JPH09241833A - フォトマスクブランク用遮光膜の製造方法 - Google Patents

フォトマスクブランク用遮光膜の製造方法

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JPH09241833A
JPH09241833A JP8049761A JP4976196A JPH09241833A JP H09241833 A JPH09241833 A JP H09241833A JP 8049761 A JP8049761 A JP 8049761A JP 4976196 A JP4976196 A JP 4976196A JP H09241833 A JPH09241833 A JP H09241833A
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plasma
film
vacuum space
chromium
light
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JP8049761A
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Makiko Ooyamaguchi
まき子 大山口
Koichi Sasagawa
孝市 笹川
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Nikon Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ピンホールが少なく所望の特性の遮光膜を効
率よく形成できるフォトマスクブランク用遮光膜の製造
方法を提供する。 【解決手段】 真空容器6内の第2の真空空間52中の
保持部19にクロムを載置する。プラズマ生成手段(電
子銃)50によりプラズマ生成室(第1の真空空間)5
1にて導入された放電ガスのArをアーク放電によりプ
ラズマ化し、プラズマを生成する。このプラズマを第1
の真空空間51よりも低い圧力の第2の真空空間52に
プラズマ流13として導入し、プラズマ中の電子を保持
部19のクロムに照射する。蒸発したクロムは、第2の
真空空間52のプラズマ中を通ることによりイオン化
し、非加熱で100℃以下の低温のガラス基板12上に
至り、クロム膜を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧力勾配型プラズ
マ生成手段から発生したプラズマを用いたアーク放電型
イオンプレーティングを利用したフォトマスクブランク
用遮光膜の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】半導体集積回路の製造工程においては、
フォトレジストを塗布したシリコンウェハ等の半導体基
板に所定のパターンを形成するために、所定のパターン
を有するフォトマスクが用いられる。このフォトマスク
を製作するための基板としてフォトマスクブランクが用
いられている。フォトマスクブランクは、石英硝子など
の透光性基板上にクロム膜を遮光膜として形成したもの
である。
【0003】このクロム膜を形成する方法としては、真
空蒸着法、イオンビームアシスト法、マグネトロン型ス
パッタリング法などが知られている。一般に、フォトマ
スクブランクの遮光膜は、ピンホールがないこと、基板
との密着性が良いこと、所定の反射率,光学濃度,膜
厚,エッチングレートが得られることなどが要求され
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来の
方法ではピンホールが多いなど所望の特性のクロム膜を
効率良く成膜することができなかった。
【0005】即ち、真空蒸着を用いた場合、適度な光学
濃度とエッチングレートを得ることは可能だが、蒸発物
質がイオン化することなく基板に堆積するので、膜の密
度が低くガラス基板との密着性も悪く、ピンホールが多
く発生してしまう。
【0006】イオンビームアシスト法はイオンを基板に
照射し、ガラス基板と遮光膜との密着性を向上させ、薄
膜の高密度化が期待できる成膜方法ではあるが、薄膜の
密度・密着性ともに不十分であり、やはりピンホールが
多く発生していた。
