JP2006008481A - 薄板製造装置および薄板製造方法 - Google Patents

薄板製造装置および薄板製造方法 Download PDF

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Yoshikazu Matsui
美和 松井
Hideo Okada
英生 岡田
Zenjiro Yamashita
善二郎 山下
Kazuhiko Arikawa
和彦 有川
Kenji Yasutake
健司 安武
Hirosuke Sakai
宏祐 酒井
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Abstract


【課題】 大きさがコンパクトで、高品質なシリコンウエハを得ることのできる薄板製造装置を提供する。
【解決手段】 薄板製造装置30には、第1開閉扉37によって連通/遮断される第1および第2チャンバ32a,32bと、第1または第2チャンバ内に収容され、シリコンの融液を貯留する2つの坩堝31a,31bと、坩堝を第1チャンバと第2チャンバと間で自在に移動させることのできる坩堝移動手段36と、第1チャンバ内に設けられ、下地基板33を着脱自在に保持し、下地基板を坩堝内の融液に浸漬する浸漬手段35とが、備えられる。浸漬手段は、坩堝移動手段によって第1チャンバ内で並列になるように配置される2つの坩堝のうちから選択される1つの坩堝に下地基板を浸漬し、下地基板の結晶生成面で多結晶シリコンウエハを凝固成長させる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、金属または半導体材料の融液から薄板を製造する薄板製造装置および薄板製造方法に関する。
近年、地球環境に対する負荷を軽減するべく、化石燃料を用いる火力発電以外の、風力発電、波力発電などの発電方法が種々試みられている。なかでも最も注目され、実用化の先端に位置付けられているのが太陽電池による発電であり、この太陽電池には、その素材として多結晶シリコンウエハが用いられている。
太陽電池に用いられる多結晶シリコンウエハの代表的な製造方法の1つは、不活性ガス雰囲気中でリン(P)またはボロン(B)等のドーパントを添加した高純度シリコンを坩堝中で加熱溶融させ、この融液を鋳型に流し込んで冷却し、得られた多結晶シリコンのインゴットをバンドソー等で小さなブロックに切断し、さらにワイヤーソー等でスライス加工してシリコンウエハとするものである。
このような製造方法では、多結晶シリコンインゴットを得るための鋳造工程に加え、ウエハ外形ブロックサイズに切断する工程と、ウエハ厚さにスライス加工する工程、さらに洗浄工程、乾燥工程等が必要である。また、厚さ0.3mmのウエハを得るべくスライス加工する際に、0.2〜0.3mmの切り代が、切断粉として失われてしまうので、シリコン材料の利用効率、すなわち歩留が悪く、太陽電池の製造コスト低減を図る上で大きな障害となっている。
このような問題を解決する先行技術では、シリコン融液からシート状のシリコンを直接引き出し、スライス工程を必要としないシリコンリボン法が提案されている(たとえば、特許文献1、特許文献2参照)。この先行技術に開示される方法では、表面にカーボンネットを巻き付けた回転体をシリコン融液に接触させ、前記回転体を冷却するとカーボンネット上でシリコンの結晶化が始まり、回転体の回転に同期してカーボンネットを引き出すとカーボンネット上に成長した固体シリコンを種としてシリコンリボンが連続的に引き出されるので、スライス加工によらずシリコンウエハを得ることができる。
しかしながら、円筒形状の回転冷却体を利用する方法では、円筒の外周に沿ってシリコンが凝固成長するので、成長したシリコンは円筒に沿って曲がった形状に形成される。太陽電池の製造工程では、スクリーン印刷による電極形成工程等が含まれるので、シリコン基板の形状が曲がっていると、印刷時に割れる可能性が高く、工程歩留低下の原因になるという問題がある。
また溶融シリコンから薄板状のシリコンウエハを直接製作する方法として、平坦な薄板生成面を有する冷却体を、回転ドラム方式の動作機構によりシリコン融液中に一定時間浸漬させ、冷却体の薄板生成面に沿って成長した薄板状のシリコンウエハを形成する方法が提案されている(たとえば、特許文献3参照)。
しかしながら、回転ドラム方式の動作機構によって一定速度で回転移動する冷却体では、薄板生成面の中央部と前後部分とでは融液に浸漬している時間の差異が生じ、薄板状のシリコンウエハの厚さは、融液に浸漬した時間に依存し、浸漬時間の長いほど結晶が成長して厚くなるので、形成される薄板状シリコンウエハの厚さが一定にならず、品質上の問題が発生する。
特開昭61−275119号公報 特開2001−206798号公報 特開2002−175996号公報
本発明の目的は、高品質なシリコンウエハを得る薄板製造方法を提供することであり、また該方法に好適に用いられ、コンパクトな大きさを有する薄板製造装置を提供することである。
本発明は、金属または半導体材料の融液を坩堝内に貯留し、薄板の原板である下地基板の結晶生成面を坩堝内の融液に浸漬し、金属または半導体材料を下地基板の結晶生成面で凝固成長させる薄板製造装置において、
少なくとも2つ以上の坩堝と、
坩堝を収容するチャンバと、
チャンバ内に設けられ、下地基板を着脱自在に保持するとともに、保持されている下地基板を坩堝に貯留される融液に浸漬する浸漬手段と、
坩堝を、単独にまたは複数同時にチャンバ内で移動させることができる坩堝移動手段とを備え、
浸漬手段は、坩堝移動手段によってチャンバ内で並列になるように配置される少なくとも2つの坩堝のうちから選択される1つの坩堝に下地基板を浸漬することを特徴とする薄板製造装置である。
また本発明は、浸漬手段によって1回の装着の機会に保持される下地基板は、1枚であることを特徴とする。
また本発明は、浸漬手段は、
保持する下地基板を重力方向に移動させる上下動作手段と、
保持する下地基板を水平方向に移動させる水平動作手段と、
保持する下地基板を水平方向に延びる軸線まわりに回転移動させる垂直回転動作手段と、
保持する下地基板を重力方向に延びる軸線まわりに回転移動させる水平回転動作手段とを含むことを特徴とする。
また本発明は、金属または半導体材料の融液を形成する原料を坩堝内に装入する原料装入手段をさらに備え、
少なくとも2つ以上の坩堝のうちから選択される1つの坩堝には、下地基板の結晶生成面で凝固成長させるための金属または半導体材料の融液が貯留され、
残余の坩堝または残余の坩堝から選択されるもう1つの坩堝には、原料装入手段によって原料が装入され、装入された原料が坩堝内で溶解されることを特徴とする。
また本発明は、チャンバには、排気手段が設けられることを特徴とする。
また本発明は、チャンバは、第1チャンバと第2チャンバとの2つを含み、
第1チャンバと第2チャンバとの間には、第1チャンバと第2チャンバとを開閉自在に仕切る開閉扉を備えることを特徴とする。
また本発明は、少なくとも2つ以上の坩堝のうちから選択される1つの坩堝であって、下地基板の結晶生成面で凝固成長させるための金属または半導体材料の融液が貯留される坩堝が、第1チャンバ内に配置され、
残余の坩堝または残余の坩堝から選択されるもう1つの坩堝であって、原料装入手段によって原料が装入され、装入された原料が溶解される坩堝が、第2チャンバ内に配置されることを特徴とする。
また本発明は、坩堝には、坩堝および坩堝内に貯留される融液の重量を検知する重量検知手段が設けられることを特徴とする。
また本発明は、金属または半導体材料の融液を坩堝内に貯留し、薄板の原板である下地基板の結晶生成面を坩堝内の融液に浸漬し、金属または半導体材料を下地基板の結晶生成面で凝固成長させる薄板製造方法において、
チャンバ内に少なくとも2つ以上の坩堝を収容し、
坩堝を、単独にまたは複数同時にチャンバ内で移動させてチャンバ内で並列になるように配置し、
チャンバ内で並列になるように配置される少なくとも2つの坩堝のうちから1つの坩堝を選択し、
選択された1つの坩堝内に貯留されるに融液に下地基板を浸漬することを特徴とする薄板製造方法である。
