JP2005148357A - ゲル化が抑制された感光性組成物、液晶パネル用基板、及び、液晶パネル - Google Patents
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Abstract
【課題】感度が高く現像性が良好でゲル化が抑制された感光性組成物、当該感光性組成物を用いて着色層、着色層を被覆する保護膜、或いは液晶層のスペーサーを形成した液晶パネル用基板、及び、当該液晶パネル用基板を用いた表示品質に優れた液晶パネルを提供する。
【解決手段】少なくとも、2つ以上の光ラジカル重合性官能基を有する光硬化性化合物(a)と、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1(b)と、酸性物質(c)と、塩基性物質(d)を含有する、ゲル化が抑制された感光性組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】少なくとも、2つ以上の光ラジカル重合性官能基を有する光硬化性化合物(a)と、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1(b)と、酸性物質(c)と、塩基性物質(d)を含有する、ゲル化が抑制された感光性組成物。
【選択図】 なし
Description
本発明は、感度が高く現像性が良好でゲル化が抑制された感光性組成物、当該感光性組成物を用いて着色層、着色層を被覆する保護膜、或いは液晶層のスペーサーを形成した液晶パネル用基板、及び、当該液晶パネル用基板を用いた表示品質に優れた液晶パネルに関する。
液晶パネルは、表示側基板と液晶駆動側基板とを対向させ、両者の間に液晶化合物を封入して薄い液晶層を形成し、液晶駆動側基板により液晶層内の液晶配列を電気的に制御して表示側基板の透過光又は反射光の量を選択的に変化させることによって表示を行う。
液晶パネルには、スタティック駆動方式、単純マトリックス方式、アクティブマトリックス方式など種々の駆動方式があるが、近年、パーソナルコンピューターや携帯情報端末などのフラットディスプレーとして、アクティブマトリックス方式又は単純マトリックス方式の液晶パネルを用いたカラー液晶表示装置が急速に普及してきている。
図1は、アクティブマトリックス方式の液晶パネルの一構成例である。液晶パネル101は、表示側基板であるカラーフィルター1と液晶駆動側基板であるTFTアレイ基板2とを対向させて1〜10μm程度の間隙部3を設け、当該間隙部3内に液晶Lを充填し、その周囲をシール材4で密封した構造をとっている。カラーフィルター1は、透明基板5上に、画素間の境界部を遮光するために所定のパターンに形成されたブラックマトリックス層6と、複数の色(通常、赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色)を所定順序に配列した画素7又は最近ではホログラムを利用した画素と、保護膜8と、透明電極膜9とが、透明基板に近い側からこの順に積層された構造をとっている。一方、TFTアレイ基板2は、透明基板上にTFT素子を配列し、透明電極膜を設けた構造をとっている(図示せず)。また、カラーフィルター1及びこれと対向するTFTアレイ基板2の内面側には配向膜10が設けられる。さらに間隙部3には、カラーフィルター1と電極基板2の間のセルギャップを一定且つ均一に維持するために、スペーサーとしてガラス、アルミナ又はプラスチック等からなる一定サイズの球状又は棒状粒子11が分散されている。そして、各色に着色された画素それぞれ又はカラーフィルターの背後にある液晶層の光透過率を制御することによってカラー画像が得られる。
カラーフィルターに形成される保護膜8は、画素の保護とカラーフィルターの平坦化の役割を果たしている。カラー液晶表示装置では、カラーフィルターの透明基板表面のうねりに起因するギャップムラ、R、G及びBの各画素間でのギャップムラ、或いは各画素内でのギャップムラなどの存在により透明電極膜9の平坦性が損なわれると、色ムラ或いはコントラストムラを生じ、その結果、画像品質の低下を来たすと言う問題がある。従って、保護膜には高い平坦性が求められる。
スペーサーとして図1に示したような微粒子11を分散させる場合には、当該微粒子11は、ブラックマトリックス層6の背後であるか画素の背後であるかは関係なく、ランダムに分散する。微粒子11が表示領域すなわち画素の上に配置された場合、微粒子11の部分をバックライトの光が透過し、また、微粒子11周辺の液晶の配向が乱れ、表示画像の品位を著しく低下させる。そこで図2に示すように、微粒子11を分散させるかわりに、カラーフィルターの内面側であってブラックマトリックス層6が形成されている位置と重り合う領域(非表示領域)に、セルギャップに対応する高さを有する柱状スペーサー12を形成することが行われるようになってきた。
前記の画素7、保護膜8及び柱状スペーサー12は、樹脂を用いて形成することができる。画素7は、各色ごとに所定のパターンに形成する必要がある。保護膜8は、シール部の密着性や密閉性を考慮すると、透明基板上の画素が形成された領域のみ被覆できるものであることが好ましい。また、柱状スペーサー12は、ブラックマトリックス層の形成領域内すなわち非表示領域に正確に設ける必要がある。
このようなカラーフィルターの細部は、光硬化性樹脂の塗膜を基材上に形成し、硬化させたい領域を選択的に露光した後にアルカリ現像することによって形成できる。アルカリ現像可能な光硬化性樹脂としては、アルカリ可溶性バインダーに多官能のアクリルモノマーと光重合開始剤を配合した組成物を用いることができる。特許文献1には、アルカリ可溶性のカルボキシル基と、ラジカル重合性の(メタ)アクリル基をもつ光硬化性樹脂が記載されており、アルカリ可溶性バインダーとして用いることができる。
また特許文献2には、側鎖にラジカル重合性の(メタ)アクリロイル基を持つ光硬化性樹脂と2−アミノ−2−ベンゾイル−1−フェニルアルカン化合物とを組合せたカラーフィルター用樹脂組成物が記載されており、樹脂組成物の感度の向上と保存安定性を実現している。しかしながら、更なる感度の向上のため、光硬化性樹脂中の(メタ)アクリロイル基量を多くすると樹脂組成物の酸価の低下或いは分子量の増大によりアルカリ現像性が著しく低下すると言った問題がある。
アルカリ現像可能な光硬化性樹脂と光重合開始剤を用いて様々なパターンを形成する場合に、光重合開始剤としては、その感度の高さから、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1が多用されている。しかし、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1自体にはアルカリ現像性がないため、感度を上げるためにその配合割合を多くすると、アルカリ現像性、現像後の形状等が悪くなる。従って、現像性を損なわずに感光性組成物中の光重合開始剤配合比を大きくするために、現像性を付与する酸性化合物を添加することを試みた。しかしながら、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1を用いた感光性組成物中に酸性化合物を添加した場合、感光性組成物がゲル化して基材上に塗布することが不可能となるという問題が生じた。
従って、本発明の目的は、感度が高く現像性が良好でゲル化が抑制された感光性組成物、当該感光性組成物を用いて着色層、着色層を被覆する保護膜、或いは液晶層のスペーサーを形成した液晶パネル用基板、及び、当該液晶パネル用基板を用いた表示品質に優れた液晶パネルを提供することにある。
本発明において提供される感光性組成物は、少なくとも、2つ以上の光ラジカル重合性官能基を有する光硬化性化合物(a)と、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1(b)と、酸性物質(c)と、塩基性物質(d)を含有する。
本発明の感光性組成物は、2つ以上の光ラジカル重合性官能基を有する光硬化性化合物(a)に、酸素クエンチャーである3級アミン構造を分子内に有する2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1(b)を多量に配合し、現像性を補うために酸性物質(c)を配合しても、塩基性物質(d)を配合することによってゲル化を抑制することができることから、塗工性、感度、及びアルカリ現像性に優れ、露光時には感度が高く、現像時には現像速度が高い。
上記感光性組成物は、成膜性や被塗工面に対する密着性を付与する点から、更に、バインダー(e)を含有してもよい。
