JP4240913B2 - 析出板製造装置 - Google Patents

析出板製造装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4240913B2
JP4240913B2 JP2002153506A JP2002153506A JP4240913B2 JP 4240913 B2 JP4240913 B2 JP 4240913B2 JP 2002153506 A JP2002153506 A JP 2002153506A JP 2002153506 A JP2002153506 A JP 2002153506A JP 4240913 B2 JP4240913 B2 JP 4240913B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
traveling
molten metal
substrate
deposition substrate
horizontal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2002153506A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003340561A (ja
Inventor
正徳 津田
昌宏 田所
敦 奥野
泰弘 中井
賢人 中嶋
Original Assignee
神鋼電機株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 神鋼電機株式会社 filed Critical 神鋼電機株式会社
Priority to JP2002153506A priority Critical patent/JP4240913B2/ja
Publication of JP2003340561A publication Critical patent/JP2003340561A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4240913B2 publication Critical patent/JP4240913B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy

Landscapes

  • Silicon Compounds (AREA)
  • Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)
  • Photovoltaic Devices (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、外部環境とは異なる処理環境下で溶解対象物を加熱溶融させ、該溶解対象物を析出用基板の基板面上に結晶析出させてシート状の析出板を得る析出板製造装置に関し、特に、析出用基板を搬送して基板面上に析出板を得る工程を施す基板移動機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば半導体基板を製造する場合のように、加熱溶融された溶解対象物に対して析出処理を施して析出板を製造する場合には、溶解対象物を溶解炉装置にて加熱溶融して溶湯とした後、析出用基板を溶解炉装置の外部から上方に位置するように水平移動させる。そして、析出用基板を下降させて基板面を溶湯に浸漬させ、基板面に溶解対象物を析出させながら所定時間が経過したときに、析出用基板を溶湯から引き上げる。そして、析出用基板を溶解炉装置の上方から外部に水平移動させ、析出用基板の基板面に形成された析出物を引き剥がすことにより所望の析出板を得る処理が行われる。従って、従来、このような処理を行う析出板製造装置においては、析出用基板を溶解炉装置に対して水平方向に進退移動させる水平移動機構と、析出用基板或いは溶解炉装置を所定の高さ位置に位置決め可能に昇降させる昇降機構とを備えており、これらの機構を連動させることによって、上述の析出用基板の溶湯に対する浸漬等の一連の処理を行うようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の析出板製造装置では、析出用基板の水平方向の移動および位置決め動作と析出用基板の鉛直方向の移動、位置決め動作及び基板面角度調整を、水平移動機構、昇降機構及び基板面角度調整機構でそれぞれ実施し、これらの機構を連動させながら上述の浸漬等の一連の処理を行うようになっているため、このような処理を実施するための機構および制御が複雑であるという問題がある。
【0004】
従って、本発明は、簡単な構成および制御で析出用基板の溶湯に対する浸漬等の処理を行って溶解対象物の析出板を製造することのできる析出板製造装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明のの発明に係る析出板製造装置は、溶解対象物の融湯に対して析出用基板を一定時間浸漬させることによって、該析出用基板に溶解対象物の凝固成長した析出板を生成させる析出板製造装置であって、前記溶湯の上方を通過するように配置された走行レールと、前記走行レールに走行可能に設けられ、前記析出用基板を懸吊する懸吊機構とを備え、前記走行レールは、前記懸吊機構の走行に伴って前記析出用基板を昇降させつつ、前記溶湯面に対する基板面角度を変化させて前記溶湯に浸漬させるようにレール軌道の高度が変更されていることを特徴としている。
【0006】
上記の構成によると、一定のレール軌道に設定された走行レールと、この走行レールを走行する懸吊機構とからなる簡単な構成で、懸吊機構を走行レール上に走行させるという簡単な制御動作を行うことにより、析出用基板を溶湯に浸漬させて引き上げる等の複雑な一連の処理動作を実現することができる。
【0007】
第2の発明に係る析出板製造装置は、前記の析出板製造装置において、前記走行レールが、水平方向に環状に設けられており、該走行レールに複数の前記懸吊機構が一方向に走行可能に設けられていることを特徴としている。
【0008】
上記の構成によると、複数の懸吊機構が一方向に走行可能に設けられているため、短いサイクルで析出用基板の溶湯への浸漬を繰返し行うことができ、析出物を容易に量産することができる。
【0009】
第3の発明に係る析出板製造装置は、前記の析出板製造装置において、前記走行レールは、前記溶湯の内側領域の上方に配置され、前記懸吊機構に懸吊された析出用基板を溶湯に浸漬させる高度に設定された第1水平走行部と、前記第1水平走行部の上流側及び下流側にそれぞれ配置され、前記懸吊機構に懸吊された析出用基板を前記溶湯の湯面よりも上方に位置させる高度に設定された第2水平走行部と、前記第1水平走行部と前記第2水平走行部とを連絡する傾斜走行部とを有することを特徴としている。
【0010】
上記の構成によれば、析出用基板が溶湯に浸漬される距離が第1水平走行部の距離として予め設定されているため、懸吊機構を所定の走行速度で走行させることによって、析出用基板の溶湯への浸漬時間を容易に設定することができる。この結果、懸吊機構の走行速度を複雑に制御する必要がないため、懸吊機構の走行に要する制御装置の部品点数及び組立コストを低減することができる。
【0011】
第4の発明に係る析出板製造装置は、前記の析出板製造装置において、前記懸吊機構は、走行速度を変更可能にされていることを特徴としている。
【0012】
上記の構成によると、走行レールの第1水平走行部と第2水平走行部との走行速度をそれぞれ変更することができるため、例えば、第1水平走行部で低速走行して浸漬時間を長くし、第2水平走行部で高速走行して浸漬処理以外の処理を短時間で完了することが可能になる。また、溶湯の湯面が小さな場合でも、第1水平走行部における懸吊機構の走行速度を低速に設定することによって、充分な浸漬時間を確保することができる。
【0013】
第5の発明に係る析出板製造装置は、前記の析出板製造装置において、前記第1水平走行部下流側にて、前記析出用基板を上下反転することを特徴としている。
【0014】
上記の構成によると、析出用基板を溶湯に浸漬した後、析出板が基板面から離脱して落下するのを未然に防止することができる。
