JP3986241B2 - 光学スキャナ装置の制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転軸に支持させたミラーを回転軸の回りに位置決めする光学スキャナ装置の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
レーザマーキングやプリント基板のレーザ孔開け加工等において使用される光学スキャナ装置は、回転軸に取り付けられたミラーを内蔵された電気モータで回転させ、ミラーの角度を変えることにより、レーザ発振器から出力されるレーザ光を被加工物の所定の位置に照射する。
【0003】
光学スキャナ装置には、ミラーの角度を制御するためのセンサがスキャナに内蔵されており、そのセンサ信号によるフィードバック制御(サーボ制御)が行われている。このようなセンサとして、米国特許第4864295号公報(以下、第1の従来技術という。)には、回転軸に取りつけられた誘電体の平板を二枚一組の固定極板の間で回転軸と共に回転させ、回転軸の角度を極板間の静電容量の変化として電気信号で検出するようにした可変容量型センサの技術が開示されている。また、特開平4ー127981号公報(以下、第2の従来技術という。)には、ミラーに角度測定用のレーザを照射し、その反射光をリニアセンサで検出することにより、ミラー角度をフィードバック制御する技術が開示されている。さらに、特開昭63−147138号公報(以下、第3の従来技術という。)には、ミラーを回転軸に固定する部品(ミラーマウントシャフト)に反射面を形成し、この反射面で反射された発光素子からの光を受光素子で検出することにより、ミラーを位置決めする技術が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
レーザ光によりプリント基板に孔開けをする場合、微細な回路パターン上に精密に加工するため、加工するレーザ光の位置決め誤差を約10μm以下にする必要がある。また、加工時間を短縮するため、一つの孔を開けてから次の孔加工位置までの移動の高速化が求められており、例えば、毎秒1000個の孔を開ける場合、孔間移動時間を平均1ms未満にする必要がある。
【0005】
ところで、レーザ光にはエネルギ分布があり、面積的な広がりを持ってミラーに入射する。このため、高品質の孔を加工するには、ミラーは大きい(面積が広い)ことが望ましい。
【0006】
しかし、ミラーを大きくすると、これに伴って慣性モーメントが増大し、可動部(主として回転軸)のねじり振動の固有振動数が低下する。位置決め動作を高速化するためにはサーボ帯域を広くすることが望ましいが、固有振動数の低下はサーボ帯域を制限する要因となる。以下、この理由について説明する。
【0007】
可動部は分布定数系であるから、ねじり振動について、無限個の固有振動モードを持つ。これらを固有振動数の低い順に並べ、k番目のモードをk次モードという。一般に、低次のモードがサーボ帯域に影響する。1次モードでは回転軸の長手方向にねじれの節が一つ存在し、この節をはさむ両側(ミラー側とモータ側)が互いに逆相で振動する。
【0008】
角度センサはミラーに近いほどフルクローズド・ループ制御に近づくので、精密位置決めには望ましいと考えられる。そこで、角度センサをミラー側に取り付けたとする。1次モードにおけるモータとセンサは逆相の相対運動になるから、角度検出信号に正帰還の周波数成分が含まれる。フィードバック制御では、角度検出信号を目標値入力に対して負帰還するから、1次共振近傍における正帰還の周波数成分により、制御が不安定になる。このため、サーボ帯域が制限され、応答性で目標仕様を満足できないことがあり得る。一方、角度センサをモータ側に配置した場合、1次モードにおけるモータとセンサは同相となる。この場合は、センサ・アクチュエータ・コロケーションに近くなるので、制御の安定性の点では有利である。しかし、センサ・ミラー間のねじり剛性が足りず、位置決め精度で目標仕様を満足できないことがあり得る。
【0009】
上記第1の従来技術では、角度センサの取付け位置として(1)モータとミラーの間に配置する場合と、(2)ミラーから遠い側の軸端付近に配置する場合が考えられる。前者(1)の場合、ねじれの節とセンサ位置が接近するので、ミラーの慣性モーメントに依って節の位置が異なり、モータ・センサ間が同相になる場合と逆相になる場合とがある。一方、後者(2)の場合は、モータ・センサ間は同相になると考えられる。また、上記第2と第3の従来技術の場合、ミラー角度をミラーまたはミラーに接近した位置で検出しているので、モータ・角度検出点間は逆相になると考えられる。しかし、上記従来技術のいずれにおいても、可動部のねじり振動がミラーの位置決め動作の応答性や精度に与える影響については考慮されていない。
