JP4233202B2 - 光学スキャナ装置の制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、角度検出装置を備え、回転軸に支持させたミラーを回転軸の回りに位置決めする光学スキャナ装置の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
レーザマーキングやプリント基板のレーザ孔開け加工等において使用される光学スキャナ装置は、回転軸に取り付けられたミラーを内蔵された電気モータで回転させ、ミラーの角度を変えることにより、レーザ発振器から出力されるレーザ光を被加工物の所定の位置に照射する。
【0003】
図6は、光学スキャナ装置における可動部の構成図である。ミラー11は回転軸12の一端に取り付けられている。回転軸12は軸受14と軸受15によって支持されており、回転軸12と一体のムービングコイル13で駆動トルクを受けて回転し、所定の角度に位置決めされる。以下、一体に回転するミラー11、回転軸12およびムービングコイル13をまとめて光学スキャナ1という。
【0004】
光学スキャナ1には、回転軸12の回転角度を検出するための図示を省略する角度検出センサ、例えば可変容量型センサ、が設けられている。可変容量型センサは、回転軸に取りつけられた誘電体の平板が二枚一組の固定極板の間で回転軸と共に回転するように構成されており、回転軸の角度は極板間の静電容量の変化として電気信号で検出される。このような可変容量型センサに関する技術が、例えば、米国特許第3517282号公報、米国特許第4864295号公報および特開平7ー55500号に開示されている。
【0005】
図7は、従来の光学スキャナ装置の制御ブロック図である。上位の制御装置から指令される角度目標値信号21に角度検出信号22を負帰還し、定常状態における偏差信号23の値を0にするため、偏差信号23を積分補償回路24で積分する。また、このサーボ機構の安定性を保つため、角度検出信号22を比例補償回路25と微分補償回路26に入力し、これらの回路の出力信号の和を積分補償回路24の出力信号から減算して制御入力信号27とする。モータ駆動回路28は光学スキャナ1に対し、制御入力信号27に比例したモータ駆動電流29を供給する。モータ駆動電流29はムービングコイル13を流れ、ムービングコイル13には電流値に比例した駆動トルクが発生する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
レーザ光によりプリント基板に孔開けをする場合、微細な回路パターン上に精密に加工するため、加工するレーザ光の位置決め誤差を約10μm以下にする必要がある。また、加工時間を短縮するため、一つの孔を開けてから次の孔加工位置までの移動の高速化が求められており、例えば、毎秒1000個の孔を開ける場合、孔間移動時間を平均1ms未満にする必要がある。
【0007】
ところで、レーザ光はエネルギ分布があり、面積的な広がりを持ってミラー11に入射する。このため、高品質の孔を加工するには、ミラー11は大きい(面積が広い)ことが望ましい。
【0008】
しかし、ミラー11を大きくすると、回転軸12のねじり振動と曲げ振動が大きくなり、ミラー位置決めの高応答化が阻害される。
【0009】
先ず、ねじり振動の影響について説明する。ミラー11が大きくなると、回転軸12回りの慣性モーメントも増大するため、回転軸12がねじりバネとなるねじり振動の固有振動数が低下する。ねじり振動一次モードは、固有振動数が最小のねじり振動であり、回転軸12の長手方向にねじれの節が一つ存在し、この節を挟む両側が互いに逆位相に角変位する。また、ねじり振動二次モードは固有振動数がその次に低く、回転軸12の長手方向に二つの節が存在し、節に挟まれた中央の部位に対して、両側の部位が逆位相に振動する。
【0010】
例えば、ミラーの近傍に角度検出センサを配置した場合、ねじり振動の節が角度検出センサとムービングコイル13との間に位置することにより、両者が逆位相になることがある。このような場合、上記従来のサーボ機構では、角度検出信号22のねじり振動数成分が正帰還となり、制御が不安定になる。ミラー位置決めの高応答化と低周波外乱の抑制特性の点で、制御帯域は広い方が望ましいが、固有振動数の低下により制御帯域が制限される。
【0011】
また、ねじり振動の節がセンサの位置に重なったり、接近している場合は、その振動モードを角度検出センサで観測することができないため、制御的に安定化させることができず、レーザ光の位置決め精度が低下した。
【0012】
