をいい、通常、前記ポリマー粒子中におけるトルエン等の有機溶媒への不溶分として測定される。
ゲル分率は、単量体A〜単量体Dを本発明の範囲内で使用した上で、ラジカル重合開始剤の種類及び量、重合温度、必要により使用される連鎖移動剤の種類及び量によって調節することができる。
【0037】
−水系分散体の製造方法−
水系分散体は、2以上の単量体からなる混合物を、水性溶媒中、後述する反応性乳化剤の存在下で、重合開始剤を添加し、共重合させることにより得られる。かかる乳化重合においては、まず、重合開始剤を熱又は還元性物質の存在下でラジカル分解して重合開始反応を起こさせることにより単量体の付加重合を行わせる。
【0038】
−重合開始剤−
水系分散体の製造に用いる重合開始剤としては、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンセンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイドなどの有機ハイドロパーオキサイド類からなる酸化剤と含糖ピロリン酸鉄処方、スルホキシレート処方、含糖ピロリン酸鉄処方/メルボキシレート処方の混合処方などの還元剤との組合せによるレドックス系の開始剤;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩;アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、2−カルバモイルアザイソブチロニトリルなどのアゾ化合物;ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートなどの有機過酸化物などを挙げることができ、好ましくは前記過硫酸塩及び前記レドックス系の開始剤である。
前記重合開始剤の使用量は、全単量体100質量部あたり、0.05〜5質量部が好ましく、0.1〜2質量部がより好ましい。これらの重合開始剤を用いて乳化重合する際には、反応系中に重合開始剤を一括添加するか、又は重合開始剤の一部を回分的添加、連続的添加、あるいはこの両者を組み合わせて添加する方法を用いることができる。
【0039】
−反応性乳化剤−
前記ソープフリー型水分散性ポリマーは、2以上の単量体を反応性乳化剤の存在下にラジカル重合して得られる。
ここで、前記反応性乳化剤とは、乳化重合可能な程度の乳化能を有し、かつ、ラジカル重合可能である乳化剤をいう。
本発明においては、反応性乳化剤を用いて乳化重合を行うことにより、乳化剤の使用量を低減することができ、特に、水系媒体中における遊離の乳化剤の量を低減することができるため、耐水性に優れた共重合体エマルジョンが得られる。
前記反応性乳化剤としては、例えば、ラジカル反応性基としてエチレン性不飽和基、親水基としてポリオキシエチレン基、スルホン基、硫酸基、疎水基としてアルキル基を1分子中に有する乳化剤が挙げられる。
このような反応性乳化剤としては、例えば、「ラテムルS−180A」(花王(株)製);「エレミノールJS−2」(三洋化成(株)製);「アクアロンHS−10」、「アクアロンBC−10」(第一工業製薬(株)製);「アデカリアソープSE−10N」(旭電化工業(株)製)等のアニオン性反応性乳化剤、「アクアロンRS−20」(第一工業製薬(株)製);「アデカリアソープNE−20」(旭電化工業(株)製)等の非イオン性反応性乳化剤、などを挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、あるいは2種以上組合せて用いてもよい。
【0040】
本発明における反応性乳化剤の使用量は、後述する粒子径によるが、全単量体100質量部に対し、0.5〜5質量部が好ましく、0.5〜3質量部がより好ましい。
前記反応性乳化剤の使用量を0.5〜5質量部とすることにより、重合反応時の安定性を保持することができ、乳化が十分で、泡立ちも適当である。
また、前記反応性乳化剤は、重合系にそれぞれ一括添加、回分的添加、連続的添加、又はこの両者を組み合わせて添加されるのが好ましい。
【0041】
前記水系分散体の重合においては、上記の乳化剤及び重合開始剤と共に、必要に応じて、連鎖移動剤、電解質、キレート剤、pH調整剤などを併用してもよい。
前記連鎖移動剤の使用量は、全単量体100質量部あたり、0〜5質量部程度が好ましい。
【0042】
前記pH調整剤としては、アンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸水素二ナトリウムなどが挙げられる。pH調整剤の使用量はそれぞれ、全単量体100質量部あたり0〜2質量部が好ましい。
【0043】
重合法の一例としては、単量体混合物100質量部と、水100〜500質量部と、重合開始剤0.05〜5質量部と、反応性乳化剤0.01〜5質量部と、連鎖移動剤、電解質及びpH調整剤の所定量とよりなる水性の反応系を、5〜100℃(特に、50〜90℃)の好ましい温度条件下、0.1〜10時間にわたり反応させる。
その際の重合方法としては、全単量体を一括添加する方法、少なくとも一部の単量体を分割又は連続して添加する方法、少なくとも一部の単量体のプレエマルジョンを分割又は連続して添加する方法、又はこれらの方式を段階的に組み合わせた方法等を採用することができるが、特に、水溶性の低い単量体を使用する場合は・高圧ホモジナイサーや超音波分散機を用いて、予め単量体混合物の少なくとも一部、水、反応性乳化剤等を強制乳化させてプレエマルジョンを調製してから、残りの単量体を一括添加、あるいは分割又は連続して添加する方法等により重合することもできる。
【0044】
−その他の添加剤−
以上の水系分散体には、目的に応じて、光安定化剤、紫外線吸収剤、有機溶剤、架橋剤、水溶性高分子(例えば、水溶性ポリエステル樹脂、水溶性エポキシ樹脂、水溶性アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、澱粉)、消泡剤、増粘剤、熱安定剤、レベリング剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤、艶消し剤、顔料、防カビ剤などの添加剤が含有されていてもよい。
【0045】
水系分散体に添加含有される光安定化剤・紫外線吸収剤としては特に限定されるものではなく、塗料、合成ゴム、合成樹脂、合成繊維用の光安定化剤・紫外線吸収剤として公知のものを使用することができる。具体的には、有機ニッケル、ヒンダートアミン系などの光安定化剤;酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウムなどの無機系紫外線吸収剤;ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾールなどの有機系紫外線吸収剤などを挙げることができる。これらのうち、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ビペリジル)セバケートなどのヒンダードアミン系の光安定化剤;酸化セリウム、ヒンダードアミン系紫外線吸収剤が好ましい。光安定化剤・紫外線吸収剤の添加量としては、特定の重合体(固形分)100質量部に対して、通常0.01〜10質量部が好ましく、0.05〜5質量部がより好ましい。光安定化剤・紫外線吸収剤を含有させることにより、本発明の水系分散体により形成される塗膜に良好な耐侯性を発現させることができる。
【0046】
前記水系分散体に添加含有される有機溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、アミルアルコール、ヘキシルアルコールなどのアルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ・ブチルセロソルブ・ヘキシルセロソルブ・メチルカルビトール、エチルカルビトール、メチルセロゾルブアセテート、エチルセロゾルブアセテート、トリブトキシメチルフォスフェートなどを挙げることができる。
前記有機溶剤の添加量としては、水系分散体固形分100質量部に対して、通常0.1〜100質量部が好ましい。前記有機溶剤を含有させることにより、得られる水系分散体の濡れ性及び造膜性を向上させることができる。
【0047】
前記水系分散体に添加含有される架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができ、例えば、アミノ樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂よりなる架橋剤、ヒドラジド化合物、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、アジリジン化合物などの有機系架橋剤、金属化合物などの無機系架橋剤など、公知の架橋剤を使用することができる。
【0048】
前記架橋剤によれば、0〜280℃の温度条件下に架橋(硬化)反応を進行させることができる。そして、上記架橋剤のうち、アミノ樹脂、フェノール樹脂、ブロックイソシアネート化合物よりなるものは、100℃以下の温度条件下に架橋反応を進行させることができるので好ましい。架橋剤を含有させることにより、水系分散体により形成される塗膜に更に優れた耐溶剤性及び耐水性を付与することができる。
【0049】
全単量体中、単量体Aを用いることで、印刷適性を高めるとともに、ガラス転移温度(Tg)を高めることができ、更に、単量体Bで架橋することにより、耐溶剤性、耐水性、耐アルカリ性、耐酸性を向上させることができる。したがって、本発明の水系分散体によれば、耐溶剤性、耐水性、印刷適性、耐酸性・耐アルカリ性に優れた塗膜を形成することができる。
【0050】
前記トナー受像層は、上記ソープフリー型水分散性ポリマー(例えば、芳香族系ポリエステル樹脂及びアクリル共重合樹脂)以外にも、高分子系帯電防止剤を含有する。
【0051】
−高分子系帯電防止剤−
前記高分子系帯電防止剤としては、カルボキシル基又はスルホン基を有する水溶性高分子化合物、及びその金属塩、並びに、カルボキシル基、スルホン基、リン酸基、アミン基、アミド基及び水酸基の少なくともいずれかを有する親水性有機高分子水分散物から選ばれるものが好ましい。
前記親水性有機高分子水分散物が、親水性ブロック及び疎水性ブロックを有するブロック共重合体の乳化物であることが好ましい。
【0052】
前記カルボキシル基を有する水溶性高分子化合物としては、炭素数4以上のエチレン系不飽和モノマー、例えば、炭素数4以上のα−オレフィン、アルキルビニルエーテル、又はスチレン等の不飽和共重合性単量体と無水マレイン酸との共重合体が好ましく、その塩は、それらを水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリと共に加水分解して得られる。
【0053】
炭素数4以上の不飽和共重合性単量体と無水マレイン酸との共重合体の分子量は2000〜150000が好ましい。これらの具体例としては、イソブチレン、1−ペンテン、ブチルビニルエーテル、又はスチレンと、無水マレイン酸との共重合体を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリとともに加水分解して得られる溶液のpHが5.0〜9.0である反応生成物などが挙げられる。これらの他に、スチレンとイタコン酸又はクロトン酸との共重合体、メチルアクリレートとシトラコン酸との共重合体など、あるいはそれらの金属塩を挙げることができる。
【0054】
前記スルホン基を有する水溶性高分子化合物としては、分子量が5000〜1000000のものが好ましい。例えば、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルベンジルスルホン酸など、あるいは、それらのナトリウムやカリウムなどの塩などを挙げることができる。その金属塩としては、ポリアクリル酸ソーダ、ポリスチレンスルホン酸ソーダ等が挙げられ、親水性有機高分子水分散物としては、カルボキシル変性ポリエチレン又はその塩等が挙げられる。
【0055】
−親水性有機高分子水分散物−
前記カルボキシル基、スルホン基、リン酸基、アミン基、アミド基、水酸基を有する親水性有機高分子水分散物は、親水性ブロック及び疎水性ブロックとを有するブロック共重合体の乳化物とすることが好ましい。
前記親水性ブロック及び疎水性ブロックとを有するブロック共重合体において、疎水性ブロックとしては、炭化水素系の単量体を主成分とする重合体もしくは共重合体のユニットが挙げられる。その炭化水素系の単量体を主成分とする重合体もしくは共重合体のユニットとしては、ジエン系単量体を主体とする(共)重合体、芳香族ビニル化合物やオレフィンなどのオレフィン系単量体を主体とする(共)重合体あるいはこれらを水素添加した(共)重合体のユニットが好ましいものとして挙げられる。
【0056】
前記ブロック共重合体において、親水性ブロックとしては、前記の疎水性ポリマーユニットに親水基を含有させたものが挙げられる。かかる親水基としては、スルホン基、カルボン酸基(カルボキシル基)、リン酸基、アミン基、アミド基、水酸基、アルキルエステル基、酸無水物基等が挙げられる。これらの中ではスルホン基、カルボン酸基(カルボキシル基)、リン酸基、アミン基、アミド基、水酸基が好ましく、更に好ましいのはスルホン基及びカルボン酸基(カルボキシル基)、特に好ましいのはスルホン基である。例えば、ジエン系単量体を主体とする(共)重合体、芳香族ビニル化合物やオレフィンなどのオレフィン系単量体を主体とする(共)重合体あるいはこれらを水素添加した(共)重合体のユニットなどの炭化水素系単量体を主成分とする(共)重合体のユニットに、スルホン基などの親水基を含有させたものが挙げられる。
【0057】
前記ジエン系単量体を主体とする(共)重合体のユニットに使用されるジエン系単量体としては、炭素数4〜12のジエン系化合物が好ましく、更に好ましくは炭素数4〜8、特に好ましくは炭素数4〜6のジエン系化合物である。
【0058】
また、オレフィン系単量体を主体とする(共)重合体ユニットは、芳香族ビニル化合物やオレフィンなどのオレフィン系単量体を主体とする(共)重合体ユニットである。芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−チルスチレン、m−メチルスチレン、ビニルナフタレンなどが挙げられる。また、オレフィンとしては、エチレン、プロピレンなどが挙げられる。これらモノマーは1種単独で用いても、2種以上併用して用いてもよい。これらのうちで好ましいのは、芳香族ビニル化合物であり、特に好ましくはスチレンである。
【0059】
また、前記ジエン系単量体を主体とする(共)重合体、芳香族ビニル化合物やオレフィンなどのオレフィン系単量体を主体とする(共)重合体あるいはこれらを水素添加した(共)重合体のユニットには、前記単量体以外に、他の単量体を併用することもできる。
【0060】
前記ジエン系単量体を主体とする(共)重合体ユニットには、他の単量体として前記芳香族ビニル化合物やオレフィンを劣位量共重合してもよい。また、芳香族ビニル化合物を主体とする(共)重合体ユニットには、前記ジエン系単量体やオレフィンを劣位量共重合してもよい。また、オレフィンを主体とする(共)重合体ユニットには、他の単量体として前記ジエン系単量体や芳香族ビニル化合物を劣位量共重合してもよい。これら他の単量体を併用する場合には、その単量体の使用量は、各(共)重合体ユニット中、通常60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましく、20質量%以下が特に好ましい。
【0061】
前記ブロック共重合体(ベースポリマー)の製造、即ち、ジエン系単量体を主体とする(共)重合体ユニットと、芳香族ビニル化合物やオレフィンなどのオレフィン系単量体を主体とする(共)重合体ユニットを含有するブロック共重合体は、それぞれの単量体を開始剤を用い、必要に応じて溶剤を用いて共重合することにより製造することができる。前記重合方式としては、ブロック共重合体を得るという意味から、特に、アニオン重合が好ましく用いられる。
【0062】
また、前記ブロック共重合体について、ジエン系単量体に基づく残存二重結合の一部あるいは全部を水素添加(水添)して使用することもできる。この場合、公知の水添触媒が使用可能で、例えば、特開平5−222115号公報に記載されているような触媒、方法が挙げられる。ベースポリマーである前記ブロック共重合体を水添後、後述する方法で親水基を導入することもできるが、該共重合体に親水基導入したのち、水添してもよい。
【0063】
本発明に使用されるベースポリマーは、好ましくはジエン系単量体を含有するポリマーユニットAとオレフィン系単量体を含有するポリマーユニットBを含有するブロック共重合体である。そのブロック共重合体の好ましい構造としては、AB型、A(BA)n型、B(AB)n型、又は(AB)n型(ただし、nは好ましくは1〜5、より好ましくは1〜3、更に好ましくは1〜2、特に好ましくは1)である。
【0064】
これらのうちで好ましいのは、AB型、ABA型、及びBAB型のブロック共重合体である。具体的には、好ましいベースポリマーとしては、例えば、イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン三元ブロック共重合体、イソプレン−スチレン−イソプレン三元ブロック共重合体、ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレン三元ブロック共重合体、ブタジエン−スチレン−ブタジエン三元ブロック共重合体及びこれらブロック共重合体の水素添加物が挙げられる。また、ジエンモノマーユニットのブロック鎖中に、前記芳香族モノマーあるいは他のモノマーが一部共重合されていても良く、また、芳香族モノマーユニットのブロック鎖中に前記ジエンモノマーあるいは他のモノマーが一部共重合されていてもよい。
【0065】
これらベースポリマー又はその水添物のポリスチレン換算の重量平均分子量(以下「Mw」という)は、1,000〜1,000,000が好ましく、2,000〜500,000がより好ましく、5,000〜200,000が更に好ましい。Mwが1,000未満であると、帯電防止性を有するポリマー乳化物の帯電防止性が経時的に低下する場合があり、一方、1,000,000を超えると、極性基を導入する際にゲル化する等の問題が生じる場合がある。
【0066】
前記ブロック共重合体において、ジエン系単量体を含有するポリマーユニットAとオレフィン系単量体を含有するポリマーユニットBの割合A/Bは、水素添加してないブロック共重合体の場合は、1〜80/99〜20が好ましく、2〜70/98〜30がより好ましく、5〜50/95〜50が更に好ましい。また、水素添加したブロック共重合体の場合は、20〜99/80〜1が好ましく、30〜98/70〜2がより好ましく、50〜95/50〜5が更に好ましい。
【0067】
各ポリマーユニットA及びBの重合度は、水素添加してないブロック共重合体の場合は、Aが10以上、Bが20以上が好ましく、Aが50以上、Bが100以上がより好ましく、Aが100以上、Bが200以上が更に好ましい。また、水素添加したブロック共重合体の場合は、Aが20以上、Bが10以上が好ましく、Aが100以上、Bが50以上がより好ましく、Aが200以上、Bが100以上が更に好ましい。
【0068】
親水基を有するブロック共重合体は、前記ブロック共重合体からなるベースポリマーに親水基を含有する単量体(モノマー)を共重合する方法や、親水基を付加などの方法により含有させることにより製造することができる。親水基を付加などの方法により含有させる方法としては、公知の方法が使用できる。例えば、スルホン基を導入する場合、例えば、日本科学会編集、新実験講座(14巻 III、1773頁)、特開平2−227403号公報などに記載された方法でスルホン化することにより製造することができる。
【0069】
以上のような親水基を導入したブロック共重合体の親水基の含有量は、通常、親水基を含有したモノマー単位の数がブロック中の構成モノマー単位の50(モル)%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。50%以上にすることにより、十分な帯電防止性が得られる。なお、疎水性ブロック中に親水基を含有していてもよいが、親水基を含有したモノマー単位の数が疎水性ブロック中の構成モノマー単位の10(モル)%以下が好ましく、5%以下がより好ましい。また、親水基を導入したブロック共重合体中の極性基含量は、0.1〜5mmol/gが好ましく、0.2〜3mmol/gがより好ましく、0.3〜2.5mmol/gが更に好ましく、0.5〜2mmol/gが特に好ましい。0.1mmol/g未満では、帯電防止性が発現しにくく、また多すぎると耐水性が問題になる場合がある。
【0070】
本発明においては、通常、前記親水基含有ブロック共重合体を水などの媒体中に乳化分散した状態で使用する。乳化分散する方法に特に制限はないが、好ましくは、親水基含有ブロック共重合体の有機溶剤溶液を、水と混合し、乳化させたのち、水を残したまま有機溶剤を除去することにより行うことができる。
【0071】
このようにして得られる親水基含有ブロック共重合体乳化物の粒径は、通常、1〜500nmが好ましく、1〜300nmがより好ましく、1〜150nmが更に好ましい。また、得られるポリマー乳化物の固形分濃度は、通常、5〜50質量%が好ましく、10〜40質量%がより好ましい、これは、使用条件、保存条件などにより、適宜選択することができる。
【0072】
前記親水基含有ブロック共重合体乳化物は、単独で用いてもよいが、他のポリマーと併用することも可能である。即ち、親水基含有ブロック共重合体を他のポリマーと併用して、帯電防止性ポリマーとしたものを、繊維状物質や通常の重合体等の基材の帯電防止剤として使用することができる。親水基含有ブロック共重合体を他のポリマーと併用して、帯電防止性ポリマーを製造する方法としては、(a)親水基含有ブロック共重合体と他のポリマーの乳化物をブレンドする方法、(b)親水基含有ブロック共重合体乳化物を乳化剤として使用して、公知の各種ポリマーを乳化させることにより帯電防止性ポリマーを得ることができる。
【0073】
前記(a)の他のポリマーの乳化物としては特に制限はなく、公知のポリマーの乳化物が使用される。好ましい乳化物としては、ウレタンエマルジョン、アクリルエマルジョン、エポキシエマルジョン、ポリエステルエマルジョン、ポリスチレンエマルジョンなどが挙げられ、これらは、単独で使用しても、2種以上併用して使用してもかまわない。前記(b)親水基含有ブロック共重合体乳化物を乳化剤として使用して、公知の各種ポリマーを乳化させることにより帯電防止性ポリマーを得る方法としては、特に制限はないが、以下の2方法が好ましい。
(1)親水基含有ブロック共重合体乳化物を乳化剤として使用し、各種ポリマーを乳化することにより、該ポリマーの乳化物を得る方法(ポリマーの再乳化方法と称する)。(2)親水基含有ブロック共重合体乳化物、水及び場合によっては溶剤の存在下に、公知のモノマーを乳化させた後、ラジカル開始剤等により該モノマーを重合するなど、公知の乳化重合などによりポリマーの乳化物を得る方法(乳化重合方法と称する)
【0074】
前記帯電防止性のブロック共重合体中、親水性ブロックの含有割合は、固形分換算で、通常50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましい。50質量%を超えると帯電防止性ポリマーの乳化物の静置安定性が悪化する場合がある。
【0075】
前記帯電防止剤は、特に制限はなく、他の帯電防止剤と併用して用いてもよい。かかる他の帯電防止剤としては特に制限はないが、好ましいものとしては、ポリオキシエチレンもしくはポリオキシプロピレン骨格を有するノニオン系化合物、4級窒素構造を有するカチオン系化合物、その他、スルホン基、カルボン酸基やリン酸基などのアニオン系官能基を有するアニオン系化合物などが挙げられる。また、親水基含有ブロック共重合体乳化物等には、必要に応じて潤滑剤、塗布性改良剤、増粘剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を混ぜて使用することができる。
【0076】
−その他の成分−
前記その他の成分としては、トナー受像層の熱力学的特性を改良する目的で添加される各種添加剤、例えば、滑り剤・離型剤、マット剤、着色剤、可塑剤、フィラー、架橋剤、乳化物、分散物等が挙げられる。
【0077】
−−滑り剤・離型剤−−
本発明で任意に使用することができる滑り剤又は離型剤(本発明で使用されるワックス以外のもの)は、本発明の電子写真用受像シートが定着時に定着部材と接着しないようにすることを目的として添加される。
本発明の電子写真用受像シートに用いられる滑り剤又は離型剤としては、例えば、高級アルキル硫酸ナトリウム、高級脂肪酸高級アルコールエステル、カーボワックス、高級アルキルリン酸エステル、シリコーン化合物、変性シリコーン、硬化性シリコーン等が含まれる。
前記滑り剤又は離型剤としては、米国特許2882157号、同3121060号、同3850640号、フランス特許2180465号、英国特許955061号、同1143118号、同1263722号、同1270578号、同1320564号、同1320757号、同2588765号、同2739891号、同3018178号、同3042522号、同3080317号、同3082087号、同3121060号、同3222178号、同3295979号、同3489567号、同3516832号、同3658573号、同3679411号、同3870521号の各明細書、特開昭49−5017号、同51−141623号、同54−159221号、同56−81841号の各公報、及びリサーチ・ディスクロージャー(Research Disclosure) 13969号に記載されている。
【0078】
滑り剤又は離型剤としては、例えば、シリコーン系化合物や、フッ素化合物等が挙げられる。
【0079】
