JP4256858B2 - 車体の窓枠構造 - Google Patents

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Description

本発明は、車体の窓枠構造に関するものである。
従来、車体の窓枠構造として、リヤサスペンションから車体に入力される荷重を効率良く分散させるために、車体側部の後方上部にあるサイドウインド(例えばセダンでは三角窓)の下に、閉断面状(筒状)のサイドフレームを設ける構造が知られている(特許文献1参照)。この構造によれば、リヤサスペンションから入力される荷重が、サイドウインドの後方上部に配設される閉断面状のリアピラーと、前記したサイドフレームと、リヤホイールハウスパネルの3つの経路を介して、サイドウインドの前方において上下に延在する閉断面状のクオータピラーに伝達されて、車体全体に分散されるようになっている。なお、このクオータピラー内には、その内部にさらに閉断面を構成するための補強パネルが設けられており、これによりクオータピラーの剛性が高められている。
特開平11−291947号公報(段落0011、図1,5)
ところで、前記した従来の構造では、閉断面状のサイドフレームが、補強パネルとは接続しておらず、単にクオータピラー内の空間に開口するように、クオータピラーに接続されるので、このクオータピラーとサイドフレームとの接続部が空洞となり、その部分の車幅方向における剛性が弱くなるといった問題があった。
そこで、本発明では、クオータピラーとサイドフレームとの接続部の剛性を、車幅方向において強くすることができる車体の窓枠構造を提供することを目的とする。
前記課題を解決する本発明のうち請求項1に記載の発明は、窓枠の一辺を形成する閉断面状の第1フレームと、前記窓枠の一辺に交差する辺を形成する閉断面状の第2フレームとが接続される車体の窓枠構造であって、前記2つのフレームのうちの一方のフレームを構成する一部の壁を、他方のフレームの閉断面内に向けて延ばすことで、前記一部の壁にバルクヘッドの機能を持たせて、前記フレームの外壁を支持したことを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、例えば第2フレームの外壁が、第1フレームの一部の壁によって支持されることで、その支持された部分の剛性は、車両の外側から内側に向かう方向において強くなる。そのため、この構造を車両の側部後方のサイドウインド周りの構造に採用することで、クオータピラーとサイドフレームとの接続部の剛性を、車幅方向において強くすることができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車体の窓枠構造であって、前記第1フレームには、前記第2フレームを接続させるための接続部が、前記第2フレーム側に延設され、前記接続部の壁のうち前記窓に沿った方向で対向する2つの壁の一方が、他方に近づくように形成されるとともに、前記第2フレームの一部が、前記接続部の根元近傍まで延設されることで、前記接続部の一方の壁によって、前記外壁が支持されることを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、第1フレームの接続部の一方の壁によって、例えば第2フレームの外壁が支持されることで、その支持された部分の剛性は、車両の外側から内側に向かう方向において強くなる。そのため、この構造を車両の側部後方のサイドウインド周りの構造に採用することで、クオータピラーとサイドフレームとの接続部の剛性を、車幅方向において強くすることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の車体の窓枠構造であって、前記接続部の一方の壁は、窓側の壁であり、前記第2フレームの窓側の壁が、前記接続部の根元近傍まで延設されることを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、接続部の窓側の壁がその反対側の壁に寄せられるとともに、第2フレームの窓側の壁が接続部の根元近傍まで延設されるので、窓の隅部が、第1フレームの側壁(接続部が形成されている壁)と第2フレームの窓側の壁とによって略直角に形成される。すなわち、第1フレームに形成される接続部の根元部は成形条件等によりRを大きくしなければならず、その結果窓の隅が隠されて窓の開口面積が小さくなるが、この構造によれば、窓の隅部が略直角に形成されて、窓の開口面積を大きくすることができる。
請求項1または請求項2に記載の発明によれば、例えば第2フレームの外壁を第1フレームの一部で支持させるような構造をサイドウインド周りの構造に採用することで、クオータピラーとサイドフレームとの接続部の剛性を、車幅方向において強くすることができる。