【0007】マグネトロン型スパッタリング法ではピン
ホールの少ないクロム薄膜を形成することができる。し
かし、不均一なスパッタにより不均一な膜厚分布を起こ
しやすく、更に装置構成上、光学式膜厚計の設置が難し
いことから、膜厚を高精度で制御することは難しく適度
な光学濃度を再現良く得ることは困難だった。また、量
産性の点でも成膜レートが遅いといった問題点があっ
た。
【0008】また、遮光膜としてクロム薄膜を成膜する
場合、クロムは昇華性が高く、スプラッシュを発生し易
い。ところが、上記従来の薄膜形成方法では、基板を2
00℃や300℃程度に加熱するため、スプラッシュが
付きやすく、更に膜表面に付いたスプラッシュが高温基
板の熱により強固に付着し、スプラッシュ部分の膜が成
膜後の水洗工程などで大きくとれてピンホールを発生し
てしまうという問題があった。
【0009】本発明はこのような従来の問題点を解決す
るもので、ピンホールが少なく所望の特性の遮光膜を効
率よく形成できるフォトマスクブランク用遮光膜の製造
方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、ガラス基板上にクロム又はクロム化合物
の遮光膜を形成するフォトマスクブランク用遮光膜の製
造方法であって、所定の圧力に設定された第1の真空空
間中でアーク放電によりプラズマを生成し、形成する膜
に対応した蒸発物を前記第1の真空空間よりも低い圧力
に設定された第2の真空空間に設置し、この第2の真空
空間中に設置された前記蒸発物に、前記第1の真空空間
から第2の真空空間に導入した前記プラズマを照射し、
第2の真空空間中で前記ガラス基板の温度を100℃以
下にして遮光膜を形成するようにしたものである。
【0011】所定の圧力に設定された第1の真空空間中
でアーク放電によりプラズマを生成し、このプラズマを
前記第1の真空空間よりも低い圧力に設定された第2の
真空空間に導入する圧力勾配型プラズマ生成手段を用い
たアーク放電型イオンプレーティングによってガラス基
板上にクロム膜またはクロム化合物膜を製造すると、良
好な遮光膜が効率よく形成されることが分かった。
【0012】これは、前記プラズマ生成手段によって前
記第2の真空空間中に導入したプラズマの密度が高く、
しかも第2の真空空間内で薄膜を形成する位置(基板を
設置する位置)付近の電離度が高いことから、蒸発物質
のイオン化の割合が多いためと考えられる。また、前記
第2の真空空間内が高真空であるため、形成する遮光膜
の膜中への不純物(薄膜構成物質以外の粒子等)の混入
が抑制され、遮光膜が所望のバルク密度に近い値を有す
るためと考えられる。
【0013】また、クロムは昇華しやすくスプラッシュ
を起こしやすいが、ガラス基板温度を100℃以下と低
温に設定したため、基板にスプラッシュ(パーティク
ル)が付きにくく、しかも基板上の膜表面に付着したパ
ーティクルが焼きつかずピンホール等の欠陥となりにく
い。また、基板が低温であり加熱を行なわなくてもよい
ので、ガラス基板表面の温度ムラがほとんどなく、均一
の膜質を容易に再現性良く得られる。
【0014】更に、排気系からのオイルバックが遮光膜
のピンホール発生の一因であるとの知見が得られた。こ
のため、前記第1及び第2の真空空間の排気手段として
ターボ分子ポンプ等のオイルフリーのポンプを用いる
と、排気系からのオイルが膜中に取り込まれることがな
くなり、ガラス基板上の遮光膜のピンホールは著しく減
少する。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に、本発明に係るフォトマス
クブランク用遮光膜の製造方法を添付図面にしたがって
説明する。図1は、本発明を実施する際に使用した薄膜
形成装置(アーク放電型イオンプレーティング装置)の
概略構成図である。
【0016】この薄膜形成装置は、蒸発源(蒸発物)を
載置する保持部19を有する蒸発源保持手段7、この保
持手段7近傍に設置されたプラズマ収束用永久磁石8、
ガラス基板12を支持する回転可能な基板ホルダ18、
ガラス基板12上に形成された薄膜の膜厚を測定する水
晶振動子からなる膜厚モニタ17、蒸発源からの蒸発粒
子がガラス基板12に到達するのを防ぐシャッタ15と
を備え、これら各構成要素が第2の真空空間52を区画