【0010】
また、1次モードに限らず、2次以上のモードも、サーボ帯域を制限する要因となることがある。さらに、高速動作によるモータの発熱などから、ねじり振動数が変動することもある。
【0011】
本発明の目的は、上記従来技術における課題を解決し、ミラーの位置決め時間を短縮すると共に、レーザ光の位置決め精度をさらに向上させることができる光学スキャナ装置の制御装置を提供するにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は、角度目標値と角度検出値に基づいて回転軸に支持させたミラーの角度を位置決めする光学スキャナ装置の制御装置において、ミラーの角度を検出するミラー角度検出手段と、前記回転軸の角度を検出する回転軸角度検出手段と、前記回転軸を回転させるモータに供給される電流を検出する電流検出手段と、前記電流の値に基づいてねじり振動を安定化するねじり振動安定化補償手段とを設け、前記角度目標値とミラー角度検出値との偏差を積分補償した値に、回転軸角度検出値を用いて比例補償および微分補償をした値および前記ねじり振動安定化補償手段の値を負帰還して前記モータに供給する電流値を決定することを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係る光学スキャナ装置の制御装置のブロック図である。
光学スキャナ1の回転軸12は、軸受14と軸受15に回転自在に支持されている。回転軸12の中央部にはムービングコイル13が、また、端部にはミラー11が、それぞれ回転軸12と一体に固定されている。以下、ミラー11、回転軸12、ムービングコイル13をまとめて可動部という。また、光学スキャナ1には、回転軸12の角度を検出するための角度センサ16が配置されている。
【0014】
ミラー11には、加工用のレーザ光を反射する鏡面と、この鏡面の背面に配置された鏡面17aとを備えている。鏡面17aを挾み、発光素子17bと受光素子17cが配置されている。発光素子17bとして例えば半導体レーザ素子が、また、受光素子17cとして例えばPSD(Position Sensitive Device)素子を用いることができる。
【0015】
次に、信号の流れとサーボ機構についてを説明する。
受光素子17cから出力されたミラー角度検出信号17e(ミラー11の角度に比例した電圧信号である。)は、増幅器17dにより増幅されてミラー角度指令回路20から出力される角度目標値信号21に負帰還され、偏差信号23が作られる。ミラー11の角度を定常偏差無く角度目標値に追従させるため、偏差信号23を積分補償回路24で積分して1型サーボ系とする。また、このサーボ機構の安定性を確保するため、角度検出信号22を比例補償回路25と、微分補償回路である角速度オブザーバ回路32に入力し、これらの回路の出力信号の和と、ねじり振動安定化補償回路33からの出力信号33aを積分補償回路24の出力信号から減算して制御入力信号27とする。モータ駆動回路28は光学スキャナ1に対し、制御入力信号27に比例したモータ駆動電流29を供給する。モータ駆動電流29はムービングコイル13を流れ、ムービングコイル13には電流値に比例した駆動トルクが発生する。
【0016】
ここで、モータ駆動回路28が電流制御方式の場合、通常、ムービングコイル13の駆動トルクはモータ電流29に比例するから、モータ電流29を測定することにより、ムービングコイル13の駆動トルクが分かる。なお、モータ電流29の値に比例する電流検出信号31は、例えば、モータ電流29を抵抗値の小さな(0.1〜数Ω以下)電流検出抵抗に流し、この抵抗の端子間電圧を差動入力型減算回路に入力することにより、差動入力型減算回路の出力として得ることができる。そして、モータ電流29の値に比例した電流検出信号31を、角速度オブザーバ回路32とねじり振動安定化補償回路33に入力する。
【0017】
角度センサ16により検出された回転軸12の位置は、センサ角度検出回路35から角度検出信号22として出力される。そして、角度検出信号22を比例補償回路25と角速度オブザーバ回路32に入力する。
【0018】
次に、ねじり振動安定化補償回路33の構成を説明する。
ムービングコイル13が受ける駆動トルクからムービングコイル13の角変位までの周波数応答(自己コンプライアンス)は、式1の伝達関数G(s)で表される。
【0019】
【数1】
Figure 0003986241
ここで、sはラプラス変換の複素変数、nはねじり振動第n次モード(ただし、nは正の整数)を表す添字、ωnはねじり振動第n次モードの固有角振動数、ζnはねじり振動第n次モードの減衰係数、k0は剛体モードに関する定数、knはねじり振動第n次モードのモード定数である。
