JP4244400B2 - 振動コンベヤ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は振動コンベヤの駆動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
本出願人は先に図3〜図6に示すような振動コンベヤを開示した(特願平10−57441号)。
【0003】
この振動コンベア1’は、リンク機構を有した複数(図においては2つ示されている)の支持体11と、これによって水平方向に振動し得るように支持されたトラフ7と、このトラフ7(このトラフは、一点鎖線で示されている)に取り付けられて、トラフ7を振動させるための加振源であるリニアモータ16’とから構成されている。そして、トラフ7内には複数の図示しない物品が点在しており、これら図4において矢印fに示すように、左方から右方へ移送される。
【0004】
なお、トラフ7を支持している支持体11は、2つの支持部12、12’と、トラフ7の底面に上端部13aが固定されている可動部13と、2つの連接部14とから構成されている。支持部12、12’は、逆L字形状をしており、その底部12b、12b’が設置面Gに設置されている。支持部12、12’の水平端部12a、12a’は、連接部14の一方の端部14a、14a’と整合し、ここにピンPを挿通して、ヒンジ部H、H’を構成している。他方、可動部13は、逆T字形状をしており、その水平端部13b、13b’は、連接部14の他方の端部14b、14b’と整合し、ヒンジ部I、I’を形成している。すなわち、ヒンジ部H、H’、I、I’が回動することにより、可動部13が一点鎖線及び二点鎖線で示すように揺動する。これにより、可動部13の上端部13aが固定されているトラフ7は、物品の移送方向f、すなわち水平方向に振動可能に支持されている。
【0005】
振動コンベア1’を加振しているリニアモータ16’は、その拡大斜視図を図5に示すが、トラフ7の底面に固着されている2次側部材17と、この2次側部材17上に、車輪18aによって支持されている1次側部材18とから構成されている。2次側部材17は、水平部17aとこの両端を支持している支持部17b、17b’とから構成され、上に開口を向けたコの字形状をしている。この水平部17aの上面には、図5に示されるように、その両側部にトラフ7の長手方向に延びている溝17aaが形成され、その中央には、磁性体でなる複数の歯17abが、物品の移送方向に直角に並んで配設されている。1次側部材18には、溝17aaを回動する車輪18aが軸に固定され、これにより1次側部材18は、所定の空隙t’を有して2次側部材17上をガイドされて摺動する。更に、1次側部材18は、コイル19a、19b、19cを巻回した3つの極U、V、Wを有し、この極U、V、Wには、図6に示すように、薄板状の永久磁石Mが3枚ずつ、同極を向けるように配設されている。なお、このコイル19a、19b、19cは、それぞれ120度ずつ、異なる3相交流が供給されている。更に、1次側部材18には、ブロック形状をした慣性体30が取付部材20を介して固着されている。すなわち、1次側部材18は、設置面Gから離れた空中に配設されている。なお、リニアモータ16’には、速度を検出するために公知のリニアエンコーダEが配設されている。なお、この従来例では、このリニアエンコーダEから求められた移動距離を時間微分することにより後述する速度Vs ”を求めている。
【0006】
次に、この振動コンベア1’の作用について説明するが、加振しているリニアモータ16’は、神鋼電機技報告の128号vol.36,No2(1991)の第86〜93頁に詳しい原理が記載されている、いわば高力密度リニアモータと呼ばれているものである。このリニアモータ16’は、例えば1次側部材18のコイル19aに、図6に示す方向に電流を流すと、この電流によって下向きの磁極が発生する。そのため極Uにおいて、永久磁石Mによって発生している下向きの磁極は強められ、それと逆向きの磁極は打ち消される。このとき、極V、Wは、極Uに対してそれぞれ120度、240度位相がずれているため、コイル19b、19cは図6に示される方向に電流が流れる。そのため、極V、Wにおいては永久磁石Mによって発生している上向きの磁極は強められ、それと逆向きの磁極は打ち消されることになる。従って、極U、V、Wにおいて、図6に示すような磁力線が発生し、すなわち磁気吸引力が2次側部材17の歯17abと1次側部材18の極U、V、Wとの間で発生し、1次側部材18が左方に移動する。
【0007】
