JP4243118B2 - 車両用床下格納式荷役装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両において荷物を積み降ろしする際に荷物を載せて昇降する荷積みプラットフォームが不使用時に床面下方に格納される床下格納式荷役装置の改良に関し、詳しくは、荷積みプラットフォームを床面下方と車体外方との間で出し入れするスライドシリンダの支持構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
荷積みプラットフォームを平行リンクアームで支持して昇降させる床下格納式荷役装置として、スライドシリンダをシャーシフレームに取り付け、該スライドシリンダの伸縮作動により荷積みプラットフォームを不使用時に車体後方から床面下方に引き入れて格納する一方、使用時に床面下方から車体後方に引き出すようにした荷役装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−213220号公報(第4頁、図4)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記の特許文献1では、スライドシリンダのピストンロッド先端をシャーシフレーム側のブラケットにピンで連結するとともに、シリンダ本体を可動側である支持部材に連結しているため、スライドシリンダ作動時にシリンダ連結部分に無理な力やモーメント力が作用すると、シリンダ連結部分が破損するおそれがある。
【0005】
この発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、スライドシリンダの連結部分に無理な力やモーメント力が作用しないようにしてシリンダ連結部分が破損しないようにしたことである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、この発明は、スライドシリンダの連結部分に自由度を持たせたことを特徴とする。
【0007】
具体的には、この発明は、荷物を載せて昇降する荷積みプラットフォームと、該荷積みプラットフォームの両サイドを支持する2組の平行リンクアームと、これら2組の平行リンクアームを回動させて上記荷積みプラットフォームを使用時に地面と床面高さとの間で昇降させる昇降駆動手段と、上記荷積みプラットフォームを不使用時に床面下方に引き入れて格納する一方、使用時に床面下方から引き出すスライドシリンダとを備えた車両用床下格納式荷役装置を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0008】
すなわち、請求項1に記載の発明は、上記スライドシリンダのシリンダ本体は、支持部材に全周に亘って径方向に隙間が形成されるように遊嵌されて車体側に支持され、シリンダ中心線が鉛直軸線に対して全方向に角度可変なようになっているとともに、上記シリンダ本体外周面には、一対の鍔部材が上記支持部材を挟むように突設され、これら鍔部材と支持部材との間には隙間が形成されていることを特徴とする。
【0009】
上記の構成により、請求項1に記載の発明では、スライドシリンダは周方向に自由度を持っているため、スライドシリンダ作動時にシリンダ連結部分に無理な力やモーメント力が作用しようとすると、スライドシリンダが鉛直軸線に対して全方向に揺動して上記力が吸収され、シリンダ連結部分に無理な力やモーメント力が掛からずシリンダ連結部分は破損しない。また、スライドシリンダと支持部材との間に隙間を設けるだけであり、内面に球面状の滑り面を持つボールジョイントの如き特殊な軸受がいらず、製作費が低減する。また、スライドシリンダのストローク方向の自由度が鍔部材と支持部材との間の隙間により確保される。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、鍔部材及び支持部材のいずれか一方には、他方との間に隙間が形成されるように一対の突起部がシリンダ本体を中心として180°反対側に突設されていることを特徴とする。
【0011】
上記の構成により、請求項2に記載の発明では、支持部材と接触する突起部の配置が具体化される。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、突起部は、支持部材又は鍔部材と点接触状態又は線接触状態で接触可能なような形状に形成されていることを特徴とする。
【0013】
上記の構成により、請求項3に記載の発明では、突起部の先端形状が具体化される。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の発明において、一対の突起部は、上下にかつ平面視でシリンダ中心線上に配置されていることを特徴とする。
