JP4233959B2 - 車両のアンチロックブレーキ制御装置 - Google Patents

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本発明は、車輪ブレーキのブレーキ液圧を制御する制御弁手段と、増圧時には前回の増圧時の増圧量に基づいて定めたデューティ比となるようにしてデューティ比可変のパルス増圧を実行するようにして前記制御弁手段の作動を制御する制御ユニットとを備える車両のアンチロックブレーキ制御装置に関する。
このような車両のアンチロックブレーキ制御装置は、たとえば特許文献1等により既に知られている。
特開平7−117648号公報
ところで、アンチロックブレーキ制御中の増圧時に、ブレーキ力を一旦緩めた後にブレーキ力を増大する側に再ブレーキ操作(かけ直し操作)が行われたり、走行路面の摩擦係数が低から高に変化したりすると、増圧量が大きくなってしまうことがある。しかるに上記従来のものによれば、前回の増圧時の増圧量に基づいて今回の増圧時におけるパルス増圧のデューティ比が定まるので、前回の増圧時の増圧量が上述のかけ直し操作や摩擦係数の変化に起因して大きなものとなっていると、今回の増圧時の増圧量が必要以上に大きくなり、車輪のスリップ率増大の原因となることがある。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、増圧量が大きくなり過ぎることを防止した車両のアンチロックブレーキ制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、車輪ブレーキのブレーキ液圧を制御する制御弁手段と、増圧時には前回の増圧時の増圧量に基づいて定めたデューティ比となるようにデューティ比可変のパルス増圧を実行するようにして前記制御弁手段の作動を制御する制御ユニットとを備える車両のアンチロックブレーキ制御装置において、前記制御ユニットは、減圧制御後の増圧時に、そのパルス増圧の最初の1回目のデューティ比を所定値以下に制限した後に、次の減圧制御まで続く増圧状態での増圧パルスのデューティ比を前回の増圧時の増圧量に基づいて定めることを特徴とする。
上記構成によれば、アンチロックブレーキ制御実行時において、減圧制御後の増圧時においてパルス増圧の最初の1回目のデューティ比が所定値以下に制限されるので、アンチロックブレーキ制御中の増圧時に、ブレーキ力を一旦緩めた後にブレーキ力を増大する側に再ブレーキ操作(かけ直し操作)が行われたり、走行路面の摩擦係数が低から高に変化したりすることによって、増圧量が大きくなってしまったときでも、その増圧後の減圧制御が終了した後の増圧時に増圧量が不所望に大きくなってしまうことを防止し、車輪のスリップ率が増大することを回避することができる。
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の一実施例に基づいて説明する。
図1および図2は本発明の一実施例を示すものであり、図1は自動二輪車用ブレーキ装置の液圧回路図、図2はアンチロックブレーキ制御時における制御モード、前輪の車輪速度、増圧パルスおよび前輪のブレーキ液圧の経時変化の一例を示す図である。
先ず図1において、スクータ型である自動二輪車には、乗員が右手で操作する右ブレーキレバー1の操作に応じて液圧を出力する第1マスタシリンダMAと、乗員が左手で操作する左ブレーキレバー2の操作に応じて液圧を出力する第2マスタシリンダMBとが搭載される。一方、非駆動輪である前輪には、一対のポッド3,4を有する前輪用車輪ブレーキBFが搭載されており、この前輪用車輪ブレーキBFには、第1マスタシリンダMAが制御弁手段6Aを介して接続されるとともに第2マスタシリンダMBが制御弁手段6B1および遅延弁5を介して接続される。また駆動輪である後輪に装着された後輪用車輪ブレーキBRには第2マスタシリンダMBが制御弁手段6B2を介して接続される。
