JP4252154B2 - 多層膜被覆部材 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハイス、超硬合金、サーメット等の超硬質合金基体上に、耐酸化性及び/又は耐摩耗性に優れた多層の被膜を被覆してなる多層膜被覆部材に関し、ドリル、エンドミル、フライス用スローアウェイチップに代表される切削工具、旋削工具等に最適な多層膜被覆部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ハイス、超硬合金、サーメット等の超硬質合金基体上に耐酸化性や耐摩耗性にすぐれたセラミックの被膜を被覆し、基体と被膜とのそれぞれの特性を有効に引き出して、長寿命を達成しようとした被覆部材は多数提案されている。
従来から、被覆工具の被膜としては、耐摩耗性に優れたTiN、TiCN等の皮膜が汎用的かつ一般的に使用されている。しかし、TiNを代表とする金属窒化物は高温で酸化され易く、耐摩耗性が著しく劣化するという問題がある。
近年、これらTiN被膜等の酸化の問題を改善しようとして、これら被膜にAlを含有させて耐摩耗性や耐酸化性等を向上させることが提案されており、その代表的なものとして、特開昭62−56565号公報、特公平4−53642号公報、特公平5−67705号公報等がある。
一方、被膜を被覆する方法としては、大別すると、化学蒸着法(CVD法)と物理蒸着法(PVD法)があり、このうち、イオンプレーティング法やスパッタ法等のPVD法により被覆した被膜は、基体の強度を劣化させることなく耐摩耗性を向上できることが知られており、このため、強度や耐欠損性を重要視するドリル、エンドミル、フライス用スローアウェイチップに代表される被覆切削工具等の被覆は、PVD法により被覆されているのが現状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前述した特開昭62−56565号公報等で提案されているAlを含有させた被膜、例えばTiとAlの炭化物、窒化物、又は炭窒化物の被膜を被覆した部材は、Alを含有していない被膜を被覆した部材に比べて耐酸化性及び耐摩耗性に優れた被覆部材ではあるが、その機械的性質は逆に劣化するという問題のあることが指摘されている。
すなわち、被膜中にAlを含有させることにより、被膜表面の化学的性質の向上を達成した反面、破壊靭性値が低下すること、特に高速切削用切削工具として用いた場合には工具の刃先温度が著しく高温になり、被膜の酸化、急激な摩耗の進行、熱衝撃性による劣化及び被削材との溶着により短寿命になるという問題がある。
特に近年は、切削速度が更に高速化する傾向にあり、また、熱処理後の高速度鋼を切削する等、過酷な条件での加工を要求される場合も多くなっており、かかる問題点の早急な解決が望まれている。
【0004】
また、特開平7−328811号公報などで、最外層にTiAlON等を被覆することにより被覆部材の耐酸化性を向上することも提案されているが、単に、最外層にTiとAlの酸化物を形成しただけでは、過酷な条件下の加工で要求されるような十分な耐酸化性を得るには至っていない。
更にまた、CVD法で一般的に用いられているアルミナ皮膜を、イオンプレーティング法で最外層に形成することも提案されている(特開平9−192906号公報)が、PVD法によるアルミナ被膜は密着性が弱く、実際の切削においては衝撃力によって被膜が剥離してしまい、いまだ満足いくものではない。
【0005】
本発明は、最近の高速切削においては刃先温度が著しく高温になり、被膜の酸化開始温度よりも高くなる場合がしばしばあることに鑑みて、このような高速切削においても、長寿命で且つ安定した切削ができる被覆部材を実現することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段及びその作用】
上記目的を達成するために、本出願人は、TiAlN層を例にして酸化のメカニズムを鋭意研究した結果、周期律表の4a、5a、6a族元素又はAlの炭化物、窒化物、炭窒化物、又はそれらの複合炭化物、複合窒化物、複合炭窒化物からなる第1の層と、周期律表の4a、5a、6a族元素又はAlの酸化物、炭酸化物、酸窒化物、炭酸窒化物、又はそれらの複合酸化物、複合炭酸化物、複合酸窒化物、複合炭酸窒化物からなる第2の層とを交互に積層することにより、優れた耐酸化性を有する被膜が形成出来ることを見出し、その知見に基づき完成した多層膜被覆部材にかかる発明を出願する。
