JP2002283044A - 結晶シートの製造装置および方法 - Google Patents

結晶シートの製造装置および方法

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JP2002283044A
JP2002283044A JP2001086061A JP2001086061A JP2002283044A JP 2002283044 A JP2002283044 A JP 2002283044A JP 2001086061 A JP2001086061 A JP 2001086061A JP 2001086061 A JP2001086061 A JP 2001086061A JP 2002283044 A JP2002283044 A JP 2002283044A
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Japan
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rotating body
container
recess
melt
immersion
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Zenjiro Yamashita
善二郎 山下
Kozaburo Yano
光三郎 矢野
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Original Assignee
Sharp Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 シリコンシートなどの結晶シートの製造に対
する信頼性および生産性の向上を図り、熱損失を可及的
に少なくして、製造コストを低減することができるよう
にした結晶シートの製造装置および方法を提供する。 【解決手段】 外周面に浸漬部材を配設して成る保持体
5を、回転体3の外周面の1以上の凹所に回転摺動可能
に配置し、回転体3の外周面と仕切部材4とで構成され
る1以上の断熱室29を設け、保持体5への浸漬工程の
みを1の断熱室29cで行い、保持体5の供給や取出し
を別個の断熱室で行い、回転体3の回転により浸漬工
程、供給工程、取出し工程などをそれぞれ独立に、かつ
並行して作業可能にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、太陽電池の結晶シ
リコン基板などの結晶シートを製造するために好適に実
施することができる結晶シートの製造装置および方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来の技術における結晶シート製造技術
の一例として、太陽電池セルの基板に用いられる多結晶
シリコンの代表的な製造手順について述べる。炉内に封
止される高温の不活性ガス雰囲気中で、容器に入れた低
コスト精製シリコンなどのシリコン原料に、リンまたは
ボロンなどのドーパントを添加して、1400℃以上の
高温で加熱溶融し、その融液を鋳型に流し込み、冷却し
て固化することによって、多結晶シリコンインゴットを
製造する鋳造法またはキャスト法と呼ばれる手法が採用
されている。
【0003】この多結晶シリコンインゴットは、スライ
シング工程においてブレードソーまたはワイヤーソーに
よって切断され、複数のシリコンウエハに分割される。
こうして作成されたシリコンウエハは、洗浄工程、拡散
工程および電極形成工程などを経て、多結晶シリコン太
陽電池セルが製造される。
【0004】このような従来の技術では、多結晶シリコ
ンインゴットを得るための鋳造工程に加え、多結晶シリ
コンインゴットをスライシングするスライス工程が必要
であるため、このスライス工程で、シリコンウエハを1
枚切断するたびに、ブレードまたはワイヤの厚み(約
0.2mm)と、砥粒の粒径(約0.05mm)とを加
えた切り代(約0.3mm)に相当する材料が、切断粉
として除去されてしまうため、歩留まりが悪く、太陽電
池の製造コストに対する低コスト化を図る上で、大きな
障害になっている。
【0005】他の従来の技術では、上記の従来の技術の
問題を解決するために、溶融シリコンから直接、シリコ
ンシートを作製する方法および装置が提案され、試みら
れつつある。この従来の技術は、炉内の不活性ガス雰囲
気中で、複数の浸漬部材を、順次的にシリコン融液中に
一定時間、浸漬させ、浸漬部材の表面にシリコンを付
着、成長させ、楔状の剥離部材によって浸漬部材に付着
しているシリコンシートを剥離し、この剥離されたシリ
コンシートを炉外に搬出する。
【0006】各浸漬部材は、回転体の外周部に周方向に
間隔をあけて設けられ、この回転体は、前記シリコン融
液貯留される容器の上方で、略水平な回転軸線まわりに
回転駆動される。
【0007】このように、この従来の技術では、回転体
の外周部に設けられている各浸漬部材の表面へのシリコ
ンシートの生成と、凝固したシリコンシートの浸漬部材
からの剥離回収とを、並行して行うことができるように
構成されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記の他の従来の技術
では、炉室内に備えられた剥離部材は、回転体の下方に
配置される容器内の溶融シリコンからの熱輻射によって
加熱される。この加熱によって、剥離部材は熱膨張して
変形を生じるため、剥離されたシリコンシートの形状精
度が低下するとともに、剥離部材自体の強度が低下して
破損しやすく、シリコンシートの製造に対する信頼性お
よび生産性が低いという問題がある。
【0009】また、浸漬部材の表面へのシリコン融液の
付着およびシリコンシートの浸漬部材からの剥離を1つ
の炉室内で行うので、炉室全体が不活性ガスで占めら
れ、この不活性ガスを所定の温度範囲に維持しなければ
ならない。この炉室は、断熱性の壁によって構成されて
いるものの、容積が大きいために不活性ガスが接触する
壁内面の表面積が大きく、したがって不活性ガスの放熱
量が大きく、熱損失が多いという問題がある。
【0010】さらに、シリコンシートを炉外へ取出すた
めにシャッタ板を開くと、炉内の高温の不活性ガスが、
炉体の開口を介して外部に放出され、この不活性ガスの
流出によっても、炉内の熱が外部へ持ち出されてしま
