JP3973852B2 - 半導体基材製造装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、融液状の半導体材料を結晶析出させて半導体ウエハ等の基材となる半導体基材を製造する半導体基材製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体基材製造装置は、シリコン等の半導体材料を収容するルツボと、このルツボ内の半導体材料を加熱して溶解させる加熱機構と、ルツボ内の半導体材料に対して種結晶を接離可能に昇降させる昇降機構と、これら機構を内部に収容した真空タンクとを備えている。この装置を用いて半導体ウエハを製造する場合には、先ず、種結晶を昇降機構に取り付けると共にシリコン等の半導体材料をルツボに投入する。次に、真空タンク内を減圧して不活性ガス雰囲気とした後、半導体材料を加熱して溶解させ、半導体材料の全体が融液状態となったときに、種結晶を下降させて半導体材料の融液面に接触させる。そして、種結晶を緩やかに引き上げながら半導体材料を結晶析出させることによって、柱状やリボン状の半導体基材とする。この後、半導体基材が所定長に成長したときに、この半導体基材を真空タンクから取り出し、所定の厚みおよび形状に切断することによって、所望の半導体ウエハとする。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の構成では、柱状やリボン状の半導体基材を切断して所定の厚みおよび形状の半導体ウエハとしたときに、切断して除去する部分がウエハの厚みと同一であるため、例えば4割が除去部分となるように大きな材料ロスが発生する。そして、この大きな材料ロスが半導体ウエハを安価に製造する際の障害になっているという問題がある。
【0004】
従って、本発明は、半導体基材を半導体ウエハとするときの材料ロスを低減することにより半導体ウエハを安価に製造することが可能な半導体基材製造装置を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、密閉状態にされた処理室で半導体材料をカーボン基板の基板面に結晶析出させることによって、シート状の半導体基材を製造する半導体基材製造装置であって、前記処理室を形成する真空タンクと、前記半導体材料を融液とするように加熱しながら収容する溶解炉装置と、前記カーボン基板の複数を周方向に配置すると共に、該周方向への旋回により前記カーボン基板を前記半導体材料に順に浸漬させて一定時間後に引き上げる旋回析出機構とを有することを特徴としている。
【0006】
上記の構成によれば、旋回析出機構の周方向に配置された複数のカーボン基板が順に半導体材料に浸漬され、一定時間後に引き上げられることによって、各カーボン基板の基板面に半導体材料が同一条件で結晶析出し、所望の厚みを有したシート状の半導体基材が順に生成される。従って、旋回析出機構の旋回によりカーボン基板が浸漬されて引き上げられるたびに、1枚単位で所望の厚みの半導体基材が生成され、真空タンクの外部に取り出して後工程に搬送することができる。これにより、後工程において、半導体基材を研磨すれば、所望の半導体ウエハを得ることができるため、材料ロスを十分に低減することができ、結果として半導体ウエハを安価に製造することが可能になる。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の半導体基材製造装置であって、前記旋回析出機構は、前記カーボン基板を着脱可能に保持する取付台を有することを特徴としている。
上記の構成によれば、取付台からカーボン基板を取り外すことによって、カーボン基板と共に半導体基材を真空タンクから搬出することができるため、半導体基材をカーボン基板から剥離する処理をタンク外で容易に行うことができる。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2に記載の半導体基材製造装置であって、前記真空タンク内の処理室と真空タンク外の大気側との間に設けられ、これら処理室および大気側に対して任意のタイミングで連通可能なロードロック室と、前記ロードロック室と前記取付台とにカーボン基板を搬送する基板搬送機構とを有することを特徴としている。
【0009】
上記の構成によれば、ロードロック室を介してカーボン基板と共に半導体基材を取り出すことができると共に、ロードロック室を介して未使用のカーボン基板を取付台に装着することができるため、真空タンク内の処理室を常に所望の雰囲気に維持することができる。
【0010】
請求項4の発明は、請求項3に記載の半導体基材製造装置であって、前記ロードロック室には、半導体基材を結晶析出させたカーボン基板に対して冷却を行う基板冷却機構が設けられていることを特徴としている。
上記の構成によれば、ロードロック室において短時間で半導体基材を冷却することができる。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1または2に記載の半導体基材製造装置であって、前記旋回析出機構は、熱伝導率の低い材質からなる中間部材を介して前記カーボン基板を取り付けていることを特徴としている。
上記の構成よれば、半導体材料の結晶析出時にカーボン基板が高温状態になっても、中間部材がカーボン基板から旋回析出機構側への熱伝達を遮ることによって、旋回析出機構の過熱による不具合を防止することができる。
【0012】
請求項6の発明は、請求項1に記載の半導体基材製造装置であって、前記溶解炉装置は、前記半導体材料を収容するカーボン製のルツボと、前記ルツボの周囲に配置された電磁誘導コイルと、前記ルツボを誘導加熱するように前記電磁誘導コイルに対して高周波電力を供給する電源装置とを備えており、前記電源装置は、前記ルツボの側壁の厚みよりも薄い浸透深さで誘導加熱が行われるように、高周波電力の周波数を設定していることを特徴としている。
【0013】
上記の構成によれば、ルツボを誘導加熱することによって、効率良く半導体材料を溶解させることができる。また、ルツボの側壁の厚みよりも薄い浸透深さで誘導加熱が行われることによって、半導体材料の融液の液面を波立たせないようにすることができる。これにより、安定な条件で半導体シートの析出を行うことができる。
