以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、印刷システムと、本発明の一実施形態が組み込まれて構成されるプルーフシステムとを示す斜視図である。
この斜視図には、コンピュータシステム100および大型インクジェットプリンタ200によって構成されるプルーフシステム10、並びにコンピュータシステム400、CTP500、および図示が省略された印刷機からなる印刷システム20が示されている。2つのコンピュータシステム100,400は通信網300を介して互いに接続されており、この通信網300はこれらのコンピュータシステム100,400以外の図示しない外部のコンピュータシステムとも接続されている。
この図1に示す印刷システム20のコンピュータシステム400には、編集された印刷物のページを表す画像データが外部のコンピュータシステムから通信網300を介して入力される。この画像データの一例として、ここでは、0%から100%までのいずれかの網%値を有する画素の集合で画像を表した、C、M、Y、K各版の網%データが用いられる。網%値は本発明にいう階調値の一例に相当するが、ここでいう画素は本発明にいう描画素とは異なる概念のものである。これら各版の網%データは、このように通信網300を介する以外に、CD−R(Compact Disc Recordable)やMO(光磁気ディスク)等の記憶媒体によって入力されてもよい。このコンピュータシステム400に入力された網%データには、コンピュータシステム400によって網点処理が施されて、網%値に応じた大きさの網点で構成された網点画像を表した印刷用の網点データが生成される。
コンピュータシステム400によって生成された印刷用の網点データは上記CTP500に渡され、このCTP500により、このように渡された網点データによって表される網点画像を直接焼き付けた刷版が作成される。このCTP500によって作成された刷版は、上記印刷機が例えばドラムを有するものである場合、そのドラムに巻き付けられ、この印刷機によりそのドラム上の刷版にインクがのせられて網点画像の連続印刷が行われる。なお、刷版は、上記網点データによって表される画像がいわゆるフィルムセッタによってフィルム上に形成され、形成されたフィルムを元にして作成されたものであってもよい。
このように、印刷システム20による一連の印刷の作業は大がかりなものとなり、コストもかかる。このため、印刷オペレータは、実際の印刷作業を行う前に、上記プルーフシステム10により以下のようにしてプルーフ画像を作成し、そのプルーフ画像を参照することによって、上記印刷システム20により印刷される画像の仕上がりの事前確認を行っている。
プルーフシステム10のコンピュータシステム100には、上記コンピュータシステム400と同様に、上記通信網300を介して、あるいはCD−R、MOなどの記憶媒体を介して、上記コンピュータシステム400に入力されたものと同じ、CMYK各色の網%データそれぞれが入力される。このコンピュータシステム100が、本実施形態の網点化装置として機能するものであり、このコンピュータシステム100によって、入力された網%データがプルーフ用の網点データに変換される。変換されたプルーフ用の網点データは、大型インクジェットプリンタ200へ出力される。大型インクジェットプリンタ200は、このプルーフ用の網点データを受け取り、この受け取った網点データに基づいて記録用紙にプルーフ画像をプリント出力する。このように出力されたプルーフ画像は、上記印刷機により印刷された画像を、色のみならず網点パターンについても再現した画像となっている。
このプルーフ画像は、記録用紙上にのみ出力されるものとは限らず、例えばコンピュータシステム100のディスプレイ上に出力されるものであってもよい。このようにプルーフ画像がディスプレイ上に出力される場合には、コンピュータシステム100は、単独でプルーフシステムとして機能する。但し、このようにプルーフ画像をディスプレイ上に出力する形態も本発明の網点化装置の一形態ではあるものの、この形態は、本発明の作用効果が特に有効な望ましい形態とは異なるので、以下では、大型インクジェットプリンタ200によってプルーフ画像が出力されることを前提として説明を続ける。
なお、これらのコンピュータシステム100,400が、ポストスクリプト言語等によってページを画像や文字やイラストなどといったオブジェクトの配置として記述したページ記述データを、上記網%データのように画素の集合としてページを表現したビットマップデータに変換するRIP(Raster Image Processor)を備えたものである場合には、これらのコンピュータシステム100,400に入力される画像データとしては、網%データに替えて、そのページ記述データが用いられてもよい。これらのコンピュータシステム100,400に、互いに同じページ記述データが入力されると、それらのコンピュータシステム100,400内で互いに同じ網%データが生成され、それらの網%データそれぞれがそれぞれ用の網点データに変換される。
図1に示すコンピュータシステム100における本発明の実施形態としての特徴は、網点化装置として機能するときにコンピュータシステム100の内部で実行される処理内容にあり、以下、このコンピュータシステム100について詳しく説明する。なお、印刷システム20で用いられたコンピュータシステム400も、ハードウェア的には、プルーフシステム10で用いられたコンピュータシステム100と同じ構成を有する。
コンピュータシステム100は、CPU、主記憶装置、ハードディスク、通信用ボード等が内蔵された本体部101、本体部101からの指示により表示画面102a上に画面や文字列の表示を行うCRTディスプレイ102、このコンピュータシステム100にユーザの指示や文字情報を入力するためのキーボード103、表示画面102a上の任意の位置を指定することにより、その指定時にその位置に表示されていたアイコン等に応じた指示を入力するマウス104を備えている。
コンピュータシステム100のハードウェア構成は以下のようになる。
図2は、コンピュータシステムのハードウェア構成図である。