本発明の感光性組成物は、液晶パネル用基板の製造に用いられるのに適しており、特に、カラーフィルターの着色層、着色層を被覆する保護膜、及び、液晶パネルのセルギャップを維持するための柱状スペーサーを形成するのに適している。すなわち、本発明の感光性組成物を用いると、高感度により生産性が高く、優れた現像性により正確で寸法安定性に優れた着色層、柱状スペーサー及び平坦性の高い保護膜を形成することができる。
本発明において提供される液晶パネル用基板は、透明基板と、当該透明基板上に設けられた着色層とを備え、さらに当該着色層を被覆する保護膜及び/又は前記基板の非表示領域に設けられたスペーサーを備えていてもよく、前記の保護膜及びスペーサーのうちの少なくともひとつが、本発明に係る感光性組成物を硬化させて形成したものであることを特徴とする。
また、本発明に係る液晶パネルは、カラーフィルター等の表示側基板及びTFTアレイ基板等の液晶駆動側基板のうち少なくとも一方が前記本発明に係る液晶パネル用基板により構成されている。
本発明の感光性組成物は、2つ以上の光ラジカル重合性官能基を有する光硬化性化合物(a)に、酸素クエンチャーである3級アミン構造を分子内に有する2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1(b)を多量に配合し、現像性を補うために酸性物質(c)を配合しても、塩基性物質(d)を配合することによってゲル化を抑制することができることから、塗工性、感度、及びアルカリ現像性に優れ、露光時には感度が高く、現像時には現像速度が高い。
本発明の感光性組成物は、液晶パネル用基板の製造に用いられるのに適しており、特に、カラーフィルターの着色層、着色層を被覆する保護膜、及び、液晶パネルのセルギャップを維持するための柱状スペーサーを形成するのに適している。すなわち、本発明の感光性組成物を用いると、高感度により生産性が高く、優れた現像性により正確で寸法安定性に優れた柱状スペーサー、着色層、及び平坦性の高い保護膜を形成することができる。
本発明の液晶パネル用基板は、上記本発明に係る感光性組成物を用いて着色層及び/又は保護膜及び/又はスペーサーを形成するので、平坦性の高い保護膜、及び/又はパターンエッジ形状、テーパー形状が精確で良好な着色層及び/又はスペーサーが得られ、高画質、高精彩で液晶パネルを組み立てたときに表示ムラを生じさせ難い。
本発明に係る液晶パネルは、セル圧着時及びその後の取り扱い時においてセルギャップを正確且つ均一に維持することができるので、表示ムラを生じさせにくく、また、高画質、高精彩であり、画像品質に優れている。
本発明により提供される感光性組成物は、少なくとも、2つ以上の光ラジカル重合性官能基を有する光硬化性化合物(a)と、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1(b)と、酸性物質(c)と、塩基性物質(d)を含有し、ゲル化が抑制されたものである。
本発明の感光性組成物は、酸素クエンチャーである3級アミン構造を分子内に有する2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1(b)を多量に配合し、現像性を補うために酸性物質(c)を配合しても、塩基性物質(d)を配合することによってゲル化を抑制することができることから、優れた塗工性、感度、及びアルカリ現像性が得られる。
以下において本発明を詳しく説明する。なお、本発明において(メタ)アクリルとはアクリル基又はメタクリル基のいずれかであることを意味し、(メタ)アクリレートとはアクリレート又はメタクリレートのいずれかであることを意味し、(メタ)アクリロイルとはアクリロイル基又はメタクリロイル基のいずれかであることを意味する。
(2つ以上の光ラジカル重合性官能基を有する光硬化性化合物(a))
本発明の感光性組成物は、感光性組成物に光硬化性を付与するため、2つ以上の光ラジカル重合性官能基を有する光硬化性化合物(a)(以下、「多官能光硬化性化合物(a)」と称する)を含有する。
本発明の感光性組成物は、感光性組成物に光硬化性を付与するため、2つ以上の光ラジカル重合性官能基を有する光硬化性化合物(a)(以下、「多官能光硬化性化合物(a)」と称する)を含有する。
多官能光硬化性化合物(a)の反応形式は、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1(b)が光ラジカル重合開始剤である点から、光ラジカル重合性基であり、特に、(メタ)アクリル基等のエチレン性不飽和結合を含有する基であることが好ましい。
具体的には、エチレングリコール(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等を例示することができる。
また、架橋密度を向上させながら良好な現像性が得られ、パターンのエッジ形状の精度を高める点からは、1分子以内に1つ以上の酸性基と光ラジカル重合性官能基を有するモノマーを用いることが好ましく、更に、一分子内に1つ以上の酸性基と2つ以上のエチレン性不飽和結合を有するもの(以下、「酸性多官能アクリレートモノマー」という)を用いることが好ましい。酸性多官能アクリレートモノマーは、感光性組成物のアルカリ現像性を向上させる役割と架橋密度を向上させる役割を有するため、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1(b)をはじめとする光重合開始剤、着色剤、分散剤等の硬化反応性をもたず、且つ、アルカリ可溶性のない成分を増量しても、架橋密度及びアルカリ可溶性を向上させることができ、好ましい。このような酸性多官能アクリレートモノマーは酸性基を有するため、後述の酸性物質(c)としても用いられる。
酸性多官能アクリレートモノマーの酸性基は、アルカリ現像が可能なものであればよく、例えばカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられるが、アルカリ現像性及び感光性組成物の取り扱い性の点からカルボキシル基が好ましい。
上記したような酸性多官能アクリレートモノマーとしては、(1)水酸基含有多官能(メタ)アクリレートを二塩基酸無水物で変性することによりカルボキシル基を導入した多官能(メタ)アクリレート、或いは、(2)芳香族多官能(メタ)アクリレートを濃硫酸や発煙硫酸で変性することによりスルホン酸基を導入した多官能(メタ)アクリレート等を用いることができる。
酸性多官能アクリレートモノマーとしては、下記一般式(1)、(2)、(3)で表されるもの、フタル酸モノ(2,2,2−トリアクリロイルオキシエチル)エチル等が挙げられるが、中でも下記一般式(1)、(2)で表されるものが好ましい。
式(1)、(2)で表される酸性多官能アクリレートモノマーとして、具体的には、下記一般式(4)〜(9):
の構造を有するものが好ましく、中でも式(4)、(5)の構造を有するものが好ましい。また、市販品としては、例えば、東亞合成株式会社製のカルボキシル基含有3官能アクリレートであるTO−756、及びカルボキシル基含有5官能アクリレートであるTO−1382が挙げられる。また、式(3)の構造を有する市販品としては、例えば、新中村化学製のNKオリゴEA−1040が挙げられる。
上記の多官能光硬化性化合物(a)は、3つ以上の光ラジカル重合性官能基を有する光硬化性化合物を含むことが好ましく、その含有量は多官能光硬化性化合物(a)の使用量の約30〜95重量%を占めることが好ましい。
多官能光硬化性化合物(a)は、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明では、このような多官能光硬化性化合物(a)の含有量を、感光性組成物の総固形分に対して30〜90重量%とするのが好ましく、更に50〜80重量%とするのが好ましい。ここで総固形分とは、溶剤以外の全成分の合計量であり、液状のモノマー成分も含まれる。
本発明では、このような多官能光硬化性化合物(a)の含有量を、感光性組成物の総固形分に対して30〜90重量%とするのが好ましく、更に50〜80重量%とするのが好ましい。ここで総固形分とは、溶剤以外の全成分の合計量であり、液状のモノマー成分も含まれる。
(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1(b))
2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1(b)は、分子内に酸素クエンチャーである3級アミン構造を有するため、開始剤から発生したラジカルが酸素により失活し難く、感光性組成物の感度を向上させるためには適切な重合開始剤である。