【0014】
請求項7の発明は、請求項1に記載の半導体基材製造装置であって、前記旋回析出機構の旋回により前記カーボン基板が半導体材料に浸漬される前に、該カーボン基板を融液金属よりも低い温度に予熱する基板予熱装置を有することを特徴としている。
上記の構成によれば、カーボン基板を予熱することによって、半導体基材の結晶の析出条件を制御することができる。
【0015】
請求項8の発明は、請求項7に記載の半導体基材製造装置であって、前記基板予熱装置は、誘導加熱により前記カーボン基板を予熱することを特徴としている。
上記の構成によれば、カーボン基板の予熱を効率良く短時間で行うことができる。
【0016】
請求項9の発明は、請求項1に記載の半導体基材製造装置であって、前記真空タンクの処理室を真空状態または任意の圧力での不活性ガス雰囲気とするガス処理機構を有することを特徴としている。
上記の構成によれば、半導体基材に適した製造条件に調整することが可能になる。
【0017】
請求項10の発明は、請求項1に記載の半導体基材製造装置であって、前記溶解炉装置は、前記半導体材料を収容するルツボと、前記ルツボから漏出した半導体材料を受け止めるように容器状に形成された受け皿部材を有することを特徴としている。
上記の構成によれば、ルツボが破損等して高温の半導体材料が漏出したときに、この半導体材料を受け皿部材が受け止めることによって、漏出による他の構成部品への被害を最小限に抑制することができると共に、半導体材料の回収を容易に行うことができる。
【0018】
請求項11の発明は、請求項1に記載の半導体基材製造装置であって、前記溶解炉装置は、前記半導体材料を収容するルツボと、前記ルツボを加熱する加熱装置と、前記ルツボの温度を検出するように該ルツボに接合された熱電対と、前記熱電対の検出温度に基づいて前記ルツボを所望の温度とするように前記加熱装置を制御するルツボ温調手段とを有することを特徴としている。
上記の構成によれば、ルツボに接合された熱電対によりルツボに対する温度制御を行うことによって、ルツボに収容された半導体材料の温度制御を間接的に行うことができる。これにより、例えば保護管付きの熱電対を半導体材料に浸漬し、直接的に半導体材料の温度制御を行う場合と比較して、半導体材料への不純物の混入による汚染を低減することができる。
【0019】
請求項12の発明は、請求項1に記載の半導体基材製造装置であって、前記溶解炉装置は、前記半導体材料を収容するルツボと、前記ルツボを任意の位置に昇降可能なルツボ昇降機構と、前記半導体材料の液面高さを検出する液面高検出装置と、前記液面高検出装置からの検出信号に基づいて、半導体材料の液面高さを所定の高さ位置とするように前記ルツボ昇降機構を制御する昇降制御装置とを有することを特徴としている。
【0020】
上記の構成によれば、半導体基材の製造を継続することによりルツボ内の半導体材料が消費されて少なくなった場合でも、ルツボを検出信号に基づいて上昇させることによって、半導体材料の液面高さを常に所定の高さ位置に維持することができる。これにより、カーボン基板が半導体材料に対して常に同じ状態で浸漬されるため、半導体基材を安定して製造することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図1ないし図10に基づいて以下に説明する。
本実施の形態に係る半導体基材製造装置は、図1に示すように、製造装置本体1と、製造装置本体1の下方位置において水平方向(図中左右方向)に進退移動可能にされた搬送車2と、製造装置本体1および搬送車2を支持する架台3とを備えている。
【0022】
上記の製造装置本体1は、外部から気密状態に遮断された処理室7を形成する真空タンク4を有している。真空タンク4は、水冷するように二重壁構造にされており、一方面(図中左面)が開口されたタンク本体5と、タンク本体5の一方面を開閉可能に設けられた開閉扉6とを有している。開閉扉6には、真空タンク4内をオペレータに視認させるように覗き窓6aが設けられていると共に、開閉扉6の開閉時にオペレータにより把持される把手6bが設けられている。
【0023】
一方、タンク本体5には、覗き窓5b・5cが上面に設けられていると共に、ルツボ装着穴5dが下面中心部に設けられている。また、タンク本体5には、第1〜第3バルブ12a〜12cが並列接続されている。第1バルブ12aは、アルゴンガスを収容したガスボンベ11に接続されており、開状態時にガスボンベ11のアルゴンガスを処理室7に供給可能にする。また、第2バルブ12bは、真空ポンプ13に接続されており、開状態時に処理室7の空気を真空ポンプ13により吸引して外部に排気可能にする。第3バルブ12cは、外部に開放されており、開状態時に外部の空気を処理室7に供給可能にする。
【0024】
そして、これらの第1〜第3バルブ12a〜12cは、制御装置40により開閉動作が制御されおり、制御装置40は、これらのバルブ12a〜12cを制御することによって、シリコン16の結晶析出時に処理室7を低圧のアルゴンガス雰囲気とする。尚、アルゴンガスに代えて他の不活性ガスが用いられても良い。
【0025】
一方、タンク本体5の上面に設けられた覗き窓5b・5cの内側や近傍には、レーザ測長装置の発光器14aおよび受光器14bがそれぞれ設けられている。これらの発光器14aおよび受光器14bからなるレーザ測長装置は、グリーンレーザを発光器14aから後述の溶解炉装置30に保持されたシリコン16の液面に照射し、反射光を受光器14bで受光することによりシリコン16の液面の高さ位置を測定し、測定データを上述の制御装置40に出力する。そして、制御装置40は、溶解炉装置30に対してシリコン16の液面を所定の高さ位置に維持させるように位置指令信号を出力する。
【0026】
上記の溶解炉装置30は、タンク本体5の下面中心部に形成されたルツボ装着穴5dに着脱可能に設けられている。溶解炉装置30は、シリコン16を収容するルツボ15と、ルツボ15を支持するルツボ支持機構31と、ルツボ15を誘導加熱することによりシリコン16を加熱溶融させる電磁誘導コイル32と、電磁誘導コイル32に高周波電力を供給する図示しない電源装置と、ルツボ15の温度を検出するようにルツボ15に接合された図示しない熱電対と、この熱電対の検出温度に基づいてルツボ15を所望の温度とするように電源装置を制御するルツボ温調手段(制御装置40)とを備えている。