い、熱損失が多いという問題がある。
【0011】本発明の目的は、シリコンシートなどの結
晶シートの製造に対する信頼性および生産性の向上を図
り、熱損失を可及的に少なくして、製造コストを低減す
ることができるようにした結晶シートの製造装置および
方法を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、製造されるべ
き結晶シートの原料を加熱溶融した融液が貯留される容
器と、前記容器内の融液に浸漬して前記融液を付着さ
せ、この付着した融液の成長、凝固によって結晶シート
を生成する浸漬部材と、半径方向外方に臨んで開口する
凹所が形成され、略鉛直な回転軸線まわりに回転自在な
回転体と、回転体の前記凹所内に収容され、前記浸漬部
材を保持する保持体と、回転体の外周面に対して僅かな
間隔をあけて対向する内周面が臨み、前記回転体が略鉛
直な回転軸線まわりに回転自在に収容される収容空間を
有し、前記回転体の回転に伴う凹所の移動経路の下方に
は前記容器が配置され、この容器が配置される位置から
回転方向にずれた位置に、前記凹所内の回転体が浸漬部
材を保持した状態で通過することができる通路が設けら
れるハウジングとを含むことを特徴とする結晶シートの
製造装置である。
【0013】本発明に従えば、ハウジングは、収容空間
を有し、この収容空間には回転体と容器とが収容され
る。回転体には、半径方向外方に臨んで開口する凹所が
形成され、この凹所には保持体が収容され、保持体には
浸漬部材が保持される。このような回転体は、前記ハウ
ジングの収容空間内に略鉛直な回転軸線まわりに回転自
在に収容され、収容空間の内周面は回転体の外周面に対
して僅かな間隔をあけて対向している。また前記容器に
は、結晶シートの原料を加熱溶融した融液が貯留され、
この容器は、収容空間内において、回転体が回転軸線ま
わりに回転したときの前記凹所の移動経路の下方に配置
される。
【0014】上記のように回転体が略鉛直な回転軸線ま
わりに回転自在であるので、この回転体を回転させて、
凹所が前記容器の直上に配置される回転位置に配置する
ことよって、凹所内で保持体に保持される浸漬部材を容
器内の融液に浸漬する位置へ移動させ、あるいは容器を
浸漬部材が融液に浸漬される位置まで移動させ、あるい
は浸漬部材および容器の双方を移動させて、浸漬部材を
融液に浸漬し、浸漬部材の表面に融液を付着させること
ができる。浸漬部材の表面に付着した融液は、時間経過
に伴う温度低下によって凝固する。このようして浸漬部
材の表面には、結晶シートが生成される。
【0015】前記結晶シートが生成された浸漬部材は、
凹所内で保持体に保持されているため、回転体を凹所が
通路に連通する位置まで回動し、ハウジングから外部へ
取出すことができる。このような浸漬部材の取出し時に
おいては、回転体の外周面とハウジングの内周面との間
が、たとえば回転体の回転を許容し得るような僅かな間
隔とされるので、通路は凹所だけに連通し、収容空間全
体が前記従来の技術のように開放されてしまうことがな
く、凹所内およびその周囲の不活性ガスだけが前記通路
を介して外部へ流出されるが、それ以上の不活性ガスの
流出は阻止または抑制される。
【0016】したがってハウジング内の収容空間に存在
する不活性ガスが大量に外部へ流出してしまうという不
具合が防がれるとともに、大量の不活性ガスの流出に伴
う熱の持ち出しが防がれ、不活性ガスの消費量および熱
損失が格段に低減されて、結晶シートの製造に対する低
コスト化を図ることができる。
【0017】さらに、熱損失が低減されるので、収容空
間内の雰囲気温度の変化が軽微に抑えられ,雰囲気温度
変化に起因する融液温度変化による結晶シートの形成精
度の低下が防がれ、結晶シートの製造に対する信頼性お
よび生産性が向上される。
【0018】また本発明は、前記保持体には、外周部に
周方向に間隔をあけて複数の浸漬部材が着脱可能に設け
られ、前記保持体には、回転体を凹所内で略水平な回転
軸線まわりに回転する保持体回動手段が設けられること
を特徴とする。
【0019】本発明に従えば、保持体の外周部に複数の
浸漬部材が周方向に間隔をあけて設けられ、この保持体
が、保持体回動手段によって、凹所内で略水平な回転軸
線まわりに回転されるので、容器の上方に回転体の凹所
を配置した状態で、複数の浸漬部材を融液に浸漬して、
1つの凹所内で複数の結晶シートを連続して生成するこ
とができる。したがって単位数量あたりの結晶シートの
製造に対して必要とされる不活性ガスの消費量および熱
損失量が格段に少なくて済み、結晶シートの生産効率が
向上され、製造コストが低減される。
【0020】また本発明は、前記通路は、ハウジングの
前記容器が配置される浸漬位置に関して、回転体の回転
方向上流側に設けられる供給通路と、前記浸漬位置に関
して回転体の回転方向下流側に設けられる取出し通路と
を有し、ハウジングの前記供給通路が設けられる一側部
の近傍には、供給通路を介して回転体の凹所に保持体を
供給する保持体供給手段が設けられることを特徴とす
る。
【0021】本発明に従えば、保持体供給手段は、供給
通路を介して回転体の凹所内に保持体を供給し、凹所が
容器の上方に配置される位置に回転体を回動させ、浸漬
部材を融液へ浸漬させた後、回転体を回動させて凹所を
取出し通路に連通させて、表面に結晶シートが生成され
た浸漬部材を保持体とともに取出し、さらに回転体を回
動させて凹所を前記供給通路に連通させる、という連続
処理が可能となり、結晶シートの生産効率を、より一
層、向上して、製造コストを低減することが可能とな
る。
【0022】また本発明は、前記通路は、ハウジングの
前記容器が配置される浸漬位置に関して、回転体の回転
方向上流側に設けられる供給通路と、前記浸漬位置に関
して、回転体の回転方向下流側に設けられる取出し通路
とを有し、ハウジングの前記取出し通路が設けられる一
側部の近傍には、取出し通路を介して回転体の凹所から
保持体を取外す保持体取出し手段が設けられることを特
徴とする。
【0023】本発明に従えば、供給通路を介して回転体
の凹所内に保持体を供給し、凹所が容器の上方に配置さ
れる位置に回転体を回動させ、浸漬部材を融液へ浸漬さ
せた後、回転体を回動させて凹所を取出し通路に連通さ
せて、保持体取出し手段によって、表面に結晶シートが
生成された浸漬部材を保持体とともに取出し、さらに回
