JP4251080B2 - 膜形成方法、電子装置の製造方法、膜形成装置及び電子装置、電子機器 - Google Patents

膜形成方法、電子装置の製造方法、膜形成装置及び電子装置、電子機器 Download PDF

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Description

本発明は、膜形成方法、膜形成装置及びそれを用いて製造された電子装置、電子機器に関するものである。
従来、有機ELディスプレイ、有機TFTといった電子デバイスのように膜厚1μm以下の有機薄膜が使われた電子装置がある。前記有機薄膜は、一般に、有機薄膜を構成する有機材料が高分子系有機材料か、または低分子系有機材料かによって異なった形成方法で形成されている。例えば、有機ELディスプレイ装置の場合、高分子系有機材料に対してはインクジェット法(例えば、特許文献1参照)やスピンコート法で、低分子系有機材料に対しては真空蒸着法(例えば、特許文献2参照)で形成されることが知られている。
特許3036436号公報 特開平11−126691号公報
しかしながら、前記インクジェット法においては、その有機材料インクのインクヘッドからの吐出ミスやその着弾部位のバラツキ精度といった問題があった。また、真空蒸着法においては、蒸着時に使用されるシャドウ・マスクの精度や寿命および有機材料の使用効率の低さといった問題があった。このため、前記インクジェット法や前記真空蒸着法といった従来の膜形成方法では、材料を効率よく使用するとともに、高い特性が得られる高品位な薄膜を形成することが困難であった。
本発明は上記問題点を解消するためになされたものであって、その目的は、材料を効率よく使用することができるとともに、およそ数10nm〜数100nmの膜厚や1mm以下の形状を高精度に制御でき高品位な膜質の薄膜を高い生産効率で形成することができる膜形成方法、膜形成装置及びそれを用いて製造された電子装置、電子機器を提供することにある。
本発明における膜形成方法は、材料を気体状の擬分子イオンに変換生成するステップと、基板上に設けられた複数の電極の電位を所定電位に設定して、前記擬分子イオンを前記基板上に選択的に付着させるステップとを備えた。
これによれば、材料を微細な液滴化するとともにイオン化または帯電させて、その液滴を気化させる、もしくは直接気化させて帯電させて気体状の擬分子イオンを生成する。その擬分子イオンの中から材料の擬分子イオンを分別して前記基板に飛着するようにした。このとき前記基板の所定の部位を選択的に所定の電位に設定することで、前記材料の擬分子イオンを静電気力によって所定の部位に誘導するようにした。従って、所定の部位に前記材料を確実に付着させることができる。このようにすることで、目的の部位に確実に高品位な有機薄膜を形成することができる。
本発明における電子装置の製造方法は、基板上に機能材料を薄膜化して積層形成する電子装置の製造方法において、機能材料を含む溶液を微細な液滴化するとともにイオン化若しくは帯電させてから、その液滴を気化させて気体状の擬分子イオンを生成する第1のステップと、前記擬分子イオンから、前記溶液に含まれる溶媒に由来する溶媒イオンの含有量を低減もしくは除去する第2のステップと、前記基板上に複数の電極を備え、前記擬分
子イオンに対して前記電極の所定電極電位を選択的に異なる電位に設定して、前記機能材料の擬分子イオンを前記基板上に選択的に付着させる第3のステップとを備えた。
これによれば、機能材料を一旦、溶液化し、その後、微細な液滴化および擬分子をイオン化させる。そして、その擬分子イオンのうち、イオン化された機能材料と前記溶媒イオンとを分別し、その分別された前記擬分子イオン化された機能材料を基板上に付着させるようにした。このとき前記基板の所定の部位を選択的に所定の電位に設定することで、前記擬分子イオン化された状態の機能材料を所定の部位に誘導するようにした。よって、所定の部位に前記機能材料を確実に付着させることができる。このようにすることで、目的の部位に確実に高性能なデバイスを形成することができる。
この電子装置の製造方法において、さらに、前記擬分子イオンから前記溶媒擬分子イオンと前記機能材料に由来する機能材料擬分子イオンとを分別した後、前記機能材料擬分子イオンを偏向して揺動する第4のステップを設けてもよい。
これによれば、前記分別部にて分別された後、複数のビーム束となって出射される前記擬分子イオン化された機能材料のビーム面内イオン密度を均一化し、ビーム照射面積を拡大することができる。
この電子装置の製造方法において、前記基板上には、前記電子装置が複数個形成されるものであり、前記各電子装置における前記複数の電極の選択的な電位設定は、前記各電子装置に対して共通の信号線及び電源線によってなされるようにしてもよい。
これによれば、基板上に形成される複数の電子装置は、共通の信号線及び電源線によって、各電子装置の複数の電極に対してそれぞれ選択的に所定電位を同時に設定することができる。従って、有機薄膜を同時に基板上の複数の電子装置に対して形成することが可能となる。
この電子装置の製造方法において、前記基板上に形成した前記各電子装置に対する共通の前記信号線及び前記電源線は、前記基板上に形成された前記各電子装置間にある中間領域で、互いに交差しないように配線されていてもよい。
これによれば、前記基板上に形成される信号線及び電源線は、互いに交差しないように配線されていることから、信号線及び電源線を単一の配線層で形成することができるので、複数層を使って信号線および電源線を結線する場合に比べて信頼性が高く製造コストも有利になる。
この電子装置の製造方法において、前記基板上に形成される前記電子装置の形成領域には、前記複数の電極に対して選択的に所定電位に設定するための設定回路が形成され、その設定回路は、前記形成領域に形成される前記電子装置の本来の電子回路の少なくとも一部を利用してもよい。
これによれば、基板上に形成された成膜電圧設定回路が、電子装置の電子回路の一部を利用しているため、前記電子装置の本来の回路に僅かの回路を追加するだけで素子電極の電圧設定が可能であり、この追加回路は製造工程を増やすことなく、本来の回路の製造工程と同時に作りこむことが可能である。
この製造方法において、前記基板上の各形成領域にそれぞれ形成される電子装置は電気光学装置であって、前記複数の電極はその電気光学装置に形成される複数の電気光学素子の素子電極であり、前記設定回路に利用される電子回路は、前記電気光学素子の素子駆動
回路を含んでいてもよい。
これによれば、基板上に電気光学装置を形成するための成膜電圧設定回路が、電気光学装置の電子回路の一部を利用しているため、電気光学装置の本来の回路に僅かの回路を追加するだけで素子電極の電圧設定が可能であり、この追加回路は本来の回路の製造工程と同時に作りこむことが可能である。
本発明における膜形成装置は、基板上に材料の膜を形成する膜形成装置であって、前記材料または前記材料の溶液を微細な液滴化するとともにイオン化若しくは帯電させてから、その液滴を気化させて気体状の擬分子イオンを生成するイオン化部と、前記基板上に備えられた複数の電極の電位を前記擬分子イオンに対して選択的に設定する電子回路に対して、信号または電圧を供給するための電圧供給部と、前記擬分子イオンのうち材料イオンを前記基板に付着させる成膜部とを備えた。
これによれば、材料を微細な液滴にするとともにイオン化若しくは帯電させてから、その液滴を気化させて気体状の擬分子イオンを生成するイオン化部を備え、そのイオン化部にて作成した擬分子イオン状態の材料を基板に付着するようにした。このとき前記基板の所定の部位を選択的に所定の電位に設定することで、前記擬分子イオン状態の材料を所定の部位に誘導するようにした。よって、所定の部位に前記材料を確実に付着させることができる。このようにすることで、目的の部位に確実に高品位な膜を形成することができる膜形成装置を提供することができる。
この膜形成装置において、前記材料と溶媒とを混合して得られた溶液を前記イオン化部に供給する溶液供給部と、前記溶液と不活性ガスを同時にノズルから噴霧させることで前記溶液を微小な液滴にするガス供給部と、前記微小な液滴を気化させて気体状の擬分子イオンを生成し、前記擬分子イオンのうち、前記材料に由来するイオンと前記溶媒に由来するイオンとを分別する分別部とを備えていてもよい。
これによれば、溶液供給部にて材料を溶媒で溶液化した後、その溶液化した材料を微小な液滴にするとともにイオン化若しくは帯電させてから、その液滴を気化させて気体状の擬分子イオンを生成するようにした。そして、その擬分子イオンの中から前記溶媒イオンを分離して前記イオン化された材料のみを分別する分別部を備えた。そして、前記分別部にて分離された前記イオン化された材料を誘導し、基板に付着するようにした。この結果、基板に付着される材料には不純物の混入を大幅に減らすことができる。従って、目的の部位に確実に高品位な膜を形成することができる膜形成装置を提供することができる。
この膜形成装置において、さらに、前記分別部にて分別された前記材料に由来するイオンを偏向して揺動する偏向部を備えていてもよい。
これによれば、前記分別部にて分別された前記イオン化された材料のビーム面内イオン密度を均一化し、ビーム照射面積を拡大することができる。