第6の発明に係る析出板製造装置は、溶解対象物の融湯に対して析出用基板を一定時間浸漬させることによって、該析出用基板に溶解対象物の凝固成長した析出板を生成させる析出板製造装置であって、前記溶湯の上方を通過するように配置された2つの走行レールと、前記2つの走行レールの一方の前記走行レールに載置され前部に配置された車輪と、他方の前記走行レールに載置され後部に配置された車輪とにより前記2つの走行レールに走行可能に設けられ、前記析出用基板を懸吊する懸吊機構とを備え、前記2つの走行レールは、前記溶湯の内側領域の上方に配置され、前記懸吊機構に懸吊された析出用基板を溶湯に浸漬させる高度に設定され、前記2つの走行レールが水平方向から視て重なるように並設された第1水平走行部と、前記第1水平走行部の上流側及び下流側にそれぞれ配置され、前記懸吊機構に懸吊された析出用基板を前記溶湯の湯面よりも上方に位置させる高度に設定され、前記2つの走行レールが水平方向から視て重なるように並設された第2水平走行部と、前記第1水平走行部と前記第2水平走行部とを連絡し、所定の基板面角度に調節されるように水平方向から視て前記2つの走行レールの高度がずれて設けられた傾斜走行部とを有することを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図1乃至図15に基づいて以下に説明する。
図1に本発明に係る半導体基板製造装置1(析出板製造装置)の正面視した場合における概略構成図を、図2に側面視した場合における概略構成図を、図3に上面から視た場合における概略構成図を示す。尚、半導体基板製造装置1は、析出板製造装置の一種であり、析出板製造装置は、密閉状態にされた処理室で半導体材料や金属材料等の溶解対象物101を加熱溶融して溶湯とし、この溶解対象物101をシート状の析出板となるように製造する装置を意味する。また、溶解対象物101としては、Si等の半導体材料の他、鉄やチタン等の金属材料を挙げることができる。
【0016】
上記の半導体基板製造装置1は、外部環境から内部を密閉状態に隔離可能な二重壁構造の真空容器3を備えている。真空容器3は、上側収容室6を形成する円筒形状の上側タンク部4と、上側タンク部4の下部に設けられ、上側収容室6に連通した下側収容室7を形成する下側タンク部5とを有している。
【0017】
また、下側タンク部5の一方の側面壁には、図1に示すように、搬入出部5aが開口されている。搬入出部5aは、上側タンク部4の長手方向(紙面に対して垂直方向)に進退移動する開閉扉9により開閉可能にされている。そして、このように構成された真空容器3には、Arガス等の不活性ガスを供給する図示しないガス供給装置および両収容室6・7の空気を排気する図示しない真空排気装置が接続されている。これらの装置は、真空容器3の両収容室6・7を所定の圧力に減圧しながら不活性ガスを供給することによって、外部環境とは異なる処理環境を両収容室6・7に出現させるようになっている。
【0018】
上記の両収容室6・7の略中央部には、析出用基板14を溶湯15に一定時間浸漬させて引き上げる析出機構10が設けられている。析出機構10は、溶湯15の上方を通過するように配置され、図3に示すように、上側収容室6内に水平方向に環状に設けられた内側走行レール11及び外側走行レール12と、該内側及び外側走行レール11、12上に走行可能に設けられ、析出用基板14を懸吊する懸吊機構20とで構成されている。
【0019】
図4乃至図6を参照して、懸吊機構20の構成を説明する。図4は懸吊機構20の斜視図を、図5は図4のA−A´線矢視断面を、図6は図4のB−B´線矢視断面を示す。
【0020】
懸吊機構20は、図4〜6に示すように、内側及び外側走行レール11、12間に位置するように設けられた長方体形状の収容体21と、収容体21内に収容され、走行レール11、12上を走行可能に構成された走行駆動体32と、収容体21の下面に設けられた、縦設機構40とで構成される。尚、収容体21は、ルツボ装置51からの輻射熱から防御するため、断熱性能を有するものであることが好ましい。
【0021】
走行駆動体32は、収容体21の進行方向前部に配置された内側走行機構22と、後部に配置された外側走行機構27と、略中央に配置された駆動装置33と、これらの連結部材であるベルト40とを備える。内側走行機構22は、収容体21の幅方向に回転自在に配設された軸24と、軸24の一端部に固定され、内側走行レール11上に載置された車輪23と、軸24の略中央に設けられた従動プーリ25とを有している。一方、収容体21の後部には、同一の部材で点対象に外側走行機構27が配置されている。即ち、外側走行機構27は、収容体21の幅方向に回転自在に配設された軸24と、軸24の一端部に固定され、外側走行レール12上に載置された車輪23とを有している。
【0022】
また、走行駆動体32の中央に配置された駆動装置33は、モータ36と、モータ36に設けられた駆動プーリ38とを備えている。モータ36は収容体21の内側に固定され、駆動プーリ38は収容体21の略中央に配置される。尚、モータ36は、図示しない電源装置に接続されている。駆動プーリ38には、ベルト39が掛けられており、このベルト39は、駆動プーリ38を中心として、内側走行機構側の従動プーリ25に架け渡されている。これにより、内側走行機構22と駆動装置33とが連結される。尚、連結部材のベルト39に、張力が付与される装置が設けられていることが好ましい。
【0023】
このように構成された走行駆動体32は、電源装置によりモータ36に電源が供給されると、駆動プーリ38が回転することによって、ベルト39を介して従動プーリ25が回転する。従動プーリ25の回転により軸24および車輪23が回転することによって、内側走行機構22が走行レール11上を走行する。これにより、収容体21が走行レール11、12間を走行する。
【0024】
一方、収容体21の下面に設けられた縦設機構40は、進行方向の前部に固定された第1縦設部材41と、後部に固定された第2縦設部材42とを有している。これらの第1および第2縦設部材41・42は、幅方向の略中央の位置に配置されている。そして、縦設部材41、42は、図7に示すように、カーボン基板把持持装置43を介して析出用基板14を保持する。尚、縦設部材41、42は収容体21の下面に固定されていればよく、固定方法は、ピン接合であってもネジ接合であっても良い。
【0025】
第1及び第2縦設部材41、42は、収容体21側から中部までの範囲が機械的強度に優れたステンレス鋼等の金属材料で形成されている一方、中部から析出用基板14に連結された下端部までの範囲が耐熱性に優れたカーボンにより形成されている。これにより、析出支持機構42は、析出用基板14を析出させて高温の溶湯15に浸漬させる際に、溶湯15から大量の輻射熱を下側部分に受けることになっても、長期間に亘って初期の機械的強度を維持することが可能になっている。
【0026】
上記の内側走行レール11及び外側走行レール12は、図3に示すように環状に水平方向に並設されている。内側及び外側走行レール11、12は、下端を上側タンク4の壁面に固定された支柱13a、支柱13bに支持されている。支柱13a、支柱13bはそれぞれ4箇所に設けられているが、走行レール11、12を安定して固定することができる位置に適宜設けられればよい。また、走行レール11、12の固定方法はこれに限定されず、懸吊機構20の走行の邪魔になることなく、安定して走行レール11、12を支持することのできる方法ならどのような形態でもよい。
【0027】
走行レール11、12は、図1に示すように、溶湯15の内側領域の上方に配置され、懸吊機構20に懸吊された析出用基板14を溶湯15に浸漬させる高度(浸漬高さ)に設定された第1水平走行部11a、12aと、第1水平走行部11a、12aの進行方向の下流側から上流側に連続的に環状に配置され、懸吊機構20に懸吊された析出用基板14を溶湯15の湯面よりも上方に位置させる高度(搬送高さ)に設定された第2水平走行部11b、12bとを有する。そして、第1水平走行部11a、12aの進行方向上流側と第2水平走行部11b、12bとを連絡する第1傾斜走行部11c、12cと、第1水平走行部11a、12aの進行方向下流側と第2水平走行部11b、12bとを連絡する第2傾斜走行部11d、12dとを有する。
【0028】