請求項3に記載の発明によれば、窓の隅部が、第1フレームの側壁と第2フレームの窓側の壁とによって略直角に形成されるので、窓の開口面積を大きくすることができる。
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。参照する図面において、図1は本発明に係る車体の窓枠構造をサイドウインド周りの構造に採用した車体を示す全体斜視図であり、図2は図1のサイドウインドの前下部の構造を下側から見上げた拡大斜視図である。また、図3は、図2のA−A断面図(a)と、図2のB−B断面図(b)と、図2のC−C断面図(c)と、図2のD−D断面図(d)である。さらに、図4はクオータピラーインナを示す分解拡大図(a)と、クオータピラースティフナを示す分解拡大図(b)であり、図5はクオータメンバインナを示す分解拡大図(a)と、クオータメンバスティフナを示す分解拡大図(b)である。
図1に示すように、車両CAの側部には、その後方上部に略四角形状のサイドウインドSWを設置するためのサイドウインド開口(窓)WMが形成されている。以下に、このサイドウインド開口WM周りの構造、詳しくはサイドウインド開口WMの前下部FLの構造(アウターパネルを除いた構造)について説明する。
図2および図3に示すように、サイドウインド開口WMの前下部の構造は、サイドウインド開口WMの前側に配設されて車両上下方向に延びる閉断面状のクオータピラー(第1フレーム)1と、サイドウインド開口WMの下側に配設されて車両前後方向に延びる閉断面状のサイドフレーム(第2フレーム)5とで構成されている。
クオータピラー1は、車幅方向における内側(図の奥側)に配設されるクオータピラーインナ2と、外側(図の手前側)に配設されるクオータピラースティフナ3とを備えて構成されている(図3(a),(b)参照)。
クオータピラーインナ2は、図4(a)に示すように、車幅方向内側に位置する内側平板部21と、この内側平板部21の上側の端縁から車幅方向外側に立ち上がる立ち壁部22と、この立ち壁部22の端縁から上方または後方へ延びるフランジ部23とを備えて構成されている。内側平板部21は、車両CAの略上下方向に沿って形成される基部21aと、この基部21aの適所から後方へ延出するように形成される延出部(接続部)21bとを有している。そして、この基部21aと延出部21bで形成される隅部C1,C2は、R形状となるように形成されている。ここで、上側の隅部C1のR形状は、立ち壁部22を形成する関係上、緩やかに形成されている。
クオータピラースティフナ3は、図4(b)に示すように、車幅方向外側に位置する外側平板部31と、この外側平板部31の下側の端縁から車幅方向内側に立ち上がる立ち壁部32と、この立ち壁部32の端縁から下方または後方に延びるフランジ部33とを備えて構成されている。外側平板部31は、車両CAの略上下方向に沿って形成される基部31aと、この基部31aの適所から後方へ延出するように形成される延出部(接続部)31bとを有している。そして、この基部31aと延出部31bで形成される隅部C3,C4は、その下側の隅部C4が緩やかなR形状として形成され、その上側の隅部C3が前記したクオータピラーインナ2の上側の隅部C1よりも小さなR形状で形成されている。なお、この理由は、後で詳細に説明することとする。また、延出部31bは、前記したクオータピラーインナ2の延出部21bの幅(上下方向の幅)よりも大きな幅で形成されている。
そして、以上のように構成されるクオータピラーインナ2のフランジ部23をクオータピラースティフナ3の外側平板部31にスポット溶接によって接合するとともに、クオータピラースティフナ3のフランジ部33をクオータピラーインナ2の内側平板部21にスポット溶接によって接合することで、閉断面状のクオータピラー1(図2参照)が形成されることとなる。なお、前記したように各延出部21b,31bの幅を異なる大きさとすることで、クオータピラー1を組み立てた後には、クオータピラーインナ2の立ち壁部22(立ち壁部22のうち延出部21bに対応する部分;以下、「上壁22a」ともいう。)が、クオータピラースティフナ3の立ち壁部32(立ち壁部32のうち延出部31bに対応する部分;以下、「下壁32a」ともいう。)側に寄せられるようになっている。具体的には、上壁22aの後端部が最も下壁32aに近づいており、そこから上壁22aがクオータピラースティフナ3の延出部31bの略対角線上に沿うように形成されるようになっている(図2参照)。
