JP4257848B2 - 金型及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は金型に関し、特に、表面の少なくとも一部にダイヤモンドライクカーボン被膜が形成された金型及びその製造方法に関するものである。
近年、樹脂成形品の強度、摩耗性等を上げるために、樹脂にガラス、カーボン鉱物繊維等、硬い補強剤を添加して射出成形することが行われている。従って、金型の耐摩耗寿命を向上させるために金型の材質、コーティング等による金型の表面の耐摩耗性向上が要求されるようになっている。そこで、特許文献1には、ダイヤモンドライクカーボン(以下、DLCと記すことがある)被膜が表面に形成された射出成形用の金型が開示されている。この金型においては、プラズマCVD法により高硬度のDLC被膜を金属製の金型基材のうち型表面に対応する部分に形成しているため、金型の表面の耐摩耗性を向上して耐久性を高め、金型の成形可能回数を格段に延ばすことできる。また、DLC被膜は、摩擦係数が約0.1と非常に低いため、金型から被成形品を容易に取り外すことができ、被成形品の破損を防止し、生産効率を高めることもできる。
実開昭61−148612号公報
しかし、近年、バイオ関連や光学関連などの分野において精度の高い微細な成形加工の要望が増え、それに伴って微細な成形加工が可能な金型が求められているが、特許文献1の技術では、金型基材の型表面に対応する部分にDLC被膜をプラズマCVD法により形成するだけなので、この金型により精度の高い微細な成形をすることができない。つまり、金型の型表面が平坦な部分においては膜厚が略均一なDLC被膜を形成することができるので問題ないが、被成型品の表面に凹凸を形成するためには、所望の成形形状に合わせて金属製の金型基材に凹凸を形成した後、DLC被膜を成膜して型表面を形成しなければならないが、金属製の金型基材の表面に微細な凹凸を正確に形成することは非常に困難である。更に、この微細な凹凸部分にDLC被膜を成膜すると、金型基材に形成された凹凸の影になる部分と、それ以外の部分ではプラズマCVDにより形成されるDLC被膜の厚みが異なり、型表面に形成される微細な凹凸の精度が更に低下するため、特許文献1の金型では精度の高い極めて微細な成形をすることは到底不可能である。
本発明の目的は、精度の高い微細な成形が可能な金型及びその製造方法を提供しようとするものである。
請求項1の発明は、成形キャビティを形成する型表面の少なくとも一部にダイヤモンドライクカーボン被膜が形成された金型において、前記ダイヤモンドライクカーボン被膜に成形キャビティの一部をなす1又は複数の微細な凹部を形成したことを特徴とするものである。
この金型によれば、成形キャビティの一部をなす1又は複数の微細な凹部がDLC被膜に形成され、このDLC被膜が型表面の少なくとも一部に形成された成形キャビティの形状に合わせて被成形品が成形される。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記金型を形成する金型基材と前記ダイヤモンドライクカーボン被膜との間にクロム被膜を形成したことを特徴とするものである。この金型によれば、金型を形成する金型基材とDLC被膜との間に、DLC被膜の剥離を防止するためのクロム被膜が形成される。
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記金型は射出成形用の金型であることを特徴とするものである。この金型の成形キャビティに合成樹脂などが射出されて、被成形品が所望の成形形状に形成される。
請求項4の発明は、前記微細な凹部は集束イオンビームによりエッチングすることによって形成されることを特徴とするものである。この金型によれば、集束イオンビームによってDLC被膜がエッチングされて、成形キャビティの一部をなす1又は複数の微細な凹部が型表面に形成される。
請求項5の発明は、前記微細の凹部はプラズマによりエッチングすることによって形成されることを特徴とするものである。この金型によれば、酸素プラズマなどのプラズマによってDLC被膜がエッチングされて、成形キャビティの一部をなす1又は複数の微細な凹部が型表面に形成される。
請求項6の発明は、金型基材のうち成形キャビティを形成する型表面の少なくとも一部にDLC被膜を形成する被膜形成工程と、前記ダイヤモンドライクカーボン被膜の一部をエッチングして成形キャビティの一部をなす1又は複数の微細な凹部を形成するエッチング工程とを備えたことを特徴とするものである。
