JP4253429B2 - 発光素子材料、それを使用した発光素子およびアミン化合物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フィルター用染料、色変換フィルター、写真感光材料染料、増感色素、パルプ染色用染料、レーザー色素、医療診断用蛍光薬剤、発光素子用材料等として用いるのに適した化合物および、それらを用いた発光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機物質を使用した有機発光素子は、固体発光型の安価な大面積フルカラー表示素子としての用途が有望視され、多くの開発が行われている。一般に有機発光素子は、発光層及び該層を挟んだ一対の対向電極から構成されている。発光は、両電極間に電界が印加されると、陰極から電子が注入され、陽極から正孔が注入される。更に、この電子と正孔が発光層において再結合し、エネルギー準位が伝導帯から価電子帯に戻る際にエネルギーを光として放出する現象である。
【0003】
従来の有機発光素子は、駆動電圧が高く、発光輝度や発光効率も低かったが、近年、10V以下の低電圧で発光する高い蛍光量子効率を持った有機化合物を含有した薄膜を積層した有機EL素子が報告され(アプライド フィジックス レターズ、51巻、913頁、1987年)、関心を集めている。この方法は、電子輸送層として金属キレート錯体を、発光層として蛍光化合物、正孔輸送層としてアミン化合物を使用して、高輝度の緑色発光を得ている。また、フルカラーディスプレイ、光源としての利用を考えた場合、実用上は三原色あるいは白色を出す必要があり、蛍光色素をドープし望む色を発光させる素子が報告されている(ジャーナル オブ アプライド フィジックス、65巻、3610頁、1989年)。この手法は、単独で発光層として用いると濃度消光が大きく高効率発光が困難な赤色発光色素において特に有効であり、良好な色純度、高輝度を達成している。しかしながら蒸着で色素をドープした素子を作製する場合、ホスト材料と微量の蛍光色素を共蒸着しており、操作が煩雑であり、性能にばらつきが生じ易いといった問題を抱えていた。そこで、製造工程の簡略化、素子の性能の安定化の観点から、色素を単独で発光層として用いても、高輝度発光し、かつ耐久性に優れた橙色〜赤色の発光材料の開発が望まれていた。
【0004】
一方、有機EL素子において高輝度発光を実現しているものは有機物質を真空蒸着によって積層している素子であるが、製造工程の簡略化、加工性、大面積化等の観点から塗布方式による素子作製が望ましい。しかしながら、従来の塗布方式で作製した素子では発光輝度、発光効率の点で蒸着方式で作製した素子に劣っており、高輝度、高効率発光化が大きな課題となっていた。また、有機低分子化合物を有機ポリマー媒体に分散して塗布した素子では、長時間発光させた場合有機低分子化合物が凝集するなどの原因により均質な面状発光が難しいといった課題があった。
【0005】
また、近年、フィルター用染料、色変換フィルター、写真感光材料染料、増感色素、パルプ染色用染料、レーザー色素、医療診断用蛍光薬剤、有機発光素子用材料等に蛍光を有する物質が種々用いられ、その需要が高まっているが、蛍光強度が強く、橙色から赤色の長波発光可能な蛍光色素はあまりなく、新たな材料開発が望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第一の目的は、低電圧駆動で高輝度、高効率の発光が可能で、繰り返し使用時での安定性に優れ、均質面状発光可能な橙色〜赤色発光素子用材料および発光素子の提供にある。
本発明の第二の目的は、素子間でばらつきのなく性能の安定した素子およびその作製を可能にする赤色発光材料の提供にある。
本発明の第三の目的は、塗布方式で作製しても高輝度、高効率発光可能な発光素子材料およびそれを用いた発光素子の提供にある。
本発明の第四の目的は蛍光強度の強い橙色から赤色に蛍光を有する化合物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この課題は下記手段によって達成された。
〔1〕下記一般式(I)で表される化合物であることを特徴とする有機発光素子材料。
一般式(I)
【0008】
【化5】
【0009】
式中、Ar1 、Ar6は同一または異なっていてもよく、置換基として、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、または置換アミノ基を有してよい2価のフェニル基を表し、R2、R3 、R7 、R8 は同一または異なっていてもよく、それぞれ置換基として、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、もしくは置換アミノ基を有してよい、フェニル基またはナフチル基を表す。R4a、R9aは、それぞれCN基を表す。R5a、R10aが共に水素原子を表す。L1は置換基を有してよい炭素数6〜30の2価のアリール基を表す。
〔2〕〔1〕記載の一般式(I)の化合物が下記一般式(II)で表される化合物であることを特徴とする〔1〕記載の有機発光素子材料。
一般式(II)
【0010】
【化6】
【0011】
式中、Ar1 、Ar6、R2 、R3 、R7 、R8 は一般式(I)におけるそれらと同義である。R4b、R9bは、それぞれCN基を表す。R5b、R10bが共に水素原子を表す。L2は置換基として、フェニル基、アルコキシ基、シアノ基を有してよい2価のフェニル基を表す。
〔3〕〔2〕記載の一般式(II)の化合物が下記一般式(III)で表される化合物であることを特徴とする〔2〕記載の有機発光素子材料。
一般式(III)
【0012】
【化7】
【0013】
式中、Ar1 、Ar6 はそれぞれフェニル基またはナフチル基を表す。L2 は置換基として、フェニル基、ヘキシロキシ基を有してよい2価のフェニル基を表す。Ar2 、Ar3、Ar7 、Ar8 はそれぞれフェニル基を表す。R4c、R9cはそれぞれシアノ基を表す。
〔4〕下記一般式(IV)で表されるアミン化合物。
一般式(IV)
【0014】
【化8】
【0015】
式中、Ar2 、Ar3、Ar7 、Ar8 はそれぞれフェニル基を表す。Rx ,Ry はそれぞれ置換基を表す。m、nはそれぞれ0を表す。R4d、R9dはそれぞれシアノ基を表す。L3 は置換基を有してよい炭素数6〜30の2価のアリール基を表す。
〔5〕電極間に少なくとも一層の有機薄層を含有する発光素子において、〔1〕〜〔4〕に記載の一般式(I)〜(IV)で表される化合物を少なくとも一つ有することを特徴とする発光素子。
〔6〕電極間に少なくとも一層の有機薄層を含有する発光素子において、〔1〕〜〔4〕に記載の一般式(I)〜(IV)で表される化合物の少なくとも1種をポリマー中に分散した層を少なくとも一つ有することを特徴とする発光素子。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明は「下記一般式(I)で表される化合物であることを特徴とする有機発光素子材料。
