JP4232889B2 - 真空溶解鋳造装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は希土類元素含有合金類の真空溶解鋳造装置に関するものであり、更に詳しくは、溶解炉を備えた溶解室と、鋳造装置を備えた鋳造室と、鋳造品の回収容器を備えた回収室とが分離され遮断機構を介して接続された真空溶解鋳造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えばサマリウム・コバルト合金やネオジウム・鉄・ホウ素合金に代表される希土類元素含有合金類の真空溶解鋳造装置に付いては従来から提案されているものがある。その一例は、真空室内に傾動可能な溶解炉とタンディッシュと冷却ロールと鋳造品の回収トレイを設けたものであり、溶解炉と冷却ロールは固定的に設置され、タンディッシュは真空室内で側方へ移動可能で、回収トレイは真空室から外部へ取り出し可能とされているものである(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
そのほか、溶解鋳造室と、その両側に隣接して準備室を設け、溶解鋳造室の背面側の開口を一枚で開閉し得る大きさの二枚の扉を開口の対向する側縁にそれぞれにヒンジを介して取り付け、それぞれの扉の内面側に溶解炉を傾動可能に支持させると共に、タンディッシュと冷却ロールを備え、大気下と準備室と溶解鋳造室との間を移動可能とした移動台車を複数台用意しておき、溶解炉のメンテナンス作業、タンディッシュおよび冷却ロールのメンテナンス作業があっても鋳造が中断されることなく連続的な出湯を可能としたものがある(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
上記のほか、対象金属が希土類元素含有合金類ではなく鋼に関するものであるが、真空下に誘導溶解した溶鋼を鋳込む造塊装置に付いて、一つの真空チャンバー内に溶解炉と鋳型を備えたものは容積の大きい真空チャンバーを真空引きすることになるので十分な真空度が得られないとし、溶解炉を有する溶解室と鋳型を有する鋳込室とが遮断機構を備えた通路で接続することによって溶解室の容積を小さくして到達真空度を高めると共に、その通路には溶解室と鋳込室との間を往復するラウンダーを配設しておき、鋳込時には遮断機構を開としラウンダーを溶解炉側へ移動して溶解炉内の溶鋼をラウンダーの先端部へ出湯し、後端部の流出ノズルからレードル、溶鋼注入管、鋳込定盤を経て鋳型内へ流入するようにしたものがある(例えば、特許文献3参照。)。
【0005】
[特許文献1]
特開2000−79449号公報(第2−3頁、第2図)
[特許文献2]
特開2001−138036号公報(第5頁、第5図)
[特許文献3]
特開平11−239847号公報(第2−3頁、第1図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に例示されている真空溶解鋳造装置は、1回の鋳造毎に真空室を大気開放して回収トレイを取り出し、要すれば溶解炉、冷却ロール、タンディッシュのクリーニング、補修、または交換を行った後、真空室を再び所定の真空度にして溶解、鋳造を再開することになるが、真空室が大気下にある時間、および真空排気を開始して所定の真空度に達する迄は鋳造が中断されるので、稼動率の低い装置となっている。また、溶解炉が大気に触れるので、内壁への付着金属が酸化されて滓を生じ易いという問題もある。
【0007】
特許文献2の真空溶解鋳造装置は、特許文献1の上記問題点を持たないものであるが、稼動率を高めるために溶解室の両側に準備室を有するものとし、それに見合って二基の溶解炉を交互に使用するものとしたほか、タンディッシュと冷却ロールを備えた移動台車を複数台用意していることにより装置全体が大型になっていること、また、移動台車が大気下、準備室、溶解鋳造室の間を移動するものとしたこと等により、生産性、作業性には優れているが、装置コストはやや過大なものとなっている。
【0008】
特許文献3の造塊装置は鋳型内の溶鋼が放冷されるもので冷却に時間を要するものであるほか、鋳型内に形成された鋼塊を外部へ取り出すには鋳込室を大気開放することが必要であるため、その間は鋳込みができず、それに伴って溶解室での溶解プロセスも中断されるので、稼動率の低い装置となっている。
【0009】
本発明は上述の問題に鑑みてなされ、真空溶解鋳造装置を小型化して装置コストを低下させると共に、小型化される溶解炉、鋳造装置のアイドル時間を短縮し、溶解・鋳造のサイクル回数を増やして稼動率を向上させることによりコスト・パフォーマンスに優れた真空溶解鋳造装置を提供すること、更には合金類の溶解、溶湯の鋳造、鋳造品の回収の各プロセスを複数の中から選択して組み合わせることを可能とし、多様な目的、要請に対応することが可能な真空溶解鋳造装置を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は請求項1または請求項2の構成によって解決されるが、その解決手段を説明すれば次に示す如くである。
【0011】
請求項1の真空溶解鋳造装置は、真空下または不活性ガス雰囲気下に希土類元素含有合金類を溶解する溶解炉と、合金類の溶湯を冷却し鋳造する鋳造装置とを備えた真空溶解鋳造装置において、溶解炉を備えた溶解室と、鋳造装置を備えた鋳造室とからなり、溶解室と鋳造室とは何れの真空度が高い場合にも真空シールが可能な第1遮断機構または第1遮断機構が設けられた第1密閉路を介して接続されている装置である。
【0012】
このような真空溶解鋳造装置は、溶解室、鋳造室をそれぞれ小容積化することができ、真空排気に要する時間、クリーニングに要する時間が短縮されて稼動率が向上するほか、溶解室は原料インゴットの投入時および溶解炉のメンテナンス作業時を除いて常に真空状態に維持でき、溶湯が大気に接触して酸化されるようなトラブルを生じない。更には、溶解室の圧力が鋳造室の圧力より高い場合にも鋳造室は所定の真空度は維持されることから、溶解室での上記原料インゴットの投入および溶解炉のメンテナンス作業を鋳造室のプロセスの進行状況とは無関係に実施することが可能であり、時間待ちのような無駄なアイドル時間を生じない。また逆に、溶解室の圧力が鋳造室の圧力より低い場合にも溶解室は所定の真空度が維持されることから、溶解室での原料インゴットの溶解は鋳造室のプロセスの進行状況とは無関係に実施することができ、時間待ちの如き無駄なアイドル時間を生じない。得られる鋳造品は鋳造室から外部へ取り出される。
【0013】
請求項2の真空溶解鋳造装置は、真空下または不活性ガス雰囲気下に希土類元素含有合金類を溶解する溶解炉と、合金類の溶湯を冷却し鋳造する鋳造装置と、形成される鋳造品を収容し搬出する回収容器とを備えた真空溶解鋳造装置において、溶解炉を備えた溶解室と、鋳造装置を備えた鋳造室と、回収容器を備えた回収室とからなり、溶解室と鋳造室との何れの真空度が高い場合にも真空シールが可能な第1遮断機構または第1遮断機構が設けられた第1密閉路を介して接続されており、鋳造室と回収室とは第2遮断機構または第2遮断機構が設けられた第2密閉路を介して接続されている装置である。
【0014】
