JP2003179282A - 薄膜圧電体素子およびその製造方法並びにこれを用いたアクチュエータ装置 - Google Patents

薄膜圧電体素子およびその製造方法並びにこれを用いたアクチュエータ装置

Info

Publication number
JP2003179282A
JP2003179282A JP2002290103A JP2002290103A JP2003179282A JP 2003179282 A JP2003179282 A JP 2003179282A JP 2002290103 A JP2002290103 A JP 2002290103A JP 2002290103 A JP2002290103 A JP 2002290103A JP 2003179282 A JP2003179282 A JP 2003179282A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thin film
film
piezoelectric element
film piezoelectric
substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2002290103A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4250940B2 (ja
Inventor
Hiroichi Uchiyama
博一 内山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP2002290103A priority Critical patent/JP4250940B2/ja
Publication of JP2003179282A publication Critical patent/JP2003179282A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4250940B2 publication Critical patent/JP4250940B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 基板上に薄膜プロセスで形成した薄膜圧電体
素子を素子保持膜と周囲に設けた枠構造のみで保持し
て、実装工程まで含めた量産性を改善する。 【解決手段】 薄膜圧電体素子8を素子形成基板7の一
方の面上に複数個形成する工程と、薄膜圧電体素子8を
含んで素子形成基板7の一方の面上に樹脂からなる素子
保持膜20を被覆し、薄膜圧電体素子8が形成されてい
る領域の素子形成基板7を除去することで薄膜圧電体素
子8を素子保持膜20で保持させる工程と、素子保持膜
20で保持された薄膜圧電体素子8を個別または所定の
単位ごとに分離する工程とを有する製造方法からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微小位置決め用や
圧電センサとして用いる薄膜圧電体素子およびその製造
方法並びにこれを用いたアクチュエータ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体技術の進歩とともに半導体
製造技術を用いて微小機械を作製し、種々の機構部を大
幅に小型化しようとする努力がなされており、このよう
な技術によるマイクロアクチュエータ等の機械的電気素
子が脚光を浴びている。このような素子は小型で高精度
の機械機構部品を実現でき、かつ、半導体プロセスを用
いることで、その生産性を大きく改善できる。特に、圧
電体素子を用いたマイクロアクチュエータは、走査型ト
ンネル顕微鏡の微小変位用や磁気ディスク記録再生装置
(以下、ディスクドライブ装置とよぶ)のヘッドスライ
ダの微小位置決め用等に応用されている。
【0003】例えば、ディスクドライブ装置では、磁気
ディスクに対して情報の記録再生を行う磁気ヘッドはヘ
ッドスライダに搭載され、アクチュエータアームに取り
付けられている。このアクチュエータアームをボイスコ
イルモータ(以下、VCMとよぶ)によって揺動させる
ことで、磁気ディスク上の所定のトラック位置に位置決
めして、磁気ヘッドで記録再生を行っている。しかし、
記録密度の向上とともに、このような従来のVCMのみ
の位置決めでは十分な精度を確保できなくなってきてい
る。このために、VCMの位置決め手段に加えて、圧電
体素子を用いた微小位置決め手段によりヘッドスライダ
を微小駆動させて高速、高精度の位置決めを行う技術の
提案がなされている(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】上記したようなアクチュエータを含め、圧
電体素子は種々の応用が期待されている。しかしなが
ら、従来はグリーンシート積層方式あるいは厚膜多層形
成方式で形成されることが多かった。これは、上記の製
造方法がコスト的に安く、かつ、比較的簡単に積層化が
可能で、変位量を大きくできることによる。しかしなが
ら、これらの製造方法で作製した圧電体素子の一層の厚
みは数10μm程度であるため、100V程度の駆動電
圧を必要としていた。
【0005】これに対して、小型で、低電圧駆動が可能
で、大きな変位量を実現するために、薄膜作成方式によ
り同様に積層する方式も提案されている(例えば、特許
文献1参照)。このような薄膜製造方法による圧電体素
子は、シリコン単結晶基板等の基板上に形成し種々の加
工を行った後、最終的に圧電体素子として利用するとき
には基板を除去して使用する必要があることが多い。基
板を除去して圧電体素子単独とすると、これらは薄いた
め損傷を生じさせずに圧電体実装用基板上に実装するこ
とが非常に困難であり、量産性に大きな課題を有してい
る。
【0006】このような点を考慮して、焦電素子や圧電
体素子を別に設けた電極形成基板上に量産性よく実装す
る製造方法が示されている(例えば、特許文献2参
照)。それによると、素子転写治具を用意し、仮基板上
に形成された素子を樹脂や両面粘着テープ等によりこの
素子転写治具に所定の配置にして接着した後、仮基板の
みを選択的にエッチングする。次に、電極形成基板上に
設けられた電極と素子の電極とを対向させて貼り合わ
せ、例えばはんだ付けにより接合する。この後、素子を
接着している樹脂あるいは粘着テープ等を溶解除去して
素子転写治具から素子を分離することで、電極形成基板
上に所定の形状で接合された焦電素子や圧電体素子が形
成される。素子転写治具上に素子が接着固定されている
ので、仮基板が選択的にエッチング除去されても素子の
変形や損傷が生じないし、所定の配置状態を保持でき、
電極形成基板上に一括して貼り合わせることができる。
【0007】また、有機薄膜が形成された焦電薄膜を開
口部が設けられた基板上に接着した後、焦電薄膜が形成
された基板をエッチング除去することで、焦電薄膜が有
機薄膜のみで保持される構造が示されている(例えば、
特許文献3参照)。このような構造とすることで、素子
間の熱分離が容易で、作製工数を削減でき、量産性の改
善を実現している。
【0008】
【特許文献1】特開平8−88419号公報
【特許文献2】特開平11−345833号公報
【特許文献3】特開平4−170077号公報
【非特許文献1】超高TPI化とピギーバックアクチュ
エータ(IDEMA JapanNews No.3
2、pp4−7、国際ディスクドライブ協会発行)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述の特許文献2で
は、仮基板ごと個別に分離された状態の素子を素子転写
治具上に接着している。しかし、このように素子を1個
づつ接着する方式では、それぞれの素子間の貼り合わせ
精度を高めることは困難である。すなわち、素子が小型
でかつ電極端子の数が多くなるほど、さらに、素子転写
治具上に貼り合わせる素子の数が多くなるほど、電極形
成基板と素子転写治具上に貼り合わせた複数の素子間の
位置ずれの影響が大きくなり、このために位置合わせが
難しくなる。また、接着層ははんだ付けの実装温度に耐
える材料で、かつ、その温度を受けた後でも薬液により
除去できるような材料であることが要求される。
【0010】さらに、特許文献3では、所定の基板上に
形成した焦電薄膜を覆うように有機薄膜を形成した後、
開口部を設けたポリイミド基板上に接着し、その後焦電
薄膜が形成された基板をエッチング除去して、開口部で
は焦電薄膜が有機薄膜のみで保持される構造の焦電型赤
外線検出器の製造方法である。この製造方法の場合に
も、ポリイミド基板のような実装用基板上に焦電薄膜が
形成された基板ごと接着した後に、この基板のみをエッ
チング除去している。すなわち、実装後に焦電薄膜が形
成された基板をエッチングすることになるので、このエ
ッチングのための薬液あるいはガスにより実装用基板や
配線電極が変質したり、また、実装用基板の形状が制約
を受けるという課題も生じる。
【0011】本発明は、素子形成基板上に薄膜技術を用
いて薄膜圧電体素子を形成し、素子形成基板をエッチン
グ除去後も薄膜圧電体素子が素子保持膜で保持される構
造とすることで、実装組立工程まで薄膜圧電体素子が初
期の配置状態を維持するようにして、実装工程まで含め
て量産性のよい薄膜圧電体素子の製造方法および薄膜圧
電体素子を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に本発明の薄膜圧電体素子の製造方法は、第1電極膜、
圧電体薄膜および第2電極膜をこの順に積層してなる平
板状の積層体、またはこの積層体の第2電極膜同士を対
向させて積層した二層積層体を素子形成基板上に形成
し、所定の接続電極膜を設けてなる薄膜圧電体素子を素
子形成基板の一方の面上に複数個形成し、これらの薄膜
圧電体素子を含んで素子形成基板の一方の面上に素子保
持膜を被覆し、薄膜圧電体素子が形成されている領域の
素子形成基板を除去することで薄膜圧電体素子を素子保
持膜で保持させた後、素子保持膜で保持された薄膜圧電
体素子を個別または所定の単位ごとに分離する方法から
なる。
【0013】また、本発明の薄膜圧電体素子は、平板状
の薄膜圧電体素子の圧電体として機能する領域の両表面
に、樹脂からなる素子保持膜と、この素子保持膜と同じ
材料で同じ厚さの樹脂保護膜とを形成した構成からな
り、さらにこれらからなる2個の薄膜圧電体素子を素子
保持膜と樹脂保護膜とで連結して一体化した構成として
アクチュエータ装置用としたものである。
【0014】この製造方法により、素子形成基板上に形
成された複数の薄膜圧電体素子は、素子形成基板がエッ
チング等で除去されても、外周部の枠と素子保持膜とに
よって初期の配置状態が保持される。このため、これら
