JP4250940B2 - 薄膜圧電体素子およびその製造方法並びにこれを用いたアクチュエータ装置 - Google Patents

薄膜圧電体素子およびその製造方法並びにこれを用いたアクチュエータ装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、微小位置決め用や圧電センサとして用いる薄膜圧電体素子およびその製造方法並びにこれを用いたアクチュエータ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体技術の進歩とともに半導体製造技術を用いて微小機械を作製し、種々の機構部を大幅に小型化しようとする努力がなされており、このような技術によるマイクロアクチュエータ等の機械的電気素子が脚光を浴びている。このような素子は小型で高精度の機械機構部品を実現でき、かつ、半導体プロセスを用いることで、その生産性を大きく改善できる。特に、圧電体素子を用いたマイクロアクチュエータは、走査型トンネル顕微鏡の微小変位用や磁気ディスク記録再生装置(以下、ディスクドライブ装置とよぶ)のヘッドスライダの微小位置決め用等に応用されている。
【0003】
例えば、ディスクドライブ装置では、磁気ディスクに対して情報の記録再生を行う磁気ヘッドはヘッドスライダに搭載され、アクチュエータアームに取り付けられている。このアクチュエータアームをボイスコイルモータ(以下、VCMとよぶ)によって揺動させることで、磁気ディスク上の所定のトラック位置に位置決めして、磁気ヘッドで記録再生を行っている。しかし、記録密度の向上とともに、このような従来のVCMのみの位置決めでは十分な精度を確保できなくなってきている。このために、VCMの位置決め手段に加えて、圧電体素子を用いた微小位置決め手段によりヘッドスライダを微小駆動させて高速、高精度の位置決めを行う技術の提案がなされている(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
上記したようなアクチュエータを含め、圧電体素子は種々の応用が期待されている。しかしながら、従来はグリーンシート積層方式あるいは厚膜多層形成方式で形成されることが多かった。これは、上記の製造方法がコスト的に安く、かつ、比較的簡単に積層化が可能で、変位量を大きくできることによる。しかしながら、これらの製造方法で作製した圧電体素子の一層の厚みは数10μm程度であるため、100V程度の駆動電圧を必要としていた。
【0005】
これに対して、小型で、低電圧駆動が可能で、大きな変位量を実現するために、薄膜作成方式により同様に積層する方式も提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような薄膜製造方法による圧電体素子は、シリコン単結晶基板等の基板上に形成し種々の加工を行った後、最終的に圧電体素子として利用するときには基板を除去して使用する必要があることが多い。基板を除去して圧電体素子単独とすると、これらは薄いため損傷を生じさせずに圧電体実装用基板上に実装することが非常に困難であり、量産性に大きな課題を有している。
【0006】
このような点を考慮して、焦電素子や圧電体素子を別に設けた電極形成基板上に量産性よく実装する製造方法が示されている(例えば、特許文献2参照)。それによると、素子転写治具を用意し、仮基板上に形成された素子を樹脂や両面粘着テープ等によりこの素子転写治具に所定の配置にして接着した後、仮基板のみを選択的にエッチングする。次に、電極形成基板上に設けられた電極と素子の電極とを対向させて貼り合わせ、例えばはんだ付けにより接合する。この後、素子を接着している樹脂あるいは粘着テープ等を溶解除去して素子転写治具から素子を分離することで、電極形成基板上に所定の形状で接合された焦電素子や圧電体素子が形成される。素子転写治具上に素子が接着固定されているので、仮基板が選択的にエッチング除去されても素子の変形や損傷が生じないし、所定の配置状態を保持でき、電極形成基板上に一括して貼り合わせることができる。
【0007】
また、有機薄膜が形成された焦電薄膜を開口部が設けられた基板上に接着した後、焦電薄膜が形成された基板をエッチング除去することで、焦電薄膜が有機薄膜のみで保持される構造が示されている(例えば、特許文献3参照)。このような構造とすることで、素子間の熱分離が容易で、作製工数を削減でき、量産性の改善を実現している。
【0008】
【特許文献1】
特開平8−88419号公報
【特許文献2】
特開平11−345833号公報
【特許文献3】
特開平4−170077号公報
【非特許文献1】
超高TPI化とピギーバックアクチュエータ(IDEMA Japan News No.32、pp4−7、国際ディスクドライブ協会発行)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述の特許文献2では、仮基板ごと個別に分離された状態の素子を素子転写治具上に接着している。しかし、このように素子を1個づつ接着する方式では、それぞれの素子間の貼り合わせ精度を高めることは困難である。すなわち、素子が小型でかつ電極端子の数が多くなるほど、さらに、素子転写治具上に貼り合わせる素子の数が多くなるほど、電極形成基板と素子転写治具上に貼り合わせた複数の素子間の位置ずれの影響が大きくなり、このために位置合わせが難しくなる。また、接着層ははんだ付けの実装温度に耐える材料で、かつ、その温度を受けた後でも薬液により除去できるような材料であることが要求される。
【0010】
さらに、特許文献3では、所定の基板上に形成した焦電薄膜を覆うように有機薄膜を形成した後、開口部を設けたポリイミド基板上に接着し、その後焦電薄膜が形成された基板をエッチング除去して、開口部では焦電薄膜が有機薄膜のみで保持される構造の焦電型赤外線検出器の製造方法である。この製造方法の場合にも、ポリイミド基板のような実装用基板上に焦電薄膜が形成された基板ごと接着した後に、この基板のみをエッチング除去している。すなわち、実装後に焦電薄膜が形成された基板をエッチングすることになるので、このエッチングのための薬液あるいはガスにより実装用基板や配線電極が変質したり、また、実装用基板の形状が制約を受けるという課題も生じる。
【0011】
本発明は、素子形成基板上に薄膜技術を用いて薄膜圧電体素子を形成し、素子形成基板をエッチング除去後も薄膜圧電体素子が素子保持膜で保持される構造とすることで、実装組立工程まで薄膜圧電体素子が初期の配置状態を維持するようにして、実装工程まで含めて量産性のよい薄膜圧電体素子の製造方法および薄膜圧電体素子を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために本発明の薄膜圧電体素子の製造方法は、第1電極膜、圧電体薄膜および第2電極膜をこの順に積層してなる平板状の積層体、またはこの積層体の第2電極膜同士を対向させて積層した二層積層体を素子形成基板上に形成し、所定の接続電極膜を設けてなる薄膜圧電体素子を素子形成基板の一方の面上に複数個形成し、これらの薄膜圧電体素子を含んで素子形成基板の一方の面上に素子保持膜を被覆し、薄膜圧電体素子が形成されている領域の素子形成基板を除去することで薄膜圧電体素子を素子保持膜で保持させた後、素子保持膜で保持された薄膜圧電体素子を個別または所定の単位ごとに分離する方法からなる。
【0013】
また、本発明の薄膜圧電体素子は、平板状の薄膜圧電体素子の圧電体として機能する領域の両表面に、樹脂からなる素子保持膜と、この素子保持膜と同じ材料で同じ厚さの樹脂保護膜とを形成した構成からなり、さらにこれらからなる2個の薄膜圧電体素子を素子保持膜と樹脂保護膜とで連結して一体化した構成としてアクチュエータ装置用としたものである。
【0014】
この製造方法により、素子形成基板上に形成された複数の薄膜圧電体素子は、素子形成基板がエッチング等で除去されても、外周部の枠と素子保持膜とによって初期の配置状態が保持される。このため、これら複数の薄膜圧電体素子に対して樹脂保護膜や接着樹脂層を同時に一括して形成することや、これらの膜のフォトリソやエッチング加工が容易に行える。また、薄膜圧電体素子を圧電体実装用基板上に位置合わせして実装する場合も、一定の配列ピッチであるので自動実装機を用いて量産性よく、かつ、高精度に行うことが可能である。
【0015】
