JP4244453B2 - 車体スリップ角推定方法及び装置 - Google Patents

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  • Regulating Braking Force (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両走行時における車体スリップ角を推定する車体スリップ角推定方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、車両走行時、特に車両旋回時の操縦安定性を高める技術として、車体スリップ角制御が知られている。
この車体スリップ角制御は、車両における車体前後軸方向と車両の実際の進行方向とが成す角度である車体スリップ角を推定し、この車体スリップ角の推定値に応じて、旋回外輪側の前輪にかかる制動力(ホイールシリンダ圧)を適宜増加させることにより、車体スリップ角を減少させる技術である。
【0003】
そして、上記車体スリップ角制御においては、車体スリップ角の推定を高精度に行うことが必要である。従来、車体スリップ角βの推定は、車両に取り付けられたヨーレートセンサ等にて検出されるヨーレート△θと、横加速度センサ等にて検出される横加速度Gyと、車輪速度センサ等を用いて検出される車体速度Vbとに基づき、下記式(1)を用いて車体スリップ角速度△βの推定値△βpを算出し、さらに、これを積分演算することにより、行われていた。
【0004】
△βp=△θ−Gy/Vb …(1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記式(1)に基づいて車体スリップ角速度△βの推定値△βpを算出するのでは、車両走行時に、車両がスピンした場合や、車両のロール角が大きくなった場合に、推定値△βpが、真値△βに対して大きく異なってしまい、その結果、車体スリップ角βを正確に推定することができないという問題があった。
【0006】
図10を用いて、上記問題が生じる理由について説明する。
まず、例えば、図10(a)に示すように、旋回前の走行経路(x軸方向に沿った経路)に対してヨー角ψの方向に進行している車両がスピンし、車体スリップ角がβとなった場合(換言すれば、図10(a)中に一点鎖線で示される半径Rの円を旋回軌道としてヨーレートΔψで旋回している車両がスピンし、車体スリップ角がβとなった場合)、車両に取り付けられたヨーレートセンサでは、ヨー角ψに対するヨーレート△ψと、車体スリップ角βに対する車体スリップ角速度△βとに基づく下記式(2)で表される値を、ヨーレート△θとして検出する。
【0007】
△θ=△ψ+△β …(2)
尚、上記式(2)において、△ψは、車両がスピンしない状態で上記のように半径Rの円に沿って旋回した場合にヨーレートセンサで検出されるヨーレートであり、以下の説明では実ヨーレートとも記載する。
【0008】
そして、上記のように車両がスピンした場合(換言すれば、車体スリップ角βの絶対値が0に比べて十分大きい場合)は、車両に取り付けられた横加速度センサにて検出される横加速度Gyが、車両に実際に作用する横加速度Gy’(真値)と異なった値となる。
【0009】
つまり、横加速度センサでは、車両に実際に作用する横加速度Gy’のうち、車体前後軸方向(図10(a)中、「車体の向き」と記した方向)に対して直交する方向の成分、即ち、車両に実際に作用する横加速度Gy’の方向に対して車体スリップ角βだけ傾いた方向の成分、を横加速度Gyとして検出するため、上記のように車両がスピンして、横加速度が車体前後軸方向に対して直交する方向に作用しなくなった状態では、横加速度を正確に検出できなくなる。
【0010】
また、例えば、図10(b)に示すように、車両のロール角φが大きくなった場合も、横加速度センサにて検出される横加速度Gyが、車両に実際に作用する横加速度Gy’(真値)と異なった値となる。
つまり、横加速度センサでは、車両に実際に作用する横加速度Gy’のうち、車体上下軸(図10(b)参照)に対して直交する方向の成分、即ち、車両に実際に作用する横加速度Gy’の方向に対してロール角φだけ下方を向いた成分を横加速度Gyとして検出するため、上記のようにロール角φが大きくなって、横加速度が車体上下軸に対して直交する方向に作用しなくなった状態では、横加速度を正確に検出できなくなる。
【0011】
従って、上記式(1)に基づいて車体スリップ角速度△βの推定値△βpを算出するのでは、車両走行時に、車両がスピンした場合や、車両のロール角φが大きくなった場合に横加速度を正確に検出できないため、推定値△βpが、真値△βに対して大きく異なってしまい、その結果、車体スリップ角βを高精度に推定することができなかった。
【0012】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、車両がスピンした場合や、車両のロール角が大きくなった場合であっても、車体スリップ角を正確に推定することができる車体スリップ角推定方法及び装置を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
かかる目的を達成するためになされた請求項1に記載の車体スリップ角推定方法では、まず、走行車両のヨーレート△θ、横加速度Gy、及び車体速度Vbを測定する。そして、横加速度Gyの測定誤差を補償するために予め規定された遅れ要素H3を用いた次式△βH=H3(△θ)−Gy/Vbに上記測定されたヨーレート△θ、横加速度Gy、及び車体速度Vbを適用して、車体スリップ角速度推定値△βHを算出し、さらに、車体スリップ角速度推定値△βHを積分演算することにより、車体スリップ角推定値βHを算出する。
【0014】
従って、本発明方法(請求項1)によれば、横加速度Gyの測定誤差が大きい場合、即ち、車両がスピンした場合や、車両のロール角が大きくなった場合であっても、車体スリップ角速度推定値△βHを、実際の車体スリップ角速度Δβ(真値)に近い値として算出することができ、その結果、車体スリップ角βを推定値βHとして高精度に推定することができる。
【0015】