このような真空溶解鋳造装置は、溶解室、鋳造室、回収室をそれぞれ小容積化することができ、真空排気に要する時間、クリーニングに要する時間が短縮されて稼動率が向上するほか、溶解室は原料インゴットの投入時および溶解炉のメンテナンス作業時を除いて常に真空状態に維持でき、溶湯が大気に接触して酸化されるようなトラブルを生じない。更には、溶解室の圧力が鋳造室の圧力より高い場合にも鋳造室は所定の真空度は維持されることから、溶解室での上記原料インゴットの投入および溶解炉のメンテナンス作業を鋳造室のプロセスの進行状況とは無関係に実施することが可能であり、時間待ちのような無駄なアイドル時間を生じない。また逆に、溶解室の圧力が鋳造室の圧力より低い場合にも溶解室は所定の真空度が維持されることから、溶解室での原料インゴットの溶解は鋳造室のプロセスの進行状況とは無関係に実施することができ、時間待ちの如き無駄なアイドル時間を生じない。得られる鋳造品は回収容器に収容されて回収室から外部へ取り出される。
【0015】
請求項1または請求項2に従属する請求項3の真空溶解鋳造装置は、第1遮断機構が第1仕切弁であり、鋳造時には開とされる第1仕切弁または第1仕切弁が設けられた第1密閉路を挿通されて、溶解炉から鋳造装置へ溶湯を流す樋状ラウンダーが配置されている装置である。
このような真空溶解鋳造装置は、鋳造時には離隔して存在する溶解炉から鋳造装置へ樋状ラウンダーを介して溶湯を流すことができ、出湯、鋳造時以外は第1仕切弁を閉として、溶解室と鋳造室との真空度を独立して制御できることから、続く操作を溶解室、鋳造室においてそれぞれ効率的に進めることができる。
【0016】
請求項1または請求項2に従属する請求項4の真空溶解鋳造装置は、溶解炉が溶解室内に固定されており、溶解室の側面のほぼ全面がメンテナンス用扉とされている装置である。
このような真空溶解鋳造装置は、狭い溶解室内での溶解炉のルツボの補修や交換等のメンテナンスに要する時間を短縮させ、真空溶解鋳造装置の稼動率を向上させる。
【0017】
請求項1または請求項2に従属する請求項5の真空溶解鋳造装置は、溶解炉が溶解室の側面のほぼ全面を開閉する片開き扉の内面側に固定されている装置である。
このような真空溶解鋳造装置は、溶解炉のメンテナンス時には片開きの扉を開けて溶解炉を溶解室から外へ出すことができ、メンテナンス作業が容易になって比較的短時間で完了することから、真空溶解鋳造装置の稼動率を向上させる。
【0018】
請求項1または請求項2に従属する請求項6の真空溶解鋳造装置は、鋳造装置が鋳造室内に固定されており、鋳造室の側面のほぼ全面がメンテナンス用扉とされている装置である。
このような真空溶解鋳造装置は、狭い鋳造室内での鋳造装置の汚れの除去、補修、交換等のメンテナンスに要する時間を短縮させ、真空溶解鋳造装置の稼動率を向上させる。
【0019】
請求項1または請求項2に従属する請求項7の真空溶解鋳造装置は、鋳造装置が鋳造室の側面開口から挿入可能なように移動台車に設置されており、かつ鋳造装置の挿入状態において側面開口は移動台車に取り付けられた蓋板によって密閉される装置である。
このような真空溶解鋳造装置は、鋳造装置の補修、交換の作業が格段に容易化され真空溶解鋳造装置の稼動率を大幅に高める。
【0020】
請求項1に従属する請求項8の真空溶解鋳造装置は、鋳造装置が単数または複数の鋳型であり、かつ前記鋳型が鋳造品の搬出容器を兼ねている装置である。
このような真空溶解鋳造装置は希土類元素含有合金類用装置として最も簡素に構成された低コストの装置となるほか、機能の異なる複数の鋳型に溶解炉からの溶湯を分注することにより立体形状の異なる鋳造品や、冷却速度の異なる鋳造品を同時に鋳造することを可能にする。
【0021】
請求項8に従属する請求項9の真空溶解鋳造装置は、鋳型が鋳造品の冷却手段または加熱手段を備えている装置である
このような真空溶解鋳造装置は、鋳型内での冷却速度を制御して物性値の異なる鋳造品を鋳造することが可能にする。
【0022】
請求項1に従属する請求項10の真空溶解鋳造装置は、鋳造装置が水平に回転される冷却回転円板と冷却回転円板の外周縁部に沿って取り付けられた高さの低いリング状鋳型枠とを要素として構成されている装置である。
このような真空溶解鋳造装置はやや徐冷された薄板状の鋳造品を与える。
【0023】
請求項1に従属する請求項11の真空溶解鋳造装置は、鋳造装置が水平冷却板とその上面に移動可能に載置された摺動鋳型枠とを要素として構成されている装置である。
このような真空溶解鋳造装置は、摺動鋳型枠内に溶湯が溜め込まれることから徐冷された厚板状の鋳造品を与える。
【0024】
請求項2に従属する請求項12の真空溶解鋳造装置は、鋳造装置が高速で回転する冷却ロールを要素として構成されている装置である。
このような真空溶解鋳造装置は急冷された薄片状の鋳造品を与える。
【0025】
請求項2に従属する請求項13の真空溶解鋳造装置は、第2密閉路に設けられる第2遮断機構が、第2密閉路の下流側の端部を開閉するように回収室内に設けられ、鋳造室の真空度が回収室の真空度より高い場合に真空シールが可能なフラップ弁または第2仕切弁とされている装置である。
このような真空溶解鋳造装置は、第2遮断機構の設置が比較的容易であり、かつ鋳造室と回収室との間を確実に真空シールすることができる。
【0026】
請求項2に従属する請求項14の真空溶解鋳造装置は、回収容器が蓋と本体とからなり、回収室内には回収容器の蓋の開閉機構が設けられており、回収容器が回収室の開口へ外側から蓋と共に本体上端部を挿入して連結される装置である。
このような真空溶解鋳造装置は、真空下の回収室内で回収容器の蓋をあけて鋳造品を収容し、蓋を戻した後に回収室から取り外すことにより、鋳造品を大気に曝すことなく回収容器に収容し、保持することができる。
【0027】
請求項2に従属する請求項15の真空溶解鋳造装置は、回収容器が鋳造品の冷却手段または加熱手段を備えている装置である。
このような真空溶解鋳造装置は、鋳造品が大気に接触しても酸化されない温度まで鋳造品を回収容器内で冷却することができるほか、合金中の特定成分が偏析する場合に、鋳造品を回収容器内で加熱して、特定成分を拡散させて均質化することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
本発明の真空溶解鋳造装置は、上述したように、真空下または不活性ガス雰囲気下に希土類元素含有合金類を溶解する溶解炉と、合金類の溶湯を冷却し鋳造する鋳造装置とを備えた真空溶解鋳造装置において、溶解炉を備えた溶解室と、鋳造装置を備えた鋳造室とからなり、溶解室と鋳造室とは何れの真空度が高い場合にも真空シールが可能な第1遮断機構または第1遮断機構が設けられた第1密閉路を介して接続されている装置であるか、 または、真空下または不活性ガス雰囲気下に希土類元素含有合金類を溶解する溶解炉と、合金類の溶湯を冷却し鋳造する鋳造装置と、形成される鋳造品を収容し搬出する回収容器とを備えた真空溶解鋳造装置において、溶解炉を備えた溶解室と、鋳造装置を備えた鋳造室と、回収容器を備えた回収室とからなり、溶解室と鋳造室とは何れの真空度が高い場合にも真空シールが可能な第1遮断機構を介して、または第1遮断機構が設けられた第1密閉路を介して接続され、鋳造室と回収室とは第2遮断機構を介して、または第2遮断機構が設けられた第2密閉路を介して接続されている装置である。
【0029】