図7に示すように、第2水平走行部11b、12bから第1傾斜走行部11c、12cに変化する位置は、所定の基板面角度に調整されるように、ずれて形成される。また、第2傾斜走行部11d、12dも同様にして形成される。
【0029】
懸吊機構20は、図3に示すように、上記の走行レール11、12の環状の軌道中に配置された予熱位置Aと、浸漬位置Bと、引き剥がし位置Cと、研磨位置Dとをこの順に進行する。浸漬位置Bは浸漬高さの第1水平走行部11a、12aに、予熱位置A、引き剥がし位置C及び研磨位置Dは、搬送高さの第2水平走行部11b、12bに配置されている。懸吊機構20は、第1水平走行部11a、12aを速度v1で、第2水平走行部11b、12bを速度v2で、第1傾斜走行部11c、12cを速度v3で、第2傾斜走行部11d、12dを速度v4で走行するように、図示しない制御装置にて制御されている。
【0030】
速度v1〜v4について、具体的に以下に説明する。
速度v1は、析出用基板14の浸漬時間を設定し、第1水平走行部11a、12aの水平距離により算出すればよい。溶湯15の湯面が小さな場合は、第1水平走行部11a、12aにおける懸吊機構20の速度v1を低速に設定することによって、充分な浸漬時間を確保することができる。速度v2は、高速とすることで、析出工程以外の工程を短時間で完了することができる。
【0031】
速度v3は、懸吊機構20が第1傾斜走行部11c、12cを走行して析出板14が溶湯15中に進入する時に溶湯15の湯面が波立たない程度の速度であればよい。同様に、速度v4は、懸吊機構20が第2傾斜走行部11d、12dを走行して析出板14が溶湯15中から退出する時に、溶湯15の湯面が波立たない程度の速度であればよい。
【0032】
上記の析出用基板14は、図8に示すように、カーボンにより形成されている。析出用基板14は、半導体基板2が析出される下面からなる基板面14aと、進行方向の上流側および下流側の各側面に形成された傾斜部14bと、析出用基板14の上面(反析出面)に形成された把持部14cとを有している。傾斜部14bは、基板面14aの両端部が上面の両端部の内側に位置するように基板面14aから上面側にかけて傾斜されている。
【0033】
また、析出用基板14の上面に形成された把持部14cは、断面が逆台形形状に形成されており、カーボン基板把持装置43の一部を構成している。カーボン基板把持装置43は、把持部14cを着脱自在に保持するチャック機構44を備えている。チャック機構44は、チャック部材45・45を左右対称に備えている。各チャック部材45・45は、把持部14cに係合するように下面に形成された係合部45aと、ゴミ等の落下物を受け止めるように上面の四辺に沿って形成された環状溝部45bと、環状溝部45bに周囲を囲まれた懸吊部45cとを有している。
【0034】
上記の懸吊部45cの上面には、2つの突設部45d・45dが対向配置されている。両突設部45d・45dの中央部には、ピン挿通穴45e・45eが形成されている。これらの突設部45d・45d間には、図9に示すように、上述の懸吊機構20の各縦設部材41、42が嵌合されるようになっている。そして、ピン挿通穴45e・45eには、カーボン製のピン部材46が抜脱可能に挿通されるようになっており、ピン部材46は、各縦設部材41、42をチャック機構44に対して連結させるようになっている。
【0035】
上記のピン部材46は、溶湯15からの輻射熱の直射を回避するように、チャック部材45の析出側の投影面積よりも短くなるように形成されている。また、ピン部材46の表面には、図10に示すように、硬化層100が形成されており、ピン部材46は、硬化層100により表面の機械的強度が高められることによって、チャック部材45のピン挿通穴45eに対して着脱する際の磨耗が低減されている。一方、チャック部材45においては、ピン部材46に接触するピン挿通穴45eと、析出用基板14に接触する係合部45aおよび下面とに硬化層100が形成されている。そして、チャック部材45は、硬化層100で接触面の機械的強度が高められることによって、ピン部材46の着脱時および析出用基板14の把持時における磨耗が低減されている。
【0036】
尚、硬化層100の形成方法としては、プラズマCVDやイオンプレーティング等の表面処理方法でSiC膜をコーティングする硬化処理を挙げることができる。また、硬化層100は、チャック部材45の全表面に形成されていても良く、この場合には、チャック部材45の全体の機械的強度を高めることができるため、チャック部材45をオペレータが運搬する際に衝撃を与えても破損し難いものとすることができる。
【0037】
上記のカーボン基板把持装置43で保持される析出用基板14が浸漬される溶湯15は、図1に示すように、ルツボ装置51に収容されている。ルツボ装置51は、溶湯15を収容する収容部52aを備えたルツボ52と、ルツボ52の側面壁52bの周囲に配置された誘導加熱コイル53と、これらのルツボ52及び誘導加熱コイル53を支持するルツボ支持台54とを有している。誘導加熱コイル53には、図1の耐熱構造の電力ケーブル55が着脱可能に接続されており、図示しない高周波電源から高周波数の交流電力が供給されるようになっている。これにより、誘導加熱コイル53は、ルツボ52の周囲に交番磁場を生成させ、ルツボ52の主に表面側を誘導加熱することが可能になっている。
【0038】
一方、ルツボ52は、析出用基板14の進行方向が長尺となるように平面視長方形状に形成されており、溶湯15の収容量を最小限に抑制しながら、側面壁52bが析出用基板14の旋回の障害にならないようにしている。尚、ルツボ52は、析出用基板14の進行方向が長尺になる形状であれば良く、例えば平面視楕円形状であっても良い。また、ルツボ52は、図12に示すように、収容部52aの側面側と底面側との2方向から大きな熱量が伝達されるように、底面壁52cの厚みが平均ルツボ半径と略同等であり且つ側面壁52bの厚みと同等以上に設定されている。
【0039】
ここで、平均ルツボ半径とは、ルツボ52の全方向の半径を平均化したものである。また、ルツボ52の側面壁52bは、電磁誘導の浸透深さ未満の厚みに設定されていることが望ましく、この場合には、溶湯15を対流させることができるため、ゴミ等の落下物が核となって溶湯15の表面中央が凝固する現象を防止することが可能になる。
【0040】
また、ルツボ52の収容部52a内には、図11にも示すように、溶湯15の湯面高さの監視に使用されるカーボン製の湯面高さ検出部61が形成されている。湯面高さ検出部61は、収容部52aの底面から上面にかけて複数の段部61aを階段状に有している。湯面高さ検出部61は、析出用基板14の障害物とならないように、収容部52aのコーナー部に配置されている。尚、湯面高さ検出部61は、ルツボ52と一体的に形成されていても良いし、ルツボ52とは別に形成されていても良い。
【0041】
さらに、ルツボ52の収容部52a内には、ルツボ52の長手方向(半導体基板2の進行方向)に沿って仕切り壁62が設けられている。仕切り壁62は、析出用基板14の障害物とならないように配置されている。また、仕切り壁62は、上端部がルツボ52の上面に位置し、下端部が収容部52aの底面上方に位置するように形成されている。これにより、仕切り壁62は、析出用基板14が浸漬する第1溶解槽63と、第1溶解槽63に連通する第2溶解槽64とに収容部52aを区分しており、第2溶解槽64と第1溶解槽63との間における湯面の乱れの伝播を防止している。
【0042】
上記のように構成されたルツボ52は、ルツボ支持台54により支持されている。ルツボ支持台54は、図1に示すように、ルツボ52および誘導加熱コイル53をそれぞれ独立して支持する断熱支持体54aと、断熱支持体54aの下面に接合され、冷却配管を埋設された冷却盤54bと、冷却盤54bを支持する搬送台54cとを有している。ルツボ支持台54は、ルツボ搬入出機構57に載置されている。ルツボ搬入出機構57は、真空容器3の搬入出部5aを挟んで真空容器3の内外に敷設されており、複数の搬送ローラ56を回転可能に備えている。そして、ルツボ搬入出機構57は、搬送ローラ56を正逆回転させることによって、ルツボ支持台54やルツボ52等からなるルツボ装置51の真空容器3に対する搬入出を可能にしている。
【0043】