図2に示すように、サイドフレーム5は、車幅方向における内側に配設される断面視略L字状のクオータメンバインナ6と、外側に配設される断面視略L字状のクオータメンバスティフナ7とを備えて構成されている。
クオータメンバインナ6は、図5(a)に示すように、車幅方向内側に位置する内側平板部61と、この内側平板部61の上端から車幅方向外側に立ち上がる立ち壁部62と、この立ち壁部62の端縁から上方へ延びるフランジ部63とを備えて構成されている。
クオータメンバスティフナ7は、図5(b)に示すように、車幅方向外側に位置する外側平板部71と、この外側平板部71の下端から車幅方向内側に立ち上がる立ち壁部72と、この立ち壁部72の端縁から下方に延びるフランジ部73とを備えて構成されている。また、このクオータメンバスティフナ7は、前記したクオータメンバインナ6よりも短く形成されており、これにより、図2に示すように、クオータメンバスティフナ7とクオータメンバインナ6を組み合わせたときに、クオータメンバスティフナ7の前端からクオータメンバインナ6が突出するようになっている。なお、本実施形態では、クオータメンバスティフナ7の長さをクオータメンバインナ6よりも短くすることで、クオータメンバスティフナ7の前端からクオータメンバインナ6を突出させたが、本発明はこれに限定されず、例えば両者を同じ長さとし、これらを前後にずらして接合することで、クオータメンバスティフナ7の前端からクオータメンバインナ6を突出させてもよい。
そして、以上のように構成されるクオータメンバインナ6とクオータメンバスティフナ7は、図2および図3(d)に示すように、クオータピラー1の延出部21b,31bを挟み込むようにして配設され、その適所をスポット溶接することで接合される。具体的には、クオータメンバインナ6は、その前端がクオータピラーインナ2の延出部21bの根元近傍に位置するように配設されて接合されるとともに、クオータメンバスティフナ7は、その前端部がクオータピラースティフナ3の延出部31bの先端部に位置するように配設されて接合されている。これにより、図3(c)に示すように、車幅方向(窓に略直交する方向)で対向する一対の壁(クオータメンバインナ6の内側平板部61とクオータピラースティフナ3の外側平板部31)、特に外壁となるクオータピラースティフナ3の外側平板部31が、クオータピラーインナ2の上壁22aによって車幅方向において支持されるようになっている。
さらに、図2に示すように、クオータメンバインナ6の前端がクオータピラーインナ2の延出部21bの根元近傍まで延びることによって、このクオータメンバインナ6とクオータピラーインナ2とによって形成されるサイドウインド開口WMの隅部が、略直角に形成されるようになっている。そのため、クオータピラースティフナ3の上側のR形状部(隅部C3;図4参照)を小さなR(半径)で形成することができ、サイドウインド開口WMの面積の増加を図ることが可能となっている。ちなみに、クオータピラーインナ2の上壁22a(立ち壁22)はクオータメンバインナ6の立ち壁部62と滑らかに繋がるように形成するのが一般的な接合方法であるが、この方法では、前記したようにクオータピラーインナ2の立ち壁部22を良好に形成するためにクオータピラーインナ2の上側の隅部C1のR形状を緩やかにする関係上、これに合わせてクオータピラースティフナ3の上側の隅部C3のR形状も緩やかにする必要があるため、サイドウインド開口WMの隅部が緩やかなR形状によって侵食されて、その面積は小さくなる。これに対し、本実施形態のような構造では、上壁22aを下げることで、その緩やかなR形状部の位置を下側にずらし、このようにずらしたR形状部の上端部(略上下方向に沿った部分)とクオータメンバインナ6の上端縁とによって、サイドウインド開口WMの隅部が略直角に形成されるので、クオータピラースティフナ3のR形状を小さくすることができ、その開口面積を大きくすることができる。
以上によれば、本実施形態において、次のような効果を得ることができる。
車幅方向で対向するクオータメンバインナ6の内側平板部61とクオータピラースティフナ3の外側平板部31が、クオータピラーインナ2の上壁22aによって車幅方向において支持されるので、クオータピラー1とサイドフレーム5との接続部の剛性を、車幅方向において強くすることができる。なお、クオータピラー1とサイドフレーム5との接合部の車幅方向の剛性を高めるには、その接合部の閉断面内にバルクヘッド(車幅方向で対向する壁を支持する別部材)を設けることも考えられるが、本実施形態の構造では、クオータピラー1の一部がバルクヘッドの代わりになるため、部品点数を削減できるといった効果も奏することとなる。