具体的には、本発明に使用される離型剤として、例えば、幸書房「改訂 ワックスの性質と応用」や、日刊工業新聞社発行のシリコーンハンドブック記載の化合物を用いることができる。また、特公昭59−38581号、特公平4−32380号、特許第2838498号、同2949558号、特開昭50−117433号、同52−52640号、同57−148755号、同61−62056号、同61−62057号、同61−118760号、特開平2−42451号、同3−41465号、同4−212175号、同4−214570号、同4−263267号、同5−34966号、同5−119514号、同6−59502号、同6−161150号、同6−175396号、同6−219040号、同6−230600号、同6−295093号、同7−36210号、同7−43940号、同7−56387号、同7−56390号、同7−64335号、同7−199681号、同7−223362号、同7−287413号、同8−184992号、同8−227180号、同8−248671号、同8−248799号、同8−248801号、同8−278663号、同9−152739号、同9−160278号、同9−185181号、同9−319139号、同9−319143号、同10−20549号、同10−48889号、同10−198069号、同10−207116号、同11−2917号、同11−44969号、同11−65156号、同11−73049号、同11−194542号等の各公報に記載のトナーに用いられているシリコーン系化合物、フッ素化合物も好ましく用いることができる。また、これら化合物を複数組み合わせて使用することもできる。
【0080】
本発明のトナー受像層に任意に添加される滑り剤又は離型剤としては、これらの誘導体や、酸化物、精製品、混合物を用いることもできる。また、これらは、反応性の置換基を有していてもよい。
【0081】
前記滑り剤又は離型剤の使用量は、5〜500mg/m2が好ましく、10〜200mg/m2がより好ましい。定着部での定着部材へのオフセットを防止する目的のオイルを用いない、いわゆるオイルレス定着の場合、滑り剤の量は、例えば、30〜3000mg/m2が好ましく、100〜1500mg/m2がより好ましい。
【0082】
−−マット剤−−
前記マット剤は、例えば、電子写真用受像シート同士の接着防止及び電子写真装置における紙詰まり防止のために使用される。マット剤としては、種々の公知のものが挙げられる。マット剤として用いられる固体粒子は、無機粒子と有機粒子とに分類できる。無機マット剤の材料としては、具体的には、酸化物(例えば、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム)、アルカリ土類金属塩(例えば、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム)、ハロゲン化銀(例えば、塩化銀、臭化銀)及びガラスが挙げられる。
【0083】
前記無機マット剤としては、例えば、西独特許2529321号、英国特許760775号、同1260772号、米国特許1201905号、同2192241号、同3053662号、同3062649号、同3257206号、同3322555号、同3353958号、同3370951号、同3411907号、同3437484号、同3523022号、同3615554号、同3635714号、同3769020号、同4021245号、同4029504号の各明細書に記載されたものが挙げられる。
【0084】
−−着色剤−−
前記着色剤としては、蛍光増白剤、白色顔料、有色顔料、染料等が挙げられる。
前記蛍光増白剤は、近紫外部に吸収を持ち、400〜500nmに蛍光を発する化合物で、公知の蛍光増白剤が特に制限なく各種使用することができる。該蛍光増白剤としては、K.VeenRataraman編“The Chemistry of Synthetic Dyes”V巻8章に記載されている化合物を好適に挙げることができる。具体的には、スチルベン系化合物や、クマリン系化合物、ビフェニル系化合物、ベンゾオキサゾリン系化合物、ナフタルイミド系化合物、ピラゾリン系化合物、カルボスチリル系化合物などが挙げられる。それらの例としては、住友化学製ホワイトフルファーPSN、PHR、HCS、PCS、B;Ciba−Geigy社製UVITEX−OBなどが挙げられる。
【0085】
前記白色顔料としては、後述するフィラーの項で述べる無機顔料(例えば、酸化チタン、炭酸カルシウム他)を用いることができる。有色顔料としては、特開昭63−44653号公報等に記載されている各種顔料及びアゾ顔料(例えば、アゾレーキ;カーミン6B、レッド2B、不溶性アゾ;モノアゾイエロ、ジスアゾイエロ、ピラゾロオレンジ、バルカンオレンジ、縮合アゾ系;クロモフタルイエロ、クロモフタルレッド)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン系;銅フタロシアニンブルー、銅フタロシアニングリーン、シオキサジン系;ジオキサジンバイオレット、イソインドリノン系;イソインドリノンイエロ、スレン系;ペリレン、ペリノン、フラバントロン、チオインジゴ、レーキ顔料(例えば、マラカイトグリーン、ローダミンB、ローダミンG、ビクトリアブルーB)又無機顔料(例えば、酸化物、二酸化チタン、ベンガラ、硫酸塩;沈降性硫酸バリウム、炭酸塩;沈降性炭酸カルシウム、硅酸塩;含水硅酸塩、無水硅酸塩、金属粉、アルミニウム粉、ブロンズ粉、亜鉛末、カーボンブラック、黄鉛、紺青)、等が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記顔料としては、特に酸化チタンが好ましい。
【0086】
前記顔料の形状としては、特に制限はないが、画像定着時の伝熱性(低熱伝導性)に優れる点で、中空粒子形状であるのが好ましい。
【0087】
前記染料としては、公知の種々の染料を用いることができる。
油溶性染料としては、アントラキノン系化合物、アゾ系化合物などが挙げられる。
水不溶性染料の具体例としては、C.I.Vatヴァイオレット1、C.I.Vatヴァイオレット2、C.I.Vatヴァイオレット9、C.I.Vatヴァイオレット13,C.I.Vatヴァイオレット21、C.I.Vatブルー1、C.I.Vatブルー3、C.I.Vatブルー4、C.I.Vatブルー6、C.I.Vatブルー14、C.I.Vatブルー20、C.I.Vatブルー35等の建染染料、C.I.ディスパーズヴァイオレット1、C.I.ディスパーズヴァイオレット4、C.I.ディスパーズヴァイオレット10、C.I.ディスパーズブルー3、C.I.ディスパーズブルー7、C.I.ディスパーズブルー58等の分散染料、C.I.ソルベントヴァイオレット13、C.I.ソルベントヴァイオレット14、C.I.ソルベントヴァイオレット21、C.I.ソルベントヴァイオレット27、C.I.ソルベントブルー11、C.I.ソルベントブルー12、C.I.ソルベントブルー25、C.I.ソルベントブルー55等の油溶性染料が挙げられる。
また、銀塩写真で用いられているカラードカプラーも好ましく用いることができる。
【0088】
前記着色剤の、前記トナー受像層(表面)における含有量(g/m2)としては、0.1〜8g/m2が好ましく、0.5〜5g/m2がより好ましい。
前記着色剤の含有量が0.1g/m2に満たないと、トナー受像層における光透過率が高くなり、一方、着色剤の含有量が8g/m2を超えると、ヒビ割れ、耐接着等の取り扱い性が悪いことがある。
【0089】
−−可塑剤−−
前記可塑剤としては、公知の樹脂用の可塑剤を特に制限なく使用することができる。該可塑剤は、トナーを定着する時の熱及び/又は圧力によって、トナー受像層が流動又は柔軟化するのを調整する機能を有する。
前記可塑剤としては、「化学便覧」(日本化学会編、丸善)や、「可塑剤−その理論と応用−」(村井孝一編著、幸書房)や、「可塑剤の研究 上」「可塑剤の研究 下」(高分子化学協会編)や、「便覧 ゴム・プラスチック配合薬品」(ラバーダイジェスト社編)等を参考にして選択することができる。
【0090】
前記可塑剤は、高沸点有機溶剤や熱溶剤などとして記載されているものもあるが、例えば、特開昭59−83154号、同59−178451号、同59−178453号、同59−178454号、同59−178455号、同59−178457号、同62−174754号、同62−245253号、同61−209444号、同61−200538号、同62−8145号、同62−9348号、同62−30247号、同62−136646号、同62−174754号、同62−245253号、同61−209444号、同61−200538号、同62−8145号、同62−9348号、同62−30247号、同62−136646号、特開平2−235694号等の各公報に記載されているような化合物が挙げられる。
前記可塑剤は、樹脂に混合して使用することができる。
【0091】
前記可塑剤としては、比較的低分子量のポリマーを用いることができる。この場合、該可塑剤の分子量としては、可塑化されるべきバインダー樹脂の分子量より低いものが好ましく、分子量は15000以下が好ましく、5000以下がより好ましい。また、ポリマー可塑剤の場合、可塑化されるべきバインダー樹脂と同種のポリマーであることが好ましい。例えば、ポリエステル樹脂の可塑化には、低分子量のポリエステルが好ましい。更にオリゴマーも可塑剤として用いることができる。
【0092】
前記可塑剤は、トナー粒子がトナー受像層に埋め込まれる際に生じる応力や歪み(弾性力や粘性などの物理的な歪み、分子やバインダー主鎖やペンダント部分などの物質収支による歪み等)を緩和するために任意に使用することができる。
前記可塑剤は、トナー受像層中において、ミクロに分散された状態でもよいし、海島状にミクロに相分離した状態でもよいし、バインダー等の他の成分と充分に混合溶解した状態でもよい。
前記可塑剤の、前記トナー受像層における含有量としては、0.001〜90質量%が好ましく、0.1〜60質量%がより好ましく、1〜40質量%が更に好ましい。
前記可塑剤は、スベリ性(摩擦力低下による搬送性向上)の調整や、定着部オフセット(定着部へのトナーや層の剥離)の改良、カールバランスの調整、帯電調整(トナー静電像の形成)等の目的で使用してもよい。
【0093】
−−フィラー−−
前記フィラーとしては、有機又は無機のフィラーが挙げられ、バインダー樹脂用の補強剤や、充填剤、強化材として公知のものが用いることができる。該フィラーとしては、「便覧 ゴム・プラスチック配合薬品」(ラバーダイジェスト社編)、「新版 プラスチック配合剤 基礎と応用」(大成社)、「フィラーハンドブック」(大成社)等を参考にして選択することができる。
また、前記フィラーとして、各種無機フィラー(又は顔料)を用いることができる。無機顔料としては、例えば、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、雲母状酸化鉄、鉛白、酸化鉛、酸化コバルト、ストロンチウムクロメート、モリブデン系顔料、スメクタイト、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、ムライト等が挙げられる。フィラーとしては、特に、シリカや、アルミナが好ましい。これらのフィラーは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また前記フィラーとしては、粒径の小さいものが好ましい。粒径が大きいと、トナー受像層の表面が粗面化し易い。
【0094】
前記シリカには、球状シリカと無定形シリカが含まれる。該シリカは、乾式法、湿式法又はエアロゲル法により合成できる。疎水性シリカ粒子の表面を、トリメチルシリル基又はシリコーンで表面処理してもよい。シリカとしては、コロイド状シリカが好ましい。シリカの平均粒径としては、200〜5000nmが好ましい。
前記シリカは、多孔質であるのが好ましい。多孔質シリカの平均孔径は、4〜120nmが好ましく、4〜90nmがより好ましい。また、多孔質シリカの質量当りの平均孔容積は、例えば、0.5〜3ml/gが好ましい。
【0095】
前記アルミナには、無水アルミナ及びアルミナ水和物が含まれる。無水アルミナの結晶型としては、α、β、γ、δ、ζ、η、θ、κ、ρ又はχを用いることができる。無水アルミナよりもアルミナ水和物の方が好ましい。アルミナ水和物としては、一水和物又は三水和物を用いることできる。一水和物には、擬ベーマイト、ベーマイト及びダイアスポアが含まれる。三水和物には、ジブサイト及びバイヤライトが含まれる。アルミナの平均粒径としては、4〜300nmが好ましく、4〜200nmがより好ましい。アルミナは、多孔質であるのが好ましい。多孔質アルミナの平均孔径としては、50〜500nmが好ましい。多孔質アルミナの質量当りの平均孔容積としては、0.3〜3ml/gが好ましい。
【0096】
前記アルミナ水和物は、アルミニウム塩溶液にアンモニアを加えて沈澱させるゾルゲル法又はアルミン酸アルカリを加水分解する方法により合成できる。無水アルミナは、アルミナ水和物を加熱により脱水することで得ることができる。
前記フィラーは、添加する層のバインダーの乾燥質量に基づいて、5〜2000質量%が好ましい。
【0097】
−−架橋剤−−
前記架橋剤は、トナー受像層の保存安定性や、熱可塑性等を調整するために配合することができる。このような架橋剤としては、反応基としてエポキシ基や、イソシアネート基、アルデヒド基、活性ハロゲン基、活性メチレン基、アセチレン基、その他公知の反応基を2個以上分子内に有する化合物が用いられる。
【0098】
前記架橋剤として、これとは別に、水素結合や、イオン結合、配位結合等により結合を形成することが可能な基を2個以上有する化合物も用いることができる。
前記架橋剤としては、樹脂用のカップリング剤や、硬化剤、重合剤、重合促進剤、凝固剤、造膜剤、造膜助剤等として公知の化合物を用いることができる。カップリング剤の例としては、例えば、クロロシラン類や、ビニルシラン類、エポキシシラン類、アミノシラン類、アルコキシアルミニウムキレート類、チタネートカップリング剤などが挙げられる他、「便覧 ゴム・プラスチック配合薬品」(ラバーダイジェスト社編)等に挙げられた公知のものを用いることができる。
【0099】
−−その他の添加剤−−
本発明のトナー受像層に使用され得る材料には、出力画像の安定性改良、またトナー受像層自身の安定性改良のため各種添加剤を含めることができる。この目的のための添加剤としては、種々の公知の酸化防止剤、老化防止剤、劣化防止剤、オゾン劣化防止剤、紫外線吸収剤、金属錯体、光安定剤、防腐剤、防かび剤等が挙げられる。
【0100】
前記酸化防止剤としては、例えば、クロマン化合物、クマラン化合物、フェノール化合物(例、ヒンダードフェノール)、ハイドロキノン誘導体、ヒンダードアミン誘導体、スピロインダン化合物が挙げられる。なお、酸化防止剤については、特開昭61−159644号公報などに記載されている。
【0101】
前記老化防止剤としては、例えば、「便覧 ゴム・プラスチック配合薬品 改訂第2版」(1993年、ラバーダイジェスト社)p76〜121に記載のものが挙げられる。
【0102】
前記紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール化合物(米国特許3533794号明細書記載)、4−チアゾリドン化合物(米国特許3352681号明細書記載)、ベンゾフェノン化合物(特開昭46−2784号公報記載)及び紫外線吸収ポリマー(特開昭62−260152号公報記載)が挙げられる。
【0103】
前記金属錯体としては、例えば、米国特許4241155号、同4245018号、同4254195号の各明細書、特開昭61−88256号、同62−174741号、同63−199248号、特開平1−75568号、同1−74272号の各公報に記載されているものが適当である。
また、「便覧 ゴム・プラスチック配合薬品 改訂第2版」(1993年、ラバーダイジェスト社)p122〜137に記載の紫外線吸収剤、光安定剤も好ましく用いられる。
【0104】
本発明のトナー受像層に使用され得る材料には、上述したように公知の写真用添加剤を添加することができる。写真用添加剤としては、例えば、リサーチ・ディスクロージャー誌(以下、RDと略記する)No.17643(1978年12月)、同No.18716(1979年11月)及び同No.307105(1989年11月)に記載されており、その該当箇所を下記にまとめて示す。
【0105】
本発明のトナー受像層は、乾燥後の塗布質量は、例えば、1〜20g/m2が好ましく、4〜15g/m2がより好ましい。
前記トナー受像層の厚みとしては、特に制限はないが、1〜30μmが好ましく、2〜20μmがより好ましい。
【0106】
〔トナー受像層の諸物性〕
前記トナー受像層は、白色度が高いのが好ましい。該白色度としては、JISP 8123に規定される方法で測定して、85%以上が好ましい。また、440nm〜640nmの波長域で、分光反射率が85%以上、かつ同波長域の最大分光反射率と最低分光反射率の差が5%以内が好ましい。更には、400nm〜700nmの波長域で分光反射率が85%以上、かつ同波長域の最大分光反射率と最低分光反射率の差が5%以内がより好ましい。
また、前記白色度としては、具体的には、CIE 1976(L*a*b*)色空間において、L*値が80以上が好ましく、85以上がより好ましく、90以上が更に好ましい。また、白色の色味はできるだけニュートラルであるのが好ましい。白色色味としては、L*a*b*空間において、(a*)2+(b*)2の値が50以下が好ましく、18以下がより好ましく、5以下が更に好ましい。
【0107】
前記トナー受像層としては、光沢性が高いのが好ましい。光沢度としては、トナーが無い白色から最大濃度の黒色までの全領域において、45度光沢度が60以上が好ましく、75以上がより好ましく、90以上が更に好ましい。
但し、光沢度は110以下が好ましい。110を超えると金属光沢のようになり画質として好ましくない。
尚、前記光沢度は、JIS Z 8741に基づいて測定することができる。
【0108】
前記トナー受像層は、平滑性が高いのが好ましい。該平滑度としては、トナーが無い白色から最大濃度の黒色までの全領域において、算術平均粗さ(Ra)が3μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましく、0.5μm以下が更に好ましい。
尚、算術平均粗さは、JIS B 0601、B 0651、B 0652に基づいて測定することができる。
【0109】
前記トナー受像層は、以下の項目の内の1項目の物性を有することが好ましく、更に好ましくは、複数の項目、最も好ましくは、全ての項目の物性を有することが適当である。
(1)トナー受像層のTg(ガラス転移温度)は、20〜80℃が好ましい。
(2)トナー受像層のT1/2(1/2法軟化点)は、60〜200℃が好ましく、80〜170℃がより好ましい。ここで、1/2法軟化点は、特定の装置を使用し、特定の条件の下で、所定の押出加重を加えながら、初期設定温度(例えば、50℃)で余熱時間、例えば、300秒後に、所定の等速昇温速度で昇温した時の各温度における流出開始時と終了時のピストンストロークの差の2分の1となる温度で評価される。
(3)トナー受像層のTfb(流出開始温度)は、40〜200℃が好ましく、トナー受像層のTfbが、トナーのTfb+50℃以下である。
(4)トナー受像層の粘度が1×105CPになる温度は、40℃以上が好ましく、トナーのそれより低い。
(5)トナー受像層の定着温度における貯蔵弾性率(G')は、1×102〜1×105Paが好ましく、損失弾性率(G”)は、1×102〜1×105Paがより好ましい。
(6)トナー受像層の定着温度における損失弾性率(G”)と、貯蔵弾性率(G')との比である損失正接(G”/G')が、0.01〜10が好ましい。
(7)トナー受像層の定着温度における貯蔵弾性率(G')は、トナーの定着温度における貯蔵弾性率(G”)に対して、−50〜+2500が好ましい。
(8)溶融トナーのトナー受像層上の傾斜角は、50度以下が好ましく、特に40度以下が好ましいる。
また、トナー受像層としては、特許第2788358号明細書、特開平7−248637号、同8−305067号、同10−239889号公報等に開示されている物性等を満足するものが好ましい。
【0110】
前記(1)の物性は、示差走査熱量測定装置(DSC)により測定することができる。前記(2)〜(3)の物性は、例えば、島津製作所製フローテスターCFT−500又は500Dを用いて測定することができる。前記(5)〜(7)の物性は、回転型レオメーター(例えば、レオメトリック社製ダイナミックアナライザーRADII)を用いて測定することができる。前記(8)の物性は、協和界面科学(株)製の接触角測定装置を用い、特開平8−334916号公報に開示した方法で測定することができる。
【0111】
〔バック層〕
前記バック層は、本発明の電子写真用受像シートにおいて、裏面出力適性付与、裏面出力画質改良、カールバランス改良、機器通過性改良等の目的で、支持体に対して、トナー受像層の反対側に設けられる。
前記バック層は、前記トナー受像層と同様のソープフリー型水分散性ポリマー、帯電防止剤を含有し、更にコロイド状シリカを含有することが好ましい。
前記コロイド状シリカとしては、一般に市販されているシリカゾル懸濁液、例えば、ルドックスHS、ルドックスAS等(デュポン社製)、スノーテックスO、スノーテックスC、スノーテックス20等(日産化学工業社製)などが挙げられる。前記コロイド状シリカの含有量は、バック層用組成物全体に対し1〜50質量%が好ましい。
前記バック層の色としては、特に制限はないが、本発明の電子写真用受像シートが、裏面にも画像を形成する両面出力型受像シートの場合、バック層も白色であることが好ましい。白色度及び分光反射率は、表面と同様に85%以上が好ましい。
前記バック層の厚みは、通常、0.1〜10μmが好ましい。
【0112】
[その他の層]
前記その他の層としては、例えば、表面保護層、密着改良層、中間層、下塗り層、クッション層、反射層、色味調製層、保存性改良層、接着防止層、アンチカール層、及び、平滑化層等が挙げられる。これらの層は、単層構成であってもよく、2以上の層より構成されていてもよい。
【0113】
−表面保護層−
前記表面保護層は、本発明の電子写真用受像シートにおける表面の保護、保存性の改良、取り扱い性の改良、筆記性の付与、機器通過性の改良、アンチオフセット性の付与等の目的で、前記トナー受像層の表面に設けることができる。該表面保護層は、1層であってもよいし、2層以上の層からなっていてもよい。表面保護層には、バインダーとして各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等を用いることができ、前記トナー受像層と同種の樹脂を用いるのが好ましい。但し、熱力学的特性や、静電特性等は、トナー受像層と同じである必要はなく、各々最適化することができる。
【0114】
前記表面保護層には、トナー受像層に使用可能な、前述の各種の添加剤を配合することができる。特に、前記表面保護層には、本発明で使用する離型剤と共に、他の添加剤、例えば、マット剤等を配合することができる。なお、前記マット剤としては、種々の公知のものが挙げられる。
本発明の電子写真用受像シートにおける最表面層(例えば、表面保護層が形成されている場合には、表面保護層等)としては、定着性の点で、トナーとの相溶性が良いのが好ましい。具体的には、溶融したトナーとの接触角が、例えば、0〜40度であることが好ましい。
【0115】
−密着改良層等−
前記密着改良層は、本発明の電子写真用受像シートにおいて、支持体及びトナー受像層の密着性を改良する目的で、形成するのが好ましい。密着改良層には、前述の各種の添加剤を配合することができ、特に架橋剤を配合するのが好ましい。また、本発明の電子写真用受像シートには、トナーの受容性を改良するため、該密着改良層及びトナー受像層の間に、更にクッション層等を設けるのが好ましい。
【0116】
−中間層−
前記中間層は、例えば、支持体及び密着改良層の間、密着改良層及びクッション層の間、クッション層及びトナー受像層の間、トナー受像層及び保存性改良層との間等に形成することができる。もちろん、支持体、トナー受像層、及び、中間層からなる電子写真用受像シートの場合には、中間層は、例えば、支持体及びトナー受像層の間に存在させることができる。
【0117】
なお、本発明の前記電子写真用受像シートの厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば、50〜350μmが好ましく、100〜280μmがより好ましい。
【0118】
<トナー>
本発明の電子写真用受像シートは、印刷又は複写の際に、トナー受像層にトナーを受容させて使用される。
前記トナーは、結着樹脂と着色剤とを少なくとも含有し、必要に応じて離型剤、その他の成分を含有する。
【0119】
−トナー 結着樹脂−
前記結着樹脂としては、スチレン、パラクロルスチレンなどのスチレン類;ビニルナフタレン、塩化ビニル、臭化ビニル、弗化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル、酪酸ビニルなどのビニルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどのメチレン脂肪族カルボン酸エステル類;アクリロニトリル、メタクリルロニトリル、アクリルアミドなどのビニルニトリル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニル化合物類;メタクリル酸、アクリル酸、桂皮酸などのビニルカルボン酸類などビニル系モノマーの単独重合体やその共重合体、更には各種ポリエステル類を使用することができ、各種ワックス類を併用することも可能である。
これらの樹脂の中で、特に本発明のトナー受像層に用いたものと同一系統の樹脂を用いるのが好ましい。
【0120】
−トナー 着色剤−
前記着色剤としては、通常トナーに用いられているものを制限なく使用することができ、例えば、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーメネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デイポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレレートなどの種々の顔料が挙げられる。また、アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、チオインジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアジン系、チアゾール系、キサンテン系などの各種染料などが挙げられる。これら着色剤は1種単独で使用してもよいし、複数種類を併せて使用してもよい。
