JP4251046B2 - 芳香族カルボン酸およびその合成法 - Google Patents
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Description
一方、これらの樹脂は一般的に熱可塑性の高分子であり、高い耐熱性を有していることから、高温の環境にさらされる用途に多く用いられている。また、これらの樹脂において、より耐熱性を高める手段として、熱硬化可能な置換基を導入する試みがなされており、熱硬化可能な置換基を導入した一分子に2つのカルボキシル基を有する芳香族カルボン酸およびその酸塩化物の技術例が開示されている(例えば、特許文献1、特許文献2および非特許文献1参照。)が、これらの用途に適した中間原料が、望まれている。
1. 一般式(1)で表される芳香族カルボン酸、
まず、式(11)で表される化合物の製造法について説明する。
式(9)で表される9,9−ビス(4−ブロモ−フェニル)フルオレンは、式(8)で表される9,9−ビス(4−ヒドロキシ−フェニル)フルオレンをアセトニトリルなどの溶媒中、30℃〜100℃の温度範囲で、トリフェニルホスフィンジブロミドと反応させることにより、得ることができる。この時、反応時間および前記溶媒量は特に制限されない。また、トリフェニルホスフィンジブロミドの使用量としては、式(8)で表される化合物に対して、1〜3当量倍が好ましい。
式(13)で表される4,4’−[(9−フルオレニリデン)−ビス−(4,1−フェニレンオキシ)]ビス安息香酸ジメチルは、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(式(8))と4−フルオロ−安息香酸メチル(式(12))とから、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシドなどの極性溶媒中、炭酸カリウムや炭酸ナトリウムなどの塩基、あるいはフッ化セシウムやフッ化カリウムなどの金属フッ化物の存在下、100〜200℃程度の温度範囲で反応させて得られる。この時、反応時間は特に制限されず、前記溶媒量についても、特に制限されない。式(12)で表される化合物の使用量としては、式(8)で表される化合物の化合物に対し1〜3当量倍が好ましい。また、前記塩基あるいは金属フッ化物の使用量としては、式(8)で表される化合物の化合物に対し2〜10当量倍が好ましい。
(1)赤外分光分析(IR):日本電子(株)製JIR−5500型を用いて、KBr錠剤法により測定した。
(2)質量分析(MS):日本電子(株)製JMS−700型を用いてフィールド脱着(FD)法で測定した。
(3)元素分析:炭素及び水素はPERKIN ELMER社製2400型を用いて、臭素はフラスコ燃焼滴定法で測定した。
(1)第一の中間体(9,9−ビス(4−ブロモフェニル)フルオレン)の合成
温度計、撹拌機、還流管を備えた4つ口の1Lフラスコにアセトニトリル400ml、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン43.4g(0.124モル)を入れ、トリフェニルホスフィンジブロミド114.8g(0.272モル)を、撹拌しながら、少量ずつ添加した。添加中、内温は20℃〜30℃に保った。添加終了後、温度が上昇しなくなったら、60〜70℃で1時間反応を続けた。その後、冷水約1Lに注いで、粗生成物を濾別し、純水で洗い、乾燥した。更に、粗生成物を、熱エタノールにより再結晶した。得られた固体を減圧乾燥することにより、生成物41.2gを得た(収率70%)。得られた生成物は、IR分析により、ブロモ基の吸収が690〜515cm-1にあること、元素分析よりBr量は33.5%(理論量33.6%)であること、質量分析により、分子量が476であることにより、目的物であることを示していた。
温度計、撹拌機、還流管を備えた4つ口の1Lフラスコに乾燥エーテル260ml、9,9−ビス(4−ブロモフェニル)フルオレン38.4g(0.081モル)を入れ、ブチルリチウム15.1g(0.235モル)を65mlの乾燥エーテルに溶解した溶液を、撹拌しながら、少量ずつ添加した。添加中、内温は10℃以下に保った。添加終了後、温度が上昇しなくなったら、1時間還流反応を続けた。その後、その反応溶液を、砕いたドライアイス325g(7.38モル)に注いで、30分後、5%水酸化カリウム溶液で抽出した。抽出液を塩酸で酸性側にすることにより、4,4’−(9−フルオレニリデン)ビス安息香酸を析出させ濾別し、純水で洗い、乾燥した。更に、粗生成物を、熱エタノールにより再結晶した。得られた固体を減圧乾燥することにより、生成物19.1gを得た(収率58%)。得られた生成物は、IR分析により、カルボン酸の吸収が1710〜1680cm-1にあること、質量分析により、分子量が406であることにより、目的物であることを示していた。