2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1(b)は、分子内に酸素クエンチャーである3級アミン構造を有するため、開始剤から発生したラジカルが酸素により失活し難く、感光性組成物の感度を向上させるためには適切な重合開始剤である。
2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1(b)は、感光性組成物中に通常、固形分比で、1〜25重量%の範囲で配合するが、感度を充分に上げるためには5重量%以上、特に10重量%以上とすることが好ましい。本発明においては、後述する酸性物質(c)を含有するため、アルカリ可溶性を悪化させることなく、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1(b)を10重量%以上に増量することが可能であり、優れた硬化性とアルカリ現像性が得られる。
なお、感光性組成物を調製するにあたって、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1(b)は、前記多官能光硬化性化合物(a)に最初から添加しておいてもよいが、比較的長期間保存する場合には、使用直前に感光性組成物中に分散或いは溶解することが好ましい。
(酸性物質(c))
本発明において酸性物質(c)は、感光性組成物中にアルカリ現像性を付与する成分である。本発明における酸性物質(c)は、アルカリ現像が可能なものであればよく、いわゆる有機酸、無機酸の他に、酸性基を有する化合物が含まれる。
本発明において酸性物質(c)は、感光性組成物中にアルカリ現像性を付与する成分である。本発明における酸性物質(c)は、アルカリ現像が可能なものであればよく、いわゆる有機酸、無機酸の他に、酸性基を有する化合物が含まれる。
いわゆる有機酸としては、例えば、酢酸、シュウ酸、クエン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、安息香酸、フタル酸、o,m,p−トルイル酸、サリチル酸、酢酸、マレイン酸、コハク酸等が挙げられ、無機酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、燐酸等が挙げられるが、感光性組成物への相溶性の点、装置等の劣化に影響が少ない点、感光性組成物の取り扱い性の点から有機酸が好ましく、中でも有機溶剤への溶解性とアルカリ現像性の点から、マレイン酸、フタル酸、コハク酸が好ましい。
また、前述の多官能光硬化性化合物(a)及び後述するバインダー(e)に該当する成分であっても、酸性基を有する場合は酸性物質(c)として用いることができる。
酸性物質(c)は、2種以上組み合わせて用いても良い。酸性物質(c)の含有量は必要とされるアルカリ可溶性に応じて適宜調整されることが好ましいが、酸性基を有する多官能光硬化性化合物(a)及び酸性基を有するバインダー(e)を含めて、感光性組成物中に通常、固形分比で、30〜90重量%の範囲で配合する。アルカリ現像性を充分に上げるためには35重量%以上、特に40重量%以上とすることが好ましく、密着性の点からは85重量%以下、特に80重量%以下とすることが好ましい。
(塩基性物質(d))
塩基性物質(d)は、本発明に係る感光性組成物のゲル化を抑制する成分である。これにより、酸素クエンチャーである3級アミン構造を分子内に有する2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1(b)を多量に配合し、現像性を補うために酸性物質(c)を配合しても、ゲル化を抑制することができ、本発明においては、優れた塗工性、感度、及びアルカリ現像性を有する感光性組成物が得られる。
塩基性物質(d)は、本発明に係る感光性組成物のゲル化を抑制する成分である。これにより、酸素クエンチャーである3級アミン構造を分子内に有する2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1(b)を多量に配合し、現像性を補うために酸性物質(c)を配合しても、ゲル化を抑制することができ、本発明においては、優れた塗工性、感度、及びアルカリ現像性を有する感光性組成物が得られる。
塩基性物質(d)としては、アミン類、アルカリ金属水酸化物、アンモニア等が挙げられ、アミン類としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類;モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアルキルアミン類;ジメチルアミノエタノール等のアルキルアルカノールアミン類等の他に、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の第三級アミノ基含有(メタ)アクリレート類;ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の第三級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド類等のエチレン性不飽和結合を有する第三級アミンが含まれる。また、アルカリ金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
感光性組成物との親和性や塗膜への残留性が少ない等の点から、中でも、ジエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミンを用いることが好ましく、特に、トリエチルアミンを用いることが好ましい。
塩基性物質は、感光性組成物の酸価量に対する塩基価量の比(塩基価量/酸価量)が1以上となるように配合することが、ゲル化を良好に抑制する点から好ましい。ここで、感光性組成物の酸価とは、KOHの質量を酸性物質1グラム当量の質量で割った値のことをいい、酸価量とは、感光性組成物中の酸性物質の組成比に酸価を掛け合わせたものをいう。また、塩基価とはKOHの質量を塩基性物質1グラム当量の質量で割った値をいい、塩基価量は、感光性組成物中の塩基性物質の組成比に塩基価を掛け合わせたものをいう。
(バインダー(e))
本発明の感光性組成物は、成膜性や被塗工面に対する密着性を付与するためにバインダー(e)を含有しても良い。
本発明の感光性組成物は、成膜性や被塗工面に対する密着性を付与するためにバインダー(e)を含有しても良い。
バインダー(e)としては、成膜性や被塗工面に対する密着性を付与する目的から重合体が用いられ、非反応性重合体及び反応性重合体のいずれも用いることができる。本発明においては、多官能光硬化性化合物(a)や酸性多官能アクリレートモノマーとも架橋結合を形成して、更に優れた硬化性を得る点から、反応性重合体、更に光硬化性官能基、特に光ラジカル重合性官能基を有する重合体を用いることが好ましい。
バインダー(e)として用いることができる非反応性重合体としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−ビニル共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ABS樹脂、ポリメタクリル酸樹脂、エチレン−メタクリル酸樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩素化塩化ビニル、ポリビニルアルコール、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリビニルブチラール、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミック酸樹脂、オポリエーテルイミド樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂等を例示することができる。
さらに、重合可能なモノマーであるメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、N−ビニル−2−ピロリドン、グリシジル(メタ)アクリレートの中から選ばれる1種以上と、(メタ)アクリル酸、アクリル酸の二量体(例えば、東亞合成化学(株)製M−5600)、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、これらの無水物の中から選ばれる1種以上からなる重合体又は共重合体も例示できる。