【0015】
上記の構成により、請求項4に記載の発明では、特に、一対のスライドシリンダが水平面内で斜めに傾いた際、シリンダ推力に対する反力がシリンダ中心上に確実にくるため、シリンダ連結部分に無理な力やモーメント力が作用するのを理想的な形で防止し、シリンダ連結部分が確実に保護される。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明において、スライドシリンダは、平行に間隔をあけて一対配置されていることを特徴とする。
【0017】
上記の構成により、請求項5に記載の発明では、一対のスライドシリンダの作動が同調せずに各々のストロークに差が生じた場合であっても、両スライドシリンダは共に鉛直軸に対して回転する方向に自由度があることにより、シリンダ推力に対する反力がシリンダ中心上にくるため、シリンダ連結部分に無理な力やモーメント力が作用せず、シリンダ連結部分は破損しない。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の発明において、支持部材は、シリンダ本体を径方向から挟む2つの分割材で構成されていることを特徴とする。
【0019】
上記の構成により、請求項6に記載の発明では、スライドシリンダを一方の分割材にあてがい、該分割材と他方の分割材とでスライドシリンダを挟み込むことにより、スライドシリンダが簡単に支持部材に取り付けられる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。
【0021】
(実施の形態1)
図6ないし図10はトラック1の後端部分を示す。同図中、2は車幅方向両側で車体前後方向に延びるシャーシフレームであり、該シャーシフレーム2上には荷箱3が搭載されているとともに、車体後端下方にはこの発明の実施の形態1に係る荷役装置4が装備されている。
【0022】
該荷役装置4は、荷物を載せて昇降する荷積みプラットフォーム5を備えている。この荷積みプラットフォーム5は、基端側プレート6と先端側プレート7との車幅方向両サイドをヒンジ8でそれぞれ折り畳み・展開可能に連結して構成されている。上記基端側プレート6の車幅方向両サイドには、略三角形状のブラケット9が固着され、該ブラケット9に上記ヒンジ8が固着されている。上記ブラケット9には、第1平行リンクアーム10の一端が軸11で回動自在に連結されている。また、上記ブラケット9の第1平行リンクアーム10内側下方には、第2平行リンクアーム13の一端が軸14で回動自在に連結され、車幅方向両側の第2平行リンクアーム13は連結部材12で連結されている。
【0023】
上記左右のシャーシフレーム2の車体後端寄り外側方には、後輪15を支持するスプリング16と、該スプリング16が取り付けられたスプリングハンガー17とがそれぞれ配置されている。また、上記左右のシャーシフレーム2の車体後端寄りには、車幅方向に延びる横架材18がシャーシフレーム2から外側方に突出するように上記スプリングハンガー17に近接して橋絡され、該横架材18の両端には、それぞれスライドシリンダ19のシリンダ本体19a中程が支持部材20を介して支持され、一対のスライドシリンダ19はピストンロッド19bを車体後方に向けて車幅方向に平行に間隔をあけて配置されている。このスライドシリンダ19は、上記スプリングハンガー17よりもさらに外側方で該スプリングハンガー17とオーバーラップするように、かつ格納時の荷積みプラットフォーム5よりも下方に突出しないように車体側に取り付けられている。
【0024】
この発明の特徴は、図1ないし図5に示すように、上記スライドシリンダ19を支持部材20に全周に亘って径方向に間隔C1が形成されるように遊嵌してシャーシフレーム2側に支持し、シリンダ中心線が鉛直軸線に対して全方向に角度可変なようにしたことである。その支持構造を具体的に説明するに、上記支持部材20は、半円形の凹部40aを有する第1分割材40と、コの字形の凹部41aを有する第2分割材41とで構成され、該第2分割材41はブラケット42を介して上記横架材18に取り付けられている。
【0025】
上記第1分割材40の四隅にはボルト挿入孔40bが貫通形成され、一方、上記第2分割材41の四隅には上記ボルト挿入孔40bに対応するようにネジ穴41bが形成されている。上記第1分割材40の凹部40aの曲率半径R1は、上記スライドシリンダ19のシリンダ本体19aの中心から外周までの半径R2よりも若干(例えば0.5mm程度)大きく設定され、両者間に隙間C1が形成されている。そして、第1分割材40の凹部40aと第2分割材41の凹部41aとの間にシリンダ本体19aを配置してボルト43を上記ボルト挿入孔40bに挿入してネジ穴41bに螺合させることにより、両第1及び第2分割材40,41でシリンダ本体19a中程を径方向から挟み込んで支持するようになっている。この状態で、シリンダ本体19aは、第1分割材40の凹部40aとの間にできた隙間C1にて周方向に自由度が確保され、全周に亘って径方向に揺動可能に支持部材20に遊嵌されている。