さらに、一対で構成された薄膜圧電体素子同士が素子保持膜により連結されているので、圧電体実装用基板上に実装するときの精度と量産性が向上できる。また、薄膜圧電体素子の圧電体として機能する領域の両表面が、同じ材料で同じ厚さの素子保持膜と樹脂保護膜とで形成されているので、そりが生じず圧電体特性が低下しない。また、全体が樹脂からなる素子保持膜と樹脂保護膜とにより保護されるので、薄膜圧電体素子の腐食やゴミの発生を防止でき、アクチュエータ装置として使用するときの信頼性が大きく向上する。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の薄膜圧電体素子の製造方法は、第1電極膜、圧電体薄膜および第2電極膜をこの順に積層してなる平板状の積層体、またはこの積層体の第2電極膜同士を対向させて積層した二層積層体を素子形成基板上に形成し、所定の接続電極膜を設けてなる薄膜圧電体素子を素子形成基板の一方の面上に複数個形成する工程と、薄膜圧電体素子を含んで素子形成基板の一方の面上に樹脂からなる素子保持膜を被覆し、薄膜圧電体素子が形成されている領域の素子形成基板を除去することで薄膜圧電体素子を素子保持膜で保持させる工程と、素子保持膜で保持された薄膜圧電体素子を個別または所定単位ごとに分離する工程とを有する方法からなる。
【0017】
この製造方法により、複数の薄膜圧電体素子は素子形成基板が除去されても素子保持膜で保持されるので、初期の配置状態が保持される。したがって、複数の薄膜圧電体素子に対して、同時に一括して接着樹脂層を形成する作業やフォトリソ、エッチングによる加工が容易に行える。
【0018】
また、本発明の薄膜圧電体素子の製造方法は、薄膜圧電体素子を素子保持膜で保持させる工程が、薄膜圧電体素子を含んで素子形成基板の一方の面上に樹脂からなる素子保持膜を被覆し、素子保持膜が被覆された素子形成基板の一方の面を仮固定用基板と対向させて仮固定用基板に固定用樹脂で接着固定するとともに、素子形成基板の一方の面の反対面の外周部から所定の幅の外周領域と素子形成基板の外周側端部とを固定用樹脂で被覆した後、固定用樹脂で被覆された領域以外の素子形成基板をエッチング除去する方法からなる。
【0019】
このような製造方法とすることにより、素子形成基板の薄膜圧電体素子が形成されている領域部のみを選択的にエッチング除去して枠体を容易に作製することができる。枠体を作製することにより、薄膜圧電体素子が保持される素子保持膜の撓みやしわの発生を防止できる。このエッチングとしては、素子形成基板を溶解する薬液中に浸積してエッチング除去してもよいし、ドライエッチングで行ってもよい。
【0020】
また、本発明の薄膜圧電体素子の製造方法は、薄膜圧電体素子を素子保持膜で保持させる工程が、薄膜圧電体素子を含んで素子形成基板の一方の面上に樹脂からなる素子保持膜を被覆し、素子形成基板の一方の面の反対面の外周部で、薄膜圧電体素子が形成されていない領域部を素子形成基板がエッチングされる雰囲気ではエッチングされない材料からなるマスクで遮蔽した後、マスクで遮蔽されていない素子形成基板領域をドライエッチングにより除去する方法からなる。
【0021】
このような製造方法により、素子形成基板の外周部を枠状に残すような選択的なエッチングを行う場合に、仮固定用基板や固定用樹脂を用いずにすむので工程を簡略にしながら、薄膜圧電体素子を素子保持膜と外周枠部で保持する構造を実現できる。
【0022】
例えば、素子形成基板として酸化マグネシウム単結晶基板(以下、MgO基板とよぶ)を用いる場合には、マスク材料としてはステンレス、クロム、銅、あるいはクロム等をメッキした銅や鉄等の金属、ガラスまたはアルミナ等のセラミックを使用して、これらを枠状にして素子形成基板に密着させてドライエッチングすることができる。また、これらの材料をスパッタリング等で成膜して、エッチングすべき素子形成基板面上の膜をエッチング除去し、その他の部分を枠状に残してマスクとしてもよい。例えば、素子形成基板としてシリコン単結晶基板(以下、Si基板とよぶ)を用いる場合には、アルミニウム等の金属やアルミナ等のセラミック材料を用いて、Si基板をエッチングしない枠状部分のみにこれらの膜を形成してマスクとしてもよい。
【0023】
また、本発明の薄膜圧電体素子の製造方法は、薄膜圧電体素子を素子保持膜で保持させる工程が、素子形成基板の外周部の薄膜圧電体素子が形成されていない領域部上で、素子形成基板の一方の面上に薄膜圧電体素子を囲む形状の枠体を固定し、薄膜圧電体素子と枠体の側端部とを含んで素子形成基板の一方の面上に樹脂からなる素子保持膜を被覆した後、素子形成基板を選択的に除去する方法からなる。
【0024】
この製造方法により、枠体としては金属材料やセラミック材料あるいはガラス等の種々の材料を用いることができる。金属材料を用いれば、枠体の強度を確保するために必要な種々の加工が容易に行える。例えば、素子形成基板に固定する枠体の表面に段差を設ければ、素子形成基板に固定するための枠体の幅を小さくしながら、枠体全体の幅を大きくすることができる。このような構造とすれば、枠体としての強度を十分に確保しながら、素子形成基板に固定するための幅を小さくできるので、素子形成基板上に作製できる薄膜圧電体素子数を多くでき、量産性を向上できる。また、仮固定用基板を用いる必要がなくなり、製造工程を簡略化できる。なお、素子形成基板の除去は、薬液中に浸積して行うウエットエッチング、反応ガス中で行うドライエッチング、あるいは所定の厚さまで機械的に研磨して薄板化した後に薬液によるエッチングやドライエッチング等で行うことができる。
【0025】
また、本発明の薄膜圧電体素子の製造方法は、薄膜圧電体素子を素子保持膜で保持させる工程が、素子形成基板の外周部に内接するように枠体を素子形成基板に嵌合する工程と、薄膜圧電体素子と枠体の側端部とを含んで素子形成基板の一方の面上に樹脂からなる素子保持膜を被覆した後、素子形成基板を選択的に除去する方法からなる。
【0026】
この製造方法により、薄膜圧電体素子を素子形成基板の外周部近傍まで作製することが可能となり、素子形成基板上に形成できる圧電体素子数を増加できるので量産性を向上できる。さらに、枠体は素子形成基板の外周部に嵌合するのみでよいので、製造工程も簡略化される。なお、素子形成基板の除去は薬液中に浸積してエッチングすることも、あるいはドライエッチングでも可能であるし、所定の厚さまで枠体と一緒に機械的に研磨して除去した後に薬液によるエッチングやドライエッチングを行う方法でもよい。また、枠体を素子形成基板に嵌合する場合、素子形成基板面と枠体の面とはほぼ同一面とすることが望ましい。しかしながら、嵌合後に接着樹脂層の被覆や絶縁保護膜の形成、あるいはこれらを所定のパターン形状に加工するためのフォトリソ、エッチングプロセスが行える範囲であれば、枠体の面と素子形成基板面とは同一面でなくてもよい。
【0027】
また、本発明の薄膜圧電体素子の製造方法は、素子保持膜で保持された薄膜圧電体素子を個別または所定の単位ごとに分離する工程が、薄膜圧電体素子を実装するための実装用基板と接続電極膜を形成する面に対して反対側の表面とを対向させて、薄膜圧電体素子に押圧力を印加して素子保持膜ごと薄膜圧電体素子を実装用基板表面へ移動させて、接着樹脂層により実装用基板へ接着固定する方法からなる。
【0028】
この製造方法により、実装用基板に薄膜圧電体素子を実装するときにも初期の配置状態を保持しているので、高精度の位置合わせが容易で、かつ圧電体素子を損傷することが少なくなり、量産性と歩留まりが大きく改善できる。
【0029】
また、本発明の薄膜圧電体素子の製造方法は、薄膜圧電体素子を実装用基板に接着固定後に素子保持膜を溶解液により溶解除去する工程をさらに付加した方法からなる。素子形成基板から分離された状態の薄膜圧電体素子において素子保持膜が残っている場合には、素子保持膜は薄膜圧電体素子の耐湿性に対する保護や薄膜圧電体素子からのゴミ発生を抑制する作用を有するが、同時に薄膜圧電体素子の変位に対しては抑制的に作用する。この製造方法により、素子保持膜を最終的に溶解除去して、薄膜圧電体素子の変位量の低下を防止することもできる。
【0030】
また、本発明の薄膜圧電体素子の製造方法は、素子保持膜は加熱または紫外線照射により接着性が低下する特性を有し、薄膜圧電体素子を実装用基板に接着固定するとき、あるいはその後に加熱または紫外線照射して接着性を低下させて薄膜圧電体素子から分離する工程をさらに付加した方法からなる。
【0031】
このような材料特性の素子保持膜を用いて薄膜圧電体素子から素子保持膜を分離する工程を付加することにより、薄膜圧電体素子の変位量の低下を防止することもできる。この素子保持膜の分離工程は薬液を使用せず、ドライプロセスであるので、薄膜圧電体素子を実装用基板へ接着した後でも容易に行うことができ、しかも特に新しい設備を必要としない。このような素子保持膜としては、例えば熱分解温度が200℃である熱可塑性の接着剤を用いて、実装後に上述の温度に加熱すれば接着性が低下するので、薄膜圧電体素子から簡単に剥離させることができる。
【0032】
また、本発明の薄膜圧電体素子の製造方法は、素子保持膜として液状の有機樹脂を塗布し、乾燥硬化させて形成する方法からなる。
【0033】