着色剤の含有量は、2〜8質量%の範囲が好ましい。着色剤の含有量が2質量%以上であれば着色力が弱くなることもなく、一方、8質量%以下であれば、透明性が損なわれることもないので好ましい。
【0121】
−トナー 離型剤−
前記離型剤としては、原理的には、公知のワックス全てが使用可能であるが、比較的低分子量の高結晶性ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、アミドワックス、ウレタン化合物など窒素を含有する極性ワックスなどが特に有効である。ポリエチレンワックスについては分子量が1000以下のものが特に有効であり、300〜1000の範囲がより好ましい。
【0122】
前記ウレタン結合を有する化合物は、低分子量であっても極性基による凝集力の強さにより、固体状態を保ち、融点も分子量のわりには高く設定できるので好適である。分子量の好ましい範囲は300〜1000である。原料は、ジイソシアン酸化合物類とモノアルコール類との組み合わせ、モノイソシアン酸とモノアルコールとの組み合わせ、ジアルコール類とモノイソシアン酸との組み合わせ、トリアルコール類とモノイソシアン酸との組み合わせ、トリイソシアン酸化合物類とモノアルコール類との組み合わせなど、種々の組み合わせを選択することができが、高分子量化させないために、多官能基と単官能基の化合物を組み合わせることが好ましく、また等価の官能基量となるようにすることが重要である。
【0123】
具体的な、原料化合物のうちモノイソシアン酸化合物としては、例えば、イソシアン酸ドデシル、イソシアン酸フェニル及びその誘導体、イソシアン酸ナフチル、イソシアン酸ヘキシル、イソシアン酸ベンジル、イソシアン酸ブチル、イソシアン酸アリルなどが挙げられる。
ジイソシアン酸化合物としては、ジイソシアン酸トリレン、ジイソシアン酸4、4’ジフェニルメタン、ジイソシアン酸トルエン、ジイソシアン酸1、3−フェニレン、ジイソシアン酸ヘキサメチレン、ジイソシアン酸4−メチル−m−フェニレン、ジイソシアン酸イソホロンなどが挙げられる。
モノアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノールなど極く一般的なアルコール類を使用することが可能である。
原料化合物のうちジアルコール類としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリメチレングリコールなど多数のグリコール類;トリアルコール類としては、トリメチロールプロパン、トリエチロールプロパン、トリメタノールエタンなどが使用可能であるが、必ずしもこの範囲に限定されない。
【0124】
これらのウレタン化合物類は、通常の離型剤のように、混練時に樹脂や着色剤とともに混合して、混練粉砕型トナーとしても使用できる。また、前記の乳化重合凝集溶融法トナーに用いる場合には、水中にイオン性界面活性剤や高分子酸や高分子塩基などの高分子電解質とともに分散し、融点以上に加熱してホモジナイザーや圧力吐出型分散機で強い剪断をかけて微粒子化し、1μm以下の離型剤粒子分散液を調製し、樹脂粒子分散液、着色剤分散液などとともに用いることができる。
【0125】
−トナー その他の成分−
また、本発明のトナーには、内添剤、帯電制御剤、無機微粒子等のその他の成分を配合することができる。内添剤としては、フェライト、マグネタイト、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、合金、又はこれら金属を含む化合物などの磁性体を使用することができる。
【0126】
前記帯電制御剤としては、4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミや、鉄、クロムなどの錯体からなる染料、トリフェニルメタン系顔料など通常使用される種々の帯電制御剤を使用することができる。なお、凝集、溶融時の安定性に影響するイオン強度の制御や、廃水汚染を減少する観点から水に溶解しにくい材料が好ましい。
【0127】
前記無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウムなど、通常、トナー表面の外添剤を全て使用で、それらをイオン性界面活性剤や高分子酸、高分子塩基で分散して使用することが好ましい。
【0128】
更に、乳化重合、シード重合、顔料分散、樹脂粒子分散、離型剤分散、凝集、更には、それらの安定化などに界面活性剤を用いることができる。例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤、アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン系界面活性剤、また、ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン性界面活性剤を併用することも効果的である。その際の分散手段としては、回転せん断型ホモジナイザーやメデイアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的なものが使用可能である。
【0129】
なお、前記トナーには、必要に応じて更に外添剤を添加してもよい。前記外添剤としては、無機粉末及び有機粒子等が挙げられる。前記無機粒子としては、SiO2、TiO2、Al2O3、CuO、ZnO、SnO2、Fe2O3、MgO、BaO、CaO、K2O、Na2O、ZrO2、CaO・SiO2、K2O・(TiO2)n、Al2O3・2SiO2、CaCO3、MgCO3、BaSO4、MgSO4等を例示することができる。また、前記有機粒子としては、脂肪酸又はその誘導体や、これ等の金属塩等の粉末、フッ素系樹脂、ポリエチレン樹脂、アクリル樹脂等の樹脂粉末を用いることができる。これらの粉末の平均粒径は、例えば、0.01〜5μmが好ましく、0.1〜2μmがより好ましい。
【0130】
前記トナーの製造方法は、特に制限されないが、(i)樹脂粒子を分散させてなる分散液中で凝集粒子を形成し凝集粒子分散液を調製する工程、(ii)前記凝集粒子分散液中に、微粒子を分散させてなる微粒子分散液を添加混合して前記凝集粒子に前記微粒子を付着させて付着粒子を形成する工程、及び(iii)前記付着粒子を加熱し融合してトナー粒子を形成する工程、とを含むトナーの製造方法により得られるものが好ましい。
【0131】
−トナー物性等−
本発明のトナーの体積平均粒子径は0.5μm以上10μm以下が好ましい。
前記トナーの体積平均粒子径が小さすぎると、トナーのハンドリング(補給性、クリーニング性、流動性等)に悪影響が生じる場合があり、また、粒子生産性が低下する場合がある。一方、トナーの体積平均粒子径が大きすぎると、粒状性、転写性に起因する画質、解像度に悪影響を与える場合がある。
また、本発明のトナーは、前記トナーの体積平均粒子径範囲を満たし、かつ体積平均粒度分布指数(GSDv)が1.3以下であることが好ましい。
前記体積平均粒度分布指数(GSDv)と数平均粒度分布指数(GSDn)との比(GSDv/GSDn)は少なくとも0.95が好ましい。
また、本発明のトナーは、前記トナーの体積平均粒子径範囲を満たし、かつ下記式で表される形状係数の平均値は1.00〜1.50が好ましい。
形状係数=(π×L2)/(4×S)
(但し、Lはトナー粒子の最大長、Sはトナー粒子の投影面積を示す。)
トナーが上記条件を満たす場合には、画質、特に、粒状性、解像度に効果があり、また、転写に伴う抜けやブラーが生じにくく、平均粒径が小さくなくてもハンドリング性に悪影響が出にくくなる。
【0132】
なお、トナー自体の150℃における貯蔵弾性率G’(角周波数10rad/secで測定)は、10〜200Paであることが、定着工程での画質向上とオフセット性の防止の面から適当である。
【0133】
<画像形成方法>
本発明の画像形成方法は、前記本発明の電子写真用受像シートを、冷却装置と、冷却剥離部とを有する冷却剥離式のベルト定着型平滑化処理機を有する画像形成装置を用いて画像形成する。
【0134】
前記冷却剥離方式のベルト型平滑化処理機の加熱加圧手段としては、特に制限されないが、例えば、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組み合わせなどが挙げられる。前記冷却装置としては、特に制限されないが、例えば、ヒートシンク、などが用いられる。
【0135】
前記ベルト定着型平滑化処理機におけるベルトは、耐熱性支持体フィルムと、該支持体フィルム上に形成された離型層とを有する。
前記支持体フィルムとしては、耐熱性を備えていれば特に制限はなく、例えば、ポリイミド(PI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリパラバン酸(PPA)、などが挙げられる。
【0136】
前記離型層としては、シリコーンゴム、フッ素ゴム、フルオロカーボンシロキサンゴム、シリコーン樹脂、フッ素樹脂からなる群より選択される1種又は2種以上が好ましい。これらの中でも、定着ベルトの表面に均一な厚さのフルオロカーボンシロキサンゴム製の層を設ける態様、前記ベルト部材の表面に均一な厚さのシリコーンゴム製の層を有し、かつ該シリコーンゴム層の表面にフルオロカーボンシロキサンゴム製の層を設ける態様が好ましい。
これにより、オフセットの発生やロングラン稼動(10万枚程度)でのベルト汚れを抑制でき、光沢度の低下が防止できる。
【0137】
前記フルオロカーボンシロキサンゴムとしては、主鎖にパーフルオロアルキルエーテル基及び/又はパーフルオロアルキル基を有するものが好ましい。
このようなフルオロカーボンシロキサンゴムとしては、(A)下記一般式(1)のフルオロカーボンシロキサンを主成分とし、脂肪族不飽和基を有するフルオロカーボンポリマー、(B)1分子中に2個以上の≡SiH基を含有し、上記フルオロカーボンシロキサンゴム組成物中の脂肪族不飽和基量に対して上記≡SiH基の含有量が1〜4倍モル量であるオルガノポリシロキサン及び/又はフルオロカーボンシロキサン、(C)充填剤、(D)有効量の触媒を含有するフルオロカーボンシロキサンゴム組成物の硬化物が好適に用いられる。
【0138】
前記(A)成分のフルオロカーボンポリマーは、下記一般式(1)で示される繰り返し単位を有するフルオロカーボンシロキサンを主成分とし、脂肪族不飽和基を有するものである。
【0139】
【化1】
【0140】
ここで、上記式(1)において、R10は非置換又は置換の好ましくは炭素数1〜8の一価炭化水素基であり、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数2〜3のアルケニル基であり、特にメチル基であることが好ましい。a,eはそれぞれ0又は1、b,dはそれぞれ1〜4の整数、cは0〜8の整数である。また、xは1以上の整数、好ましくは10〜30である。
【0141】
このような(A)成分としては、下記式(2)で示すものを挙げることができる。
【0142】
【化2】
【0143】
前記(B)成分において、≡SiH基を有するオルガノポリシロキサンとしては、ケイ素原子に結合した水素原子を分子中に少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンを挙げることができる。
【0144】
また、本発明で用いるフルオロカーボンシロキサンゴム組成物においては、(A)成分のフルオロカーボンポリマーが脂肪族不飽和基を有するものであるときには、硬化剤として上述したオルガノハイドロジェンポリシロキサンを使用することができる。即ち、この場合には、フルオロカーボンシロキサン中の脂肪族不飽和基と、オルガノハイドロジェンポリシロキサン中のケイ素原子に結合した水素原子との間で生ずる付加反応によって硬化物が形成されるものである。
【0145】
このようなオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、付加硬化型のシリコーンゴム組成物に使用される種々のオルガノハイドロジェンポリシロキサンを使用することができる。
【0146】
上述したオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、一般にその≡SiH基の数が、(A)成分のフルオロカーボンシロキサン中の脂肪族不飽和炭化水素基1個に対して、少なくとも1個、特に1〜5個となるような割合で配合することが好適である。
【0147】
また、≡SiH基を有するフルオロカーボンとしては、上記式(1)の単位又は式(1)においてR10がジアルキルハイドロジェンシロキシ基であり、かつ末端がジアルキルハイドロジェンシロキシ基又はシリル基等の≡SiH基であるものが好ましく、下記式(3)で示すものを挙げることができる。
【0148】
【化3】
【0149】
前記(C)成分の充填剤としては、一般的なシリコーンゴム組成物に使用されている種々の充填剤を用いることができる。例えば、煙霧質シリカ、沈降性シリカ、カーボン粉末、二酸化チタン、酸化アルミニウム、石英粉末、タルク、セリサイト及びベントナイト等の補強性充填剤、アスベスト、ガラス繊維、有機繊維等の繊維質充填剤などを例示することができる。
【0150】
前記(D)成分の触媒としては、付加反応用触媒として公知とされている塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、塩化白金酸とオレフィンとの錯体、白金黒又はパラジウムをアルミナ、シリカ、カーボンなどの担体に担持したもの、ロジウムとオレフィンとの錯体、クロロトリス(トリフェニルフォスフィン)ロジウム(ウィルキンソン触媒)、ロジウム(III)アセチルアセトネートなどのような周期律表第VIII族元素又はその化合物が例示されるが、これらの錯体はアルコール系、エーテル系、炭化水素などの溶剤に溶解して用いることが好ましい。
【0151】
本発明で用いるフルオロカーボンシロキサンゴム組成物においては、耐溶剤性を向上させるという本発明の目的を損なわない範囲において、種々の配合剤を添加することができる。例えば、ジフェニルシランジオール、低重合度の分子鎖末端水酸基封鎖ジメチルポリシロキサン、ヘキサメチルジシラザン等の分散剤、酸化第一鉄、酸化第二鉄、酸化セリウム、オクチル酸鉄等の耐熱性向上剤、顔料等の着色剤等を必要に応じて配合することができる。
【0152】
前記本発明の定着用ベルトは、耐熱性支持体フィルムの表面を上記フルオロカーボンシロキサンゴム組成物で被覆し、加熱硬化することによって得られるが、必要に応じて更に、m−キシレンヘキサフロライド、ベンゾトリフロライド等の溶剤で希釈して塗工液とし、スプレーコート、ディップコート及びナイフコート等の一般的なコーティング法によって塗布することができる。また、加熱硬化の温度、時間は適宜選定することができ、通常温度100〜500℃、時間5秒〜5時間の範囲で支持体フィルムの種類及び製造方法などに応じて選択される。
【0153】
前記ベルトの表面に形成する離型層の厚みは、特に制限はないが、トナーの剥離性又はトナー成分のオフセットを防止して画像の良好な定着性を得るため、1〜200μmが好ましく、5〜150μmがより好ましい。
【0154】
前記ベルト定着方式としては、例えば、特開平11−352819号公報に記載のオイルレスタイプのベルト定着方法、特開平11−231671号公報及び特開平5−341666号公報に記載の二次転写と定着を同時に達成する方法等が知られている。本発明でいう定着ベルトを有する電子写真装置は、例えば、少なくとも、トナーを溶融し、加圧し得る加熱加圧部と、トナーの付着した受像材料をトナー受像層と接する状態で搬送することができる定着ベルトと、任意に、加熱した受像材料を定着ベルトに付着させたままの状態で冷却できる冷却部とを有するベルト方式のトナー定着部を有する電子写真装置が挙げられる。このような定着ベルトを有する電子写真装置にトナー受像層を有する電子写真用受像シートを使用することにより、トナー受像層に付着したトナーが、受像材料に広がることなく細密に定着されると共に、定着ベルトに密着した状態で溶融トナーが冷却・固化するので、トナー受像層にトナーが完全に埋め込まれた状態でトナー受像層に受容される。従って、画像段差がなく、光沢のある平滑なトナー画像を得ることができる。
【0155】
本発明で形成される電子写真用受像シートは、特にオイルレス方式のベルト定着方式による画像形成方法に好適であり、これにより、オフセットが大幅に改善される。但し、それ以外の各種の画像形成法に対しても、同様に使用することができる。
例えば、本発明の電子写真用受像シートを使用することにより、フルカラー画像を、画質の改善及びひび割れの防止を図りながら、好適に形成することができる。カラー画像の形成は、フルカラー画像を形成し得る電子写真装置を用いて行うことができる。通常の電子写真装置は、受像紙搬送部と、潜像形成部と、潜像形成部に近接して配設されている現像部とがあり、機種によっては、装置本体の中央に潜像形成部と受像紙搬送部に近接してトナー像中間転写部を有している。
【0156】
更に、画質の向上を図るための方法として、静電転写又はバイアスローラ転写に代わって、或いは併用して、粘着転写又は熱支援型の転写方式が知られている。例えば、特開昭63−113576号公報及び特開平5−341666号公報にはその具体的な構造が記載されている。特に熱支援型転写方式の中間転写ベルトを用いる方法が好ましい。また、電子写真用受像シートへのトナー転写後又は転写後半の中間ベルトには冷却装置を設けることが好ましい。該冷却装置により、トナー(トナー画像)は、それに使用されるバインダー樹脂の軟化温度又はトナーのガラス転移温度以下に冷却され、効率よく電子写真用受像シートに転写され、中間ベルトからの剥離が可能となる。
【0157】
定着は、最終画像の光沢や平滑性を左右する重要な工程である。定着方式は、加熱加圧ローラによる定着、ベルトを用いたベルト定着などが知られているが、上記光沢、平滑性等の画像品質の点からはベルト定着方式の方が好ましい。ベルト定着方式については、例えば、特開平11−352819号公報に記載のオイルレスタイプのベルト定着方法、特開平11−231671号公報及び特開平5−341666号公報に記載の二次転写と定着を同時に達成する方法等が知られている。また、定着ベルトと定着ローラによる加圧及び加熱の前に、熱ローラによる一次定着を行ってもよい。
【0158】
図1及び図3は、ベルト定着型平滑化処理機の一例を示し、特に図1の冷却剥離式のベルト式処理機(エンドレスプレス)において、処理部1は、ベルト2と、加熱ローラ3と、加圧ローラ4と、テンションローラ5と、クリーニングローラ6と、冷却装置7と、搬送ローラ8と、を備えている。
前記ベルト2の内側には、ベルト2と一対のテンションローラ5とが配置されている。前記ベルト2は、加熱ローラ3と、加熱ローラ3と離れた位置に配された一対のテンションローラ5とにより、回転可能に張設されている。前記加圧ローラ4は、ベルト2と当接して加熱ローラ3と対向して配置されている。加圧ローラ4とベルト2との間は、加圧ローラ4と加熱ローラ3とにより加圧されており、ニップ部が形成されている。前記冷却装置7は、ベルト2の内側であって、ベルト2の回転方向における、上流側に位置する加熱ローラ3と下流側に位置するテンションローラ5との間に配置されている。搬送ローラ8は、ベルト2を介して冷却装置7と対向するようにして2個配置されている。ここでは、2個の搬送ローラの間隔は、前記ニップ部と搬送ローラ8の1つとの距離、テンションローラ5と搬送ローラ8の他の1つとの距離と、略同じ長さである。前記クリーニングローラ6は、ベルト2を介して、加熱ローラ3における加圧ローラ4と対向する側とは反対側と対向して配置されている。クリーニングローラ6とベルト2との間は、クリーニングローラ6と加熱ローラ3とにより加圧されている。加熱ローラ3と、加圧ローラ4と、テンションローラ5と、クリーニングローラ6と、搬送ローラ8とは、互いに連動して回転し、ベルト2を回転させることができる。
【0159】
また、図3に示したベルト定着型平滑化処理機は、例えば、図2に示した電子写真装置(例えば、富士ゼロックス製フルカラーレーザープリンター(DCC−500))のベルト状定着部として改造して用いることができる。
図2中、100は画像形成装置、37は感光体ドラム、9は現像装置、31は中間転写ベルト、16は記録シート、25はベルト状定着部、をそれぞれ示す。
図3は、上記図2の画像形成装置100の内部に配設されるベルト式定着部25を示すものである。
このベルト式定着装置25は、図3に示すように、加熱ロール71と、該加熱ロール71を含む剥離ロール74、テンションロール75により回動可能に支持された無端ベルト73と、前記加熱ロール71に無端ベルト73を介して圧接する加圧ロール72とを備えている。
また、前記無端ベルト73の内面側には、加熱ロール71と剥離ロール74との間に、該無端ベルト73を強制的に冷却する冷却用のヒートシンク77が配設されており、この冷却用ヒートシンク77によって電子写真用受像シートの冷却及びシートの搬送を行う冷却・シート搬送部が構成されている。
【0160】
そして、前記ベルト式定着装置25では、図3に示すように、表面にカラートナー画像が転写・定着された電子写真用転写シートが、加熱ロール71と当該加熱ロール71に無端ベルト73を介して圧接する加圧ロール72との圧接部(ニップ部)に、カラートナー画像が加熱ロール71側に位置するようにして導入され、上記加熱ロール71と加圧ロール72との圧接部を通過する間に、カラートナー画像Tが電子写真用転写シート上に加熱溶融されて定着される。
【0161】
その後、前記加熱ロール71と加圧ロール72との圧接部において、例えば、トナーが実質的に120〜130℃程度の温度に加熱され、溶融されて、カラートナー画像が受像層に定着された電子写真用受像シートは、その表面の受像層が無端ベルト73の表面に密着したまま状態で、当該無端ベルト73と共に搬送される。その間、上記無端ベルト73は、冷却用のヒートシンク77によって強制的に冷却され、カラートナー画像及び受像層が冷却して固化した後、剥離ロール74によって電子写真用受像シート自身の腰(剛性)によって剥離される。
【0162】
なお、剥離工程が終了した後の無端ベルト73の表面は、クリーナ(図示せず)によって残留トナー等が除去され、次の定着工程に備えるようになっている。
【0163】
本発明の電子写真用受像シートに画像を形成する方法は、定着ベルトを使用した電子写真方法であれば、上記方法に制限されるものではない。通常の電子写真法であれば、いずれも適用することができる。
例えば、本発明の電子写真用受像シートには、カラー画像を好ましく形成することができる。カラー画像の形成は、フルカラー画像を形成し得る電子写真装置を用いて行うことができる。通常の電子写真装置は、受像シート搬送部と、潜像形成部と、潜像形成部に近接して配設されている現像部とがあり、機種によっては、装置本体の中央に潜像形成部と受像シート搬送部に近接してトナー像中間転写部を有している。
【0164】
更に、画質の向上を図るための方法として、静電転写或いはバイアスローラ転写に代わって、或いは併用して、粘着転写又は熱支援型の転写方式が知られている。例えば、特開昭63−113576号公報及び特開平5−341666号公報にはその具体的な構造が記載されている。特に熱支援型転写方式の中間転写ベルトを用いた方法は、小粒径のトナーを使用する場合には好ましい。
【0165】
本発明の画像形成方法によれば、定着オイルのないオイルレス機を使用しても、電子写真用受像シート及びトナーの剥離性、或いは電子写真用受像シート及びトナー成分のオフセットを防止でき、安定した給紙を実現できると共に、これまでにない良好な光沢性を有し、写真感覚に富む、良好な画像を実現できる。
【0166】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
なお、以下の実施例及び比較例において、「%」及び「部」は、それぞれ「質量%」及び「質量部」を表す。
【0167】
(実施例1〜4及び比較例1〜7)
−支持体の作製−
LBKP(広葉樹の漂白パルプ)からなる木材パルプをダブルディスクリファイナーによりカナディアンフリーネス300mlまで叩解した。このパルプ材料100部に対して、カチオン性澱粉を1.0部、アルキルケテンダイマー0.5部、エポキシ化脂肪酸アミド0.5部、ポリアミンポリアミドエピクロロヒドリン0.3部、高級脂肪酸エステル0.03部、及びコロイドダルシリカ0.02部を添加し、長網抄紙機により坪量165/m2の原紙をカレンダーを用いて厚みを155〜175μm(密度1.06〜0.94g/cm3)に調整した原紙を得た。
【0168】
この原紙を毎分150m/分で走行させ、裏面にコロナ放電処理後、低密度ポリエチレン(密度0.924g/cm3 MI=3g/10min)10部、及び高密度ポリエチレン(密度0.966g/cm3 MI=11g/10min)90部からなる10μmの層と、低密度ポリエチレン(密度0.922g/cm3 MI=5g/10min)50部、及び高密度ポリエチレン(密度0.970g/cm3 MI=20g/10min)50部からなる15μmの最外層をコートハンガータイプの二層同時共押出用ダイを使用して溶融押出し、無光沢樹脂層を設けた。
【0169】
更に、前記原紙の表面にコロナ放電処理後、低密度ポリエチレン(密度0.920g/cm3 MI=5g/10min)37.6部にTiO260部及びステアリン酸亜鉛2.4部を練りこんだマスターバッチ10部と、青み顔料を練りこんだマスターバッチ4部と、低密度ポリエチレン(密度0.918g/cm3MI=8g/10min)86部とからなる14μmの層と、低密度ポリエチレン(密度0.920g/cm3 MI=5g/10min)37.6部にTiO260部及びステアリン酸亜鉛2.4部を練りこんだマスターバッチ33部と、蛍光増白剤を練りこんだマスターバッチ5部と、青み顔料を練りこんだマスターバッチ4部とからなる16μmの最外層をコートハンガータイプの二層同時共押出用ダイを使用して溶融押出し、光沢樹脂層を設けた。
