JP2005066883A - タイヤ成形ドラム - Google Patents
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Abstract
【課題】耐空気透過性が高い熱可塑性樹脂フィルムなどをインナーライナー材に使用した場合であっても、エアを効果的に排出することが可能なタイヤ成形ドラムを提供する。
【解決手段】拡縮可能なドラム片2をドラム周方向に連接して構成した回転可能なタイヤ成形ドラム1である。その外周面1aに少なくともドラム回転方向Xの後方側に向けて左右に拡開するエア逃がし用溝部6がドラム周方向に所定の間隔で配置されている。
【選択図】図1
【解決手段】拡縮可能なドラム片2をドラム周方向に連接して構成した回転可能なタイヤ成形ドラム1である。その外周面1aに少なくともドラム回転方向Xの後方側に向けて左右に拡開するエア逃がし用溝部6がドラム周方向に所定の間隔で配置されている。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気入りタイヤを製造するために使用するタイヤ成形ドラムに関し、更に詳しくは、耐空気透過性が高い熱可塑性樹脂フィルムなどをインナーライナー材に使用した場合であっても、エアを効果的に外部に排出できるようにしたタイヤ成形ドラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、空気入りタイヤの製造工程の第1成形工程で使用されるタイヤ成形ドラムは、拡縮可能なドラム片をドラム周方向に連接して構成されると共に、一方向に回転可能になっている。このドラム上にドラムを回転させながら、インナーライナー材、カーカス材などの各材料が順次巻き付けられて一方のタイヤ半成形体が成形されると、ドラムを縮径して円筒状のタイヤ半成形体を次のシェーピング工程に移送できるようにしている。
【0003】
上述した成形工程では、巻き付け時に各材料間に巻き込まれたエアを排除するため、ドラムを回転させながら、ローラを巻き付けた材料上に圧着し、材料間に残存するエアを外部に排出させるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開昭63−193834号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、インナーライナー材を従来のゴムに代えて、熱可塑性樹脂をマトリクス樹脂とし、これにゴム(エラストマー)を島状に分散した熱可塑性樹脂からなるフィルムで構成したものが提案されている(例えば、特開平10−264607号公報参照)。この熱可塑性樹脂フィルムからなるインナーライナー材は耐空気透過性が従来のゴムより優れ、かつ軽量にすることができる利点がある。
【0006】
しかし、このような耐空気透過性が高い熱可塑性樹脂フィルムを使用すると、インナーライナー材とカーカス材との間に巻き込まれたエアをカーカス材上にロールを圧着して押し出そうとしても、従来のゴムを用いた場合のように十分に排出することができない場合がしばしば発生し、その残留するエアが加硫後のタイヤ品質を低下させる要因になっていた。
【0007】
本発明の目的は、耐空気透過性が高い熱可塑性樹脂フィルムなどをインナーライナー材に使用した場合であっても、エアを効果的に排出することが可能なタイヤ成形ドラムを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明は、拡縮可能なドラム片をドラム周方向に連接して構成した回転可能なタイヤ成形ドラムにおいて、該タイヤ成形ドラムの外周面に、少なくともドラム回転方向後方側に向けて左右に拡開するエア逃がし用溝部をドラム周方向に所定の間隔で配置したことを特徴とする。
【0009】
耐空気透過性が高い熱可塑性樹脂フィルムのインナーライナー材をタイヤ成形ドラムの外周面上に配置し、次いでカーカス材を巻き付けた後、タイヤ成形ドラムを回転しながら、ローラをカーカス材上に圧着し、カーカス材とインナーライナー材との間に巻き込まれたエアを外部に押し出す作業が行われるが、上述した本発明のタイヤ成形ドラムによれば、ローラによって押し集めされたエアにより、薄い熱可塑性樹脂フィルムのインナーライナー材がエア逃がし用溝部内に入り込み、カーカス材とインナーライナー材との間にエア逃がし用溝部に沿って空隙となる通路が形成され、この通路を通ってエアを外部に排出することが可能になる。この通路は、次のシェーピング工程において押し潰されて消失するので、通路に起因するエアの残留を招くことがない。従って、耐空気透過性が高い熱可塑性樹脂フィルムなどをインナーライナー材に使用した場合であっても、カーカス材とインナーライナー材との間に巻き込まれたエアを効果的に排出することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