転体を回動させて凹所を前記供給通路に連通させる、と
いう連続処理が可能となり、結晶シートの生産効率を、
より一層、向上して、製造コストを低減することが可能
となる。
【0024】また本発明は、前記回転体の凹所には、加
熱手段が設けられることを特徴とする。
【0025】本発明に従えば、凹所に加熱手段が設けら
れるので、凹所内に保持部材に保持された浸漬部材が供
給されてから融液に浸漬されるまでの間、浸漬部材を加
熱することができる。前記浸漬部材が融液に浸漬される
までの間、浸漬部材を加熱手段によって加熱することに
よって、浸漬部材を融液温度付近に予備加熱し、浸漬部
材と融液との温度差を小さくし、浸漬部材の表面に融液
を均一に付着させ、浸漬部材の表面に均一な厚みで結晶
シートを生成することが可能となり、結晶シートの形状
精度の安定性が得られ、結晶シートの製造に対する信頼
性を向上することができる。
【0026】また本発明は、前記回転体には、複数の凹
所が周方向に予め定める間隔をあけて設けられ、ハウジ
ングの供給通路に各凹所のうちの1つが連通したとき、
残余の凹所が容器の上方または取出し通路に配置される
ことを特徴とする。
【0027】本発明に従えば、回転体に複数の凹所を形
成して、1つの凹所が供給通路に連通したとき、残余の
凹所は容器の上方か、あるいは取出し通路に配置される
ので、前記供給通路を介して保持体を前記1つの凹所に
供給するとともに、残余の凹所に収容される保持体に設
けられる浸漬部材を容器内の融液に浸漬し、または取出
し通路から前記融液に浸漬された浸漬部材を保持する保
持体を取出す作業を並行して行うことができる。これに
よって結晶シートの生産効率が格段に向上される。
【0028】また本発明は、前記容器を、浸漬部材が容
器内の融液に浸漬する上昇位置と、保持体の回転を許容
する下降位置とにわたって変位させる容器昇降手段とを
含むことを特徴とする。
【0029】本発明に従えば、回転体の凹所が容器の上
方に配置されたとき、容器昇降手段によって容器を上昇
させ、凹所内の保持体に保持されている浸漬部材を前記
容器内の融液に浸漬させることができる。また、浸漬部
材を融液に浸漬しないときには、容器昇降手段によって
容器を下降させて、容器を回転体に干渉しない待避位置
へ後退させることができる。
【0030】このように容器昇降手段によって容器を昇
降変位させることができるので、簡単な構成で、ハウジ
ング内を開放せずに、凹所内を、保持体を保持するため
の最小限の容積とすることができる。
【0031】さらに本発明は、不活性ガス雰囲気とされ
る炉内空間に、製造されるべき結晶シートの原料を加熱
溶融した融液が貯留される容器を配置し、前記不活性ガ
ス雰囲気内の予め定める供給位置で、前記融液が貯留さ
れる容器上を経由して循環移動する凹所を、炉外に個別
に開放して、周方向に間隔をあけて複数の浸漬部材が保
持される保持体を、各凹所内に順次的に収容する工程
と、各凹所内の保持体が前記容器上に配置されたとき、
その保持体を回転させながら各浸漬部材を前記容器内の
融液に浸漬する工程と、前記融液への浸漬によって各浸
漬部材に融液が付着した保持体を、前記凹所に収容した
状態で、前記移動方向下流側の予め定める取出し位置に
順次的に移動して、各凹所を炉外に個別に開放し、開放
された凹所から保持体を取出して、各浸漬部材から結晶
シートを剥離する工程とを含むことを特徴とする。
【0032】本発明に従えば、炉内の不活性ガス雰囲気
中で、融液が貯留される容器の上方を経由して循環移動
する凹所に、予め定める供給位置で保持体を収容し、こ
の保持体を回転させて掻く浸漬部材を融液に浸漬し、取
出し位置で保持体を取出して、各浸漬部材から結晶シー
トを剥離することによって、結晶シートが製造されるの
で、前記供給位置および取出し位置以外で炉内が大気に
開放されることなしに、各浸漬部材に結晶シートを生成
することができる。これによって炉内から大気へ不活性
ガスの放散を抑制して、炉内に開放による温度低下を防
ぎ、不活性ガスの消費量および不活性ガスの放散に伴う
熱の持ち出しを低減して、連続して結晶シートを生成す
ることが可能となる。これによって結晶シートの製造に
対する信頼性および生産性を向上し、低コストで結晶シ
ートを製造することが可能となる。
【0033】また本発明は、各凹所の保持体は独立して
各工程を実行し、かつ各工程が並行して実行されること
を特徴とする。
【0034】本発明に従えば、回転体の複数の凹所のう
ちの1つが保持体を収容する工程にあるとき、残余の凹
所はすでに収容されている保持体を融液に浸漬する工程
か、あるいは融液が付着した保持体を取出して結晶シー
トを剥離する工程にあるので、保持体を前記1つの凹所
に供給するとともに、残余の凹所に収容される保持体に
設けられる浸漬部材を容器内の融液に浸漬し、または前
記融液に浸漬された浸漬部材を保持する保持体を取出す
作業を並行して行うことができる。これによって結晶シ
ートの生産効率が格段に向上される。
【0035】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の一形態の
結晶シートの製造装置の概略的構成を示す水平断面図で
あり、図3の切断面線I−Iから見た断面を示す。図2
は、図1の下方から見た保持体付近の拡大正面図であ
る。本実施の形態の結晶シートの製造装置(以下、製造
装置と略記する場合がある)は、装置本体1、第1搬送
装置55、供給装置50、取出し装置40、および第2
搬送装置45を含む。この製造装置は、結晶シートの製
造方法を実施するために用いられ、本実施の形態では、
前記結晶シートの一例として、太陽電池の多結晶シリコ
ン基板を製造する場合について説明する。
【0036】前記装置本体1は、中空で直方体状のハウ
ジング2と、このハウジング2内のほぼ中央部に、略鉛
直な回転軸線L1まわりに回転自在に設けられる回転体
3とを含む。ハウジング2は、過度の温度上昇を防止す
るために水冷構造とされる。この水冷構造としては、ハ
ウジング2を構成する壁体内に流路を形成して冷却水を
通過させる構成であってもよく、あるいは前記壁体の外
表面に水冷管を巻回して接合し、冷却水を通過させる構
成であってもよい。
【0037】前記回転体3は、外周面が前記回転軸線L
1を中心とする直円筒面の一部を成す筒状体であって、
熱膨張率の小さい耐熱性材料、たとえばセラミックから
