JP4251442B2 - 感光性パターン形成用硬化性樹脂組成物、液晶パネル用基板、及び、液晶パネル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、露光感度が高く、硬化性及び現像性が良好な感光性パターン形成用硬化性樹脂組成物、当該硬化性樹脂組成物を用いて着色層を被覆する保護膜、或いは液晶層のスペーサーを形成した、色ムラあるいはコントラストムラの少ない液晶パネル用基板、及び、当該液晶パネル用基板を用いた表示品質に優れた液晶パネルに関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶パネルは、表示側基板と液晶駆動側基板とを対向させ、両者の間に液晶化合物を封入して薄い液晶層を形成し、液晶駆動側基板により液晶層内の液晶配列を電気的に制御して表示側基板の透過光又は反射光の量を選択的に変化させることによって表示を行う。
【0003】
液晶パネルには、スタティック駆動方式、単純マトリックス方式、アクティブマトリックス方式など種々の駆動方式があるが、近年、パーソナルコンピューターや携帯情報端末などのフラットディスプレーとして、アクティブマトリックス方式又は単純マトリックス方式の液晶パネルを用いたカラー液晶表示装置が急速に普及してきている。
【0004】
図1は、アクティブマトリックス方式の液晶パネルの一構成例である。液晶パネル101は、表示側基板であるカラーフィルター1と液晶駆動側基板であるTFTアレイ基板2とを対向させて1〜10μm程度の間隙部3を設け、当該間隙部3内に液晶Lを充填し、その周囲をシール材4で密封した構造をとっている。カラーフィルター1は、透明基板5上に、画素間の境界部を遮光するために所定のパターンに形成されたブラックマトリックス層6と、各画素を形成するために複数の色(通常、赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色)を所定順序に配列した着色層7又は最近ではホログラムを利用した着色層と、保護膜8と、透明電極膜9とが、透明基板に近い側からこの順に積層された構造をとっている。一方、TFTアレイ基板2は、透明基板上にTFT素子を配列し、透明電極膜を設けた構造をとっている(図示せず)。また、カラーフィルター1及びこれと対向するTFTアレイ基板2の内面側には配向膜10が設けられる。さらに間隙部3には、カラーフィルター1と電極基板2の間のセルギャップを一定且つ均一に維持するために、スペーサーとしてガラス、アルミナ又はプラスチック等からなる一定サイズの球状又は棒状粒子11が分散されている。そして、各色に着色された画素それぞれ又はカラーフィルターの背後にある液晶層の光透過率を制御することによってカラー画像が得られる。
【0005】
カラーフィルターに形成される保護膜8は、カラーフィルターに着色層が設けられる場合には着色層の保護とカラーフィルターの平坦化の役割を果たしている。カラー液晶表示装置では、カラーフィルターの透明基板表面のうねりに起因するギャップムラ、R、G及びBの各画素間でのギャップムラ、或いは各画素内でのギャップムラなどの存在により透明電極膜9の平坦性が損なわれると、色ムラ或いはコントラストムラを生じ、その結果、画像品質の低下を来たすと言う問題がある。従って、保護膜には高い平坦性が求められる。
【0006】
スペーサーとして図1に示したような微粒子11を分散させる場合には、当該微粒子11は、ブラックマトリックス層6の背後であるか画素の背後であるかは関係なく、ランダムに分散する。微粒子11が表示領域すなわち着色層に配置された場合、微粒子11の部分をバックライトの光が透過し、また、微粒子11周辺の液晶の配向が乱れ、表示画像の品位を著しく低下させる。そこで図2に示すように、微粒子11を分散させるかわりに、カラーフィルターの内面側であってブラックマトリックス層6が形成されている位置と重り合う領域(非表示領域)に、セルギャップに対応する高さを有する柱状スペーサー12を形成することが行われるようになってきた。
【0007】
着色層7は、各色の画素ごとに所定のパターンに形成する必要がある。保護膜8は、シール部の密着性や密閉性を考慮すると、透明基板上の着色層が形成された領域のみ被覆できるものであることが好ましい。また、柱状スペーサー12は、ブラックマトリックス層の形成領域内すなわち非表示領域に正確に設ける必要がある。
【0008】
また近年、液晶表示装置の大面積化が進み、広い基板の全域に渡ってセルギャップを均一に維持する必要性が大きくなってきた。基板面積が大きくなると比較的小さな外力でも基板が歪むようになるので、かかる歪みによるギャップのばらつきを阻止する必要性も生じてきた。さらに近年、表示応答性を向上させるために液晶層の厚さ、すなわちセルギャップが狭くなってきているので、狭いギャップを正確に維持する必要性も生じてきた。
【0009】
更に近年、カラーフィルターとTFTアレイ基板との組み立てる(セル圧着)手順から加熱工程や徐冷工程をなくして簡素化し生産性を向上させるために、室温下でセル圧着を行う方法(室温セル圧着法)が提案されている(非特許文献1)。
【0010】
また、セル圧着工程の生産性を上げるために、ワンドロップフィル法(One Drop Fill Technology: ODF法)が提案されている。この方法は、カラーフィルター又はTFTアレイ基板のような液晶パネル用基板の液晶封入面に、所定量の液晶ドロップレットを滴下し、もう一方の液晶パネル用基板を真空下で所定のセルギャップを維持できる状態で対峙させ、貼り合わせる。この方法は、従来のセル圧着工程と比べて工程を簡素化できる。さらに、従来のセル圧着工程は、カラーフィルターとTFTアレイ基板とを所定のセルギャップを維持できる状態で対峙させ貼り合せた後、貼合せ体の一端に設けた充填口から毛細管現象とセルギャップ内外の圧力差を利用してセルギャップ内に液晶を充填し封入するものであるが、前記した表示面積の拡大化及びセルギャップの狭小化に伴い、液晶を円滑に充填することが困難になりつつある。これに対してODF法では、液晶パネル用基板が大面積化し且つセルギャップが狭小化しても、液晶の封入が容易である。この生産性に優れた新しい方法は、今後主流になる可能性がある。
【0011】
このように、液晶表示装置における近年の表示面積の拡大化及びセルギャップの狭小化に伴い、セルギャップの均一性が僅かに損われるだけでも表示性能に大きく影響し、表示ムラ等の表示品位が低下し易くなってきている。従って、セルギャップに対する正確さと均一性の要求は益々厳しくなりつつある。そのため、柱状スペーサーによってセルギャップを精度良く、正確に、且つ均一に形成し、維持する必要性が益々高くなっている。
【0012】
着色層、保護膜及び柱状スペーサー等のカラーフィルターの細部は、光硬化性樹脂の塗膜を基材上に形成し、硬化させたい領域を選択的に露光した後にアルカリ現像することによって形成できる。
【0013】
アルカリ現像可能な光硬化性樹脂としては、アルカリ可溶性バインダーに、多官能のアクリルモノマーと光重合開始剤を配合した組成物を用いることができる。
3級アミン構造を分子内に有する重合開始剤は、3級アミン構造の部分が酸素クエンチャーとして機能し、酸素により失活しにくいため、重合開始剤として非常に有効であるが、感度を向上させる目的でこれを増量しすぎると、組成物中のアルカリ可溶性バインダーや多官能モノマーの量が相対的に少なくなるために、硬化後の硬度、強度等の硬化性や、現像速度、製版性(パターン精度)、残渣等のアルカリ現像性が悪くなる。
【0014】
特許文献1には、アルカリ可溶性のカルボキシル基とラジカル重合性の(メタ)アクリロイル基をもち、それ自体が光硬化性を持つアルカリ可溶性バインダーとして好適な共重合体が記載されている。しかしながら、これらの共重合体に多官能のアクリルモノマーや3級アミン構造を分子内に有する重合開始剤を多量に混合すると、上記の問題に加えて、3級アミン構造に共重合体のカルボキシル基が阻害されるため、カルボキシル基と(メタ)アクリロイル基をもつ共重合体の優れたアルカリ現像性が、充分に活かされないという問題がある。3級アミン構造を有する重合開始剤の増量を見込んで、共重合体自体のアルカリ現像性を補うことも考えられるが、共重合体に導入するカルボキシル基の量を増やすと、バインダーの溶剤溶解性が低下するという問題がある。
【0015】
一方、特許文献2には、樹脂、モノマー、光重合開始剤、溶剤を主成分とする感光性組成物において、該モノマーとしてカルボキシル基を持つ特定構造の多官能アクリルモノマー及びカルボキシル基を持たない特定構造の多官能アクリルモノマーを含有することを特徴とする柱状スペーサー用感光性組成物が記載されている。
【0016】
しかしながら、特許文献2に記載された感光性組成物も、感度とアルカリ現像性が充分とはいえない。
【0017】
【特許文献1】
特開2000−105456号公報
【特許文献2】
特開2001−91954号公報
【非特許文献1】
Hiroyuki Kamiya et al.,“Development of One Drop Fill Technology for AM-LCDs”,SID 01 DIGEST, 56.3, p.1354-1357
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第一の目的は、露光感度が高く現像性が良好で、精密で正確なパターンを形成することができ、且つ硬化後において、塗膜強度、耐熱性、耐薬品性等の諸物性に優れる硬化性樹脂組成物、当該硬化性樹脂組成物を用いて着色層を被覆する保護膜、或いは液晶層のスペーサーを形成した、色ムラあるいはコントラストムラの少ない液晶パネル用基板、及び、当該液晶パネル用基板を用いた表示品質に優れた液晶パネルを提供することにある。
【0019】
また、本発明の第二の目的は、硬化後において高弾性であり、特に、柱状スペーサーに適した弾性挙動をもつ硬化性樹脂組成物、当該樹脂組成物を用いて前記保護膜や凸状スペーサーを形成した液晶パネル用基板、及び、液晶パネルを提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明において提供される硬化性樹脂組成物は、少なくとも、
式(A)( −[CH 2 −C(−R)(−C(=O)−O−)]− ;式中、Rは、水素原子又はメチル基)で表されるアクリル酸及び/又はメタアクリル酸から誘導される構造のカルボキシル基残基の末端に、上記式(1)で表される環状イミド基を含むペンダント構造が結合した、環状イミド基を備えた構成単位と、上記式(A)のカルボキシル基残基の末端に水素が直接結合した、酸性官能基を備えた構成単位と、上記式(A)のカルボキシル基残基の末端に前記環状イミド基を除く光重合性官能基を含むペンダント構造が結合した、光硬化性官能基を備えた構成単位とが連結した、分子構造を有するイミド基含有共重合体(a)と、
1つ以上の酸性官能基と3つ以上の光硬化性官能基を有する光硬化性化合物(b)(以下、単に酸性多官能光硬化性化合物(b)という)を含有し、カラーフィルター上に設けられる保護膜又はスペーサーを形成するために用いられる。
【0021】
本発明の硬化性樹脂組成物を何らかの支持体に塗布して塗膜を形成し、当該塗膜に紫外線、電子線等の活性化エネルギー線を照射すると、イミド基含有共重合体(a)の環状イミド基、及び、酸性多官能光硬化性化合物(b)の光硬化性基、さらには、イミド基含有共重合体(a)に含まれる場合がある光硬化性基、必要に応じて配合される光硬化性化合物(d)が光ラジカル重合反応を起こすと共に、環状イミド基同士で二量化反応を起こすことにより、イミド基含有共重合体の分子間に架橋結合を形成し、硬化する。硬化後は、イミド基含有共重合体(a)及び酸性多官能光硬化性化合物(b)がそれぞれ酸性官能基を有しているので、アルカリ現像により微細なパターンを形成することができる。
【0022】
硬化性樹脂組成物の架橋密度及びアルカリ可溶性を上げるために、バインダーポリマーの分子内に導入できる光硬化性基と酸性官能基の量には限界がある。また、光硬化性基と酸性官能基を有するバインダーポリマーを単純に増量することにより架橋密度及びアルカリ可溶性を上げようとすると、硬化性樹脂組成物の粘度が上昇するので、塗工適性が損なわれやすい。また、硬化性樹脂組成物に多官能モノマーを配合する場合には、架橋密度を上げることができるが、アルカリ可溶性を上げることができない。
【0023】
これに対し本発明においては、上記イミド基含有共重合体(a)に酸性多官能光硬化性化合物(b)を加えるので、アルカリ現像性を低下させることなく架橋反応の反応点密度を上げることが出来、組成物の粘度も過度に上昇しない。また、環状イミド基は反応性が高いため、樹脂組成物の感度を向上させることができる。更に、本発明に用いられるイミド基含有共重合体(a)に含まれるイミド基は光照射によりラジカルを発生し光二量化反応をする性質を持ち、それ自体が、光重合開始機能を有している。そのため、本発明の硬化性樹脂組成物ではイミド基含有共重合体を含むことから、重合開始剤(c)を使用しなくとも良いか又はその量を少なくすることが可能であり、相対的に架橋性成分の割合を多くできるメリットを有する。従って、感度、光硬化性、アルカリ現像性の何れの点でも非常に優れる硬化性樹脂組成物が得られる。さらに、本発明の硬化性樹脂組成物は、環状イミド基を導入したことによって、硬化後に室温での弾性が高いため、パターンの塑性変形が起こりにくい点で優れており、特に、凸状スペーサーを形成するのに適している。
【0024】
前記イミド基含有共重合体(a)は、更に、前記環状イミド基を除く光硬化性官能基を備えた構成単位を含有するため、架橋反応の反応点密度が高くなり、硬化後において塗膜強度、耐熱性、耐薬品性等の諸物性にも優れる。
【0025】
前記イミド基含有共重合体(a)の前記光硬化性官能基を備えた構成単位は、光硬化性官能基としてエチレン性不飽和結合を有することが、反応性の向上、硬化後の塗膜強度の向上の点から好ましい。
【0026】
また、1つの態様において、前記イミド基含有共重合体(a)は、前記光硬化性官能基を備えた構成単位として、上記式(4)で表される構成単位及び/又は上記式(5)で表される構成単位を含むものを用いることができる。
【0027】
また、別の態様において、前記イミド基含有共重合体(a)は、環状イミド基を備えた構成単位として上記式(2)で表される構成単位、及び、酸性官能基を備えた構成単位として上記式(3)で表される構成単位を含むものを用いることができる。
【0028】
さらに、前記イミド基含有共重合体(a)は、分子内にアルコール性水酸基を有していることが好ましい。