【0027】
上記のルツボ15は、シリコン16との反応性が小さくて無通気性の材質、例えばカーボンにより形成されている。また、電磁誘導コイル32は、ルツボ15を電磁誘導加熱するように、ルツボ15の周囲に配置されている。電磁誘導コイル32には、図示しない電源装置が接続されている。電源装置は、制御装置40により制御されることによって、熱電対の検出温度に基づいてルツボ15を所望の温度にすると共に、ルツボ15の側壁の厚みよりも薄い浸透深さで誘導加熱が行われるように、高周波電力を電磁誘導コイル32に供給する。
【0028】
具体的には、浸透深さδと抵抗率ρ(μΩcm)と周波数f(Hz)とが“δ=50.3(ρ/f)1/2 ”の関係を有することから、この関係に基づいて浸透深さδを周波数fを変更しながら求めることによって、ルツボ15の側壁の厚みよりも薄い浸透深さδとな周波数fを所定周波数として決定する。そして、電磁誘導コイル32は、このようにして決定された所定周波数の高周波電力が供給されることによって、ルツボ15のみを電磁誘導加熱し、電磁力がルツボ15内のシリコン16に到達することによる波立ちを防止しながら、ルツボ15を短時間および高効率で所望の温度、例えばシリコン16の液面層を1680K(絶対温度)程度の過冷却状態とするように加熱する。尚、過冷却状態とは、融液シリコン2の凝固温度以下でもなお融液状態にある状態のことである。
【0029】
一方、ルツボ15を支持するルツボ支持機構31は、図2に示すように、ルツボ15の下面に断熱部材17を介して接合された受け皿部材18を有している。受け皿部材18は、ルツボ15の周縁部よりも大きなサイズに開口された容器状に形成されている。そして、受け皿部材18は、ルツボ15が破損等したときに、ルツボ15から漏出した融液状のシリコン16を受け止めることによって、高温のシリコン16による被害の拡大を防止する。さらに、受け皿部材18の下面には、冷却水を流通させる冷却配管19が接合されており、冷却配管19は、受け皿部材18を冷却することによって、受け皿部材18で受け止められた融液状のシリコン16を急速に冷却固化させる。
【0030】
また、ルツボ支持機構31は、上記のように構成された受け皿部材18およびルツボ15を昇降させるルツボ昇降機構20を備えている。ルツボ昇降機構20は、気密シール部21、ガイド部材22、ボールネジ20a、ナット20b、ギヤボックス20c、および減速機付モータ20dを有している。気密シール部21は、受け皿部材18の下面中心部に先端部が接合された昇降軸21aを鉛直方向に昇降可能にしている。また、気密シール部21は、図1の制御装置40に接続されており、制御装置40からの位置指令信号に基づいてモータ20d、ギヤボックス20c、ボールネジ20aを駆動し、昇降軸21aを昇降させることによって、受け皿部材18を介してルツボ15内のシリコン16の液面を所定の高さ位置に維持可能になっている。そして、このように構成された気密シール部21の周囲には、上述のガイド部材22が配置されている。ガイド部材22は、受け皿部材18の下面コーナー部に先端部が接合されており、ルツボ15の昇降方向を鉛直方向に規制している。
【0031】
上記の気密シール部21およびガイド部材22は、水平方向に横設された平板状の支持盤23により支持されている。支持盤23の周囲には、側壁部材24が立設されている。側壁部材24の上端部には、環状の連結部材25が設けられている。連結部材25は、内周端部および外周端部が側壁部材24を挟んで内側および外側にそれぞれ位置するように形成されている。
【0032】
連結部材25は、内周径が受け皿部材18を挿通させる程度となるように形成されている。この内周端部の上面には、コイル台29を介して上述の電磁誘導コイル32が設けられている。一方、連結部材25の外周端部には、第1締結穴25aと第2締結穴25bとが形成されている。各締結穴25a・25bには、第1ボルト26aおよび第2ボルト26bがそれぞれ貫挿されている。第1ボルト26aは、タンク本体5に対してルツボ支持機構31を着脱可能に連結させており、第2ボルト26bは、タンク本体5に対してコイル台29や電磁誘導コイル32を着脱可能に連結させている。
【0033】
上記のように構成された溶解炉装置30の下方には、図1に示すように、搬送車2が配置されている。搬送車2は、架台3上に水平方向に設けられたレール33を走行する台車34と、台車34上に設けられ、上述の溶解炉装置30を載置して昇降可能な載置機構35とを備えている。
【0034】
一方、溶解炉装置30の上方には、シリコン16の液面に対して垂直方向に旋回しながらシリコン16を析出させる旋回析出機構10が設けられている。旋回析出機構10は、旋回軸がタンク本体5の幅方向(紙面垂直方向)に一致するように設定されており、旋回中心に設けられた旋回支持体50と、旋回支持体50から3方向(120°)に均等に配設された3台の第1〜第3旋回翼51a〜51cとを備えている。各旋回翼51a〜51cは、図3(a)・(b)に示すように、基部が旋回支持体50に固設された棒状支持部材52と、棒状支持部材52の先端部に設けられた支持台53と、タンタル製のボルトおよびスペーサからなる中間部材54を介して設けられた取付台55と、取付台55の上面に着脱可能に設けられたカーボン基板56とを備えている。
【0035】
上記の取付台55とカーボン基板56との着脱機構は、取付台55の上面の両端にかけて形成された台形形状の溝状係合部55aと、カーボン基板56の裏面の両端にかけて形成された台形形状の凸状係合部56aとからなっており、取付台55の溝状係合部55aに沿ってカーボン基板56の凸状係合部56aを移動させることによって、カーボン基板56の着脱を可能にしている。そして、このように構成された旋回翼51a〜51cは、図4に示すように、取付台55の溝状係合部55aが旋回析出機構10の旋回軸に対して並行となるように設定されている。
【0036】