次に、曲げ振動の影響について説明する。図6に示した光学スキャナの可動部は、回転軸12回りにバランスが取れていることが望ましい。しかし、例えばムービングコイル13の駆動トルクを受ける長手方向の二辺あるいは回転軸12の軸線に関するミラーの質量が左右で異なっていると、その質量差がアンバランスウェイトになる。そして、光学スキャナ1の動作に伴うアンバランスウェイトの慣性力により、回転軸12に軸受14と軸受15を支持点とする曲げ振動が発生する。この結果、ミラー11が鏡面に平行あるいは直角方向に振動する。一般に光学スキャナ1には、回転軸12の曲げ振動を検出するセンサや、回転軸12に曲げ振動方向の力を加えるアクチュエータが備えられていない。また、上記従来のサーボ機構によるフィードバック制御では、一旦発生した曲げ振動を減衰させることはできない。このため、レーザ光の位置決め精度を向上させることができなかった。
【0013】
本発明の目的は、上記従来技術における課題を解決し、ミラーが取り付けられている回転軸に発生するねじり振動や曲げ振動を低減し、ミラーの位置決め時間を短縮すると共に、レーザ光の位置決め精度をさらに向上させることができる光学スキャナ装置の制御装置を提供するにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、角度目標値と角度検出値に基づいて回転軸に支持させたミラーを前記回転軸の回りに位置決めする光学スキャナ装置の制御装置において、前記角度目標値と前記角度検出値の偏差の積分値から、前記回転軸に付加される駆動トルクに対する前記回転軸のねじり振動の1次からr次(ただし、rは正の整数。)のそれぞれの角速度の伝達関数の出力値を加算した値を減算して、前記ミラーを回転させるモータの電流を制御することを特徴とする。
【0015】
この場合、前記駆動トルクは、前記駆動トルクを発生するモータに供給された電流値で定まる値である。
【0016】
また、角度目標値と角度検出値に基づいて回転軸に支持させたミラーを前記回転軸の回りに位置決めする光学スキャナ装置の制御装置において、位置の時間関数を前記ミラーの回転角の目標軌道とすると共に、この目標軌道の信号に、この目標軌道に基づく目標速度の信号および目標加速度の信号を加えた信号から前記回転軸の曲げ振動の固有振動数成分を除去して前記角度目標値とすることを特徴とする。
【0017】
さらに、角度目標値と角度検出値に基づいて回転軸に支持させたミラーを前記回転軸の回りに位置決めする光学スキャナ装置の制御装置において、位置の時間関数を前記ミラーの回転角の目標軌道とすると共に、この目標軌道の信号に、この目標軌道に基づく目標速度の信号および目標加速度の信号を加えた信号から前記回転軸のねじり振動の固有振動数成分を除去して前記角度目標値とすることを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
始めに、本発明の原理をねじり振動について説明する。
ムービングコイル13が受ける駆動トルクからムービングコイル13の角変位までの周波数応答(自己コンプライアンス)は、式1の伝達関数G(s)で表される。
【0019】
【数1】
ここで、sはラプラス変換の複素変数、nはねじり振動第n次モード(ただし、nは正の整数)を表す添字の変数、ωnはねじり振動第n次モードの固有角振動数、ζnはねじり振動第n次モードの減衰係数、k0は剛体モードに関する定数、knはねじり振動第n次モードのモード定数である。
【0020】
ここで、特定のねじり振動モード(第r次モード)に着目すると、式1の第2項に含まれる第r次モードの伝達関数Gr(s)は、駆動トルクからムービングコイル13の位置における第r次モードの角変位までの伝達関数であり、式3に示すHr(s)は、駆動トルクからムービングコイル13の位置における第r次モードの角速度までの伝達関数である。
【0021】
【数2】
伝達関数Hr(s)は駆動トルクが作用する位置での応答(自己周波数応答)を表すので、モード定数krは正である。従って、伝達関数Hr(s)の値を制御入力信号27に負帰還すれば、第r次モードに対して制御的に減衰をかけて安定化することができる。
【0022】
ところで、モータ駆動回路28が電流制御方式の場合、通常、ムービングコイル13の駆動トルクはモータ駆動電流29に比例するから、モータ駆動電流29を測定することにより、ムービングコイル13の駆動トルクが分かる。そして、モータ駆動電流29の値に対応する電流検出信号は、例えば、モータ駆動電流29を抵抗値の小さな(0.1〜数Ω以下)電流検出抵抗に流し、この抵抗の端子間電圧を差動入力型減算回路に入力することにより、差動入力型減算回路の出力として得ることができる。
【0023】