すなわち、リニアモータ16’のコイル19a、19b、19cに、それぞれ位相差が120度ずつずれた交流を流すと、上述した作用により、極U、V、Wの順番で、代わる代わるに磁気吸引力が、歯17abと極U、V、Wとの間で発生し、これにより1次側部材18が左方に力が作用する。このとき、1次側部材18は車輪18aを介して2次側部材17上を摺動するため、この1次側部材18の反力を2次側部材17の水平部17aが受ける。従って、2次側部材17は、1次側部材18の移動方向と反対側の右方に力が作用する。すなわち、2次側部材17が取り付けられているトラフ7にも、右方へと力が作用する。なお、このときには、トラフ7がゆっくりと加速するように、すなわちこれに反力を与える1次側部材18がゆっくり加速するように、コイル19a、19b、19cの電流値を調節する。なお、このとき、すべての支持体11は、図22において2点鎖線で示されるように揺動して、トラフ7を支えている。
【0008】
次に、極U、V、Wに与えるコイル19a、19b、19cに、逆向きに電流を与える。すなわち、極W、V、Uの順番で、代わる代わるに磁気吸引力が、2次側部材17の歯17abと1次側部材18の極U、V、Wとの間で発生する。この磁気吸引力により1次側部材18は右方に力が作用する。このときも、2次側部材17の水平部17aが1次側部材18の反力を受けるため、2次側部材17が取り付けられているトラフ7は、1次側部材18の移動方向と反対側の左方に力が作用する。このときには、トラフ7を物品の静止摩擦力に打ち勝つ力で左方に加速する(物品に対してトラフ7のみが後退する)よう、1次側部材18を大きく加速できるように、コイル19a、19b、19cの電流値を調節する。
【0009】
以上の一連の動作を繰り返すことで、すなわち、トラフ7が物品の移送方向と同じ方向には、ゆっくりと加速し、移動方向と反対側には、トラフ7のみが後退するように大きく加速して、振動コンベア1’は振動し、トラフ7上の物品を右方へと移送する。
【0010】
このように、リニアモータ16’のコイル19a、19b、19cに供給される電流値を調節することにより、振動コンベア1’の振動が制御されて、トラフ7上の物品が移送されている。振動コンベア1’の上述した一連の動作は、例えば図7にブロック図として示される制御で行われている。このブロック図では、速度指令値V0 ”が供給されており、すなわち速度(これは2次側部材17に対する相対速度である)を与えることにより制御するものである。この速度指令値V0 ”にリニアモータ16’の1次側部材18の速度Vs ”に相当する信号をフィードバックし、この速度指令値V0 ”とリニアモータ16’の1次側部材18の速度Vs ”との速度偏差ΔV”が求められる。そして、この速度偏差ΔV”をゲインKd で増幅して、伝達関数KM を有するリニアモータ16’に与える電流値を定める。すなわち、ゲインKd で増幅された速度偏差ΔV”に応じた電流値を、リニアモータ16’のコイル19a、19b、19cに供給する。リニアモータ16’は、伝達関数KM を有し、これによって、リニアモータ16’の1次側部材18を加振し、すなわちトラフ7を加振する。
【0011】
以上の構成でトラフは物品の移送方向にはゆっくりと、これと反対方向には迅速に移動するのであるが、このような運動を与える速度指令は図8で図示したように鋸歯状波である。これは高周波成分を非常に多く含む。トラフ7の板厚はその負荷を小さくするために出来るだけ薄く形成されているのであるが、以上のような高周波成分を受けると、謂わばスピーカの振動板のような働きをし、耳障りの騒音を発する。また、図示したように地上に水平方向に振動可能にトラフ7は支持されているのであるが、これらの結合部においても高周波成分を受けて騒音を発し、全体として極めて耳障りな騒音を周囲に発生する。またトラフ7の移送面がこのような高周波の振動を行なう。本来的にはその移送面と物品との間の摩擦係数も相互作用して上述のような振動をうけて移送されるのであるが、トラフ移送面自体の高次振動によってはこのような移送が出来なくなる恐れもある。
【0012】
本発明は上述の問題に鑑みてなされ、鋸歯状波形の速度指令を与えて、前後方向に以上のような振動を行なわせるが、この騒音レベルを大幅に低下させることが出来る振動コンベヤを提供することを課題とする。
【0013】
以上の課題は、直線的なトラフと、前記トラフを水平方向に振動可能に支持する支持部材と、前記トラフに設けられ、水平方向に振動し、その反力により前記トラフを加振する加振源とを具備し、前記加振源は、前記トラフの往動と復動とで加速度差があるような速度指令を受けて前記トラフを復動では比較的大なる加速度で水平方向に移動させて、前記トラフ上の物品を所定方向に搬送させ、前記速度指令f(t)をフーリェ級数に展開し、このうち低次成分のみを前記速度指令として用いることを特徴とする振動コンベヤ、によって解決される。
【0014】
