JP2018505074A - マルチノズル印字ヘッド - Google Patents

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Abstract

液体を基板の上に堆積させるための印字ヘッド(1)は、誘電性材料で作製されたストップ層(5)、導電性のデバイス層(6)、及び誘電性材料で作製された絶縁体層(7)を含む層構造を含む。ノズル(3)は層構造に形成される。ノズルは、液体を吐出するためのノズル開口部(34)を有する。リング溝(31)は、ノズルの周囲に形成される。ノズル開口部及びリング溝は、環状のノズル壁(32)によって半径方向に分離されている。吐出流路(37)は、吐出方向にリング溝に隣接して形成される。引き出し電極(8)は、絶縁体層(7)の上に配置され、ノズルを囲む。【選択図】図1

Description

本発明は、基板上での液体の電気流体力学的印刷のためのシステム及び方法に関する。
情報を媒体に印刷するためのインクジェットプリンタの使用は確立されている。一般的な技術は、液滴の連続流を放出するプリンタ、ならびに放出に対応するコマンドを受け取った時だけ液滴を放出するプリンタをそれぞれ含む。前者のプリンタ群は、通常、連続インクジェットプリンタとして公知であり、後者はドロップオンデマンドインクジェットプリンタとしてそれぞれ公知である。
連続インクジェット印刷では、高圧ポンプはリザーバからの液体インクを微細ノズルに向け、それによりインク液滴の連続流を作り出す。次に、インク液滴を帯電させるために静電場にさらす。その後、帯電した液滴は基板に印刷されるか又は偏向されないまま再使用のためのガターに収集されるように偏向場を通過する。
ドロップオンデマンド印刷では、液体インクはリザーバから、例えばノズルなどから、リザーバに圧力をかけることによって基板へ移される。液滴の吐出は一般にノズルの内部に含まれる液体インクを液体の表面張力及び粘度に打ち勝つことができる程度まで加圧することによって実施される。その上、吐出した液滴が基板に正確に堆積できる速度までこれらの液滴を加速するために、加えた圧力は十分に大きくなければならない。加圧要素が起動されるたびに、所定の体積の1つの液滴が吐出される、すなわち、印刷は全か無かの方法で行われる。
連続インクジェット印刷法は、ドロップオンデマンド法よりも速い処理量が得られる。しかし、解像度は、ドロップオンデマンド技術の方が一般的に優れている。さらに、連続インクジェット印刷はインクの損失が大きい。
ドロップオンデマンド法及び連続インクジェット印刷法に関連する主な問題のいくつかは、それぞれ、小さい液滴の吐出に必要な高い圧力(ここで、小さいとは、数十マイクロメートル未満の大きさをさす)と、これらの小さい液滴を高い精度で堆積させることの困難さである。10μmよりも小さい液滴はそのガス環境によって容易に減速され、偏向される。さらに、液体の加圧によって吐出された液滴は、一般的にそれらが吐出されるノズルに等しく大きいか又はそれよりも大きいことさえある。そのため、小さい液滴を得るためには、小型のノズルが必要であるが、それには目詰まりしやすいという周知の問題がある。
電気流体力学的ジェットプリンタは、それがインクを基板に送達するための流体流を作り出すために電場を使用するという点でインクジェットプリンタとは異なる。特に、電気流体力学的印刷は、インクジェット印刷と比較して非常に高い解像度で液滴の印刷を可能にする。従来のインクジェット印刷は、液体をノズルから押し出すために内圧パルスを用いるが、電気流体力学的印刷法は、液体を荷電させ、帯電した液体とノズルの領域に印加される電場との間に確立された力によってノズルから引き出すことができることを利用する。
国際公開第2007/064577号は、電気信号に応答して、対応するノズルチャネルから放出された一群の流体噴射の全てのメンバーを同期的に刺激して、対応する液滴の複数の連続流を形成する、周知の刺激電極を開示する。
一括転写型インクジェット用ノズルプレートを製造するための方法は、欧州特許第1844935号明細書に開示され、そこでは三次元構造がマイクロインクジェット印刷方法に従って基板の上に配置され、それはその後硬化材料で覆われる。硬化後、微細なノズル孔が硬化材料のプレートに形成される。
欧州特許出願公開第1550556号明細書は、ノズルプレートを含む静電式液体噴射ヘッドを製造するための方法及び静電式液体噴射ヘッドを駆動するための駆動方法を開示する。ベースプレートに配置された複数の吐出電極に電圧を印加すると、静電式液体噴射ヘッドに配置された複数のノズルから液滴が吐出される。
機能性材料を基板表面に印刷するための高解像度電気流体力学的インクジェット印刷システム及び関連する方法は、米国特許出願公開第2011/0187798号明細書に開示され、ここでは、例えばノズルは、表面上に印刷流体を制御可能に堆積させるためにノズル中の流体に電荷を印加する電圧源に電気的に接続され、ノズルは、ナノフィーチャー又はマイクロフィーチャーを印刷することができるような小さい吐出オリフィスを有する。
ナノ粒子又はその他の固相ナノ化合物を添加した液体からの1D、2D及び/又は3D堆積物の製造のための方法は、国際公開第2013/00558号に開示され、ここでは先端にノズルのついた容器が液体を保持し、電極がノズルで又は容器中で液体と接触し、対向電極が堆積物を生成する基板の中及び/又は上及び/又は下方及び/又は上方に位置する。
多くの異なる液滴吐出方法が電気流体力学的印刷において可能であり、最も一般的な方法はコーン・ジェット印刷であって、非常に大型のノズルから細い噴流(すなわち、対応するノズルの半径と比較して小さい半径をもつ噴流)が吐出される。電気流体力学的液体吐出は、エレクトロスプレー及び電界紡糸の分野で広範に使用されてきたが、最近になって制御された印刷に用途が見出されている。現在の利用は、一般に、吐出された液体の強く帯電した性質に関連する問題を抱えている。このことは、多くの場合、吐出した液滴の反発をもたらし、結果として基板上のその衝突位置が変動する。反発は、2つの空中に浮遊する液滴間又は空中に浮遊する液滴と既に基板に堆積している液滴に関連する電荷との間のいずれかに起こることがある。
さらに、液体の吐出を引き起こすために非常に高い電圧がしばしば必要とされる。電気流体力学的液体吐出に関連する主な問題の1つは、空気の絶縁破壊強さよりも高い、非常に高い電場が要求されることである。
この問題は、一般的に電場を集束させる鋭いノズル及び曲がった対向電極(例えば環状電極)を使用することによって解決される。しかし、ノズルと対向電極との間に確立された電場は、通常、ノズルと対向電極との間の距離が増大するにつれて小さくなる。そのため、ノズルと対向電極との間に確立された平均電場は、絶縁破壊を引き起こさない程度に十分に低い。しかし、ひとたび帯電した液滴が吐出されると、特に液滴が10μmよりも小さいか、又はさらに1μmよりも小さい場合、すなわち液滴が僅かな重力加速度に遭う場合に、それは基板に向かって加速されねばならない。電気流体力学的印刷は直径が100nmよりも小さい液滴を生成することができるので、そのために強い加速電場が液滴の正確な配置に重要である。
特に、誘電性基板への液滴の堆積は、既に基板の上に堆積した前の液滴の残留電荷に起因して、接近している帯電した液滴の実質的な噴霧偏向をもたらし得る。加速電場強度が基板に向かって低下する場合、この作用はより問題の多いものになる。この場合には、既に堆積した液滴の電荷に由来する電場が加速電場よりも強いと、既に堆積した液滴と同じく荷電されている基板上に入ってくる液滴の反発をもたらす可能性がある。当然、加速電場が空中に浮遊する液滴の残留電荷から生じる偏向を埋め合わせるように設定されていない場合には、空中に浮遊する液滴間で反発が起こることもある。
電気的クロストークは、密に配置されたノズルとこれらのノズルから吐出された液滴との間の相互作用に起因することがある。多数の電気流体力学的ノズルの密な配置及び並列動作はまた、制御することが困難な非常に高い電圧でこれらのノズルを動作させなければならないという事実によっても妨げられる。
NanoDrip印刷、すなわちナノスケールの液滴の印刷は、100nmよりも優れた印刷解像度を可能にする。しかし、広い領域をそのような高解像度で妥当な時間内に印刷するには、印字ヘッドは1秒あたり数十ミリメートル又はさらには1秒あたり数メートルの範囲内の速度で走査しなければならないことになり、ナノスケールの液滴はもはや基板上に十分な精度で堆積することができないであろう。その上、1メートル/秒の走査速度で約100nm以内の間隔で液滴を堆積させるために、液滴の吐出は、約10MHzの吐出周波数を必要とすることになる。
NanoDrip印刷の液滴は小さいので、これらの液滴は印刷される基板上の非常に小さい領域しかカバーできない。産業的に適切な処理量で基板の広い領域を印刷するために、低い解像度で実施されるインクジェット印刷又は電気流体力学的印刷と比較して多数の密に配置されたノズルが必要であるが、同時に、ノズルを個別にアドレス指定し、液滴を高い精度で基板に堆積させることができるように、そのような密に配置されたノズル間及びそれらが吐出する液滴間のクロストークは防止されなければならない。
国際公開第2007/064577号 欧州特許第1844935号明細書 欧州特許出願公開第1550556号明細書 米国特許出願公開第2011/0187798号明細書 国際公開第2013/00558号
本発明の目的は、密に配置されたノズルを含む印字ヘッドによる電気流体力学的効果に基づく高解像度印刷を可能にする印刷システムを提供する。この目的は、請求項1に記載の印字ヘッドによって達成される。
特に、本発明は、液体を基板に堆積させるための印字ヘッドを提供する。印字ヘッドは層構造を含み、好ましくは、吐出方向に沿ったこの順序で、以下の層:誘電性材料で作製されたストップ層;ストップ層の上に堆積されたデバイス層(デバイス電極とも呼ばれる)、該デバイス層は好ましくは導電性である;誘電性材料で作製され、デバイス層の上に堆積された第1の絶縁体層、を含む。さらなる層がこれらの層の間に存在してもよい。少なくとも1つの第1のノズルが層構造中に形成される。第1のノズルは、液体を吐出するためのノズル開口部を有し、これは層構造の中を延伸している。リング溝(一般に、吐出方向に開口している環状凹部)は、第1のノズルの周囲に形成され、第1のノズルを放射状に取り囲んでいる。リング溝は、デバイス層の中を好ましくはストップ層まで延伸している。リング溝は、デバイス層の中を完全にではなく部分的にストップ層まで延伸していることが可能である。ノズル開口部及びリング溝は、先端部表面を有する環状のノズル壁によって半径方向に分離されている。吐出流路は、吐出方向に向かってリング溝と隣接している、すなわち、リング溝は、吐出方向に向かって吐出流路に開口している。また、ノズル開口部は吐出流路に開口している。吐出流路は、好ましくは一般に吐出方向に開口している円筒形の凹部である。吐出流路は、第1の絶縁体層の中を部分的に又は完全に延伸している。吐出流路は、第1のノズルを中心とし、好ましくは第1の絶縁体層からノズルの先端部表面までずっと延伸している。第1の引き出し電極は、第1の絶縁体層上に配置され、第1のノズルを囲む。
そのような印字ヘッドは、半導体技術から公知の一般的な微細加工の方法を使用することによる、簡単な方法で製造することができる。非常に高密度の近接配置された微細ノズルを含む印字ヘッドをこのように得ることができ、それは、液滴吐出プロセスの正確な制御を可能にし、ナノスケールの範囲の液滴を非常に長い距離からでさえも基板に正確に堆積させることができる。
環状のノズル壁は、ノズル直径を規定する外周面を有する。前記ノズル直径の半分がノズル半径を規定する。リング溝の幅は、有利には、ノズル半径の半分とノズル半径の10倍との間、好ましくはノズル半径の1倍とノズル半径の4倍との間である。絶対数では、リング溝の幅は、有利には、500ナノメートル〜100マイクロメートルの間、好ましくは1マイクロメートル〜20マイクロメートルの間、より好ましくは1マイクロメートル〜10マイクロメートルの間である。環状のノズル壁の厚さは、有利には、100ナノメートル〜10マイクロメートルの間、好ましくは200ナノメートル〜2マイクロメートルの間である。ノズルの全直径は、好ましくは500ナノメートル〜50マイクロメートルの間、より好ましくは1マイクロメートル〜20マイクロメートルの間、最も好ましくは1マイクロメートル〜10マイクロメートルの間である。
第1の引き出し電極は、好ましくはリング溝を放射状に囲む環状部分を有し、電極幅を規定する。この際、前記電極幅は、第1のノズルのノズル半径の半分とノズル半径の10倍との間、好ましくは前記ノズル半径の1倍と前記ノズル半径の4倍との間であり得る。前記環状部分は、放射状に囲むリング溝に直接隣接することができるか、又はリング溝から半径方向に間隔を置いて配置されることができる。大まかにいえば、引き出し電極の環状部分は環状電極を形成することができる。
前記第1の引き出し電極と電気的に接触するために、少なくとも1つの導電路を第1の引き出し電極に取り付けることができる。印字ヘッド上の任意の2つの電極に接続された導電路は、異なる電圧信号(すなわち、強度、波形、極性など)を運ぶことがあり、その場合は、(例えば、絶縁破壊による)信号のクロストークの危険がないように、電極及び同じでない電圧信号を運ぶ導電路は、横方向の間隔を十分に設けることによって、互いに電気的に絶縁されるべきである。導電路は、好ましくは、それが取付けられている第1の引き出し電極の幅よりも小さい幅を有し、少なくとも第1の引き出し電極に近接して配置される。好ましくは、ノズルに作り出された電場で対称を作り出すために、少なくとも1つの導電路の反対側に、もう1つの導電路が前記第1の引き出し電極に取り付けられる。
少なくとも1つのさらなるノズルを層構造に形成することができる。このさらなるノズルは、第1のノズルよりも大きい直径を有することができる。第1のノズルの直径とこのさらなるノズルの直径は、1より大きい係数で異なってよいが、好ましくは15よりも小さい係数で異なってよい。
層構造は、吐出方向に第1の絶縁体層の上に配置された少なくとも1つのさらなる絶縁体層を含むことができる。この少なくとも1つのさらなる絶縁体層は、好ましくは少なくとも1つの第1のノズル及び/又は少なくとも1つのさらなるノズルの位置に開口部を形成し、この開口部は好ましくは吐出流路を延長する。
第1の絶縁体層の厚さは100ナノメートル〜50マイクロメートルの間、好ましくは500ナノメートル〜5マイクロメートルの間であり得る。
印字ヘッドは、さらなる絶縁体層の上か又は第1の絶縁体層の上に配置されるさらなる引き出し電極を含むことができ、このさらなる引き出し電極は、好ましくはさらなるノズルを囲む。
このさらなるノズルは、第1のノズルの場合と同様に、液体を吐出するためのさらなるノズル開口部を含むことができ、このさらなるノズル開口部は層構造の中を延伸している。好ましくは、さらなるリング溝がさらなるノズルを放射状に囲む。前記さらなるリング溝は、第1の及び/又はさらなる絶縁体層の中を延伸することができる。さらなるリング溝は、デバイス層の中を好ましくはストップ層まで延伸している。さらなるノズルのノズル開口部及びさらなるリング溝は、先端部表面を有するさらなる環状のノズル壁によって分離されることができ、さらなる吐出流路は、さらなるリング溝と吐出方向に隣接することができる、すなわち、さらなるリング溝は、さらなる吐出流路に吐出方向に開口している。また、さらなるノズル開口部はさらなる吐出流路に開口している。さらなる吐出流路は、第1の絶縁体層及び/又はさらなる絶縁体層の中を部分的に又は完全に延伸している。それはさらなるノズルを中心とし、第1の絶縁体層の中を及び/又はさらなる絶縁体層の中をさらなるノズルの先端部表面までずっと延伸している。
第1の絶縁体層及びデバイス層と所与のさらなる引き出し電極との間に配置された全てのさらなる絶縁体層の合計厚さは、好ましくは、さらなるノズルの半径の半分と、さらなるノズルの半径の10倍との間、より好ましくは前記ノズル半径の1倍と前記ノズル半径の4倍との間である。
