JP4261427B2 - 樹脂製部品の締結部構造 - Google Patents

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Description

本発明は樹脂製部品の締結部構造に係り、特に、被締結部材が押圧される締結受け部を有するインサート部材およびナットをインサート成形により樹脂製部品に一体的に埋設する技術に関するものである。
(a) ボルト挿通穴が設けられた締結受け部が樹脂製部品の表面に露出させられ且つ一部がその樹脂製部品に埋設されるように、インサート成形によりその樹脂製部品に一体的に設けられるインサート部材と、(b) 前記締結受け部の裏側であって前記ボルト挿通穴に対応する部分に配設され、前記インサート部材と共にインサート成形により前記樹脂製部品に埋設されるナットと、を有し、(c) 締付ボルトが前記ナットに螺合されることにより、所定の被締結部材がその締付ボルトにより前記締結受け部との間で挟圧されて一体的に固定される樹脂製部品の締結部構造が知られている。特許文献1に記載の電気装置の樹脂製ケースはその一例で、図6に示すように、樹脂製ケース10の側壁10aに設けられた締結部12には、導電性部材14の接続端子16が表面と平行となる姿勢で側壁10aの外部に露出させられているとともに、その接続端子16には蓋部24を有する袋付きナット22が圧入突部26を介して一体的に固定されて側壁10a内に埋設されており、その袋付きナット22に締付ボルト20が螺合されることにより、外部電極18が接続端子16との間で挟圧されて電気的に接続されるようになっている。導電性部材14はインサート部材に相当するとともに、接続端子16は締結受け部に相当し、外部電極18は被締結部材に相当する。また、特許文献2には、袋付きナットの代わりに樹脂製のナットカバーを用いてナットを位置決めしたり、ナットのねじ穴内への合成樹脂材料の侵入を防止したりする技術が記載されている。
特開2004−106468号公報 特開平9−69603号公報
しかしながら、このような従来の締結部構造においては、ナットに抜き方向の力が作用した場合に、インサート部材の締結受け部がナットと共に樹脂製部品から剥離して離脱する可能性があった。すなわち、前記図6において袋付きナット22や接続端子16は単に側壁10aの合成樹脂の接着作用で固着されているだけであるため、例えば外部電極18に矢印Aで示すように右方向の力が加えられると、それ等の袋付きナット22および接続端子16と側壁10aとの接着が剥がれて、接続端子16が右方向へ曲げ変形する可能性があった。
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、インサート成形により樹脂製部品に一体的に固設されるインサート部材やナットが、ナットの軸方向に外力が作用して樹脂製部品から離脱することを防止することにある。
かかる目的を達成するために、第1発明は、(a) ボルト挿通穴が設けられた締結受け部が樹脂製部品の表面に露出させられ且つ一部がその樹脂製部品に埋設されるように、インサート成形によりその樹脂製部品に一体的に設けられるインサート部材と、(b) 前記締結受け部の裏側であって前記ボルト挿通穴に対応する部分に配設され、前記インサート部材と共にインサート成形により前記樹脂製部品に埋設されるナットと、を有し、(c) 締付ボルトが前記ナットに螺合されることにより、所定の被締結部材がその締付ボルトにより前記締結受け部との間で挟圧されて一体的に固定される樹脂製部品の締結部構造において、(d) 前記ナットの外周面には、軸心と平行な断面において径寸法が変化している抜止め用係合部が設けられ、前記樹脂製部品との噛合いによってそのナットが軸方向へ抜け出すことが防止される一方、(e) そのナットは、ねじ穴が軸方向に貫通して設けられているもので、(f) そのナットの前記締結受け部と反対側の端部には樹脂製キャップが装着され、前記樹脂製部品を構成する合成樹脂材料が前記ねじ穴内へ侵入することを防止しているとともに、(g) その樹脂製キャップには、前記ナットに対する装着方向と反対方向へ突き出し、前記インサート成形の際に成形金型に当接させられるとともに所定量だけ変形させられることにより、その樹脂製キャップと共に前記ナットをその成形金型の所定位置に押圧して位置決めする係合突起が設けられていることを特徴とする。