成り、場合によっては前記回転体3の内壁部に水冷管を
配置した構造とする。回転体3の外周部には、各保持体
5a,5b,5c,5d(総称する場合には、保持体5
と記す場合がある)を収納する凹所6a,6b,6c,
6d(総称する場合には、凹所6と記す場合がある)が
周方向に90°毎に設けられる。各凹所6a〜6d内に
は、各保持体5a〜5dに周方向両側から臨み、各保持
体5a〜5dにそれぞれ保持される浸漬部材27を加熱
する予備加熱装置28が設けられる。
【0038】前記回転体3内の空間3aには、各保持体
5a〜5dを、各凹所6a〜6dに収容された状態から
半径方向外方に突出させ、かつこの突出した状態から半
径方向内方に待避させるために一対の複動シリンダ9
a,9bが設けられ、回転体3には、前記空間3aから
各凹所6a〜6dのほぼ中央に貫通する回転軸10a〜
10dが設けられる。各回転軸10a〜10dの凹所6
a〜6d内に突出する部分には、各保持体5a〜5dが
着脱可能に装着される。
【0039】回転体3とハウジング2との間には、仕切
部材4a〜4dが前記ハウジング2の4隅の内面に固着
して設けられる。これらの仕切部材4a〜4dによっ
て、ハウジング2と回転体3との間の空間が、複数(本
実施の形態では4)の断熱室29a〜29dに仕切られ
る。各仕切部材4a〜4dの内周面は、前記回転体3の
外周面を含む直円筒面よりも僅かに大径の直円筒面の一
部を成し、回転体3の各外周面から半径方向外方に、回
転体3の回転を許容し得る程度の微小な間隔ΔL1をあ
けて離間している。
【0040】したがって各断熱室29a〜29dは、相
互間の自由な雰囲気ガスの移動を許容しない、いわば遮
蔽状態とされる。これらの断熱室29a〜29dは、前
記回転体3の回転方向Cに沿って、各保持体5を回転軸
10a〜10dに順次的に装着する供給行程、回転体3
を回転方向Cに90°回動した位置で待機する待機行
程、保持体5に保持される各浸漬部材27を容器12に
貯留される融液に浸漬する浸漬行程、および浸漬行程に
おいて各浸漬部材27に融液が付着・凝固した保持体5
を凹所6からハウジング2の外方へ取出す取出し行程に
それぞれ対応して、90°毎に振り分けられた供給位置
P1、停止位置P2、浸漬位置P3および取出し位置P
4にそれぞれ設けられている。
【0041】前記容器12は、浸漬位置P3の断熱室2
9c内に、回転体3の回転軸線L1まわりの回転によっ
て移動する保持体5の移動経路の下方に設けられる。こ
の容器12は、坩堝によって実現され、前記多結晶シリ
コンを加熱溶融した融液が貯留される。容器12の周囲
には、容器12内の被加熱材料、すなわち本実施の形態
では多結晶シリコンを加熱するための誘電加熱装置8
と、容器12を上下移動させる昇降台13とが設けられ
る。浸漬位置P3に配置される断熱室29cには、たと
えば酸化などのように融液が不純物材料と反応すること
を避けるため、不活性ガス雰囲気とされる。この不活性
ガスとしては、たとえばArガスが用いられる。
【0042】前記ハウジング2は、後述の図3に示され
るように、基台77上に設置され、水平断面が矩形の周
壁61と、周壁61の上端開口部を塞ぐ天板14と、周
壁61の下端開口部を塞ぐ底板15とを有する。周壁6
1は、周方向両端部で相互に直角に屈曲して連なる4つ
の周壁部分62a〜62dから成る。
【0043】供給位置P1に配置される周壁部分62a
には、供給側透孔63が形成され、この供給側透孔63
は、外周部に周方向に間隔をあけて複数の浸漬部材27
を備える保持体5が遊通することができる。また、取出
し位置P4に配置される周壁部分62dには、取出し側
透孔64が形成され、この取出し側透孔64には、外周
部に融液への浸漬によって表面に結晶シリコン膜が生成
された浸漬部材27を備える保持体5が遊通することが
できる。各透孔63,64は、各周壁部分62a,62
dに開閉可能に設けられる扉65,66によって塞がれ
る。
【0044】前記供給側透孔63の外側方(図1の上
方)には、供給装置50が設けられる。この供給装置5
0は、第1搬送装置55によって矢符A方向に搬送され
てきた保持体5を、供給位置P1に配置されている凹所
6a内に供給して、その凹所6a内に突出している回転
軸10aに装着する着脱装置51と、前記周壁部分62
aに気密に接合され、前記着脱装置51が収容される中
空直方体状のカバー体53とを含む。
【0045】カバー体53は、前記供給位置P1に配置
される周壁部分62aに臨んで開放する箱状体である。
このカバー体53の一側部には、第1搬送装置55によ
って矢符A方向に搬送されてきた保持体5が、着脱装置
51によって把持された状態で、カバー体53の前記空
間内へ通過することができる搬入孔67が形成され、こ
の搬入孔67は開閉可能な扉69によって塞がれる。こ
れらの扉66,69が閉じられた状態では、カバー体5
3内の空間は、気密な状態で閉鎖される。
【0046】供給側の着脱装置51は、略鉛直な回転軸
線L2まわりに矢符D1,D2方向に回動する回動部7
1と、回動部71から一半径線方向に突出し、先端部を
保持体5に挿入して把持することができるアーム72と
を有する。
【0047】取出し装置40は、カバー体43と、カバ
ー体43内に収容され、矢符E1,E2方向に回動する
着脱装置41とを有する。カバー体43は、ハウジング
2の取出し位置P4に配置される周壁部分62dに、開
閉可能な扉66によって塞がれる取出し側透孔64を外
囲して、気密に接続される。前記着脱装置41は、略鉛
直な回転軸線L3まわりに矢符E1,E2方向に回動す
る回動部73と、回動部73から一半径線方向に突出
し、先端部を保持体5に挿入して把持することができる
アーム74とを有する。この取出し側の着脱装置41
は、前記供給側の着脱装置51と同様な構成を有する。
【0048】図3は、図1の切断面線III−IIIか
ら見た断面図である。なお、図3は、図解を容易にする
ため、簡略化して示されている。前記ハウジング2は、
たとえば床76に載置される基台77によって支持さ
れ、床76から上方に離間して、底板15と床76との
間には、空隙78が形成されている。底板15の上面に
は、回転体3の回転軸17を前記回転軸線L1まわりに
回転自在に軸支する上下一対の軸受19a,19bを備
える軸受ホルダ18が固定される。前記回転軸3は、底