また、さらに、この車体スリップ角推定値βHに基づき、例えば、車両旋回時において、旋回外輪側前輪にかかる制動力(ホイールシリンダ圧)を適宜増加させ、車体スリップ角を減少させれば、車両走行時、特に車両旋回時における車両の操縦安定性を高めることができる。
【0016】
そして、上記車体スリップ角速度推定値ΔβH算出用の式及び遅れ要素H3の具体的態様としては、車体スリップ角速度推定値△βH算出用の式を、ヨーレートと車両におけるロール角との関係をヨーレートの2次遅れ要素H1を用いて記述した物理モデル、及び横加速度とロール角との関係を横加速度の1次遅れ要素H2を用いて記述した物理モデルから導出した式とし、遅れ要素H3を、2次遅れ要素H1及び1次遅れ要素H2を用いた次式H3=H1/H2にて規定される遅れ要素とするものである。
【0017】
そして、本発明方法(請求項)の態様における車体スリップ角速度推定値ΔβH算出用の式にて算出された車体スリップ角速度推定値ΔβHを積分演算することにより算出された車体スリップ角推定値βHは、後述実験例に示す実験の結果、車両がスピンした場合や、車両のロール角が大きくなった場合であっても、実際の車体スリップ角βと略一致しており、この推定値βHを、実際の車体スリップ角βを正確に推定した値として適用可能であることが判った。
【0018】
つまり、本発明方法(請求項)によれば、上記物理モデルから導出された車体スリップ角速度推定値ΔβH算出用の式で、ヨーレート△θの補正値であるH3(△θ)が、横加速度Gyの測定誤差を加味した値として設定されているため、車両がスピンした場合や、車両のロール角が大きくなった場合であっても、車体スリップ角速度推定値△βHを真値△βに近い値として算出することができ、その結果、車体スリップ角βを推定値βHとして高精度に推定することができるのである。
【0019】
尚、この態様における、ヨーレートとロール角との関係をヨーレートの2次遅れ要素H1を用いて記述した物理モデル、横加速度とロール角との関係を横加速度の1次遅れ要素H2を用いて記述した物理モデル、及びこれらの物理モデルと車体スリップ角速度推定値△βHの算出式「△βH=H3(△θ)−Gy/Vb」との関係(導出手順)については、後述実施例において詳述する。
【0020】
また、一方、車体スリップ角速度推定値△βH及び車体スリップ角推定値βHを算出する際に使用するヨーレート△θ、横加速度Gy、及び車体速度Vbの具体的測定方法としては、ヨーレート△θを、例えば、車両に取り付けられたヨーレートセンサにて検出し、横加速度Gyを、例えば、車両に取り付けられた横加速度センサにて検出し、車体速度Vbを、例えば、左右の従動輪(フロントエンジン・リアドライブ方式の車両の場合は、前輪)の回転軸に夫々取り付けられた車輪速度センサより得られる左右の従動輪の回転速度の平均値(平均従動輪速度)として検出するものであっても良い。
【0021】
また、車体速度Vbの測定方法としては、上記の態様に限らず、後述実施例に示すように、まず、各車輪の回転軸に夫々取り付けられた車輪速度センサより得られる各車輪の回転速度を、他の方法にて測定されたヨーレート△θを用いて補正し、車両が減速状態にあるときは、補正された各車輪の回転速度のうち、現時点で最も車輪速度が大きい車輪についての値を車体速度Vb(推定値)として検出し、逆に、減速状態にないときは、補正された各車輪の回転速度のうち、現時点で最も車輪速度が小さい車輪についての値を車体速度Vb(推定値)として検出するものであっても良い。
【0022】
また、横加速度Gyの測定方法としては、請求項に記載の車体スリップ角推定方法のように、まず、車両のロールレートを測定し、次いで、ロールレートと横加速度との関係を記述した物理モデルに上記測定されたロールレートを適用することにより、横加速度を算出するものであっても良い。
【0023】
つまり、本発明方法(請求項)では、車体スリップ角速度推定値△βH及び車体スリップ角推定値βHの算出に使用する横加速度Gyを測定する際、横加速度Gyを直接測定するのではなく、まず、車両のロールレートを測定し、この測定されたロールレートに基づいて横加速度Gy(具体的には、横加速度Gyの推定値GyH)を算出する。
【0024】
従って、本発明方法(請求項)によれば、横加速度センサを用いなくても、車体スリップ角速度推定値△βH及び車体スリップ角推定値βHの算出に使用する横加速度Gy(推定値GyH)を測定することができる。尚、ロールレートと横加速度との関係を記述した物理モデルについては、後述実施例において詳述する。
【0025】
次に、請求項に記載の発明は、請求項1に記載の発明方法を実現するための構成を備えた車体スリップ角推定装置の発明であり、まず、走行車両のヨーレート△θをヨーレート測定手段にて測定し、横加速度Gyを横加速度測定手段にて測定し、車体速度Vbを車体速度測定手段にて測定する。次に、車体スリップ角速度推定値算出手段では、横加速度Gyの測定誤差を補償するために予め設定された遅れ要素H3を用いた次式△βH=H3(△θ)−Gy/Vbに上記測定されたヨーレート△θ、横加速度Gy、及び車体速度Vbを適用して、車体スリップ角速度推定値△βHを算出する。そして、車体スリップ角推定値算出手段では、車体スリップ角速度推定値算出手段にて算出された車体スリップ角速度推定値△βHを積分演算することにより、車体スリップ角推定値βHを算出する。
【0026】
従って、本発明(請求項)によれば、車体スリップ角速度推定値算出手段にて、横加速度Gyの測定誤差が大きい場合、即ち、車両がスピンした場合や、車両のロール角が大きくなった場合であっても、車体スリップ角速度推定値△βHを、実際の車体スリップ角速度Δβ(真値)に近い値として算出することができる。そして、その結果、車体スリップ角推定値算出手段にて、実際の車体スリップ角βを正確に推定した値として、車体スリップ角推定値βHを算出することができる。
【0027】
また、さらに、この車体スリップ角推定値βHに基づき、例えば、車両旋回時において、旋回外輪側前輪にかかる制動力(ホイールシリンダ圧)を適宜増加させ、車体スリップ角を減少させるよう構成すれば、車両走行時、特に車両旋回時における車両の操縦安定性を高めることができる。
【0028】