以上のようにして、原紙の表面及び裏面に、それぞれ光沢樹脂層、無光沢樹脂層を有する支持体を得た。
【0170】
−バック層の形成−
表1に示した各単量体1〜4を重合してなるスチレン/アクリル酸エステル共重合体の水系分散体14部、ポリスチレンスルホン酸のナトリウム塩(ケミスタットSA9、三洋化成株式会社製)からなる水溶性高分子化合物を4部、コロイド状シリカを6部、及びメタノール20部とを混合し、水を加えて全量を100部とした水性の塗布液を前記支持体の裏面(無光沢樹脂層)上に、乾燥後の塗布厚みが0.25μmとなるようにワイヤーコータ−にて塗布し、バック層を形成した。
【0171】
【表1】バック層組成
*バインダー
乳化剤▲1▼:反応性乳化剤、アデカリアソープSE−10N(旭電化工業株式会社製)
乳化剤▲2▼:非反応性乳化剤、アルキルベンゼンスルホン酸アンモニウム塩(日本乳化剤(株)製、ニューコール210)
単量体1:芳香族エチレン性不飽和単量体
単量体2:共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体
単量体3:エチレン性不飽和カルボン酸単量体
単量体4:エポキシ基含有エチレン性不飽和単量体
*帯電防止剤
▲1▼:日本油脂社製、ラピゾールA−90、分子量=445.58
▲2▼:三洋化成株式会社製、ケミスタットSA−9、スルホン酸基含有水溶性高分子化合物のナトリウム塩、分子量=数万
*コロイダルシリカ
スノーテックス−O(日産化学工業社製)
【0172】
−中間層の形成−
前記支持体の表面側に、下記の中間層組成物を、乾燥後の塗布厚みが5μmとなるようにワイヤーコーターにて塗布乾燥した。
−−中間層組成物−−
・水分散アクリル樹脂・・・・・・・・・・・・・100部
(星光化学工業(株)製、ハイロースHE−1335(固形分45%))
・界面活性剤・・・・・・・・・・・・・・・・・2部
(日本油脂(株)製、ラピゾールB−90(固形分10%))
・イオン交換水・・・・・・・・・・・・・・・・30部
【0173】
−トナー受像層の形成−
前記中間層上に、下記のトナー受像層用組成物を、乾燥後の厚みが7μmとなるようにワイヤーコーターにて塗布し100℃で5分間乾燥させて電子写真用受像シートを作製した。
−−トナー受像層用組成物−−
・水分散ポリエステル樹脂(表2参照)・・・・・・・・・・100部
・離型剤・・・・・・・・・5部
(カルナバワックス、中京油脂(株)製、セロゾール524)
・白色顔料(TiO2)水分散液・・・・7.5部
〔TiO2(タイぺークR780−2(石原産業製))及び高分子分散剤による水分散液〕
・界面活性剤・・・8部
(日本油脂(株)製、ラピゾールD−337(固形分10%))
・帯電防止剤(表2に示す化合物及び量)
【0174】
【表2】トナー受像層組成
*バインダー(自己分散型水系ポリエステル樹脂エマルジョン)
▲1▼:ユニチカ社製、エリーテルKZA−1449
▲2▼:ユニチカ社製、エリーテルKZAテストサンプル1
▲3▼:ユニチカ社製、エリーテルKZAテストサンプル2
*帯電防止剤
▲1▼:日本油脂社製、ラピゾールA−90、分子量=445.58
▲2▼:三洋化成株式会社製、ケミスタットSA−9、ポリスチレンスルホン酸のナトリウム塩、分子量=数万
【0175】
得られた実施例1〜4及び比較例1〜7の各電子写真用受像シートについて、下記方法により、諸特性の評価を行った。結果を表3,4に示す。
【0176】
<画質(光沢性)>
図2に示した富士ゼロックス製フルカラーレーザープリンター(DCC−500)の定着部を、図3に示したベルト状定着部に改造した画像形成装置(ベルト及び冷却条件は下記のとおりである)を用い、B/W条件で濃度を6段階(0、20、40、60、80、100%)に10cm四方で絵だしした。この6段階部分を、JIS Z 8741に準拠して、デジタル変角光沢度計(スガ試験機製、UGV−5D)を用いて、20度測定で測定し、その最小値を記録した。光沢度は75以上が好ましい。
−ベルト−
ベルトの支持体:ポリイミド(PI)フイルム、幅=50cm、厚み=80μm
ベルトの離型層素材:フルオロカーボンシロキサンゴム前駆体であるSIFEL610を加硫硬化してフルオロカーボンシロキサンゴム50μmの膜厚に形成した。
−冷却条件−
冷却器:ヒートシンク長=80mm
速度:53mm/sec
【0177】
<折り曲げクラック性>
−受像面−
画像形成装置(同上)を用いて、各電子写真用受像シートに黒色の最高濃度で均一10cm四方の画像を絵だしした後、10℃で30%RH環境に1日間放置した。その後、1、2、3、4、5cmφの丸棒を用意し、画像面が外側になるように大径の棒から順次小径の丸棒に巻き付け、ヒビが発生しなかった最小径を記録した。3cmφ以下が実用上許容されるレベルである。
−バック面−
各電子写真用受像シートのバック面が外側になるように角度90度で折り曲げ、その個所のバック層のヒビ割れ、層の脱落の状態を目視により下記基準で評価した。
〔評価基準〕
◎:ヒビ割れ、脱落ともに無し
○:ヒビ割れが僅かに認められるが問題のないレベル
×:ヒビ割れが連続して発生するか、又は層の脱落が認められる。
【0178】
<トナー転写性>
画像形成装置(同上)を用いて、各電子写真用受像シートをカラートナー4色につき、各最高濃度で均一10cm四方のベタ画像を転写した場合の、色の均一性、ムラ、及びヌケについて下記基準で目視観察した。
〔評価基準〕
○:転写欠陥なし
△:転写欠陥有るも問題ないレベルである
×:転写欠陥あり、不合格である
【0179】
<走行性>
画像形成装置(同上)で連続100枚給紙した時の給紙不良、ジャミング、及び集積不良のいずれかが生じた合計枚数をカウントした。
<耐接着性>
得られた各電子写真用受像シートを40℃、80%RHで24時間調整した後、受像面を対向させて重ね合せ、3.5cm四方×500gの荷重を加え、同一環境下で7日間設置した後、サンプルを引き離す際の状態を下記基準により評価した。
〔評価基準〕
1:剥離音、接着跡ともになし。
2:軽微な剥離音又は接着跡がある。
3:接着跡が1/4未満である。
4:1/4〜1/2未満が接着している。
5:1/2以上が接着している。
【0180】
<インク着肉性>
ドットインパクトプリンターを用いて、各電子写真用受像シートのバック面に印字し、これを水中に1分間浸漬した後、取り出して、印字の消失状態を下記基準で評価した。
〔評価基準〕
○:ほとんど変化なし
△:うすくなるも、判読可能
×:消失して判読不可能
<表面電気抵抗(SR)の測定方法>
各電子写真用受像シートのトナー受像層及びバック層における表面電気抵抗(SR)を、10℃で15%RHの条件と28℃で85%RHの条件でそれぞれ電気抵抗計(TR−8601、アドバンテスト(株)製)を用いて測定した。
【0181】
【表3】
【0182】
【表4】
【0183】
表3及び表4の結果から、実施例1〜4は、基体の両面に熱可塑性樹脂層を設けた支持体を用い、かつトナー受像層及びバック層におけるバインダーが、ガラス転移温度(Tg)が20〜80℃であるソープフリー型水分散性ポリマーであり、かつ前記トナー受像層及びバック層の少なくともいずれかが高分子系帯電防止剤を含有することによって、良好な光沢性を有し、写真感覚に富む、良好な画像が得られると共に、帯電防止が図れ、走行性及び耐ブロッキング性が向上することが認められる。
なお、比較例4は、バック層に非反応性乳化剤を含む水分散性ポリマーを使用しており、この乳化剤は反応性がなく、そのまま乳化剤として最後までバック層中に残存するので、バインダーとしてソープフリー型水分散性ポリマーを用いたものではなく、このため、耐接着性及びインク着肉性が劣るものである。
【0184】
【発明の効果】
本発明によると、良好な光沢性を有し、写真感覚に富む、良好な画像が得られると共に、帯電防止が図れ、走行性及び耐ブロッキング性が向上した電子写真用受像シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の冷却剥離式のベルト定着型平滑化処理機の一例を示す概略図である。
【図2】図2は、実施例で用いた電子写真装置の一例を示す概略図である。
【図3】図3は、実施例で用いた冷却剥離式のベルト定着型平滑化処理機の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 処理部
2 ベルト
3 加熱ローラ
4 加圧ローラ
5 テンションローラ
6 クリーニングローラ
7 冷却装置
8 搬送ローラ
10 電子写真用受像シート
25 ベルト式定着装置
71 加熱ロール
72 加圧ロール
74 剥離ロール
75 テンションロール
73 無端ベルト
77 冷却ヒートシンク
100 画像形成装置
本発明は、電子写真用受像シート及び画像形成方法に関し、特に、良好な光沢性を有し、写真感覚に富む、良好な画像が得られると共に、帯電防止が図れ、走行性及び耐ブロッキング性が向上した電子写真用受像シート及び該電子写真用受像シートを用いた画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、銀塩写真ライクの高画質を電子写真で実現するため、電子写真用受像シートの支持体として銀塩写真プリントに用いられているレジンコート型支持体が用いられ、その結果、高い平滑性、光沢性、平坦性を有し、画質面及び取り扱い面で優れた電子写真用受像シートが得られている。しかし、前記レジンコート型支持体は、原紙の両面にポリオレフィン樹脂層が形成されているため、電気抵抗が高く、帯電によるシート間接着が生じ、走行不良が発生しやすいという問題がある。
【0003】
かかる課題を解決するため、数多くの提案がなされている(例えば、特許文献1〜4等参照)。前記特許文献1には、透明支持体の片面に少なくとも樹脂とマット化剤からなる0.1〜10μmのトナー受理層を設け、かつ支持体反対面には塗布厚5μm以下のシロキサン系ポリマーを含有する帯電防止剤層を設け、トナー受理層中の樹脂の主成分が分子量1000〜20000及びガラス転移温度が40〜75℃のポリエステル樹脂からなり、かつマット化剤の粒子径がトナー受理層の塗布厚の1.0倍以上である電子写真用透明OHPフィルムが提案されている。
前記特許文献2には、基材シートの一方の面にエチレン・酢酸ビニル共重合体の微粒子を含む受像層と、他方の面に帯電防止剤含む裏面層よりなる電子写真用受像シートが提案されている。
前記特許文献3には、少なくとも、トナー画像の受容層、熱可塑性材料のプラスチック層、コア材料としての原紙、熱可塑性材料のプラスチック層、及び帯電防止層からなる電子写真方法用の画像担持材料が提案されている。
前記特許文献4には、透明支持体の一方の表面に、受像層を備え、該透明支持体の他方の表面に、導電性下塗層及び摩擦係数低減層からなるバック層が設けられている電子写真用被転写フィルムが提案されている。
【0004】
しかしながら、前記特許文献1,2,4は、OHP投影画像用として透明支持体を使用しており、層構成、物理特性(例えば、透明性、電気特性など)、及び機能が電子写真用受像シートと異なり、画質、取り扱い性が劣るものである。
また、特許文献3は、帯電防止層が支持体のバック面のみであり、帯電特性が不完全であり、低湿度の環境下ではトナー転写性、走行性に問題がある。この特許文献3では、帯電防止剤として無機塩又は金属酸化物を用いており、前記無機塩の場合には高湿度環境下での吸湿による耐ブロッキング性の問題が生じる。一方、前記金属酸化物の場合には着色の問題が生じる。
【0005】
一方、地球環境への適合性に優れ、かつ安価な水系ポリマーを用いて、フルカラー高画質タイプの特にオイルレス定着に適した電子写真用トナー受像層を得ることが望まれているが、前記水系ポリマーは、高湿環境では水分を吸収しやすく、このため、塗布膜のガラス転移温度(Tg)が低下し、耐ブロッキング性が悪化しやすいという問題がある。また、帯電防止剤を使用する場合には、電気抵抗の湿度依存性が大きくなり、高湿環境下で電気抵抗が低下し、トナー転写性に問題が生じる。更に、前記バック層には、様々な画像、文字情報などを筆記、印刷、プリントすることが望まれており、特に、インク(油性、水性)受容性が必要となっている。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−289390号公報
【特許文献2】
特開平6−332221号公報
【特許文献3】
特開平8−211645号公報
【特許文献4】
特開平9−43890号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、良好な光沢性を有し、写真感覚に富む、良好な画像が得られると共に、帯電防止が図れ、走行性及び耐ブロッキング性が向上した電子写真用受像シート及び該電子写真用受像シートを用いた画像形成方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明者らが、鋭意検討を重ねた結果、以下の知見を得た。
電子写真用受像シートにおけるトナー受像層側の最表面層及びバック層側の最表面層におけるバインダーとしてガラス転移温度(Tg)が20〜80℃であるソープフリー型水分散性ポリマーを用いることにより、特に、高湿度下での耐ブロッキング性が向上し、また、高湿度下での表面電気抵抗(SR)の低下が少ないため、トナー転写性が安定化することを知見した。
電子写真用受像シートにおけるトナー受像層及びバック層に高分子系帯電防止剤を配合することにより、吸湿性を抑制でき、耐ブロッキング性が向上し、トナー受像層及びバック層における表面電気抵抗(SR)が、10℃で15%RHの条件及び28℃で85%RHの条件のいずれにおいても1.0×109Ω/cm2〜5.0×1013Ω/cm2となることを知見した。
前記バック層のバインダーとして、ソープフリー型水分散性ポリマーを用い、コロイド状シリカを配合することで、バック面のインク受容性が向上することを知見した。
従って、上記知見に基づき、本発明者らが更に鋭意検討を重ねた結果、前記支持体として、基体の片面又は両面に熱可塑性樹脂層を設けた支持体を用いると共に、前記トナー受像層側の最表面層及びバック層側の最表面層におけるバインダーが、ガラス転移温度(Tg)が20〜80℃であるソープフリー型水分散性ポリマーであり、かつ前記トナー受像層及びバック層の少なくともいずれかが高分子系帯電防止剤を含有することにより、これまでにない良好な光沢性を有し、写真感覚に富む、良好な画像を得ることができると共に、帯電防止が図れ、走行性及び耐ブロッキング性が向上した高品質な電子写真用受像シートが得られることを見出した。
【0009】
即ち、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。
<1> 支持体と、該支持体の一方の面に少なくとも一層のトナー受像層を設け、かつ該支持体の他方の面に少なくとも一層のバック層を設けてなる電子写真用受像シートにおいて、
前記支持体が、基体の片面又は両面に熱可塑性樹脂層を設けた支持体であると共に、前記トナー受像層側の最表面層及びバック層側の最表面層におけるバインダーが、ガラス転移温度(Tg)が20〜80℃であるソープフリー型水分散性ポリマーであり、かつ前記トナー受像層及びバック層の少なくともいずれかが高分子系帯電防止剤を含有することを特徴とする電子写真用受像シートである。
<2> 支持体が、原紙の両面にポリオレフィン樹脂層を設けた支持体である前記<1>に記載の電子写真用受像シートである。
<3> ソープフリー型水分散性ポリマーが、芳香族系ポリエステル樹脂及びアクリル共重合樹脂のいずれかである前記<1>又は<2>に記載の電子写真用受像シートである。
<4> 芳香族系ポリエステル樹脂が、下記(1)〜(4)の特性を満たす自己分散型水系ポリエステル樹脂エマルジョンである前記<1>から<3>のいずれかに記載の電子写真用受像シートである。
(1)ガラス転移温度(Tg)=20〜80℃
(2)数平均分子量(Mn)=5000〜10000
(3)分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)≦4
(4)体積平均粒子径=20〜200nmφ
<5> アクリル共重合樹脂が、下記(1)から(4)から選ばれる2種以上の単量体を水性溶媒中、反応性乳化剤の存在下で乳化重合してなり、かつ下記(5)及び(6)の特性を有する前記<1>から<3>のいずれかに記載の電子写真用受像シートである。
(1)芳香族エチレン性不飽和単量体
(2)エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体
(3)エチレン性不飽和カルボン酸単量体
(4)前記(1)から(3)のいずれかの単量体と共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体
(5)ガラス転移温度(Tg)=20〜80℃
(6)体積平均粒子径=20〜200nmφ
<6> 高分子系帯電防止剤が、カルボキシル基又はスルホン基を有する水溶性高分子化合物、及びその金属塩、並びに、カルボキシル基、スルホン基、リン酸基、アミン基、アミド基及び水酸基の少なくともいずれかを有する親水性有機高分子水分散物から選ばれる前記<1>から<5>のいずれかに記載の電子写真用受像シートである。
<7> 親水性有機高分子水分散物が、親水性ブロック及び疎水性ブロックを有するブロック共重合体の乳化物である前記<6>に記載の電子写真用受像シートである。
<8> バック層が、更にコロイド状シリカを含有する前記<1>から<7>のいずれかに記載の電子写真用受像シートである。
<9> トナー受像層及びバック層における表面電気抵抗(SR)が、10℃で15%RHの条件及び28℃で85%RHの条件のいずれにおいても1.0×109Ω/cm2〜5.0×1013Ω/cm2である前記<1>から<8>のいずれかに記載の電子写真用受像シートである。
<10> 前記<1>から<9>のいずれかに記載の電子写真用受像シートを、冷却装置と、冷却剥離部とを有する冷却剥離式のベルト定着型平滑化処理機を有する画像形成装置を用いて画像形成することを特徴とする画像形成方法である。
<11> 前記定着ベルトの表面に均一な厚さのフルオロカーボンシロキサンゴム製の層を設けてなる前記<10>に記載の画像形成方法である。
<12> 前記定着ベルトの表面に均一な厚さのシリコーンゴム製の層を有し、かつ該シリコーンゴム層の表面にフルオロカーボンシロキサンゴム製の層を設けてなる前記<10>に記載の画像形成方法である。
<13> 前記フルオロカーボンシロキサンゴムが、主鎖にパーフルオロアルキルエーテル基及び/又はパーフルオロアルキル基を有する前記<11>又は<12>に記載の画像形成方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
<電子写真用受像シート>
本発明の電子写真用受像シートは、支持体と、該支持体の一方の面に少なくとも一層のトナー受像層を設け、かつ該支持体の他方の面に少なくとも一層のバック層を設けてなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の層、例えば、表面保護層、中間層、下塗り層、クッション層、反射層、色味調製層、保存性改良層、接着防止層、アンチカール層、平滑化層などを有してなる。これらの各層は単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。
【0011】
前記本発明の電子写真用受像シートは、支持体と、該支持体の一方の面に少なくとも一層のトナー受像層を設け、かつ該支持体の他方の面に少なくとも一層のバック層を設けてなる。
前記トナー受像層及びバック層(特に、トナー受像層及びバック層が複数層構造の場合には、その最表面層)は、バインダーとしてガラス転移温度(Tg)が20〜80℃、特に40〜70℃であるソープフリー型水分散性ポリマーを用い、かつ前記トナー受像層及びバック層の少なくともいずれかが高分子系帯電防止剤を含有する。これにより、特に、高湿度下での耐ブロッキング性が向上し、また、高湿度下での表面電気抵抗(SR)の低下が少ないため、トナー転写性が安定化する。
前記ソープフリー型水分散性ポリマーとしては、芳香族系ポリエステル樹脂又はアクリル共重合樹脂が好ましい。なお、前記芳香族系ポリエステル樹脂、アクリル共重合樹脂、高分子系帯電防止剤の詳細については、後述する。
前記バック層は、更にコロイド状シリカを含有することがインク受容性を向上させる点から好ましい。
前記トナー受像層及びバック層における表面電気抵抗(SR)が、10℃、15%RHの条件及び28℃、85%RHの条件のいずれにおいても1.0×109〜5.0×1013Ω/cm2が好ましく、1.0×1010〜1.0×1013Ω/cm2がより好ましい。
前記表面電気抵抗(SR)が1.0×109未満であると、トナー転写性が低下する場合がある。一方、5.0×1013Ω/cm2を超えると帯電によるシート間接着が生じて走行性が低下する場合がある。
ここで、前記表面電気抵抗(SR)の測定は、JIS K 6911に準拠し、サンプルを10℃、15%RHの条件及び28℃、85%RHの条件に8時間以上調湿し、同じ環境下で、アドバンテスト(株)製R8340を使用し、印加電圧100Vの条件で、通電して1分間経過した後に測定する。
【0012】
従って、本発明の電子写真用受像シートは、上記構成を備えることにより、これらが相まって、良好な光沢性を有し、写真感覚に富む、高画質画像が得られると共に、帯電防止が図れ、走行性、耐ブロッキング性にも優れたものである。以下、電子写真用受像シートの各構成要素について詳細に説明する。
【0013】
〔支持体〕
前記支持体としては、基体の片面又は両面に熱可塑性樹脂層を設けた支持体が用いられ、特に、原紙の両面にポリオレフィン樹脂層を設けた支持体が、高い平滑性、光沢性、及び平坦性を有する点で好適である。
【0014】
−基体−
前記基体としては、定着温度に耐えることができ、平滑性、白色度、滑り性、摩擦性、帯電防止性、定着後のへこみ等の点で要求を満足できるものである限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。一般的には、日本写真学会編「写真工学の基礎−銀塩写真編−」、株式会社コロナ社刊(昭和54年)(223)〜(240)頁に記載の紙、合成高分子(フィルム)等の写真用支持体、などが挙げられる。
【0015】
前記基体の具体例としては、合成紙(ポリオレフィン系、ポリスチレン系等の合成紙)、上質紙、アート紙、(両面)コート紙、(両面)キャストコート紙、ポリエチレン等の合成樹脂パルプと天然パルプとから作られる混抄紙、ヤンキー紙、バライタ紙、壁紙、裏打用紙、合成樹脂又はエマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、板紙、セルロース繊維紙、等の紙支持体、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレンメタクリレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネイトポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、セルロース類(例えば、トリアセチルセルロース)、等の各種プラスチックフィルム又はシート、該プラスチックフィルム又はシートに白色反射性を与える処理(例えば、フィルム中へ酸化チタンなどの顔料を含有させるなどの処理)を施したフィルム又はシート、布類、金属、ガラス類、などが挙げられる。
これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を積層体として併用してもよい。
【0016】
前記基体としては、更に、特開昭62−253159号公報(29)〜(31)頁、特開平1−61236号公報(14)〜(17)頁、特開昭63−316848号公報、特開平2−22651号公報、同3−56955号公報、米国特許第5,001,033号等に記載の基体も挙げられる。
【0017】
前記基体としては、表面平滑性が高いのが好ましく、具体的に、表面粗さ(王研式平滑度)が、210秒以上であるのが好ましく、250秒以上であるのがより好ましい。
前記表面粗さ(王研平滑度)が210秒に満たないと、画像を形成した際、画像における画質が不良となることがある。
尚、本発明において、前記王研平滑度は、JAPAN TAPPI No.5B法で規定される平滑度であり、実質上600程度が好ましく、500秒程度がより好ましい。
【0018】
前記基体の厚みとしては、通常25〜300μmであり、50〜260μmが好ましく、75〜220μmがより好ましい。
前記基体の剛度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、写真画質の受像紙用としてはカラー銀塩写真用の基体に近いものが好ましい。
前記基体の密度としては、定着性能の観点からは、0.7g/cm3以上であることが好ましい。
【0019】
前記基体の熱伝導率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、特に本発明の画像形成又は画像定着材料を、電子写真用材料における支持体として用いた場合、定着性能の観点から、20℃で相対湿度が65%の条件下において、0.50kcal/m・h・℃以上であることが好ましい。
尚、本発明において、熱伝導率は、JIS P 8111に準拠して調湿した転写紙を、特開昭53−66279号公報に記載された方法によって測定することができる。
【0020】
前記基体には、本発明の効果を害しない範囲内において、目的に応じて適宜選択した各種の添加剤を添加させることができる。
前記添加剤としては、例えば、増白剤、導電剤、填料、酸化チタン、群青、カーボンブラック等の顔料、染料などが挙げられる。
【0021】
また、前記基体の片面又は両面には、その上に設けられる層等との密着性を改良する目的で、種々の表面処理や下塗り処理を施してもよい。
前記表面処理としては、例えば、光沢面、又は特開昭55−26507号公報記載の微細面、マット面、又は絹目面の型付け処理、コロナ放電処理、火炎処理、グロー放電処理、プラズマ処理等の活性化処理、などが挙げられる。
