JP4243446B2 - クランクシャフト固定回転装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、固定ローラによってクランクシャフトにかけられた回転荷重を支持する、主軸受で軸受けされる主ジャーナルと連接ロッド軸受で軸受けされる連接ロッドピンとに嵌合した、固定ローラと支持ローラとによってクランクシャフトの主ジャーナルと連接ロッドピンの表面のフィレットまたは凹部(radii or recess)を固定回転する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
運転中に生じる荷重の方向において加えられた補助外部力を使ってクランクシャフトを固定回転(fixed-rolling)することは、従来技術としてすでに知られている。例えば、抗張力材料からなるクランクシャフトを固定回転するときに、回転荷重が固定ローラが短時間の負荷で破損することなしには標準的工具でクランクシャフトを固定回転できないほど大きい場合がある。固定回転中に引張応力がかかることから、外部荷重によって回転荷重を減じ、それで、外部荷重なしの固定回転の場合、同様の軸方向内部応力分布を作ることができよう。クランクシャフトでは、この固定回転中の外部荷重は、クランクシャフト支えの弾性曲げ力に相当する(Christian Achmus氏著『固定回転後の複合コンポーネントのエッジ層状態』1998年ブラウンシュヴァイク工科大学公式論文、出版元Papierflieger(Clausthal-Zellerfeld)、1999年刊、110〜111ページ)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題/課題を解決するための手段】
上記出版の結果が本発明の目的となった。すなわち、本発明の目的は、従来の固定回転工具により長い寿命を与えるために、または、普通の寿命を持つ従来の回転工具を使って抗張力材料からなるクランクシャフトを固定回転できるようにするために、クランクシャフトの主ジャーナルまたは連接ロッドピンの表面のフィレットまたは凹部を固定回転する従来公知の装置をさらに開発することである。この場合、さらに開発された装置は、設計が単純で、安全に使用でき、割安でなければならない。
【0004】
本発明の目的は、運転中に生じるクランクシャフト荷重の方向において補助外部応力を加える一方、フィレットまたは凹部を固定回転することによって達成される。優先実施形態では、本装置は、クランクシャフトのための少なくとも1つの締付チャックからなり、この締付チャックがクランクシャフトの長手方向において引張力を該クランクシャフトにかける。
【0005】
しかしながら、本発明の目的はまた、クランクシャフトに曲げモーメントを加えることによっても解決できる。このような配列は、締付チャック、心押台またはカラー付プレートからなり、その間でクランクシャフトを締付ける。締付チャック、心押台またはカラー付プレートは、固定回転プロセス中にクランクシャフトが回転する一方、該クランクシャフトに曲げ応力を生じさせ得るように設計される。曲げ応力は、例えば、上記要素をある角度にセットするか、クランクシャフトの半径方向において横シフトさせるかをすることによって生じさせることができる。
【0006】
一例として特に単純な装置設計は、固定ローラを支持するのに使用される支持ローラを補助曲げ力が加えられるように作ることによって得られる。加えて、補助エキスパンションローラを使ってクランクシャフト支えを拡張することもできる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を数通りの実施形態に基づいて詳細に説明する。添付図面は、略線図の形で示す。
【0008】
以下説明する実施形態の焦点は、自動車の4気筒エンジン等に使用される種類のクランクシャフト6である。クランクシャフト6は、フランジ7からピボット8まで延びている。フランジ7とピボット8の間にクランクシャフト6の主ジャーナルと連接ロッドピンとが位置し、これらの間にクランクシャフトウェブ9が位置する。図1の左から右に向かって、まず主ジャーナル1、2、3、4、5があり、続いて連接ロッドピン1’、2’、3’、4’がある。図1の実施形態は、引張力12を軸方向においてクランクシャフト6にかけることのできる2つの締付チャック10、11が付与されている。
【0009】
力12が軸方向における引張応力を生じさせるので、クランクシャフト6は、固定回転中に締付チャック10および11によって拡張される。力12は、主ジャーナル1〜5と連接ロッドピン1’〜4’とそれぞれ隣接するクランクシャフトウェブ9の間で遷移領域13および14において曲げモーメントを生じさせ、そこで、フィレットまたは凹部の固定回転が行われる。クランクシャフト6の軸方向力12を受ける間に固定回転される遷移領域13および14に引張応力が生じる結果として、固定ローラ力は、クランクシャフト6の材料の塑性変形にとって比較的小さくて足り、または同様に、固定ローラ力が大きければ、クランクシャフト6の材料にその分大きい塑性変形が生じることになる。この場合、遷移領域13および14の表面に圧縮応力が生じることになる。