本発明の感光性組成物に用いることができる反応性重合体としては、上記のコポリマーに例えば硬化反応性の官能基を導入した重合体等が挙げられるが、中でも多官能光硬化性化合物や酸性多官能アクリレートモノマーとも架橋結合を形成して、更に優れた硬化性を得る点から、光硬化性官能基を有する重合体であることが好ましい。
光硬化性官能基としては、光ラジカル反応、光カチオン反応、光アニオン反応等の様々な反応形式のものを利用できるが、多官能光硬化性化合物(a)の光硬化性官能基と同様の反応形式であることが互いに重合して架橋密度を高くする点から好ましい。2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1(b)が光ラジカル重合開始剤である点から、光ラジカル重合や光ラジカル二量化等の光ラジカル反応性基であることが好ましく、特に、(メタ)アクリル基等のエチレン性不飽和結合を含有する基であることが好ましい。
光硬化性官能基は、重合体の主鎖連結を形成した後で、適切な官能基を介して重合体の主鎖中に導入することができる。すなわち、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基等の付加又は縮合反応性の官能基をもつアクリル系モノマーを他のアクリル系モノマーと重合して中間体ポリマーを合成した後、中間体ポリマーの官能基と反応できる官能基を持つアクリル系モノマーを反応させることで、エチレン性不飽和結合をもつペンダント構造を重合体に導入することができる。
バインダー(e)は、更に、アルカリ可溶性に寄与する酸性基を有することが好ましい。重合体の酸価は5mgKOH/g〜400mgKOH/g、更に、10mgKOH/g〜200mgKOH/gとするのが好ましく、特に酸性物質(c)として用いることができる点から、70mgKOH/g〜200mgKOH/gとするのが好ましい。重合体が酸性基を有する場合、重合体自体も酸性物質(c)として用いられるが、更に比較的低分子量の酸性物質(c)と組み合わせることにより、本発明の感光性組成物は更にアルカリ可溶性及び硬化性が良好となり、高濃度の微細な画素を良好なエッジ形状、テーパー形状で形成することができるようになる。
酸性基の含有割合は、感光性組成物に要求されるアルカリ可溶性の程度により調整される。酸性基を有する構成単位を重合体の主鎖へと導入するために使用される単量体としては、エチレン性不飽和結合と酸性基を有する化合物、例えばアクリル酸やメタクリル酸を使用することができる。酸性基は、アルカリ現像が可能なものであればよく、例えばカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられるが、アルカリ現像性及び樹脂組成物の取り扱い性の点からカルボキシル基が好ましい。
バインダー(e)として好ましく用いられる共重合体の例としては、少なくとも、酸性基としてカルボキシル基を備えた下記式(10)で表される構成単位と、ラジカル重合性基を備えた下記式(11)及び/又は(12)で表される構成単位を含む共重合体を挙げることができる。
式(10)及び後述する他の式中に含まれるR1は、水素、または炭素数1〜5のアルキル基である。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基等が例示される。式(10)の構成単位を導入するために使用される単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、2−カルボキシ−1−ブテン、2−カルボキシ−1−ペンテン、2−カルボキシ−1−ヘキセン、2−カルボキシ−1−へプテン等が例示される。
式(11)の構成単位は、カルボキシル基を含有する上記式(10)で表される構成単位の一部に、グルシジル(メタ)アクリレートを反応させることにより形成できる。
式(12)に含まれるR3(炭素数2乃至4のアルキレン基)は、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等であり、R4(アルキレン基)は、好ましくは炭素数2乃至6のアルキレン基である。
式(12)の構成単位をイミド基含有共重合体に導入するためには、先ず、他のモノマーと共に下記式(13)で表されるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを共重合して共重合体の主鎖部分を形成する。
式(13)のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート等が例示される。
その後、前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート由来の水酸基に下記式(14)で表される(メタ)アクリロイルオキシアルキルイソシアネート化合物を反応させればよい。
式(14)で表されるイソシアネート化合物のなかでは、(メタ)アクリロイル基が炭素数2〜6のアルキレン基を介してイソシアネート基(−NCO)と結合したものを使用するのが好ましい。具体的には、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−メタクリロイルエチルイソシアネート等が例示される。2−メタクリロイルエチルイソシアネートは、例えば、昭和電工(株)製「カレンズMOI」等の商品名で市販されている。
上記共重合体は、さらにアルコール性水酸基を備えた構成単位(アルコール性水酸基含有単位)を含んでいてもよい。アルコール性水酸基は硬化性樹脂の現像性を調整する成分である。
アルコール性水酸基を有する構成単位を重合体の主鎖へと導入するために使用される単量体としては、エチレン性不飽和結合とアルコール性水酸基を有する化合物を使用することができる。
アルコール性水酸基含有単位としては、下記式(15)で表される構成単位が好ましい。
式(15)の構成単位を導入するために使用される単量体としては、前記式(13)で表されるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを用いることができる。
上記共重合体は、さらに芳香族炭素環を備えた構成単位(芳香族炭素環含有単位)を含んでいてもよい。芳香族炭素環含有単位は、感光性組成物に塗膜性を付与する成分である。芳香族炭素環含有単位としては、下記式(16)で表されるものが好ましい。
式(15)中に含まれるR12(芳香族炭素環)は、例えば、フェニル基、ナフチル基等である。式(15)の構成単位を導入するために使用される単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレンを例示でき、また、その芳香族環は、塩素、臭素等のハロゲン原子、メチル基、エチル基等のアルキル基、アミノ基、ジアルキルアミノ基等のアミノ基、シアノ基、カルボキシル基、スルフォン酸基、燐酸機等で置換されていてもよい。
上記共重合体は、さらにエステル基を備えた構成単位(エステル基含有単位)を含んでいてもよい。エステル基含有単位は、硬化性樹脂のアルカリ可溶性を抑制する成分である。エステル基含有単位としては、下記式(17)で表されるものが好ましい。
式(17)中に含まれるR13(アルキル基またはアラルキル基)は、例えば、炭素数1乃至12のアルキル基、ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基である。式(17)の構成単位を導入するために使用される単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類が例示される。
各構成単位を重合体の主鎖へと導入するために使用される単量体は、各構成単位ごとに、それぞれ例示したものを単独でも、また2種以上を混合して使用してもよい。
上記共重合体は、ランダム共重合体およびブロック共重合体のいずれであってよい。上記共重合体に含まれる各構成単位の含有割合は適宜調節される。
光硬化性官能基を含有する場合には、光硬化性官能基含有単位の含有割合は、要求される光重合性の程度(感度)に応えるべく調節され、主鎖を形成するための単量体と例えばグリシジル(メタ)アクリレートやイソシアネート化合物のような光重合性基含有化合物の総使用量(総仕込み量)を全量とした時の仕込み量の割合で表した時に、5モル%〜95モル%、更に14モル%〜50モル%とすることが好ましい。
酸性基を含有する場合には、酸性基含有単位の含有割合は、上述したように要求されるアルカリ可溶性の程度と溶剤溶解性に応えるべく調節され、上記と同様の仕込み量で表した時に、5モル%〜55モル%、更に10モル%〜30モル%とすることが好ましい。
