JP4296339B2 - 析出板製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、外部環境とは異なる処理環境下で溶解対象物を溶湯とし、該溶解対象物を析出用基板の基板面に凝固成長させることによって、シート状の析出板を製造する析出板製造装置に関し、特に、析出用基板の析出条件を同じとする析出用基板製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば半導体基板を製造する場合のように、加熱溶融された溶解対象物に対して析出処理を施して目的とする析出板を製造する場合には、通常、外部環境とは異なる処理環境を出現させる真空容器と、溶解対象物を溶湯とするように加熱しながら収容する溶解炉装置と、析出用基板を溶湯に浸漬させて引き上げる析出機構とを備えた析出板製造装置が使用される。そして、従来、上記の析出板製造装置を用いて所定厚の析出板を製造する場合には、真空容器内に外部環境とは異なる処理環境を出現させ、この処理環境下で溶解対象物を加熱溶融して溶湯とする。この後、溶湯に析出用基板を浸漬させ、基板面に溶解対象物を析出させて凝固成長させ、所定の浸漬時間が経過した後に溶湯から引き上げることによって、所定厚の析出板を基板面に生成させる処理が行われる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のように、溶湯に対する浸漬時間を所定時間に設定することより所定厚の析出板を製造する構成では、析出板が一定の時間間隔(サイクルタイム)ごとに繰り返して製造されるときには各析出板の厚みの変動幅が小さなものであるが、例えば溶解対象物の補給等が必要となって製造のサイクルタイムが不規則になったような場合、各析出板の厚みの変動幅が無視できない程に大きなものになるという問題がある。また、一定のサイクルタイムで製造される場合においても、析出板内の厚み分布が不均一になり易いという問題もある。
【0004】
そこで、本発明者らは、析出板の厚みや厚み分布の変動要因を調査および検討した結果、析出用基板が溶湯に浸漬するときの基板面の温度および温度分布が溶解対象物の凝固成長の速度に大きく関係しており、凝固成長の速度と浸漬時間との積算により析出板の厚みおよび厚み分布が決定されるため、凝固成長の速度を析出用基板間および基板面内で一定にすることが必要であることを見出した。
【0005】
従って、本発明は、析出用基板が溶湯に浸漬するときの基板面の温度および温度分布を常に一定にした析出条件で析出板を得ることのできる析出板製造装置を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明に記載の析出板製造装置は、密閉状態にされた処理室で溶解対象物を溶湯とし、該溶解対象物を析出用基板の基板面に凝固成長させることによって、シート状の析出板を製造する析出板製造装置であって、前記溶解対象物を溶湯とするように加熱しながら収容する溶解炉装置と、前記析出用基板を前記溶解対象物に浸漬させて引き上げる析出機構と、浸漬前の前記析出用基板に対する予熱機構とを備え、前記予熱機構は、平面的に巻かれた2以上の渦巻きコイルを同一仮想平面内に配置することにより形成された予熱板と、前記予熱板内の互いに隣り合うコイルに流れる電流の回転方向を反対向きとするように電流を供給する電流供給手段と、所定間隔離して互いに対向するように配置された前記予熱板と静止させた析出用基板との対向位置を所定時間間隔で相対的に変化させるように前記予熱板及び前記析出用基板のどちらか一方を他方に対して回転させる手段とを有することを特徴とするものである。
そして、前記予熱板及び前記析出用基板のどちらか一方を他方に対して回転させる手段を使用して、予熱板と析出用基板との対向位置を所定時間間隔で相対的に変化させると、電力密度分布の高い部分と低い部分とを入れ代えることができる。このため、このような位置変化を一度若しくは何回か繰返して析出用基板の均一な加熱を行うことで、析出基板面の温度及び温度分布が一定になるまで平準化することができる。
【0007】
前記予熱機構は、平面的に巻かれた2以上の渦巻きコイルを同一仮想平面内に配置することにより形成された予熱板と、前記予熱板内の互いに隣り合うコイルに流れる電流の回転方向を反対向きとするように電流を供給する電流供給手段を有する。そして、析出用基板と前記予熱板とは所定間隔離されて互いに対向するように配置され、前記予熱板内の互いに隣り合うコイルに流れる電流の回転方向が反対向きとなるように電流が供給されることにより、前記析出用基板は電磁誘導加熱される。
前記構造の本発明の析出板製造装置よると、コイルが2以上設けられているので、前記析出用基板における電力密度の高い部分と低い部分との間隔を短くするように配置することができる。その結果、加熱温度分布のムラが生じない。
【0008】
また、本発明の析出板製造装置は、前記予熱板と析出用基板との対向位置を所定時間間隔で相対的に変化させる手段が設けられている。
前記構造の本発明の析出板製造装置よると、対向位置を変化させることで、前記析出用基板上での電流密度の高い部分と低い部分を入れ代えることができる。
【0009】
また、本発明の析出板製造装置は、一つの析出用基板に対して2以上の予熱板が用意され、前記2以上の予熱板の間を所定時間間隔で前記一つの析出用基板を移動させる移動手段を設けていてもよい。
前記予熱板のコイル配置位置は2以上の予熱板間で異なっている。
前記構造の本発明の析出板製造装置よると、一つの析出用基板に対して異なる電力密度分布を起こさせる複数の予熱板の間を前記一つの析出用基板が移動することで、前記析出用基板上での電流密度の高い部分と低い部分を入れ代えることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図1乃至図12に基づいて以下に説明する。
本発明の実施の形態に係る予熱機構81は、図1に示すように、Siを主成分とするシート状の半導体基板2を製造する半導体基板製造装置1に搭載されている。尚、半導体基板製造装置1は、析出板製造装置の一種であり、半導体基板2は、前記析出板製造装置によって製造される析出板の一種である。前記析出板製造装置は、密閉状態にされた処理室で半導体材料や金属材料等の溶解対象物101を加熱溶融して溶湯とし、この溶解対象物101をシート状の析出板となるように製造する装置を意味する。また、溶解対象物101としては、Si等の半導体材料の他、鉄やチタン等の金属材料を挙げることができる。
【0011】
上記の半導体基板製造装置1は、外部環境から内部を密閉状態に隔離可能な二重壁構造の密閉処理室、即ち、真空容器3を備えている。真空容器3は、上側収容室6を形成する円筒形状の上側タンク部4と、上側タンク部4の下部に設けられ、上側収容室6に連通した下側収容室7を形成する下側タンク部5とを有している。上側タンク部4の上面中央部には、第1〜第4覗き窓部8a〜8cが幅方向に形成されており、これらの覗き窓部8a〜8cは、上側収容室6および下側収容室7を上側タンク部4の幅方向全体に渡って目視可能にしている。また、図2に示すように、上側タンク部4の一端部には、第5覗き窓部8eが形成されている。第5覗き窓部8eは、上側収容室6および下側収容室7を上側タンク部4の長手方向全体に渡って目視可能にしている。
【0012】
また、下側タンク部5の一方の側面壁には、図1に示すように、搬入出部5aが開口されている。搬入出部5aは、上側タンク部4の長手方向(紙面に対して垂直方向)に進退移動する開閉扉9により開閉可能にされている。そして、このように構成された真空容器3には、Arガス等の不活性ガスを供給する図示しないガス供給装置および両収容室6・7の空気を排気する図示しない真空排気装置が接続されている。これらの装置は、真空容器3の両収容室6・7を所定の圧力に減圧しながら不活性ガスを供給することによって、外部環境とは異なる処理環境を両収容室6・7に出現させるようになっている。
【0013】
上記の両収容室6・7の略中央部には、析出用基板14を溶湯15に浸漬させて引き上げる析出機構10が設けられている。析出機構10は、水平移動機構13と、水平移動機構13により水平移動可能にされた垂直移動機構11と、垂直移動機構11により昇降可能にされた旋回機構12とを有している。水平移動機構13は、水平方向に配置され、上側収容室6の両端部にかけて可動範囲が設定された水平搬送部16と、水平搬送部16の一端部に設けられた水平駆動部17とを有している。
【0014】
水平搬送部16は、図2に示すように、周面全体にネジ溝が形成されたネジ軸部材18と、ネジ軸部材18に螺合されたブロック部材19と、ブロック部材19の下面を進退移動自在に支持するレール部材20と、ブロック部材19の上面に設けられ、垂直移動機構11に連結された連結部材21とを有している。また、水平搬送部16は、これらの部材18〜19の上面を覆い隠すように設けられたカバー部材22を備えている。カバー部材22は、溶湯15等から飛散して浮遊する塵埃が各部材18〜19に積層することを防止している。
【0015】
上記の水平搬送部16の一端部には、図1に示すように、水平駆動部17が連結されている。水平駆動部17は、任意の回転速度で正逆回転可能であると共に所定の保持力で停止可能なサーボモータ等の水平駆動装置23と、水平駆動装置23を冷却する第1冷却装置24とを有している。水平駆動装置23は、ネジ軸部材18の一端部に連結されており、ネジ軸部材18を正逆回転させることによって、ブロック部材19等を介して垂直移動機構11を水平方向の任意の位置に移動可能にしている。
【0016】
予熱機構81は、図1に示すように、ルツボ装置51から見て析出用基板14の進行方向の上流側に設けられている。予熱機構81は、予熱位置Aの下方に配置されたコイルからなる予熱板82と、前記予熱板82に着脱可能に接続された電力ケーブル83と、真空容器3の外部に配置され、電力ケーブル83を介して予熱用電流を前記コイルに供給する図示しない電流供給手段とを有している。
そして、前記析出用基板14と前記予熱板82とを所定間隔離して互いに対向するように配置すると、予熱機構81は、前記予熱板82のコイルに電流を供給して前記析出用基板14を電磁誘導加熱する。真空中での短時間加熱の条件を満足するために渦巻き形のコイルで電磁誘導加熱を行う。
このように前記析出用基板14を所定温度に昇温させることで、溶湯15と析出用基板14との温度差を一定にする。
【0017】
前記予熱板82を図11を用いて説明する。図11(a)は予熱板82の平面図を、図11(b)は前記予熱板82と対向する析出用基板14の電力密度分布を示している
前記予熱板82は、図11(a)に示すように、平面的に巻かれた2以上の渦巻きコイル82a,82bを同一仮想平面P内に配置することにより形成されている。前記2以上の渦巻きコイル82a,82bは、図11(b)に示すように、前記析出用基板14における電力密度の高い部分と低い部分との間隔を短くするように配置される。
【0018】
前記析出用基板14の形状に合わせて円形渦巻き形コイルや四角形渦巻きコイルが使用される。本実施形態においては、2つの四角形渦巻きコイル82a,82bが用いられている。
電流供給手段は、前記予熱板82内の互いに隣り合うコイル82a,82bに流れる電流の回転方向が、矢印に示すように、反対向きとなるように電流を供給する。
このような予熱機構81による析出用基板14の加熱によると、加熱温度分布のムラが生じない。
【0019】
更に、析出用基板14の更なる均一な加熱を行うために、次のような手段を設ける。
図12に示すように、予熱板82と析出用基板14との対向位置を所定時間間隔で相対的に変化させる手段を設ける。この手段は予熱板82及び析出用基板14のどちらか一方を他方に対して回転させる。図12は所定間隔開けて対向配置されている予熱板82と析出用基板14とを上面からみた図である。図12(a)は基準位置、図12(b) は基準位置から予熱板82及び析出用基板14のどちらか一方が他方に対して90度回転した位置を示している。図12中、Mは析出用基板14に設けられた位置決めマークであり、○は析出用基板14上の電力密度分布が高い部分、×は低い部分を示している。
【0020】
予熱板82と析出用基板14との対向位置を所定時間間隔で相対的に変化させると、電力密度分布の高い部分と低い部分が入れ代わっていることが分かる。このような位置変化を一度若しくは何回か繰返して析出用基板14の更なる均一な加熱を行う。尚、位置変化を起こさせる回転(距離的)間隔や時間間隔、その回数は任意であり、適宜定められる。
【0021】
また、一つの析出用基板14に対して2以上の予熱板82を用意して前記2以上の予熱板82の間を所定時間間隔で前記一つの析出用基板14を移動させる移動手段を設けても良い。一つの析出用基板14に対して異なる電力密度分布を起こさせるように、前記予熱板82のコイル配置位置は複数の予熱板82間で異ならせる。
一つの析出用基板14に対して異なる電力密度分布を起こさせる複数の予熱板82の間を所定時間間隔で前記一つの析出用基板14が移動すると、電力密度分布の高い部分と低い部分と入れ代えることができる。その結果、析出用基板14の更なる均一な加熱が行える。尚、移動の時間間隔、その回数は任意であり、適宜定められる。
【0022】
本発明の析出板製造装置における予熱機構81によると、比較的長尺な析出用基板面14であっても次のようにコイルを配置することにより均一な加熱ができる。
比較的長尺な析出用基板面14の長尺方向にコイルを分割して析出用基板14上の電力密度の高いところと低いところの間隔を縮めるように2以上のコイルを設ける。
【0023】
また、上記の析出用基板14は、図3および図4に示すように、カーボンにより形成されている。析出用基板14は、半導体基板2が析出される下面からなる基板面14aと、進行方向の上流側および下流側の各側面に形成された傾斜部14bと、析出用基板14の上面(反基板面)に形成された把持部14cとを有している。傾斜部14bは、基板面14aの両端部が上面の両端部の内側に位置するように基板面14aから上面側にかけて傾斜されている。具体的には、傾斜部14bは、溶湯15に対する浸漬角度θ1 よりも基板面14aに対する傾斜角度θ2 が大きな角度となるように設定されており、半導体基板2の端部を上面の両端部よりも進行方向の内側に位置させるようになっている。
【0024】
また、析出用基板14の上面に形成された把持部14cは、断面が逆台形形状に形成されており、カーボン基板把持装置43の一部を構成している。カーボン基板把持装置43は、把持部14cを着脱自在に保持するチャック機構44を備えている。チャック機構44は、チャック部材45・45を左右対称に備えている。各チャック部材45・45は、把持部14cに係合するように下面に形成された係合部45aと、ゴミ等の落下物を受け止めるように上面の四辺に沿って形成された環状溝部45bと、環状溝部45bに周囲を囲まれた懸吊部45cとを有している。
【0025】
上記の懸吊部45cの上面には、2つの突設部45d・45dが対向配置されている。両突設部45d・45dの中央部には、ピン挿通穴45e・45eが形成されている。これらの突設部45d・45d間には、図5に示すように、旋回支持機構42の各縦設部材42a・42bが嵌合されるようになっている。そして、ピン挿通穴45e・45eには、カーボン製のピン部材46が抜脱可能に挿通されるようになっており、ピン部材46は、各縦設部材42a・42cをチャック機構44に対して連結させるようになっている。
【0026】
上記のピン部材46は、溶湯15からの輻射熱の直射を回避するように、チャック部材45の析出側の投影面積よりも短くなるように形成されている。また、ピン部材46の表面には、図6に示すように、硬化層100が形成されており、ピン部材46は、硬化層100により表面の機械的強度が高められることによって、チャック部材45のピン挿通穴45eに対して着脱する際の磨耗が低減されている。一方、チャック部材45においては、ピン部材46に接触するピン挿通穴45eと、析出用基板14に接触する係合部45aおよび下面とに硬化層100が形成されている。そして、チャック部材45は、硬化層100で接触面の機械的強度が高められることによって、ピン部材46の着脱時および析出用基板14の把持時における摩耗が低減されている。
【0027】
尚、硬化層100の形成方法としては、プラズマCVDやイオンプレーティング等の表面処理方法でSiC膜をコーティングする硬化処理を挙げることができる。また、硬化層100は、チャック部材45の全表面に形成されていても良く、この場合には、チャック部材45の全体の機械的強度を高めることができるため、チャック部材45をオペレータが運搬する際に衝撃を与えても破損し難いものとすることができる。
【0028】
また、第1冷却装置24は、図7に示すように、水平駆動装置23を下側収容室7の処理環境から隔離するように収納した収納容器25と、真空容器3の外部から収納容器25内の一端側に冷却ガスを供給するガス供給配管26と、収納容器25内の他端側から真空容器3の外部に冷却ガスを排出するガス排出配管27とを有している。ガス供給配管26には、ガス供給機28が接続されており、ガス供給機28は、冷却ガスを強制的に収納容器25内に送給することにより水平駆動装置23の周囲温度を所定温度以下に維持している。尚、冷却ガスは、Arガスや窒素ガス等の不活性ガスであっても良いし、空気であっても良い。また、ガス供給機28の代わりに、高圧の冷却ガスを収容したガスボンベを使用しても良い。
【0029】
一方、図1に示すように、垂直移動機構11は、垂直方向に配置された垂直搬送部30と、垂直搬送部30の上端部に設けられた垂直駆動部31とを有している。垂直搬送部30は、図2に示すように、上述の水平移動機構13とほぼ同一の構成部材からなっており、周面全体にネジ溝が形成されたネジ軸部材32と、ネジ軸部材32に螺合され、上面(図中右面)に旋回機構12が連結されたブロック部材33と、ブロック部材33の下面(図中右面)を昇降自在に支持するレール部材34とを有している。
【0030】
上記の垂直搬送部30の上端部には、垂直駆動部31が連結されている。垂直駆動部31は、任意の回転速度で正逆回転可能であると共に所定の保持力で停止可能なサーボモータ等の垂直駆動装置35と、垂直駆動装置35を冷却する第2冷却装置36とを有している。垂直駆動装置35は、ネジ軸部材32の上端部に連結されており、ネジ軸部材32を正逆回転させることによって、ブロック部材33等を介して旋回機構12を垂直方向の任意の高さ位置に移動可能にしている。また、第2冷却装置36は、図7の収納容器25等を有した上述の第1冷却装置24と同一の部材により同一の冷却機能を発揮するように構成されている。
【0031】
上記の垂直移動機構11で昇降される旋回機構12は、ブロック部材33に一端面を連結された連結支持体38と、連結支持体38の他端面に連結された回動駆動部39とを有している。回動駆動部39は、任意の回転速度で正逆回転可能であると共に所定の保持力で停止可能なサーボモータ等の回動駆動装置40と、回動駆動装置40を冷却する第3冷却装置41とを有している。
【0032】
上記の第3冷却装置41は、垂直駆動部31と同様に、図7の収納容器25等を有した上述の第1冷却装置24と同一の部材により同一の冷却機能を発揮するように構成されている。第3冷却装置41内の回動駆動装置40は、回動軸40aの先端部が連結支持体38内に配置されている。回動軸40aの先端部には、上下方向に配置された第1縦設部材42aの上端部が固設されている。第1縦設部材42aは、横設部材42bを介して第2縦設部材42cの上端部に連結されている。また、第1および第2縦設部材42a・42cの下端部は、析出用基板14における旋回方向の両端部に連結されている。そして、第1および第2縦設部材42a・42cと横設部材42bとは、旋回支持機構42を構成しており、旋回支持機構42は、回動軸40aを中心として析出用基板14を旋回させるようになっている。
【0033】
上記の第1および第2縦設部材42a・42cは、回動軸40a側から中部までの範囲が機械的強度に優れたステンレス鋼等の金属材料で形成されている一方、中部から析出用基板14に連結された下端部までの範囲が耐熱性に優れたカーボンにより形成されている。これにより、旋回支持機構42は、析出用基板14を旋回させて高温の溶湯15に浸漬させる際に、溶湯15から大量の輻射熱を下側部分に受けることになっても、長期間に亘って初期の機械的強度を維持することが可能になっている。
【0034】
上記のように各機構11〜13で構成された析出機構10は、水平移動機構13により垂直移動機構11および旋回機構12を水平方向に進退移動させることによって、これら機構11・12と共に析出用基板14を予熱位置Aと析出位置Bと引き剥がし位置Cと研磨位置Dとに位置決め可能にしている。析出位置Bにおいては、各機構11〜13を連動させながら作動させることによって、回動軸40aよりも溶湯15側に近い旋回中心Oを半径とした析出軌跡で析出用基板14を進行させるようになっている。尚、析出軌跡は、析出用基板14を旋回方向(進行方向)の上流側から斜め方向に下降させて溶湯15に浸漬させた後、進行方向の下流側に斜め方向に上昇させて溶湯15から引き上げることによって、浸漬された部分に溶湯15の凝固成長した析出物である半導体基板2を生成させるように設定されている。
【0035】
上記のカーボン基板把持装置43で保持される析出用基板14が浸漬される溶湯15は、図8に示すように、溶解炉装置、即ち、ルツボ装置51に収容されている。ルツボ装置51は、溶湯15を収容する収容部52aを備えたルツボ52と、ルツボ52の側面壁52bの周囲に配置された誘導加熱コイル53と、これらのルツボ52および誘導加熱コイル53を支持するルツボ支持台54とを有している。誘導加熱コイル53には、図2の耐熱構造の電力ケーブル55が着脱可能に接続されており、図示しない高周波電源から高周波数の交流電力が供給されるようになっている。これにより、誘導加熱コイル53は、ルツボ52の周囲に交番磁場を生成させ、ルツボ52の主に表面側を誘導加熱することが可能になっている。
【0036】
一方、ルツボ52は、析出用基板14の進行方向が長尺となるように平面視長方形状に形成されており、溶湯15の収容量を最小限に抑制しながら、側面壁52bが析出用基板14の旋回の障害にならないようにしている。尚、ルツボ52は、析出用基板14の進行方向が長尺になる形状であれば良く、例えば平面視楕円形状であっても良い。また、ルツボ52は、図9に示すように、収容部52aの側面側と底面側との2方向から大きな熱量が伝達されるように、底面壁52cの厚みが平均ルツボ半径と略同等であり且つ側面壁52bの厚みと同等以上に設定されている。
【0037】
ここで、平均ルツボ半径とは、ルツボ52の全方向の半径を平均化したものである。また、ルツボ52の側面壁52bは、電磁誘導の浸透深さ未満の厚みに設定されていることが望ましく、この場合には、溶湯15を対流させることができるため、ゴミ等の落下物が核となって溶湯15の表面中央が凝固する現象を防止することが可能になる。
【0038】
また、ルツボ52の収容部52a内には、図8にも示すように、溶湯15の湯面高さの監視に使用されるカーボン製の湯面高さ検出部61が形成されている。湯面高さ検出部61は、収容部52aの底面から上面にかけて複数の段部61aを階段状に有している。湯面高さ検出部61は、析出用基板14の障害物とならないように、収容部52aのコーナー部に配置されている。尚、湯面高さ検出部61は、ルツボ52と一体的に形成されていても良いし、ルツボ52とは別に形成されていても良い。
【0039】
さらに、ルツボ52の収容部52a内には、ルツボ52の長手方向(半導体基板2の進行方向)に沿って仕切り壁62が設けられている。仕切り壁62は、析出用基板14の障害物とならないように配置されている。また、仕切り壁62は、上端部がルツボ52の上面に位置し、下端部が収容部52aの底面上方に位置するように形成されている。これにより、仕切り壁62は、析出用基板14が浸漬する第1溶解槽63と、第1溶解槽63に連通する第2溶解槽64とに収容部52aを区分しており、第2溶解槽64と第1溶解槽63との間における湯面の乱れの伝播を防止している。
【0040】
上記のように構成されたルツボ52は、ルツボ支持台54により支持されている。ルツボ支持台54は、図1に示すように、ルツボ52および誘導加熱コイル53をそれぞれ独立して支持すると、断熱支持体54aの下面に接合され、冷却配管を埋設された冷却盤54bと、冷却盤54bを支持する搬送台54cとを有している。ルツボ支持台54は、ルツボ搬入出機構57に載置されている。ルツボ搬入出機構57は、真空容器3の搬入出部5aを挟んで真空容器3の内外に敷設されており、複数の搬送ローラー56を回転可能に備えている。そして、ルツボ搬入出機構57は、搬送ローラー56を正逆回転させることによって、ルツボ支持台54やルツボ52等からなるルツボ装置51の真空容器3に対する搬入出を可能にしている。
【0041】
上記のルツボ装置51の上方には、図2に示すように、溶解対象物101を第2溶解槽64に供給する供給機構71が設けられている。供給機構71は、先端部に投入部が形成され、粉状や塊状の溶解対象物101を収容した収容箱72と、収容箱72を水平方向に進退移動させる収容箱移動機構73と、収容箱72内の溶解対象物101を先端部から押し出す押出機構74とを備えている。
【0042】
また、ルツボ装置51の上方における真空容器3の第1覗き窓部8aには、図1に示すように、湯面高さ検出部61を溶湯15と共に撮像して撮像信号を出力する撮像装置75が設けられている。撮像装置75は、CCDカメラ等のカメラ本体76と、カメラ本体76の前方に配置されたスリット板77とを有している。スリット板77には、カメラ本体76の撮像領域を湯面高さ検出部61の周辺に制限するスリットが形成されている。
【0043】
上記の撮像装置75および供給機構71は、図示しない制御装置に接続されている。制御装置は、演算部や記憶部、入出力部等を備えており、半導体基板製造装置1の各機構を個別および連動させながら制御する各種の機能を備えている。具体的には、湯面高さ検出部61の各段部61aにおける撮像信号の明暗に基づいて溶湯15の湯面高さを検出する機能や、検出された湯面高さが所定の基準高さとなるように、供給機構71における溶解対象物101の供給タイミングおよび/または供給量を制御する機能等を有している。
【0044】
また、ルツボ装置51と析出機構10との間には、溶湯15から析出機構10に向かう輻射熱を遮る第1熱遮蔽体78が設けられている。第1熱遮蔽体78は、銅製の熱遮蔽板78aと、熱遮蔽板78aの上面に接合され、熱遮蔽板78aを冷却する冷却配管78bとを備えている。熱遮蔽板78aには、旋回支持機構42を挿通させる開口部と、撮像装置75による湯面高さ検出部61の撮像を可能にする窓部とが形成されている。これにより、第1熱遮蔽体78は、析出機構10に対する輻射熱の直射を極力低減することによって、析出機構10の過熱を防止するようになっている。さらに、ルツボ装置51と第1熱遮蔽体78との間には、旋回支持機構42への輻射熱の直射を防止するように、第2熱遮蔽体79が設けられている。
【0045】
一方、ルツボ装置51から見て析出用基板14の進行方向の下流側には、引き剥がし機構85と研磨機構86とがこの順に配置されている。引き剥がし機構85は、引き剥がし位置Cの下方に配置されており、析出用基板14と半導体基板2との間に進入する剥離部材87と、剥離部材87により引き剥がされて落下した半導体基板2を受け止める基板載置台88とを備えている。
【0046】
また、研磨機構86は、研磨位置Dの斜め下方向に配置されている。研磨機構86は、析出用基板14を進入させるように上縁部の一部が開口された収納ボックス89と、収納ボックス89内に設けられた研磨機本体90とを備えている。研磨機本体90は、図10に示すように、析出用基板14の基板面14aが面状に当接される研磨ベルト91と、研磨ベルト91を張設した駆動ローラー92および従動ローラー93と、駆動ローラー92の一端部に接続され、研磨ベルト91を回転駆動させるローラー駆動モータ94と、ローラー駆動モータ94を冷却する第4冷却装置95と、これら部材を支持する研磨支持台96とを備えている。尚、第4冷却装置95は、図7の収納容器25等を有した上述の第1冷却装置24と同一の部材により同一の冷却機能を発揮するように構成されている。そして、このように構成された研磨機本体90は、析出用基板14の基板面14aに研磨ベルト91を面状に当接させながら回転させることによって、基板面14aに付着した付着物を除去するようになっている。
【0047】
上記の構成において、半導体基板製造装置1の動作を通じて予熱機構81の動作を説明する。
【0048】
(準備・保全工程)
準備・保全工程は、半導体基板2の生産開始前および生産開始後において、半導体基板製造装置1を生産に適した状態にする場合に実施される。即ち、図1に示すように、ルツボ装置51の検査やルツボ52の交換、真空容器3内の各機構の検査等を行う場合には、先ず、開閉扉9が移動されて真空容器3の搬入出部5aが開口される。そして、電力ケーブル55がルツボ装置51から切り離された後、ルツボ搬入出機構57の各搬送ローラー56が回転されることによって、ルツボ装置51が搬入出部5aを介して機外に搬出される。この後、図示しない検査作業場において、ルツボ装置51の検査等が実施され、不具合があれば、該当箇所の修理や交換が行われる。
【0049】
また、ルツボ装置51の検査中に、図2に示すように、供給機構71の収容箱72に収容された溶解対象物101の残存量が確認され、適正な量となるように補充される。さらに、オペレータが真空容器3内の状態を目視等により検査し、必要に応じて部品の修理および交換が行われる。
【0050】
例えばカーボン基板把持装置43に取り付けられた析出用基板14に不具合がある場合には、図5および図6に示すように、ピン部材46がピン挿通穴45eから抜脱されることによって、旋回支持機構42の第1および第2縦設部材42a・42cが突設部45d・45dから切り離される。これにより、縦設部材42a・42cにより析出用基板14の上面に左右方向に固定されていたチャック部材45・45が自由な状態となる。そして、チャック部材45・45が左右方向に引き離すように移動されることによって、析出用基板14がカーボン基板把持装置43から取り外される。
【0051】
次に、新たな析出用基板14が準備され、この析出用基板14の把持部14cを挟み込むようにチャック部材45・45がセットされる。この後、旋回支持機構42の第1および第2縦設部材42a・42cが突設部45d・45d間に挿入され、ピン部材46がピン挿通穴45eに挿通される。これにより、チャック部材45・45が左右方向に固定され、係合部45a・45aが把持部14cを把持することによって、析出用基板14がカーボン基板把持装置43に取り付けられる。
【0052】
ここで、カーボン基板把持装置43に対して析出用基板14が着脱される場合には、チャック部材45のピン挿通穴45eとピン部材46との擦れ合いや、チャック部材45の係合部45aと析出用基板14との擦れ合いが生じるため、磨耗し易い状態となる。ところが、ピン部材46やカーボン基板把持装置43の擦れ合う部分は、硬化層100により機械的強度が高められている。従って、析出用基板14の着脱が繰り返して行われた場合でも、ピン部材46およびカーボン基板把持装置43が初期の形状を維持するため、ピン部材46およびカーボン基板把持装置43を長期間に亘って使用することができる。また、析出用基板14の着脱時において、ピン部材46等の一部が破損して欠落することになった場合でも、この落下物が環状溝部45bで受け止められるため、図1の溶湯15にゴミとして落下することはない。
【0053】
次に、上記のようにして各機器の検査および交換等が完了すると、図1に示すように、開閉扉9により搬入出部5aが閉鎖され、真空容器3内の上側収容室6および下側収容室7が内部から密閉される。そして、図示しない真空排気装置が作動されて空気が排気された後、Arガス等の不活性ガスが供給されることによって、外部環境とは異なる処理環境が収容室6・7に形成される。
【0054】
この後、誘導加熱コイル53に高周波数の交流電力が供給され、高周波磁界がルツボ52の周囲に生成される。この結果、図9に示すように、ルツボ52の側面壁の表面側に強度の磁界が印加されることによって、側面壁の主に表面側が誘導加熱により加熱され、この表面側の熱量が内側方向に向かって伝導していくことになる。この際、ルツボ52は、底面壁52cの厚みが平均ルツボ半径と略同等であり且つ側面壁52bの厚みと同等以上に設定されている。これにより、収容部52aの側面側と底面側との2方向から大きな熱量が伝達され、この熱量で溶解対象物101が均等に加熱される結果、早期に全体が溶解して溶湯15となる。また、溶湯15になった後は、この溶湯15の側面および下面が大きな熱量で加熱され続けられるため、溶湯15全体が均一な温度に維持される。
【0055】
また、溶湯15が形成されると、真空容器3内の収容室6・7が高温になると共に、溶湯15から高温の輻射熱が放出される。そして、輻射熱の一部は、析出機構10方向に進行することになるが、析出機構10の手前に配設された第1熱遮蔽体78および第2熱遮蔽体79により進行が遮られるため、析出機構10に殆んど到達することがない。これにより、析出機構10は、輻射熱が直射されることによる熱劣化が防止されている。
【0056】
また、高温化した真空容器3内の収容室6・7には、析出機構10の駆動装置23・35・40および研磨機構86のローラー駆動モータ94が冷却装置24・36・41・95にそれぞれ収容されることにより冷却されている。この際、図7に示すように、冷却装置24・36・41・95に使用される冷却媒体には、冷却ガスが使用されている。従って、ガス供給配管26やガス排出配管27、収納容器25等が破損することによって、冷却ガスが収容室6・7に漏洩した場合でも、冷却水が溶湯15に接触して重大な故障を引き起こすような事態を生じることがない。
【0057】
(予熱工程)
上記のようにして所望の処理環境下で溶湯15が形成されることによって、生産の準備が完了すると、図1に示すように、析出機構10の垂直移動機構11が水平移動機構13により予熱位置Aに水平移動される。そして、旋回機構12が析出用基板14を垂下させた姿勢を維持しながら垂直移動機構11により下降されることによって、析出用基板14が予熱板82に対向するに位置配設される。析出用基板14と予熱板82とは所定間隔離されている。この後、予熱板82に電流供給手段から予熱用電流が供給される。すると、析出用基板14が電磁誘導加熱により昇温され、析出用基板14が所定の予熱温度となるように加熱される。この際、図示しない温度センサが設けられており、析出用基板14またはカーボン基板把持装置43の温度を検出しながら、析出用基板14を所定温度まで加熱する。
尚、予熱用電流は常時供給されていても良いし、析出用基板14またはカーボン基板把持装置43の予熱板82の温度を検知することによって必要な時のみ供給されるものであってもよい。または、析出用基板を昇温するに必要な電力量は決まっているので電力と加熱時間を制御する方法をとってもよい。
【0058】
(析出工程)
析出用基板14が所定の予熱温度になると、垂直移動機構11が析出位置Bに移動される。そして、垂直移動機構11と旋回機構12と水平移動機構13とが連動して作動されることによって、回動軸40aよりも溶湯15側に近い旋回中心Oを半径とした析出軌跡で析出用基板14が旋回される。この結果、図4に示すように、析出用基板14が溶湯15に浸漬され、析出用基板14の基板面14aに溶湯15が析出して半導体基板2となり、一定時間の経過後に、半導体基板2が溶湯15から引き上げられることによって、所定厚みの半導体基板2が形成される。
【0059】
この時、基板面14aの温度によって、溶解対象物101の凝固成長速度が決まる。即ち、基板面14aの温度が低く溶湯15との温度差が大きければ凝固成長速度は速くなり、基板面14aの温度が高く溶湯15との温度差が小さければ凝固成長速度は遅くなる。このように凝固成長速度が異なると溶解対象物101の結晶の構造や厚みが異なってくる。例えば、溶解対象物101の凝固成長速度が遅いと、溶解対象101の結晶は格子欠陥の少ないものとなり品質は安定する。そのため、基板面14a上で温度分布が存在すると、半導体基板2の面内で品質にバラツキのあるものとなってしまうが、先程の予熱工程により析出用基板14の基板面14aは全体的に均一な温度分布とされているため、本工程で全体に均一な品質である半導体基板2を得ることができる。また、一定のサイクルタイムで製造されない場合においても、析出条件を同じとし、同品質の半導体基板2を得ることができる。
【0060】
(引き剥がし工程)
所定厚みの半導体基板2が析出用基板14の基板面14aに形成されると、垂直移動機構11が引き剥がし位置Cに移動される。そして、旋回機構12が析出用基板14を垂下させた姿勢から剥離部材87方向に旋回させることによって、析出用基板14と半導体基板2との間に剥離部材87を進入させる。これにより、半導体基板2が剥離部材87により強制的に析出用基板14から引き剥がされて基板載置台88に載置され、所定枚数の半導体基板2が得られた後、図示しない排出口から一括して機外に搬出される。
【0061】
(湯面制御工程)
上述の析出工程が繰り返されることによって、多数の半導体基板2が生産されると、半導体基板2の生産数に応じた消費量で溶湯15が減少する。そして、溶湯15の減少を放置すると、湯面高さが低下する結果、析出用基板14の浸漬深さが浅くなり、最終的には、析出用基板14を溶湯15に浸漬させることができなくなる。そこで、半導体基板2の生産中においては、撮像装置75によりルツボ52内の湯面高さ検出部61が撮像され、撮像信号に基づいて湯面が一定となるように溶解対象物101が供給される。
【0062】
即ち、湯面高さ検出部61を撮像して得た各段部61aの撮像信号が図示しない制御装置に取り込まれ、この制御装置において、撮像信号中の輝度信号成分が抽出される。そして、溶湯15と湯面高さ検出部61の各段部61aとを判別するように、輝度信号成分が所定の閾値で2値化される。この後、2値化データに基づいて溶湯15から露出した段部61aが求められ、所定の段部61aが露出したときに、溶湯15の湯面高さが許容範囲以下にまで低下したと判定される。そして、この場合には、図2に示すように、供給機構71から所定量の溶解対象物101が押し出されてルツボ52に投入され、所定の湯面高さに復帰される。
【0063】