形成するステンレス(SUS304)製の真空容器6内に設置
されている。さらに、真空容器6の側壁には、前記蒸発
源を加熱する電子を含むプラズマを生成するプラズマ生
成手段(電子銃)50が真空容器6に気密に連通させて
取り付けられており、この生成手段50と真空容器6と
の接続部には、プラズマに外部から磁場を与えるための
空芯コイル14が設けられている。また、基板ホルダ1
8およびこれに載置されるガラス基板12の電位が蒸発
源保持手段7の電位に対して負の電位となるようにする
ためのバイアス電源11を備えている。
【0017】蒸発源保持手段7は、図示省略の水冷機構
を有すると共に、プラズマ生成手段50の陽極を兼ねて
いる。また、前述のようにバイアス電源11によって基
板ホルダ18よりも高電位となるように構成される。こ
の蒸発源保持手段7上部の保持部(るつぼ)19には、
複数種類の蒸発物を載置できるように複数の凹部が形成
されており、各凹部の蒸発物に選択的にプラズマが照射
されるように保持手段7の保持部19を回転させる選択
手段21が設けられている。選択手段21は、成膜を行
わない保持部19の蒸発物にプラズマが照射されないよ
うに、所定位置に切欠きが形成されたカバー等の遮蔽手
段20を有する。
【0018】真空容器6には、容器6内のガスを吸引排
気するための排気手段の排気口9が設けられている。排
気手段は、この排気口9に接続された排気系に設けられ
たトラップを備えた油拡散ポンプ及び油回転ポンプ、補
助バルブ、粗引きバルブ(いずれも図示省略)およびメ
インバルブ16等から構成される。また、真空容器6に
は、容器6内にN2等の反応ガスを供給する反応ガス供
給口10が設けられており、この反応ガス供給口10に
は、反応ガスを容器6内に導入するための反応ガス供給
手段(図示せず)が接続されている。
【0019】図2は、薄膜形成装置の前記プラズマ生成
手段50の陰極部側を拡大したもので、プラズマ生成手
段50としては、「真空;第25号,第10巻」に記載され
ているような、複合陰極を用いた圧力勾配型プラズマ生
成装置を使用した。
【0020】このプラズマ生成手段50は、一端に配置
され主陰極2及び補助陰極23を備える陰極部、石英管
22、環状の永久磁石を内蔵した第1の中間電極3、第
2の空芯コイルを内蔵した第2の中間電極4(図1参
照)、蒸発源保持手段を兼ねる陽極7(図1参照)、お
よび主放電電源5(図1参照)とを有している。第1の
中間電極3の永久磁石と第2の中間電極4の第2の空芯
コイルには、図示省略の冷却手段(冷却水の水路等)が
設けられ、過度の加熱を防止するようになっている。両
中間電極3、4はリング状に形成されており、中間電極
3、4と石英管22とによって、真空容器6に接続する
空間が形成される。この空間のうち、特に陰極部に接す
る石英管22内の空間をプラズマ生成室(第1の真空空
間)51とする。中間電極3、4は第1の真空空間51
と第2の真空空間(真空容器6内)52とを連通する連
通接続空間を形成する。
【0021】ここで、プラズマ生成手段50による放電
過程を説明する。前記陰極部のガス導入口1から放電ガ
ス(キャリアガス)としてArガスを導入し、陰極部の近
傍領域(前記第1の真空空間51)のガス圧を1Torr程
度に維持する。一方、前記排気手段により、真空容器6
内の陽極(蒸発源保持手段)7の近傍領域の圧力が2×
10-3Torr程度となるように設定する。そして、この状態
で主放電電源5により前記陰極部と陽極7との間に600
V前後の直流電圧を印加する。これにより、まず、補助
陰極23の先端にグロー放電(1A以下)を発生させ
る。このグロー放電(初期放電)によって、補助陰極2
3の先端がArガスの電離による逆流イオンの衝突によっ
て加熱される。その結果、補助陰極23先端は熱電子を
放出するようになり、放電電圧が徐々に低下して放電電
流が増加する。補助陰極23の先端が2000℃以上に加熱
されると、放電電圧は70V前後、放電電流は30A以上に
達することが可能となる。この状態で2〜3分すると、
補助陰極23先端の放射熱により主陰極2が1700℃程度
に間接的に加熱される。加熱された主陰極2からは大電
流の熱電子放出が発生するため、この主陰極2が放電を
生じさせる陰極として機能するようになる。この時点