上記のルツボ装置51の上方には、図2に示すように、溶解対象物101を第2溶解槽64に供給する供給機構71が設けられている。供給機構71は、先端部に投入部が形成され、粉状や塊状の溶解対象物101を収容した収容箱72と、収容箱72を水平方向に進退移動させる収容箱移動機構73と、収容箱72内の溶解対象物101を先端部から押し出す押出機構74とを備えている。
【0044】
また、ルツボ装置51の上方における真空容器3の第1覗き窓部8aには、図1に示すように、湯面高さ検出部61を溶湯15と共に撮像して撮像信号を出力する撮像装置75が設けられている。撮像装置75は、CCDカメラ等のカメラ本体76と、カメラ本体76の前方に配置されたスリット板77とを有している。スリット板77には、カメラ本体76の撮像領域を湯面高さ検出部61の周辺に制限するスリットが形成されている。
【0045】
上記の撮像装置75および供給機構71は、図示しない制御装置に接続されている。制御装置は、演算部や記憶部、入出力部等を備えており、半導体基板製造装置1の各機構を個別および連動させながら制御する各種の機能を備えている。具体的には、湯面高さ検出部61の各段部61aにおける撮像信号の明暗に基づいて溶湯15の湯面高さを検出する機能や、検出された湯面高さが所定の基準高さとなるように、供給機構71における溶解対象物101の供給タイミング及び/又は供給量を制御する機能等を有している。
【0046】
また、ルツボ装置51と析出機構10の収容体21との間には、溶湯15から収容体21に向かう輻射熱を遮る第1熱遮蔽体78が設けられている。第1熱遮蔽体78は、銅製の熱遮蔽板78aと、熱遮蔽板78aの上面に接合され、熱遮蔽板78aを冷却する冷却配管78bとを備えている。熱遮蔽板78aには、懸吊機構20の縦設部材41、42を挿通させる開口部と、撮像装置75による湯面高さ検出部61の撮像を可能にする窓部とが形成されている。これにより、第1熱遮蔽体78は、収容体21に対する輻射熱の直射を極力低減することによって、収容体21の過熱を防止するようになっている。
【0047】
また、ルツボ装置51から見て析出用基板14の進行方向の上流側には、予熱機構81が設けられている。予熱機構81は、予熱位置Bの下方に配置された予熱ヒーター82と、予熱ヒーター82に着脱可能に接続された電力ケーブル83と、真空容器3の外部に配置され、電力ケーブル83を介して予熱用電力を供給する図示しない予熱電源装置とを有している。そして、予熱機構81は、予熱ヒーター82に対して析出用基板14が対向されたときに、この析出用基板14を所定温度に昇温させることによって、溶湯15と析出用基板14との温度差を一定にするようになっている。尚、析出用基板14の搬送及び浸漬工程の1サイクルが短い場合には、析出用基板14は予熱工程の前に一旦冷却されることが好ましい。
【0048】
一方、ルツボ装置51から見て析出用基板14の進行方向の下流側には、引き剥がし機構85が設けられている。引き剥がし機構85は、引き剥がし位置Gの下方に配置されており、析出用基板14と半導体基板2との間に進入する剥離部材87と、剥離部材87により引き剥がされて落下した半導体基板2を受け止める基板載置台88とを備えている。
【0049】
また、図3に示すように、引き剥がし機構85の下流側には、研磨機構90が設けられている。研磨機構90は、図13に示すように、研磨ディスク91が備えられた研磨機本体98と、研磨機本体98を昇降させる研磨機本体昇降機99と、研磨機本体昇降機99を支持する設置台96とを備えている。設置台96は、研磨機本体98を昇降可能に支持する支持台部96aと、支持台部96aの下端部から前側に突設された土台部96bとを有している。
【0050】
一方、研磨機本体98は、図示しない電源装置に接続されたモータ92を備えている。モータ92は、回転軸92aの軸芯が鉛直方向となるように設定されており、この回転軸92aの先端部は、研磨ディスク91の中心部に連結されている。研磨ディスク91は、円盤形状に形成されていると共に、析出用基板14に当接する研磨面(上面)が少なくとも研磨加工可能な材質で形成されている。
【0051】
また、研磨機本体98を昇降させる研磨機本体昇降機99は、アーム93aを有する昇降台93と、外側面にネジ山を有する昇降軸94と、棒状のガイド95と、上述の設置台96の支持台部96aに固設された軸受け部材97a、97bとを有している。アーム93aの先端部には、研磨機本体98を支持するように、上述のモータ92が固定されている。一方、アーム93aの基部に位置する昇降台93には、昇降軸94が貫通および螺合されたネジ溝を有するネジ穴と、ガイド95が摺動自在に貫通された貫通穴とが形成されている。
【0052】
上記の昇降軸94およびガイド95は、軸芯が鉛直方向となるように並列配置されている。昇降軸94の上端部および下端部は、軸受け部材97a、97bにより回転自在に軸支されている。一方、ガイド95の上端部および下端部は、軸受け部材97a、97bにより固定されている。また、昇降軸94の下端には、図示しない回転駆動装置が連結されている。この回転駆動装置は、ステッピングモータ等の任意の回転角度で正方向および逆方向に回転可能なモータを備えており、昇降軸94を所定角度回転させることによって、昇降台93を介して研磨機本体98を所定の高さ位置に位置決め可能になっている。尚、駆動装置は、回転角度で研磨機本体98の高さ位置を位置決めする代わりに、リミットセンサで高さ位置を検出するようになっていても良い。この場合には、一般的な安価なモータを使用することができる。
【0053】
上記のように構成された研磨機構90は、図2に示すように、設置台96が下側タンク5の壁面に接合されることにより取り付けられている。研磨機構90とルツボ装置51との間には、溶湯15から析出研磨機構90に向かう輻射熱を遮る第2熱遮蔽体79が配設されている。第2熱遮蔽体79は、銅製の熱遮蔽板79aと、熱遮蔽板79aの研磨機構90側に接合され、熱遮蔽板79aを冷却する冷却配管79bとを備えている。第2熱遮蔽板79は、下側タンク5の壁面に設置された研磨機構90の3方を囲むように配設されている。これにより、第2熱遮蔽体79は、研磨機構90に対する輻射熱の直射を極力低減することによって、研磨機構90の過熱を防止するようになっている。
【0054】
上記の構成において、半導体基板製造装置1の動作を通じて、懸吊機構20の走行レール11、12上での動作を説明する。
【0055】
(準備・保全工程)
準備・保全工程は、半導体基板2の生産開始前および生産開始後において、半導体基板製造装置1を生産に適した状態にする場合に実施される。即ち、図2に示すように、ルツボ装置51の検査やルツボ52の交換、真空容器3内の各機構の検査等を行う場合には、先ず、開閉扉9が移動されて真空容器3の搬入出部5aが開口される。そして、電力ケーブル55がルツボ装置51から切り離された後、ルツボ搬入出機構57の各搬送ローラ56が回転されることによって、ルツボ装置51が搬入出部5aを介して機外に搬出される。この後、図示しない検査作業場において、ルツボ装置51の検査等が実施され、不具合があれば、該当箇所の修理や交換が行われる。
【0056】
また、ルツボ装置51の検査中に、図2に示すように、供給機構71の収容箱72に収容された溶解対象物101の残存量が確認され、適正な量となるように補充される。さらに、オペレータが真空容器3内の状態を目視等により検査し、必要に応じて部品の修理および交換が行われる。
【0057】
例えばカーボン基板把持装置43に取付けられた析出用基板14に不具合がある場合には、図9および図10に示すように、ピン部材46がピン挿通穴45eから抜脱されることによって、析出機構10の第1縦設部材41及び第2縦設部材42が突設部45d・45dから切り離される。これにより、縦設部材41、42により析出用基板14の上面に左右方向に固定されていたチャック部材45・45が自由な状態となる。そして、チャック部材45・45が左右方向に引き離すように移動されることによって、析出用基板14がカーボン基板把持装置43から取り外される。
【0058】