このハードウェア構成図には、CPU(中央演算処理装置)111、RAM112、HDD(ハードディスクドライブ)113、MOドライブ114、CD−ROMドライブ115、および通信用ボード116が示されており、それらはバス110で相互に接続されている。
HDD113は、記録媒体であるハードディスク120を内蔵しており、このハードディスク120に対し情報の記録再生を行う。
通信用ボード116は、LAN等の通信回線に接続される。図1に示すコンピュータシステム100は、この通信用ボード116を介して接続される通信網300によってコンピュータシステム400をはじめとする他のコンピュータシステムとの間でデータの送受信を行うことができる。
また、図示しない複数のI/Oインターフェースそれぞれを介してバス110に接続された、マウス104、キーボード103、CRTディスプレイ102、および大型インクジェットプリンタ200が示されている。なお、図1に示すコンピュータシステム400では、この大型インクジェットプリンタ200に替えて、CTP500が、図示しないI/Oインターフェースを介してバス110に接続される。
本実施形態では本発明の網点化プログラムおよび網点マトリクスの各実施形態がCD−ROM105に記憶されている。
図3は、本発明の網点化プログラムおよび網点マトリクスの各実施形態を示す図である。
上述したように、本実施形態では、網点化プログラム600および網点マトリクス650はCD−ROM105に記憶されている。ここで、CD−ROM105は、網点化プログラム600および網点マトリクス650を記憶する記憶媒体の単なる一例に過ぎず、本発明の網点化プログラムおよび網点マトリクスは、ハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、光磁気(MO)ディスク、DVDなどといった他の記憶媒体に記憶されてもよい。
この図3に示す網点化プログラム600は、図1に示すコンピュータシステム100内で実行されると、そのコンピュータシステム100を、網点マトリクス650を用いて網%データから網点データを生成する網点化装置として動作させるものであり、網%値取得部610と網点化部620とで構成されている。これら網%値取得部610および網点化部620は、それぞれ、本発明の網点化プログラムにおける、階調値取得部および網点化部の各一例に相当する。
この網点化プログラム600の各要素の作用、および網点マトリクス650の詳細については後述する。
図4は、本発明の網点化装置の一実施形態を表す機能ブロック図である。
この図4に示す網点化装置700は、図3の網点化プログラム600が、図1に示すコンピュータシステム100にインストールされて実行されることにより構成されるものであって、網%値取得部710と網点化部720とから構成されている。網%値取得部710および網点化部720は、図3に示す網点化プログラム600を構成する、網%値取得部610および網点化部620にそれぞれ対応するが、図4の各要素は、図1に示すコンピュータシステム100のハードウェアとそのパーソナルコンピュータで実行されるOSやアプリケーションプログラムとの組合せで構成されているのに対し、図3に示す網点化プログラムの各要素はそれらのうちのアプリケーションプログラムのみにより構成されている点が異なる。
これら網%値取得部710および網点化部720は、それぞれ、本発明の網点化装置における、網%値取得部および網点化部の各一例に相当する。
以下、図4に示す網点化装置700の各要素を説明することによって、図3に示す網点化プログラム600の各要素も合わせて説明する。
図4の網点化装置700を構成する網%値取得部710は、図1に示す通信網300などを介して網%データを取得する。また、網点化部720は、網%値取得部710によって取得された網%データに対して網点マトリクス650に基づいた網点化処理を施すことにより網点データを作成して、図1に示す大型インクジェットプリンタ200などに出力する。ここで、網点化部720は、複数の網点化処理方式それぞれに基づいた複数の網点マトリクス650を備えており、網点データの出力先に応じて網点マトリクス650を使い分ける機能を備えている。
それら複数の網点マトリクスには、インクジェット式のプリンタ用として備えられた網点マトリクスが存在し、図1に示す大型インクジェットプリンタ200などがコンピュータシステム100に接続されている場合には、その網点マトリクスが用いられて網点化処理が実行される。このインクジェット式のプリンタ用として備えられた網点マトリクス以外の他の網点マトリクスは、従来より知られている網点化処理方式に基づいたものであり、これら他の網点マトリクスが用いられた場合には、従来と同様の網点化処理が実行される。これら他の網点マトリクスと、それらの網点マトリクスが用いられた網点化処理は、本発明の主題とは異なるのでこれ以上の説明は省略する。
以下では、インクジェット式のプリンタ用として備えられた網点マトリクスの作成方法と、その網点マトリクスに基づいた網点化処理方法について説明する。
図5は、本実施形態における網点化処理に用いられる網点マトリクス650を作成するときの原型となる網点マトリクスの一例を示す図である。
この図5に示す原型の網点マトリクス651は、網点の形状を定義したものであり、その網点は、網%値に応じた大きさを有する。
この図5に示す網点マトリクス651は、網%値と比較される閾値651aが10行×10列に配列されたものであり、各閾値651aは、例えばインクドットのような多数の出力点の集合によって画像を出力する出力装置(ここでは図1に示す大型インクジェットプリンタ200)における各出力点に1対1に対応している。
ここで、図4に示す網点化部720に、この図5に示す網点マトリクス651が用いられる場合を例にとって、網点マトリクスに基づいた網点化処理方法について説明する。網点化部720では、網点データが表す網%値に基づいて、この網点マトリクス651全体に適用される1つの網%値が求められて各閾値651aの値と比較される。そして、その網%値が閾値651aの値よりも大きい場合には、その閾値651aに対応する位置を、出力装置によってインクなどが打たれる出力点とする。このようにインクなどが打たれる出力点は、本発明にいう描画素の一例に相当するので、このような出力点のことを以下では描画素と称する。この描画素の集合によって網点が形成されることとなる。