前記下塗り処理としては、例えば、特開昭61−846443号公報に記載の方法が挙げられる。
これらの処理は、単独で施してもよいし、また、前記型付け処理等を行った後に前記活性化処理を施してもよいし、更に前記活性化処理等の表面処理後に前記下塗り処理を施してもよく、任意に組合せることができる。
【0022】
前記基体中、前記基体の表面若しくは裏面、又はこれらの組合せにおいて、親水性バインダーと、アルミナゾルや酸化スズ等の半導性金属酸化物と、カーボンブラック、その他の帯電防止剤とを塗布してもよい。このような基体としては、具体的には、特開昭63−220246号公報などに記載の支持体が挙げられる。
【0023】
−熱可塑性樹脂層−
前記熱可塑性樹脂層を構成する熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができ、例えば、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリイミド、トリアセチルセルロース等が挙げられ、これらの中でも、ポリオレフィンが好ましい。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0024】
前記ポリオレフィンは、一般に低密度ポリエチレンを用いて形成することが多いが、支持体の耐熱性を向上させるために、ポリプロピレン、ポリプロピレンとポリエチレンとのブレンド、高密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとのブレンド等を用いるのが好ましい。特に、コストや、ラミネート適性等の点から、高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとのブレンドを用いるのが最も好ましい。
【0025】
前記高密度ポリエチレンと、前記低密度ポリエチレンとのブレンドは、例えば、ブレンド比率(質量比)1/9〜9/1で用いられる。該ブレンド比率としては、2/8〜8/2が好ましく、3/7〜7/3がより好ましい。該支持体の両面に熱可塑性樹脂層を形成する場合、支持体の裏面は、例えば、高密度ポリエチレン、或いは高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとのブレンドを用いて形成されるのが好ましい。ポリエチレンの分子量としては、特に制限はないが、メルトインデックスが、高密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレンのいずれについても、1.0〜40g/10分のものであって、押出し適性を有するものが好ましい。
尚、これらのシート又はフィルムには、白色反射性を与える処理を行ってもよい。このような処理方法としては、例えば、これらのシート又はフィルム中に酸化チタンなどの顔料を配合する方法が挙げられる。
【0026】
本発明においては、両面ラミネート紙を支持体とし、該支持体の厚みとしては、25μm〜300μmが好ましく、50μm〜260μmがより好ましく、75μm〜220μmが更に好ましい。該支持体の剛度としては、種々のものがその目的に応じて使用することが可能であり、写真画質の電子写真用受像シート用の支持体としては、カラー銀塩写真用の支持体に近いものが好ましい。
【0027】
〔トナー受像層〕
前記トナー受像層は、少なくとも一層に形成され、その最表面層が、ソープフリー型水分散性ポリマーと、帯電防止剤を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
【0028】
前記ソープフリー型水分散性ポリマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば、芳香族系ポリエステル樹脂又はアクリル共重合樹脂が好適である。
【0029】
−芳香族系ポリエステル樹脂−
前記芳香族系ポリエステル樹脂としては、下記(1)〜(4)の特性を満たす自己分散型水系ポリエステル樹脂エマルジョンを用いることが好ましい。これは、界面活性剤を使用しない自己分散型なので、高湿雰囲気でも吸湿性が低く、水分による軟化点低下が少なく、定着時のオフセット発生、保存時のシート間接着故障の発生を抑制できる。また、水系であるため環境性、作業性に優れている。更に、凝集エネルギーが高い分子構造をとりやすいポリエステル樹脂を用いているので、保存環境では十分な硬度を有しながら、電子写真の定着工程では低弾性(低粘性)の溶融状態となり、トナーが受像層に埋め込まれて十分な高画質が達成可能となる。
(1)ガラス転移温度(Tg)は20〜80℃が好ましく、40〜70℃がより好ましい。
(2)数平均分子量(Mn)は5000〜10000が好ましく、5000〜7000がより好ましい。
(3)分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)は≦4が好ましく、Mw/Mn≦3がより好ましい。
(4)体積平均粒子径は20〜200nmφが好ましく、40〜150mmφがより好ましい。
【0030】
前記自己分散型水系ポリエステル樹脂エマルジョンの製造方法は、特開2002−173582号公報などに記載されているように、ガラス転移温度(Tg)が20〜80℃である芳香族系ポリエステル樹脂、親水性有機溶剤、ポリエステル樹脂のカルボキシル基をイオン化するための中和剤(すでにイオン化されている場合は不要)、水、これらすべての原料が含まれた状態で、40℃〜100℃で数分〜数時間、加熱攪拌するという方法を挙げることができる。この際、加熱温度が40℃未満では、自己分散型水系ポリエステル樹脂エマルジョンの粘度上昇が大きくなり、作業上好ましくない。
【0031】
−アクリル共重合樹脂−
前記アクリル共重合樹脂は、下記(1)から(4)から選ばれる2種以上の単量体を水性溶媒中、反応性乳化剤の存在下で乳化重合してなり、かつ下記(5)及び(6)の特性を有するものが好ましい。
(1)芳香族エチレン性不飽和単量体
(2)エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体
(3)エチレン性不飽和カルボン酸単量体
(4)前記(1)から(3)のいずれかの単量体と共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体
(5)ガラス転移温度(Tg)は20〜80℃が好ましく、40〜70℃がより好ましい。
(6)体積平均粒子径は20〜200nmφが好ましく、40〜150mmφがより好ましい。
【0032】
前記芳香族系エチレン性不飽和単量体(以下、「単量体A」と呼ぶ場合がある)は、1分子中に芳香族環とラジカル重合可能なビニル基とを有する単量体であり、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼンなどの芳香族ビニル化合物や、ベンジル(メタ)アクリレート、ベンゾイル(メタ)アクリレートなどの芳香族環を有する(メタ)アクリレート、などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、又は2種以上組合せて用いてもよい。
前記アクリル共重合樹脂における単量体Aの使用量は、使用する全単量体中、40〜99質量部が好ましく、45〜80質量部がより好ましく、50〜70質量部が更に好ましい。
前記単量体Aの使用量を40〜99質量部とすることにより、印刷適性、耐溶剤性がともに良好となる。
【0033】
前記エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体(以下、「単量体B」と呼ぶ場合がある)は、1分子中にエポキシ基とラジカル重合可能なビニル基とを有する単量体であり、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メタグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、エポキジシクロヘキシル(メタ)アクリレート、エポキシ化ブタジエンなどのエポキシ誘導体が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、又は2種以上組合せて用いてもよい。
前記アクリル共重合樹脂における単量体Bの使用量は、使用する全単量体中、0.5〜10質量部が好ましく、1〜8質量部がより好ましく、2〜7質量部が更に好ましい。
前記単量体Bの使用量を0.5〜10質量部とすることにより、耐溶剤性、印刷適性がともに良好となる。
【0034】
前記エチレン性不飽和カルボン酸単量体(以下、「単量体C」と呼ぶ場合がある)は、1分子中にカルボキシル基とラジカル重合可能なビニル基を有する単量体である。
前記単量体C、又は水性溶媒を用いて乳化重合する際に単量体Cに変化するものの具体例として、例えば、以下に示す(a)〜(e)が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、又は2種以上組合せて用いてもよい。
(a)アクリル酸、(メタ)アクリル酸、クロトン酸などのモノカルボン酸類
(b)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などのジカルボン酸類
(c)マレイン酸メチル、イタコン酸メチル、β−メタアクリルオキシエチルアシットヘキサハイドロフタレートなどのハーフエステル類
(d)上記(a)、(b)の不飽和カルボン酸類の無水物。例えば、アクリル酸無水物、マレイン酸無水物などは、水性溶媒中で乳化重合する際にカルボン酸に変化するので、乳化重合の際の単量体として用いることができる。
(e)(a)〜(d)のカリウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩
前記アクリル共重合樹脂における単量体Cの使用量は、使用する全単量体中、0.5〜10質量部が好ましく、0.7〜7質量部がより好ましく、1〜5質量部が更に好ましい。
前記単量体Cの使用量を0.5〜10質量部とすることにより、耐溶剤性、耐水性、印刷適性がともに良好となる。
【0035】
前記他のエチレン性不飽和単量体(以下、「単量体D」と呼ぶ場合がある)は、前記単量体A〜単量体Cと共重合可能な単量体であればよく、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸n−アミル、(メタ)アクリル酸i−アミル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸i−ノニル、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル;アミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ブチルアミノエチルアクリレートなどのエチレン性不飽和カルボン酸のアミノアルキルエステル;ダイアセトン(メタ)アクリルアミドなどのカルボニル基を分子中に有する化合物;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、γ−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシランなどの各種官能基を有する(メタ)アクリレート;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)つアクリレートなどの多官能(メタ)アクリレート;1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリシルメタクリレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリシルメタクリレートなどの光安定化の機能を有する(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシ−4−メタクリルオキシベンゾフェノン、2−[2’−ヒドロキシ−5メタクリロルオキシエチル]フェニル]ベンゾトリアゾールなどの紫外線吸収性の機能を有する(メタ)アクリレート化合物;1,3−ブタジエン、イソプレン、2−クロル−1,3−ブタジエンなどの脂肪族共役ジエン;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル;エチレン性不飽和ジカルボン酸の酸無水物、モノアルキルエステル、モノアミド類;(メタ)アクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物、アクロレイン、ホルミルスチロール、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトンなどを挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、又は2種以上組合せて用いてもよい。
前記単量体Dの使用量は、使用する全単量体のうち、前記単量体A〜単量体Cを除く残りの部分を占める。
【0036】
前記アクリル共重合樹脂に含まれるポリマー粒子のゲル分率は、70%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、85%以上が更に好ましい。ゲル分率を70%以上とすることにより、耐溶剤性が良好となる。
前記ゲル分率とは、前述したように、ポリマー粒子中において高分子量の3次元網目構造を形成する部分の占める割合をいい、通常、前記ポリマー粒子中におけるトルエン等の有機溶媒への不溶分として測定される。
ゲル分率は、単量体A〜単量体Dを本発明の範囲内で使用した上で、ラジカル重合開始剤の種類及び量、重合温度、必要により使用される連鎖移動剤の種類及び量によって調節することができる。
【0037】
−水系分散体の製造方法−
水系分散体は、2以上の単量体からなる混合物を、水性溶媒中、後述する反応性乳化剤の存在下で、重合開始剤を添加し、共重合させることにより得られる。かかる乳化重合においては、まず、重合開始剤を熱又は還元性物質の存在下でラジカル分解して重合開始反応を起こさせることにより単量体の付加重合を行わせる。
【0038】
−重合開始剤−
水系分散体の製造に用いる重合開始剤としては、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンセンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイドなどの有機ハイドロパーオキサイド類からなる酸化剤と含糖ピロリン酸鉄処方、スルホキシレート処方、含糖ピロリン酸鉄処方/メルボキシレート処方の混合処方などの還元剤との組合せによるレドックス系の開始剤;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩;アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、2−カルバモイルアザイソブチロニトリルなどのアゾ化合物;ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートなどの有機過酸化物などを挙げることができ、好ましくは前記過硫酸塩及び前記レドックス系の開始剤である。
前記重合開始剤の使用量は、全単量体100質量部あたり、0.05〜5質量部が好ましく、0.1〜2質量部がより好ましい。これらの重合開始剤を用いて乳化重合する際には、反応系中に重合開始剤を一括添加するか、又は重合開始剤の一部を回分的添加、連続的添加、あるいはこの両者を組み合わせて添加する方法を用いることができる。
【0039】
−反応性乳化剤−
前記ソープフリー型水分散性ポリマーは、2以上の単量体を反応性乳化剤の存在下にラジカル重合して得られる。
ここで、前記反応性乳化剤とは、乳化重合可能な程度の乳化能を有し、かつ、ラジカル重合可能である乳化剤をいう。
本発明においては、反応性乳化剤を用いて乳化重合を行うことにより、乳化剤の使用量を低減することができ、特に、水系媒体中における遊離の乳化剤の量を低減することができるため、耐水性に優れた共重合体エマルジョンが得られる。
前記反応性乳化剤としては、例えば、ラジカル反応性基としてエチレン性不飽和基、親水基としてポリオキシエチレン基、スルホン基、硫酸基、疎水基としてアルキル基を1分子中に有する乳化剤が挙げられる。
このような反応性乳化剤としては、例えば、「ラテムルS−180A」(花王(株)製);「エレミノールJS−2」(三洋化成(株)製);「アクアロンHS−10」、「アクアロンBC−10」(第一工業製薬(株)製);「アデカリアソープSE−10N」(旭電化工業(株)製)等のアニオン性反応性乳化剤、「アクアロンRS−20」(第一工業製薬(株)製);「アデカリアソープNE−20」(旭電化工業(株)製)等の非イオン性反応性乳化剤、などを挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、あるいは2種以上組合せて用いてもよい。
【0040】
本発明における反応性乳化剤の使用量は、後述する粒子径によるが、全単量体100質量部に対し、0.5〜5質量部が好ましく、0.5〜3質量部がより好ましい。
前記反応性乳化剤の使用量を0.5〜5質量部とすることにより、重合反応時の安定性を保持することができ、乳化が十分で、泡立ちも適当である。
また、前記反応性乳化剤は、重合系にそれぞれ一括添加、回分的添加、連続的添加、又はこの両者を組み合わせて添加されるのが好ましい。
【0041】
前記水系分散体の重合においては、上記の乳化剤及び重合開始剤と共に、必要に応じて、連鎖移動剤、電解質、キレート剤、pH調整剤などを併用してもよい。
前記連鎖移動剤の使用量は、全単量体100質量部あたり、0〜5質量部程度が好ましい。
【0042】
前記pH調整剤としては、アンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸水素二ナトリウムなどが挙げられる。pH調整剤の使用量はそれぞれ、全単量体100質量部あたり0〜2質量部が好ましい。
【0043】
重合法の一例としては、単量体混合物100質量部と、水100〜500質量部と、重合開始剤0.05〜5質量部と、反応性乳化剤0.01〜5質量部と、連鎖移動剤、電解質及びpH調整剤の所定量とよりなる水性の反応系を、5〜100℃(特に、50〜90℃)の好ましい温度条件下、0.1〜10時間にわたり反応させる。
その際の重合方法としては、全単量体を一括添加する方法、少なくとも一部の単量体を分割又は連続して添加する方法、少なくとも一部の単量体のプレエマルジョンを分割又は連続して添加する方法、又はこれらの方式を段階的に組み合わせた方法等を採用することができるが、特に、水溶性の低い単量体を使用する場合は・高圧ホモジナイサーや超音波分散機を用いて、予め単量体混合物の少なくとも一部、水、反応性乳化剤等を強制乳化させてプレエマルジョンを調製してから、残りの単量体を一括添加、あるいは分割又は連続して添加する方法等により重合することもできる。
【0044】
−その他の添加剤−
以上の水系分散体には、目的に応じて、光安定化剤、紫外線吸収剤、有機溶剤、架橋剤、水溶性高分子(例えば、水溶性ポリエステル樹脂、水溶性エポキシ樹脂、水溶性アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、澱粉)、消泡剤、増粘剤、熱安定剤、レベリング剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤、艶消し剤、顔料、防カビ剤などの添加剤が含有されていてもよい。
【0045】
水系分散体に添加含有される光安定化剤・紫外線吸収剤としては特に限定されるものではなく、塗料、合成ゴム、合成樹脂、合成繊維用の光安定化剤・紫外線吸収剤として公知のものを使用することができる。具体的には、有機ニッケル、ヒンダートアミン系などの光安定化剤;酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウムなどの無機系紫外線吸収剤;ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾールなどの有機系紫外線吸収剤などを挙げることができる。これらのうち、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ビペリジル)セバケートなどのヒンダードアミン系の光安定化剤;酸化セリウム、ヒンダードアミン系紫外線吸収剤が好ましい。光安定化剤・紫外線吸収剤の添加量としては、特定の重合体(固形分)100質量部に対して、通常0.01〜10質量部が好ましく、0.05〜5質量部がより好ましい。光安定化剤・紫外線吸収剤を含有させることにより、本発明の水系分散体により形成される塗膜に良好な耐侯性を発現させることができる。
【0046】
前記水系分散体に添加含有される有機溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、アミルアルコール、ヘキシルアルコールなどのアルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ・ブチルセロソルブ・ヘキシルセロソルブ・メチルカルビトール、エチルカルビトール、メチルセロゾルブアセテート、エチルセロゾルブアセテート、トリブトキシメチルフォスフェートなどを挙げることができる。
前記有機溶剤の添加量としては、水系分散体固形分100質量部に対して、通常0.1〜100質量部が好ましい。前記有機溶剤を含有させることにより、得られる水系分散体の濡れ性及び造膜性を向上させることができる。
【0047】
前記水系分散体に添加含有される架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができ、例えば、アミノ樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂よりなる架橋剤、ヒドラジド化合物、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、アジリジン化合物などの有機系架橋剤、金属化合物などの無機系架橋剤など、公知の架橋剤を使用することができる。
【0048】
前記架橋剤によれば、0〜280℃の温度条件下に架橋(硬化)反応を進行させることができる。そして、上記架橋剤のうち、アミノ樹脂、フェノール樹脂、ブロックイソシアネート化合物よりなるものは、100℃以下の温度条件下に架橋反応を進行させることができるので好ましい。架橋剤を含有させることにより、水系分散体により形成される塗膜に更に優れた耐溶剤性及び耐水性を付与することができる。
【0049】
全単量体中、単量体Aを用いることで、印刷適性を高めるとともに、ガラス転移温度(Tg)を高めることができ、更に、単量体Bで架橋することにより、耐溶剤性、耐水性、耐アルカリ性、耐酸性を向上させることができる。したがって、本発明の水系分散体によれば、耐溶剤性、耐水性、印刷適性、耐酸性・耐アルカリ性に優れた塗膜を形成することができる。
【0050】
前記トナー受像層は、上記ソープフリー型水分散性ポリマー(例えば、芳香族系ポリエステル樹脂及びアクリル共重合樹脂)以外にも、高分子系帯電防止剤を含有する。
【0051】
−高分子系帯電防止剤−
前記高分子系帯電防止剤としては、カルボキシル基又はスルホン基を有する水溶性高分子化合物、及びその金属塩、並びに、カルボキシル基、スルホン基、リン酸基、アミン基、アミド基及び水酸基の少なくともいずれかを有する親水性有機高分子水分散物から選ばれるものが好ましい。
前記親水性有機高分子水分散物が、親水性ブロック及び疎水性ブロックを有するブロック共重合体の乳化物であることが好ましい。
【0052】
前記カルボキシル基を有する水溶性高分子化合物としては、炭素数4以上のエチレン系不飽和モノマー、例えば、炭素数4以上のα−オレフィン、アルキルビニルエーテル、又はスチレン等の不飽和共重合性単量体と無水マレイン酸との共重合体が好ましく、その塩は、それらを水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリと共に加水分解して得られる。
【0053】
炭素数4以上の不飽和共重合性単量体と無水マレイン酸との共重合体の分子量は2000〜150000が好ましい。これらの具体例としては、イソブチレン、1−ペンテン、ブチルビニルエーテル、又はスチレンと、無水マレイン酸との共重合体を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリとともに加水分解して得られる溶液のpHが5.0〜9.0である反応生成物などが挙げられる。これらの他に、スチレンとイタコン酸又はクロトン酸との共重合体、メチルアクリレートとシトラコン酸との共重合体など、あるいはそれらの金属塩を挙げることができる。
【0054】
前記スルホン基を有する水溶性高分子化合物としては、分子量が5000〜1000000のものが好ましい。例えば、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルベンジルスルホン酸など、あるいは、それらのナトリウムやカリウムなどの塩などを挙げることができる。その金属塩としては、ポリアクリル酸ソーダ、ポリスチレンスルホン酸ソーダ等が挙げられ、親水性有機高分子水分散物としては、カルボキシル変性ポリエチレン又はその塩等が挙げられる。
【0055】
−親水性有機高分子水分散物−
前記カルボキシル基、スルホン基、リン酸基、アミン基、アミド基、水酸基を有する親水性有機高分子水分散物は、親水性ブロック及び疎水性ブロックとを有するブロック共重合体の乳化物とすることが好ましい。
前記親水性ブロック及び疎水性ブロックとを有するブロック共重合体において、疎水性ブロックとしては、炭化水素系の単量体を主成分とする重合体もしくは共重合体のユニットが挙げられる。その炭化水素系の単量体を主成分とする重合体もしくは共重合体のユニットとしては、ジエン系単量体を主体とする(共)重合体、芳香族ビニル化合物やオレフィンなどのオレフィン系単量体を主体とする(共)重合体あるいはこれらを水素添加した(共)重合体のユニットが好ましいものとして挙げられる。