【0007】
本願発明者等は、上記知見を基にして、更に詳細に多層膜の構成を解析・研究した結果、ハイス、超硬合金、サーメット等の超硬質合金からなる基体上に多層の被膜を被覆してなる多層膜被覆部材であり、該多層被覆は2以上の第1の層と2以上の第2の層を交互に積層してなり、該第1の層は周期律表の4a、5a、6a族、及びAlの少なくとも1の元素の炭化物、窒化物、炭窒化物からなる群から選ばれる少なくとも1つから構成され、該第2層は周期律表の4a、5a、6a族、及びAlの少なくとも1の元素の酸化物、炭酸化物、酸窒化物、炭酸窒化物からなる群から選ばれる少なくとも1つから構成することにより、皮膜の靭性の劣化なく高速切削が可能な優れた特性の多層膜被覆部材を実現できることを発明したものである。
本願発明の他の形態としては、上記第1の層と第2の層とが交互に積層され、前記第2の層及び該第2の層を介して隣り合う前記第1の層が同一の結晶方位性を有すること、すなわち、結晶の連続性を有すること、また第1の層(200)方向に配向させるという手段を採用する。
本願発明の更に他の形態としては、上記第1の層と第2の層とが交互に積層され、前記第2の層及び該第2の層を介して隣り合う前記第1の層が面心立方構造の結晶連続性を有すること、またさらに第1の層を(200)方向に配向させるという手段を採用する。更にまた、本願発明の他の形態として、上記第1の層と第2の層とが交互に積層され、前記第2の層が擬似的超格子構造を有するという手段を採用する。
【0008】
以下、理解を容易にするために、耐酸化性に優れると言われるTiAlN層を上記第1の層とし、上記第2の層をTiAlON層とした場合を例にして説明するが、本発明における第1の層及び第2の層がこれら層に限定されるものではない。
大気中でTiAlN層の酸化テストを行った場合、被膜表面近傍のAlが最表面に拡散し、そこでアルミナを形成する。
本発明者等の研究によれば、このアルミナの形成が酸素の被膜内部への拡散を抑制し耐酸化性を向上せしめる理由であるが、この場合、アルミナ直下の被膜は、Alが最表面に拡散したためにAlの存在しないルチル構造のTi酸化物となる。このTi酸化物は非常にポーラスであり、最表面に形成されたアルミナは静的な酸化テストでは酸化の促進に対し酸素拡散のバリヤーとして機能するが、動的な切削においては、最表面のアルミナはポーラスなTiの酸化物層より容易に剥離してしまう結果となり、酸化の促進に対し、バリヤー効果を十分に発揮しなく、連続的に酸化が進行する。
【0009】
これに対し、TiAlN層の間に第2の層としてTiAlON層などの酸素を含有する層を介在させて積層構造にした場合には、第1の層であるTiAlN層からなる一つの層が上述のごとく酸化してポーラスなTiの酸化物層となって被膜内部へ酸化が進行しようとしても、その下層にあるTiAlON層からなる第2の層が酸化拡散の障壁として機能するため、特に被膜の酸化が動的な切削において被膜内部への酸化拡散が大幅に抑制される結果となり、切削において安定した長寿命が達成される。
なお、第1の層であるTiAlN層が酸化により剥離し、最表層となった第2の層であるTiAlON層も切削中に剥離もしくは摩滅により消滅するが、更に下層にある第2の層が同様に機能するため、被膜全体の耐酸化性を大幅に向上せしめる結果となる。したがって、第2の層は、できるだけ多く、好ましくは10層以上介在させることにより、十分に満足される切削寿命を達成することが出来る。更に望ましくは100〜500層程度である。
【0010】
図1は、本発明による多層被膜部材における被膜内部の構造を示す透過型電子顕微鏡(以下、TEMと称する。)写真である。理解しやすいように、図の左側部に補足線を入れてあるが、基体上にTiAlNからなる厚さ0.03〜0.05μm程度の第1の層が、補足線で示す極めて薄い第2の層を介して多層に形成されている。
図2は、図1に示した本発明多層被膜部材における第1の層及び第2の層についてのTEMによる拡大写真である。また、第2の層のエネルギー分散型X線分光器(以下、EDXと称する。)分析及び電子エネルギー損失分光法(以下、EELSと称する。)による解析結果を図3及び図4に示す。