この膜形成装置において、前記分別部は印加される電圧または電流に応じて前記材料に由来するイオンを質量に応じて分別するための複数の電極を備えた質量分別部を備えていてもよい。
これによれば、質量分別装置を備えることで、前記イオン化された材料と溶媒イオンおよびその他のイオンとを分離することができるので、前記材料の純度を高め、また分子量を揃えたイオンビームにすることができる。
この膜形成装置において、前記質量分別部は、前記複数の電極の間の距離が異なる複数
の質量分別部を備えていてもよい。
これによれば、質量分別装置のイオン収束性能とイオン分別性能を分けて制御することができるので、より高度な質量分別とイオンビーム制御が可能となる。
この膜形成装置において、さらにコレクタ電極を設けるとともに前記コレクタ電極と前記成膜部との間に、前記イオン化された材料の飛行速度を調整する調整用電極を備えていてもよい。
これによれば、さらにコレクタ電極を設けるとともに、前記コレクタ電極と前記成膜部との間の電位をコレクタ電極電位と変えて調整することができる。従って、最適な条件で前記イオン化された材料を基板に付着させることができる。
この膜形成装置において、前記材料に由来するイオンが前記基板の所定電極に付着する付着量を検出する検出部を備えていてもよい。
これによれば、基板上に形成される薄膜の膜厚を容易に監視しながら制御することができる。
この膜形成装置において、前記基板のイオン付着電極面は、垂直方向もしくは水平下面になるように配置、摺動するようになっていてもよい。
これによれば、薄膜を形成するときに基板上への塵埃(パーティクル)の付着を防止することができる。
この膜形成装置において、前記イオン化部と、前記分別部と、前記成膜部はそれぞれ、互いに独立して減圧されるための隔離手段を備えていてもよい。
これによれば、前記イオン化部と、前記分別部と、前記成膜部とを独立して減圧することができる。
本発明における電子装置は、上記電子装置の製造方法で製造されている。
これによれば、上記電子装置の製造方法を用いて、例えば、大型で高品位な表示ディスプレイを製造することができる。
本発明における電子機器は、上記電子装置を備えている。
これによれば、上記デバイス製造装置を使って製造されたデバイスを用いて、例えば、大型で高品位な表示を可能とする薄型テレビやディスプレイ付き携帯機器を実現することができる。
本発明における電子装置は、上記膜形成装置で製造されている。
これによれば、上記膜形成装置を使って製造された電子装置を用いて、膜厚や形状を高精度に制御でき高品位な膜質の薄膜を高い生産効率で形成することができる。
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図1〜図8に従って説明する。尚、本実施形態における有機薄膜形成装置は、フルカラー表示可能な有機ELディスプレイの画素を構成する有機薄膜を形成するための薄膜形成装置である。つまり、本実施形態における有機薄膜形成装置を使用して製造される有機ELディスプレイは、その一つの画素が赤色(R色)、緑色(G色)及び青色(B色)用の画素を備えた有機ELディスプレイである。
図1は、有機薄膜形成装置の構成を説明するためのブロック構成図である。図1に示すように、有機薄膜形成装置10は、溶液供給部11、ガス供給部12、ソフトイオン化部
13、イオン分別部14、偏向部15及び成膜部16を備えている。
溶液供給部11は、各種有機材料J(図2参照)を用いることができる。この各種有機材料Jは、赤色、緑色及び青色毎に異なる材料であって、且つ、その色毎に発光層、電子輸送層及び正孔注入/輸送層等のそれぞれを構成する材料のことである。そして、この溶液供給部11において、溶媒U(図2参照)によって溶解された溶液が作成される。
ガス供給部12は不活性ガスボンベ及びその不活性ガスを供給するポンプを備えている。そして、ガス供給部12は、前記溶液供給部11にて作成された溶液が導入噴出される溶液キャピラリの外周部に沿って、前記不活性ガスを高速に次段のソフトイオン化部13に噴出させる。
ソフトイオン化部13は、前記溶液供給部11及び前記ガス供給部12から供給される溶液を微細な液滴にするとともにイオン化若しくは帯電させてから、その液滴を気化させて気体状の擬分子イオンに変換生成する(第1のステップ)。その後、前記擬分子イオンを静電気力で次段のイオン分別部14に誘導する。尚、擬分子イオンは、分子そのもののイオンに加えて、分子や原子がクラスター化、会合、あるいは結合することにより生成した化学種がイオン化あるいは帯電されることにより生成したものも含んでいる。
イオン分別部14は、前段のソフトイオン化部13にて変換生成された擬分子イオンを収束・分別し、質量の揃ったイオンビーム化する。このとき、前記擬分子イオンから前記溶媒イオンの含有量を低減する(第2のステップ)。その後、さらに、前記擬分子イオンから前記溶媒イオンと、前記有機材料Jに由来する有機材料イオンとを分別した後、イオン分別部14は、そのイオンビームを次段の偏向部15に出力する。そして、偏向部15は、イオン分別部14からの前記有機材料イオンを偏向して揺動させる(第4のステップ)。
偏向部15は、前記機能材料イオンを偏向して揺動することで前記イオンビームの密度ムラを低減させ、ビーム断面積を拡大させる。成膜部16は、前記偏向部15を通過したイオンビームをマザー基板S(図2参照)に付着させて、所定の有機薄膜を積層形成する(第3のステップ)。
以下、前記した各部材11〜16を備えた有機薄膜形成装置10の詳細を図2〜図4に従って説明する。図2は、本実施形態における有機薄膜形成装置10の構成図である。
図2において、有機薄膜形成装置10は、溶質タンク21及び溶媒タンク22を備えている。溶質タンク21は、マザー基板S上に形成される画素を構成する発光層、電子輸送層、電子注入層、正孔輸送層または正孔注入層といった各種薄膜を形成するための有機材料Jを貯留するタンクである。また、溶質タンク21には、前記有機材料Jが高濃度に溶液化された状態で貯留されている。前記有機材料Jは、発光層を構成する可溶性π共役系高分子系の有機材料としては、例えば、ポリチオフェン(PAT)系、ポリパラフェニレン(PPP)、(ポリ)パラフェニレンビニレン(PPV)、ポリフェニレン系、ポリフルオレン(PF)系、ポリビニルカルバゾール系の誘導体がある。また、低分子系の有機材料としては、例えば、ベンゼン誘導体に可溶なルブレン、ベニレン、9,10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン等の化合物やデンドリマー系化合物がある。また、正孔注入/輸送層を構成する有機材料としては、例えば、PEDOT+PSS系、ポニアニリン+PSS系、フタロシアニン系金属錯体がある。
溶媒タンク22は、前記各種有機材料Jを希釈する溶媒Uが貯留されたタンクである。溶媒Uは、例えば、キシレン、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン、ジクロロベン
ゼン、メチルエチルケトン、ジオキサン、/水、メタノールやエタノール等のアルコール類、ヘキサフルオロ−2−プロパノール等のフッ素化アルコール類、アセトン、N−メチルビロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスフルフォキシド等があり、溶質(有機材料J)との適合性をみながら最適なものが選択される。溶媒タンク22に貯留される溶媒Uは、溶質タンク21の溶液に使われている溶媒と同じ種類のものでなくともよい。
また、前記溶質タンク21と前記溶媒タンク22とは輸送管Cを介して互いに接続されるとともに定流ポンプ23に接続されている。そして、前記有機材料Jが前記溶媒Uによって所定の割合で希釈された希釈溶液が、輸送管Cによって定流ポンプ23に供給されるようになっている。
また、有機薄膜形成装置10は、定流ポンプ23、キャリアガスポンプ24、ガスボンベGB及び加熱ガスポンプ25で構成される前記ガス供給部12を備えている。
定流ポンプ23には、キャピラリNZ1が接続されている。前記キャピラリNZ1には、同キャピラリNZ1と同軸上にあって、その外周にガスガイド管NZ2が設けられている。キャピラリNZ1の先端部Azは、必要に応じてヒータが取り付けられ、加熱できるようにしてもよい。前記ガスガイド管NZ2は、キャリアガスポンプ24に接続されている。キャリアガスポンプ24は、ガスボンベGBに接続されている。前記ガスボンベGBには、高純度のヘリウムガス(He)、窒素(N)またはアルゴン(Ar)といった不活性ガスや二酸化炭素(CO)が充填されている。コスト面から窒素(N)や二酸化炭素(CO)を使用することが好ましい。そして、前記キャピラリNZ1とガスガイド管NZ2から構成される噴霧ノズルは、チャンバーVcのイオン化室C1に挿入されている。尚、前記イオン化室C1には第1の真空ポンプP1が接続されている。そして、前記第1の真空ポンプP1が作動することで前記イオン化室C1内を独立して減圧させることができる。