いくつかのさらなる絶縁体層を印字ヘッドに配置することができ、また、好ましくは各々が特定のノズルを囲む、いくつかのさらなる引き出し電極をこれらのさらなる絶縁体層に配置できることは当然理解される。この際、追加のさらなる絶縁体層は、所与のさらなる引き出し電極とノズルとの間に一定の分離を達成するために導入することができる。
少なくとも1つの均質化電極を、さらなる絶縁体層の少なくとも1つに配置することができる。前記少なくとも1つのさらなる絶縁体層は、好ましくは第1の引き出し電極の上に、又はさらなる引き出し電極の上に吐出方向に配置される。この少なくとも1つの均質化電極は、好ましくは、吐出流路の直径以上の内径を有する、より好ましくは、それはそれぞれ第1の引き出し電極又はさらなる引き出し電極の内径以上の内径を有する環状電極として、第1のノズル及び/又はさらなるノズルをそれぞれ囲む。前記少なくとも1つの均質化電極は、軸方向電場の不均質性を最小にする目的にかなうことが出来る。
層構造は、第1の絶縁体層の上か又はストップ層から吐出方向に最も遠い距離に配置されるさらなる絶縁体層の上に配置される末端絶縁体層を含むことができる。前記末端絶縁体層は、好ましくは、吐出方向に吐出流路を延伸する開口部を形成する。
末端絶縁体層が、吐出方向に印字ヘッドに配置される最後の絶縁体層に対応し得ること、すなわち追加の絶縁体層が前記末端絶縁体層に配置されないことは当然理解される。
遮蔽層(遮蔽電極とも呼ばれる)は、末端絶縁体層に配置することができ、前記遮蔽層は導電性であって、好ましくは連続層として形成される。この際、該遮蔽層は、吐出流路に隣接する円形の開口部を有してよく、それは第1の引き出し電極及び/又はさらなる引き出し電極のそれぞれの環状部分の外径よりも直径が小さくすることができ、該遮蔽層は、第1の引き出し電極及び/又はさらなる引き出し電極を少なくとも越えて放射状に延伸している。
遮蔽層は、液滴の好ましい飛行軌道に沿って軸方向電場勾配を減少させる目的、及び、他のノズルの引き出し電極のような他の電場源からノズルを遮蔽する目的を、電場不透過性の層で前記電場源を覆うことによって果たすことができる。末端絶縁体層は、好ましくは、100ナノメートル〜10マイクロメートルの間、より好ましくは500ナノメートル〜3マイクロメートルの間の厚さを有する。
第1の引き出し電極及び/又はさらなる引き出し電極及び/又は均質化電極は、電極延長部によって延長することができ、この際、電極延長部は、直線として形成されることが好ましい。電極延長部の長さは、1マイクロメートル〜1ミリメートルの間、好ましくは2マイクロメートル〜100マイクロメートルの間であり得る。電極延長部の幅は、好ましくは、それぞれ、前記第1の引き出し電極及び/又は前記さらなる引き出し電極及び/又は前記均質化電極の電極幅以下である。電圧信号を供給する導電路は、電極延長部の上に堆積されたさらなる絶縁体層の上に配置することができる。導電路は、電極延長部と容量結合することができ、好ましくは、第1の引き出し電極及び/又は前記さらなる引き出し電極及び/又は前記均質化電極のそれぞれの環状部分の外周から前記ノズル開口部までの距離よりも大きい、ノズル開口部からの半径方向距離を有する。電極延長部と導電路との間の容量結合を改善するために、少なくとも1つの導電路の幅は、電極延長部の幅よりも広いことが好ましい。
エッチストップ層は、第1のノズル及び/又はさらなるノズルの先端部表面に配置することができ、好ましくはデバイス層と第1の絶縁体層との間にも配置することができる。前記エッチストップ層は、エッチング耐性であり、好ましくは誘電性の材料を含む。代わりに、又はそれに加えて、デバイスコーティングをデバイス層と第1の絶縁体層との間に配置することができ、前記デバイス層は、導電材料、好ましくは金属を含む。液体によるリング溝のぬれを回避するために、急な変化の形の接触角不連続部をエッチストップ層に、又は、リング溝の領域のデバイスコーティングに形成することができる。
第1の引き出し電極は、少なくとも2つの部分に、好ましくは少なくとも3つの部分に分割することができる。例えば、環状の引き出し電極、すなわち環状電極は、特定のノズルの周囲に均等に配置され、それらの対向する端部間の横方向の分離を囲む、等しい半環状の形状の少なくとも2つの部分に分割することができる。
少なくとも1つの液体供給層は、ストップ層の下に配置することができ、液体供給層は、1又は複数の液体供給リザーバ及び/又はノズル開口部と液絡している1又は複数の液体供給流路を形成する。液体供給リザーバの深さは、好ましくはその幅の50倍より小さく、より好ましくはその幅の30倍より小さい。
印字ヘッドの表面の少なくとも一部は、保護コーティングでコーティングすることができる。保護コーティングは、好ましくは誘電性材料で作製され、周囲のガス環境による絶縁破壊を防ぐ、例えば、それは電気が空気を突破することを妨げる。好ましくは、保護コーティングは電極の形成後に適用される。
印字ヘッドの表面の少なくとも一部は、表面コーティングでコーティングすることができる。好ましくは、それは少なくともノズル開口部を越えた基板に面する印字ヘッドの側のすべての表面にコーティングされる。表面コーティングは、好ましくは撥液性であり、好ましくは、ポリマー材料及び/又は有機材料を含み、より好ましくはポリテトラフルオロエチレンを含む。そのような撥液性の材料で印字ヘッドの表面の少なくとも一部をコーティングすることは、その液体がリング溝に引き込まれることの防止に役立ち得る。
上記のような印字ヘッドを含む電気流体力学的印刷システムは、好ましくは加速電極を含み、該加速電極は、吐出方向に印字ヘッドから間隔を置いて配置されている。基板は、印字ヘッドと加速電極の間に置くことができ、好ましくはそれは加速電極上に固定されている。印字ヘッドと基板の間の距離は、50マイクロメートルと5ミリメートルの間、好ましくは100マイクロメートルと1ミリメートルの間である。相対的に、それは好ましくは印字ヘッドの上に配置される最大のノズルの直径の少なくとも10倍である。
上記の電気流体力学的印刷システムを使用する基板への液体の電気流体力学的印刷の方法は、順序不同に:i)液体をノズル開口部に供給する工程(ここで、供給される液体は好ましくは電気的に接地されている);ii)任意選択で、ノズルに電場を形成するために、及び/又はノズル開口部の領域に凸型のメニスカスの液面を形成するために、デバイス電位をデバイス層に印加する工程、ここで、デバイス電位と液体電位との差はゼロであるか又は液滴の吐出に必要な最小電圧よりも小さい;iii)引き出し電位を引き出し電極の少なくとも1つに印加する工程、ここで、印加された引き出し電位と液体電位との差は、前記凸型のメニスカスからの液滴の吐出に必要な最小電圧に等しいか又はそれを上回る;iv)任意選択で、吐出された液滴の吐出流路での横方向の偏向が少なくなるように、均質化電位を均質化電極に印加する工程;v)任意選択で、吐出された液滴の吐出流路及び吐出流路の外側の領域での横方向の偏向が少なくなるように、遮蔽電位を遮蔽電極に印加する工程;ならびにvi)吐出された液滴が横方向に偏向することなく基板に向かって加速されるように、加速電位を加速電極に印加する工程、を含む。上述の工程の1又は複数は、同時に実行することができる。
例えばデバイス電位と液体電位との差、又は第1の引き出し電位と液体電位との差は、それぞれ、2つの電極間に印加された電圧と呼ぶこともできる。好ましくは、多数の液滴の吐出は、間隔ごとに1つの液滴を吐出する目的で、少なくともこのシーケンスの一部から成る規則的な間隔を導入することによって引き起こされるのではなく、代わりに、望ましい量の液体が堆積するまで、全ての電位を(連続した直流又は交流電圧として)活性化させることによって引き起こされ、吐出の固有周波数は、特に、印加された電位に依存する。電気流体力学的印刷の方法は、工程i)〜iv)以外のシーケンス及び/又はそれぞれの電極に加えられた以外の電位をそれぞれ含むことができる。さらに、一部の工程は、並行して実施されてよい。例えば、デバイス電極、均質化電極、遮蔽電極及び加速電極にそれぞれ常に電圧を加えることができる。あるいは、デバイス層は、メニスカスの形成及び液滴の吐出が引き出し電極の作用によって同時に起こるように、液体と同じ電位に保つことができる。しかし、引き出し電極以外の電極は液滴の吐出を引き起こさないことが好ましい。
液体電位に対する印加されたデバイス電位の絶対値は、液滴の吐出中に供給される液体電位に対する印加された引き出し電位とは異なる極性を有し得る。
液体電位に対する遮蔽層に印加される遮蔽電位は、液体電位に対する引き出し電極に印加される引き出し電位よりも小さい振幅を有し得、液体電位に対する均質化電極に印加された均質化電位は、液滴の吐出中の液体電位に対する引き出し電極に印加された引き出し電位よりも小さい振幅を有し得る。
液滴の吐出に関連する容積速度は、流体供給ユニットによって調節することができる。
液体電位に対する加速電極、遮蔽電極及び均質化電極の電位は、液滴の吐出中の液体電位に対する印加された引き出し電位と同じ極性の極性を有し得る。ここで、用語「絶対」とは、2つの電極間に印加された電圧の振幅と理解される。
液体電位に対する遮蔽電極と均質化電極の電位差は、液滴吐出中の液体電位に対する引き出し電極に印加された電圧よりも低いことが好ましい。しかし、液体電位に対する加速電極に印加された電圧は、液体電位に対する引き出し電極に印加された電圧よりも高いことが好ましい。
本発明の好ましい実施形態は図面を参照して以下に記載される。図面は、本発明の好ましい実施形態を例示することを目的とし、それを制限する目的ではない。図面中、
第1の実施形態による、第1のノズルを含む、基板上に液体供給リザーバから液体を堆積させるための印字ヘッドの断面図である。 第2の実施形態による、第1のノズル及びさらなるノズルを含む印字ヘッドの断面図である。 第3の実施形態による、遮蔽層をさらに含む印字ヘッドの断面図である。 第4の実施形態による、末端絶縁体層をさらに含む印字ヘッドの断面図である。 第5の実施形態による、電極延長部によって延長された第1の引き出し電極と導電路を有する印字ヘッドの断面図である。 電極延長部及び導電路の上面図である。電極延長部と導電路は容量的に結合されている。 電極延長部及び引き出し電極と直接接触している2つの導電路の上面図である。 第6の実施形態による、エッチストップ層をさらに含む印字ヘッドの断面図である。 第7の実施形態による、デバイスコーティングをさらに含む印字ヘッドの断面図である。 2つの部分及び3つの部分に分割された、引き出し電極の上面図である。 液体供給リザーバ及び液体供給流路をそれぞれ形成する液体供給層をさらに含む、印字ヘッドの断面図を示す概略図である。 電気流体力学的印字ヘッドシステムの概略図である。
最初に、電気流体力学的印刷システムのいくつかの一般的考察を記述する。好ましい実施形態の説明は、これらの考察の終わりに記述する。
本発明による印字ヘッドは、数百、数千又はさらには数百万個のノズルを含むことがある。ノズルは、シリコンウエハから、好ましくはSOI(シリコン・オン・インシュレータ)ウエハから当業者に周知の一般的な微細加工方法によって形成することができる。ウエハは、印字ヘッドの横幅を本質的に制限し、ノズルが覆うことのできる範囲を規定する。ウエハはまた、前記ウエハから切り出すことのできるいくつかのより小さい印字ヘッドを含むこともある。ウエハは、好ましくは約200mmの長さ及び幅を有する。印字ヘッドの厚さは、主に、液体供給層と、この層に加えられ得る任意の追加の層の厚さによって規定される。好ましくは、これらの層の全ての累積厚さは、数ミリメートルを超えない。
一般的な基板は、シート、ピース、又はその他の、好ましくは平坦な形状のガラス、ポリマー、紙、金属、半導体、セラミックス、複合材料又は生物材料を含む。特に、ポリマー、紙又はその他の柔軟な材料を使用する場合、基板は、巻き戻された(de−rolled)箔又はその一部が印字ヘッドと加速電極との間に置かれるように、少なくとも部分的に巻き戻されたロールに由来する箔であってよい。基板は、層又はその他の材料の一般配置、例えば、ディスプレイ、太陽電池又はセンサ、論理素子又はタッチスクリーンに使用することのできる機能構造をさらに含んでよい。印字ヘッドの主目的は、誘電性、半導電性、金属又は生物材料を含むインクから高解像度の機能構造を形成することであり、そのような構造は個々の機能を実施することができるか、又はそれらは高次構造を作るために既に基板上に含まれている機能構造を補完することができる。この意味で、印字ヘッドは、例えばディスプレイ、太陽電池、センサ、論理回路、バッテリー又はタッチスクリーンの少なくとも一部の機能を相加的に作り出すために用いてよい。より正確には、印字ヘッドは、例えば、透明金属メッシュ状導体として集合的に用いることのできる超微細な導電トラックを、例えばタッチスクリーンセンサ、ディスプレイ、太陽電池、透明熱ヒーター、スマートウィンドウ及び帯電防止層又は電気遮蔽層等の用途において作り出すために用いてもよい。印字ヘッドはまた、完全受動素子、例えばインプリントリソグラフィー等に使用することのできるトポグラフィマスク(3Dマスクを含む)を作製するために用いてもよい。印字ヘッドはまた、セキュリティ用途などに用いることのできるプラズモン主体などの受動光学素子を作り出すため用いてもよい。印字ヘッドは、プロトタイピング用途に、例えば、材料を基板に付加的に加えることのできる電子線リソグラフィーの代わりとして用いてもよい。そのような材料は、サブトラクティブ法に関連して、例えばエッチングマスクとして使用することもできる。印字ヘッドは、特定の材料の構造化エッチングに用いることのできる、すなわち、用いた溶媒又は化学物質によって前記材料を層から局所的に除去することによる、特定の溶媒又は液体化学物質を吐出するために用いてもよい。
ノズル及びデバイス層は、好ましくは同じ材料で作製され、好ましくは共通の厚さを有する。最も好ましくは、それらは厚さが50μmよりも薄い、好ましくは1μm〜10μmの間であるシリコンで作製されている。ノズル及びデバイス層は、シリコン以外の材料を含んでもよい。しかし、好ましくはデバイス層は、電位をそれに印加することのできるように電気絶縁体だけから構成されない材料からなる。ノズルは電気絶縁体を含む固体材料を含んでよく、最も好ましくはデバイス層と同じ材料で作製される。
ノズル及びデバイス層を形成するために使用してよいシリコン層は、好ましくはストップ層の上部に配置され、ストップ層はノズルを形成するために適用され得るエッチングプロセスに選択的に抵抗する目的をもつ。エッチングは、製造中にウエハの1又は複数の層から材料を化学的に又は物理的に取り除くための微細加工にしばしば使用される。多くのエッチングステップに関して、ウエハの一部は、エッチングに抵抗性のマスキング材料によってエッチング剤から保護され、エッチングプロセスは耐エッチング性層で制御可能に停止させることができる。本発明の文脈において、ストップ層は、リング溝が作製される場所にエッチングストップとして使用され、好ましくは、10nm〜5μmの間、より好ましくは100nm〜1μmの間の厚さを有する。ストップ層は、SiO又はAlなどの高い耐エッチング性を有する誘電性材料を含んでよい。
リング溝は、好ましくはシリコンの異方性ドライエッチングプロセスで、例えば、臭化水素(HBr)又は六フッ化硫黄(SF)に基づくドライエッチングプロセスに従って、例えば約90°の角を形成する側壁を得るために形成される。
液体供給層は、好ましくはシリコンで作製されているが、SiOのような透明材料も含んでよい。液体供給層は、好ましくは200μm〜1mmの間の厚さを有し、機械的強度を印字ヘッドに与えるというさらなる目的を有する。
液体は、好ましくは溶媒と不揮発性材料を含み、不揮発性材料は堆積プロセスで溶媒が蒸発した後に基板に残る。溶媒は、好ましくは、水、有機溶媒、又はその混合物からなる群から選択され、有機溶媒は、好ましくは、飽和炭水化物溶媒又は脂肪族アルコール溶媒からなる群から選択される。ナノサイズの固体材料は、好ましくは、好ましくは金属系ナノ粒子であるナノ粒子、最も好ましくは金ナノ粒子からなる群から選択される少なくとも1つの種を含むが、金属酸化物、半導体又はその他の無機固体及び/又は磁性ナノ粒子、導電性炭素系材料、例えば、フラーレン、カーボンナノチューブ又はグラフェンなど、酵素、DNA又はRNAのような生物材料、あるいは蒸発しにくいその他の分子、例えば、液体溶媒、塩又は単一の分子への分散を安定化させるための導電性又は非導電性ポリマーのどんな種類でもあり得る。液体は、不揮発性材料を添加せずに堆積されてもよい(例えば基板の上に含まれる材料にエッチングしようとする場合)。