【0029】
一つの態様において、上記硬化性樹脂組成物は、硬化後に室温において2.0GPaの圧縮荷重に対して弾性変形率[(弾性変形量/総変形量)×100]を60%以上とすることができる。この場合には、硬化後に室温で大きな弾性変形率と小さい塑性変形率を示すパターン形成用材料として利用することができ、特に、液晶パネルの凸状スペーサーを形成するのに好適である。
【0030】
本発明の硬化性樹脂組成物には、硬化性を改善する目的で光重合開始剤(c)を含有させることが好ましい。光重合開始剤(c)としては、3級アミン構造を有する光重合開始剤(c−Am)が好ましい。光重合開始剤(c−Am)は、酸素クエンチャーである3級アミン構造を有するため、当該開始剤から発生したラジカルが失活し難く、感度を向上させることができる。
【0031】
また、本発明の硬化性樹脂組成物には、2つ以上の光硬化性官能基を有する、前記酸性多官能光硬化性化合物(b)以外の光硬化性化合物(d)を含有させてもよい。
【0032】
光硬化性化合物(d)は、3個以上のエチレン性不飽和結合と共にアルコール性水酸基を有する光重合性化合物であることが、反応性を高めて感度及び硬化性を向上させる点から好ましい。
【0033】
また、前記光硬化性化合物(d)を含有しない場合には、前記イミド基含有共重合体(a)に対する、前記酸性多官能光硬化性化合物(b)の固形分重量比((a)/(b))を、又は、前記光硬化性化合物(d)を含有する場合には、前記イミド基含有共重合体(a)に対する、前記酸性多官能光硬化性化合物(b)と前記光硬化性化合物(d)の和の固形分重量比((a)/{(b)+(d)})を0.7以下にすると、形成される塗膜の硬化性が充分となり、更に密着強度、耐熱性等の各種物理強度が適切となる点から好ましい。
【0034】
本発明の硬化性樹脂組成物においては、当該組成物中に固形分で、前記光重合開始剤(c)を0.05〜5重量%含有させるだけで反応を充分に進行させることができる。
【0035】
本発明の感光性パターン形成用硬化性樹脂組成物は、液晶パネル用基板を製造するのに適しており、特に、カラーフィルターの着色層を被覆する保護膜、及び、液晶パネルのセルギャップを維持するための柱状スペーサーを形成するのに適している。すなわち、本発明の硬化性樹脂組成物を用いると、高感度により生産性が高く、優れた現像性により正確で寸法安定性、及び諸物性に優れた柱状スペーサー及び平坦性の高い保護膜を形成することができる。
【0036】
本発明において提供される液晶パネル用基板は、透明基板と、当該透明基板上に設けられた着色層とを備え、さらに当該着色層を被覆する保護膜及び/又は前記基板の非表示領域に設けられたスペーサーを備えていてもよく、前記の保護膜及びスペーサーのうちの少なくともひとつが、本発明に係る硬化性樹脂組成物を硬化させて形成したものであることを特徴とする。
【0037】
本発明の液晶パネル用基板は、上記本発明に係る硬化性樹脂組成物を用いて保護膜又はスペーサーを形成するので、平坦性の高い保護膜又は正確でパターンエッジ形状及び諸物性が良好な凸状スペーサーを有し、液晶パネルを組み立てたときに表示ムラを生じさせ難い。
【0038】
特に、本発明に係る液晶パネル用基板のスペーサーが、室温において2.0GPaの圧縮荷重に対して弾性変形率[(弾性変形量/総変形量)×100]が60%以上である場合には、室温下で圧縮荷重に対して塑性変形しにくい充分な硬度と、液晶表示装置の使用環境温度域内での液晶収縮及び膨張に追従し得るしなやかさを有している。従って、本発明に係る液晶パネル用基板は、室温セル圧着法により貼合わせを行う場合に塑性変形を起こさないで、正確且つ均一なセルギャップを形成でき、特にODF法において室温セル圧着を行う場合にも、好適に利用できる。
【0039】
また、本発明に係る液晶パネルは、カラーフィルター等の表示側基板及びTFTアレイ基板等の液晶駆動側基板のうち少なくとも一方が前記本発明に係る液晶パネル用基板により構成されているので、セル圧着時及びその後の取り扱い時においてセルギャップを正確且つ均一に維持することができる。従って、本発明に係る液晶パネルは、表示ムラを生じさせにくく、画像品質に優れている。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下において本発明を詳しく説明する。なお、本発明において(メタ)アクリルとはアクリル基又はメタクリル基のいずれかであることを意味し、(メタ)アクリレートとはアクリレート又はメタクリレートのいずれかであることを意味し、(メタ)アクリロイルとはアクリロイル基又はメタクリロイル基のいずれかであることを意味する。
【0041】
本発明により提供される硬化性樹脂組成物は、少なくとも、酸性官能基を備えた構成単位と、下記式(1)で表される環状イミド基を備えた構成単位とが連結した分子構造を有するイミド基含有共重合体(a)と、1つ以上の酸性官能基と3つ以上の光硬化性官能基を有する光硬化性化合物(b)を含有するものである。
【0042】
【化6】
【0043】
(式中、R3及びR4は、それぞれ独立した炭素数4以下のアルキル基であるか、どちらか一方が水素原子で他方が炭素数4以下のアルキル基であるか、又は、それぞれが一つとなって炭素環を形成する基である。)
本発明の硬化性樹脂組成物を何らかの支持体に塗布して塗膜を形成し、当該塗膜に紫外線、電子線等の活性化エネルギー線を照射すると、イミド基含有共重合体(a)の環状イミド基、及び、酸性多官能光硬化性化合物(b)の光硬化性基、さらには、イミド基含有共重合体(a)に含まれる場合がある光硬化性基、必要に応じて配合される光硬化性化合物(d)が光ラジカル重合反応を起こすと共に、環状イミド基同士で二量化反応を起こすことにより、イミド基含有共重合体の分子間に架橋結合を形成し、硬化する。硬化後は、イミド基含有共重合体(a)及び酸性多官能光硬化性化合物(b)がそれぞれ酸性官能基を有しているので、アルカリ現像により微細なパターンを形成することができる。
【0044】
硬化性樹脂組成物の架橋密度及びアルカリ可溶性を上げるために、バインダーポリマーの分子内に導入できる光硬化性基と酸性官能基の量には限界がある。また、光硬化性基と酸性官能基を有するバインダーポリマーを単純に増量することにより架橋密度及びアルカリ可溶性を上げようとすると、硬化性樹脂組成物の粘度が上昇するので、塗工適性が損なわれやすい。また、硬化性樹脂組成物に多官能モノマーを配合する場合には、架橋密度を上げることができるが、アルカリ可溶性を上げることができない。
【0045】
これに対し本発明においては、上記イミド基含有共重合体(a)に酸性多官能光硬化性化合物(b)を加えるので、アルカリ現像性を低下させることなく架橋反応の反応点密度を上げることが出来、組成物の粘度も過度に上昇しない。また、環状イミド基は反応性が高いため、樹脂組成物の感度を向上させることができる。更に、本発明に用いられるイミド基含有共重合体(a)に含まれるイミド基は光照射によりラジカルを発生し光二量化反応をする性質を持ち、それ自体が、光重合開始機能を有している。そのため、本発明の硬化性樹脂組成物ではイミド基含有共重合体を含むことから、重合開始剤(c)を使用しなくとも良いか又はその量を少なくすることが可能であり、相対的に架橋性成分の割合を多くできるメリットを有する。従って、感度、光硬化性、アルカリ現像性の何れの点でも非常に優れる硬化性樹脂組成物が得られる。さらに、本発明の硬化性樹脂組成物は、環状イミド基を導入したことによって、硬化後に室温での弾性が高いため、パターンの塑性変形が起こりにくい点で優れており、特に、凸状スペーサーを形成するのに適している。
【0046】
従って、本発明の硬化性樹脂組成物は、精密で正確で硬化後の諸物性にも優れたパターンを形成することができ、残渣が少ない上、露光感度が非常に高く、短い露光時間で硬化させることが可能であるため、パターン形成の所用時間を短縮化し、カラーフィルター製造ラインの製造速度を向上させることが可能である。
【0047】
(イミド基含有共重合体(a))
本発明においては、バインダー成分として、少なくとも、下記式(1)で表される環状イミド基を備えた構成単位と酸性官能基を備えた構成単位とが連結した分子構造を有するイミド基含有共重合体(a)を用いる。
【0048】
【化7】
【0049】
(式中、R3及びR4は、それぞれ独立した炭素数4以下のアルキル基であるか、どちらか一方が水素原子で他方が炭素数4以下のアルキル基であるか、又は、それぞれが一つとなって炭素環を形成する基である。)
イミド基含有共重合体(a)は、光硬化性官能基として環状イミド基を有し、環状イミド基は、通常光硬化性官能基として用いられるエチレン性不飽和結合よりも反応性が高いため、これを樹脂組成物のメインポリマーとして用いることによって、より高感度の組成物が得られる。また、イミド基含有共重合体(a)は、親水性が高いため、後述する酸性多官能光硬化性化合物(b)との相溶性が高く、塗布した塗膜の均一性が高いというメリットがある。更に、イミド基含有共重合体(a)を含有すると、硬化後には室温で高弾性のパターンが得られる。
【0050】
式(1)で表される環状イミド基を備えた構成単位(環状イミド基含有単位)は、光硬化反応の感度、硬化した塗膜の耐熱性や耐薬品性、硬化後の室温での弾性変形率や総変形率、及び、その他の物性に寄与する成分である。その含有割合は、これらの諸物性、硬化性樹脂組成物に要求される感度の程度、及び、スペーサーとして用いられる場合には室温での弾性変形率や総変形率を考慮して調整される。環状イミド基含有単位を重合体の主鎖へと導入するために使用される単量体としては、主鎖連結を形成するためのエチレン性不飽和結合を環状イミド基と共に有する化合物を使用することができる。
【0051】
式(1)で表される環状イミド基としては、例えば、下記式(1a)乃至式(1c)で表されるものを例示することができる。
【0052】
【化8】
【0053】
また、式(1)で表される環状イミド基を有する構成単位としては、下記式(6a)乃至(6c)で表されるものを例示することができる。これらの式(6a)乃至(6c)で表される構成単位が他の主鎖構成単位と連結することにより、環状イミド基を含有するペンダント構造を共重合体分子に導入することができる。
【0054】
【化9】
【0055】
(式中、R1は水素原子又はメチル基である。R3及びR4は前記した通り、それぞれ独立した炭素数4以下のアルキル基であるか、どちらか一方が水素原子で他方が炭素数4以下のアルキル基であるか、又は、それぞれが一つとなって炭素環を形成する基である。R9は炭素数1〜6のアルキレン基であり、nは1〜6の整数である。R10はシクロアルキレン基である。R11はアルキレン基又はシクロアルキレン基である。R12は水素原子又はアルキル基である。)
これらの構成単位の中でも下記式(2)で表される環状イミド基含有単位が好ましい。
【0056】
【化10】
【0057】
(式中、R1は前記した通り水素原子又はメチル基である。R2は炭素数1〜6のアルキレン基である。R3及びR4は前記した通り、それぞれ独立した炭素数4以下のアルキル基であるか、どちらか一方が水素原子で他方が炭素数4以下のアルキル基であるか、又は、それぞれが一つとなって炭素環を形成する基である。)
酸性官能基を備えた構成単位(酸性官能基含有単位)は、アルカリ可溶性に寄与する成分であり、その含有割合は、硬化性樹脂組成物に要求されるアルカリ可溶性の程度により調整される。酸性官能基を有する構成単位をイミド基含有共重合体(a)の主鎖へと導入するために使用される単量体としては、エチレン性不飽和結合と酸性官能基を有する化合物を使用することができる。酸性官能基は、アルカリ現像が可能なものであればよく、例えばカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられるが、アルカリ現像性及び樹脂組成物の取り扱い性の点からカルボキシル基が好ましい。
【0058】
酸性官能基を有する構成単位としては、下記式(3)で表される構成単位が好ましい。
【0059】
【化11】
【0060】
(式中、R1は水素または炭素数1〜5のアルキル基を示す。)
式(3)及び後述する他の式中に含まれるR1は、水素、または炭素数1〜5のアルキル基である。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基等が例示される。式(3)の構成単位を導入するために使用される単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、2−カルボキシ−1−ブテン、2−カルボキシ−1−ペンテン、2−カルボキシ−1−ヘキセン、2−カルボキシ−1−へプテン等が例示される。
【0061】
イミド基含有共重合体(a)が、更に、前記環状イミド基を除く光硬化性官能基を備えた構成単位を含有する場合には、イミド基含有共重合体(a)の分子中に架橋性官能基として環状イミド基とそれ以外の光硬化性官能基とが共存するため、架橋反応の反応点密度が高くなり、硬化後の塗膜強度、耐熱性、耐薬品性等の諸物性が更に優れた硬化性樹脂組成物が得られる。
【0062】
前記環状イミド基を除く光硬化性官能基を備えた構成単位(光硬化性官能基含有単位)の含有割合は要求される光硬化性の程度及び硬化後の諸物性により調整される。
【0063】
前記環状イミド基を除く光硬化性官能基としては、光硬化反応が開始又は促進される官能基を利用することができる。なお、本発明において光硬化とは、紫外線や可視光線等の放射線、電子線等の粒子線、或いは放射線と粒子線の性質を併せ持つエネルギー線の照射による硬化反応のことをいう。
【0064】
具体的には、光ラジカル重合、光ラジカル二量化等の光ラジカル反応により硬化する官能基が好ましく、エチレン性不飽和結合を有する(メタ)アクリル基等の光ラジカル重合性官能基が特に好ましい。
【0065】
光硬化性官能基を有するモノマーを用いてイミド基含有共重合体(a)を合成すると副反応が生じやすいので、光硬化性官能基は、イミド基含有共重合体(a)の主鎖連結を形成した後で、適切な官能基を介して導入するのが好ましい。
【0066】
光硬化性官能基としてエチレン性不飽和結合を備えた構成単位(エチレン性不飽和結合含有単位)としては、下記式(4)で表されるものが好ましい。
【0067】
【化12】
【0068】
(式中、R1は水素または炭素数1〜5のアルキル基を示し、R5は水素原子又はメチル基を示す。)