で、放電はアーク放電(最大250A程度)となり、補助
陰極23の温度は低下する。そのため、この補助陰極2
3の熱による損傷(消耗)は回避される。
【0022】始めから主陰極2をグロー放電のAr逆流イ
オンによって直接加熱しない理由は、主陰極2を構成す
るLaB6が低密度物質(比重4.6 )で、高速逆流イオンに
よってスパッタリングされてしまう恐れがあるからであ
る。しかし、LaB6は熱電子放射特性が極めて良く、融点
より著しく低い温度でも大電流密度の熱電子放出ができ
るため、大電流放電でも熱的消耗が小さく、長寿命であ
るという利点を有する。これに対し補助陰極23を構成
するTaは、高密度物質(比重16.7)で前記初期放電によ
って生じるスパッタリング作用に対する耐久性を有する
が、最終的な大電流密度の熱電子放射による温度上昇に
は極めて弱い。そのため、熱的消耗が激しく、短寿命で
あるという欠点を有する。そこで、本実施形態で用いた
プラズマ生成手段50では、陰極部を、初期放電時のス
パッタリング作用に強いTaからなる補助陰極23と、最
終の熱電子放射温度に強いLaB6からなる主陰極2とを組
合わせた複合型LaB6陰極とした。
【0023】このような複合型LaB6陰極は、効率的で簡
単な構成の放電用陰極として既に提案(特公平2−50577
号公報)されているものであり、イオンの集積効率が
良いという利点も有する。
【0024】また、本実施形態のプラズマ生成手段50
は、陰極部と陽極7との間に中間電極3、4を配置する
ことでこれら陰極と陽極間の空間を陰極側と陽極側とに
分けると共に、陰極側の圧力を陽極側よりも高い圧力に
維持した状態でプラズマを生成するように構成されてい
る。そのため、例えば、陰極側の圧力を1Torr程度、陽
極側の圧力を10-1〜10-4Torr程度の希望する値に設定し
てプラズマを生成することが可能である。このような構
成のプラズマ生成手段は、圧力勾配型プラズマ生成手段
と呼ばれている。この圧力勾配型プラズマ生成手段を用
いると、成膜が行われる真空容器6内を高真空(低い圧
力)に保ちながら、プラズマ生成のために安定な放電を
行なうことができる。また、圧力差により主陰極2に対
するイオンの逆流がほとんど無いため、イオンの衝突に
よる陰極の損傷を防止できる。また、陰極からの熱電子
放出が低下し難いこと、陰極の寿命が長くなること、大
電流放電が可能となること等の利点を有する。さらに、
真空容器6内に反応ガスを導入してもこのガスがプラズ
マ生成室51に入り込む恐れがない。
【0025】(実施形態1)ここで、実施形態1とし
て、上記薄膜形成装置(アーク放電型イオンプレーティ
ング装置)において排気手段にターボ分子ポンプを採用
したものを用いたフォトマスクブランク用遮光膜の製造
(成膜)過程について説明する。まず、ガラス基板12
として光学研磨した4インチ四方の石英ガラスを用意
し、このガラス基板12を基板ホルダ18に取り付け
る。そして、蒸発源保持手段7(プラズマ生成手段50
の陽極を兼ねる)の各凹部にクロム(Cr)を載置す
る。その後、メインバルブ16の開度を調整しながら前
記排気手段によって真空容器6内の圧力が8×10-6Torr
になるように設定する。この状態で、主放電電極5によ
り陰極部と陽極(保持手段)7との間に約600Vの直流
電圧を印加してプラズマを生成する。この時、前述のよ
うにプラズマ生成手段50においては、プラズマ生成手
段50のガス導入口1からの放電ガス(Ar)の導入によ
り、陰極部の近傍領域(前記第1の真空空間51)のガ
ス圧は約1Torr程度に維持される。また、前記排気手段
によって真空容器6内の陽極(保持手段)7の近傍領域
の圧力が約2×10-3Torrとなるように設定する。これに
より、プラズマ生成手段50の陰極部付近でアーク放電
が生じ、前記放電ガスがプラズマ化される。生成された
プラズマは、第1の中間電極3および第2の中間電極4
により前記プラズマ生成室51から陽極7側(真空容器
6内部側)に引き出される。このプラズマは、中間電極
3、4や空芯コイル14によって円柱状に収束され、プ
ラズマ流13として真空容器6内に導かれる。そして、
陽極(蒸発源保持手段)7近傍に設置されたプラズマ収
束用磁石8の磁場によってプラズマ流13の進路は変え
られ、プラズマ中の電子が保持部19の凹部内のクロム