次に、新たな析出用基板14が準備され、この析出用基板14の把持部14cを挟み込むようにチャック部材45・45がセットされる。この後、析出機構10の第1縦設部材41及び第2縦設部材42が突設部45d・45d間に挿入され、ピン部材46がピン挿通穴45eに挿通される。これにより、チャック部材45・45が左右方向に固定され、係合部45a・45aが把持部14cを把持することによって、析出用基板14がカーボン基板把持装置43に取付けられる。
【0059】
ここで、カーボン基板把持装置43に対して析出用基板14が着脱される場合には、チャック部材45のピン挿通穴45eとピン部材46との擦れ合いや、チャック部材45の係合部45aと析出用基板14との擦れ合いが生じるため、磨耗し易い状態となる。ところが、ピン部材46やカーボン基板把持装置43の擦れ合う部分は、硬化層100により機械的強度が高められている。従って、析出用基板14の着脱が繰り返して行われた場合でも、ピン部材46およびカーボン基板把持装置43が初期の形状を維持するため、ピン部材46およびカーボン基板把持装置43を長期間に亘って使用することができる。また、析出用基板14の着脱時において、ピン部材46等の一部が破損して欠落することになった場合でも、この落下物が環状溝部45bで受け止められるため、図2の溶湯15にゴミとして落下することはない。
【0060】
次に、上記のようにして各機器の検査および交換等が完了すると、図2に示すように、開閉扉9により搬入出部5aが閉鎖され、真空容器3内の上側収容室6および下側収容室7が内部から密閉される。そして、図示しない真空排気装置が作動されて空気が排気された後、Arガス等の不活性ガスが供給されることによって、外部環境とは異なる処理環境が収容室6・7に形成される。
【0061】
この後、誘導加熱コイル53に高周波数の交流電力が供給され、高周波磁界がルツボ52の周囲に生成される。この結果、図12に示すように、ルツボ52の側面壁の表面側に強度の磁界が印加されることによって、側面壁の主に表面側が誘導加熱により加熱され、この表面側の熱量が内側方向に向かって伝導していくことになる。この際、ルツボ52は、底面壁52cの厚みが平均ルツボ半径と略同等であり且つ側面壁52bの厚みと同等以上に設定されている。これにより、収容部52aの側面側と底面側との2方向から大きな熱量が伝達され、この熱量で溶解対象物101が均等に加熱される結果、早期に全体が溶解して溶湯15となる。また、溶湯15になった後は、この溶湯15の側面および下面が大きな熱量で加熱され続けられるため、溶湯15全体が均一な温度に維持される。
【0062】
また、溶湯15が形成されると、真空容器3内の収容室6・7が高温になると共に、溶湯15から高温の輻射熱が放出される。そして、輻射熱の一部は、懸吊機構20方向に進行することになるが懸吊機構20の手前に配設された第1熱遮蔽体78により進行が遮られるため、懸吊機構20に殆んど到達することがない。これにより、懸吊機構20は、輻射熱が直射されることによる熱劣化が防止されている。また、同様に、研磨機構90の3方を囲むように配設された第2熱遮蔽板79により、研磨機構90は、輻射熱が直射されることによる熱劣化が防止されている。
【0063】
(予熱工程)
上述のように所望の処理環境下で溶湯15が形成されることによって、生産の準備が完了すると、懸吊機構20は第2水平走行部11b、12bを速度v2で走行し、予熱位置Aで一旦停止する。この結果、析出用基板14が予熱ヒーター82に対向することになる。この後、予熱ヒーター82に予熱用電力が供給されることによって、予熱ヒーター82より析出用基板14が所定の予熱温度となるように加熱される。
【0064】
(析出工程)
析出用基板14が所定の予熱温度になると、懸吊機構20は再び速度v2で走行し、第1傾斜走行部11c、12cに移動する。そして、第1傾斜走行部11c、12cを速度v3で走行し、析出用基板14は溶湯15中に進入する。図7に示すように、溶湯面に対して所定の角度を持ちつつ、第1傾斜走行部11c、12cを走行し、浸漬高さの第1水平走行部11a、12aに移動する。
【0065】
そして、懸吊機構20は、第1水平走行部11a、12aの浸漬位置Aを速度v1で走行する。この間、析出用基板14は溶湯15に浸漬されており、析出用基板14の基板面14aに溶解対象物101が析出して半導体基板2となる。その後、懸吊機構20は、第2傾斜走行部11d、12dに移動する。懸吊機構20が第2傾斜走行部11d、12dを速度v4で走行し、半導体基板2が溶湯面に対して所定の角度で溶湯15から引き上げられることによって、液だれが基板面の最後尾に生じつつ、凝固成長した所定厚みの半導体基板2が引き上げられる。そして、懸吊機構20は、搬送高さの第2水平走行部11b、12b上を進行方向下流側に移動する。なお、液だれが、析出板中央に集成されると、平板でなくなってしまう。
【0066】
このように、析出工程においては、懸吊機構20が走行レール11、12上を走行することで、析出用基板14を下降させて基板面14aを溶湯15に浸漬させ、基板面14aに溶解対象物101を析出させながら所定時間が経過したときに、析出用基板14を溶湯15から引き上げることができる。
【0067】
(引き剥がし工程)
所定厚みの半導体基板2が析出用基板14の基板面14aに形成されると、懸吊機構20は、上述したように、進行方向下流側に第2水平走行レール11b、12bを速度v2で走行する。そして、引き剥がし位置Cにおいて析出用基板14と半導体基板2との間に剥離部材87が進入し、半導体基板2が剥離部材87により強制的に析出用基板14から引き剥がされて基板載置台88に載置されることになる。この後、このようにして引き剥がされた半導体基板2が所定枚数になると、図示しない排出口から一括して機外に搬出される。
【0068】
(湯面制御工程)
上述の析出工程が繰り返されることによって、多数の半導体基板2が生産されると、半導体基板2の生産数に応じた消費量で溶湯15が減少する。そして、溶湯15の減少を放置すると、湯面高さが低下する結果、析出用基板14の浸漬深さが浅くなり、最終的には、析出用基板14を溶湯15に浸漬させることができなくなる。そこで、半導体基板2の生産中においては、撮像装置75によりルツボ52内の湯面高さ検出部61が撮像され、撮像信号に基づいて湯面が一定となるように溶解対象物101が供給される。
【0069】
即ち、湯面高さ検出部61を撮像して得た各段部61aの撮像信号が図示しない制御装置に取り込まれ、この制御装置において、撮像信号中の輝度信号成分が抽出される。そして、溶湯15と湯面高さ検出部61の各段部61aとを判別するように、輝度信号成分が所定の閾値で2値化される。この後、2値化データに基づいて溶湯15から露出した段部61aが求められ、所定の段部61aが露出したときに、溶湯15の湯面高さが許容範囲以下にまで低下したと判定される。そして、この場合には、図2に示すように、供給機構71から所定量の溶解対象物101が押し出されてルツボ52に投入され、所定の湯面高さに復帰される。
【0070】
尚、上記のようにしてルツボ52に溶解対象物101が投入されると、湯面が揺動することになるが、仕切り壁62で上面が区分された第2溶解槽64に対して溶解対象物101が投下されるため、析出用基板14が浸漬される第1溶解槽63に対して揺動が伝播することはない。これにより、溶解対象物101の投入中においても、半導体基板2の生産を継続することができる。
【0071】
(研磨工程)
半導体基板2の生産が繰り返されると、析出用基板14の基板面14aに付着物が残留する場合がある。従って、この場合には、懸吊機構20が第2水平走行レール11b、12bを速度v2で走行し、研磨位置Dに到達した時に一旦停止する。そして、図13に示すように、昇降軸94を所定角度回転させることにより昇降台93と共に研磨ディスク91を上昇させ、研磨ディスク91の上面(研磨面)を基板面14aに当接させる。この後、モータ92に電力を供給して、研磨ディスク91を回転させ、基板面14aを研磨する。この結果、基板面14aの付着物が強制的に擦り落とされ、基板面14aが生産当初の状態に回復されることになる。そして、懸吊機構20は予熱工程から同じ工程を行うことにより、繰返し半導体基板2を製造する。
【0072】
