JP4239159B2 - ディスクブレーキのダストカバー構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディスクブレーキ装着車両におけるディスクブレーキのダストカバー構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ディスクブレーキは、ディスクロータと呼ばれる円板を両側からブレーキパッドで挟みつけてブレーキ力を得るものである。このディスクロータを飛石や水などから保護するためにディスクロータに隣接してダストカバーを取付けている。このようなダストカバーは、通常ナックルないしはジョイントフランジに取付けられている(引用文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−272417号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ダストカバーとジョイントフランジとの間の込み入った箇所に隙間があると、その隙間にゴミや水等が浸入して溜まる可能性がある。そのため、ダストカバーやジョイントフランジに錆が発生し、ダストカバーが強度低下する等の機能低下や、外観上の不具合が発生する場合がある。
本発明は、かかる状況に鑑みてなされたものであり、ゴミ等が堆積せずに排出可能なディスクブレーキのダストカバー構造を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、アクスルシャフト側にディスクブレーキのディスクロータを備え、アクスルケース側に本体部と該本体部のシャフト中心から径方向外側かつ上方向に突出する腕部とを有する腕構造部品を備え、上記腕部は、上記ディスクロータをまたぐキャリパを保持し、ダストカバーを上記ディスクロータと上記腕構造部品との間で上記腕構造部品側に取付け、上記腕構造部品の本体部のアクスルシャフト上方かつ上記ディスクロータ側にABS用センサを設け、上記ダストカバーには上記腕構造部品の本体部に形成した肩部と係合可能な係合孔を設け、上記ダストカバーは、上記係合孔を上記腕構造部品の本体部の肩部に係合させ、上記ダストカバーの各取付け穴を介して上記腕構造部品に設けたメネジ穴にボルトを螺合させて締め付けたディスクブレーキのダストカバー構造において、上記ダストカバーと上記腕構造部品の腕部との間に隙間を有し、上記ABS用センサの位置に対応して上記ダストカバーに上記ABS用センサとの干渉を防ぐための切欠き部を上記係合孔に連続して設け、上記ABS用センサと上記取付け穴とをアクスルシャフト回転方向に一定間隔を開けて設置し、上記切欠き部と上記取付け穴との間に上記腕部を配置し、上記隙間に隣接する上記ダストカバーの部分に孔を設け、該孔を通じて上記隙間内の塵等を排出するようにしている。
また、上記ダストカバーにおいて、上記孔の外径方向最外位置は、上記切欠き部の外径方向最外位置よりも中心寄りである。さらに、上記孔を、上記切欠き部を挟むように2箇所に配置している。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係るディスクブレーキのダストカバー構造の実施の形態について図面に基づいて説明する。
本発明を後輪に適用した場合を図1に示す。後輪付近の構造を概略すると、ボデー41にリヤサスペンション42を介して、車両幅方向に延びるアクスルケース43が連結されている。アクスルケース43の両端部にはアクスルシャフト44がそれぞれ組み付けられている。アクスルシャフト44の外側端部がホイールベアリング45を介してハブ46に連結され、このハブ46に鋳鉄製ディスクロータ47とタイヤホイール48が組み付けられている。アクスルシャフト44には、ハブ46に隣接してフランジジョイント1が組み付けられている。このフランジジョイント1には、ダストカバー2が組み付けられている。
【0008】
フランジジョイント1は、図3または図4に示すように、円筒形状の本体部11と、本体部11から径方向外側に向けて突出した腕部12とを備えている。フランジジョイント1では、軽量化のため、腕部12において強度上可能な箇所を肉抜きしている。具体的には、腕部12のディスクロータ47側が肉抜き加工されていて、腕部12の厚さが薄くなっている。符号12aは肉抜き加工された部分を示す。腕部12には、ディスクロータ47を両側からはさむようにまたがった二又形のキャリパ(図示省略)が取付けられる。このキャリパは、ディスクロータ47と摺接して制動作用をするパッド(図示省略)を保持している。本体部11のディスクロータ47側の端面に肩部13が形成されるとともに、3つのメネジ穴14が中心から等距離の位置に互いに等間隔となるように形成されている。また、2つの凹み部15も形成されていて、そのうちの一つの凹み部15は高い精度で後加工されて貫通され、ABS用センサ49(図2参照)を取付けるためのセンサ用孔15aとなる。もう一方の凹み部15はなんら加工されず、貫通していないままである。
ここで、ABS用センサ49は、タイヤのロックを感知するためのセンサであり、図2に示すように、フランジジョイント1のディスクロータ47側に1個のABS用センサ49が取り付けられる。ABS用センサ49のための凹み部15が2つあるのは、左側車輪用と右側車輪用の部品共通化のためである。更に説明すると、ABSは、ブレーキ時にタイヤのロックを防ぎ、ドライバーがハンドル操作で危険を回避できるようにしたものである。すなわち、ブレーキがかけられたときにタイヤが回っているかどうかをチェックし、タイヤがロックするとただちにブレーキをゆるめてタイヤの回転を回復して、最大摩擦力が得られるように常にスリップ率を一定範囲にするようにしたものである。
【0009】
ダストカバー2は、図3または図5に示すように、その周縁部が一方向に曲がっている略円盤形状の板状部材で、中心孔21(係合孔)と、キャリパ用逃げ部22と、中心孔21の周縁部にフランジジョイント1のメネジ穴14の位置に対応した3つの取付け穴23と、2つの排出用孔24とが設けられている。中心孔21は、フランジジョイント1の肩部13と係合可能である。キャリパ用逃げ部22は、腕部12に取り付けるキャリパ(図示省略)との干渉を防ぐためのもので、縁部に形成されている。中心孔21に連続して、フランジジョイント1に取り付けたABS用センサ49との干渉を防ぐための2つの切欠き部25が形成されている。2つの排出用孔24は、切欠き部25を挟むように位置している。
【0010】
次に、ダストカバー2をフランジジョイント1に組付ける手順について説明する。車両外側からダストカバー2の中心孔21をフランジジョイント1の本体部11の肩部13に係合させ、3つのボルト50をダストカバー2の各取付穴23を介してフランジジョイント1の各メネジ穴14に螺合させて締め付ける。上述したように、フランジジョイント1の腕部12が肉抜きされているため、組付け状態では、ダストカバー2とフランジジョイント1の腕部12との間に比較的大きな隙間51がある。この隙間51は、ダストカバー2とフランジジョイント1とに挟まれて位置するが、ダストカバー2の排出用孔24が隙間51に通じているため、隙間51が袋小路にならず、ゴミや水等が侵入しても堆積することなく錆等の発生する可能性が低減する。また、隙間51は比較的大きいものゆえ、ゴミや水等を効率よく排出することができる。
【0011】
本実施形態では、図5に示すように、ダストカバー2において排出用穴24を中心孔21とは別に設けているが、本発明はこれに限られず、図6に示すダストカバー3のように、中心孔31ないしは切欠き部35に連続した開口部34を設けることもできる。排出用穴24の代わりに開口部35を設けたものであり、このような構成にすると、プレス型の構成が簡略化できるので、プレス型の寿命増につなげることができる。
その場合に、開口部の外径方向最外位置が、切欠き部の外径方向最外位置よりも中心寄りであるようにすることができる。これにより、ダストカバー全体の形状に影響を与えずに構成することができる。
なお、図6のダストカバー3は、ダストカバー2と同様に、中心孔31、キャリパ用逃げ部32、取付け穴33および切欠き部35が設けられている。
【0012】
【発明の効果】
本発明は、アクスルシャフト側にディスクブレーキのディスクロータを備え、アクスルケース側に本体部と該本体部のシャフト中心から径方向外側かつ上方向に突出する腕部とを有する腕構造部品を備え、上記腕部は、上記ディスクロータをまたぐキャリパを保持し、ダストカバーを上記ディスクロータと上記腕構造部品との間で上記腕構造部品側に取付け、上記腕構造部品の本体部のアクスルシャフト上方かつ上記ディスクロータ側にABS用センサを設け、上記ダストカバーには上記腕構造部品の本体部に形成した肩部と係合可能な係合孔を設け、上記ダストカバーは、上記係合孔を上記腕構造部品の本体部の肩部に係合させ、上記ダストカバーの各取付け穴を介して上記腕構造部品に設けたメネジ穴にボルトを螺合させて締め付けたディスクブレーキのダストカバー構造において、上記ダストカバーと上記腕構造部品の腕部との間に隙間を有し、上記ABS用センサの位置に対応して上記ダストカバーに上記ABS用センサとの干渉を防ぐための切欠き部を上記係合孔に連続して設け、上記ABS用センサと上記取付け穴とをアクスルシャフト回転方向に一定間隔を開けて設置し、上記切欠き部と上記取付け穴との間に上記腕部を配置し、上記隙間に隣接する上記ダストカバーの部分に孔を設け、該孔を通じて上記隙間内の塵等を排出するようにしているので、隙間内にゴミや水が堆積せず、錆等の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るディスクブレーキのダストカバー構造を適用した車両の後車輪付近を一部破断して示す正面図である。
【図2】図1に示す後車輪におけるハブおよびホイールベアリングを取り外した状態の斜視図である。
【図3】図2に示す後車輪におけるアクスルを取り外した状態の縦断面図である。
【図4】図3に示すフランジジョイントの正面図である。
【図5】図3に示すダストカバーの正面図である。
【図6】一変形例におけるダストカバーの正面図である。
【符号の説明】
1 フランジジョイント(腕構造部品)
11 本体部
12 腕部
13 肩部
14 メネジ穴
15 センサ用孔
2 ダストカバー
21、31 中心孔
22、32 キャリパ用逃げ部
23、33 取付け穴
24 排出用孔
25、35 切欠き部
3 ダストカバー
34 開口部
41 ボデー
42 リヤサスペンション
43 アクスルケース
44 アクスルシャフト
45 ホイールベアリング
46 ハブ
47 ディスクロータ
48 タイヤホイール
49 ABS用センサ
50 ボルト
51 隙間
Claims (3)
- アクスルシャフト側にディスクブレーキのディスクロータを備え、アクスルケース側に本体部と該本体部のシャフト中心から径方向外側かつ上方向に突出する腕部とを有する腕構造部品を備え、上記腕部は、上記ディスクロータをまたぐキャリパを保持し、ダストカバーを上記ディスクロータと上記腕構造部品との間で上記腕構造部品側に取付け、上記腕構造部品の本体部のアクスルシャフト上方かつ上記ディスクロータ側にABS用センサを設け、上記ダストカバーには上記腕構造部品の本体部に形成した肩部と係合可能な係合孔を設け、上記ダストカバーは、上記係合孔を上記腕構造部品の本体部の肩部に係合させ、上記ダストカバーの各取付け穴を介して上記腕構造部品に設けたメネジ穴にボルトを螺合させて締め付けたディスクブレーキのダストカバー構造において、
上記ダストカバーと上記腕構造部品の腕部との間に隙間を有し、上記ABS用センサの位置に対応して上記ダストカバーに上記ABS用センサとの干渉を防ぐための切欠き部を上記係合孔に連続して設け、上記ABS用センサと上記取付け穴とをアクスルシャフト回転方向に一定間隔を開けて設置し、上記切欠き部と上記取付け穴との間に上記腕部を配置し、上記隙間に隣接する上記ダストカバーの部分に孔を設け、該孔を通じて上記隙間内の塵等を排出するようにしたことを特徴とするディスクブレーキのダストカバー構造。 - 上記ダストカバーにおいて、上記孔の外径方向最外位置は、上記切欠き部の外径方向最外位置よりも中心寄りであることを特徴とする請求項1に記載のディスクブレーキのダストカバー構造。
- 上記孔を、上記切欠き部を挟むように2箇所に配置したことを特徴とする請求項1に記載のディスクブレーキのダストカバー構造。
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