第2発明は、第1発明の樹脂製部品の締結部構造において、(a) 前記樹脂製キャップは、前記ナットに装着される際にそのナットの端面に当接させられる着座部を備えており、(b) 前記係合突起は、前記樹脂製キャップの中心線Oを中心とする一円周上であって前記着座部と一致する部分に複数設けられていることを特徴とする。
第3発明は、第1発明または第2発明の樹脂製部品の締結部構造において、前記ナットと前記インサート部材は分離しており、前記インサート成形の際に前記係合突起が成形金型に当接させられるとともに所定量だけ変形させられることにより、そのナットがそのインサート部材の締結受け部に押圧され、前記合成樹脂材料がそれ等のナットと締結受け部との間から前記ねじ穴内に侵入することが防止されることを特徴とする。
このような樹脂製部品の締結部構造においては、ナットの外周面に抜止め用係合部が設けられ、樹脂製部品との噛合いによってナットが軸方向へ抜け出すことが防止されるため、締付ボルトによって締結受け部に固定される被締結部材にナットの抜き方向の外力が加えられても、そのナットや締結受け部が樹脂製部品から剥離して変形したり離脱したりする恐れがない。
また、ナットに樹脂製キャップが装着され、合成樹脂材料がねじ穴内へ侵入することが防止されるとともに、その樹脂製キャップには係合突起が設けられ、インサート成形の際に成形金型に当接させられるとともに所定量だけ変形させられることにより、樹脂製キャップと共にナットを成形金型の所定位置に押圧して位置決めするため、ナットを高い位置精度で樹脂製部品に埋設することができる。特に、係合突起が所定量だけ変形させられるようになっているため、寸法誤差などで成形金型との間に隙間が生じて位置決め不能となったり、逆に過大な当接荷重によって樹脂製キャップが破損したりすることを回避しつつ、確実に成形金型に当接してナットを位置決めすることができる。更に、ナットとインサート部材とが分離している場合でも、係合突起と成形金型との当接でナットがインサート部材の締結受け部に押圧されることにより、それ等の間から合成樹脂材料がねじ穴内に侵入することが良好に防止される。また、樹脂製部品と同一若しくは同じ系統の樹脂材料から成る樹脂製キャップを採用すれば、樹脂製部品と一体化して高い固着強度が得られるとともに、長期の使用においても膨張係数の相違などで剥離したりクラックが発生したりすることが防止され、優れた耐久性が得られる。
本発明は、例えばDC−DCコンバータ、インバータ等の電力を変換する装置など、電圧若しくは電流値が比較的高く、特に電力を供給する電気装置のケース(樹脂製部品)に設けられた接続端子に対して、外部電源などに接続された外部電極を接続する締結部構造に好適に適用されるが、比較的微弱な電気信号などを送受信するだけでも良いし、通電以外の締結部構造にも適用され得る。
樹脂製部品は、電気伝導度が低い絶縁性の合成樹脂材料、例えばPPS(ポリフェニレンサルファンド)やPPSアロイなどが好適に用いられ、射出成形によって成形することが望ましく、ガラス繊維などの強化材料を混ぜた複合強化樹脂が好適に用いられるが、他の合成樹脂材料を採用することもできる。締結受け部を有するインサート部材については、例えば電気伝導度が高い金属材料が用いられる。
ナットの外周形状は、樹脂製部品との係合によって回止め作用が得られる六角形や四角形等の角形状が望ましいが、楕円形状等の他の異形断面としても良いし、真円形状の外周面にセレーションや噛合い歯等の凹凸を設けて回止めすることもできる。樹脂製キャップもナットと同様に角形状や楕円形状としたり、セレーション等の凹凸を設けたりして回止めすることが望ましい。
ナットの外周面に設けられる抜止め用係合部は、例えばナットの全周に設けられる環状溝や周方向の一部に設けられる凹所等の抜止め用凹部が適当で、インサート成形の際に樹脂製部品を構成する合成樹脂材料がその抜止め用凹部内に侵入して固化することにより、軸方向において樹脂製部品と噛み合わされるが、外周側へ突き出すフランジ状や放射状の抜止め用凸部を採用することもできる。周方向の一部に抜止め用係合部を設けた場合には、回止め作用も得られる。
