JP4244279B2 - ゴムシートの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、タイヤ等の製造に用いられるゴムシートの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、タイヤに用いるゴムシート、例えばインナーライナーは、例えば、図11に示すような所謂2ローラダイ100にてシーティングする方法、図12に示すような所謂1ローラダイ102にてシーティングする方法、または、4本カレンダロールを用いる方法等で製造されてる。
【0003】
上記従来の方法で形成されるインナーライナーは、シーティング時の幅Wがタイヤ回転軸に沿った断面で見たときのタイヤ内面に沿ったほぼ一方のビードトゥから他方のビードトゥまでの寸法であり、この幅で押し出した後、ほぼタイヤ内面の周長に相当する長さで切断したものであった。
【0004】
また、幅方向両端部は、エアや内面液の噛み込み防止のためテーパー形状が望ましく、図11に示すように両端部をカッタ104で斜めに切断したり、図12に示すように、両端部がテーパー形状となるように口金106の形状を設定していた。
【0005】
タイヤの製造工程では、このようにして得られた1枚のインナーライナーがドラムに巻きつけられ、その後、カーカスプライ等のタイヤ構成部材を順次巻き付けて生タイヤを形成している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような方法でインナーライナーを製造すると、タイヤのサイズや種類に応じて幅の異なる複数のローラダイを用意しなければならず、工場の設備にコストがかかっていた。
【0007】
そこで、近年、リボン状の未加硫のゴムストリップを螺旋状に巻回することによって、所望のゴムシートをドラム上に形成する方法が提案されている(特開2000−246812号等)。
【0008】
しかしながら、従来の方法では、隙間が形成されないようにリボン状のゴムストリップを幅方向端面付近を重ねながら螺旋状に巻回していたため、形成されたゴムシート表面に段差が出来てしまい、段差の凹部にエアを溜め易く、また端部の処理に懸念が生じていた。
【0009】
本発明は、上記事実を考慮し、種々のサイズに対応可能で、一定厚さのゴムシートを製造することのできるゴムシートの製造方法を提供することが目的である。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載のゴムシートの製造方法は、幅方向両端部にテーパー部が形成されたシート状の長尺状ゴムストリップを一定の長さに切断して短冊状のゴムストリップを形成する第1の工程と、複数の前記短冊状のゴムストリップを、幅方向端部のテーパー部を重ね合わせるようにして幅方向に連結してゴムシートを形成する第2の工程と、を含み、前記第1の工程では、前記長尺状ゴムストリップをシート面にたてた法線に対して傾斜するように切断し、前記第1の工程、及び前記第2の工程を経ることで、端縁の全てがテーパー状となったゴムシートが形成される、ことを特徴としている。
【0011】
請求項1に記載のゴムシートの製造方法では、先ず、第1の工程において、幅方向両端部にテーパー部が形成されたシート状の長尺状ゴムストリップが一定の長さに切断され、短冊状のゴムストリップが複数形成される。
【0012】
第1の工程では、長尺状ゴムストリップは、シート面にたてた法線に対して傾斜するように切断されるので、長尺状ゴムストリップの長手方向の端部はテーパー形状となる。
【0013】
第2の工程では、幅方向端部のテーパー部が重ね合わされて複数の短冊状のゴムストリップが幅方向に連結され、端縁の全てがテーパー状となった大面積のゴムシートが形成される。
【0019】
請求項2に記載のゴムシートの製造方法は、幅方向両端部にテーパー部が形成された長尺状ゴムストリップを、前記テーパー部を重ね合わせながら螺旋状に巻回してゴムシートを形成する際に、前記長尺状ゴムストリップの巻き始め部分、及び巻き終わり部分を徐々に幅が狭くなるテーパー状に切断する、ことを特徴としている。