板15を下方へ貫通し、この底板15から突出する下端
部には、第1歯車20が固定される。
【0049】前記底板15の下面には、ブラケット79
が固定され、このブラケット79には主駆動モータ22
が搭載される。主駆動モータ22の出力軸には、第2歯
車21が固定され、第2歯車21は前記第1歯車20に
噛合し、主駆動モータ22の回転トルクが前記回転軸1
7に伝達され、回転体3が回転方向Cに回転駆動され
る。前記第1歯車20と第2歯車21とは、減速機を構
成する。
【0050】前記底板15の下面にはまた、前記容器1
2の下方でもう1つのブラケット80が固定される。こ
のブラケット80には、昇降用モータ24が搭載され、
その出力軸にはねじ軸81が同軸に連なり、底板15を
その厚み方向に貫通して固定される案内軸82に挿通さ
れた案内軸83内に挿入される。案内軸83内には、図
示しないナットが装着され、このナットの前記ねじ軸8
1が螺着され、ボールねじ機構を実現している。
【0051】昇降用モータ24の出力軸を介するねじ軸
81の回転は、前記ナットによって軸線方向の変位に変
換され、このナットを内臓する案内軸83が昇降変位す
る。このような案内筒83の上端部には、前記昇降台1
3が垂直に固定され、昇降台13の略水平な上面に容器
12を載置して、昇降変位させることができる。
【0052】回転体3は、前記各凹所6a〜6dが形成
される略円筒状の周壁84と、周壁84の下端部を塞ぐ
底壁85と、底壁85の下端部から下方に連なり、少な
くとも内周面が直円筒状の案内壁86と、周壁84の上
端部を塞ぐ上蓋16とを有する。底壁85の中央部に
は、前記回転軸17の上端部が固定され、回転軸17は
回転体3の回転軸線L1と共通な一直線上に回転軸線を
有する。
【0053】図4は、回転体3の各凹所6a〜6d内に
保持体5a〜5dが収容された状態を示す断面図であ
り、図5は浸漬位置P3に配置された凹所6cから保持
体5cが突出した状態を示す断面図である。
【0054】回転体3の周壁84と案内壁86とから成
る側壁をその厚み方向に貫通して固定される軸受け36
a,6c内に、各保持体5a〜5dが着脱可能に装着さ
れた回転軸10a,10cが、その軸線方向に摺動可能
に挿入され、空間3aから各凹所6a,6cのほぼ中央
に貫通する。
【0055】回転体3の空間3a内には、略中央で直角
に屈曲している板状のLアングル38a,38bの一側
部の直角をなす面に、回転体駆動モータ32a,32c
がその出力軸が前記一側部の厚み方向に貫通して固定さ
れる。回転体駆動モータ32a,32cの出力軸と回転
軸10a,10cとは、カップリング33a,33cで
同軸に連なる。
【0056】Lアングル38a,38bの他方の一側部
は、その直角をなす面の反対面が、軸受けブロック37
a,37bの上面と接触して固定され、この軸受けブロ
ック37a,37b内に摺動軸23a,23bが挿通さ
れる。この摺動軸23a,23bは、その軸線方向を略
水平にして前記軸受けブロック37a,37bが底板1
5と離間して、その一端ずつが底板15の上面に固定さ
れた軸保持金具26a,26cと前記案内壁86とにそ
れぞれ固定される。
【0057】前記底板15の下面にはまた、ミニシリン
ダ39a,39bがその軸25a,25bが底板15を
その厚み方向に貫通して固定される。この軸25a,2
5bは、前記摺動軸23a,23bの下端と接するか、
あるいは下端よりわずかに下方の位置から、前記軸受け
ブロック37a,37bの下端より下方の位置まで昇降
変位し、摺動軸23a,23bに沿って摺動可能な軸受
けブロック37a,37bの動きを規制する。
【0058】前記Lアングル38a,38bにおける前
記回転体駆動モータ32a,32cが固定された面の上
方には、複動シリンダ9aの一端ずつが、その軸線方向
を前記回転体駆動モータ32a,32bの出力軸と並行
して、それぞれリンク機構で連結されている。
【0059】複動シリンダ9bは、前記複動シリンダ9
aとその上方で直交し、前記複動シリンダ9aに連動す
る構造部からなる機構部と同様の構造部に連動するよう
に配置され、複動シリンダ9aを含む機構部と同様の機
構部が構成される。複動シリンダ9a,9bについては
交錯するため、複動シリンダ9aより高い位置で複動シ
リンダ9bは直交して配置されるが、回転体駆動モータ
32a,32bは互いに干渉しないため、同じ高さ位置
で配置される。
【0060】次に、本実施の形態の結晶シートの製造装
置の動作について説明する。図1および図2をも参照し
て、供給位置P1から停止位置P2を経て浸漬位置P3
の断熱室29cに配置された保持体5aは、複動シリン
ダ9bによって、凹所6aから半径方向外方へ突出した
突出位置と、この突出位置から半径方向内方へ変位して
前記凹所6a内に収容される収容位置とにわたって往復
変位駆動される。図1には、浸漬位置P3で保持体5a
が凹所6aから半径方向外方へ変位して突出位置の配置
された状態が示されている。
【0061】この後、図2に示されるように、保持体5
aの外周部に配設された複数の浸漬部材27のうち最も
下方に配置される浸漬部材27が融液に浸漬される位置
まで、容器12を上昇させて、保持体5aを回転して各
浸漬部材27を順次的に融液11に浸漬し、各浸漬部材
27の表面に融液を付着させて、シリコンシートを生成
する。その後、保持体5aをその回転軸10aのまわり
で回転させ、各浸漬部材27表面に順次シリコンを付着
させ、凝固成長させる。浸漬部材27表面へのシリコン
の凝固成長は、保持体5aを1回転することにより終了
する。保持体5aの回転停止後、容器12および融液1
1と保持体5aが接触しない位置まで容器12を下降さ
せ、保持体5aを凹所6aに移動して待避させる。な
お、回転体3の内部機構および容器12の動作の詳細に
ついては、後述する。
【0062】次いで、保持体5aが凹所6a内へ待避し
た後、回転体3は、仕切部材4a〜4dの内周部に沿っ
て、矢符Cで示す反時計方向に90°回転し、凹所6a
が取出し位置P4の断熱室29dに配置されて停止す
る。このとき、保持体5aの凹所6a内は、容器12内
シリコン融液11の輻射熱による余熱を有したまま断熱
室29dに移動されて徐冷される。凹所6aの徐冷によ
って、図2のように保持体5aの外周面の浸漬部材27
に付着したシリコンも、凹所6a内で徐冷される。
【0063】装置本体1の扉66が開かれ、取出し装置