【0010】
例えば10000ニュートンの軸方向力12が所定のクランクシャフト6に作用する間に、破損時応力の1/4の予備応力がクランクシャフト6に生じるであろう。これで、固定ローラ力の大きさを減じることが可能となる。
【0011】
図2および3の実施形態によれば、補助荷重が支持ローラ15を介してクランクシャフト6にかけられる。補助荷重は、エンジン(図示されていない)内のクランクシャフト6の動作荷重に相当する。図2では、クランクシャフト6は締付チャック10の中に締込まれている。固定ローラ17が遷移領域16において固定回転を開始する。固定ローラ17は、主ジャーナル1、2、3、4および5と、連接ロッドピン1’、2’、3’および4’との反対側で支持ローラ15によって支持されている。本例では、支持ローラ15は補助的に別の力18にさらされる。
【0012】
図3から明らかな通り、補助力18は、加圧できるシリンダ19によって加えられる。シリンダ19の力は、ピストンロッド20を介して支持ローラ15に直接作用する。支持ローラ15は固定ローラ17からの回転荷重を支持し、固定ローラ17の方は連接ロッドピン1’において遷移領域16を固定回転する。
【0013】
図4および5は、横方向力23および24にさらされる間のクランクシャフト6に半径方向において作用する曲げモーメント21および22を示す。図4に示すケースでは、主ジャーナル3は支持ローラ15を介して横方向力23にさらされ、連結アームローラ2’および3’で固定回転される。
【0014】
固定回転荷重は、矢印25で表されている。矢印25の向きは、固定ローラ17の効果を表す。図5のケースでは、主ジャーナル3は支持ローラ47を介して横方向力24にさらされ、クランクシャフト6は連接ロッドピン1’および4’で固定回転される。固定回転荷重はここで働き、参照番号26で表される通り、支持ローラ15を介して吸収される。補助力24は、クランクシャフト6の回転により、ちょうど固定回転されたばかりの点の曲げモーメント22が所望のレベル、所望の符号を持つように変えられる。
【0015】
図6によれば、横方向力27が支持ローラ48を介してクランクシャフト6のピボット8にかけられる。このケースでは、曲げモーメント28がクランクシャフト6の内部にクランクシャフト6の全長にわたって生じ、締付チャック10によって吸収される。クランクシャフト6における曲げモーメント28はまた、さらなる着脱式固定ローラ装置(図示されていない)または心押台(図示されていない)またはカラー付プレート(図示されていない)を介して生じさせることもできる。また、軸受1〜5および1’〜4’はすべて、所望の大きさ、所望の符号を有する曲げモーメント28をもって固定回転することができる。
【0016】
図7の実施形態では、中央の連接ロッドピン2’および3’は補助荷重下で固定回転される。補助荷重は2つの補助力29および30によって加えられるが、これら補助力は、クランクシャフト6の連接ロッドピン2’および3’に、それぞれの支持ローラ15を介して作用する。固定回転荷重31は、主ジャーナル2、連接ロッドピン2’、主ジャーナル3、連接ロッドピン3’および主ジャーナル4に作用する。補助力29および30は補助曲げモーメントを生じさせる。すなわち、これは上死点におけるエンジンのピストン力に相当する。3つの支持ローラ力32、33および34が主ジャーナル2、3および4に作用し、従って、エンジン内のクランクシャフト6の取付力に相当する。支持ローラ力32、33および34は、補助力29および30を釣合わせる働きをする。また補助力32、33および34は各々、支持ローラ15を介してクランクシャフト6にも運ばれる。
【0017】
破壊の危険があるクランクシャフト6の領域は、これで、補助力29および30の補助荷重下で固定回転できるようになる。同じことは、クランクシャフト6の回転角180゜全体にわたって中央の主軸ジャーナル3および2つの主ジャーナル2および4にも当てはまる。
【0018】
この構成では、主ジャーナル2、3および4に作用する固定回転荷重31が悪い方向に影響を及ぼすので、連接ロッドピン1’および4’は回転できない。解決策としては、クランクシャフト6をシフトさせてから180゜回転させる。図8も同様に、2つの主ジャーナル1および2と連接ロッドピン1’の固定回転を示す。補助力35および36は主ジャーナル1および2に作用し、補助力37および38の方は連接ロッドピン1’および2’に作用する。図8はまた、支持ローラ15の配列も示す。
【0019】