液体供給リザーバの内部の液体は、好ましくは電気的に接地されている。前記接地は、液体供給リザーバに含まれる液体と接触している液体供給層のバルク材料に、全体的に適用することができる。適切な機能を許容するために、環状のノズル壁の内面及び液体供給リザーバの表面は、用いるインクにぬれ性でありうる。この文脈でぬれ性とは、液体が90°未満の、これらの表面との接触角を含むことを意味する。表面がぬれ性である場合、液体は、単に毛管力によって液体供給リザーバからノズル開口部に引き出されることができる。
ぬれが自発的に行われない場合、電位、すなわちデバイス電位を、電気的接地とは異なるデバイス層に印加してよい。これは、接地された液体によって経験される電気流体力学的な力をもたらすことがあり、この力はその後、ノズルを通ってノズル開口部の領域の中に液体を導き、そこでそれはアイドルメニスカスを達成する。
デバイス層の上に堆積した絶縁体層は、デバイス層(末端絶縁体層及びその後に導入されるさらなる絶縁体層を含む)と絶縁体層の上に配置された複数の引き出し電極との間の絶縁層として役立つが、一般にそれらは、最終的にそれらの間に電圧を形成しなければならない任意の2つの軸方向に分離した導体素子間の絶縁体層として機能する。絶縁体層は、好ましくは、誘電性材料、例えばSi、SiO、Al、酸窒化ケイ素など、好ましくは低応力性の誘電性材料を含む。特に、厚い絶縁体層には、使用する材料は、スピンオン又はSU−8等のようなドライフィルムレジスト材料も含んでよい。導体素子とデバイス電極との間、又は、2つの異なる絶縁体層に配置された任意の2つの導体素子間に確立された高すぎる電位差によって引き起こされ得る絶縁破壊を防ぐために、あらゆる個々の絶縁体層は、十分に厚く選択されるべきである。
環状ノズル壁は、好ましくは100nm〜10μmの間、より好ましくは200nm〜2μmの間の厚さを有する。ノズルの全直径は、好ましくは、500nm〜50μmの間、より好ましくは1μm〜20μmの間、最も好ましくは1μm〜10μmの間であり、それは好ましくは吐出しようとする液滴のサイズよりも少なくとも5倍大きい。
環状の第1の引き出し電極は、第1の絶縁体層の上に配置することができ、吐出流路の端部から外側に向かって延伸してよい、すなわちその結果、第1のノズルの吐出流路を周方向に取り囲んでよい。環状の第1の引き出し電極の内径はまた、吐出流路の直径よりも大きくてよい。
少なくとも1つのさらなるノズルは、層構造に形成することができる。さらなるノズルは、第1のノズルよりも大きい直径を有し得る。第1のノズル直径とさらなるノズルの直径は、好ましくは15よりも小さい係数で異なってよい。
層構造には、吐出方向に第1の絶縁体層の上に配置される少なくとも1つのさらなる絶縁体層が含まれ得る。吐出流路は、あらゆるさらなるノズルを中心とし、前記さらなるノズルの先端部表面までずっと延伸している。第1の絶縁体層に既に形成されている吐出流路は、少なくとも1つのさらなる絶縁体層の中に延伸し、この少なくとも1つのさらなる絶縁体層の中をずっと延伸する。
印字ヘッドは、さらなる絶縁体層の上に配置され、さらなるノズルを囲むさらなる引き出し電極を含むことができる。さらなるノズルは、第1のノズルと同様に、液体を吐出するためのノズル開口部を含むことができ、絶縁体層から、好ましくはストップ層までずっと延伸することができる。リング溝はまた、さらなる引き出し電極を半径方向に囲む絶縁体層の中に形成することができる。
いくつかのさらなる絶縁体層は、印字ヘッドの上に配置することができ、好ましくは、各々が特定のさらなるノズルを囲む、いくつかのさらなる引き出し電極も、これらのさらなる絶縁体層の上に配置し得ることは当然理解される。この際、追加のさらなる絶縁体層は、所与のさらなる引き出し電極とノズルとの間に一定の分離を達成するために導入することができる。
ひとたびノズル開口部の領域の液面にアイドルメニスカスが形成されると、実際の電気流体力学的吐出プロセスが開始されることがある。本質的には、所与のノズルでの吐出は、前記ノズルの領域で電場を印加することによって開始することができる。この電場の生成は、下でより詳細に記載されるが、好ましくは、好ましくは接地された液体と前記ノズルに関連する引き出し電極との間に印加された電位差の生成に起因する。
第1の工程において、電場は次に、アイドルメニスカスの液面の帯電をもたらす。帯電した液体のメニスカスと電場との間の相互作用が、ノズル開口部からアイドルメニスカスを引き出す力をもたらし、その外見を凹型のメニスカス形状から凸型のメニスカス形状に変える。アイドルメニスカスのぬれフロントはノズルの内部ノズル壁に固定されるが、凸型のメニスカスのぬれフロントは一般に外側のノズル壁に固定されるので、一般に、メニスカスの半径は、この変形の間に増加する。
液滴の吐出は、凸型のメニスカス表面に電気的に誘導された応力が液体の表面張力に打ち勝つまで、引き出し電極と液体との間の電位差を増加させることによって凸型のメニスカスの電場がさらに強化される場合に引き起こされ得る。本発明の文脈において(小規模のために)よくあるように、重力は無視できるので、電場のこのさらなる強化なく液滴吐出が起こることは期待できない。最小吐出条件で、すなわち液滴吐出を引き起こす、引き出し電極と液体との間の可能な最小の電位差の印加後に、吐出した液滴の直径は、凸型のメニスカスの直径とほぼ同じである。引き出し電位のさらなる増加は、凸型のメニスカスよりも小さい直径を有する液滴の吐出を引き起こす。吐出した液滴は、液体電位に対する引き出し電極の電位の極性に応じて、正又は負のいずれかに高度に帯電されている。
デバイス電極は、印字ヘッドの上に配置された複数のノズルの共通の電極として役立ち、好ましくは印刷プロセス中の任意の時点でオンにされるが、一般に液滴の吐出を引き起こさない。液滴吐出の実際の始動は、好ましくは印刷プロセス中に引き出し電極に印加された引き出し電位によって引き起こされる。しかし、デバイス電極を用いて、例えば引き出し電極の活性化の前に凸型のメニスカスの生成を引き起こすことのできる電場をノズルに引き起こすことによって液滴吐出を支持してよい。そのため、液滴吐出に必要とされる引き出し電極の最小吐出電圧は振幅が削減される。
デバイス電極の全体的な性質とは対照的に、特定の引き出し電極は、液滴吐出が意図されるかどうかに応じて、選択的にオン又はオフにすることができる。このスイッチオン/オフ状態は、所与の時点の複数の引き出し電極の個々の引き出し電極に対して異なり得る。引き出し電極は、好ましくは金属導体、最も好ましくは金又は白金などの貴金属を含む。また、引き出し電極は、光学的に透明な導体、例えばインジウム錫酸化物(ITO)又はアルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)を含んでもよい。引き出し電極は、好ましくは5nm〜500nmの間、より好ましくは20〜200nmの間の厚さを有する。
引き出し電極とノズルとの間の距離は、好ましくは印字ヘッドと基板との間の距離よりも非常に小さいので、印字ヘッドと基板との間の間隔でなく、局所的にノズルと非常に近接している引き出し電極によって強い電場が形成され得る。
引き出し電極の幅の制限は、個々のノズルが位置する場所に強い電場領域のタイトな横方向の局在を可能にし、前記電場のタイトな横方向の局在は、より高密度のノズル配置を支える。しかし、引き出し電極の幅の削減は、また同時に、吐出された液滴の意図する飛行軌道に沿って電場の不均質性を増大させる。最も好ましくは、吐出された液滴の意図する飛行軌道の電場の軸方向成分は、液体メニスカスのところでまさにその最大強度を有し、加速電極によって生成される均一な電場によって形成される(吐出流路の幅に匹敵する長さスケールで)一定の強度にそれが素早く収束するまでずっと単調に低下することに注意されたい。軸方向電場の不均質性は、ここでは、軸方向電場がもはや単調に挙動しないが、その代わりに、一般に吐出流路の外側の印字ヘッドに近接して位置する、少なくとも1つの局所的な最小値を得る状況を記述し、この際、電場強度は前記最小値でゼロに近づくか又は符号(すなわち、極性)さえも変えることがある。そのような不均質な軸方向電場に起因して、ノズルから吐出される液滴は減速される可能性があり、そのために横方向の電場の影響をより多く受ける。この電場はそうでなければ、軸方向電場よりも強度がきわめて低いことが好ましい。ある場合には、特に、電場が極性を変える場合、吐出された液滴はさらに、引き出し電極に向かって、後ろ向きに又は外に向かって放射状に導かれ、引き出し電極上に又は引き出し電極に向かって液滴のその飛行軌道を妨げる任意のその他の層上に堆積されることがある。加速電極は、そうでなければ強度の最小値が予測される位置で電場を均質化するために使用することができ、それにより基板に向かって吐出された液滴の加速を確保する(すなわち、それは強度最小値の深さを減らすか又はその形成を妨げもする)という点で、加速電極はそのような減速及び/又は吐出した液滴の跳ね返りを防ぐために使用することができる。加速電位は、それぞれ、近くの別の液滴による、別の遠位のノズルに割り当てられた電極による、もしくは基板に存在する可能性のある残留電荷によるか、又は任意のその他の電気雑音による、吐出された液滴の横方向の偏向を防ぐことにさらに役立ち得る。ひとたび吐出された液滴が、引き出し電極と液体の凸型のメニスカスとの間に生じた強く不均質な電場の近くを離れると、それは加速電極とデバイス電極との間に確立される均一な電場密度の領域に入る。この均一な加速電場は、液滴を均一な電場の強度、液滴のサイズ及び電荷に依存する平衡速度に至らせる。
加速電極は、基板の下方に位置し、従って印字ヘッドに含まれるあらゆる単一のノズルで同時に全体的に機能することのできる、グローバル電極として使用することができる。加速電極は、常にオンであることが好ましい。意図する方向に、すなわち吐出方向に加速される吐出された液滴に関して、液体電位に対する印加された加速電位は、同じ極性の電位であるべきであり、好ましくは、液滴吐出中の液体電位に対する印加された引き出し電位と比較して大きい振幅の電位であるべきである。液滴が、横方向に偏向することなく、印字ヘッド表面に対して垂直に加速されるように、加速電場は、基板の表面及び印字ヘッドの表面と正確に直交していることが好ましい。
最大密度のノズル配置を達成するために用いられる引き出し電極の最適な幅は、それが取り囲んでいるノズルの直径に関連し得、好ましくはそれが周囲を形成するノズル半径の半分とノズル半径の10倍との間で選択され、より好ましくはそれはノズル半径の1倍とノズル半径の4倍との間で選択される。ノズル直径及びノズル半径は、ここでは、それぞれ、ノズル壁の外径と、この直径の半分であると理解される。引き出し電極の幅を調節することにより、ノズルに生じる電場の形状及び強度を調節することができる。例えば、引き出し電極の幅を増やすと、凸型のメニスカスに確立される一般的により強い電場が得られる。同時に、引き出し電極の幅を増やすと、凸型のメニスカスの外側の領域に存在する電界強度と比較して、凸型のメニスカスの中心点で生じる電場が強化される。以下では、凸型のメニスカスの中心点に確立された電場と凸型のメニスカスの外側の領域に確立された電場との間のこの関係を電界強度比として示し、この際、高い電界強度比は、凸型のメニスカスの中心点に存在する高い相対電場を示し、低い電界強度比は、凸型のメニスカスに存在する低い電場をそれぞれ示す。高い電界強度比は、望ましい凸型の形状を有するメニスカスの発生に有利であり、低い電界係数は代わりに、望ましくないメニスカス形状、例えばドーナツ状の形状の発生に有利である。いずれのノズルの電界強度比も、凸型のメニスカス形状について規定されることが好ましいが、実際には望ましくないドーナツ状のメニスカスを実際に形成することがあることに注意されたい。同時に、異なるノズルは、同じでない形状を有する(例えば異なる曲率をもつ)凸型のメニスカスを形成することがあり、作動した液体形状のそのような変動は、電界強度比自体に影響を及ぼす。単純に比較するために、数値静電シミュレーションによって電界係数を収集することがそのために好ましく、凸型のメニスカスの形状は、分析したどのノズル形状に対しても等しい境界条件であり、好ましくはそれは半球の形であると仮定される。ここで、本発明者らは、ひとたびメニスカスが十分に発達すると、すなわち液滴が吐出される直前に、凸型のメニスカスの中心点で確立された電場が凸型のメニスカスの任意のその他の点と比較して最も強い場合として1より大きい電界強度比を示す。引き出し電極の幅を増大させる他に、引き出し電極の内部半径を増大させることによって電界強度比を増加させることもできる。両方の方法は、ノズルの設置面積の増加をもたらし、このことが、より好ましい方法は引き出し電極とそのそれぞれのノズルとの間の軸方向の分離を導入することである理由である。これは、望ましい軸方向の分離が得られるように、前記引き出し電極を収容するのに十分厚い絶縁体層を形成することによって達成される。好ましくは、所与の引き出し電極とデバイス層との間に配置された全ての絶縁体層の厚さは、その引き出し電極とともに配置されたそれぞれのノズルのノズル半径の半分とノズル半径の4倍との間の厚さ、より好ましくはその引き出し電極とともに配置されたそれぞれのノズルのノズル半径の1倍とノズル半径の2倍との間の厚さをそれぞれ有する。一例として、2つの異なるサイズのノズルの引き出し電極の形成は、第1の工程で、より小型のノズルの種類の要求に従うデバイス層への、上側の絶縁体層(例えば第1の絶縁体層)の堆積、第2の工程で、前記上側の絶縁体層上への上側の引き出し電極(例えば第1の引き出し電極)の形成、第3の工程で、上側の絶縁体層上への下側の絶縁体(例えばさらなる絶縁体層)の堆積、それによる上側と下側の絶縁体層間への上側の引き出し電極の埋め込み、そして第3の工程で、下側の絶縁体層上に下側の引き出し電極(例えばさらなる引き出し電極)の形成を含むことがあり、この際、下側の絶縁体層の厚さは、下側及び上側の絶縁体層の全厚が、より大型のノズルの種類の厚さの要求と合致しているように選択される。それぞれのさらなる引き出し電極がノズルからさらに離れて配置されることが好ましいような印字ヘッド上に、さらに大型のノズルを収容しなければならない場合に、追加のさらなる絶縁体層はこの手順に従って形成されてよい。
僅かに異なる直径を有するノズルは、これらのノズルの全てに関連する要求を満たす厚さの単一の絶縁体層を採用することができる。特に、ノズル開口部と引き出し電極との間に強制的な軸方向の分離が存在しないためである。印字ヘッドシステムのその他の特性、例えば、リング溝又は引き出し電極の幅などは、通常、前記軸方向の分離の変動を埋め合わせることができる。
いくつかのノズルが共通の電圧信号によって作動する場合、隣接するノズル間の距離よりも大きい引き出し電極を印字ヘッド上に配置することも可能である、すなわち、そのような引き出し電極は2個以上のノズルに渡って延伸することができ、これらの2個以上のノズルは、このように2個以上の引き出し電極を1つに本質的に併合する同じ引き出し電極によって扱うことができる。この場合、前記引き出し電極の開口部は、液滴が尚吐出することができるように、特定のノズル開口部の上を中心としなければならない。この特定の方法によれば、ノズルの設置面積を増大させることなく、引き出し電極の幅を増大させることができる。
液滴の直径は、それが吐出されるノズルの直径よりもかなり小さいものであり得る。凸型のメニスカスは、一般にノズル開口部の領域の環状のノズル壁の外径によって与えられる直径を有する。ノズルがぬれ止めプラトー(さらに以下に導入されることになる)を含む場合、凸型のメニスカス直径は、ぬれ止めプラトーの直径によってほぼ決まる。一般に、液滴の直径は、ノズルに印加される電圧を変化させることによって、ノズルの直径の約1/20からノズルの直径の1倍まで調節することができるが、原則としてノズルの直径の1/20よりも小さい液滴の直径さえ可能である。従って、電圧の変化は、印加された電圧が増加するとその直径が減少するさまざまなサイズの液滴をもたらすことができる。液滴の直径の最大の変動は、液滴の吐出に必要な最小引き出し電圧とこの最小引き出し電圧の約2倍の大きさの引き出し電圧との間で印加電圧が僅かに増加する場合に達成され得る。しかし、印加された引き出し電圧がさらに増加する場合、液滴の直径が影響を受ける程度は低くなる。