図1は溶解室と鋳造室と回収室との三室からなる本発明の真空溶解鋳造装置をブロック図的に示す図であり、請求項2に対応するものである。三室構成の真空溶解鋳造装置は、概しては希土類元素含有合金類を溶解する溶解炉11が例えば固定して設置された溶解室1と、鋳造装置21が例えば固定して設置された鋳造室2と、回収容器31を備えた回収室3とからなる。そして、溶解炉11と鋳造装置21のアイドル時間を短縮して溶解、鋳造を可及的に連続して行うことが可能なものとするために、また装置全体を小型化してコスト・パフォーマンスの高いものとするために、溶解室1は溶解炉11で希土類元有合金類を効率よく溶解、出湯し得る範囲で可及的に小容積とされ、鋳造室2も同合金類の溶湯を効率よく冷却、鋳造し得る範囲で可及的に小容積とされ、同じく回収室3も鋳造品を回収容器31に収容して大気側へ搬出し得る範囲で可及的に小容積として、それぞれの装置コストを低減させると共に、真空排気に要する時間および内部のクリーニングに要する時間を短時間化して稼動率を向上させたもの、全稼動時間における溶解、鋳造のサイクル回数を向上させたものとされている。そして溶解室1と鋳造室2とは後述する第1遮断機構12Aが設けられた第1密閉路13(または第1遮断機構12A単独)を介して接続されており、鋳造室2と回収室とは後述する第2遮断機構22Aが設けられた第2密閉路23(または第2遮断機構22A単独)を介して接続されている。そして、図1における回収室3、および第2遮断機構22Aが設けられた第2密閉路23(または第2遮断機構22A単独)を持たないものが請求項1に対応する真空溶解鋳造装置である。
【0030】
図1の真空溶解鋳造装置は、溶解炉11および鋳造装置21のアイドル時間をそれぞれ可及的に短縮するために、溶解室1と鋳造室2の真空度を独立して制御することができるように、溶解室1と鋳造室2とは何れの真空度が高い場合にも真空シールが可能な第1遮断機構12Aが設けられた第1密閉路13(または第1遮断機構12A単独)を介して接続されている。すなわち、プロセスの途中においては、溶解室1が鋳造室2より高い真空度になる場合(例えば、溶解室1では合金類の溶解が行われており、鋳造室2は大気圧として鋳造装置21のメンテナンス作業が行われている時)、および溶解室1が鋳造室2より低い真空度になる場合(例えば溶解室1では溶解炉11への原料インゴットの投入が行われており、鋳造室2は回収室3と連通されて所定の真空度に維持されている時)との両方の場合がある。従って、溶解室1と鋳造室2との間の第1遮断機構12Aは両方の場合に真空シールが可能なものとされている。換言すれば、溶解室1と鋳造室2との何れが高圧側となっても、高圧側の圧力によって弁板が低圧側へ押されてシール漏れを生じないものとされている。その構成の一例は後述の図4に示す。
【0031】
図1の真空溶解鋳造装置は、上記のような第1遮断機構12Aが設けられた第1密閉路13(または第1遮断機構12A単独)を介して接続されているので、溶解炉11で溶解された合金類の溶湯は、第1遮断機構12Aが開とされた第1密閉路13(または開とされた第1遮断機構12A単独)を経由して鋳造室2の鋳造装置12へ出湯される。しかし第1遮断機構12Aが設けられた第1密閉路13(または第1遮断機構12A単独)はあくまで溶解室1と鋳造室2との接続手段であって、溶解室1内で傾動された溶解炉11の湯口から鋳造装置21へ出湯することは勿論、第1密閉路13(または第1遮断機構12A)へ注湯することも両者が離隔し存在することから困難であり、仮に第1密閉路13の上流端部を溶解室1内の溶解炉11に達するまで延ばして溶湯を直接に受け得るようにしたとしても、第1遮断機構12Aは真空シール部を有しているので高温度の溶湯を流すには適していない。
【0032】
図2は図1における溶解室1および鋳造室2の内部構成の一例を示す部分破断側面図であるが、溶解室1にはルツボ18を備えた溶解炉11、鋳造室2には鋳造装置の一例としてタンディッシュ61から溶湯が注湯される冷却ロール62が備えられており、溶解炉11からの出湯時には、第1遮断機構12Aが開とされた第1密閉路13(または開とされた第1遮断機構12A単独)を鋳造室2側から挿入され、先端部42が一点鎖線で示す位置、すなわち、傾動される溶解炉11の湯口に達する位置で停止されて溶湯を受け、受けた溶湯は後端部の底面開口43から鋳造室2のタンディッシュ61へ流し込むことのできる耐熱性の樋状ラウンダー41Aが設けられる。すなわち、樋状ラウンダー41Aの底面は通常は下流側へ向かって下向き傾斜とされるので溶湯は自重で後端側へ流れる。
【0033】
しかしその樋状ラウンダー41Aは第1遮断機構12Aが閉とされる時に支障となってはならず、例えば出湯時以外は鋳造室2側へ引き込まれるもの、すなわち、鋳造室2内から溶解炉11までを往復するものとされる。樋状ラウンダー41Aを設ける場合、第1遮断機構12Aとしては所要スペースの小さい第1仕切弁12が好適であり、樋状ラウンダー41Aの駆動源には空気圧シリンダー(または油圧シリンダー)45が好適に採用される。勿論、上記の樋状ラウンダー41A以外のもので溶湯を流すようにしてもよい。
【0034】
溶解炉11は溶解、出湯を繰り返すことによって、内部のルツボ18に補修を要する場合や、クラックが入って交換を要するようになる。溶解室1は、そのような場合に、時間をかけることなく溶解、出湯の定常的な状態に復帰できるように構成されていることを要する。同様に、鋳造装置21は、溶解炉11からの出湯に応じて冷却、鋳造を繰り返すことにより、クリーニングや補修、交換を要するようになる。鋳造室2は、そのような場合に、時間をかけることなく、冷却、鋳造の定常的な状態に復帰できるように構成されていることを要する。従って、溶解室1、鋳造室2を小容積化したが故にメンテナンス作業を狭い空間内で行うことになり、結果的にメンテナンスに時間がかかるようなことを避ける手段を必要とする。
【0035】
そのために、小容積の溶解室1の側面はほぼ全面を扉とすることが望まれる。図3は図2に対応する平面図であるが、溶解室1の一方の側面または両側面のほぼ全面を片開き扉17とすることによってメンテナンス作業は容易化される。勿論、特許文献2のように片開き扉を両側に設けたものとしてもよい。更には、片開き扉17の内面側に溶解炉11を固定してもよい。溶解炉11のメンテナンス作業時には、片開き扉17を開けることにより溶解炉11が溶解室1から外へ出されてくるのでメンテナンス作業が一層容易化される。更には、溶解炉11を予備の溶解炉と短時間で交換し得るようにしてもよい。その場合には、溶解炉11は合金類のインゴットを溶解するための誘導加熱用の高周波ケーブルを含めて着脱容易に設置されていることを要する。予備の溶解炉を持つことにより装置コストはやや増大するが、メンテナンス作業による溶解炉11のアイドル時間を短縮することができ、真空溶解鋳造装置の稼動率を向上させることができる。
【0036】
小容積の鋳造室2も、溶解室1と同様、その側面のほぼ全面を扉とすること、例えば図3に示すように、鋳造室2の側面を片開き扉27とすることが望まれる。そのほか、鋳造装置21を後述の図16に示すように移動台車64上に設置して、鋳造時には鋳造室2の側面開口2aから挿入し、メンテナンス時には鋳造室2から外へ引き出すようにしてもよい。この場合、鋳造装置21が挿入された状態において、移動台車64に取り付けた蓋板66が鋳造室2の側面開口2aを塞ぐようにされる。鋳造装置21を設置した移動台車64とその移動機構を設けることによって装置コストはやや増大するが、鋳造装置21のメンテナンス作業を大気下の広い場所で効率よく短時間で実施できるというメリットがある。
【0037】
他方、鋳造室2と回収室3との間を接続する第2遮断機構22Aが設けられた第2密閉路23(または第2遮断機構22A単独)は冷却されて固形化された鋳造品が通過する通路となるものであるから、上述の樋状ラウンダー41Aの如き特別な機構は要しない。そして、通常的には回収室3が鋳造室2よりも高い真空度になることはないので、第2遮断機構22Aとしては真空度が高い鋳造室2と真空度が低い回収室3との間で真空シールの可能なものが設置される。