複数の薄膜圧電体素子に対して樹脂保護膜や接着樹脂層
を同時に一括して形成することや、これらの膜のフォト
リソやエッチング加工が容易に行える。また、薄膜圧電
体素子を圧電体実装用基板上に位置合わせして実装する
場合も、一定の配列ピッチであるので自動実装機を用い
て量産性よく、かつ、高精度に行うことが可能である。
【0015】さらに、一対で構成された薄膜圧電体素子
同士が素子保持膜により連結されているので、圧電体実
装用基板上に実装するときの精度と量産性が向上でき
る。また、薄膜圧電体素子の圧電体として機能する領域
の両表面が、同じ材料で同じ厚さの素子保持膜と樹脂保
護膜とで形成されているので、そりが生じず圧電体特性
が低下しない。また、全体が樹脂からなる素子保持膜と
樹脂保護膜とにより保護されるので、薄膜圧電体素子の
腐食やゴミの発生を防止でき、アクチュエータ装置とし
て使用するときの信頼性が大きく向上する。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の薄膜圧電体素子の製造方
法は、第1電極膜、圧電体薄膜および第2電極膜をこの
順に積層してなる平板状の積層体、またはこの積層体の
第2電極膜同士を対向させて積層した二層積層体を素子
形成基板上に形成し、所定の接続電極膜を設けてなる薄
膜圧電体素子を素子形成基板の一方の面上に複数個形成
する工程と、薄膜圧電体素子を含んで素子形成基板の一
方の面上に樹脂からなる素子保持膜を被覆し、薄膜圧電
体素子が形成されている領域の素子形成基板を除去する
ことで薄膜圧電体素子を素子保持膜で保持させる工程
と、素子保持膜で保持された薄膜圧電体素子を個別また
は所定単位ごとに分離する工程とを有する方法からな
る。
【0017】この製造方法により、複数の薄膜圧電体素
子は素子形成基板が除去されても素子保持膜で保持され
るので、初期の配置状態が保持される。したがって、複
数の薄膜圧電体素子に対して、同時に一括して接着樹脂
層を形成する作業やフォトリソ、エッチングによる加工
が容易に行える。
【0018】また、本発明の薄膜圧電体素子の製造方法
は、薄膜圧電体素子を素子保持膜で保持させる工程が、
薄膜圧電体素子を含んで素子形成基板の一方の面上に樹
脂からなる素子保持膜を被覆し、素子保持膜が被覆され
た素子形成基板の一方の面を仮固定用基板と対向させて
仮固定用基板に固定用樹脂で接着固定するとともに、素
子形成基板の一方の面の反対面の外周部から所定の幅の
外周領域と素子形成基板の外周側端部とを固定用樹脂で
被覆した後、固定用樹脂で被覆された領域以外の素子形
成基板をエッチング除去する方法からなる。
【0019】このような製造方法とすることにより、素
子形成基板の薄膜圧電体素子が形成されている領域部の
みを選択的にエッチング除去して枠体を容易に作製する
ことができる。枠体を作製することにより、薄膜圧電体
素子が保持される素子保持膜の撓みやしわの発生を防止
できる。このエッチングとしては、素子形成基板を溶解
する薬液中に浸積してエッチング除去してもよいし、ド
ライエッチングで行ってもよい。
【0020】また、本発明の薄膜圧電体素子の製造方法
は、薄膜圧電体素子を素子保持膜で保持させる工程が、
薄膜圧電体素子を含んで素子形成基板の一方の面上に樹
脂からなる素子保持膜を被覆し、素子形成基板の一方の
面の反対面の外周部で、薄膜圧電体素子が形成されてい
ない領域部を素子形成基板がエッチングされる雰囲気で
はエッチングされない材料からなるマスクで遮蔽した
後、マスクで遮蔽されていない素子形成基板領域をドラ
イエッチングにより除去する方法からなる。
【0021】このような製造方法により、素子形成基板
の外周部を枠状に残すような選択的なエッチングを行う
場合に、仮固定用基板や固定用樹脂を用いずにすむので
工程を簡略にしながら、薄膜圧電体素子を素子保持膜と
外周枠部で保持する構造を実現できる。
【0022】例えば、素子形成基板として酸化マグネシ
ウム単結晶基板(以下、MgO基板とよぶ)を用いる場
合には、マスク材料としてはステンレス、クロム、銅、
あるいはクロム等をメッキした銅や鉄等の金属、ガラス
またはアルミナ等のセラミックを使用して、これらを枠
状にして素子形成基板に密着させてドライエッチングす
ることができる。また、これらの材料をスパッタリング
等で成膜して、エッチングすべき素子形成基板面上の膜
をエッチング除去し、その他の部分を枠状に残してマス
クとしてもよい。例えば、素子形成基板としてシリコン
単結晶基板(以下、Si基板とよぶ)を用いる場合に
は、アルミニウム等の金属やアルミナ等のセラミック材
料を用いて、Si基板をエッチングしない枠状部分のみ
にこれらの膜を形成してマスクとしてもよい。
【0023】また、本発明の薄膜圧電体素子の製造方法
は、薄膜圧電体素子を素子保持膜で保持させる工程が、
素子形成基板の外周部の薄膜圧電体素子が形成されてい
ない領域部上で、素子形成基板の一方の面上に薄膜圧電
体素子を囲む形状の枠体を固定し、薄膜圧電体素子と枠
体の側端部とを含んで素子形成基板の一方の面上に樹脂
からなる素子保持膜を被覆した後、素子形成基板を選択
的に除去する方法からなる。
【0024】この製造方法により、枠体としては金属材
料やセラミック材料あるいはガラス等の種々の材料を用
いることができる。金属材料を用いれば、枠体の強度を
確保するために必要な種々の加工が容易に行える。例え
ば、素子形成基板に固定する枠体の表面に段差を設けれ
ば、素子形成基板に固定するための枠体の幅を小さくし
ながら、枠体全体の幅を大きくすることができる。この
ような構造とすれば、枠体としての強度を十分に確保し
ながら、素子形成基板に固定するための幅を小さくでき
るので、素子形成基板上に作製できる薄膜圧電体素子数
を多くでき、量産性を向上できる。また、仮固定用基板
を用いる必要がなくなり、製造工程を簡略化できる。な
お、素子形成基板の除去は、薬液中に浸積して行うウエ
ットエッチング、反応ガス中で行うドライエッチング、
あるいは所定の厚さまで機械的に研磨して薄板化した後
に薬液によるエッチングやドライエッチング等で行うこ
とができる。
【0025】また、本発明の薄膜圧電体素子の製造方法
は、薄膜圧電体素子を素子保持膜で保持させる工程が、
素子形成基板の外周部に内接するように枠体を素子形成
基板に嵌合する工程と、薄膜圧電体素子と枠体の側端部
とを含んで素子形成基板の一方の面上に樹脂からなる素
子保持膜を被覆した後、素子形成基板を選択的に除去す
る方法からなる。
【0026】この製造方法により、薄膜圧電体素子を素
子形成基板の外周部近傍まで作製することが可能とな
り、素子形成基板上に形成できる圧電体素子数を増加で
きるので量産性を向上できる。さらに、枠体は素子形成
基板の外周部に嵌合するのみでよいので、製造工程も簡
略化される。なお、素子形成基板の除去は薬液中に浸積
してエッチングすることも、あるいはドライエッチング
でも可能であるし、所定の厚さまで枠体と一緒に機械的
に研磨して除去した後に薬液によるエッチングやドライ
エッチングを行う方法でもよい。また、枠体を素子形成
基板に嵌合する場合、素子形成基板面と枠体の面とはほ
ぼ同一面とすることが望ましい。しかしながら、嵌合後
に接着樹脂層の被覆や絶縁保護膜の形成、あるいはこれ
らを所定のパターン形状に加工するためのフォトリソ、
エッチングプロセスが行える範囲であれば、枠体の面と
素子形成基板面とは同一面でなくてもよい。
【0027】また、本発明の薄膜圧電体素子の製造方法
は、素子保持膜で保持された薄膜圧電体素子を個別また
は所定の単位ごとに分離する工程が、薄膜圧電体素子を
実装するための実装用基板と接続電極膜を形成する面に
対して反対側の表面とを対向させて、薄膜圧電体素子に
押圧力を印加して素子保持膜ごと薄膜圧電体素子を実装
用基板表面へ移動させて、接着樹脂層により実装用基板
へ接着固定する方法からなる。
【0028】この製造方法により、実装用基板に薄膜圧
電体素子を実装するときにも初期の配置状態を保持して
いるので、高精度の位置合わせが容易で、かつ圧電体素
子を損傷することが少なくなり、量産性と歩留まりが大
きく改善できる。
【0029】また、本発明の薄膜圧電体素子の製造方法
は、薄膜圧電体素子を実装用基板に接着固定後に素子保
持膜を溶解液により溶解除去する工程をさらに付加した
方法からなる。素子形成基板から分離された状態の薄膜
圧電体素子において素子保持膜が残っている場合には、
素子保持膜は薄膜圧電体素子の耐湿性に対する保護や薄
膜圧電体素子からのゴミ発生を抑制する作用を有する
が、同時に薄膜圧電体素子の変位に対しては抑制的に作
用する。この製造方法により、素子保持膜を最終的に溶
解除去して、薄膜圧電体素子の変位量の低下を防止する
こともできる。
【0030】また、本発明の薄膜圧電体素子の製造方法
は、素子保持膜は加熱または紫外線照射により接着性が
低下する特性を有し、薄膜圧電体素子を実装用基板に接
着固定するとき、あるいはその後に加熱または紫外線照
射して接着性を低下させて薄膜圧電体素子から分離する
工程をさらに付加した方法からなる。
【0031】このような材料特性の素子保持膜を用いて
薄膜圧電体素子から素子保持膜を分離する工程を付加す
ることにより、薄膜圧電体素子の変位量の低下を防止す
ることもできる。この素子保持膜の分離工程は薬液を使
用せず、ドライプロセスであるので、薄膜圧電体素子を
実装用基板へ接着した後でも容易に行うことができ、し
かも特に新しい設備を必要としない。このような素子保
持膜としては、例えば熱分解温度が200℃である熱可
塑性の接着剤を用いて、実装後に上述の温度に加熱すれ
ば接着性が低下するので、薄膜圧電体素子から簡単に剥
離させることができる。
【0032】また、本発明の薄膜圧電体素子の製造方法
は、素子保持膜として液状の有機樹脂を塗布し、乾燥硬
化させて形成する方法からなる。
【0033】この製造方法により、薄膜圧電体素子を含
む素子形成基板面上に比較的均一で薄い樹脂膜を形成で
きる。また、有機樹脂膜は柔軟性を有するので、破れ難
いだけでなく、実装用基板に薄膜圧電体素子を実装後に
素子保持膜を残しておいても、薄膜圧電体素子の変位量
の低下に対する影響が少ない。この有機樹脂膜として
は、ポリイミド、フォトレジスト、ゴム系の樹脂あるい
は熱可塑性接着剤等で、この工程以降に要求される20
0℃程度の加熱温度に耐える材料であればいずれでも用
いることができる。
【0034】また、本発明の薄膜圧電体素子の製造方法
は、素子保持膜としてプラズマ重合反応により有機樹脂
膜を形成する方法からなる。
【0035】この製造方法により、薄膜圧電体素子を含
む素子形成基板表面上に素子保持膜を均一に形成でき
る。特に、この方法では液状の樹脂材料を塗布するとき