この製造方法により、薄膜圧電体素子を含む素子形成基板面上に比較的均一で薄い樹脂膜を形成できる。また、有機樹脂膜は柔軟性を有するので、破れ難いだけでなく、実装用基板に薄膜圧電体素子を実装後に素子保持膜を残しておいても、薄膜圧電体素子の変位量の低下に対する影響が少ない。この有機樹脂膜としては、ポリイミド、フォトレジスト、ゴム系の樹脂あるいは熱可塑性接着剤等で、この工程以降に要求される200℃程度の加熱温度に耐える材料であればいずれでも用いることができる。
【0034】
また、本発明の薄膜圧電体素子の製造方法は、素子保持膜としてプラズマ重合反応により有機樹脂膜を形成する方法からなる。
【0035】
この製造方法により、薄膜圧電体素子を含む素子形成基板表面上に素子保持膜を均一に形成できる。特に、この方法では液状の樹脂材料を塗布するときに生じ易い凹部での厚さの増加や、凸部での厚さの減少等が生じず、どのような場所にも均一に形成できるので、薄くても強度の安定した素子保持膜を形成できる。この有機樹脂膜としては、2種以上のモノマーを蒸発させて基板上で重合反応させたポリイミド薄膜、あるいは高分子を蒸発させプラズマ中に導入して重合反応させて作製する薄膜、例えばポリイミド、ベンゾシクロブテン(BCB)等を用いることができる。
【0036】
また、本発明の薄膜圧電体素子の製造方法は、第1電極膜、圧電体薄膜および第2電極膜をこの順に積層してなる平板状の積層体、またはこの積層体の第2電極膜同士を対向させて積層した二層積層体を素子形成基板上に形成し、第1電極膜および第2電極膜を外部機器に電気的に接続するための接続電極膜を設けてなる複数個の薄膜圧電体素子を素子形成基板の一方の面上に形成する工程と、素子形成基板の薄膜圧電体素子が形成された一方の面を表面が粘着性を有する可撓性基板に対向させて貼り合わせる工程と、素子形成基板を選択的に除去して薄膜圧電体素子を可撓性基板で保持させる工程と、可撓性基板で保持された薄膜圧電体素子を個別または所定単位ごとに分離する工程とを有する方法からなる。
【0037】
この製造方法により、複数の薄膜圧電体素子は素子形成基板がエッチング除去されても可撓性基板で保持されるので、初期の配置状態が保持される。したがって、複数の薄膜圧電体素子に対して、同時に一括して接着樹脂層を形成する作業やフォトリソ、エッチングによる加工が容易に行える。
【0038】
また、本発明の薄膜圧電体素子の製造方法は、可撓性基板で保持された薄膜圧電体素子を個別または所定単位ごとに分離する工程が、可撓性基板として紫外線を照射することにより粘着性が低下する材料を用いて、薄膜圧電体素子を接着固定するための実装用基板と接続電極膜形成面に対して反対側の薄膜圧電体素子の表面とを対向させて実装用基板に薄膜圧電体素子を接着固定する際に、可撓性基板に紫外線を照射しながら薄膜圧電体素子を加熱し押圧力を印加して、薄膜圧電体素子を可撓性基板から剥離するとともに実装用基板に接着固定する方法からなる。
【0039】
この製造方法により、可撓性基板から薄膜圧電体素子の分離が容易に行えるので、実装用基板へ薄膜圧電体素子を接着固定する作業工程が簡略化できる。
【0040】
なお、素子形成基板を除去して薄膜圧電体素子のみが可撓性基板上に保持された状態で、可撓性基板を外周部から均一に引き伸ばして薄膜圧電体素子同士の間隔を広げることができる可撓性基板を用いることも可能である。このような可撓性基板を用いれば、実装用基板上へ薄膜圧電体素子を接着するときの押圧ツールの作業性を改善できる。このような可撓性基板としては、例えば半導体基板をダイシングするときに貼り付ける粘着性を有したフィルムを使用することもできるし、さらにこのようなフィルムのみを用いて、このフィルム上に素子形成基板をエッチングする薬液に耐える粘着剤を塗布して使用することもできる。
【0041】
また、本発明の薄膜圧電体素子の製造方法は、素子形成基板を除去することで露出した第1電極膜を含む薄膜圧電体素子表面に素子保持膜と同じ材料で同じ厚さに樹脂保護膜を形成する方法からなる。
【0042】
この製造方法により、薄膜圧電体素子の圧電体としての機能を生じる領域においては両表面に同じ材料で同じ厚さの膜が形成されるので、そりが発生せず、かつ耐環境性、特に耐湿性を向上できる。この樹脂保護膜は、素子保持膜と同様な方法で容易に作製することができる。
【0043】
さらに、本発明の薄膜圧電体素子の製造方法は、2個の薄膜圧電体素子を一対として構成し、一対の薄膜圧電体素子を素子保持膜から分離後も少なくとも一部が素子保持膜で連結されるように作製する方法からなる。
【0044】
この製造方法により、アクチュエータ装置として使用する場合に大きな変位量を得ることができる。また、隣接する薄膜圧電体素子を一対として用いることで、これらの薄膜圧電体素子間の特性ばらつきを低減でき、アクチュエータ装置として安定な動作が可能となる。
【0045】
さらに、本発明の薄膜圧電体素子は、第1電極膜、圧電体薄膜および第2電極膜をこの順に積層した平板状の積層体と、第1電極膜および第2電極膜を外部機器に電気的に接続するために積層体の一方の表面の端部に形成された接続電極膜と、接続電極膜が形成された積層体の一方の表面に樹脂からなる素子保持膜と他方の表面に素子保持膜と同一材料で同一厚さの樹脂保護膜が形成されてなる構成を有する。
【0046】
この構成により、平板状の積層体のうち圧電体として機能する領域の両表面には、同じ材料と同じ厚さの素子保持膜と樹脂保護膜とが形成されるので、そりが生じず、安定な圧電特性を得るだけでなく、耐湿性の改善とごみ発生を抑制することができる。
【0047】
さらに、本発明の薄膜圧電体素子は、第1電極膜、圧電体薄膜および第2電極膜をこの順に積層した積層体の第2電極膜同士を対向させて積層した平板状の二層積層体と、第1電極膜および第2電極膜を外部機器に電気的に接続するために二層積層体の一方の表面の端部に形成された接続電極膜と、接続電極膜が形成された二層積層体の一方の表面に樹脂からなる素子保持膜と他方の表面に素子保持膜と同一材料で同一厚さの樹脂保護膜が形成されてなる構成を有する。
【0048】
この構成により、平板状の二層積層体の圧電体として機能する領域の両表面には、同じ材料と同じ厚さの素子保持膜と樹脂保護膜とが形成されるので、そりが生じず、安定な圧電特性を得ることができるだけでなく、耐湿性の改善とごみ発生を抑制することができる。さらに、圧電体薄膜が二層積層されているので、薄膜圧電体素子の変位特性を大きく改善できる。
【0049】
また、本発明の薄膜圧電体素子は、2個の薄膜圧電体素子を一対として構成し、一対の薄膜圧電体素子は、その長さ方向に所定の隙間を設けて同一平面上に配置されるとともに、この隙間の中心を通る線分に対して対称な形状を有し、かつこの隙間の少なくとも一部に素子保持膜と樹脂保護膜とが形成されて薄膜圧電体素子が連結されている構成を有する。
【0050】
この構成により、平板状の積層体の圧電体として機能する領域の両表面には、同じ材料と同じ厚さの素子保持膜と樹脂保護膜とが形成されるので、そりが生じず、安定な圧電特性を得ることができるだけでなく、耐湿性の改善とごみ発生を抑制することができる。さらに、長さ方向の線分に対して対称な形状であり、素子保持膜で連結されているので、実装用基板上に接着固定する場合にも、薄膜圧電体素子間の位置ずれ等が生じず、精度よく接着固定できる。この結果、一対の薄膜圧電体素子のそれぞれの圧電特性ばらつきを非常に小さくすることができる。なお、素子保持膜と樹脂保護膜とにより連結する場合に、一対の薄膜圧電体素子の全長にわたって連結してもよいし、必要な部分のみに限定して連結する構成としてもよい。
【0051】
さらに、本発明のアクチュエータ装置は、ディスクに記録再生を行うためのヘッドを搭載したスライダと、スライダがその端部で支持され、スライダの近傍に一対の薄膜圧電体素子が接着固定されたフレクシャーと、フレクシャーの他方の端部が固着され、軸受部で回転自在に軸支されたアクチュエータアームとを有し、上記の一対の薄膜圧電体素子は、第1電極膜、圧電体薄膜および第2電極膜をこの順に積層した平板状の積層体と、第1電極膜および第2電極膜を外部機器に電気的に接続するために積層体の一方の表面の端部に形成された接続電極膜と、接続電極膜が形成された積層体の一方の表面に樹脂からなる素子保持膜と他方の表面に素子保持膜と同一材料で同一厚さの樹脂保護膜が形成されてなる薄膜圧電体素子の2個を一対として構成し、一対の薄膜圧電体素子がその長さ方向に所定の隙間を設けて同一平面上に配置されるとともに、この隙間の中心を通る線分に対して対称な形状を有し、かつこの隙間の少なくとも一部に素子保持膜と樹脂保護膜とが形成されて薄膜圧電体素子間が連結されている構成を有する。
【0052】
この構成により、一対の薄膜圧電体素子のそれぞれの圧電特性ばらつきを非常に小さくすることができるので、アクチュエータ装置として高精度で安定な動作を実現できる。また、長期間作動させてもごみ等の発生が少なく、高信頼性のディスクドライブ装置を実現できる。
【0053】
さらに、本発明のアクチュエータ装置は、ディスクに記録再生を行うためのヘッドを搭載したスライダと、スライダがその端部で支持され、スライダの近傍に一対の薄膜圧電体素子が固定されたフレクシャーと、フレクシャーの他方の端部が固着され、軸受部で回転自在に軸支されたアクチュエータアームとを有し、上記の一対の薄膜圧電体素子は、第1電極膜、圧電体薄膜および第2電極膜をこの順に積層した積層体の第2電極膜同士を対向させて積層した平板状の二層積層体と、第1電極膜および第2電極膜を外部機器に電気的に接続するために二層積層体の一方の表面の端部に形成された接続電極膜と、接続電極膜が形成された二層積層体の一方の表面に樹脂からなる素子保持膜と他方の表面に素子保持膜と同一材料で同一厚さの樹脂保護膜とが形成されてなる薄膜圧電体素子の2個を一対として構成し、一対の薄膜圧電体素子がその長さ方向に所定の隙間を設けて同一平面上に配置されるとともに、この隙間の中心を通る線分に対して対称な形状を有し、かつこの隙間の少なくとも一部に素子保持膜と樹脂保護膜とが形成されて薄膜圧電体素子が連結されている構成を有する。
【0054】
この構成により、一対の薄膜圧電体素子のそれぞれの圧電特性ばらつきを非常に小さくすることができるので、アクチュエータ装置として高精度で安定な動作を実現できる。また、長期間作動させてもごみ等の発生が少なく、高信頼性のディスクドライブ装置を実現できる。
【0055】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0056】
(第1の実施の形態)
図1(A)は、第1の実施の形態の製造方法により作製した2個の薄膜圧電体素子を一対としたアクチュエータ装置の薄膜圧電体素子部分の平面図である。このアクチュエータ装置はディスクドライブ装置において、ヘッドスライダをディスク上の所定のトラック位置に高精度に微小位置決めするために用いられる。2個の薄膜圧電体素子8は、長さ方向に所定の隙間を有し、この隙間の中心線であるA−A線に対して対称な形状に形成され、実装用基板であるフレクシャー30に接着固定されている。図1(B)は、図1(A)に示すX−X線に沿った断面図を示すが、これらの図を用いてその構成を説明する。
【0057】
薄膜圧電体素子8は、それぞれ第1電極膜11と第2電極膜13とで挟まれた圧電体薄膜12からなる2個の積層体10をそれらの第2電極膜13同士を接着層14で接着することによって積層一体化した二層積層体に、さらに絶縁保護膜15および接続電極膜16を成膜し、所定のパターン形成を行うことで構成されている。
【0058】
ここで、第1電極膜11と第2電極膜13とは白金(Pt)が好適であり、圧電体薄膜12としてはチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)が好適であるが、本発明はこれらの材料に限定されるものではなく、チタン酸鉛、ジルコン酸鉛等の圧電性を有する膜であれば同様に使用できる。また、第1電極膜11と第2電極膜13についても、金、ロジウム、ルテニウム等の貴金属や酸化ルテニウム等の酸化物導電体を用いることもできる。
【0059】
なお、図1に示すように、素子保持膜20は薄膜圧電体素子8の表面だけでなく、それらの隙間部分にも形成した状態である。このようにすることで、2個の薄膜圧電体素子8が連結され一体化されている。これにより、実装用基板であるフレクシャー30に接着固定するときの薄膜圧電体素子8間の位置ずれがなくなり、かつ実装作業性も大幅に改善される。さらに、薄膜圧電体素子8の耐湿性改善とゴミ発生を抑制することもできる。
【0060】
接続電極膜16が形成されていない方の第1電極膜11面上に接着樹脂層25を形成し、フレクシャー30に接着固定する。フレクシャー30には、薄膜圧電体素子8の電極パッド18に対応する位置に圧電体電極パッド34が設けられ、この圧電体電極パッド34と電極パッド18とを、例えばワイヤリード37で接続する。
【0061】
なお、フレクシャー30は、薄膜圧電体素子8を接着している領域から延在するようにヘッドスライダ(図示せず)を固定するためのスライダ保持部31を有し、このスライダ保持部31にはヘッドスライダ(図示せず)に搭載されているヘッド(図示せず)の配線部とを接続するためのヘッド電極パッド32が設けられている。このヘッド電極パッド32からは、ヘッド電極配線33が薄膜圧電体素子8間のフレクシャー30上を引き回され、圧電体電極パッド34から引き回された圧電体電極配線35と同様に外部機器との接続パッド(図示せず)まで引き回されている。
【0062】
図2は、本発明の薄膜圧電体素子を搭載したアクチュエータ装置をディスクドライブ装置に用いた例を示す模式図である。アクチュエータ装置230は、ディスク210に記録再生を行うヘッド(図示せず)が搭載されたヘッドスライダ231、一対の薄膜圧電体素子8、フレクシャー30、サスペンション233、板バネ部234および支持アーム236から構成されている。なお、サスペンション233、板バネ部234および支持アーム236からアクチュエータアームが構成される。また、フレクシャー30は、スライダ保持部31のヘッド電極パッド32と薄膜圧電体素子8部分の圧電体電極パッド34とからヘッド電極配線33と圧電体電極配線35とが支持アーム236の近傍まで延在されて、外部機器との接続パッド301に接続されている。
【0063】
ヘッドスライダ231はフレクシャー30に支持され、ディスク210に対向する面にヘッド(図示せず)が搭載されている。ヘッドスライダ231の近傍のフレクシャー30上に一対の薄膜圧電体素子8が接着固定されている。
【0064】
フレクシャー30はアクチュエータアームの一部であるサスペンション233に他方の端部が固定されており、サスペンション233は板バネ部234に固定され、さらにこの板バネ部234は支持アーム236に固定されている。
【0065】
支持アーム236は、軸受部240に軸支されており、自由に回転可能である。さらに、支持アーム236には、この支持アーム236を回動させるためのVCMを構成するボイスコイル250が取り付けられている。このボイスコイル250と筐体(図示せず)に固定されたマグネット(図示せず)によりVCMを構成している。したがって、このアクチュエータ装置230は、VCMによる位置決めと一対の薄膜圧電体素子8による位置決めとの2段階による位置決めが可能である。
【0066】
以下、このアクチュエータ装置230を用いたディスクドライブ装置の動作について説明する。ディスク210がスピンドルモータ220により回転駆動されると、ヘッドスライダ231とディスク210との間に空気が流入して空気潤滑膜を形成する。この空気潤滑膜の圧力と板バネ部234からの押圧力とが釣り合った位置で、ヘッドスライダ231が浮上し安定状態となる。この浮上距離は、約10nmから50nmである。このような浮上状態で、ヘッドをディスク210の所定のトラック位置に位置決めするため、支持アーム236がVCMにより回動される。通常のディスクドライブ装置では、このVCMのみで所定のトラック位置に位置決めできる。しかし、さらに高密度の記録を行うためにトラックピッチを微小にする場合、より高精度の位置決めが要求される。これを行うのが一対の薄膜圧電体素子8である。一対の薄膜圧電体素子8は、フレクシャー30のヘッドスライダ231近傍に取り付けられており、この薄膜圧電体素子8を駆動することにより、サスペンション233や支持アーム236とは無関係にヘッドの位置をディスク210の半径方向に数μm程度自由に移動させることができる。すなわち、一対の薄膜圧電体素子8の一方が伸びる方向で、かつ他方が縮む方向に電圧を印加すれば、ディスク210の半径方向(図1に示すY−Y方向)にヘッドを数μm程度移動させることができる。
【0067】
以上のような動作により、VCMによる位置決めと薄膜圧電体素子8による高精度位置決めの2段構成の位置決めができる。なお、このアクチュエータ装置230は、一例であって、特にアクチュエータアームの構造については本実施の形態には限定されない。
【0068】
このような薄膜圧電体素子8の製造方法を図3と図4の製造工程図をもとに説明する。なお、図1に示した構成要素と対応する要素には同一符号を付している。
【0069】
図3(A)は、素子形成基板7上に一対の薄膜圧電体素子8を複数個形成した状態を示す。この図では一対の薄膜圧電体素子8が二対しか示されていないが、具体的には図5に示すように素子形成基板7上には多数の薄膜圧電体素子8が一定の配置構成で形成されている。素子形成基板7としては、MgO基板、Si基板、サファイヤ基板またはチタン酸ジルコン酸鉛単結晶基板等の単結晶基板だけでなく、ステンレス鋼等の金属材料を用いることもできる。
【0070】
薄膜圧電体素子8の作製方法について説明する。素子形成基板7上の二層積層体は、素子形成基板7と同じ基板上に第1電極膜11、圧電体薄膜12および第2電極膜13を積層し、この基板と素子形成基板とを対向させて接着層14により接着した後、一方の基板をエッチング除去し、さらに図1(A)に示すような一方が直角である台形状にフォトリソとエッチング加工すれば得られる。なお、このときに、第2電極膜13の一部が露出するようにビアホールも形成する。その後、絶縁保護膜15を形成し、それぞれの電極膜の一部が露出するようにフォトリソとエッチング加工し、さらに接続電極膜16を形成して図1(A)に示すような形状に加工すれば薄膜圧電体素子8が作製できる。
【0071】
なお、絶縁保護膜15としては、ポリイミドのような有機樹脂膜でもよいし、酸化珪素膜のような無機絶縁膜でもよい。成膜方法としても、塗布法やプラズマ化学気相反応法による成膜あるいはスパッタリングによる成膜等、化学的成膜方法や物理的成膜方法のいずれでもよい。
【0072】
このように薄膜圧電体素子8が形成された面上に、図3(B)に示すように樹脂からなる素子保持膜20を形成する。この素子保持膜20は、衝撃が加わってもクラック等が生じないような柔軟性のある材料で、しかも薄膜圧電体素子8を含む凹凸のある面上にも比較的均一な厚さで形成することが要求される。例えば、ポリアミド樹脂をスピンコートし乾燥させた後、350℃程度の温度でイミド化処理を行って形成したポリイミド膜であってもよいし、ベンゾシクロブテン(BCB)等の有機樹脂を塗布し熱硬化させたBCB膜でもよい。さらに、一般に用いられるフォトレジスト材料、あるいは絶縁樹脂材料で、この後の工程で加えられる温度に耐えることができる材料であれば、素子保持膜20として用いることもできる。素子保持膜20の形成には、スピンコート法のみでなく、霧状にして吹き付ける方法やロールコーティング方法を使用することもできる。また、モノマーを蒸発させ、プラズマ中で重合反応を生じさせて高分子膜を形成する方式で、例えばポリイミド膜やBCB膜を形成して素子保持膜20としてもよい。複数の薄膜圧電体素子8を保持できる強度があれば、その厚さはできるだけ薄いことが望ましいが、ポリイミド樹脂膜の場合には約2〜5μmが適当である。
【0073】
接続電極膜16領域に形成された素子保持膜20の一部をフォトリソとエッチングにより除去して電極パッド18を形成する。これにより、電極パッド18以外が素子保持膜20で覆われた形状が得られる。素子保持膜20に上記の加工を行った後、図3(C)に示すように仮固定用基板5を素子保持膜20が形成された面と対向させ、固定用樹脂6で固定する。さらに、素子形成基板7の薄膜圧電体素子8が形成されていない面の外周部から所定の幅の外周領域7aと素子形成基板7の外周側端部7bまでを含めて、図示するように同様の固定用樹脂6を用いて覆い、保護する。この仮固定用基板5としては、例えばガラス、アルミナ等のセラミック、あるいはリン酸系の薬液に侵されないクロム等をメッキした金属板等を用いることができる。また、固定用樹脂6としては、例えばワックスやフォトレジストを用いればよい。
【0074】
このような形状とした後に、素子形成基板7のみを選択的にエッチングする薬液中に全体を浸漬して、固定用樹脂6で保護されていない素子形成基板7部分をエッチング除去する。例えば、素子形成基板7として、MgO基板を用いる場合には、リン酸系の薬液を用いれば他の材料を侵さずにMgO基板のみを選択的にエッチングできる。また、素子形成基板7として、Si基板を用いる場合には、フッ酸と硝酸の混液を用いれば同様に選択エッチングが可能である。さらに、これらの基板をドライエッチングで除去してもよい。この結果、図3(D)に示すように、素子形成基板7は枠状になり、素子形成基板7側の第1電極膜(図示せず)面が露出した形状が得られる。
【0075】
この状態の基板を用いて、接着樹脂層25をこの第1電極膜(図示せず)面上に形成する。その後、固定用樹脂6を溶解する溶解液中に浸して、固定用樹脂6を溶解させ仮固定用基板5を除去すると、接着樹脂層25が形成された薄膜圧電体素子8が、素子保持膜20と素子形成基板7の外周枠部のみで保持された構造を得ることができる。これを図4(A)に示す。
【0076】
なお、接着樹脂層25は、固定用樹脂6を溶解して仮固定用基板5を除去した後に形成してもよい。また、フレクシャー30面上に形成してもよい。接着樹脂層25としては、例えば、感光性を有し、熱圧着による接着が可能な材料を全面に塗布した後フォトリソとエッチングを行うことで、第1電極膜面上のみに接着樹脂層25を形成する。また、シート状の接着樹脂を薄膜圧電体素子8と同一形状に加工した後、第1電極膜面上に貼り付けて接着樹脂層25としてもよい。あるいは、インクジェット方式で直接第1電極膜面上のみに接着樹脂を塗布して、接着樹脂層25とすることもできる。
【0077】
接着樹脂層25を形成後図4(B)に示すように、ベース40上に載置されたフレクシャー30と薄膜圧電体素子8とを位置合わせし、押圧ツール42に荷重Fを印加して薄膜圧電体素子8の周辺部の素子保持膜20を切断しながらフレクシャー30に薄膜圧電体素子8を熱圧着して接着固定する。接着が完了したら押圧ツール42を薄膜圧電体素子8から離間させ、電極パッド18と圧電体電極パッド34間をワイヤボンディング等の方法でワイヤリード37により接続すれば、図1に示すフレクシャー30に実装された薄膜圧電体素子8が得られる。すなわち、本実施の形態の製造方法では、フレクシャー30上に実装された薄膜圧電体素子8は、電極パッド18が形成される側の面には絶縁保護膜15と樹脂からなる素子保持膜20とが形成されており、この反対面には接着樹脂層25のみが形成されている構成である。
【0078】
この製造方法では、素子形成基板7を除去しても、薄膜圧電体素子8は素子保持膜20により図5に示すような初期の配置形態を保持している。このため、薄膜圧電体素子8を実装用基板であるフレクシャー30に実装するための接着樹脂層25の形成や位置合わせおよび熱圧着工程が確実に、かつ簡単に行うことができるので薄膜圧電体素子8の量産性を大きく向上できる。
【0079】
(第2の実施の形態)
図6は、本発明の薄膜圧電体素子の第2の実施の形態の製造方法の工程を説明するための図であり、図1から図3までに示した構成要素と対応する要素には同一符号を付している。
【0080】
図6(A)は、図3(A)と同様に素子形成基板7上に図1に示した薄膜圧電体素子8を形成した状態を示す。この状態の基板を用いて、図6(B)に示すように、素子形成基板7の外周部で、かつ、薄膜圧電体素子8が形成されていない領域部7cに枠体50を接着剤により固定する。この枠体50としては、素子形成基板7を除去するときの薬液やガス等で侵されない材料であれば良く、例えばステンレス鋼等の金属、ガラス、アルミナ等のセラミック、液晶ポリマー等のプラスチック等を加工して用いることができる。
【0081】
枠体50を素子形成基板7に固定後、この枠体50、薄膜圧電体素子8およびこれらの素子が形成されている素子形成基板7の平面を含む全面に樹脂からなる素子保持膜20を形成する。この素子保持膜20の形成は、第1の実施の形態で説明したと同様な材料、成膜方法で行える。
【0082】
素子保持膜20を形成した後、素子形成基板7のみをエッチングする薬液中に全体を浸漬して、素子形成基板7をすべてエッチング除去すると、薄膜圧電体素子8が素子保持膜20と枠体50のみで保持された形状が得られる。なお、素子形成基板7の除去は薬液によるエッチング除去だけでなく、ドライエッチングでも可能であるし、さらに機械的に研磨して薄くした後にウエットエッチングあるいはドライエッチングしてもよい。
【0083】
この状態で、エッチングにより露出した薄膜圧電体素子8の第1電極膜(図示せず)上に接着樹脂を塗布して、接着樹脂層25を形成する。この接着樹脂層25も第1の実施の形態と同様な材料および作製法を用いることができる。接着樹脂層25までを形成した状態を図6(C)に示す。
【0084】
次に、ベース40上に実装用基板であるフレクシャー30を載置し、薄膜圧電体素子8とフレクシャー30とを位置合わせした後、押圧ツール42により荷重Fを印加しながら加熱してやれば、薄膜圧電体素子8はフレクシャー30に接着固定される。これを図6(D)に示す。押圧ツール42を離間させた後、さらに薄膜圧電体素子8の電極パッド18とフレクシャー30の圧電体電極パッド34とをワイヤボンディング方式によりワイヤリード37で接続すれば、図1に示すようなフレクシャー30上に薄膜圧電体素子8が実装された構成が得られる。
【0085】
なお、圧電体薄膜を形成するために通常使用する素子形成基板7は、MgO基板やSi基板等であり、これらは脆性材料であるので枠状にエッチングして外周枠部を形成すると割れ易い。しかし、本実施の形態で用いる枠体50は素子形成基板7とは別個の基板を用いることができるので、金属のように強度の大きな材料を自由に選択することができる。このため、接着樹脂層25の形成やフレクシャー30への実装時の取り扱いで割れることがなく、これらの工程での歩留まり低下が生じるのを防止できる。
【0086】
なお、本実施の形態では、枠体50は素子形成基板7上の外周部に固定したが、本製造方法はこれに限定されるものではない。例えば、図7に示すように、素子形成基板7の外周に内接するように枠体54を嵌合させて、薄膜圧電体素子8、枠体54の側面部54aおよび素子形成基板7面上に素子保持膜20を被覆してもよい。このような構成とすることで、素子形成基板7をできるだけ広い面積で使用することが可能となり、同時に作製できる薄膜圧電体素子数が多くなり、生産性を向上できる。
【0087】
なお、第1および第2の実施の形態では、薄膜圧電体素子8をフレクシャー30に実装後も素子保持膜20を残存させ、これを保護膜としても利用する構成としたが、本発明はこれに限定されない。素子保持膜20としては、素子形成基板7をエッチング除去したときに薄膜圧電体素子8が保持されればよいので、薄膜圧電体素子8の一部のみに形成するようにして、この一部のみが実装後において残存するようにしてもよい。例えば、電極パッド18を設ける薄膜圧電体素子8の周辺部のみに素子保持膜20を形成してもよいし、さらに数箇所に素子保持膜20を部分的に形成してもよい。すなわち、素子保持膜20による薄膜圧電体素子8の保持はその全面で行う必要はなく、確実に保持されさえすれば部分的であってもよい。一部のみで保持するような形状とするためには、全面に成膜後フォトリソとエッチングで不要部分を除去してもよいし、印刷あるいはインクジェット方式等で所定部分のみに形成してもよい。
【0088】
(第3の実施の形態)
図8(A)は、第3の実施の形態の製造方法により作製した2個の薄膜圧電体素子を一対としてアクチュエータ装置に用いる薄膜圧電体素子の平面図である。図8(B)は、B−B線に沿った断面図で、図8(C)はC−C線に沿った断面図である。この一対の薄膜圧電体素子は、第1の実施の形態と同様に図2に示すディスクドライブ装置に用いることができる。なお、図1から図4までと同様な構成要素については同じ符号を付している。
【0089】
本実施の形態の薄膜圧電体素子80は、それぞれ第1電極膜11と第2電極膜13とで挟まれた圧電体薄膜12からなる2個の積層体10を、それらの第2電極膜13同士を接着層14で接着することによって積層一体化した二層積層体を用いている。この二層積層体の構造および形状については、第1の実施の形態の薄膜圧電体素子8と同じである。
【0090】
本実施の形態の薄膜圧電体素子80は、以下の点が第1の実施の形態の薄膜圧電体素子8と異なる。第1は、第1電極膜11と第2電極膜13とを外部機器に接続するための接続電極膜16を形成する領域のみに絶縁保護膜150が形成されていることである。図8(A)から(C)よりわかるように、絶縁保護膜150は接続電極膜16の形成領域には形成されているが、それ以外の領域には形成されていない。
【0091】
第2は、薄膜圧電体素子80の接続電極膜16が形成される領域を除く領域が圧電体として機能する領域であるが、この領域には樹脂からなる素子保持膜20と、この素子保持膜20と同じ材料で同じ厚さに形成した樹脂保護膜200が形成されていることである。
【0092】
第3は、薄膜圧電体素子80の接続電極膜16形成領域近傍の隙間部分と先端近傍の隙間部分とに素子保持膜20と樹脂保護膜200とからなる素子間連結部201、202が形成されて、薄膜圧電体素子80間が連結されていることである。
【0093】
第4は、薄膜圧電体素子80が素子保持膜20と樹脂保護膜200とからなる保持連結部203、204、205が実装後に切断されて、その一部が残された状態となっていることである。
【0094】
以下、このような薄膜圧電体素子80構造を作製するための製造方法について、特に第1の実施の形態と異なる工程を主体に説明する。第1の実施の形態で説明した二層積層体10を図8に示すような形状に加工後、絶縁保護膜150が接続電極膜16の形成される領域のみとなるように所定のパターン加工を行い、さらに接続電極膜16を形成する。このようなプロセスは、一般的な成膜、パターン形成技術で加工することができるので、詳しい説明は省略する。
【0095】
このような形状とした後、第1の実施の形態の製造方法と同様に全面に樹脂からなる素子保持膜20を形成し、固定用樹脂を用いて仮固定用基板を貼り合わせ、薄膜圧電体素子80が形成されている領域の素子形成基板7をエッチング除去した後、固定用樹脂を溶解させれば素子形成基板7の外周枠部と素子保持膜20とで保持された構造が得られる。次に、素子形成基板7をエッチングして露出した第1電極膜11を含む面上に素子保持膜20と同じ材料を用いて、同じ厚さとなるように樹脂保護膜200を形成する。これを図9に示す。
【0096】
素子保持膜20と樹脂保護膜200を形成後、一対の薄膜圧電体素子80間を連結する素子間連結部201、202と、薄膜圧電体素子80を素子保持膜20と樹脂保護膜200とで保持するための保持連結部203、204、205を形成する。これは、通常のフォトリソ、エッチングプロセスにより行うことができる。これらの加工を行うときに、接続電極膜16上に形成された素子保持膜20の一部をエッチングして露出させて、電極パッド18を形成する。この加工を行った状態を図10と図11に示す。図10(A)は、図8(A)と同じ断面部分であり、図10(B)は、図8(B)と同じ断面部分を示す。また、図11は、素子形成基板7の外周枠部、素子保持膜20および素子保護膜200で複数の薄膜圧電体素子が連結されている平面形状を示す。
【0097】
このような形状とすることにより、実装用基板であるフレクシャー30に実装するとき、押圧ツール42で保持連結部203、204、205のみを打ち抜いて切断すればよいので、押圧ツール42が誤って薄膜圧電体素子80に接触して損傷させることがない。また、圧電体として機能する領域部の両表面に同じ材料で、かつ同じ厚さの膜が形成されるので、これらの膜によるそりはキャンセルされて生じず、圧電体特性を劣化させることが少ない。
【0098】
なお、本実施の形態では、薄膜圧電体素子80をフレクシャー30に接着する接着樹脂層25は、フレクシャー30側に形成する方が作業性としては良好であるが、インクジェット形成等により薄膜圧電体素子80側に形成することも可能である。
【0099】
(第4の実施の形態)
図12は、本発明の薄膜圧電体素子の第4の実施の形態の製造方法を示す工程説明図である。なお、図1から図3に示した構成要素と対応する要素には同一符号を付している。
【0100】
図12(A)は、第1の実施の形態の製造方法で説明したものと同じ構造であり、素子形成基板7上に薄膜圧電体素子8が形成された状態を示す。
【0101】
この素子形成基板7の薄膜圧電体素子8が形成された面に可撓性基板56を押し当てて、粘着固定する。このときに、可撓性基板56単独では曲がりやしわが発生し易いので、これを防止するため枠体52をこの可撓性基板56に固定して、可撓性基板56に張力が加わった状態としておいてから貼り付けることが望ましい。このようにして貼り付けた状態を図12(B)に示す。
【0102】
なお、図12(B)では枠体52が素子形成基板7に嵌合するようにしているが、本実施の形態の製造方法ではこのような嵌合状態は必須ではなく、適当に隙間があっても特に問題はない。複数の薄膜圧電体素子8が可撓性基板56に粘着しており、可撓性基板56の強度が大きいので、素子形成基板7を枠体52で必ずしも保持する必要がないためである。
【0103】
この状態で素子形成基板7のみをエッチングする薬液に全体を浸して、素子形成基板7をエッチング除去し、それにより露出した薄膜圧電体素子8の第1電極膜(図示せず)面に接着樹脂を塗布して、接着樹脂層25を形成する。これを図12(C)に示す。この接着樹脂層25も、第1の実施の形態の製造方法で説明した材料および成膜方法を用いることができる。
【0104】
次に、図12(D)に示すように、ベース40上に載置したフレクシャー30と薄膜圧電体素子8とを位置合わせして、押圧ツール42を加圧、加熱すれば、薄膜圧電体素子8はフレクシャー30と接着固定される。このときに、可撓性基板56に形成されている粘着層が紫外線照射により粘着性を低下する性質を有したものを用いれば、押圧ツール42で加圧、加熱すると同時に紫外線照射をすることで、非常に容易に、かつ、確実に可撓性基板56から薄膜圧電体素子8を剥離することができる。例えば、このような可撓性基板56としては、半導体をダイシングするときに用いる粘着性を有したフィルム等を利用することもできる。
【0105】
このようにして、薄膜圧電体素子8がフレクシャー30上に接着固定された状態を図12(E)に示す。第4の実施の形態では、第1、第2および第3の実施の形態の製造方法の場合と異なり素子保持膜が不要であるので、この膜の形成やパターン加工工程を省略することができる。また、素子形成基板7をエッチング除去した後の薄膜圧電体素子8は可撓性基板56で保持されるが、この可撓性基板56は50μm程度の厚さにできるので、作業性が非常に良好である。