そして、本発明(請求項3)は、車体スリップ角速度推定値算出手段にて使用される上記車体スリップ角速度推定値△βH算出用の式を、ヨーレートと車両におけるロール角との関係をヨーレートの2次遅れ要素H1を用いて記述した物理モデル、及び横加速度とロール角との関係を横加速度の1次遅れ要素H2を用いて記述した物理モデルから導出した式とし、遅れ要素H3を、2次遅れ要素H1及び1次遅れ要素H2を用いた次式H3=H1/H2にて規定される遅れ要素とするよう構成したものである。
【0029】
従って、本発明(請求項)によれば、車体スリップ角速度推定値算出手段にて使用される、上記物理モデルから導出された車体スリップ角速度推定値ΔβH算出用の式で、ヨーレート△θの補正値であるH3(△θ)が、横加速度Gyの測定誤差を加味した値として設定されているため、車両がスピンした場合や、車両のロール角が大きくなった場合であっても、車体スリップ角速度推定値△βHを真値△βに近い値として算出することができる。そして、その結果、車体スリップ角推定値算出手段にて、実際の車体スリップ角βを正確に推定した値として、車体スリップ角推定値βHを算出することができる。
【0030】
次に、請求項に記載の発明は、請求項に記載の発明方法を実現するための構成を備えた車体スリップ角推定装置の発明であり、横加速度測定手段を、ロールレート測定手段にて、車両のロールレートを測定させ、横加速度算出手段にて、ロールレートと横加速度との関係を記述した物理モデルに上記測定されたロールレートを適用させて横加速度を算出させるよう構成したものである。
【0031】
従って、本発明(請求項)によれば、横加速度センサを用いなくても、車体スリップ角速度推定値△βH及び車体スリップ角推定値βHの算出に使用する横加速度Gy(具体的には、横加速度Gyの推定値GyH)を測定することができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施例を図面と共に説明する。
まず、図1は、本発明の一実施例としての車体スリップ角推定装置が適用された車体スリップ角制御装置の全体的構成を表す概略構成図である。尚、本実施例の車体スリップ角推定装置は、フロントエンジン・リアドライブ(FR)方式の車両に適用される。
【0033】
図1に示す如く、この車両では、内燃機関21から変速機22を介して出力される車両の駆動力(駆動トルク)が、プロペラシャフト23及びディファレンシャルギヤ24を介して左右の後輪(駆動輪)(左後輪25RL、右後輪25RR)に分配される。
【0034】
また、車両の各車輪(左前輪25FL、右前輪25FR、左後輪25RL、右後輪25RR)には、各車輪25FL〜25RRに制動力を与える油圧式のブレーキ装置(以下、ホイールシリンダとも記す)41FL、41FR、41RL、41RRが夫々設けられている。
【0035】
そして、運転者によってブレーキベダル42が踏み込まれると、マスタシリンダ43からブレーキ油が圧送され、油圧回路40を介して、各ホイールシリンダ41FL〜41RRに加わるブレーキ油圧が増圧され、各車輪25FL〜25RRに制動力が加えられるよう構成されている。
【0036】
また、さらに、各車輪25FL〜25RRには、各車輪25FL〜25RRの回転速度(以下、車輪速度とも記す)を検出するための車輪速度センサ31FL、31FR、31RL、31RRが夫々設けられている。
そして、車輪速度センサ31FL〜31RRからの検出信号は、車両に設けられた他のセンサである、請求項3のヨーレート測定手段としてのヨーレートセンサ32や、請求項3の横加速度測定手段としての横加速度センサ33等からの検出信号と同様に、電子制御装置(ECU)30に入力される。
【0037】
そして、ECU30は、これら各センサからの入力信号に基づき、運転者によるブレーキペダル42操作とは別に、油圧回路40内に設けられた各種アクチュエータ(図示はしない)を駆動して、各ホイールシリンダ41FL〜41RRに加わるブレーキ油圧を調節することにより、各車輪25FL〜25RRに加わる制動力を制御する。
【0038】
即ち、ECU30は、車両走行(旋回)時に、上記各センサからの入力信号を用いて、車両における車体前後軸方向と車両の実際の進行方向とが成す角度である車体スリップ角を推定し、この車体スリップ角の推定値に応じて(具体的には、この車体スリップ角の推定値と、車体スリップ角の推定値に対する車体スリップ角速度の推定値とに応じて)、車体スリップ角を減少させるよう、左右の前輪25FL、25FRのうち旋回外輪側の前輪に加わる制動力(ホイールシリンダ圧)を適宜増加させる車体スリップ角制御処理等を実行する。
【0039】
尚、ECU30は、CPU、ROM、RAM等を備えたマイクロコンピュータを中心に構成されており、該ECU30には、ブレーキペダル42の踏込時にオン(ON)状態となり、ストップランプ(図示はしない)を点灯させるブレーキスイッチ44からの検出信号も入力される。
【0040】
次に、車両走行(旋回)時にECU30にて繰り返し実行される車体スリップ角制御処理について、図2〜図4に示すフローチャートに沿って説明する。
図2に示す如く、車体スリップ角制御処理が開始されると、まず、S110(Sはステップを表す)にて、上記各センサ及びブレーキスイッチ44からの検出信号を読み込む。そして、続くS120では、車体速度推定処理を実行する。
【0041】
この車体速度推定処理は、S110にて読み込まれた検出信号に基づき、車両の車体速度Vbを推定(測定)する処理であり、図3に示す如く実行される。
即ち、車体速度推定処理では、まずS310にて、各車輪25FL〜25RRの車輪速度の補正演算を行う。具体的には、車輪速度センサ31FL〜31RRからの入力信号から検出された各車輪25FL〜25RRの車輪速度VWFL、VWFR、VWRL、VWRRを、ヨーレートセンサ32からの入力信号より検出された車両のヨーレート△θを用いた下記式(3)〜(6)を用いて、車両の重心位置の速度に換算する補正演算を行う。
【0042】
VWFLforVb=VWFL−Lf×△θ …(3)
VWFRforVb=VWFR−Lf×△θ …(4)
VWRLforVb=VWRL−Lr×△θ …(5)
VWRRforVb=VWRR−Lr×△θ …(6)