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る光学スキャナ装置の制御ブロック図であり、図6と同じものまたは同一機能のものは同一符号を付して説明を省略する。角度目標値信号21に角度検出信号22を負帰還した偏差信号23を積分補償回路24で積分する。また、このサーボ系の安定性を保つため、角度検出信号22を比例補償回路25と後述する速度オブザーバ32に入力する。
【0024】
また、ムービングコイル13に供給された電流値に対応する大きさの電流検出信号31を、速度オブザーバ32と後述するねじり一次補償回路33およびねじり二次補償回路34に入力する。そして、比例補償回路25、速度オブザーバ32、ねじり一次補償回路33およびねじり二次補償回路34の出力信号の和を積分補償回路24の出力信号から減算して、制御入力信号27とする。
【0025】
次に、ねじりr次補償回路について説明する。
【0026】
ミラー11の周波数応答を実測することにより、r次の固有振動数と減衰係数を知ることができる。また、式3に同符号で比例した周波数応答特性を持つ二次フィルタ(以下、ねじりr次補償回路という。)を電子回路により構成することができる。
【0027】
図2は、このようなねじりr次補償回路の接続図であり、3個の演算増幅器333〜335と、6個の抵抗R01〜R06と、2個のコンデンサC01、C02とから構成されている。演算増幅器333〜335のプラス側入力端子は接地されている。そして、演算増幅器333のマイナス側入力端子は、抵抗R01の一方の端子と、コンデンサC01の一方の端子に接続されている。演算増幅器333の出力端子は、コンデンサC01の他方の端子と、抵抗R03の一方の端子に接続されている。抵抗R03の他方の端子は、抵抗R02、抵抗R04、コンデンサC02の一方の端子および演算増幅器334のマイナス側入力端子に接続されている。演算増幅器334の出力端子は、コンデンサC02の他方の端子と、抵抗R04の他方の端子および抵抗R05の一方の端子に接続されている。演算増幅器335のマイナス側入力端子は、抵抗R05の他方の端子と、抵抗R06の一方の端子に接続されている。演算増幅器335の出力端子は、抵抗R06の他方の端子と、抵抗R01の他方の端子および端子332に接続されている。そして、抵抗R02の他方の端子が端子331に接続されている。また、抵抗R02は可変抵抗である。
【0028】
この回路において、抵抗値R05と抵抗値R06を等しくすると、入力信号331から出力信号332までの伝達関数Gc(s)は式4に示すものとなる。
【0029】
【数3】
そして、抵抗値R01、R03、R04およびコンデンサの静電容量C01、C02を、式4の分母多項式の定数項が式3の分母多項式の定数項に等しく、かつ、式4の分母多項式の一次項の係数が式3の分母多項式の一次項の係数に等しくなるように設定すると、この回路の固有振動数ωrと減衰係数ζrが第r次振動モードに等しくなる。
【0030】
そこで、電流検出信号31を端子331に入力すると、端子332から出力される出力信号(以下、出力信号332という。)はムービングコイル13の位置におけるr次モードの角速度に同符号で比例する。従って、出力信号332を積分補償回路24の出力信号に負帰還することにより、r次の振動モードを安定化、すなわちr次の振動を小さく、することができる。
【0031】
この実施の形態では、抵抗値R02を、固有振動数と減衰係数とは独立に設定できるので、抵抗値R02を可変抵抗にすることにより、ねじりr次振動補償回路の出力信号の振幅を調整することができる。
【0032】
また、図1に示す制御ブロック図では、ねじり一次補償回路33とねじり二次補償回路34を設け、ねじり振動の一次モードと二次モードを安定化する場合を示したが、さらに複数の振動モードを補償する場合には、個々のモード毎に図2に示すねじり振動補償回路を設け、それらをねじり一次補償回路33、ねじり二次補償回路34等と並列に接続することにより、所望の次数のねじり振動を安定化することができる。
【0033】
次に、速度オブザーバ32について説明する。本発明では、従来の微分補償回路26に代えて、速度オブザーバ32を設け、式1の第一項に対応する剛体モードの角速度を推定する。そして、得られた推定信号を積分補償回路24の出力信号に負帰還することにより、図1のサーボ系を安定化する。
【0034】
図3は、速度オブザーバ32の接続図であり、2個の演算増幅器324、325と、6個の抵抗R11〜R16と、コンデンサC11とから構成されている。演算増幅器324、325のプラス側入力端子は接地されている。演算増幅器324のマイナス側入力端子は、抵抗R11〜抵抗R13の一方の端子およびコンデンサC11の一方の端子に接続されている。抵抗R11の他方は端子321と抵抗R14の一方の端子に、抵抗R12の他方は端子322に接続されている。演算増幅器324の出力端子は、コンデンサC11の他方の端子と、抵抗R13の他方の端子および抵抗R15の一方の端子に接続されている。演算増幅器325のマイナス側入力端子は、抵抗R14と抵抗R15の他方の端子および抵抗R16の一方の端子に接続されている。演算増幅器325の出力端子は、抵抗R16の他方の端子と端子323に接続されている。