芳香族炭素環含有単位を含有する場合の含有割合は、塗膜性を調節するために、仕込み量で表した時に、通常は0モル%〜75モル%、好ましくは5モル%〜50モル%とされる。
エステル基含有単位の含有する場合の含有割合は、アルカリ現像性を必要に応じて抑制するために、仕込み量で表した時に、通常は0モル%〜75モル%、好ましくは5モル%〜50モル%とされる。
光硬化性官能基を有する重合体を製造するには、先ず、酸性基を備えた構成単位と共に、必要に応じて、光硬化性官能基を有するペンダント構造を後から導入できる官能基を備えた構成単位、及び、その他の構成単位を含む主鎖を有する重合体(原料重合体)を製造し、それから当該原料重合体にエチレン性不飽和結合のような光硬化性官能基と共に何らかの別の官能基を有する化合物を反応させて、光硬化性官能基のペンダント構造を導入すればよい。
バインダー(e)又は、酸性基を有してバインダー(e)且つ酸性物質(c)として用いられる重合体は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定したポリスチレン換算重量平均分子量が3,000〜1,000,000、好ましくは5,000〜1000,000、さらに好ましくは5,000〜100,000の範囲に調節するのが好ましい。重量平均分子量が3,000より小さいとアルカリ可溶性が高すぎてパターン露光時のパターン形状を制御しにくく、また、パターンを作製できる場合でも最終的な膜厚が減る(膜減り)等の問題がある。一方、重量平均分子量がl,000,000より大きいと、レジスト化した時の粘度が高くなりすぎて塗工適性が低下したり、現像性が悪くなりパターンが抜けにくくなるなどの問題がある。
本発明において感光性組成物には、バインダー(e)に該当する重合体(酸性物質(c)に該当するバインダー(e)を含む)の合計量を固形分比(すなわち総固形分を基準とした時の割合)で、5〜25重量%、更に10〜20重量%含有させることが好ましい。
また、前記多官能光硬化性化合物(a)(多官能光硬化性(a)且つ酸性物質(c)であるものを含む)と前記バインダー(e)(バインダー(e)且つ酸性物質(c)であるものを含む)の含有割合の関係は、固形分で、前記バインダー(e)と前記多官能光硬化性化合物(a)との重量比{(e)/(a)}が1.5以下であることが好ましい。重量比{(e)/(a)}を1.5以下とすることにより、形成される塗膜の硬化性が充分となり、更に密着強度、耐熱性等の各種物理強度が適切となるというメリットがある。
本発明の感光性組成物には、反応希釈剤としてメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドンなどの単官能性モノマーを添加してもよい。
また、本発明には、顔料や染料等の着色剤を含有しても良い。着色剤としては、ブラックマトリックス層、及び着色層のR、G、B等の求める色に合わせて、有機着色剤及び無機着色剤の中からカラーフィルターの加熱プロセスに耐え得る耐熱性があり、且つ、良好に分散し得る微粒子のものを選んで使用することができる。
有機着色剤としては、例えば、染料、有機顔料、天然色素等を用いることができる。また、無機着色剤としては、例えば、無機顔料、体質顔料等を用いることができる。
有機顔料の具体例としては、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 社発行) においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物、すなわち、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを挙げることができる。C.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185等のイエロー系ピグメント;C.I.ピグメントレッド1、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド177等のレッド系ピグメント;及び、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6等のブルー系ピグメント;C.I.ピグメントバイオレット23:19;C.I.ピグメントグリーン36.
有機顔料の具体例としては、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 社発行) においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物、すなわち、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを挙げることができる。C.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185等のイエロー系ピグメント;C.I.ピグメントレッド1、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド177等のレッド系ピグメント;及び、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6等のブルー系ピグメント;C.I.ピグメントバイオレット23:19;C.I.ピグメントグリーン36.
また、前記無機顔料あるいは体質顔料の具体例としては、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、チタンブラック、合成鉄黒、カーボンブラック等を挙げることができる。本発明において色材は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
本発明の感光性組成物に着色剤を配合する場合、着色剤は、充分な着色濃度を得るために、感光性組成物中に固形分比で、20〜80重量%、更に25〜60重量%の割合で配合することが好ましい。
本発明の感光性組成物に着色剤を配合する場合、着色剤を均一且つ安定して分散させるために、当該感光性組成物中に分散剤を配合することが好ましい。分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系、フッ素系等の界面活性剤を使用できる。界面活性剤の中でも、次に例示するような高分子界面活性剤(高分子分散剤)が好ましい。
すなわち、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類;ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のポリエチレングリコールジエステル類;ソルビタン脂肪酸エステル類;脂肪酸変性ポリエステル類;3級アミン変性ポリウレタン類などの高分子界面活性剤が好ましく用いられる。
本発明の感光性組成物には、上記2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1(b)以外の光重合開始剤を含有しても良い。
上記2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1(b)以外の光重合開始剤としては、例えば紫外線のエネルギーによりフリーラジカルを発生する化合物であって、ベンゾイン、ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン誘導体又はそれらのエステルなどの誘導体;キサントン並びにチオキサントン誘導体;クロロスルフォニル、クロロメチル多核芳香族化合物、クロロメチル複素環式化合物、クロロメチルベンゾフェノン類などの含ハロゲン化合物;トリアジン類;フルオレノン類;ハロアルカン類;光還元性色素と還元剤とのレドックスカップル類;有機硫黄化合物;過酸化物などがある。好ましくは、イルガキュア184、イルガキュア651、イルガキュア907(いずれもチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、ダロキュアー(メルク社製)、アデカ1717(旭電化工業株式会社製)、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール(黒金化成株式会社製)などのケトン系及びビイミダゾール系化合物等を挙げることができる。これらの開始剤を1種のみ又は2種以上を組み合わせて用いることができる。2種以上を併用する場合には、吸収分光特性を阻害しないようにするのがよい。