図1,2は、本発明のタイヤ成形ドラムの一例を示し、タイヤ成形ドラム1は、複数のドラム片2をドラム周方向に円筒状に連接して構成され、不図示の拡縮機構により各ドラム片2がドラム径方向に拡縮可能になっている。また、矢印Xで示されたドラム回転方向に回転可能に支持され、外周面1aがインナーライナー材などの材料巻き付け面になっている。
【0012】
ドラム片2は、周方向長さの長い複数(図では5個)の第1ドラム片2Aと、周方向長さが短い複数(図では5個)の第2ドラム片2Bからなり、各ドラム片2の接続部となる両周方向端に、ドラム片2を連接した際にドラム軸Xに沿って両端まで延在する断面V字状の横溝3を形成する切欠き部10を有している。この横溝3もエア逃がし用溝としてこの実施形態では利用している。
【0013】
各第1ドラム片2Aの外側表面2aには、ドラム軸Yに沿って両端まで延在する断面V字状のエア逃がし用横溝4が形成されている。ドラム周方向に環状に延在する複数 (図では7本)のエア逃がし用周方向溝5が横溝3,4に直交して設けられている。1本のエア逃がし用周方向溝5がタイヤ成形ドラム1の幅方向中央に配置され、残りのエア逃がし用周方向溝5が左右対称的に配置されている。
【0014】
また、外周面1aには、ドラム回転方向Xの後方側に向けて左右に拡開するエア逃がし用溝部6をドラム周方向に所定の間隔で配置してある。この溝部6は、左溝部6Aと右溝部6Bとをタイヤ成形ドラム1の幅方向中央で連接したV字状の溝から構成されている。
【0015】
左溝部6Aと右溝部6Bは、断面V字状に形成され、それぞれドラム周方向に対する傾斜角度を小さくした内側溝部6A1,6B1と、内側溝部6A1,6B1よりドラム周方向に対する傾斜角度を大きくした外側溝部6A2,6B2を備えている。内側溝部6A1,6B1が最外側のエア逃がし用周方向溝5Nまで直線状に延在し、そのエア逃がし用周方向溝5Nから外側にドラム端まで外側溝部6A2,6B2が直線状に延在している。
【0016】
上述したタイヤ成形ドラム1では、ドラム片2を縮径した状態で、筒状の熱可塑性樹脂フィルム(熱可塑性樹脂からなるマトリクス樹脂にゴム(エラストマー)を島状に分散した熱可塑性樹脂フィルムで、例えば厚さが100〜500μm)をインナーライナー材7として挿入した後、ドラム片2を拡径して外周面1aにインナーライナー材7を嵌着し、次いでタイヤ成形ドラム1を回転させながら未加硫ゴム層内に補強コードを配列したカーカス材8をインナーライナー材7上に巻き付ける(図3参照)。
【0017】
その後、タイヤ成形ドラム1を更に回転しながら、ローラ9をカーカス材8上に圧着し、カーカス材8とインナーライナー材7との間に巻き込まれたエアを外部に押し出す。
【0018】
この際に、ローラ9によって押し集めされたエアにより、図4に示すように、薄い熱可塑性樹脂フィルムのインナーライナー材7が横溝3、エア逃がし用横溝4、エア逃がし用周方向溝5、及びエア逃がし用溝部6内に入り込み、カーカス材8とインナーライナー材7との間に横溝3、エア逃がし用横溝4、エア逃がし用周方向溝5、エア逃がし用溝部6に沿って連通する空隙となる通路10が形成され、この通路10を通ってエアが外部に排出される。
【0019】
タイヤ成形ドラム1で成形された円筒状のタイヤ半成形体は、次のシェーピング工程で内圧の付与により膨張するブラダーによりトロイダル状に膨径させるが、この際にブラダーがタイヤ半成形体の幅方向中央部に先ず圧接し、次第にその圧接領域を広げながら両側に圧接していく。
【0020】
その結果、インナーライナー材7がカーカス材8にタイヤ成形ドラム1の幅方向中央部側から押圧され、それによりインナーライナー材7とカーカス材8と間に形成された通路10が幅方向中央部側から次第に押し潰されて消失するので、通路10内に残るエアも外部に排出される。
【0021】
本発明は、上述した実施形態のように、エア逃がし用横溝4、エア逃がし用周方向溝5、及びタイヤ周方向に傾斜したエア逃がし用溝部6を組み合わせて設けるようにするのが好ましいが、タイヤ成形ドラム1を回転させながら行うため、ドラム回転方向Xの後方側に向けて左右に拡開するエア逃がし用溝部6のみを上記より狭い間隔でドラム周方向に設けるようにしても、それにより形成された通路によりエアを効率よく排出することができ、少なくともエア逃がし用溝部6を有する構成であればよい。