この金型の製造方法によれば、被膜形成工程において金型基材のうち成形キャビティを形成する型表面の少なくとも一部にプラズマCVDなどの化学的蒸着法やスパッタリングなどの物理的蒸着法などの種々の方法によってDLC被膜が形成され、エッチング工程において所望の成形形状に合わせてDLC被膜の一部がエッチングされ、成形キャビティの一部をなす1又は複数の微細な凹部が形成されて、金型が製造される。
請求項7の発明は、請求項6の発明において、前記エッチング工程においては、集束イオンビームによってダイヤモンドライクカーボン被膜をエッチングすることを特徴とするものである。この金型の製造方法によれば、集束イオンビームによってDLC被膜がエッチングされて、微細な凹部が形成される。
請求項8の発明は、請求項6の発明において、前記エッチング工程においては、プラズマによってダイヤモンドライクカーボン被膜をエッチングすることを特徴とするものである。この金型の製造方法によれば、酸素プラズマなどのプラズマによってDLC被膜がエッチングされて、微細な凹部が形成される。
請求項1の発明によれば、型表面の少なくとも一部にDLC被膜を形成することで金型の耐摩耗性を高めると共に、この高硬度のDLC被膜に成形キャビティの一部をなす1又は複数の微細な凹部を形成することで、この金型による微細成形の精度を高めることができる。特に、DLC被膜をエッチングなどにより一部を除去して凹部を形成する場合、DLC被膜はアモルファス構造のため、結晶構造を有する被膜とは異なって結晶方位の影響を受けることがない。
従って、特定の方向にDLC被膜が偏って除去されることを防止することができ、所望の成形形状に合わせてDLC被膜に正確に凹部を形成することができ、この金型による微細成形の精度を更に高めると共に、エッチングされたDLC被膜の表面を滑らかにすることができる。また、DLC被膜の表面を滑らかにすることで、金型から被成形品を取り外す際に、被成形品がDLC被膜により破損することがないので、被成形品の生産効率を高めることができる。
請求項2の発明によれば、金型基材とDLC被膜との間にクロム被膜を形成することでDLC被膜の剥離を防止し、一つの金型による成形可能回数を大幅に延ばすことができる。
請求項3の発明によれば、射出成形において請求項1又は2と同様の効果を奏することができる。
請求項4の発明によれば、ビーム径を数nmまで集束可能な集束イオンビームによりDLC被膜をエッチングして凹部を形成するので、更に正確に微細な凹部を形成することができ、この結果、この金型により成形される被成形品の精度を高めることができると共に、エッチングされたDLC被膜の表面を滑らかにすることができる。
請求項5の発明によれば、プラズマによりDLC被膜をエッチングするので、全てのエッチング領域を同時並行的にエッチングすることができるので、エッチング工程に要する時間を短縮することができる。
請求項6の発明によれば、型表面の少なくとも一部にDLC被膜を形成することで耐摩耗性に優れた金型を製造できると共に、この高硬度のDLC被膜の一部をエッチングにより除去して成形キャビティの一部をなす微細な凹部を形成することで、金型を所望の形状に合わせて正確に形成することができ、この金型により成形される被成形品の精度を高めることができる。特に、アモルファス構造のDLC被膜は、結晶構造を有する被膜のように結晶方位の影響を受けないため、特定の結晶方位に偏ってエッチングされることがなく、凹部を正確に形成することができる。
請求項7の発明によれば、ビーム径を数nm程度まで集束可能な集束イオンビームによってDLC被膜をエッチングするので、凹部を正確に形成して微細成形の精度を高めると共に、エッチングされたDLC被膜の表面をも更に滑らかにすることができる。
請求項8の発明によれば、プラズマによりDLC被膜をエッチングするので、全てのエッチング領域を同時並行的にエッチングすることができ、エッチング工程に要する時間を短縮することができる。
本発明は、成形キャビティを形成する型表面の少なくとも一部にDLC被膜が形成された金型において、前記DLC被膜に成形キャビティの一部をなす1又は複数の微細な凹部を形成したことを特徴とするものであり、本願の発明はその金型とその金型の製造方法を含むものである。