【0056】
前記ブロック共重合体において、親水性ブロックとしては、前記の疎水性ポリマーユニットに親水基を含有させたものが挙げられる。かかる親水基としては、スルホン基、カルボン酸基(カルボキシル基)、リン酸基、アミン基、アミド基、水酸基、アルキルエステル基、酸無水物基等が挙げられる。これらの中ではスルホン基、カルボン酸基(カルボキシル基)、リン酸基、アミン基、アミド基、水酸基が好ましく、更に好ましいのはスルホン基及びカルボン酸基(カルボキシル基)、特に好ましいのはスルホン基である。例えば、ジエン系単量体を主体とする(共)重合体、芳香族ビニル化合物やオレフィンなどのオレフィン系単量体を主体とする(共)重合体あるいはこれらを水素添加した(共)重合体のユニットなどの炭化水素系単量体を主成分とする(共)重合体のユニットに、スルホン基などの親水基を含有させたものが挙げられる。
【0057】
前記ジエン系単量体を主体とする(共)重合体のユニットに使用されるジエン系単量体としては、炭素数4〜12のジエン系化合物が好ましく、更に好ましくは炭素数4〜8、特に好ましくは炭素数4〜6のジエン系化合物である。
【0058】
また、オレフィン系単量体を主体とする(共)重合体ユニットは、芳香族ビニル化合物やオレフィンなどのオレフィン系単量体を主体とする(共)重合体ユニットである。芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−チルスチレン、m−メチルスチレン、ビニルナフタレンなどが挙げられる。また、オレフィンとしては、エチレン、プロピレンなどが挙げられる。これらモノマーは1種単独で用いても、2種以上併用して用いてもよい。これらのうちで好ましいのは、芳香族ビニル化合物であり、特に好ましくはスチレンである。
【0059】
また、前記ジエン系単量体を主体とする(共)重合体、芳香族ビニル化合物やオレフィンなどのオレフィン系単量体を主体とする(共)重合体あるいはこれらを水素添加した(共)重合体のユニットには、前記単量体以外に、他の単量体を併用することもできる。
【0060】
前記ジエン系単量体を主体とする(共)重合体ユニットには、他の単量体として前記芳香族ビニル化合物やオレフィンを劣位量共重合してもよい。また、芳香族ビニル化合物を主体とする(共)重合体ユニットには、前記ジエン系単量体やオレフィンを劣位量共重合してもよい。また、オレフィンを主体とする(共)重合体ユニットには、他の単量体として前記ジエン系単量体や芳香族ビニル化合物を劣位量共重合してもよい。これら他の単量体を併用する場合には、その単量体の使用量は、各(共)重合体ユニット中、通常60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましく、20質量%以下が特に好ましい。
【0061】
前記ブロック共重合体(ベースポリマー)の製造、即ち、ジエン系単量体を主体とする(共)重合体ユニットと、芳香族ビニル化合物やオレフィンなどのオレフィン系単量体を主体とする(共)重合体ユニットを含有するブロック共重合体は、それぞれの単量体を開始剤を用い、必要に応じて溶剤を用いて共重合することにより製造することができる。前記重合方式としては、ブロック共重合体を得るという意味から、特に、アニオン重合が好ましく用いられる。
【0062】
また、前記ブロック共重合体について、ジエン系単量体に基づく残存二重結合の一部あるいは全部を水素添加(水添)して使用することもできる。この場合、公知の水添触媒が使用可能で、例えば、特開平5−222115号公報に記載されているような触媒、方法が挙げられる。ベースポリマーである前記ブロック共重合体を水添後、後述する方法で親水基を導入することもできるが、該共重合体に親水基導入したのち、水添してもよい。
【0063】
本発明に使用されるベースポリマーは、好ましくはジエン系単量体を含有するポリマーユニットAとオレフィン系単量体を含有するポリマーユニットBを含有するブロック共重合体である。そのブロック共重合体の好ましい構造としては、AB型、A(BA)n型、B(AB)n型、又は(AB)n型(ただし、nは好ましくは1〜5、より好ましくは1〜3、更に好ましくは1〜2、特に好ましくは1)である。
【0064】
これらのうちで好ましいのは、AB型、ABA型、及びBAB型のブロック共重合体である。具体的には、好ましいベースポリマーとしては、例えば、イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン三元ブロック共重合体、イソプレン−スチレン−イソプレン三元ブロック共重合体、ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレン三元ブロック共重合体、ブタジエン−スチレン−ブタジエン三元ブロック共重合体及びこれらブロック共重合体の水素添加物が挙げられる。また、ジエンモノマーユニットのブロック鎖中に、前記芳香族モノマーあるいは他のモノマーが一部共重合されていても良く、また、芳香族モノマーユニットのブロック鎖中に前記ジエンモノマーあるいは他のモノマーが一部共重合されていてもよい。
【0065】
これらベースポリマー又はその水添物のポリスチレン換算の重量平均分子量(以下「Mw」という)は、1,000〜1,000,000が好ましく、2,000〜500,000がより好ましく、5,000〜200,000が更に好ましい。Mwが1,000未満であると、帯電防止性を有するポリマー乳化物の帯電防止性が経時的に低下する場合があり、一方、1,000,000を超えると、極性基を導入する際にゲル化する等の問題が生じる場合がある。
【0066】
前記ブロック共重合体において、ジエン系単量体を含有するポリマーユニットAとオレフィン系単量体を含有するポリマーユニットBの割合A/Bは、水素添加してないブロック共重合体の場合は、1〜80/99〜20が好ましく、2〜70/98〜30がより好ましく、5〜50/95〜50が更に好ましい。また、水素添加したブロック共重合体の場合は、20〜99/80〜1が好ましく、30〜98/70〜2がより好ましく、50〜95/50〜5が更に好ましい。
【0067】
各ポリマーユニットA及びBの重合度は、水素添加してないブロック共重合体の場合は、Aが10以上、Bが20以上が好ましく、Aが50以上、Bが100以上がより好ましく、Aが100以上、Bが200以上が更に好ましい。また、水素添加したブロック共重合体の場合は、Aが20以上、Bが10以上が好ましく、Aが100以上、Bが50以上がより好ましく、Aが200以上、Bが100以上が更に好ましい。
【0068】
親水基を有するブロック共重合体は、前記ブロック共重合体からなるベースポリマーに親水基を含有する単量体(モノマー)を共重合する方法や、親水基を付加などの方法により含有させることにより製造することができる。親水基を付加などの方法により含有させる方法としては、公知の方法が使用できる。例えば、スルホン基を導入する場合、例えば、日本科学会編集、新実験講座(14巻 III、1773頁)、特開平2−227403号公報などに記載された方法でスルホン化することにより製造することができる。
【0069】
以上のような親水基を導入したブロック共重合体の親水基の含有量は、通常、親水基を含有したモノマー単位の数がブロック中の構成モノマー単位の50(モル)%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。50%以上にすることにより、十分な帯電防止性が得られる。なお、疎水性ブロック中に親水基を含有していてもよいが、親水基を含有したモノマー単位の数が疎水性ブロック中の構成モノマー単位の10(モル)%以下が好ましく、5%以下がより好ましい。また、親水基を導入したブロック共重合体中の極性基含量は、0.1〜5mmol/gが好ましく、0.2〜3mmol/gがより好ましく、0.3〜2.5mmol/gが更に好ましく、0.5〜2mmol/gが特に好ましい。0.1mmol/g未満では、帯電防止性が発現しにくく、また多すぎると耐水性が問題になる場合がある。
【0070】
本発明においては、通常、前記親水基含有ブロック共重合体を水などの媒体中に乳化分散した状態で使用する。乳化分散する方法に特に制限はないが、好ましくは、親水基含有ブロック共重合体の有機溶剤溶液を、水と混合し、乳化させたのち、水を残したまま有機溶剤を除去することにより行うことができる。
【0071】
このようにして得られる親水基含有ブロック共重合体乳化物の粒径は、通常、1〜500nmが好ましく、1〜300nmがより好ましく、1〜150nmが更に好ましい。また、得られるポリマー乳化物の固形分濃度は、通常、5〜50質量%が好ましく、10〜40質量%がより好ましい、これは、使用条件、保存条件などにより、適宜選択することができる。
【0072】
前記親水基含有ブロック共重合体乳化物は、単独で用いてもよいが、他のポリマーと併用することも可能である。即ち、親水基含有ブロック共重合体を他のポリマーと併用して、帯電防止性ポリマーとしたものを、繊維状物質や通常の重合体等の基材の帯電防止剤として使用することができる。親水基含有ブロック共重合体を他のポリマーと併用して、帯電防止性ポリマーを製造する方法としては、(a)親水基含有ブロック共重合体と他のポリマーの乳化物をブレンドする方法、(b)親水基含有ブロック共重合体乳化物を乳化剤として使用して、公知の各種ポリマーを乳化させることにより帯電防止性ポリマーを得ることができる。
【0073】
前記(a)の他のポリマーの乳化物としては特に制限はなく、公知のポリマーの乳化物が使用される。好ましい乳化物としては、ウレタンエマルジョン、アクリルエマルジョン、エポキシエマルジョン、ポリエステルエマルジョン、ポリスチレンエマルジョンなどが挙げられ、これらは、単独で使用しても、2種以上併用して使用してもかまわない。前記(b)親水基含有ブロック共重合体乳化物を乳化剤として使用して、公知の各種ポリマーを乳化させることにより帯電防止性ポリマーを得る方法としては、特に制限はないが、以下の2方法が好ましい。
(1)親水基含有ブロック共重合体乳化物を乳化剤として使用し、各種ポリマーを乳化することにより、該ポリマーの乳化物を得る方法(ポリマーの再乳化方法と称する)。(2)親水基含有ブロック共重合体乳化物、水及び場合によっては溶剤の存在下に、公知のモノマーを乳化させた後、ラジカル開始剤等により該モノマーを重合するなど、公知の乳化重合などによりポリマーの乳化物を得る方法(乳化重合方法と称する)
【0074】
前記帯電防止性のブロック共重合体中、親水性ブロックの含有割合は、固形分換算で、通常50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましい。50質量%を超えると帯電防止性ポリマーの乳化物の静置安定性が悪化する場合がある。
【0075】
前記帯電防止剤は、特に制限はなく、他の帯電防止剤と併用して用いてもよい。かかる他の帯電防止剤としては特に制限はないが、好ましいものとしては、ポリオキシエチレンもしくはポリオキシプロピレン骨格を有するノニオン系化合物、4級窒素構造を有するカチオン系化合物、その他、スルホン基、カルボン酸基やリン酸基などのアニオン系官能基を有するアニオン系化合物などが挙げられる。また、親水基含有ブロック共重合体乳化物等には、必要に応じて潤滑剤、塗布性改良剤、増粘剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を混ぜて使用することができる。
【0076】
−その他の成分−
前記その他の成分としては、トナー受像層の熱力学的特性を改良する目的で添加される各種添加剤、例えば、滑り剤・離型剤、マット剤、着色剤、可塑剤、フィラー、架橋剤、乳化物、分散物等が挙げられる。
【0077】
−−滑り剤・離型剤−−
本発明で任意に使用することができる滑り剤又は離型剤(本発明で使用されるワックス以外のもの)は、本発明の電子写真用受像シートが定着時に定着部材と接着しないようにすることを目的として添加される。
本発明の電子写真用受像シートに用いられる滑り剤又は離型剤としては、例えば、高級アルキル硫酸ナトリウム、高級脂肪酸高級アルコールエステル、カーボワックス、高級アルキルリン酸エステル、シリコーン化合物、変性シリコーン、硬化性シリコーン等が含まれる。
前記滑り剤又は離型剤としては、米国特許2882157号、同3121060号、同3850640号、フランス特許2180465号、英国特許955061号、同1143118号、同1263722号、同1270578号、同1320564号、同1320757号、同2588765号、同2739891号、同3018178号、同3042522号、同3080317号、同3082087号、同3121060号、同3222178号、同3295979号、同3489567号、同3516832号、同3658573号、同3679411号、同3870521号の各明細書、特開昭49−5017号、同51−141623号、同54−159221号、同56−81841号の各公報、及びリサーチ・ディスクロージャー(Research Disclosure) 13969号に記載されている。
【0078】
滑り剤又は離型剤としては、例えば、シリコーン系化合物や、フッ素化合物等が挙げられる。
【0079】
具体的には、本発明に使用される離型剤として、例えば、幸書房「改訂 ワックスの性質と応用」や、日刊工業新聞社発行のシリコーンハンドブック記載の化合物を用いることができる。また、特公昭59−38581号、特公平4−32380号、特許第2838498号、同2949558号、特開昭50−117433号、同52−52640号、同57−148755号、同61−62056号、同61−62057号、同61−118760号、特開平2−42451号、同3−41465号、同4−212175号、同4−214570号、同4−263267号、同5−34966号、同5−119514号、同6−59502号、同6−161150号、同6−175396号、同6−219040号、同6−230600号、同6−295093号、同7−36210号、同7−43940号、同7−56387号、同7−56390号、同7−64335号、同7−199681号、同7−223362号、同7−287413号、同8−184992号、同8−227180号、同8−248671号、同8−248799号、同8−248801号、同8−278663号、同9−152739号、同9−160278号、同9−185181号、同9−319139号、同9−319143号、同10−20549号、同10−48889号、同10−198069号、同10−207116号、同11−2917号、同11−44969号、同11−65156号、同11−73049号、同11−194542号等の各公報に記載のトナーに用いられているシリコーン系化合物、フッ素化合物も好ましく用いることができる。また、これら化合物を複数組み合わせて使用することもできる。
【0080】
本発明のトナー受像層に任意に添加される滑り剤又は離型剤としては、これらの誘導体や、酸化物、精製品、混合物を用いることもできる。また、これらは、反応性の置換基を有していてもよい。
【0081】
前記滑り剤又は離型剤の使用量は、5〜500mg/m2が好ましく、10〜200mg/m2がより好ましい。定着部での定着部材へのオフセットを防止する目的のオイルを用いない、いわゆるオイルレス定着の場合、滑り剤の量は、例えば、30〜3000mg/m2が好ましく、100〜1500mg/m2がより好ましい。
【0082】
−−マット剤−−
前記マット剤は、例えば、電子写真用受像シート同士の接着防止及び電子写真装置における紙詰まり防止のために使用される。マット剤としては、種々の公知のものが挙げられる。マット剤として用いられる固体粒子は、無機粒子と有機粒子とに分類できる。無機マット剤の材料としては、具体的には、酸化物(例えば、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム)、アルカリ土類金属塩(例えば、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム)、ハロゲン化銀(例えば、塩化銀、臭化銀)及びガラスが挙げられる。
【0083】
前記無機マット剤としては、例えば、西独特許2529321号、英国特許760775号、同1260772号、米国特許1201905号、同2192241号、同3053662号、同3062649号、同3257206号、同3322555号、同3353958号、同3370951号、同3411907号、同3437484号、同3523022号、同3615554号、同3635714号、同3769020号、同4021245号、同4029504号の各明細書に記載されたものが挙げられる。
【0084】
−−着色剤−−
前記着色剤としては、蛍光増白剤、白色顔料、有色顔料、染料等が挙げられる。
前記蛍光増白剤は、近紫外部に吸収を持ち、400〜500nmに蛍光を発する化合物で、公知の蛍光増白剤が特に制限なく各種使用することができる。該蛍光増白剤としては、K.VeenRataraman編“The Chemistry of Synthetic Dyes”V巻8章に記載されている化合物を好適に挙げることができる。具体的には、スチルベン系化合物や、クマリン系化合物、ビフェニル系化合物、ベンゾオキサゾリン系化合物、ナフタルイミド系化合物、ピラゾリン系化合物、カルボスチリル系化合物などが挙げられる。それらの例としては、住友化学製ホワイトフルファーPSN、PHR、HCS、PCS、B;Ciba−Geigy社製UVITEX−OBなどが挙げられる。
【0085】
前記白色顔料としては、後述するフィラーの項で述べる無機顔料(例えば、酸化チタン、炭酸カルシウム他)を用いることができる。有色顔料としては、特開昭63−44653号公報等に記載されている各種顔料及びアゾ顔料(例えば、アゾレーキ;カーミン6B、レッド2B、不溶性アゾ;モノアゾイエロ、ジスアゾイエロ、ピラゾロオレンジ、バルカンオレンジ、縮合アゾ系;クロモフタルイエロ、クロモフタルレッド)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン系;銅フタロシアニンブルー、銅フタロシアニングリーン、シオキサジン系;ジオキサジンバイオレット、イソインドリノン系;イソインドリノンイエロ、スレン系;ペリレン、ペリノン、フラバントロン、チオインジゴ、レーキ顔料(例えば、マラカイトグリーン、ローダミンB、ローダミンG、ビクトリアブルーB)又無機顔料(例えば、酸化物、二酸化チタン、ベンガラ、硫酸塩;沈降性硫酸バリウム、炭酸塩;沈降性炭酸カルシウム、硅酸塩;含水硅酸塩、無水硅酸塩、金属粉、アルミニウム粉、ブロンズ粉、亜鉛末、カーボンブラック、黄鉛、紺青)、等が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記顔料としては、特に酸化チタンが好ましい。
【0086】
前記顔料の形状としては、特に制限はないが、画像定着時の伝熱性(低熱伝導性)に優れる点で、中空粒子形状であるのが好ましい。
【0087】
前記染料としては、公知の種々の染料を用いることができる。
油溶性染料としては、アントラキノン系化合物、アゾ系化合物などが挙げられる。
水不溶性染料の具体例としては、C.I.Vatヴァイオレット1、C.I.Vatヴァイオレット2、C.I.Vatヴァイオレット9、C.I.Vatヴァイオレット13,C.I.Vatヴァイオレット21、C.I.Vatブルー1、C.I.Vatブルー3、C.I.Vatブルー4、C.I.Vatブルー6、C.I.Vatブルー14、C.I.Vatブルー20、C.I.Vatブルー35等の建染染料、C.I.ディスパーズヴァイオレット1、C.I.ディスパーズヴァイオレット4、C.I.ディスパーズヴァイオレット10、C.I.ディスパーズブルー3、C.I.ディスパーズブルー7、C.I.ディスパーズブルー58等の分散染料、C.I.ソルベントヴァイオレット13、C.I.ソルベントヴァイオレット14、C.I.ソルベントヴァイオレット21、C.I.ソルベントヴァイオレット27、C.I.ソルベントブルー11、C.I.ソルベントブルー12、C.I.ソルベントブルー25、C.I.ソルベントブルー55等の油溶性染料が挙げられる。
また、銀塩写真で用いられているカラードカプラーも好ましく用いることができる。
【0088】
前記着色剤の、前記トナー受像層(表面)における含有量(g/m2)としては、0.1〜8g/m2が好ましく、0.5〜5g/m2がより好ましい。
前記着色剤の含有量が0.1g/m2に満たないと、トナー受像層における光透過率が高くなり、一方、着色剤の含有量が8g/m2を超えると、ヒビ割れ、耐接着等の取り扱い性が悪いことがある。
【0089】
−−可塑剤−−
前記可塑剤としては、公知の樹脂用の可塑剤を特に制限なく使用することができる。該可塑剤は、トナーを定着する時の熱及び/又は圧力によって、トナー受像層が流動又は柔軟化するのを調整する機能を有する。
前記可塑剤としては、「化学便覧」(日本化学会編、丸善)や、「可塑剤−その理論と応用−」(村井孝一編著、幸書房)や、「可塑剤の研究 上」「可塑剤の研究 下」(高分子化学協会編)や、「便覧 ゴム・プラスチック配合薬品」(ラバーダイジェスト社編)等を参考にして選択することができる。
【0090】
前記可塑剤は、高沸点有機溶剤や熱溶剤などとして記載されているものもあるが、例えば、特開昭59−83154号、同59−178451号、同59−178453号、同59−178454号、同59−178455号、同59−178457号、同62−174754号、同62−245253号、同61−209444号、同61−200538号、同62−8145号、同62−9348号、同62−30247号、同62−136646号、同62−174754号、同62−245253号、同61−209444号、同61−200538号、同62−8145号、同62−9348号、同62−30247号、同62−136646号、特開平2−235694号等の各公報に記載されているような化合物が挙げられる。
前記可塑剤は、樹脂に混合して使用することができる。
【0091】
前記可塑剤としては、比較的低分子量のポリマーを用いることができる。この場合、該可塑剤の分子量としては、可塑化されるべきバインダー樹脂の分子量より低いものが好ましく、分子量は15000以下が好ましく、5000以下がより好ましい。また、ポリマー可塑剤の場合、可塑化されるべきバインダー樹脂と同種のポリマーであることが好ましい。例えば、ポリエステル樹脂の可塑化には、低分子量のポリエステルが好ましい。更にオリゴマーも可塑剤として用いることができる。
【0092】
前記可塑剤は、トナー粒子がトナー受像層に埋め込まれる際に生じる応力や歪み(弾性力や粘性などの物理的な歪み、分子やバインダー主鎖やペンダント部分などの物質収支による歪み等)を緩和するために任意に使用することができる。
前記可塑剤は、トナー受像層中において、ミクロに分散された状態でもよいし、海島状にミクロに相分離した状態でもよいし、バインダー等の他の成分と充分に混合溶解した状態でもよい。
前記可塑剤の、前記トナー受像層における含有量としては、0.001〜90質量%が好ましく、0.1〜60質量%がより好ましく、1〜40質量%が更に好ましい。
前記可塑剤は、スベリ性(摩擦力低下による搬送性向上)の調整や、定着部オフセット(定着部へのトナーや層の剥離)の改良、カールバランスの調整、帯電調整(トナー静電像の形成)等の目的で使用してもよい。
【0093】
−−フィラー−−
前記フィラーとしては、有機又は無機のフィラーが挙げられ、バインダー樹脂用の補強剤や、充填剤、強化材として公知のものが用いることができる。該フィラーとしては、「便覧 ゴム・プラスチック配合薬品」(ラバーダイジェスト社編)、「新版 プラスチック配合剤 基礎と応用」(大成社)、「フィラーハンドブック」(大成社)等を参考にして選択することができる。
また、前記フィラーとして、各種無機フィラー(又は顔料)を用いることができる。無機顔料としては、例えば、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、雲母状酸化鉄、鉛白、酸化鉛、酸化コバルト、ストロンチウムクロメート、モリブデン系顔料、スメクタイト、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、ムライト等が挙げられる。フィラーとしては、特に、シリカや、アルミナが好ましい。これらのフィラーは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また前記フィラーとしては、粒径の小さいものが好ましい。粒径が大きいと、トナー受像層の表面が粗面化し易い。
【0094】
前記シリカには、球状シリカと無定形シリカが含まれる。該シリカは、乾式法、湿式法又はエアロゲル法により合成できる。疎水性シリカ粒子の表面を、トリメチルシリル基又はシリコーンで表面処理してもよい。シリカとしては、コロイド状シリカが好ましい。シリカの平均粒径としては、200〜5000nmが好ましい。
前記シリカは、多孔質であるのが好ましい。多孔質シリカの平均孔径は、4〜120nmが好ましく、4〜90nmがより好ましい。また、多孔質シリカの質量当りの平均孔容積は、例えば、0.5〜3ml/gが好ましい。
【0095】
前記アルミナには、無水アルミナ及びアルミナ水和物が含まれる。無水アルミナの結晶型としては、α、β、γ、δ、ζ、η、θ、κ、ρ又はχを用いることができる。無水アルミナよりもアルミナ水和物の方が好ましい。アルミナ水和物としては、一水和物又は三水和物を用いることできる。一水和物には、擬ベーマイト、ベーマイト及びダイアスポアが含まれる。三水和物には、ジブサイト及びバイヤライトが含まれる。アルミナの平均粒径としては、4〜300nmが好ましく、4〜200nmがより好ましい。アルミナは、多孔質であるのが好ましい。多孔質アルミナの平均孔径としては、50〜500nmが好ましい。多孔質アルミナの質量当りの平均孔容積としては、0.3〜3ml/gが好ましい。
【0096】
前記アルミナ水和物は、アルミニウム塩溶液にアンモニアを加えて沈澱させるゾルゲル法又はアルミン酸アルカリを加水分解する方法により合成できる。無水アルミナは、アルミナ水和物を加熱により脱水することで得ることができる。
