JP4239433B2 - 車両用空調装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用空調装置に関するもので、特にワイヤを介して駆動力を伝達させて空気通路を開閉する開閉ドアを備える空調ユニットのマニュアル式エアコンとオート式エアコンとの共通使用構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、この種の車両用空調装置として、車室内に搭載された複数の吹出口に向かって流れる空気通路の開閉を所定の吹出モードに適合させるように開閉制御する吹出モード切替ドアを備え、かつ暖房用熱交換器をバイパスする冷風と暖房用熱交換器を通過する温風との風量割合をエアミックスドアによって吹出温度を調整して車室内へ所定の吹出口から空調空気を吹き出す。いわゆるエアミックスタイプの温度制御方式が多く採用されている。
【0003】
また、これらの温度制御方式の車両用空調装置では、吹出モード切替ドアおよびエアミックスドアの開閉制御の駆動にあたっては、一般的に、乗員の手動操作によって設定された吹出口モードで、設定された吹出温度および風量が所定の吹出口から吹き出す乗員の手動操作による所謂マニュアル式エアコンと、日射センサ、外気温センサおよび内気温センサなどの各センサと、各センサの検出値に基づいて制御出力値を演算する制御装置と、サーボモータなどの電動アクチュエータとを備えて、乗員が設定した設定温度となるように吹出温度、風量、吹出モードなどを自動調節するオート式エアコンとが周知である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来装置では、吹出モード切替ドアおよびエアミックスドアなどの空気通路の開閉ドアが配設される空調ユニットには、開閉ドアの開閉制御を駆動するためにマニュアル式エアコンとオート式エアコンとが異なったドア駆動機構が備えられている。すなわち、マニュアル式エアコンの空調ユニットには、一般的にリンク機構を有するレバーを駆動させるものであり、オート式エアコンの空調ユニットには、上述したサーボモータなどの電動アクチュエータを有するものである。従って、同一の車両において、概して、空調ケース、暖房用熱交換器や冷房用熱交換器などの単品部品の共通使用は可能であるが、マニュアル式エアコン、オート式エアコンに応じた少なくとも2種類の空調ユニットが車両毎に設定されている。
【0005】
また、近年、車両メーカ側から部品点数の低減や共通化および標準化などによるコスト低減の要望が高まってきている。
【0006】
そこで、本発明の目的は、上記点を鑑みたものであって、ワイヤを介して駆動力を伝達させ空気通路の開閉ドアを開閉駆動するドア駆動機構を有することでマニュアル式機能、オート式機能に拘わらず空調ユニットの共通使用が可能な車両用空調装置を提供することにある。
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1ないし請求項4に記載の技術的手段を採用する。すなわち、請求項1に記載の発明では、乗員が操作する操作部材(21、23)を有する表示盤(20a)と、車室内に向かって流れる空気通路を形成する空調ケース(11)と、空調ケース(11)内に配設されて空気通路を開閉する開閉ドア(13、17、19)と、ワイヤ(30)の巻き取り操作により駆動されて開閉ドア(13、17、19)を開閉するドア駆動機構(A1、A2、A3)と、操作部材(21、23)の操作に応じてワイヤ(30)の巻取量に変換する操作側プーリ(22)と、手動駆動部材(22d)および電動駆動部材(43)の一方が選択され、かつ両駆動部材(22d、43)に対して、共用となる前記操作側プーリ(22)に連結され、操作部材(21、23)の操作動作を前記操作側プーリ(22)に伝達する駆動手段(25、40)とを備え、駆動部材(22d、43)として電動駆動部材(43)が選択されるときには、操作部材(21、23)の操作に応じて開閉ドア(13、17、19)の開閉を制御する制御手段(50)を設け、制御手段(50)の出力に基づいて、電動駆動部材(43)により前記操作側プーリ(22)を駆動しワイヤ(30)の巻き取り動作を行ない、電動駆動部材(43)は、少なくとも二つの開閉ドア(13、17、19)を駆動する駆動力が出力されるものであって、電動駆動部材(43)の出力部には、歯数が間引かれたアイドル部(46c)を有し歯車による駆動力を出力する駆動ギア(46a、48a)と、駆動ギア(46a、48a)に噛み合わされ間欠駆動する二つの従動ギア(46b、48b)とを設け、二つの従動ギア(46b、48b)から操作側プーリ(22)に駆動力が伝達されるように構成し、二つの従動ギア(46b、48b)を二つの開閉ドア(13、17、19)に連結させることを特徴としている。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、例えば、ワイヤ(30)の巻取量に変換する操作側プーリ(22)と、この操作側プーリ(22)を、手動で回動する手動駆動部材(22d)とサーボモータなどの電動アクチュエータの回転力で回動する電動駆動部材(43)に対して、共用となる操作側プーリ(22)に駆動力を伝達する駆動手段(25、40)を備えることにより、操作側プーリ(22)に手動および電動どちらも駆動力を伝達できるため駆動力を伝達する駆動手段(25、40)を備えるだけで共用が図れる。これにより、従来、手動操作向けおよび電動操作向けにそれぞれ空調ケース(11)、ドア駆動機構(A1、A2、A3)、操作側プーリ(22)などを設定していた方式と比して、空調ケース(11)、ドア駆動機構(A1、A2、A3)、操作側プーリ(22)などの共用使用が可能となって機種の低減が図れる。従って、機種を低減することで品揃えの標準化ができ部品コストの低減が図れる。
更に、制御手段(50)の出力に基づいて、電動駆動部材(43)により操作側プーリ(22)を駆動しワイヤ(30)の巻き取り動作を行なうことより、ワイヤ(30)の巻き取り動作が予め設定された制御値に基づいて開閉ドア(13、17、19)の自動制御が容易にできる。
また、歯数が間引かれたアイドル部(46c)を有する駆動ギア(46a、48a)とこの駆動ギア(46a、48a)に噛み合わされ間欠駆動する従動ギア(46b、48b)と設け、この従動ギア(46b、48b)から操作側プーリ(22)に駆動力が伝達されるように構成されることにより、駆動手段(43)の出力を間欠駆動させることで、例えば二つの従動ギア(46b、48b)を従動ギア(46b、48b)に噛み合わせ、いずれか一方に交互に出力させるように、二つの開閉ドア(13、17、19)に連結させると一つの電動駆動部材(43)で二つの開閉ドア(13、17、19)に駆動力を出力できる。これにより、開閉ドア(13、17、19)ごとに設ける方式と比べ電動駆動部材(43)を一つなくすることができ部品コストの低減が図れる。
【0009】
請求項2に記載の発明では、電動駆動部材(43)および制御手段(50)は、表示盤(20a)の近傍に配設されることを特徴としている。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、電動駆動部材(43)および制御手段(50)を表示盤(20a)の近傍に配設されることにより、空調ケース(11)側に電動駆動部材(43)および制御手段(50)を配設させた従来と比較して、電気部品が表示盤(20a)近傍に集合されて配設されるため、例えば車両搭載時の電気的な接続である電気配線などの取り回しが簡素となるとともに、電線の使用量が低減されることで組付および部品コストの低減が図れる。
【0011】
請求項3に記載の発明では、駆動ギア(46a、48a)と従動ギア(46b、48b)には、アイドル部(46c)と従動ギア(46b、48b)が噛み合うときに、この従動ギア(46b、48b)側を保持する保持部(47c)を有するカム部材(47a、47b、49a、49b)が設けられることを特徴としている。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、アイドル部(46c)と従動ギア(46b、48b)が噛み合うときに、従動ギア(46b、48b)側を保持する保持部(47c)を有するカム部材(47a、47b、49a、49b)が設けられることにより、アイドル部(46c)に噛み合いする従動ギア(46b、48b)に連結された開閉ドア(14、15、16)側に風圧などが負荷されたときの保持ができる。
【0013】
請求項4に記載の発明では、従動ギア(46b、48b)の歯の中心が保持部(47c)の略中央部に位置するように従動ギア(46b、48b)とカム部材(47a、47b、49a、49b)とが配設されるとともに、駆動ギア(46a、48a)の噛みはじめの歯が保持部(47c)の略中央部に配設されカム部材(47a、47b、49a、49b)による保持が開放された瞬間に駆動ギア(46a、48a)と従動ギア(46b、48b)とが噛み合うように配設されることを特徴としている。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、アイドル部(46c)を有する駆動ギア(46a、48a)と従動ギア(46b、48b)とが噛み始めに若干のズレが生じ易くなる。そこで、カム部材(47a、47b、49a、49b)による保持が開放された瞬間に駆動ギア(46a、48a)と従動ギア(46b、48b)とが噛み合うように保持部(47c)の略中央部に位置するように従動ギア(46b、48b)の歯が配設されることにより、従動ギア(46b、48b)と駆動ギア(46a、48a)との噛み合い始めるときに滑らかな噛み合わせが可能となる。
【0025】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0026】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、本発明における第1実施形態に係る空気通路を開閉する開閉ドアのドア駆動機構を手動操作によるマニュアル式駆動を適用した車両用空調装置を図1ないし図10に基づいて説明する。
【0027】
まず、図1は計器盤内側に搭載された空調ユニット10および計器盤に装着された空調装置の操作盤20を示す分解斜視図であり、図2は空調ユニット10の構成を示す模式図である。なお、空調ユニット10は、車室内の計器盤下方部の略中央部に、車両の前後、左右方向に対して、図1に示す形態で配置されている。
【0028】
本実施形態の空調ユニット10の通風系は、図1および図2に示すように、空気流れの最上流側に車室内空気(以下、内気と称す)を導入する内気導入口12aおよび車室外空気(以下、外気と称す)を導入する外気導入口12bが形成され、導入された空気を空気流れの最下流側、すなわち車室内へ向かって流れる空気の空気通路および複数の吹出開口部を形成する空調ケース11を備えている。
【0029】
この空調ケース11はポリプロピレンのような、ある程度の弾性を有し、強度的にも優れた樹脂の成形品からなる。また、空調ケース11は具体的には複数の分割ケースからなり、この複数の分割ケースは後述する熱交換器、各開閉ドアおよび送風機などを収納した後に、金属バネクリップ、ネジ等の締結手段により一体に結合されて空調ユニット10を構成されている。
【0030】
内気導入口12aおよび外気導入口12bの近傍には開閉ドアである内外気切替ドア13(後述する)が設けられており、上述の各導入口12a、12bを切替え開閉して内外気モードを切り替えるようになっている。
【0031】
この内外気切替ドア13の空気流れの下流側には、空気通路および複数の吹出開口部に送風する送風機14が配置されている。この送風機14は周知の遠心多翼ファン(シロッコファン)を図示しない電動モータで駆動するものである。
【0032】
次に、送風機14の直後の部位に空気を冷却する蒸発器15が配置され、この蒸発器15の空気流れ下流側には空気を加熱するヒータコア16が配置され、蒸発器15とヒータコア16との間には開閉ドアであるスライドドア17が配設されている。
【0033】
このスライドドア17は、詳細については後述するが、矢印A、Bに示す空気の流れ方向の略直交方向に、空調ケース11に一体成形されたレール11c内を摺動して、ヒータコア16を通過する空気通路11aおよびヒータコア16をバイパスするバイパス空気通路11bを開閉する平板状のドア部17aから構成されており、空気通路11aを流れる温風とバイパス空気通路11bを流れる冷風との混合割合を調節するエアミックスドアとして機能している。なお、平板状のドア部17aをレール11c内に摺動させるために、ワイヤ30(後述する)が連結され、空調ケース11に一体成形されたU字形状の溝部11dを介して操作盤20側に接続されている。
【0034】
次に、空調ケース11のうち空気流れの最下流部分には、乗員の上半身に向かって吹き出すためのフェイス吹出口(図示せず)に連通するフェイス開口部18a、乗員の下半身に向かって吹き出すためのフット吹出口(図示せず)に連通するフット開口部18b、車両のフロントガラスやサイドガラスの内面に向かって空気を吹き出すためのデフロスタ吹出口(図示せず)に連通するデフロスタ開口部18cが形成されている。なお、11e(図1参照)はフット吹出口(図示せず)に連通するフットダクトでありフェイス開口部18aに接続されている。
【0035】
また、これらの開口部18a、18b、18cの上流側には、開閉ドアである吹出モード切替ドア19(後述する)が配設されており、上述の各開口部18a、18b、18cを選択的に開閉して吹出モードを切り替えるようになっている。
【0036】
また、操作盤20には、乗員が手動で操作する操作部材であるダイヤル21が回転自在に取り付けられている。このダイヤル21の計器盤内側には、ダイヤル21の回転により一体に回動する操作側プーリ22(後述する)が固定されている。そして、この操作側プーリ22には、空調ケース11に設けられた開閉ドア13、17、19側と環状に形成されたワイヤ30が掛けられており、空調ケース11および操作側プーリ22によりワイヤ30を支持している。
【0037】
また、ワイヤ30は、操作側プーリ22および開閉ドア13、17、19側に固定されており、操作側プーリ22の回動により周回駆動するようになっている。なお、以下ワイヤ30のうち、操作側プーリ22および開閉ドア13、17、19側に固定された部分を境に、開閉ドア13、17、19側から車両後方側に延びて操作側プーリ22に至るまでの部分を第1ワイヤ30aと呼び、開閉ドア13、17、19側から車両前方側に延びて操作側プーリ22に至るまでの部分を第2ワイヤ30bと呼ぶ。
【0038】
なお、操作側プーリ22に掛けられるワイヤ30は、図3に示すように、2本のワイヤ30a、30bのそれぞれの端部をカシメ部材32により、カシメて環状に形成されており、操作側プーリ22のプーリ溝部22aに掛けられている。そして、プーリ溝部22aには、カシメ部材32の外形に対応した溝部(係合部)22bが形成されており、溝部22bにカシメ部材32を圧入してワイヤ30を操作側プーリ22に固定している。
【0039】
また、ワイヤ30は、図示しない筒状のアウタケース内に多数の鋼線を撚り合わせたケーブル構造であって自由に曲げることが可能である。
【0040】
次に、本実施形態の開閉ドアである内外気切替ドア13、スライドドア17および吹出モード切替ドア19のドア駆動機構の作動原理について図4ないし図8を用いて説明する。
【0041】
まず、図4および図5に示すように、スライドドア17は樹脂製であって、平板状のドア部17aの空気流れの上流側の面に、カシメ部材32の外形に対応した門型形状に突出する圧入部(係合部)17bが一体成形されている。そして、圧入部17bにカシメ部材32を圧入してワイヤ30をスライドドア17に固定している。なお、圧入部17bにはワイヤ取出口17cが開口しており、ワイヤ取出口17cから第1および第2ワイヤ30aが圧入部17b内から取出せれるようになっている。そして、空調ケース11に形成されたU字形状の溝部11dと上記操作側プーリ22とに掛けられている。これにより、スライドドア17のドア駆動機構A1が構成されるものである。
【0042】
なお、ワイヤ30が延びる方向に対して直交する方向において、ドア部17aの略中央部に圧入部17bを形成することにより、ドア部17aとレール11cとの摩擦を最小限にでき、手動操作力を最小限にしている。
【0043】
このドア駆動機構A1においては、ダイヤル21を一方(時計回り)に手動操作すると操作側プーリ22が時計回り(矢印R1の向き)に回動し、第1ワイヤ30aは操作側プーリ22に巻き取られて操作側プーリ22に向かって引っ張られてバイパス通路11bを閉じる向き(矢印X1の向き)に摺動する。
【0044】
一方、ダイヤル21を他方(反時計回り)に手動操作すると操作側プーリ22が反時計回り(矢印R2の向き)に回動し、第2ワイヤ30bは操作側プーリ22に巻き取られて操作側プーリ22に向かって引っ張られてバイパス通路11bを開ける方向(矢印X2の向き)に摺動する。
【0045】
次に、吹出モード切替ドア19は、図6に示すように、一般的に、ロータリドアと呼ばれるものであって、ここでは、樹脂により成形されており、回転駆動して各吹出開口部18a、18b、18cを開閉する円筒状のドア部19aと、ドア部19aの軸方向両端側に位置する回転軸19bと、ドア部19aおよび回転軸19bを繋ぐ円盤状の支持部19cとから構成されている。
【0046】
そして、ドア部19aの軸方向略中央部分に形成されたドア側プーリー溝19dにワイヤ30を掛けて、吹出モード切替ドア19をワイヤ30で直接駆動させている。従って、ドア部19a自体を一つのプーリとして機能させ、かつ軸方向略中央部分に形成されたドア側プーリー溝19dを形成するのでねじれる方向の力をドア部19aに生じさせることなくドア部19a回動させることができ、手動操作力を最小限にできる。
【0047】
なお、図7に示すように、ドア側プーリー溝19dには、操作側プーリ22の溝部22bと同様の溝部(係合部)19eが形成されており、図3に示す構造と同様に、溝部19eにカシメ部材32を圧入してワイヤ30を吹出モード切替ドア19に固定している。これにより、吹出モード切替ドア19のドア駆動機構A2が構成されるものである。
【0048】
このドア駆動機構A2においては、ダイヤル21を時計回りに手動操作すると、操作側プーリ22は時計回り(矢印R1の向き)に回動し、第1ワイヤ30aは操作側プーリ22に巻き取られて操作側プーリ22に向かって引っ張られる。そして、吹出モード切替ドア19は第1ワイヤ30aにより引っ張られて矢印X1の向きに回動する。
【0049】
一方、ダイヤル21を反時計回りに手動操作すると、操作側プーリ22は反時計回り(矢印R2の向き)に回動し、第2ワイヤ30bは操作側プーリ22に巻き取られて操作側プーリ22に向かって引っ張られる。そして、吹出モード切替ドア19は第2ワイヤ30bにより引っ張られて矢印X2の向きに回動する。
【0050】
そして、ドア部19aには、各吹出開口部18a、18b、18cに対応した形状の開口部19fが開口しており、吹出モード切替ドア19の回動により所定の吹出口をドア部19aおよび開口部19fにより開閉して、所定の吹出口モードとするものである。
【0051】
次に、内外気切替ドア13は、一般的に板ドアと呼ばれるものであって、ここでは、樹脂により成形されており、回転駆動して内外気導入口12a、12b各を開閉する板状のドア部13aと、ドア部13aの一端側に位置する回転する回転軸13bと、回転軸13bの一端側にワイヤ30が掛けられるドア側プーリ13cとを一体成形して構成されている。
【0052】
そして、ドア側プーリ13cのプーリ溝13dにワイヤ30を掛けるとともに、図7に示す構造と同様に、図示しない溝部にカシメ部材32を圧入してワイヤ30を、内外気切替ドア13に固定させて内外気切替ドア13を直接駆動させている。これにより、内外気切替ドア13のドア駆動機構A3が構成されるものである。
【0053】
このドア駆動機構A3においては、ダイヤル21を時計回りに手動操作すると、操作側プーリ22は時計回り(矢印R1の向き)に回動し、第1ワイヤ30aは操作側プーリ22に巻き取られて操作側プーリ22に向かって引っ張られる。そして、吹出モード切替ドア19は第1ワイヤ30aにより引っ張られて内気導入口12aを開く方向(矢印X1の向き)に回動する。
【0054】
一方、ダイヤル21を反時計回りに手動操作すると、操作側プーリ22は反時計回り(矢印R2の向き)に回動し、第2ワイヤ30bは操作側プーリ22に巻き取られて操作側プーリ22に向かって引っ張られる。そして、吹出モード切替ドア19は第2ワイヤ30bにより引っ張られて外気導入口12bを開く方向(矢印X2の向き)に回動する。
【0055】
次に、以上のドア駆動機構を手動操作によって駆動させる操作盤20の構成の詳細について説明する。操作盤20は、図9に示すように、操作内容を表示する表示盤である意匠部20a、乗員が操作するダイヤル類21a、21b、21c、23、意匠部20aに均一に照明を配光するためのリフレクタ26、意匠部20aを照明するバルブ27およびダイヤル類21a、21b、21c、23に結合される操作側プーリ22、ブロアスイッチ24などで構成されている。
【0056】
なお、これらのうち操作側プーリ22およびブロアスイッチ24は、意匠部20aにダイヤル類21a、21b、21c、23に操作側プーリ22およびブロアスイッチ24の回転軸22d、24dが所定の位置に配置されるように、リフレクタ26内部に配設する手動駆動手段25に配設されている。
【0057】
これにより、意匠部20aには、図10に示すように、スライドドア17を手動操作するエアミックス用ダイヤル21aと、吹出モード切替ドア19を手動操作する吹出モード用ダイヤル21bと、内外気切替ドア13を手動操作する内外気モード用レバー23と、送風機14の送風量を調節するブロワスイッチ24を手動操作するブロワ用ダイヤル21cとが配置されている。
【0058】
なお、エアミックス用ダイヤル21aおよび吹出モード用ダイヤル21bのそれぞれに結合される操作側プーリ22は、操作側プーリ22を回動するための回転軸22dが、意匠部20aに対して略直交するように配置されてダイヤル21a、21bに結合されている。これにより、ダイヤル21a、21bを時計回りまたは反時計回りに手動で回動させることで操作側プーリ22が回動する。
【0059】
一方、内外気モード用レバー23に結合される操作側プーリ22は、手動駆動手段25の底面外側に固定され、回動するための回転軸22dが意匠部20aに対して略並行するように配置されている。従って、水平方向(車両左右方向)に往復動するようにレバー22eを一体に設けられ、レバー22eに固定された内外気モード用レバー23により水平方向から直接回動するようになっている。なお、ここでは、操作側プーリ22を回動させるための回転軸22dおよびレバー22eを手動駆動部材と称する。
【0060】
また、以上の構成による本実施形態では、操作パネル20と空調ケース11とがワイヤ30を介して配索されることにより、ダイヤル21a、21bを手動操作することで、操作側プーリ22によりワイヤ30が所定量巻き取られて、空調ケース11に配設された各開閉ドア13、17、19に駆動力が伝達されて開閉駆動されるものである。従って、ここでは、マニュアル式駆動について説明したが、操作側プーリ22に与える駆動力が手動駆動および電動駆動であろうともいずれも操作側プーリ22、ドア駆動機構A1、A2、A3、および空調ケース11などが共用できるように構成されている。
【0061】
また、ここでは、バルブ27をブロアスイッチ24に一体化させて、ブロアスイッチ24からバルブ27に電源を供給することにより、バルブ27に電源を供給する電気配線が廃止されている。また、このバルブ27をリフレクタ26の車両左右方向に対して略中心部に配置することにより、意匠部20aの照度の均一を図っている。
【0062】
なお、吹出モード用ダイヤル21bを手動操作すると、操作側プーリ22が回動し、ワイヤ30を介して駆動力がドア駆動機構に伝達されて、吹出モード切替ドア19を回動し、所定の吹出モードを選択するものである。この吹出モードは周知の乗員の上半身に向けて吹き出されるフェイスモード、乗員の上半身および足元に吹き出されるバイレベルモード、乗員の足元に吹き出されるフットモード、乗員の足元およびフロントガラスに吹き出されるフットデフモードおよびフロントガラスに吹き出されるデフロスタモードである。
【0063】
次に、以上の構成によるマニュアル式駆動の車両用空調装置において作動を説明する。まず、ブロワ用ダイヤル21cにより好みのモードに切り替えることにより、送風機14が作動して、内外気モード用レバー23によって選択された導入口から空調ケース11内に空気が導入され送風する。この送風空気は、蒸発器15にて冷却され、ヒータコア16にて加熱される。そして、エアミックス用ダイヤル21aを手動操作されたスライドドア17にて空気通路11aを流れる温風とバイパス空気通路11bを流れる冷風との混合割合を調節する。
【0064】
そして、所望の温度に空調された空調風が、吹出モード用ダイヤル21bにて選択された各吹出口のいずれか一つまたは複数から車室内に吹き出される。
【0065】
なお、各ダイヤル類21a、21b、23の手動操作による各開閉ドア13、17、19の駆動は、前述の作動原理に従って駆動するものである。これらのうち、内外気モード用レバー23の手動操作による内外気切替ドア13は、ダイヤル21a、21bの代わりにレバー23を車両左右方向に手動操作する点を除き前述のドア駆動機構A1、A2、A3の作動原理に従って駆動するものである。
【0066】
以上の第1実施形態の車両用空調装置によれば、操作側プーリ22の巻き取りによる所定のワイヤストローク(巻取量)を確保できるので従来の駆動機構に比して小型化が可能である。
【0067】
また、各開閉ドア13、17、19の駆動を開く方向に駆動させるときであっても、閉じる方向に駆動させるときにおいても、ワイヤ30を引いて各開閉ドア13、17、19をさせることができるので、ワイヤ30の座屈変形を考慮することなくワイヤ径を設定できる。従って、ワイヤ30を小径化して曲げ半径を小さくでき、ワイヤ30のフレキシブル性を向上させて配索の自由度を向上できる。
【0068】
また、各開閉ドア13、17、19の形式が異なってもダイヤル21a、21bおよびレバー23の手動操作を操作側プーリ22の回動によりワイヤ30のストロークに変換できるため、異なった部品を必要とせず大幅な部品点数が削減ができるとともに、ドア駆動機構A1、A2、A3の部品の標準化が図れる。
【0069】
(第2実施形態)
以上の第1実施形態では、各開閉ドア13、17、19のドア駆動機構を手動操作によるマニュアル式駆動を適用した車両用空調装置について説明したが、これに限らず、サーボモータなどの電動アクチュエータを用いてドア駆動機構を手動操作の代わりに電動式駆動の車両用空調装置に適用したものである。
【0070】
本実施形態では、上記、第1実施形態の空調ケース11に配設された各開閉ドア13、17、19のドア駆動機構A1、A2、A3のうちで、温度調整用エアミックスドアであるスライドドア17および吹出モード切替ドア19の開閉駆動を、例えば電動駆動部材であるサーボモータを用い電動駆動による駆動力を操作側プーリ22に伝達させるとともに、この駆動力を自動制御によって出力制御するために、図示しない各種センサとして、日射量を検出する日射センサ、内気温度を検出する内気温センサおよび外気温度を検出する外気温センサなどの各センサによる検出値に基づいて演算する制御手段である制御装置を有して、演算された制御値をサーボモータに出力するものである。これにより、従来、ドア駆動機構をマニュアル式駆動と電動式駆動とがそれぞれの空調ケースを設定していたものを共通使用できるようにしたものである。
【0071】
そのために、本実施形態では、上記第1実施形態の操作盤20の構成部品のうち、スライドドア17および吹出モード切替ドア19の開閉するための駆動力を出力する操作側プーリ22に与える駆動力を電気動力によって駆動させたものである。以下、図11および図12に基づいて説明する。なお、構成部品のうちで第1実施形態と同一の符号の部材は説明を省略する。
【0072】
具体的には、乗員が手動操作するダイヤル21a、21bと操作側プーリ22の回転軸22dとを直接結合させていた第1実施形態の構成部品に電気動力によって駆動させる駆動手段である電動駆動手段40を設けるとともに、意匠部20aに設置されるダイヤル21、23とが電気的に接続され、リフレクタ26内に固定させたものである。
【0073】
この電動駆動手段40には、乗員が操作する設定温度スイッチ41および吹出モード切替スイッチ42と電動駆動部材であるサーボモータ43、制御手段である制御装置50が筐体40aに配設されている。設定温度スイッチ41は、図12の意匠部20aに示すように、設定温度を選択するスイッチであり、吹出モード切替スイッチ42は吹出モードのうちフェイスモード、バイレベルモードおよびフットモードはオート機能による選択、フットデフロスタモードおよびデフロスタモードは、それぞれのモードを選択するように押し釦式の選択スイッチである。これにより、乗員が設定した設定温度および選択された吹出モードが制御装置50に入力するように配設されている。
【0074】
なお、ブロワスイッチ24は、送風機14の送風量の選択を制御装置50から演算された制御値を出力するに指令するオートモードとマニュアルモードが備えられている。
【0075】
また、サーボモータ43は、制御装置50からの出力信号に基づいて回動する電気駆動するものであり、操作側プーリ22の回転軸22dを回動するように、出力軸43aが結合され回転軸22dと連結されている。
【0076】
制御装置50は、上述した図示しない日射量センサ、内気温センサおよび外気温センサの検出値に基づいて求められた制御量をサーボモータ43および送風機24に出力するものであって、空調の温度制御、風量制御および吹出モードが自動制御される。なお、ここでは、制御装置50を電動駆動手段40内の筐体40aに一体化させたが別体でも良い。電動駆動手段40の近傍に制御装置50を配設することで、電気的な接続するための電気配線の使用量が低減される。
【0077】
なお、内外気モード用レバー23に結合される操作側プーリ22は、電動駆動手段40の底面外側に固定され、回動するための回転軸22dが意匠部20aに対して略並行するように配置されている。
【0078】
以上の構成による電動式駆動の車両用空調装置によれば、マニュアル式駆動で操作する操作側プーリ22に与える駆動力を電気動力で駆動するサーボモータ43を用いて電動駆動させることにより、マニュアル式駆動または電動式駆動のいずれの方式でも、開閉ドアに伝達させる駆動力が操作側プーリ22がワイヤ30を所定のワイヤストローク(巻取量)を巻き取ることでドア駆動機構A1、A2、A3に伝達されるため、空調ケース11、ドア駆動機構A1、A2、A3、操作側プーリ22などが共用使用できるため機種の低減が図れる。従って、機種を低減することで品揃えの標準化が図れ、かつコスト低減が図れる。
【0079】
また、マニュアル式駆動の構成に対して、制御装置50および電動駆動手段40を操作盤20内に追加構成できることにより、マニュアル式駆動の機能を電動式駆動の機能に後から変更ができるため、例えば車両購入者が一旦マニュアル式駆動の車両を購入し納車後に電動式駆動の機能に変更したいときに、従来は、構成部品の総入れ換えなど大掛かりな変更を要したが、本発明によれば容易に機能変更ができる。
【0080】
また、空調ユニット11側にサーボモータ43、電動駆動手段40および制御装置50を配設させた従来と比較して、電気部品が操作盤20近傍に配設されるため、電気的な接続が操作盤20の組付け時に行なうことができ車両搭載時の組付性が簡素となり組付コストの低減が図れる。
【0081】
また、サーボモータ43、制御装置50などの電気部品を操作盤20の近傍に配設されることにより、空調ケース11側にサーボモータ43、制御装置50を配設させた従来と比較して、電気部品が操作盤20の近傍に集合されて配設されるため、例えば車両搭載時の電気的な接続である電気配線などの取り回しが簡素となるとともに、電線の使用量が低減されることで組付および部品コストの低減が図れる。
【0082】
(第3実施形態)
第2実施形態では、スライドドア17および吹出モード切替ドア19の開閉駆動をそれぞれ設けた二つのサーボモータ43による電動駆動について説明したが、これに限らず、一つのサーボモータ43を用いてスライドドア17および吹出モード切替ドア19の開閉駆動を行なっても良い。
【0083】
以下、図13ないし図17に基づいて説明する。まず、駆動手段である電動駆動手段40は、図13に示すように、一つのサーボモータ43の出力部である出力軸43aに下方から順に、逆転用駆動ギア45a、正転用第1駆動ギア46a、第1駆動カム47a、第2駆動ギア48a、第2駆動カム49aが配設され、これらの駆動ギアおよび駆動カムに噛み合うように、スライドドア17側に駆動力を伝達する操作側プーリ22の回転軸22dに、逆転用従動ギア45b、正転用第1従動ギア46b、第1従動カム47bが配設され、吹出モード切替ドア19側に駆動力を伝達する操作側プーリ22の回転軸22dに、第2従動ギア48b、第2従動カム49bが配設されている。なお、45cは、中間ギアであり逆転用従動ギア45bの回転方向を変換させるために逆転用駆動ギア45aと逆転用従動ギア45bとの間に配設している。
【0084】
また、サーボモータ43側に設けられた駆動ギアである逆転用駆動ギア45a、正転用第1駆動ギア46aおよび第2駆動ギア48aは、噛み合わされた従動ギアである逆転用従動ギア45b、正転用第1従動ギア46bおよび第2従動ギア48bにそれぞれ歯車が形成されて、この歯車の噛み合いによって駆動力を伝達するようになっている。
【0085】
また、これらのうちで、正転用第1駆動ギア46aおよび第2駆動ギア48aには、サーボモータ43の回動角度(後述する)に応じて、正転用第1従動ギア46bまたは第2従動ギア48bのいずれか一方に交互に駆動力を伝達するために、図14(a)に示すように、交互に歯数が間引かれたアイドル部46cと駆動させたい駆動部46dとが所定の角度毎に形成されている。これにより、駆動ギア46a、48aが駆動してもアイドル部46cにおいては従動ギア46b、48b側に駆動力が伝達されないようになっている(以下、アイドルと称す)。
【0086】
ところが、このままでは従動ギア46b、48b側がフリーとなってしまうため、例えば吹出モード切替ドア19側に風圧が掛けられたときに、吹出モード切替ドア19の回動角度の保持ができなくなる。そこで、本実施形態では、図14(b)に示すように、カム部材である第1駆動カム47aおよび第2駆動カム49aをサーボモータ43側に設け、第1従動カム47bおよび第2従動カム49bをそれぞれ操作側プーリ22の回転軸22d側に設けて、従動ギア46b、48bが上記アイドル部46cに対応する回動角度には、カム部材が摩擦によって保持するように互いに接するために、従動カム47b、49b側に保持部47cと、駆動カム47a、49a側に保持部47cを保持するための突出部47dが形成されている。これにより、従動ギア46b、48b側がアイドルとなったときに、突出部47dが保持部47cにあてて従動ギア46b、48bを保持するようになっている。なお、保持部47cの回動範囲は、アイドル部46cの回動範囲と同一となっている。
【0087】
また、駆動ギヤ46a、48aにアイドル部46cを設けたことによる歯のかみ合わせを滑らかに行なうために以下の工夫が設けられている。図15(a)に示すように、アイドル部46cから駆動部46dに従動ギア46b、48bが噛み始めるときに歯と歯が当らないように、従動ギア46b、48b側の歯を少なくとも噛み始めの一つを間引くように形成させている。また、図15(b)に示すように、駆動部46dからアイドル部46cに歯が抜けるときにも、従動ギア46b、48b側の歯を少なくとも抜けはじめの一つを間引くように形成させている。これにより、歯と歯が滑らかに噛み合うことができる。
【0088】
また、アイドル部46cから駆動部46dに従動ギア46b、48bが噛み始めるときに確実に噛み合わせるために、図15(c)に示すように、従動カム47b、49b側の保持部47cの略中央部に従動ギア46b、48bの歯の中心が位置するように従動ギア46b、48bと従動カム47b、49bとが配設されるとともに、駆動ギア46a、48aの噛み始めの歯が保持部47cの略中央部に配設され、カム部材47a、47b、49a、49bによる保持が開放された瞬間に、駆動ギア46a、48aと従動ギア46b、48bとが噛み合うように配設される。これにより、噛み始めるときに確実に噛み合わせることができる。
【0089】
次に、以上の構成による電動駆動手段40の作動について、図16および図17に基づいて説明する。まず、サーボモータ43の出力軸43aの回動角度は、制御装置50の制御値から出力される。この制御値は第2実施形態で説明した図示しない日射量センサ、内気温センサおよび外気温センサの検出値に基づいて求められたものである。
【0090】
また、サーボモータ43の出力軸43aの回動角度とスライドドア17および吹出モード切替ドア19の回動角度は、図16および図17に示すように、サーボモータ43の回動角度に応じて吹出モードとスライドドア17を交互に作動させるように作動パターン毎に予め設定されている。
【0091】
例えば、サーボモータ43の回動角度が0から20°のときには、吹出モードがフェイスモードを維持するように、吹出モード切替ドア19側が回動角度0°において保持されている。すなわち、駆動ギヤ48aおよび従動ギヤ48bがアイドル状態であって、このときのカム部材は、保持部47cが突出部47dが保持されている。一方のスライドドア17側が回動角度0から65°までホット側に回動させるように駆動ギヤ46aおよび従動ギヤ46bが駆動される。このときのカム部材はフリーとなっている。以下、図17に示す表のようにサーボモータ43の回動角度に対応してスライドドア17および吹出モード切替ドア19が駆動するようになっている。
【0092】
以上の実施形態の電動駆動手段40によれば、サーボモータ43の出力軸43aに、アイドル部46cおよび駆動部46dを交互に設けた二つの駆動ギヤ46a、48aとこの駆動ギヤ46a、48aに噛み合う従動ギヤ46b、48bを構成することにより、二つの開閉ドア17、19の開閉駆動ができる。これにより、第2実施形態のよりもサーボモータ43を一つなくすることができ部品コストの低減が図れる。
【0093】
また、従動ギヤ46b、48bが駆動力が伝達されないアイドル部46cに噛み合うときに、カム部材を設けてこのカム部材にアイドル部46cに対応する保持部47cにて保持するようにカム部材が構成されていることにより、吹出モード切替ドア19側に風圧が掛けられたときに、スライドドア17および吹出モード切替ドア19の回動角度の保持ができる。
【0094】
また、従動カム47b、49b側の保持部47cの略中央部に従動ギア46b、48bの歯の中心が位置するように従動ギア46b、48bと従動カム47b、49bとが配設されるとともに、駆動ギア46a、48aの噛み始めの歯が保持部47cの略中央部に配設され、カム部材47a、47b、49a、49bによる保持が開放された瞬間に、駆動ギア46a、48aと従動ギア46b、48bとが噛み合うように配設されることにより、アイドル部46cを設けることで噛み始めるときに噛み合わせがスムーズに行なえないときに確実に噛み合わせることができる。
【0095】
(第4実施形態)
第1および第2実施形態では、図示しない日射量センサ、内気温センサおよび外気温センサを用い、かつ各センサの検出値に基づいてサーボモータ43および送風機14へ出力する制御値を制御装置50で求めていたが、これらの各センサーの代用に乗員の表面温度を検出する赤外線センサを操作盤20に配設しても良い。図18に示すように、乗員の表面温度を検出する赤外線センサ60を電動駆動手段40に配設したものであって、具体的には、この赤外線センサ60が図示していないが電動駆動手段40内に配設された制御装置50に電気配線で接続されている。そして、この赤外線センサ60の検出部が意匠部20aに露出されて配置されている。
【0096】
これにより、乗員の表面温度を検出して乗員の温感制御による温度制御が行なえるため、従来から用いていた日射センサ、内気温センサおよび外気温センサが不要となることで部品コストを低減できる。
【0097】
また、日射センサ、内気温センサおよび外気温センサの各センサを制御装置50と電気的に接続することも不要となるため、空調ユニット10および操作盤20の車両への搭載性が向上するとともに、組付工数が低減する。
【0098】
(他の実施形態)
以上の実施形態では、内外気切替ドア13をマニュアル式駆動で説明したが、サーボモータ43を用いた電動式駆動としても良い。
【0099】
また、温度調節機能となるエアミックスドアをスライドドア17で説明したが、内外気切替ドア13と同じである平板状の板ドアでも良い。
【0100】
また、第2ないし第4実施形態では、電動駆動手段40を操作盤20に配設して説明したが、これに限らず、ブロアスイッチ24、設定温度スイッチ41、吹出モード切替スイッチ42を操作盤20に設置し、サーボモータ43および操作側プーリ22が空調ケース11側に配置しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態における車両用空調装置の空調ユニット10および操作盤20の搭載形態を示す分解斜視図である。
【図2】図1に示す空調ユニット10の全体構成を示す摸式図である。
【図3】図9に示す操作側プーリ22とワイヤ30との固定構造を説明する断面図である。
【図4】図2に示すスライドドア17のドア駆動機構の作動原理を説明する説明図である。
【図5】図4に示すスライドドア17とワイヤ30との固定構造を説明する斜視図である。
【図6】図2に示す吹出モード切替ドア19のドア駆動機構の作動原理を説明する説明図である。
【図7】図6に示す吹出モード切替ドア19とワイヤ30との固定構造を説明する断面図である。
【図8】図2に示す内外気切替ドア13のドア駆動機構の作動原理を説明する説明図である。
【図9】図1に示す操作盤20の分解斜視図である。
【図10】図9に示す操作盤20の意匠部20aを示す正面図である。
【図11】本発明の第2実施形態における操作盤20の全体構成を示す分解斜視図である。
【図12】図11に示す操作盤20の意匠部20aを示す正面図である。
【図13】本発明の第3実施形態における電動駆動手段40の全体構成を示す縦断面図である。
【図14】図13に示す(a)は駆動ギア46a、48aと従動ギア46b、48bとの噛み合いを説明する説明図、(b)は駆動カム47a、49aと従動カム47b、49bとの保持方法を説明する説明図である。
【図15】図13に示す(a)は駆動ギア46a、48aと従動ギア46b、48bとの噛み始めを説明する説明図、(b)は駆動ギア46a、48aと従動ギア46b、48bとの噛み終わりを説明する説明図、(c)駆動ギア、従動ギア46と、駆動カム、従動カムとの関係を説明する説明図である。
【図16】図13に示すサーボモータ43の回動角度に対応するスライドドア17および吹出モード切替ドア19の回動角度の特性を示す特性図である。
【図17】図16に示すサーボモータ43の作動パターンとギア、カムとの関係を説明する表である。
【図18】本発明の第4実施形態における電動駆動手段40の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
11…空調ケース
13…内外気切替ドア(開閉ドア)
17…スライドドア(開閉ドア、エアミックスドア)
19…吹出モード切替ドア(開閉ドア)
20a…意匠部(表示盤)
21、23…ダイヤル(操作部材)
22…操作側プーリ
22e…回転軸(手動駆動部材)
25…手動駆動手段
30…ワイヤ
40…電動駆動手段
43…サーボモータ(電動駆動部材)
46a、48a…正転用第1、第2駆動ギア、駆動ギヤ(駆動ギア)
46b、48b…正転用第1、第2従動ギア、駆動ギヤ(従動ギア)
46c…アイドル部
47a、49a…第1、第2駆動カム(駆動カム、カム部材)
47b、49b…第1、第2従動カム(駆動カム、カム部材)
47c…保持部
50…制御装置(制御手段)
60…赤外線センサ
A1、A2、A3…ドア駆動機構

Claims (4)

  1. 乗員が操作する操作部材(21、23)を有する表示盤(20a)と、
    車室内に向かって流れる空気通路を形成する空調ケース(11)と、
    前記空調ケース(11)内に配設されて前記空気通路を開閉する開閉ドア(13、17、19)と、
    ワイヤ(30)の巻き取り操作により駆動されて前記開閉ドア(13、17、19)を開閉するドア駆動機構(A1、A2、A3)と、
    前記操作部材(21、23)の操作に応じて前記ワイヤ(30)の巻取量に変換する操作側プーリ(22)と、
    手動駆動部材(22d)および電動駆動部材(43)の一方が選択され、かつ前記両駆動部材(22d、43)に対して、共用となる前記操作側プーリ(22)に連結され、前記操作部材(21、23)の操作動作を前記操作側プーリ(22)に伝達する駆動手段(25、40)とを備え、
    前記駆動部材(22d、43)として前記電動駆動部材(43)が選択されるときには、前記操作部材(21、23)の操作に応じて前記開閉ドア(13、17、19)の開閉を制御する制御手段(50)を設け、前記制御手段(50)の出力に基づいて、前記電動駆動部材(43)により前記操作側プーリ(22)を駆動し前記ワイヤ(30)の巻き取り動作を行ない、
    前記電動駆動部材(43)は、少なくとも二つの前記開閉ドア(13、17、19)を駆動する駆動力が出力されるものであって、前記電動駆動部材(43)の出力部には、歯数が間引かれたアイドル部(46c)を有し歯車による駆動力を出力する駆動ギア(46a、48a)と、前記駆動ギア(46a、48a)に噛み合わされ間欠駆動する二つの従動ギア(46b、48b)とを設け、前記二つの従動ギア(46b、48b)から前記操作側プーリ(22)に駆動力が伝達されるように構成し、前記二つの従動ギア(46b、48b)を前記二つの前記開閉ドア(13、17、19)に連結させることを特徴とする車両用空調装置。
  2. 前記電動駆動部材(43)および前記制御手段(50)は、前記表示盤(20a)の近傍に配設されることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
  3. 前記駆動ギア(46a、48a)と前記従動ギア(46b、48b)には、前記アイドル部(46c)と前記従動ギア(46b、48b)が噛み合うときに、前記従動ギア(46b、48b)側を保持する保持部(47c)を有するカム部材(47a、47b、49a、49b)が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用空調装置。
  4. 前記従動ギア(46b、48b)の歯の中心が前記保持部(47c)の略中央部に位置するように前記従動ギア(46b、48b)と前記カム部材(47a、47b、49a、49b)とが配設されるとともに、前記駆動ギア(46a、48a)の噛みはじめの歯が前記保持部(47c)の略中央部に配設され前記カム部材(47a、47b、49a、49b)による保持が開放された瞬間に前記駆動ギア(46a、48a)と前記従動ギア(46b、48b)とが噛み合うように配設されることを特徴とする請求項3に記載の車両用空調装置。
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