そして、前記定流ポンプ23は、前記輸送管Cを介して前記溶液供給部11から供給される前記希釈溶液を前記キャピラリNZ1を介して前記イオン化室C1内に定流的、つまり無脈流的に噴射する。すると、前記希釈溶液がミスト状の微小な液滴となって、前記イオン化室C1に供給される。また、キャリアガスポンプ24は、前記ガスボンベGBから供給される前記不活性ガスを前記ガスガイド管NZ2を介して、キャピラリNZ1から噴射される前記希釈溶液の外周部から、減圧された前記イオン化室C1内に音速近くの流速で高速噴射する。
すると、噴射された前記希釈溶液は、1μm以下の微小な液滴になり、また、この微小な液滴と、前記キャリアガスを構成する不活性ガスの分子との間に摩擦が生じるので、前記微小な液滴がイオン化または帯電される。尚、本実施形態における前記微小な液滴は、負にイオン化されるものとする。
また、前記加熱ガスポンプ25は、前記ガスボンベGBに接続されている。加熱ガスポンプ25の送気口25aは前記イオン化室C1に接続されている。この加熱ガスポンプ25は、その送気口25aから加熱された不活性ガスを送気する。このことによって、生成された前記微小な液滴を気化させて気体状の擬分子イオンにするとともに、ガスガイド管NZ2から減圧されたイオン化室C1内に前記不活性ガスが噴射されるとき、断熱膨張によって前記キャピラリNZ1の先端部Azやその近傍にあるガスガイド管NZ2の先端部が冷却されるのを抑制するようになっている。即ち、前記キャピラリNZ1の先端部Azが冷却されることで、同先端部Azに前記希釈溶液が凝縮して固着し、ノズルの噴霧能力が低下するのを防止する。その結果、前記キャピラリNZ1から前記希釈溶液の噴霧量を安定して制御することができる。
前記イオン化室C1には、強電界電極付き超音波霧化器30が設けられている。強電界電極付き超音波霧化器30は、超音波振動子31、振動板電極32及びぺルティエ素子33を備えている。
圧電材料等でできた超音波振動子31には、一対の振動板電極32にて挟持されている。また、前記超音波振動子31にはぺルティエ素子33が接続されている。振動板電極32及びぺルティエ素子33はチャンバーVcの外側に設けられた電圧発生装置Qに接続されている。ちなみに、超音波振動子31には、図示されないが、超音波振動子31に振動を起こさせる高周波電圧を供給する振動制御装置が接続されている。そして、振動板電極32には、電圧発生装置Qから後記する誘導電極電圧の第1の電圧V1に対して数kVの高い電圧Vaが供給されるようになっている。また、振動板電極32は、ステンレススチールやチタンのような耐食性の高い金属もしくは窒化珪素系、ホウ化チタン(TiB)系、ホウ化ジルコニウム(ZrB)系等の導電性セラミックスからなり、その表面には複数の突起部32aが形成されており、その突起先端から電荷を放出しやすくなっている。さらにぺルティエ素子33は電圧発生装置Qから供給される電流Pによって超音波振動子31を冷却し、超音波振動子31が振動に伴う発熱で劣化するのを抑制することができるようになっている。
前記のように構成された強電界電極付き超音波霧化器30は、キャピラリNZ1とガスガイド管NZ2から構成される前記噴霧ノズル面に斜めに対向するように前記イオン化室C1の側壁に設けられている。前記噴霧ノズルから噴霧された微小な液滴のうち比較的質量の大きい液滴は、振動する振動板電極32に衝突し、さらに微細な液滴に微細化されると同時に、前記突起部に印加されている高電圧により帯電しソフトイオン化される。
また、有機薄膜形成装置10は、溶媒Uに対して高い吸光率をもち、他方、有機材料Jに対しては低い吸光率の波長(紫外線あるいは赤外線等)を出力するレーザ発振器34を備えていてもよい。レーザ発振器34から出射されたレーザLは、スキャンミラー35で反射および走査されて前記イオン化室C1の側壁に設けられた入射窓Vを介して前記イオン化室C1内に導入される。そして、前記レーザLは、加熱ガスポンプ25から供給される加熱された不活性ガスとともに、前記噴霧ノズルや振動板電極32で生成された微細な液滴を瞬間的に加熱気化させて、気体状の擬分子イオンを生成する。
そして、前記噴射ノズルと前記強電界電極付き超音波霧化器30と加熱ガスポンプ25および前記レーザ発振器34と真空ポンプP1とで、前記ソフトイオン化部13を構成している。
前記超音波霧化器30と誘導電極41との間の前記イオン化室C1の側壁には第1のシャッタT1が設けられている。この第1のシャッタT1を開口させることで、前記擬分子イオンを前記イオン化室C1に隣接するイオン分別室C2に導入するようになっている。
ところで、イオンの飛行速度υと加速電圧E、イオン電荷数Z、イオン質量m、電子の電荷eとの関係は、
υ=(2eZE/m)1/2
で表すことができる。この式によりイオン質量mが大きく異なり、且つ、イオン電荷数Zが異なれば、イオンの飛行速度に大きな差ができるので、特定のイオンを分離しやすいことが分かる。
イオン分別室C2は、第1のシャッタT1と第2のシャッタT2とで前記イオン化室C1並びに成膜室C3と独立して隔離されるようになっている。そして、前記イオン分別室C2には、第2〜第4の真空ポンプP2,P3,P4が設けられている。
また、イオン分別室C2には、誘導電極41、冷却電極42、多重極型分別収束装置43、コレクタ電極44、調整用電極45及び偏向磁石46が備えられている。そして、前記各機能手段41〜46は、上流側、即ち、前記イオン化室C1側から誘導電極41、冷却電極42、多重極型分別収束装置43、コレクタ電極44、調整用電極45及び偏向磁石46の順に配置されている。
誘導電極41は、前記第1のシャッタT1の開口部に対応する部位に複数のグリッド41aが形成されている。また、誘導電極41はイオン分別室C2の外側に設けられた前記電圧発生装置Qに接続されている。そして、電圧発生装置Qにて発生された第1の電圧V1が誘導電極41に供給されるようになっている。この第1の電圧V1は、前記超音波霧化器30を構成する振動板電極32の電圧Vaに対して正の高電圧である。つまり、この誘導電極41によって、前記イオン化室C1内の擬分子イオンを前記誘導電極41に向かって電気的に引き寄せ、イオン分別室C2に導入するようになっている。このとき、グリッド41aを設けることによって、前記第1のシャッタT1を通過して前記イオン化室C1から導入される前記擬分子イオンの移動方向と速度が与えられる。
冷却電極42は、前記誘導電極41のグリッド41aに対応する部位に開孔部が設けられている。冷却電極42は、前記電圧発生装置Qに電気的に接続されている。そして、前記電圧発生装置Qにて発生された第1の電圧V1より負の電圧である第2の電圧V2が冷却電極42に印加されるようになっている。これにより分子量の大きい溶質イオンを軌道中心に収束させる。また、冷却電極42は、前記イオン分別室C2の外側に設けられた冷却装置に接続され、その冷却装置によって冷却されるようになっている。
このように構成された冷却電極42を設けることによって、前記誘導電極41のグリッド41aを通過した前記擬分子イオンのうち、その分子量が小さいがために拡散しやすい溶媒擬分子イオン(溶媒イオン)を結露させて除去する。除去された溶媒は、回収され再利用される。このようにすることで、前記擬分子イオン流中の溶質イオン(機能材料イオン)の割合を高め、次段の多重極型分別収束装置43の分別負担を緩和する。そして、前記擬分子イオンは、次段の多重極型分別収束装置43に導入される。
多重極型分別収束装置43は、本実施形態においては、2つの四重極型質量分別装置43a,43bを並設したものである。詳しくは、直列に並べられた2つの第1及び第2の四重極型質量分別装置43a,43bのうち、上流側、即ち、冷却電極42側に第1の四重極型質量分別装置43aが、下流側、即ち、次段のコレクタ電極44側に第2の四重極型質量分別装置43bが設けられている。
図4(a)は、第1の四重極型質量分別装置43aの正面図である。また、図4(b)は、第1の四重極型質量分別装置43aの断面図である。第1の四重極型質量分別装置43aは、図4(a)に示すように、互いに向かい合った2組の円柱状の電極an,an+1,bn,bn+1(nは自然数)を平行に精度良く取り付けられている。各々の組の電極an,an+1,bn,bn+1には逆極性の直流電圧と交流電圧とが重畳されて印加されている。また、各々の組の電極an,an+1,bn,bn+1で囲まれた部位にイオンビーム通過孔H1が形成されている。そして、前記グリッド41aを通過した直後の擬分子イオンをイオンビーム通過孔H1から第1の四重極型質量分別装置43a内を通過させることによって、前記擬分子イオンを構成する溶媒擬分子イオン(溶媒イオン)と溶質イオン(イオン化された有機材料)とを分離する。
図3(a)は、第2の四重極型質量分別装置43bの正面図である。また、図3(b)は、第2の四重極型質量分別装置43bの断面図である。第2の四重極型質量分別装置4