40では、着脱装置41の回動部73を回転軸線L3ま
わりに矢符E2で示す反時計方向に略90°回動して、
そのアーム74の先端部を扉70に対峙する方向から扉
66に対峙する方向へ向きを変える。扉66が開いた
後、断熱室29dでは、複動シリンダ9bおよび回転軸
10aによって凹所6a内に待避させていた保持体5a
を半径方向外方に突出させる。このとき、アーム74の
先端部を一半径線方向に突出して断熱室29d保持体5
に挿入して、保持体5aが把持される。
【0064】着脱装置41は、アーム74の先端部が保
持体5aを把持したまま、その先端部を突出前の位置ま
で引込んで、保持体5aを凹所6aの回転軸10aから
外し、回転軸線L3まわりに矢符E1で示す時計方向に
略90°回動し、扉70に対峙する位置で停止する。こ
のとき扉70が開き、保持体5aが把持された先端部を
一半径線方向に突出し、カバー体43の搬入孔68を通
過して第2搬送装置45の保持体5eの位置に装着させ
た後、前記先端部を突出前の位置まで引込む。第2搬送
装置45では、扉70を塞いで矢符B方向に保持体5a
が搬送されていく。
【0065】次いで、取出し位置P4にて凹所6aから
保持体5aが取出された回転体3は、仕切部材4a〜4
dの内周部に沿って、矢符Cで示す反時計方向に90°
回動し、凹所6aが供給位置P1の断熱室29aに配置
されて停止する。第1搬送装置50によって保持体5f
が矢符A方向に搬送され、着脱装置51は、アーム72
の先端部を回転軸線L2まわりに矢符D2で示す時計方
向に略90°回動し、扉69に対峙する位置で停止す
る。このとき扉69が開き、アーム72の先端部を一半
径線方向に突出し、カバー体53の搬入孔67を通過し
て保持体5fに挿入して把持し、そのまま先端部を突出
前の位置まで引込み、扉69が塞がれる。
【0066】着脱装置51は、アーム72の先端部が保
持体5fを把持したまま、その先端部を回転軸線L2ま
わりに矢符D1で示す時計方向に略90°回動し、扉6
5に対峙する位置で停止する。装置本体1の扉65が開
かれ、着脱装置51は、保持体5fが把持された先端部
を一半径線方向に突出し、ハウジング2の供給側透孔6
3を通過して、断熱室29a内の凹所6aの回転軸10
aに保持体5fを装着する。その後、先端部を突出前の
位置まで引込み、扉65が塞がれる。
【0067】次いで、供給位置P1にて凹所6aに保持
体5fが装着された回転体3は、仕切部材4a〜4dの
内周部に沿って、矢符Cで示す反時計方向に90°回動
することによって、停止位置Pの断熱室29b内に凹所
6aが配置されて停止する。この回転体3の回動開始と
同時に、図2に示されるように、保持体5fの両側で凹
所6aの内周部に配設された予備加熱装置28により、
保持体5cの外周部に配設された浸漬部材27を加熱開
始する。配設された全ての浸漬部材27を均一に加熱す
るため、加熱と同時に保持体5fの回転を進行させる。
【0068】次いで、保持体5fが装着された凹所6a
が停止位置P2の断熱室29bに配置されていた回転体
3は、矢符Cで示す反時計方向に90°回動し、凹所6
aが浸漬位置P3の断熱室29cに配置されて停止し、
前述の動作を繰返す。
【0069】前述の予備加熱装置28による予備加熱お
よび保持体5cの回転は、加熱温度に応じて、最長で、
凹所6aが断熱室29c内に配置されて回転体3が停止
するまで進行させることが可能である。
【0070】以上の動作説明においては、回転体3の凹
所6aが浸漬位置P3の断熱室29c内に配置された状
態から、回転体3が矢符C方向に360°回動し、再び
凹所6aが断熱室29a内に戻るまでの浸漬位置P3、
取出し位置P4、供給位置P1、停止位置P2における
動作について説明した。各凹所6b,6c,6dについ
ても、動作時期が異なること以外は凹所6aが配置され
る浸漬位置P3、取出し位置P4、供給位置P1、停止
位置P2における動作と全く同様である。浸漬位置P
3、取出し位置P4、供給位置P1、停止位置P2にお
ける動作は独立に、かつ並行して行われる。
【0071】次に、前記容器12の動作について図1〜
図3により詳細に説明する。浸漬位置P3の断熱室29
c内で、多結晶シリコン融液11を貯留する容器12
は、昇降台13上に載置され、その多結晶シリコン融液
11は、容器12の周囲に設けられた誘電加熱装置8に
よって加熱される。昇降台13は、回転軸線L1回りに
回転体3が回動する際に、保持体5と接触しない高さに
位置する。前述のように、保持体5aが凹所6aから突
出されると、昇降台13は、昇降用モータ24によっ
て、保持体5aの外周部に配設された複数の浸漬部材2
7のうち最も下方に配置される浸漬部材27が多結晶シ
リコン融液11に浸漬される位置まで、上昇される。前
述のように、回転軸10aまわりに保持体5aが1回転
して保持体5aに配設された全ての浸漬部材27が多結
晶シリコン融液11に浸漬された後、昇降台13は、昇
降用モータ24によって降下されて上昇前の高さに位置
する。
【0072】次に、前記回転体3の内部機構による動作
の詳細について図3〜図5により説明する。
【0073】図4のように複動シリンダ9aが収縮した
状態で、軸受けブロック37a,37bがミニシリンダ
39a,39bの軸25a,25bの上方より回転体3
の半径方向内方に位置するとき、軸25bがミニシリン
ダ39bによって軸線方向上方に伸長する。一方、軸2
5aは、軸受けブロック37aの下端より下方に待避し
ている。このとき複動シリンダ9aが伸長すると、軸受
ブロック37bは、軸25bより回転体3の半径方向外
方への動きが規制され、複動シリンダ9aとリンク機構
で連結しているLアングル38a下面に固定された軸受
けブロック37aは、摺動軸23aに沿って回転体3の
半径方向外方へ動く。保持体5cは凹所6cから突出さ
れてシリコン融液11の液面上方に移動し、図5の状態
になる。図5の状態で、複動シリンダ9aの引込み動作
により、軸受けブロック37aは摺動軸23aに沿って
回転体3の半径方向内方へ動き、保持体5cを凹所6c
内部へ収納する。
【0074】次いで、回転体3を回転方向Cに沿って9
0°ずつ2回、すなわち180°回動して、保持体5a
が浸漬位置P3に配置され、複動シリンダ9aが収縮し
た状態で、軸受けブロック37a,37bがミニシリン