このEDX及びEELSの解析結果から、第2の層はTi及びAlの化合物であり、N及びOを含有する化合物、すなわちTiAlONからなる層であることがわかる。
また、図2において、第2の層は、厚さ1〜2nm程度の極めて薄い層としているため、第2の層及び第2の層を介して隣り合う二つの第1の層の組織を観察すると、第2の層が存在するにもかかわらず、結晶の連続性が維持されていることが判る。
【0011】
すなわち、図1乃至図4により例示したように、本発明の多層被膜部材は、周期律表の4a、5a、6a族元素又はAlの炭化物、窒化物、炭窒化物、又はそれらの複合炭化物、複合窒化物、複合炭窒化物からなる第1の層と、周期律表の4a、5a、6a族元素又はAlの炭酸化物、酸窒化物、炭酸窒化物、又はそれらの複合炭酸化物、複合酸窒化物、複合炭酸窒化物からなる薄い第2の層とが交互に積層し、かつ第2の層を介して隣り合う第1の層の相互間には結晶の連続性が維持されていることを基本的な構成とするものである。
【0012】
上記基本構成の本発明多層被覆部材において、結晶の構造は面心立方構造(FCC構造)とすることがより望ましい。一般に、PVD法により被覆した被膜は、基体の強度を劣化させることなく耐摩耗性を向上できるとされており、本発明多層被覆部材においても、PVD法により被膜形成することが好ましい。この場合、被膜の結晶構造をFCC構造にすると、結晶の連続性を損なわずに安定した被膜形成を行うことが出来る。
また、FCC構造の結晶をもつ被膜は、他の構造の被膜に比べて、耐摩耗性においてより優れた特性を有している。
【0013】
上述した基本構成の本発明多層被膜部材においては、第1の層と第2の層の間に被膜形成時の残留応力に大きな差異がある場合には、第1の層と第2の層の界面に残留応力の差に起因する高い剪断応力が作用し、この剪断応力が被膜の密着性を損なう原因となる。
被膜そのものの残留圧縮応力は、コーティング条件に強く依存する。一般に、イオンのエネルギーが低い条件下でのコーティングにおいては被膜の残留応力は低い結果となり、反対にイオンのエネルギーが高い条件下のコーティングにおいては被膜の残留応力は高くなる。
本発明者等の研究によれば、残留応力が低い場合には被膜は(200)に配向する傾向にある。したがって、本発明においては、単に結晶の連続性を有するのみならず、被膜を(200)方向に配向することによって、被膜の密着度を高めて耐摩耗性を向上できるのである。
成膜時に、イオンのエネルギーを決定するのは、主に基体に付与するバイアス電圧と真空度である。したがって、(200)に配向するには、これら要件を適宜選択設定することにより実現できる。また、配向方向は、X線回折により容易に判定することができる。
【0014】
また、多結晶の超格子構造膜は、例えば真空アーク放電を用いたイオンプレーティング法により作成したTiN/VN超格子薄膜等が知られており、その積層周期が5.2nmにおいて硬度が極大となると報告されているように、高い硬度を有する被膜を実現される。
本発明者等は、本発明多層被覆部材における第2の層が極めて薄い(例えば、数nm程度)場合には、このような超格子構造によく似た構造の膜となることを見出した。本発明多層被覆部材における第1の層は超格子を構成するには比較的厚いので、本発明においては、これを擬似的な超格子構造と称する。この擬似的な超格子構造の多層被膜部材の場合には、被膜自体の硬度が高いことが予測され、また被膜相互間の結合も強固となるため、より一層優れた耐摩耗性を有するものとなる。
【0015】
本発明の多層被膜部材において、第1の層自体の耐酸化性を向上すべく、本発明者等は種々の第三成分の添加を試みたが、その結果、Si又は3a族金属のY、Nd、Sm、Scの添加において、被膜の耐酸化性が向上することがわかった。これらの成分は、第1の被膜の結晶粒界に偏析し、粒界での酸素の拡散を抑制し、被膜の耐酸化性を向上せしめる効果があるものと考えられる。
この第三成分の置換量は、1原子%未満だと耐酸化性の向上に効果がなく、一方、30原子%を越えて含有させると被膜の耐摩耗性を劣化させるため、1〜30原子%の範囲で置換することが望ましい。更に、望ましくは1〜10原子%の範囲である。