上記の各旋回翼51a〜51cを支持する旋回支持体50は、軸受け機構57により回動自在に支持されながらタンク本体5を貫設されている。タンク本体5外における旋回支持体50には、従動ギア58が固設されている。従動ギア58は、チェーン59および第2ギア60を介して駆動装置61に連結されている。駆動装置61は、制御装置40からの図6の速度指令に基づいて任意の旋回速度で旋回析出機構10を旋回可能になっている。また、旋回支持体50の内部には、冷却水路50aが形成されている。冷却水路50aは、各旋回翼51a〜51cにまで連絡されており、図示しない冷却水供給系から供給された冷却水が流動されることにより旋回析出機構10の全体を冷却する。
【0037】
上記のように構成された旋回析出機構10の上方には、図5に示すように、基板搬送機構65が設けられている。基板搬送機構65は、各旋回翼51a〜51cが最上端の給排位置Aに到達したときの取付台55の高さ位置に水平方向に配置されており、旋回析出機構10に対して図中右側に設けられた基板供給機構66と、旋回析出機構10に対して図中左側に設けられた基板排出機構67とを備えている。基板供給機構66は、取付台55に対してカーボン基板56を水平方向に移動させることによって、図3に示すように、取付台55の溝状係合部55aにカーボン基板56の凸状係合部56aを係合させるようになっている。一方、図5に示すように、基板排出機構67は、取付台55に係合されたカーボン基板56を水平方向左側に移動させることによって、図3に示すように、取付台55の溝状係合部55aからカーボン基板56の凸状係合部56aを抜脱させるようになっている。
【0038】
上記の基板供給機構66および基板排出機構67は、タンク本体5の外部において第1ロードロック室68および第2ロードロック室69にそれぞれ連絡されている。これらのロードロック室68・69は、真空タンク4内の処理室7と真空タンク4外の大気側との間に設けられ、これら処理室7および大気側に対して任意のタイミングで連通可能にされている。また、第2ロードロック室69の内部には、カーボン基板56に対して冷却を行う図示しない基板冷却機構が設けられており、基板冷却機構は、第2ロードロック室69内において短時間でカーボン基板56を冷却するようになっている。
【0039】
上記のロードロック室68・69は、カーボン基板56を収容するのに必要最小限の容積に設定されている。また、ロードロック室68・69は、アルゴンガスが供給可能にされていると共に真空排気可能にされている。これにより、ロードロック室68・69は、タンク本体5内の処理室7と同等のアルゴンガス雰囲気とタンク本体5外の大気雰囲気とに容易且つ短時間で切換え可能になっている。
【0040】
上記の第1ロードロック室68に連絡された基板供給機構66の下方には、ルツボ15内にシリコン16’を投入する原料投入機構70が設けられている。原料投入機構70は、先端部がルツボ15の上方に位置するように形成され、シリコン16’を載置する原料載置台71と、原料載置台71に載置されたシリコン16’を押し出す押出装置72とを有している。また、図1に示すように、ルツボ15の斜め上方となる予熱位置Bには、基板予熱装置74が設けられている。尚、予熱位置Bは、この予熱位置Bに各旋回翼51a・51b・51cが位置したときに、この旋回翼51a・51b・51cに対して旋回方向後段の旋回翼51c・51a・51bが給排位置Aに位置するように設定されている。基板予熱装置74は、ルツボ15内のシリコン16に浸漬する直前の旋回翼51a〜51cのカーボン基板56をシリコン16の過冷却状態の温度よりも低い温度、例えば1480K(絶対温度)程度に予熱する。尚、基板予熱装置74は、カーボン基板56を誘導加熱するようになっていても良いし、輻射熱により加熱するようになっていても良い。
【0041】
上記の構成において、半導体基材製造装置の動作について説明する。
先ず、図1の二点鎖線で示すように、溶解炉装置30が真空タンク4から切り離され、所定の作業位置に移動される。そして、この作業位置において、ルツボ15等の清掃や保守点検が行われた後、図1の実線で示すように、溶解炉装置30が真空タンク4に装着され、ルツボ15に原料となるシリコン16’が投入される。また、この作業と並行し、開閉扉6が開かれることによって、タンク本体5が開放状態にされる。そして、図5に示すように、タンク本体5内の各機器の保守点検等が行われると共に、原料投入機構70の原料載置台71にシリコン16’が載置される。この後、開閉扉6が閉じられて密閉状態の処理室7が真空タンク4内に形成されることによって、半導体基材製造装置の準備作業が完了する。
【0042】
次に、真空ポンプ13が作動されると共に第2バルブ12bが開栓状態にされことによって、真空タンク4内の処理室7が真空排気される。尚、真空排気は、短時間で所望の真空度に到達するように、図示しない他の真空排気系を併用して行われても良い。そして、処理室7の真空度が例えば1.33パスカルとなったときに、第1バルブ12aが開栓されてアルゴンガスが処理室7に供給される。このような操作により処理室7がアルゴンガス雰囲気になると、電磁誘導コイル32に対して図示しない電源装置から高周波電力が供給される。高周波電力が供給された電磁誘導コイル32は、ルツボ15の側壁の厚みよりも薄い浸透深さで交番磁場を生成し、この交番磁場によりルツボ15を誘導加熱する。そして、ルツボ15が高温状態に加熱されることによって、ルツボ15内のシリコン16が溶解して全体が融液状態にされる。
【0043】
上記のルツボ15は、図示しない熱電対等の温度センサにより温度が検出されており、この温度センサの検出温度に基づいて制御装置40は、シリコン16の温度を監視および制御する。そして、融液状のシリコン16が例えば1680K(絶対温度)程度の過冷却状態の処理温度に昇温すると、この処理温度を維持するように電磁誘導コイル32への電力供給が制御される。
【0044】
