JP4252851B2 - 保冷保温容器および保冷保温容器用内袋 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品や医薬品等の保冷保温が必要な商品を配送する際などに用いる保冷保温容器に関し、さらに詳細には、容器本体に可撓性シートからなる内袋をスライド可能に係止した、内袋内容積が可変の保冷保温容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、組み立てが容易で、持ち運びの容易な保冷容器として、本体部と該本体部の1側面上部に取り付けた蓋部とで立方体又は直方体状に形成されたキャンバス製の外袋を構成し、該外袋の底部上に角形の底部断熱パネルを置き、ついでキャンパス製外袋の内側四周面に、側部断熱パネルを外袋の内面に沿って挿入して固着し、前記蓋部内にも断熱パネルを封入し、前記本体部と蓋部とで断熱パネルでシールされた保冷空間を形成した保冷容器が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、容器本体に内袋を着脱自在に収容したものとして、クーラーの内部に上開きの姿勢で着脱自在に収容される耐水性及び可撓性を有する薄膜材で形成された袋状本体と、袋状本体の開口縁から外方へ張り出すフランジ部とを備えたクーラー用内袋が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
また、箱と内袋とを組み合わせたものとして、折り畳み可能な段ボール箱と、内袋とからなり、段ボール箱の左右両側面の中央部には縦方向にさらに折畳折目が設けられる一方、内袋は外箱の少なくとも前後両側壁の両端部にて貼着されている折り畳み箱が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開2003−112786号公報
【特許文献2】
実開平5−68882号公報
【特許文献3】
実開平6−12371号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した従来技術はいずれも、容器本体に内袋を収容し、容器内に収容する物品が少ない場合に内袋を縮めて使用する技術思想は記載されていない。従って、収容する物品の量が少ない場合であっても容器内の内容積は一定であるので、余分なスペースが生じ、搬送中の振動により物品が動いて傷付いたり、物品と冷却剤とが離れて冷却効率が低下する問題がある。また、冷却剤としてドライアイスを用いる場合、容器本体内に物品以外の余分なスペースが大きくなるとドライアイスが無駄に気化し易くなり、少ない物品を冷やす時でも多量の冷却剤が必要となり、搬送コストの増加をまねく問題がある。
【0005】
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、容器本体に可撓性シートからなる内袋をスライド可能に係止し、収容する物品が少量の場合には内袋を縮めることができる、内袋内容積が可変の保冷保温容器の提供を目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために本発明は、底面部とその周縁から立設した側壁部とからなる断熱性を有する容器本体と、前記容器本体内に着脱可能に収容される可撓性シートからなる内袋とを備えた保冷保温容器であって、前記容器本体の開口端面に係止部が設けられ、前記内袋の開口周縁に裏面が前記係止部に着脱可能に係止される仮着部が設けられ、前記内袋は、前記仮着部が設けられている以外の二辺が折り込み可能とされていることを特徴とする保冷保温容器を提供する。
本発明の保冷保温容器において、前記容器本体は天面側の開口が平面視四角形をなしており、前記内袋の仮着部は、前記容器本体の開口の四辺のうち、対向する二辺上に係止されるとともに、少なくとも一方の仮着部が残る二辺上のいずれかの係止部に係止されることが好ましい。
また前記内袋は、広げた際に平面視四角形の開口を有し、その対向する二辺に沿って前記仮着部が設けられ、前記仮着部は長手方向両端に延出部が設けられていることが好ましい。
また本発明は、前記保冷保温容器の容器本体内に着脱可能に収容される可撓性シートからなる保冷保温容器用内袋であって、開口周縁に裏面が前記係止部に着脱可能に係止される仮着部が設けられたことを特徴とする保冷保温容器用内袋を提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明を説明する。