尚、上記式(3)〜(6)におけるパラメータのうち、VWFLforVb、VWFRforVb、VWRLforVb、VWRRforVbは、夫々各車輪25FL〜25RRの補正後の車輪速度を示す。また、Lfは、車両の重心からフロント軸(フロントドライブシャフト)までの最短距離を示し、Lrは、車両の重心からリア軸(リアドライブシャフト)までの最短距離を示す。また、ヨーレートセンサ32からの検出値であるヨーレート△θは、左旋回(自転)時に正、右旋回(自転)時に負の値として出力されるものである。
【0043】
次に、S320では、現在車両が減速状態にあるか否かを判断する。この判断は、ブレーキスイッチ44からの入力信号がオン(ON)状態であるか否かを判断することにより行われる。
そして、S320にて車両が減速状態にあると判断された場合は、S330に移行し、下記式(7)にて車体速度Vb(推定値)を算出する。
【0044】
Vb=max(VW**forVb) …(7)
尚、上記式(7)におけるパラメータのうち、VW**forVbは、上記式(3)〜(6)にて算出された全車輪の補正後の車輪速度を示し、**は、各車輪25FL〜25RRを示す。そして、上記式(7)は、全車輪の補正後の車輪速度のうち、最大車輪速度であるものを車体速度Vbとして算出することを示す。
【0045】
つまり、車両が減速状態であれば、例えば、ブレーキの各車輪25FL〜25RRへの作用、あるいはエンジンブレーキの各車輪25FL〜25RRへの作用により、車輪が減速スリップに陥ることがあり、減速スリップに陥った車輪の車輪速度(補正後の車輪速度)が車体速度より極端に小さくなる可能性がある。
【0046】
そこで、S330では、全車輪の補正後の車輪速度のうち、減速スリップに陥っていない車輪(換言すれば、路面にグリップした車輪)の補正後の車輪速度に対応する最大車輪速度を車体速度Vbとして算出するのである。
一方、S320にて車両が減速状態にないと判断された場合は、S340に移行し、下記式(8)にて車体速度Vb(推定値)を算出する。
【0047】
Vb=min(VW**forVb) …(8)
上記式(8)は、全車輪の補正後の車輪速度のうち、最小車輪速度であるものを車体速度Vbとして算出することを示す。
つまり、車両が減速状態にない場合としては、例えば、車両の加速中が考えられ、この際には加速スリップに陥った車輪の車輪速度(補正後の車輪速度)が車体速度より極端に大きくなる可能性がある。
【0048】
そこで、S340では、全車輪の補正後の車輪速度のうち、加速スリップに陥っていない車輪(換言すれば、路面にグリップした車輪)の補正後の車輪速度に対応する最小車輪速度を車体速度Vbとして算出するのである。
そして、S330、或いはS340にて車体速度Vbが算出されると、今度は、S350に移行する。
【0049】
S350では、上記のように算出された車体速度Vbの変化勾配の制限を行い、車体速度推定処理を完了する。
即ち、S350では、前回フロー時のS130の処理(後述)にて推定値として算出された車体の前後軸方向の加速度である車体前後加速度△Vbに応じて、前回フロー時に算出された車体速度から今回フロー時に算出された車体速度への変化量を制限することにより、今回フローにて算出された車体速度Vbを補正する。
【0050】
こうして、車体速度推定処理(S120)により、車体速度Vbが推定(測定)されると、今度は、S130(図2参照)にて、車体前後加速度推定処理を実行する。
この車体前後加速度推定処理は、今回フローにおける車体前後加速度△Vb(推定値)を算出する処理であり、図4に示す如く実行される。
【0051】
即ち、車体前後加速度推定処理では、まずS410にて、今回フローまでの所定時間内に車体速度推定処理(S120)にて算出された車体速度Vbを、ローパスフィルタにてフィルタリングする。具体的には、例えば、10Hz以下の周波数のみを通すローパスフィルタを用いて、推定値としての車体速度Vb中のノイズを除去する。
【0052】
次に、S420では、S410にてフィルタリングされた車体速度Vbを微分処理する。
そして、S430では、S420にて算出された値、即ち、車体前後加速度△Vbをフィルタリングして、車体前後加速度推定処理を完了する。具体的には、例えば、S420にて算出された車体前後加速度△Vbを、2Hz以下の周波数のみを通すローパスフィルタにかける。
【0053】
こうして、車体前後加速度推定処理(S130)により、今回フローにおける車体前後加速度△Vb(推定値)が算出されると、今度は、S140(図2参照)にて、ヨーレートセンサ32からの入力信号より検出された車両のヨーレート△θと、横加速度センサ33からの入力信号より検出された車両の横加速度Gyと、車体速度推定処理(S120)により推定(測定)された車体速度Vbと、後述の式(13)及び式(14)にて定義されるH1及びH2にてH3=H1/H2と表されるH3と、をパラメータとする次式(9)にて、車体スリップ角速度推定値△βHを算出する。
【0054】
△βH=H3(△θ)−Gy/Vb …(9)
尚、横加速度センサ33からの検出値である横加速度Gyは、左旋回(公転)時に正、右旋回(公転)時に負の値として出力されるものである。また、車両が極低速で走行している場合(例えば、5km/h以下のような車輪速度センサ31FL〜31RRの分解能の限界以下の極低速で走行している場合)には、上記式(9)においてVbを0とした演算を行わないようにするため、Vbに固定値(例えば、5km/h)を代入して車体スリップ角速度推定値△βHを算出する。
【0055】
そして、続くS150では、S140にて算出された車体スリップ角速度推定値△βHを積分演算することにより、車体スリップ角推定値βHを算出する。車体スリップ角速度推定値△βHの積分演算は、誤差の蓄積によるオーバーフローを防ぐため、下記式(10)にて行う。
【0056】
βH(n)=(βH(n-1)+△βH)・k1 …(10)
尚、上記式(10)において、k1は定数であり、例えば、k1=0.99と設定される。また、nは演算回数を示し、βH(n)は、今回フローにて算出された車体スリップ角推定値βHであり、βH(n-1)は、前回フローにて算出された車体スリップ角推定値βHである。また、このように算出される車体スリップ角推定値βHは、車両における車体前後軸方向が車両の実際の進行方向に対して左方向に傾いた(自転した)場合に正、右方向に傾いた(自転した)場合に負の値として出力されるものである。
