JP4236449B2 - フッ素系イオン交換膜 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フッ素系イオン交換膜に関するものであり、特に、固体高分子電解質型燃料電池の電解質、かつ、隔膜として性能が優れたフッ素系イオン交換膜に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は、水素、メタノール等の燃料を電気化学的に酸化することによって電気エネルギーを取り出す一種の発電装置であり、近年、クリーンなエネルギー供給源として注目されている。燃料電池は、用いる電解質の種類によって、リン酸型、溶融炭酸塩型、固体酸化物型、固体高分子電解質型等に分類されるが、このうち、固体高分子電解質型燃料電池は、標準的な作動温度が100℃以下と低く、かつ、エネルギー密度が高いことから、電気自動車等の電源として幅広い応用が期待されている。
【0003】
固体高分子電解質型燃料電池の基本構成は、イオン交換膜とその両面に接合された一対のガス拡散電極からなっており、一方の電極に水素、他方に酸素を供給し、両電極間を外部負荷回路に接続することによって発電を起こすものである。より具体的には、水素側電極でプロトンと電子が生成され、プロトンは、イオン交換膜の内部を移動して酸素側電極に達した後、酸素と反応して水を生成する。一方、水素側電極から導線を伝って流れ出した電子は、外部負荷回路において電気エネルギーが取り出された後、さらに導線を伝って酸素側電極に達し、前記水生成反応の進行に寄与する。
【0004】
イオン交換膜の要求特性としては、第一に、高いイオン伝導性が挙げられるが、プロトンがイオン交換膜の内部を移動する際は、水分子が水和することによって安定化すると考えられるため、イオン伝導性と共に、高い含水性と水分散性も重要な要求特性となっている。また、イオン交換膜は、水素と酸素の直接反応を防止するバリアとしての機能を担うため、ガスに対する低透過性が要求される。その他の要求特性としては、燃料電池運転中の強い酸化雰囲気に耐えるための化学的安定性や、更なる薄膜化に耐え得る機械強度を挙げることができる。
【0005】
固体高分子電解質型燃料電池に使用されるイオン交換膜の材質としては、高い化学的安定性を有することからフッ素系イオン交換樹脂が広く用いられており、中でも、主鎖がパーフルオロカーボンで、側鎖末端にスルホン酸基を有するデュポン社製の「ナフィオン(登録商標)」が広く用いられている。こうしたフッ素系イオン交換樹脂は、固体高分子電解質材料として概ねバランスのとれた特性を有するが、当該電池の実用化が進むにつれて、更なる物性の改善が要求されるようになってきた。
【0006】
例えば、高電流密度化や膜内水分均一化を高いレベルで達成すべく、イオン交換膜の薄膜化は、今後、一層重要性を増すものと考えられるが、このためには、イオン交換膜の機械強度を向上させる必要がある。同様に、長期耐久性改良の観点からも高強度化への要求が高まりつつある。延伸技術は、膜やフィルムの機械強度を向上させるための有効な手段の一つであり、延伸によって高強度のイオン交換膜を得る方法は既に知られている。特許文献1には、イオン交換樹脂を液状有機化合物で膨潤させたもの、又はイオン交換樹脂の溶融加工可能な前駆体を含フッ素液状有機化合物で膨潤させたものに対して、少なくとも1つの平面方向に延伸する製造方法が開示されている。
【0007】
特許文献1の実施例1には、フッ素系イオン交換樹脂を125℃で縦・横方向に2×2倍に延伸することにより、機械強度が2.8×107Paから6.3×107Paに上昇することが開示されている。しかしながら、この実施例による延伸膜は熱収縮が大きいことが明らかになっており、例えば、膜電極接合体(MEA)作成時の熱プレス相当温度に暴露すると大きな熱収縮が発生し、配向が緩和する、熱水中において膜が収縮する、等の問題点があった。
【0008】
特許文献2には、延伸配向させたフッ素イオン交換膜を熱固定することにより、熱収縮を低減させることが開示されている。しかしながら、熱固定により配向が緩和して強度が低下する等の問題点があった。また、この熱固定によりイオン伝導性が低下することから、後工程として洗浄処理が必要となり、工程が複雑であった。
このように、延伸配向したフィルムは高い機械強度を発現するが、多くの場合、熱収縮が大きく、配向が緩和するために、高温加工を伴うような用途、特に、燃料電池用途への適用に対して制限があった。
【0009】
以上のように、高強度化に関する従来技術は単純な延伸への試みにとどまっており、特に、延伸配向の安定化が不十分で熱収縮が大きいことから、イオン交換膜として産業上有用な技術の開示とはなり得ていなかった。
【0010】
【特許文献1】
特開昭60−149631号公報
【特許文献2】
国際公開特許第02/062879号パンフレット
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、機械強度に優れ、かつ、熱寸法安定性に優れたフッ素系イオン交換膜及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
フッ素系イオン交換膜を配向することによって、その機械強度は上昇するが、一方で熱収縮が大きくなる。本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、フッ素系イオン交換膜の面配向度、α分散温度シフト等を適切に設定することによって、高強度と熱寸法安定性を両立できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0013】
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
[1] 膜厚が1〜500μm、面配向度(ΔP)が0.0005以上0.0036以下、25℃における水平イオン伝導度が0.05S/cm以上0.12S/ cm 以下、かつ、α分散温度シフト(ΔT)が1以上50以下の配向されたフッ素系イオン交換膜であり、該イオン交換膜のイオン交換基の対イオンが、プロトン並びにアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン及び遷移金属イオンから選ばれた少なくとも一種のカチオンであり、前記フッ素系イオン交換膜の塩置換率が5%以上60%以下であることを特徴とするフッ素系イオン交換膜。
[2] 160℃における熱収縮率が45%以下であることを特徴とする[1]記載のフッ素系イオン交換膜。
【0014】
] 配向されたフッ素系イオン交換膜のイオン交換基の対イオンの少なくとも一部を、プロトンに置換した後、更に、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン及び遷移金属イオンから選ばれた少なくとも一種のカチオンで置換することを特徴とする[1]に記載のフッ素系イオン交換膜の製造方法。
] []に記載の配向されたフッ素系イオン交換膜が、下記を含む工程により製造されることを特徴とする[]に記載のフッ素系イオン交換膜の製造方法。
(1) イオン交換膜前駆体を有するフッ素系イオン交換樹脂前駆体から、フッ素系イオン交換樹脂前駆体膜を成膜する工程、
(2) フッ素系イオン交換樹脂前駆体膜を配向させる工程、及び
(3) (2)で得られたフッ素系イオン交換樹脂前駆体膜を、配向状態を維持しながら拘束下でイオン交換樹脂前駆体を加水分解する工程。
【0015】
] []に記載の配向されたフッ素系イオン交換膜が下記を含む工程により製造されることを特徴とする[]に記載のフッ素系イオン交換膜の製造方法。
(1) イオン交換膜前駆体を有するフッ素系イオン交換樹脂前駆体から、フッ素系イオン交換樹脂前駆体膜を成膜する工程、
(2) フッ素系イオン交換樹脂前駆体膜を加水分解してフッ素系イオン交換 樹脂膜を得る工程、及び
(3) (2)で得られたフッ素系イオン交換樹脂膜を配向させる工程。
] [1]〜[]のいずれか1項に記載のフッ素系イオン交換膜を備えることを特徴とする膜電極接合体。
] [1]〜[]のいずれか1項に記載のフッ素系イオン交換膜を備えることを特
徴とする固体高分子電解質型燃料電池。
【0016】
以下に、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明のフッ素系イオン交換膜について説明する。
(膜厚)
本発明のフッ素系イオン交換膜の膜厚は1μm以上であり、好ましくは5μm以上、より好ましくは8μm以上、最も好ましくは10μm以上である。膜厚が1μm未満の場合は、水素と酸素の直接反応のような不都合が発生しやすく、そして燃料電池製造時の取り扱い時や燃料電池運転中の差圧・歪み等によって膜の損傷等も発生しやすい。一方、膜厚の上限は500μm以下であり、好ましくは150μm以下、より好ましくは100μm以下、最も好ましくは50μm以下である。膜厚が500μmを越えると、イオン透過性が低くなるため、イオン交換膜として十分な性能を発揮することができない。
【0017】
(面配向度)
本発明のフッ素系イオン交換膜の特徴として挙げられるのが面配向度である。この値が一定値以上を示さなければ、単なる薄膜化に過ぎず、機械強度の向上が望めない。
本発明のフッ素系イオン交換膜の面配向度は0.0005以上であり、好ましくは0.0010以上、より好ましくは0.0015以上、最も好ましくは0.0020以上である。面配向度が0.0005未満では機械強度が不足し、イオン交換膜として十分な性能を持たない。
【0018】
(25℃水中における水平イオン伝導度)
本発明のフッ素系イオン交換膜の25℃水中における水平イオン伝導度は0.05S/cm以上であり、好ましくは0.06S/cm以上、より好ましくは0.07S/cm以上、さらに好ましくは0.08S/cm以上、最も好ましくは0.09S/cm以上である。水平イオン伝導度が0.05S/cm未満の場合は、燃料電池用イオン交換膜として使用する場合に内部抵抗が上昇する。
(α分散温度シフト)
本発明のフッ素系イオン交換膜のα分散温度シフトは1以上であり、好ましくは5以上、より好ましくは10以上、さらに好ましくは15以上、最も好ましくは20以上である。α分散温度シフトが1未満の場合は、高温において熱収縮が起こり、例えば、膜電極接合体の製造収率が低下する。
【0019】
(160℃における熱収縮率)
本発明のフッ素系イオン交換膜の160℃における熱収縮率は、好ましくは45%以下であり、より好ましくは40%以下、さらに好ましくは35%以下、さらに好ましくは30%以下、最も好ましくは25%以下である。熱収縮率が45%を越えると、高温加工を伴うような用途において熱収縮が起こる場合があり、例えば、MEAの製造時等に支障をきたす場合がある。
(当量重量)
本発明のフッ素系イオン交換膜の当量重量(EW)は限定されないが、好ましくは400以上、より好ましくは600以上、最も好ましくは700以上である。当量重量が低すぎると強度の低下が起きる場合がある。一方、EWの上限は、好ましくは1400以下、より好ましくは1200以下、最も好ましくは1000以下である。当量重量が大きくなると未配向膜でも機械強度が向上するが、同時にイオン交換基の密度が低くなるためにイオン伝導性が低下する場合がある。
【0020】
(塩置換率)
本発明のフッ素系イオン交換膜の塩置換率は限定されないが、好ましくは0.1%以上、より好ましくは1%以上、さらに好ましくは5%以上、さらに好ましくは10%以上、最も好ましくは20%以上である。塩置換率が0.1%未満の場合は、α分散温度シフトが小さいために、高温において熱収縮が起こりやすく、例えば、膜電極接合体の製造収率が低下する場合がある。塩置換率の上限は、好ましくは99%以下、より好ましくは90%以下、さらに好ましくは80%以下、さらに好ましくは70%以下、最も好ましくは60%以下である。塩置換率が99%を越えると、塩置換率を有する膜は一般にイオン伝導性が低いと考えられるため、イオン交換膜として十分な性能を持たない場合がある。
【0021】
(換算突刺強度)
本発明のフッ素系イオン交換膜の換算突刺強度(乾燥状態での突刺強度を25μmあたりに換算)は限定されないが、好ましくは300g以上、より好ましくは350g以上、最も好ましくは400g以上である。換算突刺強度が300g未満の場合、薄膜化したときに十分な機械強度が得られない場合がある。換算突刺強度の上限は特にないが、3000g以上の強度を有する膜は、一般的に含水率が低いことが予想されるため、イオン交換膜として十分な性能を持たない場合がある。
【0022】
次に、本発明のフッ素系イオン交換膜の製造方法について説明する。
(原料ポリマー)
本発明で使用されるフッ素系イオン交換樹脂前駆体は、一般式CF2=CF−O(CF2CFXO)n−(CF2m−Wで表されるフッ化ビニル化合物と、一般式CF2=CFZで表されるフッ化オレフィンとの、少なくとも二元共重合体からなる。ここで、Xは、F原子又は炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、nは、0〜3の整数、mは、1〜3の整数、Zは、H、Cl、F又は炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基である。Wは、加水分解によりCO2H又はSO3Hに転換し得る官能基であり、このような官能基としては、SO2F、SO2Cl、SO2Br、COF、COCl、COBr、CO2CH3、CO225が、通常、好ましく使用される。
【0023】
このようなフッ素系イオン交換樹脂前駆体は公知の手段により合成可能なものである。例えば、上記フッ化ビニル化合物をフロン等の溶媒に溶かした後、フッ化オレフィンのガスと反応させ重合する方法(溶液重合)、フッ化ビニル化合物を界面活性剤とともに水中に仕込んで乳化させた後、フッ化オレフィンのガスと反応させ重合する方法(乳化重合)、更には懸濁重合等が知られているが、いずれも好適な方法として用いることができる。
【0024】
(成膜工程)
フッ素系イオン交換樹脂前駆体を膜状に成形する方法としては、溶融成形法(Tダイ法、インフレーション法、カレンダー法等)、キャスト法等、成形法として一般的に知られている方法であればいずれも好適に用いることができる。キャスト法としては、フッ素系イオン交換樹脂を適当な溶媒に分散させたもの、又は重合反応液そのものをシート状に成形した後、分散媒を除去する方法を挙げることができる。
【0025】
Tダイ法による溶融成形を行う際の樹脂温度は100℃以上が好ましく、より好ましくは200℃以上である。樹脂の耐熱性を考慮すると300℃以下が好ましく、より好ましくは280℃以下である。インフレーション法による溶融成形を行う際の樹脂温度は100℃以上が好ましく、より好ましくは160℃以上である。樹脂の耐熱性を考慮すると300℃以下が好ましく、より好ましくは240℃以下である。
【0026】
これらの方法で溶融成形されたシートは、冷却ロール等を用いることによって溶融温度以下の温度にまで冷却される。
前駆体膜の膜厚は、配向工程における膜厚減少を見越した上で最適の膜厚に調整することが好ましい。したがって、延伸して面配向させた際に、面配向度0.0005以上、かつ、膜厚1〜500μmの膜が得られるように、膜厚を調整する。例えば、配向工程で4×4倍延伸を行うとき、配向膜の膜厚を25μmとするためには前駆体膜の膜厚を400μm付近で調整する必要がある。
【0027】
(加水分解工程)
加水分解の方法としては、例えば、特許第2753731号明細書に記載のように、水酸化アルカリ溶液を用いて配向膜のイオン交換基前駆体をイオン交換基の対イオンが金属塩カチオンであるイオン交換樹脂に変換し、次に、塩酸のような酸性水溶液を用いてイオン交換基の対イオンをプロトン(SO3H又はCOOH)に変換する方法等を使用することができる。
【0028】
加水分解に際して、イオン交換基前駆体を、イオン交換基の対イオンが金属塩カチオンであるイオン交換樹脂に変換した後、金属塩カチオンの一部をプロトンに置換する。その際に、プロトンへの置換率を調節することによって、一度の加水分解で、25℃における水平イオン伝導度が0.05S/cm以上、かつ、α分散温度シフト(ΔT)が1以上のイオン交換樹脂膜に変換することができる。また、プロトンへの置換率を調節することによって、加水分解により、一旦、α分散温度シフト(ΔT)が1以下のイオン交換樹脂膜に変換した後、後のカチオンへ置換する工程でカチオンへの置換率を調節することによって、25℃における水平イオン伝導度が0.05S/cm以上、かつ、α分散温度シフト(ΔT)が1以上のイオン交換樹脂膜に変換することができる。
【0029】
一般的に、イオン交換膜は、イオン交換樹脂前駆体を膜状に成形した後、高温で加水分解を行うことによって製造される。したがって、本発明において延伸を行う対象としては「加水分解前のフッ素系イオン交換樹脂前駆体」と「加水分解後のフッ素系イオン交換樹脂」に大別できる。本発明においては、目的に応じていずれの膜に対しても延伸を行うことができる。
【0030】
(フッ素系イオン交換樹脂前駆体の延伸)
本発明における好ましい延伸の形態の第一は、フッ素系イオン交換樹脂前駆体に対して為されるものである。フッ素系イオン交換樹脂前駆体の延伸において特に重視されるべき点は、延伸終了に伴う配向緩和の防止である。これは次のような理由による。
一般的に、フィルムの延伸温度は粘弾性測定におけるα分散温度を参考にして設定されることが多い。α分散温度とは、ポリマー主鎖が熱運動を開始すると考えられる温度であり、延伸のように、ポリマーに対して大きな歪みを与えながら加工する際の指標として広く用いられている。
【0031】
フッ素系イオン交換樹脂前駆体のα分散温度は室温近辺に存在するため、延伸状態から拘束を外すと急速に収縮して延伸配向を失うことが多い。本発明者らは、フッ素系イオン交換樹脂前駆体の配向緩和に関して、前駆体に特有な製造工程である加水分解に着目して、α分散温度に依らない延伸固定方法を見出した。すなわち、本発明においては、フッ素系イオン交換樹脂前駆体を延伸した後、延伸配向を拘束した状態で加水分解することを特徴とする。
【0032】
このような方法によって、延伸固定が達成できる理由は明らかではないが、加水分解によって生成するフッ素系イオン交換樹脂のα分散温度は、前駆体よりもはるかに高く、120℃近辺に存在すると考えられているので、延伸配向を維持しながら加水分解を行うことによって、その進行と共に配向膜のα分散温度が上昇する過程で主鎖の熱運動が減少し、延伸固定を達成できたのではないかと考えられる。こうした延伸固定の方法を本発明においては、「ケン化固定」、と呼称する。
【0033】
ケン化固定が達成できる理由としては、さらに次のように考えることもできる。フッ素系イオン交換樹脂前駆体を加水分解すると多量の水を吸水するようになるが、こうした水は樹脂内部に均一に存在するのではなく、微視的な水滴を形成しつつ局所的に存在すると考えられている。このような水滴はクラスターと呼ばれ、小角X線回折や透過型電子顕微鏡によって具体的に観察することができる。1つのクラスターには複数の側鎖末端が含まれると予想されるが、フッ素系イオン交換樹脂前駆体を延伸した後、拘束を維持した状態でクラスターを形成させると、これらの側鎖末端どうしが互いに水を介して結びつく、一種の架橋点として機能することが期待できる。すなわち、α分散温度の上昇に加えて、延伸配向後に形成されるクラスターが疑似架橋点として機能することにより、ケン化固定がより良好に機能するものと考えられる。
一方、ケン化固定を施さない配向膜は、拘束を解いた時及び高温のケン化液に触れた時に延伸配向が大きく開放されるため、強い延伸配向を維持できずに、未配向膜と同程度にまで機械強度が低下する。
【0034】
(フッ素系イオン交換樹脂の延伸)
本発明における好ましい延伸の形態の第二は、フッ素系イオン交換樹脂に対して為されるものである。前記のように、フッ素系イオン交換樹脂のα分散温度は120℃近辺に存在すると考えられるため、冷却による延伸固定が容易であり、拘束を解いたあとも延伸配向を維持しやすい。特に、フッ素系イオン交換樹脂に対する延伸はケン化固定のような特殊な処理を必要としないために、一般的な延伸技術を適用することができ、燃料電池用イオン交換膜の生産性向上の観点から好ましい。すなわち、本発明においては、その好ましい延伸の形態の第二として、フッ素系イオン交換樹脂前駆体を加水分解した後に延伸することを特徴とする。
【0035】
(配向工程)
上記したとおり、延伸配向させる対象としては、「加水分解前のフッ素系イオン交換樹脂前駆体」と「加水分解後のフッ素系イオン交換樹脂」に大別できる。いずれの膜に対しても、フィルムの延伸方法として一般的に知られている方法を用いることができるが、このうち、テンターによる横1軸延伸、テンター及び縦延伸ロールによる逐次2軸延伸、同時2軸テンターによる同時2軸延伸、及びインフレーション製膜装置によるブロー延伸が好ましく、同時2軸延伸及びブロー延伸がより好ましい。
【0036】
本発明における延伸とは、延伸応力の発生を伴う伸長を意味しており、延伸応力の発生を伴わない伸長は、拡幅、と呼称される。例えば、加水分解工程の前に配向工程を実施しない場合は、加水分解に伴う吸水によって膜が水平方向に大きく膨潤するが、この変化に追従して膜を伸長する場合は拡幅と考えることができる。
延伸は、膜の面配向度(ΔP)が0.0005以上、かつ、膜厚が1〜500μmとなるように、延伸倍率、延伸温度等の条件を適宜選定して行う。
【0037】
延伸倍率は、面積倍率で、下限については、好ましくは1.1倍以上、より好ましくは2倍以上、最も好ましくは4倍以上、上限については、好ましくは50倍以下、より好ましくは16倍以下、最も好ましくは9倍以下である。このうち、横方向(機械方向に対して直角な方向)の延伸倍率は、下限については、好ましくは1.1倍以上、より好ましくは1.5倍以上、最も好ましくは2倍以上、上限については、好ましくは50倍以下、より好ましくは9倍以下、最も好ましくは3倍以下である。好適な延伸温度は、前駆体膜の溶融温度以下であり、下限については、好ましくは(α分散温度−100℃)以上、より好ましくは(α分散温度−80℃)以上、最も好ましくは(α分散温度−50℃)以上、上限については、好ましくは(α分散温度+100℃)以下、より好ましくは(α分散温度+80℃)以下、最も好ましくは(α分散温度+50℃)以下である。
【0038】
(イオン交換基の対イオンのカチオンによる変換(塩置換))
ここでいう塩置換とは、フッ素系イオン交換樹脂前駆体膜の加水分解により、イオン交換基の対イオンが金属塩カチオンであるイオン交換樹脂に変換した後、金属塩カチオンの一部をプロトンに置換して、α分散温度シフト(ΔT)が1以下のイオン交換樹脂膜を製造した後に、残留するプロトンに対して行う処理である。この塩置換によって、25℃における水平イオン伝導度が0.05S/cm以上、かつ、α分散温度シフト(ΔT)が1以上である本発明のフッ素系イオン交換膜が製造される。
【0039】
本発明で使用されるカチオンの種類としては、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属、遷移金属イオン等、α分散温度シフトが1以上を示すカチオンであればどのような種類でも用いることができる。α分散温度シフトは、置換するカチオンの種類や量によって制御することができる。特に、イオン価数が大きいほどその効果が大きい。
塩置換率は、イオン交換樹脂膜の水平イオン伝導度が0.05S/cm以上、かつ、α分散温度シフト(ΔT)が1以上となるように、適宜、塩の種類とそれに伴う塩置換率等を設定する。塩置換率が低すぎると熱収縮が大きく、MEAの製造時等に支障をきたす場合がある。160℃での熱収縮率を45%以下にするためには、塩置換率を5%以上に設定する。塩置換率は、その塩置換率が大きいほどα分散温度シフトが大きくなるが、塩置換率が大きすぎるとイオン伝導性が低下し、電解質膜として好ましくない場合がある。したがって、多価イオンを使用すると、低い塩置換率で良好な熱寸法安定性改善を達成できるために好ましい。具体的には、対イオンが一価のカチオンの場合、塩置換率10〜90%が好ましく、より好ましくは20〜80%、最も好ましくは30〜70%である。二価のカチオンの場合、塩置換率は5〜60%が好ましく、より好ましくは10〜50%、最も好ましくは20〜40%である。
【0040】
塩置換の方法としては、フッ素系イオン交換膜を、置換するカチオンを所定の濃度含む塩水溶液に浸漬、又は塩水溶液を塗布若しくは噴霧することによって行うことができる。
塩水溶液の濃度は、以下の方法で調整することができる。例えば、対イオンをn価のカチオン、塩置換率をX%に塩置換すると仮定して説明する。まず、対イオンがプロトンのフッ素系イオン交換膜の乾燥重量W(g)を測定する。次に、このフッ素系イオン交換膜の当量重量EW(g/eq)を測定する。これらより下記の式を用いて置換基量A(mol)を求める。
A=W/EW
【0041】
この置換基量Aが、このフッ素系イオン交換膜がもつ全イオン交換基量である。塩置換率X%とは、全イオン交換基のX%の対イオンがプロトン以外の一種類以上のカチオンで置換され、残りの(100−X)%の対イオンがプロトンであることを意味する。対イオンをn価のカチオン、塩置換率をX%に塩置換するときに必要なカチオン塩の重量C(g)は、下記の式を用いて求める。
C=A×X/100×D/n
D:カチオン塩の分子量(g/mol)
カチオン塩Cを500mlの水に溶解させて、塩水溶液の濃度を調整する。
【0042】
このようして作成した塩水溶液に、イオン交換基の対イオンがプロトンのフッ素系イオン交換膜を浸漬させることにより塩置換を行うことができる。浸漬温度は、多くの場合は室温であれば十分に置換することができ、塩置換時間を短縮する場合は塩水溶液を加熱してもよい。浸漬時間は、塩水溶液の濃度及び浸漬温度に依存するが、概ね1分間〜12時間の範囲で好適に塩置換を実施することができる。塩置換が終了した後、膜をよく水洗し、乾燥させる。
上記と同様な方法で、イオン交換基の対イオンがプロトン及びそれ以外のカチオンからなるフッ素イオン交換膜を所定の濃度の酸性水溶液に浸漬させることによっても塩置換したイオン交換膜を得ることができる。
【0043】
(膨潤工程)
より高いイオン伝導性を発現させようとする場合は、必要に応じて加水分解工程の後に膨潤処理を行うことによってフッ素系イオン交換膜の含水率を向上させることができる。例えば、特開平6−342665号公報に記載のように、フッ素系イオン交換膜を水、又は水と水に可溶な有機溶剤の混合物中で加温することによって膨潤処理を行い、その後、イオン交換基の対イオンをプロトンに戻すことによって高含水率のフッ素系イオン交換膜とすることができる。
【0044】
(膜電極接合体の製造方法)
フッ素系イオン交換膜を固体高分子電解質型燃料電池に用いる場合、アノードとカソード2種類の電極が膜の両側に接合されたMEAとして使用される。
電極は、触媒金属の微粒子とこれを担持した導電剤より構成され、必要に応じて撥水剤が含まれる。電極に使用される触媒としては、水素の酸化反応及び酸素による還元反応を促進する金属であれば限定されず、白金、金、銀、パラジウム、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、タングステン、マンガン、バナジウム又はそれらの合金が挙げられる。これらの中では、主として白金が用いられる。
【0045】
導電剤としては、電子伝導性物質であればいずれでもよく、例えば、各種金属、炭素材料等を挙げることができる。炭素材料としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック、活性炭、黒鉛等が挙げられ、これらは、単独又は複数種を混合して使用される。
撥水剤としては、撥水性を有する含フッ素樹脂が好ましく、耐熱性及び耐酸化性に優れたものが好ましい。例えば、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体等を挙げることができる。
【0046】
前記電極とイオン交換膜よりMEAを作成するには、例えば、次のような方法が採用される。フッ素系イオン交換樹脂をアルコールと水の混合溶液に溶解したものに電極物質となる白金担持カーボンを分散させてペースト状にする。これをポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シートに一定量塗布して乾燥させる。次に、このPTFEシートの塗布面を向かい合わせにしてその間にイオン交換膜を挟み込み、熱プレスにより接合する。熱プレス温度は、イオン交換膜の種類によるが、通常は100℃以上であり、好ましくは130℃以上、より好ましくは150℃以上である。
前記以外の方法としては、電極触媒をイオン交換膜に直接塗布して触媒層を形成する方法、スプレー等を用いてイオン交換膜に直接噴霧して触媒層を形成する方法等も用いることができる。
【0047】
(酸との接触によるイオン交換基の対イオンのプロトン転化)
より高いイオン伝導性を発現させようとする場合は、必要に応じて電極触媒層を形成した後、酸と接触させることによって、置換したカチオンが洗い流され、イオン交換基の対イオンがプロトンとなり、より高いイオン伝導性を発現することができる。例えば、塩酸のような酸性水溶液に浸漬又は酸性水溶液を噴霧する公知の方法を使用することができる。
【0048】
(燃料電池の製造方法)
次に、固体高分子電解質型燃料電池の製造方法について説明する。固体高分子電解質型燃料電池は、MEA、集電体、燃料電池フレーム、ガス供給装置等より構成される。このうち、集電体(バイポーラプレート)は、表面等にガス流路を有するグラファイト製又は金属製のフランジのことであり、電子を外部負荷回路へ伝達する他に、水素や酸素をMEA表面に供給する流路としての機能を持っている。こうした集電体の間にMEAを挿入して複数積み重ねることにより、燃料電池を作成することができる。
【0049】
燃料電池の運転は、一方の電極に水素を、他方の電極に酸素又は空気を供給することによって行われる。燃料電池の作動温度が高温であるほど触媒活性が上がるために好ましいが、通常は、水分管理が容易な50℃〜100℃で運転させることが多い。一方、本発明のような補強されたイオン交換膜においては、高温高湿強度の改善によって100℃〜150℃で作動できる場合がある。酸素や水素の供給圧力は、高いほど燃料電池出力が高まるため好ましいが、膜の破損等によって両者が接触する確率も増加するため、適当な圧力範囲に調整することが好ましい。
【0050】
(燃料電池運転によるイオン交換基の対イオンのプロトン転化)
本発明において、塩置換することにより低下したフッ素系イオン交換膜のイオン伝導性は、燃料電池運転の際に膜の内部を移動するプロトンによって、置換したカチオンが洗い流され、イオン交換基の対イオンがプロトンとなり、より高いイオン伝導性を発現する場合がある。
【0051】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は実施例に制限されるものではない。
本発明において用いられる特性の評価方法は次のとおりである。
(イ)膜厚
イオン交換膜を23℃、65%の恒温室で1時間以上放置した後、膜厚計(東洋精機製作所:B−1)を用いて測定する。
【0052】
(ロ)面配向度
イオン交換膜を23℃、65%の恒温室で12時間以上放置した後、王子計測機器社製の自動複屈折計KOBRA−21ADHを用い、それぞれ3方向の屈折率を測定する。
nα:フィルムの主配向方向の屈折率
nβ:フィルムの主配向方向と直角な方向の屈折率
nγ:フィルムの厚み方向の屈折率
これらより、下記式を用いて面配向度ΔPを求める。
ΔP=(nα+nβ)/2−nγ
【0053】
(ハ)25℃水中における水平イオン伝導度
イオン交換膜を25℃の水中に30分間浸漬した後、幅1cmの短冊状に切り出し、その表面に直径0.5mmの電極線を1cm間隔で平行に6本接触させる。25℃、98%に調節した恒温恒湿槽に2時間以上保持したあと、交流インピーダンス法(10kHz)による抵抗測定を行い、電極間距離と抵抗から単位長さ当たりの抵抗値を測定する。これから、下記式を用いて25℃における水平イオン伝導度Z(S/cm)を求める。
Z=1/膜厚(cm)/膜幅(cm)/単位長さ当たりの抵抗値(Ω
/cm)
【0054】
(ニ)α分散温度シフト
イオン交換膜を23℃、65%の恒温室で12時間以上放置したあと、膜幅5mmに切り出したサンプルを動的粘弾性測定装置(アイティー計測制御株式会社:DVA 200)にセットする。JIS K−7244に基づき、チャック間20mm、歪み0.1%、周波数35Hz、昇温速度5℃/分で引っ張りモードによる動的粘弾性測定を行い、tanδピークの中で、高温側のピーク温度をα分散温度TSとする。次に、イオン交換膜を膜幅5mmに切り出し、25℃、2Nの塩酸50mlに30分間以上浸漬し、イオン交換基の対イオンをプロトンにする。このイオン交換膜について、上記と同様な方法で動的粘弾性測定を行い、tanδピークの中で、高温側のピーク温度をα分散温度THとする。これらより、下記式を用いてα分散温度シフトΔTを求める。
ΔT=TS−TH
【0055】
(ホ)160℃における熱収縮率
イオン交換膜を23℃、65%の恒温室で12時間以上放置したあと、加熱前の膜面積を測定する。その後、160℃に加熱したオーブンの中で3分間放置したあとオーブンから取り出し、吸湿しないように注意しながら加熱後の膜面積を測定する。これらより、下記式を用いて160℃における熱収縮率Ha(%)を求める。
a=(1−(A2/A10.5)×100
1:加熱前の膜面積(cm2)、A2:加熱後の膜面積(cm2
【0056】
(ヘ)当量重量
イオン交換基の対イオンがプロトンのイオン交換膜およそ2〜10cm2を、25℃、飽和NaCl水溶液30mlに浸漬し、攪拌しながら30分間放置する。次いで、飽和NaCl水溶液中のプロトンをフェノールフタレインを指示薬として0.01N水酸化ナトリウム水溶液を用いて中和滴定する。中和後、得られたイオン交換基の対イオンがナトリウムイオンのイオン交換膜を純水ですすいだ後、真空乾燥して秤量する。中和に要した水酸化ナトリウムの物質量をM(mmol)、イオン交換基の対イオンがナトリウムイオンのイオン交換膜の重量をW(mg)とし、下記式より当量重量EW(g/eq)を求める。
EW=(W/M)−22
【0057】
(ト)塩置換率
イオン交換膜およそ2〜10cm2を、25℃、飽和NaCl水溶液30mlに浸漬し、攪拌しながら30分間放置する。次いで、飽和NaCl水溶液中のプロトンをフェノールフタレインを指示薬として0.01N水酸化ナトリウム水溶液を用いて中和滴定する。このとき、中和に要した水酸化ナトリウムの物質量をM2(mmol)とする。次に、中和滴定後のイオン交換膜を25℃、2Nの塩酸50mlに30分間以上浸漬し、イオン交換基の対イオンをプロトンにする。このイオン交換膜を、25℃、飽和NaCl水溶液30mlに浸漬し、攪拌しながら30分間放置した後、飽和NaCl水溶液中のプロトンをフェノールフタレインを指示薬として0.01N水酸化ナトリウム水溶液を用いて中和滴定する。このとき、中和に要した水酸化ナトリウムの物質量をM1(mmol)とする。これらより、下記式を用いて塩置換率S(%)を求める。
S=(M1−M2)/M1×100
【0058】
この他の方法としては、飽和NaCl水溶液に浸漬して溶出させたイオンを誘導結合型プラズマ(ICP)により定量する方法や、プロトン核磁気共鳴(H−NMR)分析を用いて、イオン交換膜と2Nの塩酸50mlに30分間以上浸漬させてイオン交換基の対イオンをプロトンにしたイオン交換膜のH含量を求めて定量する方法も用いることができる。
【0059】
(チ)メルトインデックス
JIS K−7210に基づき、温度270℃、荷重2.16kgで測定したフッ素系イオン交換樹脂前駆体のメルトインデックスをMI(g/10分)とする。
(リ)実延伸倍率
延伸前前駆体膜の膜厚Tbと換算突刺強度測定時の膜厚Taから、下記式を用いて実延伸倍率を求める。
【0060】
実延伸倍率=(Tb/Ta0.5
(ヌ)換算突刺強度
イオン交換膜を23℃・65%の恒温室で12時間以上放置した後、ハンディー圧縮試験器(カトーテック社製:KES−G5)を用いて針先端の曲率半径0.5mm、突刺速度2mm/secの条件で突刺試験を行い、最大突刺荷重を突刺強度(g)とした。また、突刺強度に25(μm)/膜厚(μm)を乗じることによって換算突刺強度(g/25μm)とする。
【0061】
【実施例1】
(イオン交換樹脂前駆体に対する低倍率延伸、Ca:塩置換率27%)
一般式CF2=CF−O(CF2CFXO)n−(CF2m−Wで表されるフッ化ビニル化合物と、一般式CF2=CFZで表されるフッ化オレフィンとの共重合体(但し、XはCF3 、nは1、mは2、ZはF、WはSO2 Fである。)からなるフッ素系イオン交換樹脂前駆体(EW:950、MI:20)を、Tダイ法を用いて成膜し、厚さ110μmの前駆体膜とした。この前駆体膜を、簡易式小型延伸機を用いて、延伸温度25℃で2.0×2.0倍に同時二軸延伸して配向膜とした。延伸後、簡易式小型延伸機に拘束したままの状態で、配向膜を95℃に加温した加水分解浴(DMSO:KOH:水=5:30:65)に15分間浸漬し、イオン交換基の対イオンがカリウムイオンのフッ素系イオン交換膜を得た。
【0062】
これを充分に水洗した後、65℃に加温した2Nの塩酸浴に15分間浸漬し、イオン交換基の対イオンがプロトンのフッ素系イオン交換膜を得た。これを充分に水洗した後、膜を乾燥した。この乾燥膜を拘束から外して、所定の濃度の塩化カルシウム水溶液に浸漬させ、イオン交換基の対イオンがカルシウムイオンで置換された塩置換率27%のフッ素系イオン交換膜を得た。これを充分に水洗した後、膜を乾燥し、厚さ28.8μmの乾燥膜を得た。得られたフッ素系イオン交換膜の諸特性試験を行った。その結果を表1に示す。
【0063】
【実施例2】
(イオン交換樹脂前駆体に対する低倍率延伸、Ca:塩置換率37%)
塩置換率を37%とした以外は実施例1と同様の方法を用いて厚さ25.3μmのフッ素系イオン交換膜を得た。得られた膜の諸特性の測定結果を表1に示す。
【0064】
【実施例3】
(イオン交換樹脂前駆体に対する低倍率延伸、K:塩置換率43%)
カチオンをカリウムイオン、塩置換率を43%とした以外は実施例1と同様の方法を用いて厚さ26.0μmのフッ素系イオン交換膜を得た。得られた膜の諸特性の測定結果を表1に示す。
【0065】
【実施例4】
(イオン交換樹脂前駆体に対する低倍率延伸、K:塩置換率59%)
カチオンをカリウムイオン、塩置換率を59%とした以外は実施例1と同様の方法を用いて厚さ23.2μmのフッ素系イオン交換膜を得た。得られた膜の諸特性の測定結果を表2に示す。
【0066】
【実施例5】
(イオン交換樹脂前駆体に対する低倍率延伸、Fe:塩置換率7%)
カチオンを鉄イオン、塩置換率を7%とした以外は実施例1と同様の方法を用いて厚さ25.0μmのフッ素系イオン交換膜を得た。得られた膜の諸特性の測定結果を表2に示す。
【0067】
【実施例6】
(イオン交換樹脂前駆体に対する高倍率延伸、Ca:塩置換率38%)
延伸条件を表2に示すように、塩置換率を38%とした以外は実施例1と同様の方法を用いて厚さ11.2μmのフッ素系イオン交換膜を得た。得られた膜の諸特性の測定結果を表2に示す。
【0068】
【実施例7】
(低EWイオン交換樹脂前駆体に対する低倍率延伸、Ca:塩置換率25%)
上記(原料ポリマー)一般式のフッ化ビニル化合物とフッ化オレフィンとの共重合体(但し、XはCF3、nは0、mは2、ZはF、WはSO2Fである。)からなるフッ素系イオン交換樹脂前駆体(EW:720、MI:3.6)を用い、延伸温度90℃、延伸倍率1.9×1.9倍、塩置換率を25%とした以外は実施例1と同様の方法を用いて厚さ32.2μmのフッ素系イオン交換膜を得た。得られた膜の諸特性の測定結果を表3に示す。
【0069】
【実施例8】
(イオン交換樹脂に対する低倍率延伸、Ca:塩置換率33%)
上記(原料ポリマー)一般式のフッ化ビニル化合物とフッ化オレフィンとの共重合体(但し、XはCF3、nは1、mは2、ZはF、WはSO2Fである。)からなるフッ素系イオン交換樹脂前駆体(EW:950、MI:20)をTダイ法を用いて成膜し、厚さ110μmの前駆体膜とした。この前駆体膜を95℃に加温した加水分解浴(DMSO:KOH:水=5:30:65)に1時間浸漬し、イオン交換基の対イオンがカリウムイオンのフッ素系イオン交換膜を得た。これを充分に水洗した後、65℃に加温した2Nの塩酸浴に16時間以上浸漬し、イオン交換基の対イオンがプロトンのフッ素系イオン交換膜を得た。これを充分に水洗した後、膜を乾燥した。この乾燥膜を簡易式小型延伸機を用いて、延伸温度125℃で2×2倍に同時二軸延伸し配向膜とした。延伸後、簡易式小型延伸機より取り外した後、配向膜を、所定の濃度の塩化カルシウム水溶液に浸漬させ、イオン交換基の対イオンがカルシウムイオンで置換された塩置換率33%のフッ素系イオン交換膜を得た。これを充分に水洗した後、膜を乾燥し、厚さ36.2μmの乾燥膜を得た。得られた膜の諸特性の測定結果を表3に示す。
【0070】
【比較例1】
(未配向膜)
実施例1と同様にフッ素系イオン交換樹脂前駆体(EW:950、MI:20)をTダイ法を用いて成膜し、未配向の状態で加水分解を行うことによって厚さ31.7μmのフッ素系イオン交換膜を得た。得られた膜の諸特性の測定結果を表4に示す。
【0071】
【比較例2】
(イオン交換樹脂前駆体に対する低倍率延伸、塩置換率0%)
塩置換処理を行わないこと以外は実施例1と同様の方法を用いて厚さ25.2μmのフッ素系イオン交換膜を得た。得られた膜の諸特性の測定結果を表4に示す。
【0072】
【比較例3】
(未配向膜、Ca:塩置換率35%)
実施例1と同様にフッ素系イオン交換樹脂前駆体(EW:950、MI:20)をTダイ法を用いて成膜し、未配向の状態で加水分解を行い、フッ素系イオン交換膜を得た。当該膜を、所定の濃度の塩化カルシウム水溶液に浸漬させ、イオン交換基の対イオンがカルシウムイオンで置換された塩置換率35%のフッ素系イオン交換膜を得た。これをよく水洗した後、膜を乾燥し、厚さ31.2μmの乾燥膜を得た。得られた膜の諸特性の測定結果を表4に示す。なお、表中の「−」は未測定を示す。
【0073】
【表1】
Figure 0004236449
【0074】
【表2】
Figure 0004236449
【0075】
【表3】
Figure 0004236449
【0076】
【表4】
Figure 0004236449
【0077】
【発明の効果】
本発明のフッ素系イオン交換膜は、高い強度と高い熱寸法安定性を同時に満足するものであり、産業上極めて有用である。

Claims (7)

  1. 膜厚が1〜500μm、面配向度(ΔP)が0.0005以上0.0036以下、25℃における水平イオン伝導度が0.05S/cm以上0.12S/ cm 以下、かつ、α分散温度シフト(ΔT)が1以上50以下の配向されたフッ素系イオン交換膜であり、
    該イオン交換膜のイオン交換基の対イオンが、プロトン並びにアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン及び遷移金属イオンから選ばれた少なくとも一種のカチオンであり、前記フッ素系イオン交換膜の塩置換率が5%以上60%以下であることを特徴とするフッ素系イオン交換膜。
  2. 160℃における熱収縮率が45%以下であることを特徴とする請求項1記載のフッ素系イオン交換膜。
  3. 配向されたフッ素系イオン交換膜のイオン交換基の対イオンの少なくとも一部を、プロトンに置換した後、更に、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン及び遷移金属イオンから選ばれた少なくとも一種のカチオンで置換することを特徴とする請求項1に記載のフッ素系イオン交換膜の製造方法。
  4. 請求項記載の配向されたフッ素系イオン交換膜が、下記を含む工程により製造されることを特徴とする請求項記載のフッ素系イオン交換膜の製造方法。
    (1) イオン交換膜前駆体を有するフッ素系イオン交換樹脂前駆体から、フッ素系イオン交換樹脂前駆体膜を成膜する工程、
    (2) フッ素系イオン交換樹脂前駆体膜を配向させる工程、及び
    (3) (2)で得られたフッ素系イオン交換樹脂前駆体膜を、配向状態を維持しながら拘束下でイオン交換樹脂前駆体を加水分解する工程。
  5. 請求項記載の配向されたフッ素系イオン交換膜が、下記を含む工程により製造されることを特徴とする請求項記載のフッ素系イオン交換膜の製造方法。
    (1) イオン交換膜前駆体を有するフッ素系イオン交換樹脂前駆体から、フッ素系イオン交換樹脂前駆体膜を成膜する工程、
    (2) フッ素系イオン交換樹脂前駆体膜を加水分解してフッ素系イオン交換樹脂膜を得る工程、及び
    (3) (2)で得られたフッ素系イオン交換樹脂膜を配向させる工程。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載のフッ素系イオン交換膜を備えることを特徴とする膜電極接合体。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載のフッ素系イオン交換膜を備える
    ことを特徴とする固体高分子電解質型燃料電池。
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