温度計、撹拌機、還流管を備えた4つ口の500mlフラスコに四塩化炭素140ml、臭素16.1g(0.098モル)を入れ、撹拌しながら、4,4’−(9−フルオレニリデン)ビス安息香酸17.6g(0.043モル)を、少量ずつ添加した。添加中、内温は20℃〜30℃に保った。添加終了後、温度が上昇しなくなったら、引き続き1時間反応を続けた。その後、冷水約500mlに注いで、粗生成物を濾別し、純水で洗い、乾燥した。更に、組成生物を、熱エタノールにより再結晶した。得られた固体を減圧乾燥することにより、生成物19.4gを得た(収率80%)。得られた生成物は、IR分析により、ブロモ基の吸収が690〜515cm-1にあること、元素分析よりBr量は28.2%(理論量28.3%)であること、質量分析により、分子量が564であることにより、目的物であることを示していた。
(1)第1の中間体(4,4’−[(9−フルオレニリデン)−ビス−(4,1−フェニレンオキシ)]ビス安息香酸メチルの合成
温度計、撹拌機、ディーンスターク蒸留器を備えた4つ口の2Lフラスコに9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン217g(0.62モル)と4−フルオロ安息香酸メチル188g(1.36モル)、N,N−ジメチルホルムアミド760ml、トルエン190mlを入れ、副生する水をトルエンで共沸除去しながら165℃で4時間撹拌した。冷却後、反応液を3Lのイオン交換水に投入し、生成物を析出させた。析出物を濾別し、イオン交換水、エタノール洗浄し、得られた淡黄色固体を50℃で1日間減圧乾燥し、生成物272.8gを得た(収率75%)。得られた生成物は、IR分析により、エーテル結合の吸収が1275〜1200cm-1にあること、エステルの吸収が1730〜1715cm-1にあること、質量分析により、分子量が587であることにより、目的物であることを示していた。
2Lのナスフラスコにn−ブタノール900mL、水酸化カリウム(85%)95g(0.64モル)を仕込み、加熱還流して溶解した。これに上記で得た第1の中間体である4,4‘−[(9−フルオレニリデン)−ビス−(4,1−フェニレンオキシ)]ビス安息香酸メチル47g(0.08モル)を加えて30分間加熱還流した。これを氷浴にて冷却し、析出した結晶を濾取した。この結晶をイソプロパノール400mLで2回洗浄し、濾取後50℃で減圧乾燥後、160mlのイオン交換水に溶解し、塩酸をpHが1になるまで撹拌しながら加えた。析出した固形物を濾取し、更にイオン交換水での洗浄、濾過を2回繰り返した。得られた固形物を50℃で減圧乾燥することにより、生成物45.4gを得た(収率96%)。得られた生成物は、IR分析により、カルボン酸の吸収が1710〜1680cm-1にあること、質量分析により、分子量が591であることにより、目的物であることを示していた。
温度計、撹拌機、還流管を備えた4つ口の500mlフラスコに四塩化炭素200ml、臭素16.1g(0.10モル)を入れ、撹拌しながら、4,4’−(9−フルオレニリデン)ビス安息香酸25g(0.042モル)を、少量ずつ添加した。添加中、内温は20℃〜30℃に保った。添加終了後、温度が上昇しなくなったら、引き続き1時間反応を続けた。その後、冷水約500mlに注いで、粗生成物を濾別し、純水で洗い、乾燥した。更に、粗生成物を、熱エタノールにより再結晶した。得られた固体を減圧乾燥することにより、生成物26.7gを得た(収率85%)。得られた生成物は、IR分析により、ブロモ基の吸収が690〜515cm-1にあること、元素分析よりBr量は21.2%(理論量21.4%)質量分析により、分子量が748であることにより、目的物であることを示していた。
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