に生じ易い凹部での厚さの増加や、凸部での厚さの減少
等が生じず、どのような場所にも均一に形成できるの
で、薄くても強度の安定した素子保持膜を形成できる。
この有機樹脂膜としては、2種以上のモノマーを蒸発さ
せて基板上で重合反応させたポリイミド薄膜、あるいは
高分子を蒸発させプラズマ中に導入して重合反応させて
作製する薄膜、例えばポリイミド、ベンゾシクロブテン
(BCB)等を用いることができる。
【0036】また、本発明の薄膜圧電体素子の製造方法
は、第1電極膜、圧電体薄膜および第2電極膜をこの順
に積層してなる平板状の積層体、またはこの積層体の第
2電極膜同士を対向させて積層した二層積層体を素子形
成基板上に形成し、第1電極膜および第2電極膜を外部
機器に電気的に接続するための接続電極膜を設けてなる
複数個の薄膜圧電体素子を素子形成基板の一方の面上に
形成する工程と、素子形成基板の薄膜圧電体素子が形成
された一方の面を表面が粘着性を有する可撓性基板に対
向させて貼り合わせる工程と、素子形成基板を選択的に
除去して薄膜圧電体素子を可撓性基板で保持させる工程
と、可撓性基板で保持された薄膜圧電体素子を個別また
は所定単位ごとに分離する工程とを有する方法からな
る。
【0037】この製造方法により、複数の薄膜圧電体素
子は素子形成基板がエッチング除去されても可撓性基板
で保持されるので、初期の配置状態が保持される。した
がって、複数の薄膜圧電体素子に対して、同時に一括し
て接着樹脂層を形成する作業やフォトリソ、エッチング
による加工が容易に行える。
【0038】また、本発明の薄膜圧電体素子の製造方法
は、可撓性基板で保持された薄膜圧電体素子を個別また
は所定単位ごとに分離する工程が、可撓性基板として紫
外線を照射することにより粘着性が低下する材料を用い
て、薄膜圧電体素子を接着固定するための実装用基板と
接続電極膜形成面に対して反対側の薄膜圧電体素子の表
面とを対向させて実装用基板に薄膜圧電体素子を接着固
定する際に、可撓性基板に紫外線を照射しながら薄膜圧
電体素子を加熱し押圧力を印加して、薄膜圧電体素子を
可撓性基板から剥離するとともに実装用基板に接着固定
する方法からなる。
【0039】この製造方法により、可撓性基板から薄膜
圧電体素子の分離が容易に行えるので、実装用基板へ薄
膜圧電体素子を接着固定する作業工程が簡略化できる。
【0040】なお、素子形成基板を除去して薄膜圧電体
素子のみが可撓性基板上に保持された状態で、可撓性基
板を外周部から均一に引き伸ばして薄膜圧電体素子同士
の間隔を広げることができる可撓性基板を用いることも
可能である。このような可撓性基板を用いれば、実装用
基板上へ薄膜圧電体素子を接着するときの押圧ツールの
作業性を改善できる。このような可撓性基板としては、
例えば半導体基板をダイシングするときに貼り付ける粘
着性を有したフィルムを使用することもできるし、さら
にこのようなフィルムのみを用いて、このフィルム上に
素子形成基板をエッチングする薬液に耐える粘着剤を塗
布して使用することもできる。
【0041】また、本発明の薄膜圧電体素子の製造方法
は、素子形成基板を除去することで露出した第1電極膜
を含む薄膜圧電体素子表面に素子保持膜と同じ材料で同
じ厚さに樹脂保護膜を形成する方法からなる。
【0042】この製造方法により、薄膜圧電体素子の圧
電体としての機能を生じる領域においては両表面に同じ
材料で同じ厚さの膜が形成されるので、そりが発生せ
ず、かつ耐環境性、特に耐湿性を向上できる。この樹脂
保護膜は、素子保持膜と同様な方法で容易に作製するこ
とができる。
【0043】さらに、本発明の薄膜圧電体素子の製造方
法は、2個の薄膜圧電体素子を一対として構成し、一対
の薄膜圧電体素子を素子保持膜から分離後も少なくとも
一部が素子保持膜で連結されるように作製する方法から
なる。
【0044】この製造方法により、アクチュエータ装置
として使用する場合に大きな変位量を得ることができ
る。また、隣接する薄膜圧電体素子を一対として用いる
ことで、これらの薄膜圧電体素子間の特性ばらつきを低
減でき、アクチュエータ装置として安定な動作が可能と
なる。
【0045】さらに、本発明の薄膜圧電体素子は、第1
電極膜、圧電体薄膜および第2電極膜をこの順に積層し
た平板状の積層体と、第1電極膜および第2電極膜を外
部機器に電気的に接続するために積層体の一方の表面の
端部に形成された接続電極膜と、接続電極膜が形成され
た積層体の一方の表面に樹脂からなる素子保持膜と他方
の表面に素子保持膜と同一材料で同一厚さの樹脂保護膜
が形成されてなる構成を有する。
【0046】この構成により、平板状の積層体のうち圧
電体として機能する領域の両表面には、同じ材料と同じ
厚さの素子保持膜と樹脂保護膜とが形成されるので、そ
りが生じず、安定な圧電特性を得るだけでなく、耐湿性
の改善とごみ発生を抑制することができる。
【0047】さらに、本発明の薄膜圧電体素子は、第1
電極膜、圧電体薄膜および第2電極膜をこの順に積層し
た積層体の第2電極膜同士を対向させて積層した平板状
の二層積層体と、第1電極膜および第2電極膜を外部機
器に電気的に接続するために二層積層体の一方の表面の
端部に形成された接続電極膜と、接続電極膜が形成され
た二層積層体の一方の表面に樹脂からなる素子保持膜と
他方の表面に素子保持膜と同一材料で同一厚さの樹脂保
護膜が形成されてなる構成を有する。
【0048】この構成により、平板状の二層積層体の圧
電体として機能する領域の両表面には、同じ材料と同じ
厚さの素子保持膜と樹脂保護膜とが形成されるので、そ
りが生じず、安定な圧電特性を得ることができるだけで
なく、耐湿性の改善とごみ発生を抑制することができ
る。さらに、圧電体薄膜が二層積層されているので、薄
膜圧電体素子の変位特性を大きく改善できる。
【0049】また、本発明の薄膜圧電体素子は、2個の
薄膜圧電体素子を一対として構成し、一対の薄膜圧電体
素子は、その長さ方向に所定の隙間を設けて同一平面上
に配置されるとともに、この隙間の中心を通る線分に対
して対称な形状を有し、かつこの隙間の少なくとも一部
に素子保持膜と樹脂保護膜とが形成されて薄膜圧電体素
子が連結されている構成を有する。
【0050】この構成により、平板状の積層体の圧電体
として機能する領域の両表面には、同じ材料と同じ厚さ
の素子保持膜と樹脂保護膜とが形成されるので、そりが
生じず、安定な圧電特性を得ることができるだけでな
く、耐湿性の改善とごみ発生を抑制することができる。
さらに、長さ方向の線分に対して対称な形状であり、素
子保持膜で連結されているので、実装用基板上に接着固
定する場合にも、薄膜圧電体素子間の位置ずれ等が生じ
ず、精度よく接着固定できる。この結果、一対の薄膜圧
電体素子のそれぞれの圧電特性ばらつきを非常に小さく
することができる。なお、素子保持膜と樹脂保護膜とに
より連結する場合に、一対の薄膜圧電体素子の全長にわ
たって連結してもよいし、必要な部分のみに限定して連
結する構成としてもよい。
【0051】さらに、本発明のアクチュエータ装置は、
ディスクに記録再生を行うためのヘッドを搭載したスラ
イダと、スライダがその端部で支持され、スライダの近
傍に一対の薄膜圧電体素子が接着固定されたフレクシャ
ーと、フレクシャーの他方の端部が固着され、軸受部で
回転自在に軸支されたアクチュエータアームとを有し、
上記の一対の薄膜圧電体素子は、第1電極膜、圧電体薄
膜および第2電極膜をこの順に積層した平板状の積層体
と、第1電極膜および第2電極膜を外部機器に電気的に
接続するために積層体の一方の表面の端部に形成された
接続電極膜と、接続電極膜が形成された積層体の一方の
表面に樹脂からなる素子保持膜と他方の表面に素子保持
膜と同一材料で同一厚さの樹脂保護膜が形成されてなる
薄膜圧電体素子の2個を一対として構成し、一対の薄膜
圧電体素子がその長さ方向に所定の隙間を設けて同一平
面上に配置されるとともに、この隙間の中心を通る線分
に対して対称な形状を有し、かつこの隙間の少なくとも
一部に素子保持膜と樹脂保護膜とが形成されて薄膜圧電
体素子間が連結されている構成を有する。
【0052】この構成により、一対の薄膜圧電体素子の
それぞれの圧電特性ばらつきを非常に小さくすることが
できるので、アクチュエータ装置として高精度で安定な
動作を実現できる。また、長期間作動させてもごみ等の
発生が少なく、高信頼性のディスクドライブ装置を実現
できる。
【0053】さらに、本発明のアクチュエータ装置は、
ディスクに記録再生を行うためのヘッドを搭載したスラ
イダと、スライダがその端部で支持され、スライダの近
傍に一対の薄膜圧電体素子が固定されたフレクシャー
と、フレクシャーの他方の端部が固着され、軸受部で回
転自在に軸支されたアクチュエータアームとを有し、上
記の一対の薄膜圧電体素子は、第1電極膜、圧電体薄膜
および第2電極膜をこの順に積層した積層体の第2電極
膜同士を対向させて積層した平板状の二層積層体と、第
1電極膜および第2電極膜を外部機器に電気的に接続す
るために二層積層体の一方の表面の端部に形成された接
続電極膜と、接続電極膜が形成された二層積層体の一方
の表面に樹脂からなる素子保持膜と他方の表面に素子保
持膜と同一材料で同一厚さの樹脂保護膜とが形成されて
なる薄膜圧電体素子の2個を一対として構成し、一対の
薄膜圧電体素子がその長さ方向に所定の隙間を設けて同
一平面上に配置されるとともに、この隙間の中心を通る
線分に対して対称な形状を有し、かつこの隙間の少なく
とも一部に素子保持膜と樹脂保護膜とが形成されて薄膜
圧電体素子が連結されている構成を有する。
【0054】この構成により、一対の薄膜圧電体素子の
それぞれの圧電特性ばらつきを非常に小さくすることが
できるので、アクチュエータ装置として高精度で安定な
動作を実現できる。また、長期間作動させてもごみ等の
発生が少なく、高信頼性のディスクドライブ装置を実現
できる。
【0055】以下、本発明の実施の形態について図面を
用いて説明する。
【0056】(第1の実施の形態)図1(A)は、第1
の実施の形態の製造方法により作製した2個の薄膜圧電
体素子を一対としたアクチュエータ装置の薄膜圧電体素
子部分の平面図である。このアクチュエータ装置はディ
スクドライブ装置において、ヘッドスライダをディスク
上の所定のトラック位置に高精度に微小位置決めするた
めに用いられる。2個の薄膜圧電体素子8は、長さ方向
に所定の隙間を有し、この隙間の中心線であるA−A線
に対して対称な形状に形成され、実装用基板であるフレ
クシャー30に接着固定されている。図1(B)は、図
1(A)に示すX−X線に沿った断面図を示すが、これ
らの図を用いてその構成を説明する。
【0057】薄膜圧電体素子8は、それぞれ第1電極膜