上記ナットの締結受け部側に、前記ボルト挿通穴内に圧入固定される圧入突部を設けることにより、インサート成形時におけるナットと締結受け部との位置ずれを防止するとともに、それ等のナットと締結受け部との間から合成樹脂材料が侵入することを防止することができる。
脂製キャップには、成形金型に当接して変形させられる係合突起が設けられているが、この係合突起の突出寸法は、例えば各部の寸法誤差に拘らず確実に成形金型に当接させられる必要最小限の寸法が望ましい。また、成形金型に当接した時に係合突起のみが変形するように、この係合突起は、例えばナットの端面に密着する着座部など、十分な強度が得られる部分に立設される。
上記樹脂製キャップは、自身の弾性でナットに嵌合固定されるように構成することが望ましく、例えばナットの外周側に嵌合される側壁部に開口側から軸心と平行にスリットを設けて、その開口側を外側へ弾性変形可能とすることが望ましい。ナットが角形状の場合には、その外側に嵌合されるようにナットと相似の角筒形状の側壁部を設けるとともに、その側壁部の角部などにスリットを設けて弾性変形可能とすれば良い。
上記樹脂製キャップの側壁部は、ナットの外周面を軸方向に完全に覆蓋するものではなく、少なくとも前記抜止め用係合部が露出して樹脂製部品と噛み合うことを許容するように構成される。例えば、樹脂製キャップはナットの軸方向の中間位置まで覆蓋するように構成され、その樹脂製キャップよりも先に突き出している部分に前記抜止め用係合部が設けられる。
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、前記図6の樹脂製ケース10の締結部構造に本発明が適用された場合の一例を示す図で、樹脂製ケース10は、自動車に搭載されるDC−DCコンバータ、インバータ等の電力変換装置のケースであり、電気伝導度が低い絶縁性の合成樹脂材料、具体的にはPPS(ポリフェニレンサルファンド)にガラス繊維が混ぜられたPPS繊維強化樹脂にて構成されている。締結部28は、前記締結部12と同様に外部電源(バッテリなど)に接続された外部電極18を締付ボルト20により接続端子16に締結して電気的に接続するためのもので、接続端子16および外部電極18は、それぞれ締結中心線Sに対して直角な平坦な板形状を成しているとともに、締付ボルト20が挿通させられるボルト挿通穴16h、18hがそれぞれ設けられている。なお、図1の(a) は、外部電極18が接続された状態で、図1の(b) は外部電極18を接続する前の状態である。
上記導電性部材14は、接続端子16が樹脂製ケース10の側壁10aの外側表面に露出させられ且つ一部が樹脂製ケース10に埋設されるように、インサート成形により樹脂製ケース10の成形と同時にその樹脂製ケース10に一体的に固定されている。また、接続端子16の裏側であってボルト挿通穴16hに対応する部分にはナット30が配設され、上記導電性部材14と共にインサート成形されて樹脂製ケース10の側壁10a内に一体的に埋設されている。ナット30は、外周形状が六角形状を成しているとともに、ねじ穴32が軸方向に貫通して設けられているもので、一方の開口部には円筒形状の圧入突部34が一体に突設されており、図2の(a) に示すように、インサート成形に先立ってその圧入突部34がボルト挿通穴16hの内周面に密着するように圧入されて、接続端子16に一体的に固定される。これにより、インサート成形時におけるナット30と接続端子16との位置ずれが防止されるとともに、それ等のナット30と接続端子16との間からねじ穴32内に合成樹脂材料が侵入することが防止される。
また、ナット30の圧入突部34側の端部には、六角形の外周部が円筒形状に除去された形状の小径部が設けられ、接続端子16との間に環状溝36が形成されるようになっており、図2の(c) に示すようにインサート成形により樹脂製ケース10を成形する際に、その合成樹脂材料が環状溝36内に侵入して固化することにより、内向の環状突起38が一体に設けられて環状溝36と噛み合わされるようになっている。ナット30のうち環状溝36を形成する小径部は、抜止め用係合部に相当する。