制御弁手段6Aは、前輪用車輪ブレーキBFのポッド3および第1マスタシリンダMA間に設けられる常開型電磁弁7と、該常開型電磁弁7に並列に接続されるチェック弁8と、前輪用車輪ブレーキBFのポッド3およびリザーバ10A間に設けられる常閉型電磁弁9とで構成されるものであり、第1マスタシリンダMAおよび前輪用車輪ブレーキBFのポッド3間の連通・遮断と、前輪用車輪ブレーキBFのポッド3およびリザーバ10A間の連通・遮断とを切換え可能である。
リザーバ10Aには、該リザーバ10Aのブレーキ液を汲上げて第1マスタシリンダMA側に圧送する戻しポンプ11Aの吸入側が吸入弁12Aを介して接続されており、この戻しポンプ11Aの吐出側は、吐出弁13A、ダンパ14Aおよびオリフィス15Aを介して第1マスタシリンダMAに接続される。
制御弁手段6B1は、上記制御弁手段6Aと同様に常開型電磁弁7、チェック弁8および常閉型電磁弁9で構成されるものであり、前輪用車輪ブレーキBFのポッド4に接続される遅延弁5および第2マスタシリンダMB間の連通・遮断と、前記遅延弁5およびリザーバ10B間の連通・遮断とを切換え可能である。
また制御弁手段6B2は、上記制御弁手段6A,6B1と同様に常開型電磁弁7、チェック弁8および常閉型電磁弁9で構成されるものであり、後輪用車輪ブレーキBRおよび第2マスタシリンダMB間の連通・遮断と、後輪用車輪ブレーキBRおよびリザーバ10B間の連通・遮断とを切換え可能である。
リザーバ10Bには、該リザーバ10Bのブレーキ液を汲上げて第2マスタシリンダMB側に圧送する戻しポンプ11Bの吸入側が吸入弁12Bを介して接続されており、この戻しポンプ11Bの吐出側は、吐出弁13B、ダンパ14Bおよびオリフィス15Bを介して第2マスタシリンダMBに接続される。
前記両戻しポンプ11A,11Bには共通な単一のモータ16が連結されており、該モータ16により両戻しポンプ11A,11Bが駆動される。
各制御弁手段6A,6B1,6B2における常開型電磁弁7…および常閉型電磁弁9…の非通電・通電、ならびにモータ16の作動は、前輪および後輪の車輪速度を個別に検出する前輪用および後輪用車輪速度センサ19F,19Rの検出信号が入力される制御ユニット18により制御されるものであり、制御ユニット18は、前輪用および後輪用車輪速度センサ19F,19Rの検出値に基づいて車輪がロック状態に入りそうであると判断したときには、ブレーキ液圧の減圧、保持および増圧サイクルを繰返すように各制御弁手段6A,6B1,6B2の作動を制御することで、前輪用および後輪用車輪ブレーキBF,BRのアンチロックブレーキ制御を実行する。
而して上記アンチロックブレーキ制御時にブレーキ液圧を減圧するときには、制御ユニット18は、常開型電磁弁7…のうちロック状態に入りそうである車輪に対応する常開型電磁弁を通電により閉弁するとともに常閉型電磁弁9…のうち上記車輪に対応する常閉型電磁弁を通電により開弁する。そうすると、ブレーキ液圧の一部がリザーバ10Aあるいは10Bに逃がされて減圧されることになる。またブレーキ液圧を保持する際に制御ユニット18は、常開型電磁弁7…を通電により閉弁するとともに常閉型電磁弁9…を非通電により閉弁状態に保持する。さらにブレーキ液圧を増圧する際に、制御ユニット18は、常開型電磁弁7…を非通電により開弁するとともに常閉型電磁弁9…を非通電により閉弁状態に保持するパルス出力状態と、常開型電磁弁7…を通電により閉弁するとともに常閉型電磁弁9…を非通電により閉弁状態に保持するパルス非出力状態とを繰り返すパルス増圧を実行するものであり、しかも該パルス増圧時には、1周期でのパルス出力状態の時間を変化させることによってデューティ比を変化させることができる。
また制御ユニット18は、増圧時には前回の増圧時の増圧量に基づいて定めたデューティ比となるようにしてデューティ比可変のパルス増圧を実行するのであるが、減圧制御後のパルス増圧の最初の1回目のデューティ比は所定値以下に制限する。