に照射される。この時、メインバルブ16の開度を調整
して真空容器6の圧力が8×10-4Torrとなるように前記
排気手段を制御しておく。その後、シャッタ15を開く
と、蒸発した物質(クロム)はプラズマ中を通ることに
よりイオン化されて、ガラス基板12上に到達する。そ
の結果、このガラス基板12表面には薄膜状のクロム
(Cr)が形成される。なお、薄膜の形成中は、膜厚モ
ニタ17によって薄膜の膜厚と成膜レート(蒸発速度)
を測定できるので、所定の膜厚となった時点で成膜を止
めればよい。この時のガラス基板12(非加熱)の温度
は40℃であった。
【0026】(実施形態2)上記薄膜形成装置(アーク
放電型イオンプレーティング装置)において排気手段と
して油拡散ポンプを使用したものを用いてフォトマスク
ブランク用遮光膜を製造(成膜)した。成膜条件は実施
形態1と同様である。
【0027】(比較例1)スパッタリング装置を使用し
て、フォトマスクブランク用遮光膜の製造(成膜)をし
た。
【0028】(比較例2)電子ビーム真空蒸着装置を使
用して、フォトマスクブランク用遮光膜の製造(成膜)
をした。
【0029】上記実施形態1,2、比較例1,2により
成膜されたクロム遮光膜を評価した。その結果及び成膜
条件を表1に示す。
【0030】
【表1】 表1におけるフォトマスクブランク用遮光膜の評価は次
のように行なった。まず、遮光膜のピンホールの数は、
クロム膜成膜後、超音波洗浄機を通過させ光学顕微鏡に
て透過光をφ10mmの範囲で観察し、その個数を数え
た。また、ガラス基板との密着性は、クロム膜表面に粘
着テープを張り、それを引きはがしたときの膜の剥離状
態を目視で観察し、良否を判定した。
【0031】表1に示すように、実施形態1、2とも、
ピンホールが少なく密着性も良好な膜が成膜速度1nm
/sと効率よく成膜できた。特に、実施形態1では、排
気手段としてオイルフリーのターボ分子ポンプを用いた
ため、ピンホールが40個と非常に少なかった。これに
対して、比較例1のスパッタリング装置では、ピンホー
ルの数は80個と少ないが、成膜速度が0.2nm/s
と遅く量産性に問題があった。また、比較例2の電子ビ
ーム蒸着装置では、ピンホールの数が1500個と非常
に多かった。なお、引っかきによる密着性の試験では、
イオンプレーティングによる本実施形態1、2の遮光膜
の方が比較例1、2の遮光膜よりも優れていた。また、
ガラス基板の温度を本発明と同様に100℃以下の低温
にして、スパッタリング及び電子ビーム蒸着を行った
が、電子ビーム蒸着では膜が密着せず、また、スパッタ
リングでは電子ビーム蒸着よりいいものの、本実施形態
の膜に比べてかなり密着性が劣っていた。
【0032】なお、上記実施形態1においては、排気手
段にターボ分子ポンプを用いたが、他のオイルフリーの
ポンプ、例えばクライオポンプ、イオンポンプ等を使用
するようにしてもよい。また、単層のクロム膜の遮光膜
ではなく、クロム膜とクロム化合物膜(酸化クロム膜、
窒化クロム膜、フッ化クロム膜など)とを積層して遮光
膜を形成する場合などには、成膜中に、反応ガス供給口
10からO2、N2、SF6などの反応ガスを真空容器6
内に供給する。また、上記実施形態では、膜厚の計測を
水晶式の膜厚モニタで行ったが、光学式膜厚計を用いる
ようにしてもよい。光学式膜厚計では、膜の光学濃度を
適正に測定できる。また、ガラス基板温度を100℃以
下の所定温度に温度制御手段で一定に制御するようにし
てもよい。こうすれば、より膜質の均一化が図れる。
【0033】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明では、所
定の圧力に設定された第1の真空空間中でアーク放電に
よりプラズマを生成し、このプラズマを第1の真空空間
よりも低い圧力に設定された第2の真空空間に導入する
圧力勾配型プラズマ生成手段を用いたアーク放電型イオ
ンプレーティングによってガラス基板上にクロム膜また
はクロム化合物膜を製造(成膜)している。このため、
プラズマ生成手段によって第2の真空空間中に導入した
プラズマの密度が高く、しかも第2の真空空間内で薄膜
を形成する位置(基板を設置する位置)付近の電離度が
高いことから、蒸発物質のイオン化の割合が多くなり、