【0057】
ここで、S140の処理にて車体スリップ角速度推定値△βHを求める際に使用する上記式(9)は、以下のように設定されている。
即ち、まず、実ヨーレート△ψ(「発明が解決しようとする課題」の項で述べた△ψについての説明参照)と車両におけるロール角φとの関係を記述した物理モデル(ラプラス変換されたモデル)と、横加速度Gyとロール角φとの関係を記述した物理モデル(ラプラス変換されたモデル)とが、夫々、下記式(11)と式(12)とのように表される。
【0058】
【数1】
Figure 0004244453
【0059】
(但し、Ka:定数、J:ロール慣性、D:ダンパー定数、K:ばね定数)
【0060】
【数2】
Figure 0004244453
【0061】
(但し、Kb,Kc:定数)
そして、ヨーレートセンサによる検出値△θと実ヨーレート△ψと車体スリップ角速度△βとの関係を表す式(2)に基づき、上記式(11)に△ψ=△θ−△βを代入すれば、検出値であるヨーレート△θとロール角φとの関係式を得ることができ、さらに、上記式(11)、(12)に対して、
【0062】
【数3】
Figure 0004244453
【0063】
【数4】
Figure 0004244453
【0064】
とおき、ロール角φに対するヨーレート△θ(実ヨーレート△ψ)の2次遅れ要素H1と、ロール角φに対する横加速度Gyの1次遅れ要素H2とを定義すれば、上記式(11)と式(12)とが夫々下記式(15)と式(16)とのように変形される。
【0065】
φ=H1(Vb・(△θ−△β)) …(15)
φ=H2(Gy) …(16)
そして、上記式(15)の右辺と式(16)の右辺とを等号で結び、H3=H1/H2とすれば、下記式(17)が得られ、
H3(△β)=H3(△θ)−Gy/Vb …(17)
さらに、上記式(17)におけるH3(△β)を車体スリップ角速度推定値△βHとすることで上記式(9)が得られる。
【0066】
尚、上記式(9)にて算出される車体スリップ角速度推定値△βHは、上記式(17)での表記から、車体スリップ角速度△βではなく、H3(△β)と表されるものであるが、後述実験例に示す如く、この推定値△βHは、実用上、実際の車体スリップ角速度△βを正確に推定した値として適用可能なものである。
【0067】
つまり、上記式(9)は、従来、車体スリップ角△βを推定する際に用いられた式(1)においてヨーレート△θをH3にて補正した式であり、この補正値H3(△θ)が、横加速度センサ33にて検出される横加速度Gyの測定誤差を加味した値として設定されているため、車両がスピンした場合や、車両のロール角φが大きくなった場合であっても、上記式(9)にて、車体スリップ角速度推定値△βHを真値△βに近い値として算出することができるのである。
【0068】
そして、その結果、この車体スリップ角速度推定値△βHを用いたS150の処理にて、車両がスピンした場合や、車両のロール角φが大きくなった場合であっても、車体スリップ角推定値βHを、実際の車体スリップ角βと略一致した推定値として算出することができる。つまり、この推定値βHを、実際の車体スリップ角βを正確に推定した値として適用することができるのである。
【0069】
そして、上記のようにして、S140の処理にて車体スリップ角速度推定値△βHが算出され、S150の処理にて車体スリップ角推定値βHが算出されると、今度は、S160に移行する。
S160では、上記車体スリップ角速度推定値△βH(今回フローにおける算出値)と、車体スリップ角推定値βH(今回フローにおける算出値)とを用いた下記式(18)にて、車体スリップ角βのPI制御用パラメータwβを算出する。
【0070】
wβ=k2・βH+k3・△βH …(18)
(但し、k2,k3:定数)
次に、続くS170では、PI制御用パラメータwβの絶対値が評価係数Kdより大きいか否かの判断を行う。
【0071】
そして、S170にてPI制御用パラメータwβの絶対値が評価係数Kdより大きいと判断された場合、つまり、車両の走行(旋回)状態が不安定である(例えば、車両がスピンする状態である)と判断された場合は、S180に移行し、今度は、PI制御用パラメータwβが0より大きいか否かの判断を行う。
【0072】
そして、S180にてPI制御用パラメータwβが0より大きい、即ち、正であると判断された場合は、S190に移行して、旋回外輪側の前輪を右前輪25FRであると判断し、油圧回路40内の各種アクチュエータを駆動して、右前輪25FRに加わる制動力、つまり、ホイールシリンダ41FRに加わるブレーキ油圧を適宜増加させて車体スリップ角βを減少させ、当該車体スリップ角制御処理を終了する。
【0073】
また、S180にてPI制御用パラメータwβが0より小さい、即ち、負であると判断された場合は、S200に移行して、旋回外輪側の前輪を左前輪25FLであると判断し、油圧回路40内の各種アクチュエータを駆動して、左前輪25FLに加わる制動力、つまり、ホイールシリンダ41FLに加わるブレーキ油圧を適宜増加させて車体スリップ角βを減少させ、当該車体スリップ角制御処理を終了する。
【0074】
また、一方、S170にてPI制御用パラメータwβの絶対値が評価係数Kdより大きくはないと判断された場合は、車両の走行(旋回)状態が安定した状態となっており、左右の前輪25FL、25FRのうち一方の制動力を増加させる必要がないと判断して、当該車体スリップ角制御処理を終了する。
【0075】
尚、S120の処理は、請求項3の車体速度測定手段に相当し、S140の処理は、請求項3の車体スリップ角速度推定値算出手段に相当し、S150の処理は、請求項3の車体スリップ角推定値算出手段に相当する。
以上説明したように、本実施例では、S110及びS120にて測定されたヨーレート△θ、横加速度Gy、及び車体速度Vbに基づき、式(9)を用いて車体スリップ角速度推定値△βHを算出し(S140)、さらに、この車体スリップ角速度推定値△βHを式(10)を用いて積分演算する(S150)ことにより、車体スリップ角推定値βHを算出する。
【0076】