【0022】
エア逃がし用溝部6の左溝部6Aと右溝部6Bは、ドラム周方向に対して30°〜60°の範囲で傾斜した溝部に形成するのがエアを円滑に排出する上で好ましい。
【0023】
また、左溝部6Aと右溝部6Bは、上述した直線状に代えて円弧状の曲線であってもよい。その場合、傾斜角度は、円弧の始端と終端とを結んだ直線の角度とする。
【0024】
断面V字状に形成した各溝4,5及び溝部6の深さとしては、それらの溝本数や、各ドラム片2の接続部分に形成される横溝3の大きさ、また熱可塑性樹脂フィルムの厚さにより適宜設定されるが、実質的には0.5mm〜1.5mmの範囲を好ましく例示することができる。幅としては、0.5mm〜1.5mmにするのがよい。
【0025】
タイヤ成形ドラム1は、上記実施形態では、周方向長さが長い第1ドラム片2Aと周方向長さが短い第2ドラム片2Bの2種類のドラム片2から構成した例を示したが、それに限定されず、拡縮可能であれば他の構成であってもよい。
【0026】
本発明は、特にタイヤ成形ドラム1の外周面1aに巻き付ける材料が上述した熱可塑性樹脂フィルムからなるインナーラインー材である場合に好ましく用いることができるが、当然のことがなら他のインナーラインー材を用いた場合にも好適にし使用することができる。
【0027】
【実施例】
タイヤサイズを205/55R16 89Vで共通にし、上述した図1に示す構成を有する本発明のタイヤ成形ドラムと、本発明のタイヤ成形ドラムにおいて、エア逃がし横溝、エア逃がし周方向溝、及び左右に拡開するエア逃がし溝部を設けていない従来のタイヤ成形ドラムを用いて、通常の方法により各100本の試験タイヤを製造した。
【0028】
各試験タイヤのインナーライナー材に使用した熱可塑性樹脂フィルムの厚さは130μmである。
【0029】
得られた各100本の試験タイヤにおいて、インナーライナー材とカーカス材との間に残留したエアの状況を観察し、製品として不適格なエア溜まりが発生した故障タイヤの本数を調べた。その結果を故障発生率にして表1に示す。なお、表1において、実施例は本発明のタイヤ成形ドラムを用いて製造した場合、従来例は従来のタイヤ成形ドラムを用いて製造した場合である。
【0030】
【表1】
表1から、本発明は、故障発生率が低く、エアを効果的に排出できることがわかる。
【0031】
【発明の効果】
上述したように本発明は、拡縮可能なドラム片をドラム周方向に連接して構成した回転可能なタイヤ成形ドラムにおいて、該タイヤ成形ドラムの外周面に、少なくともドラム回転方向後方側に向けて左右に拡開するエア逃がし用溝部をドラム周方向に所定の間隔で配置したので、耐空気透過性が高い熱可塑性樹脂フィルムなどをインナーライナー材に使用した場合であっても、エアを効果的に排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のタイヤ成形ドラムの斜視説明図である。
【図2】図1の要部拡大断面図である。
【図3】本発明のタイヤ成形ドラムの外周面上にインナーライナー材とカーカス材とを配置した状態を示す断面説明図である。
【図4】カーカス材上にローラを圧着してエアを逃がすための通路が形成された状態を示す断面説明図である。
【符号の説明】
1 タイヤ成形ドラム 1a 外周面
2 ドラム片 2a 外側表面
3 横溝 4 エア逃がし用横溝
5 エア逃がし用周方向溝 6 エア逃がし用溝部
7 インナーライナー材 8 カーカス材
10 切欠き部 X ドラム回転方向
Y ドラム軸
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気入りタイヤを製造するために使用するタイヤ成形ドラムに関し、更に詳しくは、耐空気透過性が高い熱可塑性樹脂フィルムなどをインナーライナー材に使用した場合であっても、エアを効果的に外部に排出できるようにしたタイヤ成形ドラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、空気入りタイヤの製造工程の第1成形工程で使用されるタイヤ成形ドラムは、拡縮可能なドラム片をドラム周方向に連接して構成されると共に、一方向に回転可能になっている。このドラム上にドラムを回転させながら、インナーライナー材、カーカス材などの各材料が順次巻き付けられて一方のタイヤ半成形体が成形されると、ドラムを縮径して円筒状のタイヤ半成形体を次のシェーピング工程に移送できるようにしている。
【0003】