なお、感光性組成物を調製するにあたって、上記(b)成分以外の光重合開始剤も、前記多官能光硬化性化合物(a)やバインダー(e)に最初から添加しておいてもよいが、比較的長期間保存する場合には、使用直前に感光性組成物中に分散或いは溶解することが好ましい。
光感度の向上を更に期待したい場合には、増感剤を添加してもよい。用いる増感剤としては、スチリル系化合物或いはクマリン系化合物が好ましい。具体的には、2−(p−ジメチルアミノスチリル)キノリン、2−(p−ジエチルアミノスチリル)キノリン、4−(p−ジメチルアミノスチリル)キノリン、4−(p−ジエチルアミノスチリル)キノリン、2−(p−ジメチルアミノスチリル)−3,3−3H−インドール、2−(p−ジエチルアミノスチリル)−3,3−3H−インドール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2−(p−ジエチルアミノスチリル)−ベンズオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズイミダゾール、2−(p−ジエチルアミノスチリル)−ベンズイミダゾールなどが挙げられる。
また、クマリン系化合物としては、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン、7−エチルアミノ−4−トリフルオロメチルクマリン、4,6−ジエチルアミノ−7−エチルアミノクマリン、3−(2−ベンズイミダゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリン、7−ジエチルアミノシクロペンタ(c)クマリン、7−アミノ−4−トリフルオロメチルクマリン、1,2,3,4,5,3H,6H,10H−テトラヒドロ−8−トリフルオロメチル(1)ベンゾピラノ−(9,9a,1−gh)−キノリジン−10−オン、7−エチルアミノ−6−メチル−4−トリフルオロメチルクマリン、1,2,3,4,5,3H,6H,10H−テトラヒドロ−9−カルベトキシ(1)ベンゾピラノ−(9,9a,1−gh)−キノリジン−10−オンなどが挙げられる。
さらに本発明の感光性組成物の中には、耐熱性、密着性、耐薬品性(特に耐アルカリ性)の向上を図る目的で、必要に応じて、エポキシ基を分子内に2個以上有する化合物(エポキシ樹脂)を配合することができる。エポキシ基を分子内に2個以上有する化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂としてエピコート1001、1002、1003、1004、1007、1009、1010(ジャパンエポキシレジン製)など、ビスフェノールF型エポキシ樹脂としてエピコート807(ジャパンエポキシレジン製)など、フェノールノボラック型エポキシ樹脂としてEPPN201、202(日本化薬製)、エピコート154(ジャパンエポキシレジン製)など、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としてEOCN102、103S、104S、1020、1025、1027(日本化薬製)、エピコート180S(ジャパンエポキシレジン製)などを例示できる。さらに、環式脂肪族エポキシ樹脂や脂肪族ポリグリシジルエーテルを例示することもできる。
これらの中では、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。これらのエポキシ基を分子内に2個以上有する化合物の多くは高分子量体であるが、ビスフェノールAやビスフェノールFのグリシジルエーテルは低分子量体であり、そのような低分子量体は特に好ましい。また、グリシジル(メタ)アクリレート、オキセタン(メタ)アクリレート、脂環式エポキシ(メタ)アクリレート等を樹脂骨格中に含むアクリル共重合体等も有効である。
このようなエポキシ樹脂は、感光性組成物中に固形分比で、通常は0〜60重量%、好ましくは5〜40重量%含有される。エポキシ樹脂の含有量が5重量%未満では、保護膜に充分な耐アルカリ性を付与できない場合がある。一方、エポキシ樹脂の含有量が60重量%を超えると、エポキシ樹脂量が多くなりすぎ、感光性組成物の保存安定性、現像適性が低下するので好ましくない。また、エポキシ樹脂は、感光性組成物の乾燥塗膜のタックを除去するためにも有効であり、添加量3重量%程度で充分な効果が発現する。エポキシ樹脂は、露光・アルカリ現像後においても反応することなく塗膜中に残存している酸性基と、加熱処理によって反応し、塗膜に優れた耐アルカリ性を付与することになる。
上述の感光性組成物には、必要に応じて前記の成分以外にも、界面活性剤、シランカップリング剤等の各種の添加剤を配合することができる。
本発明の感光性組成物には、塗料化及び塗布適性を考慮して、多官能光硬化性化合物(a)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1(b)、酸性物質(c)、塩基性物質(d)、バインダー(e)等に対する溶解性が良好で、且つ、スピンコーティング性が良好となるように沸点が比較的高い溶剤が含有される。使用可能な溶剤としては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、N−プロピルアルコール、i−プロピルアルコールなどのアルコール系溶剤;メトキシアルコール、エトキシアルコールなどのセロソルブ系溶剤;メトキシエトキシエタノール、エトキシエトキシエタノールなどのカルビトール系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチルなどのエステル系溶剤;アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤;メトキシエチルアセテート、エトキシエチルアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのセロソルブアセテート系溶剤;メトキシエトキシエチルアセテート、エトキシエトキシエチルアセテートなどのカルビトールアセテート系溶剤;ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどの非プロトン性アミド溶剤;γ−ブチロラクトンなどのラクトン系溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレンなどの不飽和炭化水素系溶剤;N−ヘプタン、N−ヘキサン、N−オクタンなどの飽和炭化水素系溶剤などの有機溶剤を例示することができる。これらの溶剤の中では、メトキシエチルアセテート、エトキシエチルアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのセロソルブアセテート系溶剤;メトキシエトキシエチルアセテート、エトキシエトキシエチルアセテートなどのカルビトールアセテート系溶剤;エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル系溶剤;メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチルなどのエステル系溶剤が特に好適に用いられる。特に好ましくは、MBA(酢酸−3−メトキシブチル、CH3CH(OCH3)CH2CH2OCOCH3)、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、CH3OCH2CH(CH3)OCOCH3)、DMDG(ジエチレングリコールジメチルエーテル、H3COC2H4OCH3)又はこれらを混合したものを使用することができ、これらを用いて固形分濃度を5〜50重量%に調製する。
本発明の感光性組成物を製造するには、前記多官能光硬化性化合物(a)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1(b)、酸性物質(c)、塩基性物質(d)、必要に応じてバインダー(e)、及び、その他の成分を適切な溶剤に投入し、ペイントシェーカー、ビーズミル、サンドグラインドミル、ボールミル、アトライターミル、2本ロールミル、3本ロールミルなどの一般的な方法で溶解、分散させればよい。
ゲル化をより良好に抑制する点からは、上記(a)〜(d)の必須成分のうち、塩基性物質(d)を、酸性物質(c)よりも前に、(a)、(b)成分と混合することが好ましい。
このようにして得られる感光性組成物を何らかの支持体に塗布して塗膜を形成し、当該塗膜に紫外線、電離放射線等の活性化エネルギー線を照射すると、多官能光硬化性化合物(a)及び/又はバインダー(e)の光硬化性官能基が光重合反応を起こすことにより、多官能光硬化性化合物(a)/又はバインダー(e)の分子間に架橋結合を形成し、硬化する。硬化した塗膜は、水酸化ナトリウム等のアルカリ現像液により現像することができる。