また本発明は、選択された1つの坩堝内に貯留されるに融液に下地基板を浸漬する1回の動作について1枚の下地基板を浸漬し、
次回に下地基板を融液に浸漬するとき、浸漬するべき下地基板を新たな1枚の下地基板に交換することを特徴とする。
また本発明は、少なくとも2つ以上の坩堝のうちから選択される1つの坩堝では、金属または半導体材料の融液を貯留し、貯留される融液に下地基板を浸漬し、
残余の坩堝または残余の坩堝から選択されるもう1つの坩堝では、金属または半導体材料の融液を形成するための原料を装入し、装入した原料を坩堝内で溶解することを特徴とする。
また本発明は、金属または半導体材料の融液を形成するための原料の装入および溶解によって発生する蒸気および粉体を排気することを特徴とする。
また本発明は、坩堝および坩堝内に貯留される融液の重量と、前記融液の温度とを、少なくとも2つ以上の坩堝についてそれぞれ検出し、
検出出力に応じて下地基板を浸漬するべき坩堝を選択し、
選択した坩堝内に貯留される融液に下地基板を浸漬することを特徴とする。
本発明によれば、薄板製造装置には、少なくとも2つ以上の坩堝が備えられ、下地基板を保持する浸漬手段が、坩堝移動手段によってチャンバ内で並列になるように配置される少なくとも2つの坩堝のうちから選択される1つの坩堝に、下地基板を浸漬する。このように構成される薄板製造装置では、たとえば下地基板を浸漬して薄板形成に用いている1つの坩堝内に貯留される融液が、予め定める量よりも減少して薄板形成に適さなくなったとき、1つの坩堝に並列して配置される他の坩堝であって、予め定める量よりも多い適量の融液を貯留する坩堝に、下地基板を浸漬する対象坩堝を切換えて、薄板形成を行う。
このことによって、貯留される融液の量が予め定める量よりも減少した坩堝に薄板原料を追加し、溶解して適正温度になるまで下地基板の浸漬を待機する必要がなくなるので、薄板形成作業における待機時間などのロスタイムを短くすることが可能になる。
また本発明によれば、浸漬手段によって1回の装着の機会に保持される下地基板は、1枚であり、浸漬動作毎に、浸漬される下地基板が交換される。常温の下地基板を高温に加熱した坩堝内の融液に浸漬すると、下地基板は融液からの熱伝導によって温度が上昇する。融液の原料が、たとえば多結晶シリコン形成に用いられるシリコンの場合、坩堝内の溶融シリコンの温度は1400〜1500℃であり、溶融シリコンに浸漬された下地基板の温度は、500℃以上まで上昇することがある。融液に浸漬して一旦温度が上昇した下地基板を常温まで冷却し、冷却後に再度浸漬して結晶成長させることを繰返して薄板を形成すると、前述の冷却する時間が長く掛かるので、タクトタイム短縮が困難である。
したがって、浸漬動作1回毎に、浸漬する下地基板を1枚ずつ交換し、浸漬動作毎に常温の下地基板を融液に浸漬することとし、冷却のための待機時間を無くしてタクトタイムの短縮を実現した。一度融液に浸漬した下地基板を、再度融液に浸漬する場合には、1枚ずつ交換しながら繰返し浸漬動作を継続している間に、初めに浸漬した下地基板が、常温まで降温することができる程度の枚数の下地基板を準備することによって、常に常温まで冷却された下地基板を融液に浸漬するようにした。下地基板を融液に浸漬して製造された薄板の品質は、浸漬時間、下地基板温度、原料の融液温度により大きく影響を受けるので、下地基板の温度を安定させることは重要な要素の1つである。融液に浸漬する下地基板の温度を常に常温とすることによって、連続して製造した薄板の品質を安定して維持することができる。
また本発明によれば、浸漬手段は、保持する下地基板を、上下、水平に移動させることができ、また垂直、水平に回転移動させることができるように構成される。このことによって、坩堝内に貯留される金属または半導体材料の融液面に対して、薄板を形成する下地基板の結晶生成面を任意の動作で融液に浸漬させることが可能になる。さらに水平回転動作手段の重力方向に延びる軸線、すなわち融液面に垂直な回転軸線が、並列して配置される坩堝の略中間に位置するように浸漬手段を設けることによって、並列して配置される少なくとも2つの坩堝のそれぞれに対して任意の浸漬動作を行うことが可能になるので、安定したタクトタイムで薄板の製造を行うことができる。
また本発明によれば、薄板製造装置には、さらに原料装入手段が備えられる。チャンバ内に少なくとも2つ以上の坩堝を設置し、少なくとも2つ以上の坩堝のうちから選択される1つの坩堝を使って薄板を製造しながら、前記1つの坩堝以外の残余の坩堝または残余の坩堝のうちから選択されるもう1つの坩堝に対して原料を装入し、溶解する並列処理をすることができる。このことによって、1つの坩堝内の融液が少なくなって原料を追加しなければならない間にも、下地基板を浸漬するべき坩堝を、予め原料を装入し溶解されたもう1つの坩堝に切換えることによって、薄板の製造を停止する必要が無く、連続した製造が可能になり、設備稼働率を向上させることができる。
また本発明によれば、薄板製造装置のチャンバには、排気手段が設けられる。坩堝に原料を装入し溶解を行う際には、原料の蒸気および酸化物等のガスおよび粉体が発生する。たとえば、半導体材料の原料であるシリコンを溶解する場合、固体から液体(融液)に溶解するとき、SiOx等の粉体が発生しチャンバ内に飛散する。このSiOx等の粉体が、浸漬手段などの動作部または摺動部に付着すると、装置の耐久性が著しく劣化する。チャンバに排気手段を設けることによって、シリコン等の原料を溶解する際に発生するSiOx等の粉体およびガスを吸引してチャンバ外へ排出することができるので、チャンバ内への飛散が防止されて装置の耐久性を向上することができる。
また本発明によれば、チャンバは、第1チャンバと第2チャンバとの2つを含み、第1チャンバと第2チャンバとの間には、第1チャンバと第2チャンバとを開閉自在に仕切る開閉扉が備えられる。好ましくは、下地基板の結晶生成面で凝固成長させるための金属または半導体材料の融液が貯留される坩堝が、第1チャンバ内に配置され、原料装入手段によって原料が装入され、装入された原料が溶解される坩堝が、第2チャンバ内に配置される。
第1および第2チャンバを備え、その間に開閉扉を設けることによって、操業トラブル発生時の復帰時間を大幅に短縮することができる。たとえば、薄板製造中は、少なくとも2つの坩堝が、第1チャンバ内に配置されて開閉扉が開放され、チャンバ内部が不活性ガスに満たされている。第1チャンバにおいて操業時に何らかのトラブル発生したとき、または第1チャンバをメンテナンスするとき、坩堝を第2チャンバへ移動させて第1チャンバと第2チャンバと間の開閉扉を閉めることによって、第2チャンバ内を不活性ガス雰囲気に保持したまま、第1チャンバを大気開放することができる。
大気開放された第1チャンバをトラブル対策またはメンテナンスする間、第2チャンバ内で坩堝および坩堝内の融液を薄板製造に適した状態に維持することができる。トラブル対策またはメンテナンス終了後、開閉扉を閉めて第1チャンバに不活性ガスを導入し、その後開閉扉を開けて第2チャンバから第1チャンバへ、薄板製造に適した状態に維持された坩堝を移動することによって、直ちに薄板製造を再開することができるので、前述のように復帰時間を大幅に短縮することが可能になる。
また第1チャンバ内に配置される坩堝を使って下地基板を融液に浸漬し、薄板の生産を行うと同時に、第2チャンバ内に配置される坩堝に金属または半導体材料の原料を装入し、加熱・溶解することができる。原料の溶解された坩堝は、融液の温度を安定させ、薄板製造に用いるべく待機させておくことができる。さらに第2チャンバ内に配置される坩堝に金属または半導体材料の原料を装入し溶解する際、開閉扉を閉じ、第2チャンバに排気手段を設けて原料から発生する蒸気および粉体を排気することによって、装置寿命を延長することができる。このようにして、薄板の製造と、金属または半導体材料の溶解とを同時に行うことができる。