上記ナット30の圧入突部34と反対側の端部には、図2の(b) に示すように、インサート成形に先立って樹脂製キャップ40が装着され、ナット30に対して相対回転不能に嵌合されるとともにねじ穴32を塞ぐようになっている。この樹脂製キャップ40は、前記樹脂製ケース10と同じPPS繊維強化樹脂にて構成されているとともに、図3に示すように、半球(ドーム)形状の蓋部42と、その蓋部42の開口側に連続して設けられた側壁部44と、中心線Oと平行に蓋部42に立設された複数(実施例では3本)の係合突起46とを一体に備えている。中心線Oは、樹脂製キャップ40がナット30と共に締結部28に一体的に埋設された状態において前記締結中心線Sと略一致する。
図3の(a) はキャップの上側から見た平面図で、(b) は側面図、(c) は底面図、(d) は(a) におけるD−D断面図、(e) は(d) におけるE部の拡大図であり、側壁部44は、六角形状のナット30の外周側に嵌合されるように、全体としてナット30と相似の六角筒形状を成しているとともに、六角形の角部には、それぞれ開口側(図3(d) における下側)から中心線Oと平行にスリット48が設けられて6分割されている。これにより、それ等の側壁部44は、その開口側を外側へ弾性変形させることが可能で、開口側からナット30に押圧されることにより、自身の弾性で僅かに拡開してナット30に対して相対回転不能に一体的に嵌合固定される。6分割された側壁部44の先端の内側には、それぞれ比較的大きなR面取りが施されており、ナット30との係合により外側へ拡開して容易に嵌合できるようになっている。なお、ナット30に嵌合された状態においては、各側壁部44はそれぞれ弾性的にナット30の外周面(平坦面)に略密着させられる。
上記樹脂製キャップ40の蓋部42と側壁部44との接続部分には着座部50が設けられ、その着座部50の内面がナット30の端面に当接させられることにより、樹脂製キャップ40の装着状態(嵌合深さ)が規定される。図2の(b) は、このように着座部50がナット30に当接するように樹脂製キャップ40が装着された状態で、ナット30のねじ穴32の開口が着座部50および蓋部42によって完全に塞がれ、図2の(c) に示すようにインサート成形により樹脂製ケース10を成形する際に、その合成樹脂材料が樹脂製キャップ40内に侵入することが防止される。また、上記装着状態において、側壁部44はナット30の小径部(環状溝36)を残して覆蓋するように、その長さ寸法が定められており、環状溝36内に合成樹脂材料が侵入して前記環状突起38が形成されることが許容される。
また、予め導電性部材14の接続端子16に圧入固定されたナット30に対して樹脂製キャップ40が一体的に嵌合固定されることにより、大きな外力が加えられない限りそれ等が一体化された状態に維持されるため、その後の取り扱いが容易になり、例えば樹脂製ケース10をインサート成形する成形金型内の所定位置へ配置する際の作業性が向上する。また、樹脂製キャップ40の側壁部44は全体として六角筒形状を成しているとともに、その角部に設けられたスリット48の存在により、樹脂製ケース10に対して締結中心線Sまわりの相対回転不能に係合させられる一方、ナット30はその六角筒形状の側壁部44に相対回転不能に嵌合されているため、そのナット30に前記締付ボルト20を確実に締め付けて外部電極18を締結部28に固定することができる。
一方、前記3本の係合突起46は、中心線Oを中心とする一円周上であって前記着座部50と一致する部分に、等角度間隔(120°間隔)で、側壁部44と反対方向へ突き出すように中心線Oと平行に立設されている。この係合突起46の突出寸法は何れも同じで、図2の(c) に示すように、左右方向から一対の成形金型を相対的に接近させて型閉めし、樹脂製ケース10をインサート成形する際に、その先端部が確実に左側の成形金型の成形面に当接させられるように、各部の寸法誤差を考慮して成形金型に当接可能な必要最小限の寸法とされ、通常は成形金型に当接して所定量だけ変形させられる。