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。本実施例は、DNA産物のサイズ分離用のナノチャネルに設けられるナノピラーアレーを有する電気泳動チップを製造するための射出成形用の金型において、特に、ナノピラーアレーを成形する部分に本発明を適用した一例である。まず、図1を参照して、電気泳動チップ4について簡単に説明する。この電気泳動チップ4は、材質がPMMAからなり、上面部に分離チャネル5と導入チャネル6からなる十字状の流路が形成され、上面に被せられるふたガラス部材7には両チャネル5,6の端部に対応する位置に試料導入と電極挿入のための4つの貫通孔8が形成され、各貫通孔8の周囲には液だめ用ガラス8aが接着されている。尚、次に説明するナノピラーアレー1は分離チャンネル5の途中部に設けられている。
次に、図2を参照して、ナノピラーアレー1について簡単に説明する。このナノピラーアレー1は、ナノチャネルの幅約50μmの流路に設けられ、特定の電流を印加して、微量試料の流路内の電気浸透、電気泳動現象により試料内のDNA産物がナノピラー間の隙間を通過することで、DNA産物のサイズ分離を高速に行うものである。図1,図2に示すように、このナノピラーアレー1は電気泳動チップ4の分離チャネル5内に形成されており、材質はPMMA(ポリメチルメタクリレート)からなり、50μm×20mmの矩形状で厚さ約1mmの板部2に複数のナノピラー3が一体的に立設されたものである。各ナノピラー3は直径500nm、高さ1μmの円柱状に形成され、これらナノピラー3は間隔500nmで板部2の上面の全面に亙って均一にマトリックス状で配列されている。尚、PMMAは一例であり、他の合成樹脂に適宜変更可能である。
次に、ナノピラーアレー1を有する電気泳動チップ4を射出成形により成形する金型10のうちの特にナノピラーアレー1を成形する部分について説明する。金型10は、型表面17に囲繞された成形キャビティ11を形成する本体部12と成形部13とが分離可能に構成されている。本体部12はJIS規格S45C等のSC材または、SK5等のSK材または、SUS303等のSU材からなり、本体部12の下端部には成形部13を取り付けるための50mm×30mmの矩形状の取付口15が開口され、本体部12の上面部にはPMMAを射出するための射出口16が形成されている。本実施例においては射出口16を上面部に設けているが、本体部12の側壁に設けてもよい。
図3に示すように、成形部13は取付口15と同形状の50mm×30mmの矩形状に形成されている。図4に示すように、成形部13の上面、つまり成形キャビティ11を形成する型表面17の一部を形成する面には、金型基材20の表層部にクロム被膜21とDLC被膜22とを形成した構造を備えている。クロム被膜21は、金型基材20からDLC被膜22が剥離するのを防ぐために、金型基材20の表面に約0.5μmの厚さで形成されている。
DLC被膜22はクロム被膜21の表面に厚さ約2μmの厚さで形成されている。このDLC被膜22は、シリコンを含有させているので、内部応力を緩和してひび割れを防ぐことができ、通常20μm程度の厚みが限界のDLC被膜を数100μmまで形成することができる。また、このDLC被膜22は、被膜形成時の水素含有量によって硬度の調整をすることができ、HV(ビッカース硬さ)を数100からダイヤモンドのHVに近い8000程度の高硬度被膜に形成することができ、本実施例では、HV2000のDLC被膜22が形成されている。DLC被膜22の摩擦係数は約0.1以下であり、耐摩耗性において非常に優れた被膜である。尚、クロム被膜21とDLC被膜22の厚さは一例に過ぎず、前記の値よりも大きくてもよく少なくてもよい。
図4,図5に示すように、DLC被膜22には、成形キャビティ11の一部をなす直径約500nm,深さ約1μmの円柱状の複数の凹部25が約500nm間隔で形成されている。凹部25は、アモルファス構造のDLC被膜22に形成されているので、結晶方位の影響を受けないため表面を滑らかに且つ所望の形状に合わせて正確に形成することができると共に、後述する極めてビーム径を小さくできる集束イオンビーム32により形成することで更に正確に形成することができる。これら凹部25は、射出成形の際にナノピラー3を成形するためのものである。