上述した成形工程では、巻き付け時に各材料間に巻き込まれたエアを排除するため、ドラムを回転させながら、ローラを巻き付けた材料上に圧着し、材料間に残存するエアを外部に排出させるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開昭63−193834号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、インナーライナー材を従来のゴムに代えて、熱可塑性樹脂をマトリクス樹脂とし、これにゴム(エラストマー)を島状に分散した熱可塑性樹脂からなるフィルムで構成したものが提案されている(例えば、特開平10−264607号公報参照)。この熱可塑性樹脂フィルムからなるインナーライナー材は耐空気透過性が従来のゴムより優れ、かつ軽量にすることができる利点がある。
【0006】
しかし、このような耐空気透過性が高い熱可塑性樹脂フィルムを使用すると、インナーライナー材とカーカス材との間に巻き込まれたエアをカーカス材上にロールを圧着して押し出そうとしても、従来のゴムを用いた場合のように十分に排出することができない場合がしばしば発生し、その残留するエアが加硫後のタイヤ品質を低下させる要因になっていた。
【0007】
本発明の目的は、耐空気透過性が高い熱可塑性樹脂フィルムなどをインナーライナー材に使用した場合であっても、エアを効果的に排出することが可能なタイヤ成形ドラムを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明は、拡縮可能なドラム片をドラム周方向に連接して構成した回転可能なタイヤ成形ドラムにおいて、該タイヤ成形ドラムの外周面に、少なくともドラム回転方向後方側に向けて左右に拡開するエア逃がし用溝部をドラム周方向に所定の間隔で配置したことを特徴とする。
【0009】
耐空気透過性が高い熱可塑性樹脂フィルムのインナーライナー材をタイヤ成形ドラムの外周面上に配置し、次いでカーカス材を巻き付けた後、タイヤ成形ドラムを回転しながら、ローラをカーカス材上に圧着し、カーカス材とインナーライナー材との間に巻き込まれたエアを外部に押し出す作業が行われるが、上述した本発明のタイヤ成形ドラムによれば、ローラによって押し集めされたエアにより、薄い熱可塑性樹脂フィルムのインナーライナー材がエア逃がし用溝部内に入り込み、カーカス材とインナーライナー材との間にエア逃がし用溝部に沿って空隙となる通路が形成され、この通路を通ってエアを外部に排出することが可能になる。この通路は、次のシェーピング工程において押し潰されて消失するので、通路に起因するエアの残留を招くことがない。従って、耐空気透過性が高い熱可塑性樹脂フィルムなどをインナーライナー材に使用した場合であっても、カーカス材とインナーライナー材との間に巻き込まれたエアを効果的に排出することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
図1,2は、本発明のタイヤ成形ドラムの一例を示し、タイヤ成形ドラム1は、複数のドラム片2をドラム周方向に円筒状に連接して構成され、不図示の拡縮機構により各ドラム片2がドラム径方向に拡縮可能になっている。また、矢印Xで示されたドラム回転方向に回転可能に支持され、外周面1aがインナーライナー材などの材料巻き付け面になっている。
【0012】
ドラム片2は、周方向長さの長い複数(図では5個)の第1ドラム片2Aと、周方向長さが短い複数(図では5個)の第2ドラム片2Bからなり、各ドラム片2の接続部となる両周方向端に、ドラム片2を連接した際にドラム軸Xに沿って両端まで延在する断面V字状の横溝3を形成する切欠き部10を有している。この横溝3もエア逃がし用溝としてこの実施形態では利用している。
【0013】
各第1ドラム片2Aの外側表面2aには、ドラム軸Yに沿って両端まで延在する断面V字状のエア逃がし用横溝4が形成されている。ドラム周方向に環状に延在する複数 (図では7本)のエア逃がし用周方向溝5が横溝3,4に直交して設けられている。1本のエア逃がし用周方向溝5がタイヤ成形ドラム1の幅方向中央に配置され、残りのエア逃がし用周方向溝5が左右対称的に配置されている。
【0014】
また、外周面1aには、ドラム回転方向Xの後方側に向けて左右に拡開するエア逃がし用溝部6をドラム周方向に所定の間隔で配置してある。この溝部6は、左溝部6Aと右溝部6Bとをタイヤ成形ドラム1の幅方向中央で連接したV字状の溝から構成されている。
【0015】
左溝部6Aと右溝部6Bは、断面V字状に形成され、それぞれドラム周方向に対する傾斜角度を小さくした内側溝部6A1,6B1と、内側溝部6A1,6B1よりドラム周方向に対する傾斜角度を大きくした外側溝部6A2,6B2を備えている。内側溝部6A1,6B1が最外側のエア逃がし用周方向溝5Nまで直線状に延在し、そのエア逃がし用周方向溝5Nから外側にドラム端まで外側溝部6A2,6B2が直線状に延在している。