図5に示す網点マトリクス651は、網%値の増加に伴って大きさを増す描画素の集合を表してしており、従来より周知な典型的な網点を定義したものである。
図6は、描画素の集合が網%値の増加に伴って成長する様子を示す図である。
この図6には、図5にも示す網点マトリクス651が9つ並べられて示されている。また、各網点マトリクス651は、上段左端が10%の網%値に対応しており、上段中央が20%、上段右端が30%、中段左端が40%、…、下段右端が90%というように各網%値に対応している。各網点マトリクス651中の斜線で示された領域651bは描画素の集合を表しており、すなわちこの領域651bが網点形状を表している。
10%という網%値に対応する領域651bは10個の描画素の集合を表しており、同様に、20%,…,90%という網%値それぞれに対応する各領域651bは、20個,…,90個の描画素の集合を表している。
ここに示した原型の網点マトリクス651では、描画素の集合内は描画素によっていわば塗りつぶされているが、この原型から作成される、本実施形態の網点化処理に用いられる網点マトリクスでは、以下説明するように、描画素の集合中に、描画素の抜けが散在することとなる。
図7は、描画素の集合中に抜けを散在させるためのマスクを示す図である。
この図7には、上述した原型の網点マトリクスを構成する10行×10列の閾値に対応した、10行×10列にオン点661aとオフ点661bとが配列されてなるマスク661が示されている。オン点661aは、インクなどが打たれることが許された点であり、オフ点661bは、インクなどが打たれることが禁止された点であって、オン点661aとオフ点661bとの比率は7:3となっている。
このようなマスク661は、7:3の比率でオン点661aとオフ点661bとをランダムに配列することによっても得ることができるが、オフ点661bは、できるだけばらけていることが望ましい。そこで、インクジェットプリンタ等で連続階調の画像を出力するための技術として従来より知られている、いわゆるFM網点の技術を応用してマスク661を作成する。このFM網点の技術は、描画素を、階調値に応じた密度で、描画素の相互間隔がなるべく広くなるように打つ技術である。このFM網点と、図6に例示したような通常の網点とを区別するために、その通常の網点のことを以下ではAM網点と表現する場合がある。
図7に示すマスク661は、網%値が70%である時のFM網点の描画素パターンを用いて、描画素の位置をオン点661aとし、描画素でない位置をオフ点661bとしたものである。
図5に示す原型の網点マトリクス651と、図7に示すマスク661とが重ね合わされて、以下説明するフィルタ処理が行われることにより、本実施形態の網点化処理で用いられる網点マトリクスが得られる。
図8は、フィルタ処理のアルゴリズムを示す図である。
第1の集合Mは、図5に示す原型の網点マトリクス651を構成する閾値651aのうち、図6に示す領域651b内の閾値651aを表しており、第2の集合Nは、図7に示すマスク661におけるオン点661aを表している。そして、フィルタ処理は、第1の集合Mと第2の集合Nとの積集合Lを求めることに相当する。図7に示すマスク661におけるオン点661aを値「0」の閾値と解釈し、オフ点661bを値「100」の閾値と解釈すると、積集合Lを求めるということは、大きい方の閾値を採用するという処理に相当することとなる。
図9は、フィルタ処理の結果を表す図である。
この図9では、図5に示す原型の網点マトリクス651と、図7に示すマスク661とから、フィルタ処理によって得られる、本実施形態の網点化処理に用いられる網点マトリクス650が、2種類の表現形式で示されている。
図9(A)には、網点マトリクス650を構成する閾値650aとして、上述した「大きい方の閾値」がそのまま記載された表現形式で網点マトリクス650が示されている。ここに示された閾値650aのうち、値「100」以外の値を有する閾値が、本発明の網点マトリクスにおける第1の閾値群を構成し、値「100」を有する閾値が、本発明の網点マトリクスにおける第2の閾値群を構成している。
図9(B)には、図7に示すマスク661におけるオン点661aに対応する位置には、描画素として用いられ得る位置として、図5に示す原型の網点マトリクス651を構成する閾値651aと同じ値の閾値650aが記載され、オフ点661bに対応する位置には、描画素として用いられることがない位置として記号650bが記載された表現形式で網点マトリクス650が示されている。
図4の網点化装置700を構成する網点化部720が、これら2種類の表現形式のどちらを採用したものであっても、網点化処理は全く同等な処理となる。即ち、網点マトリクス650を構成する各閾値651aの値と網%値とが比較され、閾値651aの値を網%値が越えている位置が描画素となる。
図10は、図9に示す網点マトリクス650に基づいた描画素が網%値の増加に伴って変化する様子を示す図である。
この図10には、図9(B)にも示す網点マトリクス650が9つ並べられて示されており、各網点マトリクス650は、10%,20%,…,90%という網%値それぞれに対応している。各網点マトリクス650中の斜線で示された領域650cは描画素の集合を表しており、この領域650cが網点形状を表している。この描画素の集合を表した領域650cは、どの網%値についても、全体として1つの塊を形成しており、その塊の外形は、図6に示す各領域651bの形に一致している。
また、この網点マトリクス650が用いられた網点化処理では、描画素の集合に相当する領域650c内に、約3割程度の描画素の抜け650dが散在することとなる。このように抜け650dが散在していると、網点とその周囲とのコントラストが低減されるので、インクジェットプリンタなどで網点画像が出力される際に周期的なノイズを生じた場合であっても、その周期的なノイズと網点の周期構造との干渉が小さい。また、網点の周囲にはインクドットは打たれないのでザラツキは回避される。さらに、図10に示す領域650cの形状は、一見すると、図6に示す各領域651bの形状から乱れているように見えるが、図10に示す領域650cの形状でインクドットが実際に用紙上に打たれた場合には、インクドットのにじみなどが生じるために描画素の抜けがつぶれる。このため、網点形状の乱れも回避されることとなる。なお、図10に示すような描画素の抜け650dが散在することによってコントラストが低減される効果は、抜けがにじみでつぶれても有効である。