また本発明によれば、坩堝には、坩堝および坩堝内に貯留される融液の重量を検知する重量検知手段が設けられる。重量検知手段には、たとえばロードセルなどが用いられる。坩堝および坩堝内に貯留される融液の重量と、坩堝内の融液の液面高さとの関係を予め求めておくことによって、重量検知手段の出力から液面高さ情報を得ることができる。
この液面高さを相対基準とし、下地基板の融液に対する浸漬深さを定めることによって、一定した浸漬深さに保つことができるので、安定した品質の薄板を製造することが可能になる。坩堝内に貯留された融液の温度は、坩堝の周囲および底面から加熱され、融液面からの放熱によって、融液表面の温度が最も低くなる傾向がある。下地基板表面に結晶成長させる薄板製造においては、形成される薄板の板厚に対する融液温度の影響が大きく、下地基板の接する融液温度のばらつきが、板厚の不均一な原因となっている。したがって、融液の液面高さを正確に求め、下地基板の結晶成長面が融液に浸漬される深さを一定にすることによって、安定した温度で板厚の均一な薄板を製造することができる。
また、重量検知手段の出力から坩堝内の融液の貯留量を求めることもできる。坩堝内の融液の貯留量、換言すれば残量を求めることによって、該坩堝が、なお継続して薄板製造に使用できるか否かを判断し、薄板製造に使用する坩堝を切換えるタイミングを知ることが可能になる。1つの坩堝を使って薄板製造を行っている場合、生産が進むのに伴い坩堝内の融液が減少し、その液面高さが低下する。液面高さが予め定める値まで低下したとき、下地基板を浸漬する対象の坩堝を、原料を溶解して適正温度に保温しているもう1つの坩堝に切換えて薄板製造を継続することができる。このように、重量検知手段を設けることによって、薄板製造に使用する坩堝を、好適なタイミングで切換えることができるので、設備稼働率に影響することなくスムースな切換えを実現することができる。
また本発明によれば、下地基板を浸漬して薄板形成に用いている1つの坩堝内に貯留される融液が、予め定める量よりも減少して薄板形成に適さなくなったとき、1つの坩堝に並列して配置される他の坩堝であって、予め定める量よりも多い適量の融液を貯留する坩堝に、下地基板を浸漬する対象坩堝を切換えて、薄板形成を行うことが可能であり、薄板形成作業における待機時間などのロスタイムを短くすることのできる薄板製造方法が実現される。
また本発明によれば、浸漬動作1回毎に、浸漬する下地基板を1枚ずつ交換し、浸漬動作毎に常温の下地基板を融液に浸漬することによって、冷却のための待機時間を無くしてタクトタイムを短縮するとともに、融液に浸漬される下地基板の温度が常に常温になるようにして、連続して製造した薄板の品質を安定化することのできる薄板製造方法が実現される。
また本発明によれば、少なくとも2以上備わる坩堝のうち、1つの坩堝を使って下地基板を融液に浸漬し、薄板の生産を行うことができ、薄板の生産と同時に、前記1つの坩堝以外のもう1つの坩堝に金属または半導体材料の融液を形成するための原料を装入し、溶解することができる。このようにして、薄板の製造と、金属または半導体材料の溶解とを同時に行うことのできる薄板製造方法が実現される。
また本発明によれば、金属または半導体材料の融液を形成するための原料の装入および溶解によって発生する蒸気および粉体を、チャンバから外へ排気することができるので、チャンバ内への飛散が防止されて装置の耐久性を向上することができる。
また本発明によれば、坩堝および坩堝内に貯留される融液の重量と、融液の温度とを、少なくとも2つ以上の坩堝についてそれぞれ検出し、検出出力に応じて下地基板を浸漬するべき坩堝を選択し、選択した坩堝内に貯留される融液に下地基板を浸漬するので、複数の坩堝の中から薄板製造に最も適した坩堝を選択し、薄板を製造することが可能になる。このように、安定した品質の薄板を製造するとともに、高い設備稼働率を維持することのできる薄板製造方法が実現される。
図1は本発明の実施の一形態である薄板製造装置30の構成を部分的に断面にて示す平面図であり、図2は図1に示す薄板製造装置30の構成を部分的に断面にて示す正面図であり、図3は図1の切断面線III−IIIから見た断面図であり、図4は図1の切断面線IV−IVから見た断面図である。
薄板製造装置30は、大略、少なくとも2つ以上の坩堝31(本実施の形態では、第1坩堝31aと第2坩堝31bとの2つ)と、坩堝31をその内部空間に収容するチャンバ32と、チャンバ32内に設けられ、下地基板33を着脱自在に保持するとともに、保持されている下地基板33を坩堝31に貯留される融液34に浸漬する浸漬手段35と、坩堝31を、単独にまたは複数同時にチャンバ32内で移動させることができる坩堝移動手段36とを含んで構成される。
この薄板製造装置30は、金属または半導体材料の融液34を坩堝31内に貯留し、薄板の原板である下地基板33の結晶生成面を坩堝31内の融液34に浸漬し、金属または半導体材料を下地基板33の結晶生成面で凝固成長させて薄板を製造することに用いられる。本実施の形態では、半導体材料であるシリコンを溶解して得られる融液を用いて、下地基板表面に多結晶シリコンウエハを製造する装置について例示する。
チャンバ32は、略直方体形状を有し、その内部に空間が形成される箱型部材であり、たとえば鋼製の躯体に、詳細な図示を省くけれどもたとえばアルミナ(Al)などの断熱材が内張りされて、断熱かつ耐火構造を備える。チャンバ32は、第1チャンバ32aと、第1チャンバ32aよりも高さ寸法が少し小さく、第1チャンバ32aに隣接して設けられる第2チャンバ32bとを含んで構成される。第1チャンバ32aと第2チャンバ32bとが隣接する部分には、第1チャンバ32aと第2チャンバ32bとを開閉自在に仕切る第1開閉扉37が設けられる。
第1および第2チャンバ32a,32bには、図示を省略する真空排気手段と不活性ガス供給手段とが設けられる。真空排気手段は、真空ポンプと、真空ポンプと第1および第2チャンバ32a,32bとをそれぞれ接続する排気管路とを含む。不活性ガス供給手段は、不活性ガス供給源であるたとえばアルゴン(Ar)ガスボンベと、Arガスボンベと第1および第2チャンバ32a,32bとをそれぞれ接続する不活性ガス供給管路とを含む。真空排気手段と不活性ガス供給手段とによって、第1および第2チャンバ32a,32bは、それぞれ真空排気され、真空排気された内部空間に不活性ガスを充填することができる。
第1チャンバ32aの一方の側には入口副チャンバ41が設けられ、第1チャンバ32aの他方の側には出口副チャンバ42が設けられる。第1チャンバ32aと入口副チャンバ41との間には、両者を開閉自在に仕切る第2開閉扉43が設けられ、第1チャンバ32aと出口副チャンバ42との間には、両者を開閉自在に仕切る第4開閉扉45が設けられる。
入口副チャンバ41は、鋼製の角筒状部材であり、その一方の側、すなわち第2開閉扉43が設けられる側と反対側には、入口副チャンバ41と大気空間とを開閉自在に仕切る第3開閉扉44が設けられる。第3開閉扉44を開閉することによって、入口副チャンバ41の内部空間を、大気空間に対して開放し、また遮断することができる。入口副チャンバ41の内部には、第2下地基板搬送装置48が設けられる。第2下地基板搬送装置48は、軸受に支持されて電動機で回転駆動される駆動ローラ48aと、軸受に回転自在に支持される従動ローラ48bと、駆動ローラ48aと従動ローラ48bとに架けまわされる無端ベルト48cとを含むベルトコンベアから成る。第2下地基板搬送装置48は、入口副チャンバ41内で、無端ベルト48c上に載置される下地基板33を、第1チャンバ32aに向う方向である矢符52方向に搬送(搬入)する。
入口副チャンバ41の第1チャンバ32aが配置される側と反対側には、前述の第3開閉扉44を介して第1下地基板搬送装置47が設けられる。第1下地基板搬送装置47は、大気空間において設けられ、第2下地基板搬送装置48と同様に、軸受に支持されて電動機で回転駆動される駆動ローラ47aと、軸受に回転自在に支持される従動ローラ47bと、駆動ローラ47aと従動ローラ47bとに架けまわされる無端ベルト47cとを含むベルトコンベアから成り、無端ベルト47c上に載置される下地基板33を、矢符52方向に搬送し、第3開閉扉44が開いた状態のとき、入口副チャンバ41内へ搬入する。
また出口副チャンバ42も、鋼製の角筒状部材であり、その他方の側、すなわち第4開閉扉45が設けられる側と反対側には、出口副チャンバ42と大気空間とを開閉自在に仕切る第5開閉扉46が設けられる。第5開閉扉46を開閉することによって、出口副チャンバ42の内部空間を、大気空間に対して開放し、また遮断することができる。出口副チャンバ42の内部には、第4下地基板搬送装置50が設けられる。第4下地基板搬送装置50は、軸受に支持されて電動機で回転駆動される駆動ローラ50aと、軸受に回転自在に支持される従動ローラ50bと、駆動ローラ50aと従動ローラ50bとに架けまわされる無端ベルト50cとを含むベルトコンベアから成る。第4下地基板搬送装置50は、出口副チャンバ42内で、無端ベルト50c上に載置される下地基板33を、第1チャンバ32aから離反する方向である矢符53方向に搬送(搬出)する。
出口副チャンバ42の第1チャンバ32aが配置される側と反対側には、前述の第5開閉扉46を介して第5下地基板搬送装置51が設けられる。第5下地基板搬送装置51は、大気空間において設けられ、第4下地基板搬送装置50と同様に、軸受に支持されて電動機で回転駆動される駆動ローラ51aと、軸受に回転自在に支持される従動ローラ51bと、駆動ローラ51aと従動ローラ51bとに架けまわされる無端ベルト51cとを含むベルトコンベアから成り、無端ベルト51c上に載置される下地基板33を、矢符53方向に搬送し、第5開閉扉46が開いた状態のとき、出口副チャンバ42外へ搬出する。
第1チャンバ32a内には、第3下地基板搬送装置49が設けられる。第3下地基板搬送装置49は、他の下地基板搬送装置と同様に、軸受に支持されて電動機で回転駆動される駆動ローラ49aと、軸受に回転自在に支持される従動ローラ49bと、駆動ローラ49aと従動ローラ49bとに架けまわされる無端ベルト49cとを含むベルトコンベアから成る。第3下地基板搬送装置49は、第2開閉扉43が開いた状態で、第2下地基板搬送装置48によって搬入される下地基板33を、出口副チャンバ42に向けて搬送し、第4開閉扉45が開いた状態で、下地基板33を、出口副チャンバ42へ搬出する。第3下地基板搬送装置49による搬送途上において、下地基板33に対して薄板を形成させる処理が行われる。
図5は、浸漬手段35の構成を簡略化して示す正面図である。下地基板33を着脱自在に保持することのできる浸漬手段35は、保持する下地基板33を、重力方向に移動させる上下動作手段61と、水平方向に移動させる水平動作手段62と、水平方向に延びる軸線まわりに回転移動させる垂直回転動作手段63と、重力方向に延びる軸線まわりに回転移動させる水平回転動作手段64と、下地基板33を吸着保持する下地基板保持手段65とを含んで構成される。
浸漬手段35は、第1チャンバ32a内において、第3下地基板搬送手段49の上方に水平方向に延びて設けられる棚板部材60に装着される。水平動作手段62は、棚板部材60に装着される第1案内部材66と、第1案内部材66の延びる方向である水平方向と同一方向に延び、第1案内部材66に回転自在に支持されるおねじ部材67と、おねじ部材67に螺合する不図示のめねじ部材が固設される第1保持部材68と、第1電動機69とを含んで構成される。第1電動機69は、第1チャンバ32aの第1開閉扉35が設けられる側と反対側の側板32cに装着され、その出力軸が、気密性を保持することのできる封止継手70を介しておねじ部材67に接続される。第1電動機69の回転駆動力がおねじ部材67に伝達され、おねじ部材67が回転すると、おねじ部材67に螺合するめねじ部材の固設された第1保持部材68が、第1案内部材66に案内されて水平方向である矢符71方向に進退自在に直進運動する。このことによって、浸漬手段35は、水平動作することが可能である。
上下動作手段61は、前述の水平動作手段62に類似し、ほぼ水平動作手段62を重力方向に向けて設置したものと考えることができる。上下動作手段61は、第1保持部材68の水平動作手段62が設けられる側と90度を成す側に装着される。第2案内部材72と、第2案内部材72の延びる方向である重力方向と同一方向に延び、第2案内部材72に回転自在に支持される不図示のおねじ部材と、おねじ部材に螺合する不図示のめねじ部材が固設される第2保持部材73と、第2電動機74とを含んで構成される。第2電動機74は、第2案内部材72の一端部に設けられる保持板75に装着され、その出力軸が継手76を介しておねじ部材に接続される。第2電動機74の回転駆動力がおねじ部材に伝達され、おねじ部材が回転すると、おねじ部材に螺合するめねじ部材の固設された第2保持部材73が、第2案内部材72に案内されて上下(垂直)方向である矢符76方向に進退自在に直進運動する。このことによって、浸漬手段35は、上下動作することが可能である。
第2保持部材73の第2案内部材72に装着される側と90度を成す側には、水平回転駆動部保護ケース77が装着される。水平回転駆動部保護ケース77の内部には、水平回転動作手段64の水平回転駆動部78が設けられる。この水平回転駆動部78は、重力方向に延びる軸線まわりに回転駆動可能であり、垂直回転動作手段63全体を矢符87方向の水平方向に回転駆動させる。
垂直回転動作手段63は、前述の水平回転駆動部78に装着される。垂直回転動作手段63は、垂直回転駆動部保護ケース79を備え、垂直回転駆動部保護ケース79の内部に垂直回転駆動部80が設けられる。垂直回転駆動部80には、内部に中空構造を有し垂直回転駆動部80の出力軸を構成する第1回転軸部材81と、同じく内部に中空構造を有し第1回転軸部材81と90度の角度を成すようにして連結される第2回転軸部材82とが含まれる。
第1回転軸部材81と第2回転軸部材82とは、それぞれの中空構造を確保して連結され、第1回転軸部材81の第2回転軸部材82が連結される側と反対側にロータリージョイント83を接続し、ロータリージョイント83に可撓性を有する配管84をさらに接続し、配管84の端末に下地基板吸着用真空ポンプを配することによって、第2回転軸部材82の先端に、下地基板33を着脱自在に保持することが可能になる。垂直回転駆動部80によって第1回転軸部材81が、水平方向に延びる軸線まわりに回転駆動されるので、第2回転軸部材82の先端に保持される下地基板33を、矢符88で示す垂直方向に回転駆動させることができる。
第1回転軸部材81、第2回転軸部材82、ロータリージョイント83、配管84および下地基板吸着用真空ポンプは、下地基板保持手段65を構成する。浸漬手段35に備えられる下地基板保持手段65によって、吸着保持することのできる下地基板33は1枚である。すなわち、1基の浸漬手段35が1度に保持できる下地基板33は1枚であるように構成される。
なお、水平回転駆動部保護ケース77および垂直回転駆動部保護ケース79には、第1磁性流体シール85および第2磁性流体シール86がそれぞれ設けられ、回転動作をスムースに行うととともに、真空状態または不活性ガスによる水平回転駆動部78および垂直回転駆動部80の損傷を防止することができるように構成される。磁性流体シールが設けられる水平回転駆動部保護ケース77および垂直回転駆動部保護ケース79は、回転駆動部等が熱により損傷を受けることを防止できるように、ケース壁面にたとえば銅配管が施され、銅配管内に水を流過させて水冷されるように構成されることが好ましい
浸漬手段35の上下、水平、垂直回転および水平回転動作は、たとえば装置全体の制御盤内に処理回路を設け、処理回路に付設されるメモリに、製造するべき薄板に応じて予め試験によって求めた浸漬手段35の動作情報と動作プログラムとをストアしておき、これらに基づいて処理回路から、第1および第2電動機69,74、水平回転駆動部78、垂直回転駆動部80に対して制御動作信号を出力することによって実現することができる。
このように浸漬手段35は、保持する下地基板33を、上下、水平に移動させることができ、また垂直、水平に回転移動させることができるように構成される。このことによって、詳細を後述する坩堝31内に貯留されるシリコンの融液面に対して、薄板を形成する下地基板33の結晶生成面を任意の動作で融液34に浸漬させることが可能になる。さらに水平回転動作手段64の重力方向に延びる軸線、すなわち融液面に垂直な回転軸線が、並列して配置される坩堝31の略中間に位置するように浸漬手段35を設けることによって、並列して配置される2つの坩堝31のそれぞれに対して任意の浸漬動作を行うことが可能になるので、安定したタクトタイムで薄板の製造を行うことができる。
なお、下地基板33を保持する手段は、前述の真空吸着方法に限定されるものでは無く、メカチャック等の機械的保持手段、嵌合構造または永久磁石による接続手段、電磁マグネットチャックまたは静電チャック等の電気的保持手段でも可能であり、下地基板と下地基板保持手段とが着脱自在な構造であることが重要である。
図1〜図4に戻って、第2チャンバ32bについて説明する。第2チャンバ32bの一方の側には第1原料装入チャンバ91が設けられ、第2チャンバ32bと第1原料装入チャンバ91との間には、両者を開閉自在に仕切る第6開閉扉92が設けられる。第1原料装入チャンバ91は、鋼製の角筒状部材であり、その一方の側、すなわち第6開閉扉92が設けられる側と反対側には、第1原料装入手段93が設けられる。また第1原料装入チャンバ91の天板部には、開閉自在の蓋部材94aを備える第1原料供給口94が形成される。
第1原料装入手段93は、第6開閉扉92に対向して第1原料装入チャンバ91の壁面に装着される第1封止部材95と、第1封止部材95を挿通するようにして設けられる第1ロッド部材96と、第1ロッド部材96の第2チャンバ32b内側の端部に装着される柄杓状の第1原料投入容器97と、第1ロッド部材96の第2チャンバ32b外側の端部に設けられる第1ストローク手段98とを含んで構成される。第1ストローク手段98は、第1ロッド部材96に装着される第1把持部材99と、第1把持部材99が回動可能に装着される第1摺動部材100と、第1摺動部材100が摺動可能に係合される第1軌道部材101とを含む。
第1把持部材99および第1把持部材99が装着される第1摺動部材100を、第1軌道部材101に案内されるようにして移動させることによって、第1ロッド部材96を第1原料装入チャンバ91および第2チャンバ32bに対して出入させることができる。また第1把持部材99を第1摺動部材100に対して回動させることによって、第1ロッド部材96およびその端部に装着される第1原料投入容器97を、第1ロッド部材96の軸線まわりに角変位させることができる。
このように構成される第1原料装入手段93では、次のようにして第2チャンバ32b内に位置する坩堝31に薄板形成の材料であるシリコンを装入することができる。第1ストローク手段98によって、第1ロッド部材96先端の第1原料投入容器97を、第2チャンバ32bから出して第1原料装入チャンバ91内の第1原料供給口94下方に位置するように移動させる。第6開閉扉92を閉じて、第2チャンバ32bと第1原料装入チャンバ91との連通を遮断する。第1原料装入チャンバ91内の雰囲気調整の後、第1原料供給口94の蓋部材94aを開放し、所望量のシリコンを第1原料投入容器97に供給する。第1原料供給口94の蓋部材94aを閉じ、第1原料装入チャンバ91内の雰囲気調整の後、第6開閉扉92を開く。第1ストローク手段98によって、第1ロッド部材96先端の第1原料投入容器97を、第2チャンバ32bへ入れ、第2チャンバ32b内に位置する坩堝31の上方に位置するように移動させる。第1把持部材99を回動させて第1原料投入容器97を角変位させ、第1原料投入容器97内のシリコンを坩堝31内へ装入する。
第2チャンバ32bの他方の側には第2原料装入チャンバ102が設けられ、第2チャンバ32bと第2原料装入チャンバ102との間には、両者を開閉自在に仕切る第7開閉扉103が設けられる。第2原料装入チャンバ102の他方の側、すなわち第7開閉扉103が設けられる側と反対側に設けられる第2原料装入手段104は、第1原料装入チャンバ91および第1原料装入手段93と面対象に設けられるので、詳細な説明を省略する。
第2原料装入チャンバ102の天板部には、開閉自在の蓋部材105aを備える第2原料供給口105が形成される。第2原料装入手段104は、第2封止部材106と、第2封止部材106を挿通するようにして設けられる第2ロッド部材107と、第2ロッド部材107の一端部に装着される第2原料投入容器108と、第2ロッド部材107の他端部に設けられる第2ストローク手段109とを含んで構成される。第2ストローク手段109は、第2ロッド部材107に装着される第2把持部材110と、第2把持部材110が回動可能に装着される第2摺動部材111と、第2摺動部材111が摺動可能に係合される第2軌道部材112とを含んで構成される。このような第2原料装入手段104は、第1原料装入手段93と同様に作用する。
第1および第2原料装入手段93,104によって、第2チャンバ32b内に位置する坩堝31にシリコンを装入するとき、また装入されたシリコンを坩堝31内で溶解するとき、SiOx等の粉体が発生しチャンバ内に飛散する。このSiOx等の粉体が、装置の動作部または摺動部に付着すると、装置の耐久性が著しく劣化するので、第2チャンバ32bの天板部には、第1および第2排気手段113,114が設けられる。
第1排気手段113は、第2チャンバ32b内に配置される坩堝31の上方であって、第1原料装入手段93によって坩堝31にシリコンが装入されるときに第1原料投入容器97の上方に位置するように設けられる。第1排気手段113は、排気ダクト113aと、排気ダクト113aに接続される不図示の排気ファンとを含んで構成される。第2チャンバ32bに排気手段113,114を設けることによって、シリコン等の原料を溶解する際に発生するSiOx等の粉体およびガスを吸引して第2チャンバ32b外へ排出することができるので、第2チャンバ32b内への飛散が防止されて装置の耐久性を向上することができる。またシリコンを装入溶解時には、第1開閉扉37を閉じておくことによって、粉体およびガスが第1チャンバ32aへ飛散することも防止できる。
なお第2排気手段114は、第2原料装入手段104に対応するように設けられ、第1排気手段113と同様に作用する。
次に坩堝31について説明する。本明細書において、坩堝31(31a,31b)は、半導体材料であるシリコンを溶解して得られる融液を貯留する容器のみを意味するのではなく、シリコンを溶解しまたその融液を保温するための加熱手段等をも含めた装置の総称の意味に用いる。
図6は坩堝31および坩堝移動手段36の構成を部分的に断面で示す正面図であり、図7は図6に示す坩堝31および坩堝移動手段36の部分分解図であり、図8は図6に示す坩堝31および坩堝移動手段36の平面図である。
坩堝31は、基台121と、基台121上に設けられる坩堝台122と、融液34を収容する坩堝容器123と、坩堝容器123の周囲に設けられる加熱手段124と、加熱手段124のさらに周囲に加熱手段124を覆うように設けられる被覆部材125と、重量検知手段126(本実施の形態では、126a,126b,126cの3つ)と、不図示の融液温度検知手段とを含んで構成される。
基台121は、平面図上の形状が方形の鋼製台板状部材である。坩堝台122は、たとえば耐火レンガなどから成り、高温になる坩堝容器123を保持するとともに、坩堝容器123から基台121への熱伝導量を抑制し、基台121が熱損傷することを防止する。坩堝容器123は、たとえばグラファイト製の有底円筒状容器であり、坩堝台122上に配置される。この坩堝容器123に半導体材料であるシリコンが装入され、またシリコンの溶解された融液が貯留される。
加熱手段124は、高周波誘導コイルまたは抵抗発熱体と、不図示の制御電源とを含み、坩堝容器123内のシリコンを溶解し、また保温することができる。被覆部材125は、耐火材から成り、加熱手段124を覆って断熱するとともに加熱手段124を機械的損傷から保護する。
本実施の形態では、重量検知手段126にロードセルが用いられる。ロードセル126は、基台121と坩堝台122との間に3つ設けられ、坩堝台122と、坩堝容器123と、加熱手段124と、被覆部材125と、坩堝容器123内のシリコン融液34の重量和を測定する。定められた型式の坩堝台122、坩堝容器123、加熱手段124、被覆部材125を用いて、その風袋重量を測定するとともに、坩堝容器123内に収容されるシリコン融液の深さ(換言すれば、液面高さ)を種々に変化させて、重量を予め測定しておくことによって、ロードセル126によって測定される重量から融液の液面高さを求めることができる。
なお、融液温度検知手段は、図示していないけれども、坩堝容器123に装着される熱電対であっても良く、またチャンバ32内の所定位置に設けられる非接触式温度計であっても良い。
坩堝移動手段36は、第1坩堝31aを、第1チャンバ32aと第2チャンバ32bとの間で往復移動させることのできる第1坩堝移動手段36aと、第2坩堝31bを、第1チャンバ32aと第2チャンバ32bとの間で往復移動させることのできる第2坩堝移動手段36bとを含む。
第1坩堝移動手段36aと第2坩堝移動手段36bとは、面対象に構成されるので、第1坩堝移動手段36aについてのみ説明し、第2坩堝移動手段36bについては説明を省略する。
第1坩堝移動手段36aは、坩堝移動用電動機131aと、2つの第1および第2軸継手132a,133aと、第3磁性流体シール134aと、1つの駆動ローラ135aと、複数設けられる主従動ローラ136aと、駆動ローラ135aと主従動ローラ136aとに巻きまわされる第1チェーン137aと、主従動ローラ136a間に巻きまわされる第2チェーン138aとを含む。
坩堝移動用電動機131aは、第1チャンバ32aの壁面を臨んで外方に設けられ、坩堝移動用電動機131aの出力軸に第1軸継手132aが接続される。また第1軸継手132aには、第1チャンバ32aの壁部材に装着される第3磁性流体シール134aを挿通して設けられる動力伝達軸部材139aの一端部が接続される。動力伝達軸部材139aの他端部には、第2軸継手133aが接続され、第2軸継手133aには、駆動ローラ135aの軸が接続される。このことによって、坩堝移動用電動機131aの回転駆動力が、駆動ローラ135aに伝達される。駆動ローラ135aおよび主従動ローラ136aは、第1チャンバ32aから第2チャンバ32bへ向う方向に配列され、駆動ローラ135aの回転は、駆動ローラ135aの軸の反対側に設けられるスプロケットによって第1チェーン137aに伝達される。駆動ローラ135aから主従動ローラ136aに伝達された回転の主従動ローラ136a間の伝達は、主従動ローラ136a間に巻きまわされる第2チェーン138を介して行われる。
駆動ローラ135aおよび主従動ローラ136aの配列に対して、第1坩堝31aの基台121の幅寸法に相当する距離だけ離隔した位置に、駆動ローラ135aおよび主従動ローラ136aの配列に対して平行になるように、副従動ローラ140aが複数個設けられる。これらの駆動ローラ135aおよび従動ローラ136a,140aは、チャンバ32の基底部材141上に設けられる。
第1坩堝31aは、その基台121によって、主従動ローラ136aおよび副従動ローラ140aに乗載される。第1坩堝31aが、従動ローラ136a,140a上に乗載された状態で、坩堝移動用電動機131aを回転駆動させることによって、その駆動力が前述のように主従動ローラ136aにまで伝達されるので、第1坩堝31aが移動される。なお、副従動ローラ140aは、第1坩堝31aの基台121との摩擦によって従動するのみであり、自ら駆動することはない構成である。坩堝移動用電動機131aの回転駆動方向を変えることによって、第1坩堝31aの移動方向を変えることができる。前述したように、第2坩堝移動手段36bは、第1坩堝移動手段36aと面対象に構成されるので、第1坩堝移動手段36aと同様にして、第2坩堝31bを移動させることができる。
第1および第2坩堝移動手段36a,36bは、第1チャンバ32aから第2チャンバ32bに延びてそれぞれ設けられるので、第1開閉扉37を開いた状態で、第1および第2坩堝31a,31bを、単独でまたは同時に、第1チャンバ32aと第2チャンバ32bとの間を、自在に移動させることができる。
なお坩堝移動装置36は、平行に配列されるローラ群のうち、一方の列側のみを駆動させる構成であるけれども、これに限定されることなく、両方の列側を駆動させる構成であっても良い。
以下、薄板製造装置による薄板製造方法について説明する。まず第1および第2坩堝移動手段36a,36bによって、第1および第2坩堝31a,31bを第2チャンバ32bへ移動する。第2チャンバ32b内の所定の位置に配置された後、第1開閉扉37を閉じて第1チャンバ32aと第2チャンバ32bとを遮断する。
第2チャンバ32b内の所定位置に配置された第1および第2坩堝31a,31bに、第1および第2原料装入手段93,104によって、薄板製造の原料であるシリコンを装入する。このとき、第2チャンバ32b内が予め不活性ガス雰囲気に調整されているので、第6および第7開閉扉92,103を閉じた後、第1および第2原料供給口94,105の蓋部材94a,105aをそれぞれ開放し、第1および第2原料供給口94,105から、第1および第2原料投入容器97,108へシリコンを装入する。シリコン装入後、第1および第2原料供給口94,105を閉じ、第1および第2原料装入チャンバ91,102内の雰囲気を調整し、第6および第7開閉扉92,103を開き、第1および第2ストローク手段98,109によって、第1および第2原料投入容器97,108を第2チャンバ32b内へ挿入し、次いで第1および第2原料投入容器97,108を180度角変位させて、第1および第2坩堝31a,31b内へシリコンを装入する。その後、第1および第2ストローク手段98,109によって、第1および第2原料投入容器97,108が、第2チャンバ32bから挿脱され、その後第6および第7開閉扉92,103が閉じられる。第6および第7開閉扉92,103が閉じられて密閉空間の形成された第2チャンバ32bは、真空状態または不活性ガス雰囲気に調整される。
第1および第2坩堝31a,31bに装入されたシリコンは、加熱手段124によって溶解され、また溶解後はその融液が所定の温度に保温される。シリコンの第1および第2坩堝31a,31bへの装入時およびその後の溶解過程を通じて、第2チャンバ32bに設けられる第1および第2排気手段113,114を稼動させて、シリコンから発生するガスおよび粉体を第2チャンバ32b外へ排出する。
シリコンが溶解後保温される状態になった段階で、第2チャンバ32a内の雰囲気を第1チャンバ32a内の雰囲気と同一になるように調整する。その後、第1開閉扉37を開き、第1および第2坩堝移動手段36a,36bによって、第1および第2坩堝31a,31bを、第1チャンバ32aから第2チャンバ32bへ移動させる。第1および第2坩堝31a,31bを移動させた後、第1開閉扉37を閉じる。第1チャンバ32aに移動された第1および第2坩堝31a,31bは、並列状態に配置される。
第1および第2坩堝31a,31bが、第1チャンバ32a内で並列になるように配置された状態で、浸漬手段35が、並列して配置される第1および第2坩堝31a,31bの略中間に位置するように構成される。このことによって、前述のように、浸漬手段35は、水平動作手段62および水平回転動作手段64を動作させ、下地基板保持手段65で保持する下地基板33を、第1または第2坩堝31a,31bのうち、任意の坩堝を選択して浸漬することができる。
一方、薄板製造される下地基板33は、第1下地基板搬送手段47上に載置されて、入口副チャンバ41に向けて搬送される。このとき、少なくとも第2〜第4開閉扉43,44,45は閉じられている。入口副チャンバ41を大気開放し、第3開閉扉44のみを開き、第1下地基板搬送手段47によって搬送されてきた下地基板33を、第2下地基板搬送手段48へと移載する。所定の枚数(本実施の形態では5枚)の下地基板33が、第2下地基板搬送手段48に移載されて入口副チャンバ41内に搬送されると、第3開閉扉44を閉じる。入口副チャンバ41内を、第1チャンバ32a内と同じ雰囲気となる真空または不活性ガス雰囲気になるように調整し、その後第2開閉扉43を開く。第2下地基板搬送手段48は、下地基板33を搬送して、第1チャンバ32a内の第3下地基板搬送手段49へ移載する。5枚の下地基板33を第3下地基板搬送手段49に移載した後、第2開閉扉43が閉じられて、前述の下地基板33搬入動作が繰返される。
第3下地基板搬送手段49は、下地基板33を、第1チャンバ32a内の所定の位置、すなわち浸漬手段35によって吸着保持されるように予め定める位置に到るように搬送する。予め定める位置に到達した下地基板33は、浸漬手段35によって吸着保持される。このとき、吸着保持される下地基板33は、前述のように1基の浸漬手段35について1枚である。
浸漬手段35は、保持した下地基板33を第1または第2坩堝31a,31bのいずれかを選択して浸漬する。下地基板33を浸漬するべき坩堝は、予め定める順番によっても良く、また検知手段の出力に応じて選択することもできる。検知手段の出力に応じて選択する場合、重量検知手段126および融液温度検知手段からの出力を処理回路に入力し、処理回路が、予めメモリにストアされている融液の液面高さおよび融液温度の好適条件範囲と前記出力とを対比して、好適な範囲にある坩堝を選択し、浸漬手段35に対して動作制御信号を出力することによって行う。
浸漬手段35は、上下、水平、垂直回転および水平回転動作手段61,62,63,64を動作させて、保持する下地基板33を、薄板製造に最も適した姿勢にするとともに、最も適した浸漬深さに浸漬することが可能であり、このことによって安定した品質の薄板を製造することができる。また、下地基板33の浸漬処理は、同一の下地基板33について浸漬と冷却とを繰返すのではなく、1枚の下地基板33を1回融液に浸漬すると引上げて第3下地基板搬送手段49へ戻し、先に浸漬された下地基板33の次に搬送されて来た下地基板33を新たに1枚吸着保持して融液に浸漬する方法を採る。このことによって、浸漬された下地基板33の繰返し浸漬に備えて冷却するための待機時間が不要になるので、タクトタイムを短くすることができる。
またこのようにして薄板の製造を継続し、薄板製造に用いていた、たとえば第1坩堝31a内の融液の残量が減少し、薄板製造の好適範囲未満に液面高さが低下したとき、前述のように、重量検知手段126の検知出力に応じて、薄板製造に用いる坩堝を第2坩堝31bに切換えることができる。
融液残量が減少した第1坩堝31aは、次のように措置される。第1開閉扉37を開き、第1坩堝移動手段36aによって、第1坩堝31aが、第1チャンバ32aから第2チャンバ32bへ移動される。第1坩堝31aを第2チャンバ32bへ移動後、第1開閉扉37を閉じる。第1坩堝31aには、前述のように、第1原料装入手段93を用いて所定量のシリコンが追加装入されて溶解される。溶解後、融液が好適温度で保持されるに至った第1坩堝31aは、第1開閉扉37を開き、第1坩堝移動手段36aによって、再び第1チャンバ32aへと移動され、第2坩堝31bに並列する位置に配置される。その後第1開閉扉37を閉じる。第2チャンバ32b内で、第1坩堝31aにシリコンが追加装入され、溶解されている間、第1チャンバ32a内では、第2坩堝31bを用いて薄板製造が継続される。
このように、薄板製造装置30では、2つの第1および第2坩堝31a,31bのうち、一方の坩堝に融液の減少またはその他のトラブルが生じた場合であっても、第1チャンバ32aと第2チャンバ32bとを、第1開閉扉37で遮断し、第2チャンバ32bで、原料の追加またはトラブル対策を行い、第1チャンバ32aで薄板製造を継続できるので、薄板製造における待機時間などのロスタイムを短くすることが可能になる。
浸漬処理、すなわち下地基板33の表面に多結晶シリコンウエハの形成された下地基板33は、浸漬手段35によって、第3下地基板搬送手段49に戻される。第3下地基板搬送手段49に戻された下地基板33は、出口副チャンバ42へ向けて搬送される。出口副チャンバ42は、第4および第5開閉扉45,46が閉じられた状態で、第1チャンバ32aの雰囲気と同一の真空または不活性ガス雰囲気に調整されている。出口副チャンバ42へ向けて搬送された下地基板33は、第4開閉扉45を開き、出口副チャンバ42内の第4下地基板搬送手段50へ移載される。下地基板33が、第4下地基板搬送手段50へ移載された後、第4開閉扉45を閉じる。
なお下地基板33の第3下地基板搬送手段49から第4下地基板搬送手段50への移載は、1枚毎に行っても良く、また5枚毎に行っても良い。これは、第2下地基板搬送手段48から第3下地基板搬送手段49への移載についても同様である。ただし、入口および出口副チャンバ41,42の雰囲気調整の煩雑さを考慮すれば、5枚毎に行う方が好ましい。このとき、5枚ピッチで移載するので、第3下地基板搬送手段49において浸漬手段35により下地基板33を保持する位置に、下地基板33の無くなる場合が発生するけれども、たとえば光センサまたは超音波センサなどを第1チャンバ32a内に設置し、前記保持位置における下地基板33の有無を検出し、その検出出力を処理回路へ入力し、下地基板33が保持位置に存在しない場合には、処理回路から第3下地基板搬送手段49に対して動作指示信号を出力して、保持位置に下地基板33が来るまで、早送りさせることでロスタイムを抑制することが可能である。
出口副チャンバ42の第4下地基板搬送手段50に移載された下地基板33は、出口副チャンバ42を大気開放した後、第5開閉扉46を開き、第5下地基板搬送手段51へと移載、搬送される。第5下地基板搬送手段51で搬送される下地基板33は、多結晶シリコンウエハ製造済みの基板として収容される。この多結晶シリコンウエハ製造済みの基板は、多結晶シリコンを取り外し、下地基板33は洗浄等の処理を施された後、再度薄板製造装置30の第1下地基板搬送手段47へ投入されても良い。
再度薄板製造装置30の第1下地基板搬送手段47へ投入されるとき、下地基板33は、既に常温まで冷却されているので、常温に冷却されるための待機時間を要することなく、1枚ずつ続けて薄板製造することができる。したがって、浸漬手段に保持される下地基板を、交換することなく浸漬と冷却とを繰返して多結晶シリコンを成長させる場合に比べて、冷却のための待機時間を無くすことができるので、効率的に薄板製造することが可能である。
図9は、本発明の実施の第2形態である薄板製造装置150の構成を簡略化して示す平面図である。本実施の形態の薄板製造装置150は、実施の第1形態の薄板製造装置30に類似し、対応する部分については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
本実施の形態の薄板製造装置150において注目すべきは、第1チャンバ32aに、下地基板を搬入および搬出する手段と、浸漬手段とを2組設け、生産能力を2倍に向上させた構成を有することである。
薄板製造装置150では、入口および出口副チャンバ41,42ならびに第1〜第5下地基板搬送手段47,48,49,50,51と平行になるように、もう1組の第2入口および第2出口副チャンバ151,152ならびに第6〜第10下地基板搬送手段153,154,155,156,157が設けられ、第1チャンバ32a内には、もう1つの第2浸漬手段158が設けられる。
第2入口および第2出口副チャンバ151,152は、入口および出口副チャンバ41,42と同一に構成される。第2入口および第2出口副チャンバ151,152と第1チャンバ32aとの間には、開閉自在の第8開閉扉159および第10開閉扉161がそれぞれ設けられ、また第2入口および第2出口副チャンバ151,152の第8開閉扉159および第10開閉扉161の反対側には、開閉自在の第9開閉扉160と第11開閉扉162とがそれぞれ設けられる。
第2入口および第2出口副チャンバ151,152ならびに第6〜第10下地基板搬送手段153,154,155,156,157は、入口および出口副チャンバ41,42ならびに第1〜第5下地基板搬送手段47,48,49,50,51と、同様に動作し、下地基板33を第1チャンバ32a内へ搬入し、多結晶シリコンウエハの形成された下地基板33を、第1チャンバ32a外へ搬出する。
本実施の形態の薄板製造装置150では、浸漬手段35が第1坩堝31aの配置に対応して配置され、第2浸漬手段158が第2坩堝31bの配置に対応して配置される。したがって、浸漬手段35が、第3下地基板搬送手段49によって搬送される下地基板33を保持して、第1坩堝31aに浸漬することによって薄板製造し、第2浸漬手段158が、第8下地基板搬送手段155によって搬送される下地基板33を保持して、第2坩堝31bに浸漬することによって薄板製造する。このように、薄板製造装置150では、浸漬手段35と第1坩堝31aとによる薄板製造と、第2浸漬手段158と第2坩堝31bとによる薄板製造とを、併行することができるので、生産能力を倍増することができる。
なお、2つの坩堝31a,31bのうち、一方の坩堝における融液残量の減少またはトラブルが生じた場合、他方の坩堝で薄板製造を継続し、一方の坩堝を第2チャンバ32bへ移動させて、措置することは、実施の第1形態の薄板製造装置30と同様である。
以上に述べたように、本実施の形態の薄板製造装置30,150では、坩堝が、2つで構成されるけれども、これに限定されることなく、坩堝が3以上で構成されても良い。また原料装入手段を2組備える構成であるけれども、これに限定されることなく、原料装入手段が1組であっても良い。また融液は、半導体材料であるシリコンから成るけれども、これに限定されることなく、他の半導体材料または金属から成るものであっても良い。
本発明の実施の一形態である薄板製造装置30の構成を部分的に断面にて示す平面図である。 図1に示す薄板製造装置30の構成を部分的に断面にて示す正面図である。 図1の切断面線III−IIIから見た断面図である。 図1の切断面線IV−IVから見た断面図である。 浸漬手段35の構成を簡略化して示す正面図である。 坩堝31および坩堝移動手段36の構成を部分的に断面で示す正面図である。 図6に示す坩堝31および坩堝移動手段36の部分分解図である。 図6に示す坩堝31および坩堝移動手段36の平面図である。 本発明の実施の第2形態である薄板製造装置150の構成を簡略化して示す平面図である。
符号の説明
30,150 薄板製造装置
31 坩堝
32 チャンバ
33 下地基板
34 融液
35,158 浸漬手段
36 坩堝移動手段
37 第1開閉扉
41,151 入口副チャンバ
42,152 出口副チャンバ
43,44,45,46 第2〜第5開閉扉
47,48,49,50,51 第1〜第5下地基板搬送手段
91,102 原料装入チャンバ
92,103 第6,第7開閉扉
93,104 原料装入手段
113,114 第1,第2排気手段
153,154,155,156,157 第6〜第10下地基板搬送手段
159,160,161,162 第8〜第11開閉扉

Claims (13)

  1. 金属または半導体材料の融液を坩堝内に貯留し、薄板の原板である下地基板の結晶生成面を坩堝内の融液に浸漬し、金属または半導体材料を下地基板の結晶生成面で凝固成長させる薄板製造装置において、
    少なくとも2つ以上の坩堝と、
    坩堝を収容するチャンバと、
    チャンバ内に設けられ、下地基板を着脱自在に保持するとともに、保持されている下地基板を坩堝に貯留される融液に浸漬する浸漬手段と、
    坩堝を、単独にまたは複数同時にチャンバ内で移動させることができる坩堝移動手段とを備え、
    浸漬手段は、坩堝移動手段によってチャンバ内で並列になるように配置される少なくとも2つの坩堝のうちから選択される1つの坩堝に下地基板を浸漬することを特徴とする薄板製造装置。
  2. 浸漬手段によって1回の装着の機会に保持される下地基板は、1枚であることを特徴とする請求項1記載の薄板製造装置。
  3. 浸漬手段は、
    保持する下地基板を重力方向に移動させる上下動作手段と、
    保持する下地基板を水平方向に移動させる水平動作手段と、
    保持する下地基板を水平方向に延びる軸線まわりに回転移動させる垂直回転動作手段と、
    保持する下地基板を重力方向に延びる軸線まわりに回転移動させる水平回転動作手段とを含むことを特徴とする請求項1または2記載の薄板製造装置。
  4. 金属または半導体材料の融液を形成する原料を坩堝内に装入する原料装入手段をさらに備え、
    少なくとも2つ以上の坩堝のうちから選択される1つの坩堝には、下地基板の結晶生成面で凝固成長させるための金属または半導体材料の融液が貯留され、
    残余の坩堝または残余の坩堝から選択されるもう1つの坩堝には、原料装入手段によって原料が装入され、装入された原料が坩堝内で溶解されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の薄板製造装置。
  5. チャンバには、排気手段が設けられることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の薄板製造装置。
  6. チャンバは、第1チャンバと第2チャンバとの2つを含み、
    第1チャンバと第2チャンバとの間には、第1チャンバと第2チャンバとを開閉自在に仕切る開閉扉を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の薄板製造装置。
  7. 少なくとも2つ以上の坩堝のうちから選択される1つの坩堝であって、下地基板の結晶生成面で凝固成長させるための金属または半導体材料の融液が貯留される坩堝が、第1チャンバ内に配置され、
    残余の坩堝または残余の坩堝から選択されるもう1つの坩堝であって、原料装入手段によって原料が装入され、装入された原料が溶解される坩堝が、第2チャンバ内に配置されることを特徴とする請求項6記載の薄板製造装置。
  8. 坩堝には、坩堝および坩堝内に貯留される融液の重量を検知する重量検知手段が設けられることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の薄板製造装置。
  9. 金属または半導体材料の融液を坩堝内に貯留し、薄板の原板である下地基板の結晶生成面を坩堝内の融液に浸漬し、金属または半導体材料を下地基板の結晶生成面で凝固成長させる薄板製造方法において、
    チャンバ内に少なくとも2つ以上の坩堝を収容し、
    坩堝を、単独にまたは複数同時にチャンバ内で移動させてチャンバ内で並列になるように配置し、
    チャンバ内で並列になるように配置される少なくとも2つの坩堝のうちから1つの坩堝を選択し、
    選択された1つの坩堝内に貯留されるに融液に下地基板を浸漬することを特徴とする薄板製造方法。
  10. 選択された1つの坩堝内に貯留されるに融液に下地基板を浸漬する1回の動作について1枚の下地基板を浸漬し、
    次回に下地基板を融液に浸漬するとき、浸漬するべき下地基板を新たな1枚の下地基板に交換することを特徴とする請求項9記載の薄板製造方法。
  11. 少なくとも2つ以上の坩堝のうちから選択される1つの坩堝では、金属または半導体材料の融液を貯留し、貯留される融液に下地基板を浸漬し、
    残余の坩堝または残余の坩堝から選択されるもう1つの坩堝では、金属または半導体材料の融液を形成するための原料を装入し、装入した原料を坩堝内で溶解することを特徴とする請求項9または10記載の薄板製造方法。
  12. 金属または半導体材料の融液を形成するための原料の装入および溶解によって発生する蒸気および粉体を排気することを特徴とする請求項11記載の薄板製造方法。
  13. 坩堝および坩堝内に貯留される融液の重量と、前記融液の温度とを、少なくとも2つ以上の坩堝についてそれぞれ検出し、
    検出出力に応じて下地基板を浸漬するべき坩堝を選択し、
    選択した坩堝内に貯留される融液に下地基板を浸漬することを特徴とする請求項9〜12のいずれか1つに記載の薄板製造方法。
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