また、融液状のシリコン16は、液面高さが発光器14aおよび受光器14bからなるレーザ測長装置(液面高検出装置)により計測されており、制御装置40(昇降制御装置)は、レーザ測長装置からの測定データに基づいてルツボ昇降機構20に位置指令信号を出力することによって、シリコン16の液面高さを所定の高さ位置、即ち、各旋回翼51a〜51cのカーボン基板56の基板面がシリコン16に僅かに浸漬する高さ位置に設定される。この際、電磁誘導コイル32による交番磁場は、ルツボ15の側壁の内部でのみ生成されているため、ルツボ15内のシリコン16を波立たせるように作用することはない。従って、シリコン16の液面が鏡面状態となってレーザ光の乱反射が防止されることによって、シリコン16の液面高さがレーザ測長装置により高精度に計測され、結果としてシリコン16の液面高さが高精度に所定の高さ位置に位置決めされる。
【0045】
次に、図1および図6に示すように、旋回析出機構10が旋回され、例えば第1旋回翼51aが給排位置Aに到達したときに停止される。そして、図5に示すように、基板供給機構66により未使用のカーボン基板56が取付台55に供給および装着された後、図1に示すように、旋回析出機構10が旋回されることによって、この第1旋回翼51aが予熱位置Bに移動される。
【0046】
第1旋回翼51aが予熱位置Bに到達すると、基板予熱装置74に電力が供給されることによって、第1旋回翼51aに装着されたカーボン基板56が加熱される。尚、このカーボン基板56の温度も図示しない熱電対等の温度センサにより検出されている。そして、制御装置40は、この検出温度に基づいてカーボン基板56がシリコン16の過冷却状態の温度よりも低い温度、例えば1480K程度に昇温したときに予熱処理が完了したと判断し、第1旋回翼51aをルツボ15方向に移動させるように旋回析出機構10を旋回させる。
【0047】
旋回析出機構10が旋回することによって、第1旋回翼51aのカーボン基板56がルツボ15のシリコン16に浸漬し始めると、浸漬時間を一定時間に調整するように、旋回速度が所定速度に維持される。カーボン基板56がシリコン16に浸漬されると、カーボン基板56は、過冷却状態のシリコン16から潜熱を吸熱することによって、カーボン基板56の基板面を結晶の核としてシリコン16を結晶析出させる。この際、カーボン基板56は、過冷却状態のシリコン16よりも低い温度に予熱されている共に、熱伝導の優れた性質を有している。従って、シリコン16の潜熱がカーボン基板56内に効率良く吸熱されることによって、シリコン16がカーボン基板56の基板面に急激に結晶析出することになる。
【0048】
この結果、浸漬時間が短くても、図7および図8に示すように、カーボン基板56の基板面全体においてシリコン16の結晶組織が基板面に対して垂直方向に延びる柱状晶の形態で成長することによって、カーボン基板56の基板面と同一サイズの長さLおよび幅Hであって所定厚さd1のシリコン結晶シート75が生成されることになる。
【0049】
この後、図5に示すように、旋回析出機構10の旋回が継続されることによって、シリコン結晶シート75を生成させたカーボン基板56が給排位置Aに到達したときに停止される。そして、この給排位置Aにおいて、基板搬送機構65の基板排出機構67によりカーボン基板56がシリコン結晶シート75と共に取付台55から抜脱され、第2ロードロック室69を介して外部に搬出される。この後、シリコン結晶シート75がカーボン基板56から剥離され、このシリコン結晶シート75に対して研磨処理や所定形状の切断処理が施されることによって、厚さd1で所定形状のシリコンウエハ(半導体ウエハ)とされる。
【0050】
そして、図6に示すように、以上の一連の処理動作が各旋回翼51a〜51cにおいて1/3周期ずつ前後しながら同時に行われることによって、旋回析出機構10の1回の旋回ごとに3枚のシリコン結晶シート75が製造される。尚、図1に示すように、以上の一連の処理動作が継続されることによりルツボ15内のシリコン16が消費された場合でも、上述のように、ルツボ昇降機構20がルツボ15を上昇させることによりシリコン16の液面高さを所定の高さ位置に維持することによって、常に同じ品質およびサイズのシリコン結晶シート75が製造される。
【0051】
次いで、例えばルツボ15を側壁に旋回翼51a〜51cが衝突する直前の上限位置にまでルツボ15が上昇すると、一時的に上述の処理動作が停止される。尚、この場合において、処理室7のアルゴンガス雰囲気は維持されている。そして、図5に示すように、原料投入機構70から所定量のシリコン16’がルツボ15内に投入されることにより消費分に対応した量が補充される。この後、シリコン16’が溶解されたときに、上述の処理動作が再開される。
【0052】
また、原料投入機構70のシリコン16’も消費した場合には、図1に示すように、1バッチ分の処理動作が完了したと判断され、処理動作が停止された後、第3バルブ12cが開栓状態に切り換えられることによって、処理室7が大気雰囲気にされる。この後、図示二点鎖線で示すように、真空タンク4からルツボ15等の溶解炉装置30が切り離されて作業位置に移動されると共に、開閉扉6が開放される。但し、原料投入機構70にロードロック室を付属させ、処理室7の雰囲気を破ることなく原料を供給し、連続的に運転することも可能である。
【0053】
次に、本実施形態における半導体基材製造装置によりシリコン結晶シート75が適正に製造されることを確認するため、以下の実験を行った。
【0054】
即ち、シリコン16を1680K(絶対温度)程度の過冷却状態となるように加熱した。そして、厚さd1=6mm、長さL=100mm、巾H=30mmのカーボン基板56を準備し、過冷却状態のシリコン16よりも低い温度の1480K(絶対温度)に予熱した。そして、カーボン基板56を融液状のシリコン16に1秒および5秒の浸漬時間tで浸漬し、カーボン基板56にシリコン16を結晶析出させた。
【0055】
この結果、浸漬時間が1秒の条件下においては、厚さdl=0.3mm、長さL=100mm、および巾H=30mmのシリコン結晶シート75が得られた。一方、浸漬時間が15秒の条件下においては、厚さdl=1.0mm、長さL=100mm、および巾H=30mmのシリコン結晶シート75が得られた。また、各条件下で形成された結晶シート75の組織は、厚さd1方向へ延びる柱状晶であった(図8参照)。
【0056】