【0038】
図4は溶解室1と鋳造室2との何れの真空度が高い場合にも真空シールが可能である第1仕切弁12の一例を示す拡大断面図である。弁箱50の上面に固定された空気圧シリンダー55から弁箱50内へ気密に挿入されたロッド51の下端部の両側にピンpによって回動可能に保持されたリンク52a、52bを介して弁板53a、53bが取り付けられており、溶解室1側の第1密閉管13aの開口部14a、および鋳造室2側の第1密閉管13bの開口部14bを開閉するようになっている。この第1仕切弁12の作用を、溶解室1側の弁板53aに付いて説明すると、ロッド51と共に下降されてきた弁板53aは開口部14aの下端部に設けられたストッパー15aに当接するが、更にロッド51が若干下降されることにより、リンク52aが作用して弁板53aがシールリング54aを介して第1密閉管13a側へ押し付けられることにより開口部14aを密閉する。このことは鋳造室2側の弁板53bにおいても同様である。従って、溶解室1と鋳造室2との何れかの真空度が低い場合、例えば溶解室1の圧力が高い場合には、その高い圧力が溶解室1側の弁板53aを押し開くように働くが、鋳造室2側の弁板53bは密閉状態を維持するので、第1仕切弁12が真空シール漏れを生じることはない。鋳造室2の圧力が高い場合にも、同様、第1仕切弁12に真空シール漏れは生じない。
【0039】
鋳造室2と回収室3を第2遮断機構22Aが設けられた第2密閉路23によって接続する場合、第2遮断機構22Aは第2密閉路23の何れの部分に設けてもよい。第2遮断機構22Aを第2密閉路23の下流側の端部に設ける場合には、実質的に回収室3内で開閉されるものとしてもよい。例えば、図5に示すような第2仕切弁91としてもよい。第1仕切弁91は回収容器31を備えた回収室3内の上部に設置されており、空気圧シリンダー95によって前進、後退するロッド94の先端部には鋳造室2に面してリンク92、弁板93が取り付けられている。弁板93は空気圧シリンダー95によって一点鎖線で示す位置から第2密閉路23の直下へ移動されストッパー3sに当接して停止するが、ロッド91が更に若干前進されることによりリンク92が作用し、弁板93は天井面のシールリング3rを介して回収室3の天井面に押し付けられ、鋳造室2側である第2密閉路23の下流側の端部を密閉する。回収室3の圧力は通常的には鋳造室2と同圧か、または鋳造室2より高い圧力であり、弁板93を回収室3の天井面から押し下げるような力は働かないので、上記のような構成の第2仕切弁91によって鋳造室2を真空シールすることができる。
【0040】
また、回収室3内に設ける第2遮断機構22Aとしては、図6に示すように、弁板97が一点鎖線で示す位置から回動軸98の回りに矢印で示すように回動されて開くフラップ弁99を採用することができる。弁板97が一点鎖線で示す閉の状態においては、天井面のシールリング3r’を介し回収室3の天井面に押し付けられて第2密閉路23の下流側の端部を密閉し、鋳造室2と回収室3の間を真空シールすることができる。なお、図6は回収室3の底部の開口3hに蓋32付き回収容器31がシールリング34rを介して気密に取り付けられて蓋32が開閉機構33によって取り外された状態を示すが、それに付いては後述する。
【0041】
そのほか、図1に示すように、溶解室1には真空ポンプ6、不活性ガス導入管7が接続され、鋳造室2には真空ポンプ8、不活性ガス導入管9が接続されている。すなわち、溶解室1、鋳造室2はプログラムに従ってそれぞれ所定の真空度に維持されるが、そのなかでは、一定の真空度まで真空排気した後に、不活性ガス導入管7、9から不活性ガス(例えばアルゴンガスや窒素ガス)を導入して所定の圧力に保持することが行われる。回収室3は通常的には鋳造室2の真空ポンプ8、不活性ガス導入管9を利用して真空排気または不活性ガスの導入が行われるが、鋳造室2とは独立して真空排気、不活性ガスの導入が可能なものとしてもよい。
【0042】
鋳造装置21としては、図2、図3に示したように、一点鎖線で示す位置まで挿入された樋状ラウンダー41Aの後端部43から溶湯がタンディッシュ61へ流れ込むが、そのタンディッシュ61から膜状に注湯される溶湯を高速で回転されるロール面で受けて冷却し鋳造する冷却ロール62を要素として構成されるものがある。冷却ロール62が高速で回転されるので、ロール面へ注湯される溶湯はロール面上で固形化される前に引き伸ばされて薄くなる。従って、タンディッシュ61からロール面へ注湯される膜状の溶湯の厚さより遥かに薄い厚さ、例えば1/30の厚さの薄片状として鋳造品を得ることは容易であり、急冷された鋳片が得られる。
【0043】
また、図7に示すように、一点鎖線で示す位置まで挿入された樋状ラウンダー41Aの後端部43から水平に回転する冷却回転円板71上へ溶湯を供給するものがある。すなわち、鋳造室2の直下の減速機構付き駆動モータ73によって駆動され、真空シール部3qを介して内部へ挿入された回転軸74の上端に冷却回転円板71が取り付けられており、冷却回転円板71の内部には冷媒の通路が設けられ、上面には外周縁部に沿って高さの低いリング状鋳型枠72が取り外し可能に取り付けられているものである。樋状ラウンダー41Aから供給される溶湯は例えば1rpm 前後の速度で回転される冷却回転円板71の上面に注湯され、回転によって冷却回転円板71の全面へ展開されて、外周部のリング状鋳型枠72で受け止められる。リング状鋳型枠72内の溶湯の厚さと冷却回転円板71の回転速度との設定を変えることによって冷却速度を調節することができる。得られる薄板状の鋳造品はリング状鋳型枠72と共に冷却回転円板71から取り外され、鋳造室2から外部へ取り出される。従って、図1に示した回収室3、鋳造室2と回収室3とを接続する第2遮断機構22A、第2密閉路23は設置されない。
【0044】
そのほか、図8に示すように、一点鎖線で示す位置まで挿入された樋状ラウンダー41Aの後端部43からの溶湯を受けるタンディッシュ75、および内部に冷媒Wの通路を備えた水平冷却板76とその上面に移動可能に載置される摺動鋳型枠77を要素として構成されるものがある。これによる鋳造は、図8における[9]−[9]線方向の側面図である図9に示すようにして行われる。すなわち図9のAは水平冷却板76上にセットされた摺動鋳型枠77内へタンディッシュ75から溶湯Mmが注がれ水平冷却板76によって冷却されている状態、図9のBは冷却されて固形化された鋳造品Msと摺動鋳型枠77が図示しない部材によって押されて下流側へ移動され開口78上に停止された状態、図9のCは鋳造品Msの上方から突き部材79が下降されつつある状態、図8のDは突き部材79によって鋳造品Msが突き落とされ摺動鋳型枠77から分離された状態を示す。厚板状の鋳造品が得られることから、この場合も鋳造品は鋳造室2から外部へ取り出される。
【0045】
上記の3種の鋳造装置21は何れも冷媒として低コストの水が好適に採用される。冷却ロール62の場合には、上述したように、高速で回転されるロール面へ溶湯が膜状に注湯されることにより溶湯は急冷されて薄片状の鋳造品を与える。また、冷却回転円板71とリング状鋳型枠72によるものは冷却回転円板の面積が広くリング状鋳型枠72の高さが低いので、供給される溶湯は冷却回転円板71の全面に展開され、やや徐冷された薄い円板状の鋳造品を与える。これらに対して、水平冷却板76とその上面に載置される摺動鋳型枠77の場合には、鋳型枠77内に溶湯が溜め込まれ下側の水平冷却板76から冷却されるので、溶湯は徐冷され厚板状の鋳造品を与える。溶湯の冷却速度は鋳造品の用途に応じて選択される。