【0020】
請求項3に記載のゴムシートの製造方法では、幅方向両端部にテーパー部が形成された長尺状ゴムストリップを、テーパー部を重ね合わせながら螺旋状に巻回することでゴムシートが形成される。
【0022】
長手方向両端部が長手方向に対して直角に切断された長尺状ゴムストリップを螺旋状に巻回すると、巻き始め側の端部と巻き終わり側の端部に各々段部が形成されてしまうが、請求項2に記載のゴムシートの製造方法によれば、長尺状ゴムストリップの巻き始め部分、及び巻き終わり部分を徐々に幅が狭くなるテーパー状に切断するので、巻き始め側の端部と巻き終わり側の端部に段部を形成することが無い。
【0023】
なお、長尺状ゴムストリップの長手方向端部をテーパー状に切断するのは、螺旋状に巻き付ける前でも良く、螺旋状に巻き付けた後であっても良い。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のゴムシートの製造方法において、前記ゴムシートはタイヤのインナーライナーである、ことを特徴としている。
【0024】
【発明の実施の形態】
[第1の実施形態]
以下、図面を参照して本発明のゴムシートの製造方法の第1の実施形態を図1乃至図5にしたがって詳細に説明する。
(ゴムシートの製造装置)
図1に示すように、押出装置10の吐出口側には、ローラダイ12が配設されている。
【0025】
ローラダイ12は、上ローラ14と下ローラ16とから構成されている。
【0026】
上ローラ14の中央には、幅広の溝18が形成されている。
【0027】
溝18はローラ軸方向に一定深さであり、両側の溝壁は半径方向に対して略87°で傾斜している。
【0028】
これら上ローラ14及び下ローラ16は、図示しない駆動装置によって矢印方向に回転されるようになっている。
【0029】
押出装置10は、ホッパ(図示せず)に供給された未加硫のゴム組成物を吐出口より押し出し、吐出口より押し出されたゴム組成物は、ローラダイ12を経て一定厚さの長尺状ゴムシート20として押し出される。
【0030】
なお、ローラダイ12より押し出された長尺状ゴムシート20の幅方向両側部は、シート面に対して略3°に傾斜したテーパー部20Aとなる。なお、長尺状ゴムシート20の幅方向両側部の角度は、3°に限らず、他の角度であっても良い。
【0031】
ローラダイ12のゴムシート押し出し方向には、図2に示すような切断装置22が配置されている。
【0032】
切断装置22は、長尺状ゴムシート20の下面を支持するアンビル24を備えている。
【0033】
アンビル24の上方には、シリンダ、モータ等からなる駆動装置26のロッド28に連結されたカッタ30が配置されている。
【0034】
アンビル24の上面は水平であり、カッタ30の刃30Aは、アンビル24の上面に対して平行であり、かつ長尺状ゴムシート20の幅方向と平行(長手方向に対して直角)である。
【0035】
ロッド28は、軸方向に移動するようになっており、カッタ30は長尺状ゴムシート20の長手方向に対して45°の角度を持ってアンビル24と接離する方向に移動される。
【0036】
カッタ30の内部には、カッタ30を加熱(例えば、200〜300°C)するヒータ(図示せず)が内蔵されている。
【0037】
カッタ30を加熱することにより、ゴム組成物を切断し易くなる。なお、カッタ30に超音波発生器を取り付け、カッタ30を振動させることでゴム組成物を切断し易くすることもできる。
【0038】
本実施形態の切断装置は、いわゆるギロチンタイプの切断装置であるが、図3に示すように、カッタ32をシリンダ、モータ等の駆動手段(図示せず)で長尺状ゴムシート20の幅方向にスライドさせて切断しても良く、図4に示すように、下端が略90°にされたクラッシュカッタ34を長尺状ゴムシート20に押圧して切断するようにしても良い。
(ゴムシートの製造工程)
次に、ゴムシートの製造工程を説明する。
【0039】