11と第2電極膜13とで挟まれた圧電体薄膜12から
なる2個の積層体10をそれらの第2電極膜13同士を
接着層14で接着することによって積層一体化した二層
積層体に、さらに絶縁保護膜15および接続電極膜16
を成膜し、所定のパターン形成を行うことで構成されて
いる。
【0058】ここで、第1電極膜11と第2電極膜13
とは白金(Pt)が好適であり、圧電体薄膜12として
はチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)が好適であるが、本
発明はこれらの材料に限定されるものではなく、チタン
酸鉛、ジルコン酸鉛等の圧電性を有する膜であれば同様
に使用できる。また、第1電極膜11と第2電極膜13
についても、金、ロジウム、ルテニウム等の貴金属や酸
化ルテニウム等の酸化物導電体を用いることもできる。
【0059】なお、図1に示すように、素子保持膜20
は薄膜圧電体素子8の表面だけでなく、それらの隙間部
分にも形成した状態である。このようにすることで、2
個の薄膜圧電体素子8が連結され一体化されている。こ
れにより、実装用基板であるフレクシャー30に接着固
定するときの薄膜圧電体素子8間の位置ずれがなくな
り、かつ実装作業性も大幅に改善される。さらに、薄膜
圧電体素子8の耐湿性改善とゴミ発生を抑制することも
できる。
【0060】接続電極膜16が形成されていない方の第
1電極膜11面上に接着樹脂層25を形成し、フレクシ
ャー30に接着固定する。フレクシャー30には、薄膜
圧電体素子8の電極パッド18に対応する位置に圧電体
電極パッド34が設けられ、この圧電体電極パッド34
と電極パッド18とを、例えばワイヤリード37で接続
する。
【0061】なお、フレクシャー30は、薄膜圧電体素
子8を接着している領域から延在するようにヘッドスラ
イダ(図示せず)を固定するためのスライダ保持部31
を有し、このスライダ保持部31にはヘッドスライダ
(図示せず)に搭載されているヘッド(図示せず)の配
線部とを接続するためのヘッド電極パッド32が設けら
れている。このヘッド電極パッド32からは、ヘッド電
極配線33が薄膜圧電体素子8間のフレクシャー30上
を引き回され、圧電体電極パッド34から引き回された
圧電体電極配線35と同様に外部機器との接続パッド
(図示せず)まで引き回されている。
【0062】図2は、本発明の薄膜圧電体素子を搭載し
たアクチュエータ装置をディスクドライブ装置に用いた
例を示す模式図である。アクチュエータ装置230は、
ディスク210に記録再生を行うヘッド(図示せず)が
搭載されたヘッドスライダ231、一対の薄膜圧電体素
子8、フレクシャー30、サスペンション233、板バ
ネ部234および支持アーム236から構成されてい
る。なお、サスペンション233、板バネ部234およ
び支持アーム236からアクチュエータアームが構成さ
れる。また、フレクシャー30は、スライダ保持部31
のヘッド電極パッド32と薄膜圧電体素子8部分の圧電
体電極パッド34とからヘッド電極配線33と圧電体電
極配線35とが支持アーム236の近傍まで延在され
て、外部機器との接続パッド301に接続されている。
【0063】ヘッドスライダ231はフレクシャー30
に支持され、ディスク210に対向する面にヘッド(図
示せず)が搭載されている。ヘッドスライダ231の近
傍のフレクシャー30上に一対の薄膜圧電体素子8が接
着固定されている。
【0064】フレクシャー30はアクチュエータアーム
の一部であるサスペンション233に他方の端部が固定
されており、サスペンション233は板バネ部234に
固定され、さらにこの板バネ部234は支持アーム23
6に固定されている。
【0065】支持アーム236は、軸受部240に軸支
されており、自由に回転可能である。さらに、支持アー
ム236には、この支持アーム236を回動させるため
のVCMを構成するボイスコイル250が取り付けられ
ている。このボイスコイル250と筐体(図示せず)に
固定されたマグネット(図示せず)によりVCMを構成
している。したがって、このアクチュエータ装置230
は、VCMによる位置決めと一対の薄膜圧電体素子8に
よる位置決めとの2段階による位置決めが可能である。
【0066】以下、このアクチュエータ装置230を用
いたディスクドライブ装置の動作について説明する。デ
ィスク210がスピンドルモータ220により回転駆動
されると、ヘッドスライダ231とディスク210との
間に空気が流入して空気潤滑膜を形成する。この空気潤
滑膜の圧力と板バネ部234からの押圧力とが釣り合っ
た位置で、ヘッドスライダ231が浮上し安定状態とな
る。この浮上距離は、約10nmから50nmである。
このような浮上状態で、ヘッドをディスク210の所定
のトラック位置に位置決めするため、支持アーム236
がVCMにより回動される。通常のディスクドライブ装
置では、このVCMのみで所定のトラック位置に位置決
めできる。しかし、さらに高密度の記録を行うためにト
ラックピッチを微小にする場合、より高精度の位置決め
が要求される。これを行うのが一対の薄膜圧電体素子8
である。一対の薄膜圧電体素子8は、フレクシャー30
のヘッドスライダ231近傍に取り付けられており、こ
の薄膜圧電体素子8を駆動することにより、サスペンシ
ョン233や支持アーム236とは無関係にヘッドの位
置をディスク210の半径方向に数μm程度自由に移動
させることができる。すなわち、一対の薄膜圧電体素子
8の一方が伸びる方向で、かつ他方が縮む方向に電圧を
印加すれば、ディスク210の半径方向(図1に示すY
−Y方向)にヘッドを数μm程度移動させることができ
る。
【0067】以上のような動作により、VCMによる位
置決めと薄膜圧電体素子8による高精度位置決めの2段
構成の位置決めができる。なお、このアクチュエータ装
置230は、一例であって、特にアクチュエータアーム
の構造については本実施の形態には限定されない。
【0068】このような薄膜圧電体素子8の製造方法を
図3と図4の製造工程図をもとに説明する。なお、図1
に示した構成要素と対応する要素には同一符号を付して
いる。
【0069】図3(A)は、素子形成基板7上に一対の
薄膜圧電体素子8を複数個形成した状態を示す。この図
では一対の薄膜圧電体素子8が二対しか示されていない
が、具体的には図5に示すように素子形成基板7上には
多数の薄膜圧電体素子8が一定の配置構成で形成されて
いる。素子形成基板7としては、MgO基板、Si基
板、サファイヤ基板またはチタン酸ジルコン酸鉛単結晶
基板等の単結晶基板だけでなく、ステンレス鋼等の金属
材料を用いることもできる。
【0070】薄膜圧電体素子8の作製方法について説明
する。素子形成基板7上の二層積層体は、素子形成基板
7と同じ基板上に第1電極膜11、圧電体薄膜12およ
び第2電極膜13を積層し、この基板と素子形成基板と
を対向させて接着層14により接着した後、一方の基板
をエッチング除去し、さらに図1(A)に示すような一
方が直角である台形状にフォトリソとエッチング加工す
れば得られる。なお、このときに、第2電極膜13の一
部が露出するようにビアホールも形成する。その後、絶
縁保護膜15を形成し、それぞれの電極膜の一部が露出
するようにフォトリソとエッチング加工し、さらに接続
電極膜16を形成して図1(A)に示すような形状に加
工すれば薄膜圧電体素子8が作製できる。
【0071】なお、絶縁保護膜15としては、ポリイミ
ドのような有機樹脂膜でもよいし、酸化珪素膜のような
無機絶縁膜でもよい。成膜方法としても、塗布法やプラ
ズマ化学気相反応法による成膜あるいはスパッタリング
による成膜等、化学的成膜方法や物理的成膜方法のいず
れでもよい。
【0072】このように薄膜圧電体素子8が形成された
面上に、図3(B)に示すように樹脂からなる素子保持
膜20を形成する。この素子保持膜20は、衝撃が加わ
ってもクラック等が生じないような柔軟性のある材料
で、しかも薄膜圧電体素子8を含む凹凸のある面上にも
比較的均一な厚さで形成することが要求される。例え
ば、ポリアミド樹脂をスピンコートし乾燥させた後、3
50℃程度の温度でイミド化処理を行って形成したポリ
イミド膜であってもよいし、ベンゾシクロブテン(BC
B)等の有機樹脂を塗布し熱硬化させたBCB膜でもよ
い。さらに、一般に用いられるフォトレジスト材料、あ
るいは絶縁樹脂材料で、この後の工程で加えられる温度
に耐えることができる材料であれば、素子保持膜20と
して用いることもできる。素子保持膜20の形成には、
スピンコート法のみでなく、霧状にして吹き付ける方法
やロールコーティング方法を使用することもできる。ま
た、モノマーを蒸発させ、プラズマ中で重合反応を生じ
させて高分子膜を形成する方式で、例えばポリイミド膜
やBCB膜を形成して素子保持膜20としてもよい。複
数の薄膜圧電体素子8を保持できる強度があれば、その
厚さはできるだけ薄いことが望ましいが、ポリイミド樹
脂膜の場合には約2〜5μmが適当である。
【0073】接続電極膜16領域に形成された素子保持
膜20の一部をフォトリソとエッチングにより除去して
電極パッド18を形成する。これにより、電極パッド1
8以外が素子保持膜20で覆われた形状が得られる。素
子保持膜20に上記の加工を行った後、図3(C)に示
すように仮固定用基板5を素子保持膜20が形成された
面と対向させ、固定用樹脂6で固定する。さらに、素子
形成基板7の薄膜圧電体素子8が形成されていない面の
外周部から所定の幅の外周領域7aと素子形成基板7の
外周側端部7bまでを含めて、図示するように同様の固
定用樹脂6を用いて覆い、保護する。この仮固定用基板
5としては、例えばガラス、アルミナ等のセラミック、
あるいはリン酸系の薬液に侵されないクロム等をメッキ
した金属板等を用いることができる。また、固定用樹脂
6としては、例えばワックスやフォトレジストを用いれ
ばよい。
【0074】このような形状とした後に、素子形成基板
7のみを選択的にエッチングする薬液中に全体を浸漬し
て、固定用樹脂6で保護されていない素子形成基板7部
分をエッチング除去する。例えば、素子形成基板7とし
て、MgO基板を用いる場合には、リン酸系の薬液を用
いれば他の材料を侵さずにMgO基板のみを選択的にエ
ッチングできる。また、素子形成基板7として、Si基
板を用いる場合には、フッ酸と硝酸の混液を用いれば同
様に選択エッチングが可能である。さらに、これらの基
板をドライエッチングで除去してもよい。この結果、図
3(D)に示すように、素子形成基板7は枠状になり、
素子形成基板7側の第1電極膜(図示せず)面が露出し
た形状が得られる。
【0075】この状態の基板を用いて、接着樹脂層25
をこの第1電極膜(図示せず)面上に形成する。その