この金型10においてPMMAを射出成形する場合には、本体部12の取付口15に成形部13を組み込み、その金型10を約80℃に加温する。次に、約260℃で溶融させたPMMAを射出口16から成形キャビティ11内に射出して充填し、PMMAが硬化するまで冷却する。その後、本体部12から成形部13を取り外し、成形部13からナノピラーアレー1を取り外す。この際、集束イオンビーム32により形成された凹部25の表面は非常に滑らかなため、ナノピラー3が凹部25の表面に引っ掛かることがない。従って、取り外し工程において、ナノピラーアレー1の成形キャビティへの抱き付きによる破損や、反り等の変形を防ぐことができる。尚、取り外しの工程おいては、金型内に成形品の取り外し機構を設け、自動的に行うようにしてもよい。また、PMMAが硬化するまで冷却する工程においては所定時間冷却した後、しばらく放置することにしてもよい。
次に、金型10の成形部13の製造方法について説明する。まず、50mm×30mmの矩形の板状に金型部材を成形し、凹凸が10nm以下になるように板状の金型部材の表面をラップ研磨により鏡面加工して平坦化し金型基材20を製作する。次に、この平坦化された金型基材20をスパッタリング用のチャンバー内に導入する(図6-1)。次に、被膜形成工程において、クロムをターゲットにしたスパッタリングにより厚さ約0.5μmのクロム被膜21を金型基材20の上面のうちナノピラーアレー1を成形する部分(成形キャビティ11を形成する型表面17の一部に相当する面)に形成する(図6-2)。
次に、クロム被膜21が形成された金型基材20をプラズマCVD用のチャンバー内に導入する。このチャンバー内にメタンガスを供給し、メタンガスをプラズマ化してクロム被膜21の表面にプラズマ化されたメタンを堆積しつつ、金型基材20にバイアス電圧を印加することでイオンを衝突させながら、堆積された被膜中の水素あるいは低い結合分子を飛ばし、水素含有量の少ない厚さ約2μmのDLC被膜22を成形キャビティ11を形成する型表面17の一部に対応する部分に成膜する(図6-3)。DLC被膜22を成膜する際に、DLC被膜22内の内部応力を緩和してDLC被膜22のひび割れを防止するために、メタンガスと共にテトラメチルシラン(TMS)を導入し、このテトラメチルシラン(TMS)内のシリコンをプラズマ化させてDLC被膜22内にシリコンを含有させる。
次に、図7に示すように、エッチング工程において、DLC被膜22が形成された金型基材20を集束イオンビーム装置30のXYテーブル31に固定し、集束イオンビーム32によってDLC被膜22の一部をエッチングして成形キャビティ11の一部をなす複数の微細な凹部25を形成する。具体的には、液体ガリウムをイオン源とし、引き出し電極33の間に電界をかけてイオン銃34からガリウムイオンを引き出し、このガリウムイオンを加速電圧30kVで加速してビーム電流187pAのイオンビームとし、このイオンビームをコンデンサーレンズなど集束手段35により集束したビーム径23nmの集束イオンビーム32によりDLC被膜22の表面部をエッチングしつつ、XYテーブル31と共に金型基材20をXY方向に移動させて、ナノピラーアレー1のナノピラー3に対応させた直径約500nm、深さ約1μmの凹部25を、約500nm間隔でDLC被膜25の全面に亙って形成する。尚、金型基材20を固定テーブルに固定した状態で、集束させた集束イオンビーム32に電圧を印加し、この印加電圧を調整して集束イオンビーム32をDLC被膜22の表面で移動させつつ凹部25を形成してもよい。
次に、上述した金型10、特に、成形部13及びその製造方法の作用及び効果について説明する。
この金型10によれば、硬質の成形キャビティ11を形成する成形部13の型表面17にDLC被膜22を形成することで成形部13の耐摩耗性を高めると共に、結晶方位性のないアモルファス構造のDLC被膜22を、ビーム径を極めて小さく集束させることができる集束イオンビーム32によりエッチングし、成形キャビティ11の一部をなす凹部25を形成するので、凹部25を所望の成形形状に合わせて正確に形成することができると共に、エッチングによって形成された凹部25の表面を滑らかにすることができる。従って、この金型10を用いた射出成形によって精度の高いナノピラーアレー1を成形することができ、また、成形部13からナノピラーアレー1を取り外す際に、凹部25の表面によってナノピラーアレー1を破損することがなく、生産効率を向上させることができる。