【0016】
また、本発明の多層被膜部材における第2の層は、酸素を含有する層であり、被膜内部への酸化拡散を防止すると共に、第1の層と結晶構造の連続性を形成せしめることにより層間の密着性を格段に向上し、切削中の剥離を発生しなくなる働きを持つ。
この第2の層の厚さは、1nm未満だと耐酸化性の向上に効果が無く、200nmを越えると酸化物内で破壊が発生し、その結果、被膜が剥離する場合があるため、1〜200nmの範囲とすることが望ましい。
また、擬似的な超格子構造として、その作用・効果を享受しようとする場合などには、1〜10nmの範囲とすることが好ましい。
【0017】
本発明の多層膜被覆部材において、上記多層膜のうちの最外層を、周期律表の4a、5a、6a族元素とAlの複合酸化物、複合炭酸化物、複合酸窒化物、複合炭酸窒化物からなる層とすることにより、切削初期での耐酸化性を向上させると共に、被加工物に対する耐溶着性も向上し、切削における更なる長寿命化を図ることが出来る。
この場合、最外層膜がアモルファス状の結晶構造の場合、より一層の耐酸化性の向上が認められる。つまり、酸素は粒界で優先的に拡散するため、粒界のないアモルファス層であると、一層酸素の拡散が抑制され耐酸化性の向上に効果的であると考えられる。
【0018】
また、最外層の酸化物層がγ、κ、θ、αといった結晶質にした場合には、多少耐酸化性は劣化するが、最外層そのものが硬質となり、耐摩耗性を向上させるため、切削用途によって、アモルファス層とするか結晶層とするか、選択することが好ましい。いずれにおいても厚さは5nm未満であると耐酸化性の向上に効果が少なく、500nmを越えると密着性が劣化するため5〜500nmの範囲が好ましい。
【0019】
本発明の多層膜被覆部材において、多層膜のうちの最内層は、基体との密着性に優れた層とすることが好ましい。このような密着強化層の一つとして、例えばTiN層である。またTi、TiAlといった金属層は皮膜の残留圧縮応力を低減させ皮膜の密着性を向上させる働きを有する。いずれにおいても厚さが2nm未満であると密着性向上に効果がなく、5000nmを越えると皮膜全体の密着性が劣化するため、2〜5000nmの範囲が好ましい。
【0020】
さて、上記に層構造及び個々の層の組成、結晶形態等について述べたが、その成膜方法と欠陥の関係より更に考察する。酸化は皮膜の結晶粒子そのものの酸化と結晶粒子の粒界での酸素拡散により進行する。結晶粒界は格子欠陥が多数あり、ここでの酸素の拡散速度は結晶内部での酸素拡散速度の数十倍となり、皮膜の酸化は結晶粒界の欠陥密度に比例して速くなる。従って皮膜の結晶粒界の格子欠陥をなくせば、理論的には酸化速度は十数分の一となることになる。このような格子欠陥は結晶粒界だけでなく、結晶粒内にも多数存在し、皮膜密度を理論値より低いものとするものである。従って皮膜の密度を向上すれば、確実に皮膜の耐酸化性は向上すると考えられる。
【0021】
一方、現状の物理蒸着法によるコーティングはイオンプレーティングと呼ばれるようにエレクトロンビーム法(ホロカソード法)、スパッタリング法、マグネトロンスパッタリンぐ法、カソードアーク法いずれにおいても、被覆物にマイナスのバイアスを印加し、イオン化した金属イオンや窒素イオンを電気的に加速し物質を堆積させるものである。いずれも共通して被覆物に印加するバイアスには直流の電圧を使用するものである。高圧の直流電圧を連続的に印加すると被覆物の温度が上昇するため、直流電圧は現状では20V〜200Vであるのが一般的である。このような印加電圧範囲では被覆物表面に堆積するイオンは表面移動に十分なエネルギーがなく表面上の移動可能距離が限定され格子欠陥をうめることに限界が存在する。結晶粒界の格子欠陥密度は皮膜の密度を支配すると思われる。通常のマイナスのバイアスを印加した場合のコーティング皮膜の密度は実際のところ、組成から計算される理論値に対し、60%〜70%程度である。
【0022】