大型のノズルをきわめて小さい液滴の堆積に使用することにはいくつかの利点がある:i)大型のノズルは、従来の微細加工法によって非常に簡単に作製される。解像度の要求度が下げられるので、このことは印字ヘッドの作製に必要なコスト及び時間に大きい影響を与え得る。ii)所与解像度の構造をもつ基板上の特定の範囲を印刷するために、大型のノズルの方が小型のノズルよりも速い印刷を可能にする。iii)吐出容積速度及び液滴サイズは、吐出した液滴がノズルの直径よりもかなり小さい直径を有する場合に、電圧の変動による影響はあまり受けない。このことは、たとえ僅かな作製上の違いが起こったとしても、異なるノズルから堆積した液滴が全て同じ直径を有し、同じ周波数で吐出されることを保証する。iv)例えば、乾燥したインク又は印字ヘッドに付着する汚染物質に起因する、大型のノズルの詰まりが起こりにくい。その上、大型のノズルはクリーニングがより容易である。
液滴の直径は、印加された引き出し電圧を変動させることのほかに、代わりにノズルの直径を変化させることによって調節することができる。印字ヘッドは、全て同じ直径を有するノズルを含んでよいが、異なる幅の線を印刷するため、又は印刷速度及び解像度を最適化するために、多様な異なったサイズのノズルを含むこともできる。加速電圧と引き出し電圧の最適な選択は、たった1つのノズル直径が使用される場合に最も容易に達成される可能性がある。例えば、特定のノズルがはるかにより大型のノズルと並行して使用される状況と比較して、1つのノズル直径だけが印字ヘッドに存在する場合には、より高い加速電場を使用してよい。多様なさまざまなサイズのノズルが印字ヘッド上に構築される場合、非常に大きい直径を有するノズルと非常に小さい直径を有するノズルと混合しないことが好ましい。そうでなければ、例えば個々のノズルの要求を満たすために、特定の全体的な設定、例えば、加速電位、デバイス電位又は遮蔽電位を使用することができないというリスクがある。
引き出し電極は、最終的には電圧源に接続されなければならない。このことは、印字ヘッドの空いている部分に導電路を形成することを伴い得る。一部の導電路は活性化している、すなわち印刷に必要な引き出し電位に対応する電位で作動し、その他の導電路は活性化していないので、それらは互いの間に電圧を確立してもよく、したがって、特に個々の導電路間の交差の要求がある場合には、好ましくは互いに電気的に絶縁されている。これは、ブリッジ部材として作用する局所的にパターン形成された絶縁体パッチを導入することによって、又は2つの交差する導電路の1つを別の絶縁体層の上に局所的に持ち上げることによって解決され得る。導電路は、引き出し電極、又は印字ヘッドに含まれるその他の電極に接続されているので(詳細な情報は下記)、少なくともそれがその間のクロストークを(例えば絶縁破壊による)防がなければならない異なる電圧信号があるならば、前記電極は横方向に間隔を設け、その上相互から絶縁されなければならない。
一般に主なノズル軸の横方向の電場は回避されることになっているが、それらの制御された導入を、ユーザーの規定する吐出液滴の迅速な偏向のために用いることができる。これは、引き出し電極を、そのそれぞれのノズルの周囲に均等に配置され、それらの対向する端部間の横方向の分離を囲む、等しい半環状の形状の少なくとも2つの部分に分割することによって達成することができる。この少なくとも2つの部分は、それぞれの少なくとも2つの半環状の電極部分の外側の曲線縁の中心に直交性に接続される個々の導電性トラックによって個々の電圧リードに接続することができる。共通の引き出し電位を前記電極部分に印加する代わりに、電極部分は、規定された横方向の電場がそれらの間に、そしてメニスカスにおいて生じるように、僅かに異なる電位で作動することができ、その際、前記横方向の成分は、基板とノズルとの間の垂直軸に対して傾斜角をもつ液滴の吐出、及び、ひとたび液滴が吐出されるならば前記傾斜角の主方向に沿った液滴のさらなる偏向をもたらし得る。ひとたび液滴が吐出流路を離れると、そのさらなる偏向は、液滴が引き出し電極の影響から離れ、加速電極によって生じる均一な電場に入ると急速に衰える。電極部分間の電圧は、吐出された液滴が吐出流路と衝突しないように十分に小さいように選択しなければならない。したがって、可能性のある偏向の範囲は吐出流路の開口部の直径によってほぼ与えられる領域に制限される。2つの引き出し電極部分を使用すると、1つの軸に沿った偏向が可能になるだけであるが、3つの電極部分を使用すると2次元の偏向能力に要求される追加の操作上の自由が付加される。
引き出し電極部分は、好ましくはそれらが短くならないように互いに別々に配置される。各々の部分間の距離は、前記部分間に印加される電圧の全範囲でそれらの間に絶縁破壊が起こらないような、尚十分な絶縁を許容できるだけ小さな分離で選択するべきである。好ましくは、電場勾配を減らすために、2つの対向する部分間の隙間領域は、端が丸い線状の切目として形成される。
引き出し電極によって作り出された電場の局所不均質性は、これまでに説明した電極の配置によって生成される、起こりうる二次的結果であり得る。実際に、引き出し電極の幅を狭くし、それらを吐出された液滴の所望の飛行方向に沿ってノズル開口部から軸方向に離れるように動かせば、これらの不均質性はさらに強くなるかもしれない。これは、液体電位に対して、大きい絶対電位をデバイス電極に印加することによって埋め合わせることができる。この電極は印字ヘッド表面全体をカバーすることができるので、引き出し電極によって作り出される電場の不均質性を能動的に埋め合わせるために使用され得る。しかし、電場の不均質性の埋め合わせとしてデバイス電極を使用することは多少制限される、それは、デバイス電極とノズルの接近性が、液体電位に対するデバイス電極に印加され得る適用可能な絶対電位を強く制限するためである。デバイス電極に印加された電位は、好ましくは単独で液滴吐出を引き起こすべきでない。特定のノズルをオン又はオフにするこの作用は、やはり引き出し電極のみによって実施されることが好ましい。
電場の不均質性の問題は、同じ印字ヘッド上に非常に異なる直径をもつノズルを配置する際に特に顕著であり得る。この場合、最も小型のノズルから吐出された液滴は、液滴を吐出するそれぞれのノズルの幅と比較して非常に長い(すなわち、高いアスペクト比の)吐出流路を通過しなければならない。この高いアスペクト比の吐出流路は、加速電極によって生じた電場と、深く埋め込まれた引き出し電極との結合を部分的に遮断することになり、それによって不十分な電場均質化による吐出液滴の跳ね返りを引き起こすことがある。この状況は、影響を受けるノズルの吐出流路の幅を増大させることによるか、又は、それぞれの引き出し電極の幅を増大させることによって部分的に防ぐことができる。
しかし、引き出し電極の幅又は吐出流路の直径を増大させることからもたらされ得る有益な影響は、悪影響も同様にもたらし得る。特に、必要とされる引き出し電圧が強く増加し得るか、又はそれはそれぞれのノズルの設置面積に悪影響を与え得るか、又はその両方である。液滴の跳ね返りを被ることなく、そして上述の特定の悪影響を受けることなく、より大きい範囲の引き出し電圧を利用するために、引き出し電極と強く連結されているが、接地されたノズルとは連結されていないか又は僅かしか連結されていない追加の電極を使用することが好ましい。少なくとも前記電極は、好ましくは、液体に対してそれに印加されることが意図される電位の所望の全範囲で液滴吐出を防ぐために要求される量だけノズルから減結合される。
この目的のために、好ましくは、末端絶縁体層の上部に、すなわち最も低いさらなる絶縁体層(すなわち、基板に最も近い絶縁体層)の上に配置される絶縁体層上に遮蔽層を形成することができ、前記末端絶縁体層は、末端絶縁体層を通って吐出流路を延伸する円形の穴を含む。液体電位に対する遮蔽電位は、好ましくは、印刷中に液体電位に対する引き出し電位と同じ極性を有する。
遮蔽層は、好ましくは、末端絶縁体層の上部に連続層として形成されるが、吐出流路の位置に開口部を含み、この開口部はそれが囲む吐出流路の直径よりも大きいものであり得、好ましくは、開口部は、開口部が少なくとも部分的にカバーするが前記引き出し電極の外径よりも小さい、引き出し電極の内径と等しい大きさであるか又はそれよりも大きい。末端絶縁体層の厚さは、好ましくは100nm〜10μmの間、より好ましくは200nm〜2μmの間である。好ましくは、遮蔽層は、末端絶縁体層の他面に位置する引き出し電極のできる限り近く軸方向に配置され、そのため末端絶縁体層は、好ましくは、前記引き出し電極と遮蔽層との間に印加された電圧の全範囲で絶縁破壊を尚防ぐ最も薄い厚さに選択される。遮蔽層は、吐出流路の形成中のエッチングマスクとしても使用されてよい。好ましくは、少なくとも印字ヘッド上の任意の引き出し電極の外周を越えてカバーすることに加えて、遮蔽層は、より好ましくは、均一層として導電路、又は、印字ヘッド上に形成され、ノズルに近い任意のその他の電場源もカバーする。好ましくは、遮蔽層は、任意の引き出し電極の外周を越えて均一層として横方向に広がり、それによって、印字ヘッドと基板との間の距離の少なくとも1/4、より好ましくは印字ヘッドと基板との間の距離の少なくとも半分に等しい、前記引き出し電極から横方向の距離の中で、吐出流路の位置を除いて任意の電場源をカバーする。カバーされた電場発生源に由来する電場は、そのため、連結されるべきではないノズルへの軸方向の連結から効率的に遮蔽することができる。
遮蔽層の主な側面は、狭い引き出し電極によって生じる電場不均質性を克服することのできる電場を提供するためのその使用である。前記側面を達成するために、遮蔽層は、好ましくは、影響を受けた引き出し電極の外周を十分に越えてカバーし、液滴吐出中の意図された液滴の飛行軌道に沿って、いかなる電界強度の最小値(電場の不均質性によって生成される)をも排除するのに十分に高い、液体電位に対する絶対遮蔽電位を受ける。これは、液体電位に対する遮蔽電位が、液滴吐出中の液体電位に対する引き出し電位よりも高いか、等しいか、又は低い場合に達成され得る。遮蔽層の均質化作用は、液体電位に対するその絶対電位が、液体電位に対する引き出し電位よりも高い場合に最も強い。しかし、好ましくは、液体電位に対する遮蔽電位は、印刷中の液体電位に対する引き出し電位よりも小さい。液体電位に対する可能な限り小さい遮蔽電位は、隣接したノズルから吐出された液滴へのノズルの偏向力が最小であることを意味し、そのため、ノズル間のクロストークをさらに削減する。遮蔽電極の均質化効果を失うことなく、液体電位に対する絶対遮蔽電位は、上記のように、末端絶縁体層の厚さを最小化することによって最小にすることができる。遮蔽層は、好ましくは引き出し電極の上方に形成されるので、それはノズルからさらに遠くに位置するだけでなく、引き出し電極によってノズルと電気的に結合することが効率的に遮断される。結果として、遮蔽層は、電場不均質性を埋め合わせる役割を達成する際に、液体電位に対する低い絶対遮蔽電位に制限されず、それは遮蔽電位が、デバイス電位とは異なって、液滴吐出を単独で簡単には引き起こさないためである。液体電位に対する可能な限り小さい絶対遮蔽電位の使用によって、接地されたノズルへの遮蔽層の影響を最小化することもできる。前記影響は、引き出し電極の外径を増加させる(その内径を一定に保持しつつ)ことによってさらに低減され得る。これは、引き出し電極とノズルとの間の結合を増やすことができると同時に、ノズルと遮蔽層との間の結合を減らすことができる。しかし、遮蔽層が設けられていない場合と対照的に、遮蔽層が存在すると、引き出し電極が広くなることにより、電界係数が低下することを意味し得ることに注意されたい。特に、これは、絶対液体電位に対する遮蔽電位が、液体電位に対する引き出し電位よりも低い場合に当てはまり得る。この場合もやはり、液体電位に対する遮蔽電位の増大は、より高い電界強度比をもたらすことができる。
吐出した液滴を正確な方向に加速させるために、液体電位に対する遮蔽電位は、液体電位に対する加速電位よりも小さいように選択することが好ましい。
前の説明と相違して、例えば、最高絶対電位をノズルに印加し、加速電極を電気的接地することも可能である。電極とノズルとの間及び任意の2つの電極間に形成される電圧の要求が一般的な開示された考察と尚合致している限り、ノズル電位の選択は、個々の選好次第である。しかし、接地されたノズルを使用するシステムの実現は、一般に実施困難性が最も低く、したがって好ましい実施形態である。
遮蔽層の使用は、同じ印字ヘッド上に配置された異なったサイズのノズルの使用と両立してもいる。それにもかかわらず、大型のノズルに関連する引き出し電極よりも、小型のノズルに関連する引き出し電極をデバイス層により近接して埋め込むことが一般に望まれるので、これはいくつかの困難を引き起こし得る。しかし、遮蔽層は、印字ヘッドに含まれる全てのノズルに対して同じ高さに、すなわち、好ましくは末端絶縁体層の上部に、位置することができる。したがって、異なるサイズのノズルが印字ヘッドに含まれる場合、遮蔽層は、大型のノズルに関連する引き出し電極からよりも、小型のノズルに関連する引き出し電極からさらに遠く離れて位置する可能性がある。そのようなより大きい間隔は、より低度の電極結合を意味し、結果的に、埋め込まれた引き出し電極によって作り出され得る電場の不均質性を克服するために、遮蔽層に印加された絶対遮蔽電位の増加を要求し得る。小型のノズルに関連する引き出し電極が大型のノズルによって受け取られるのと同じ引き出し電位を受け取る場合、結合は、小型のノズルの場合には不十分であることがある。しかし、これは、小型のノズルは、作動に比較的大型のノズルよりも低い電圧を必要とする(説明は後述)という事実を利用することによって克服することができる。前記知見は、大型のノズルに関連する引き出し電極よりも低い、液体電位に対する絶対引き出し電位で作動する引き出し電極を形成することによって用いることができる。液体電位に対する絶対引き出し電位の低下は、引き出し電極と遮蔽層との間に確立されたより低い結合効率を埋め合わせることができる。それは、液体電位に対する遮蔽電位が、引き出し電位と液体電位との間に形成される電圧に対応して増加するためである。例えば、印字ヘッド上の最大のノズルに関連する引き出し電極に印加された電圧は、400Vであり得るが、一方、このノズルに均質な電場の生成を可能にするために、遮蔽電極は230Vの電位しか必要としない。これらの条件で、約10倍小さいノズルの引き出し電極は、約250Vに選択することができる。この場合、より小型のノズルに関連する引き出し電極は、遮蔽電極とほぼ同じ電位に付されるが、遮蔽電極と引き出し電極との間の電圧は、この例では−170Vから−20Vまで増加した。
追加の中間の引き出し電極(均質化電極とも呼ばれる)を、電場の不均質性の問題があるノズルに用いると改善を達成することができる。そのような均質化電極は、引き出し電極と同じ方法で、すなわちそれぞれのノズルの周囲の環状電極として形成することができるが、さらなる絶縁体層上の引き出し電極と遮蔽層との間の中間の距離に形成することが好ましい。均質化電極は、好ましくは、作製の労力を最小化するために、他のノズルの引き出し電極が既に占有する既存のさらなる絶縁体層上に形成される。必要に応じて、追加のさらなる絶縁体層は、積層体を構築する過程で形成され、均質化電極でカバーされてよい。
均質化電極に印加した均質化電位は、吐出流路の空隙に沿って確立された電場が均質化電極の両方の方向に、すなわち引き出し電極に向かう方向と遮蔽層に向かう方向に等しい強度をもつように調節することができる。例えば、引き出し電極と均質化電極との間の電場が均質化電極と遮蔽電極の間に確立された電場よりも強い場合、好ましくは、液体電位に対する均質化電極に印加された絶対均質化電位を削減するべきである。そうすることによって、均質化電極と遮蔽電極の間に確立された電場が有利になるように、引き出し電極と均質化電極との間に形成された電場の相対強度を減らすことができる。このように、均質化電極は、電場不均質性を最小化する目的にも適う。上の例では、均質化電極は、遮蔽層と引き出し電極との中間で形成されてよく、約180Vの均質化電位で作動することができる。印字ヘッドに含まれるノズル間のサイズの違いが非常に大きくなる場合、最も小型のノズルに1個より多い均質化電極を使用することさえできる。均質化電極は、それぞれの引き出し電極に同調してオン及びオフにすることができるが、操作を簡単にするために、デバイス電極に印加されるデバイス電位及び遮蔽層に印加される遮蔽電位及び加速電極に印加される加速電位と同様に、均質化電極は常にオンにされていることが好ましい。