【0026】
また、上記シリンダ本体19aには、一対の鍔部材44が車体前後方向に互いに間隔をあけて突設されている。これら鍔部材44は、嵌合孔44aを有する外径正八角形のリング体からなり、上記嵌合孔44aにシリンダ本体19aを嵌合させて該シリンダ本体19a外周面に上記支持部材20を車体前後方向から挟むように固着されている。上記各鍔部材44の支持部材20と対向する内面には、小形の角柱材からなる一対の突起部45が上下に対向するようにシリンダ本体19aを中心として180°反対側に突設され、これら突起部45と上記支持部材20との間には、若干(例えば0.5mm程度)の隙間C2が形成されている。この状態で、シリンダ本体19aは、上記隙間C2にてストローク方向に自由度が確保され、車体前後方向に移動可能に遊嵌されている。なお、上記突起部45は支持部材20側に突設してもよい。
【0027】
上記左右のシャーシフレーム2の車体後端寄り外側には、ガイドレール21がそれぞれストッパ兼用ブラケット22で両端を支持されて取り付けられ、これらガイドレール21にはスライド部材23が上記両ストッパ兼用ブラケット22間で移動自在に取り付けられている。この左右のスライド部材23は連結部材24で連結され、該連結部材24の両端寄りには2枚1組のブラケット25,26が固着され、このブラケット25,26間に上記スライドシリンダ19のピストンロッド19b先端が軸27で回動自在に連結されている。この連結構造も、シリンダ本体19a側のように、周方向及び車体前後方向に揺動可能に取り付けて自由度を持たせれば、上記シリンダ本体19a側の支持構造と相俟って確実に無理な力やモーメント力が掛からないようにすることができる。また、上記連結部材24の両端には別のブラケット28が固着され、このブラケット28と上記2枚1組のブラケット25,26のうち外側のブラケット26との間には、昇降駆動手段としての昇降シリンダ29が軸30で揺動自在に取り付けられている。また、上記ブラケット26,28間には、2個1組の回動アーム31が回動軸32で回動自在に取り付けられ、この回動アーム31の一端に上記昇降シリンダ29のピストンロッド29a先端が軸33で回動自在に連結されている。
【0028】
さらに、上記回動軸32には、上記第1平行リンクアーム10の他端がリジットに固着されている。一方、上記ブラケット26,28間には軸34が橋絡され、該軸34には上記第2平行リンクアーム13の他端が回動自在に連結されている。これにより、2組の第1及び第2平行リンクアーム10,13で上記荷積みプラットフォーム5の両サイドを支持するようになっている。そして、上記昇降シリンダ29の伸縮作動により2組の平行リンクアーム10,13を上下方向に回動させて上記荷積みプラットフォーム5を不使用時に車体後方から荷箱3の床面3a下方に引き入れて格納する(図7参照)一方、使用時に荷箱3の床面3a下方から車体後方に引き出して地面35と上記荷箱3の床面高さとの間で昇降させて荷物を積み降ろしするようになっている(図8参照)。
【0029】
具体的には、上記昇降シリンダ29に流体圧を供給することによりピストンロッド29aを伸長させて回動軸32及び回動アーム31を図7、図8及び図10で反時計回りに回動させ、第1及び第2平行リンクアーム10,13を上方に回動させて荷積みプラットフォーム5の不使用時における床面3a下方への格納状態の姿勢(図7実線参照)、荷箱3の床面3aと同じ高さに上昇した使用状態の姿勢(図8実線参照)、さらには、使用後に格納する時に車体後方から床面3a下方に引き入れる際の引き入れ姿勢(図10参照)を取るようになっている。一方、上記昇降シリンダ29から流体圧を排出することにより、荷積みプラットフォーム5と第1及び第2平行リンクアーム10,13との自重で回動アーム31を押し下げながら回動軸32及び回動アーム31を図7、図8及び図10で時計回りに回動させ、これによりピストンロッド29aを収縮させ、第1及び第2平行リンクアーム10,13を下方に回動させて荷積みプラットフォーム5の使用時における地面35への接地姿勢を取るようになっている(図8仮想線参照)。
【0030】