【0046】
上記以外の鋳造装置21として、溶湯を直接に流し込む鋳型を採用することができる。機器点数を少なくすると言う観点からは鋳型は搬出容器として兼用されることが望ましい。図10に示すように、鋳造室2内に鋳型81を複数配置しておき、樋状ラウンダー41Aの底面側に開閉を制御し得る複数の開口部43を設けて、溶湯をそれぞれの鋳型81に分注することにより、立体形状の異なる鋳造品や、冷却速度の異なる鋳造品を同時に鋳造することが可能になる。その他、複数の鋳型を載置した鋳型台を回転または移動させて分注することも可能である。そして、鋳型81によって鋳造と同時に鋳造品が収容され、続いて鋳型81は鋳造室2から大気側へ搬出される。従ってこの場合も、図1に示した回収室3、および鋳造室2と回収室3を接続する第2遮断機構22A、第2密閉路23は設置されない。
【0047】
回収室3には回収容器31を交換可能に設置し、例えば図5に示した第2密閉路23の第2仕切弁91を開として鋳造装置21から排出される鋳造品を回収容器31に収容し、鋳造品を収容した回収容器31は空の回収容器31と交換のために大気側へ取り出される。従って、図示せずとも、その回収室3には回収容器31を出し入れするための開閉機構が設けられている。鋳造室2から排出される鋳造品を回収容器31に回収している時には回収室3は鋳造室2と同圧であるが、回収容器31を回収室3から外へ取り出す時には第2仕切弁91を閉として回収室3は大気圧とされる。従って鋳造品は大気に接触する。鋳造品を大気に触れさせないためには前述の図6に若干触れたように、蓋32付きの回収容器31を採用することができるが、その詳細は実施例において説明する。鋳造品の回収の再開に際しては、回収室3は大気圧から所定の真空度まで真空排気してから収容が開始される。その真空排気には上述したように通常的は鋳造室2に付属の真空ポンプ8が使用される。
【0048】
更には、図1において、回収容器31は鋳造装置21で形成された鋳造品を収容するが、鋳造装置21による一次冷却で形成され鋳造品が過冷却状態にある場合には、その鋳造品の結晶状態を更に二次的に制御するために、回収容器31は冷却手段または加熱手段を取り付けたものとしてもよい。例えば、図11に示すように、回収容器31の外周面に冷媒または熱媒を循環させるためのジャケット36を取り付ける等である。そのほか、鋳造装置21として鋳型81を使用する場合には、鋳型81の外周面に冷媒または熱媒を循環させるジャケットを同様に設けて溶湯の冷却速度を制御するようにしてもよい。
【0049】
本発明の真空溶解鋳造装置は基本的な構成である溶解室と鋳造室、または溶解室と鋳造室と回収室について、上述した各種の構成要素を、要請される装置コストの上限値ないしは鋳造品の用途に応じ、適宜組み合わされる。従って、溶解室、鋳造室、またはそれらに回収室を加えた構成として、単純で低コストのものの組み合わせから、構成が比較的複雑でやや高コストな組み合わせのものまで目的や要請に応じた選択が可能である。また得られる鋳造品が急冷されて結晶サイズが比較的小さく結晶化度がやや低いものから、徐冷されて結晶サイズが比較的大きく結晶化度がやや高いものまで、必要な物性値に応じて溶解室、鋳造室、回収室を組み合わせることができる。
【0050】
【実施例】
次に本発明の真空溶解鋳造装置を実施例により図面を参照して具体的に説明する。
【0051】
(実施例)
図12は三室構成の真空溶解鋳造装置100の側面図である。真空溶解鋳造装置100は概しては溶解炉を備えた溶解室1と鋳造装置を備えた鋳造室2と回収室3とからなっており、回収室3には回収容器31が交換可能に外付けされるようになっている。そして、図13は図12における「13」−「13」線方向から見た正面図、図14は図12に対応する平面図である。主として図12を参照し、脚部1bに支持された溶解室1の上部には上方仕切弁4を介して希土類元素含有合金類の原料インゴットの供給装置5が取り付けられている。そのほか覗き窓、計測機器等も取り付けられている。また、溶解室1の一側面は上下のヒンジ17aによって手前側へ開かれる片開き扉17とされている。そのほか図13、図14を参照して溶解室1には真空ポンプ6による真空排気系が接続され、鋳造室2には真空ポンプ8による真空排気系が接続されている。不活性ガス導入管は何れも図示を省略されている。
【0052】
溶解室1と鋳造室2は何れの真空度が高い場合にも真空シールが可能な第1仕切弁12を設けた第1密閉路13によって接続されている。鋳造室2内の上部には断熱材で囲われた後述の角筒状ラウンダーが設置されており、出湯、鋳造時には空気圧シリンダー45を駆動源とし、先端部が溶解室1内の溶解炉に至るまで挿入される。なお、鋳造室2の外側には2本の補強バンド2bが巻かれている。また、図13、図14を参照して、鋳造室2には、後述するが、鋳造装置21が側面から挿入されており、メンテナンス時には引き出してメンテナンス作業を行うことが可能になっており、鋳造室2の下方には第2密閉路23を介して回収室3が接続されている。そしてピット10内で作業員によって、回収室3の底部の開口に回収容器31が交換可能に取り付けられる。
【0053】
図15は溶解室1、鋳造室2、回収室3の側面を拡大して示す部分断面図であり、図16は対応する正面図である。なお、図12〜図14において既に説明した構成要素には同一の符号を付してそれらの説明は可及的に省略し、それら以外の要素について説明する。図15において、溶解室1内には溶解炉11が支持柱11sに傾動可能に支持されており、出湯時には一点鎖線で示すように傾動されるが、溶解室1は溶解炉11を傾動し得るだけの小容積とされている。そして出湯、鋳造時には溶解室1と鋳造室2を接続する上記第1密閉路13の第1仕切弁12が開とされて、鋳造室2側から角筒状ラウンダー41が第1密閉路13および第1仕切弁12を挿入され、一点鎖線で示す位置とされた角筒状ラウンダー41の先端部42へ傾動された溶解炉11の湯口11pから溶湯が流し込まれる。そして、角筒状ラウンダー41は先端部42で受けた溶湯を底面の傾斜に沿って後端側へ流し、後端部43の底面開口からタンディッシュ61内へ供給する。溶解炉11からの出湯が終わると、角筒状ラウンダー41は鋳造室2内へ引き戻されて第1仕切弁12は閉じられる。
【0054】
鋳造室2内には、タンディッシュ61と高速で回転する水冷の冷却ロール62が設置されている。タンディッシュ61は溶湯を溜め、定量的に冷却ロール62へ供給する。冷却ロール62のロール面の周囲には、冷却されて形成される鋳造品の収集器具68が下端部を第2密閉路23に挿入して設けられており、形成される薄片状の鋳造品を集めて下方へ落下させるようになっている。そして鋳造室2は上記冷却ロール62による冷却、鋳造が可能な範囲で小容積とされている。正面図である図16を参照して、冷却ロール62は駆動モータ63と共に移動台車64上に設置されている。移動台車64はレール65に沿って走行し、鋳造時には冷却ロール62は鋳造室2の側面開口2aから挿入される。そして冷却ロール62が挿入された状態において、移動台車64に取り付けられた蓋板66がシールリング2rを介して側面開口2aのフランジ部に当接することにより鋳造室2は密閉される。メンテナンス時には、冷却ロール62は移動台車64によって一点鎖線で示す位置まで引き出されるが、そのことによりメンテナンス作業は広い場所で効率的に行うことができ短時間で完了する。
【0055】