一対の戻しポンプ11A,11Bを共通に駆動するモータ16は、上記アンチロックブレーキ制御の開始に応じて作動を開始するものであり、リザーバ10A,10Bに逃がされたブレーキ液が戻しポンプ11A,11Bから第1および第2マスタシリンダMA,MB側に戻される。したがってリザーバ10A,10Bに逃がした分だけ第1および第2マスタシリンダMA,MBにおけるブレーキレバー1,2の操作量が増加することはない。
さらに制御ユニット18は、前記各制御弁手段6A,6B1,6B2のいずれか1つによるアンチロックブレーキ制御の開始に伴ってモータ16の作動を開始する。
次にこの実施例の作用について説明すると、制御ユニット18は、そのアンチロックブレーキ制御における増圧時には前回の増圧時の増圧量に基づいて定めたデューティ比となるようにしてデューティ比可変のパルス増圧を実行するのであるが、減圧制御後のパルス増圧の最初の1回目のデューティ比は所定値以下に制限する。したがってアンチロックブレーキ制御中の増圧時に、ブレーキ力を一旦緩めた後にブレーキ力を増大する側への右ブレーキレバー1または左ブレーキレバー2の操作が行われたり、走行路面の摩擦係数が低から高に変化したりすることによって、増圧量が大きくなってしまったときでも、その増圧後の減圧制御が終了した後の増圧時に増圧量が不所望に大きくなってしまうことを防止し、車輪のスリップ率が増大することを回避することができる。
たとえばアンチロックブレーキ制御時に、制御モード、前輪の車輪速度、増圧パルスおよび前輪のブレーキ液圧が、図2で示すように変化した場合を想定すると、長く続く増圧状態に続く減圧制御を実行した後の時刻t1,t2,t3,t4で増圧制御を開始する際に、増圧パルスの時間は実線で示すように所定値以下に制限されることになり、それにより各時刻t1〜t4での前輪のブレーキ液圧の増圧幅はΔP1として比較的小さく抑えられ、それにより減圧制御が終了した後の増圧時に増圧量が不所望に大きくなってしまうことを防止し、車輪のスリップ率が増大することを回避することができる。
それに対し、減圧制御が終了した後の増圧時に図2の鎖線で示すように増圧パルスを制限しない場合には、前輪のブレーキ液圧の増圧量が鎖線で示すようにΔP2として大きくなってしまうものであり、このようなブレーキ液圧の増圧が生じると、車輪のスリップ率が増大する原因となってしまう。
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
たとえば上記実施例では自動二輪車に本発明を適用した場合について説明したが、本発明を四輪車両に適用することも可能である。
自動二輪車用ブレーキ装置の液圧回路図である。 アンチロックブレーキ制御時における制御モード、前輪の車輪速度、増圧パルスおよび前輪のブレーキ液圧の経時変化の一例を示す図である。
符号の説明
6A,6B1,6B2・・・制御弁手段
18・・・制御ユニット
BF,BR・・・車輪ブレーキ

Claims (1)

  1. 車輪ブレーキ(BF,BR)のブレーキ液圧を制御する制御弁手段(6A,6B1,6B2)と、増圧時には前回の増圧時の増圧量に基づいて定めたデューティ比となるようにデューティ比可変のパルス増圧を実行するようにして前記制御弁手段(6A,6B1,6B2)の作動を制御する制御ユニット(18)とを備える車両のアンチロックブレーキ制御装置において、前記制御ユニット(18)は、減圧制御後の増圧時に、そのパルス増圧の最初の1回目のデューティ比を所定値以下に制限した後に、次の減圧制御まで続く増圧状態での増圧パルスのデューティ比を前回の増圧時の増圧量に基づいて定めることを特徴とする車両のアンチロックブレーキ制御装置。
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