以上のように、本実施形態の半導体基板製造装置1(析出板製造装置)は、溶解対象物101の溶湯15に対して析出用基板14を一定時間浸漬させることによって、該析出用基板14に溶解対象物101の凝固成長した半導体基板2(析出板)を生成させるものであって、溶湯15の上方を通過するように配置された走行レール11、12と、走行レール11、12に走行可能に設けられ、析出用基板14を懸吊する懸吊機構20とを備え、走行レール11、12は、懸吊機構20の走行に伴って析出用基板14を昇降させつつ、溶湯面に対する基板面角度を変化させて溶湯15に浸漬させるようにレール軌道の高度が変更されている。これにより、一定のレール軌道に設定された走行レール11、12と、この走行レール11、12を走行する懸吊機構20とからなる簡単な構成で、懸吊機構20を走行レール11、12上に走行させるのみで、析出用基板14を溶湯15に浸漬させて引き上げるという複雑な動作を実現することができる。
【0073】
また、本実施形態の懸吊機構20の駆動方法は、モータ36を有する自走式台車である場合について説明したが、これに限定されるものではない。即ち、懸吊機構の走行は、例えば、牽引式のものであってもよい。
【0074】
また、懸吊機構は、ロープウェイ式によるものであってもよい。その場合、ロープを上を移動することができる車輪が備えられた懸吊機構とし、軌道が形成されたロープ上を牽引すればよい。
【0075】
また、本実施形態の半導体基板製造装置1は、走行レール11、12が、水平方向に環状に設けられており、該走行レール11、12に複数の懸吊機構20が一方向に走行可能に設けられることが望ましい。この場合には、複数の懸吊機構が一方向に走行可能に設けられているため、短いサイクルで析出用基板の溶湯への浸漬を繰返し行うことができ、析出物を容易に量産することができる。
【0076】
尚、本実施形態においては、走行レール11、12が環状に設けられている場合について説明したが、これに限定されるものではない。即ち、直線状のレールであり、該レール上を懸吊機構が往復走行することによって析出用基板の溶湯への浸漬を繰返し行う構成であってもよい。
【0077】
また、本実施形態の半導体基板製造装置1における走行レール11、12は、溶湯15の内側領域の上方に配置され、懸吊機構20に懸吊された析出用基板14を溶湯15に浸漬させる高度に設定された第1水平走行部11a、12aと、第1水平走行部11a、12aの上流側及び下流側にそれぞれ配置され、懸吊機構20に懸吊された析出用基板14を溶湯15の湯面よりも上方に位置させる高度に設定された第2水平走行部11b、12bと、第1水平走行部11a、12aと前記第2水平走行部11b、12bとを連絡する傾斜走行部11c、12c、11d、12dと、を有する。これにより、析出用基板14が溶湯15に浸漬される距離が第1水平走行部11a、12aの距離として予め設定されているため、懸吊機構20を所定の走行速度で走行させることによって、析出用基板14の溶湯15への浸漬時間を容易に設定することができる。この結果、懸吊機構20の走行速度を複雑に制御する必要がないため、懸吊機構20の走行に要する制御装置の部品点数及び組立コストを低減することができる。
【0078】
尚、本実施形態においては、析出機構に一箇所だけ第1水平走行部を設けた場合について説明したが、これに限定されるものではない。即ち、長い走行レール上に複数第1水平走行部を設け、間に引き剥がし機構を設置し、夫々の第1水平走行部において析出が行われてもよい。
【0079】
また、本実施形態の半導体基板製造装置1における懸吊機構20は、走行速度を変更可能にされている。これにより、走行レール11、12の第1水平走行部11a、12aと第2水平走行部11b、12bとの走行速度をそれぞれ変更することができるため、例えば、第1水平走行部11a、12aで低速走行して浸漬時間を長くし、第2水平走行部11b、12bで高速走行して浸漬処理以外の処理を短時間で完了することが可能になる。また、溶湯15の湯面が小さな場合でも、第1水平走行部11a、12aにおける懸吊機構20の走行速度を低速に設定することによって、充分な浸漬時間を確保することができる。
【0080】
尚、本実施形態においては、懸吊機構20は、走行速度を変更可能にされているものとしたが、これに限定されるものではない。即ち、走行レールの軌道のみで全ての工程の時間を制御することも可能である。この場合には、走行速度を一定にすることができるため、速度の制御は全く必要なくなる。
【0081】
また、本実施形態において、第1水平走行部11a、12a下流側にて、析出用基板14を上下反転するものであってもよい。そうすると、析出用基板14を溶湯15に浸漬した後、半導体基板(析出板)2が基板面14aから離脱して落下するのを未然に防止することができる。
【0082】
【発明の効果】
以上示したように、1の発明によると、一定のレール軌道に設定された走行レールと、この走行レールを走行する懸吊機構とからなる簡単な構成で、懸吊機構を走行レール上に走行させるという簡単な制御動作を行うことにより、析出用基板を溶湯に浸漬させて引き上げる等の複雑な一連の処理動作を実現することができる。
【0083】
2の発明によると、複数の懸吊機構が一方向に走行可能に設けられているため、短いサイクルで析出用基板の溶湯への浸漬を繰返し行うことができ、析出物を容易に量産することができる。
【0084】
3の発明によると、析出用基板が溶湯に浸漬される距離が第1水平走行部の距離として予め設定されているため、懸吊機構を所定の走行速度で走行させることによって、析出用基板の溶湯への浸漬時間を容易に設定することができる。この結果、懸吊機構の走行速度を複雑に制御する必要がないため、懸吊機構の走行に要する制御装置の部品点数及び組立コストを低減することができる。
【0085】
4の発明によると、走行レールの第1水平走行部と第2水平走行部との走行速度をそれぞれ変更することができるため、例えば、第1水平走行部で低速走行して浸漬時間を長くし、第2水平走行部で高速走行して浸漬処理以外の処理を短時間で完了することが可能になる。また、溶湯の湯面が小さな場合でも、第1水平走行部における懸吊機構の走行速度を低速に設定することによって、充分な浸漬時間を確保することができる。
【0086】
5の発明によると、析出用基板を溶湯に浸漬した後、析出板が基板面から離脱して落下するのを未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】半導体基板製造装置を正面視した場合における概略構成図である。
【図2】半導体基板製造装置を側面視した場合における概略構成図である。
【図3】半導体基板製造装置を上面から視た場合における概略構成図である。
【図4】懸吊機構の斜視図である。
【図5】図4の懸吊機構のA−A´線矢視断面図である。
【図6】図4の懸吊機構のB−B´線矢視断面図である。
【図7】析出用基板が溶湯に浸漬する状態を示す説明図である。
【図8】カーボン基板把持装置の斜視図である。
【図9】カーボン基板把持装置の斜視図である。
【図10】カーボン基板把持装置の分解斜視図である。
【図11】溶湯の収容状態を示す斜視図である。
【図12】ルツボの熱伝導の状態を示す説明図である。
【図13】研磨機本体の斜視図である。
【符号の説明】
1 半導体基板製造装置(析出板製造装置)
2 半導体基板(析出板)
3 真空容器
4 上側タンク部
5 下側タンク部
5a 搬入出部
6 上側収容室
7 下側収容室
8a〜8c 第1〜第3覗き窓部
8d 第5覗き窓部
8e 第5覗き窓部
9 開閉扉
10 析出機構
11 内側走行レール
12 外側走行レール
11a、12a 第1水平走行部
11b、12b 第2水平走行部
11c、12c 第1傾斜走行部
11d、12d 第2傾斜走行部
13a 支柱
13b 支柱
14 析出用基板
15 溶湯
20 懸吊機構
41 第1縦設部材
42 第2縦設部材
43 カーボン基板把持装置
51 ルツボ装置
52 ルツボ
52a 収容部
52b 側面壁
52c 底面壁
53 誘導加熱コイル
54 ルツボ支持台
54a 断熱支持体
54b 冷却盤
54c 搬送台
55 電力ケーブル
56 搬送ローラ
57 ルツボ搬入出機構
61 湯面高さ検出部
78 第1熱遮蔽体
81 予熱機構
82 予熱ヒーター
83 電力ケーブル
85 引き剥がし機構
87 剥離部材
88 基板載置台
101 溶解対象物