後、固定用樹脂6を溶解する溶解液中に浸して、固定用
樹脂6を溶解させ仮固定用基板5を除去すると、接着樹
脂層25が形成された薄膜圧電体素子8が、素子保持膜
20と素子形成基板7の外周枠部のみで保持された構造
を得ることができる。これを図4(A)に示す。
【0076】なお、接着樹脂層25は、固定用樹脂6を
溶解して仮固定用基板5を除去した後に形成してもよ
い。また、フレクシャー30面上に形成してもよい。接
着樹脂層25としては、例えば、感光性を有し、熱圧着
による接着が可能な材料を全面に塗布した後フォトリソ
とエッチングを行うことで、第1電極膜面上のみに接着
樹脂層25を形成する。また、シート状の接着樹脂を薄
膜圧電体素子8と同一形状に加工した後、第1電極膜面
上に貼り付けて接着樹脂層25としてもよい。あるい
は、インクジェット方式で直接第1電極膜面上のみに接
着樹脂を塗布して、接着樹脂層25とすることもでき
る。
【0077】接着樹脂層25を形成後図4(B)に示す
ように、ベース40上に載置されたフレクシャー30と
薄膜圧電体素子8とを位置合わせし、押圧ツール42に
荷重Fを印加して薄膜圧電体素子8の周辺部の素子保持
膜20を切断しながらフレクシャー30に薄膜圧電体素
子8を熱圧着して接着固定する。接着が完了したら押圧
ツール42を薄膜圧電体素子8から離間させ、電極パッ
ド18と圧電体電極パッド34間をワイヤボンディング
等の方法でワイヤリード37により接続すれば、図1に
示すフレクシャー30に実装された薄膜圧電体素子8が
得られる。すなわち、本実施の形態の製造方法では、フ
レクシャー30上に実装された薄膜圧電体素子8は、電
極パッド18が形成される側の面には絶縁保護膜15と
樹脂からなる素子保持膜20とが形成されており、この
反対面には接着樹脂層25のみが形成されている構成で
ある。
【0078】この製造方法では、素子形成基板7を除去
しても、薄膜圧電体素子8は素子保持膜20により図5
に示すような初期の配置形態を保持している。このた
め、薄膜圧電体素子8を実装用基板であるフレクシャー
30に実装するための接着樹脂層25の形成や位置合わ
せおよび熱圧着工程が確実に、かつ簡単に行うことがで
きるので薄膜圧電体素子8の量産性を大きく向上でき
る。
【0079】(第2の実施の形態)図6は、本発明の薄
膜圧電体素子の第2の実施の形態の製造方法の工程を説
明するための図であり、図1から図3までに示した構成
要素と対応する要素には同一符号を付している。
【0080】図6(A)は、図3(A)と同様に素子形
成基板7上に図1に示した薄膜圧電体素子8を形成した
状態を示す。この状態の基板を用いて、図6(B)に示
すように、素子形成基板7の外周部で、かつ、薄膜圧電
体素子8が形成されていない領域部7cに枠体50を接
着剤により固定する。この枠体50としては、素子形成
基板7を除去するときの薬液やガス等で侵されない材料
であれば良く、例えばステンレス鋼等の金属、ガラス、
アルミナ等のセラミック、液晶ポリマー等のプラスチッ
ク等を加工して用いることができる。
【0081】枠体50を素子形成基板7に固定後、この
枠体50、薄膜圧電体素子8およびこれらの素子が形成
されている素子形成基板7の平面を含む全面に樹脂から
なる素子保持膜20を形成する。この素子保持膜20の
形成は、第1の実施の形態で説明したと同様な材料、成
膜方法で行える。
【0082】素子保持膜20を形成した後、素子形成基
板7のみをエッチングする薬液中に全体を浸漬して、素
子形成基板7をすべてエッチング除去すると、薄膜圧電
体素子8が素子保持膜20と枠体50のみで保持された
形状が得られる。なお、素子形成基板7の除去は薬液に
よるエッチング除去だけでなく、ドライエッチングでも
可能であるし、さらに機械的に研磨して薄くした後にウ
エットエッチングあるいはドライエッチングしてもよ
い。
【0083】この状態で、エッチングにより露出した薄
膜圧電体素子8の第1電極膜(図示せず)上に接着樹脂
を塗布して、接着樹脂層25を形成する。この接着樹脂
層25も第1の実施の形態と同様な材料および作製法を
用いることができる。接着樹脂層25までを形成した状
態を図6(C)に示す。
【0084】次に、ベース40上に実装用基板であるフ
レクシャー30を載置し、薄膜圧電体素子8とフレクシ
ャー30とを位置合わせした後、押圧ツール42により
荷重Fを印加しながら加熱してやれば、薄膜圧電体素子
8はフレクシャー30に接着固定される。これを図6
(D)に示す。押圧ツール42を離間させた後、さらに
薄膜圧電体素子8の電極パッド18とフレクシャー30
の圧電体電極パッド34とをワイヤボンディング方式に
よりワイヤリード37で接続すれば、図1に示すような
フレクシャー30上に薄膜圧電体素子8が実装された構
成が得られる。
【0085】なお、圧電体薄膜を形成するために通常使
用する素子形成基板7は、MgO基板やSi基板等であ
り、これらは脆性材料であるので枠状にエッチングして
外周枠部を形成すると割れ易い。しかし、本実施の形態
で用いる枠体50は素子形成基板7とは別個の基板を用
いることができるので、金属のように強度の大きな材料
を自由に選択することができる。このため、接着樹脂層
25の形成やフレクシャー30への実装時の取り扱いで
割れることがなく、これらの工程での歩留まり低下が生
じるのを防止できる。
【0086】なお、本実施の形態では、枠体50は素子
形成基板7上の外周部に固定したが、本製造方法はこれ
に限定されるものではない。例えば、図7に示すよう
に、素子形成基板7の外周に内接するように枠体54を
嵌合させて、薄膜圧電体素子8、枠体54の側面部54
aおよび素子形成基板7面上に素子保持膜20を被覆し
てもよい。このような構成とすることで、素子形成基板
7をできるだけ広い面積で使用することが可能となり、
同時に作製できる薄膜圧電体素子数が多くなり、生産性
を向上できる。
【0087】なお、第1および第2の実施の形態では、
薄膜圧電体素子8をフレクシャー30に実装後も素子保
持膜20を残存させ、これを保護膜としても利用する構
成としたが、本発明はこれに限定されない。素子保持膜
20としては、素子形成基板7をエッチング除去したと
きに薄膜圧電体素子8が保持されればよいので、薄膜圧
電体素子8の一部のみに形成するようにして、この一部
のみが実装後において残存するようにしてもよい。例え
ば、電極パッド18を設ける薄膜圧電体素子8の周辺部
のみに素子保持膜20を形成してもよいし、さらに数箇
所に素子保持膜20を部分的に形成してもよい。すなわ
ち、素子保持膜20による薄膜圧電体素子8の保持はそ
の全面で行う必要はなく、確実に保持されさえすれば部
分的であってもよい。一部のみで保持するような形状と
するためには、全面に成膜後フォトリソとエッチングで
不要部分を除去してもよいし、印刷あるいはインクジェ
ット方式等で所定部分のみに形成してもよい。
【0088】(第3の実施の形態)図8(A)は、第3
の実施の形態の製造方法により作製した2個の薄膜圧電
体素子を一対としてアクチュエータ装置に用いる薄膜圧
電体素子の平面図である。図8(B)は、B−B線に沿
った断面図で、図8(C)はC−C線に沿った断面図で
ある。この一対の薄膜圧電体素子は、第1の実施の形態
と同様に図2に示すディスクドライブ装置に用いること
ができる。なお、図1から図4までと同様な構成要素に
ついては同じ符号を付している。
【0089】本実施の形態の薄膜圧電体素子80は、そ
れぞれ第1電極膜11と第2電極膜13とで挟まれた圧
電体薄膜12からなる2個の積層体10を、それらの第
2電極膜13同士を接着層14で接着することによって
積層一体化した二層積層体を用いている。この二層積層
体の構造および形状については、第1の実施の形態の薄
膜圧電体素子8と同じである。
【0090】本実施の形態の薄膜圧電体素子80は、以
下の点が第1の実施の形態の薄膜圧電体素子8と異な
る。第1は、第1電極膜11と第2電極膜13とを外部
機器に接続するための接続電極膜16を形成する領域の
みに絶縁保護膜150が形成されていることである。図
8(A)から(C)よりわかるように、絶縁保護膜15
0は接続電極膜16の形成領域には形成されているが、
それ以外の領域には形成されていない。
【0091】第2は、薄膜圧電体素子80の接続電極膜
16が形成される領域を除く領域が圧電体として機能す
る領域であるが、この領域には樹脂からなる素子保持膜
20と、この素子保持膜20と同じ材料で同じ厚さに形
成した樹脂保護膜200が形成されていることである。
【0092】第3は、薄膜圧電体素子80の接続電極膜
16形成領域近傍の隙間部分と先端近傍の隙間部分とに
素子保持膜20と樹脂保護膜200とからなる素子間連
結部201、202が形成されて、薄膜圧電体素子80
間が連結されていることである。
【0093】第4は、薄膜圧電体素子80が素子保持膜
20と樹脂保護膜200とからなる保持連結部203、
204、205が実装後に切断されて、その一部が残さ
れた状態となっていることである。
【0094】以下、このような薄膜圧電体素子80構造
を作製するための製造方法について、特に第1の実施の
形態と異なる工程を主体に説明する。第1の実施の形態
で説明した二層積層体10を図8に示すような形状に加
工後、絶縁保護膜150が接続電極膜16の形成される
領域のみとなるように所定のパターン加工を行い、さら
に接続電極膜16を形成する。このようなプロセスは、
一般的な成膜、パターン形成技術で加工することができ
るので、詳しい説明は省略する。
【0095】このような形状とした後、第1の実施の形
態の製造方法と同様に全面に樹脂からなる素子保持膜2
0を形成し、固定用樹脂を用いて仮固定用基板を貼り合
わせ、薄膜圧電体素子80が形成されている領域の素子
形成基板7をエッチング除去した後、固定用樹脂を溶解
させれば素子形成基板7の外周枠部と素子保持膜20と
で保持された構造が得られる。次に、素子形成基板7を
エッチングして露出した第1電極膜11を含む面上に素
子保持膜20と同じ材料を用いて、同じ厚さとなるよう
に樹脂保護膜200を形成する。これを図9に示す。
【0096】素子保持膜20と樹脂保護膜200を形成
後、一対の薄膜圧電体素子80間を連結する素子間連結
部201、202と、薄膜圧電体素子80を素子保持膜
20と樹脂保護膜200とで保持するための保持連結部
203、204、205を形成する。これは、通常のフ
ォトリソ、エッチングプロセスにより行うことができ
る。これらの加工を行うときに、接続電極膜16上に形
成された素子保持膜20の一部をエッチングして露出さ
せて、電極パッド18を形成する。この加工を行った状
態を図10と図11に示す。図10(A)は、図8