サイドウインド開口WMの隅部が略直角に形成されることによって、サイドウインド開口WMの面積を大きくすることができるので、後部座席側に多くの光を取り込んで、車内を明るい快適な環境とすることができる。
なお、本発明は、前記実施形態に限定されることなく、様々な形態で実施される。
前記実施形態では、クオータピラー1の一部で、車幅方向に対向する一対の壁(クオータピラースティフナ3とクオータメンバインナ6)を支持するように構成したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図6(a)〜(c)に示すように、サイドフレーム5の一部(クオータメンバスティフナ7)で、車幅方向に対向する一対の壁(クオータピラースティフナ3とクオータピラーインナ2)、特に外壁であるクオータピラースティフナ3を支持するように構成してもよい。具体的には、前記実施形態に係るクオータピラーインナ2の上壁22aを上側へずらして、クオータメンバインナ6と合致させる。また、クオータメンバインナ6の前端を前記実施形態の構造よりも後方へずらしてクオータピラー1の延出部21bの先端部と接合させるとともに、クオータメンバスティフナ7の前端を延出部21bの根元近傍まで延ばしつつ、その立ち壁部72を延出部21bの略対角線上に位置するような曲面状に形成する。このように構成したとしても、クオータメンバスティフナ7の立ち壁部72によって、クオータピラーインナ2とクオータピラースティフナ3(特に外壁であるクオータピラースティフナ3)が車幅方向において支持されるので、その剛性を車幅方向において強くすることができる。ただし、この図6の構造では、サイドウインド開口WMの隅部が緩やかなR形状部によって侵食されてしまうので、前記した実施形態のような構造を採用するのが望ましい。
前記実施形態では、本発明の車体の窓枠構造をサイドウインド周りの構造に適用したが、本発明はこれに限定されず、例えばフロント側の三角窓やドアの窓周りの構造などに適用してもよい。さらに、前記実施形態のようにサイドウインドの前下部の構造だけでなく、前上部、後下部または後上部に本発明を適用してもよい。
本発明に係る車体の窓枠構造をサイドウインド周りの構造に採用した車体を示す全体斜視図である。 図1のサイドウインドの前下部の構造を下側から見上げた拡大斜視図である。 図2のA−A断面図(a)と、図2のB−B断面図(b)と、図2のC−C断面図(c)と、図2のD−D断面図(d)である。 クオータピラーインナを示す分解拡大図(a)と、クオータピラースティフナを示す分解拡大図(b)である。 クオータメンバインナを示す分解拡大図(a)と、クオータメンバスティフナを示す分解拡大図(b)である。 他の実施形態に係る車体の窓枠構造を示す図であり、サイドウインドの前下部の構造を下側から見上げた拡大斜視図(a)と、図6(a)のE−E断面図(b)と、図6(a)のF−F断面図(c)である。
符号の説明
1 クオータピラー(第1フレーム)
2 クオータピラーインナ
21 内側平板部
21a 基部
21b 延出部(接続部)
22 立ち壁部
22a 上壁
23 フランジ部
3 クオータピラースティフナ
31 外側平板部
31a 基部
31b 延出部(接続部)
32 壁部
32a 下壁
33 フランジ部
5 サイドフレーム(第2フレーム)
6 クオータメンバインナ
61 内側平板部
62 立ち壁部
63 フランジ部
7 クオータメンバスティフナ
71 外側平板部
72 壁部
73 フランジ部
CA 車両
WM サイドウインド開口(窓)

Claims (3)

  1. 窓枠の一辺を形成する閉断面状の第1フレームと、前記窓枠の一辺に交差する辺を形成する閉断面状の第2フレームとが接続される車体の窓枠構造であって、
    前記2つのフレームのうちの一方のフレームを構成する一部の壁を、他方のフレームの閉断面内に向けて延ばすことで、前記一部の壁にバルクヘッドの機能を持たせて、前記フレームの外壁を支持したことを特徴とする車体の窓枠構造。
  2. 前記第1フレームには、前記第2フレームを接続させるための接続部が、前記第2フレーム側に延設され、
    前記接続部の壁のうち前記窓に沿った方向で対向する2つの壁の一方が、他方に近づくように形成されるとともに、前記第2フレームの一部が、前記接続部の根元近傍まで延設されることで、
    前記接続部の一方の壁によって、前記外壁が支持されることを特徴とする請求項1に記載の車体の窓枠構造。
  3. 前記接続部の一方の壁は、窓側の壁であり、
    前記第2フレームの窓側の壁が、前記接続部の根元近傍まで延設されることを特徴とする請求項2に記載の車体の窓枠構造。
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