上記左右のブラケット28のうち一方(図6,9下側)には、アーム角度検知用の近接スイッチ36が取り付けられ、その隣の回動アーム31には被検知ブロック37が取り付けられ、該被検知ブロック37にはストッパ38が取り付けられている。なお、他方側(図6,9上側)の回動アーム31にもストッパ38を有する被検知ブロック37が取り付けられているが、その隣のブラケット28には近接スイッチ36がないので、被検知用としての機能はなく、専らストッパ38を取り付けるためだけのものである。上記ストッパ38は、荷積みプラットフォーム5が床面高さに上昇した際、第2平行リンクアーム13に当接して荷積みプラットフォーム5のそれ以降の上昇動作を規制するようになっている(図8実線参照)。上記近接スイッチ36は、荷積みプラットフォーム5が荷箱3と干渉しない高さまで上昇した際、被検知ブロック37を検知し、昇降シリンダ29に対する流体圧の供給を停止してそれ以降の荷積みプラットフォーム5の上昇を停止するようになっている(図7,10参照)。
【0031】
上記荷積みプラットフォーム5の基端側プレート6に取り付けられた一方(図6,9下側)のブラケット9には、折り畳み検知用のリミットスイッチ39が取り付けられ、該リミットスイッチ39は、先端側プレート7がヒンジ8を支点に折り畳まれて当接することでそのことを検知するようになっている。そして、このリミットスイッチ39と上記近接スイッチ36との双方の検知信号により、上記スライドシリンダ19を収縮作動させて荷積みプラットフォーム5の引き入れを開始するようになっている。
【0032】
次に、荷役装置4の作動を説明する。
【0033】
図7実線の状態は、荷積みプラットフォーム5の先端側プレート7を折り畳んで床面3a下方に格納した状態を示す。
【0034】
この格納状態から荷積みプラットフォーム5を使用状態に移行するには、スライドシリンダ19を伸長作動させて荷積みプラットフォーム5を床面3a下方から車体後方に引き出し(図7仮想線参照)、次に、昇降シリンダ29から流体圧を排出する。これにより、荷積みプラットフォーム5と第1及び第2平行リンクアーム10,13との自重により第1及び第2平行リンクアーム10,13が下方に回動し、これに追従してピストンロッド29aが収縮する。
【0035】
その後、第1及び第2平行リンクアーム10,13がさらに下方に回動して荷積みプラットフォーム5が折り畳み状態で接地する。作業者が折り畳み状態の荷積みプラットフォーム5の先端側プレート7をヒンジ8を支点に展開し(図8仮想線参照)、荷物を輸送する場合には、荷物を荷積みプラットフォーム5に載せる。
【0036】
今度は、昇降シリンダ29に流体圧を供給すると、ピストンロッド29aが伸長し、これにより、第1平行リンクアーム10が上方に回動し、これに追従して第2平行リンクアーム13が上方に回動する。その後、ストッパ38が第2平行リンクアーム13に当接すると、第1及び第2平行リンクアーム10,13のそれ以降の回動動作が規制される。これにより、荷積みプラットフォーム5が水平姿勢で荷箱3の床面高さに上昇し(図8実線参照)、荷物を輸送する場合には、荷物を荷積みプラットフォーム5から荷箱3に積み込む。一方、荷物を降ろす場合には、荷物を荷積みプラットフォーム5に載せる。この上昇状態から荷積みプラットフォーム5を下降させるには、昇降シリンダ29から流体圧を排出してピストンロッド29aを収縮させればよい。
【0037】
荷物の積み降ろしが終わって荷積みプラットフォーム5を格納する場合には、一旦、荷積みプラットフォーム5を接地させてから先端側プレート7をヒンジ8を支点に折り畳む。この際、先端側プレート7がリミットスイッチ39に当接して折り畳み状態が検知される。この状態から昇降シリンダ29に流体圧を供給してピストンロッド29aを伸長させる。第1及び第2平行リンクアーム10,13が上方に回動して荷積みプラットフォーム5が荷箱3やシャーシフレーム2、ガイドレール21等と干渉しない高さまで上昇すると、近接スイッチ36が被検知ブロック37を検知し、この検知信号に基づき昇降シリンダ29に対する流体圧の供給が停止され、荷積みプラットフォーム5がそれ以上上昇しない(図7仮想線、図10参照)。そして、この近接スイッチ36の検知信号と上記リミットスイッチ39の検知信号とに基づきスライドシリンダ19が収縮作動し、荷積みプラットフォーム5が荷箱3の床面3a下方に引き入れられて格納される。
【0038】
このように、この実施の形態1では、スライドシリンダ19が、支持部材20との間の隙間C1、及び支持部材20と突起部45との間の隙間C2により、車体前後方向と全周に亘る径方向とにそれぞれ移動可能な自由度を持っているため、スライドシリンダ作動時にシリンダ連結部分に無理な力やモーメント力が作用しようとしても、スライドシリンダ19が車体前後方向と鉛直軸線に対する全方向とに揺動して上記力を吸収することから、シリンダ連結部分に無理な力やモーメント力が掛からないようにすることができ、シリンダ連結部分の破損を防止することができる。
【0039】