そして、本実施例では、このように算出された車体スリップ角推定値βHが、車両がスピンした場合や、車両のロール角φが大きくなった場合であっても、実際の車体スリップ角βと略一致しており、この推定値βHを、実際の車体スリップ角βを正確に推定した値として適用することができる。
【0077】
つまり、本実施例では、式(9)において、ヨーレート△θの補正値であるH3(△θ)が、横加速度Gyの測定誤差を加味した値として設定されているため、車両がスピンした場合や、車両のロール角φが大きくなった場合であっても、車体スリップ角速度推定値△βHを真値△βに近い値として算出する(S140)ことができ、その結果、車体スリップ角βを正確に推定した値として、車体スリップ角推定値βHを算出する(S150)ことができるのである。
【0078】
また、本実施例では、このように算出された車体スリップ角推定値βH(具体的には、車体スリップ角推定値βH及び車体スリップ角速度推定値△βH)に対する評価を行い(S170〜S180)、車両の走行(旋回)状態が不安定である(例えば、車両がスピンする状態である)と判断された場合は、左右の前輪25FL、25FRのうち一方の制動力を適宜増加させ(S190、S200)、車体スリップ角βを減少させる。従って、車両走行時、特に車両旋回時における車両の操縦安定性を高めることができる。
【0079】
以上、本発明の一実施例について説明したが、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。
例えば、上記実施例では、本発明をフロントエンジン・リアドライブ(FR)方式の車両(換言すれば、後輪駆動車)に適用した場合について説明したが、本発明は、フロントエンジン・フロントドライブ(FF)方式の車両(換言すれば、前輪駆動車)に適用しても、上記実施例と同様の効果を得ることができる。
【0080】
また、上記実施例では、車体スリップ角速度推定値△βH及び車体スリップ角推定値βHの算出(S140、S150)に使用する横加速度Gyを測定する(S110)際、横加速度センサ33にて横加速度Gyを直接測定したが、横加速度センサ33の代わりにロールレートセンサを設けて、まず、該ロールレートセンサにて、車両のロールレート△φを測定させ、次いで、ECU30にて、該ロールレートセンサからの入力信号より検出されたロールレート△φを、下記式(19)にて表される、ロールレートと横加速度との関係を記述した物理モデルに適用して、横加速度Gyに対する推定値GyHを算出しても良い。
【0081】
【数5】
Figure 0004244453
【0082】
(但し、Ke,Kf:定数)
そして、このようにすれば、横加速度センサ33を用いなくても、車体スリップ角速度推定値△βH及び車体スリップ角推定値βHの算出に使用する横加速度Gy(具体的には、横加速度Gyの推定値GyH)を測定することができる。
【0083】
尚、この場合のロールレートセンサは請求項4のロールレート測定手段に相当し、上記式(19)を用いてECU30にて行われる横加速度Gy(推定値GyH)の算出処理は請求項4の横加速度算出手段に相当する。
また、一方、上記実施例では、車体速度推定処理(S120)において、車輪速度VWFL〜VWRRを車両の重心位置の速度に換算する(S310)際に、車両のヨーレート△θを用いた式(3)〜(6)を用いたが、式(3)〜(6)におけるヨーレート△θを、横加速度センサ33からの入力信号より検出される横加速度Gyを用いた下記式(20)にて換算値△θHとして算出しても良い。
【0084】
△θH=Gy/Vb(n-1) …(20)
尚、上記式(20)において、Vb(n-1)は、前回フローにて算出された車体速度Vbである。また、上記式(20)を使用する態様では、車両が極低速で走行している場合(例えば、5km/h以下のような車輪速度センサ31FL〜31RRの分解能の限界以下の極低速で走行している場合)には、上記式(20)においてVb(n-1)を0とした演算を行わないようにするため、Vb(n-1)に固定値(例えば、5km/h)を代入して△θHを算出すれば良い。
【0085】
また、上記実施例では、車体速度推定処理(S120)において、車両が減速状態にあるか否かを判断する(S320)際に、ブレーキスイッチ44からの入力信号を用いて判断を行ったが、例えば、下記3つの態様(▲1▼〜▲3▼)のうち1つを採用しても良い。また、下記3つの態様(▲1▼〜▲3▼)及び上記実施例の態様(即ち、ブレーキスイッチ44からの入力信号を用いる態様)のうち少なくとも2つを組み合わせた態様を採用しても良い。
【0086】
▲1▼ 車体前後加速度推定処理(S130)にて算出される車体前後加速度△Vb(前回フローにて算出された値)が正か負かを判断することによって車両が減速状態にあるか否かを判断する。
▲2▼ ECU30にてIDL(アイドル)信号(例えば、アクセルペダル(図示はしない)が踏み込まれているか否かによって出力が変化する信号)を検出することによって車両が減速状態にあるか否かを判断する。
【0087】
▲3▼ マスタシリンダ43内の圧力を検出するマスタシリンダ圧センサ(図示はしない)を設け、該マスタシリンダ圧センサによる検出値(圧力)が基準値以上であって、実質的に車輪制動力を発生している状態か否かを判断することによって車両が減速状態にあるか否かを判断する。
【0088】
また、一方、車体速度Vbの測定(推定)処理(請求項3の車体速度測定手段に相当)としては、左右の従動輪(フロントエンジン・リアドライブ方式の車両の場合は、前輪25FL、25FR)の車輪速度を検出する車輪速度センサより得られる左右の従動輪の回転速度の平均値(平均従動輪速度)を車体速度Vb(推定値)として検出するものであっても良い。
【0089】
次に、上述した上記実施例の有する効果を裏付ける各種実験例について説明する。
[実験例1]
この実験では、上記実施例と同様の車体スリップ角推定装置が備えられ、且つ、操舵角センサ(図示はしない)が取り付けられた実験車両を走行させ、スピン発生を伴うレーンチェンジを行った場合(速度55km/h)と、通常旋回(換言すれば、車両がスピンしない旋回)を行った場合(速度40km/h)とにおいて、式(9)にて算出される車体スリップ角速度推定値△βHが、実際の車体スリップ角速度△βを正確に推定した値として適用可能であるか否かを検証した。
【0090】
この実験の結果について図5及び図6を用いて説明する。