正面主ジャーナル4および5と連接ロッドピン3’および4’を固定回転する間、補助力39および40は主ジャーナル4および5に作用し、補助力41および42は連接ロッドピン3’および4’に作用する。この時、クランクシャフト6は再び180゜回転させられる。
【0020】
本発明の別の実施形態を図10および11に基づき説明する。クランクシャフト6の中央の連接ロッドピン2’(図11)が、固定ローラ工具(図示されていない)の固定ローラ17によって加工される。連接ロッドピン2’は、矢印43の方向に回転する。固定ローラ17は、ガイドローラ47と連接ロッドピン2’の中点を結ぶ線に関して回転方向43において量44だけオフセットされる。図11から明らかに分かる通り、1対のエキスパンションローラ45がほぼ同じ量44だけ反対の方向にオフセットされる。エキスパンションローラ45は、矢印46の方向においてクランクシャフト6のウェブ9に作用し、連接ロッドピン2’を矢印46の方向に拡張する。
【0021】
例えば、4tの固定回転荷重が固定ローラ17を介して連接ロッドピン2’に加えられた時、エキスパンションローラ45は、6.2kNの大きさの軸方向拡張力46を生じさせる。この場合は、引張り残留応力が連接ロッドピン2’とクランクシャフトウェブ9の両方に生じることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 引張力をクランクシャフトに加えるための装置を示す。
【図2】 補助荷重をクランクシャフトに加えるための装置を示す。
【図3】 補助荷重をクランクシャフトに加えるための装置を示す。
【図4】 曲げモーメントを加えるための装置を示す。
【図5】 曲げモーメントを加えるための装置を示す。
【図6】 曲げモーメントを加えるための別の装置を示す。
【図7】 補助力をクランクシャフトに加えるための装置を示す。
【図8】 補助力をクランクシャフトに加えるための装置を示す。
【図9】 補助力をクランクシャフトに加えるための装置を示す。
【図10】 クランクシャフトの支えを拡張するための装置を示す。
【図11】 クランクシャフトの支えを拡張するための装置を示す。
【符号の説明】
1、2、3、4、5…主ジャーナル
1’、2’、3’4’…連接ロッドピン
6…クランクシャフト
7…フランジ
8…ピボット
9…クランクシャフトウェブ
10、11…締付チャック
13、14、16…遷移領域
15…支持ローラ
17…固定ローラ
Claims (6)
- クランクシャフト(6)の目標部位に回転荷重(25、26)をかけ得る固定ローラ(17)と、クランクシャフト(6)の主ジャーナル(1、2、3、4、5)と連接ロッドピン(1’、2’、3’、4’)とに配置され、前記固定ローラ(17)によってクランクシャフト(6)に加えられた前記回転荷重を支持する支持ローラ(15、47、48)とを有し、
クランクシャフト(6)の主ジャーナル(1、2、3、4、5)と連接ロッドピン(1’、2’、3’、4’)のそれぞれとウェブ(9)との間の遷移領域(13、14、16)にフィレットまたは凹部を形成する装置において、
前記装置は、前記フィレットまたは凹部の固定回転の間に、クランクシャフト(6)に補助外部荷重を加える補助外部荷重付加手段(10、11、15、45、47、48)を具備し、
前記補助外部荷重付加手段(10、11、15、45、47、48)は、長手方向と横方向のいずれか一方から補助外部荷重を付加する、
ことを特徴とする装置。 - 前記補助外部荷重付加手段(10、11、15、45、47、48)がクランクシャフト(6)のための少なくとも1つの締付チャック(10、11)からなり、該締付チャック(10、11)が、クランクシャフト(6)の長手方向において、引張力(12)を該クランクシャフト(6)にかける、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
- 前記補助外部荷重付加手段により補助外部荷重を付加することにより、クランクシャフト(6)に曲げモーメント(21、22、28)をかける、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
- 前記補助外部荷重付加手段が、締付チャック(10)、心押台またはカラー付プレートからなり、該締付チャックと心押台またはカラー付プレートとの間で、クランクシャフト(6)に曲げモーメントをかける、ことを特徴とする請求項3に記載の装置。
- 前記補助外部荷重付加手段が、支持ローラ(15、47、48)によって形成されている、ことを特徴とする請求項3に記載の装置。
- 前記補助外部荷重付加手段(47)が、一対のエキスパンションローラ(45)を含んでなる、ことを特徴とする請求項3に記載の装置。
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