尚、上記のようにしてルツボ52に溶解対象物101が投入されると、湯面が揺動することになるが、仕切り壁62で上面が区分された第2溶解槽64に対して溶解対象物101が投下されるため、析出用基板14が浸漬される第1溶解槽63に対して揺動が伝播することはない。これにより、溶解対象物101の投入中においても、半導体基板2の生産を継続することができる。
【0064】
(研磨工程)
半導体基板2の生産が繰り返されると、析出用基板14の基板面14aに付着物が残留する場合がある。従って、この場合には、垂直移動機構11が研磨位置Dに移動され、析出用基板14が研磨機構86の上方に位置される。そして、析出用基板14が下降され、析出用基板14の基板面14aが研磨ベルト91に当接されることによって、研磨ベルト91が回転される。この結果、基板面14aの付着物が強制的に擦り落とされ、基板面14aが生産当初の状態に回復されることになる。
【0065】
以上のように、本発明の析出板製造装置における予熱機構81によると、析出用基板14は溶解対象物101の溶湯15中に浸漬する前に予熱板82を用いて予熱されるため、所定温度に全面的に均一に予熱され、確実に、精度高く、全面に渡って同じ析出条件の析出板を得ることができる。また、1枚毎に所定温度に設定することで、一枚毎に析出条件の同じ半導体基板2(析出板)を製造することができる。
【0066】
【発明の効果】
本発明に記載の析出板製造装置は、密閉状態にされた処理室で溶解対象物を溶湯とし、該溶解対象物を析出用基板の基板面に凝固成長させることによって、シート状の析出板を製造する析出板製造装置であって、前記溶解対象物を溶湯とするように加熱しながら収容する溶解炉装置と、前記析出用基板を前記溶解対象物に浸漬させて引き上げる析出機構と、浸漬前の前記析出用基板に対する予熱機構とを備え、前記予熱機構は、平面的に巻かれた2以上の渦巻きコイルを同一仮想平面内に配置することにより形成された予熱板と、前記予熱板内の互いに隣り合うコイルに流れる電流の回転方向を反対向きとするように電流を供給する電流供給手段と、所定間隔離して互いに対向するように配置された前記予熱板と静止させた析出用基板との対向位置を所定時間間隔で相対的に変化させるように前記予熱板及び前記析出用基板のどちらか一方を他方に対して回転させる手段とを有することを特徴とするものである。
そして、前記予熱板及び前記析出用基板のどちらか一方を他方に対して回転させる手段を使用して、予熱板と析出用基板との対向位置を所定時間間隔で相対的に変化させると、電力密度分布の高い部分と低い部分とを入れ代えることができる。このため、このような位置変化を一度若しくは何回か繰返して析出用基板の均一な加熱を行うことで、析出基板面の温度及び温度分布が一定になるまで平準化することができる。
【0067】
また、本発明の析出板製造装置は、前記予熱板と析出用基板との対向位置を所定時間間隔で相対的に変化させる手段が設けられている。
前記構造の本発明の析出板製造装置よると、対向位置を変化させることで、前記析出用基板上での電流密度の高い部分と低い部分を入れ代えることができる。その結果、析出用基板の更なる均一な加熱が可能である。
【0068】
また、本発明において、一つの析出用基板に対して2以上の予熱板が用意され、前記予熱板のコイル配置位置は2以上の予熱板間で異なっており、前記2以上の予熱板の間を所定時間間隔で前記一つの析出用基板を移動させる移動手段を設けていてもよい。
前記構造の本発明の析出板製造装置よると、一つの析出用基板に対して異なる電力密度分布を起こさせる複数の予熱板の間を前記一つの析出用基板が移動することで、前記析出用基板上での電流密度の高い部分と低い部分を入れ代えることができる。その結果、析出用基板の更なる均一な加熱が行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】半導体基板製造装置を正面視した場合における概略構成図である。
【図2】半導体基板製造装置を側面視した場合における概略構成図である。
【図3】カーボン基板把持装置の斜視図である。
【図4】析出用基板が溶湯に浸漬する状態を示す説明図である。
【図5】カーボン基板把持装置の斜視図である。
【図6】カーボン基板把持装置の分解斜視図である。
【図7】第1冷却装置の概略構成を示す説明図である。
【図8】溶湯の収容状態を示す斜視図である。
【図9】ルツボの熱伝導の状態を示す説明図である。
【図10】研磨機本体の斜視図である。
【図11】予熱板を説明する図である。
【図12】他の予熱板を説明する図である。
【符号の説明】
82 予熱板
82a,82b 渦巻きコイル
P 仮想平面
Claims (1)
- 密閉状態にされた処理室で溶解対象物を溶湯とし、該溶解対象物を析出用基板の基板面に凝固成長させることによって、シート状の析出板を製造する析出板製造装置であって、
前記溶解対象物を溶湯とするように加熱しながら収容する溶解炉装置と、前記析出用基板を前記溶解対象物に浸漬させて引き上げる析出機構と、浸漬前の前記析出用基板に対する予熱機構とを備え、
前記予熱機構は、平面的に巻かれた2以上の渦巻きコイルを同一仮想平面内に配置することにより形成された予熱板と、
前記予熱板内の互いに隣り合うコイルに流れる電流の回転方向を反対向きとするように電流を供給する電流供給手段と、
所定間隔離して互いに対向するように配置された前記予熱板と静止させた析出用基板との対向位置を所定時間間隔で相対的に変化させるように前記予熱板及び前記析出用基板のどちらか一方を他方に対して回転させる手段とを有することを特徴とする析出板製造装置。
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