ダ39a,39bの軸25a,25bの上方より回転体
3の半径方向内方に位置するとき、軸25aがミニシリ
ンダ39aによって軸線方向上方に伸長する。一方、軸
25bは、軸受けブロック37bの下端より下方に待避
している。このとき複動シリンダ9aが伸長すると、軸
受ブロック37aは、軸25aより回転体3の半径方向
外方への動きが規制され、複動シリンダ9aとリンク機
構で連結しているLアングル38b下面に固定された軸
受けブロック37bは、摺動軸23bに沿って回転体3
の半径方向外方へ動く。保持体5aは凹所6aから突出
されてシリコン融液11の液面上方に移動する。複動シ
リンダ9aの引込み動作により、軸受けブロック37b
は摺動軸23bに沿って回転体3の半径方向内方へ動
き、保持体aを凹所6a内部へ収納する。
【0075】保持体5b,5dについても、複動シリン
ダ9bを含む機構部によって、保持体5a,5cと同様
に動作する。
【0076】以上の動作において、回転体3の90°位
置決め回転制御、昇降台13の昇降変位制御、回転軸1
0a,10b,10c,10dの突出し動作、回転軸1
0a,10b,10c,10dの回転動作、ミニシリン
ダ39a,39bの伸縮動作などは、シーケンサによっ
てプログラム制御されている。
【0077】本実施の形態による結晶シートの製造装置
は、前述の構造および動作により、結晶シートが生成さ
れた浸漬部材は、凹所内で保持体に保持され、回転体の
外周面とハウジングの内周面との間が回転体の回転を許
容し得る僅かな間隔とされるので、回転体を凹所が通路
に連通する位置まで回動してハウジングから外部へ保持
体を取出すことができ、通路は凹所だけに連通し、断熱
室全体が前記従来の技術のように開放されてしまうこと
がなく、凹所内およびその周囲の不活性ガスだけが通路
を解して外部へ流出されるが、それ以上の不活性ガスの
流出は阻止または抑制される。
【0078】したがってハウジング内の断熱室に存在す
る不活性ガスが大量に外部へ流出してしまうという不具
合が防がれるとともに、大量の不活性ガスの流出に伴う
熱の持ち出しが防がれ、不活性ガスの消費量および熱損
失が格段に低減されて、結晶シートの製造に対する低コ
スト化を図ることができる。
【0079】また、熱損失が低減されるので、収容空間
内の雰囲気温度の変化が軽微に抑えられ,雰囲気温度変
化に起因する融液温度変化による結晶シートの形成精度
の低下が防がれ、結晶シートの製造に対する信頼性およ
び生産性が向上される。
【0080】また、外周部に複数の浸漬部材が周方向に
間隔をあけて設けられた保持体が、保持体回動手段によ
って凹所で略水平な回転軸線まわりに回転され、容器の
上方に回転体の凹所を配置した状態で、複数の浸漬部材
を融液に浸漬して、1つの凹所内で複数の結晶シートを
連続して生成することができるので、単位数量あたりの
結晶シートの製造に対して必要とされる不活性ガスの消
費量および熱損失量が格段に少なくて済み、結晶シート
の生産効率が向上され、製造コストが低減される。
【0081】さらに、保持体供給手段は、供給通路を介
して回転体の凹所内に保持体を供給し、凹所が容器の上
方に配置される位置に回転体を回動させ、浸漬部材を融
液に浸漬させた後、回転体を回動させて凹所を取出し通
路に連通させて、保持体取出し手段によって、表面に結
晶シートが生成された浸漬部材を保持体とともに取出
し、さらに回転体を回動させて凹所を供給通路に連通さ
せる、という連続処理が可能となり、結晶シートの生産
効率を、より一層向上して、製造コストを低減すること
が可能となる。
【0082】また、凹所に加熱手段が設けられ、凹所内
に保持部材に保持された浸漬部材が供給されてから融液
に浸漬されるまでの間、浸漬部材を融液温度付近に予備
加熱して浸漬部材と融液との温度差を小さくし、浸漬部
材の表面に融液を均一に付着させて均一な厚みで結晶シ
ートを生成することができ、結晶シートの形状精度の安
定性が得られ、結晶シートの製造に対する信頼性を向上
することができる。
【0083】また、回転体に複数の凹所を形成して、1
つの凹所が供給通路に連通したとき、残余の凹所は容器
の上方や取出し通路に配置されるので、供給通路を介し
て保持体を1つの凹所に供給するとともに、残余の凹所
に収容される保持体に設けられる浸漬部材を容器内の融
液に浸漬する作業や取出し通路から融液に浸漬された浸
漬部材を保持する保持体を取出す作業を並行して行うこ
とができ、結晶シートの生産効率が格段に向上される。
【0084】さらに、回転体の凹所が容器の上方に配置
されたとき、容器昇降手段によって容器を上昇させ、凹
所内の保持体に保持されている浸漬部材を容器内の融液
に浸漬させることができ、浸漬部材を融液に浸漬しない
ときには、容器昇降手段によって容器を下降させて、容
器を回転体に干渉しない待避位置へ後退させることがで
きるので、簡単な構成でハウジング内を開放せずに、凹
所内を保持体を保持するために最小限の容積とすること
ができる。
【0085】なお、保持体を凹所から突出させて凹所に
待避させる機構は、実施の形態に示したようなシリンダ
系に限らず、1軸のねじ送り系またはリニアモータなど
であっても差し支えない。
【0086】
【発明の効果】本発明によれば、回転体の外周部に設け
る凹所に保持体を配置して、主要な構造部を配置してい
る回転体とハウジングとの間の各断熱室で、供給、浸
漬、取出しを別個に行うので、各断熱室を簡略に、かつ
容積を小さくして構成することができる。また浸漬塗布
によって結晶シートを生成する浸漬用の断熱室とは別の
取出し用の断熱室から結晶シートを取出すので、浸漬用
の断熱室外への不活性ガスと熱の逃げを大幅に低減でき
るとともに、融液温度に悪影響を与える雰囲気温度の変
化は軽微に抑えられる。これらによって、生成される結
晶シートの品質維持および生産性に顕著な効果を奏する
結晶シートの製造装置および方法を提供することができ
る。
【0087】また本発明によれば、各断熱室の作業は独
立に、かつ並行してできるため、作業効率がよくコスト
ダウンに大きく寄与し、生産性を向上することができる
結晶シートの製造装置および方法を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態による結晶シートの製造
装置の概略的構成を示す水平断面図であり、図3の切断
面線I−Iから見た断面を示す。