(A)と同じ断面部分であり、図10(B)は、図8
(B)と同じ断面部分を示す。また、図11は、素子形
成基板7の外周枠部、素子保持膜20および素子保護膜
200で複数の薄膜圧電体素子が連結されている平面形
状を示す。
【0097】このような形状とすることにより、実装用
基板であるフレクシャー30に実装するとき、押圧ツー
ル42で保持連結部203、204、205のみを打ち
抜いて切断すればよいので、押圧ツール42が誤って薄
膜圧電体素子80に接触して損傷させることがない。ま
た、圧電体として機能する領域部の両表面に同じ材料
で、かつ同じ厚さの膜が形成されるので、これらの膜に
よるそりはキャンセルされて生じず、圧電体特性を劣化
させることが少ない。
【0098】なお、本実施の形態では、薄膜圧電体素子
80をフレクシャー30に接着する接着樹脂層25は、
フレクシャー30側に形成する方が作業性としては良好
であるが、インクジェット形成等により薄膜圧電体素子
80側に形成することも可能である。
【0099】(第4の実施の形態)図12は、本発明の
薄膜圧電体素子の第4の実施の形態の製造方法を示す工
程説明図である。なお、図1から図3に示した構成要素
と対応する要素には同一符号を付している。
【0100】図12(A)は、第1の実施の形態の製造
方法で説明したものと同じ構造であり、素子形成基板7
上に薄膜圧電体素子8が形成された状態を示す。
【0101】この素子形成基板7の薄膜圧電体素子8が
形成された面に可撓性基板56を押し当てて、粘着固定
する。このときに、可撓性基板56単独では曲がりやし
わが発生し易いので、これを防止するため枠体52をこ
の可撓性基板56に固定して、可撓性基板56に張力が
加わった状態としておいてから貼り付けることが望まし
い。このようにして貼り付けた状態を図12(B)に示
す。
【0102】なお、図12(B)では枠体52が素子形
成基板7に嵌合するようにしているが、本実施の形態の
製造方法ではこのような嵌合状態は必須ではなく、適当
に隙間があっても特に問題はない。複数の薄膜圧電体素
子8が可撓性基板56に粘着しており、可撓性基板56
の強度が大きいので、素子形成基板7を枠体52で必ず
しも保持する必要がないためである。
【0103】この状態で素子形成基板7のみをエッチン
グする薬液に全体を浸して、素子形成基板7をエッチン
グ除去し、それにより露出した薄膜圧電体素子8の第1
電極膜(図示せず)面に接着樹脂を塗布して、接着樹脂
層25を形成する。これを図12(C)に示す。この接
着樹脂層25も、第1の実施の形態の製造方法で説明し
た材料および成膜方法を用いることができる。
【0104】次に、図12(D)に示すように、ベース
40上に載置したフレクシャー30と薄膜圧電体素子8
とを位置合わせして、押圧ツール42を加圧、加熱すれ
ば、薄膜圧電体素子8はフレクシャー30と接着固定さ
れる。このときに、可撓性基板56に形成されている粘
着層が紫外線照射により粘着性を低下する性質を有した
ものを用いれば、押圧ツール42で加圧、加熱すると同
時に紫外線照射をすることで、非常に容易に、かつ、確
実に可撓性基板56から薄膜圧電体素子8を剥離するこ
とができる。例えば、このような可撓性基板56として
は、半導体をダイシングするときに用いる粘着性を有し
たフィルム等を利用することもできる。
【0105】このようにして、薄膜圧電体素子8がフレ
クシャー30上に接着固定された状態を図12(E)に
示す。第4の実施の形態では、第1、第2および第3の
実施の形態の製造方法の場合と異なり素子保持膜が不要
であるので、この膜の形成やパターン加工工程を省略す
ることができる。また、素子形成基板7をエッチング除
去した後の薄膜圧電体素子8は可撓性基板56で保持さ
れるが、この可撓性基板56は50μm程度の厚さにで
きるので、作業性が非常に良好である。
【0106】なお、第1の実施の形態から第4の実施の
形態までは、一対の薄膜圧電体素子を例として製造方法
を説明したが、本発明の製造方法はこれに限定されるも
のではなく、薄膜圧電体素子が1個のみで用いるような
構成でもよい。さらに、アクチュエータ装置としての応
用のみでなく、薄膜圧電体素子を用いて変位量を測定す
るセンサ等も同様の製造方法を用いれば、容易にかつ歩
留まりよく製造できる。
【0107】また、薄膜圧電体素子として、第1電極膜
と第2電極膜とで挟まれた圧電体薄膜を二層積層する構
成で説明したが、特にこの構成に限定されるものではな
く、一層のみでも同様な製造方法で製造することができ
る。
【0108】また、第1、第2および第4の実施の形態
では、薄膜圧電体素子の第1電極膜面上に直接接着樹脂
層を形成する工法について説明したが、本発明はこれに
限定されない。すなわち、接着樹脂層を形成する前に絶
縁性の保護膜をあらかじめ形成し、所定のパターン加工
を行った後に接着樹脂層を形成するようにしてもよい。
このようにして、第1電極膜を含む薄膜圧電体素子に絶
縁性の保護膜を形成することで、耐湿性の改善やゴミ等
の発生の防止がより確実に行える。
【0109】さらに、第1および第2の実施の形態では
フレクシャーに薄膜圧電体素子を実装後に素子保持膜が
全く残存しないようにすることも本発明の範囲内で可能
である。すなわち、素子保持膜を形成する樹脂材料とし
て、例えば熱可塑性接着剤を用いれば、フレクシャーに
薄膜圧電体素子を接着後にイソプロパノール等の溶剤で
この熱可塑性接着剤を溶解除去できる。これを溶解除去
することによって、実装後の状態で素子保持膜が残存し
ないようにすることもできる。また、例えば、200
℃、1分以上の加熱で接着特性が低下するような接着樹
脂を用いることもできる。この接着樹脂を用いて素子保
持膜を形成すれば、フレクシャーに薄膜圧電体素子を接
着するときの加熱により、素子保持膜の接着性を低下さ
せて薄膜圧電体素子から素子保持膜を簡単に剥離させる
ことができる。さらに、紫外線照射により粘着性が低下
する材料を素子保持膜として塗布形成し、実装時に紫外
線を照射しながら加熱、加圧することで、素子保持膜を
薄膜圧電体素子から除去する方法でもよい。このように
実装後に素子保持膜が残存しないようにすれば、薄膜圧
電体素子の接続電極膜上に形成された素子保持膜を除去
して電極パッドを形成する工程が不要となるので、工数
の削減にもなる。
【0110】
【発明の効果】以上説明したように本発明の薄膜圧電体
素子の製造方法は、第1電極膜、圧電体薄膜および第2
電極膜をこの順に積層してなる平板状の積層体、または
この積層体の第2電極膜同士を対向させて積層した二層
積層体を素子形成基板上に形成し、所定の接続電極部を
設けてなる薄膜圧電体素子を素子形成基板の一方の面上
に複数個形成し、これらの薄膜圧電体素子を含んで素子
形成基板の一方の面上に樹脂からなる素子保持膜を被覆
し、薄膜圧電体素子が形成されている領域の素子形成基
板を除去することで薄膜圧電体素子を素子保持膜で保持
させて、複数の薄膜圧電体素子の初期の配置が保持され
るようにした方法である。
【0111】これにより、接着樹脂層の形成や保護膜の
形成が複数の薄膜圧電体素子に対して同時に一括して形
成できる。また、薄膜圧電体素子を実装用基板上に位置
合わせして実装する場合に、量産性よく、かつ、高精度
に行うことが可能であるという大きな効果が得られる。
【0112】また、本発明の薄膜圧電体素子は、平板状
の薄膜圧電体素子の圧電体として機能する領域の両表面
に、樹脂からなる素子保持膜と、この素子保持膜と同じ
材料で同じ厚さの樹脂保護膜とを形成した構成からな
る。さらに、これらからなる2個の薄膜圧電体素子を素
子保持膜と樹脂保護膜とで連結して一体化した構成とし
てアクチュエータ装置用としたものである。
【0113】これにより、薄膜圧電体素子の圧電体とし
て機能する領域の両表面が、同じ材料で同じ厚さの素子
保持膜と樹脂保護膜とで形成されているので、そりが生
じず圧電体特性が低下しない。また、全体が樹脂からな
る素子保持膜と樹脂保護膜とにより保護されるので、薄
膜圧電体素子の腐食やゴミの発生を防止でき、アクチュ
エータ装置として使用するときの信頼性が大きく向上す
るという大きな効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は、本発明の第1の実施の形態の製造方
法により作製した薄膜圧電体素子部分の平面図(B)
は、X−X線に沿った断面図
【図2】本発明の薄膜圧電体素子を搭載したアクチュエ
ータ装置を用いたディスクドライブ装置の例を示す模式
【図3】本発明の薄膜圧電体素子の第1の実施の形態の
製造方法の主要工程を示す工程説明図
【図4】同実施の形態の製造方法の主要工程を示す工程
説明図
【図5】同実施の形態の製造方法で、薄膜圧電体素子を
素子形成基板上に複数個形成した状態を示す図
【図6】本発明の薄膜圧電体素子の第2の実施の形態の
製造方法の主要工程を示す工程説明図
【図7】同実施の形態の製造方法の変形例の主要工程を
示す図
【図8】(A)は、本発明の第3の実施の形態の製造方
法により作製した薄膜圧電体素子の平面図(B)は、同
薄膜圧電体素子のB−B線に沿った断面図(C)は、同
薄膜圧電体素子のC−C線に沿った断面図
【図9】本発明の薄膜圧電体素子の第3の実施の形態の
製造方法の主要工程を示す工程説明図
【図10】同実施の形態の製造方法の主要工程を示す工
程説明図
【図11】同実施の形態の製造方法で、薄膜圧電体素子
を素子保持膜と樹脂保護膜とで保持した状態を示す平面
【図12】本発明の薄膜圧電体素子の第4の実施の形態
の製造方法を示す工程説明図
【符号の説明】
5 仮固定用基板 6 固定用樹脂 7 素子形成基板 7a 外周領域 7b 外周側端部 7c 領域部 8,80 薄膜圧電体素子 10 積層体 11 第1電極膜 12 圧電体薄膜 13 第2電極膜 14 接着層 15,150 絶縁保護膜 16 接続電極膜 18 電極パッド 20 素子保持膜 25 接着樹脂層 30 実装用基板(フレクシャー) 31 スライダ保持部 32 ヘッド電極パッド 33 ヘッド電極配線 34 圧電体電極パッド 35 圧電体電極配線 37 ワイヤリード 40 ベース 42 押圧ツール 50,52,54 枠体 54a 側面部 56 可撓性基板 200 樹脂保護膜 201,202 素子間連結部 203,204,205 保持連結部 210 ディスク 220 スピンドルモータ 230 アクチュエータ装置 231 ヘッドスライダ 233 サスペンション 234 板バネ部 236 支持アーム 240 軸受部 250 ボイスコイル 301 接続パッド
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 41/18 101B