式(4)の構成単位をイミド基含有共重合体(a)に導入するためには、先ず、少なくとも単量体として(メタ)アクリル酸を含有して重合してイミド基含有共重合体(a)の主鎖部分を形成した後、前記(メタ)アクリル酸由来のカルボキシル基にグルシジル(メタ)アクリレートを反応させればよい。ただし、(メタ)アクリル酸由来のカルボキシル基が少なくなりすぎるとアルカリ可溶性が不足するので、グルシジル(メタ)アクリレートの量を適切に調節する必要がある。
【0069】
また、エチレン性不飽和結合含有単位としては、下記式(5)で表される構成単位も好ましいものの一つである。
【0070】
【化13】
【0071】
(式中、R1は上記と同じであり、R6は炭素数2乃至4のアルキレン基であり、R7はアルキレン基である。R8は水素原子又はメチル基である。)
式(5)に含まれるR6(炭素数2乃至4のアルキレン基)は、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等であり、R7(アルキレン基)は、好ましくは炭素数2乃至6のアルキレン基である。
【0072】
式(5)の構成単位をイミド基含有共重合体(a)に導入するためには、先ず、他のモノマーと共に下記式(7)で表されるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを共重合して共重合体の主鎖部分を形成する。
【0073】
【化14】
【0074】
(式中、R1及びR6は式(5)と同じである。)
式(7)のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート等が例示される。
【0075】
その後、前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート由来の水酸基に下記式(8)で表されるイソシアネート化合物を反応させればよい。
【0076】
【化15】
【0077】
(式中、R7及びR8は式(5)と同じである。)
式(8)の(メタ)アクリロイルオキシアルキルイソシアネートのなかでは、(メタ)アクリロイル基が炭素数2〜6のアルキレン基を介してイソシアネート基(−NCO)と結合したものを使用するのが好ましい。具体的には、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−メタクリロイルエチルイソシアネート等が例示される。2−メタクリロイルエチルイソシアネートは、例えば、昭和電工(株)製「カレンズMOI」等の商品名で市販されている。
【0078】
上記イミド基含有共重合体(a)は、さらにアルコール性水酸基を備えた構成単位(アルコール性水酸基含有単位)を含んでいてもよい。アルコール性水酸基を備えた構成単位(アルコール性水酸基含有単位、例えばアルコール性水酸基含有メチレン基やアルコール性水酸基含有メチン基)は、硬化性樹脂を光硬化させる時に、環状イミド基の水素引き抜き効果によりラジカルを発生させ、環状イミド基及びアルコール性水酸基含有単位の反応性を高くする構成単位である。なお、アルコール性水酸基は、環状イミド基含有単位中に含まれていてもよい。
【0079】
アルコール性水酸基を有する構成単位を重合体の主鎖へと導入するために使用される単量体としては、エチレン性不飽和結合とアルコール性水酸基を有する化合物を使用することができる。
【0080】
アルコール性水酸基含有単位としては、下記式(9)で表される構成単位が好ましい。
【0081】
【化16】
【0082】
(式中、R1及びR6は上記と同じである。)
式(9)の構成単位を導入するために使用される単量体としては、前記式(7)で表されるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを用いることができる。上述したように、式(4)で表されるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは、式(5)の(メタ)アクリロイルオキシアルキルイソシアネートに代表されるエチレン性不飽和結合含有イソシアネート化合物と反応させてエチレン性不飽和結合を導入するためにも用いられる。
【0083】
上記共重合体は、さらに芳香族炭素環を備えた構成単位(芳香族炭素環含有単位)を含んでいてもよい。芳香族炭素環含有単位は、硬化性樹脂組成物に塗膜性を付与する成分である。芳香族炭素環含有単位としては、下記式(10)で表されるものが好ましい。
【0084】
【化17】
【0085】
(式中、R1は上記と同じであり、R13は芳香族炭素環を示す。)
式(10)中に含まれるR13(芳香族炭素環)は、例えば、フェニル基、ナフチル基等である。式(10)の構成単位を導入するために使用される単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレンを例示でき、また、その芳香族環は、塩素、臭素等のハロゲン原子、メチル基、エチル基等のアルキル基、アミノ基、ジアルキルアミノ基等のアミノ基、シアノ基、カルボキシル基、スルフォン酸基、燐酸機等で置換されていてもよい。
【0086】
上記共重合体は、さらにエステル基を備えた構成単位(エステル基含有単位)を含んでいてもよい。エステル基含有単位は、硬化性樹脂のアルカリ可溶性を抑制する成分である。エステル基含有単位としては、下記式(11)で表されるものが好ましい。
【0087】
【化18】
【0088】
(式中、R1は上記と同じであり、R14はアルキル基またはアラルキル基を示す。)
式(11)中に含まれるR14(アルキル基またはアラルキル基)は、例えば、炭素数1乃至12のアルキル基、ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基である。式(11)の構成単位を導入するために使用される単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類が例示される。
【0089】
各構成単位をイミド基含有共重合体(a)の主鎖へと導入するために使用される単量体は、各構成単位ごとに、それぞれ例示したものを単独でも、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0090】
特に好ましい環状イミド基含有共重合体としては、下記式(12)又は下記式(13)で表されるランダム共重合体又はブロック共重合体、特にランダム共重合体を例示することができる。なお、これらの共重合体の主鎖は、必要に応じて他の主鎖構成単位を含んでいてもよい。
【0091】
【化19】
【0092】
(式中、R1乃至R5は前記と同じであり、R1は各々同一でも異なっていても良い。l、m、nは整数である。)
【0093】
【化20】
【0094】
(式中、R1乃至R4及びR6乃至R8は前記したのと同じであり、R1は各々同一でも異なっていても良い。l、m、nは整数である。)
本発明において、イミド基含有共重合体(a)の分子構造を構成する各構成単位の含有割合は適宜調節されるが、環状イミド基含有単位の含有割合が少なすぎる場合には光硬化反応の感度が十分に向上せず、特にスペーサーを形成する場合には硬化後の室温での弾性変形率と総変形率を良好な範囲に調節することが困難となる。一方、環状イミド基含有単位の含有割合が多すぎる場合には、塗膜表面の硬化のみが促進し、塗膜内部が充分に硬化しないという問題がある。また、酸性官能基含有単位が少なすぎる場合にはアルカリ可溶性が不十分となり、多すぎる場合には溶剤溶解性が低下するという問題がある。また、光硬化性官能基含有単位が少なすぎる場合には硬化性が不十分となり、一方、光硬化性官能基としてエチレン性不飽和結合を有する構成単位が多すぎる場合には基板密着性が低下するという問題がある。
【0095】
具体的には、単量体としての仕込み量換算で、イミド基含有共重合体(a)中の環状イミド基含有単位の含有割合を10モル%〜90モル%、特に40モル%〜80モル%の範囲で調節することにより、弾性変形率、総変形率、光硬化反応性等の環状イミド基含有単位が関与する物性を最適化することができる。
【0096】
具体的には、前記式(12)の共重合体の場合であれば、単量体としての仕込み量換算で、環状イミド基含有単位を10モル%〜90モル%程度、酸性官能基含有単位及びエチレン性不飽和結合のペンダント連結部位としての(メタ)アクリル酸を5モル%〜85モル%程度、及び、エチレン性不飽和結合のペンダント導入単位としてのグリシジル酸(メタ)アクリレートを5モル%〜45モル%程度とする。
【0097】
また、前記式(13)の共重合体の場合であれば、単量体としての仕込み量換算で、環状イミド基含有単位を10モル%〜90モル%程度、酸性官能基含有単位としての(メタ)アクリル酸を8モル%〜88モル%程度、アルコール性水酸基含有単位及びエチレン性不飽和結合のペンダント連結部位としてのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを1モル%〜81モル%程度、及び、エチレン性不飽和結合のペンダント導入単位としてのイソシアネート化合物を1モル%〜45モル%程度とする。
【0098】
イミド基含有共重合体(a)に導入される酸性官能基と環状イミド基(他の光硬化性官能基を有する場合には、環状イミド基とそれ以外の光硬化性官能基の総量)の量は、上記共重合割合の範囲に制約されるために限界があるが、本発明においては、酸性多官能光硬化性化合物(b)を加えることによって、硬化性組成物中の酸性官能基と光硬化性官能基の量を非常に大きくすることができる。
【0099】
前記のイミド基含有共重合体(a)は、公知の方法に準じて合成することができ、例えば環状イミド基と共にそれ以外の光硬化性官能基を有する共重合体の場合には、特許文献1に記載の手順及び条件に順じ、先ず、式(2)で表される環状イミド基を備えた構成単位と、酸性官能基を備えた式(3)のような構成単位と、光硬化性官能基を有するペンダント構造を後から導入できる官能基を有する構成単位からなり、さらに必要に応じて、アルコール性水酸基を備えた式(9)のような構成単位、芳香族炭素環を備えた式(10)のような構成単位、エステル基を備えた式(11)のような構成単位、或いは、その他の構成単位を含有する主鎖を有する重合体(原料重合体)を製造し、それから当該原料重合体にエチレン性不飽和結合のような光硬化性官能基と共に何らかの別の官能基を有する化合物を反応させて、光硬化性官能基のペンダント構造を導入すればよい。
【0100】
イミド基含有共重合体(a)は、ランダム共重合体およびブロック共重合体のいずれであってよい。
【0101】
イミド基含有共重合体(a)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定したポリスチレン換算重量平均分子量(以下、単に「重量平均分子量」または「Mw」という。)が3,000〜1,000,000、好ましくは5,000〜1000,000、さらに好ましくは5,000〜100,000の範囲に調節するのが好ましい。重量平均分子量が3,000より小さいとアルカリ可溶性が高すぎてパターン露光時のパターン形状を制御しにくく、また、パターンを作製できる場合でも最終的な膜厚が減る(膜減り)等の問題がある。一方、重量平均分子量がl,000,000より大きいと、レジスト化した時の粘度が高くなりすぎて塗工適性が低下したり、現像性が悪くなりパターンが抜けにくくなるなどの問題がある。
【0102】
イミド基含有共重合体(a)の酸価は5mgKOH/g〜400mgKOH/g、好ましくは、10mgKOH/g〜200mgKOH/gとするのが好ましい。酸価はアルカリ可溶性と関係しており、酸価が低すぎると現像性が悪い、或いは、基板及びカラーフィルター樹脂上への密着性が乏しい等の問題がある。一方、酸価が高すぎるとアルカリ可溶性が大きすぎてパターン露光時のパターン形状を制御しにくい等の問題がある。
【0103】
本発明において硬化性樹脂組成物には、イミド基含有共重合体(a)を固形分比(すなわち総固形分を基準とした時の割合)で、通常5〜40重量%、更に10〜30重量%含有させることが好ましい。ここで総固形分とは、溶剤以外の全ての成分の合計量であり、液状のモノマー成分も含まれる。
【0104】
イミド基含有共重合体(a)自体は架橋性成分であるが、多すぎると共重合体(a)よりも架橋密度を高める効果が高い酸性多官能光硬化性化合物(b)、光硬化性化合物(d)の割合が相対的に少なくなるため、イミド基含有共重合体(a)の含有量が40重量%を超えると、硬化後の塗膜の架橋密度が不十分となり、好ましい機械強度が得られない。一方、イミド基含有共重合体(a)の含有量が5%未満では、塗工液の現像性が悪くなり、その結果、現像ムラ、残渣の発生等の問題を生じる場合があり、更に、当該硬化性樹脂組成物を用い、露光、現像を行って形成したパターンの弾性変形率が小さくなり、広い温度範囲において大きな弾性変形率と小さな塑性変形率を有するパターンの形成が困難になる。ここで、弾性変形率(%)及び塑性変形率(%)は、それぞれ次式により算出される。
弾性変形率の式:[(弾性変形量/総変形量)×100](%)
塑性変形率の式:[(塑性変形量(T2)/総変形量(T1))×100](%)
(酸性多官能光硬化性化合物(b))
本発明の硬化性樹脂組成物は、必須成分として1つ以上の酸性官能基と3つ以上の光硬化性官能基を有する光硬化性化合物(b)(酸性多官能光硬化性化合物(b))を含有する。
【0105】
酸性多官能光硬化性化合物(b)は、1分子内に1つ以上の酸性基と3つ以上の光硬化性官能基を有し、分子サイズが比較的小さい化合物である。当該光硬化性化合物(b)の分子量は、通常3,000未満である。
【0106】
光硬化性組成物のアルカリ可溶性と架橋密度を高める目的で、酸性官能基と環状マレイミド基をもつイミド基含有共重合体(a)を増量しすぎると、粘度が上昇して塗布性が悪くなる。また、イミド基含有共重合体(a)に、酸性官能基をもたない光硬化性モノマーを多量に加えると、架橋密度は向上するが、アルカリ可溶性が落ちてしまうので、良好な現像性が得られ難くなる。
【0107】
これに対し、酸性多官能光硬化性化合物(b)は、アルカリ可溶性に寄与する酸性官能基、及び、硬化性樹脂組成物の架橋密度を向上させる3つ以上の光硬化性官能基の両方を分子内に有し、しかも、分子量が比較的小さい。そのため、組成物中に酸性官能基と光硬化性官能基をもつイミド基含有共重合体(a)と共に酸性多官能光硬化性化合物(b)を配合することによって、組成物の粘度を上げずに、アルカリ可溶性と架橋密度を高めることができ、良好な塗布性、硬化性、及び、アルカリ現像性が得られる。
【0108】