【0035】
この回路において、抵抗値R11、R13、R14、R15の値を、式5の関係を満たすように設定すると、端子321、322に入力される信号(以下、入力信号331、332という。)と端子323から出力される信号(以下、出力信号333という。)との関係は、式6に示すものとなる。
【0036】
【数4】
ここで、Ei 1(s)は入力信号321のラプラス変換であり、角度検出信号22を符号反転した信号である。また、Ei 2(s)は入力信号322のラプラス変換であり、電流検出信号31である。Eo(s)は出力信号323のラプラス変換であり、角速度推定信号である。
【0037】
式6の第一項と第二項の一次伝達関数は、共通の分母多項式を持ち、定数項1/R13C11は各伝達関数の折点角周波数である。そして、式6の第一項に対応して、この折点角周波数より低い領域では主に角度検出信号の微分が角速度推定信号に、また、式6の第二項に対応して、この折点角周波数より高い領域では主に電流検出信号の積分が角速度推定信号になり、ムービングコイル13の位置における剛体モードの角速度を精度良く推定できる。
【0038】
なお、角度検出センサがムービングコイル13から離れた位置に配置される場合、ねじり振動数に近い周波数領域における角度検出信号は、ムービングコイル13の位置における角変位に対してずれてしまう。そこで、角度検出センサがムービングコイル13から離れた位置に配置される場合は、折点角周波数がねじり振動一次モードより低くなるように、抵抗値R13とコンデンサの静電容量C11の値を決めることが望ましい。このようにすると、角度検出信号のねじり振動数成分が正帰還される程度を低減できるため、サーボ帯域を従来のサーボ系より広くしても、サーボ系の安定性を確保することができる。
【0039】
次に、回転軸の曲げ振動によるミラー振動を抑制するための実施の形態について説明する。
【0040】
図4は、本発明に係る振動抑制要素のブロック図である。目標軌道411は、ミラー11の回転角の目標プロファイルである。
【0041】
ここで、目標軌道411を、式7に示すαMAXを最大加速度とし、同じ時間だけ最大加速と最大減速を行う一慣性体の最短時間軌道とする。なお、Lは、時刻0で回転を開始し、時刻TMで停止するまでのストロークである。この場合、加速度の時間関数α(t)、速度の時間関数v(t)および位置の時間関数x(t)は、それぞれ式8〜式10で示される。
【0042】
【数5】
そして、位置の時間関数x(t)を目標軌道411とすると共に、目標軌道411に微分要素412の出力と二階微分要素413の出力を加算してノッチフィルタ414に入力する。そして、ノッチフィルタの出力信号を角度目標値信号21とする。なお、ノッチフィルタの定数として、角振動数ωbは回転軸12の曲げ振動の固有角振動数に等しくする。また、分母多項式の定数ζbと分子多項式の定数ζbnは、ζb>ζbnとなるように設定する。
【0043】
ここで、目標軌道411の時間関数のラプラス変換をX(s)、また角度目標値信号21のラプラス変換をR(s)とすると、X(s)とR(s)との間には式11に示す関係があり、ノッチフィルタの分子多項式の零点により回転軸12の曲げ振動数成分が除去される。
【0044】
【数6】
したがって、角度目標値信号21を図1に示すフィードバック制御系に入力すると、位置決め動作に伴うミラーの振動を抑制することができる。
【0045】
また、ノッチフィルタは分母多項式の係数で決まる位相遅れを持つが、目標軌道411と微分要素412の出力と二階微分要素413の出力を加算することによりノッチフィルタの分母多項式が相殺される。この結果、目標軌道411から角度目標値信号21までの位相遅れが無くなり、目標軌道411に対するミラー11の位置決め動作の遅れを小さくできる。
【0046】
上記したように、一旦発生した曲げ振動をフィードバック制御で減衰させることは困難であるが、本発明では、フィードバック制御系への入力、すなわち角度目標値信号21をミラー振動抑制要素41で発生することにより、回転軸12の曲げ振動を予防するから、ミラー振動によるレーザ光の位置決め誤差を低減することができる。
【0047】
ところで、目標軌道の時間関数の一階微分である目標速度のラプラス変換をV(s)、また、目標軌道の時間関数の二階微分である目標加速度のラプラス変換をΑ(s)とすると、式11は式12に変形することができる。
【0048】
【数7】