インサート成形の際に係合突起46が成形金型に当接させられることにより、樹脂製キャップ40と共にナット30や、そのナット30が圧入固定された導電性部材14が、成形金型の所定位置に押圧されて位置決めされ、それ等のナット30、導電性部材14が高い位置精度で樹脂製ケース10に一体的に固設される。特に、係合突起46は中心線Oまわりに3本設けられているため、樹脂製キャップ40等の位置決め姿勢が安定し、一層高い位置精度が得られるとともに、樹脂製キャップ40の着座部50によってねじ穴32が確実に閉塞され、インサート成形時の合成樹脂材料の侵入が良好に防止される。また、係合突起46は着座部50に立設されているため、成形金型との当接で押圧されても、その押圧荷重は着座部50からナット30、接続端子16、更に反対側の成形金型に伝達されて受け止められ、係合突起46のみが弾性変形或いは塑性変形(先端の潰れなど)させられるだけで、樹脂製キャップ40の蓋部42等が破損する恐れはない。
このような本実施例の樹脂製ケース10の締結部28においては、ナット30の外周面に抜止め用係合部として小径部(環状溝36)が設けられ、その環状溝36内に合成樹脂材料が侵入して側壁10aに一体に形成される環状突起38と噛み合わされるため、ナット30が側壁10aに対して軸方向すなわち締結中心線Sと平行な方向へ相対移動する恐れがない。これにより、例えば外部電極18に矢印A(図1(a) 参照)で示す右方向の力が加えられても、ナット30や接続端子16が側壁10aから剥離して離脱したり接続端子16が変形したりすることが防止される。
また、ナット30に樹脂製キャップ40が装着され、合成樹脂材料がねじ穴32内へ侵入することが防止されるとともに、その樹脂製キャップ40には係合突起46が設けられ、インサート成形の際に成形金型に当接させられることにより、樹脂製キャップ40と共にナット30や接続端子16を成形金型の所定位置に押圧して位置決めするため、それ等のナット30や接続端子16を高い位置精度で側壁10aの所定位置に固設することができる。
また、上記係合突起46は、各部の寸法誤差に拘らず確実に成形金型に当接させられるように長さ寸法が定められ、通常はその当接で所定量だけ変形させられるようになっているため、寸法誤差などで成形金型との間に隙間が生じて位置決め不能となったり、逆に過大な当接荷重によって樹脂製キャップ40が破損したりすることを回避しつつ、確実に成形金型に当接してナット30等を位置決めすることができる。
また、樹脂製キャップ40は樹脂製ケース10と同じ合成樹脂材料にて構成されているため、樹脂製ケース10のインサート成形時に樹脂製キャップ40の表面が軟化乃至は溶融することにより、樹脂製ケース10と一体化して高い固着強度が得られるとともに、長期の使用においても膨張係数の相違などで剥離したりクラックが発生したりすることが防止され、優れた耐久性が得られる。
次に、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の実施例において前記実施例と実質的に共通する部分には同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
図4の締結部60は、前記実施例に比較してナット62が圧入突部を備えていない点が相違する。したがって、樹脂製ケース10をインサート成形する前にはナット62が接続端子16に固定されておらず、インサート成形時にナット62を接続端子16に位置決めする必要があるが、そのナット62に予め装着された樹脂製キャップ40の係合突起46が成形金型に当接させられることにより、樹脂製キャップ40を介してナット30が接続端子16に押圧され、ボルト挿通穴16hと略同心に高い精度で位置決めされる。また、ナット30と接続端子16とが分離しているため、それ等の隙間から合成樹脂材料がねじ穴32内に侵入する可能性があるが、係合突起46と成形金型との当接によりナット30が接続端子16に押圧されるため、そのような合成樹脂材料の侵入も良好に防止される。