3bは、図3(a)に示すように、互いに向かい合った2組の円柱状の電極An,An+1,Bn,Bn+1(nは自然数)を平行に精度良く取り付けられている。各々の組の電極An,An+1,Bn,Bn+1には逆極性の直流電圧と交流電圧とが重畳されて印加されている。また、各々の組の電極An,An+1,Bn,Bn+1で囲まれた部位にイオンビーム通過孔H2が形成されている。そして、前記四重極型質量分別装置43aのイオンビーム通過孔H1から出射された前記擬分子イオンをイオンビーム通過孔H2から第2の四重極型質量分別装置43b内に通過させることによって、前記擬分子イオンを構成する溶媒擬分子イオン(溶媒イオン)と溶質イオン(イオン化された有機材料)とをさらに高度に分離する。つまり、中心に支柱部材のある前記円柱状の電極An,An+1,Bn,Bn+1に印加される直流電圧及び交流電圧を最適化することによって、前記擬分子イオンを構成する溶媒イオンをそのイオン軌道面からそらし、残りの溶質イオンをイオン軌道面に収束して、一次分別された擬分子イオンビームを整える。この擬分子イオンビームを本実施形態においては、イオンビームIBとする(図3(b)参照)。尚、この第2の四重極型質量分別装置43bのイオンビーム通過孔H2の径φ2は、第1の四重極型質量分別装置43aのイオンビーム通過孔H1の径φ1(図4(b)参照)よりは、小さくなるように構成されている。
この前記第1の四重極型質量分別装置43aは、装置容器を持たない開放型の四重極型質量分別装置である。従って、前記誘導電極41を通過した前記擬分子イオンから溶媒イオンを四重極型質量分別装置43a外に放出しやすくすることができる。
一方、前記第2の四重極型質量分別装置43bは密閉型の四重極型質量分別装置であり、その容器の開孔部には第4の真空ポンプP4が接続されている。そして、この第4の真空ポンプP4を作動させることで、第2の四重極型質量分別装置43bを高真空状態にするようになっている。この結果、大量のイオンを同時分別し、長尺のイオンビームを生成することができる多重極型分別収束装置43を得ることができる。
コレクタ電極44は、図2に示すように、その多重極型分別収束装置43のイオンビーム通過孔H2に対応する部位にグリッド44aが形成されている。また、コレクタ電極44は、前記電圧発生装置Qに電気的に接続されている。さらに、コレクタ電極44には、前記冷却電極42に供給される前記第2の電圧V2と同じレベルの電圧が供給されるようになっている。そして、前記コレクタ電極44は、前記多重極型分別収束装置43によって形成されたイオンビームIBを電気的に引き寄せ、そのグリッド44aを通過させるようになっている。そして、前記グリッド44aを通過したイオンビームIBは後段の調整用電極45に導かれる。
調整用電極45は、前記電圧発生装置Qに電気的に接続されている。そして、調整用電極45には前記電圧発生装置Qから第3の電圧V3が供給されるようになっている。前記第3の電圧V3は、第1及び第2の電圧V1,V2とは独立して調整用電極45とマザー基板Sとの電位差を最適に調整できるようにすることで、前記イオンビームIBを安定にマザー基板S上の所定の部位に付着させるように設定されている。この結果、前記イオンビームIBの成膜部16への入射速度を最適制御することができる。この入射速度は、不着電圧Vsおよび付着電圧V4によってイオンビームIBの軌道が曲げられる程度の低速が好ましい。
このようにして、前記イオン分別部14は、前記誘導電極41、冷却電極42、多重極型分別収束装置43、コレクタ電極44及び調整用電極45で構成している。
前記調整用電極45の下流側には偏向磁石46が設けられている。偏向磁石46は前記電圧発生装置Qに電気的に接続されている。そして、偏向磁石46は電圧発生装置Qから供給される電流IMに応じた周期変動励磁電流が供給されることで偏向磁場を発生する電
磁石である。そして、前記偏向磁石46によって発生された周期変動磁場中に前記イオンビームIBを通過させることで、イオンビームIBを揺らしてビーム密度の均一性を向上させる。そして、この偏向磁石46は、前記偏向部15を構成している。尚、偏向磁石46は、静電界によるビーム偏向手段であってもよい。
また、前記イオン分別室C2の下流側であって、前記調整用電極45のグリッド45aに対向する隔壁部位には第2のシャッタT2が設けられている。そして、第2のシャッタT2を開口させることで、前記イオンビームIBが前記イオン分別室C2に隣接する成膜室C3に導入される。
成膜室C3は前記第2のシャッタT2及びゲートBによって、独立した気密状態にすることができる。そして、成膜室C3には第5の真空ポンプP5が設けられている。そして、前記第2のシャッタT2及びゲートBを閉じるとともに第5の真空ポンプP5を作動させることで成膜室C3内を減圧することができるようになっている。
また、成膜室C3内にはステージ摺動装置51及びステージ52が設けられている。ステージ摺動装置51は、前記成膜室C3の側壁に取り付けられている。詳しくは、ステージ摺動装置51は、前記第2のシャッタT2に対向する側壁50に取り付けられている。ステージ摺動装置51は、成膜室C3の外側に設けられたステージコントローラ53に制御される。そして、前記ステージ摺動装置51はステージコントローラ53によって、前記成膜室C3の側壁50に沿って前記ステージ52を摺動制御可能になっている。
また、ステージ摺動装置51上にはステージ52が載置されている。ステージ52には、マザー基板Sが載置固定されるようになっている。つまり、マザー基板Sはステージ52を介してステージコントローラ53によって前記成膜室C3の側壁50に沿って摺動制御されるようになっている。このように、マザー基板Sが前記成膜室C3の側壁50に沿って載置されるようにすることで、マザー基板Sに塵埃が付着し難いようにすることができる。その結果、マザー基板S上に高品位な有機薄膜を形成することができる。なお、図2に示される有機薄膜形成装置10は、全体を90度回転して、マザー基板Sの有機薄膜形成面を垂直方向下にしてステージコントローラ53上をマザー基板Sが摺動制御可能としてもよく、塵埃に対して同様な効果がある。
マザー基板Sは、予め画素を制御する電子回路としての画素回路がマトリクス状に形成された表示パネルチップPTを少なくとも1つ以上備えている。詳しくは、マザー基板Sは、図2に示すように、TFTや有機TFT、ICなどで形成されたスイッチング素子として機能するスイッチングトランジスタQswが形成されている。また、マザー基板Sは、その前記第2のシャッタT2側に所定の間隔をおいて画素間を分離する隔壁であるバンクKが形成されている。そして、前記各バンクK間には、例えばインジウム−スズ酸化物(ITO)で構成された透明な画素電極Mが予め形成されている。また、前記バンクK上には導電性膜Rが形成されている。バンクKは、必ずしも有機薄膜を成膜する前に設けておく必要はなく、有機薄膜成膜後もしくはなくてもよい。ただし、導電性膜Rは、画素電極M間に有機薄膜の成膜前に設けておくことが望ましい。
前記画素電極Mは、前記画素回路を構成するスイッチングトランジスタQswによって前記電圧発生装置Qに電気的に接続可能となっている。そして、前記電圧発生装置Qからは前記画素電極Mに不着電圧Vsが印加されるようになっている。また、この不着電圧Vsは、前記バンクK上に形成された導電性膜Rにも印加されるようになっている。つまり、スイッチングトランジスタQswによって選択的に前記電圧発生装置Qに接続された画素電極Mの電位は、前記バンクK上に形成された導電性膜Rと同電位になる。
また、前記画素電極Mは、前記画素回路を構成するスイッチングトランジスタQswによって、成膜室C3の外側に設けられた電流量計54を介して電圧発生装置Qから出力される付着電圧V4に電気的に接続可能となっている。そして、電流量計54に電気的に接続された画素電極Mは、前記イオンビームIBが照射されることでその画素電極Mと電圧発生装置Qとで構成される回路に沿って電流が流れる。この電流の電流レベルを検出することで前記画素電極Mにどれほどの量のイオンビームIBが照射されたかを測定することができる。つまり、電流量計54は有機材料Jが前記画素電極Mに付着する付着量に応じた信号を前記ステージコントローラ53および前記定流ポンプ23に出力する。従って、画素電極M上に形成された有機薄膜の膜厚を簡易な方法で精度良く測定することができる。
また、前記電流量計54とマザー基板Sを摺動制御するステージコントローラ53とを接続した。そして、前記ステージコントローラ53は、前記電流量計54で検出される電流レベルに応じてマザー基板Sの摺動速度を制御するようにした。この結果、所定の厚み精度で有機薄膜を効率良く画素電極M全面に均一に形成することができる。
また、前記マザー基板Sには、図2に示すように、前記各スイッチングトランジスタQswを制御する選択制御回路55が形成されている。選択制御回路55は、付着電圧V4と不着電圧Vsを電源として動作し、計数回路とその出力を区別するデコーダ回路で構成され、成膜室C3の外側から供給されるリセット信号RST及び選択信号SELの入力に応じて前記画素電極Mの電位を付着電圧V4若しくは不着電圧Vsのいずれかの電位に制御する制御信号SGを出力するようになっている。リセット信号RSTを選択制御回路55に供給すると、マザー基板S内の回路およびスイッチングトランジスタQswを制御する選択制御回路55は初期化され、スイッチングトランジスタQswを介して全ての前記画素電極Mを前記電圧発生装置Qの付着電圧V4に電気的に接続させるための制御信号SGを出力する。次に、選択信号SELを選択制御回路55にパルス入力すると、選択制御回路55は、前記スイッチングトランジスタQswにより、前記画素電極Mのうち所定の前記画素電極Mのみを前記電流量計54を介して電圧発生装置Qから供給される付着電圧V4に電気的に接続し、他の画素電極Mは他のスイッチングトランジスタQswにより前記電圧発生装置Qの不着電圧Vsに電気的に接続させるための制御信号SGを出力する。ところで付着電圧V4は、本有機薄膜形成装置10の電極中で最高電位である。また不着電圧Vsは、調整用電極45に印加される第3の電圧V3と同等電位かもしくは低電位であることが好ましい。