また、この実施の形態1では、車幅方向両サイドのスライドシリンダ19の作動が同調せずに各々のストロークに差が生じた場合、両スライドシリンダ19は共に鉛直軸に対して回転する方向に自由度があることから、シリンダ推力に対する反力がシリンダ中心上にきて、シリンダ連結部分に無理な力やモーメント力が掛からないようにすることができ、シリンダ連結部分の破損を防止することができる。
【0040】
さらに、この実施の形態1では、スライドシリンダ19と支持部材20との間、及び突起部45と支持部材20との間に隙間C1,C2を設けるだけでよいので、内面に球面状の滑り面を持つボールジョイントの如き特殊な軸受を用いずに済み、製作費を低減することができる。
【0041】
加えて、この実施の形態1では、スライドシリンダ19をスプリングハンガー17よりも外側方で該スプリングハンガー17とオーバーラップするように車体側に取り付けていることから、スライドシリンダ19をスプリングハンガー17に邪魔されることなく車体後端から奥まった位置に取り付けることができ、格納状態で荷役装置4を車体後方に大きく突出しないように床面3a下方に配置することができる。しかも、スライドシリンダ19を格納時の荷積みプラットフォーム5の上方に納めて荷役装置4全体を地面35から大きく離れさせることができることとも相俟って、ディパーチャアングルα(図7参照)を大きくすることができ、坂道を上り下りする際に荷役装置4後端を地面に接触しないようにすることができる。
【0042】
さらに、この実施の形態1では、スライドシリンダ19のピストンロッド19bを車体後方に向け、シリンダ本体19a中程をシャーシフレーム2側に支持していることから、例えば、スライドシリンダ19のピストンロッド19bを車体前方に向けてロッド先端を車体の奥まったところに固定する場合に比べて荷役装置全体を車体後方寄りに設置することができ、荷役装置の設置スペースの省スペース化ひいては荷役装置の小型化を図ることができる。
【0043】
(実施の形態2)
図11ないし図16はこの発明の実施の形態2に係る荷役装置4におけるスライドシリンダ19の支持構造を示し、本例では、各鍔部材44に実施の形態1で採用した突起部45とは形状の異なる突起部46を一対突設しているほかは、実施の形態1と同様に構成されているので、同一箇所には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。上記一対の突起部46は、支持部材20側である突出端面が半円形状に形成された横断面略蒲鉾形に形成され、上下にかつ平面視でシリンダ中心線上に配置されている。そして、図16に示すように、スライドシリンダ19が水平面内で斜めに傾いた際、4個の突起部46が上記支持部材20と線接触状態で接触し、かつシリンダ中心線X上に並ぶようになっている。なお、この突起部は実施の形態1,2の形状に限らず、例えば、円錐形状にして支持部材20と点接触状態で接触するようにしてもよい。なお、この実施の形態2においても、上記突起部46を支持部材20側に突設してもよい。
【0044】
したがって、この実施の形態2では、上記の実施の形態1と同様の作用効果を奏することができるものである。加えて、この実施の形態2では、上述の如く突起部46を上下にかつ平面視でシリンダ中心線X上に配置しているので、車幅方向両サイドのスライドシリンダ19が水平面内で斜めに傾いた際、シリンダ推力に対する反力をシリンダ中心X上に確実にこさしめ、シリンダ連結部分に無理な力やモーメント力が作用するのを理想的な形で防止することができてシリンダ連結部分を破損しないように確実に保護することができる。
【0045】
なお、この荷役装置4は、荷積みプラットフォーム5を車体側部から出し入れするようなタイプの車両にも適用することができる。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1ないし6に係る発明によれば、スライドシリンダを支持部材に全周に亘って径方向に隙間が形成されるように遊嵌して車体側に支持したので、スライドシリンダの鉛直軸線に対する全方向への揺動により、シリンダ連結部分に無理な力やモーメント力を掛からないようにしてシリンダ連結部分を破損しないようにできる。また、スライドシリンダと支持部材との間に隙間を設けるだけでボールジョイントの如き特殊な軸受を採用する必要がなく、製作費を低減することができる。また、スライドシリンダのストローク方向の自由度を、鍔部材と支持部材との間の隙間により確保することができる。特に、請求項5に係る発明では、一対のスライドシリンダが同調して作動しない場合でも、両スライドシリンダに自由度があることでシリンダ連結部分の破損を防止することができる。さらに、請求項4に係る発明では、鍔部材に突設した一対の突起部を上下にかつ平面視でシリンダ中心線上に配置することにより、一対のスライドシリンダが水平面内で斜めに傾いた際、シリンダ推力に対する反力をシリンダ中心上に確実にこさしめ、シリンダ連結部分に無理な力やモーメント力を理想的な形で作用しないようにしてシリンダ連結部分を確実に保護することができる。加えて、請求項6に係る発明では、支持部材を構成する2つの分割材でシリンダ本体を径方向から挟むことにより、スライドシリンダを簡単に支持部材に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1に係る床下格納式荷役装置におけるスライドシリンダの支持箇所の拡大図である。