又、以上の課題は、直線的なトラフと、前記トラフを水平方向に振動可能に支持する支持部材と、前記トラフに設けられ、水平方向に振動し、その反力により前記トラフを加振する加振源とを具備し、前記加振源は、鋸歯状波形の速度指令を受けて前記トラフを鋸歯状に変化する速度で水平方向に振動させて、該トラフ上の物品を所定方向に搬送させ、前記速度指令をフーリェ級数に展開し、その低次成分のみを該速度指令として用いることを特徴とする振動コンベヤ、によって解決される。
【0015】
又、以上の課題は、直線的なトラフと、前記トラフを水平方向に振動可能に支持する支持部材と、前記トラフに設けられ、水平方向に振動し、その反力により前記トラフを加振する加振源とを具備し、前記加振源は、鋸歯状波形の速度指令を受けて前記トラフを鋸歯状に変化する速度で水平方向に振動させて、該トラフ上の物品を所定方向に搬送させ、前記鋸歯状波形の速度指令f(t)をフーリェ級数2・a/π×(sinωt+1/2sin 2ωt+1/3sin 3ωt+・・・+1/nsin nωt+・・・)に展開し、(t:時間、ω:角周波数、a:振幅)、このうち低次成分のみを該速度指令として用いることを特徴とする振動コンベヤ、によって解決される。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態は図3〜図6に示す振動コンベヤ1’に適用される。一般に鋸歯状波は図1のように示されるが、この鋸歯状波の関数f(t)は同じ波形を繰り返す駆動指令であり、その関数は数式1で示される。
【0017】
【数1】
【0018】
このような関数で表される駆動指令は、フーリェ級数に展開することができる。
【0019】
【数2】
【0020】
以上のように表されるのであるが、数式を分かり易くするために角周波数ωを1としている。
【0021】
本発明の実施の形態によれば、これら級数項のうち、低次項のみが速度指令として選ばれる。
【0022】
【数3】
【0023】
図2で示すように第1項のsin(t)はaで示すように正弦波形であり、また、これに2次の項1/2 sin(2t)を加えた関数f2 (t)はbで表すように変化する。更に第3項の1/3 sin(3t)を加えればcで示すように、かなり本来の鋸歯状波f(t)に近づく。従ってこのような関数f2 (t)又はf3 (t)を従来技術で述べたリニアモータの一次側のコイルに印加すれば、トラフ7は、従来技術で述べたような振動と殆んど同じ振動を行ないながら、高次周波数はカットされているので、トラフの移送面の高次振動が抑えられることができ、騒音は小さい。また、移送面が従来技術で上述したような微小な高次な振動を生じないので、物品と移送面との摩擦係数を安定に保持して高速搬送を行なうことが出来る。よって、トラフ7の板厚を極力薄く出来て軽量化を行なって、リニアモータの負荷を小さくすることが出来る。
【0024】
以上、本発明の実施形態について説明したが、勿論、本発明はこれに限定されることなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
【0025】
本発明では、鋸歯状波をフーリェ級数に展開し、この内、低次成分を用いるのであるが、この低次成分は上述の数式3に限ることなく、4項、5項までを含めてもよい。また、この級数項の係数を小さくしても良い。例えば、上述の3項の1/3 sin(3t)を1/6 sin(3t)としても本発明の効果が得られる。同様に2項についてもそれを例えば1/3としてこの比較的高次成分を更に抑えるようにしてもよい。
【0026】
また以上は図示の振動コンベヤ1’について説明したが、勿論、これに限ることなく、例えば加振源としてはリニアモータを用いたが、これに代えてボイスコイルのような構成で電流を流し、所望のトラフの振動を得るようにしてもよい。また電磁石のコイルについても同様であり、電流にコイルを流して力を得る構成でなく、圧電素子に電圧を加えて遅れなく力を発生し、トラフに所望の運動を行なわせるようにしてもよい。
【0027】
また以上の実施例では、トラフを三角形状の支柱により4か所で振動可能にしたが、このような構成に限ることなく、複数のローラでトラフを受け、この上でトラフが滑動して振動させるような構成にも本発明は適用可能である。
【0028】
【発明の効果】
以上述べたように本発明の振動コンベヤの駆動方法によれば、行きはゆっくりと、帰りは迅速に振動させて、水平なトラフ面で物品を移送させるようにした振動コンベヤの騒音のレベルを小さくして、その加振源の負荷を従来より大巾に小とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の速度指令に近似化される鋸歯状波のタイムチャートである。
【図2】本発明により、フーリェ級数に展開された級数項の低次項の2項または3項を採用した場合の本来の鋸歯状波に対する接近のしかたを示すタイムチャートである。