前記フィラーは、添加する層のバインダーの乾燥質量に基づいて、5〜2000質量%が好ましい。
【0097】
−−架橋剤−−
前記架橋剤は、トナー受像層の保存安定性や、熱可塑性等を調整するために配合することができる。このような架橋剤としては、反応基としてエポキシ基や、イソシアネート基、アルデヒド基、活性ハロゲン基、活性メチレン基、アセチレン基、その他公知の反応基を2個以上分子内に有する化合物が用いられる。
【0098】
前記架橋剤として、これとは別に、水素結合や、イオン結合、配位結合等により結合を形成することが可能な基を2個以上有する化合物も用いることができる。
前記架橋剤としては、樹脂用のカップリング剤や、硬化剤、重合剤、重合促進剤、凝固剤、造膜剤、造膜助剤等として公知の化合物を用いることができる。カップリング剤の例としては、例えば、クロロシラン類や、ビニルシラン類、エポキシシラン類、アミノシラン類、アルコキシアルミニウムキレート類、チタネートカップリング剤などが挙げられる他、「便覧 ゴム・プラスチック配合薬品」(ラバーダイジェスト社編)等に挙げられた公知のものを用いることができる。
【0099】
−−その他の添加剤−−
本発明のトナー受像層に使用され得る材料には、出力画像の安定性改良、またトナー受像層自身の安定性改良のため各種添加剤を含めることができる。この目的のための添加剤としては、種々の公知の酸化防止剤、老化防止剤、劣化防止剤、オゾン劣化防止剤、紫外線吸収剤、金属錯体、光安定剤、防腐剤、防かび剤等が挙げられる。
【0100】
前記酸化防止剤としては、例えば、クロマン化合物、クマラン化合物、フェノール化合物(例、ヒンダードフェノール)、ハイドロキノン誘導体、ヒンダードアミン誘導体、スピロインダン化合物が挙げられる。なお、酸化防止剤については、特開昭61−159644号公報などに記載されている。
【0101】
前記老化防止剤としては、例えば、「便覧 ゴム・プラスチック配合薬品 改訂第2版」(1993年、ラバーダイジェスト社)p76〜121に記載のものが挙げられる。
【0102】
前記紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール化合物(米国特許3533794号明細書記載)、4−チアゾリドン化合物(米国特許3352681号明細書記載)、ベンゾフェノン化合物(特開昭46−2784号公報記載)及び紫外線吸収ポリマー(特開昭62−260152号公報記載)が挙げられる。
【0103】
前記金属錯体としては、例えば、米国特許4241155号、同4245018号、同4254195号の各明細書、特開昭61−88256号、同62−174741号、同63−199248号、特開平1−75568号、同1−74272号の各公報に記載されているものが適当である。
また、「便覧 ゴム・プラスチック配合薬品 改訂第2版」(1993年、ラバーダイジェスト社)p122〜137に記載の紫外線吸収剤、光安定剤も好ましく用いられる。
【0104】
本発明のトナー受像層に使用され得る材料には、上述したように公知の写真用添加剤を添加することができる。写真用添加剤としては、例えば、リサーチ・ディスクロージャー誌(以下、RDと略記する)No.17643(1978年12月)、同No.18716(1979年11月)及び同No.307105(1989年11月)に記載されており、その該当箇所を下記にまとめて示す。
【0105】
本発明のトナー受像層は、乾燥後の塗布質量は、例えば、1〜20g/m2が好ましく、4〜15g/m2がより好ましい。
前記トナー受像層の厚みとしては、特に制限はないが、1〜30μmが好ましく、2〜20μmがより好ましい。
【0106】
〔トナー受像層の諸物性〕
前記トナー受像層は、白色度が高いのが好ましい。該白色度としては、JISP 8123に規定される方法で測定して、85%以上が好ましい。また、440nm〜640nmの波長域で、分光反射率が85%以上、かつ同波長域の最大分光反射率と最低分光反射率の差が5%以内が好ましい。更には、400nm〜700nmの波長域で分光反射率が85%以上、かつ同波長域の最大分光反射率と最低分光反射率の差が5%以内がより好ましい。
また、前記白色度としては、具体的には、CIE 1976(L*a*b*)色空間において、L*値が80以上が好ましく、85以上がより好ましく、90以上が更に好ましい。また、白色の色味はできるだけニュートラルであるのが好ましい。白色色味としては、L*a*b*空間において、(a*)2+(b*)2の値が50以下が好ましく、18以下がより好ましく、5以下が更に好ましい。
【0107】
前記トナー受像層としては、光沢性が高いのが好ましい。光沢度としては、トナーが無い白色から最大濃度の黒色までの全領域において、45度光沢度が60以上が好ましく、75以上がより好ましく、90以上が更に好ましい。
但し、光沢度は110以下が好ましい。110を超えると金属光沢のようになり画質として好ましくない。
尚、前記光沢度は、JIS Z 8741に基づいて測定することができる。
【0108】
前記トナー受像層は、平滑性が高いのが好ましい。該平滑度としては、トナーが無い白色から最大濃度の黒色までの全領域において、算術平均粗さ(Ra)が3μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましく、0.5μm以下が更に好ましい。
尚、算術平均粗さは、JIS B 0601、B 0651、B 0652に基づいて測定することができる。
【0109】
前記トナー受像層は、以下の項目の内の1項目の物性を有することが好ましく、更に好ましくは、複数の項目、最も好ましくは、全ての項目の物性を有することが適当である。
(1)トナー受像層のTg(ガラス転移温度)は、20〜80℃が好ましい。
(2)トナー受像層のT1/2(1/2法軟化点)は、60〜200℃が好ましく、80〜170℃がより好ましい。ここで、1/2法軟化点は、特定の装置を使用し、特定の条件の下で、所定の押出加重を加えながら、初期設定温度(例えば、50℃)で余熱時間、例えば、300秒後に、所定の等速昇温速度で昇温した時の各温度における流出開始時と終了時のピストンストロークの差の2分の1となる温度で評価される。
(3)トナー受像層のTfb(流出開始温度)は、40〜200℃が好ましく、トナー受像層のTfbが、トナーのTfb+50℃以下である。
(4)トナー受像層の粘度が1×105CPになる温度は、40℃以上が好ましく、トナーのそれより低い。
(5)トナー受像層の定着温度における貯蔵弾性率(G')は、1×102〜1×105Paが好ましく、損失弾性率(G”)は、1×102〜1×105Paがより好ましい。
(6)トナー受像層の定着温度における損失弾性率(G”)と、貯蔵弾性率(G')との比である損失正接(G”/G')が、0.01〜10が好ましい。
(7)トナー受像層の定着温度における貯蔵弾性率(G')は、トナーの定着温度における貯蔵弾性率(G”)に対して、−50〜+2500が好ましい。
(8)溶融トナーのトナー受像層上の傾斜角は、50度以下が好ましく、特に40度以下が好ましいる。
また、トナー受像層としては、特許第2788358号明細書、特開平7−248637号、同8−305067号、同10−239889号公報等に開示されている物性等を満足するものが好ましい。
【0110】
前記(1)の物性は、示差走査熱量測定装置(DSC)により測定することができる。前記(2)〜(3)の物性は、例えば、島津製作所製フローテスターCFT−500又は500Dを用いて測定することができる。前記(5)〜(7)の物性は、回転型レオメーター(例えば、レオメトリック社製ダイナミックアナライザーRADII)を用いて測定することができる。前記(8)の物性は、協和界面科学(株)製の接触角測定装置を用い、特開平8−334916号公報に開示した方法で測定することができる。
【0111】
〔バック層〕
前記バック層は、本発明の電子写真用受像シートにおいて、裏面出力適性付与、裏面出力画質改良、カールバランス改良、機器通過性改良等の目的で、支持体に対して、トナー受像層の反対側に設けられる。
前記バック層は、前記トナー受像層と同様のソープフリー型水分散性ポリマー、帯電防止剤を含有し、更にコロイド状シリカを含有することが好ましい。
前記コロイド状シリカとしては、一般に市販されているシリカゾル懸濁液、例えば、ルドックスHS、ルドックスAS等(デュポン社製)、スノーテックスO、スノーテックスC、スノーテックス20等(日産化学工業社製)などが挙げられる。前記コロイド状シリカの含有量は、バック層用組成物全体に対し1〜50質量%が好ましい。
前記バック層の色としては、特に制限はないが、本発明の電子写真用受像シートが、裏面にも画像を形成する両面出力型受像シートの場合、バック層も白色であることが好ましい。白色度及び分光反射率は、表面と同様に85%以上が好ましい。
前記バック層の厚みは、通常、0.1〜10μmが好ましい。
【0112】
[その他の層]
前記その他の層としては、例えば、表面保護層、密着改良層、中間層、下塗り層、クッション層、反射層、色味調製層、保存性改良層、接着防止層、アンチカール層、及び、平滑化層等が挙げられる。これらの層は、単層構成であってもよく、2以上の層より構成されていてもよい。
【0113】
−表面保護層−
前記表面保護層は、本発明の電子写真用受像シートにおける表面の保護、保存性の改良、取り扱い性の改良、筆記性の付与、機器通過性の改良、アンチオフセット性の付与等の目的で、前記トナー受像層の表面に設けることができる。該表面保護層は、1層であってもよいし、2層以上の層からなっていてもよい。表面保護層には、バインダーとして各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等を用いることができ、前記トナー受像層と同種の樹脂を用いるのが好ましい。但し、熱力学的特性や、静電特性等は、トナー受像層と同じである必要はなく、各々最適化することができる。
【0114】
前記表面保護層には、トナー受像層に使用可能な、前述の各種の添加剤を配合することができる。特に、前記表面保護層には、本発明で使用する離型剤と共に、他の添加剤、例えば、マット剤等を配合することができる。なお、前記マット剤としては、種々の公知のものが挙げられる。
本発明の電子写真用受像シートにおける最表面層(例えば、表面保護層が形成されている場合には、表面保護層等)としては、定着性の点で、トナーとの相溶性が良いのが好ましい。具体的には、溶融したトナーとの接触角が、例えば、0〜40度であることが好ましい。
【0115】
−密着改良層等−
前記密着改良層は、本発明の電子写真用受像シートにおいて、支持体及びトナー受像層の密着性を改良する目的で、形成するのが好ましい。密着改良層には、前述の各種の添加剤を配合することができ、特に架橋剤を配合するのが好ましい。また、本発明の電子写真用受像シートには、トナーの受容性を改良するため、該密着改良層及びトナー受像層の間に、更にクッション層等を設けるのが好ましい。
【0116】
−中間層−
前記中間層は、例えば、支持体及び密着改良層の間、密着改良層及びクッション層の間、クッション層及びトナー受像層の間、トナー受像層及び保存性改良層との間等に形成することができる。もちろん、支持体、トナー受像層、及び、中間層からなる電子写真用受像シートの場合には、中間層は、例えば、支持体及びトナー受像層の間に存在させることができる。
【0117】
なお、本発明の前記電子写真用受像シートの厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば、50〜350μmが好ましく、100〜280μmがより好ましい。
【0118】
<トナー>
本発明の電子写真用受像シートは、印刷又は複写の際に、トナー受像層にトナーを受容させて使用される。
前記トナーは、結着樹脂と着色剤とを少なくとも含有し、必要に応じて離型剤、その他の成分を含有する。
【0119】
−トナー 結着樹脂−
前記結着樹脂としては、スチレン、パラクロルスチレンなどのスチレン類;ビニルナフタレン、塩化ビニル、臭化ビニル、弗化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル、酪酸ビニルなどのビニルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどのメチレン脂肪族カルボン酸エステル類;アクリロニトリル、メタクリルロニトリル、アクリルアミドなどのビニルニトリル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニル化合物類;メタクリル酸、アクリル酸、桂皮酸などのビニルカルボン酸類などビニル系モノマーの単独重合体やその共重合体、更には各種ポリエステル類を使用することができ、各種ワックス類を併用することも可能である。
これらの樹脂の中で、特に本発明のトナー受像層に用いたものと同一系統の樹脂を用いるのが好ましい。
【0120】
−トナー 着色剤−
前記着色剤としては、通常トナーに用いられているものを制限なく使用することができ、例えば、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーメネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デイポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレレートなどの種々の顔料が挙げられる。また、アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、チオインジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアジン系、チアゾール系、キサンテン系などの各種染料などが挙げられる。これら着色剤は1種単独で使用してもよいし、複数種類を併せて使用してもよい。
着色剤の含有量は、2〜8質量%の範囲が好ましい。着色剤の含有量が2質量%以上であれば着色力が弱くなることもなく、一方、8質量%以下であれば、透明性が損なわれることもないので好ましい。
【0121】
−トナー 離型剤−
前記離型剤としては、原理的には、公知のワックス全てが使用可能であるが、比較的低分子量の高結晶性ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、アミドワックス、ウレタン化合物など窒素を含有する極性ワックスなどが特に有効である。ポリエチレンワックスについては分子量が1000以下のものが特に有効であり、300〜1000の範囲がより好ましい。
【0122】
前記ウレタン結合を有する化合物は、低分子量であっても極性基による凝集力の強さにより、固体状態を保ち、融点も分子量のわりには高く設定できるので好適である。分子量の好ましい範囲は300〜1000である。原料は、ジイソシアン酸化合物類とモノアルコール類との組み合わせ、モノイソシアン酸とモノアルコールとの組み合わせ、ジアルコール類とモノイソシアン酸との組み合わせ、トリアルコール類とモノイソシアン酸との組み合わせ、トリイソシアン酸化合物類とモノアルコール類との組み合わせなど、種々の組み合わせを選択することができが、高分子量化させないために、多官能基と単官能基の化合物を組み合わせることが好ましく、また等価の官能基量となるようにすることが重要である。
【0123】
具体的な、原料化合物のうちモノイソシアン酸化合物としては、例えば、イソシアン酸ドデシル、イソシアン酸フェニル及びその誘導体、イソシアン酸ナフチル、イソシアン酸ヘキシル、イソシアン酸ベンジル、イソシアン酸ブチル、イソシアン酸アリルなどが挙げられる。
ジイソシアン酸化合物としては、ジイソシアン酸トリレン、ジイソシアン酸4、4’ジフェニルメタン、ジイソシアン酸トルエン、ジイソシアン酸1、3−フェニレン、ジイソシアン酸ヘキサメチレン、ジイソシアン酸4−メチル−m−フェニレン、ジイソシアン酸イソホロンなどが挙げられる。
モノアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノールなど極く一般的なアルコール類を使用することが可能である。
原料化合物のうちジアルコール類としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリメチレングリコールなど多数のグリコール類;トリアルコール類としては、トリメチロールプロパン、トリエチロールプロパン、トリメタノールエタンなどが使用可能であるが、必ずしもこの範囲に限定されない。
【0124】
これらのウレタン化合物類は、通常の離型剤のように、混練時に樹脂や着色剤とともに混合して、混練粉砕型トナーとしても使用できる。また、前記の乳化重合凝集溶融法トナーに用いる場合には、水中にイオン性界面活性剤や高分子酸や高分子塩基などの高分子電解質とともに分散し、融点以上に加熱してホモジナイザーや圧力吐出型分散機で強い剪断をかけて微粒子化し、1μm以下の離型剤粒子分散液を調製し、樹脂粒子分散液、着色剤分散液などとともに用いることができる。
【0125】
−トナー その他の成分−
また、本発明のトナーには、内添剤、帯電制御剤、無機微粒子等のその他の成分を配合することができる。内添剤としては、フェライト、マグネタイト、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、合金、又はこれら金属を含む化合物などの磁性体を使用することができる。
【0126】
前記帯電制御剤としては、4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミや、鉄、クロムなどの錯体からなる染料、トリフェニルメタン系顔料など通常使用される種々の帯電制御剤を使用することができる。なお、凝集、溶融時の安定性に影響するイオン強度の制御や、廃水汚染を減少する観点から水に溶解しにくい材料が好ましい。
【0127】
前記無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウムなど、通常、トナー表面の外添剤を全て使用で、それらをイオン性界面活性剤や高分子酸、高分子塩基で分散して使用することが好ましい。
【0128】
更に、乳化重合、シード重合、顔料分散、樹脂粒子分散、離型剤分散、凝集、更には、それらの安定化などに界面活性剤を用いることができる。例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤、アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン系界面活性剤、また、ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン性界面活性剤を併用することも効果的である。その際の分散手段としては、回転せん断型ホモジナイザーやメデイアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的なものが使用可能である。
【0129】
なお、前記トナーには、必要に応じて更に外添剤を添加してもよい。前記外添剤としては、無機粉末及び有機粒子等が挙げられる。前記無機粒子としては、SiO2、TiO2、Al2O3、CuO、ZnO、SnO2、Fe2O3、MgO、BaO、CaO、K2O、Na2O、ZrO2、CaO・SiO2、K2O・(TiO2)n、Al2O3・2SiO2、CaCO3、MgCO3、BaSO4、MgSO4等を例示することができる。また、前記有機粒子としては、脂肪酸又はその誘導体や、これ等の金属塩等の粉末、フッ素系樹脂、ポリエチレン樹脂、アクリル樹脂等の樹脂粉末を用いることができる。これらの粉末の平均粒径は、例えば、0.01〜5μmが好ましく、0.1〜2μmがより好ましい。
【0130】
前記トナーの製造方法は、特に制限されないが、(i)樹脂粒子を分散させてなる分散液中で凝集粒子を形成し凝集粒子分散液を調製する工程、(ii)前記凝集粒子分散液中に、微粒子を分散させてなる微粒子分散液を添加混合して前記凝集粒子に前記微粒子を付着させて付着粒子を形成する工程、及び(iii)前記付着粒子を加熱し融合してトナー粒子を形成する工程、とを含むトナーの製造方法により得られるものが好ましい。
【0131】
−トナー物性等−
本発明のトナーの体積平均粒子径は0.5μm以上10μm以下が好ましい。
前記トナーの体積平均粒子径が小さすぎると、トナーのハンドリング(補給性、クリーニング性、流動性等)に悪影響が生じる場合があり、また、粒子生産性が低下する場合がある。一方、トナーの体積平均粒子径が大きすぎると、粒状性、転写性に起因する画質、解像度に悪影響を与える場合がある。
また、本発明のトナーは、前記トナーの体積平均粒子径範囲を満たし、かつ体積平均粒度分布指数(GSDv)が1.3以下であることが好ましい。
前記体積平均粒度分布指数(GSDv)と数平均粒度分布指数(GSDn)との比(GSDv/GSDn)は少なくとも0.95が好ましい。
また、本発明のトナーは、前記トナーの体積平均粒子径範囲を満たし、かつ下記式で表される形状係数の平均値は1.00〜1.50が好ましい。
形状係数=(π×L2)/(4×S)
(但し、Lはトナー粒子の最大長、Sはトナー粒子の投影面積を示す。)
トナーが上記条件を満たす場合には、画質、特に、粒状性、解像度に効果があり、また、転写に伴う抜けやブラーが生じにくく、平均粒径が小さくなくてもハンドリング性に悪影響が出にくくなる。
【0132】
なお、トナー自体の150℃における貯蔵弾性率G’(角周波数10rad/secで測定)は、10〜200Paであることが、定着工程での画質向上とオフセット性の防止の面から適当である。
【0133】
<画像形成方法>
本発明の画像形成方法は、前記本発明の電子写真用受像シートを、冷却装置と、冷却剥離部とを有する冷却剥離式のベルト定着型平滑化処理機を有する画像形成装置を用いて画像形成する。
【0134】
前記冷却剥離方式のベルト型平滑化処理機の加熱加圧手段としては、特に制限されないが、例えば、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組み合わせなどが挙げられる。前記冷却装置としては、特に制限されないが、例えば、ヒートシンク、などが用いられる。
【0135】
前記ベルト定着型平滑化処理機におけるベルトは、耐熱性支持体フィルムと、該支持体フィルム上に形成された離型層とを有する。
前記支持体フィルムとしては、耐熱性を備えていれば特に制限はなく、例えば、ポリイミド(PI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリパラバン酸(PPA)、などが挙げられる。
【0136】
前記離型層としては、シリコーンゴム、フッ素ゴム、フルオロカーボンシロキサンゴム、シリコーン樹脂、フッ素樹脂からなる群より選択される1種又は2種以上が好ましい。これらの中でも、定着ベルトの表面に均一な厚さのフルオロカーボンシロキサンゴム製の層を設ける態様、前記ベルト部材の表面に均一な厚さのシリコーンゴム製の層を有し、かつ該シリコーンゴム層の表面にフルオロカーボンシロキサンゴム製の層を設ける態様が好ましい。
これにより、オフセットの発生やロングラン稼動(10万枚程度)でのベルト汚れを抑制でき、光沢度の低下が防止できる。
【0137】
前記フルオロカーボンシロキサンゴムとしては、主鎖にパーフルオロアルキルエーテル基及び/又はパーフルオロアルキル基を有するものが好ましい。
このようなフルオロカーボンシロキサンゴムとしては、(A)下記一般式(1)のフルオロカーボンシロキサンを主成分とし、脂肪族不飽和基を有するフルオロカーボンポリマー、(B)1分子中に2個以上の≡SiH基を含有し、上記フルオロカーボンシロキサンゴム組成物中の脂肪族不飽和基量に対して上記≡SiH基の含有量が1〜4倍モル量であるオルガノポリシロキサン及び/又はフルオロカーボンシロキサン、(C)充填剤、(D)有効量の触媒を含有するフルオロカーボンシロキサンゴム組成物の硬化物が好適に用いられる。
【0138】
前記(A)成分のフルオロカーボンポリマーは、下記一般式(1)で示される繰り返し単位を有するフルオロカーボンシロキサンを主成分とし、脂肪族不飽和基を有するものである。
【0139】
【化1】
【0140】
ここで、上記式(1)において、R10は非置換又は置換の好ましくは炭素数1〜8の一価炭化水素基であり、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数2〜3のアルケニル基であり、特にメチル基であることが好ましい。a,eはそれぞれ0又は1、b,dはそれぞれ1〜4の整数、cは0〜8の整数である。また、xは1以上の整数、好ましくは10〜30である。
【0141】
このような(A)成分としては、下記式(2)で示すものを挙げることができる。
【0142】
【化2】
【0143】
前記(B)成分において、≡SiH基を有するオルガノポリシロキサンとしては、ケイ素原子に結合した水素原子を分子中に少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンを挙げることができる。
【0144】
また、本発明で用いるフルオロカーボンシロキサンゴム組成物においては、(A)成分のフルオロカーボンポリマーが脂肪族不飽和基を有するものであるときには、硬化剤として上述したオルガノハイドロジェンポリシロキサンを使用することができる。即ち、この場合には、フルオロカーボンシロキサン中の脂肪族不飽和基と、オルガノハイドロジェンポリシロキサン中のケイ素原子に結合した水素原子との間で生ずる付加反応によって硬化物が形成されるものである。
【0145】
このようなオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、付加硬化型のシリコーンゴム組成物に使用される種々のオルガノハイドロジェンポリシロキサンを使用することができる。
【0146】
上述したオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、一般にその≡SiH基の数が、(A)成分のフルオロカーボンシロキサン中の脂肪族不飽和炭化水素基1個に対して、少なくとも1個、特に1〜5個となるような割合で配合することが好適である。