均質化電極は、好ましくは、電圧源に接続される。これは、印字ヘッドの空いている部分に導電路が形成することによって行うことができる。均質化電極は好ましくは常にオンにされているので、それらは個々の始動シーケンスを受けず、したがって同じ電位を受ける全ての均質化電極の導電路は、結局併合され、したがって互いに電気的に絶縁する必要がない。
例えば異なる幅のノズルを作動させるために、異なる強度の電圧を使用することは、電気駆動回路の複雑さを増大させ得る。しかし、所与回路の電圧は、それらが直列に配置されている場合には、2つのキャパシタに分割できることは周知である。このように、引き出し電極と接地されたノズルとの間に形成された第1の電圧Uは、次式に従って概算される。
Figure 2018505074
上式で、Uは、全印加電圧、すなわち回路全体にわたって確立された電位差であり、Cはノズルのキャパシタンスであり、Cは直列のプレ・キャパシタンスである。この計算において、ノズルの容量は、ノズルに蓄積された電荷だけでなく、引き出し電極とデバイス電極との間及び導電路の任意の部分とデバイス電極との間のそれぞれに蓄積された電荷も含み得ることに注意されたい。後者は前者よりもかなり大きいことがあり、ある引き出し電位を特定の引き出し電極に送るために使用される導電路の長さに依存する。特定の引き出し電極の引き出し電位を適切に調整できるために、Cに匹敵するキャパシタンスCを形成することが望ましい。そのようなキャパシタンスは、導電路をその引き出し電極からさらなる絶縁体層を用いて軸方向に分離することによって最も効果的に形成される。
引き出し電極は、好ましくは、電極延長部によって延長され、これは好ましくは引き出し電極に直交する接続を含む線として形成される。引き出し電極の電極延長部は、選択した作製方法によってできるだけ狭く形成されることが好ましい。特定の引き出し電極とその電極延長部は、浮遊導体として保持される。
電極延長部及びその引き出し電極によって受けられる電圧は、導電路からそれに容量結合することができる。好ましくは、導電路は、電極延長部の上部に正確に形成される。それは電極延長部全体又はその一部だけをカバーすることができる。後者の場合、電極延長部のカバーされていない部分は、引き出し電極につながる側に配置されることが好ましい。導電路は、好ましくは、引き出し電極に対して横方向に、外側のリング溝直径の半分よりも接近せず、接地されたノズルに直接結合せず、対応する電気的に浮遊する電極延長部のみと結合する。導電路と電極延長ラインとの間に確立され得る電気的結合のために、電極延長部と引き出し電極の両方とも、好ましくは同じ電位に付される。最適な結合を可能にするために、導電路は、重なり合う領域に沿って下にある電極延長部と少なくとも同じくらいの幅であることが好ましい。好ましくは、導電路は、重なり合う領域の電極延長部よりも僅かに広く、好ましくは、導電路を電極延長部から分離するさらなる絶縁体層の少なくとも半分の厚さである。
引き出し電極と容量結合した電位の値は、上述の式に従ってC及びCを変えることによって制御することができる。これらの2つのキャパシタンスの調整は、2つの主な設計方法によって達成することができる。第1に、導電路を電極延長部から分離するさらなる絶縁体層の厚さを制御することができる。このさらなる絶縁体層が電極延長部をデバイス電極から分離する少なくとも1つの絶縁体層よりも厚い場合、キャパシタンスCと等しい大きさのキャパシタンスCを生成することはできないであろう。Cと比較してより高いCの相対値を達成するために、電極延長部とデバイス電極との間の少なくとも1つの絶縁体層の厚さを増加させるか、又は電極延長部を導電路から分離するさらなる絶縁体層の厚さを減らすことが、それぞれ可能である。C及びCを調節する別の方法は、導電路が下にある電極延長部と重なり合う場所の相対的な割合を設定することによって達成することができる。重なり合う領域が大きいほど、電極延長部と導電路との間の全体的な結合が強いことを意味し、それによりCに対してCを増加させることもできる。
引き出し電極と結合する電圧は、デバイス電極がノズルと同じ電位、すなわち電気的接地、に付されていない場合、上式によって正確に計算されない可能性があることに注意されたい。デバイス層が接地されていない場合、電気的に浮遊する引き出し電極で誘導される電位は、導電路に印加された電位の極性に敏感である可能性がある。デバイス電極に印加されるデバイス電位が導電路に印加される電位と同じ極性である場合、上式から得られる電圧よりも高い電圧を引き出し電極に誘導することができる。
これに従うと、デバイス電極に印加されるデバイス電位は、単独で、又は間接的に引き出し電極との電気結合によって液滴吐出を引き起こさないように十分に小さいことが好ましい。しかし、電場に非対称を生じないように、デバイス電極を電気的に接地された状態に保持することが一般に好ましい。
誘導電圧に対するさらなる大きな影響は、遮蔽層によって引き起こされることがある。この電極は、一般に比較的高い遮蔽電位に付され、そのために実質的な容量結合を誘導することがある。この場合もやはり、導電路が電気的接地状態である間、すなわち液滴吐出が不活性化されようとする時はいつでも、液滴吐出が妨げられるように、前記結合は好ましくは減らされるべきである。十分な減結合は、大部分の電極延長部を導電路でカバーすること、及び電極延長部よりもわずかに大きい幅をもつ前記導電路を形成することによって達成してよい。これは、遮蔽層からの影響に対して電極延長部を本質的に遮蔽する。しかし、電極延長部の一部ならびに引き出し電極全体は、導電路によってカバーされない可能性があり、従って露出する可能性がある。遮蔽層の影響をさらに減らすことは、上側の絶縁体層の厚さを増加させることによって、好ましくはそれを下側の絶縁体層とさらなる絶縁体層の両方よりも厚くすることによって達成できる。印加電圧を低下させることによる容量的方法は、印字ヘッドに含まれる最も小型のノズル、すなわち好ましくは厚い下側の絶縁体層に埋め込まれるノズルに主に使用されるので、これは、一般に実行することができる。
電極の容量的接触は均質化電極にも適用でき、該均質化電極は、引き出し電極に容量的に接触する場合のために決められた同じ一連の規則に従って容量的に接触させ得る。
既に特定されたように、デバイス層は、好ましくは導電性材料で作製される。本発明の文脈において、導電性とは、デバイス層の導電率が、好ましくはストップ層の導電率よりも少なくとも5桁、より好ましくは少なくとも8桁、最も好ましくは少なくとも10桁高いことを意味する。いずれの例でも、デバイス層の導電率は、好ましくは、それがその連続した全体に沿って等電位を維持するように、すなわちデバイス層に沿って発生する電圧降下がないように調整され、電圧降下がないとは、デバイス層上の電圧源によって確立されたデバイス電位が、好ましくは10%未満、より好ましくは1%未満変動することを意味する。この基準が満たされる場合、デバイス層は、単独でデバイス電極の機能を果たし得る。
しかし、デバイス層が等電位基準を満たすデバイス電極として使用するには十分に導電性でない場合、導電率の高い材料を含む層でそれを覆ってよい。特に、デバイス層は、導電材料、好ましくは金属を含むデバイスコーティングでコーティングすることができる。デバイスコーティングは、好ましくは10nm〜1μmの間、より好ましくは30nm〜300nmの間の厚さを有する。
このデバイスコーティングは、デバイス層との良好な電気的接触をもたらすことができ、たとえデバイス層が非常に低い導電率を有していても必要なデバイス電位に設定することができる。ここで、非常に低いとは、その導電率が好ましくは、少なくとも、デバイスコーティングと液体リザーバとの間の電圧の低下が主にストップ層の厚さに渡って起こり、デバイス層の厚さに渡っては起こらないような量だけ、ストップ層の導電率よりも尚高いことを意味する。デバイスコーティングはまた、ノズルの先端部表面を覆うことができ、耐エッチング性のエッチストップ層によって覆われていてもよい(詳細は下記)。この場合、デバイスコーティングは、好ましくは、ノズル壁を作製する材料よりも少ない程度にエッチングされる材料を含むように選択される。デバイスコーティングが、ぬれ止めプラトーを生成するために使用されるエッチングプロセスに抵抗性である場合、先端部表面を覆うデバイスコーティングの一部は、エッチストップ層の機能を採用することができ、追加のエッチストップ層を省くことができ、ぬれ止めプラトーは、したがって、デバイスコーティングによって形成することができる。
加速電極とデバイス電極との間に形成される電場強度は、空気の絶縁耐力(約3MV/m)を上回ってもよい。空気は印字ヘッドと基板との間に存在し得るので、印字ヘッドの表面は、全ての電極を形成した後に絶縁保護コーティングで覆われることが好ましい。絶縁保護コーティングは、好ましくは、電気が空気を突破することを遮断する、良好な絶縁耐力を有する材料、例えば、SiO、Si又はAlなどを含むか又はそれからなる。
メニスカスに近接して確立された不均質な電場は、加速電極によって引き起こされる均一な電場よりも局所的にきわめて強い(例えば、100MV/mよりも大きい)ことがあることに注意されたい。しかし、これらの不均質な電場は一般にわずか数マイクロメートルの寸法で形成されるので、電場はリード間の距離がわずかの約10μm以下の範囲内にある場合に媒体の絶縁耐力が増加すると述べる周知のパッシェンの法則の利益を得る。さらに、印字ヘッドに用いられる電極は、好ましくは全ての方向において誘電性材料に埋め込まれるので、例えば第1の引き出し電極は、第1の絶縁体層とさらなる絶縁体層との間に埋め込むことができ、一方、遮蔽電極は、末端絶縁体層と絶縁保護コーティングとの間に埋め込むことができる。
液体供給リザーバは、異方性エッチングによって液体供給層から形成することができる。好ましくは、液体供給リザーバは、SFに基づくボッシュプロセスに従って、シリコンでできた液体供給層から形成される。液体供給リザーバの側壁は、好ましくは下にあるストップ層と約90°の角度を囲む。ストップ層はこの結果、SFがノズルを破壊することを妨げる耐エッチング性のエッチストップ膜の機能を果たすこともできる。ボッシュプロセスを用いることにより、50よりも大きいアスペクト比、すなわち液体供給リザーバの深さがその幅の50倍よりも大きい、を形成することが可能である。例えば、300μmの厚さを有する液体供給層を用いる場合、液体供給リザーバは、6μm以下の幅を得ることができる。しかし、液体供給リザーバのアスペクト比は、好ましくは、50よりも小さい、より好ましくは30よりも小さい。液体供給層は、好ましくは電気的に接地され、好ましくは200μm〜1mmの間の厚さを有する。
液体供給層は、液体供給層の上部に堆積させることのできる1又は複数の追加の液体供給層と物理的に接触することができる。追加の液体供給層は、液体供給流路を形成することができ、それを通って液体が液体供給層によって形成された液体供給リザーバに分配される。原則として、1又は複数の液体供給層及び追加の液体供給層は、これらの両方の機能を果たす単一の層に併合することができる。そのような実施形態は、当業者の誰にも公知であるマイクロ流体工学で使用されるアプローチに基づくものであってよい。液体供給リザーバ及び液体供給流路は、手動で又は自動で液体を満たすことができる。各々の液体供給リザーバ及び各々の液体供給流路は、1又は複数のノズルに液体を供給することができ、全ての液体供給リザーバ及び液体供給流路は、同じインク(印刷される材料を含む液体)で満たすことができ、あるいは、所与液体供給リザーバ又は所与液体供給流路に満たされるインクは、少なくとも2つの異なるインクから選択することができる。
一般に、凹型メニスカスは、ノズル開口部の領域のノズルの内部に固定される、すなわちそれはノズル先端表面の上には出ない。この際、ノズル先端表面は、実施形態にかかわらず基板に面する表面として理解される。液体が十分に強い電場によって作動する場合、それはノズル開口部から突出する凸型のメニスカスへとその形状を変化させる。ノズル先端表面がぬれ性である場合、凸型のメニスカスは、ノズルの内側のノズル壁面の領域から外側のノズル壁面に向かって移動する可能性が最も高い。ノズル壁面が非常にぬれ性である場合、すなわち約30°未満の液体との接触角を囲む場合、特にそれらが完全にぬれ性である場合、すなわち本質的にゼロ度の液体との平衡接触角を囲む場合、液体は、リング溝にさらに引き込まれることがあり、それは禁止されなければならない。
この作用は、具体的には印字ヘッドの表面をコーティングすることによってほとんど回避することができる。撥液性表面コーティングは、好ましくは表面エネルギーを低下させ、好ましくはポリマー及び/又は有機材料を含み、より好ましくはそれはポリテトラフルオロエチレンを含む。好ましくは、表面コーティングは、蒸着法によって、最も好ましくは(プラズマ支援)化学気相成長法によって適用される。後者の技術は、機械的摩耗に対して非常に頑丈な数十又は数百ナノメートルの厚いコーティングを可能にする。好ましくは、低エネルギー表面コーティングの厚さは、1〜1000nm、より好ましくは50〜500nmである。
しかし、撥液性表面コーティングを液体供給リザーバの壁、液体供給流路の壁、又はノズルの内面(すなわち、内部のノズル壁面)に適用する場合、前記撥液性表面コーティングは、好ましくは液体に対して少なくとも僅かにぬれ性である、すなわち特定の壁と液体との間に囲まれた接触角は、好ましくは90°よりも小さい。そうでなければ、液体を液体供給リザーバ又は追加の液体供給リザーバに、それぞれ充填することができない可能性がある。比較すると、環状のノズル壁の外部又はノズル先端表面に適用されてよい撥液性表面コーティングは、液体に対して非ぬれ性でもありうる、すなわちそれらと液体との間に囲まれた接触角は、90°よりも大きいことがあり得る。好ましくは、表面コーティングは、ノズル開口部を越えて基板に面する印字ヘッドの側の少なくとも全ての表面にコーティングされるが、好ましくはノズルの内部及び液体供給リザーバ及び/又は液体供給流路は前記表面コーティングを施さない。
既に述べたように、作動した凸型のメニスカスはリング溝の中をぬらさず、外側の環状のノズル壁にとどまることが重要である。しかし、ある場合には、撥液性表面コーティングを環状のノズル壁上に有するだけでは、凸型のメニスカスのリング溝へのぬれを回避するためには充分でないことがある。特に、ノズル形状は、第1工程でデバイス層がエッチストップ層でコーティングすることができるという点で調節することができる。エッチストップ層は、好ましくは、耐エッチング性で誘電性の材料、例えば、SiO、Si又はAlなどを含む。第2工程で、接触角不連続部をリング溝の領域のエッチストップ層に形成することができる。
接触角不連続部は、環状のノズル壁の前面に形成されることが好ましい急な変化の形を有し得る。接触角不連続部は、等方性エッチングによって生成することができる。そのため、ノズル及び印字ヘッドのその他の要素を耐エッチング性エッチストップ層で保護することが好ましい。好ましくは、不連続部を実際に生成するために使用されるのは、好ましくはぬれ止めプラトーの形の前記エッチストップ層である。耐エッチング性エッチストップ層は、好ましくは環状のノズル壁に含まれる材料とは異なる材料で作製される。このように、耐エッチング性エッチストップ層の下に位置する環状のノズル壁の材料の一部を選択的に除去する、ウェット又はドライエッチングプロセスに従った等方性エッチング化学を用いることができる。例えば、環状のノズル壁がシリコンで作製されている場合、耐エッチング性エッチストップ層に有用な材料は、SiO又はAlとなり、用いるエッチング化学は、SFプラズマ(ドライエッチングプロセスによる)又は硝酸に基づくウェットエッチング液から選択される。