【図2】図1の下方から見た保持体付近の拡大正面図で
ある。
【図3】図1の切断面線III−IIIから見た断面図
である。
【図4】回転体3内の各凹所6a〜6d内に保持体5a
〜5dが収容された状態を示す断面図である。
【図5】浸漬位置P3に配置された凹所6cから保持体
5cが突出した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 装置本体 2 ハウジング 3 回転体 4a,4b,4c,4d 仕切部材 5a,5c,5d,5e,5f 保持体 6a,6b,6c,6d 凹所 8 誘電加熱装置 9a,9b 複動シリンダ 10a,10b,10c,10d 回転軸 11 融液 12 容器 13 昇降台 40 取出し装置 41,51 着脱装置 45 第2搬送装置 50 供給装置 55 第1搬送装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B22D 29/00 B22D 29/00 G 33/02 33/02 35/00 35/00 Z

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 製造されるべき結晶シートの原料を加熱
    溶融した融液が貯留される容器と、 前記容器内の融液に浸漬して前記融液を付着させ、この
    付着した融液の成長、凝固によって結晶シートを生成す
    る浸漬部材と、 半径方向外方に臨んで開口する凹所が形成され、略鉛直
    な回転軸線まわりに回転自在な回転体と、 回転体の前記凹所内に収容され、前記浸漬部材を保持す
    る保持体と、 回転体の外周面に対して僅かな間隔をあけて対向する内
    周面が臨み、前記回転体が略鉛直な回転軸線まわりに回
    転自在に収容される収容空間を有し、前記回転体の回転
    に伴う凹所の移動経路の下方には前記容器が配置され、
    この容器が配置される位置から回転方向にずれた位置
    に、前記凹所内の回転体が浸漬部材を保持した状態で通
    過することができる通路が設けられるハウジングとを含
    むことを特徴とする結晶シートの製造装置。
  2. 【請求項2】 前記保持体には、外周部に周方向に間隔
    をあけて複数の浸漬部材が着脱可能に設けられ、 前記回転体には、保持体を凹所内で略水平な回転軸線ま
    わりに回転する保持体回動手段が設けられることを特徴
    とする請求項1記載の結晶シートの製造装置。
  3. 【請求項3】 前記通路は、ハウジングの前記容器が配
    置される浸漬位置に関して、回転体の回転方向上流側に
    設けられる供給通路と、前記浸漬位置に関して回転体の
    回転方向下流側に設けられる取出し通路とを有し、 ハウジングの前記供給通路が設けられる一側部の近傍に
    は、供給通路を介して回転体の凹所に保持体を供給する
    保持体供給手段が設けられることを特徴とする請求項1
    または2記載の結晶シートの製造装置。
  4. 【請求項4】 前記通路は、ハウジングの前記容器が配
    置される浸漬位置に関して、回転体の回転方向上流側に
    設けられる供給通路と、前記浸漬位置に関して、回転体
    の回転方向下流側に設けられる取出し通路とを有し、 ハウジングの前記取出し通路が設けられる一側部の近傍
    には、取出し通路を介して回転体の凹所から保持体を取
    外す保持体取出し手段が設けられることを特徴とする請
    求項1〜3のいずれか1つに記載の結晶シートの製造装
    置。
  5. 【請求項5】 前記回転体の凹所には、加熱手段が設け
    られることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに
    記載の結晶シートの製造装置。
  6. 【請求項6】 前記回転体には、複数の凹所が周方向に
    予め定める間隔をあけて設けられ、ハウジングの供給通
    路に各凹所のうちの1つが連通したとき、残余の凹所が
    容器の上方または取出し通路に配置されることを特徴と
    する請求項4記載の結晶シートの製造装置。
  7. 【請求項7】 前記容器を、浸漬部材が容器内の融液に
    浸漬する上昇位置と、保持体の回転を許容する下降位置
    とにわたって変位させる容器昇降手段とを含むことを特
    徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の結晶シー
    トの製造装置。
  8. 【請求項8】 不活性ガス雰囲気とされる炉内空間に、
    製造されるべき結晶シートの原料を加熱溶融した融液が
    貯留される容器を配置し、 前記不活性ガス雰囲気内の予め定める供給位置で、前記
    融液が貯留される容器上を経由して循環移動する凹所
    を、炉外に個別に開放して、周方向に間隔をあけて複数
    の浸漬部材が保持される保持体を、各凹所内に順次的に
    収容する工程と、 各凹所内の保持体が前記容器上に配置されたとき、その
    保持体を回転させながら各浸漬部材を前記容器内の融液
    に浸漬する工程と、 前記融液への浸漬によって各浸漬部材に融液が付着した
    保持体を、前記凹所に収容した状態で、前記移動方向下
    流側の予め定める取出し位置に順次適に移動して、各凹
    所を炉外に個別に開放し、前記開放された凹所から保持
    体を取出して、各浸漬部材から結晶シートを剥離する工
    程とを含むことを特徴とする結晶シートの製造方法。
  9. 【請求項9】 各凹所の保持体は独立して各工程を実行
    し、かつ各工程が並行して実行されることを特徴とする
    請求項8記載の結晶シートの製造方法。
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US8088637B1 (en) 2005-11-14 2012-01-03 Palo Alto Research Center Incorporated Method of manufacturing a semiconductor device including a superlattice strain relief layer

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