【0020】
いま、安定化補償あるいは減衰を必要とするモードが第r次モードであるとする。式1の第2項に含まれる第r次モードの伝達関数Gr(s)は、このモードの角変位までの伝達関数であり、式3に示すHr(s)は、このモードの角速度までの伝達関数である。
【0021】
【数2】
Figure 0003986241
伝達関数Hr(s)は駆動トルクが作用する位置における応答(自己周波数応答)を表すので、モード定数krは正である(センサ・アクチュエータ・コロケーションの構造系の伝達関数では、総てのモード定数が正になる。)。従って、伝達関数Hr(s)の値(角速度)を制御入力信号に負帰還すれば、第r次モードに対して制御的に減衰をかけて安定化することができる。
【0022】
このモードの固有振動数と、減衰係数はボード線図から実測できるので、式3に同符号で比例した周波数応答特性を持つ二次フィルタが電子回路で構成できる。この二次フィルタを、第r次モードのねじり振動安定化補償回路33とする。
【0023】
図2は、本発明に係るねじりr次安定化補償回路の接続図であり、3個の演算増幅器333〜335と、6個の抵抗R01〜R06と、2個のコンデンサC01、C02とから構成されている。演算増幅器333〜335のプラス側入力端子は接地されている。そして、演算増幅器333のマイナス側入力端子は、抵抗R01の一方の端子と、コンデンサC01の一方の端子に接続されている。演算増幅器333の出力端子は、コンデンサC01の他方の端子と、抵抗R03の一方の端子に接続されている。抵抗R03の他方の端子は、抵抗R02、抵抗R04、コンデンサC02の一方の端子および演算増幅器334のマイナス側入力端子に接続されている。演算増幅器334の出力端子は、コンデンサC02の他方の端子と、抵抗R04の他方の端子および抵抗R05の一方の端子に接続されている。演算増幅器335のマイナス側入力端子は、抵抗R05の他方の端子と、抵抗R06の一方の端子に接続されている。演算増幅器335の出力端子は、抵抗R06の他方の端子と、抵抗R01の他方の端子および端子332に接続されている。そして、抵抗R02の他方の端子が端子331に接続されている。また、抵抗R02は可変抵抗である。
【0024】
この回路において、抵抗値R05と抵抗値R06を等しくすると、入力信号331から出力信号332までの伝達関数Gc(s)は式4に示すものとなる。
【0025】
【数3】
Figure 0003986241
そして、抵抗値R01、R03、R04およびコンデンサの静電容量C01、C02を、式4の分母多項式の定数項が式3の分母多項式の定数項に等しく、かつ、式4の分母多項式の一次項の係数が式3の分母多項式の一次項の係数に等しくなるように設定すると、この回路の固有振動数ωrと減衰係数ζrが第r次振動モードに等しくなる。
【0026】
そこで、電流検出信号31を端子331に入力すると、端子33aから出力される出力信号(以下、出力信号33という。)はムービングコイル13の位置におけるr次モードの角速度に同符号で比例する。従って、出力信号33aを積分補償回路24の出力信号に負帰還することにより、r次の振動モードを安定化、すなわちr次の振動を小さく、することができる。
【0027】
この実施の形態では、抵抗値R02を、固有振動数と減衰係数とは独立に設定できるので、抵抗値R02を可変抵抗にすることにより、ねじりr次振動補償回路の出力信号の振幅を調整することができる。
【0028】
また、図1に示す制御ブロック図では、一次のねじり振動安定化補償回路33を設け、ねじり振動の一次モードを安定化する場合を示したが、さらに複数の振動モードを補償する場合には、個々のモード毎に図2に示すねじり振動安定化補償回路を設け、それらを一次のねじり振動安定化補償回路33と並列に接続することにより、所望の次数のねじり振動を安定化することができる。
【0029】
次に、光学スキャナ装置の具体例に基づいて、可動部のねじり振動特性とサーボ機構の安定性について説明する。
図3は、モータ電流29から角度検出信号22までの周波数応答に対するゲインと位相の関係を示すボード線図であり、上段はゲイン、下段は位相である。また、図4は、モータ電流29からミラー角度検出信号17eまでの周波数応答に対するゲインと位相の関係を示すボード線図であり、上段はゲイン、下段は位相である。
【0030】
図3と図4とを比較すると、3.8kHzのねじり1次共振、10kHzのねじり2次共振、11kHzのねじり3次共振の周波数は一致している。また、図3では3kHzに反共振があるのに対し、図4ではこの周波数近傍に反共振がない。
【0031】