【0147】
また、≡SiH基を有するフルオロカーボンとしては、上記式(1)の単位又は式(1)においてR10がジアルキルハイドロジェンシロキシ基であり、かつ末端がジアルキルハイドロジェンシロキシ基又はシリル基等の≡SiH基であるものが好ましく、下記式(3)で示すものを挙げることができる。
【0148】
【化3】
【0149】
前記(C)成分の充填剤としては、一般的なシリコーンゴム組成物に使用されている種々の充填剤を用いることができる。例えば、煙霧質シリカ、沈降性シリカ、カーボン粉末、二酸化チタン、酸化アルミニウム、石英粉末、タルク、セリサイト及びベントナイト等の補強性充填剤、アスベスト、ガラス繊維、有機繊維等の繊維質充填剤などを例示することができる。
【0150】
前記(D)成分の触媒としては、付加反応用触媒として公知とされている塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、塩化白金酸とオレフィンとの錯体、白金黒又はパラジウムをアルミナ、シリカ、カーボンなどの担体に担持したもの、ロジウムとオレフィンとの錯体、クロロトリス(トリフェニルフォスフィン)ロジウム(ウィルキンソン触媒)、ロジウム(III)アセチルアセトネートなどのような周期律表第VIII族元素又はその化合物が例示されるが、これらの錯体はアルコール系、エーテル系、炭化水素などの溶剤に溶解して用いることが好ましい。
【0151】
本発明で用いるフルオロカーボンシロキサンゴム組成物においては、耐溶剤性を向上させるという本発明の目的を損なわない範囲において、種々の配合剤を添加することができる。例えば、ジフェニルシランジオール、低重合度の分子鎖末端水酸基封鎖ジメチルポリシロキサン、ヘキサメチルジシラザン等の分散剤、酸化第一鉄、酸化第二鉄、酸化セリウム、オクチル酸鉄等の耐熱性向上剤、顔料等の着色剤等を必要に応じて配合することができる。
【0152】
前記本発明の定着用ベルトは、耐熱性支持体フィルムの表面を上記フルオロカーボンシロキサンゴム組成物で被覆し、加熱硬化することによって得られるが、必要に応じて更に、m−キシレンヘキサフロライド、ベンゾトリフロライド等の溶剤で希釈して塗工液とし、スプレーコート、ディップコート及びナイフコート等の一般的なコーティング法によって塗布することができる。また、加熱硬化の温度、時間は適宜選定することができ、通常温度100〜500℃、時間5秒〜5時間の範囲で支持体フィルムの種類及び製造方法などに応じて選択される。
【0153】
前記ベルトの表面に形成する離型層の厚みは、特に制限はないが、トナーの剥離性又はトナー成分のオフセットを防止して画像の良好な定着性を得るため、1〜200μmが好ましく、5〜150μmがより好ましい。
【0154】
前記ベルト定着方式としては、例えば、特開平11−352819号公報に記載のオイルレスタイプのベルト定着方法、特開平11−231671号公報及び特開平5−341666号公報に記載の二次転写と定着を同時に達成する方法等が知られている。本発明でいう定着ベルトを有する電子写真装置は、例えば、少なくとも、トナーを溶融し、加圧し得る加熱加圧部と、トナーの付着した受像材料をトナー受像層と接する状態で搬送することができる定着ベルトと、任意に、加熱した受像材料を定着ベルトに付着させたままの状態で冷却できる冷却部とを有するベルト方式のトナー定着部を有する電子写真装置が挙げられる。このような定着ベルトを有する電子写真装置にトナー受像層を有する電子写真用受像シートを使用することにより、トナー受像層に付着したトナーが、受像材料に広がることなく細密に定着されると共に、定着ベルトに密着した状態で溶融トナーが冷却・固化するので、トナー受像層にトナーが完全に埋め込まれた状態でトナー受像層に受容される。従って、画像段差がなく、光沢のある平滑なトナー画像を得ることができる。
【0155】
本発明で形成される電子写真用受像シートは、特にオイルレス方式のベルト定着方式による画像形成方法に好適であり、これにより、オフセットが大幅に改善される。但し、それ以外の各種の画像形成法に対しても、同様に使用することができる。
例えば、本発明の電子写真用受像シートを使用することにより、フルカラー画像を、画質の改善及びひび割れの防止を図りながら、好適に形成することができる。カラー画像の形成は、フルカラー画像を形成し得る電子写真装置を用いて行うことができる。通常の電子写真装置は、受像紙搬送部と、潜像形成部と、潜像形成部に近接して配設されている現像部とがあり、機種によっては、装置本体の中央に潜像形成部と受像紙搬送部に近接してトナー像中間転写部を有している。
【0156】
更に、画質の向上を図るための方法として、静電転写又はバイアスローラ転写に代わって、或いは併用して、粘着転写又は熱支援型の転写方式が知られている。例えば、特開昭63−113576号公報及び特開平5−341666号公報にはその具体的な構造が記載されている。特に熱支援型転写方式の中間転写ベルトを用いる方法が好ましい。また、電子写真用受像シートへのトナー転写後又は転写後半の中間ベルトには冷却装置を設けることが好ましい。該冷却装置により、トナー(トナー画像)は、それに使用されるバインダー樹脂の軟化温度又はトナーのガラス転移温度以下に冷却され、効率よく電子写真用受像シートに転写され、中間ベルトからの剥離が可能となる。
【0157】
定着は、最終画像の光沢や平滑性を左右する重要な工程である。定着方式は、加熱加圧ローラによる定着、ベルトを用いたベルト定着などが知られているが、上記光沢、平滑性等の画像品質の点からはベルト定着方式の方が好ましい。ベルト定着方式については、例えば、特開平11−352819号公報に記載のオイルレスタイプのベルト定着方法、特開平11−231671号公報及び特開平5−341666号公報に記載の二次転写と定着を同時に達成する方法等が知られている。また、定着ベルトと定着ローラによる加圧及び加熱の前に、熱ローラによる一次定着を行ってもよい。
【0158】
図1及び図3は、ベルト定着型平滑化処理機の一例を示し、特に図1の冷却剥離式のベルト式処理機(エンドレスプレス)において、処理部1は、ベルト2と、加熱ローラ3と、加圧ローラ4と、テンションローラ5と、クリーニングローラ6と、冷却装置7と、搬送ローラ8と、を備えている。
前記ベルト2の内側には、ベルト2と一対のテンションローラ5とが配置されている。前記ベルト2は、加熱ローラ3と、加熱ローラ3と離れた位置に配された一対のテンションローラ5とにより、回転可能に張設されている。前記加圧ローラ4は、ベルト2と当接して加熱ローラ3と対向して配置されている。加圧ローラ4とベルト2との間は、加圧ローラ4と加熱ローラ3とにより加圧されており、ニップ部が形成されている。前記冷却装置7は、ベルト2の内側であって、ベルト2の回転方向における、上流側に位置する加熱ローラ3と下流側に位置するテンションローラ5との間に配置されている。搬送ローラ8は、ベルト2を介して冷却装置7と対向するようにして2個配置されている。ここでは、2個の搬送ローラの間隔は、前記ニップ部と搬送ローラ8の1つとの距離、テンションローラ5と搬送ローラ8の他の1つとの距離と、略同じ長さである。前記クリーニングローラ6は、ベルト2を介して、加熱ローラ3における加圧ローラ4と対向する側とは反対側と対向して配置されている。クリーニングローラ6とベルト2との間は、クリーニングローラ6と加熱ローラ3とにより加圧されている。加熱ローラ3と、加圧ローラ4と、テンションローラ5と、クリーニングローラ6と、搬送ローラ8とは、互いに連動して回転し、ベルト2を回転させることができる。
【0159】
また、図3に示したベルト定着型平滑化処理機は、例えば、図2に示した電子写真装置(例えば、富士ゼロックス製フルカラーレーザープリンター(DCC−500))のベルト状定着部として改造して用いることができる。
図2中、100は画像形成装置、37は感光体ドラム、9は現像装置、31は中間転写ベルト、16は記録シート、25はベルト状定着部、をそれぞれ示す。
図3は、上記図2の画像形成装置100の内部に配設されるベルト式定着部25を示すものである。
このベルト式定着装置25は、図3に示すように、加熱ロール71と、該加熱ロール71を含む剥離ロール74、テンションロール75により回動可能に支持された無端ベルト73と、前記加熱ロール71に無端ベルト73を介して圧接する加圧ロール72とを備えている。
また、前記無端ベルト73の内面側には、加熱ロール71と剥離ロール74との間に、該無端ベルト73を強制的に冷却する冷却用のヒートシンク77が配設されており、この冷却用ヒートシンク77によって電子写真用受像シートの冷却及びシートの搬送を行う冷却・シート搬送部が構成されている。
【0160】
そして、前記ベルト式定着装置25では、図3に示すように、表面にカラートナー画像が転写・定着された電子写真用転写シートが、加熱ロール71と当該加熱ロール71に無端ベルト73を介して圧接する加圧ロール72との圧接部(ニップ部)に、カラートナー画像が加熱ロール71側に位置するようにして導入され、上記加熱ロール71と加圧ロール72との圧接部を通過する間に、カラートナー画像Tが電子写真用転写シート上に加熱溶融されて定着される。
【0161】
その後、前記加熱ロール71と加圧ロール72との圧接部において、例えば、トナーが実質的に120〜130℃程度の温度に加熱され、溶融されて、カラートナー画像が受像層に定着された電子写真用受像シートは、その表面の受像層が無端ベルト73の表面に密着したまま状態で、当該無端ベルト73と共に搬送される。その間、上記無端ベルト73は、冷却用のヒートシンク77によって強制的に冷却され、カラートナー画像及び受像層が冷却して固化した後、剥離ロール74によって電子写真用受像シート自身の腰(剛性)によって剥離される。
【0162】
なお、剥離工程が終了した後の無端ベルト73の表面は、クリーナ(図示せず)によって残留トナー等が除去され、次の定着工程に備えるようになっている。
【0163】
本発明の電子写真用受像シートに画像を形成する方法は、定着ベルトを使用した電子写真方法であれば、上記方法に制限されるものではない。通常の電子写真法であれば、いずれも適用することができる。
例えば、本発明の電子写真用受像シートには、カラー画像を好ましく形成することができる。カラー画像の形成は、フルカラー画像を形成し得る電子写真装置を用いて行うことができる。通常の電子写真装置は、受像シート搬送部と、潜像形成部と、潜像形成部に近接して配設されている現像部とがあり、機種によっては、装置本体の中央に潜像形成部と受像シート搬送部に近接してトナー像中間転写部を有している。
【0164】
更に、画質の向上を図るための方法として、静電転写或いはバイアスローラ転写に代わって、或いは併用して、粘着転写又は熱支援型の転写方式が知られている。例えば、特開昭63−113576号公報及び特開平5−341666号公報にはその具体的な構造が記載されている。特に熱支援型転写方式の中間転写ベルトを用いた方法は、小粒径のトナーを使用する場合には好ましい。
【0165】
本発明の画像形成方法によれば、定着オイルのないオイルレス機を使用しても、電子写真用受像シート及びトナーの剥離性、或いは電子写真用受像シート及びトナー成分のオフセットを防止でき、安定した給紙を実現できると共に、これまでにない良好な光沢性を有し、写真感覚に富む、良好な画像を実現できる。
【0166】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
なお、以下の実施例及び比較例において、「%」及び「部」は、それぞれ「質量%」及び「質量部」を表す。
【0167】
(実施例1〜4及び比較例1〜7)
−支持体の作製−
LBKP(広葉樹の漂白パルプ)からなる木材パルプをダブルディスクリファイナーによりカナディアンフリーネス300mlまで叩解した。このパルプ材料100部に対して、カチオン性澱粉を1.0部、アルキルケテンダイマー0.5部、エポキシ化脂肪酸アミド0.5部、ポリアミンポリアミドエピクロロヒドリン0.3部、高級脂肪酸エステル0.03部、及びコロイドダルシリカ0.02部を添加し、長網抄紙機により坪量165/m2の原紙をカレンダーを用いて厚みを155〜175μm(密度1.06〜0.94g/cm3)に調整した原紙を得た。
【0168】
この原紙を毎分150m/分で走行させ、裏面にコロナ放電処理後、低密度ポリエチレン(密度0.924g/cm3 MI=3g/10min)10部、及び高密度ポリエチレン(密度0.966g/cm3 MI=11g/10min)90部からなる10μmの層と、低密度ポリエチレン(密度0.922g/cm3 MI=5g/10min)50部、及び高密度ポリエチレン(密度0.970g/cm3 MI=20g/10min)50部からなる15μmの最外層をコートハンガータイプの二層同時共押出用ダイを使用して溶融押出し、無光沢樹脂層を設けた。
【0169】
更に、前記原紙の表面にコロナ放電処理後、低密度ポリエチレン(密度0.920g/cm3 MI=5g/10min)37.6部にTiO260部及びステアリン酸亜鉛2.4部を練りこんだマスターバッチ10部と、青み顔料を練りこんだマスターバッチ4部と、低密度ポリエチレン(密度0.918g/cm3MI=8g/10min)86部とからなる14μmの層と、低密度ポリエチレン(密度0.920g/cm3 MI=5g/10min)37.6部にTiO260部及びステアリン酸亜鉛2.4部を練りこんだマスターバッチ33部と、蛍光増白剤を練りこんだマスターバッチ5部と、青み顔料を練りこんだマスターバッチ4部とからなる16μmの最外層をコートハンガータイプの二層同時共押出用ダイを使用して溶融押出し、光沢樹脂層を設けた。
以上のようにして、原紙の表面及び裏面に、それぞれ光沢樹脂層、無光沢樹脂層を有する支持体を得た。
【0170】
−バック層の形成−
表1に示した各単量体1〜4を重合してなるスチレン/アクリル酸エステル共重合体の水系分散体14部、ポリスチレンスルホン酸のナトリウム塩(ケミスタットSA9、三洋化成株式会社製)からなる水溶性高分子化合物を4部、コロイド状シリカを6部、及びメタノール20部とを混合し、水を加えて全量を100部とした水性の塗布液を前記支持体の裏面(無光沢樹脂層)上に、乾燥後の塗布厚みが0.25μmとなるようにワイヤーコータ−にて塗布し、バック層を形成した。
【0171】
【表1】バック層組成
*バインダー
乳化剤▲1▼:反応性乳化剤、アデカリアソープSE−10N(旭電化工業株式会社製)
乳化剤▲2▼:非反応性乳化剤、アルキルベンゼンスルホン酸アンモニウム塩(日本乳化剤(株)製、ニューコール210)
単量体1:芳香族エチレン性不飽和単量体
単量体2:共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体
単量体3:エチレン性不飽和カルボン酸単量体
単量体4:エポキシ基含有エチレン性不飽和単量体
*帯電防止剤
▲1▼:日本油脂社製、ラピゾールA−90、分子量=445.58
▲2▼:三洋化成株式会社製、ケミスタットSA−9、スルホン酸基含有水溶性高分子化合物のナトリウム塩、分子量=数万
*コロイダルシリカ
スノーテックス−O(日産化学工業社製)
【0172】
−中間層の形成−
前記支持体の表面側に、下記の中間層組成物を、乾燥後の塗布厚みが5μmとなるようにワイヤーコーターにて塗布乾燥した。
−−中間層組成物−−
・水分散アクリル樹脂・・・・・・・・・・・・・100部
(星光化学工業(株)製、ハイロースHE−1335(固形分45%))
・界面活性剤・・・・・・・・・・・・・・・・・2部
(日本油脂(株)製、ラピゾールB−90(固形分10%))
・イオン交換水・・・・・・・・・・・・・・・・30部
【0173】
−トナー受像層の形成−
前記中間層上に、下記のトナー受像層用組成物を、乾燥後の厚みが7μmとなるようにワイヤーコーターにて塗布し100℃で5分間乾燥させて電子写真用受像シートを作製した。
−−トナー受像層用組成物−−
・水分散ポリエステル樹脂(表2参照)・・・・・・・・・・100部
・離型剤・・・・・・・・・5部
(カルナバワックス、中京油脂(株)製、セロゾール524)
・白色顔料(TiO2)水分散液・・・・7.5部
〔TiO2(タイぺークR780−2(石原産業製))及び高分子分散剤による水分散液〕
・界面活性剤・・・8部
(日本油脂(株)製、ラピゾールD−337(固形分10%))
・帯電防止剤(表2に示す化合物及び量)
【0174】
【表2】トナー受像層組成
*バインダー(自己分散型水系ポリエステル樹脂エマルジョン)
▲1▼:ユニチカ社製、エリーテルKZA−1449
▲2▼:ユニチカ社製、エリーテルKZAテストサンプル1
▲3▼:ユニチカ社製、エリーテルKZAテストサンプル2
*帯電防止剤
▲1▼:日本油脂社製、ラピゾールA−90、分子量=445.58
▲2▼:三洋化成株式会社製、ケミスタットSA−9、ポリスチレンスルホン酸のナトリウム塩、分子量=数万
【0175】
得られた実施例1〜4及び比較例1〜7の各電子写真用受像シートについて、下記方法により、諸特性の評価を行った。結果を表3,4に示す。
【0176】
<画質(光沢性)>
図2に示した富士ゼロックス製フルカラーレーザープリンター(DCC−500)の定着部を、図3に示したベルト状定着部に改造した画像形成装置(ベルト及び冷却条件は下記のとおりである)を用い、B/W条件で濃度を6段階(0、20、40、60、80、100%)に10cm四方で絵だしした。この6段階部分を、JIS Z 8741に準拠して、デジタル変角光沢度計(スガ試験機製、UGV−5D)を用いて、20度測定で測定し、その最小値を記録した。光沢度は75以上が好ましい。
−ベルト−
ベルトの支持体:ポリイミド(PI)フイルム、幅=50cm、厚み=80μm
ベルトの離型層素材:フルオロカーボンシロキサンゴム前駆体であるSIFEL610を加硫硬化してフルオロカーボンシロキサンゴム50μmの膜厚に形成した。
−冷却条件−
冷却器:ヒートシンク長=80mm
速度:53mm/sec
【0177】
<折り曲げクラック性>
−受像面−
画像形成装置(同上)を用いて、各電子写真用受像シートに黒色の最高濃度で均一10cm四方の画像を絵だしした後、10℃で30%RH環境に1日間放置した。その後、1、2、3、4、5cmφの丸棒を用意し、画像面が外側になるように大径の棒から順次小径の丸棒に巻き付け、ヒビが発生しなかった最小径を記録した。3cmφ以下が実用上許容されるレベルである。
−バック面−
各電子写真用受像シートのバック面が外側になるように角度90度で折り曲げ、その個所のバック層のヒビ割れ、層の脱落の状態を目視により下記基準で評価した。
〔評価基準〕
◎:ヒビ割れ、脱落ともに無し
○:ヒビ割れが僅かに認められるが問題のないレベル
×:ヒビ割れが連続して発生するか、又は層の脱落が認められる。
【0178】
<トナー転写性>
画像形成装置(同上)を用いて、各電子写真用受像シートをカラートナー4色につき、各最高濃度で均一10cm四方のベタ画像を転写した場合の、色の均一性、ムラ、及びヌケについて下記基準で目視観察した。
〔評価基準〕
○:転写欠陥なし
△:転写欠陥有るも問題ないレベルである
×:転写欠陥あり、不合格である
【0179】
<走行性>
画像形成装置(同上)で連続100枚給紙した時の給紙不良、ジャミング、及び集積不良のいずれかが生じた合計枚数をカウントした。
<耐接着性>
得られた各電子写真用受像シートを40℃、80%RHで24時間調整した後、受像面を対向させて重ね合せ、3.5cm四方×500gの荷重を加え、同一環境下で7日間設置した後、サンプルを引き離す際の状態を下記基準により評価した。
〔評価基準〕
1:剥離音、接着跡ともになし。
2:軽微な剥離音又は接着跡がある。
3:接着跡が1/4未満である。
4:1/4〜1/2未満が接着している。
5:1/2以上が接着している。
【0180】
<インク着肉性>
ドットインパクトプリンターを用いて、各電子写真用受像シートのバック面に印字し、これを水中に1分間浸漬した後、取り出して、印字の消失状態を下記基準で評価した。
〔評価基準〕
○:ほとんど変化なし
△:うすくなるも、判読可能
×:消失して判読不可能
<表面電気抵抗(SR)の測定方法>
各電子写真用受像シートのトナー受像層及びバック層における表面電気抵抗(SR)を、10℃で15%RHの条件と28℃で85%RHの条件でそれぞれ電気抵抗計(TR−8601、アドバンテスト(株)製)を用いて測定した。
【0181】
【表3】
【0182】
【表4】
【0183】
表3及び表4の結果から、実施例1〜4は、基体の両面に熱可塑性樹脂層を設けた支持体を用い、かつトナー受像層及びバック層におけるバインダーが、ガラス転移温度(Tg)が20〜80℃であるソープフリー型水分散性ポリマーであり、かつ前記トナー受像層及びバック層の少なくともいずれかが高分子系帯電防止剤を含有することによって、良好な光沢性を有し、写真感覚に富む、良好な画像が得られると共に、帯電防止が図れ、走行性及び耐ブロッキング性が向上することが認められる。
なお、比較例4は、バック層に非反応性乳化剤を含む水分散性ポリマーを使用しており、この乳化剤は反応性がなく、そのまま乳化剤として最後までバック層中に残存するので、バインダーとしてソープフリー型水分散性ポリマーを用いたものではなく、このため、耐接着性及びインク着肉性が劣るものである。
【0184】
【発明の効果】
本発明によると、良好な光沢性を有し、写真感覚に富む、良好な画像が得られると共に、帯電防止が図れ、走行性及び耐ブロッキング性が向上した電子写真用受像シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の冷却剥離式のベルト定着型平滑化処理機の一例を示す概略図である。
【図2】図2は、実施例で用いた電子写真装置の一例を示す概略図である。
【図3】図3は、実施例で用いた冷却剥離式のベルト定着型平滑化処理機の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 処理部
2 ベルト
3 加熱ローラ
4 加圧ローラ
5 テンションローラ
6 クリーニングローラ
7 冷却装置
8 搬送ローラ
10 電子写真用受像シート
25 ベルト式定着装置
71 加熱ロール
72 加圧ロール
74 剥離ロール
75 テンションロール
73 無端ベルト
77 冷却ヒートシンク
100 画像形成装置
Claims (13)
- 支持体と、該支持体の一方の面に少なくとも一層のトナー受像層を設け、かつ該支持体の他方の面に少なくとも一層のバック層を設けてなる電子写真用受像シートにおいて、
前記支持体が、基体の片面又は両面に熱可塑性樹脂層を設けた支持体であると共に、前記トナー受像層側の最表面層及びバック層側の最表面層におけるバインダーが、ガラス転移温度(Tg)が20〜80℃であるソープフリー型水分散性ポリマーであり、かつ前記トナー受像層及びバック層の少なくともいずれかが高分子系帯電防止剤を含有することを特徴とする電子写真用受像シート。 - 支持体が、原紙の両面にポリオレフィン樹脂層を設けた支持体である請求項1に記載の電子写真用受像シート。
- ソープフリー型水分散性ポリマーが、芳香族系ポリエステル樹脂及びアクリル共重合樹脂のいずれかである請求項1又は2に記載の電子写真用受像シート。
- 芳香族系ポリエステル樹脂が、下記(1)〜(4)の特性を満たす自己分散型水系ポリエステル樹脂エマルジョンである請求項1から3のいずれかに記載の電子写真用受像シート。
(1)ガラス転移温度(Tg)=20〜80℃
(2)数平均分子量(Mn)=5000〜10000
(3)分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)≦4
(4)体積平均粒子径=20〜200nmφ - アクリル共重合樹脂が、下記(1)から(4)から選ばれる2種以上の単量体を水性溶媒中、反応性乳化剤の存在下で乳化重合してなり、かつ下記(5)及び(6)の特性を有する請求項1から3のいずれかに記載の電子写真用受像シート。
(1)芳香族エチレン性不飽和単量体
(2)エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体
(3)エチレン性不飽和カルボン酸単量体
(4)前記(1)から(3)のいずれかの単量体と共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体
(5)ガラス転移温度(Tg)=20〜80℃
(6)体積平均粒子径=20〜200nmφ - 高分子系帯電防止剤が、カルボキシル基又はスルホン基を有する水溶性高分子化合物、及びその金属塩、並びに、カルボキシル基、スルホン基、リン酸基、アミン基、アミド基及び水酸基の少なくともいずれかを有する親水性有機高分子水分散物から選ばれる請求項1から5のいずれかに記載の電子写真用受像シート。
- 親水性有機高分子水分散物が、親水性ブロック及び疎水性ブロックを有するブロック共重合体の乳化物である請求項6に記載の電子写真用受像シート。
- バック層が、更にコロイド状シリカを含有する請求項1から7のいずれかに記載の電子写真用受像シート。
- トナー受像層及びバック層における表面電気抵抗(SR)が、10℃で15%RHの条件及び28℃で85%RHの条件のいずれにおいても1.0×109Ω/cm2〜5.0×1013Ω/cm2である請求項1から8のいずれかに記載の電子写真用受像シート。
- 請求項1から9のいずれかに記載の電子写真用受像シートを、冷却装置と、冷却剥離部とを有する冷却剥離式のベルト定着型平滑化処理機を有する画像形成装置を用いて画像形成することを特徴とする画像形成方法。
- 前記定着ベルトの表面に均一な厚さのフルオロカーボンシロキサンゴム製の層を設けてなる請求項10に記載の画像形成方法。
- 前記定着ベルトの表面に均一な厚さのシリコーンゴム製の層を有し、かつ該シリコーンゴム層の表面にフルオロカーボンシロキサンゴム製の層を設けてなる請求項10に記載の画像形成方法。
- 前記フルオロカーボンシロキサンゴムが、主鎖にパーフルオロアルキルエーテル基及び/又はパーフルオロアルキル基を有する請求項11又は12に記載の画像形成方法。
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