図15を参照して、鋳造室2と回収室3は第2密閉路23を介して接続されているが、この実施例においては、第2密閉路23の第2遮断機構22Aには、弁板97が回収室3内で回動軸98の回りに回動されて第2密閉路23の下流側の端部を開閉するフラップ弁99が採用されている。前述の図6を援用して、第2密閉路23の下流側の端部に相当する回収室3の天井面の開口を弁板97によってシールリング3rを介して閉として、回収室3の底部の開口3hへの回収容器31の取り付け、取り外しが作業者によって行われる。すなわち、蓋32付き回収容器31は、その上端部を蓋32と共に回収室3の底部の開口3hに挿入しシールリング34rを介して気密に取り付けられる。そして、フラップ弁99の弁板97を開とし鋳造室2と連通させて回収室3を真空排気してから、一点鎖線で示す位置の蓋32が回収室3内に設けられた開閉機構33によって取り外され実線で示す位置へ移動される。続いて、図示しない機構によって筒状のシールガイド38が一点鎖線で示す待機位置から第二密閉路23の下端と回収容器31との間に移動されてくるようになっている。シールガイド38は上方から落下してくる薄片状の鋳造品が回収室3の天井面のシールリング3r’や、回収容器31と蓋32とのシールリング31rに付着することを防ぐと共に、薄片状の鋳造品が回収室3内に散乱することを防ぐためのものである。以上のように、回収室3は蓋32付き回収容器31を外付けすることによって格段に小容積となっている。
【0056】
本実施例の真空溶解鋳造装置は以上のように構成されるが、次にその作用を説明する。
【0057】
図1、図15を参照して、溶解室1では上方仕切弁4および鋳造室2との間の第1仕切弁12が閉とされ、図14に示す真空ポンプ6によって所定の真空度に維持されており、溶解炉11には合金類の原料インゴットが加熱、溶解されて溶湯が充たされているものとする。また鋳造室2では、水冷の冷却ロール62が回転されており、上部に角筒状ラウンダー41が存在し、回収室3との間のフラップ弁99が開とされ、かつ図12および援用する図6に示すように、回収室3の底部の開口3hには回収容器31が気密に取り付けられ、更に、回収容器31の蓋32は開閉機構33によって取り外されており、第2密閉通路23の下端と回収容器31との間にはシールガイド38が待機位置から移動されており、鋳造室2と回収室3は図14に示す真空ポンプ8によって溶解室1と同一の真空度とされているものとする。
【0058】
上記の状態から第1仕切弁12が開とされ、溶解室1では、角筒状ラウンダー41が空気圧シリンダー45によって溶解室1内の一点鎖線で示す位置まで挿入され、傾動される溶解炉11の湯口11pから溶湯が角筒状ラウンダー41の先端部42へ出湯される。溶湯は角筒状ラウンダー41の底面の傾斜に沿って流れ後端部の底面開口43から鋳造室2のタンディッシュ61へ流れ込む。鋳造室2では、溶湯はタンディッシュ61から高速で回転する冷却ロール62のロール面へ膜状に注湯されて鋳造が行われる。すなわち、溶湯は冷却ロール62によって冷却されて薄片状の鋳造品である鋳片が形成されるが、鋳片は冷却ロール62のロール面の周囲に設けられた収集器具68で回収されて第2密閉路23を下方へ落下し、開とされているフラップ弁99およびシールガイド38を通過して蓋32が取り外されている回収容器31内へ収容される。
【0059】
出湯および鋳造が終わると、角筒状ラウンダー41は鋳造室2内へ引き戻されて第1仕切弁12は閉とされる。そして溶解室1では、大気を導入し上方仕切弁4を開として合金類の原料インゴットを供給装置5から溶解炉11へ投入される。溶解、出湯のサイクルが所定回数繰り返された後においては、溶解室1を大気圧として片開き扉17を開き、溶解炉11の点検、補修等を行い片開き扉17を閉じてから、原料インゴットの投入が行われる。原料インゴットを投入した後は、上方仕切弁4を閉とし溶解室1を真空ポンプ6によって所定の真空度まで排気して原料インゴットの加熱、溶解が行われる。
【0060】
他方、鋳造室2では、回収室3でシールガイド38が待機位置へ戻されフラップ弁99が閉とされると、冷却ロール62の回転と水冷を停止し、大気を導入した後、移動台車64を外部へ引き出して冷却ロール62の冷却面のクリーニングや補修が行われ、鋳造室2内に残るタンディッシュ61や収集器具68の点検、補修も同時に行われる。そして、これらメンテナンス作業が終了すると、冷却ロール62は移動台車64によって鋳造室2の側面開口2aから再び鋳造室2内へ挿入され、鋳造室2の側面開口2aは移動台車64に取り付けられた蓋板66によって気密に閉じられる。続いて真空ポンプ8により所定の真空度に排気すると共に、冷却ロール62を水冷して回転が再開される。
【0061】
既にシールガイド38を待機位置へ戻しフラップ弁99を閉とされた回収室3では、開閉機構33によって蓋32を回収容器31へ戻した後に大気を導入し、作業者によって回収室3の開口3hから蓋32付き回収容器31が取り外される。この時、回収容器31の内部は真空に保たれているので、機械的に固定されていなくても蓋32が衝撃等によって外れることはない。続いて、蓋32付き回収容器31を取り外した回収室3の開口3hへ作業者によって新しい蓋32付き回収容器31が蓋32と回収容器31の上端部を挿入し例えばジャッキ等で押し付けられる。続いて、蓋32を開閉機構33によって取り外し、フラップ弁99を開として、シールガイド38が待機位置から第2密閉路23と回収容器31との間に移動させる。回収室3は上記フラップ弁99を開とした時点から、鋳造室2の真空ポンプ8によって真空排気される。そのことにより回収容器31は回収室3に固定される。以上のようにして溶解室1と鋳造室2、回収室3は初めの状態に戻され、溶解、出湯と鋳造の1サイクルが完了したことになる。
【0062】
上述したように、本実施例の真空溶解鋳造装置100は、溶解室1と鋳造室2、または溶解室1と鋳造室2と回収室3を可及的に小容積として装置コストを低減すると共に、真空排気に要する時間、クリーニングに要する時間を短くしており、更には、溶解室1と鋳造室2とは何れの真空度が高い場合にも真空シールが可能な第1仕切弁12によって接続して、溶解室1と鋳造室2の真空度を独立して制御することにより、溶解室1の溶解炉11のメンテナンスや原料インゴットの投入によるアイドル時間が鋳造室2のプロセスの進行状況とは無関係に、また鋳造室2のタンディッシュ61、冷却ロール62のメンテナンスや交換によるアイドル時間が溶解室1のプロセスの進行状況とは無関係に、それぞれ可及的に短くなるように構成されており、従来例の真空溶解鋳造装置と比較して、全稼動時間当りの出湯と鋳造のサイクルの回数を大幅に増大させることが可能になっており、装置コストに対する鋳造量が大で、コスト・パフォーマンスに優れた装置となっている。一つの試算によると、特許文献2の真空溶解鋳造装置は250から300kg/hrの生産能力を有し、本発明の真空溶解鋳造装置の一例の生産能力は150kg/hr程度であるとして、装置コストを比較すると、特許文献2の真空溶解鋳造装置は試算例の真空溶解鋳造装置のほぼ3.5倍であるので、装置コストが同一となる試算例の装置3.5基分と特許文献2の真空溶解鋳造装置1基分とでコスト・パフォーマンスを比較すると、試算例の真空溶解鋳造装置は特許文献2の真空溶解鋳造装置に対してほぼ2倍の能力を持つと算定された。
【0063】
以上、本発明の真空溶解鋳造装置を実施例によって説明したが、勿論、本発明はこれに限定されることなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