好ましくは、前記等方性エッチングプロセスは、リング溝が形成される前に実施される。この場合、前記等方性エッチングプロセスは、材料の層、該材料はシリコンを含むことが好ましい、からリング溝を形成することに向けた第1工程とみなすことができ、それは最後にはリング溝によってデバイス層と環状のノズル壁に分離される。本質的に、材料層がシリコンでできている場合、最初に等方性エッチングプロセスに従って前記材料層にエッチングを施し、その後第2の異方性エッチングプロセスに従って、例えば、SFとCのガスを組み合わせる異方性ボッシュプロセス又はHBr系プロセスに従ってエッチングを続け、リング溝が形成されるまでエッチングプロセスを続ける。それにより、耐エッチング性エッチストップ層の下の横方向のエッチングは、第1の等方性エッチングプロセスが実施される限り続けることができる。等方性エッチングとは、エッチングが全方向に均等に速く起こることを意味する。従って、横方向に起こるエッチングは、軸方向に、すなわちストップ層に向かって起こるエッチングに起因するその深さと等しく幅を広げることができる。横方向に起こるエッチングは、環状のノズル壁の半径方向の厚さ、好ましくは環状のノズル壁の横方向の厚さの半分よりも小さい幅を有する。特に、その好ましい幅は、50nm〜500nmの間である。耐エッチング性エッチストップ層の厚さは、好ましくは、20nm〜2μmの間、より好ましくは50nm〜500nmの間である。ぬれ止めプラトーが形成されて撥液性表面コーティングと組み合わされる場合、一度ぬれ止めプラトーが既に形成されたならば、前記表面コーティングは、印字ヘッドにのみ適用されることが好ましい。
好ましくは、液体電位に対する引き出し電極に印加された引き出し電位は、10〜1000Vの間、より好ましくは約400V以下である。印加された引き出し電位は、直流電圧、好ましくは一定か又は変化する振幅をもつ連続信号の形であり得る。あるいは、印加された引き出し電位は、交流電圧の形、好ましくは、20Hz〜20kHzの間であることが好ましい周波数を有する周期関数の形であり得る。周期関数が適用される場合、それは好ましくはプラスとマイナスに同じ強度をもつ矩形関数である。
直流操作は、引き出し電極及び任意のその他の電極に印加された信号の電気的極性が、全印刷持続時間の間、同じままである場合を記述する。印字ヘッドに含まれる電極を同じ極性で作動させることが好ましい。しかし、デバイス電極は、以下でさらに説明されるように、定期的に異なる極性で作動させることができる。直流電圧は、印加された電位の極性を変えずに、周期的に又は非周期的に振幅を調節することがある。一定でない振幅を有する電圧を印加することは、様々な直径をもつ液滴の吐出を引き起こし得る。したがって、電圧を変えることによって、吐出される液滴のサイズを調節することができ、従って最後には印刷構造体の幅も調節することができる。
直流操作を実施する場合、吐出される液滴は全て同様に同じ極性に帯電している。したがって、一部の液滴が基板に衝突した後、特に吐出期間中に衝突領域から堆積した電荷を導くためには不十分な導電率を有する基板上で印刷が実施される場合に、前記基板上で反発電荷の蓄積を開始することがある。この蓄積した電荷は、入ってくる液滴の横方向の偏向を導くことがあり、それは印刷解像度を低下させるか、又はスプレー効果を引き起こしさえすることがある。これは、一定の時間間隔で等量の反対の極性の液滴を吐出することによってほとんど回避することができる。所与の極性をもつ1又は数滴の液滴が群発吐出され、それに続いて反対の極性の液滴が同様に長く群発吐出される。これらの2つの群発中に吐出される液滴は反対の極性であるので、堆積した電荷は、2つの群発を含む各サイクルで本質的に中和される。この際、各々の群発は、電圧波形の2つの極性の間隔の1つを単純に代表し、これらの2つの極性の間隔は好ましくは同じ長さである。好ましくは、波形は、固定された振幅及び100%のデューティサイクルを有する矩形関数として選択される。矩形波形は、好ましくは内部交流信号の周期と比較して長い時間尺度で、引き出し電位の振幅を周期的に又は非周期的に調節する変調波形を重ねてよい。これは、直流操作に従って液滴吐出に使用される強度を調節するのと同じ結果となり得る。さらに、所与の電圧の液滴の自然吐出周波数よりも低い交流周波数を適用することが好ましいが、それは好ましくは前記自然吐出周波数の10分の1よりも低くない。そうすることによって、1回の群発で吐出される等しく帯電した液滴の量を最小にすることができ、結果的に吐出された液滴の電位偏向を最小にすることもできる。印加された電圧信号の極性の切り替えは、好ましくは印字ヘッド上の全ての電極について行い、1つだけについては行わない。1又は数個の電極だけ極性を切り替える場合、吐出される液滴は同じ特性で吐出されない可能性があり、大概、それらはどこかの点で偏向され跳ね返ることになる。引き出し電極を交流電圧で操作する場合、加速電極、デバイス電極、遮蔽電極及び1又は複数の均質化電極を含む全てのその他の電極も同様に交流電圧を用いることが好ましく、より好ましくは、前記用いる交流電圧は、液体に対する引き出し電極に印加される交流電圧と同じ周波数及び位相を有し、最も好ましくは前記用いる電圧波形は、液体に対する引き出し電極に印加された波形と係数分だけが異なる。
引き出し電極が直流電圧で操作される場合、加速電極、デバイス電極、遮蔽電極及び1又は複数の均質化電極を含む全てのその他の電極も同様に直流電圧を用いることが好ましく、より好ましくは、前記液体吐出の間に用いる電圧波形は、液体に対する引き出し電極に印加された波形と係数分だけが異なる。
引き出し電場の増加も、液滴吐出の周波数に影響を及ぼし得る。液滴は、引き出し電場の増加に伴って小さくなり得るが、同時に、これらの液滴が吐出される周波数を強力に増加させる。液滴吐出を生じる可能な限り小さい電圧において、周波数は10Hzよりも低い範囲内であり得る。電圧がこの最小吐出電圧の約2倍の大きさの値まで増加した場合、吐出周波数は、通常1kHzの範囲の値に達し得る。電圧をさらに増加させると、吐出周波数を10kHzまでさらに増加させることができ、100kHzの範囲の値に達することさえある。吐出周波数は、液滴の直径よりも高電圧に非常に大きい影響を受ける。一般に、絶縁破壊及び電荷反発作用を防ぐために、あまり高い電圧を使用しないことが好ましい。好ましくは、電圧レジームは、最低吐出可能電圧よりも約1.5〜2.5倍高い値に選択される。このレジームは、望まない電場の変動などの影響を最も受けないという事実によっても好ましい。その上、電圧が最小吐出電圧の1.5倍よりも低いレジームで決して選択されないことは特に好ましい。この電圧レジームでは、吐出周波数は非常に低く、印字ヘッドの動きに悪影響を及ぼし得る。さらに、システムは電場などのどんな望まない雑音に対しても非常に感受性が高い。例えば、引き出し電場の小さい増加でさえ、液滴直径のかなりの変化をもたらし得る。
前に述べたように、リング溝の幅と引き出し電極の幅を調節することは、ノズルの領域に確立された電場の発生及び強度を変えることができ、それにより、例えば、凸型のメニスカスの形状の形成を規定する際の重要な変数の機能を果たし得る。しかし、これらの変数は、ひとたび印字ヘッドが構築されてしまうと、もう調節することができない。ノズルの領域の電場の発生及び強度を動的に変える方法は、電場を形成する電極、特にノズルと最も強力に結合する電極、すなわち、デバイス電極及び引き出し電極に印加される電位を選択的に操作することによって達成することができる。例えば、安定した吐出条件の達成(例えば1よりも大きい電界強度比を生成することによる)は、液体電位に対する引き出し電位と比較して異なる極性をもつ(逆極性の状況とも呼ばれる)、液体電位に対するデバイス電位を用いることによって支持され得る。一般に、デバイス層を電極として使用すると、引き出し電極によって得られる電界強度比と比較して低い電界強度比が得られる、すなわち、メニスカスの中心領域と比較したメニスカスの外部領域でより強い電界が生成される。デバイス電極を逆極性の状況で使用すると、引き出し電極によって生成される電場に対抗する電場をもたらす(すなわち、それらは部分的に互いに打ち消し合う)。しかし、デバイス電極は主にメニスカスの外部領域で作用するので、引き出し電極によって生成される電場は、前記外部のメニスカス領域で主に打ち消され、その結果、デバイス電極を使用しないよりも高い電界強度比をもつ重畳電場が得られる。
液体電位に対する絶対デバイス電位は、好ましくは、印刷中の液体電位に対する引き出し電位よりも小さい。
一例として、液体電位に対する引き出し電位と異なり、液体電位に対する反対の極性を有するデバイス電極にデバイス電位を印加する場合、液滴吐出を尚引き起こすために引き出し電位の振幅を増加させなければならない可能性がある。これは、液体電位に対するデバイス電位が、液体電位に対する引き出し電位と等しい極性をもつ場合とは異なり、この場合、デバイス電極は液滴吐出を支持し、そのために、引き出し電極に印加しなければならない最小吐出電圧は、液体電位に対するデバイス電位がゼロである状況と比較して、振幅が小さい。
液体電位に対するデバイス電位が、液体電位に対する引き出し電位と同じ極性である場合に、デバイス電極は、液滴吐出を支持するために使用することができる。液滴吐出に必要な強度をほんの少し下回るデバイス電位を印加することにより、凸型のメニスカスの形成を引き起こすことはできるが、液滴の吐出を引き起こすことはまだできない。ひとたび凸型のメニスカスが形成されれば、液滴吐出は、液体電位に対するデバイス電位がゼロとなる場合よりも非常に低い液体電位に対する絶対引き出し電位を印加することによって引き起こすことができる。
全体的な吐出支持電極としてデバイス層を使用する利益は、異なるノズルの引き出し電極間で得られる良好な遮蔽であり得る。液滴吐出のために少なくとも部分的にデバイス層を用いる欠点は、例えば、リング溝の幅の増加によって埋め合わされなければならない内在する電界強度比の低下であり得る。デバイス電極の均一性及び全体的な性質に起因して、それは、狭い引き出し電極によって一般に生成されるような電場不均質性を生成しない。そのため、支持デバイス電位の使用が液体電位に対する引き出し電位の低下を可能にすると、電場不均質性も抑制することができる。一般に、デバイス層は、印字ヘッドに含まれるすべてのノズルのグローバル電極の機能を果たすことができる。しかし、特殊な場合には、デバイス層は、1又は複数の電圧源によって異なるデバイス電位に設定される部分に分けることができる。それらのデバイス層部分は、リング溝に類似した、絶縁ストップ層まで進行する溝を形成することによって作製することができる。代わりとして、SiO又はAlのような絶縁材料で作製されている非分割型のデバイス層を用い、それを分割型のデバイスコーティングでコーティングしてもよく、前記デバイスコーティングはデバイス電極の全機能を取り入れ、各々のデバイスコーティング部分は異なるデバイス電位で操作することができる。
加速電極によってノズルに生じる加速電場は、一般に、引き出し電極によって形成される引き出し電場よりも非常に弱い。これは主に、たとえ引き出し電極が加速電極よりも実質的に低い電圧を使用するとしても、引き出し電極は一般に加速電極よりも非常にノズルに近接して配置されるという事実による。
特に、0.5MV/m〜50MV/mの間、好ましくは1MV/m〜20MV/mの間の電場強度を有する、均一な電場を印字ヘッドと基板との間に生成することのできる加速電極に加速電位を印加することが好ましい。液体電位に対する加速電位は、好ましくは、印刷中の液体電位に対する引き出し電位と比較して、同じ極性及びより大きい振幅であり、その結果、適切な配向をもつほぼ均質な電場が印刷中の印字ヘッドと基板との間に確立される。
その上、加速電極により生じる均一な電場の強度は、液滴の吐出を引き起こすために凸型のメニスカスに形成されなければならない電場に対して、係数として2倍以上、より好ましくは係数として5倍以上弱いように選択されることが好ましい。
いくつかの異なるサイズのノズルが印字ヘッド上に存在する場合、前記基準は、好ましくは印字ヘッドに含まれる最大のノズルに関連する要求に基づく。最小吐出条件に必要な電場は、次式によって概算することができる:
Figure 2018505074
上式で、Eは電場であり、γは液体表面張力であり、rは凸型のメニスカスの半径であり、ε0は真空誘電率である。この式によれば、直径1μmのメニスカスから液滴を引き離すために必要な電場強度は約80MV/mであり、一方、直径10μmのメニスカスから液滴を引き離すために必要な電場強度は約25MV/mである。
加速電場、すなわち、印字ヘッドと基板との間に形成される電場が、平均で、すなわちノズルと基板との間の全飛行経路にわたって、他の液滴又は他の横方向の電場源に由来する電場よりも少なくとも10倍、より好ましくは、少なくとも100倍、最も好ましくは少なくとも1000倍高いことがさらに好ましい。これにより、たとえ液滴の直径よりもかなり(例えば、数桁)大きく基板−ノズルが分離していても、液滴がそれらの意図される軌道に確実にとどまり、結果的に、液滴はそれらの意図される場所に堆積することができる。本発明に開示される電極の配置及び動作条件は、実際に、たとえ高密度集積でも個々のノズル間の十分な減結合を可能にし、それにより、印字ヘッドと基板との間が比較的大きくても高解像度かつ高処理量の印刷を可能にする。特に、液滴の吐出及びそれらの基板上への加速は、異なる電極系で実施され、そのうちの1つは不均質な、短い範囲かつ高強度の電場(特に引き出し電極)を生成し、他方、適切な液滴の誘導を保証する均一な、長い範囲であるが弱い電場を作り出す(特に加速電極)。さらなる電極(特にデバイス電極、均質化電極及び遮蔽電極)の主目的は、印刷解像度及び精度を維持しながら、印字ヘッド上のノズル設置面積の削減及びノズルの高密度配置を可能にすることである。例えば、基板から約1mm離れた位置の直径約5μmのノズルから液滴を吐出することにより、1μm未満の最小の横寸法を有する印刷構造体をもたらすことができ、この際の印字ヘッド上に近接して配置されたノズルの分離間隔は20μm未満であり得る。そのため、たとえ印字ヘッドと基板との間の分離間隔が最小の横方向のフィーチャーサイズよりも1000倍大きいとしても、ノズルの直径よりも小さい構造を生成することができる。
印字ヘッドの広い形状因子と、厚さの変動又は一般的なウエハの反りの可能性のために、印字ヘッドと基板との間に十分に大きい間隔を使用しなければならないことがある。同時に、大きい間隔は過剰な液滴衝突の分布をもたらすことがあるので、この間隔はできる限り小さく選択されることが好ましい。後者は主に、Rayleigh爆発、つまり、蒸発によって誘導される体積損失の過程で電荷が高密度化することによる、飛行中に液滴を本質的に爆発させる作用が起こる可能性によって引き起こされることがある。
印刷中は、基板が適切に固定され、物理的に動かないことが重要であり得る。そのような動きは、そうでなければ印刷構造体の不適切な整列を引き起こし、それにより印刷の精度を低下させる可能性がある。好ましくは、基板は真空クランプを用いて加速電極上に固定され、加速電極は好ましくは加速電極ホルダー上に固定されている。加速電極は完全に導電材料で作製され得るが、それは部分的に非導電性材料で構成されてもよい。例えば導電性部分は、加速電極と印字ヘッドとの間の絶縁破壊の可能性を低下させるために2つの非導電性シートの間に層として埋め込むことができる。どのような場合でも、加速電極の導電性部分は、加速電極の全範囲を横方向にカバーすることが好ましい。基板の真空クランプ用の穴は、加速電極に開けることができ、この穴は好ましくは10μm〜1mmの間、より好ましくは50μm〜0.5mmの間の直径を有し、より微細な穴は基板の上方に電場不均質性を生成することが少ないという利点を有する。そのような細孔は、機械によるか又はレーザードリルによるか又は当業者に公知のその他の方法によって形成されてよい。好ましくは穴を排気にするのに適した排気ユニットを加速電極に取り付けることができる。