まず、図5は、上記実験車両がスピン発生を伴うレーンチェンジを行った場合(速度55km/h)における各検出値(算出値)、即ち、△θ、H3(△θ)、Gy/Vb、△βH、及び操舵角センサ検出値(図中に「ステアリング」として示した検出値)の時間経過に対する変化を示したものである。尚、操舵角センサからの検出値は、左操舵時に正、右操舵時に負の値として出力されるものである。
【0091】
そして、図5から、式(9)にて算出される車体スリップ角速度推定値△βHが、式(1)にて算出される従来の推定値△βpと異なり、実際の車体スリップ角速度△βに近い値として検出(算出)されることが判った(βとβHの定量的な比較は実験例2で後述)。
【0092】
つまり、まず、ヨーレート△θ(H3によって補正されていない、ヨーレートセンサ32による検出値)は、この実験車両がスピンしたと考えられる時点t1より以前(換言すれば、時点t1以前で、実際の車体スリップ角速度△βが0に近い値になると考えられる時点)の、ステアリングが操舵された時点(換言すれば、時点t1以前で、操舵角センサ検出値が負となった時点)の直後から、Gy/Vbと離れはじめ、その結果、式(1)にて算出される車体スリップ角速度△βの推定値△βp(図示はしない)が、時点t1より以前において、0と異なった値となり、さらに、時点t1以降においても、実験車両がいつスピンし始めたのかを正確に検出することもできないことが判った。従って、式(1)では、真値△βに近い値を算出することができないことが判った。
【0093】
一方、ヨーレート△θの補正値H3(△θ)とGy/Vbとは、時点t1より以前において、略等しい値となり、その結果、式(9)の算出値である車体スリップ角速度推定値△βHが0に近い値となり、この推定値△βHが、真値△βに近い値となることが判った。
【0094】
そして、この実験車両がスピンすると(時点t1)、今度は、H3(△θ)とGy/Vbとが離れはじめ、対応する車体スリップ角速度推定値△βHが、0と異なる値に変化し始める。つまり、車体スリップ角速度推定値△βHが、真値△βと同様の変化を示すことが判った。
【0095】
即ち、この実験車両では、時点t1より以前の、ステアリングが操舵された時点の直後からロール角φが大きくなると考えられ、さらに、時点t1以降ではスピンも発生するため、横加速度センサ33にて検出される横加速度Gyが、実験車両に実際に作用する横加速度と異なった値となり、式(1)では、実際の車体スリップ角速度△βに近い値を検出(算出)することができないが、式(9)によれば、このような場合であっても、実際の車体スリップ角速度△βに近い値を推定値△βHとして検出(算出)可能であることが判った。
【0096】
また、図6は、上記実験車両が通常旋回(スピンを伴わない旋回)を行った場合(速度40km/h)における上記各検出値(算出値)の時間経過に対する変化を示したものである。
そして、図6においても、式(9)にて算出される車体スリップ角速度推定値△βHが、式(1)にて算出される従来の推定値△βpと異なり、実際の車体スリップ角速度△βに近い値として検出(算出)されることが判った。
【0097】
つまり、この場合は実際の車体スリップ角速度△βが常に0に近い値になると考えられるが、図6では、ヨーレート△θが、旋回時においてGy/Vbと異なった値となり、その結果、式(1)にて算出される従来の推定値△βpが旋回時に0に近い値とならず、式(1)では真値△βに近い値を算出することができないことが判った。
【0098】
一方、H3(△θ)とGy/Vbとは、常に略等しい値となり、その結果、車体スリップ角速度推定値△βHが常に0に近い値となり、この推定値△βHが、真値△βに近い値となることが判った。
即ち、この実験車両では、上記通常旋回時においてロール角φが大きくなると考えられ、横加速度センサ33にて検出される横加速度Gyが、実験車両に実際に作用する横加速度と異なった値となり、式(1)では、実際の車体スリップ角速度△βに近い値を検出(算出)することができないが、式(9)によれば、このような場合であっても、実際の車体スリップ角速度△βに近い値を推定値△βHとして検出(算出)可能であることが判った。
【0099】
従って、図5及び図6に示した実験結果から、ヨーレート△θの補正値H3(△θ)が、横加速度センサ33にて検出される横加速度Gyの測定誤差を加味した値として設定されており、車両がスピンした場合や、車両のロール角φが大きくなった場合であっても、式(9)にて、車体スリップ角速度推定値△βHを真値△βに近い値として算出することができることを確認できた。
【0100】
つまり、この実験例1の実験結果から、車両がスピンした場合や、車両のロール角φが大きくなった場合であっても、式(9)にて算出される車体スリップ角速度推定値△βHが、実際の車体スリップ角速度△βを正確に推定した値として適用可能なものであることを確認できた。
[実験例2]
この実験では、上記実施例と同様の車体スリップ角推定装置が備えられ、且つ、周知の対地速度計(図示はしない)が車両後部に取り付けられた実験車両を走行させ、式(9)にて算出された車体スリップ角速度推定値△βHを積分演算して得られた車体スリップ角推定値βHが、実際の車体スリップ角βを正確に推定した値として適用可能であるか否かを検証した。
【0101】
つまり、この実験では、上記実験車両において、上記実施例における車体スリップ角推定値βHの他に、式(1)にて算出される従来の車体スリップ角速度推定値△βpを積分演算して得られる従来の車体スリップ角推定値βpを検出すると共に、対地速度計による検出値から算出される実際の車体スリップ角βも検出し、これら3つの値を比較することにより、上記検証を行った。
【0102】
尚、対地速度計では、実験車両における車体前後軸方向の進行速度Vx、及び車体左右軸方向(車体前後軸方向に対して垂直で、例えば車軸(フロントドライブシャフト、リアドライブシャフト)に平行な方向)の進行速度Vyを検出した。そして、この実験では、下記式(21)にて実際の車体スリップ角β(検出値)を算出した。
【0103】
β=tan-1(Vy/Vx) …(21)
この実験の結果について図7〜図9を用いて説明する。