金型基材20とDLC被膜22との間にクロム被膜21を形成することで、金型基材20からのDLC被膜22の剥離を防止し、この金型10による成形可能回数を大幅に延ばすことができる。DLC被膜22にシリコンを含有させているので、DLC被膜22の内部応力を緩和し、DLC被膜22のひび割れなどの破損を防ぐことができる。
以上説明した実施例を部分的に変更した変更例について説明する。
1)集束イオンビームによりDLC被膜をエッチングする際に、凹部を形成する部分のみを露出させるための穴が形成されたマスキング部材をDLC被膜の表面に被せてエッチングしてよい。このようにマスキング部材を被せた状態でDLC被膜をエッチングすることで、金型基材を移動させるXYテーブルの制御を簡単化することができる。例えば、上述した円柱状の凹部を形成する場合、円形状の開口部が形成されたマスキング部材によりDLC被膜をマスキングすることで、開口部以外の領域がエッチングされることを防止できるので、円形状の開口部を含む領域で集束イオンビームを相対移動させれば円柱状の凹部が形成できる。従って、集束イオンビームを凹部に合わせて円形状に相対移動させるのではなく、円形状の開口部を含む正方形内で相対移動させることで、集束イオンビームを相対移動させるためのXYテーブルの制御を簡単化することができる。
2)上述の実施例においては、DLC被膜22にシリコンを含有させたが、このシリコンは必須のものではなく、省略してもよく、また、他の金属不純物を代用してもよい。特に、DLC被膜を20μm以下の厚さで形成する場合には、DLC被膜がひび割れすることが少ないので、シリコンを省略することができる。このようにシリコンを含まないDLC被膜を形成する場合には、クロム被膜とDLC被膜をUBMスパッタリングにより連続的に形成してもよい。具体的には、まず、クロムをターゲットとするスパッタリングにより所定の膜厚のクロム被膜を形成し、その後、クロムのスパッタリングを継続しつつ、グラファイトをターゲットとするスパッタリングを同時並行して行い、クロムのスパッタ率を徐々に減らしつつグラファイトのスパッタ率を増加させることでDLC被膜をクロム被膜上に形成する。この際、テトラメチルシラン(TMS)ガスを同時に導入して、シリコン含有のDLCを形成することもできる。
3)上述の実施例においてはDLC被膜22と金型基材20の間にクロム被膜21を形成したが、クロム被膜の代わりにタングステン被膜、チタン被膜、シリコン被膜、ニッケル被膜などを形成してもよい。
4)上述の実施例においては、集束イオンビーム32によってDLC被膜22をエッチングしたが、レーザーによってDLC被膜をエッチングしてもよい。エッチング可能なレーザーとしては、フェムト秒レーザ(レーザの波長が870nm,パルス幅がフェムト秒)、紫外線レーザ(レーザの波長が紫外線領域。例えば、パルス幅が20〜100nmであって、波長が353nmのTHG−YAGレーザ,波長が265nmのFHG−YAGレーザなどの固体レーザ)、エキシマレーザ(波長が308nm又は248nm,パルス幅が20〜30nm)などが考えられる。
5)上述の実施例においては、集束イオンビーム32によってDLC被膜22をエッチングしたが、DLC被膜をプラズマによってエッチングして、凹部を形成してもよい。このようにプラズマによりエッチングする場合、まず、金型基材に成膜されたDLC被膜にレジスト膜を塗布し、このレジスト膜にUV露光などによって所望の微細パターンを転写した後、エッチング部分のレジスト膜を除去する。次に、レジスト膜が塗布された金型基材をチャンバー内に導入し、このチャンバー内に供給された酸素ガスに高周波高電圧を印加し、酸素ガスを電離させてプラズマ化させると、この酸素プラズマとDLC被膜とが反応して一酸化炭素又は二酸化炭素となり、レジスト膜から露出しているDLC被膜がエッチングされる。尚、レジスト膜の代わりに、所望の部分に露出孔が形成されたマスキング部材をDLC被膜に被せ、その露出孔から露出しているDLC被膜を酸素プラズマなどにのプラズマによりエッチングしてもよい。このようにプラズマによりエッチングすることで、全ての凹部を同時並行でエッチングすることができるので、エッチング工程に要する時間を短縮することができる。