印字ヘッドは、印字ヘッドをチップ及び/又はチルトするのに適した印字ヘッドホルダーに取り付けてよい。印字ヘッド及び基板は、加熱及び/又は冷却源と熱接触することができる。1又は複数のセンサを印字ヘッドの上に配置することができ、基板と印字ヘッドとの間の距離を測定及び制御し、印字ヘッドの温度を測定及び制御するのに適した制御装置を印字ヘッドホルダーに取り付けることができる。
加速電極は、制振に最適化した重加速電極ホルダーにしっかりと固定することができる。例えば、前記重加速電極ホルダーは、低周波数振動の良好な制振をもたらす大理石などで構成されてよい。その上、重加速電極ホルダーは、第2の制振システム、例えばより高い周波数の振動を本質的に制振する空圧制振システムなどを追加してよい。重加速電極ホルダーは、少なくとも横方向の1次元に動くことができ、好ましくはそれは、印字ヘッドの下の基板の迅速な配置を可能にするような、任意の2次元の動きを実施することができる。温度センサは、加速電極ホルダーに組み込むことができ、加速電極ホルダーの温度を測定及び制御するのに適した制御装置に取り付けることができる。加速電極ホルダーに含まれる温度センサは、印字ヘッドに面する基板表面のおおよその温度についての情報を提供する。
印字ヘッドホルダーは、印字ヘッドの剛性の機械的支持として役立つことができる。ホルダーは、慣性質量を減らし、その一方で高い熱伝導率を提供し、良好な剛性を維持するために、アルミニウム又はアルミニウム合金で作製されることが好ましい。印字ヘッドをホルダーに固定することは、静電チャックによるか、又はより好ましくは真空チャックによって達成されてよい。真空チャックの場合、均一に分布した流路は、印字ヘッドを決まった場所に保持するために必要な固定力を確立し、一方、そのうえに、内部応力のために微細加工中に潜在的に生じる印字ヘッドに存在する反りを修正する。固定及び最適な配向(すなわち、チップ・チルト補正による)の後のホルダー及び結果的に印字ヘッドの好ましい平面度は、印字ヘッドと基板との間に部分的な接触を作らずに好ましい平均距離で印字ヘッドが基板から離れることを可能にする。好ましい平均距離は、20%以上変動することはなく、より好ましくは平均距離は5%未満しか変動しない。例えば、印字ヘッドが基板から500μm離れている場合、印字ヘッド面積全体にわたるその実際の分離間隔は、好ましくは500μm±25μmよりも良好であるべきである。クランプ機構に加えて、印字ヘッドホルダーは、好ましくは液体供給システム及び電気駆動システムへのインターフェースを提供し、印字ヘッド温度を制御するためのコールド及び/又はホットプレートとして役立つことができる。印字ヘッドを通じて電気信号を送るためにシリコンを通るビアホールを使用する場合、バネ付きのチップが印字ヘッドレイアウトに従って印字ヘッドホルダーに埋め込まれてよい。小さい力は、印字ヘッドの変形を防ぐために重要であり得る。印字ヘッドへの漏出防止流体接続は、バネ付きPTFEシールによって達成することができるが、封止は軸方向に実施されることが好ましい。
一般に、吐出された液滴は、それらを生じるノズルよりもかなり小さいことがあり得る。液体の蓄積を防ぐために、一度に1滴だけ基板の上に堆積することが好ましい。しかし、これは、空気に露出している液体領域が、平均して堆積した液滴よりも凸型のメニスカスで大きいことを意味する。その結果として、液滴吐出によるよりも凸型のメニスカスの蒸発によって、一般により高い体積の液体流に直面することになる。印刷の過程で、これは、1又は複数の液体供給リザーバあるいは追加の液体供給リザーバにそれぞれ供給される保存液中の固体材料濃度よりも吐出液滴で高い固体材料濃度をもたらし得る。
それは、前記濃度の濃厚化の量が最後には平衡化した終濃度となる場合には、説明され得るが、依然として異なるノズル間の濃度の違いは存在し得る。しかし、アイドル時間中の濃度の濃厚化はより厳しい結果であり得る。これは、ノズルがある時間アイドル状態であった場合に、吐出の最初のサイクル中の急速な詰まり又は高度に濃縮した液滴の吐出を引き起こし得る。
そのような濃度の濃厚化、したがって液滴の詰まり、又は高度に濃縮された吐出を防ぐために、印字ヘッドと基板の両方は、加熱及び/又は冷却源と良好に熱接触させることができる。そのような加熱及び/又は冷却源は、ペルチェ素子又は当業者に公知の別の実施形態で作製されてよい。そのような加熱及び/又は冷却源は、それぞれ、加速電極ホルダー及び印字ヘッドホルダーと統合されることが好ましい。冷却及び/又は加熱作用は、互いに対向する印字ヘッドの面と基板の面が、必要なだけ温度が異なるように選択されることが好ましく、この際、高いほうの温度が基板に加えられることが好ましい。特に、温度差は0〜100℃の間で調節されてよく、好ましくはそれは0〜50℃の間、より好ましくは0〜20℃の間で調節される。その上、いずれの個々の絶対的な温度も、凍結が起こる温度よりも高く選択されることが好ましい。さらに、印字ヘッドの絶対的な温度は、好ましくは液体が沸騰し始めないように選択される。使用する液体に応じて、そしてさらに好ましくは、温度は絶対値で調整されてよい。例えば、基板表面は20℃で印字ヘッド表面は10℃であってよい、あるいは基板表面は50℃で印字ヘッド表面は40℃であってよい。両方の例では、温度差は10℃であるが、絶対的な温度は異なる。最後に、絶対的な温度ならびに温度差は、凝結のために、基板又は印字ヘッドにそれぞれ液体の蓄積がないように選択することが好ましい。
印字ヘッド及び印字ヘッドホルダーは、ナノポジショナー、マイクロポジショナー又は両方の組合せを含むか又はそれからなる制御装置に搭載することができる。ナノポジショニングシステムは、ここでは高い位置精度、滑らかな動きを提供するが、駆動範囲の制限されたシステムとして理解することができる。マイクロポジショニングシステムは、ここでは、より低い位置精度、あまり滑らかでない動きではあるが、広い駆動範囲を提供するシステムとして理解することができる。制御装置が1又は複数のマイクロポジショナーと1又は複数のナノポジショナーの組合せとして作製される場合、後者は一般に、印刷の過程で基板に対して印字ヘッドを動かすために用いられ、一方、前者の主目的は印字ヘッドと基板との間の初期アライメントの実施であり、印刷中の動作の実施に使用されないことが好ましい。ナノポジショニングシステムは、速い加速、走査速度及び減速度から生じ得る高い慣性力に耐えるために剛性であることが好ましい。好ましくは、フレクシャガイドシステムを備えたピエゾ駆動システムを使用する。マイクロポジショナーは、ステッピングモータ、リニアモータ、直流モータなどによって作動させることができる。制御装置は、x、y及びz方向の並進のための少なくとも3つの自由度(DOF)を提供することができる。好ましくは、それは追加のチップ及びチルト補正のために5つのDOFを提供することができ、より好ましくは、それは追加の回転補正のために6つのDOFを提供することができる。制御装置がナノポジショナーとマイクロポジショナーの組合せである場合、これらのDOFのあるものは、前記デバイスの1つによってのみ満たされてもよいし、又はそれらの両方によって実施されてもよい。制御装置は、それぞれ、1又は複数の液体供給システム、1又は複数の追加の液体供給システム及び電気接続のためのフィードスルーの開口部を含んでよい。
基板に対する印字ヘッドの距離及び位置制御は、センサによって、特に印字ヘッドの上に配置することのできる容量式フリンジフィールドセンサによって、測定することができる。容量式センサは、好ましくは、基板に対して印字ヘッド表面の三次元配向を測定する可能性を提供するために、印字ヘッド表面の下側の領域の少なくとも3つの異なる位置で、すなわち基板に面している印字ヘッドの側に形成される。センサは、好ましくは、信号の違いを最大化するために印字ヘッドの遠い端部に置かれる。センサの読み出しは、シグマ・デルタ原理を使用して、正確な容量・デジタル(CDC)変換器によって、又は、同期復調器を使用することによって達成することができる。測定した距離に基づいて、基板に対して印字ヘッドを正確に配置するために制御装置を使用することができ、この際、正確な配置とは、印字ヘッドがその表面の下側の領域のあらゆる位置で基板から同じ分離間隔を有することを意味し、最大の偏差は、好ましくは50μm未満、より好ましくは10μm未満である、しかし、例えば反りなどの印字ヘッド及び基板表面の固有の偏差は免除される。
流体吐出の容積速度は、引き出し電極とノズルに含まれる液体との間に印加された電圧の調整によって簡単に制御することができる。しかし、液体吐出の質量流量は、一般に印加された電位の単調関数ではない。印加された絶対電圧に応じて、前記絶対電圧のさらなる増加は、少なくともノズルがナノドリッピングモードで動作する場合に、より高いか又はより低い質量流量をもたらすことがある。しかし、いくつかの場合に、吐出流量は、適用可能な電圧範囲で高すぎたり低すぎたりすることがある。例えば、液体は、ナノドリッピングモードではなく、いわゆるコーン・ジェット・モードで操作され得、それは前者のモードよりも非常に大きい質量流量をもたらす。コーン・ジェット・モードは、NanoDrip印刷操作の好ましいモードではないので、ナノドリッピングモードが得られるまで質量流量を減らすことが試みられるべきである。電圧調整が意図したモード変更をもたらさない場合、モード変更は液体供給リザーバの内部の液体の圧力を全体的に適合させることによって達成してよい。例えば、全範囲の電圧において、液体がナノドリッピングモードではなくコーン・ジェット・モードで吐出される場合、陰圧、すなわち周囲の圧力よりも低い圧力を、液体供給リザーバの内部に含まれる液体に加えることによって、ナノドリッピングモードへの変更の誘導を試みることができる。
特に、流体供給ユニットは、1又は複数の液体供給リザーバに、及び/又は1又は複数の液体供給流路に、漏出防止流体接続によって取り付けることができ、1又は複数の液体供給リザーバ内及び液体供給流路内の圧力を減少又は増加させるのに適している。
可変圧力は、このように、可変圧力状態の空気を供給する市販のフィードバック制御されたシステムによって加えることができる。あるいは、そのようなシステムは、例えばシリンジポンプを使用することによって、圧力の代わりに質量流量を直接制御することがある。
以下に、好ましい実施形態を提示する:
図1は、液体供給リザーバ(41)からの液体(42)を基板(2)の上に堆積させるための印字ヘッド(1)の断面図を示す(図12参照)。この第1の実施形態では、印字ヘッド(1)は、ストップ層(5)、デバイス層(6)及び第1の絶縁体層(7)を含む層構造を含む。第1の引き出し電極(8)は、第1の絶縁体層(7)の上に配置されている。第1のノズル(3)は、層構造の中に形成され、リング溝(31)は、デバイス層(6)の中に形成される。第1の絶縁体層(7)に形成される吐出流路(37)は、ノズル(3)を基板(2)に向かって開放する。第1のノズル(3)は、層構造の中を延伸しているノズル開口部(34)を有する。リング溝(31)は、外側のリング溝壁(35)及び内側のリング溝壁(36)によって半径方向に範囲が定められている。ノズル開口部(34)及びリング溝(31)は、環状のノズル壁(32)によって分離され、それは基板(2)に面する先端部表面(33)を規定する。内側のリング溝壁(36)は、したがって環状のノズル壁(32)の外側表面に一致する表面に対応する。吐出流路(37)の形成により、環状のノズル壁(32)はその先端部表面(33)で第1の絶縁体層(7)から離れている。アイドル液体メニスカス(44)は、内側の環状のノズル壁(32)表面のノズル開口部(34)に形成され、好ましくは毛管作用により、液体供給リザーバ(41)から内側のノズル壁(32)に沿ってノズル開口部(34)に向かって液体(42)を送る。液滴(43)の形態でノズル開口部(34)を通じて液体(42)を吐出する前に、液体電位に対するデバイス電位を、デバイス層(6)に印加すると、ノズル開口部(34)の領域で液面の凸型のメニスカス(45)を形成することができる。加速電極(9)は基板(2)の下方に置かれ、吐出した液滴(43)を基板(2)に向かって加速させる(図12参照)。印字ヘッドの表面(1)は、電気が空気を突破し絶縁破壊を起こすことを防ぐ保護コーティング(301)でコーティングされる。液体と接触している印字ヘッド(1)の全ての表面は、さらに、表面コーティング(300)でコーティングされる。液体(42)との接触を良好にするために、液体供給リザーバ(41)の表面は、好ましくは化学的に不活性の導電性材料でコーティングされてよく、より好ましくはそれは金又は白金材料である(図示せず)。例えば、そのような導電性コーティングは、液体供給リザーバ(41)の側壁の上に堆積され、ノズル(3)の内部の管状の表面に延伸することができる。好ましくは、そのような導電性コーティングは、ノズル壁の内部表面を部分的に又は完全にコーティングする。
図2は、さらなるノズル(3’)が、層構造に形成されている、第2の実施形態による印字ヘッド(1)の断面図を示す。層構造には、第1の絶縁体層(7)の上に配置されるさらなる絶縁体層(71)が含まれる。さらなる引き出し電極(81)は、さらなる絶縁体層(71)の上に配置される。この特定の例では、隣接する第1のノズル(3)は、さらなるノズル(3’)よりも直径が小さい。第1の引き出し電極(8)は、第1の絶縁体層(7)の上に配置され、さらなる絶縁体層(71)によってカバーされ、第1のノズル(3)を囲む。引き出し電位を第1の引き出し電極(8)に印加することによってのみ、第1のノズル(3)から液滴(43)が吐出され、引き出し電位をさらなる引き出し電極(81)に印加することによってのみ、さらなるノズル(3’)から液滴(43)が吐出されるが、それぞれ、引き出し電極の引き出し電位が最小吐出電圧を上回る場合に限る。
図3は、遮蔽層(10)が末端絶縁体層(72)の上に配置されている、第3の実施形態による印字ヘッド(1)の断面図を示す。遮蔽層(10)は、第1の引き出し電極(8)の上方に延在し、ノズル開口部(34)の上部を中心とする遮蔽開口部を有する。
図4は、層構造が、さらなる絶縁体層(71)の上に配置されている末端絶縁体層(72)を含む、第4の実施形態による印字ヘッド(1)の断面図を示す。均質化引き出し電極(82)がさらなる絶縁体層(71)の上に配置され、末端絶縁体層(72)によってカバーされ、第1のノズル(3)を囲む。第1の引き出し電極(8)は、第1の絶縁体層(7)の上に配置され、遮蔽層(10)は、末端絶縁体層(72)の上に配置されている。
図5は、第5の実施形態による印字ヘッド(1)の断面図を示し、ここでは第1の引き出し電極(8)が電極延長部(83)によって延長され、電圧信号を供給する導電路(84)が、さらなる絶縁体層(71)の上に配置され、電極延長部(83)との容量結合によって電気的に浮遊する引き出し電極(8)と容量的に接触する。その上、遮蔽層(10)は、末端絶縁体層(72)の上に配置されている。
図6は、図5に示される実施形態で使用される第1の引き出し電極(8)の電極延長部(83)の平面図を示す。この例では、電極延長部は、90°の角を含む直線に相当し、これは、例えば、印字ヘッド(1)の層構造にも含まれる他のノズル(3、3’)又は他の引き出し電極(8、81)を通過することを可能にする。この図は電極延長部(83)の上方に延在する導電路(84)も示す。
図7は、引き出し電極(8、81)と電気的に接触するために前記引き出し電極(8、81)に取り付けられている2つの電圧供給導電路(84、84’)の平面図を示す。2つの導電路(84、84’)は、互いに対向するように配置されている。ここで、導電路(84、84’)は引き出し電極(8、81)と直接接触しているのに対し、図5及び6では、導電路(84)は引き出し電極に取り付けられていないが、電極延長部(83)と容量的に結合している。
図8は、層構造がエッチストップ層(200)をさらに含む、第6の実施形態による印字ヘッド(1)の断面図を示す。エッチストップ層(200)は、デバイス層(6)と第1の絶縁体層(7)との間、及びノズルの先端部表面(33)に配置されている。急激な遷移の形状を持つ接触角不連続部(201)は、エッチストップ層(200)の下の外側のノズル壁(32)表面を横方向にアンダーエッチングすることによってエッチストップ層(200)に形成される。接触角不連続部(201)は、リング溝(31)が液体(42)によってぬれることを回避するために使用される。