次に、図7に示すマスク661とは別のマスクを用い、上述したフィルタ処理とは別のフィルタ処理を、図5に示す原型の網点マトリクス651に施して、本実施形態の網点化処理で用いる網点マトリクスを作成する方法について説明する。
図11は、図7に示すマスク661とは別のマスクを示す図である。
この図11に示すマスク662は、図7に示すオン点661aおよびオフ点661bと同様なオン点662aおよびオフ点662bで構成されており、ここでは、オン点662aとオフ点662bとの比率が3:7となっている。このようなマスク662は、上述したFM網点における、網%値が70%である時の描画素パターンを用いて、描画素の位置をオン点662aとし、描画素でない位置をオフ点662bとすることによって得られるものである。
図12は、フィルタ処理の別のアルゴリズムを示す図である。
この図12には、図8にも示した第1の集合Mと第2の集合Nが再度示されているが、図11に示すマスク662を用いる場合のフィルタ処理のアルゴリズムは、第1の集合Mと、第2の集合Nの補集合との積集合Pを求めることに相当する。
図13は、図11に示す別のマスク662と図12に示す別のアルゴリズムとを用いたフィルタ処理の結果を示す図である。
この図13にも、フィルタ処理の結果として得られる網点マトリクス652が、2種類の表現形式で示されている。
図13(A)には、図9(A)と同様の表現形式で網点マトリクス652が示されており、図13(B)には、図9(B)と同様の表現形式で網点マトリクス652が示されている。但し、この図13では、図11に示すオフ点662bに対応する位置に値「100」の閾値652aあるいは記号652bが記載されている。
このような網点マトリクス652が網点化処理に用いられる場合にも、描画素の集合内に抜けが生じ、上述した効果と同様の効果を生じる。
ここまでの説明は、CMYK4色のうちの1色に着目した説明であり、CMYK各色の網%データに対し、上述したような網点化処理が施されてもよいが、本実施形態の網点化部では、以下説明するように、色によって網点化処理が使い分けられている。
図14は、色に応じた網点化処理の使い分けを説明する図である。
網点化部720には、CMYK各色の網%データ810_1,810_2,810_3,810_4が入力され、それぞれに網点化処理が施されるが、CMYK4色のうちのCMK3色の網%データ810_1,810_2,810_3に対する網点化処理では、図9,図10に示す網点マトリクス650と同様な、描画素の集合内に抜けが生じるような網点マトリクス650_1,650_2,650_3が用いられ、CMYK4色のうちのY色の網%データ810_4に対する網点化処理では、図5に示す、AM網点を定義した網点マトリクス650が用いられる。
網点化処理のこのような使い分けが網点化部720で行われた結果、CMK3色については、描画素の抜けが生じた網点で構成された画像を表した網点データ820_1,820_2,820_3が得られ、Y色については、AM網点で構成された画像を表した網点データ830が得られる。
CMK3色の濃度と比較するとY色の濃度は低いため、インクジェットプリンタ等で生じる周期的なノイズと網点構造との干渉はY色では生じにくく、Y色では本来再現したいAM網点をそのまま用いることができるので、上述したような使い分けを行うことが望ましい。
次に、網点化処理の使い分けの変形例について説明する。
図15は、網点化処理の使い分けの変形例を説明する図である。
ここでは、図14に示した網点化部720に替えて、別の使い分けを行う網点化部720’が用いられるものとする。この網点化部720’にも、CMYK各色の網%データ810_1,810_2,810_3,810_4が入力され、それぞれに網点化処理が施されるが、ここでは、CMYK4色のうちのK色の網%データ810_1に対する網点化処理で、図9,図10に示す網点マトリクス650が用いられ、CMYK4色のうちのCMY3色の網%データ810_2,810_3,810_4に対する網点化処理では、図5に示す、AM網点を定義した網点マトリクス650と同様な網点マトリクス650_1,650_2,650_3が用いられる。
網点化処理のこのような使い分けが網点化部720’で行われた結果、K色については、描画素の抜けが生じた網点で構成された画像を表した網点データ820_1が得られ、CMY3色については、AM網点で構成された画像を表した網点データ830_1,830_2,830_3が得られる。
CMY3色の濃度と比較するとK色の濃度は高いため、インクジェットプリンタ等で生じる周期的なノイズと網点構造との干渉はK色で顕著に生じる。そのため、CMYK4色のうちのK色に対する網点化処理だけで、描画素の抜けが生じるような網点を用い、CMY3色に対する網点化処理では、本来再現したいAM網点を用いるという使い分けも望ましい。
以下、上記説明した実施形態とは異なる種々の他の実施形態について説明する。以下説明する種々の実施形態でも、上記説明した実施形態と同様に複数の網点化処理方式を有し、網点データの出力先に応じて網点化処理方式を選択する機能が備えられているが、説明の便宜上、以下では、インクジェットプリンタ用の網点化処理方式のみに着目した説明を行い、他の網点化方式については説明を省略する。
図16は、本発明の網点化プログラムの第2の実施形態を示す図である。
ここでも、網点化プログラム601はCD−ROM105に記憶されている。
この図16に示す網点化プログラム601は、図3に示す網点化プログラム600の網点化部620に替えて、AMハーフトーン処理部631とFMパターン取得部632とフィルタ処理部633とからなる網点化部630を備えている。これらAMハーフトーン処理部631、FMパターン取得部632、およびフィルタ処理部633は、それぞれ、本発明にいう集合形状決定部、抜け位置決定部、および合成部の各一例に相当する。