【0064】
例えば本実施例においては、鋳造装置である冷却ロール62を移動台車64に設置して鋳造室2から引き出し得るものとし、回収室3が大気圧とされても鋳造品が大気に接触しないように回収容器31を蓋32付の外付けタイプとして、メンテナンスの作業性は格段に向上するものの装置コストはやや大となるものを例示したが、発明の実施の形態において述べたように、鋳造装置を鋳造室2に固定するほか、回収容器31は蓋32を持たず回収室3内に交換可能に固定するものとする等によって装置コストを要請に応じて低減させたものとすることができる。
【0065】
また本実施例においては、例えば溶解室1と鋳造室2との接続は第1仕切弁12が設けられた第1密閉路13で行う場合を示したが、第1仕切弁12単独で接続するようにしてもよい。
また本実施例においては、回収室3に対する蓋32付き回収容器31の取り付け取り外しや、弁類の開閉は作業員が行うことを前提として説明したが、制御装置によって自動的に行うものとしてもよい。同様に、冷却ロール62を設置した移動台車64は作業員が鋳造室2へ挿入し、引き出すものとしたが、これを自動的に行うものとしてもよい。
【0066】
また本実施例においては、溶湯を流すための断熱性の樋状ラウンダー41Aとして角筒状ラウンダー41を採用したが、溶湯が外へ飛び散らず保温性が良好なものである限りにおいて、その断面形状は如何なるものであってもよい。
また本実施例においては、回収室3内において、鋳片の散乱や、フラップ弁99および回収容器31のシールリングへの鋳片の付着を防ぐために、円筒状で下半部が傘状に拡がったシールガイド38を設けたが、目的を達し得るものであれば、その形状は限定されない。
【0067】
【発明の効果】
本発明の真空溶解鋳造装置は以上に説明したような形態で実施され、次に記載するような効果を奏する。
【0068】
請求項1の真空溶解鋳造装置によれば、溶解室と鋳造室とが分離して構成されており、かつ溶解室と鋳造室とは何れの真空度が高い場合にも真空シールが可能な第1遮断機構または第1遮断機構が設けられた第1密閉路を介して接続されているので、溶解室、鋳造室をそれぞれ小容積化することができ、真空排気に要する時間、クリーニングに要する時間が短縮されて稼動率が向上するほか、溶解室は原料インゴットの投入時および溶解炉のメンテナンス時を除いて常に真空状態に維持できるので溶湯が大気に接触して酸化されるようなことは生じない。更には、溶解室の圧力が鋳造室の圧力より高い場合にも鋳造室は所定の真空度は維持されることから、溶解室での上記原料インゴットの投入および溶解炉のメンテナンス作業を鋳造室のプロセスの進行状況とは無関係に実施することが可能で、時間待ちのような無駄なアイドル時間を生じない。また逆に、溶解室の圧力が鋳造室の圧力より低い場合にも溶解室は所定の真空度が維持されることから、溶解室での原料インゴットの加熱、溶解は鋳造室のプロセスの進行状況とは無関係に実施することができ、時間待ちの如き無駄なアイドル時間を生じない。得られる鋳造品は鋳造室から外部へ取り出される。
【0069】
請求項2の真空溶解鋳造装置によれば、溶解室と鋳造室と回収室とが分離して構成されており、かつ溶解室と鋳造室とは何れの真空度が高い場合にも真空シールが可能な第1遮断機構または第1遮断機構が設けられた第1密閉路を介して接続されており、鋳造室と回収室とは第2遮断機構または第2遮断機構が設けられた第2密閉路を介して接続されているので、溶解室、鋳造室、回収室をそれぞれ小容積化することができ、真空排気に要する時間、クリーニングに要する時間が短縮されて稼動率が向上するほか、溶解室は原料インゴットの投入時および溶解炉のメンテナンス時を除いて常に真空状態に維持できるので溶湯が大気に接触して酸化されるようなトラブルを生じない。更には、溶解室の圧力が鋳造室の圧力より高い場合にも鋳造室は所定の真空度が維持されるので、溶解室での上記原料インゴットの投入および溶解炉のメンテナンス作業を鋳造室のプロセスの進行状況とは無関係に実施することができ、時間待ちの如き無駄なアイドル時間を生じない。また逆に、溶解室の圧力が鋳造室の圧力より低い場合にも溶解室は所定の真空度が維持されるので、溶解室での原料インゴットの溶解は鋳造室のプロセスの進行状況とは無関係に実施することができ、時間待ちの如き無駄なアイドル時間を生じない。得られる鋳造品は回収容器に収容されて回収室から外部へ取り出される。
【0070】
請求項3の真空溶解鋳造装置によれば、鋳造時には開とされる第1仕切弁または第1仕切弁が設けられた第1密閉路を挿通されて、溶解炉から鋳造装置へ溶湯を流す樋状ラウンダーが配置されているので、溶解炉から離れた位置にある鋳造装置へ溶湯を供給することができ、出湯、鋳造時以外は樋状ラウンダーを引き戻し第1仕切弁を閉とすることにより溶解室と鋳造室との真空度を独立して制御でき、溶解室および鋳造室における続く操作を効率的に進めることができる。
【0071】
請求項4の真空溶解鋳造装置によれば、溶解室に溶解炉が固定されており、溶解室の側面のほぼ全面がメンテナンス用扉とされているので、狭い溶解室内での溶解炉のルツボの補修や交換等のメンテナンスに要する時間を短縮させ、真空溶解鋳造装置の稼動率を向上させる。
【0072】
請求項5の真空溶解鋳造装置によれば、溶解炉が溶解室の側面のほぼ全面を開閉する片開き扉の内面側に固定されているので、メンテナンス時には片開きの扉を開けて溶解炉を溶解室から外へ出すことができ、メンテナンス作業が容易になって比較的短時間で完了することから真空溶解鋳造装置の稼動率を向上させる。
【0073】
請求項6の真空溶解鋳造装置によれば、鋳造装置が固定されている鋳造室の側面のほぼ全面がメンテナンス用扉とされているので、狭い鋳造室内での鋳造装置の汚れの除去、補修、交換等のメンテナンスに要する時間を短縮させ、真空溶解鋳造装置の稼動率を向上させる。
【0074】
請求項7の真空溶解鋳造装置によれば、鋳造装置が鋳造室の側面開口から挿入可能なように移動台車に設置されており、かつ鋳造装置の挿入状態において側面開口は移動台車に取り付けられた蓋板によって密閉されるので、装置コストは上昇するものの、鋳造装置の補修、交換の作業が格段に容易化され、挿入時の真空シールも容易に達成されることから真空溶解鋳造装置の稼動率を大幅に高める。
【0075】
請求項8の真空溶解鋳造装置によれば、鋳造装置が単数または複数の鋳型であり、かつ前記鋳型が鋳造品の搬出容器を兼ねているので、希土類元素含有合金類用装置として最も簡素に構成された低コストの装置となるほか、機能の異なる複数の鋳型に溶解炉からの溶湯を分注することにより立体形状の異なる鋳造品や、冷却速度の異なる鋳造品を同時に鋳造することを可能にする。
請求項9の真空溶解鋳造装置によれば、鋳型が鋳造品の冷却手段または加熱手段を備えているので、鋳型内での冷却速度を制御して物性値の異なる鋳造品を鋳造することが可能である。
【0076】
請求項10の真空溶解鋳造装置によれば、鋳造装置が水平に回転される冷却回転円板と冷却回転円板の外周縁部に取り付けられた高さの低いリング状鋳型枠とを要素として構成されているので、やや徐冷された薄板状の鋳造品を与える。
請求項11の真空溶解鋳造装置によれば、鋳造装置が水平冷却板とその上面に移動可能に載置された摺動鋳型枠とを要素として構成されているので、溶湯は鋳型枠に溜め込まれて徐冷された厚板状の鋳造品を与える。
請求項12の真空溶解鋳造装置によれば、鋳造装置が高速で回転する冷却ロールを要素として構成されているので、急冷された薄片状の鋳造品を与える。