図9は、層構造が、デバイス層(6)と第1の絶縁体層(7)との間に配置され、電圧降下をもたらさずにデバイス層(6)への電位の分布を改善する、導電性デバイスコーティング(62)を含む、第7の実施形態による印字ヘッド(1)の断面図を示す。デバイスコーティング(62)は、ノズルの先端部表面(33)を覆ってもよい。デバイスコーティング(62)は、エッチストップ層(201)と組み合わされてよく、その場合、デバイスコーティング(62)が最初に堆積されるべきである、すなわち、デバイスコーティング(62)は、良好な電気的接触をもたらすためにデバイス層(6)の上に配置される、さらにその場合、エッチストップ層(201)はデバイスコーティング(62)と第1の絶縁体層(7)との間に配置される(図示せず)。デバイスコーティング(62)及びエッチストップ層(201)は、デバイスコーティングとエッチストップ層の両方の要求を満たす同じ材料で作製することができ、その場合、それらは本質的に単一の層に併合される。
図10は、それぞれ、2つの部分(左側)と3つの部分(右側)に分割された引き出し電極の平面図を示す。特に、環状の引き出し電極(8、81)、すなわち環状電極は、半環状の形状の、2つの電極部分(85、85’)及び3つの電極部分(85、85’、85’’)にそれぞれ分割され、それらは均等に配置され、それらの対向する端部間、すなわち隣接する部分の端部間の横方向の分離を囲む。
図11は、2つの液体供給層(4、4’)がストップ層(5)の上方に配置されている、印字ヘッド(1)を通る断面を図示する概略図を示す。ストップ層(5)に隣接して配置される液体供給層は、印字ヘッド(1)の層構造に形成されたノズル(3、3’)のノズル開口部(34)と液絡している液体供給リザーバ(41)を形成する(図示せず)。前記液体供給層の上部に配置される第2の液体供給層は、液体供給流路(46)を形成し、その液体供給流路に、ノズル開口部(34)からの液滴(43)の吐出に関連する容積速度を調節することのできる流体供給ユニット(400)に液体供給流路を接続する漏出防止流体接続(47)によって液体(42)が導入される。
図12は、真空クランプを用いて加速電極(9)上に基板(2)が固定されている、電気流体力学的印字ヘッドシステムの概略図を示す。排気ユニット(92)が加速電極(9)に取り付けられ、穴(91)を真空にするために使用する場合には、加速電極(9)の上の基板(2)の固定を可能にする穴(91)が加速電極(9)に開けられる。加速電極(9)は、制振をもたらし、例えばペルチェ素子によって加熱又は冷却することのできる、加速電極ホルダー(93)に機械的に取り付けられる。印字ヘッド(1)は、印字ヘッドホルダー(401)に取り付けられる。印字ヘッド(1)及び印字ヘッドホルダー(401)は、少なくとも3つの自由度x、y及びz方向の並進のために適し、好ましくはチップ及び/又はチルト及び/又は回転運動にも適する位置決めシステム(403)に搭載される。印字ヘッド(1)の上に配置されるセンサ(402)は、印字ヘッドの温度を測定し、基板(2)と印字ヘッド(1)との間の距離を測定し、測定したデータを温度及び距離の測定値のフィードバック制御適応のために使用する制御装置に接続することができる。温度センサ(図示せず)は、加速電極ホルダーに統合されてもよく、加速電極ホルダーの熱制御によって基板温度の測定及び近似制御を可能にするために制御装置に接続されてもよい。
これらの図面は、特定の配置及び個数の引き出し電極、層、などを備える印字ヘッドの個別の実施形態を示すが、特定の印字ヘッドが上記の特徴の任意の望ましい組合せを含む、多数のその他の構成が可能である。
1 印字ヘッド
2 基板
3 第1のノズル
3’ さらなるノズル
31 リング溝
32 環状のノズル壁
33 先端部表面
34 ノズル開口部
35 外側のリング溝壁
36 内側のリング溝壁
37 吐出流路
4 液体供給層
41 液体供給リザーバ
42 液体
43 液滴
44 アイドルメニスカス
45 凸型のメニスカス
46 液体供給流路
47 漏出防止流体接続
5 ストップ層
6 デバイス層
62 デバイスコーティング
7 第1の絶縁体層
71、71’ さらなる絶縁体層
72 末端絶縁体層
8 第1の引き出し電極
81 さらなる引き出し電極
82 均質化電極
83 電極延長部
84、84’ 導電路
85、85’、85’’ 電極部分
9 加速電極
91 穴
92 排気ユニット
93 加速電極ホルダー
10 遮蔽層
200 エッチストップ層
201 接触角不連続部
300 表面コーティング
301 保護コーティング
400 流体供給ユニット
401 印字ヘッドホルダー
402 センサ
403 位置決めシステム
500 層構造


Claims (19)

  1. 液体(42)を基板(2)に堆積させるための印字ヘッド(1)であって、該印字ヘッド(1)は、次の層:
    −誘電性材料で作製されたストップ層(5);
    −該ストップ層(5)の上に堆積されたデバイス層(6)であって、該デバイス層(6)が好ましくは導電性である、デバイス層(6);
    −誘電性材料で作製され、該デバイス層(6)の上に堆積された第1の絶縁体層(7);
    を、吐出方向にこの順序で含む層構造を含み、
    少なくとも1つの第1のノズル(3)は、該層構造中に形成され、該第1のノズル(3)は該液体(42)を吐出するためのノズル開口部(34)を有し、該ノズル開口部(34)は該層構造の中を延伸し、
    リング溝(31)は、該デバイス層(6)中に形成され、該リング溝(31)は該第1のノズル(3)を放射状に取り囲み、該デバイス層(6)から好ましくは該ストップ層(5)までずっと延伸し、
    該ノズル開口部(34)及び該リング溝(31)は、環状のノズル壁(32)によって放射状に分離され、該環状のノズル壁は先端部表面(33)を有し、
    吐出流路(37)は、該第1の絶縁体層(7)中に形成され、該吐出流路(37)は該第1のノズル(3)を中心とし、該第1の絶縁体層(7)から該ノズルの該先端部表面(33)までずっと延伸し、そして
    第1の引き出し電極(8)は、該第1の絶縁体層(7)の上に配置され、該第1のノズル(3)を囲む、印字ヘッド(1)。
  2. 前記環状のノズル壁(32)がノズル直径を規定する外周面を有し、該ノズル直径の半分がノズル半径を規定し、そして
    前記リング溝(31)が、該ノズル半径の半分と該ノズル半径の10倍との間、好ましくは該ノズル半径の1倍と該ノズル半径の4倍との間から選択される幅を有する、請求項1に記載の印字ヘッド(1)。
  3. 前記第1の引き出し電極(8)が、前記吐出流路(37)を放射状に囲む環状部分を有する、請求項1又は2に記載の印字ヘッド(1)。
  4. 前記第1の引き出し電極(8)の前記環状部分が電極幅を規定し、該電極幅が、前記第1のノズル(3)の前記ノズル半径の半分と前記ノズル半径の10倍との間、好ましくは前記ノズル半径の1倍と前記ノズル半径の4倍との間である、請求項3に記載の印字ヘッド(1)。
  5. 前記第1の引き出し電極(8)と電気的に接触するために、少なくとも1つの導電路(84)が前記第1の引き出し電極(8)に取り付けられ、該導電路(84)が、好ましくは、前記第1の引き出し電極の少なくとも近傍で、前記第1の引き出し電極(8)の前記電極幅よりも小さい幅を有し、好ましくは、前記ノズルに生成された電場で対称性を生成するために、該少なくとも1つの導電路(84)の反対側に、もう1つの導電路(84’)が前記第1の引き出し電極(8)に取り付けられる、請求項4に記載の印字ヘッド(1)。
  6. 少なくとも1つのさらなるノズル(3’)が前記層構造に形成される、請求項1〜5のいずれかに記載の印字ヘッド(1)。
  7. 前記さらなるノズル(3’)が、前記第1のノズル(3)よりも大きい直径を有する、請求項6に記載の印字ヘッド(1)。
  8. 前記層構造が、少なくとも1つのさらなる絶縁体層(71)を含み、該少なくとも1つのさらなる絶縁体層(71)が、前記吐出方向に前記第1の絶縁体層(7)の上に配置され、該少なくとも1つのさらなる絶縁体層(71)が、前記少なくとも1つの第1のノズル(3)及び/又は前記少なくとも1つのさらなるノズル(3’)の位置に開口部を形成し、該開口部が前記吐出流路(37)を延伸する、請求項6又は7に記載の印字ヘッド(1)。
  9. さらなる引き出し電極(81)をさらに含み、該さらなる引き出し電極(81)が前記さらなる絶縁体層(71)又は前記第1の絶縁体層(7)の上に配置され、該さらなる引き出し電極(81)が前記さらなるノズル(3’)を囲む、請求項8に記載の印字ヘッド(1)。
  10. 少なくとも1つの均質化電極(82)が、前記さらなる絶縁体層(71)の少なくとも1つの上に配置され、該少なくとも1つのさらなる絶縁体層が、前記第1の引き出し電極又は前記さらなる引き出し電極(81)の上に、前記吐出方向に配置され、該少なくとも1つの均質化電極(82)が、前記吐出流路(37)の直径以上の内径を有する、より好ましくは、それぞれ前記第1の引き出し電極(8)又は前記さらなる引き出し電極(81)の内径以上の内径を有する環状電極として、それぞれ前記第1のノズル(3)及び/又は前記さらなるノズル(3’)を囲む、請求項8又は9に記載の印字ヘッド(1)。
  11. 前記層構造が、末端絶縁体層(72)を含み、該末端絶縁体層(72)が、前記第1の絶縁体層(7)又は前記ストップ層(5)から前記吐出方向に最も遠い距離に配置されるさらなる絶縁体層(71)のいずれかの上に配置され、該末端絶縁体層(71)が、前記吐出方向に前記吐出流路(37)を延伸する開口部を形成し、
    遮蔽層(10)が、該末端絶縁体層(72)の上に配置され、該遮蔽層(10)が導電性であり、好ましくは連続層として形成され、該遮蔽層が、前記吐出流路(37)を囲むが、前記第1の引き出し電極及び又は及び/又は前記さらなる引き出し電極のそれぞれの環状部分の外径よりも直径が小さい円形の開口部を有し、該遮蔽層が、少なくとも前記第1の引き出し電極及び又は及び/又は前記さらなる引き出し電極を越えて、放射状に延伸する、請求項1〜10のいずれかに記載の印字ヘッド(1)。
  12. 前記第1の引き出し電極(8)及び/又は前記さらなる引き出し電極(81)及び/又は前記均質化電極(82)が、電極延長部(83)によって延伸され、該電極延長部(83)が好ましくは直線として形成され、
    該電極延長部(83)の幅が、好ましくは、それぞれ、前記第1の引き出し電極(8)及び/又は前記さらなる引き出し電極(81)及び/又は前記均質化電極(82)の電極幅以下であり、
    電圧信号を供給する導電路(84)が、該電極延長部(83)の上に堆積される前記さらなる絶縁体層(71)の上に配置され、該導電路(84)が該電極延長部(83)と容量結合し、好ましくは前記ノズル開口部(34)からの半径方向距離が、前記第1の引き出し電極(8)及び/又は前記さらなる引き出し電極(81)及び/又は前記均質化電極(82)のそれぞれの環状部分の外周から、前記ノズル開口部(34)までの距離よりも大きく、該少なくとも1つの導電路(84)の幅が、該電極延長部(83)と該導電路(84)との間の容量結合を改善するために、好ましくは該電極延長部(83)の幅よりも広い、請求項4及び請求項8〜11のいずれかに記載の印字ヘッド(1)。
  13. 前記第1のノズル(3)及び/又は前記さらなるノズル(3’)の前記先端部表面(33)に配置され、好ましくは前記デバイス層(6)と前記第1の絶縁体層(7)との間にも配置される、エッチストップ層(200)をさらに含み、該エッチストップ層(200)が、エッチング耐性で好ましくは誘電性材料、又は前記デバイス層(6)と前記第1の絶縁体層(7)との間に配置されたデバイスコーティング(62)を含み、該デバイスコーティング(62)が、導電性材料、好ましくは金属を含み、
    急な変化の形の接触角不連続部(201)が該エッチストップ層(200)に、又は、前記リング溝(31)の領域の該デバイスコーティング(62)に形成されて、前記液体(42)による前記リング溝(31)のぬれを回避する、請求項1〜12のいずれかに記載の印字ヘッド(1)。
  14. 前記第1の引き出し電極(8)が、少なくとも2つの部分(85、85’)に、好ましくは少なくとも3つの部分(85、85’、85’’)に分割される請求項1〜13のいずれかに記載の印字ヘッド(1)。
  15. 前記ストップ層(5)の下に配置された少なくとも1つの液体供給層(4)をさらに含み、該少なくとも1つの液体供給層(4)が、1又は複数の液体供給リザーバ(41)及び/又は前記ノズル開口部(34)と液絡している1又は複数の液体供給流路(46)を形成する、請求項1〜14のいずれかに記載の印字ヘッド(1)。
  16. 前記印字ヘッド(1)の表面の少なくとも一部が保護コーティング(301)でコーティングされ、該保護コーティング(301)が、誘電性材料で作製され、周囲のガス環境による絶縁破壊を防ぎ、及び/又は
    前記印字ヘッド(1)の表面の少なくとも一部が、表面コーティング(300)でコーティングされ、好ましくは少なくとも、前記印字ヘッドの前記ノズル開口部を越えた前記基板に面する側のすべての表面にコーティングされ、該表面コーティング(300)が撥液性であり、好ましくはポリマー及び/又は有機材料を含み、より好ましくはポリテトラフルオロエチレンを含む、請求項1〜15のいずれかに記載の印字ヘッド(1)。
  17. 請求項1〜16のいずれかに記載の印字ヘッド(1)及び加速電極(9)を含む電気流体力学的印刷システムであって、該加速電極(9)が、前記吐出方向に該印字ヘッド(1)から間隔を置いて配置されている、電気流体力学的印刷システム。
  18. 請求項17に記載の電気流体力学的印刷システムを使用する、液体(42)の基板(2)への電気流体力学的印刷の方法であって、前記方法が、任意順序で:
    i)該液体(42)を前記ノズル開口部(34)に供給する工程であって、該供給された液体(42)が好ましくは電気的に接地されている、工程と;
    ii)任意選択で、前記ノズルに前記電場を形成するために、及び/又は前記ノズル開口部(34)の領域に液体表面の凸型のメニスカス(44)を形成するために、デバイス電位を前記デバイス層(6)に印加する工程であって、該液体(42)の電位に対する該デバイス電位がゼロであるか又は液滴(43)の吐出に必要な最小電圧よりも小さい、工程と;
    iii)引き出し電位を前記引き出し電極(8、81)の少なくとも1つに印加する工程であって、該液体(42)の電位に対する、該印加された引き出し電位が、該凸型のメニスカス(45)からの液滴(43)の吐出に必要な該最小電圧に等しいか又はそれより大きい、工程と;
    iv)任意選択で、該吐出された液滴(43)の前記吐出流路(37)での横方向の偏向が少なくなるように、均質化電位を前記均質化電極(82)に印加する工程と;
    v)任意選択で、該吐出された液滴(43)の前記吐出流路(37)及び前記吐出流路(37)の外側の領域での横方向の偏向が少なくなるように、遮蔽電位を前記遮蔽電極(10)に印加する工程と;
    vi)該吐出された液滴(43)が該基板(2)に向かって加速されるように、加速電位を前記加速電極(9)に印加する工程と
    を含み、
    1又は複数の上記工程が、同時に実行され得る、方法。
  19. 前記液体(42)の電位に対する前記印加されたデバイス電位が、液滴の吐出の間の前記供給された液体(42)の電位に対する前記印加された引き出し電位とは異なる極性を有し、及び/又は
    前記液体電位に対する前記遮蔽層(10)に印加された前記遮蔽電位が、前記液体電位に対する前記引き出し電極(8、81)に印加された前記引き出し電位よりも小さい強度を有し、前記液体電位に対する前記均質化電極(82)に印加された前記均質化電位が、液滴の吐出の間の前記液体電位に対する前記引き出し電極(8、81)に印加された前記引き出し電位よりも小さい強度を有し、及び/又は
    該液滴(43)の吐出に関連する容積速度が、流体供給ユニット(400)によって調節される、
    請求項18に記載の方法。

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