種々検討した結果、被覆物に印加するバイアスをパルス化しより高バイアスでの被覆を可能にすれば皮膜結晶粒内の欠陥や結晶粒界の欠陥を大幅に減少させることが可能であるという知見を得るに至った。つまりバイアス電圧を間欠的に付与することにより、被覆物の温度上昇を抑制しながら、表面に堆積するイオンのエネルギーを格段に高め、表面での移動可能距離を高めることにより、イオンが格子欠陥をうめる位置までの移動を可能にすることに成功した。即ち本発明者は、この結晶内部及び結晶粒界の格子欠陥を低減し皮膜密度を向上せしめるには被覆物に印加するバイアスを間欠的パルス化することにより可能であり、そのようにした被覆工具は刃先温度が高温となる場合での耐酸化性に優れるばかりでなく、刃先温度が比較的低い場合でも耐剥離性、耐チッピング性に優れ、よりいっそう優れた切削性能と、より広い適用範囲を示すことを見いだし本発明に至った。
【0023】
印加電圧を400Vとし、電圧印加50%、無印加(0V)50%の比率で一秒間に20kHzの周波数で電圧を印加すると、被覆物の温度上昇なくイオンエネルギーを向上させることが可能となる。イオンエネルギーの向上によりイオン、原子の移動距離が長くなり粒内欠陥、粒界欠陥まで原子が移動可能となり、皮膜内の欠陥を大幅に低減し、皮膜の密度を大幅に向上することが可能となる。このように、皮膜内の欠陥を少なめ、皮膜密度を向上させることにより酸素の拡散速度は大幅に低下し、皮膜の耐酸化性を大幅に高める結果となり切削温度が上昇する高速切削、高硬度鋼切削で極めて長い切削寿命を達成することが可能となる。また皮膜結晶内部に存在する格子欠陥は、格子歪を発生し皮膜に残留する圧縮応力を増加せしめる。圧縮応力が増加すると皮膜の密着性が劣化し剥離を生じやすくなり安定した切削ができず、皮膜の微少剥離に起因するチッピング等が発生し易くなる。バイアスのパルス化は残留圧縮応力の低減にも大きく寄与する。
【0024】
さらに、TiAl系の皮膜にMn、Si、Yといった第三成分を添加することにより、皮膜の耐酸化性が向上しさらに切削特性を向上させることが可能である。これら第三成分はTiAl系皮膜の結晶粒界に偏析し、粒界の格子欠陥をさらにうめ、粒界での酸素の拡散をさらに抑制することにより皮膜の耐酸化性を向上せしめる。このような効果をもたらす成分としてMn、Si、Cr、Zr、Hf、Y、Nb、Ndが確認された。
【0025】
皮膜の密度測定はここでは超音スペクトロマイクロスコピーを用いた。測定方法は周波数域40MHz〜140MHzの超音波センサーを用い、入射角を種々変更し、超音波反射率の測定を行った。各周波数における反射率の位相曲線における最急峻となる位置をレーリー臨界角とみなして、各周波数における臨界角を決定し、スネルの法則よりレーリー波速度を決定する。各周波数とレーリ波速度の分散曲線から逆解析を用いて、皮膜の弾性特性を算出する。具体的には計算される分散曲線と実験より求めた分散曲線との残差の自乗和を最小にする最適化法により求めた。
【0026】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
実施例1
小型アークイオンプレーティング装置を用い、表1に示す条件にて本発明例及び比較例のコーティングを行い、被覆超硬エンドミルを作製した。コーティング条件は、パルスバイアス電圧−300〜−800V、付与率30〜80%、反応ガス圧力3Paとした。総膜厚さは、2.5μmとした。したがって、被膜全体における総層数は各例において異なるものである。なお、第2の層及び最外層のTiAlONは、TiAl合金ターゲットを用い、酸素ガスを間欠的に導入することにより成膜した。また、基体との密着性を向上する目的で、最内層にはTiN層を形成してある。比較例として多層構造を有さない皮膜を−800Vの直流バイアスにて成膜した試料も作成したので表1に併記する。
表1において、特に結晶構造を記載していないTiAlONは、アモルファス構造のものである。また、本発明例1、2、6、9の試料について、第2の層及びその近傍の第2の層をTEMにて観察したところ、同じ結晶構造をしており、また境界部でのミスフィット転移もほとんど観察されず擬似的な超格子構造を有していることが確認できた。
【0027】
【表1】
Figure 0004252154
【0028】
得られたエンドミルで、次の切削条件にて切削テストを行い、折損するまで切削を行った。折損が発生した時点の切削長を表1に併記した。
切削条件
エンドミル φ8mm 6枚刃
被削材 SKD11 HRC60
切削速度 40m/min
送り 0.06mm/刃
切り込み 12mm×0.8mm
切削油 dry
【0029】
次いで、大気中1000℃で30分間酸化テストを行い、酸化層の厚さを測定した。その結果も表1に併記した。
表1より、第2の層としてFCC構造のTiAlON層を設け結晶の連続性を有するようにした本発明においては、被膜の耐酸化性が著しく改善され、焼き入れした高硬度材の切削において、優れた特性を示すことが明らかである。
本発明者等の測定によれば、HRC60の鋼を上記条件で切削した場合、刃先温度は950℃に達することが確認された。また、HRC50の鋼では切削速度120m/mim(他の条件は上記に同じ)で950℃に達する。
このことから、本発明による多層被覆部材は、被切削材の硬さによらず、刃先温度が950℃を越えるような過酷な切削条件下でも、優れた切削特性を示すことがわかる。特に、乾式切削においては、有効な効果をもたらすものである。
【0030】
実施例2
実施例1に示したものと同じ本発明及び比較例の被膜を超硬合金ドリル、超硬合金インサートに被覆し、次に示す条件で切削テストを行った。なお、ドリルの場合は3000穴切削後の摩耗量を、インサートの場合は10m切削後の逃げ面摩耗量を測定した。その結果を表2に示す。
【0031】
【表2】
Figure 0004252154
【0032】
ドリル切削条件(湿式切削)
ドリル径 φ6mm(P40グレード)
被削材 SCM440(焼鈍材)
切削速度 100m/min
送り 0.1mm/rev
穴深さ 15mm
【0033】
インサート切削条件
インサート SEE42TN(P40グレード)
被削材 SKD61 HRC42
(巾100mm×長さ250mmの面取り)
切削速度 150m/min
送り 0.15m/刃
切り込み 1.5mm
【0034】
表2より明らかなように、本発明によるものは、ドリル、インサートでも同様に、優れた工具寿命を示すことが確認された。傾向は、エンドミル、ドリル、インサートともに同様である。
【0035】
実施例3
小型アークイオンプレーティング装置を用い、表3に示すコーティングを行い、本発明例及び比較例による被膜を被覆した超硬合金エンドミル及び超硬合金インサートを作製した。コーティング条件は、パルスバイアス電圧−300〜−800V、付与率30〜80%、反応ガス圧力3Paとした。最外層の結晶化は、αの場合は790℃、γの場合は680℃の被覆条件にて成膜を行った。比較例の成膜条件は実施例1と略同様とした。
【0036】
【表3】
Figure 0004252154
【0037】
本発明例と比較例について、実施例1及び2で示した切削条件にて切削評価を行い、その結果を表3に併記した。また、大気中1000℃、2時間保持の条件で酸化テストを行い、形成した酸化層の厚さについても表3に併記した。なお、本実施例においても、総層膜厚は2.5μmとした。
【0038】
表3に示す通り、本発明の多層膜は、より優れた耐酸化性、切削寿命を示すことが明らかである。すなわち、本発明のように、内部に酸化物被膜を介在させることにより、耐酸化性及び工具寿命はより一層向上することがわかる。
【0039】
実施例4
所定量の第3成分Xを含むTiAlX合金ターゲットを用い、コーティング条件は、パルスバイアス電圧−300〜−800V、付与率30〜80%、反応ガス圧力3Paとし、表4に示す本発明例及び比較例の被膜を被覆した超硬合金エンドミルを作製し、実施例1と同一の切削評価ならびに実施例3と同一の酸化テストを行った。それらの結果を表4に併記する。この場合、第2の層は、FCC構造のTiAlON層(5nm)に統一し、最外層はアモルファスのTiAlON層に統一した。
【0040】
【表4】
Figure 0004252154
【0041】
表4より、第3成分が耐酸化性、切削寿命を更に向上させることが明らかである。
【0042】
【発明の効果】
上述したように、本発明は炭化物又は窒化物等から成る第1の層と、酸素を含有する第2の層とを、結晶の連続性を持たせつつ交互に積層し、その結晶構造をFCC構造とすること及び/又は(200)に配向すること、あるいは擬似的な超格子構造の被膜を介在させることにより、高速切削等の過酷な条件下でも十分に使用に耐え得る、耐酸化性及び密着性に優れた多層被膜部材を実現することが出来た。
すなわち、本発明によれば、より過酷な条件下でのフライス切削、エンドミル切削、ドリル切削等が可能な優れた特性の被膜工具を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明多層被膜部材における皮膜内部構造を示すTEM写真であり、TiAlNからなる第1の層と極めて薄い第2の層とが交互に積層されていることを示している。
【図2】図2は、本発明多層被膜部材における被膜内部組織のTEMによる拡大写真であり、TiAlONからなる第2の層を介して隣り合う、TiAlNからなる第1の層の相互間には、結晶の連続性があることを示している。
【図3】図3は、本発明多層被膜部材における第2の層のEDX分析図であり、第2の層がTi及びAlの化合物であることを示している。
【図4】図4は、本発明多層被膜部材における第2の層のEELS分析図であり、第2の層がN及びOを含有する化合物であることを示している。

Claims (15)

  1. ハイス、超硬合金、サーメット等の超硬質合金とその上にイオンプレーティング法によって形成された多層被覆よりなる多層被覆部材であり、該多層被覆の少なくとも1層は基体にパルスバイアスを印加して設けられ、該多層被覆は2以上の第1の層と2以上の第2の層を交互に積層してなり、該第1の層は周期律表の4a、5a、6a族、及びAlの少なくとも1の元素の炭化物、窒化物、炭窒化物からなる群から選ばれる少なくとも1つから構成され、該第2層は周期律表の4a、5a、6a族、及びAlの少なくとも1の元素の酸化物、炭酸化物、酸窒化物、炭酸窒化物からなる群から選ばれる少なくとも1つから構成されることを特徴とする多層被覆部材。
  2. 請求項1記載の多層被覆部材において、該第2の層に隣接する該第1の層は実質的に該第2の層と同一の結晶方位性を有することを特徴とする多層被覆部材。
  3. 請求項1又は2記載の多層被覆部材において、該第1の層はfcc結晶構造を有することを特徴とする多層被覆部材。
  4. 請求項1乃至3記載の多層被覆部材において、該第1の層はMn、Si、Y、Nd、Sm、Scから選ばれる少なくとも1の追加元素を1〜30原子%含むことを特徴とする多層被覆部材。
  5. 請求項1乃至4記載の多層被覆部材において、該多層被覆は周期律表の4a、5a、6a族及びAlより選ばれる少なくとも1の元素の酸化物、炭酸化物、酸窒化物、炭酸窒化物から選ばれる少なくとも1つからなる最外層を有することを特徴とする多層被覆部材。
  6. 請求項5記載の多層被覆部材において、該最外層はTiとAlの酸化物、炭酸化物、酸窒化物、炭酸窒化物から選ばれる少なくとも1からなることを特徴とする多層被覆部材。
  7. 請求項5記載の多層被覆部材において、該最外層はTiとSiとAlの酸化物、炭酸化物、酸窒化物、炭酸窒化物から選ばれる少なくとも1からなることを特徴とする多層被覆部材。
  8. 請求項5記載の多層被覆部材において、該最外層はTiの酸化物、炭酸化物、酸窒化物、炭酸窒化物から選ばれる少なくとも1からなることを特徴とする多層被覆部材。
  9. 請求項3乃至8記載の多層被覆部材において、該最外層は非晶質であることことを特徴とする多層被覆部材。
  10. 請求項3乃至8記載の多層被覆部材において、該最外層は結晶質であることを特徴とする多層被覆部材。
  11. 請求項1乃至10記載の多層被覆部材において、該多層被覆は、基体との密着力に優れた最内層を有し、該最内層はTiN、TiCN、Ti、TiAlの少なくとも1よりなり2〜5000nmの厚さを有することを特徴とする多層被覆部材。
  12. 請求項1乃至11記載の多層被覆部材において、該第1の層の結晶方位は最大X線回折強度(200)面に配向させたことを特徴とする多層被覆部材。
  13. 請求項1乃至12記載の多層被覆部材において、該第1の層は5〜1000nmの厚さを有することを特徴とする多層被覆部材。
  14. 請求項1乃至13記載の多層被覆部材において、該第2の層は5〜200nmの厚さを有することを特徴とする多層被覆部材。
  15. 請求項5乃至10記載の多層被覆部材において、該最外層は5〜500nmの厚さを有することを特徴とする多層被覆部材。
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