緻密で機械的強度が強く、しかもガラス基板との密着性
に優れた遮光膜を形成できる。また、第2の真空空間内
が高真空であるため、形成する遮光膜の膜中への不純物
(薄膜構成物質以外の粒子等)の混入が抑制され、遮光
膜が所望のバルク密度に近い高密度の均質な遮光膜が得
られる。
【0034】また、クロムは昇華しやすくスプラッシュ
を起こしやすいが、ガラス基板温度を100℃以下と低
温に設定したため、基板にスプラッシュ(パーティク
ル)が付きにくく、しかも基板上の膜表面に付着したス
プラッシュが焼きつかず、水洗工程などで除去できるな
ど、ピンホール等の欠陥となりにくい。また、基板を低
温にでき加熱を行なわなくても良質な薄膜が得られるの
で、加熱によるガラス基板表面の温度ムラを回避でき、
均一な膜質の遮光膜を容易に再現性良く成膜することが
できる。
【0035】更に、前記第1及び第2の真空空間の排気
手段としてターボ分子ポンプ等のオイルフリーのポンプ
を用いれば、排気系からのオイルバックによりオイルが
膜中に取り込まれることがなくなり、ガラス基板上の遮
光膜のピンホールを著しく減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施する際に使用した薄膜形成装置
(アーク放電型イオンプレーティング装置)の概略構成
図である。
【図2】図1のプラズマ生成手段の一部を拡大した縦断
面図である。
【符号の説明】
1 ガス導入口 2 主陰極 3 第1の中間電極 4 第2の中間電極 5 主放電電極 6 真空容器 7 蒸発源保持手段(兼陽極) 8 プラズマ収束用永久磁石 9 排気口 10 反応ガス供給口 11 バイアス電源 12 ガラス基板 14 空芯コイル 15 シャッタ 16 メインバルブ 17 膜厚モニタ 18 基板ホルダ 19 保持部 20 遮蔽手段 21 選択手段 22 石英管 23 補助陰極 50 プラズマ生成手段(電子銃) 51 プラズマ生成室(第1の真空空間) 52 第2の真空空間

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラス基板上にクロム又はクロム化合物
    の遮光膜を形成するフォトマスクブランク用遮光膜の製
    造方法において、所定の圧力に設定された第1の真空空
    間中でアーク放電によりプラズマを生成し、形成する膜
    に対応した蒸発物を前記第1の真空空間よりも低い圧力
    に設定された第2の真空空間に設置し、この第2の真空
    空間中に設置された前記蒸発物に、前記第1の真空空間
    から第2の真空空間に導入した前記プラズマを照射し、
    第2の真空空間中で前記ガラス基板の温度を100℃以
    下にして遮光膜を形成するようにしたことを特徴とする
    フォトマスクブランク用遮光膜の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記第1及び第2の真空空間の排気手段
    としてターボ分子ポンプ等のオイルフリーのポンプを用
    いたことを特徴とする請求項1記載のフォトマスクブラ
    ンク用遮光膜の製造方法。
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JP8049761A Pending JPH09241833A (ja) 1996-03-07 1996-03-07 フォトマスクブランク用遮光膜の製造方法

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JP (1) JPH09241833A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7399497B2 (en) 2003-04-15 2008-07-15 Seiko Epson Corporation Method for forming film, method of manufacturing electronic device, film forming system, electronic device, and electronic apparatus

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