次に、再度前記選択信号SELを選択制御回路55にパルス入力する。すると、その選択信号SELに応じて所定の別の画素電極Mを前記電流量計54を介して付着電圧V4が印加され、他の画素電極M及び各バンクKの導電性膜Rには、電圧前記電圧発生装置Qから供給される不着電圧Vsが印加される。この結果、その電流量計54に接続された所定の画素電極Mにのみ前記イオンビームIBを誘導して有機材料擬分子イオンを付着させることができる。つまり、選択制御回路55に選択信号SELを入力する毎に所定の電極選択状態に設定することによって、所定の画素電極Mに前記イオンビームIBを選択的に誘導して有機材料擬分子イオンを付着させることができる。
そして、前記ステージ摺動装置51が駆動することでステージ52上に載置されたマザー基板Sがグリッド45aに対向する部位に所定の画素電極Mが部位するように摺動する。このとき、前記したように、その所定の画素電極Mは前記電流量計54を介して付着電圧V4と電気的に接続されているとともに、他の画素電極M及び各バンクK上の導電性膜Rには不着電圧Vsが印加されている。従って、前記有機材料擬分子イオンを所定の画素電極Mに付着させることができる。
そして、前記ステージ摺動装置51、ステージ52、ステージコントローラ53及び電流量計54で前記成膜部16が構成されている。
このように、有機材料Jを溶媒Uで溶液化した後、擬分子イオン化し、その後、前記擬分子イオンから溶媒イオンを分離して前記有機材料イオンのみをマザー基板Sに付着するようにした。そして、前記マザー基板Sの所定の部位に前記イオン化された有機材料Jを誘導する電圧を印加することで、目的の部位に前記有機材料Jを確実に付着させることができる。従って、有機材料Jを効率よく使用することができる。また、このとき、有機材料Jを溶媒Uで溶液化した後、擬分子イオン化された状態で溶媒イオンを分離して前記有機材料Jのみをマザー基板Sに付着するようにしたので、不純物の混入を極力防止することができる。従って、目的の部位に所定の均一な膜厚で高純度な薄膜を形成することができる。
次に、このように構成された有機薄膜形成装置10によって形成される有機ELディスプレイの表示パネルの製造方法について説明する。
図5及び図6は、それぞれ、有機薄膜形成装置10によって形成される有機ELディスプレイの断面図である。また、図5及び図6に示す同じ記号の画素は、全て同色の画素である。
また、図7は、マザー基板S上に複数の表示パネルチップPTを形成する場合のリセット信号線LR、セレクト信号線LS、付着電圧線LV4及び不着電圧線LVsがそれぞれ互いに交差しないように各表示パネルチップPTを配置するためのレイアウトを示したものである。これにより各表示パネルチップPTは、リセット信号RSTと選択信号SELに同時に応答し、同一の内部状態となるため、マザー基板Sへの溶媒イオンの付着作業は連続して行うことができる。またリセット信号線LR、セレクト信号線LS、付着電圧線LV4及び不着電圧線LVsは、各表示パネルチップPTをチップ化する場合、スクライブ破断面から腐食し難い導電材料で配線したり、コンタクトホールを介在させることが望ましく、ITOや窒化チタン(窒化Ti)等の耐食性の高い導電性の配線材料が用いられる。
また、図7に示すように、マザー基板S上に形成した前記各リセット信号線LR、セレクト信号線LS、付着電圧線LV4及び不着電圧線LVsは、前記マザー基板S上の前記各表示パネルチップPTが形成される領域間の中間領域で、互いに交差しないように配線されている。従って、リセット信号線LR、セレクト信号線LS、付着電圧線LV4及び不着電圧線LVsを単一の配線層で形成することができる。マザー基板S上に複数層を使ってリセット信号線LR、セレクト信号線LS、付着電圧線LV4及び不着電圧線LVsを形成するのに比べて、新たに製造工程を増やさずに、本来の回路を形成する配線層の中で最も最適な配線層を用いて結線できるので、信頼性とコストを両立させるができる。
まず、第2のシャッタT2が閉じた状態でゲートBを開けて、マザー基板Sをステージ52上に設置する。次に第5の真空ポンプP5を作動させ、所定の真空度にして、酸素や水分を除去する。同時にステージ52を摺動制御してマザー基板S上に形成された所定の画素電極Mを前記調整用電極45のグリッド45aに対向するようにマザー基板Sを移動し位置決めする。高分子型有機EL表示パネルの場合、最初に成膜されるべき正孔注入/輸送層は、すべての画素電極Mに共通に形成される薄膜である。従って、このとき、前記選択制御回路55から供給される制御信号SGに従って前記スイッチングトランジスタQswが制御されて、すべての前記画素電極Mが前記電流量計54を介して付着電圧V4に電気的に接続されている。一方、各バンクK上に形成された導電性膜Rに前記電圧発生装置Qから供給される不着電圧Vsが印加されている。各バンクK上に形成された導電性膜Rは、各画素を取り囲むようにバンクKが形成されているので、バンクK上で電気的に接続されている。
この状態で前記第2のシャッタT2が開口されると、同第2のシャッタT2から正孔注入/輸送層Y1を形成するための有機材料JのイオンビームIBが複数の所定の画素電極Mに向かって照射され、静電気力で選択的に画素電極Mに付着する(図5a)。有機材料擬分子イオンが画素電極Mに付着するとその部分の電気抵抗が上昇し、付着していない電極部分に優先的に有機材料擬分子イオンが付着してゆき、自己整合的に均一な膜厚が得られる。そして、前記電流量計54によって所定の膜厚になったことを計測すると、前記ステージ52を摺動制御して、隣接する他の画素電極Mが前記調整用電極45のグリッド45aに対向するようにマザー基板Sを移動する。このとき、イオンビームIBは照射されたままであるので、移動した隣接画素には、即座にイオンビームIBが照射され膜形成が始まる。そして最初の過程と同様に前記電流量計54によって所定の電流値(膜厚)になったことを計測すると、前記ステージ52を摺動制御して、隣接する画素電極Mが前記グリッド45aに対向するようにマザー基板Sを移動する(図5b)。
以後、順次、前記と同様の動作を連続的に繰り返すことで、全ての画素電極M上に正孔注入/輸送層Y1を形成する(図5c)。イオンビームIBの幅は、図3(a)に例示したように多重極型分別収束装置43の横幅や各グリッド41a,44a,45aの幅を広げることでマザー基板Sの一辺の長さにすることも可能であるので、一回のステージ走査移動で、マザー基板Sの全画素に対して正孔注入/輸送層Y1を成膜することもできる。全画素に正孔注入/輸送層を付着後、真空炉内でアニールを行い画素電極Mに正孔注入/輸送有機分子を定着させる。
全ての画素電極M上に正孔注入/輸送層Y1が形成されると、次は、R,G,Bの各発光色毎に異なる有機材料Jを用いて発光層を形成する。先ず発光色がR色であるものから成膜する例を説明する。この場合、図2で示される有機薄膜形成装置10と同型の装置を各発光色毎に1台ずつ専用に割り当て、それらをインラインで接続し、マザー基板Sを各装置10に移し変えることで成膜する。マザー基板Sの装置間の移動は、前記ゲートBを経由して行う。成膜過程は、正孔注入/輸送層Y1の場合と同様である。すなわち、第2のシャッタT2が閉じた状態でゲートBを開けて、マザー基板Sをステージ52上に載置する。次に第5の真空ポンプP5を作動させ、所定の真空度にして、酸素や水分を除去する。同時に、ステージ52を摺動制御してマザー基板S上に形成された所定の画素電極Mを前記調整用電極45のグリッド45aに対向するようにマザー基板Sを移動する。このとき、前記選択制御回路55から供給される制御信号SGに従って前記スイッチングトランジスタQswが制御されて、すべての前記所定のR色の画素電極Mが前記電流量計54を介して付着電圧V4に電気的に接続されている。また、このとき、前記スイッチングトランジスタQswが制御されて他の画素電極M及び各バンクK上に形成された導電性膜Rに前記電圧発生装置Qから供給される不着電圧Vsが印加されている。
この状態で前記第2のシャッタT2が開口されると、同第2のシャッタT2から発光層Y2Rを形成する有機材料JのイオンビームIBが複数の所定画素電極Mに向かって照射され、発光層Y2Rが形成される(図6a)。そして、前記電流量計54によって所定の電流値(膜厚)になると、前記ステージ52を摺動制御して周期的に配置されているR色の画素電極Mが前記調整用電極45のグリッド45aに対向するようにマザー基板Sを移動する。このとき、前記選択制御回路55から供給される制御信号SGに従って前記スイッチングトランジスタQswが制御されて、すでにその所定の画素電極Mが前記電流量計54を介して付着電圧V4に電気的に接続されているので、即座に所定の画素電極MにイオンビームIBが照射されて所定の有機材料イオンの付着が開始される。