当該酸性多官能光硬化性化合物(b)を含有する硬化性樹脂組成物を用いる場合には、保護膜の平坦性が向上し、特に柱状スペーサーを形成する場合には、当該柱状スペーサーのパターンエッジ形状の精度が向上してエッジ形状が良好となり、また柱状スペーサーの上面面積(S2)と下面面積(S1)との比(S2/S1)が1以下で且つ0.4以上の良好な順テーパー形状を形成することができる。
【0109】
酸性多官能光硬化性化合物(b)の酸性官能基及び光硬化性官能基としては、イミド基含有共重合体(a)の酸性官能基及び環状イミド基を除く光硬化性官能基と同様でよい。
【0110】
上記したような酸性多官能光硬化性化合物(b)としては、(1)水酸基含有多官能光硬化性化合物を二塩基酸無水物で変性することによりカルボキシル基を導入した多官能光硬化性化合物、或いは、(2)芳香族多官能光硬化性化合物を濃硫酸や発煙硫酸で変性することによりスルホン酸基を導入した多官能光硬化性化合物等を用いることができる。
【0111】
前記水酸基含有多官能光硬化性化合物としては、1つ以上の水酸基と3つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物が挙げられる。当該化合物の具体例としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、及びジペンタエリスリトールのトリ、テトラ又はペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0112】
前記二塩基酸無水物としては、コハク酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、メチル−テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチル−ヘキサヒドロフタル酸無水物、フタル酸無水物、及びマレイン酸無水物等が挙げられる。
【0113】
酸性多官能光硬化性化合物(b)としては、下記一般式(14)、(15)で表されるものが好ましい。なお、一般式(14)、(15)において、T又はGがオキシアルキレン基の場合には、炭素原子側の末端がR、X及びWに結合する。
【0114】
【化21】
【0115】
(式(14)中、nは0〜14であり、mは1〜8である。式(15)中、Wは式(14)と同様のR又はXであり、6個のWのうち、3個以上のWがRである。pは0〜14であり、qは1〜8である。一分子内に複数存在するR、X、T、Gは、各々同一であっても、異なっていても良い。)
式(14)、(15)で表される酸性多官能光硬化性化合物(b)として、具体的には、下記式(16)〜(21)で表されるものが挙げられ、中でも式(16)及び式(17)が好ましい。
【0116】
【化22】
【0117】
【化23】
【0118】
式(14)、(15)で表される酸性多官能光硬化性化合物(b)の市販品としては、例えば、東亞合成株式会社製のペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートの二塩基酸無水物付加物を主成分とするTO−756、及び、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートの二塩基酸無水物付加物を含有するTO−1382が挙げられる。
【0119】
本発明に係る硬化性樹脂組成物は、酸性多官能光硬化性化合物(b)を固形分比で、40重量%以上、更に50重量%以上含有することが好ましい。上記範囲内の含有量であれば、塗布適性を悪化することなく、樹脂組成物の硬化時の架橋密度を向上させると共に、アルカリ現像性を向上させることができる。
【0120】
(光重合開始剤(c))
本発明の硬化性樹脂組成物には、硬化性を改善する目的で光重合開始剤(c)を含有させることが好ましい。
【0121】
上記光重合開始剤(c)としては、例えば紫外線のエネルギーによりフリーラジカルを発生する化合物であって、ベンゾイン、ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン誘導体又はそれらのエステルなどの誘導体;キサントン並びにチオキサントン誘導体;クロロスルフォニル、クロロメチル多核芳香族化合物、クロロメチル複素環式化合物、クロロメチルベンゾフェノン類などの含ハロゲン化合物;トリアジン類;フルオレノン類;ハロアルカン類;光還元性色素と還元剤とのレドックスカップル類;有機硫黄化合物;過酸化物などがある。好ましくは、イルガキュア184、イルガキュア651、ダロキュアー1173(いずれもチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、アデカ1717(旭電化工業株式会社製)などのケトン系及びビイミダゾール系化合物等を挙げることができる。これらの開始剤を1種のみ又は2種以上を組み合わせて用いることができる。2種以上を併用する場合には、吸収分光特性を阻害しないようにするのがよい。
【0122】
光感度の向上を期待したい場合には、増感剤を添加してもよい。用いる増感剤としては、スチリル系化合物或いはクマリン系化合物が好ましい。具体的には、2−(p−ジメチルアミノスチリル)キノリン、2−(p−ジエチルアミノスチリル)キノリン、4−(p−ジメチルアミノスチリル)キノリン、4−(p−ジエチルアミノスチリル)キノリン、2−(p−ジメチルアミノスチリル)−3,3−3H−インドール、2−(p−ジエチルアミノスチリル)−3,3−3H−インドール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2−(p−ジエチルアミノスチリル)−ベンズオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズイミダゾール、2−(p−ジエチルアミノスチリル)−ベンズイミダゾールなどが挙げられる。
【0123】
また、クマリン系化合物としては、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン、7−エチルアミノ−4−トリフルオロメチルクマリン、4,6−ジエチルアミノ−7−エチルアミノクマリン、3−(2−ベンズイミダゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリン、7−ジエチルアミノシクロペンタ(c)クマリン、7−アミノ−4−トリフルオロメチルクマリン、1,2,3,4,5,3H,6H,10H−テトラヒドロ−8−トリフルオロメチル(1)ベンゾピラノ−(9,9a,1−gh)−キノリジン−10−オン、7−エチルアミノ−6−メチル−4−トリフルオロメチルクマリン、1,2,3,4,5,3H,6H,10H−テトラヒドロ−9−カルベトキシ(1)ベンゾピラノ−(9,9a,1−gh)−キノリジン−10−オンなどが挙げられる。
【0124】
本発明の光重合開始剤(c)としては、必須成分として3級アミン構造を有する光重合開始剤が好ましい(以下、光重合開始剤(c−Am)という)。光重合開始剤(c−Am)は、分子内に酸素クエンチャーである3級アミン構造を有するため、開始剤から発生したラジカルが酸素により失活し難く、硬化性樹脂組成物の感度を向上させるためには適切な重合開始剤である。
【0125】
光重合開始剤(c−Am)としては、例えば、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパノン−1、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−メチル−4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジプロピルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジイソプロピルアミノ)ベンゾフェノン、2,2'−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4',5'−テトラフェニル−1,2'−ビスイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’─テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−フェノキシカルボニルフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−フェノキシカルボニルフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−フェノキシカルボニルフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−シアノフェニル)−4,4’,5.5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−シアノフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−フェノキシカルボニルフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−メトキシカルボニルフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−フェノキシカルボニルフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−エチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−メトキシカルボニルフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−エチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−エチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−フェノキシカルボニルフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−フェニルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−メトキシカルボニルフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−フェニルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−フェニルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−フェノキシカルボニルフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’─テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2−シアノフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジシアノフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリシアノフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2−エチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジエチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリエチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2−フェニルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジフェニルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリフェニルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、4−ジアゾジフェニルアミン、4−ジアゾ−4’−メトキシジフェニルアミン、4−ジアゾ−3−メトキシジフェニルアミンが挙げられ、溶剤溶解性、製版性の点から2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパノン−1、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−メチル−4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジエチルアミノベンゾフェノンを用いることが好ましい。
【0126】
市販品としては、例えば、イルガキュア907、イルガキュア369(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)、ハイキュアABP(川口薬品製)、ビイミダゾール(黒金化成製)などが挙げられる。
【0127】
重合開始剤(c)としては、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。2種以上を併用する場合には、吸収分光特性を阻害しないようにするのがよい。
【0128】
本発明に用いられるイミド基含有共重合体に含まれるイミド基は光照射によりラジカルを発生し光二量化反応をする性質を持ち、それ自体が、光重合開始機能を有している。そのため、本発明の硬化性樹脂組成物ではイミド基含有共重合体を含むことから、重合開始剤(c)の量を少なくすることが可能であり、相対的に架橋性成分の割合を多くできるメリットを有する。本発明の場合、重合開始剤(c)は硬化性樹脂組成物中に通常、固形分比で、0.05〜5重量%の範囲で配合する。
【0129】
開始剤(c)の含有量が5重量%以内の範囲で、通常は露光部を均一且つ充分に硬化させることができる。開始剤(c)の含有量が5重量%を超えると、感度が更に高くなるという利点はあるが、マスク開口に対する出来上りの柱状スペーサーのサイズが大きくなる傾向があるため、柱状スペーサーのサイズ制御が困難になる場合がある。一方、開始剤(c)の含有量が0.05重量%未満では光硬化反応が進まず、残膜率、耐熱性、耐薬品性が低下する場合がある。
【0130】
なお、硬化性樹脂組成物を調製するにあたって、光重合開始剤(c)は、前記重合体(a)に最初から添加しておいてもよいが、比較的長期間保存する場合には、使用直前に硬化性樹脂組成物中に分散或いは溶解することが好ましい。
【0131】
(光硬化性化合物(d))