【0016】
上述したタイヤ成形ドラム1では、ドラム片2を縮径した状態で、筒状の熱可塑性樹脂フィルム(熱可塑性樹脂からなるマトリクス樹脂にゴム(エラストマー)を島状に分散した熱可塑性樹脂フィルムで、例えば厚さが100〜500μm)をインナーライナー材7として挿入した後、ドラム片2を拡径して外周面1aにインナーライナー材7を嵌着し、次いでタイヤ成形ドラム1を回転させながら未加硫ゴム層内に補強コードを配列したカーカス材8をインナーライナー材7上に巻き付ける(図3参照)。
【0017】
その後、タイヤ成形ドラム1を更に回転しながら、ローラ9をカーカス材8上に圧着し、カーカス材8とインナーライナー材7との間に巻き込まれたエアを外部に押し出す。
【0018】
この際に、ローラ9によって押し集めされたエアにより、図4に示すように、薄い熱可塑性樹脂フィルムのインナーライナー材7が横溝3、エア逃がし用横溝4、エア逃がし用周方向溝5、及びエア逃がし用溝部6内に入り込み、カーカス材8とインナーライナー材7との間に横溝3、エア逃がし用横溝4、エア逃がし用周方向溝5、エア逃がし用溝部6に沿って連通する空隙となる通路10が形成され、この通路10を通ってエアが外部に排出される。
【0019】
タイヤ成形ドラム1で成形された円筒状のタイヤ半成形体は、次のシェーピング工程で内圧の付与により膨張するブラダーによりトロイダル状に膨径させるが、この際にブラダーがタイヤ半成形体の幅方向中央部に先ず圧接し、次第にその圧接領域を広げながら両側に圧接していく。
【0020】
その結果、インナーライナー材7がカーカス材8にタイヤ成形ドラム1の幅方向中央部側から押圧され、それによりインナーライナー材7とカーカス材8と間に形成された通路10が幅方向中央部側から次第に押し潰されて消失するので、通路10内に残るエアも外部に排出される。
【0021】
本発明は、上述した実施形態のように、エア逃がし用横溝4、エア逃がし用周方向溝5、及びタイヤ周方向に傾斜したエア逃がし用溝部6を組み合わせて設けるようにするのが好ましいが、タイヤ成形ドラム1を回転させながら行うため、ドラム回転方向Xの後方側に向けて左右に拡開するエア逃がし用溝部6のみを上記より狭い間隔でドラム周方向に設けるようにしても、それにより形成された通路によりエアを効率よく排出することができ、少なくともエア逃がし用溝部6を有する構成であればよい。
【0022】
エア逃がし用溝部6の左溝部6Aと右溝部6Bは、ドラム周方向に対して30°〜60°の範囲で傾斜した溝部に形成するのがエアを円滑に排出する上で好ましい。
【0023】
また、左溝部6Aと右溝部6Bは、上述した直線状に代えて円弧状の曲線であってもよい。その場合、傾斜角度は、円弧の始端と終端とを結んだ直線の角度とする。
【0024】
断面V字状に形成した各溝4,5及び溝部6の深さとしては、それらの溝本数や、各ドラム片2の接続部分に形成される横溝3の大きさ、また熱可塑性樹脂フィルムの厚さにより適宜設定されるが、実質的には0.5mm〜1.5mmの範囲を好ましく例示することができる。幅としては、0.5mm〜1.5mmにするのがよい。
【0025】
タイヤ成形ドラム1は、上記実施形態では、周方向長さが長い第1ドラム片2Aと周方向長さが短い第2ドラム片2Bの2種類のドラム片2から構成した例を示したが、それに限定されず、拡縮可能であれば他の構成であってもよい。
【0026】
本発明は、特にタイヤ成形ドラム1の外周面1aに巻き付ける材料が上述した熱可塑性樹脂フィルムからなるインナーラインー材である場合に好ましく用いることができるが、当然のことがなら他のインナーラインー材を用いた場合にも好適にし使用することができる。
【0027】
【実施例】
タイヤサイズを205/55R16 89Vで共通にし、上述した図1に示す構成を有する本発明のタイヤ成形ドラムと、本発明のタイヤ成形ドラムにおいて、エア逃がし横溝、エア逃がし周方向溝、及び左右に拡開するエア逃がし溝部を設けていない従来のタイヤ成形ドラムを用いて、通常の方法により各100本の試験タイヤを製造した。
【0028】
各試験タイヤのインナーライナー材に使用した熱可塑性樹脂フィルムの厚さは130μmである。
【0029】
得られた各100本の試験タイヤにおいて、インナーライナー材とカーカス材との間に残留したエアの状況を観察し、製品として不適格なエア溜まりが発生した故障タイヤの本数を調べた。その結果を故障発生率にして表1に示す。なお、表1において、実施例は本発明のタイヤ成形ドラムを用いて製造した場合、従来例は従来のタイヤ成形ドラムを用いて製造した場合である。