先ず最初の工程では、長尺状ゴムシート20を押し出して、切断装置22により一定の長さに切断して短冊(長方形)状のゴムシート36を複数枚形成する。
【0040】
なお、短冊状のゴムシート36の長さは、タイヤのインナーライナーとしての幅寸法(タイヤ周方向と直交する方向の寸法)である。
【0041】
次に、図5(A),(C)に示すように、複数の短冊状のゴムシート36を、長手方向のテーパー部分(45°で切断された部分)36Aを揃え、かつ幅方向端部のテーパー部分(略3°で押し出された部分)36B同士を重ねるようにして、短冊状のゴムシート36の幅方向に順次連結し、1枚の未加硫のインナーライナー38とする。
【0042】
なお、短冊状のゴムシート36は加硫前で簡単に塑性変形するので、図5(C)に示すように、ある短冊状のゴムシート36のテーパー部分36Aに、(二点鎖線で図示する)別の短冊状のゴムシート36のテーパー部分36Aを重ねる際、後から張り付ける方の(二点鎖線で図示する)ゴムシート36のテーパー部分36Aは、張り付けられる方の(実線で図示する)ゴムシート36のテーパー部分36Aの形状に合わせて変形し、張り付け後の表面は凸凹しない。
【0043】
これにより、端縁全てがテーパー形状とされたインナーライナー38が得られる。
【0044】
なお、図5(A)中の寸法Lは、タイヤ周方向に対応する方向の寸法である。
【0045】
このようにして形成された未加硫のインナーライナー38は、通常通りのタイヤ製造方法にしたがって生タイヤの成形に用いられる。
【0046】
即ち、未加硫のインナーライナー38は、バンド成形ドラムの外周面に巻き付けられ、周方向両端部が一部分重ね合わされ、その後、インナーライナー38の上には、従来通りカーカスプライ、ビードコア、ビードフィラー、ベルト、トレッド等の各種タイヤ構成部材が貼り付けられて生タイヤが完成する。
【0047】
生タイヤの内面に配置されるインナーライナー38は、内面側に露出する端縁全てがテーパー状に形成されているため、加硫時にエアや内面液の噛み込みを防止することができる。
【0048】
また、本実施形態では、短冊状のゴムシート36の長さを変更し、連結数を変更することにより、種々のタイヤに対応したインナーライナー38を得ることができる。
[第2の実施形態]
次に、本発明のゴムシートの製造方法の第2の実施形態を図6乃至図8にしたがって詳細に説明する。
(ゴムシートの製造装置)
図6に示すように、本実施形態では、ローラダイ12(図6では図示省略)より押し出された長尺状ゴムシート20は、先ず矢印方向に回転する一定径のドラム40の外周面にテーパー部20Aを重ね合わせながら螺旋状に巻き付けられる。
【0049】
次に、図7に示すように、螺旋状に巻き付けられた長尺状ゴムシート20のドラム軸方向両端部を、ドラム周方向に対して平行となるようにカッタ等でトリミングする。
【0050】
なお、トリミングする際、カッタはシート面に対して45°傾斜させ、切断面をシート面に対して45°とする。
【0051】
次に、トリミングされた円筒状の長尺状ゴムシート20を、カッタ等でドラム軸方向に沿ってカット(図7の二点鎖線部分)し、図8に示すようなタイヤ1本分のインナーライナー42を得る。
【0052】
軸方向に沿ってカットするときも、カッタはシート面に対して45°傾斜させ、切断面をシート面に対して45°とする。
【0053】
本実施形態においても、このように端縁全てがテーパー形状とされたインナーライナー42が得られる。
【0054】
本実施形態では、ドラム40の径、ドラム軸方向に切断する数、螺旋巻回数によって、タイヤに合わせてインナーライナー42の長さ及び幅を変更することができる。
【0055】
なお、ドラム40は、予め種々の径のものを予め用意してインナーライナー42の大きさに合ったドラム40を選択するようにしても良く、径を拡縮可能な構造のものを用いても良い。
【0056】