図5は、本発明に係る振動抑制要素のブロック図であり、式12を実現するためのものである。同図において、ゲイン要素417と418はノッチフィルタ414の定数で決まる重み係数である。このように構成すると、目標軌道(式10)と目標速度(式9)と目標加速度(式8)とを重み付け加算することにより、図4に示したノッチフィルタ414を陽に実現しなくとも、図4に示したミラーの振動抑制要素と等価な角度目標値信号21を生成できる。
【0049】
ここで、図4および図5に示した振動抑制要素は、マイクロプロセッサにより容易に実現することができる。この場合、図1のフィードバック制御系がアナログ制御の場合には、ディジタルの角度目標値信号をDA変換器でアナログ信号に変換して用いることにより、本発明を適用することができる。
【0050】
なお、目標軌道、目標速度、目標加速度をその都度計算することに代えて、これらの時系列値を予め計算してメモリに記憶させておき、位置決め動作時に記憶したデータを順次読み出すようにしてもよい。この場合、各目標値をストロークLで正規化してメモリに記憶するようにすると、メモリ容量を小さくすることができる。
【0051】
また、ストロークLの大小によって動作時間TMを数通り設定するようにしてもよい。
【0052】
さらに、目標軌道は式10で表されるものに限られず、ノッチフィルタ414の分母多項式の次数に等しいかそれ以上の階数で微分可能な時間波形を目標軌道にすることができる。
【0053】
また、ノッチフィルタ414の角振動数ωbをスキャナ可動部のねじり振動の固有角振動数に等しくすると、上記ねじり振動補償回路で述べたものとは異なる構成で、ねじり振動を低減することができる。この場合、サーボ機構は、図1に示したサーボ機構に限らず、図7に示した従来のサーボ機構を採用してもよい。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、光学スキャナの可動部のねじり振動および曲げ振動を制御的に減衰させるようにしたから、サーボ帯域を広くしてもサーボ機構の安定性を確保でき、レーザ光を高速かつ高精度に位置決めすることができる。
【0055】
また、ミラー振動抑制要素は目標軌道から角度目標値入力の位相遅れが無いように構成されているので、レーザ光を高速に位置決めできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光学スキャナ装置の制御ブロック図である。
【図2】本発明に係るねじりr次補償回路の接続図である。
【図3】本発明に係る速度オブザーバの接続図である。
【図4】本発明に係る振動抑制要素のブロック図である。
【図5】本発明に係る振動抑制要素の他のブロック図である。
【図6】光学スキャナ装置における可動部の構成図である。
【図7】従来の光学スキャナ装置の制御ブロック図である。
【符号の説明】
21 角度目標値
22 角度検出値
29 モータ駆動電流
31 電流検出信号
33 ねじり振動補償回路(一次)
34 ねじり振動補償回路(二次)
41 ミラー振動抑制要素
Claims (4)
- 角度目標値と角度検出値に基づいて回転軸に支持させたミラーを前記回転軸の回りに位置決めする光学スキャナ装置の制御装置において、
前記角度目標値と前記角度検出値の偏差の積分値から、前記回転軸に付加される駆動トルクに対する前記回転軸のねじり振動の1次からr次(ただし、rは正の整数。)のそれぞれの角速度の伝達関数の出力値を加算した値を減算して、前記ミラーを回転させるモータの電流を制御することを特徴とする光学スキャナ装置の制御装置。 - 前記駆動トルクは、前記駆動トルクを発生するモータに供給された電流値で定まる値であることを特徴とする請求項1記載の光学スキャナ装置の制御装置。
- 角度目標値と角度検出値に基づいて回転軸に支持させたミラーを前記回転軸の回りに位置決めする光学スキャナ装置の制御装置において、
位置の時間関数を前記ミラーの回転角の目標軌道とすると共に、この目標軌道の信号に、この目標軌道に基づく目標速度の信号および目標加速度の信号を加えた信号から前記回転軸の曲げ振動の固有振動数成分を除去して前記角度目標値とすることを特徴とする光学スキャナ装置の制御装置。 - 角度目標値と角度検出値に基づいて回転軸に支持させたミラーを前記回転軸の回りに位置決めする光学スキャナ装置の制御装置において、
位置の時間関数を前記ミラーの回転角の目標軌道とすると共に、この目標軌道の信号に、この目標軌道に基づく目標速度の信号および目標加速度の信号を加えた信号から前記回転軸のねじり振動の固有振動数成分を除去して前記角度目標値とすることを特徴とする光学スキャナ装置の制御装置。
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