本発明の硬化性樹脂組成物は、更に、2つ以上の光硬化性官能基を有する(b)成分以外の光硬化性化合物(d)を含有する(以下、「多官能光硬化性化合物(d)」という)ことができる。
【0132】
上記酸性多官能光硬化性化合物(b)は、架橋密度とアルカリ可溶性の両方を増大させるのに対し、多官能光硬化性化合物(d)は架橋密度のみ増大させるので、これらを組み合わせることにより、架橋密度とアルカリ可溶性を調節することができる。
【0133】
本発明において多官能光硬化性化合物(d)は、光硬化性官能基を一分子中に2つ以上、好ましくは3つ以上有し、分子サイズが比較的小さい化合物である。当該化合物(d)の分子量は、通常3000未満である。多官能光硬化性化合物(d)の光硬化性官能基は、イミド基含有共重合体(a)の光硬化性官能基と同様でよい。
【0134】
光硬化性官能基としてエチレン性不飽和結合を一分子中に2つ以上有する化合物としては、多官能アクリレート系のモノマー又はオリゴマーが好ましく用いられ、例えば、エチレングリコール(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリンテトラ(メタ)アクリレート、テトラトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどを例示することができる。これらの成分は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0135】
また、前記の多官能光硬化性化合物(d)は、2個以上のエチレン性不飽和結合と共にアルコール性水酸基を有するものが好ましい。多官能光硬化性化合物(d)がアルコール性水酸基を有する場合には、硬化性樹脂組成物を光硬化させる時に、イミド基含有共重合体(a)の環状イミド基のアルコール性水酸基含有多官能光硬化性化合物(d)への水素引き抜き効果により、共重合体(a)の環状イミド基及びアルコール性水酸基含有多官能光硬化性化合物の反応性を高めて感度及び硬化性をより向上させることができる。
【0136】
アルコール性水酸基を有する多官能光硬化性化合物(d)としては、具体的には、2−ヒドロキシ−1−(メタ)アクリロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロパン、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートモノステアレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリグリセロールジ(メタ)アクリレートなどを例示することができる。
【0137】
また、これらの多官能光硬化性化合物(d)には、反応希釈剤としてメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドンなどの単官能性モノマーを添加することができる。
【0138】
多官能光硬化性化合物(d)を含有する場合に、その含有量は、前記酸性多官能光硬化性化合物(b)と前記多官能光硬化性化合物(d)の含有量の和が、硬化性樹脂組成物中に固形分比で、通常は60重量%以上、好ましくは70重量%以上となるようにすることが好ましい。酸性多官能光硬化性化合物(b)と多官能光硬化性化合物(d)の含有割合の関係は、塗膜の硬化性及び製版性の調整のし易さから、固形分で、前記酸性多官能光硬化性化合物(b)と前記多官能光硬化性化合物(d)の和に対する前記酸性多官能光硬化性化合物(b)の重量比((b)/{(b)+(d)})が0.1〜1の範囲に入ることが好ましい。
【0139】
また、前記イミド基含有共重合体(a)と、前記酸性多官能光硬化性化合物(b)と前記多官能光硬化性化合物(d)の含有割合の関係は、前記光硬化性化合物(d)を含有しない場合には、前記イミド基含有共重合体(a)に対する、前記酸性多官能光硬化性化合物(b)の固形分重量比((a)/(b))を、又は、前記光硬化性化合物(d)を含有する場合には、前記イミド基含有共重合体(a)に対する、前記酸性多官能光硬化性化合物(b)と前記光硬化性化合物(d)の和の固形分重量比((a)/{(b)+(d)})を0.7以下にすることが好ましい。
【0140】
この重量比((a)/(b))又は((a)/{(b)+(d)})を0.7以下とすることにより、形成される塗膜の硬化性が充分となり、更に密着強度、耐熱性等の各種物理強度が適切となるというメリットがある。
【0141】
また、本発明の硬化性樹脂組成物には、反応希釈剤としてメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドンなどの単官能性モノマーを添加してもよい。
【0142】
さらに、本発明の硬化性樹脂組成物には、多官能チオール化合物を添加してもよい。多官能チオール化合物は、分子内にメルカプト基(−SH)を少なくとも2個、好ましくは3個以上、さらに好ましくは4個以上有する化合物であり、イミド基含有共重合体(a)の環状イミド基がチオール化合物中のメルカプト基の水素を引き抜きラジカルを発生させること等により、硬化性樹脂組成物の光硬化反応性を向上させて、硬化性樹脂組成物の感度及び硬化性を向上させる作用、及び、硬化性樹脂組成物の耐熱変色性を向上させる作用を有する。
【0143】
多官能チオール化合物(b)として具体的には、エチレングリコールビスチオプロピオネート(EGTP)、ブタンジオールビスチオプロピオネート(BDTP)、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート(TMTP)、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート(PETP)、下記式(22)で表されるTHEIC−BMPA
【0144】
【化24】
【0145】
等のメルカプトプロピオン酸誘導体;エチレングリコールビスチオグリコレート(EGTG)、ブタンジオールビスチオグリコレート(BDTG)、ヘキサンジオールビスチオグリコレート(HDTG)、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート(TMTG)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート(PETG)等のチオグリコール酸誘導体;1,2−ベンゼンジチオール、1,3−ベンゼンジチオール、1,2−エタンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,6−ヘキサメチレンジチオール、2,2’−(エチレンジチオ)ジエタンチオール、meso−2,3−ジメルカプトコハク酸、p−キシレンジチオール、m−キシレンジチオール等のチオール類;ジ(メルカプトエチル)エーテル等のメルカプトエーテル類を例示することができる。
【0146】
上記例示の中では、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート(PETP)、上記式(22)で表されるTHEIC−BMPA、及び、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート(PETG)が好ましい。
【0147】
多官能チオール化合物は、多量に使用すると保存安定性及び臭気が強く作業衛生上の問題を来たす場合があるため、本発明に係る硬化性樹脂組成物に多官能チオール化合物を添加する場合には、固形分比で、通常0.01〜60重量%、好ましくは10〜40重量%含有させる。更に多官能光硬化性化合物(d)を配合する場合には、多官能チオール化合物の配合量を少なくしても硬化性樹脂組成物の感度を向上させる効果が得られるため、硬化性樹脂組成物に多官能光硬化性化合物(d)を配合する場合には、多官能チオール化合物を固形分比で、通常0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%含有させることにより、充分な感度が得られる。
【0148】
また、本発明の硬化性樹脂組成物の中には、成膜性や被塗工面に対する密着性を付与する目的からバインダーとして、イミド基含有共重合体(a)以外の重合体を配合してもよい。バインダーとしては、非反応性重合体及び反応性重合体のいずれも用いることができるが、酸性多官能光硬化性化合物(b)とも架橋結合を形成して、更に優れた硬化性を得る点から、反応性重合体、特に上記光硬化性官能基を有する重合体を用いることが好ましい。
【0149】
さらに本発明の硬化性樹脂組成物の中には、耐熱性、密着性、耐薬品性(特に耐アルカリ性)の向上を図る目的で、必要に応じて、エポキシ基を分子内に2個以上有する化合物(エポキシ樹脂)を配合することができる。エポキシ基を分子内に2個以上有する化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂としてエピコート1001、1002、1003、1004、1007、1009、1010(ジャパンエポキシレジン製)など、ビスフェノールF型エポキシ樹脂としてエピコート807(ジャパンエポキシレジン製)など、フェノールノボラック型エポキシ樹脂としてEPPN201、202(日本化薬製)、エピコート154(ジャパンエポキシレジン製)など、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としてEOCN102、103S、104S、1020、1025、1027(日本化薬製)、エピコート180S(ジャパンエポキシレジン製)などを例示できる。さらに、環式脂肪族エポキシ樹脂や脂肪族ポリグリシジルエーテルを例示することもできる。
【0150】
これらの中では、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。これらのエポキシ基を分子内に2個以上有する化合物の多くは高分子量体であるが、ビスフェノールAやビスフェノールFのグリシジルエーテルは低分子量体であり、そのような低分子量体は特に好ましい。また、グリシジル(メタ)アクリレート、オキセタン(メタ)アクリレート、脂環式エポキシ(メタ)アクリレート等を樹脂骨格中に含むアクリル共重合体等も有効である。
【0151】
このようなエポキシ樹脂は、硬化性樹脂組成物中に固形分比で、通常は0〜60重量%、好ましくは5〜40重量%含有される。エポキシ樹脂の含有量が5重量%未満では、保護膜に充分な耐アルカリ性を付与できない場合がある。一方、エポキシ樹脂の含有量が60重量%を超えると、エポキシ樹脂量が多くなりすぎ、硬化性樹脂組成物の保存安定性、現像適性が低下するので好ましくない。また、エポキシ樹脂は、硬化性樹脂組成物の乾燥塗膜のタックを除去するためにも有効であり、添加量3重量%程度で充分な効果が発現する。エポキシ樹脂は、露光・アルカリ現像後においても反応することなく塗膜中に残存している酸性基と、加熱処理によって反応し、塗膜に優れた耐アルカリ性を付与することになる。
【0152】
上述の硬化性樹脂組成物には、必要に応じて前記の成分以外にも、界面活性剤、シランカップリング剤等の各種の添加剤を配合することができる。
【0153】
本発明の硬化性樹脂組成物には、塗料化及び塗布適性を考慮して、重合体(a)、酸性多官能光硬化性化合物(b)、光重合開始剤(c)等に対する溶解性が良好で、且つ、スピンコーティング性が良好となるように沸点が比較的高い溶剤が含有される。使用可能な溶剤としては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、N−プロピルアルコール、i−プロピルアルコールなどのアルコール系溶剤;メトキシアルコール、エトキシアルコールなどのセロソルブ系溶剤;メトキシエトキシエタノール、エトキシエトキシエタノールなどのカルビトール系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチルなどのエステル系溶剤;アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤;メトキシエチルアセテート、エトキシエチルアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのセロソルブアセテート系溶剤;メトキシエトキシエチルアセテート、エトキシエトキシエチルアセテートなどのカルビトールアセテート系溶剤;ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどの非プロトン性アミド溶剤;γ−ブチロラクトンなどのラクトン系溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレンなどの不飽和炭化水素系溶剤;N−ヘプタン、N−ヘキサン、N−オクタンなどの飽和炭化水素系溶剤などの有機溶剤を例示することができる。これらの溶剤の中では、メトキシエチルアセテート、エトキシエチルアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのセロソルブアセテート系溶剤;メトキシエトキシエチルアセテート、エトキシエトキシエチルアセテートなどのカルビトールアセテート系溶剤;エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル系溶剤;メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチルなどのエステル系溶剤が特に好適に用いられる。特に好ましくは、MBA(酢酸−3−メトキシブチル、CH3CH(OCH3)CH2CH2OCOCH3)、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、CH3OCH2CH(CH3)OCOCH3)、DMDG(ジエチレングリコールジメチルエーテル、H3COC2H4OCH3)又はこれらを混合したものを使用することができ、これらを用いて固形分濃度を5〜50重量%に調製する。
【0154】
本発明の硬化性樹脂組成物を製造するには、前記イミド基含有共重合体(a)、酸性多官能光硬化性化合物(b)、光重合開始剤(c)、及び、その他の成分を適切な溶剤に投入し、ペイントシェーカー、ビーズミル、サンドグラインドミル、ボールミル、アトライターミル、2本ロールミル、3本ロールミルなどの一般的な方法で溶解、分散させればよい。なお、メインポリマーである硬化性樹脂としては、合成反応後に有効成分であるイミド基含有共重合体(a)を単離精製したものを用いるほか、合成反応により得られた反応液、その乾燥物などをそのまま用いてもよい。