【図3】従来例の振動コンベヤの斜視図である。
【図4】従来例の振動コンベヤの正面図である。
【図5】従来例の振動コンベヤに用いたリニアモータの拡大斜視図である。
【図6】従来例の振動コンベヤに用いたリニアモータの拡大正面図である。
【図7】従来例の振動コンベヤの制御回路のブロック図である。
【図8】図7に示されるブロック図において与えられる速度指令値の時間的変化を示す図である。
【符号の説明】
1’ 振動コンベヤ
7 トラフ
11 支持体
16 リニアモータ
17 一次側部材
18 一次側部材
a 鋸歯状波
Claims (6)
- 直線的なトラフと、
前記トラフを水平方向に振動可能に支持する支持部材と、
前記トラフに設けられ、水平方向に振動し、その反力により前記トラフを加振する加振源と
を具備し、
前記加振源は、前記トラフの往動と復動とで加速度差があるような速度指令を受けて前記トラフを復動では比較的大なる加速度で水平方向に移動させて、前記トラフ上の物品を所定方向に搬送させ、
前記速度指令f(t)をフーリェ級数に展開し、このうち低次成分のみを前記速度指令として用いることを特徴とする振動コンベヤ。 - 直線的なトラフと、
前記トラフを水平方向に振動可能に支持する支持部材と、
前記トラフに設けられ、水平方向に振動し、その反力により前記トラフを加振する加振源と
を具備し、
前記加振源は、鋸歯状波形の速度指令を受けて前記トラフを鋸歯状に変化する速度で水平方向に振動させて、該トラフ上の物品を所定方向に搬送させ、
前記速度指令をフーリェ級数に展開し、その低次成分のみを該速度指令として用いることを特徴とする振動コンベヤ。 - 直線的なトラフと、
前記トラフを水平方向に振動可能に支持する支持部材と、
前記トラフに設けられ、水平方向に振動し、その反力により前記トラフを加振する加振源と
を具備し、
前記加振源は、鋸歯状波形の速度指令を受けて前記トラフを鋸歯状に変化する速度で水平方向に振動させて、該トラフ上の物品を所定方向に搬送させ、
前記鋸歯状波形の速度指令f(t)をフーリェ級数2・a/π×(sinωt+1/2sin 2ωt+1/3sin 3ωt+・・・+1/nsin nωt+・・・)に展開し、(t:時間、ω:角周波数、a:振幅)、このうち低次成分のみを該速度指令として用いることを特徴とする振動コンベヤ。 - 請求項3に記載の振動コンベヤであって、
前記低次成分はf(t)≒2・a/π{sin(ωt)+1/2sin(2ωt)}、又はf(t)≒2・a/π{sin(ωt)+1/2sin(2ωt)+1/3sin(3ωt)}であることを特徴とする振動コンベヤ。 - 請求項3又は請求項4に記載の振動コンベヤであって、
前記低次成分の係数1/nを1/m(m>n)としたことを特徴とする振動コンベヤ。 - 請求項3から請求項5のうちのいずれか一項に記載の振動コンベヤであって、
前記加振源はリニアモータであり、該リニアモータの一次側又は二次側に前記トラフが固定されていることを特徴とする振動コンベヤ。
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---|---|---|---|
JP15363498A JP4244400B2 (ja) | 1998-05-18 | 1998-05-18 | 振動コンベヤ |
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JP15363498A JP4244400B2 (ja) | 1998-05-18 | 1998-05-18 | 振動コンベヤ |
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JPH11322047A JPH11322047A (ja) | 1999-11-24 |
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ID=15566809
Family Applications (1)
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JP15363498A Expired - Fee Related JP4244400B2 (ja) | 1998-05-18 | 1998-05-18 | 振動コンベヤ |
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JP (1) | JP4244400B2 (ja) |
-
1998
- 1998-05-18 JP JP15363498A patent/JP4244400B2/ja not_active Expired - Fee Related
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