図7は、上記実験車両にアスファルト上を走行させた場合について、図8は、上記実験車両に圧雪上を走行させた場合について、図9は、上記実験車両に氷上を走行させた場合について、上記実施例における車体スリップ角推定値βH(図7〜図9に「βH(補正値)」として示した検出値)、従来の車体スリップ角推定値βp(図7〜図9に「無補正」として示した検出値)、及び実際の車体スリップ角βの検出値(図7〜図9に「対地速度計」として示した検出値)の時間経過に対する変化を示したものである。
【0104】
そして、図7〜図9いずれの場合であっても、車体スリップ角βが0に比べて十分大きくなるような走行を行った際(つまり、実験車両がスピンしたり、実験車両のロール角φが大きくなるような走行を行った際)に、上記実施例における車体スリップ角推定値βHが、従来の車体スリップ角推定値βpに比べ、実際の車体スリップ角β(検出値)に近い値となることが判った。
【0105】
従って、この実験例2の実験結果から、車両がスピンした場合や、車両のロール角φが大きくなった場合であっても、上記実施例における車体スリップ角推定値βHが、実際の車体スリップ角βを正確に推定した値として適用可能なものであることを確認できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例の車体スリップ角推定装置が適用された車体スリップ角制御装置の全体的構成を表す概略構成図である。
【図2】 電子制御装置(ECU)において実行される車体スリップ角制御処理を表すフローチャートである。
【図3】 図2のS120にて実行される車体速度推定処理を表すフローチャートである。
【図4】 図2のS130にて実行される車体前後加速度推定処理を表すフローチャートである。
【図5】 実験例1による検出結果を表すグラフである。
【図6】 実験例1による検出結果を表すグラフである。
【図7】 実験例2による検出結果を表すグラフである。
【図8】 実験例2による検出結果を表すグラフである。
【図9】 実験例2による検出結果を表すグラフである。
【図10】 従来の車体スリップ角の推定方法では車体スリップ角を正確に推定できないことがあることを説明する説明図である。
【符号の説明】
30…電子制御装置(ECU)、31FL、31FR、31RL、31RR…車輪速度センサ、32…ヨーレートセンサ、33…横加速度センサ、44…ブレーキスイッチ。

Claims (4)

  1. 走行車両のヨーレート、横加速度、及び車体速度、を測定し、
    該測定結果と、前記横加速度の測定誤差を補償するために予め規定された遅れ要素H3とに基づき、次式
    △βH=H3(△θ)−Gy/Vb(但し、△θ:ヨーレート、Gy:横加速度、Vb:車体速度)を用いて車体スリップ角速度推定値△βHを算出し、
    該車体スリップ角速度推定値△βHを積分演算することにより、車体スリップ角推定値βHを算出する車体スリップ角推定方法であって、
    前記遅れ要素H 3 は、
    前記車両における実ヨーレートとロール角との関係を次式の物理モデル
    φ=H 1 ・Vb・Δψ (但し、φ:ロール角、Vb:車体速度、Δψ:実ヨーレート、H 1 =Ka/(Js 2 +Ds+K)、Ka:定数、J:ロール慣性、D:ダンパー定数、K:ばね定数、s:ラプラス変数)で表す場合の前記実ヨーレートの2次遅れ要素H 1 と、
    前記横加速度と前記ロール角との関係を次式の物理モデル
    φ=H 2 ・Gy (但し、φ:ロール角、Gy:横加速度、H 2 =Kb/(s+Kc)、Kb,Kc:定数、s:ラプラス変数)で表す場合の前記横加速度の1次遅れ要素H 2 と、
    を用いた次式H 3 =H 1 /H 2 にて規定されることを特徴とする車体スリップ角推定方法。
  2. 前記横加速度の測定を、前記車両のロールレートを測定した後、該測定結果に基づき、該ロールレートと前記横加速度との関係を記述した物理モデルを用いて前記横加速度を算出することにより行うことを特徴とする請求項1に記載の車体スリップ角推定方法。
  3. 走行車両のヨーレートを測定するヨーレート測定手段と、
    該車両の横加速度を測定する横加速度測定手段と、
    該車両の車体速度を測定する車体速度測定手段と、
    前記ヨーレート、横加速度、及び車体速度の測定結果と、前記横加速度の測定誤差を補償するために予め規定された遅れ要素H3とに基づき、次式
    △βH=H3(△θ)−Gy/Vb
    (但し、△θ:ヨーレート、Gy:横加速度、Vb:車体速度)を用いて車体スリップ角速度推定値△βHを算出する車体スリップ角速度推定値算出手段と、
    該車体スリップ角速度推定値算出手段にて算出された車体スリップ角速度推定値△βHを積分演算することにより、車体スリップ角推定値βHを算出する車体スリップ角推定値算出手段と、
    を備えた車体スリップ角推定装置であって、
    前記車体スリップ角速度推定値算出手段において、
    前記遅れ要素H 3 は、
    前記車両における実ヨーレートとロール角との関係を次式の物理モデル
    φ=H 1 ・Vb・Δψ (但し、φ:ロール角、Vb:車体速度、Δψ:実ヨーレート、H 1 =Ka/(Js 2 +Ds+K)、Ka:定数、J:ロール慣性、D:ダンパー定数、K:ばね定数、s:ラプラス変数)で表す場合の前記実ヨーレートの2次遅れ要素H 1 と、
    前記横加速度と前記ロール角との関係を次式の物理モデル
    φ=H 2 ・Gy (但し、φ:ロール角、Gy:横加速度、H 2 =Kb/(s+Kc)、Kb,Kc:定数、s:ラプラス変数)で表す場合の前記横加速度の1次遅れ要素H 2 と、
    を用いた次式H 3 =H 1 /H 2 にて規定されることを特徴とする車体スリップ角推定装置。
  4. 前記横加速度測定手段は、
    前記車両のロールレートを測定するロールレート測定手段と、
    該ロールレート測定手段にて測定されたロールレートに基づき、該ロールレートと前記横加速度との関係を記述した物理モデルを用いて前記横加速度を算出する横加速度算出手段と、
    を備えたことを特徴とする請求項3に記載の車体スリップ角推定装置。
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