この網点化プログラム601が図1に示すコンピュータシステム100内で実行されることにより、そのコンピュータシステム100は、本発明の網点化装置の第2の実施形態として動作する。
図17は、本発明の網点化装置の第2の実施形態を表す機能ブロック図である。
この図17に示す網点化装置701は、網%値取得部710と、AMハーフトーン処理部731と、FMパターン取得部732と、フィルタ処理部733から構成されており、網%値取得部710、AMハーフトーン処理部731、FMパターン取得部732、およびフィルタ処理部733は、図16に示す網%値取得部610、AMハーフトーン処理部631、FMパターン取得部632、およびフィルタ処理部633にそれぞれ対応するが、図17の各要素は、図1に示すコンピュータシステム100のハードウェアとそのパーソナルコンピュータで実行されるOSやアプリケーションプログラムとの組合せで構成されているのに対し、図16に示す網点化プログラムの各要素はそれらのうちのアプリケーションプログラムのみにより構成されている点が異なる。
以下、図17に示す網点化装置701の各要素を説明することによって、図16に示す網点化プログラム601の各要素も合わせて説明する。
図17の網点化装置701を構成する網%値取得部710は、図1に示す通信網300などを介して網%データ810を取得してAMハーフトーン処理部731に送る。AMハーフトーン処理部731では、例えば図5に示す網点マトリクス651のような、AM網点の網点マトリクスが用いられ、網%データ810が、AM網点からなる画像を表したAM2値画像データ815に変換される。
また、FMパターン取得部732は、例えば図7に示すマスク661のような、所定網%値に対応するFM網点の網点パターン633を取得してフィルタ処理部733に送る。
そして、フィルタ処理部733は、AM2値画像データ815に、FM網点の網点パターン633を用いたフィルタ処理を施して、描画素の抜けを有する網点からなる画像を表した出力用2値画像データ820を生成して出力する。このときのフィルタ処理のアルゴリズムは、図8に示すアルゴリズムと同一のアルゴリズムである。
このように、この第2の実施形態では、図9および図10に示すような網点マトリクス650は用いられず、AM網点の形状と描画素の抜け位置との合成が網点化部内で実行されるが、網点化処理の結果は、上述した第1の実施形態における処理結果と同等な結果となる。
ここで、上述したAM2値画像データ815、FM網点の網点パターン633、およびそれらが合成された出力用2値画像データ820の各例を示す。
図18は、AM2値画像データの例を示す図であり、AM2値画像データ815は、周期的に並んだAM網点によって構成された画像を表している。
図19は、FM網点の網点パターンの例を示す図であり、網点パターン663は、不規則に配置された描画素のパターンとなっている。
図20は、出力用2値画像データの例を示す図であり、出力用2値画像データ820は、描画素の抜けが生じた網点によって構成された画像を表している。この出力用2値画像データ820に基づいて実際にインクジェットプリンタなどで画像が出力されると、描画素の抜けがつぶれて、図18に示した周期的に並んだAM網点と全く同様の網点構造が得られる。
次に、第3の実施形態について説明する。この第3の実施形態では、最初に説明した第1の実施形態と同様に、網点マトリクスが用いられた網点化処理が実行される。第3の実施形態では、第1の実施形態とは異なる網点マトリクスが用いられるが、その点を除いて第3の実施形態は第1の実施形態と同様の実施形態であるので、以下では第3の実施形態に用いられる網点マトリクスとその作成方法について説明する。
第3の実施形態で用いられる網点マトリクスの作成方法では、第1の実施形態で用いられる網点マトリクスの作成方法と同様に、図5に示す原型の網点マトリクス651が用いられ、図7に示すマスク661に替えて、FM網点を定義した網点マトリクスが用いられる。
図21は、FM網点を定義した網点マトリクスの一例を示す図である。
ここに示す網点マトリクス653も、網%値と比較される閾値653aが10行×10列に配列されたものであり、この網点マトリクス653によって、描画素が散らばった状態のFM網点が定義されている。ただし、図7に示すマスク661に替えて用いられる網点マトリクスは、ここに示すこの網点マトリクス653が改良されたものである。
図22は、図21に示す網点マトリクスが改良された網点マトリクスを示す図である。
図21に示す網点マトリクス653が、値「0」から値「99」までの閾値653aで構成されていたのに対し、ここに示す網点マトリクス654は、値「10」から値「99」まで(一部重複有り)の閾値654aで構成されている。
図23は、図22に示す網点マトリクスによって定義されるFM網点の描画素が網%値の増加に伴って増加する様子を示す図である。
この図23には、図22にも示す網点マトリクス654が9つ並べられて示されており、各網点マトリクス654は、10%,20%,…,90%という網%値それぞれに対応している。各網点マトリクス654中の斜線で示された領域654bは描画素が打たれる位置を表している。
この図23に示されているように、描画素が打たれる領域654bは、10%の網%値に対しては存在せず、網%値が増加するに連れてばらけた状態で増加していく。
このような網点マトリクス654と、図5に示す原型の網点マトリクス651が重ね合わされて、図8に示すアルゴリズムに従ったフィルタ処理が行われる。即ち、図23に示す網点マトリクス654を構成する閾値654aと、原型の網点マトリクス651を構成する閾値651aとのうち大きい方の閾値を採用した網点マトリクスが作成される。但し、原型の網点マトリクス651を構成する閾値651aのうち値が「9」以下の閾値651aについては上記アルゴリズムとは別にそのまま採用される。
図24は、フィルタ処理によって得られた網点マトリクスを示す図である。
この図に示す網点マトリクス655を構成する閾値655aは非常に変則的であり、網点マトリクス655の中央には値「0」から値「9」までの閾値が集中しており、その周囲には、値「17」以上の閾値655aが、値の飛び抜けや重複を生じながら配置されている。