【図2】 図1の右側面図である。
【図3】 図1の平面図である。
【図4】 この発明の実施の形態1に係る床下格納式荷役装置においてスライドシリンダを支持する支持部材の分解図である。
【図5】 この発明の実施の形態1に係る床下格納式荷役装置においてスライドシリンダに突設した鍔部材の斜視図である。
【図6】 この発明の実施の形態1に係る床下格納式荷役装置の平面図である。
【図7】 この発明の実施の形態1に係る床下格納式荷役装置において荷積みプラットフォームの格納状態を示す側面図である。
【図8】 この発明の実施の形態1に係る床下格納式荷役装置において荷積みプラットフォームが荷箱の床面高さに上昇した状態を示す側面図である。
【図9】 図6の要部拡大図である。
【図10】 この発明の実施の形態1に係る床下格納式荷役装置において荷積みプラットフォームを荷箱の床面下方から引き出した状態を拡大して示す側面図である。
【図11】 この発明の実施の形態2に係る床下格納式荷役装置におけるスライドシリンダの支持箇所の拡大図である。
【図12】 図11の右側面図である。
【図13】 図11の平面図である。
【図14】 この発明の実施の形態2に係る床下格納式荷役装置においてスライドシリンダに突設した鍔部材の斜視図である。
【図15】 この発明の実施の形態2に係る床下格納式荷役装置においてスライドシリンダに突設した鍔部材の拡大斜視図である。
【図16】 図11の平面図においてスライドシリンダが水平面内で斜めに傾いた状態を示す。
【符号の説明】
2 シャーシフレーム
3a 床面
4 荷役装置
5 荷積みプラットフォーム
10 第1平行リンクアーム
13 第2平行リンクアーム
19 スライドシリンダ
19a シリンダ本体
20 支持部材
29 昇降シリンダ(昇降駆動手段)
35 地面
40 第1分割材
41 第2分割材
44 鍔部材
45,46 突起部
C1,C2 隙間
X シリンダ中心線
Claims (6)
- 荷物を載せて昇降する荷積みプラットフォームと、
該荷積みプラットフォームの両サイドを支持する2組の平行リンクアームと、
これら2組の平行リンクアームを回動させて上記荷積みプラットフォームを使用時に地面と床面高さとの間で昇降させる昇降駆動手段と、
上記荷積みプラットフォームを不使用時に床面下方に引き入れて格納する一方、使用時に床面下方から引き出すスライドシリンダとを備えた車両用床下格納式荷役装置であって、
上記スライドシリンダのシリンダ本体は、支持部材に全周に亘って径方向に隙間が形成されるように遊嵌されて車体側に支持され、シリンダ中心線が鉛直軸線に対して全方向に角度可変なようになっているとともに、上記シリンダ本体外周面には、一対の鍔部材が上記支持部材を挟むように突設され、これら鍔部材と支持部材との間には隙間が形成されていることを特徴とする車両用床下格納式荷役装置。 - 請求項1記載の車両用床下格納式荷役装置において、
鍔部材及び支持部材のいずれか一方には、他方との間に隙間が形成されるように一対の突起部がシリンダ本体を中心として180°反対側に突設されていることを特徴とする車両用床下格納式荷役装置。 - 請求項2記載の車両用床下格納式荷役装置において、
突起部は、支持部材又は鍔部材と点接触状態又は線接触状態で接触可能なような形状に形成されていることを特徴とする車両用床下格納式荷役装置。 - 請求項2又は3記載の車両用床下格納式荷役装置において、
一対の突起部は、上下にかつ平面視でシリンダ中心線上に配置されていることを特徴とする車両用床下格納式荷役装置。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用床下格納式荷役装置において、
スライドシリンダは、平行に間隔をあけて一対配置されていることを特徴とする車両用床下格納式荷役装置。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両用床下格納式荷役装置において、
支持部材は、シリンダ本体を径方向から挟む2つの分割材で構成されていることを特徴とする車両用床下格納式荷役装置。
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