【0155】
このようにして得られる硬化性樹脂組成物を何らかの支持体に塗布して塗膜を形成し、当該塗膜に紫外線、電子線等の活性化エネルギー線を照射すると、イミド基含有共重合体(a)の環状イミド基や光硬化性官能基、酸性多官能光硬化性化合物(b)、及び必要に応じて配合された多官能光硬化性化合物(d)や多官能チオール化合物が光硬化反応を起こして分子間に架橋結合を形成し、硬化する。この光硬化反応時に、イミド基含有共重合体(a)の環状イミド基は、自ら架橋反応すると共に、必要に応じて多官能チオール化合物中のメルカプト基の水素を引き抜いてラジカルを発生させて感度を向上させる。
【0156】
特に、イミド基含有共重合体(a)や酸性多官能光硬化性化合物(b)や多官能光硬化性化合物(d)がエチレン性不飽和結合のような光ラジカル重合性の官能基を有する場合には、共重合体(a)の環状イミド基とこれらの構成単位又は化合物との間にも架橋結合が形成されるので、硬化後物性の向上に貢献し、弾性変形率、総変形率、硬度、強度耐熱性、及び、密着性等の点で優れた物性が得られやすくなる。硬化した塗膜は、水酸化ナトリウム等のアルカリ現像液により現像することができる。
【0157】
本発明の硬化性樹脂組成物は、重合開始剤(c)の配合割合が高くても、酸性多官能光硬化性化合物(b)を配合することにより架橋密度とアルカリ可溶性を高くでき、しかも、酸性多官能光硬化性化合物(b)は多量に配合しても粘度が過度に高くならない。従って、硬化性樹脂組成物を支持体上に均一に塗布することができ、露光時には感度が高く、少ない露光量で速やかに硬化し、硬化後の塗膜に硬度、強度、密着性、弾性変形率等の諸点で優れた物性を有し、現像速度、現像後の形状、残渣等のアルカリ現像性にも優れている。
【0158】
本発明においては、次のような方法によって、硬化性樹脂組成物の露光感度を評価することができる。先ず、基板上に硬化性樹脂組成物を塗布し、必要に応じて乾燥させて塗膜を形成する。ここで、基板としては、透明ガラス基板のように露光、現像等の一連のパターン形成工程に支障を来たさないものであれば、特に問題なく使用できる。塗膜の厚さも特に制限はないが、通常は、1〜10μm程度の厚さとする。この塗膜を、適切な条件で、例えば70〜150℃で、1〜10分間、プリベークする。プリベーク後、既知の照射強度で塗膜を露光し、膜厚を測定する。この段階で測定した膜厚を「現像前膜厚」とする。
【0159】
次に、プリベークした塗膜を適切な現像剤に接触させて未露光部を溶解、除去し、残った露光部を必要に応じて洗浄することによって、塗膜を現像する。ここで、現像剤の組成及び現像の条件は、試験される硬化性樹脂組成物に合わせて適切に選択する。現像剤としては、硬化性樹脂組成物の露光部(硬化した部分)はほとんど溶解せず、未露光部を完全に溶解できるものが好ましいことは言うまでもない。そして、現像された塗膜を、適切な条件で、例えば180〜280℃で、20〜80分間、ポストベークする。ポストベーク後、塗膜の厚さを測定し、「最終硬化後膜厚」とする。
【0160】
このようにして測定された現像前膜厚と最終硬化後膜厚とから次式に従って、残膜率を計算する。
【0161】
残膜率(%)=(最終硬化後膜厚(μm)÷現像前膜厚(μm))×100一方、同じ硬化性樹脂組成物を前記と同様にして基板上に塗布、乾燥し、プリベークし、リファレンス用の塗膜を形成する。このリファレンス用塗膜を、当該塗膜が完全に硬化する照射強度で露光し、膜厚を測定する。この段階で測定した膜厚を「完全露光膜厚」とする。次に、完全露光した塗膜を現像はせずに、サンプルと同じ方法でポストベークした後、得られた膜の膜厚を前述したのと同じ方法で測定し、「現像工程無しの最終膜厚」とする。そして、測定された完全露光膜厚と現像工程無しの最終膜厚とから次式に従って、リファレンス残膜率を計算する。
【0162】
リファレンス残膜率(%)=(現像工程無しの最終膜厚(μm)÷完全露光膜厚(μm))×100
このようにして残膜率とリファレンス残膜率を算出し、残膜率が誤差範囲1%としてリファレンス残膜率と等しくなった最も小さい露光量を、硬化性樹脂組成物の最低露光量と決定する。この最低露光量が小さいほど感度が高いと評価できる。
【0163】
本発明によれば、このようにして決定される最低露光量が100mJ/cm2以下、好ましくは50mJ/cm2以下、さらに好ましくは35mJ/cm2以下、さらに好ましくは25mJ/cm2以下であるような非常に高感度の硬化性樹脂組成物を得ることが可能である。
【0164】
本発明の硬化性樹脂組成物は、感度、現像性、硬化性が良好なだけでなく、環状イミド基を導入したことによって室温での弾性が高いため、カラーフィルターの着色層を被覆する保護層、及び、液晶パネル用基板のセルギャップを維持するための凸状スペーサーを形成するのに適しており、特に凸状スペーサーを形成するのに適しているが、その他にも、TFTアレイ基板の平坦化膜、或いは、半導体デバイス用層間絶縁膜などの広範な分野でネガ型永久膜の形成材料として好適に用いることができる。
【0165】
本発明に係る液晶パネル用基板は、透明基板と、当該透明基板上に形成された着色層と共に、さらに当該着色層を被覆する保護膜及び/又は前記基板の非表示領域に設けられたスペーサーを備え、前記の保護膜及びスペーサーのうちの少なくともひとつが、前記本発明に係る硬化性樹脂組成物を硬化させて形成したものであることを特徴とする。
【0166】
さらに、本発明に係る液晶パネルは、表示側基板と液晶駆動側基板とを対向させ、両者の間に液晶を封入してなる液晶パネルであって、前記表示側基板及び前記液晶駆動側基板のうち少なくとも一方が前記本発明に係る液晶パネル用基板であることを特徴とする。
【0167】
図3は、本発明に係る液晶パネル用基板に属するカラーフィルターの一例(カラーフィルター103)を示す平面図であり、図4は、同じカラーフィルター103のA−A線における縦断面図である。
【0168】
このカラーフィルター103は、透明基板5に所定のパターンで形成されたブラックマトリックス6と、当該ブラックマトリックス上に所定のパターンで形成した着色層7(7R,7G,7B)と、当該着色層を覆うように形成された保護膜8を備えている。保護膜上に必要に応じて液晶駆動用の透明電極9が形成される場合もある。カラーフィルター103の最内面、この場合には透明電極上には、配向膜10が形成される。
【0169】
柱状スペーサー12は凸状スペーサーの一形状であり、ブラックマトリックス層6が形成された領域(非表示領域)に合わせて、透明電極9上の所定の複数箇所(図3では5箇所)に形成されている。柱状スペーサー12は、透明電極9上若しくは着色層7上若しくは保護膜8上に形成される。カラーフィルター101においては、保護膜8上に透明電極9を介して柱状スペーサーが海島状に形成されているが、保護膜8と柱状スペーサー12を一体的に形成し、その上を覆うように透明電極の層を形成しても良い。また、カラーフィルターがブラックマトリックス層を備えていない場合には、着色層を形成していない領域に柱状スペーサーを形成することができる。
【0170】
カラーフィルター101の透明基板5としては、石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、合成石英板等の可撓性のない透明なリジッド材、或いは、透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明なフレキシブル材を用いることができる。この中で特にコーニング社製1737ガラスは、熱膨張率の小さい素材であり寸法安定性及び高温加熱処理における作業性に優れ、また、ガラス中にアルカリ成分を含まない無アルカリガラスであるため、アクティブマトリックス方式によるカラー液晶表示装置用のカラーフィルターに適している。
【0171】
ブラックマトリックス層6は、表示画像のコントラストを向上させるために、着色層7R,7G,7Bの間及び着色層形成領域の外側を取り囲むように設けられる。ブラックマトリックス層6を形成する方法としては、感光性レジストを用いる方法と、遮光性粒子を含有する硬化性樹脂組成物を用いる方法がある。
【0172】
感光性レジストを用いる方法においては、先ず、透明基板5上に遮光層として、クロム等の金属薄膜をスパッタリング法又は真空蒸着法等の気相成長法により形成するか、又は、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂にカーボンブラック等の遮光性粒子を含有する樹脂組成物からなる樹脂層をスピンコーター、ロールコーター、スプレイ、印刷等の塗布法により形成する。このような金属薄膜又は遮光性樹脂からなる遮光層の上に、公知のポジ型又はネガ型の感光性レジストを塗布して感光性レジスト層を形成し、ブラックマトリックス用のフォトマスクを介して露光、現像する。そして、現像により露出した部分の遮光層をエッチングし、残存する感光性レジストを除去することによって、ブラックマトリックス層6を形成することができる。
【0173】
また、遮光性粒子を含有する硬化性樹脂組成物を用いる方法においては、先ず、透明基板5上に、カーボンブラックや金属酸化物等の遮光性粒子を含有させた硬化性樹脂組成物を塗布し、必要に応じて乾燥させて感光性塗膜を形成し、当該塗膜をブラックマトリックス用のフォトマスクを介して露光、現像し、必要に応じて加熱処理を施すことによって、ブラックマトリックス層6を形成することができる。
【0174】
ブラックマトリックス層の厚さは、金属薄膜の場合は1000〜2000Å程度とし、遮光性樹脂層の場合は、0.5〜2.5μm程度とする。
【0175】
着色層7は、赤色パターン、緑色パターン及び青色パターンがモザイク型、ストライプ型、トライアングル型、4画素配置型等の所望の形態で配列されてなり、表示領域を形成する。着色層は、顔料分散法、染色法、印刷法、電着法等の公知の方法により形成することができるが、その中でも、顔料等の着色剤を含有した硬化性樹脂組成物を用いる顔料分散法により形成するのが好ましい。
【0176】
顔料分散法による場合には、先ず、硬化性樹脂組成物に顔料等の着色剤を分散させて、赤色用、緑色用、及び、青色用の光硬化性着色樹脂組成物を夫々調製する。次に、透明基板5上に、ブラックマトリックス層6を覆うように、ある色、例えば光硬化性赤色樹脂組成物をスピンコート等の公知の方法で塗布して光硬化性赤色樹脂層を形成し、赤色パターン用フォトマスクを介して露光を行い、アルカリ現像後、クリーンオーブン等で加熱硬化することにより赤色着色層7Rを形成する。その後、緑色用、及び、青色用の光硬化性着色樹脂組成物を順次用いて同様にして各色をパターニングして、緑色着色層7G及び青色着色層7Bを形成する。
【0177】
着色層の厚さは、通常0.5〜2.5μm程度とする。また、赤色着色層7Rが最も薄く、緑色着色層7G、青色着色層7Bの順に厚くなるというように各色の着色層の厚さを変えて、各色ごとに最適な液晶層厚みに設定してもよい。
【0178】
保護膜8は、カラーフィルターの表面を平坦化すると共に、着色層7に含有される成分が液晶層に溶出するのを防止するために設けられる。保護膜8は、公知のネガ型の光硬化性透明樹脂組成物又は熱硬化性透明樹脂組成物を、スピンコーター、ロールコーター、スプレイ、印刷等の方法により、ブラックマトリックス層6及び着色層7を覆うように塗布し、光又は熱によって硬化させることによって形成できる。保護膜を形成するための光硬化性透明樹脂組成物としては、前記本発明に係る硬化性樹脂組成物を用いることが好ましい。本発明に係る硬化性樹脂組成物を用いる場合には、平坦性が良好な保護膜を形成することができる。
【0179】
保護膜の厚さは、樹脂組成物の光透過率、カラーフィルターの表面状態等を考慮して設定し、例えば、0.1〜2.0μm程度とする。スピンコーターを使用する場合、回転数は500〜1500回転/分の範囲内で設定する。
【0180】
保護膜上の透明電極膜9は、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)等、およびそれらの合金等を用いて、スパッタリング法、真空蒸着法、CVD法等の一般的な方法により形成され、必要に応じてフォトレジストを用いたエッチング又は治具の使用により所定のパターンとしたものである。この透明電極の厚みは20〜500nm程度、好ましくは100〜300nm程度とすることできる。
【0181】
凸状スペーサーは、カラーフィルター103をTFTアレイ基板等の液晶駆動側基板と貼り合わせた時にセルギャップを維持するために、基板上の非表示領域に複数設けられる。凸状スペーサーの形状及び寸法は、基板上の非表示領域に選択的に設けることができ、所定のセルギャップを基板全体に渡って維持することが可能であれば特に限定されない。凸状スペーサーとして図示したような柱状スペーサー12を形成する場合には、2〜10μm程度の範囲で一定の高さを持つものであり、突出高さ(パターンの厚み)は液晶層に要求される厚み等から適宜設定することができる。また、柱状スペーサー12の太さは5〜20μm程度の範囲で適宜設定することができる。また、柱状スペーサー12の形成密度(密集度)は、液晶層の厚みムラ、開口率、柱状スペーサーの形状、材質等を考慮して適宜設定することができるが、例えば、赤色、緑色及び青色の各画素の1組に1個の割合で必要充分なスペーサー機能を発現する。このような柱状スペーサーの形状は柱状であればよく、例えば、円柱状、角柱状、截頭錐体形状等であっても良い。
【0182】
カラーフィルター103に代表される本発明に係る液晶パネル用基板の凸状スペーサーは、バインダーポリマーとして上記イミド基含有共重合体(a)を含有する本発明の樹脂組成物を反応硬化させたものであり、室温において2.0GPaの圧縮荷重に対して弾性変形率[(弾性変形量/総変形量)×100]が60%以上、好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上を示す。
【0183】
本発明において「室温」とは日常生活で遭遇する環境温度を意味し、その範囲は明確ではないが、少なくとも1℃〜35℃の温度範囲を含んでいる。
【0184】