図25は、図24に示す網点マトリクスに従って打たれる描画素を示す図である。
この図25には、図24にも示す網点マトリクス655が9つ並べられて示されている。そして、各網点マトリクス655は、上段左端が描画素10個の状態を表しており、上段中央が20個、上段右端が30個、中段左端が40個、…、下段右端が90個の状態を表している。
各網点マトリクス655に斜線で示された領域655bは、描画素の位置を表しており、描画素10個まではAM網点の形状と同じ形状になっている。そして、描画素が更に増えると、領域655bは全体として1つの塊状の描画素集合を形成し、その塊状の描画素集合中に、描画素の抜け655cが散在した状態になる。この描画素の抜け655cは、描画素数が40〜50辺りの時に最多となり、更に描画素数が増加すると徐々に抜け655cが減少する。このように、第3の実施形態では、描画素集合の成長に伴って描画素の抜け655cが増減する。
ここで、上記の塊状の描画素集合が例えば10以下といった少数の描画素で構成されている場合に描画素集合中に抜け655cが存在すると、抜け655cの配置によっては、描画素集合ごとの描画素数のばらつきが、視認できるほどに顕在化して、画像にザラツキが生じてしまうおそれがある。従って、このように描画素集合を構成する描画素の数が少数である場合には、描画素集合中に抜け655cが存在しない方が望ましい。
また、網点構造と周期ノイズとの干渉の強さは、描画素数が40〜50辺りのときにピークとなるので、このときには描画素集合中に抜け655cが多く存在している方が望ましい。
本実施形態では、上述したように、描画素数が40〜50辺りの時に抜け655cが最多となり、描画素集合が10以下の時には抜け655cが存在しないことで、上記のように描画素数が少数であるときにおけるザラツキの発生を抑制する等といった網点構造のよりよい再現と干渉の低減とのバランスを図ることができる。
なお、図24および図25に示す網点マトリクス655では、閾値655aが変則的であるため、このままでは網点化処理に用いるのが難しい。そこで、本実施形態では、網点マトリクス655を構成する閾値655aを、値「0」から値「99」までの閾値に割り振り直す。
図26は、閾値が割り振り直された網点マトリクスを示す図である。
ここに示す網点マトリクス656は、図24に示す網点マトリクス655の閾値655aを、値の小さい順に値「0」から値「99」までの閾値656aに割り振り直したものである。この図26に示す網点マトリクス656を用いることにより、10%,20%,…,90%という網%値に対し、描画素が、図25に示すパターンで増加することとなる。このように閾値が割り振り直された網点マトリクス656は、本発明の網点マトリクスの一実施形態に相当する。
次に、第4の実施形態について説明する。
図27は、本発明の網点化プログラムの第4の実施形態を示す図である。
ここでも、網点化プログラム602はCD−ROM105に記憶されている。
この図27に示す網点化プログラム602は、図3に示す網点化プログラム600の網点化部620に替えて、AMハーフトーン処理部641とFMハーフトーン処理部642と間引き処理部643とからなる網点化部640を備えている。これらAMハーフトーン処理部641、FMハーフトーン処理部642、および間引き処理部643は、それぞれ、本発明にいう集合形状決定部、抜け位置決定部、および合成部の各一例に相当する。
この網点化プログラム602が図1に示すコンピュータシステム100内で実行されることにより、そのコンピュータシステム100は、本発明の網点化装置の第4の実施形態として動作する。
図28は、本発明の網点化装置の第4の実施形態を表す機能ブロック図である。
この図28に示す網点化装置702は、網%値取得部710と、AMハーフトーン処理部741と、FMハーフトーン処理部742と、間引き処理部743から構成されており、網%値取得部710、AMハーフトーン処理部741、FMハーフトーン処理部742、および間引き処理部743は、図27に示す網%値取得部610、AMハーフトーン処理部641、FMハーフトーン処理部642、および間引き処理部643にそれぞれ対応するが、図28の各要素は、図1に示すコンピュータシステム100のハードウェアとそのパーソナルコンピュータで実行されるOSやアプリケーションプログラムとの組合せで構成されているのに対し、図27に示す網点化プログラムの各要素はそれらのうちのアプリケーションプログラムのみにより構成されている点が異なる。
以下、図28に示す網点化装置702の各要素を説明することによって、図27に示す網点化プログラム602の各要素も合わせて説明する。
図28の網点化装置702を構成する網%値取得部710は、図1に示す通信網300などを介して網%データ810を取得してAMハーフトーン処理部741とFMハーフトーン処理部742との双方に送る。
AMハーフトーン処理部741では、例えば図5に示す網点マトリクス651のような、AM網点の網点マトリクスが用いられ、網%データ810が、AM網点からなる画像を表したAM2値画像データ815に変換される。
一方、FMハーフトーン処理部742では、例えば図22に示す網点マトリクス654のような、FM網点の網点マトリクスが用いられ、網%データ810が、FM網点からなる画像を表したFM2値画像データ816に変換される。
そして、間引き処理部743は、AM2値画像データ815が表す描画素から、FM2値画像データ816に基づいて描画素を間引く。このFM2値画像データ816における処理のアルゴリズムは、第3の実施形態で網点マトリクスの合成に用いられたアルゴリズムと同等のアルゴリズムである。このように、間引き処理部743で描画素が間引かれた結果、描画素の抜けを有する網点からなる画像を表した出力用2値画像データ830が生成されて出力される。
最後に、第5の実施形態について説明する。この第5の実施形態は、特にカラー画像を印刷する装置への適用を前提とした実施形態である。
例えば、CMYK4色の網点画像を重ね合わせて成る1つのカラー画像を印刷するインクジェットプリンタでは、各色の網点の周期構造が相互に干渉することによるいわゆるモアレ等の発生を抑制するために、網点画像における網点の配列方向を色ごとに変える等といった工夫がとりいれられている。