図5の締結部70は、前記実施例に比較して樹脂製キャップ72が相違する。すなわち、この実施例では、蓋部42の中心に単一の係合突起74が設けられて、成形金型に当接させられるとともに、各部の寸法のばらつきに応じて先端が所定量だけ潰されるようになっている。この場合も、インサート成形の際に係合突起74が成形金型に当接させられることにより、樹脂製キャップ72と共にナット30や接続端子16を成形金型の所定位置に押圧して位置決めするため、それ等のナット30や接続端子16を高い位置精度で側壁10aの所定位置に固設することができる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これ等はあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実施することができる。
本発明の一実施例である締結部構造を示す断面図で、(a) は被締結部材が締結受け部に固定された状態、(b) は固定される前の状態である。 図1の締結部の製造工程を説明する図である。 図1の実施例においてナットに装着される樹脂製キャップの形状を具体的に示す図である。 本発明の別の実施例を示す図で、図1の(a) に相当する断面図である。 本発明の更に別の実施例を示す図で、図1の(a) に相当する断面図である。 従来の締結部構造の一例を説明する図で、図1の(a) に相当する断面図である。
符号の説明
10:樹脂製ケース(樹脂製部品) 14:導電性部材(インサート部材) 16:接続端子(締結受け部) 18:外部電極(被締結部材) 20:締付ボルト 28、60、70:締結部 30、62:ナット 32:ねじ穴 36:環状溝(抜止め用係合部) 40、72:樹脂製キャップ 46、74:係合突起 50:着座部 O:樹脂製キャップの中心線

Claims (3)

  1. ボルト挿通穴が設けられた締結受け部が樹脂製部品の表面に露出させられ且つ一部が該樹脂製部品に埋設されるように、インサート成形により該樹脂製部品に一体的に設けられるインサート部材と、
    前記締結受け部の裏側であって前記ボルト挿通穴に対応する部分に配設され、前記インサート部材と共にインサート成形により前記樹脂製部品に埋設されるナットと、
    を有し、締付ボルトが前記ナットに螺合されることにより、所定の被締結部材が該締付ボルトにより前記締結受け部との間で挟圧されて一体的に固定される樹脂製部品の締結部構造において、
    前記ナットの外周面には、軸心と平行な断面において径寸法が変化している抜止め用係合部が設けられ、前記樹脂製部品との噛合いによって該ナットが軸方向へ抜け出すことが防止される一方、
    該ナットは、ねじ穴が軸方向に貫通して設けられているもので、
    該ナットの前記締結受け部と反対側の端部には樹脂製キャップが装着され、前記樹脂製部品を構成する合成樹脂材料が前記ねじ穴内へ侵入することを防止しているとともに、
    該樹脂製キャップには、前記ナットに対する装着方向と反対方向へ突き出し、前記インサート成形の際に成形金型に当接させられるとともに所定量だけ変形させられることにより、該樹脂製キャップと共に前記ナットを該成形金型の所定位置に押圧して位置決めする係合突起が設けられている
    ことを特徴とする樹脂製部品の締結部構造。
  2. 前記樹脂製キャップは、前記ナットに装着される際に該ナットの端面に当接させられる着座部を備えており、
    前記係合突起は、前記樹脂製キャップの中心線Oを中心とする一円周上であって前記着座部と一致する部分に複数設けられている
    ことを特徴とする請求項1に記載の樹脂製部品の締結部構造。
  3. 前記ナットと前記インサート部材は分離しており、前記インサート成形の際に前記係合突起が成形金型に当接させられるとともに所定量だけ変形させられることにより、該ナットが該インサート部材の締結受け部に押圧され、前記合成樹脂材料が該ナットと該締結受け部との間から前記ねじ穴内に侵入することが防止される
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂製部品の締結部構造。
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