これにより、熱伝導の優れたカーボン基板56を過冷却状態のシリコン16よりも低い温度に予熱して浸漬すると、カーボン基板56の長さL×巾Hのシリコン結晶シート75を形成できることが確認された。また、カーボン基板56の浸漬時間tを適宜選択することによって、所望厚さdlのシリコン結晶シート75を製造可能であることも確認された。
【0057】
次に、カーボン基板56の浸漬時間tとシリコン結晶シート75の厚さd1との関係を検討する。
【0058】
ここで、融液状のシリコン16の潜熱Q=50.6(KJ/mol)、シリコンの密度ρS=2.33(kg/m3 )、過冷却状態のシリコン16の温度T0=1680K(絶対温度)とする。また、カーボン基板56の断面積S=100×30(mm2 )、カーボン基板56を構成するカーボンの密度ρC=1720(kg/m3 )、カーボンの比熱Cp=1930〔J/(deg・kg)〕とする。さらに、カーボン基板56と融液状のシリコン16との間の熱伝達率h=8000〔W/(m2 ・K)〕とする。
【0059】
以上の条件下において、シリコン16の結晶析出量をM(kg)、カーボン基板56の温度をTとすると、シリコン16が結晶析出することによりシリコン16の潜熱がカーボン基板56に伝達する熱量は、
Q×(dM/dt)=S×h×(T0−T)・・・・・・・・・・・(1)
として求められる。
【0060】
また、カーボン基板56へ伝達した熱量によって、カーボン基板56が上昇する温度は、
S×h×(T0−T)=m×Cp×(dT/dt)・・・・・・・・(2)
として求められる。
但し、mはカーボン基板56の質量(m=S×6×ρc/1000)である。
【0061】
さらに、カーボン基板56に結晶析出するシリコン結晶シート75の厚さをd1とすると、結晶析出量Mは、
M=ρS×S×d1・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(3)
となる。
【0062】
上記式(1)〜(3)を連立させて解くと、シリコン結晶シート75の厚さdと浸漬時間tとの関係は、図9に示す曲線関数となる。この曲線関数は、浸漬時間1秒でシリコン結晶シート75の厚さd1=0.3mm、浸漬時間15秒でシリコン結晶シート75の厚さd1=0.96mmとなり、上述の実験結果とほぼ一致している。このことから、カーボン基板56の浸漬時間tを図9の曲線関数に基づいて適宜選択することによって、所望厚さd1のシリコン結晶シート75を形成できることが確認された。
【0063】
以上のように、本実施形態の半導体基材製造装置は、図1に示すように、密閉状態にされた処理室7で半導体材料であるシリコン16をカーボン基板56の基板面に結晶析出させることによって、シート状の半導体基材であるシリコン結晶シート75を製造するものであり、処理室7を形成する真空タンク4と、シリコン16を過冷却状態の融液とするように加熱しながら収容する溶解炉装置30と、カーボン基板56の複数を周方向に配置すると共に、この周方向への旋回によりカーボン基板56を過冷却状態のシリコン16に順に浸漬させて一定時間後に引き上げる旋回析出機構10とを有した構成にされている。
【0064】
上記の構成によれば、旋回析出機構10の周方向に配置された複数のカーボン基板56が順にシリコン16に浸漬され、一定時間後に引き上げられることによって、各カーボン基板56の基板面にシリコン16が同一条件で結晶析出し、所定の厚みを有したシート状のシリコン結晶シート75が順に生成される。
【0065】
従って、旋回析出機構10の旋回によりカーボン基板56が浸漬されて引き上げられるたびに、1枚単位でシリコン結晶シート75が生成され、真空タンク4の外部に取り出して後工程に搬送することができる。これにより、後工程において、シリコン結晶シート75を研磨すれば、所望の半導体ウエハを得ることができるため、材料ロスを十分に低減することができ、結果として半導体ウエハを安価に製造することができる。
【0066】
尚、本実施形態においては、旋回析出機構10が旋回支持体50に3台の第1〜第3旋回翼51a〜51cを設けた構成にされているが、これに限定されるものではなく、図10に示すように、ドラム状の旋回支持体50’の周面に多数のカーボン基板56’を旋回方向(矢符方向)に配置すると共に、ルツボ15’に浸漬させる直前にカーボン基板56’を予熱するように基板予熱装置74を配置した構成であっても良い。
【0067】
また、本実施形態においては、半導体材料としてシリコン16を用いた場合について説明しているが、これに限定されるものではなく、ゲルマニウム等の共有結合を持った単体の元素金属材料や、GaAsのような化合物による化合物シリコン16を用いることができる。また、本実施形態においては、カーボン基板56を用いた場合について説明しているが、これに限定されるものでもなく、上述したシリコン16よりも熱伝導の優れたものであれば、如何なるものを用いても良い。
【0068】
また、本実施形態において、溶解炉装置30は、シリコン16を収容するカーボン製のルツボ15と、ルツボ15の周囲に配置された電磁誘導コイル32と、ルツボ15を誘導加熱するように電磁誘導コイル32に対して高周波電力を供給する図示しない電源装置とを備えており、電源装置は、ルツボ15の側壁の厚みよりも薄い浸透深さで誘導加熱が行われるように、高周波電力の周波数を設定した構成にされている。
【0069】
上記の構成によれば、ルツボ15を誘導加熱することによって、効率良くシリコン16を溶解させることができる。また、ルツボ15の側壁の厚みよりも薄い浸透深さで誘導加熱が行われることによって、シリコン16の融液の液面を波立たせないようにすることができる。これにより、安定な条件でシリコン結晶シート75を析出させることができる。
【0070】
尚、本実施形態における溶解炉装置30は、電磁誘導コイル32に高周波電力を供給することによって、ルツボ15を誘導加熱することにより昇温させているが、これに限定されることはなく、抵抗ヒータに電力を供給して輻射熱によりルツボ15を加熱するようになっていても良い。
【0071】
【発明の効果】