このようなカラー画像を印刷するインクジェットプリンタの中には、網点画像を、複数の網点を含む単位領域(以下では、この単位領域をスーパーセルと呼ぶ)の配列で表わすタイプのものがある。このようなタイプのインクジェットプリンタでは、各色の網点画像相互間の網点の配列方向の相違は、1つのスーパーセル内における網点の配列方向を色ごとに変えることによって実現される。このようなタイプのインクジェットプリンタにおいて、例えば図17を参照して説明した本発明の第2の実施形態を適用すると、抜けの配置パターンを規定する網点マトリクスが上記のスーパーセルに対して作成される。ここで、例えば、各色の網点画像相互間でスーパーセルのサイズが互いに同一であって、さらに、スーパーセル内の抜けの配置パターンを規定する網点マトリクスとして、全色に対して共通の網点マトリクスを1つ用意したとすると、そのような1つの網点マトリクスは、次のような不具合を引き起こすおそれがある。
このような1つの網点マトリクスによって規定される抜けの配置パターンは、各色の網点画像の間で相互に同パターンとなる。前述したように、インクジェットプリンタを用いた網点画像の出力には、インクジェットプリンタにおける紙送り誤差やインクの打滴位置誤差などに起因した各種の周期的なノイズの発生が多く、そのようなノイズが発生すると各色の網点画像の重ね合わせに周期的なズレが生じてしまう。このとき、上記のように、各色の網点画像において相互に同パターンで抜けが設けられていると、上記の重ね合わせのズレに応じて、元々同パターンで設けられるはずの上記の抜けが、色ごとに周期的にズレてしまう。このような抜けの位置ズレは色のムラを生じ、そのムラが周期的なものであるためにモアレ等といった画質劣化として視認される可能性が高い。
そこで、第5の実施形態では、網点画像に、色ごとに異なる位置に抜けを設けるために、上記のスーパーセル内における抜けの位置を規定する網点マトリクスが、色ごとに抜けの配置パターンを変えて作成される。
さらに、第5の実施形態では、上記のスーパーセル内における抜けの配置パターンだけでなく、スーパーセルのサイズ、延いては抜けの位置を規定する網点マトリクスのサイズも色ごとに変えられる。このようにスーパーセルのサイズが色ごとに異なることにより、網点画像におけるスーパーセルの配列周期が色ごとに異なることとなり、これによっても網点画像全体における抜けの配置パターンを色ごとに異ならせるという効果を得ることができる。つまり、抜けの配置パターンに加えて、抜けの位置を規定する網点マトリクスのサイズを色ごとに変えることにより、上記のモアレ等といった画質劣化に対する抑止効果をさらに高めることができる。
第5の実施形態では、前述した第2の実施形態と同様に、抜けの位置を規定する網点マトリクスとして、FM網点を定義する網点マトリクスが用いられる。第5の実施形態では、FM網点を定義する網点マトリクスが、FM網点の発生パターンとサイズが色ごとに異なる複数種類用いられる。これにより、第5の実施形態では、網点画像全体における抜けの配置パターンが色ごとに変えられる。
ここで、第5の実施形態は、上述したように複数の網点マトリクスが作成されるという点を除いて第2の実施形態と同様の実施形態であるので、以下では第5の実施形態に用いられる、複数の網点マトリクスとその作成方法について説明する。
また、前述した第1〜第4の実施形態では、網点マトリクスが、0%から100%までの網%値に対応する、値「0」から値「100」までの閾値で構成されていたのに対し、以下に説明する網点マトリクスは、0%から100%までの網%値に対応する、値「0」から値「255」までの閾値で構成されている。この網点マトリクスでは、例えば、値「128」の閾値が、50%の網%値に対応する。
図29は、第5の実施形態において、シアン(C)に用いられるAM網点を、1つのスーパーセルについて定義する網点マトリクスの一例を示す図である。
この図29に示す網点マトリクス911は、網%値と比較される、値「0」から値「255」まで(一部重複有り)の閾値911aが40行×40列に配列されたものであり、この網点マトリクス911によって、40行×40列のサイズのスーパーセル内に、約15°の配列方向に並ぶ複数のAM網点を定義するものである。第5の実施形態では、この網点マトリクス911が用いられ、シアンの網%データが、AM網点からなる画像を表したAM2値画像データに、40行×40列のサイズのスーパーセル単位で変換される。
図30は、第5の実施形態においてシアンの網点に設けられる抜けの配置パターンを、1つのスーパーセルについて規定するための、FM網点を定義する網点マトリクスの一例を示す図である。
この図30に示す網点マトリクス912も、網%値と比較される、値「0」から値「255」まで(一部重複有り)の閾値912aが40行×40列に配列されたものであり、この網点マトリクス912によって、40行×40列のサイズのスーパーセル内に描画素が散らばった状態のFM網点が定義されている。ここで、第5の実施形態では、図30に示す網点マトリクス912における全閾値912aのうち半数がオフ点として用いられる。即ち、50%の網%値に対応する値「128」を超える閾値912bが、図7に示すマスク661におけるオフ点661bに相当し、値「128」以下の閾値912cが、図7に示すオン点661aに相当する。
第5の実施形態では、図30に示す網点マトリクス912が用いられて、50%の網%値に対応するFM網点の網点パターンが取得される。そして、上記のシアンのAM2値画像データに、50%の網%値に対応するFM網点の網点パターンを用いたフィルタ処理が施されて、描画素の抜けを有する網点からなる画像を表した出力用2値画像データが生成される。このときのフィルタ処理のアルゴリズムも、図8に示すアルゴリズムと同一のアルゴリズムである。
図31は、第5の実施形態において、抜けが設けられたシアンの網点の配置パターンを、そのような網点を1つのスーパーセルにおいて定義する網点マトリクスで示した図である。
この図31には、図30に示す値「128」を超える閾値912bに対応する位置には、抜けを示す記号「×」910aが記載された表現形式で表わされた網点マトリクス910が示されている。また、抜け以外の位置には、図29に示す網点マトリクスにおいて対応する位置の閾値911aがそのまま記載されている。