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1電極膜、圧電体薄膜および第2電極
    膜をこの順に積層してなる平板状の積層体、または前記
    積層体の前記第2電極膜同士を対向させて積層した二層
    積層体を素子形成基板上に形成し、前記第1電極膜およ
    び前記第2電極膜を外部機器に電気的に接続するための
    接続電極膜を設けてなる複数個の薄膜圧電体素子を前記
    素子形成基板の一方の面上に形成する工程と、 前記薄膜圧電体素子を含んで前記素子形成基板の前記一
    方の面上に樹脂からなる素子保持膜を被覆し、前記薄膜
    圧電体素子が形成されている領域の前記素子形成基板を
    除去することで、前記薄膜圧電体素子を前記素子保持膜
    で保持させる工程と、 前記素子保持膜で保持された前記薄膜圧電体素子を個別
    または所定の単位ごとに分離する工程とを有することを
    特徴とする薄膜圧電体素子の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記薄膜圧電体素子を前記素子保持膜で
    保持させる工程が、 前記薄膜圧電体素子を含んで前記素子形成基板の前記一
    方の面上に樹脂からなる前記素子保持膜を被覆し、 前記素子保持膜が被覆された前記素子形成基板の前記一
    方の面を仮固定用基板と対向させて前記仮固定用基板に
    固定用樹脂で接着固定するとともに、 前記素子形成基板の前記一方の面の反対面の外周部から
    所定の幅の外周領域と前記素子形成基板の外周側端部と
    を前記固定用樹脂で被覆した後、 前記固定用樹脂で被覆された領域以外の前記素子形成基
    板をエッチング除去する工程からなることを特徴とする
    請求項1に記載の薄膜圧電体素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記薄膜圧電体素子を前記素子保持膜で
    保持させる工程が、 前記薄膜圧電体素子を含んで前記素子形成基板の前記一
    方の面上に樹脂からなる前記素子保持膜を被覆し、 前記素子形成基板の前記一方の面の反対面の外周部で、
    前記薄膜圧電体素子が形成されていない領域部を前記素
    子形成基板がエッチングされる雰囲気ではエッチングさ
    れない材料からなるマスクで遮蔽した後、 前記マスクで遮蔽されていない前記素子形成基板領域を
    ドライエッチングにより除去する工程からなることを特
    徴とする請求項1に記載の薄膜圧電体素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記薄膜圧電体素子を前記素子保持膜で
    保持させる工程が、 前記素子形成基板の外周部の前記薄膜圧電体素子が形成
    されていない領域部上で、前記素子形成基板の前記一方
    の面上に前記薄膜圧電体素子を囲む形状の枠体を固定
    し、 前記薄膜圧電体素子と前記枠体の側端部とを含んで前記
    素子形成基板の前記一方の面上に樹脂からなる前記素子
    保持膜を被覆した後、前記素子形成基板を選択的に除去
    する工程とからなることを特徴とする請求項1に記載の
    薄膜圧電体素子の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記薄膜圧電体素子を前記素子保持膜で
    保持させる工程が、 前記素子形成基板の外周部に内接するように枠体を前記
    素子形成基板に嵌合する工程と、 前記薄膜圧電体素子と前記枠体の側端部とを含んで前記
    素子形成基板の前記一方の面上に樹脂からなる前記素子
    保持膜を被覆した後、前記素子形成基板を選択的に除去
    する工程とからなることを特徴とする請求項1に記載の
    薄膜圧電体素子の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記素子保持膜で保持された前記薄膜圧
    電体素子を個別または所定の単位ごとに分離する工程
    が、 前記薄膜圧電体素子を実装するための実装用基板および
    前記薄膜圧電体素子の前記素子保持膜形成面に対して反
    対側の面を対向させて、前記薄膜圧電体素子に押圧力を
    印加して前記素子保持膜ごと前記薄膜圧電体素子を前記
    実装用基板表面へ移動させて、接着樹脂層により前記実
    装用基板へ接着固定する工程からなることを特徴とする
    請求項1から請求項5までのいずれかに記載の薄膜圧電
    体素子の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記薄膜圧電体素子を前記実装用基板に
    接着固定後に前記素子保持膜を溶解液により溶解除去す
    る工程をさらに付加したことを特徴とする請求項6に記
    載の薄膜圧電体素子の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記素子保持膜は加熱または紫外線照射
    により接着性が低下する特性を有し、前記薄膜圧電体素
    子を前記実装用基板に接着固定するとき、あるいはその
    後に加熱または紫外線照射して接着性を低下させて前記
    薄膜圧電体素子から分離する工程をさらに付加したこと
    を特徴とする請求項6に記載の薄膜圧電体素子の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 前記素子保持膜は液状の有機樹脂を塗布
    し、乾燥硬化させて形成することを特徴とする請求項1
    から請求項8までのいずれかに記載の薄膜圧電体素子の
    製造方法。
  10. 【請求項10】 前記素子保持膜はプラズマ重合反応に
    より有機樹脂膜を形成することを特徴とする請求項1か
    ら請求項8までのいずれかに記載の薄膜圧電体素子の製
    造方法。
  11. 【請求項11】 第1電極膜、圧電体薄膜および第2電
    極膜をこの順に積層してなる平板状の積層体、または前
    記積層体の前記第2電極膜同士を対向させて積層した二
    層積層体を素子形成基板上に形成し、前記第1電極膜お
    よび前記第2電極膜を外部機器に電気的に接続するため
    の接続電極膜を設けてなる複数個の薄膜圧電体素子を前
    記素子形成基板の一方の面上に形成する工程と、 前記素子形成基板の前記薄膜圧電体素子が形成された前
    記一方の面を表面が粘着性を有する可撓性基板に対向さ
    せて貼り合わせる工程と、 前記素子形成基板を選択的に除去して、前記薄膜圧電体
    素子を前記可撓性基板で保持させる工程と、 前記可撓性基板で保持された前記薄膜圧電体素子を個別
    または所定の単位ごとに分離する工程とを有することを
    特徴とする薄膜圧電体素子の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記可撓性基板で保持された前記薄膜
    圧電体素子を個別または所定の単位ごとに分離する工程
    が、 前記可撓性基板として紫外線を照射することにより粘着
    性が低下する材料を用いて、前記薄膜圧電体素子を接着
    固定するための実装用基板および前記薄膜圧電体素子の
    前記素子保持膜形成面に対して反対側の面を対向させて
    前記実装用基板に前記薄膜圧電体素子を接着固定する際
    に、前記可撓性基板に紫外線を照射しながら前記薄膜圧
    電体素子を加熱し押圧力を印加して、前記薄膜圧電体素
    子を前記可撓性基板から剥離するとともに前記実装用基
    板に接着固定することを特徴とする請求項11に記載の
    薄膜圧電体素子の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記素子形成基板を除去することで露
    出した第1電極膜を含む前記薄膜圧電体素子表面に前記
    素子保持膜と同じ材料からなる樹脂保護膜を同じ厚さに
    形成することを特徴とする請求項1から請求項10まで
    のいずれかに記載の薄膜圧電体素子の製造方法。
  14. 【請求項14】 2個の前記薄膜圧電体素子を一対とし
    て構成し、一対の前記薄膜圧電体素子を前記素子保持膜
    から分離後も少なくとも一部が前記素子保持膜で連結さ
    れるように作製することを特徴とする請求項1から請求
    項10までのいずれかに記載の薄膜圧電体素子の製造方
    法。
  15. 【請求項15】 第1電極膜、圧電体薄膜および第2電
    極膜をこの順に積層した平板状の積層体と、 前記第1電極膜および前記第2電極膜を外部機器に電気
    的に接続するために前記積層体の一方の表面の端部に形
    成された接続電極膜と、 前記接続電極膜が形成された前記積層体の一方の表面に
    樹脂からなる素子保持膜と他方の表面に前記素子保持膜
    と同一材料で同一厚さの樹脂保護膜が形成されてなる薄
    膜圧電体素子。
  16. 【請求項16】 第1電極膜、圧電体薄膜および第2電
    極膜をこの順に積層した積層体の前記第2電極膜同士を
    対向させて積層した平板状の二層積層体と、 前記第1電極膜および前記第2電極膜を外部機器に電気
    的に接続するために前記二層積層体の一方の表面の端部
    に形成された接続電極膜と、 前記接続電極膜が形成された前記二層積層体の前記一方
    の表面に樹脂からなる素子保持膜と他方の表面に前記素
    子保持膜と同一材料で同一厚さの樹脂保護膜が形成され
    てなる薄膜圧電体素子。
  17. 【請求項17】 2個の前記薄膜圧電体素子を一対とし
    て構成し、一対の前記薄膜圧電体素子は、前記薄膜圧電
    体素子の長さ方向に所定の隙間を設けて同一平面上に配
    置されるとともに前記隙間の中心を通る線分に対して対
    称な形状を有し、かつ前記隙間の少なくとも一部に前記
    素子保持膜と前記樹脂保護膜とが形成されて前記薄膜圧
    電体素子が連結されていることを特徴とする請求項15
    または請求項16に記載の薄膜圧電体素子。
  18. 【請求項18】 ディスクに記録再生を行うためのヘッ
    ドを搭載したスライダと、 前記スライダがその端部で支持され、前記スライダの近
    傍に一対の薄膜圧電体素子が接着固定されたフレクシャ
    ーと、 前記フレクシャーの他方の端部が固着され、軸受部で回
    転自在に軸支されたアクチュエータアームとを有し、 一対の前記薄膜圧電体素子は、第1電極膜、圧電体薄膜
    および第2電極膜をこの順に積層した平板状の積層体
    と、前記第1電極膜および前記第2電極膜を外部機器に
    電気的に接続するために前記積層体の一方の表面の端部
    に形成された接続電極膜と、前記接続電極膜が形成され
    た前記積層体の前記一方の表面に樹脂からなる素子保持
    膜と他方の表面に前記素子保持膜と同一材料で同一厚さ
    の樹脂保護膜が形成されてなる前記薄膜圧電体素子の2
    個を一対として構成し、一対の前記薄膜圧電体素子が前
    記薄膜圧電体素子の長さ方向に隙間を設けて同一平面上
    に配置されるとともに、前記隙間の中心を通る線分に対
    して対称な形状を有し、かつ前記隙間の少なくとも一部
    に前記素子保持膜と前記樹脂保護膜とが形成されて前記
    薄膜圧電体素子が連結されていることを特徴とするアク
    チュエータ装置。
  19. 【請求項19】 ディスクに記録再生を行うためのヘッ
    ドを搭載したスライダと、 前記スライダがその端部で支持され、前記スライダの近
    傍に一対の薄膜圧電体素子が固定されたフレクシャー
    と、 前記フレクシャーの他方の端部が固着され、軸受部で回
    転自在に軸支されたアクチュエータアームとを有し、 一対の前記薄膜圧電体素子は、第1電極膜、圧電体薄膜
    および第2電極膜をこの順に積層した積層体の前記第2
    電極膜同士を対向させて積層した平板状の二層積層体
    と、前記第1電極膜および前記第2電極膜を外部機器に
    電気的に接続するために前記二層積層体の一方の表面の
    端部に形成された接続電極膜と、前記接続電極膜が形成
    された前記二層積層体の前記一方の表面に樹脂からなる
    素子保持膜と他方の表面に前記素子保持膜と同一材料で
    同一厚さの樹脂保護膜が形成されてなる前記薄膜圧電体
    素子の2個を一対として構成し、一対の前記薄膜圧電体
    素子が前記薄膜圧電体素子の長さ方向に隙間を設けて同
    一平面上に配置されるとともに前記隙間の中心を通る線
    分に対して対称な形状を有し、かつ前記隙間の少なくと
    も一部に前記素子保持膜と前記樹脂保護膜とが形成され
    て前記薄膜圧電体素子が連結されていることを特徴とす
    るアクチュエータ装置。
JP2002290103A 2001-10-02 2002-10-02 薄膜圧電体素子およびその製造方法並びにこれを用いたアクチュエータ装置 Expired - Fee Related JP4250940B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002290103A JP4250940B2 (ja) 2001-10-02 2002-10-02 薄膜圧電体素子およびその製造方法並びにこれを用いたアクチュエータ装置