図1〜4は本発明の保冷保温容器の一実施例を示す図であり、図1は保冷保温容器1の組立斜視図、図2は同じ保冷保温容器1の内袋3の最大収容状態を示す斜視図、図3は同じ保冷保温容器1の内袋3の半量収容状態を示す斜視図、図4は同じ保冷保温容器1の内袋3の最小収容状態を示す斜視図である。
【0008】
この保冷保温容器1は、底面部とその周縁から立設した側壁部とからなり天面側の開口が平面視四角形をなしている断熱性を有する容器本体2と、この容器本体2内に着脱可能に収容される可撓性シートからなる内袋3とを備えた構成になっている。なお、通常この容器本体2には、その天面側の開口を開閉可能に塞ぐ図示していない蓋が設けられている。
【0009】
この容器本体2の開口端面には係止部5が設けられ、また内袋3の開口周縁には裏面が前記係止部5に着脱可能に係止される仮着部4が設けられている。これら係止部5と仮着部4との係止構造は、仮着部4に係止部5に着脱可能であればよく、特に限定されないが、例えば面ファスナー、一方に鉤止め孔、他方にフックやホック等の止め金具を設けた釦、スナップ、着脱用のバックルを有する連結金具、金属環とそれに係合する鉤形金具、磁石と磁石、又は磁石と強磁性体片との組合せなどの係止構造の中から適宜選択して用いることができる。本例示では、係止部5と仮着部4とに対をなす面ファスナーを固定した構成になっている。
【0010】
前記内袋3は、広げた際に平面視四角形の開口を有し、その対向する二辺に沿って帯状の仮着部4が設けられている。この内袋3は、可撓性シートを、図1に示すように広げた状態で有底箱形となるように成形されている。この内袋3は耐水性のあるシートを用いて水漏れしない構造とするのが好ましい。また、仮着部4が設けられている以外の二辺は、折り込み可能な折り目12が形成されていることが好ましい。
【0011】
この内袋3を構成するシートとしては、金属の反射膜層を有する合成樹脂製の遮熱シートが好ましい。この遮熱シートとしては、例えばポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリエチレン等の合成樹脂フィルムにアルミニウムまたはその他金属を蒸着した反射膜層あるいはアルミニウムまたはその他金属の箔を積層した反射膜層を有する積層シートなどが用いられる。この遮熱シートは、反射膜層により輻射熱の放出や侵入を阻止し、断熱性能を高め得る。
【0012】
容器本体2の断熱構造、使用する断熱材等は特に限定されないが、通常は発泡樹脂成形品を用いた断熱容器が用いられ、図1〜4に図示した例では、発泡樹脂断熱板を遮熱シートで覆った板状断熱材を、図示していない適当な外容器内で組み立てた構成になっている。この発泡樹脂板の材料としては、従来から発泡樹脂成形品製造のために用いられている樹脂材料の中から適宜選択して用いることができ、特に限定されず、例えば、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体等のポリスチレン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂等を挙げることができ、強度と成形性の良さからポリスチレン系樹脂が好ましい。
【0013】
次に、図2〜4を参照して本発明の保冷保温容器1における内袋3の係止位置可変機能を説明する。
容器本体2の開口端面は、平面視四角形をなしており、本例ではその四辺の端面に沿って係止部5が設けられている。この容器本体2に内袋3を収容する場合、内袋3の開口を広げ、図2に示すように、2つの仮着部4を容器本体2の開口の四辺のうち、対向する二辺上に係止する。図2に示すように2つの仮着部4を容器本体2の開口の四辺のうち、対向する二辺上に係止すると、内袋3の開口が実質的に全開した状態で内袋3が取り付けられ、内袋3の最大収容状態となる。
【0014】
この保冷保温容器1は、例えば保冷または保温が必要な食品、医薬品などの搬送用途に使用される。搬送される食品、医薬品等の物品は、冷却剤または蓄熱剤とともに内袋3内に収容される。保冷の場合に使用される冷却剤としては、冷蔵保冷の場合には氷や蓄冷剤等が用いられ、冷凍保冷の場合にはドライアイス等が用いられる。
【0015】
図2に示す最大収容状態とした内袋3に、例えば食品等の物品とドライアイス等の冷却剤を詰め込み、蓋を閉め、車両等に積み込んで目的地に搬送される。
このような物品の搬送形態としては、収容した物品の全てを1つの目的地に搬送するケースや、複数の目的地毎に収容した物品を少しずつ取り出しながら搬送するケースなどがある。複数の目的地毎に収容した物品、例えばドライアイスを冷却剤とした冷凍食品、医薬品等の物品を少しずつ取り出しながら搬送するケースでは、物品が少量になった場合に、物品の収容部に余分なスペースが増えるとドライアイスの気化が促進され、搬送途中でのドライアイス切れを防ぐために最初に大量のドライアイスを充填しておかなければならず、収容できる物品の量が減る問題がある。また使用するドライアイスの量が増え、搬送コストが増加する問題がある。本発明では、内袋3の容積を収容する物品の量に応じて調節することができ、ドライアイスの有効利用を図ることができる。
【0016】
すなわち、本発明の保冷保温容器1は、一方の仮着部4を他方の(容器本体開口の辺に沿って係止したままの)仮着部4と接近させる方向に動かし、所望の位置で係止することによって、内袋3の容積を変動させることができる。図3に示す半量収容状態では、容器本体2の長辺側の辺上に係止されていた一方の仮着部4を外し、他方の仮着部4に接近させるように、内袋3を縮めながら動かし、容器本体2の短辺の中央で係止させた状態である。一方の仮着部4は延出部6を容器本体2の短辺上に係止させることで、容易に外れない程度の力で係止し得る。
【0017】
さらに物品が少なくなった場合、図4に示すように、一方の仮着部4を他方の仮着部4と隣接する位置で係止し、内袋3の最小収容状態とし、ドライアイスの気化を最小限にすることができる。ここでは一方の仮着部4を他方の(容器本体開口の辺に沿って係止したままの)仮着部4と接近させる方向に動かす例を示したが、両方の仮着部4を同時に動かして接近させてもよいことは当然である。
【0018】
本発明の保冷保温容器1は、容器本体2の開口端面に係止部5を設け、容器本体2に収容する内袋3の開口周縁に裏面が係止部5に着脱可能に係止される仮着部4を設けた構成としたので、内袋3の容積を収容する物品の量に応じて調節することができ、収容する物品が少量の場合、内袋3を縮めて余分なスペースを減少させることによって、収容する物品が搬送時の振動等で動いて容器本体2の内壁に当たって傷付き、外観を損ねる等の不具合を防ぐことができる。
また収容する物品が少量の場合、内袋3を縮めて余分なスペースを減少させることによって、物品と冷却剤とが離れて保冷効果が低下することがなく、保冷効果を向上させることができる。
さらに、冷却剤としてドライアイスを用いる場合、収容する物品が少量の時には内袋3を縮めて余分なスペースを減少させることによって、ドライアイスの無駄な気化が抑制され、ドライアイスの使用量を低減して搬送コストを削減することができる。また、ドライアイスの使用量を削減することで、収容する物品量を増加でき、搬送効率が向上する。
【0019】
図5〜7は、内袋3の仮着部4の両端に設けられる延出部の形状を例示するものである。
図5に示す例では、帯状の仮着部4の両端に内袋3の開口端より突出して仮着部4を単に延出させて仮着部4と同じ幅の延出部6を形成している。
図6に示す例では、2本の仮着部4のそれぞれの両端に、それぞれが接近する方向に向かって延出し、仮着部4よりも太い延出部6aを形成している。これらの延出部6aは、仮着部4よりも太いので、仮着部4を容器本体2の短辺上に安定して係止することができる。
図7に示す例では、2本の仮着部4のそれぞれの両端に、図6の延出部6aよりも太い延出部6bを形成している。これらの延出部6bは、仮着部4よりも太いので、仮着部4を容器本体2の短辺上に安定して係止することができる。
【0020】
図8は、容器本体2に開閉可能な蓋7を取り付けた保冷保温容器を示す図である。この容器本体2としては、容器形状の発泡樹脂成形体とそれを包囲する合成樹脂製の外装体とからなる断熱容器や、容器形状の外装体の内部に板状の断熱材(断熱パネル)を入れて組み立てるタイプの断熱容器が用いられる。また蓋7にも発泡樹脂板が固定されている。この蓋7はヒンジ等によって容器本体2の上端部に開閉可能に取り付けられている。この容器本体4の開口端面には、四辺に沿って係止部5が設けられ、内袋3を容器本体内に入れ、この係止部5に内袋3の仮着部4を係止した状態で、蓋7を閉じることができるようになっている。
【0021】
図9及び10は、本発明の保冷保温容器の他の実施例を示す図であり、この例では容器本体8に別体の蓋9を嵌合して開口を閉じる直方体形状をなす保冷保温容器に内袋3を取り付けた構成になっている。
この容器本体8及び蓋9は、それぞれ発泡ポリスチレン樹脂成形体などの発泡樹脂成形体の一体成形品で構成されている。この種の保冷保温容器は、例えば、鮮魚を氷冷しながら搬送する目的で用いる魚箱等に用いられている。
【0022】
この容器本体8の開口端面には、図10に示すように厚さ方向中央部が周縁に沿って突出した凸部10が設けられている。一方、蓋9の下面周縁部には、この凸部10が嵌合する凹部11が設けられている。容器本体2の前記凸部10の裾部分のうち、容器内方側の面に係止部5が設けられている。容器本体8内には、この係止部5に係止可能な仮着部4を有する内袋3が、その仮着部4を係止部5に係止した状態で収容されている。なお、この係止部5に対応する蓋9の部分は、この係止部5に内袋3の仮着部4を係止して蓋9を閉めた時、蓋9側が係止部5や仮着部4と接触しないように若干薄肉化しておいてもよいし、接触させてもよい。
【0023】
この保冷保温容器は、容器本体8の開口端面に係止部5を設けるとともに、この係止部5に係止可能な仮着部4を有する内袋3を取り付けた構成としたので、前述した第1の実施例と同じく、内袋3の容積を収容する物品の量に応じて調節することができ、冷却剤、特にドライアイスの有効利用を図ることができるなどの効果が得られる。
【0024】
【発明の効果】
本発明の保冷保温容器は、容器本体の開口端面に係止部を設け、前記内袋の開口周縁に裏面が前記係止部に着脱可能に係止される仮着部を設けた構成としたので、内袋の容積を収容する物品の量に応じて調節することができ、収容する物品が少量の場合、内袋を縮めて余分なスペースを減少させることによって、収容する物品が搬送時の振動等で動いて容器本体の内壁に当たって傷付き、外観を損ねる等の不具合を防ぐことができる。
また収容する物品が少量の場合、内袋を縮めて余分なスペースを減少させることによって、物品と冷却剤とが離れて保冷効果が低下することがなく、保冷効果を向上させることができる。
さらに、冷却剤としてドライアイスを用いる場合、収容する物品が少量の時には内袋を縮めて余分なスペースを減少させることによって、ドライアイスの無駄な気化が抑制され、ドライアイスの使用量を低減して搬送コストを削減することができる。また、ドライアイスの使用量を削減することで、収容する物品量を増加でき、搬送効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の保冷保温容器の一実施例を示す組立斜視図である。
【図2】 同じ保冷保温容器の内袋の最大収容状態を示す斜視図である。
【図3】 同じ保冷保温容器の内袋の半量収容状態を示す斜視図である。
【図4】 同じ保冷保温容器の内袋の最小収容状態を示す斜視図である。
【図5】 内袋に設ける仮着部の延出部の第1の例を示す平面図である。
【図6】 内袋に設ける仮着部の延出部の第2の例を示す平面図である。
【図7】 内袋に設ける仮着部の延出部の第3の例を示す平面図である。
【図8】 蓋を有する容器本体を示す斜視図である。
【図9】 本発明の保冷保温容器の他の実施例を示す組立斜視図である。
【図10】 図9の保冷保温容器の蓋を閉めた状態の要部断面図である。
【符号の説明】
1…保冷保温容器、2,8…容器本体、3…内袋、4…仮着部、5…係止部、6,6a,6b…延出部、7,9…蓋、10…凸部、11…凹部、12…折り目。
Claims (4)
- 底面部とその周縁から立設した側壁部とからなる断熱性を有する容器本体と、該容器本体内に着脱可能に収容される可撓性シートからなる内袋とを備えた保冷保温容器であって、
前記容器本体の開口端面に係止部が設けられ、前記内袋の開口周縁に裏面が前記係止部に着脱可能に係止される仮着部が設けられ、前記内袋は、前記仮着部が設けられている以外の二辺が折り込み可能とされていることを特徴とする保冷保温容器。 - 前記容器本体は天面側の開口が平面視四角形をなしており、前記内袋の仮着部は、前記容器本体の開口の四辺のうち、対向する二辺上に係止されるとともに、少なくとも一方の仮着部が残る二辺上のいずれかの係止部に係止されるように構成された請求項1に記載の保冷保温容器。
- 前記内袋は、広げた際に平面視四角形の開口を有し、その対向する二辺に沿って前記仮着部が設けられ、前記仮着部は長手方向両端に延出部が設けられている請求項1又は2に記載の保冷保温容器。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の保冷保温容器の容器本体内に着脱可能に収容される可撓性シートからなる保冷保温容器用内袋であって、開口周縁に裏面が前記係止部に着脱可能に係止される仮着部が設けられたことを特徴とする保冷保温容器用内袋。
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