【0106】
なお、第1の実施の形態から第4の実施の形態までは、一対の薄膜圧電体素子を例として製造方法を説明したが、本発明の製造方法はこれに限定されるものではなく、薄膜圧電体素子が1個のみで用いるような構成でもよい。さらに、アクチュエータ装置としての応用のみでなく、薄膜圧電体素子を用いて変位量を測定するセンサ等も同様の製造方法を用いれば、容易にかつ歩留まりよく製造できる。
【0107】
また、薄膜圧電体素子として、第1電極膜と第2電極膜とで挟まれた圧電体薄膜を二層積層する構成で説明したが、特にこの構成に限定されるものではなく、一層のみでも同様な製造方法で製造することができる。
【0108】
また、第1、第2および第4の実施の形態では、薄膜圧電体素子の第1電極膜面上に直接接着樹脂層を形成する工法について説明したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、接着樹脂層を形成する前に絶縁性の保護膜をあらかじめ形成し、所定のパターン加工を行った後に接着樹脂層を形成するようにしてもよい。このようにして、第1電極膜を含む薄膜圧電体素子に絶縁性の保護膜を形成することで、耐湿性の改善やゴミ等の発生の防止がより確実に行える。
【0109】
さらに、第1および第2の実施の形態ではフレクシャーに薄膜圧電体素子を実装後に素子保持膜が全く残存しないようにすることも本発明の範囲内で可能である。すなわち、素子保持膜を形成する樹脂材料として、例えば熱可塑性接着剤を用いれば、フレクシャーに薄膜圧電体素子を接着後にイソプロパノール等の溶剤でこの熱可塑性接着剤を溶解除去できる。これを溶解除去することによって、実装後の状態で素子保持膜が残存しないようにすることもできる。また、例えば、200℃、1分以上の加熱で接着特性が低下するような接着樹脂を用いることもできる。この接着樹脂を用いて素子保持膜を形成すれば、フレクシャーに薄膜圧電体素子を接着するときの加熱により、素子保持膜の接着性を低下させて薄膜圧電体素子から素子保持膜を簡単に剥離させることができる。さらに、紫外線照射により粘着性が低下する材料を素子保持膜として塗布形成し、実装時に紫外線を照射しながら加熱、加圧することで、素子保持膜を薄膜圧電体素子から除去する方法でもよい。このように実装後に素子保持膜が残存しないようにすれば、薄膜圧電体素子の接続電極膜上に形成された素子保持膜を除去して電極パッドを形成する工程が不要となるので、工数の削減にもなる。
【0110】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の薄膜圧電体素子の製造方法は、第1電極膜、圧電体薄膜および第2電極膜をこの順に積層してなる平板状の積層体、またはこの積層体の第2電極膜同士を対向させて積層した二層積層体を素子形成基板上に形成し、所定の接続電極部を設けてなる薄膜圧電体素子を素子形成基板の一方の面上に複数個形成し、これらの薄膜圧電体素子を含んで素子形成基板の一方の面上に樹脂からなる素子保持膜を被覆し、薄膜圧電体素子が形成されている領域の素子形成基板を除去することで薄膜圧電体素子を素子保持膜で保持させて、複数の薄膜圧電体素子の初期の配置が保持されるようにした方法である。
【0111】
これにより、接着樹脂層の形成や保護膜の形成が複数の薄膜圧電体素子に対して同時に一括して形成できる。また、薄膜圧電体素子を実装用基板上に位置合わせして実装する場合に、量産性よく、かつ、高精度に行うことが可能であるという大きな効果が得られる。
【0112】
また、本発明の薄膜圧電体素子は、平板状の薄膜圧電体素子の圧電体として機能する領域の両表面に、樹脂からなる素子保持膜と、この素子保持膜と同じ材料で同じ厚さの樹脂保護膜とを形成した構成からなる。さらに、これらからなる2個の薄膜圧電体素子を素子保持膜と樹脂保護膜とで連結して一体化した構成としてアクチュエータ装置用としたものである。
【0113】
これにより、薄膜圧電体素子の圧電体として機能する領域の両表面が、同じ材料で同じ厚さの素子保持膜と樹脂保護膜とで形成されているので、そりが生じず圧電体特性が低下しない。また、全体が樹脂からなる素子保持膜と樹脂保護膜とにより保護されるので、薄膜圧電体素子の腐食やゴミの発生を防止でき、アクチュエータ装置として使用するときの信頼性が大きく向上するという大きな効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は、本発明の第1の実施の形態の製造方法により作製した薄膜圧電体素子部分の平面図
(B)は、X−X線に沿った断面図
【図2】本発明の薄膜圧電体素子を搭載したアクチュエータ装置を用いたディスクドライブ装置の例を示す模式図
【図3】本発明の薄膜圧電体素子の第1の実施の形態の製造方法の主要工程を示す工程説明図
【図4】同実施の形態の製造方法の主要工程を示す工程説明図
【図5】同実施の形態の製造方法で、薄膜圧電体素子を素子形成基板上に複数個形成した状態を示す図
【図6】本発明の薄膜圧電体素子の第2の実施の形態の製造方法の主要工程を示す工程説明図
【図7】同実施の形態の製造方法の変形例の主要工程を示す図
【図8】(A)は、本発明の第3の実施の形態の製造方法により作製した薄膜圧電体素子の平面図
(B)は、同薄膜圧電体素子のB−B線に沿った断面図
(C)は、同薄膜圧電体素子のC−C線に沿った断面図
【図9】本発明の薄膜圧電体素子の第3の実施の形態の製造方法の主要工程を示す工程説明図
【図10】同実施の形態の製造方法の主要工程を示す工程説明図
【図11】同実施の形態の製造方法で、薄膜圧電体素子を素子保持膜と樹脂保護膜とで保持した状態を示す平面図
【図12】本発明の薄膜圧電体素子の第4の実施の形態の製造方法を示す工程説明図
【符号の説明】
5 仮固定用基板
6 固定用樹脂
7 素子形成基板
7a 外周領域
7b 外周側端部
7c 領域部
8,80 薄膜圧電体素子
10 積層体
11 第1電極膜
12 圧電体薄膜
13 第2電極膜
14 接着層
15,150 絶縁保護膜
16 接続電極膜
18 電極パッド
20 素子保持膜
25 接着樹脂層
30 実装用基板(フレクシャー)
31 スライダ保持部
32 ヘッド電極パッド
33 ヘッド電極配線
34 圧電体電極パッド
35 圧電体電極配線
37 ワイヤリード
40 ベース
42 押圧ツール
50,52,54 枠体
54a 側面部
56 可撓性基板
200 樹脂保護膜
201,202 素子間連結部
203,204,205 保持連結部
210 ディスク
220 スピンドルモータ
230 アクチュエータ装置
231 ヘッドスライダ
233 サスペンション
234 板バネ部
236 支持アーム
240 軸受部
250 ボイスコイル
301 接続パッド

Claims (19)

  1. 第1電極膜、圧電体薄膜および第2電極膜をこの順に積層してなる平板状の積層体、または前記積層体の前記第2電極膜同士を対向させて積層した二層積層体を素子形成基板上に形成し、前記第1電極膜および前記第2電極膜を外部機器に電気的に接続するための接続電極膜を設けてなる複数個の薄膜圧電体素子を前記素子形成基板の一方の面上に形成する工程と、
    前記薄膜圧電体素子を含んで前記素子形成基板の前記一方の面上に樹脂からなる素子保持膜を被覆し、前記薄膜圧電体素子が形成されている領域の前記素子形成基板を除去することで、前記薄膜圧電体素子を前記素子保持膜で保持させる工程と、
    前記素子保持膜で保持された前記薄膜圧電体素子を個別または所定の単位ごとに分離する工程とを有することを特徴とする薄膜圧電体素子の製造方法。
  2. 前記薄膜圧電体素子を前記素子保持膜で保持させる工程が、
    前記薄膜圧電体素子を含んで前記素子形成基板の前記一方の面上に樹脂からなる前記素子保持膜を被覆し、
    前記素子保持膜が被覆された前記素子形成基板の前記一方の面を仮固定用基板と対向させて前記仮固定用基板に固定用樹脂で接着固定するとともに、
    前記素子形成基板の前記一方の面の反対面の外周部から所定の幅の外周領域と前記素子形成基板の外周側端部とを前記固定用樹脂で被覆した後、
    前記固定用樹脂で被覆された領域以外の前記素子形成基板をエッチング除去する工程からなることを特徴とする請求項1に記載の薄膜圧電体素子の製造方法。
  3. 前記薄膜圧電体素子を前記素子保持膜で保持させる工程が、
    前記薄膜圧電体素子を含んで前記素子形成基板の前記一方の面上に樹脂からなる前記素子保持膜を被覆し、
    前記素子形成基板の前記一方の面の反対面の外周部で、前記薄膜圧電体素子が形成されていない領域部を前記素子形成基板がエッチングされる雰囲気ではエッチングされない材料からなるマスクで遮蔽した後、