請求項1の発明は、密閉状態にされた処理室で半導体材料をカーボン基板の基板面に結晶析出させることによって、シート状の半導体基材を製造する半導体基材製造装置であって、前記処理室を形成する真空タンクと、前記半導体材料を融液とするように加熱しながら収容する溶解炉装置と、前記カーボン基板の複数を周方向に配置すると共に、該周方向への旋回により前記カーボン基板を前記半導体材料に順に浸漬させて一定時間後に引き上げる旋回析出機構とを有する構成である。
【0072】
上記の構成によれば、旋回析出機構の周方向に配置された複数のカーボン基板が順に半導体材料に浸漬され、一定時間後に引き上げられることによって、各カーボン基板の基板面に半導体材料が同一条件で結晶析出し、所定の厚みを有したシート状の半導体基材が順に生成される。従って、旋回析出機構の旋回によりカーボン基板が浸漬されて引き上げられるたびに、1枚単位で半導体基材が生成され、真空タンクの外部に取り出して後工程に搬送することができる。これにより、後工程において、半導体基材を研磨すれば、所望の半導体ウエハを得ることができるため、材料ロスを十分に低減することができ、結果として半導体ウエハの安価な製造が可能になる。
【0073】
請求項2の発明は、請求項1に記載の半導体基材製造装置であって、前記旋回析出機構は、前記カーボン基板を着脱可能に保持する取付台を有する構成である。
上記の構成によれば、取付台からカーボン基板を取り外すことによって、カーボン基板と共に半導体基材を真空タンクから搬出することができるため、半導体基材をカーボン基板から剥離する処理をタンク外で容易に行うことができる。
【0074】
請求項3の発明は、請求項2に記載の半導体基材製造装置であって、前記真空タンク内の処理室と真空タンク外の大気側との間に設けられ、これら処理室および大気側に対して任意のタイミングで連通可能なロードロック室と、前記ロードロック室と前記取付台とにカーボン基板を搬送する基板搬送機構とを有する構成である。
【0075】
上記の構成によれば、ロードロック室を介してカーボン基板と共に半導体基材を取り出すことができると共に、ロードロック室を介して未使用のカーボン基板を取付台に装着することができるため、真空タンク内の処理室を常に所望の雰囲気に維持することができる。
【0076】
請求項4の発明は、請求項3に記載の半導体基材製造装置であって、前記ロードロック室には、半導体基材を結晶析出させたカーボン基板に対して冷却を行う基板冷却機構が設けられている構成である。
上記の構成によれば、ロードロック室において短時間で半導体基材を冷却することができる。
【0077】
請求項5の発明は、請求項1または2に記載の半導体基材製造装置であって、前記旋回析出機構は、熱伝導率の低い材質からなる中間部材を介して前記カーボン基板を取り付けている構成である。
上記の構成よれば、半導体材料の結晶析出時にカーボン基板が高温状態になっても、中間部材がカーボン基板から旋回析出機構側への熱伝達を遮ることによって、旋回析出機構の過熱による不具合を防止することができる。
【0078】
請求項6の発明は、請求項1に記載の半導体基材製造装置であって、前記溶解炉装置は、前記半導体材料を収容するカーボン製のルツボと、前記ルツボの周囲に配置された電磁誘導コイルと、前記ルツボを誘導加熱するように前記電磁誘導コイルに対して高周波電力を供給する電源装置とを備えており、前記電源装置は、前記ルツボの側壁の厚みよりも薄い浸透深さで誘導加熱が行われるように、高周波電力の周波数を設定している構成である。
【0079】
上記の構成によれば、ルツボを誘導加熱することによって、効率良く半導体材料を溶解させることができる。また、ルツボの側壁の厚みよりも薄い浸透深さで誘導加熱が行われることによって、半導体材料の融液の液面を波立たせないようにすることができる。これにより、安定な条件で半導体シートの析出を行うことができる。
【0080】
請求項7の発明は、請求項1に記載の半導体基材製造装置であって、前記旋回析出機構の旋回により前記カーボン基板が半導体材料に浸漬される前に、該カーボン基板を融液金属よりも低い温度に予熱する基板予熱装置を有する構成である。
上記の構成によれば、カーボン基板が予熱されることによって、半導体基材の結晶の析出を効率良く行わせることができる。
【0081】
請求項8の発明は、請求項7に記載の半導体基材製造装置であって、前記基板予熱装置は、誘導加熱により前記カーボン基板を予熱する構成である。
上記の構成によれば、カーボン基板の予熱を効率良く行うことができる。
【0082】
請求項9の発明は、請求項1に記載の半導体基材製造装置であって、前記真空タンクの処理室を真空状態または任意の圧力での不活性ガス雰囲気とするガス処理機構を有する構成である。
上記の構成によれば、半導体基材に適した製造条件に調整することが可能になる。
【0083】
請求項10の発明は、請求項1に記載の半導体基材製造装置であって、前記溶解炉装置は、前記半導体材料を収容するルツボと、前記ルツボから漏出した半導体材料を受け止めるように容器状に形成された受け皿部材を有する構成である。上記の構成によれば、ルツボが破損等して高温の半導体材料が漏出したときに、この半導体材料を受け皿部材が受け止めることによって、漏出による他の構成部品への被害を最小限に抑制することができると共に、半導体材料の回収を容易に行うことができる。
【0084】
請求項11の発明は、請求項1に記載の半導体基材製造装置であって、前記溶解炉装置は、前記半導体材料を収容するルツボと、前記ルツボを加熱する加熱装置と、前記ルツボの温度を検出するように該ルツボに接合された熱電対と、前記熱電対の検出温度に基づいて前記ルツボを所望の温度とするように前記加熱装置を制御するルツボ温調手段とを有する構成である。
上記の構成によれば、ルツボに接合された熱電対によりルツボに対する温度制御を行うことによって、ルツボに収容された半導体材料の温度制御を間接的に行うことができる。これにより、例えば保護管付きの熱電対を半導体材料に浸漬し、直接的に半導体材料の温度制御を行う場合と比較して、半導体材料への不純物の混入による汚染を低減することができる。
【0085】