【0030】
【表1】
表1から、本発明は、故障発生率が低く、エアを効果的に排出できることがわかる。
【0031】
【発明の効果】
上述したように本発明は、拡縮可能なドラム片をドラム周方向に連接して構成した回転可能なタイヤ成形ドラムにおいて、該タイヤ成形ドラムの外周面に、少なくともドラム回転方向後方側に向けて左右に拡開するエア逃がし用溝部をドラム周方向に所定の間隔で配置したので、耐空気透過性が高い熱可塑性樹脂フィルムなどをインナーライナー材に使用した場合であっても、エアを効果的に排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のタイヤ成形ドラムの斜視説明図である。
【図2】図1の要部拡大断面図である。
【図3】本発明のタイヤ成形ドラムの外周面上にインナーライナー材とカーカス材とを配置した状態を示す断面説明図である。
【図4】カーカス材上にローラを圧着してエアを逃がすための通路が形成された状態を示す断面説明図である。
【符号の説明】
1 タイヤ成形ドラム 1a 外周面
2 ドラム片 2a 外側表面
3 横溝 4 エア逃がし用横溝
5 エア逃がし用周方向溝 6 エア逃がし用溝部
7 インナーライナー材 8 カーカス材
10 切欠き部 X ドラム回転方向
Y ドラム軸
Claims (6)
- 拡縮可能なドラム片をドラム周方向に連接して構成した回転可能なタイヤ成形ドラムにおいて、該タイヤ成形ドラムの外周面に、少なくともドラム回転方向後方側に向けて左右に拡開するエア逃がし用溝部をドラム周方向に所定の間隔で配置したタイヤ成形ドラム。
- 前記エア逃がし用溝部がV字状の溝である請求項1に記載のタイヤ成形ドラム。
- 前記ドラム片の両周方向端に、該ドラム片を連接した際にドラム軸に沿って延在する横溝を形成する切欠き部を有する請求項1または2に記載のタイヤ成形ドラム。
- 前記ドラム片の外側表面にドラム軸に沿って延在するエア逃がし用横溝を有する請求項1,2または3に記載のタイヤ成形ドラム。
- 前記タイヤ成形ドラムの外周面に、ドラム周方向に環状に延在するエア逃がし用周方向溝を有する請求項1,2,3または4に記載のタイヤ成形ドラム。
- 前記タイヤ成形ドラムの外周面に巻き付ける材料が熱可塑性樹脂フィルムからなるインナーラインー材である請求項1,2,3,4または5に記載のタイヤ成形ドラム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003209105A JP2005066883A (ja) | 2003-08-27 | 2003-08-27 | タイヤ成形ドラム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003209105A JP2005066883A (ja) | 2003-08-27 | 2003-08-27 | タイヤ成形ドラム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005066883A true JP2005066883A (ja) | 2005-03-17 |
Family
ID=34402148
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003209105A Pending JP2005066883A (ja) | 2003-08-27 | 2003-08-27 | タイヤ成形ドラム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005066883A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP2060386A1 (en) * | 2006-09-04 | 2009-05-20 | The Yokohama Rubber Co., Ltd. | Method of forming inner liner for tire and process for producing pneumatic tire |
JP2010537856A (ja) | 2007-09-06 | 2010-12-09 | ソシエテ ド テクノロジー ミシュラン | アール付きリップを備えたタイヤの製造用の取外し可能な剛性コア |
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