6)上述の実施例においては、ナノピラー3が形成されたナノピラーアレー1に本発明を適用したが、他の円柱状や角柱状の突起など種々の突起部を有する被成形品を成形する金型に本発明を適用してもよい。例えば、光学部品のフォトニッククリスタル、ナノレンズアレイ、ナノフィルターアレイなどが考えられる。
7)被成形品に微細な孔を形成するための金型に本発明を適用してもよい。例えば、図8に示すように、平坦なDLC被膜40を形成し、8個の角錐状の突起41が2行4列に形成されるようにDLC被膜40の一部を残して集束イオンビームによってエッチングする。図8に示すように、集束イオンビームによってエッチングされたDLC被膜40の表面は非常に滑らかに形成される。このように形成された金型を用いて射出成形することで、突起41に対応した複数の孔を被成形品に形成することができる。例えば、このような微細な孔を形成する被成形品としては、一本鎖DNAを一本ずつ固定化して種々の反応を行うための直径約500nmの孔が複数空いたDNAセルアレイ、分析用や医療用に用いられるフィルター、微量な液滴や気体を吐出するナノノズルフィルムなどが考えられる。
8)上述の実施例においては、ナノピラーを等間隔で配設したが、異なる間隔でナノピラーを配設してもよい。
上述した実施例においては、射出成形によりナノピラーアレーを有する電気泳動チップを成形する金型に本発明を適用したが、種々の成形方法により成形する金型に本発明を適用することができる。更に、本発明は以上説明した実施例に限定されるものではなく、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で前記実施例に種々の変更を付加して実施することができ、本発明はそれらの変更例をも包含するものである。
電気泳動チップの平面概略図である。 ナノピラーアレーの要部拡大斜視図である。 本発明の実施例に係る金型の縦断面図である。 金型の成形部の要部拡大縦断面図である。 成形部の表面の要部斜視図である。 金型製造途中の金型基材の要部断面図である。 金型製造途中のクロム被膜が形成された金型基材の要部断面図である。 金型製造途中のクロム被膜とDLC被膜が形成された金型基材の要部拡大断面図である。 DLC被膜に凹部を形成する金型基材の要部断面図である。 変更例に係る金型の電子顕微鏡写真(FE-SEM)である。
符号の説明
10 金型
11 成形キャビティ
13 成形部
17 型表面
20 金型基材
21 クロム被膜
22 DLC被膜
25 凹部
32 集束イオンビーム

Claims (8)

  1. 成形キャビティを形成する型表面の少なくとも一部にダイヤモンドライクカーボン被膜が形成された金型において、
    前記ダイヤモンドライクカーボン被膜に成形キャビティの一部をなす1又は複数の微細な凹部を形成したことを特徴とする金型。
  2. 前記金型を形成する金型基材と前記ダイヤモンドライクカーボン被膜との間にクロム被膜を形成したことを特徴とする請求項1に記載の金型。
  3. 前記金型は射出成形用の金型であることを特徴とする請求項1又は2に記載の金型。
  4. 前記微細な凹部は集束イオンビームによりエッチングすることによって形成されることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の金型。
  5. 前記微細の凹部はプラズマによりエッチングすることによって形成されることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の金型。
  6. 金型基材のうち成形キャビティを形成する型表面の少なくとも一部にダイヤモンドライクカーボン被膜を形成する被膜形成工程と、
    前記ダイヤモンドライクカーボン被膜の一部をエッチングして成形キャビティの一部をなす1又は複数の微細な凹部を形成するエッチング工程と、
    を備えたことを特徴とする金型の製造方法。
  7. 前記エッチング工程においては、集束イオンビームによってダイヤモンドライクカーボン被膜をエッチングすることを特徴とする請求項6に記載の金型の製造方法。
  8. 前記エッチング工程においては、プラズマによってダイヤモンドライクカーボン被膜をエッチングすることを特徴とする請求項6に記載の金型の製造方法。
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