【0077】
請求項13の真空溶解鋳造装置によれば、第2密閉路に設けられる第2遮断機構が回収室内で第2密閉路の下流側の端部を開閉するフラップ弁または第2仕切弁とされているので、第2遮断機構の設置が比較的容易であり、かつ回収室より低い圧力となることはない鋳造室と回収室との間を確実に真空シールする。
【0078】
請求項14の真空溶解鋳造装置によれば、回収容器が蓋と本体とからなり、回収室内には回収容器の蓋の開閉機構が設けられており、回収容器が、回収室の開口へ外側から蓋と共に本体上端部を挿入して連結されるので、真空下の回収室内で回収容器の蓋をあけて鋳造品を収容し、蓋を戻した後に回収室から取り外すことができ、鋳造品を大気に曝すことなく回収容器に収容し保持することができる。
【0079】
請求項15の真空溶解鋳造装置によれば、回収容器が冷却手段または加熱手段を備えているので、鋳造品を回収容器に収容した状態で鋳造品が大気に接触しても酸化されない温度まで鋳造品を回収容器内に収容した状態で冷却することができるほか、合金中の特定成分が偏析する場合に、回収容器内で加熱して特定成分を拡散させ均質化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の真空溶解鋳造装置の構成をブロック的に示す図である。
【図2】同装置における溶解室と鋳造室の内部構成の一例を概念的に示す側面図である。
【図3】図2に対応する平面図である。
【図4】溶解室が高真空度の場合と鋳造室が高真空度の場合との両方の場合に真空シールが可能な第1仕切弁の構成の一例を示す断面図である。
【図5】鋳造室と回収室を遮断する第2遮断機構の内の回収室内で開閉される第2仕切弁を示す断面図である。
【図6】同じく回収室内で開閉されるフラッブ弁を、回収室に取り付けられた回収容器と共に示す断面図である。
【図7】冷却回転円板による鋳造装置を備えた真空溶解鋳造装置を示す概略図である。
【図8】水平冷却板と摺動鋳型枠による鋳造装置を備えた真空溶解鋳造装置を示す概略図である。
【図9】図8の鋳造装置による鋳造をステップ的に示す図である。
【図10】鋳造装置として鋳型が使用されている真空溶解鋳造装置を示す概略図である。
【図11】冷媒または熱媒用のジャケットを備えた回収容器を示す断面図である。
【図12】実施例の真空鋳造装置を示す側面図である。
【図13】図12における[13]−[13]線方向から見た正面図である。
【図14】図12に対応する平面図である。
【図15】図12における溶解室、鋳造室、回収室の内部の構成を示す部分破断側面図である。
【図16】図15に対応する部分破断正面図である。
【符号の説明】
1 溶解室
2 鋳造室
3 回収室
11 溶解炉
12 第1仕切弁
13 第1密閉路
17 片開き扉
18 ルツボ
21 鋳造装置
22 第2仕切弁
23 第2密閉路
27 片開き扉
31 回収容器
32 蓋
36 ジャケット
41 角筒状ラウンダー
61 タンディッシュ
62 冷却ロール
71 冷却回転円板
72 リング状鋳型枠
75 タンディッシュ
76 水平冷却板
77 摺動鋳型枠
81 鋳型
100 実施例の真空鋳造装置
Mm 溶湯
Ms 鋳造品
W 水

Claims (12)

  1. 真空下または不活性ガス雰囲気下に希土類元素含有合金類を溶解する溶解炉と、前記合金類の溶湯を冷却し鋳造する鋳造装置とを備えた真空溶解鋳造装置において、
    前記溶解炉を備えた溶解室と、前記鋳造装置を備えた鋳造室とからなり、前記溶解室と前記鋳造室とは何れの真空度が高い場合にも真空シールが可能な第1遮断機構または前記第1遮断機構が設けられた第1密閉路を介して接続されており、
    前記鋳造装置は、前記鋳造室の側面開口から挿入可能なように移動台車に設置されており、かつ前記鋳造装置の挿入状態において前記側面開口は前記移動台車に取り付けられた蓋板によって密閉される
    ことを特徴とする真空溶解鋳造装置。
  2. 真空下または不活性ガス雰囲気下に希土類元素含有合金類を溶解する溶解炉と、前記合金類の溶湯を冷却し鋳造する鋳造装置と、形成される鋳造品を収容し搬出する回収容器とを備えた真空溶解鋳造装置において、
    前記溶解炉を備えた溶解室と、前記鋳造装置を備えた鋳造室と、前記回収容器を備えた回収室とからなり、前記溶解室と前記鋳造室とは何れの真空度が高い場合にも真空シールが可能な第1遮断機構または前記第1遮断機構が設けられた第1密閉路を介して接続されており、前記鋳造室と前記回収室とは第2遮断機構または前記第2遮断機構が設けられた第2密閉路を介して接続されており、
    前記鋳造装置は、前記鋳造室の側面開口から挿入可能なように移動台車に設置されており、かつ前記鋳造装置の挿入状態において前記側面開口は前記移動台車に取り付けられた蓋板によって密閉される
    ことを特徴とする真空溶解鋳造装置。
  3. 前記第1遮断機構が第1仕切弁であり、鋳造時には開とされる前記第1仕切弁または前記第1仕切弁が設けられた前記第1密閉路を挿通されて、溶湯を前記溶解炉から前記鋳造装置へ流す樋状ラウンダーが配置されている
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の真空溶解鋳造装置。
  4. 前記溶解炉が前記溶解室内に固定されており、前記溶解室の側面のほぼ全面がメンテナンス用扉とされている
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の真空溶解鋳造装置。
  5. 前記溶解炉が前記溶解室の側面のほぼ全面を開閉する片開き扉の内面側に固定されている
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の真空溶解鋳造装置。
  6. 前記鋳造装置が単数または複数の鋳型であり、かつ前記鋳型が鋳造品の搬出容器を兼ねている
    ことを特徴とする請求項1に記載の真空溶解鋳造装置。
  7. 前記鋳造装置が水平に回転される冷却回転円板と前記冷却回転円板の外周縁部に沿って取り付けられた高さの低いリング状鋳型枠とを要素として構成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の真空溶解鋳造装置。
  8. 前記鋳造装置が水平冷却板とその上面に移動可能に載置された摺動鋳型枠とを要素として構成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の真空溶解鋳造装置。
  9. 前記鋳造装置が高速で回転する冷却ロールを要素として構成されている
    ことを特徴とする請求項2に記載の真空溶解鋳造装置。
  10. 前記第2密閉路に設けられる前記第2遮断機構が、前記第2密閉炉の下流側の端部を開閉するように前記回収室内に設けられ、前記鋳造室の真空度が前記回収室の真空度より高い場合に真空シールが可能なフラップ弁または第2仕切弁とされている
    ことを特徴とする請求項2に記載の真空溶解鋳造装置。
  11. 前記回収容器が蓋と本体とからなり、かつ前記回収室内には前記蓋の開閉機構が設けられており、前記回収容器が前記回収室の開口へ外側から前記蓋と共に前記本体上端部を挿入して連結される
    ことを特徴とする請求項2に記載の真空溶解鋳造装置。
  12. 前記回収容器が鋳造品の冷却手段または加熱手段を備えたものである
    ことを特徴とする請求項2に記載の真空溶解鋳造装置。
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