構造系の振動学の知見として、ボード線図における共振と反共振の並び方から各モードの同相性を知ることができる。図3の場合、剛体モード、1次共振、2次共振の間に一つずつの反共振が存在し、2次共振と3次共振の間には反共振がない。したがって、このスキャナ装置の場合は、ムービングコイル13と内蔵角度センサ16との間では、1次モードと2次モードが同相であり、3次モードは逆相である。
【0032】
これに対し、図4の場合、剛体モードと1次共振の間に反共振がなく、1次共振と2次共振の間に一つの反共振が存在し、2次共振と3次共振の間には反共振がない。したがって、このスキャナ装置の場合、ムービングコイル13とミラー11の間は、1次モードと2次モードはいずれも逆相であり、3次モードは同相である。
【0033】
そして、このような特性を持つスキャナ装置に図1に示したサーボ機構を適用すること、すなわち、比例補償回路25と角速度オブザーバ回路26にミラー角度検出信号17eを用いず、低次モード(1次モードと2次モード)で同相となる角度検出信号22を用いて比例補償と微分補償を行うことにより、サーボ系の安定性を確保することができる。
【0034】
この場合でも3次モードは逆相であるから、サーボ帯域を広くするにはこのモードに対して安定化補償を施す必要がある。また、同相のモードはサーボ系を不安定にするまでには至らなくとも、残留振動を起こして位置決め精度を低下する要因になり得るから、振動を速やかに減衰させる補償が必要であるが、この補償を電流検出信号31を入力とするねじり振動安定化補償回路33で行なうことができる。
【0035】
図5は、ミラーの動作開始から停止までの経過時間と位置偏差との関係を、ずれ量=0の近傍を拡大して示す図であり、(a)は本発明に係るねじり振動安定化補償回路33を1次〜3次モードに設けた場合を、(b)は従来技術による積分補償、比例補償、微分補償(I−PD補償)だけを行った場合を示している。
【0036】
ねじり振動安定化補償回路33を設けることにより、本発明の場合には、安定な過渡応答となり、レーザ照射位置換算で目標位置の10μm手前に約0.8msで到達している。一方、従来技術の場合は、3次モード(11kHz)が逆相のため不安定となり、この共振周波数で発振している。
【0037】
また本発明では、ミラー角度を角度目標値信号21に対してフィードバックし、偏差信号23の積分補償をしているので、ミラー整定後のレーザ照射位置を目標位置に対して偏差=0にできる。
【0038】
ここで、図1のサーボ機構における一巡伝達関数について、ナイキストの安定判別法で安定性の大きさを評価する。
【0039】
図6は、固有振動数の誤差が全くないとしてねじり振動安定化補償回路を設計した場合の、1次モードの固有振動数(3.8kHz)を含む周波数範囲(1kHz〜7kHz)のナイキスト軌跡であり、実線は1次モードに対する安定化補償を適用した場合、破線は、従来の1次モードに対する安定化補償がない場合である。
【0040】
安定化補償のない場合の軌跡は▲1▼から▲2▼へと進み、その後、このグラフの枠から外れて時計回りの円状の軌跡を描き、枠内に戻って▲3▼に至る。この円状の軌跡は1次共振近傍でゲインが高くなっていることを意味する。また、この軌跡は座標(−1,0)の安定判別点に接近しており、位相余裕が非常に小さい。一方、安定化補償を適用した場合は原点から軌跡までの距離が小さくなり、安定判別点に対する位相余裕、ゲイン余裕とも大きくなる。したがって、固有振動数の誤差がない補償回路は、共振ピークを小さく抑えることでサーボ系の安定性を増す効果があることが分かる。
【0041】
ところで、ねじり振動安定化補償回路33を設計するには、補償しようとする振動モードの固有振動数を計測する必要がある。補償しようとする振動モードの固有振動数は、図3に示すような周波数応答を測定することにより知ることができる。しかし、その計測精度は用いる測定器(例えばサーボアナライザ)の性能や分解能に依存するので、必ず誤差が含まれる。また、スキャナの固有振動数自体も常に一定ではなく、モータの発熱などの影響で変動することが考えられる。これらの誤差や変動があっても、制御の安定性を保つことが実用的である。
【0042】
以下、ねじり振動の周波数の誤差に対してロバスト安定なサーボ機構の構成を説明する。
【0043】
図7は、ねじり振動安定化補償回路の固有振動数を実際の1次モードの固有振動数3.8kHzより5%(190Hz)低い3.61kHzとしてねじり振動安定化補償回路を設計した場合の、1次モードの固有振動数(3.8kHz)を含む周波数範囲(1kHz〜7kHz)のナイキスト軌跡であり、実線は1次モードに対する安定化補償を適用した場合、破線は、従来の1次モードに対する安定化補償がない場合(図6と同じ軌跡)である。
【0044】