以上で、第5の実施形態におけるシアンの各網点マトリクスについての説明を終了する。
以下では、第5の実施形態における他の3色(マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K))に対応する各網点マトリクスについて説明するが、AM網点を定義する網点マトリクスとFM網点を定義する網点マトリクスとを用いた各色の出力用2値画像データ生成方法については、上述のシアンの出力用2値画像データ生成方法と同様であるので、ここでは重複説明を省略する。また、ブラックに対応する各網点マトリクスの説明では、この第5の実施形態においては、AM網点を定義する網点マトリクス、FM網点を定義する網点マトリクス、および抜けが設けられた網点を定義する網点マトリクスそれぞれのサイズが大きいため、紙面の都合上、図示を割愛する。
図32は、第5の実施形態において、マゼンタに用いられるAM網点を、1つのスーパーセルについて定義する網点マトリクスの一例を示す図である。
この図32に示す網点マトリクス921のサイズは、前述のシアンの場合におけるサイズとは異なる20行×20列であり、この網点マトリクス921によって定義されるAM網点の配列方向は、前述のシアンの場合における配列方向と異なる45°である。
図33は、第5の実施形態においてマゼンタの網点に設けられる抜けの配置パターンを、1つのスーパーセルについて規定するための、FM網点を定義する網点マトリクスの一例を示す図である。
この図33に示す網点マトリクス922のサイズも、前述のシアンの場合におけるサイズとは異なる20行×20列であり、さらに、この網点マトリクス922によって定義されるFM網点の配置パターンは、前述のシアンの場合におけるFM網点の配置パターンとは異なる。
図34は、第5の実施形態において、抜けが設けられたマゼンタの網点の配置パターンを、そのような網点を1つのスーパーセルにおいて定義する網点マトリクスで示した図である。
抜けが設けられたマゼンタの網点を表わす出力用2値画像データは、図32に示す網点マトリクス921を用いて得られるマゼンタのAM2値画像データに、図33に示す網点マトリクス922を用いて得られる、50%の網%値に対応するFM網点の網点パターンを用いたフィルタ処理を施して生成される。上記の図34に示す網点マトリクス920は、このマゼンタの出力用2値画像データが表わす網点の配置パターンを示している。
図35は、第5の実施形態において、イエローに用いられるAM網点を、1つのスーパーセルについて定義する網点マトリクスの一例を示す図である。
この図35に示す網点マトリクス931のサイズは、前述のシアンおよびマゼンタいずれの場合におけるサイズとも異なる28行×28列であり、この網点マトリクス931によって定義されるAM網点の配列方向は、前述のシアンおよびマゼンタいずれの場合における配列方向とも異なる0°である。
図36は、第5の実施形態においてイエローの網点に設けられる抜けの配置パターンを、1つのスーパーセルについて規定するための、FM網点を定義する網点マトリクスの一例を示す図である。
この図36に示す網点マトリクス932のサイズも、前述のシアンおよびマゼンタいずれの場合におけるサイズとも異なる28行×28列であり、さらに、この網点マトリクス932によって定義されるFM網点の配置パターンは、前述のシアンおよびマゼンタいずれの場合におけるFM網点の配置パターンとも異なる。
図37は、第5の実施形態において、抜けが設けられたイエローの網点の配置パターンを、そのような網点を1つのスーパーセルにおいて定義する網点マトリクスで示した図である。
この図37に示す網点マトリクス930は、マゼンタの出力用2値画像データが表わす、抜けが設けられた網点の配置パターンを示している。
以上図29〜図37を参照して説明した3色それぞれの各網点マトリクスの他に、第5の実施形態では、ブラックの各網点マトリクスもあるが、前述したように、ブラックの各網点マトリクスについては、ここでは図示を割愛する。このブラックにおけるAM網点を定義する網点マトリクスのサイズは、シアン、マゼンタ、およびマゼンタいずれの場合におけるサイズとも異なる80行×80列であり、その網点マトリクスによって定義されるAM網点の配列方向は、シアン、マゼンタ、およびマゼンタいずれの場合における配列方向とも異なる約75°である。
また、ブラックにおける、FM網点を定義する網点マトリクスのサイズも、シアン、マゼンタ、およびマゼンタいずれの場合におけるサイズとも異なる80行×80列であり、この網点マトリクスによって定義されるFM網点の配置パターンは、シアン、マゼンタ、およびマゼンタいずれの場合におけるFM網点の配置パターンとも異なる。
以上説明した、AM網点を定義する網点マトリクスとFM網点を定義する網点マトリクスとを用いて生成される出力用2値画像データが表わすCMYK各色の網点画像相互間で、各色の網点画像を構成するスーパーセルのサイズが互いに異なっており、さらにそのスーパーセル内の抜けの配置パターンも相互に異なっている。これにより、CMYK各色の網点画像全体における抜けの配置パターンが、色ごとに互いに異なることとなり、上述したようにカラー画像におけるモアレ等といった画質劣化が抑制される。
尚、この第5の実施形態では、CMYK4色全ての網点画像に抜けを設けるといった例を挙げて説明したが、2色以上の網点画像に抜けを設ける場合であれば、上述の第5の実施形態の考え方を適用することができる。
以上で各実施形態の説明を終了する。
なお、上記説明では、大型インクジェットプリンタに接続された網点化装置の例が示されているが、本発明の網点化装置は、インクジェットプリンタに接続されることを必須の要件とするものではなく、プリンタとは独立な装置であってもよいし、あるいは、インクジェットプリンタ以外の他のプリンタに接続されるものであってもよい。
また、第1から第4の実施形態についての説明では、本発明の網点マトリクスの実施形態として、網点1個の形状を定義した網点マトリクスが示されているが、本発明の網点マトリクスは、複数個の網点からなる網点群の形状を定義したものであってもよい。