一般式(I)
【化101】
式中、Ar1 、Ar6 は同一または異なっていてもよく、置換基として、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、または置換アミノ基を有してよい2価のフェニル基を表し、R2、R3 、R7 、R8 は同一または異なっていてもよく、それぞれ置換基として、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、もしくは置換アミノ基を有してよい、フェニル基またはナフチル基を表す。R4a、R9aは、それぞれCN基を表す。R5a、R10aが共に水素原子を表す。L1は置換基を有してよい炭素数6〜30の2価のアリール基を表す。」及び前記一般式(IV)で表されるアミン化合物に関するものであるが、その他の事項についても参考のため記載した。
まず、本発明の一般式(I)で表される化合物について詳細に説明する。Ar1 、Ar6 は同一または異なっていてもよく、2価のアリール基または2価のヘテロ環基を表し、Ar1、Ar6 が表す2価のアリール基として、好ましくは炭素数6〜30の単環または二環のアリール基(例えばフェニル、ナフチル、ビフェニル、フルオレニルなどが挙げられる。)であり、より好ましくは炭素数6〜20のフェニル基、ナフチル基であり、更に好ましくは炭素数6〜14のフェニル基、ナフチル基である。
【0017】
Ar1 、Ar6 が表す2価のヘテロ環基は、N、OまたはS原子の少なくとも一つを含む3ないし10員の飽和もしくは不飽和のヘテロ環であり、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。
ヘテロ環基として好ましくは、5ないし6員の芳香族ヘテロ環基であり、より好ましくは窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含む5ないし6員の芳香族ヘテロ環基であり、更に好ましくは窒素原子、硫黄原子を1ないし2原子含む5ないし6員の芳香族ヘテロ環基である。ヘテロ環の具体例としては、例えばピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルフォリン、チオフェン、フラン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。ヘテロ環として好ましくはチオフェン、ピリジン、キノリンである。
【0018】
Ar1 、Ar6 で表されるアリール基およびヘテロ環基は置換基を有してもよく、置換基としては、例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アラルキル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばベンジル基、フェネチル基などが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどが挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルフォリン、チオフェン、フラン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。)、シリル基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは3〜30、特に好ましくは3〜24であり、例えばトリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる。)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
【0019】
置換基として好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、ヘテロ環基であり、より好ましくはアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、ヘテロ環基である。
さらに好ましくはアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、置換アミノ基である。
ここで、置換アミノ基は、−NRa(Rb)で表される基であり、RaおよびRbは同一または異なっていてもよく、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、これらのアルキル基、アルケニル基、アリール基またはヘテロ環基はAr1 の置換基として記載したと同じものが挙げられる。
【0020】
R2 、R3 、R7 、R8 は同一または異なっていてもよく、それぞれアリール基、ヘテロ環基または脂肪族炭化水素基を表す。
R2 、R3 、R7 、R8 で表されるアリール基としては、好ましくは炭素数6〜30の単環または二〜四環のアリール基(例えばフェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、ピレニル、インデニルなどが挙げられる。)であり、より好ましくは炭素数6〜20のフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基であり、更に好ましくは炭素数6〜14のフェニル基、ナフチル基、アントリル基である。
【0021】
R2 、R3 、R7 、R8 で表されるヘテロ環基は、N、OまたはS原子の少なくとも一つを含む3ないし10員の飽和もしくは不飽和のヘテロ環であり、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。
ヘテロ環基として好ましくは、5ないし6員の芳香族ヘテロ環基であり、より好ましくは窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含む5ないし6員の芳香族ヘテロ環基であり、更に好ましくは窒素原子、硫黄原子を1ないし2原子含む5ないし6員の芳香族ヘテロ環基である。ヘテロ環の具体例としては、例えばピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルフォリン、チオフェン、フラン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。ヘテロ環として好ましくはチオフェン、ピリジン、キノリンである。
【0022】
R2 、R3 、R7 、R8 で表される脂肪族炭化水素基は直鎖、分岐または環状であってもよくアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)を表す。
脂肪族炭化水素基として好ましくはアルキル基である。
【0023】
R2 、R3 、R7 、R8 で表されるアリール基、ヘテロ環基および脂肪族炭化水素基は置換基を有してもよく、さらに縮環を形成してもよい。置換基としては、例えばAr1 、Ar6 の置換基として挙げたものが適用できる。
なお、Ar1 、R2 、R3 はそのうちの2つ又は3つが互いに連結して環を形成してもよく、形成される環として好ましくは5員環ないし7員環である。またAr6 、R7 、R8 もAr1 、R2 、R3 と同様に連結して環を形成してもよく、形成される環として好ましくは5員環ないし7員環である。
【0024】
R4a、R5a、R9a、R10a は同一または異なっていてもよく、それぞれ水素原子、置換基を表し、置換基としては、例えばAr1 、Ar6 の置換基として挙げたものが適用できる。R4a、R5a、R9a、R10a の少なくとも一つはHammettのσp値が0.2以上の電子吸引性基を表す。Hammettのσp値が0.2以上の電子吸引性基としては例えば、ハロゲン原子、ペルハロゲノアルキル基(ペルフルオロアルキル基、ペルクロルアルキル基、ペルブロムアルキル基などが挙げられる)、シアノ基、ホルミル基、カルボキシル基、カルバモイル基、スルホニルメチル基、アシル基、オキシカルボニル基(脂肪族炭化水素基、アリール基またはヘテロ環基で置換されたオキシカルボニル基が好ましい。脂肪族炭化水素基、アリール基またはヘテロ環基はR2 で記載のものと同義である。)、ペンタハロフェニル基、カルボニルオキシ基、スルホニルオキシ基、スルホニル基、スルフィニル基、ヘテロ環基、スルファモイル基などが挙げられ、好ましくはヘテロ環基、ペルハロゲノアルキル基、シアノ基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホニル基、スルファモイル基、アシル基であり、特に好ましくはベンズオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイミダゾール、シアノ基、オキシカルボニル基、スルホニル基、スルファモイル基、アシル基である。
Ar1 、R2 、R3 、R4a、R5aは互いに連結して環を形成してもよい。また、R9a、R10a 、Ar6 、R7 、R8 は互いに連結して環を形成してもよい。また、R4a、R5a、R9a、R10a は互いに連結して環を形成してもよい。好ましくは、Ar1 、R2 、R3 ;Ar6 、R7 、R8 ;Ar1 とR4a;Ar6 とR9a;Ar1 とR5aおよびAr6 とR10a が互いに連結して環を形成するのがよい。
【0025】
L1 は2価のアリール基もしくは2価のヘテロ環基、またはアリール基間もしくはヘテロ環基間、もしくはアリール基とヘトロ環基間を単結合、ビニル基、C=X基、シリル基、アリール基、芳香族ヘテロ5ないし6員環基(芳香族ヘテロ5員環基は好ましくは炭素原子、窒素原子、酸素原子からなる)またはこれらの組み合せで連結した2価の基を表す。ここで、2価のアリール基もしくは2価のヘテロ環基はAr1 、Ar6 が表す2価のアリール基または2価のヘテロ環基と同義であり、さらに縮環して2〜5環を形成しても良い。2価のアリール基は好ましくは、2価の単環ないし2環のアリール基もしくはそれにヘテロ環が縮環した2価の基を表す。ヘテロ環基としてさらに好ましくはチオフェン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾールを表す。L1 がアリール基間またはヘテロ環基間もしくはアリール基とヘテロ環基間を芳香族ヘテロ環で連結する場合、その芳香族ヘテロ環は6員環が好ましい。L1 と、R4a及びR5aの少なくとも1つが互いに、及び/又は、L1 と、R9a及びR10aの少なくとも1つが互いに連結して環を形成してもよい。Xは酸素原子、硫黄原子、N−RX1、CRX2RX3を表し、RX1、RX2、RX3は同一または異なっていてもよく、それぞれ水素原子または置換基を表す。Xとして好ましくは酸素原子、硫黄原子、CRX2RX3を表す。置換基としてはAr1 、Ar6 の置換基と同義である。RX1として好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、RX2、RX3として好ましくは、それぞれ水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホニル基、スルファモイル基、アシル基を表し、RX2とRX3は同時に水素原子ではない。さらに好ましくは、RX1、RX2、RX3で表されるアルキル基、アリール基またはヘテロ環基はAr1 、Ar6 の置換基で表されるアルキル基、アリール基またはヘテロ環基と同義である。RX2、RX3で表されるアルキル基として好ましくはペルフルオロアルキル基であり、フッ素を置換基として持つ直鎖、分岐または環状のアルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、更に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばトリフルオロメチル基、ペンタフルオロメチル基など)である。
RX2、RX3で表されるオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホニル基、スルファモイル基、アシル基として好ましくは脂肪族炭化水素基、アリール基またはヘテロ環基で置換されたオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホニル基、スルファモイル基、アシル基であり、R4a、R5a、R9a、R10a で表されるオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホニル基、スルファモイル基、アシル基と同義であり、好ましいものも同様である。
RX2とRX3は連結して環を形成してもよい。
【0026】
例えばL1 の例としては以下のものが挙げられる。
【0027】
【化9】
【0028】
次に一般式(II)について説明する。
Ar1 、R2 、R3 、Ar6 、R7 、R8 は一般式(I)と同義であり、好ましい範囲も同様である。R4b、R5b、R9b、R10b は、それぞれ水素原子、ヘテロ環基、ペルハロゲノアルキル基、シアノ基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホニル基、スルファモイル基、アシル基を表し、R4b、R5b、R9b、R10b がすべて同時に水素原子になることはない。L2 は2価のアリール基もしくは2価のヘテロ環基またはアリール基もしくはヘテロ環基を単結合、ビニル基、C=X基、シリル基、アリール基、芳香族ヘテロ6員環基またはこれの組み合せで連結した2価の基を表し、L2 が表す基の例はL1 の表す基の例の説明と同義である。
好ましくは、R4b、R5b、R9b、R10b で表されるヘテロ環基はR2 、R3 、R7 、R8 の置換基で表されるヘテロ環基と同義である。更に好ましくはベンズオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイミダゾールである。
R4b、R5b、R9b、R10b で表されるオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホニル基、スルファモイル基、アシル基として好ましくは脂肪族炭化水素基、アリール基またはヘテロ環基で置換されたオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホニル基、スルファモイル基、アシル基である。
【0029】
この場合の脂肪族炭化水素基は、R2 、R3 、R7 、R8 で表される脂肪族炭化水素基と同義であり、好ましくはアルキル基、アルケニル基であり、より好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、トリフルオロメチル基、アリル基などである。
アリール基として、好ましくはR2 、R3 、R7 、R8 であらわされるアリール基と同義である。ヘテロ環基として、好ましくはR2 、R3 、R7 、R8 であらわされるヘテロ環基と同義であり、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。
【0030】
R4b、R5b、R9b、R10b はより好ましくは水素原子、ヘテロ環基、ペルハロゲノアルキル基、シアノ基、オキシカルボニル基、スルホニル基、アシル基を表す。
【0031】
次に一般式(III)について説明する。
式中、Ar2 、Ar3 、Ar7 、Ar8 は同一または異なっていてもよくそれぞれアリール基またはヘテロ環基を表し、一般式(I)のR2 、R3 、R7 、R8 の表すアリール基またはヘテロ環基と同義であり、好ましい範囲も同様である。R4c、R9cは同じでも異なってもよくヘテロ環基、ペルハロゲノアルキル基、シアノ基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホニル基、スルファモイル基、またはアシル基を表し、一般式(II)のR4b、R5b、R9b、R10b の表すこれらの基と同義であり、好ましい範囲も同様である。Ar1 、Ar6 、L2 は一般式(II)と同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0032】
次に一般式(IV)について説明する。
式中、Ar2 、Ar3 、Ar7 、Ar8 は一般式(III)と同義であり、好ましい範囲も同様である。Rx 、Ry はそれぞれ置換基(Ar1 の置換基として挙げたものが適用される)を表す。m、nはそれぞれ0ないし4の整数を表し、m、nが2ないし4のとき、複数のRx 、Ry は同じであっても異なってもよい。Ar2 、Ar3 、Rx およびAr7 、Ar8 、Ry はそれぞれ連結して環を形成してもよく、形成した環は好ましくは5〜7員環を表す。R4d、R9dは同一または異なっていてもよく、それぞれ、ヘテロ環基、シアノ基、オキシカルボニル基、スルホニル基、アシル基を表し、一般式(II)のR4b、R5b、R9b、R10b の表すこれらの基と同義であり、好ましい範囲も同様である。L3 は2価のアリール基もしくは2価のヘテロ環基、またはアリール基間もしくはヘテロ環基間、もしくはアリール基とヘテロ環基間を単結合、ビニル基、アリール基、芳香族ヘテロ5ないし6員環基(芳香族ヘテロ5員環基は好ましくは炭素原子、窒素原子、酸素原子からなる)で連結した2価の基を表す。L3 が表すアリール基もしくはヘテロ環基は好ましくは一般式(I)のAr1 、Ar6 のアルキル基、へテロ環基と同義であり、さらに好ましくは1〜3環のアリール基、もしくはチオフェン環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、トリアジン環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、またはこれらとベンゼン環が縮環を形成した2〜3環のヘテロ環基をあらわす。
m、nは共に0である場合が好ましい。
L3 は特に好ましくは単環または縮環した2ないし3環のアリール基またはヘテロ環基を表す。
【0033】
また、一般式(I)〜(IV)で表される化合物は低分子量化合物であっても良いし、一般式(I)〜(IV)で表される残基がポリマー主鎖に接続された高分子量化合物(好ましくは重量平均分子量1000〜5000000、特に好ましくは5000〜2000000、さらに好ましくは10000〜1000000)もしくは、一般式(I)〜(IV)の骨格を主鎖にもつ高分子量化合物(好ましくは重量平均分子量1000〜5000000、特に好ましくは5000〜2000000、更に好ましくは10000〜1000000)であってもよい。高分子量化合物の場合は、ホモポリマーであっても良いし、他のモノマーとの共重合体であっても良い。
一般式(I)〜(IV)で表される化合物としては、好ましくは、低分子量化合物である。また、一般式(I)〜(IV)は便宜的に極限構造式で表しているが、その互変異性体であってもよい。
【0034】
一般式(I)で表される化合物の置換基の好ましい組み合わせについて説明する。Ar1 、Ar6 は2価の炭素数6〜20の単環もしくは二環のアリール基、または窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子を含む炭素数1〜20の2価の5ないし6員の芳香族ヘテロ環基を表す。R2 、R3 、R7 、R8 は同一または異なっていてもよくそれぞれ炭素数6〜30の単環ないし四環のアリール基、窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子を含む炭素数1〜20の5ないし6員の芳香族ヘテロ環基または炭素数1〜20のアルキル基である。Ar1 、Ar6 、R2 、R3 、R7 、R8 は置換基を有してもよく、置換基としてはアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、ヘテロ環基であり、さらに置換されていても良い。Ar1 、R2 、R3 およびAr6 、R7 、R8 は連結して環を形成してもよく、形成される環として好ましくは5員環ないし7員環である。
R4a、R5a、R9a、R10a は同一または異なっていてもよく、それぞれ水素原子、置換基を表し、R4a、R5a、R9a、R10a の少なくとも一つはHammetのσp値が0.2以上の電子吸引性基を表す。置換基としてはアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基、アシル基、オキシカルボニル基、カルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルホニル基、スルファモイル基、カルバモイル基、シアノ基、ヘテロ環基を表す。
Ar1 、R2 、R3 、R4a、R5aは互いに連結して環を形成してもよい。また、R9a、R10a 、Ar6 、R7 、R8 は互いに連結して環を形成してもよい。また、R4a、R5a、R9a、R10a は互いに連結して環を形成してもよい。好ましくは、Ar1 、R2 、R3 ;Ar6 、R7 、R8 ;Ar1 とR4a;Ar6 とR9a;Ar1 とR5aおよびAr6 とR10a が互いに連結して環を形成するのがよい。
【0035】
L1 は2価のアリール基もしくはヘテロ環基、またはアリール基間もしくはヘテロ環基間、もしくはアリール基とヘトロ環基間を単結合、ビニル基、C=X基、シリル基、アリール基、芳香族ヘテロ5ないし6員環基(芳香族ヘテロ5員環基は好ましくは炭素原子、窒素原子、酸素原子からなる)またはこれらの組み合せで連結した2価の基を表す。ここで、2価のアリール基もしくはヘテロ環基は2価の炭素数6〜20の単環または二環のアリール基、または窒素原子、酸素原子または硫黄原子を含む炭素数1〜20の2価の5ないし6員の芳香族ヘテロ環基を表す。さらにヘテロ環と縮合環が縮環して2〜5環を形成しても良い。ヘテロ環基としてさらに好ましくはチオフェン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾールを表す。L1 と、R4a及びR5aの少なくとも1つが互いに、及び/又は、L1 と、R9a及びR10aの少なくとも1つが互いに連結して環を形成してもよい。Xは酸素原子、硫黄原子、N−RX1、CRX2RX3を表し、RX1、RX2、RX3は同一または異なっていてもよく、それぞれ水素原子または置換基を表す。より好ましくは酸素原子、硫黄原子、CRX2RX3を表す。RX1として好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、RX2、RX3として好ましくは、それぞれ水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホニル基、スルファモイル基、アシル基を表し、RX2とRX3は同時に水素原子ではない。さらに好ましくは、RX1、RX2、RX3で表されるアルキル基、アリール基またはヘテロ環基はAr1 、Ar6 の置換基で表される同義でありアルキル基、アリール基またはヘテロ環基と同義である。
RX2、RX3で表されるアルキル基として好ましくはペルフルオロアルキル基であり、フッ素を置換基として持つ直鎖、分岐または環状のアルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜20、更に好ましくは1〜12であり、例えばトリフルオロメチル基、ペンタフルオロメチル基など)である。
RX2、RX3で表されるオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホニル基、スルファモイル基、アシル基として好ましくは脂肪族炭化水素基、アリール基またはヘテロ環基で置換されたオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホニル基、スルファモイル基、アシル基であり、R4a、R5a、R9a、R10a で表されるオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホニル基、スルファモイル基、アシル基と同義である。
【0036】
一般式(I)で表される化合物のさらに好ましい置換基の組み合わせは一般式(II)で表される。
Ar1 、R2 、R3 、Ar6 、R7 、R8 は一般式(I)の組み合わせと同義である。L2 は2価のアリール基もしくは2価のヘテロ環基またはアリール基もしくはヘテロ環基を単結合、ビニル基、C=X基、シリル基、アリール基、芳香族ヘテロ6員環基またはこれらの組合せで連結した2価の基を表し、L2 が表す基はL1 が表す基の例と同義である。R4b、R5b、R9b、R10b は同じでも異なってもよく、水素原子、ヘテロ環基、ペルハロゲノアルキル基、シアノ基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホニル基、スルファモイル基、アシル基を表す。R4b、R5b、R9b、R10b がすべて同時に水素原子になることはない。R4b、R5b、R9b、R10b で表されるヘテロ環基は窒素原子、酸素原子または硫黄原子を含む炭素数1〜20の5ないし6員の芳香族ヘテロ環基であり、R4b、R5b、R9b、R10b で表されるオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホニル基、スルファモイル基、アシル基として好ましくは脂肪族炭化水素基、アリール基またはヘテロ環基で置換されたオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホニル基、スルファモイル基、アシル基である。
【0037】
この場合の脂肪族炭化水素基は、R2 、R3 、R7 、R8 であらわされる脂肪族炭化水素基と同義であり、好ましくはアルキル基、アルケニル基であり、より好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、トリフルオロメチル基、アリル基などである。
アリール基として、好ましくはR2 、R3 、R7 、R8 であらわされるアリール基と同義である。ヘテロ環基として、好ましくはR2 、R3 、R7 、R8 であらわされるヘテロ環基と同義であり、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。
【0038】
一般式(II)のさらに好ましい置換基の組み合わせは一般式(III)で表される。Ar1 、Ar6 、L2 は一般式(II)の組み合わせと同義である。Ar2 、Ar3 、Ar7 、Ar8 は炭素数6〜30のフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基または窒素原子、酸素原子または硫黄原子を含む炭素数1〜20の5ないし6員の芳香族ヘテロ環基であり、更に好ましくは窒素原子、硫黄原子を1ないし2原子含む5ないし6員の芳香族ヘテロ環基である。R4c、R9cは同じでも異なってもよく、ヘテロ環基、ペルハロゲノアルキル基、シアノ基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホニル基、スルファモイル基、アシル基を表す。
一般式(III)のさらに好ましい置換基の組み合わせは一般式(IV)で表される。Ar2 、Ar3 、Ar7 、Ar8 は一般式(III)の組み合わせと同義である。R4d、R9dは同一または異なっていてもよく、それぞれヘテロ環基、シアノ基、オキシカルボニル基、スルホニル基、アシル基を表す。L3 は2価の単環ないし2環のアリール基、それにヘテロ環基が縮環した2価の基もしくは2価のヘテロ環基、またはアリール基間もしくはヘテロ環基間、もしくはアリール基とヘテロ環基間を単結合、ビニル基、アリール基、芳香族ヘテロ6員環基、または炭素原子、窒素原子、酸素原子からなる芳香族ヘテロ5員環基で連結した2価の基を表す。L3 が表すアリール基もしくはヘテロ環基は好ましくは一般式(I)のAr1 、Ar6 のアリール基、へテロ環基と同義であり、さらに好ましくは1〜3環のアリール基、もしくはチオフェン環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、トリアジン環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、またはこれらとベンゼン環が縮環を形成した2〜3環のヘテロ環基を表す。L3 は特に好ましくは単環または縮環した2ないし3環のアリール基またはヘテロ環基を表す。m、nが共に0である。
【0039】
以下に一般式(I)で表される化合物の具体例を挙げるが本発明はこれらに限定されるものではない。
【0040】
【化10】
【0041】
【化11】
【0042】
【化12】
【0043】
【化13】
【0044】
【化14】
【0045】
【化15】
【0046】
【化16】
【0047】
【化17】
【0048】
【化18】
【0049】
【化19】
【0050】
次に本発明の一般式(I)で表される化合物の合成例の一部を以下に示す。
合成例−1
例示化合物(D−1)の合成
【0051】
【化20】
【0052】
テレフタルアルデヒド1.34gと4−ブロモベンジルシアニド4.31gをt−ブタノール50mlに溶解し、さらにt−ブトキシカリウム2.24gを添加し8時間加熱還流した。反応液を一晩放冷し、析出した結晶を濾取、乾燥し中間体A4.8gを得た。つぎに、窒素雰囲気下、ジフェニルアミン0.71gをo−キシレン15mlに溶解したものに、t−ブトキシナトリウム0.46g、酢酸パラジウム0.0224g、中間体A0.98g、t−ブチルホスフィン0.08gを順次添加し105℃で8時間加熱攪拌した。反応終了後、反応液に酢酸エチルを添加し、セライトろ過にて不溶分を除去した。得られた酢酸エチル溶液を水洗、脱水後、濃縮し、得られた結晶をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製した。得られた結晶をクロロホルム−酢酸エチル(1:2)で2回再結晶し、目的の例示化合物(D−1)807mgを得た。(吸収スペクトルλmax=458nm ジクロロエタン中)。
合成例−2
合成例−1と同様の方法で目的の例示化合物(D−3)1.33gを得た。(吸収スペクトルλmax =476nm ジクロロエタン中)。
合成例−3
合成例−1と同様の方法で目的の例示化合物(D−2)1.50gを得た。(吸収スペクトルλmax =449nm ジクロロエタン中)。
合成例−4
合成例−1と同様の方法で目的の例示化合物(D−36)1.12gを得た。(吸収スペクトルλmax =462nm ジクロロエタン中)。
合成例−5
合成例−1と同様の方法で目的の例示化合物(D−37)0.92gを得た。(吸収スペクトルλmax =464nm ジクロロエタン中)。
【0053】
次に、本発明のアミン化合物を含有する発光素子に関して説明する。本発明のアミン化合物を含有する発光素子の有機層の形成方法は、特に限定されるものではないが、抵抗加熱蒸着、電子ビーム、スパッタリング、分子積層法、コーティング法、インクジェット法、印刷法などの方法が用いられ、特性面、製造面で抵抗加熱蒸着、コーティング法が好ましい。
【0054】
本発明の発光素子は陽極、陰極の一対の電極間に発光層もしくは発光層を含む複数の有機化合物薄層を形成した素子であり、発光層のほか正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、保護層などを有してもよく、またこれらの各層はそれぞれ他の機能を備えたものであってもよい。各層の形成にはそれぞれ種々の材料を用いることができる。
【0055】
陽極は正孔注入層、正孔輸送層、発光層などに正孔を供給するものであり、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、またはこれらの混合物などを用いることができ、好ましくは仕事関数が4eV以上の材料である。具体例としては酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)等の導電性金属酸化物、あるいは金、銀、クロム、ニッケル等の金属、さらにこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物または積層物、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールなどの有機導電性材料、およびこれらとITOとの積層物などが挙げられ、好ましくは、導電性金属酸化物であり、特に、生産性、高導電性、透明性等の点からITOが好ましい。陽極の膜厚は材料により適宜選択可能であるが、通常10nm〜5μmの範囲のものが好ましく、より好ましくは50nm〜1μmであり、更に好ましくは100nm〜500nmである。
【0056】
陽極は通常、ソーダライムガラス、無アルカリガラス、透明樹脂基板などの上に層形成したものが用いられる。ガラスを用いる場合、その材質については、ガラスからの溶出イオンを少なくするため、無アルカリガラスを用いることが好ましい。また、ソーダライムガラスを用いる場合、シリカなどのバリアコートを施したものを使用することが好ましい。基板の厚みは、機械的強度を保つのに十分であれば特に制限はないが、ガラスを用いる場合には、通常0.2mm以上、好ましくは0.7mm以上のものを用いる。陽極の作製には材料によって種々の方法が用いられるが、例えばITOの場合、電子ビーム法、スパッタリング法、抵抗加熱蒸着法、化学反応法(ゾル−ゲル法など)、酸化インジウムスズの分散物の塗布などの方法で膜形成される。陽極は洗浄その他の処理により、素子の駆動電圧を下げたり、発光効率を高めることも可能である。例えばITOの場合、UV−オゾン処理、プラズマ処理などが効果的である。
【0057】
陰極は電子注入層、電子輸送層、発光層などに電子を供給するものであり、電子注入層、電子輸送層、発光層などの負極と隣接する層との密着性やイオン化ポテンシャル、安定性等を考慮して選ばれる。陰極の材料としては金属、合金、金属ハロゲン化物、金属酸化物、電気伝導性化合物、またはこれらの混合物を用いることができ、具体例としてはアルカリ金属(例えばLi、Na、K、Cs等)及びそのフッ化物、アルカリ土類金属(例えばMg、Ca等)及びそのフッ化物、金、銀、鉛、アルニウム、ナトリウム−カリウム合金またはそれらの混合金属、リチウム−アルミニウム合金またはそれらの混合金属、マグネシウム−銀合金またはそれらの混合金属、インジウム、イッテリビウム等の希土類金属等が挙げられ、好ましくは仕事関数が4eV以下の材料であり、より好ましくはアルミニウム、リチウム−アルミニウム合金またはそれらの混合金属、マグネシウム−銀合金またはそれらの混合金属等である。陰極は、上記化合物及び混合物の単層構造だけでなく、上記化合物及び混合物を含む積層構造を取ることもできる。陰極の膜厚は材料により適宜選択可能であるが、通常10nm〜5μmの範囲のものが好ましく、より好ましくは50nm〜1μmであり、更に好ましくは100nm〜1μmである。陰極の作製には電子ビーム法、スパッタリング法、抵抗加熱蒸着法、コーティング法などの方法が用いられ、金属を単体で蒸着することも、二成分以上を同時に蒸着することもできる。さらに、複数の金属を同時に蒸着して合金電極を形成することも可能であり、またあらかじめ調整した合金を蒸着させてもよい。陽極及び陰極のシート抵抗は低い方が好ましく、数百Ω/□以下が好ましい。
【0058】
発光層の材料は、電界印加時に陽極または正孔注入層、正孔輸送層から正孔を注入することができると共に陰極または電子注入層、電子輸送層から電子を注入することができる機能や、注入された電荷を移動させる機能、正孔と電子の再結合の場を提供して発光させる機能を有する層を形成することができるものであれば何でもよい。好ましくは発光層に本発明のアミン化合物を含有するものであるが、他の発光材料を用いることもできる。例えばベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、スチリルベンゼン誘導体、ポリフェニル誘導体、ジフェニルブタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、ナフタルイミド誘導体、クマリン誘導体、ペリレン誘導体、ペリノン誘導体、オキサジアゾール誘導体、アルダジン誘導体、ピラリジン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体、キナクリドン誘導体、ピロロピリジン誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、スチリルアミン誘導体、芳香族ジメチリディン化合物、8−キノリノール誘導体の金属錯体や希土類錯体に代表される各種金属錯体等、ポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン等のポリマー化合物等が挙げられる。発光層の膜厚は特に限定されるものではないが、通常1nm〜5μmの範囲のものが好ましく、より好ましくは5nm〜1μmであり、更に好ましくは10nm〜500nmである。
発光層の形成方法は、特に限定されるものではないが、抵抗加熱蒸着、電子ビーム、スパッタリング、分子積層法、コーティング法(スピンコート法、キャスト法、ディップコート法など)、LB法、インクジェット法、印刷法などの方法が用いられ、好ましくは抵抗加熱蒸着、コーティング法である。
【0059】
正孔注入層、正孔輸送層の材料は、陽極から正孔を注入する機能、正孔を輸送する機能、陰極から注入された電子を障壁する機能のいずれか有しているものであればよい。その具体例としては、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)誘導体、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー等が挙げられる。正孔注入層、正孔輸送層の膜厚は特に限定されるものではないが、通常1nm〜5μmの範囲のものが好ましく、より好ましくは5nm〜1μmであり、更に好ましくは10nm〜500nmである。正孔注入層、正孔輸送層は上述した材料の1種または2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成または異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
正孔注入層、正孔輸送層の形成方法としては、真空蒸着法やLB法やインクジェット法、印刷法、前記正孔注入輸送剤を溶媒に溶解または分散させてコーティングする方法(スピンコート法、キャスト法、ディップコート法など)が用いられる。コーティング法の場合、樹脂成分と共に溶解または分散することができ、樹脂成分としては例えば、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリブタジエン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル、ABS樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂などが挙げられる。
【0060】
電子注入層、電子輸送層の材料は、陰極から電子を注入する機能、電子を輸送する機能、陽極から注入された正孔を障壁する機能のいずれか有しているものであればよい。その具体例としては、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルビジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体等が挙げられる。電子注入層、電子輸送層の膜厚は特に限定されるものではないが、通常1nm〜5μmの範囲のものが好ましく、より好ましくは5nm〜1μmであり、更に好ましくは10nm〜500nmである。電子注入層、電子輸送層は上述した材料の1種または2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成または異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
電子注入層、電子輸送層の形成方法としては、真空蒸着法やLB法やインクジェット法、印刷法、前記電子注入輸送剤を溶媒に溶解または分散させてコーティングする方法(スピンコート法、キャスト法、ディップコート法など)などが用いられる。コーティング法の場合、樹脂成分と共に溶解または分散することができ、樹脂成分としては例えば、正孔注入輸送層の場合に例示したものが適用できる。
【0061】
保護層の材料としては水分や酸素等の素子劣化を促進するものが素子内に入ることを抑止する機能を有しているものであればよい。その具体例としては、In、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Al、Ti、Ni等の金属、MgO、SiO、SiO2 、Al2O3 、GeO、NiO、CaO、BaO、Fe2O3 、Y2O3、TiO2等の金属酸化物、MgF2、LiF、AlF3、CaF2等の金属フッ化物、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリウレア、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリジクロロジフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンとジクロロジフルオロエチレンとの共重合体、テトラフルオロエチレンと少なくとも1種のコモノマーとを含むモノマー混合物を共重合させて得られる共重合体、共重合主鎖に環状構造を有する含フッ素共重合体、吸水率1%以上の吸水性物質、吸水率0.1%以下の防湿性物質等が挙げられる。
保護層の形成方法についても特に限定はなく、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、MBE(分子線エピタキシ)法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法(高周波励起イオンプレーティング法)、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、ガスソースCVD法、コーティング法、インクジェット法を適用できる。
【0062】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
実施例1
25mm×25mm×0.7mmのガラス基板上にITOを150nmの厚さで製膜したもの(東京三容真空(株)製)を透明支持基板とした。この透明支持基板をエッチング、洗浄後、銅フタロシアニンを約10nm蒸着した。次にTPD(N,N' −ビス(3−メチルフェニル)−N,N' −ジフェニルベンジジン)約40nm、表1記載の化合物を約40nmおよび第四層としてAlq(トリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム)約20nmを順に10-3〜10-4Paの真空中で、基板温度室温の条件下蒸着した。有機薄層上にパターニングしたマスク(発光面積が5mm×5mmとなるマスク)を設置し、蒸着装置内でマグネシウム:銀=10:1を250nm共蒸着した後、銀300nmを蒸着し、素子を作製した。
東陽テクニカ製ソースメジャーユニット2400型を用いて、直流定電圧をEL素子に印加し発光させ、その輝度をトプコン社の輝度計BM−8、発光波長を浜松ホトニクス社製スペクトルアナライザーPMA−11を用いて測定した。その結果を表1に示す。
また、Alqの替わりに、化合物ET−1を用いて素子を作製評価した。
【0063】
【表1】
【0064】
○:目視でダークスポットが確認できない
△:ダークスポットが少ない
×:ダークスポットが多い
【0065】
【化21】
【0066】
表1の結果から明らかな様に、比較化合物は緑青色発光するのに対し、本発明の化合物は単独で発光層として用いると橙色から赤色で高輝度発光が可能である。また、耐久性に優れた発光材料となりうることが示された。また、ET−1と組み合わせるとより高輝度発光可能であることが示された。
【0067】
実施例2
実施例1と同様にITO基板をエッチング、洗浄後、TPD約40nm蒸着した後、表2記載の化合物およびAlq(トリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム)をそれぞれ蒸着速度0.004nm/秒、0.4nm/秒で膜厚約40nmとなるように共蒸着した。さらにAlqを単独で20nm蒸着し、次いで実施例1と同様に陰極を蒸着し、評価を行った。結果を表2に示す。
【0068】
【表2】
【0069】
表2の結果から明らかな様に、本発明の化合物をドープ色素として用いると高輝度発光が可能で、耐久性に優れた発光材料となりうることが示された。
実施例3
実施例1と同様にITO基板をエッチング、洗浄後、ポリ(N−ビニルカルバゾール)40mg、PBD(2−(4−ビフェニルイル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール)12mg、表1記載の化合物0.5mgを1,2−ジクロロエタン3mlに溶解し、洗浄したITO基板上にスピンコートした。生成した有機薄層の膜厚は、約100nmであった。次いで実施例1と同様に陰極を蒸着し、評価を行った。結果を表3に示す。
【0070】
【表3】
【0071】
表3の結果から明らかな様に、本発明の化合物を用いた素子では、比較化合物に比べ、通常発光輝度が低い塗布方式においても低電圧駆動、高輝度発光が可能である。
【0072】
実施例4
実施例1と同様にITO基板をエッチング、洗浄後、例示化合物D−1を約60nm蒸着した後、Alqを約40nm蒸着した。次いで実施例1と同様に陰極を蒸着した。
作成した素子を評価した結果、15Vで輝度2500cd/m2を示した。λmax=602nm、CIE色度(x、y)=(0.57、0.41)の高輝度発光が観測され、本発明の化合物が正孔注入輸送剤兼発光剤として有効であることがわかった。
【0073】
実施例5
実施例1と同様にエッチング、洗浄したITOガラス基板上に、NPD(N,N' −ビス(1−ナフチル)−N,N' −ジフェニルベンジジン)を約40nm、例示化合物D−5を約20nm、バソクプロインを約10nmおよびAlq(トリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム)約30nmを蒸着した。次いで実施例1と同様に陰極を蒸着した。作成した素子を評価した結果、16Vで輝度3500cd/m2の高輝度発光を示した。
実施例6
実施例1と同様にエッチング、洗浄したITOガラス基板上に、ポリ(N−ビニルカルバゾール)40mg、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール12mg、1,1,4,4−テトラフェニルブタジエン10mg、および本発明の例示化合物D−1 0.1mgを1,2−ジクロロエタン3mlに溶解した溶液をスピンコートした。このときの有機層の膜厚は約120nmであった。次いで実施例1と同様に陰極を蒸着した。この素子にITO電極を陽極、Mg:Ag電極を陰極として直流電圧を印加して発光特性を調べたところ、15VでCIE色度図上(x、y)=(0.36、0.35)の白色発光(輝度2200cd/m2)が得られ、白色発光に有効であることがわかった。
【0074】
【化22】
【0075】
【発明の効果】
本発明のトリアリールアミン化合物を含有する有機発光素子は、高輝度発光可能であり、特に従来高輝度発光が困難とされていた非ドープ型素子(発光層を単独色素で形成した素子)で高輝度発光を可能にし、耐久性に優れる素子を与えるという特徴を有する。これによってドープ型素子に比べ素子間の性能のばらつきが小さく製造コスト面等で有利な素子作製が可能となる。また。通常発光輝度の低い塗布方式でも良好な発光特性が得られる。
Claims (6)
- 下記一般式(I)で表される化合物であることを特徴とする有機発光素子材料。
一般式(I)
- 電極間に少なくとも一層の有機薄層を含有する発光素子において、請求項1〜4に記載の一般式(I)〜(IV)で表される化合物を少なくとも一つ有することを特徴とする発光素子。
- 電極間に少なくとも一層の有機薄層を含有する発光素子において、請求項1〜4に記載の一般式(I)〜(IV)で表される化合物の少なくとも1種をポリマー中に分散した層を少なくとも一つ有することを特徴とする発光素子。
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