Claims (2)

  1. 溶解対象物の融湯に対して析出用基板を一定時間浸漬させることによって、該析出用基板に溶解対象物の凝固成長した析出板を生成させる析出板製造装置であって、
    前記溶湯の上方を通過するように配置された走行レールと、
    前記走行レールに走行可能に設けられ、前記析出用基板を懸吊する懸吊機構と
    を備え、
    前記走行レールは、前記懸吊機構の走行に伴って前記析出用基板を昇降させつつ、前記溶湯面に対する基板面角度を変化させて前記溶湯に浸漬させるようにレール軌道の高度が変更されているとともに、水平方向に環状に設けられており、
    前記走行レールには、複数の前記懸吊機構が同一方向に走行可能に設けられていることを特徴とする析出板製造装置。
  2. 溶解対象物の融湯に対して析出用基板を一定時間浸漬させることによって、該析出用基板に溶解対象物の凝固成長した析出板を生成させる析出板製造装置であって、
    前記溶湯の上方を通過するように配置された2つの走行レールと、
    前記2つの走行レールの一方の前記走行レールに載置され前部に配置された車輪と、他方の前記走行レールに載置され後部に配置された車輪とにより前記2つの走行レールに走行可能に設けられ、前記析出用基板を懸吊する懸吊機構と
    を備え、
    前記2つの走行レールは、
    前記溶湯の内側領域の上方に配置され、前記懸吊機構に懸吊された析出用基板を溶湯に浸漬させる高度に設定され、前記2つの走行レールが水平方向から視て重なるように並設された第1水平走行部と、
    前記第1水平走行部の上流側及び下流側にそれぞれ配置され、前記懸吊機構に懸吊された析出用基板を前記溶湯の湯面よりも上方に位置させる高度に設定され、前記2つの走行レールが水平方向から視て重なるように並設された第2水平走行部と、
    前記第1水平走行部と前記第2水平走行部とを連絡し、所定の基板面角度に調節されるように水平方向から視て前記2つの走行レールの高度がずれて設けられた傾斜走行部と
    を有することを特徴とする析出板製造装置。
JP2002153506A 2002-05-28 2002-05-28 析出板製造装置 Expired - Fee Related JP4240913B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002153506A JP4240913B2 (ja) 2002-05-28 2002-05-28 析出板製造装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002153506A JP4240913B2 (ja) 2002-05-28 2002-05-28 析出板製造装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003340561A JP2003340561A (ja) 2003-12-02
JP4240913B2 true JP4240913B2 (ja) 2009-03-18