安定化補償を適用した場合の軌跡は、▲1▼から▲4▼へと進み、その後、このグラフの枠から外れて時計回りの円状の軌跡を描き、枠内に戻って▲5▼に至る。原点から軌跡までの距離は図6の場合ほど小さくはないが、安定化補償の無い場合と比べて1次共振近傍の位相を進ませて、安定判別点に対する位相余裕を大きくしている。この結果、サーボ系の安定性が増大していることが分かる。
【0045】
このようにサーボ系の安定性が増大する理由は以下の通りである。この補償回路は固有振動数近傍において、固有振動数より低周波側では最大で約90度まで位相を遅らせ、高周波側では最大で約90度まで位相を進ませる。このため、実際のモードの固有振動数が補償回路の固有振動数より相対的に高い場合、このモードの共振点近傍でナイキスト軌跡の位相が進むことになる。
【0046】
このようにねじり振動安定化補償回路33は、共振に対する位相補償器として利用することができる。そして、補償回路の固有振動数を実測した値に対してずらして設計することにより、振動数の誤差や変動に対してロバスト安定なサーボ機構を実現することができる。
【0047】
なお、この例では、1次モードが同相であるため、補償回路の固有振動数を低周波側にずらして位相進みとなるように設定したが、逆相のモード(例えば3次モード)を安定化する場合は回路の固有振動数を高周波側にずらし、位相遅れとなるように設定すればよい。
【0048】
また、振動数のずれの正負は、位相余裕が増大するようにモードの同相、逆相に応じて決める。さらにずれの大きさは、想定される最大の誤差や変動の場合に実際の固有振動数と補償回路の固有振動数の大小が逆転しないように決める必要がある。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、加工用のレーザ光を反射するミラーの角度を測定し、角度目標値信号に偏差なく追従させるサーボ制御を行うと共に、可動部に生じるねじり振動を安定化する補償回路を備えているので、サーボ機構の帯域周波数を広くし、高速、かつ安定なミラーの位置決めできる。また、ねじり振動の特性を考慮してねじり振動安定化補償回路を設計することにより、ねじり振動数に変動や誤差が発生しても、サーボ機構の安定性を保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光学スキャナ装置の制御装置のブロック図である。
【図2】本発明に係るねじりr次安定化補償回路の接続図である。
【図3】モータ電流29から角度検出信号22までの周波数応答に対するゲインと位相の関係を示すボード線図の例である。
【図4】モータ電流29からミラー角度検出信号17eまでの周波数応答に対するゲインと位相の関係を示すボード線図である。
【図5】ミラーの動作開始から停止までの経過時間と位置偏差との関係を示す図である。
【図6】固有振動数の誤差が全くないとした場合のナイキスト軌跡である。
【図7】固有振動数を実際の1次モードの固有振動数に対してずらせた場合のナイキスト軌跡である。
【符号の説明】
12 回転軸
13 ムービングコイル
16 角度センサ
17a 鏡面
17b 発光素子
17c 受光素子
17eミラー角度検出信号
20 ミラー角度指令回路
21 角度目標値信号
22 角度検出信号
23 偏差信号
24 積分補償回路
25 比例補償回路
27 制御入力信号
28 モータ駆動回路
29 モータ駆動電流
32 角速度オブザーバ回路
33 ねじり振動安定化補償回路

Claims (3)

  1. 角度目標値と角度検出値に基づいて回転軸に支持させたミラーの角度を位置決めする光学スキャナ装置の制御装置において、
    ミラーの角度を検出するミラー角度検出手段と、
    前記回転軸の角度を検出する回転軸角度検出手段と、
    前記回転軸を回転させるモータに供給される電流を検出する電流検出手段と、
    前記電流の値に基づいてねじり振動を安定化するねじり振動安定化補償手段とを設け、前記角度目標値とミラー角度検出値との偏差を積分補償した値に、回転軸角度検出値を用いて比例補償および微分補償をした値および前記ねじり振動安定化補償手段の値を負帰還して前記モータに供給する電流値を決定することを特徴とする光学スキャナ装置の制御装置。
  2. 前記ミラー角度検出手段は、ミラー角度測定用の発光素子と、
    発光素子の光を反射する測定用鏡面と、前記鏡面に反射された前記発光素子からの反射光を受ける受光素子とからなることを特徴とする請求項1に記載の光学スキャナ装置の制御装置。
  3. 前記ねじり振動安定化補償手段は、ねじり振動数の近傍において、一巡伝達関数の位相余裕を増大させる特性を有することを特徴とする請求項1に記載の光学スキャナ装置の制御装置。
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