そして、前記電流量計54によって所定の膜厚が計測されると、前記ステージ52を摺動制御して周期的に配置されているR色の画素電極Mが前記調整用電極45のグリッド4
5aに対向するようにマザー基板Sを移動する。以後、順次、前記と同様にすることで、各R色の画素電極M上に発光層Y2Rを形成する(図6b)。次いで所定の温度でアニールを行い発光層Y2Rを正孔注入/輸送層Y1上に定着させる。このアニールは、R,G,Bの全画素に各発光有機材料を付着後、一括して行ってもよい。
以後、順次、前記と同様の動作を各B色の画素電極Mに行うことで、全てのB色の画素電極M上に発光層Y2Bを形成する。
そして、このように画素電極M上に所定の正孔注入/輸送層Y1及び発光層Y2を積層して形成した後、前記マザー基板Sが前記ゲートBを開口し、隣接する他のチャンバーに輸送される。その後、そのチャンバーにて、例えば、蒸着法といった所定のプロセスによって、前記有機薄膜形成装置10にて形成された前記発光層上に電極Y3および封止部BRが形成される。このようにして、有機EL表示パネルパネルが製造される(図6c)。その後、図7に示すように、複数の表示パネルチップPTが形成されたマザー基板Sをスクライブ処理して表示パネルチップPTを別々に切り出しパネル化する。そして、切り出された各表示パネルチップPTにドライバICや表示電源回路等を実装し有機ELディスプレイとして種々の電子機器に適用させる。
図8は、図2及び図7に示すマザー基板Sに形成された各表示パネルチップPTにおける画素電極Mの電位を選択的に印加するための成膜電圧設定回路(電圧選択回路60、アンド回路61、オア回路62及びチャージトランジスタ63)と表示駆動回路(走査線駆動回路64及びデータ線駆動回路65、画素Pxの素子駆動回路)との電気的接続関係例を説明するための図である。図8に示すように、各表示パネルチップPTには、各画素Pxの発光色に対応して赤色(R)有機EL素子REL、緑色(G)有機EL素子GEL、青色(B)有機EL素子BELがストライプ状に形成される画素電極Mが配置されている。各有機EL素子は、図5及び図6の説明した製造方法で形成されるものである。また、各画素Pxには、各有機EL素子REL,GEL,BELの一方の電極を駆動するスイッチングトランジスタQsw、駆動トランジスタQdからなる素子駆動回路が形成されている。
また、各表示パネルチップPTには、前記付着電圧V4と前記不着電圧Vsとを画素電極Mに印加するための電圧選択回路60が形成され、付着電圧V4が付着電圧線LV4を、不着電圧Vsが不着電圧線LVsを介してそれぞれ入力されている。さらに電圧選択回路60内には、選択制御回路55が形成されている。また、リセット信号RSTはリセット信号線LRを介して、また選択信号SELは、セレクト信号線LSを介して前記選択制御回路55、走査線駆動回路64及びデータ線駆動回路65のそれぞれに入力されている。
選択制御回路55、走査線駆動回路64及びデータ線駆動回路65は、それぞれ、リセット信号RSTの入力によってそれぞれ初期化される。リセット信号RSTの入力中に選択信号SELが入力されるとアンド回路61のゲートから選択信号がセレクト信号線LSに出力され、全てのオア回路62のゲートから走査線L1,L2,…に走査信号が出力される。
また、リセット信号RSTの入力中はデータ線駆動回路65の出力を伝えるデータ線X1,X2,X3,…はハイインピーダンスであるので、リセット信号RSTの入力中に選択信号SELが入力されるとアンド回路61のゲートから選択信号がセレクト信号線LSに出力されチャージトランジスタ63が導通になり、全てのデータ線X1,X2,X3,…が接地電位に設定される。
この結果、全ての画素PxのスイッチングトランジスタQswが導通するとともに、デ
ータ線X1,X2,X3,…の電位が駆動トランジスタQdのゲートに伝達され、前記同駆動トランジスタQdが導通する。これによって、全ての画素電極Mに表示駆動電源線VelR,VelG,VelBを介してで選択的に与えられる付着電圧V4若しくは不着電圧Vsのいずれかの電位が与えられる。このとき、各有機EL素子REL,GEL,BELは完成されていないので、各有機EL素子REL,GEL,BELを介して電流は流れない。
また、選択制御回路55は、内部の計数回路で初期化状態から選択信号SELをカウントすることによって複数の状態を発生させ、それに応じた選択制御信号SGR,SGG,SGBを出力する。すなわち、リセット信号RSTの入来から選択信号SELが入来するまでの期間に選択制御回路55は初期化され、すべての選択制御信号は不着電圧Vsを選択するように信号出力する。有機薄膜を形成している間、リセット信号は入来し続ける。この間に第1の選択信号が入来すると選択制御回路55の初期状態が解除され、内部の計数回路で選択信号SELのカウントを開始する。選択信号SELは、予め定められた有機薄膜の付着電位状態に各素子電極がなるパルス数だけ外部のコントローラから入力される。これにより、選択スイッチSSR,SSG,SSBがそれぞれ切り替えられ、付着電圧V4若しくは不着電圧Vsのいずれかの電位が表示駆動電源線VelR,VelG,VelBに出力される。ちなみに前記三つの素子駆動電源線は、表示動作時には、これらに繋がる別の端子から表示駆動電源が供給される。図8では、選択スイッチSSRにより、表示駆動電源線VelRのみが付着電圧線LV4と電気的に接続されている。この結果、画素Pxのうち赤色(R)用の画素、緑色(G)用の画素、青色(B)用の画素毎にその画素電極Mの電位が選択的に設定されるので、各有機EL素子REL,GEL,BELを構成する有機薄膜が画素電極M上に形成可能となる。以上の状態設定は図7に示される全ての表示パネルチップPTに対して同時に行われる。この素子電極への電圧設定準備が整った段階で、マザー基板SにイオンビームIBが照射され、有機薄膜の形成が行われる。
このように、前記マザー基板S上には、前記表示パネルチップPTが一つもしくは複数個形成されている。そして、前記各表示パネルチップPTに対してそれぞれ形成された前記複数の画素電極Mの選択的な電位設定は、前記各表示パネルチップPTに対して共通のリセット信号線LR、セレクト信号線LS、付着電圧線LV4及び不着電圧線LVsによってなされていている。従って、各表示パネルチップPTの複数の画素電極Mに対してそれぞれ選択的に所定電位を同時に設定することができるので、同時に複数の表示パネルチップPTの素子電極に有機薄膜を形成することができる。
また、本実施形態においては、前記マザー基板S上に形成される前記各表示パネルチップPTの形成領域には、成膜電圧設定回路(電圧選択回路60、アンド回路61、オア回路62及びチャージトランジスタ63)と表示駆動回路(走査線駆動回路64及びデータ線駆動回路65、画素Pxの素子駆動回路)とが形成されている。そして、その成膜電圧設定回路は、本来の表示パネルチップPTを構成する回路の一部を利用している。
さらに、前記複数の画素電極Mは、その各有機EL素子REL,GEL,BELの一方の素子電極であり、前記付着電圧V4または不着電圧Vsは、前記各有機EL素子REL,GEL,BELの素子駆動回路としてのスイッチングトランジスタQsw、駆動トランジスタQdを利用して各画素電極Mに供給されるようにした。従って、画素Pxの素子駆動回路は、有機薄膜形成時の素子電極への電圧印加をするために何ら変更を加える必要がない。さらに表示パネルチップPTの本来の回路に僅かの回路を追加するだけで素子電極の電圧設定が可能であり、この追加回路は本来の回路の製造工程と同時に作りこむことが可能である。
尚、有機薄膜形成時における前記成膜電圧設定回路と表示駆動回路への電源供給は、付
着電圧V4及び不着電圧Vsから適宜電圧を変換して行われる。一方、表示パネルチップPTが完成した段階では、前記付着電圧V4及び不着電圧Vsからの電源供給をしなくてもよいようにリセット信号RSTにより前記成膜電圧設定回路と表示駆動回路は状態設定される。また、リセット信号RST及び選択信号SELについても同様であり、スクライブ処理を行った後、表示動作状態ではプルダウン抵抗Rp1,Rp2により表示パネルチップPT内部で電位固定される。
さらに、図5及び図8では、電圧選択回路60がマザー基板S上に形成する場合を示したが、同マザー基板Sとは別の外部装置として設けてもよい。
尚、特許請求の範囲に記載の材料または機能材料は、本実施形態においては、例えば、有機材料Jに対応している。特許請求の範囲に記載の基板は、本実施形態においては、例えば、マザー基板Sに対応している。特許請求の範囲に記載の隔離手段は、本実施形態においては、例えば、第1のシャッタT1または第2のシャッタT2に対応している。特許請求の範囲に記載の膜形成装置は、本実施形態においては、それぞれ、有機薄膜形成装置10に対応している。特許請求の範囲に記載のイオン化部は、本実施形態においては、ソフトイオン化部13に対応している。
また、特許請求の範囲に記載の分別部は、本実施形態においては、イオン分別部14に対応している。特許請求の範囲に記載の質量分別部は、本実施形態においては、多重極型分別収束装置43に対応している。特許請求の範囲に記載の電子装置は、本実施形態においては、有機ELディスプレイの主要構成要素である表示パネルチップPTに対応している。特許請求の範囲に記載のイオン付着電極面、電極または素子電極は、本実施形態においては、画素電極Mに対応している。