凸状スペーサーの弾性変形率は、次のような方法によって測定することができる。凸状スペーサーに荷重を負荷して変形量を測定する装置としては、(株)フィッシャー・インストルメンツ製フィッシャースコープH−100(ビッカース圧子(四角錐形状)の頭部を研磨して100μm×100μmの平面を有する圧子を使用)を用いることができる。図5は、このような装置を用いて高さTの凸状スペーサーを圧縮し荷重を開放する過程での当該凸状スペーサーの挙動と、総変形量(T1)、塑性変形量(T2)及び弾性変形量(T3)相互の関係を示したものである。先ず、カラーフィルター103又は本発明に係る他の液晶パネル用基板を室温下に置き、上記装置を用いて凸状スペーサーの上底部に圧子を当接させて押し込むことにより、当該凸状スペーサーの高さ方向(膜の厚み方向)へ向けて、22mPa/秒の割合で荷重を増やしながら加えていく。圧縮荷重が2.0GPaに達したら5秒間保持して、凸状スペーサーの総変形量(T1)を測定する。次に、凸状スペーサーに押し付けた圧子を上昇させることにより、22mPa/秒の割合で荷重を取り除き、圧縮荷重が0(ゼロ)に戻った時に残存する変形量、すなわち塑性変形量(T2)を測定する。そして、総変形量(T1)から塑性変形量(T2)を差し引いて、荷重の開放により直ちに復元する変形量、すなわち弾性変形量(T3)を算出する。このようにして得られた総変形量(T1)と弾性変形量(T3)の値を、次式:(弾性変形量(T3)/総変形量(T1))×100に代入して弾性変形率(%)を求めることができる。
【0185】
凸状スペーサーの室温での弾性変形率が60%未満の場合には、室温下で塑性変形しやすくなり、正確且つ均一なセルギャップを保持すると言うスペーサーの機能を充分に果たせなくなる。この場合、具体的に例えば、カラーフィルターと液晶駆動側基板とを室温セル圧着法により組み立てる時に圧力ムラを緩和或いは吸収できずにギャップムラを生じやすく、或いは、組み立てられた液晶パネルに衝撃や押圧力等の外力が加えられた時に歪んだまま元に戻らなくなりやすく、或いは、室温を含む広い温度範囲において液晶の熱的収縮又は膨張に追従できずに気泡が生じやすいといった支障を来たす。
【0186】
本発明においては上記凸状スペーサーが室温において2.0GPaの圧縮荷重に対して弾性変形率が60%以上であると共に、総変形率[=(総変形量(T1)/高さ(T)×100)]が80%以下であることが好ましい。総変形率が80%よりも大きいと、セル圧着時にカラーフィルターと液晶駆動側基板とが接触しやすくなり、カラーフィルター或いは液晶駆動側基板を傷め、その結果、表示ムラを生じる可能性がある。
【0187】
本発明に係る硬化性樹脂組成物を用いて凸状スペーサーを形成するには、硬化性樹脂組成物の塗工液をスピンコーター、ロールコーター、スプレイ、印刷等の方法により透明基板上に直接、又は、透明電極等の他の層を介して塗布し、乾燥して、光硬化性樹脂層を形成する。スピンコーターの回転数は、保護膜を形成する場合と同様に500〜1500回転/分の範囲内で設定すればよい。次に、この樹脂層を凸状スペーサー用フォトマスクを介して露光し、アルカリ液のような現像液により現像して所定の凸状パターンを形成し、さらに必要に応じてクリーンオーブン等で加熱処理(ポストベーク)することによって凸状スペーサーが形成される。
【0188】
凸状スペーサーは、カラーフィルター上に直接又は他の層を介して間接的に設けることができる。例えば、カラーフィルター上にITO等の透明電極又は保護膜を形成し、その上に凸状スペーサーを形成しても良いし、カラーフィルター上に保護膜と透明電極をこの順に形成し、さらに透明電極上に凸状スペーサーを形成しても良い。
【0189】
本発明に係る硬化性樹脂組成物を用いる場合には、パターンエッジ形状が良好で、且つ、凸状スペーサーの上面面積(S2)と下面面積(S1)との比(S2/S1)が1以下で且つ0.3以上の良好な順テーパー形状の凸状スペーサーを形成することができる。
【0190】
配向膜10は、カラーフィルターの内面側に、着色層7を備える表示部及びブラックマトリックス層6や柱状スペーサー12を備える非表示部を覆うように設けられる。配向膜は、ポリイミド樹脂等の樹脂を含有する塗工液をスピンコート等の公知の方法で塗布し、乾燥し、必要に応じて熱や光により硬化させた後、ラビングすることによって形成できる。
【0191】
このようにして得られたカラーフィルター103(表示側基板)と、TFTアレイ基板(液晶駆動側基板)を対向させ、両基板の内面側周縁部をシール剤により接合すると、両基板は所定距離のセルギャップを保持した状態で貼り合わされる。そして、基板間の間隙部に液晶を満たして密封することにより、本発明に係る液晶パネルに属する、アクティブマトリックス方式のカラー液晶表示装置が得られる。
【0192】
カラーフィルター103に代表される液晶パネル用基板を相手側基板と貼り合わせるには、室温セル圧着法を適用するのが好ましい。液晶パネルの従来のセル組立工程では、先ず、エポキシ硬化剤等の熱硬化剤を用い、スペーサービーズを散布したアレイ基板上にカラーフィルター基板を、或いは、スペーサービーズを散布したカラーフィルター基板上にアレイ基板を高温下で圧着し、その後、真空下で基板間に液晶を注入、封止する方法により行うのが一般的であった。しかし、この様な方法ではパネルの組立工程が多いために製造速度や歩留まりの低下が起き易い。また、中型乃至小型液晶パネルの場合には画素数が少ないため、駆動容量も小さく、従って駆動ドライバーをパネルの三辺に実装するだけで足り、残る一辺から液晶を注入することができるのに対して、高精細の大型液晶パネルの場合には画素数が多くなり、大きな駆動容量が必要となる。そのため、パネルの四辺にドライバー実装エリアが必要となり、液晶の注入時にドライバー実装エリアが液晶に触れたりすると、液晶の汚染による信頼性の低下を招き易い。
【0193】
ODF(One Drop Fill)法は、基板上に液晶を滴下した後、対向する基板を所定のセルギャップを空けた状態で一度に貼合わせる方法であり、従来はスペーサービーズによるセルギャップの不均一、シール材の接着強度不足、液晶汚染等の問題が障害となっていたために工業的応用を図ることが困難であったが、近年、凸状スペーサーの開発やその信頼性の向上、接着性の良好な光硬化型シール材の開発などの状況を踏まえ、工業的な製造への応用が期待されるようになってきた。本発明に係る硬化性樹脂組成物を用いて形成された凸状スペーサーは、精度が良く、良好なテーパー形状を有し、高いセルギャップ精度を持つため、このようなODF法で常温セル圧着を行なう場合にも好適に用いることができる。
【0194】
また、完成した液晶パネルは、高いセルギャップ精度を持つため表示ムラを阻止できる。従って、本発明に係る液晶パネルは、表示ムラを生じにくく、画像品質に優れている。
【0195】
以上、カラーフィルターを例にとって本発明の液晶パネル用基板を説明したが、本発明は、モノクロのカラーフィルターのような、カラーフィルター以外の表示側基板に適用することができるし、TFTアレイ基板や単純マトリックス方式の駆動基板のように液晶駆動側基板に適用することもできる。TFTアレイ基板等の液晶駆動側基板に適用する場合には、液晶駆動側基板上のスペーサーは、組み合わせる表示側基板のブラックマトリックス層と重なり合う領域(非表示領域)に設けられる。さらに本発明は、有機EL表示用基板のような液晶パネル以外の表示用基板のカラーフィルターに適用することもできる。
【0196】
【実施例】
(製造例1)重合体1の合成
重合槽中に3,4,5,6テトラヒドロフタルイミドエチルメタクリレート(THPI−MA)を80重量部、メタクリル酸(MAA)を20重量部、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)を185重量部、仕込み、攪拌し溶解させた後、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)を4重量部、添加し、均一に溶解させた。その後、窒素気流下で、85℃で2時間攪拌し、さらに100℃で1時間反応させた。さらに得られた溶液にグリシジルメタクリレート(GMA)を10重量部、トリエチルアミンを0.5重量部、及び、ハイドロキノンを0.1重量部、添加し、100℃で5時間攪拌し、目的とする共重合樹脂溶液1(固形分35%)を得た。
【0197】
(製造例2)重合体2の合成
重合槽中にメタクリル酸メチル(MMA)を80重量部、メタクリル酸(MAA)を20重量部、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)を185重量部、仕込み、攪拌し溶解させた後、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)を4重量部、添加し、均一に溶解させた。損後、窒素気流下で、85℃で2時間攪拌し、更に100℃で1時間反応させた。更に得られた溶液にグリシジルメタクリレート(GMA)を10重量部%、トリエチルアミンを0.5重量部、及びハイドロキノンを0.1重量部、添加し、100℃で5時間攪拌し、更に100℃で1時間反応させた。更に得られた溶液にグリシジルメタクリレート(GMA)を10重量部、トリエチルアミンを0.5重量部、及び、ハイドロキノンを0.1重量部、添加し、100℃で5時間攪拌し、目的とする共重合樹脂溶液2(固形分35%)を得た。
【0198】
(実施例1〜2、比較例1〜3)
実施例1、比較例1は、保護層用樹脂組成物として、実施例2、及び比較例2、3は、柱状スペーサー用樹脂組成物として、第1表に示す割合で、ポリマー、モノマー、添加剤、開始剤、及び溶剤を混合して調製した。
【0199】
なお、表1における略号は、以下の意味を示す。
・SR399E:ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、日本化薬(株)製
・TO1382:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートの二塩基酸無水物付加物とジペンタエリスリトールヘキサアクリレートからなり、それらを質量比3:7の割合で含む混合物、東亞合成(株)製
・エピコート180S70:オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジャパンエポキシレジン社製
・イルガキュア907:2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパノン−1、チバスペシャリティケミカルズ社製
・イルガキュア369:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、チバスペシャリティケミカルズ社製
【0200】
【表1】
【0201】
<評価>
(製版性の評価)
実施例1、2及び比較例1〜3で得られた樹脂組成物について、10cm画のガラス基板上に、スピンコーター(MIKASA製、形式1H-DX2)により1.5μmの厚さに塗布した。この塗膜をホットプレート上で100℃、3分間プリベークした。所定の形状、大きさ、及び間隔を有する露光パターンを形成できるように設計されたフォトマスクを配置してプロキシミティアライナにより紫外線を100mJ/cm2で照射した基板を0.05重量%KOH水溶液を用いてスプレー現像した時に、現像に要する時間、残渣、端面残り、及び密着性を評価した。ここで、端面残りとは、スピンコートした際に厚くなった外周部の溶け残りの有無をいい、樹脂組成物の現像性が良好か否かを判断することができる。
【0202】
(感度の評価)
10cm画のガラス基板上に、実施例及び比較例で得られた硬化性樹脂組成物をスピンコーター(MIKASA製、形式1H−DX2)により、塗布、乾燥し、乾燥膜厚2μmの塗膜を形成した。この塗膜をホットプレート上で90℃、3分間加熱した。加熱後、塗膜から100μmの距離にフォトマスクを配置して2.0kWの超高圧水銀ランプを装着したUVアライナー(大日本スクリーン製、形式MA 1200)によって、同一塗膜を4等分した各領域のそれぞれに、25、35、50、100mJ/cm2の強度(405nm照度換算)で紫外線を照射した。
【0203】
紫外線の照射後、これら4つの各領域から、寸法が約1mm×3mmの矩形状に塗膜を削り取ってガラス基板を部分的に露出させ、触針式表面粗度測定装置(日本アネルバ(株)製、Dektak 1600)により各照射領域の膜厚を測定し、現像前膜厚とした。
【0204】
次いで、塗膜の露光部に0.05wt%の水酸化カリウム水溶液をスピン現像機(Applied Process Technology,INK、MODEL:915)にて60秒間散布し、未露光部を溶解、除去し、残った露光部を純水で60秒間水洗することにより現像した。現像後、露光部の膜をクリーンオーブン(忍足研究所(株)製、SCOV−250 Hy−So)により、200℃で30分間加熱した。そして、得られた膜の各領域の膜厚を、前述したのと同じ方法で測定し、最終硬化後膜厚とした。
【0205】
このようにして測定された現像前膜厚と最終硬化後膜厚とから次式に従って、残膜率を計算した。
【0206】
残膜率(%)=(最終硬化後膜厚(μm)÷現像前膜厚(μm))×100
一方、リファレンス残膜率を、次のようにして決定した。先ず、塗膜の全面に100mJ/cm2の強度で露光したこと以外はサンプルと同じ方法で、硬化性樹脂組成物の完全露光膜厚を測定した。次に、100mJ/cm2露光した塗膜を現像はせずに、サンプルと同じ方法で加熱だけした後、得られた膜の膜厚を前述したのと同じ方法で測定し、現像工程無しの最終膜厚とした。そして、測定された完全露光膜厚と現像工程無しの最終膜厚とから次式に従って、リファレンス残膜率を計算した。
【0207】
リファレンス残膜率(%)=(現像工程無しの最終膜厚(μm)÷完全露光膜厚(μm))×100
このようにして算出された残膜率が誤差範囲1%としてリファレンス残膜率と等しくなった最も小さい露光量を、硬化性樹脂組成物の最低露光量と決定した。
【0208】
実施例1,2及び比較例1〜3について、製版性を評価し、更に実施例2及び比較例3について、感度を評価した。評価結果を第2表に示す。
【0209】
【表2】
【0210】
本発明の実施例1と同量のイミド基含有共重合体(a)を用い、酸性多官能硬化性化合物(c)を用いずに光硬化性化合物(d)のみを用いた比較例1は、本発明の実施例1に比べて製版性に劣るものであった。
【0211】
酸性官能基を有するイミド基含有共重合体(a)を増量しても、酸性多官能硬化性化合物(c)を用いずに光硬化性化合物(d)のみを用いた比較例2は、本発明の実施例に比べて製版性に劣るものであった。
【0212】
イミド基含有共重合体(a)の代わりに、イミド基を含有せず光硬化性官能基を有する共重合体を用いた比較例3は、組成物の固形分中のエチレン性不飽和結合基濃度が同じ実施例2と比べて感度が低く、本発明に係る実施例2の感度が高いことが明らかになった。また、比較例3は、製版性の点においても実施例に劣るものであった。