請求項12の発明は、請求項1に記載の半導体基材製造装置であって、前記溶解炉装置は、前記半導体材料を収容するルツボと、前記ルツボを任意の位置に昇降可能なルツボ昇降機構と、前記半導体材料の液面高さを検出する液面高検出装置と、前記液面高検出装置からの検出信号に基づいて、半導体材料の液面高さを所定の高さ位置とするように前記ルツボ昇降機構を制御する昇降制御装置とを有する構成である。
上記の構成によれば、半導体基材の製造を継続することによりルツボ内の半導体材料が消費されて少なくなった場合でも、ルツボを検出信号に基づいて上昇させることによって、半導体材料の液面高さを常に所定の高さ位置に維持することができる。これにより、カーボン基板が半導体材料に対して常に同じ状態で浸漬されるため、半導体基材を安定して製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】半導体基材製造装置を正面視したときの概略構成図である。
【図2】半導体基材製造装置の正面視したときの要部拡大図である。
【図3】第1〜第3旋回翼の概略構成を示すものであり、(a)は正面図、(b)は平面図である。
【図4】半導体基材製造装置を側面視したときの要部拡大図である。
【図5】半導体基材製造装置を側面視したときの概略構成図である。
【図6】第1〜第3旋回翼の動作状態を示す説明図である。
【図7】カーボン基板にシリコン結晶シートが結晶析出した状態を示す説明図である。
【図8】シリコン結晶シートの内部構造を示す説明図である。
【図9】カーボン基板の浸漬時間と結晶析出厚さとの関係を示すグラフである。
【図10】旋回析出機構の斜視図である。
【符号の説明】
1 製造装置本体
2 搬送車
3 架台
4 真空タンク
5 タンク本体
6 開閉扉
7 処理室
8 真空ホース
9 ガス処理機構
10 旋回析出機構
11 ガスボンベ
13 真空ポンプ
15 ルツボ
16 シリコン
17 断熱部材
18 受け皿部材
19 冷却配管
20 ルツボ昇降機構
21 気密シール部
22 ガイド部材
30 溶解炉装置
31 ルツボ支持機構
32 電磁誘導コイル
40 制御装置
43 連結部材
50 旋回支持体
51a〜51c 第1〜第3旋回翼
52 棒状支持部材
53 支持台
55 取付台
56 カーボン基板
70 原料投入機構
74 基板予熱装置
75 シリコン結晶シート

Claims (12)

  1. 密閉状態にされた処理室で半導体材料をカーボン基板の基板面に結晶析出させることによって、シート状の半導体基材を製造する半導体基材製造装置であって、
    前記処理室を形成する真空タンクと、
    前記半導体材料を融液とするように加熱しながら収容する溶解炉装置と、
    前記カーボン基板の複数を周方向に配置すると共に、該周方向への旋回により前記カーボン基板を前記半導体材料に順に浸漬させて一定時間後に引き上げる旋回析出機構と
    を有することを特徴とする半導体基材製造装置。
  2. 前記旋回析出機構は、前記カーボン基板を着脱可能に保持する取付台を有することを特徴とする請求項1に記載の半導体基材製造装置。
  3. 前記真空タンク内の処理室と真空タンク外の大気側との間に設けられ、これら処理室および大気側に対して任意のタイミングで連通可能なロードロック室と、 前記ロードロック室と前記取付台とにカーボン基板を搬送する基板搬送機構とを有することを特徴とする請求項2に記載の半導体基材製造装置。
  4. 前記ロードロック室には、半導体基材を結晶析出させたカーボン基板に対して冷却を行う基板冷却機構が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の半導体基材製造装置。
  5. 前記旋回析出機構は、
    熱伝導率の低い材質からなる中間部材を介して前記カーボン基板を取り付けていることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体基材製造装置。
  6. 前記溶解炉装置は、
    前記半導体材料を収容するカーボン製のルツボと、
    前記ルツボの周囲に配置された電磁誘導コイルと、
    前記ルツボを誘導加熱するように前記電磁誘導コイルに対して高周波電力を供給する電源装置とを備えており、
    前記電源装置は、前記ルツボの側壁の厚みよりも薄い浸透深さで誘導加熱が行われるように、高周波電力の周波数を設定していることを特徴とする請求項1に記載の半導体基材製造装置。
  7. 前記旋回析出機構の旋回により前記カーボン基板が半導体材料に浸漬される前に、該カーボン基板を融液金属よりも低い温度に予熱する基板予熱装置を有することを特徴とする請求項1に記載の半導体基材製造装置。
  8. 前記基板予熱装置は、誘導加熱により前記カーボン基板を予熱することを特徴とする請求項7に記載の半導体基材製造装置。
  9. 前記真空タンクの処理室を真空状態または任意の圧力での不活性ガス雰囲気とするガス処理機構を有することを特徴とする請求項1に記載の半導体基材製造装置。
  10. 前記溶解炉装置は、
    前記半導体材料を収容するルツボと、
    前記ルツボから漏出した半導体材料を受け止めるように容器状に形成された受け皿部材を有することを特徴とする請求項1に記載の半導体基材製造装置。
  11. 前記溶解炉装置は、
    前記半導体材料を収容するルツボと、
    前記ルツボを加熱する加熱装置と、
    前記ルツボの温度を検出するように該ルツボに接合された熱電対と、
    前記熱電対の検出温度に基づいて前記ルツボを所望の温度とするように前記加熱装置を制御するルツボ温調手段と
    を有することを特徴とする請求項1に記載の半導体基材製造装置。
  12. 前記溶解炉装置は、
    前記半導体材料を収容するルツボと、
    前記ルツボを任意の位置に昇降可能なルツボ昇降機構と、
    前記半導体材料の液面高さを検出する液面高検出装置と、
    前記液面高検出装置からの検出信号に基づいて、半導体材料の液面高さを所定の高さ位置とするように前記ルツボ昇降機構を制御する昇降制御装置と
    を有することを特徴とする請求項1に記載の半導体基材製造装置。
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