さらに、特許請求の範囲に記載の電圧供給部は、本実施形態においては、例えば、電圧発生装置Qに対応している。特許請求の範囲に記載の検出部は、本実施形態においては、例えば、電流量計54に対応している。特許請求の範囲に記載の表示駆動回路は、本実施形態においては、例えば、走査線駆動回路64またはデータ線駆動回路65または画素Pxの素子駆動回路に対応している。特許請求の範囲に記載の電子装置は、本実施形態においては、例えば、表示パネルチップPTに対応している。特許請求の範囲に記載の信号線は、本実施形態においては、例えば、リセット信号線LRまたはセレクト信号線LSに対応し、特許請求の範囲に記載の電源線は、本実施形態においては、例えば、付着電圧線LV4または不着電圧線LVsに対応している。また、特許請求の範囲に記載の電気光学素子は、本実施形態においては、例えば、赤色(R)有機EL素子REL、緑色(G)有機EL素子GELまたは青色(B)有機EL素子BELに対応している。
前記実施形態の有機EL表示パネルなどの電子装置の製造方法、有機薄膜形成装置10及び電子装置によれば、以下のような特徴を得ることができる。
(1)前記実施形態では、溶液供給部11、ガス供給部12、ソフトイオン化部13、イオン分別部14、偏向部15及び成膜部16を備えた有機薄膜形成装置10を構成した。そして、前記溶液供給部11の有機材料Jをソフトイオン化部13にて微細な液滴にするとともにイオン化若しくは帯電させてから、その液滴を気化させて気体状の擬分子イオンにした。このとき、イオン分別部14において擬分子イオンから有機材料イオンを分別し、軌道をそろえてイオンビームIBを生成した。また、予め画素電極Mが形成されたマザー基板Sをステージ52上に載置した。そして、所定の画素電極Mに電流量計54を介して付着電圧V4を接続し、他の画素電極Mには不着電圧Vsを印加することで、所定の画素電極MにのみにイオンビームIBが電界で誘導されるようにした。このようにすることによって、所定の画素電極M上だけに有機材料擬分子イオンを自己整合的に精度良く均一な膜厚で付着させることができる。従って、マスクを使った蒸着方法に比べて有機材料Jの使用効率を上げることができるとともに、複雑な形状の電極面に対してもピンホール
や膜厚変化の少ない高品位な有機薄膜を形成することができる。また有機材料擬分子イオンが電極に付着するときには、イオン分別部14によって溶剤が除去されているため、先に形成された有機膜が後から照射されるイオンビームによって再溶解されることないので、高分子薄膜の積層多層化が可能である。
(2)前記実施形態では、イオン化室C1に超音波振動子31、振動板電極32及びぺルティエ素子33を備えた強電界電極付き超音波霧化器30を設けた。そして、超音波振動子31が超音波振動している状態で、キャピラリNZ1から溶液を噴霧させ、その噴霧させた微小な液滴を振動板電極32に形成された突起部32aに衝突させするようにした。このことによって、前記キャピラリNZ1から噴霧される前記微小な液滴のサイズ(質量)は、さらに微細化させることができる。
(3)前記実施形態では、レーザ発振器34を備え、イオン化室C1の側壁に設けられた入射窓Vを介してキャピラリNZ1の先端部Azから噴霧される前記帯電された微小な液滴にレーザLを照射し、液滴中の溶媒を瞬間気化させるようにした。これにより、その微細な液滴をさらに微細化させるとともに気化させて気体状の擬分子イオン化することができる。
(4)前記実施形態では、2つの第1及び第2の四重極型質量分別装置43a,43bを多段接続することで構成された多重極型分別収束装置43を備えた。そして、前記第1の四重極型質量分別装置43aを開放型の四重極型質量分別装置にし、第2の四重極型質量分別装置43bを密閉型の四重極型質量分別装置にした。また、前記第2の四重極型質量分別装置43bには第4の真空ポンプP4を接続し、この第4の真空ポンプP4を作動させて、第2の四重極型質量分別装置43bを高真空状態で使用するようにした。この結果、多重極型分別収束装置43の分別性能や収束性能を向上することができる。
(5)前記実施形態では、マザー基板Sの付着面が前記成膜室C3の側壁50に沿って垂直もしくは水平下面に向けて載置されるようにした。これによって、マザー基板Sの付着面に塵埃(パーティクル)が付着しにくくすることができる。その結果、マザー基板S上に高品位な有機薄膜を形成することができる。
(6)前記実施形態では、画素電極MがスイッチングトランジスタQswによって成膜室C3の外側に設けられた電流量計54を介して付着電圧V4に電気的に接続されるようにした。そして、電流量計54に電気的に接続された画素電極Mに有機材料擬分子イオンが付着することで、その電流量計54には有機材料擬分子イオン量に応じた電流が流れる。この電流の電流レベルを測定することで前記画素電極Mに所定膜厚の有機膜が形成されたかどうかをモニターすることができる。
また、前記電流量計54の出力信号線を、マザー基板Sを摺動制御するステージコントローラ53に接続した。そして、前記ステージコントローラ53は前記電流量計54で測定される電流レベルに応じてマザー基板Sを摺動制御するようにした。この結果、膜厚精度や膜厚均一性の優れた有機薄膜を形成することができる。
(7)前記実施形態では、マザー基板S上に、表示パネルチップPTを複数個形成し、各表示パネルチップPTに対してそれぞれ形成された画素電極Mの選択的な電位設定を、各表示パネルチップPTに共通のリセット信号線LR、セレクト信号線LS、付着電圧線LV4及び不着電圧線LVsによってなされるようにした。従って、各表示パネルチップPTの画素電極Mをそれぞれ選択的に所定電位に同時に設定することができる。この結果、一括してマザー基板上の複数の表示パネルチップPTに対して有機薄膜を形成することができる。
(8)前記実施形態では、リセット信号線LR、セレクト信号線LS、付着電圧線LV4及び不着電圧線LVsは、図7に示すように、マザー基板S上の前記複数の表示パネルチップPTが形成される領域間のスクライブ領域を含む中間領域で、互いに交差しないように配線されている。これにより、リセット信号線LR、セレクト信号線LS、付着電圧線LV4及び不着電圧線LVsを単一の配線層で形成することができる。すなわち新たに製造工程を増やさずに、本来の回路を形成する配線層の中で最も最適な配線層を用いてリセット信号線LR、セレクト信号線LS、付着電圧線LV4及び不着電圧線LVsを形成できるので、信頼性とコストを両立させることができる。
(9)前記実施形態では、各表示パネルチップPTの形成領域に、成膜電圧設定回路(電圧選択回路60、アンド回路61、オア回路62及びチャージトランジスタ63)と表示駆動回路(走査線駆動回路64及びデータ線駆動回路65、画素Pxの素子駆動回路)とを形成した。そして、その成膜電圧設定回路及び表示駆動回路は、それぞれ前記形成領域に形成される前記表示パネルチップPTの本来の電気光学装置を構成する回路素子の一部を利用している。特に表示パネルチップ面積の大部分を占める画素Pxの素子駆動回路を変更することがないため、本発明の有機薄膜形成方法によりマザー基板から一度に形成できる表示パネルチップ数をほとんど減らすことがない。すなわち画素電極Mへ付着電圧を印加するための回路的なコスト上昇は、僅かである。
(第2実施形態)
次に、第1実施形態で説明した有機薄膜形成装置10で製造した電子デバイスおよびそれを用いた電子装置について図9に従って説明する。有機薄膜形成装置10を用いて実現される有機薄膜デバイスとしては、例えば有機ELディスプレイが挙げられる。有機ELディスプレイは、モバイル型のパーソナルコンピュータ、携帯電話、デジタルカメラ等種々の電子機器に適用できる。
図9は、モバイル型パーソナルコンピュータの構成を示す斜視図を示す。図9において、パーソナルコンピュータ70は、キーボード71を備えた本体部72と、前記有機EL素子で構成されたディスプレイを用いた表示ユニット73とを備えている。この場合においても、表示ユニット73を有機薄膜形成装置10で製造することができる。この結果、高品位な有機ELディスプレイを備えたモバイル型パーソナルコンピュータ70を提供することができる。
尚、発明の実施形態は、上記実施形態に限定されるものではなく、以下のように実施してもよい。
○上記第1実施形態では、材料または機能材料としての有機材料Jを溶液化する溶媒Uを備え、前記有機材料Jと前記溶媒Uとを混合して前記有機材料Jを溶液化した後、その溶液化した有機材料Jをイオン化部にて擬分子イオン化すようにした。これを、溶媒を使わず、イオン化部にて有機材料Jを直接気化あるいは別途ナノ粒子化した微粒子をフィールドデソープション/フィールドイオン化法、電子衝撃法、レーザーソフトイオン化法等で帯電もしくはソフトイオン化すようにしてもよい。このようにすることによって、上記実施形態と同様な効果を得ることができる。
○上記第1実施形態では、2つの第1及び第2の四重極型質量分別装置43a,43bを多段接続し、各段の四重極型質量分別装置における四重極を横に並列接続することで構成された多重極型分別収束装置43を備えた。これにより大量のイオンを同時分別し、長尺のイオンビームを生成することができる。多重極型分別収束装置43は、1つの四重極型質量分別装置で構成してもよい。このようにすることによって、有機薄膜形成装置10の製造コストを低減させることができる。