【0213】
(実施例3:液晶パネル用基板の作製)
(1)ブラックマトリックスの形成
厚み1.1mmのガラス基板(旭硝子(株)製AL材)上に第3表に示すブラックマトリックス用樹脂組成物をスピンコーターで塗布し、100℃で3分間乾燥させ、膜厚約1μmの遮光層を形成した。当該遮光層を、超高圧水銀ランプで遮光パターンに露光した後、0.05%水酸化カリウム水溶液で現像し、その後、基板を180℃の雰囲気中に30分間放置することにより加熱処理を施して遮光部を形成すべき領域にブラックマトリックスを形成した。
【0214】
【表3】
【0215】
(2)着色層の形成
前記のようにしてブラックマトリックスを形成した基板上に、第4表に示す赤色パターン用樹脂組成物をスピンコーティング法により塗布(塗布厚み1.5μm)し、その後、70℃のオーブン中で30分間乾燥した。
【0216】
次いで、赤色パターン用樹脂組成物の塗膜から100μmの距離にフォトマスクを配置してプロキシミティアライナにより2.0kWの超高圧水銀ランプを用いて着色層の形成領域に相当する領域のみに紫外線を10秒間照射した。次いで、0.05wt%水酸化カリウム水溶液(液温23℃)中に1分間浸漬してアルカリ現像し、赤色パターン用樹脂組成物の塗膜の未硬化部分のみを除去した。その後、基板を180℃の雰囲気中に30分間放置することにより加熱処理を施して赤色画素を形成すべき領域に赤色のレリーフパターンを形成した。
【0217】
次に、第5表の緑色パターン用樹脂組成物を用いて、赤色のレリーフパターン形成と同様の工程で、緑色画素を形成すべき領域に緑色のレリーフパターンを形成した。
【0218】
さらに、第6表の青色硬化性樹脂組成物を用いて、赤色のレリーフパターン形成と同様の工程で、青色画素を形成すべき領域に青色のレリーフパターンを形成し、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色からなる着色層を形成した。
【0219】
【表4】
【0220】
【表5】
【0221】
【表6】
【0222】
(3)保護膜の形成
着色層を形成したガラス基板上に、実施例1の保護層用樹脂組成物をスピンコーティング法により塗布、乾燥し、乾燥膜厚2μmの塗膜を形成した。
【0223】
保護層用樹脂組成物の塗膜から100μmの距離にフォトマスクを配置してプロキシミティアライナにより2.0kWの超高圧水銀ランプを用いて着色層の形成領域に相当する領域のみに紫外線を10秒間照射した。次いで、0.05wt%水酸化カリウム水溶液(液温23℃)中に1分間浸漬してアルカリ現像し、保護層用樹脂組成物の塗膜の未硬化部分のみを除去した。その後、基板を200℃の雰囲気中に30分間放置することにより加熱処理を施して保護膜を形成し、本発明の液晶パネル用基板に属するカラーフィルターを得た。
【0224】
(4)スペーサーの形成
着色層を形成したガラス基板上に、実施例2で得られた柱状スペーサー用樹脂組成物をスピンコーティング法により塗布、乾燥し、乾燥膜厚5μmの塗膜を形成した。
【0225】
柱状スペーサー用樹脂組成物の塗膜から100μmの距離にフォトマスクを配置してプロキシミティアライナにより2.0kWの超高圧水銀ランプを用いて、ブラックマトリックス上のスペーサーの形成領域のみに紫外線を10秒間照射した。次いで、0.05wt%水酸化カリウム水溶液(液温23℃)中に1分間浸漬してアルカリ現像し、柱状スペーサー用樹脂組成物の塗膜の未硬化部分のみを除去した。その後、基板を200℃の雰囲気中に30分間放置することにより加熱処理を施して固定スペーサーを形成し、本発明の液晶パネル用基板を得た。
【0226】
(実施例4:液晶パネルの作製)
実施例3で得られたカラーフィルターの固定スペーサーを含む表面に、基板温度200℃でアルゴンと酸素を放電ガスとし、DCマグネトロンスパッタリング法によってITOをターゲットとして透明電極膜を形成した。その後、更に透明電極膜上にポリイミドよりなる配向膜を形成した。
【0227】
次いで、前記カラーフィルターと、TFTを形成したガラス基板とを、エポキシ樹脂をシール材として用い、150℃で0.3kg/cm2の圧力をかけて接合してセル組みし、TN液晶を封入して、本発明の液晶パネルを作製した。
【0228】
(比較例4:液晶パネル用基板の作製)
実施例3において、実施例1、2の樹脂組成物を用いた代わりに比較例1、2の樹脂組成物を用いたほかは、実施例3と同様に液晶パネル用基板を作製した。
【0229】
(比較例5:液晶パネルの作製)
実施例4において、実施例3の液晶パネル用基板を用いた代わりに比較例4の液晶パネル用基板を用いたほかは、実施例4と同様に液晶パネルを作製した。
【0230】
(弾性変形率の評価)
実施例2及び比較例2で得られた液晶パネル基板の固定スペーサーに対し、ビッカース圧子(四角錐形状)を研磨して100μm×100μmの平面を形成した圧子を装着した(株)フィッシャー・インスツルメンツ製フィッシャースコープH−100を用いて、室温で厚み方向に22MPa/秒の割合で2GPaまで荷重をかけ、5秒間保持した後に、厚み方向に22MPa/秒の割合で荷重を取り除いた時の変形量(μm)を測定し、図5に示される総変形量T1、塑性変形量T2、弾性変形量T3を求め、弾性変形率[(T3/T1)×100]を算出した。結果を第7表に示す。
【0231】
【表7】
【0232】
(テーパー形状の評価)
実施例3及び比較例4で得られたスペーサーの形状をSEM写真から観察した。各スペーサーの側面を撮影したSEM写真を、図6、図7に示す。更にSEM写真から上面面積(S2)と下面面積(S1)を算出し、そのテーパー形状(S2/S1)を評価した。その結果を、現像時間と併せて第8表に示す。
【0233】
【表8】
【0234】
実施例3は、現像性が良く、正確でパターンエッジ形状が良好な順テーパーの凸状スペーサーであったが、実施例に用いた酸性多官能光硬化性化合物(b)の代わりに、同量の通常用いられる多官能光硬化性化合物のみを用いた比較例4は、現像性が悪く、逆テーパー形状となり、パターンエッジ形状が劣るものであった。
【0235】
(液晶パネル表示ムラ評価)
実施例4、比較例5で得られた液晶パネルを用いて、用いた硬化性樹脂組成物の違いによる表示むらの有無を観察した。
【0236】
実施例4は表示ムラがなく、画像品質に優れていた。それに対し、比較例5は表示ムラの点で実施例4に劣るものであった。
【0237】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明においては、バインダーポリマーとして上記イミド基含有共重合体(a)を用い、これに酸性多官能光硬化性化合物(b)を加えるので、アルカリ現像性を低下させることなく多官能光硬化性基により架橋密度を上げることが出来、硬化後において高弾性な塗膜を得ることができる。更に、本発明に用いられるイミド基含有共重合体(a)に含まれるイミド基は光照射によりラジカルを発生し光二量化反応をする性質を持ち、それ自体が、光重合開始機能を有している。そのため、本発明の硬化性樹脂組成物ではイミド基含有共重合体を含むことから、重合開始剤(c)の量を少なくすることが可能であり、相対的に架橋性成分の割合を多くできるメリットを有する。従って、感度、光硬化性、アルカリ現像性の何れの点でも非常に優れる硬化性樹脂組成物が得られる。
【0238】
従って、本発明の硬化性樹脂組成物は、精密で正確で硬化後の諸物性にも優れたパターンを形成することができ、残渣が少ない上、露光感度が非常に高く、短い露光時間で硬化させることが可能であるため、パターン形成の所用時間を短縮化し、カラーフィルター製造ラインの製造速度を向上させることが可能である。
【0239】
そして、本発明の硬化性樹脂組成物は、液晶パネル用基板に用いられるのに適しており、特に、カラーフィルターの着色層を被覆する保護層、及び、液晶パネルのセルギャップを維持するためのスペーサーを形成するためのコーティング材料として適している。上記本発明に係る硬化性樹脂組成物を用いて平坦性の高い保護膜又は正確でパターンエッジ形状が良好な凸状スペーサーを形成することができるので、液晶パネルを組み立てたときに表示ムラを生じさせ難い。
【0240】
さらに液晶パネル用基板には、室温下で圧縮荷重に対して塑性変形しにくい充分な硬度と復元性、及び液晶表示装置の使用環境温度域内での液晶収縮及び膨張に追従し得るしなやかさを有するスペーサーを形成できる。
【0241】
従って、本発明に係る液晶パネル用基板と相手側基板とを室温セル圧着法により貼り合わせる場合には、圧力ムラを緩和或いは吸収することによって基板全体にわたり荷重を均一化してギャップムラの発生を防止すると共に、圧縮荷重の開放後は、ほぼ完全に元の高さに復元してセルギャップを所定距離に維持できる。
【0242】
また、完成した液晶パネルは、衝撃や押圧力等の外力が加えられた場合に一時的にゆがんでも、セルギャップは元通りに復元するので、液晶表示装置の表示面積が大きい又はセルギャップが非常に狭い場合でもセルギャップを正確且つ均一に維持することができる。さらに、室温を含む広い温度範囲において液晶の熱的収縮又は膨張に追従できるので、気泡の発生も阻止できる。
【0243】
従って、本発明に係る液晶パネルは、表示ムラを生じさせにくく、画像品質に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の液晶パネルの一例についての模式的断面図である。
【図2】従来の液晶パネルの別の例についての模式的断面図である。
【図3】本発明に係る液晶パネル用基板の一例についての平面図である。
【図4】本発明に係る液晶パネル用基板の一例についての断面図である。
【図5】荷重と凸状スペーサーの変形量との関係を示す図である。
【図6】実施例3で得られたスペーサーの側面を撮影したSEM写真である。
【図7】比較例4で得られたスペーサーの側面を撮影したSEM写真である。
【符号の説明】
1…カラーフィルター
103…カラーフィルター
2…TFTアレイ基板
3…間隙部
4…シール材
5…透明基板
6…ブラックマトリックス層
7(7R、7G、7B)…着色層
8…保護膜
9…透明電極膜
10…配向膜
11…粒子状スペーサー
12…柱状スペーサー
Claims (16)
- 少なくとも、
下記式(A)で表されるアクリル酸及び/又はメタアクリル酸から誘導される構造のカルボキシル基残基の末端に、下記式(1)で表される環状イミド基を含むペンダント構造が結合した、環状イミド基を備えた構成単位と、下記式(A)のカルボキシル基残基の末端に水素が直接結合した、酸性官能基を備えた構成単位と、下記式(A)のカルボキシル基残基の末端に前記環状イミド基を除く光重合性官能基を含むペンダント構造が結合した、光硬化性官能基を備えた構成単位とが連結した、分子構造を有するイミド基含有共重合体(a)と、
1つ以上の酸性官能基と3つ以上の光硬化性官能基を有する光硬化性化合物(b)を含有する、カラーフィルター上に設けられる保護膜又はスペーサーを形成するための硬化性樹脂組成物。
- 前記イミド基含有共重合体(a)の前記光硬化性官能基を備えた構成単位が、光硬化性官能基としてエチレン性不飽和結合を有する、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記イミド基含有共重合体(a)は、分子内にアルコール性水酸基を有する、請求項1乃至4のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
- 硬化後に室温において2.0GPaの圧縮荷重に対して弾性変形率[(弾性変形量/総変形量)×100]が60%以上を示すことを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
- 更に、光重合開始剤(c)を含有する、請求項1乃至6のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記光重合開始剤(c)が、3級アミン構造を有する化合物である、請求項7に記載の硬化性樹脂組成物。
- 更に、2つ以上の光硬化性官能基を有する(b)成分以外の光硬化性化合物(d)を含有する、請求項1乃至8のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記光硬化性化合物(d)が、光硬化性官能基としてエチレン性不飽和結合を3個以上有すると共にアルコール性水酸基を有することを特徴とする、請求項9に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記光硬化性化合物(d)を含有しない場合には、前記イミド基含有共重合体(a)に対する、前記光硬化性化合物(b)の固形分重量比((a)/(b))が、又は、前記光硬化性化合物(d)を含有する場合には、前記イミド基含有共重合体(a)に対する、前記光硬化性化合物(b)と前記光硬化性化合物(d)の和の固形分重量比((a)/{(b)+(d)})が0.7以下である、請求項1乃至10のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
- 固形分で、前記光重合開始剤(c)を0.05〜5重量%含有する、請求項1乃至11のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
- 液晶パネル用基板の製造に用いられる前記請求項1乃至12のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
- 透明基板と、当該透明基板上に設けられた着色層と共に、さらに当該着色層を被覆する保護膜及び/又は前記基板の非表示領域に設けられたスペーサーを備え、前記保護膜及びスペーサーのうちの少なくともひとつが、前記請求項1乃至12のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物を硬化させて形成したものであることを特徴とする、液晶パネル用基板。
- 前記スペーサーが、室温において2.0GPaの圧縮荷重に対して弾性変形率[(弾性変形量/総変形量)×100]が60%以上であることを特徴とする、請求項14に記載の液晶パネル用基板。
- 表示側基板と液晶駆動側基板とを対向させ、両者の間に液晶を封入してなる液晶パネルであって、前記表示側基板及び前記液晶駆動側基板のうち少なくとも一方が前記請求項14又は15に記載の液晶パネル用基板であることを特徴とする、液晶パネル。
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