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001306124 2001-10-02
JP2001-306124 2001-10-02
JP2002290103A JP4250940B2 (ja) 2001-10-02 2002-10-02 薄膜圧電体素子およびその製造方法並びにこれを用いたアクチュエータ装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003179282A true JP2003179282A (ja) 2003-06-27
JP4250940B2 JP4250940B2 (ja) 2009-04-08

Family

ID=26623579

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002290103A Expired - Fee Related JP4250940B2 (ja) 2001-10-02 2002-10-02 薄膜圧電体素子およびその製造方法並びにこれを用いたアクチュエータ装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4250940B2 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011066321A (ja) * 2009-09-18 2011-03-31 Tdk Corp 薄膜素子の製造方法及び薄膜素子並びにその薄膜素子を用いたヘッドジンバルアセンブリ、及び、ハードディスクドライブ
US8828524B2 (en) 2010-03-04 2014-09-09 Fujifilm Corporation Layered structure and piezoelectric device using the same
JP2016039343A (ja) * 2014-08-11 2016-03-22 国立研究開発法人産業技術総合研究所 電子デバイス及びその製造方法
JP2016162820A (ja) * 2015-02-27 2016-09-05 コニカミノルタ株式会社 圧電デバイス、圧電デバイスの製造方法、インクジェットヘッド、インクジェットヘッドの製造方法およびインクジェットプリンタ
JP2017050355A (ja) * 2015-08-31 2017-03-09 国立研究開発法人産業技術総合研究所 電子デバイス及びその製造方法
US11189776B2 (en) 2015-09-11 2021-11-30 Sumitomo Precision Products Co., Ltd. Piezoelectric element and method for manufacturing piezoelectric element

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011066321A (ja) * 2009-09-18 2011-03-31 Tdk Corp 薄膜素子の製造方法及び薄膜素子並びにその薄膜素子を用いたヘッドジンバルアセンブリ、及び、ハードディスクドライブ
US8828524B2 (en) 2010-03-04 2014-09-09 Fujifilm Corporation Layered structure and piezoelectric device using the same
JP2016039343A (ja) * 2014-08-11 2016-03-22 国立研究開発法人産業技術総合研究所 電子デバイス及びその製造方法
JP2016162820A (ja) * 2015-02-27 2016-09-05 コニカミノルタ株式会社 圧電デバイス、圧電デバイスの製造方法、インクジェットヘッド、インクジェットヘッドの製造方法およびインクジェットプリンタ
JP2017050355A (ja) * 2015-08-31 2017-03-09 国立研究開発法人産業技術総合研究所 電子デバイス及びその製造方法
US11189776B2 (en) 2015-09-11 2021-11-30 Sumitomo Precision Products Co., Ltd. Piezoelectric element and method for manufacturing piezoelectric element

Also Published As

Publication number Publication date
JP4250940B2 (ja) 2009-04-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6931700B2 (en) Method of manufacturing thin film piezoelectric elements
JP3846271B2 (ja) 薄膜圧電体素子およびその製造方法
JP4904656B2 (ja) 薄膜圧電体素子およびその製造方法
US5539596A (en) Integrated suspension, actuator arm and coil assembly with common structural support layer
JP4897767B2 (ja) 薄膜圧電体素子及びその製造方法並びにそれを用いたヘッドジンバルアセンブリ、及びそのヘッドジンバルアセンブリを用いたハードディスクドライブ
US7006334B2 (en) Magnetic disc device piezoelectric actuator with mirror-symmetrical relationship and connection arrangement
US7068474B2 (en) Thin film piezoelectric element; actuator, head support mechanism, and disc recording and reproducing device using the thin film piezoelectric element; and method of manufacturing the thin film piezoelectric element
US7064401B2 (en) Thin film piezoelectric element, method of manufacturing the same, and actuator
US20050168107A1 (en) Piezoelectric actuator and head assembly using the piezoelectric actuator
JP4250940B2 (ja) 薄膜圧電体素子およびその製造方法並びにこれを用いたアクチュエータ装置
JP2001332041A (ja) ディスク装置用薄膜圧電体アクチュエーターおよびその製造方法
JP4806896B2 (ja) 薄膜圧電体素子、アクチュエータおよびディスク装置
EP1089261B1 (en) A method of producing suspended elements for electrical connection between two portions of a micro-mechanism which can move relative to one another
WO2003003369A1 (fr) Dispositif a micro deplacement et procede de fabrication
JP2003166998A (ja) 半導体加速度センサ
JP2005001090A (ja) 薄膜圧電体素子およびその製造方法並びにアクチュエータ
JP5592289B2 (ja) 圧電素子及びその製造方法並びにその圧電素子を搭載したヘッドジンバルアセンブリ
JP5085623B2 (ja) 薄膜素子の製造方法及び薄膜素子並びにその薄膜素子を用いたヘッドジンバルアセンブリ、及び、ハードディスクドライブ
JP2005243174A (ja) 薄膜圧電体素子の接着方法
JP2001357640A (ja) ディスク装置用薄膜圧電体アクチュエーターおよびその製造方法
JP2005039176A (ja) 薄膜圧電体素子およびその製造方法並びにこれを用いたアクチュエータ
JP2004246987A (ja) 素子形成用ウエハ構造体、素子の製造方法、磁気記録ヘッド及び磁気ディスク装置
JP2010232456A (ja) 圧電体素子の製造方法及び圧電体素子
JP2008059744A (ja) フォトリソグラフィプロセスにおけるスライダーバーの連結方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050518

RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20050614

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20081224

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090106

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120130

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130130

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130130

Year of fee payment: 4

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees