JP2741085B2 - 空気入りタイヤの製造方法 - Google Patents

空気入りタイヤの製造方法

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JP2741085B2 JP1316391A JP31639189A JP2741085B2 JP 2741085 B2 JP2741085 B2 JP 2741085B2 JP 1316391 A JP1316391 A JP 1316391A JP 31639189 A JP31639189 A JP 31639189A JP 2741085 B2 JP2741085 B2 JP 2741085B2
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登 南雲
勇 入江
昇 岡田
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は空気入りタイヤの製造方法に関する。更に詳
しくはユニフォミティの改善やタイヤ表面の改善を図っ
た空気入りタイヤの製造方法に関するものである。
〔従来の技術〕
円筒状に形成されている空気入りタイヤにおいて、こ
の空気入りタイヤを構成するカーカスや、その内側のラ
イナーや、外側のキャップトレッドやサイドトレッド等
は、いずれもタイヤの製造時に帯状の材料を使用して形
成されている。すなわち、これらの帯状材料は、その両
端部同志を互いにラップさせるようにスプライスさせて
円筒状に形成されているのである。このようにして出来
たラップ状のスプライス部はタイヤの周方向に厚い段差
を形成し、かつ剛性が他の部分より大きくなっている。
したがって、このようなタイヤが回転すると、上記段差
及び剛性差に起因して周期的なラジアルフォースの変動
〔RFV(ラジアル・フォース・バリエーション)〕が生
ずることが避けられなかった。
本発明者らは、上記RFVに影響を与える帯状のタイヤ
構成材料のうち、特にカーカスのスプライス部が及ぼす
影響は単に段差や剛性差によってRFVの増大をもたらす
だけでなく、次のようなタイヤ表面にかかわる問題も招
来することを知見した。
すなわち、カーカス材料は、コートゴムのゴム層内に
コードが埋設されて出来ている。そのため、シート状の
カーカス材料を成形ドラムに巻き付けて両端部をラップ
状にスプライスすると、コード同志が重なり、それが原
因となってタイヤの側面にバンビー・プライ・サイド
(B.P.S)と称する青筋が立ったような膨らみができ
る。
また、加硫成形時にグリーンタイヤがブラダーによっ
て金型内にリフトされるとき、カーカスのスプライス部
に応力が集中し、スプライス部に隣接するカーカスコー
ドに乱れが発生し、これが原因でユニフォミティ〔UF
(RFV/LFV)〕が悪化するなどの問題もあった。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明はかかる従来の問題点に鑑みてなされたもので
あり、カーカス材料のスプライス部やカーカスコードの
乱れなどに起因するタイヤのユニフォミティ(UF)悪化
を解消すると共に、バンビー・プライ・サイド(B.P.
S)などのタイヤ表面の凹凸を解消した空気入りタイヤ
の製造方法を提供することを目的とするものである。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成する本発明は、カーカスコードをゴム
で被覆したシート状のカーカス材料の一端にゴムだけか
らなる耳部を形成し、該カーカス材料の両端部の少なく
とこカーカスコードを含む部分に電離性放射線を照射し
た後、このカーカス材料を成形ドラムに筒状に巻きつけ
て前記耳部付端部の実質的に耳部だけを他の端部に互い
にラップさせたあと、この筒状のカーカス材料の両側縁
にそれぞれビードを装着し、しかる後にこの筒状のカー
カス材料の外周中央部にキャップトレッドを、両側部に
サイドトレッドをそれぞれ積層することを特徴とするも
のである。
以下、本発明にかかる空気入りタイヤの製造方法につ
いて具体的に説明する。
第1図に示すように、カーカス材料の素材1は、その
一方の縁2に設けられた幅xの耳部3以外の部分Aに互
いに平行なコード4を配設すると共に、コード4が配設
されていない耳部3を含めてその全幅(x+W)に亘っ
てコートゴム5を用いて被覆又はカレンダー加工するこ
とによって形成される。前述したように、耳部3には、
コード4が配設されていないから耳部3はコートゴム5
のみにより形成されている。
ここで、少なくともカーカス材料のコード4が埋設さ
れている部分Aの両端部に電離性放射線を照射するが、
放射線照射幅は、第4図に示すように、耳部3を有する
端部10側では耳部3の幅xを含む幅w、又は耳部3を除
外した幅(w−x)とし、耳部3の無い他端部10′側で
は幅w′とする。耳部付端部10側では、幅wから耳部3
の端部10側の一部を除外した幅とすることができる。ま
た、w−xに相当する幅は、コード4が少なくとも1
本、さらに好ましくは2本以上程度存在する幅とし、
w′に相当する幅もコード4が2本程度以上存在する幅
とすることが好ましい。特に、耳部3のない方の端部1
0′で電離性放射線照射は、ランプ状態で、少なくとも
ラップ幅を越える長さまで照射しておくことが好まし
い。これにより耳部端部域でのコードの乱れを防止でき
る。電離性放射線としては、電子線が好ましく使用され
る。
このカーカス材料の素材1を所定の長さlに切断する
と、第2図に示すように、一端にコートゴム5だけから
なる耳部3を持つシート状のカーカス材料6が形成され
る。このようにして得られたシート状のカーカス材料6
は、第3図に示すように、カーカス材料同志が重ならな
いように布製のライナー7上に並べながらセル8に巻き
取られる。
前述の切断されたカーカス材料6の耳部3を除外した
全長Wは、成形される円筒状カーカス(後述する一次グ
リーンタイヤ)の一周分に相当する長さより若干長め又
は一周分とほぼ同等の長さに設定する。
セル8に一定量のカーカス材料6を巻き取ると、この
セル8は、タイヤ成形工程に運搬される。そして、セル
8から1枚ずつ引き出されたシート状のカーカス材料6
は、成形ドラム9に供給される。
この放射線処理したシート状のカーカス材料6を、第
5図に示すように、成形ドラム9に巻きつけ、その放射
線処理した部分を互いにラップすることにより円筒状の
カーカス11を形成する。すなわち、第6図に示すよう
に、コード4のない耳部3とコード4を含む端部10′と
を互いにコード4の埋設された部分がほとんど重ならな
いようにラップさせて、円筒状のカーカス11にする。な
お、円筒状カーカス11の一周分に相当する長さより若干
長めのカーカス材料を使用し、最外部のコード4同志が
重なるようにしてもよい(第7図参照)。
このようにして形成された円筒状のカーカス11の両サ
イド部を第8図に示すように絞り、その絞り部12にそれ
ぞれ円環状のビード13を装着する。
ビードの装着が完了したら、第9図に示すように、タ
ーンアップブラダー14の膨脹を利用して円筒状のカーカ
ス11の両サイド部をそれぞれ折り返し、1次グリーンタ
イヤ15とする。更に、折り返された両サイド部にそれぞ
れ帯状のサイドトレッド16を巻きつけて端部同志をスプ
ライスする。
そして、2次成形のため、成形ドラム9によって形成
した1次グリーンタイヤ15を前記成形ドラム9から2次
成形用の成形ドラム17に移し換える(第10図参照)。
そして、2次成形用の左右一対の成形ドラム17,17に
1次グリーンタイヤ15を装着すると、内側のブラダー18
を径方向に膨脹させると共に、左右の成形ドラム17,17
を軸方向に接近させながら1次グリーンタイヤ15を所定
の直径になるまで膨らませる。このとき、第7図のよう
に最外部のコード4同士を互いに重なるようにラップし
ても、耳部3のみがラップするようになるので、ラップ
したスプライス部はコード4同士が重なることがない。
耳部付端部10側のコード4を含むカーカス部分及び耳
部無し端部10′側のコード4を含むカーカス部分は、放
射線照射によりゴム部分が予備加硫されて硬度が上昇し
ているため、特にラップ部に隣接する両域でコード4の
乱れを生ずることなく成形が完了される。
このように、1次グリーンタイヤ15を膨らませてから
第11図に示すように、サイドトレッド16の端部を一部剥
離させた状態にして、この径方向に膨らんだこの1次グ
リーンタイヤ15の外周に内側にベルト19を積層した帯状
のキャップトレッド20を巻き付け、端部同志をスプライ
スさせる。
次いで、第12図に示すように、キャップトレッド20の
両サイドを1次グリーンタイヤ15に密着させると共に、
その上にサイドトレッド16の端部を密着させ、グリーン
タイヤ21を形成する。
完成したグリーンタイヤ21は、第13図に示すように、
ブラダー18から取り外したあと加硫工程に移され、金型
で加硫成形される。
このように本発明では、カーカス材料6の長手方向の
一端部にゴムだけからなる耳部3を形成し、その耳部付
の一端部と他端部10′とのコードを含む部分に電離性放
射線を照射した後、このカーカス材料6を成形ドラムに
その端部10,10′同士を実質的に端部10側の耳部3だけ
が重なるようにラップさせてスプライスすることによ
り、スプライス部におけるコード4同士の重なりを回避
し、また端部10,10′同士が予め予備加硫された状態に
なっているため、金型内でリフトされた際にそのスプラ
イス部に応力が集中しても、そのスプライス部に隣接す
るコード4に乱れが発生するのを抑えることができる。
〔発明の効果〕
上述したように本発明は、カーカス材料の一端部にゴ
ムだけからなる耳部を形成し、その耳付部の一端部と他
端部とのコードを含む部分に電離性放射線を照射した
後、このカーカス材料を成形ドラムにその端部同士を実
質的に一端部側の耳部だけが重なるようにラップさせて
スプライスするため、スプライス部におけるコード同士
の重なりを回避し、また端部同士が予め予備加硫された
状態になっているため、金型内でリフトされた際にその
スプライス部に応力が集中しても、そのスプライス部に
隣接するコードに乱れが発生するのを抑えることができ
る。
〔実施例〕
後述するシート状カーカス材料を作成し、該シート状
カーカス材料の端部をそれぞれ10mmずつラップさせて一
次グリーンタイヤ15を成形した以外は共通にして製造し
た本発明タイヤと従来タイヤを各々5本用意し、ラジア
ルフォースの変動(RFV)及びバンビー・プライ・サイ
ド(B.P.S)を測定した。
本発明タイヤA 耳部幅(x)=10mm 放射線照射位置及び幅(第4図に対応) 耳付端部10側:幅(w)=20mm 耳無し端部10′側:幅(w′)=15mm 本発明タイヤB 耳部幅(x)=9mm 放射線照射位置及び幅(第4図に対応) 耳付端部10側:幅(w)=20mm 耳無し端部10′側:幅(w′)=15mm 本発明タイヤC 耳部幅(x)=10mm 放射線照射位置及び幅(第4図に対応) 耳付端部10側:幅(w−x)=10mm 耳無し端部10′側:幅(w′)=15mm 従来タイヤ 耳部及び放射線照射なし なお、タイヤサイズは、いずれのタイヤとも205/65R1
5であった。
(1) RFV 測定条件 (a) 使用リム:61/2 JJ(標準リム) (b) 荷重:480kg (c) 空気圧:2.0kg/cm2 (d) 回転数:60rpm その結果、従来タイヤのRFVは約13kgであったのに対
して、本発明タイヤA,B及びCでは約4kgであった。
(2) B.P.S 本発明タイヤA,B及びCは、バンビー・プライ・サイ
ドが0.15〜0.35mmであった。これに対し、従来タイヤの
バンビー・プライ・サイドは、0.7mm程度であった。
【図面の簡単な説明】
第1図乃至第13図は本発明にかかる空気入りタイヤの製
造方法を工程順に示す説明図である。 4……カーカスコード、5……ゴム、6……シート状の
カーカス材料、9……成形ドラム、10,10′……端部、1
1……筒状のカーカス材料、13……ビード、16……サイ
ドトレッド、20……キャップトレッド。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】カーカスコードをゴムで被覆したシート状
    のカーカス材料の一端にゴムだけからなる耳部を形成
    し、該カーカス材料の両端部の少なくともカーカスコー
    ドを含む部分に電離性放射線を照射した後、このカーカ
    ス材料を成形ドラムに筒状に巻きつけて前記耳部付端部
    の実質的に耳部だけを他の端部に互いにラップさせたあ
    と、この筒状のカーカス材料の両側縁にそれぞれビード
    を装着し、しかる後にこの筒状のカーカス材料の外周中
    央部にキャップトレッドを、両側部にサイドトレッドを
    それぞれ積層する空気入りタイヤの製造方法。
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