○上記実施形態では、ガラス基板GSといった硬質基板上に薄膜を形成するようにしたが、これに限定されるものではなく、プラスチックや複合材料フィルム若しくは金属板などの折り曲げ可能な材質を基板としたものに対して薄膜を形成するようにしてもよい。また、この場合、前記基板をロール状に巻き取り制御するステージ摺動装置を備えるようにしてもよい。これによれば、有機薄膜を連続的に効率よく成膜することができる。
○前記第1実施形態では、ソフトイオン化部13の噴射ノズルは1本の場合を示したが
、複数本の噴射ノズルを用意してマザー基板を成膜部16に入れたままで異なる有機材料を積層成膜するようにしてもよい。これにより微細な積層構造の形成が可能となる。無論この場合は、有機材料に応じて適宜イオン化部14および偏向部15の制御条件の切り替えや溶液供給部11およびガス供給部12を増設する必要がある。
○前記第1実施形態では、擬分子分子イオンをマイナス擬分子イオンとして構成した
が、プラス擬分子イオンの場合は、各電極に与える電位関係は前記第1実施形態とまったく逆に設定することで、膜形成装置を具体化することができる。
○上記第1実施形態では、有機EL表示パネルを製造する膜形成装置に具体化して好適な効果を得たが、有機EL表示パネル有以外の例えば有機TFTや有機電池、有機メモリ素子、多層有機薄膜封止構造をもつ装置、カラーフィルタや光通信用受発光装置などの膜形成装置に具体化してもよい。この場合、有機材料を電極に直接付着させるのではなく、電極上に薄い絶縁層を介在させて有機材料を付着させることも可能である。
○上記第1実施形態では、有機薄膜を形成する膜形成装置に具体化したが、無機薄膜を形成する膜形成装置に具体化してもよい。つまり、無機薄膜もしくは真空蒸着が可能な低分子有機膜と高分子有機薄膜を組合せて形成する態様の膜形成装置に具体化しても良い。
本実施形態の有機薄膜形成装置の構成を説明するためのブロック構成図である。 本実施形態における有機薄膜形成装置の構成図である。 (a)は、第2の四重極型質量分別装置の正面図である。(b)は、第2の四重極型質量分別装置の断面図である。 (a)は、第1の四重極型質量分別装置の正面図である。(b)は、第1の四重極型質量分別装置の断面図である。 (a),(b)及び(c)は、有機薄膜形成装置によって形成される有機EL表示パネルの断面図である。 (a),(b)及び(c)は、有機薄膜形成装置によって形成される有機ELディスプレイパネルの断面図である。 マザー基板上に複数の表示パネルチップを一括形成する場合の結線関係を示した平面図である。 表示パネルチップにおける成膜電圧設定回路と表示駆動回路との電気的接続を説明するための図である。 第2実施形態を説明するための図である。
符号の説明
J…材料または機能材料としての有機材料、LR…信号線としてのリセット信号線、LS…信号線としてのセレクト信号線、LV4…電源線としての付着電圧線、LVs…電源線としての不着電圧線、PT…電子装置としての表示パネルチップ、Q…電圧供給部としての電圧発生装置、S…基板としてのマザー基板、T1,T2…隔離手段としての第1及び第2のシャッタ、10…膜形成装置としての有機薄膜形成装置、11…溶液供給部、12
…ガス供給部、13…イオン化部としてのソフトイオン化部、14…分別部としてのイオン分別部、15…偏向部、16…成膜部、43…質量分別部としての多重極型分別収束装置、45…調整用電極、54…検出部としての電流量計、70…電子機器としてのモバイル型パーソナルコンピュータ。

Claims (14)

  1. 基板上に機能材料を薄膜化して積層形成する電子装置の製造方法において、
    機能材料を含む溶液を微細な液滴化するとともにイオン化若しくは帯電させてから、そ
    の液滴を気化させて気体状の擬分子イオンを生成する第1のステップと、
    前記擬分子イオンから、前記溶液に含まれる溶媒に由来する溶媒イオンの含有量を低減
    する第2のステップと、
    前記擬分子イオンから前記溶媒イオンと、前記機能材料に由来する機能材料イオンとを
    複数の電極を備えた質量分別手段を用いて分別した後、前記機能材料イオンを周期変動磁
    場又は周期変動静電界により偏向して揺動する第3のステップと、
    前記基板上に複数の電極を備え、前記擬分子イオンに対して前記電極の所定電極電位を
    選択的に異なる電位に設定して、前記機能材料の擬分子イオンを前記基板上に選択的に付
    着させる第のステップと
    を備えたことを特徴とする電子装置の製造方法。
  2. 請求項に記載の電子装置の製造方法において、
    前記基板上には、前記電子装置が複数個形成されるものであり、前記各電子装置に対し
    てそれぞれ形成された前記複数の電極の選択的な電位設定は、前記各電子装置に対して共
    通の信号線及び電源線によってなされることを特徴とする電子装置の製造方法。
  3. 請求項に記載の電子装置の製造方法において、
    前記基板上に形成した前記各電子装置に対する共通の前記信号線及び前記電源線は、前
    記基板上に形成された前記各電子装置間にある中間領域で、互いに交差しないように配線
    されていることを特徴とする電子装置の製造方法。
  4. 請求項乃至のいずれか一つに記載の電子装置の製造方法において、
    前記基板上に形成される前記電子装置の形成領域には、前記複数の電極に対して選択的
    に所定電位に設定するための設定回路が形成され、その設定回路は、前記形成領域に形成
    される前記電子装置の本来の電子回路の少なくとも一部を利用したことを特徴とする電子
    装置の製造方法。
  5. 請求項に記載の電子装置の製造方法において、
    前記基板上の各形成領域にそれぞれ形成される電子装置は電気光学装置であって、前記
    複数の電極はその電気光学装置に形成される複数の電気光学素子の素子電極であり、前記
    設定回路に利用される電子回路は、前記電気光学素子の素子駆動回路を含むことを特徴と
    する電子装置の製造方法。
  6. 基板上に材料の膜を形成する膜形成装置であって、
    前記材料と溶媒とを混合して得られた溶液を前記イオン化部に供給する溶液供給部と、
    前記溶液と不活性ガスを同時にノズルから噴霧させることで前記溶液を微小な液滴にす
    るガス供給部と、
    前記材料または前記材料の溶液を微細な液滴化するとともにイオン化若しくは帯電させ
    てから、その液滴を気化させて気体状の擬分子イオンを生成するイオン化部と、
    前記微小な液滴を気化させて気体状の擬分子イオンを生成し、前記擬分子イオンのうち
    、前記材料に由来するイオンと前記溶媒に由来するイオンとを分別する分別部であって、
    該分別部は印加される電圧または電流に応じて前記材料に由来するイオンを質量に応じて
    分別するための複数の電極を備えた質量分別部を備えている分別部と、
    前記分別部にて分別された前記材料に由来するイオンを周期変動磁場又は周期変動静電
    界により偏向して揺動する偏向部と、
    前記基板上に備えられた複数の電極の電位を前記擬分子イオンに対して選択的に設定す
    る電子回路に対して、信号または電圧を供給するための電圧供給部と、
    前記擬分子イオンのうち材料イオンを前記基板に付着させる成膜部と
    を備えたことを特徴とする膜形成装置。
  7. 請求項に記載の膜形成装置において、
    前記質量分別部は、前記複数の電極の間の距離が異なる複数の質量分別部を備えている
    ことを特徴とする膜形成装置。
  8. 請求項6又は7に記載の膜形成装置において、
    さらにコレクタ電極を設けるとともに前記コレクタ電極と前記成膜部との間に、前記材
    料に由来するイオンの飛行速度を調整する調整用電極を備えたことを特徴とする膜形成装
    置。
  9. 請求項乃至のいずれか一つに記載の膜形成装置において、
    前記材料に由来するイオンが前記基板の所定電極に付着する付着量を検出する検出部を
    備えたことを特徴とする膜形成装置。
  10. 請求項乃至のいずれか一つに記載の膜形成装置において、
    前記基板のイオン付着電極面は、垂直方向もしくは水平下面になるように配置、摺動す
    るようになっていることを特徴とする膜形成装置。
  11. 請求項乃至10のいずれか一つに記載の膜形成装置において、
    前記イオン化部と、前記分別部と、前記成膜部はそれぞれ、互いに独立して減圧される
    ための隔離手段を備えていることを特徴とする膜形成装置。
  12. 請求項乃至のいずれか一つに記載の電子装置の製造方法で製造されたことを特徴と
    する電子装置。
  13. 請求項12に記載の電子装置を備えたことを特徴とする電子機器。
  14. 請求項乃至11のいずれか一つに記載の膜形成装置で製造された電子装置。
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