Family

ID=29770528

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002153506A Expired - Fee Related JP4240913B2 (ja) 2002-05-28 2002-05-28 析出板製造装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4240913B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103111605A (zh) * 2013-03-04 2013-05-22 宁波海湖蓄电池有限公司 蓄电池铸焊机

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4573750B2 (ja) * 2005-11-02 2010-11-04 シャープ株式会社 薄板製造方法および薄板製造装置
CN109500378B (zh) * 2018-12-18 2023-08-29 广西贝恩机械设备有限责任公司 一种铁合金系列产品冶炼铁水浇铸成粒状产品的颗粒机

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103111605A (zh) * 2013-03-04 2013-05-22 宁波海湖蓄电池有限公司 蓄电池铸焊机

Also Published As

Publication number Publication date
JP2003340561A (ja) 2003-12-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4240913B2 (ja) 析出板製造装置
KR101406508B1 (ko) 박판유리 강화열처리장치
JP2013253298A (ja) ターゲットユニットの製造方法及びターゲットユニットの製造装置
JP4039057B2 (ja) 析出用基板
JP4135362B2 (ja) 析出板製造装置
JP4214696B2 (ja) 析出板製造装置
JP4793772B2 (ja) ルツボ装置
JP4123777B2 (ja) 析出板製造装置
JP4061913B2 (ja) 析出板製造装置
JP4296339B2 (ja) 析出板製造装置
JP4524542B2 (ja) 駆動源の冷却装置
JP2003201197A (ja) ルツボ装置およびそれを備えた析出板製造装置
JP4240936B2 (ja) 析出用基板
JP4007003B2 (ja) 基板保持装置および基板保持方法
JP4555539B2 (ja) 溶湯監視装置およびそれを備えた真空溶解装置
JP2003342015A (ja) 析出板製造装置
JP4155056B2 (ja) 析出板製造装置
JP3973852B2 (ja) 半導体基材製造装置
JP4374857B2 (ja) 析出板製造装置
JP4250973B2 (ja) 析出板製造装置
JP4415550B2 (ja) 析出用基板および析出板製造装置
JPH01297224A (ja) 粉体スラッシュ成形装置
JPH09217113A (ja) 焼入装置
US20240085111A1 (en) Heat treatment system
JP2004293760A (ja) 駆動機構

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050513

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20061102

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080902

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081031

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20081209

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20081222

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120109

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130109

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130109

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140109

Year of fee payment: 5

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees