JP4236170B2 - ガソリン基材の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明の製造方法で用いる直鎖状炭化水素原料は、軽質直鎖状炭化水素は水素化分解の反応性が低いので、必要に応じてあらかじめ蒸留等により原料油の軽質留分をカットしたものが好ましく、具体的には初留点としては300℃以上、特には310℃以上、10%留出温度としては350℃以上、特には360℃以上の原料を使用することが好ましい。また、この直鎖状炭化水素原料の重質分は、同じく蒸留などにより重質過ぎる留分をカットすることが好ましく、終点としては600℃以下、特には590℃以下とすること、90%留出温度としては560℃以下、特には550℃以下とすることが好ましい。これらにより水素化分解の反応率、ガソリン留分収率を高くすることができる。
本発明の直鎖状炭化水素原料油の分解方法は特に限定されないが、分解触媒を用いた水素化分解が好ましく用いられる。水素化分解に用いる水素化分解触媒として、シリカアルミナを含む担体に水素化活性金属を担持したものが好ましく用いられる。例えば、特表2002−523231号公報あるいは特許第2901047号公報に開示されている触媒が、好ましく用いられる。なお、このような水素化分解においては、同時に、異性化反応も進行する。
本発明の製造方法で用いる分解は、いわゆる水素化分解がこのましく、反応温度が300〜400℃、特には320〜350℃、水素圧力が1〜20MPa、特には3〜9MPa、水素/オイル比が100〜2000NL/L、特には300〜1500NL/L、液空間速度(LHSV)が0.5〜5hr-1の反応条件で行うことが好ましい。
ライトガソリン留分は、炭素数6以下の成分を主成分とするもので、好ましくは、炭素数5と6の炭化水素が全体の80重量%以上、特には95重量%以上含有するものである。特に直鎖状炭化水素が20重量%以上含まれていることが好ましい。このような留分は、直鎖状炭化水素原料油を分解した生成油を、5%留出温度20〜40℃、95%留出温度60〜80℃の範囲で分留することで得ることができる。
ヘビーガソリン留分は、炭素数7以上の成分を主成分とするもので、好ましくは、炭素数7と8の炭化水素が全体の80重量%以上、特には95重量%以上含有するものである。特に直鎖状炭化水素が20重量%以上含まれていることが好ましい。このような留分は、直鎖状炭化水素原料油を分解した生成油を、5%留出温度80〜100℃、95%留出温度115〜135℃の範囲で分留することで得ることができる。
ライトガソリン留分の異性化に用いる触媒は、チタン、ジルコニウムおよびハフニウムから選ばれるIV族金属成分の1種を金属成分として含む担体と、この担体に硫酸分および白金族金属成分が担持された固体酸触媒、特には、ジルコニアを含む担体に硫酸分と白金を担持した「白金硫酸ジルコニア」が好ましく用いられる。
ヘビーガソリン留分の異性化に用いる触媒は、チタン、ジルコニウムおよびハフニウムから選ばれるIV族金属成分の1種とタングステンおよびモリブデンから選ばれるVI族金属成分の1種とを金属成分として含む担体に白金族金属成分が担持された固体酸触媒、特には、ジルコニアを含む担体にタングステンの酸化物成分と白金を担持した「白金タングステン酸ジルコニア」が好ましく用いられる。
本発明のガソリン基材の製造方法は、ライトガソリン留分とヘビーガソリン留分とをそれぞれ別に異性化し、その異性化した留分を混合するものである。通常は、分取したライトガソリン留分とヘビーガソリン留分から得られた異性化生成物を全量混合するが、異性化した留分の一部分を別の用途に用いてもよい。それぞれの異性化生成物の60重量%以上、特には90重量%以上の成分を混合することが好ましい。得られたガソリン基材は、内燃機関用燃料(いわゆるガソリン)の基材として用いられる。また、燃料電池車などの炭化水素を改質して水素を発生させる改質器の燃料の基材としても用いられる。
原料ワックスAは、フィッシャー・トロプシュ合成により製造されたパラフィンを分留することに得られたSMDS(Shell Middle Distillate Synthesis)製SX-50である。主な性状を表1に示す。
アルミナ粉1564gを混練機に入れ、3%濃度の硝酸水溶液1リットルを解膠剤として添加して30分間混練し、これに市販のモルデナイト(ゼオライト細孔長径7.0Å、SiO2/Al2O3のモル比=210)117.7gを添加し、さらに30分間混練した。この混練物を1.4mmφの孔のダイスを有する押出成形機で円柱状に成形し、130℃で一晩乾燥した。乾燥物をロータリーキルンを用いて600℃で1時間焼成し、触媒担体Cを得た。
10〜14メッシュに整粒した触媒Hを100cc量り取り、長さ1260cm、内径25cmの固定床流通式反応器に充填した。そののちに二硫化炭素を1容量%添加した脱硫軽油を反応器の温度を300℃に設定した状態で24時間流通させることにより触媒の予備硫化を行い、そののちに水素気流下で原料ワックスAを通油しフィツシャー・トロプシュ合成ワックスの分解反応を行った。
採取された生成油Bを、TBP蒸留装置により分留し、35〜126℃の沸点留分を有するガソリン留分Cを得た。上記の手順により得られたガソリン留分Cを、更にTBP蒸留装置を用い、69℃以下の沸点を有する留分(ライトガソリン留分D)と、70℃以上の沸点を有する留分(ヘビーガソリン留分E)に分留した。
市販の乾燥水酸化ジルコニウムを乾燥した平均粒径1.5μmの粉体を含水ジルコニア粉体として用いた。また、平均粒径10μmの市販の擬ベーマイト粉体を含水アルミナ粉体として用いた。この含水ジルコニア粉体1860gと含水アルミナ粉体1120gを加え、さらに硫酸アンモニウム575gを加え、攪拌羽根のついた混練機で水を加えながら45分間混練を行った。得られた混練物を直径1.6mmの円形開口を有する押出機より押し出して円柱状のペレットを成形し、110℃で乾燥して乾燥ペレットを得た。続いてこの乾燥ペレットの一部を675℃で1.5時間焼成し、担体Aを得た。
16〜24メッシュに整粒した触媒(触媒G)4ccを、長さ50cm、内径1cmの固定床流通式反応器中に充填し、前処理の後、ライトガソリン留分Dの異性化反応を行った。前処理は、温度:400℃、圧力:常圧、雰囲気:空気で1時間行った。その後、大気を導入することなく、反応器内を窒素雰囲気とし、さらに水素雰囲気としてから、異性化反応を開始した。
ヘビーガソリン異性化用固体超強酸触媒は以下の手順で調製した。
市販の乾燥水酸化ジルコニウムを乾燥した平均粒径1.5μmの粉体を含水ジルコニア粉体として用いた。また、平均粒径10μmの市販の擬ベーマイト粉体を含水アルミナ粉体として用いた。この含水ジルコニア粉体1544gと含水アルミナ粉体912gを加え、さらにメタタングステン酸アンモニウム808gを加え、攪拌羽根のついた混練機で水を加えながら45分間混練を行った。得られた混練物を直径1.6mmの円形開口を有する押出機より押し出して円柱状のペレットを成形し、110℃で乾燥して乾燥ペレットを得た。続いてこの乾燥ペレットの一部を800℃で1.5時間焼成し、担体Bを得た。
16〜24メッシュに整粒した触媒(触媒I)4ccを、長さ50cm、内径1cmの固定床流通式反応器中に充填し、前処理の後、ガソリン留分Eの異性化反応を行った。前処理は、温度:400℃、圧力:常圧、雰囲気:空気で1時間行った。その後、大気を導入することなく、反応器内を窒素雰囲気とし、さらに水素雰囲気としてから、異性化反応を開始した。
上記の手順で各々異性化処理を施したライトガソリンH、及びヘビーガソリンJを全て混合して異性化ガソリンKとし、RONを導出した。その結果を表5に示す。炭化水素分析組成及びRONは、ヒューレットパッカード社製PIONA装置を用いて、ガスクロマトグラフ法で測定した。
ガソリン留分CをライトガソリンDとヘビーガソリンEに分離することなく、実施例のヘビーガソリンEを異性化したのと全く同じ触媒、反応条件でガソリン留分Cの異性化反応を行った。通油開始200時間後の反応管出口より得られた異性化ガソリンLの組成をガスクロマトグラフィーにより分析した。分析結果である反応管出口組成を実施例に示した異性化ガソリンKのものとともに表6に示す。この時の液収率は、90.5重量%であった。
上記の手順で異性化処理を施したガソリン留分LのRONを導出した。その結果を表7に示す。炭化水素分析組成及びRONは、ヒューレットパッカード社製PIONA装置を用いて、ガスクロマトグラフ法で測定した。
Claims (2)
- 直鎖状炭化水素原料油を分解した生成物を分留し、炭素数6以下の成分を主成分とするライトガソリン留分と炭素数7以上の成分を主成分とするヘビーガソリン留分とを得、前記ライトガソリン留分をチタン、ジルコニウム及びハフニウムから選ばれるIV族金属成分の1種を金属成分として含む担体と、この担体に硫酸分及び白金族金属成分が担持された固体酸触媒で異性化し、前記ヘビーガソリン留分をチタン、ジルコニウムおよびハフニウムから選ばれるIV族金属成分の1種とタングステン及びモリブデンから選ばれるVI族金属成分の1種とを金属成分として含む担体に白金族金属成分が担持された固体酸触媒で異性化し、その後、両留分を混合してガソリン基材とするガソリン基材の製造方法。
- 請求項1に記載の直鎖状炭化水素原料油が、フィッシャー・トロプシュ合成ワックスである請求項1記載のガソリン基材の製造方法。
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