    前記マスクで遮蔽されていない前記素子形成基板領域をドライエッチングにより除去する工程からなることを特徴とする請求項1に記載の薄膜圧電体素子の製造方法。
  4. 前記薄膜圧電体素子を前記素子保持膜で保持させる工程が、
    前記素子形成基板の外周部の前記薄膜圧電体素子が形成されていない領域部上で、前記素子形成基板の前記一方の面上に前記薄膜圧電体素子を囲む形状の枠体を固定し、
    前記薄膜圧電体素子と前記枠体の側端部とを含んで前記素子形成基板の前記一方の面上に樹脂からなる前記素子保持膜を被覆した後、前記素子形成基板を選択的に除去する工程とからなることを特徴とする請求項1に記載の薄膜圧電体素子の製造方法。
  5. 前記薄膜圧電体素子を前記素子保持膜で保持させる工程が、
    前記素子形成基板の外周部に内接するように枠体を前記素子形成基板に嵌合する工程と、
    前記薄膜圧電体素子と前記枠体の側端部とを含んで前記素子形成基板の前記一方の面上に樹脂からなる前記素子保持膜を被覆した後、前記素子形成基板を選択的に除去する工程とからなることを特徴とする請求項1に記載の薄膜圧電体素子の製造方法。
  6. 前記素子保持膜で保持された前記薄膜圧電体素子を個別または所定の単位ごとに分離する工程が、
    前記薄膜圧電体素子を実装するための実装用基板および前記薄膜圧電体素子の前記素子保持膜形成面に対して反対側の面を対向させて、前記薄膜圧電体素子に押圧力を印加して前記素子保持膜ごと前記薄膜圧電体素子を前記実装用基板表面へ移動させて、接着樹脂層により前記実装用基板へ接着固定する工程からなることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかに記載の薄膜圧電体素子の製造方法。
  7. 前記薄膜圧電体素子を前記実装用基板に接着固定後に前記素子保持膜を溶解液により溶解除去する工程をさらに付加したことを特徴とする請求項6に記載の薄膜圧電体素子の製造方法。
  8. 前記素子保持膜は加熱または紫外線照射により接着性が低下する特性を有し、前記薄膜圧電体素子を前記実装用基板に接着固定するとき、あるいはその後に加熱または紫外線照射して接着性を低下させて前記薄膜圧電体素子から分離する工程をさらに付加したことを特徴とする請求項6に記載の薄膜圧電体素子の製造方法。
  9. 前記素子保持膜は液状の有機樹脂を塗布し、乾燥硬化させて形成することを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれかに記載の薄膜圧電体素子の製造方法。
  10. 前記素子保持膜はプラズマ重合反応により有機樹脂膜を形成することを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれかに記載の薄膜圧電体素子の製造方法。
  11. 第1電極膜、圧電体薄膜および第2電極膜をこの順に積層してなる平板状の積層体、または前記積層体の前記第2電極膜同士を対向させて積層した二層積層体を素子形成基板上に形成し、前記第1電極膜および前記第2電極膜を外部機器に電気的に接続するための接続電極膜を設けてなる複数個の薄膜圧電体素子を前記素子形成基板の一方の面上に形成する工程と、
    前記素子形成基板の前記薄膜圧電体素子が形成された前記一方の面を表面が粘着性を有する可撓性基板に対向させて貼り合わせる工程と、
    前記素子形成基板を選択的に除去して、前記薄膜圧電体素子を前記可撓性基板で保持させる工程と、
    前記可撓性基板で保持された前記薄膜圧電体素子を個別または所定の単位ごとに分離する工程とを有することを特徴とする薄膜圧電体素子の製造方法。
  12. 前記可撓性基板で保持された前記薄膜圧電体素子を個別または所定の単位ごとに分離する工程が、
    前記可撓性基板として紫外線を照射することにより粘着性が低下する材料を用いて、前記薄膜圧電体素子を接着固定するための実装用基板および前記薄膜圧電体素子の前記素子保持膜形成面に対して反対側の面を対向させて前記実装用基板に前記薄膜圧電体素子を接着固定する際に、前記可撓性基板に紫外線を照射しながら前記薄膜圧電体素子を加熱し押圧力を印加して、前記薄膜圧電体素子を前記可撓性基板から剥離するとともに前記実装用基板に接着固定することを特徴とする請求項11に記載の薄膜圧電体素子の製造方法。
  13. 前記素子形成基板を除去することで露出した第1電極膜を含む前記薄膜圧電体素子表面に前記素子保持膜と同じ材料からなる樹脂保護膜を同じ厚さに形成することを特徴とする請求項1から請求項10までのいずれかに記載の薄膜圧電体素子の製造方法。
  14. 2個の前記薄膜圧電体素子を一対として構成し、一対の前記薄膜圧電体素子を前記素子保持膜から分離後も少なくとも一部が前記素子保持膜で連結されるように作製することを特徴とする請求項1から請求項10までのいずれかに記載の薄膜圧電体素子の製造方法。
  15. 第1電極膜、圧電体薄膜および第2電極膜をこの順に積層した平板状の積層体と、
    前記第1電極膜および前記第2電極膜を外部機器に電気的に接続するために前記積層体の一方の表面の端部に形成された接続電極膜と、
    前記接続電極膜が形成された前記積層体の一方の表面に樹脂からなる素子保持膜と他方の表面に前記素子保持膜と同一材料で同一厚さの樹脂保護膜が形成されてなる薄膜圧電体素子。
  16. 第1電極膜、圧電体薄膜および第2電極膜をこの順に積層した積層体の前記第2電極膜同士を対向させて積層した平板状の二層積層体と、
    前記第1電極膜および前記第2電極膜を外部機器に電気的に接続するために前記二層積層体の一方の表面の端部に形成された接続電極膜と、
    前記接続電極膜が形成された前記二層積層体の前記一方の表面に樹脂からなる素子保持膜と他方の表面に前記素子保持膜と同一材料で同一厚さの樹脂保護膜が形成されてなる薄膜圧電体素子。
  17. 2個の前記薄膜圧電体素子を一対として構成し、一対の前記薄膜圧電体素子は、前記薄膜圧電体素子の長さ方向に所定の隙間を設けて同一平面上に配置されるとともに前記隙間の中心を通る線分に対して対称な形状を有し、かつ前記隙間の少なくとも一部に前記素子保持膜と前記樹脂保護膜とが形成されて前記薄膜圧電体素子が連結されていることを特徴とする請求項15または請求項16に記載の薄膜圧電体素子。
  18. ディスクに記録再生を行うためのヘッドを搭載したスライダと、
    前記スライダがその端部で支持され、前記スライダの近傍に一対の薄膜圧電体素子が接着固定されたフレクシャーと、
    前記フレクシャーの他方の端部が固着され、軸受部で回転自在に軸支されたアクチュエータアームとを有し、
    一対の前記薄膜圧電体素子は、第1電極膜、圧電体薄膜および第2電極膜をこの順に積層した平板状の積層体と、前記第1電極膜および前記第2電極膜を外部機器に電気的に接続するために前記積層体の一方の表面の端部に形成された接続電極膜と、前記接続電極膜が形成された前記積層体の前記一方の表面に樹脂からなる素子保持膜と他方の表面に前記素子保持膜と同一材料で同一厚さの樹脂保護膜が形成されてなる前記薄膜圧電体素子の2個を一対として構成し、一対の前記薄膜圧電体素子が前記薄膜圧電体素子の長さ方向に隙間を設けて同一平面上に配置されるとともに、前記隙間の中心を通る線分に対して対称な形状を有し、かつ前記隙間の少なくとも一部に前記素子保持膜と前記樹脂保護膜とが形成されて前記薄膜圧電体素子が連結されていることを特徴とするアクチュエータ装置。
  19. ディスクに記録再生を行うためのヘッドを搭載したスライダと、
    前記スライダがその端部で支持され、前記スライダの近傍に一対の薄膜圧電体素子が固定されたフレクシャーと、
    前記フレクシャーの他方の端部が固着され、軸受部で回転自在に軸支されたアクチュエータアームとを有し、
    一対の前記薄膜圧電体素子は、第1電極膜、圧電体薄膜および第2電極膜をこの順に積層した積層体の前記第2電極膜同士を対向させて積層した平板状の二層積層体と、前記第1電極膜および前記第2電極膜を外部機器に電気的に接続するために前記二層積層体の一方の表面の端部に形成された接続電極膜と、前記接続電極膜が形成された前記二層積層体の前記一方の表面に樹脂からなる素子保持膜と他方の表面に前記素子保持膜と同一材料で同一厚さの樹脂保護膜が形成されてなる前記薄膜圧電体素子の2個を一対として構成し、一対の前記薄膜圧電体素子が前記薄膜圧電体素子の長さ方向に隙間を設けて同一平面上に配置されるとともに前記隙間の中心を通る線分に対して対称な形状を有し、かつ前記隙間の少なくとも一部に前記素子保持膜と前記樹脂保護膜とが形成されて前記薄膜圧電体素子が連結されていることを特徴とするアクチュエータ装置。
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