また、本発明の感光性組成物は、アルカリ現像性を有しない多官能光硬化性化合物(a)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1(b)を多量に含有した場合でも、酸性物質(c)を配合することによりアルカリ可溶性を高くできることから、アルカリ現像性、硬化性、及び感度に優れている。すなわち、高い架橋密度で、現像時には現像速度が高く、現像後のパターンは、順テーパー形状(上面部の面積S2/底面部の面積S1で表される面積比が1以下の形状)とすることができるために強度に優れ、パターンエッジが正確であるため精度が高く、また、パターンの周囲は残渣(現像残り)が少ない。
更に、本発明の感光性組成物は、着色剤及び分散剤を多量に含有した場合でも、酸性物質(c)を配合することによりアルカリ可溶性を高くできることから、アルカリ現像性及び着色濃度に優れている。すなわち、現像時には現像速度が高く、現像後の着色層は、着色濃度が高く、順テーパー形状(上面部の面積S2/底面部の面積S1で表される面積比が1以下の形状)とすることができるために強度に優れ、パターンエッジが正確であるため精度が高く、また、着色層の周囲は残渣(現像残り)が少ない。
以上のように、本発明の感光性組成物は、液晶パネル用基板のブラックマトリックス層、着色層、着色層を被覆する保護膜、及びスペーサーを形成するのに特に適している。
本発明に係る液晶パネル用基板は、透明基板と、当該透明基板上に設けられた着色層とを備え、さらに当該着色層を被覆する保護膜及び/又は前記基板の非表示領域に設けられたスペーサーを備えていてもよい液晶パネル用基板であって、前記着色層、保護膜及びスペーサーのうちの少なくともひとつが、前記本発明に係る感光性組成物を硬化させて形成したものであることを特徴とする。
また、本発明に係る液晶パネルは、表示側基板と液晶駆動側基板とを対向させ、両者の間に液晶を封入してなる液晶パネルであって、前記表示側基板及び前記液晶駆動側基板のうち少なくとも一方が前記本発明に係る液晶パネル用基板であることを特徴とする。
図3は、本発明に係る液晶パネル基板の一例(カラーフィルター103)を示す平面図であり、図4は、同じカラーフィルター103のA−A線における縦断面図である。
このカラーフィルター103は、透明基板5に所定のパターンで形成されたブラックマトリックス6と、当該ブラックマトリックス上に所定のパターンで形成した画素7(7R,7G,7B)と、当該画素を覆うように形成された保護膜8を備えている。保護膜上に必要に応じて液晶駆動用の透明電極9が形成される場合もある。カラーフィルター103の最内面、この場合には透明電極上には、配向膜10が形成される。
柱状スペーサー12は凸状スペーサーの一形状であり、ブラックマトリックス層6が形成された領域(非表示領域)に合わせて、透明電極9上の所定の複数箇所(図3では5箇所)に形成されている。柱状スペーサー12は、透明電極9上若しくは画素7上若しくは保護膜8上に形成される。カラーフィルター101においては、保護膜8上に透明電極9を介して柱状スペーサーが海島状に形成されているが、保護膜8と柱状スペーサー12を一体的に形成し、その上を覆うように透明電極の層を形成しても良い。また、カラーフィルターがブラックマトリックス層を備えていない場合には、画素を形成していない領域に柱状スペーサーを形成することができる。
カラーフィルター101の透明基板5としては、石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、合成石英板等の可撓性のない透明なリジッド材、或いは、透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明なフレキシブル材を用いることができる。この中で特にコーニング社製1737ガラスは、熱膨張率の小さい素材であり寸法安定性及び高温加熱処理における作業性に優れ、また、ガラス中にアルカリ成分を含まない無アルカリガラスであるため、アクティブマトリックス方式によるカラー液晶表示装置用のカラーフィルターに適している。
ブラックマトリックス層6は、表示画像のコントラストを向上させるために、画素7R,7G,7Bの間及び画素形成領域の外側を取り囲むように設けられる。ブラックマトリックス層6は、本発明の感光性組成物を用いて形成することができる。
先ず、透明基板5上に、着色剤としてカーボンブラックや金属酸化物等の遮光性粒子を含有させた感光性組成物を塗布し、必要に応じて乾燥させて感光性塗膜を形成し、当該塗膜をブラックマトリックス用のフォトマスクを介して露光、現像し、必要に応じて加熱処理を施すことによって、ブラックマトリックス層6を形成することができる。
ブラックマトリックス層の厚さは、金属薄膜の場合は1000〜2000Å程度とし、遮光性樹脂層の場合は、0.5〜2.5μm程度とする。
ブラックマトリックス層の厚さは、金属薄膜の場合は1000〜2000Å程度とし、遮光性樹脂層の場合は、0.5〜2.5μm程度とする。
画素7は、赤色パターン、緑色パターン及び青色パターンがモザイク型、ストライプ型、トライアングル型、4画素配置型等の所望の形態で配列されてなり、表示領域を形成する。画素は、顔料分散法、染色法、印刷法、電着法等の公知の方法により形成することができるが、その中でも、顔料等の着色剤を含有した本発明の感光性組成物を用いる顔料分散法により形成するのが好ましい。
顔料分散法による場合には、先ず、感光性組成物に顔料等の着色剤を分散させて、赤色用、緑色用、及び、青色用の光硬化性着色樹脂組成物を夫々調製する。次に、透明基板5上に、ブラックマトリックス層6を覆うように、ある色、例えば光硬化性赤色樹脂組成物をスピンコート等の公知の方法で塗布して光硬化性赤色樹脂層を形成し、赤色パターン用フォトマスクを介して露光を行い、アルカリ現像後、クリーンオーブン等で加熱硬化することにより赤色画素7Rを形成する。その後、緑色用、及び、青色用の光硬化性着色樹脂組成物を順次用いて同様にして各色をパターニングして、緑色画素7G及び青色画素7Bを形成する。
着色剤としては、上述したような着色剤を適切に選んで使用することができる。本発明に係る感光性組成物を用いる場合には、高濃度の微細な画素を良好なエッジ形状、テーパー形状で形成することができる。
画素の厚さは、通常0.5〜2.5μm程度とする。また、赤色画素7Rが最も薄く、緑色画素7G、青色画素7Bの順に厚くなるというように各色の画素の厚さを変えて、各色ごとに最適な液晶層厚みに設定してもよい。
保護膜8は、カラーフィルターの表面を平坦化すると共に、画素7に含有される成分が液晶層に溶出するのを防止するために設けられる。保護膜8は、公知のネガ型の光硬化性透明樹脂組成物又は熱硬化性透明樹脂組成物を、スピンコーター、ロールコーター、スプレイ、印刷等の方法により、ブラックマトリックス層6及び画素7を覆うように塗布し、光又は熱によって硬化させることによって形成できる。保護膜を形成するための光硬化性透明樹脂組成物としては、前記本発明に係る感光性組成物を用いることが好ましい。本発明に係る感光性組成物を用いる場合には、平坦性が良好な保護膜を形成することができる。
保護膜の厚さは、樹脂組成物の光透過率、カラーフィルターの表面状態等を考慮して設定し、例えば、0.1〜2.0μm程度とする。スピンコーターを使用する場合、回転数は500〜1500回転/分の範囲内で設定する。
保護膜上の透明電極膜9は、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)等、およびそれらの合金等を用いて、スパッタリング法、真空蒸着法、CVD法等の一般的な方法により形成され、必要に応じてフォトレジストを用いたエッチング又は治具の使用により所定のパターンとしたものである。この透明電極の厚みは20〜500nm程度、好ましくは100〜300nm程度とすることできる。