また、本実施形態では、長尺状ゴムシート20を螺旋状に巻回してからドラム軸方向両端部をトリミングしたが、図9(A)に示すように、巻回する前の長尺状ゴムシート20の長手方向端部付近を斜めに切断して斜線部分を除去し、長手方向端部を平面視でテーパー状とすることにより、螺旋状に巻回した時にドラム軸方向両端部をドラム周方向に対して平行にすることができる。
【0057】
なお、斜線部分を除去する際には、切断面が、例えばシート面に対して45°傾斜するように切断を行う(図9(B)参照)。
【0058】
本実施形態の長尺状ゴムシート20は、幅方向に一定厚さで幅方向両端部にテーパー部20Aが形成されていたが、図10に示すように、長尺状ゴムシート20の断面形状は、三角形(テーパー部20Aのみ)であっても良い。
【0059】
断面が三角形の長尺状ゴムシート20の場合であってもテーパー部20A同士を重ね合わせて一定ピッチで螺旋状に巻回すれば、一定厚さのインナーライナーを形成することができる。
【0060】
なお、本実施形態では、タイヤのインナーライナーを製造する方法を説明したが、本発明によれば、他の用途のゴムシートを製造できるのは勿論である。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように本発明のゴムシートの製造方法によれば、種々のサイズに対応可能で、一定厚さのゴムシートを製造することができる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】押出装置機及びローラダイの斜視図である。
【図2】(A)は切断装置の斜視図であり、(B)は切断装置の側面図である。
【図3】他の実施形態に係る切断装置の斜視図である。
【図4】更に他の実施形態に係る切断装置の斜視図である。
【図5】(A)はゴムシートの斜視図であり、(B)は図5(A)に示すゴムシートの5(B)−5(B)線断面図であり、(C)は図5(A)に示すゴムシートの5(C)−5(C)線断面図である。
【図6】長尺状ゴムシートの巻回途中を示すドラムの斜視図である。
【図7】トリミング後の長尺状ゴムシート及びドラムの斜視図である。
【図8】(A)はゴムシートの平面図であり、(B)は図8(A)に示すゴムシートの8(B)−8(B)線断面図である。
【図9】(A)は長尺状ゴムシートの長手方向端部付近の平面図であり、(B)は図9(A)に示す長尺状ゴムシートの9(B)−9(B)線断面図である。
【図10】他の実施形態に係る長尺状ゴムシートの斜視図である。
【図11】従来のインナーライナーを製造する2ローラダイの斜視図である。
【図12】従来のインナーライナーを製造する1ローラダイの斜視図である。
【符号の説明】
10 押出装置
12 ローラダイ
20 長尺状ゴムシート
36 短冊状のゴムシート
38 ゴムシート
42 ゴムシート

Claims (3)

  1. 幅方向両端部にテーパー部が形成されたシート状の長尺状ゴムストリップを一定の長さに切断して短冊状のゴムストリップを形成する第1の工程と、
    複数の前記短冊状のゴムストリップを、幅方向端部のテーパー部を重ね合わせるようにして幅方向に連結してゴムシートを形成する第2の工程と、
    を含み、
    前記第1の工程では、前記長尺状ゴムストリップをシート面にたてた法線に対して傾斜するように切断し、
    前記第1の工程、及び前記第2の工程を経ることで、端縁の全てがテーパー状となったゴムシートが形成される、ことを特徴とするゴムシートの製造方法。
  2. 幅方向両端部にテーパー部が形成された長尺状ゴムストリップを、前記テーパー部を重ね合わせながら螺旋状に巻回してゴムシートを形成する際に、前記長尺状ゴムストリップの巻き始め部分、及び巻き終わり部分を徐々に幅が狭くなるテーパー状に切断する、ことを特徴とするゴムシートの製造方法。
  3. 前記ゴムシートはタイヤのインナーライナーである、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のゴムシートの製造方法。
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