凸状スペーサーは、カラーフィルター103をTFTアレイ基板等の液晶駆動側基板と貼り合わせた時にセルギャップを維持するために、基板上の非表示領域に複数設けられる。凸状スペーサーの形状及び寸法は、基板上の非表示領域に選択的に設けることができ、所定のセルギャップを基板全体に渡って維持することが可能であれば特に限定されない。凸状スペーサーとして図示したような柱状スペーサー12を形成する場合には、2〜10μm程度の範囲で一定の高さを持つものであり、突出高さ(パターンの厚み)は液晶層に要求される厚み等から適宜設定することができる。また、柱状スペーサー12の太さは5〜20μm程度の範囲で適宜設定することができる。また、柱状スペーサー12の形成密度(密集度)は、液晶層の厚みムラ、開口率、柱状スペーサーの形状、材質等を考慮して適宜設定することができるが、例えば、赤色、緑色及び青色の各画素の1組に1個の割合で必要充分なスペーサー機能を発現する。このような柱状スペーサーの形状は柱状であればよく、例えば、円柱状、角柱状、截頭錐体形状等であっても良い。
凸状スペーサーは、本発明に係る感光性組成物を用いて形成することができる。すなわち、先ず、本発明に係る感光性組成物の塗工液をスピンコーター、ロールコーター、スプレイ、印刷等の方法により透明基板上に直接、又は、透明電極等の他の層を介して塗布し、乾燥して、光硬化性樹脂層を形成する。スピンコーターの回転数は、保護膜を形成する場合と同様に500〜1500回転/分の範囲内で設定すればよい。次に、この樹脂層を凸状スペーサー用フォトマスクを介して露光し、アルカリ液のような現像液により現像して所定の凸状パターンを形成し、この凸状パターンを必要に応じてクリーンオーブン等で加熱処理(ポストベーク)することによって凸状スペーサーが形成される。
凸状スペーサーは、カラーフィルター上に直接又は他の層を介して間接的に設けることができる。例えば、カラーフィルター上にITO等の透明電極又は保護膜を形成し、その上に凸状スペーサーを形成しても良いし、カラーフィルター上に保護膜と透明電極をこの順に形成し、さらに透明電極上に凸状スペーサーを形成しても良い。
配向膜10は、カラーフィルターの内面側に、画素7を備える表示部及びブラックマトリックス層6や柱状スペーサー12を備える非表示部を覆うように設けられる。配向膜は、ポリイミド樹脂等の樹脂を含有する塗工液をスピンコート等の公知の方法で塗布し、乾燥し、必要に応じて熱や光により硬化させた後、ラビングすることによって形成できる。
以上、本発明の液晶パネル用基板を通常のカラーフィルターを用いて説明したが、本発明の感光性組成物はモノクロのカラーフィルターのような表示側基板にも適用することができる。
このようにして本発明に係る感光性組成物を用いてブラックマトリックス層、画素等の着色層、保護膜及び/又は凸状スペーサーを形成した液晶パネル用基板は、高画質、高精彩の液晶パネル用基板である。
得られたカラーフィルター103(表示側基板)と、TFTアレイ基板(液晶駆動側基板)を対向させ、両基板の内面側周縁部をシール剤により接合すると、両基板は所定距離のセルギャップを保持した状態で貼り合わされる。そして、基板間の間隙部に液晶を満たして密封することにより、本発明に係る液晶パネルに属する、アクティブマトリックス方式のカラー液晶表示装置が得られる。このようにして得られる本発明に係る液晶パネルは、表示品質に優れる。
(製造例1)
重合体の合成
ベンジルメタクリレート250g、スチレン350g、アクリル酸200g、及び、2−ヒドロキシエチルメタクリレート200gを、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)5gと共に、650gの酢酸−3−メトキシブチルに溶解した溶液を、酢酸−3−メトキシブチル1000gを入れた重合槽中に、100℃で6時間かけて滴下し、重合させ、原料重合体の溶液を得た。
重合体の合成
ベンジルメタクリレート250g、スチレン350g、アクリル酸200g、及び、2−ヒドロキシエチルメタクリレート200gを、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)5gと共に、650gの酢酸−3−メトキシブチルに溶解した溶液を、酢酸−3−メトキシブチル1000gを入れた重合槽中に、100℃で6時間かけて滴下し、重合させ、原料重合体の溶液を得た。
次に、得られた原料重合体の溶夜に、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)240g、ラウリン酸ジブチル錫1g、酢酸−3−メトキシブチル2260g、ハイドロキノン(HQ)2.5gを添加し、50℃で4時間攪拌し、目的とする共重合体溶液を得た。
得られた共重合体溶液の固形分は25.5重量%、粘度は77.3mPa・s/25℃だった。得られた反応液をガラス板上に塗布した後、室温で一晩減圧して乾燥させ溶剤を取り除いた。得られた固体の酸価は126mgKOH/g、重量平均分子量は42,500であった。
(実施例1〜6、比較例1、2)
第1表に示す組成物((a)〜(d)、(e)成分、及び溶剤)を混合して調製した。この場合に、混合する順序として、(d)成分を添加後、(c)成分を添加した。
第1表に示す組成物((a)〜(d)、(e)成分、及び溶剤)を混合して調製した。この場合に、混合する順序として、(d)成分を添加後、(c)成分を添加した。
(塩基価量及び酸価量)
<塩基価量>
塩基価量は感光性組成物中の各塩基性物質の塩基価に配合量を掛け合わせることにより求めた。
<酸価量>
酸価量は感光性組成物中の各酸性物質の酸価に配合量を掛け合せることにより求めた。
<塩基価量>
塩基価量は感光性組成物中の各塩基性物質の塩基価に配合量を掛け合わせることにより求めた。
<酸価量>
酸価量は感光性組成物中の各酸性物質の酸価に配合量を掛け合せることにより求めた。
(ゲル化の評価)
50mLの褐色ビン中に実施例1〜6及び比較例1〜2の感光性組成物を封入したものを冷暗所に放置し、ゲル化の進行を目視により確認した。
ゲル化×:液体の流動性が完全に消失した状態
ゲル化○:液体の流動性の変化が無い状態
50mLの褐色ビン中に実施例1〜6及び比較例1〜2の感光性組成物を封入したものを冷暗所に放置し、ゲル化の進行を目視により確認した。
ゲル化×:液体の流動性が完全に消失した状態
ゲル化○:液体の流動性の変化が無い状態
各実施例1〜6、及び比較例1、2についての結果を第1表に示す。
実施例1〜6は、いずれもゲル化が抑制され、良好な塗膜を形成することができ、得られた塗膜は現像性が良く、端面残りも無いものであった。特に、酸価量に対する塩基価量の比が1以上である実施例1,3,5は、より良好にゲル化が抑制された。一方、塩基性物質(d)を含まない比較例1、2は、いずれも一日でゲル化を生じ、塗膜を形成することが困難であった。
1…カラーフィルター
103…カラーフィルター
2…TFTアレイ基板
3…間隙部
4…シール材
5…透明基板
6…ブラックマトリックス層
7(7R、7G、7B)…画素
8…保護膜
9…透明電極膜
10…配向膜
11…粒子状スペーサー
12…柱状スペーサー
103…カラーフィルター
2…TFTアレイ基板
3…間隙部
4…シール材
5…透明基板
6…ブラックマトリックス層
7(7R、7G、7B)…画素
8…保護膜
9…透明電極膜
10…配向膜
11…粒子状スペーサー
12…柱状スペーサー
Claims (5)
- 少なくとも、2つ以上の光ラジカル重合性官能基を有する光硬化性化合物(a)と、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1(b)と、酸性物質(c)と、塩基性物質(d)を含有する、ゲル化が抑制された感光性組成物。
- 更にバインダー(e)を含有する、請求項1に記載のゲル化が抑制された感光性組成物。
- 感光性組成物の酸価量に対する塩基価量の比(塩基価量/酸価量)が1以上である、請求項1又は2に記載のゲル化が抑制された感光性組成物。
- 透明基板と、当該透明基板上に設けられた着色層とを備え、さらに当該着色層を被覆する保護膜及び/又は前記基板の非表示領域に設けられたスペーサーを備えていてもよい液晶パネル用基板であって、前記着色層、保護膜及びスペーサーのうちの少なくともひとつが、前記請求項1乃至3いずれかに記載の感光性組成物を硬化させて形成したものであることを特徴とする、液晶パネル用基板。
- 表示側基板と液晶駆動側基板とを対向させ、両者の間に液晶を封入してなる液晶パネルであって、前記表示側基板及び前記液晶駆動側基板のうち少なくとも一方が前記請求項4に記載の液晶パネル用基板であることを特徴とする、液晶パネル。
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-
2003
- 2003-11-14 JP JP2003384855A patent/JP2005148357A/ja active Pending
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